説明

細胞内Ca2+イオン依存性イオンチャンネルに対する薬物効果の評価方法

【課題】
低濃度の物質のイオンチャンネル活性への影響を評価することを可能にするために、細胞内Ca2+イオン依存性イオンチャンネルの活性を測定する際に、細胞内のCa2+イオン濃度を制御する技術を開発すること。
【解決手段】 細胞内Ca2+イオンキレート剤をサンプル細胞に投与するステップを含む、細胞内Ca2+イオン依存性分子の機能測定のためのサンプル前処理方法を提供する。本発明の細胞内Ca2+イオンキレート剤は、BAPTA−AMと、GEDTA−AMと、Fura2−AMと、Fluo3−AMと、Fluo4−AMと、Indo1−AMと、Rhod2−AMとからなるグループから選択される少なくとも1種類のCa2+イオンキレート剤の場合がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞内Ca2+イオン依存性イオンチャンネルに対する薬物効果の評価方法に関し、より具体的には、細胞内Ca2+イオン依存性イオンチャンネルに対する薬物効果のハイスループット評価系において感度及び再現性を向上させるためのサンプル処理方法と、該方法に用いるサンプル処理用試薬と、該試薬を含むサンプル処理用キットとに関する。
【背景技術】
【0002】
細胞内Ca2+イオン依存性イオンチャンネルは細胞機能に重要な役割を担っており、創薬研究や分子生物学の研究ターゲットとなっている。例えば、BKCaチャンネル(large conductance Ca2+-activated K+ channels)、IKCa(intermediate conductance Ca2+-activated K+channels)及びSKCa(small conductance Ca2+-activated K+ channels)は、細胞質のCa2+イオン濃度の上昇によって敏感に活性化される点で、他のカリウムイオンと異なる特徴がある。これらのうちBKCaチャンネルは、平滑筋、脳、膵臓、膀胱等の組織に存在し、神経や筋肉の興奮性、神経伝達物質の放出、ホルモンの分泌、蝸牛細胞のチューニング、自然免疫の他、脈管、気管、子宮、胃腸及び膀胱の平滑筋の緊張弛緩の調節等の多様な細胞の機能に関与する(非特許文献1)。そこで、BKCaチャンネルをはじめとする細胞内Ca2+イオン依存性イオンチャンネルに作用する物質をスクリーニングすることによって新規な創薬シーズを探索する作業が始まっている。
【非特許文献1】Ghatta、S.ら、Pharmacology & Therapeutics、110:103−116(2006) 近年の自動パッチクランプ装置の進歩により、多数の創薬候補物質についてハイスループットな手法でイオンチャンネル活性への影響を評価する実験が可能になった。しかし、他のイオンチャンネルとは異なり、細胞内Ca2+イオン依存性イオンチャンネルは、細胞内のCa2+イオン濃度の変化に敏感に反応するため、ノイズが高くなり、低濃度の物質のイオンチャンネル活性への影響を評価することが困難であるという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、低濃度の物質のイオンチャンネル活性への影響を評価することを可能にするために、細胞内Ca2+イオン依存性イオンチャンネルの活性を測定する際に、細胞内のCa2+イオン濃度を制御する技術を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、細胞内Ca2+イオンキレート剤をサンプル細胞に投与するステップを含む、細胞内Ca2+イオン依存性分子の機能測定のためのサンプル処理方法を提供する。
【0005】
本発明の方法において、前記細胞内Ca2+イオン依存性分子は、細胞内Ca2+イオン依存性イオンチャンネルの場合がある。
【0006】
本発明の方法において、前記細胞内Ca2+イオンキレート剤は、アセトキシメチルエステル化されたCa2+イオンキレート剤の場合がある。
【0007】
本発明の方法において、前記細胞内Ca2+イオンキレート剤は、BAPTA−AM(O,O'-Bis(2-aminophenyl)ethyleneglycol-N,N,N',N'-tetraaceticacid, tetraacetoxymethyl ester)と、GEDTA−AM(O,O'-Bis(2-aminoethyl)ethyleneglycol-N,N,N',N'-tetraaceticacid, pentaacetoxymethyl ester)と、Fura2−AMと、Fluo3−AMと、Fluo4−AMと、Indo1−AMと、Rhod2−AMとからなるグループから選択される少なくとも1種類のCa2+イオンキレート剤の場合がある。
【0008】
本発明の方法において、前記細胞内Ca2+イオンキレート剤はBAPTA−AMの場合がある。
【0009】
本発明は、細胞内Ca2+イオンキレート剤を含む、細胞内Ca2+イオン依存性分子の機能測定のためのサンプル処理用試薬を提供する。
【0010】
本発明の試薬において、前記細胞内Ca2+イオン依存性分子は細胞内Ca2+イオン依存性イオンチャンネルの場合がある。
【0011】
本発明の試薬において、前記細胞内Ca2+イオンキレート剤は、アセトキシメチルエステル化されたCa2+イオンキレート剤の場合がある。
【0012】
本発明の試薬において、前記細胞内Ca2+イオンキレート剤は、BAPTA−AMと、GEDTA−AMと、Fura2−AMと、Fluo3−AMと、Fluo4−AMと、Indo1−AMと、Rhod2−AMとからなるグループから選択される少なくとも1種類の細胞内Ca2+イオンキレート剤の場合がある。
【0013】
本発明の試薬において、前記細胞内Ca2+イオンキレート剤はBAPTA−AMの場合がある。
【0014】
本発明は、前記本発明の方法のいずれかを説明する使用説明書と、前記本発明の試薬のいずれかとを含む、細胞内Ca2+イオン依存性イオンチャンネル活性測定のためのサンプル処理用キットを提供する。
【0015】
本発明において、前記細胞内Ca2+イオン依存性分子とは、細胞内Ca2+イオンの濃度に応じて生理機能が調節されるいずれかの分子をいい、カルモジュリン及びこれにより機能が調節されるCa2+/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼ(CaMK)と、カルシニューリンその他のカルシウム依存性タンパク質ホスファターゼと、カルパインその他のカルシウム依存性プロテアーゼと、トロポニン、カルデスモンその他のカルシウム依存性フィラメントタンパク質と、カリウムイオンを輸送するBKCaチャンネル、IKCaチャンネル及びSKCaチャンネル、塩素イオンを輸送するカルシウム依存性Clチャンネル、陽イオン輸送チャンネルであるTRP(Transient Receptor Potential)その他の細胞内Ca2+イオン依存性イオンチャンネルとを含むが、これらに限定されない。
【0016】
本発明において細胞内Ca2+イオンキレート剤とは、細胞外から細胞質に流入したカルシウムイオン及び/又は細胞内の貯蔵部位から細胞質に放出されたカルシウムイオンと結合して錯体又は複合体を形成する物質をいう。本発明の細胞内Ca2+イオンキレート剤は、細胞の外から内へ細胞膜を透過することができる物質が好ましい。かかる物質は、Ca2+イオンキレート剤の親水性の原子団を疎水性の化合物と反応させることによって調製することができる。本発明の細胞内Ca2+イオンキレート剤は、いったん細胞外から細胞内に入ると、細胞膜を透過する能力を喪失して、細胞内に止まる物質が好ましい。かかる物質は、Ca2+イオンキレート剤の親水性の原子団を疎水性の化合物と反応させる際に、細胞内に豊富に存在する酵素によって分解することができる反応を利用することによって調製することができる。好ましい反応はアセトキシメチルエステル化反応であり、該反応による結合は細胞内のエステラーゼにより加水分解される。好ましい細胞内Ca2+イオンキレート剤は、BAPTA−AMと、GEDTA−AMと、Fura2−AMと、Fluo3−AMと、Fluo4−AMと、Indo1−AMと、Rhod2−AMとを含むが、これらに限定されない。
【0017】
本発明におけるサンプル処理とは、細胞内Ca2+イオン依存性分子の機能測定の前の段階で被検サンプルの細胞に施す処理、及び/又は、細胞内Ca2+イオン依存性分子の機能測定の段階で被検サンプルの細胞に施す処理をいう。すなわち、本発明のサンプル前処理方法は、細胞内Ca2+イオン依存性分子の機能測定の前の段階か、細胞内Ca2+イオン依存性分子の機能測定の段階か、機能測定の前の段階と機能測定の段階との両方ともかにおいて、細胞内Ca2+イオンキレート剤をサンプル細胞に投与するステップを含む。本発明におけるサンプル処理は、細胞内Ca2+イオン依存性分子の機能測定の際に細胞内のCa2+イオン濃度を制御することが可能であることを条件として、細胞内Ca2+イオン依存性分子の機能測定の前の段階及び/又は機能測定の段階の一部の期間だけ処理を施してもかまわない。
【0018】
本発明における細胞内Ca2+イオン依存性イオンチャンネル活性測定は、手動パッチクランプ法と、自動パッチクランプ法とを含む電気生理学的方法と、膜電位色素を用いる光学的方法と、Rbイオン流出によるカリウムチャンネル活性測定法とを含むが、これらに限定されない、さまざまな方法によって実施される場合がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明について詳細に説明する。以下に説明する本発明の実施例は例示のみを目的とし、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。
【実施例1】
【0020】
自動パッチクランプによる細胞内カリウムイオンの測定用溶液の調製
IonWorks Quattro(Molecular Devices社)の製造者による使用説明書に基づいて実験に用いる溶液を調製した。すなわち、低塩素細胞内用バッファー(120mM K−gluconate、20mM KCl、2.0mM MgCl、20mM HEPES、pH7.25〜7.3)、高塩素細胞内用バッファー(140mM KCl、1.0mM MgCl、20mM HEPES、pH7.25〜7.3)、低塩素細胞外用バッファー(120mM Na−gluconate、17mM NaCl、4.0mM KCl、1.0mM MgCl、2.0mM CaCl、10mM ブドウ糖、10mM HEPES、pH7.4)及び高塩素細胞外用バッファー(137mM NaCl、4.0mM KCl、1.0mM MgCl、2.0mM CaCl、10mM ブドウ糖、10mM HEPES、pH7.4)を用意した。そして、細胞外から投与して細胞のカリウムイオンチャンネル活性への影響を調べる物質は前記細胞外用バッファーに希釈した。アムフォテリシンBは最終濃度0.1mg/mLとなるように細胞内用バッファーに希釈した。
【0021】
BKCaチャンネルアッセイ系
ヒトBKCaチャンネルαサブユニット遺伝子をチャイニーズハムスター卵巣由来のCHO細胞にトランスフェクションして、ヒトBKCaチャンネルαサブユニットを発現するCHO−K1細胞をサンプルとして用いた。フラスコ中で培養したCHO−K1細胞を0.2mg/mLのEDTAを添加したPBSでインキュベーションすることにより、フラスコの基質から剥がし、ピペッティングにより単一細胞に分散した。本発明の前処理方法を実施する場合には、2〜2.5x10個/mLのCHO−K1細胞の単一細胞懸濁液に20μMのBAPTA−AMを添加した。CHO−K1細胞に発現する内在性のカルシウム依存性塩素イオンチャンネル(Ca2+-activated Cl channel、CACC)の影響を防ぐため、ブロッカーとして300μMのDIDS(4,4'-Diisothiocyano-2,2'-stilbenedisulfonic acid, disodium salt)を細胞外用バッファーに添加した。また、サンプルの細胞内カルシウムイオン濃度を安定的に制御するために、サンプルが測定チップ上でシールを形成した後で、1.2μMのイオノマイシンを含む細胞外用バッファーに液を添加することにより、細胞外カルシウムイオンの流入を促進させた。また、得られた電流データがBKCaチャンネルに特異的であることを確認するために、BKCaチャンネルに特異的なブロッカーであるTEA(tetraethylammonium)又はイベリオトキシン(iberiotoxin、IbeTX)と、BKCaチャンネルに特異的なアクチベータであるdiClDHAA(12,14−ジクロロデヒドロアビエチン酸、Tomohiko Ohwadaら、Bioorg. Med. Chem. Lett., 13, 3971-3974 (2003))又はNS1619とを用いた。
【0022】
IonWorks Quattroによるデータ取得
IonWorks Quattroはシングルホール・モードで使用した。まず、測定チップの細胞側に、無添加の細胞外用バッファーを注入し、測定チップの細胞と反対の側に無添加の細胞内用バッファーを注入して、ホールチェックを行った。その後、CHO−K1細胞の単一細胞懸濁液を測定チップに添加した。シール形成を確認してから、測定チップの細胞内バッファーをアムホテリシンBを添加したバッファーに交換して、穿孔パッチを形成させた。15分経過後、第1回目の電流測定(pre電流測定)を行った。その後、DIDS及びイオノマイシンを含む細胞外バッファーを添加した。40分経過後、第2回目の電流測定(post 1st電流測定)を行った。その後、ヒトBKCaチャンネルαサブユニットの活性への影響を調べる対象の物質を含む細胞外バッファーを添加した。55分経過後、第3回目の電流測定(post 2nd電流測定)を行った。
【0023】
実験1.BKCaチャンネル発現の確認
図1の左側のグラフは、1.2μMのイオノマイシンのみを添加する(太い実線)か、1.2μMのイオノマイシン及び10mMのTEAを添加した(細い実線)条件下で異なる波形(破線)の電位パルスを印加したときのCHO−K1細胞のシングルホール・モードでのオートパッチデータである。図1の右側のグラフは、1.2μMのイオノマイシンのみを添加する(太い実線)か、1.2μMのイオノマイシン及び300nMのイベリオトキシンを添加した(細い実線)条件下で異なる波形(破線)の電位パルスを印加したときのCHO−K1細胞のシングルホール・モードでのオートパッチデータである。図1に示すとおり、形状の異なる電位パルス波形に対する電流が、BKCaチャンネルに特異的なブロッカーであるTEAでもIbeTXでも80%程度抑制されたことから、この80%がBKCaチャンネル活性によって発生した電流(以下、「BK電流」という。)と認められた。
【0024】
図2は、BK電流の安定性を確認するため、−90mVから+100mVへのステップパルスを10秒間隔で5回印加したとき(図2−1)、DIDS及びイオノマイシン非存在下で得られるCHO−K1細胞のシングルホール・モードでのオートパッチデータの6つの波形図(図2−2)である。図2−2からわかるとおり、電流の大きさが安定するものもあるが、大きく変動する例が多く観察された。
【0025】
図2−2で観察された電流変動の原因として考えられるのは、細胞のシールが不安定であったこと、及び、細胞内のカルシウムイオン濃度が変化したことである。このうちシールについては、シールが不安定である場合には−90mV保持電流にも大きな変化があるはずだが、電流が安定した場合にも電流変動が見られたことからシールが不安定であったことによって電流変動を説明することはできない。そこで細胞内のカルシウムイオン濃度の変動を抑制するために、細胞内カルシウムイオンキレート剤を投与し、細胞内でカルシウムイオンの緩衝作用を発揮させて、細胞内カルシウムイオン濃度の変動を減衰させることを特徴とするにした。以下の実験では、細胞内カルシウムイオンキレート剤としてBAPTA−AMを用いた。
【0026】
実験2.BAPTA−AM前処理の効果(1)
図3は、BAPTA−AM前処理がBK電流の安定性に与える影響を確認するために、BAPTA−AM前処理を行わなかった場合(Control solution、左上及び右上)と、BAPTA−AM前処理を行った場合(BAPTA−AM Pretreatment、左下及び右下)のCHO−K1細胞のシングルホール・モードでのオートパッチデータの波形図を示す。図2−1の5回のパルスのうち、パルスT1によるBK電流の大きさに対するパルスT3によるBK電流の大きさの比の頻度分布グラフ(図3の左上及び左下のグラフ)と、パルスT1によるBK電流の大きさに対するパルスT5によるBK電流の大きさの比の頻度分布グラフ(図3の右上及び右下のグラフ)とを示す。以下の表1はBAPTA−AMを添加する前処置を施した場合(BAPTA−AM Pretreatment)と無添加の場合(Control)とにおいて大きな変動を示した細胞の数及び百分率を示す。
【0027】
【表1】

【0028】
BAPTA−AM前処置を施さなかった場合では、パルスT1によるBK電流の大きさに対してBK電流の大きさが数倍あるいは数分の1に変化した細胞が多くみられた。しかし、BAPTA−AM前処置を施した場合には、変動の幅はプラスマイナス20%程度に抑えられた。細胞内のカルシウムイオン貯蔵部位から自然発生的にカルシウムイオンが遊離放出されて細胞内カルシウムイオン濃度が変動し、そのためにBK電流の大きさも変動したものと考えられる。
【0029】
実験3.BAPTA−AM前処理の効果(2)
シングルホール・モードでの細胞内Ca2+イオン依存性イオンチャンネルに対する薬物効果のハイスループット評価系においてBAPTA−AM前処理の有効性を検討するために、既知のBKCaチャンネルアクチベーターである、NS1619及びdiCl−DHAAの低濃度での作用をBAPTA−AM前処理を施した場合と施さなかった場合とで比較した。その結果、図4−1に示すとおり、BAPTA−AM前処理を施さなかった場合には、30μMのNS1619のみでイオンチャンネル活性化作用が認められたが、他の濃度ではイオンチャンネル活性化作用は認められなかった。また、diCl−DHAAでは全くイオンチャンネル活性化作用は認められず、逆にブロッカーとして作用しているような結果になった。これに対し図4−2に示すとおり、BAPTA−AM前処理を施した場合には、NS1619及びNS01の両方とも3μM以上で濃度依存性のイオンチャンネル活性化作用が認められた。この実験からBAPTA−AM前処理は、イオンチャンネル活性化作用を高い感度で検出するのに有効であることが示された。
【0030】
実験4.BAPTA−AM前処理の効果(3)
最後に、ポピュレーション・パッチクランプ法を用いて、細胞内カルシウムイオン濃度の上昇がBK電流を増大させるかどうか検討した。図5に示すとおり、細胞外用バッファーのカルシウムイオン濃度が2mMのときであっても、BAPTA−AM前処理と、DIDS添加とによって、BK電流の大きさを基底状態で安定化することができた。そのうえで、イオノマイシン存在下で細胞外用バッファーのカルシウムイオン濃度を2mMから16mMまで上昇させると、BK電流が増大することが示された。すなわち、カルシウムイオン濃度依存性のBK電流活性化を制御することができた。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】イオノマイシン単独投与条件か、TEA又はイベリオトキシンとイオノマイシンとの併用投与条件かにおけるCHO−K1細胞のシングルホール・モードでのオートパッチデータ。
【図2−1】BK電流の安定性を確認するためにCHO−K1細胞に印加した繰り返しステップパルス電位を示す波形図。
【図2−2】DIDS及びイオノマイシン非存在下で得られるCHO−K1細胞のシングルホール・モードでのオートパッチデータの6つの波形図。
【図3】BAPTA−AM前処理を行わなかった場合(Control solution、左上及び右上)と、BAPTA−AM前処理を行った場合(BAPTA−AM Pretreatment、左下及び右下)のCHO−K1細胞のシングルホール・モードでのオートパッチデータの波形図。
【図4−1】BAPTA−AM前処理を行わなかった場合の既知のBKCaチャンネルアクチベーターのBKCaチャンネル活性への影響を示す、CHO−K1細胞のシングルホール・モードでのオートパッチデータの波形図。
【図4−2】BAPTA−AM前処理を行った場合の既知のBKCaチャンネルアクチベーターのBKCaチャンネル活性への影響を示す、CHO−K1細胞のシングルホール・モードでのオートパッチデータの波形図。
【図5】BAPTA−AM、イオノマイシン及びDIDS存在下又は比存在下での細胞外カルシウムイオン濃度を増大したときの印加電位とBK電流との関係を示すCHO−K1細胞のポピュレーション・パッチクランプ法のオートパッチデータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞内Ca2+イオンキレート剤をサンプル細胞に投与するステップを含む、細胞内Ca2+イオン依存性分子の機能測定のためのサンプル処理方法。
【請求項2】
前記細胞内Ca2+イオン依存性分子は、細胞内Ca2+イオン依存性イオンチャンネルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記細胞内Ca2+イオンキレート剤は、アセトキシメチルエステル化されたCa2+イオンキレート剤である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記細胞内Ca2+イオンキレート剤は、BAPTA−AMと、GEDTA−AMと、Fura2−AMと、Fluo3−AMと、Fluo4−AMと、Indo1−AMと、Rhod2−AMとからなるグループから選択される少なくとも1種類の細胞内Ca2+イオンキレート剤である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記細胞内Ca2+イオンキレート剤は、BAPTA−AMである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
細胞内Ca2+イオンキレート剤を含む、細胞内Ca2+イオン依存性分子の機能測定のためのサンプル処理用試薬。
【請求項7】
前記細胞内Ca2+イオン依存性分子は、細胞内Ca2+イオン依存性イオンチャンネルである、請求項6に記載の試薬。
【請求項8】
前記細胞内Ca2+イオンキレート剤は、アセトキシメチルエステル化されたCa2+イオンキレート剤である、請求項6又は7に記載の試薬。
【請求項9】
前記細胞内Ca2+イオンキレート剤は、BAPTA−AMと、GEDTA−AMと、Fura2−AMと、Fluo3−AMと、Fluo4−AMと、Indo1−AMと、Rhod2−AMとからなるグループから選択される少なくとも1種類のCa2+イオンキレート剤である、請求項8に記載の試薬。
【請求項10】
前記細胞内Ca2+イオンキレート剤は、BAPTA−AMである、請求項9に記載の試薬。
【請求項11】
請求項1ないし5のいずれかに記載の方法を説明する使用説明書と、請求項6ないし10のいずれかに記載の試薬とを含む、細胞内Ca2+イオン依存性イオンチャンネル活性測定のためのサンプル処理用キット。

【図1】
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【図2−1】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図2−2】
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【公開番号】特開2009−207423(P2009−207423A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54072(P2008−54072)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】