説明

細胞分離装置および使用方法

本発明は、種々の細胞治療および組織エンジニアリング法をサポートするときに使用するための自動化デバイスを提供する。本発明は、細胞治療および/または組織エンジニアリングで使用するための、組織サンプルから細胞を分離することが可能な自動化細胞分離装置を提供する。細胞分離装置は、種々の治療をサポートするために、細胞収集デバイスおよび/またはソッディング装置などの補助デバイスと組み合わせて使用されうる。自動化装置は、媒質ならびに組織解離化学リザーバ、フィルタ、細胞セパレータ、および移植片基材を支持する移植片チャンバを通る灌流流れループまたは他の血管内デバイスを含む。本発明は、さらに、血管再生、組織および器官の再生および再構築、ならびに、疾患の処置および防止を含む複数の治療において、本明細書で述べる装置によって調製される組織移植片および細胞サンプルを使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2001年3月30日に出願された米国仮出願第60/279,824号の出願日の利益を請求し、2002年3月29日に出願された出願第10/112,461号、2002年4月29日に出願された出願第10/134,939号、および2005年12月22日に出願された出願第11/314,281号の一部継続出願であり、これらの出願は、参照によりその全体が本明細書に組込まれる。
【0002】
本発明は、細胞治療および組織エンジニアリングを含む種々の治療プロシジャをサポートするときに使用するためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
細胞治療および組織エンジニアリングが、損傷した、または、疾患のある組織および器官の修復および回復のための臨床用途に向かって進展している。特に、血管移植片の開発は、心臓および末梢血管手術の分野における主要な目標である。心血管疾患は、第1世界における死因および罹病の主要な原因である。標準治療、自家移植は、深刻な罹病が無いわけではない。適切な自家移植材料を全く残していないか、または、自家移植を既に受けており、米国だけで毎年100,000人に達する、全身疾患を有する患者は、自家移植という選択肢をほとんど持たない。
【0004】
そのため、研究者等は、30年以上にわたって合成移植片を調査してきた。主要な難問は、生体適合性のある、すなわち、非血栓形成性であり、非免疫遺伝性であり、機械的に耐性があり、また、許容可能な創傷治癒および生理的反応(たとえば、血管収縮/弛緩反応、溶質輸送能力など)を有する移植片材料を提供することである。さらに、組織移植片材料は、取り扱い、貯蔵、および出荷が容易であり、また商業的に実現可能であるべきである。
【0005】
血管は、血管内の血栓、その後、閉塞および/または細胞内部成長によって引き起こされる、機械的なおよび生物学的な、2つの主要な失敗モードを有する。動脈圧に耐えることが可能な材料特性を有する合成血管はありきたりであり、非血栓形成性材料についての探索を主要な研究の関心にする。患者から得られる内皮細胞は、埋め込み式血管の血栓形成性を減少させることが示された(非特許文献1; 非特許文献2)。
【0006】
内皮細胞は、合成移植片内で非血栓形成性細胞ライニングを確立するときに極めて重要である。そのため、手術室環境に適し、無菌バリアを維持し、使用するのが容易であり、一貫した移植片結果を生成する機器を用いて、数分または数時間足らずで、透過性マトリクス、骨格、または他の透過性細胞基材内にまたはその上に、迅速な細胞付着を達成することが望ましい。
【0007】
現在、成功率は制限されるが、これらの要件を満たす4つの主な手法が存在する。4つの主な手法とは、(i)脱細胞化された組織材料の使用、(ii)細胞外マトリクス(ECM)合成を誘発する媒質内の組織培養プラスチック上で細胞が培養される、自己組織化メカニズムの使用、(iii)シミュレートされた生理的環境において細胞が、その後その上にシーディングされ培養される、合成生分解性ポリマーの使用、(iv)生理的環境をシミュレートするために、機械的力を加えることによって形成され、組織細胞と共に圧縮される再構成されたI型コラーゲンゲルなどのバイオポリマーの使用である(たとえば、非特許文献3を参照されたい)。
【0008】
一時的高圧を含む圧力勾配は、篩作用によって透過性骨格上に細胞を堆積するために使用されてきた、すなわち、バルク流を設け、また、細胞母集団より小さい孔を有する基材または骨格材料を使用し、そのため、細胞がマトリクス内に捕捉される(たとえば、特許文献1;非特許文献4; 非特許文献5)。これらの捕捉された細胞は、その後、骨格材料に付着することが示されたが、先に説明した有効な移植片についての要件、すなわち、生体適合性、機械的強度、および必要な生理的特性を完全に満たすことができないため、制限された臨床適用性だけを有する。
【0009】
1970年代後期に始まって、内皮細胞シーディングが実験的に使用されて、悪い反応を抑えるように小さな径のポリマー血管移植片の開存性が改善された。そのとき以来、この目標に向かって進歩がなされており、ほとんどの焦点が、生物学的またはバイオハイブリッド移植片をエンジニアリングすることに当てられている。
【0010】
内皮細胞は、血管の管腔表面上に単一細胞ライニングを単に生成するだけではない点で、元々考えられていたより複雑である。内皮細胞はまた、凝固、血小板凝集、白血球付着、および血管緊張を調節する分子を放出する。これらの細胞が無い場合、たとえば、埋め込み式合成ポリマー血管移植片の管腔の場合、宿主反応は、最終的に失敗するまで進行する。埋め込み後の最初の30日以内の開存性の喪失は、急性血栓による。この早期段階の失敗は、内皮化されていない医用材料の血液含有表面の固有の血栓形成性の結果である。今まで、唯一の知られている非血栓形成性材料は内皮である。すなわち、血流に接触する任意の他の材料は、血小板堆積およびその後の血栓を受けやすくする。小さな径のポリマー血管移植片の長期の失敗モードは、開存性の喪失をもたらす吻合部肥厚である。吻合部肥厚の始動の背後にある正確なメカニズムが規定されているとはいうものの、内皮細胞および平滑筋細胞機能不全ならびに不適切な連通が関係する可能性がある。
【0011】
小さな径の移植片開発の分野における初期の作業者は、移植片内皮化を促進し、それにより、埋め込み前に血管移植片上にいろいろの程度の自家内皮細胞を移植することによって開存性を増加させようとした。このプロセスは、内皮細胞シーディング(継続的な細胞増殖に依存する部分的な被覆)または細胞ソッディング(完全な被覆)として知られるようになった。シーディングは、多血小板血漿(platelet rich plasma)(PRP)において内皮細胞で人工表面をプレクロッティングすることを含むプロセスを指す。比較して、ソッディングは、予め確立されたPRPクロット上で内皮細胞をプレーティングすることを含むプロセスを指す。ソッディングされた移植片表面は、通常、2ステッププロシジャを利用して調製される。第1に、PRPは、移植片上でクロッティングされ、有効期間の間、インキュベートされ、その後、培養液で洗われる。第2に、PRPコーティングされた移植片は、内皮細胞と共にプレーティングされる。対照的に、シーディングされた移植片表面は、通常、1ステッププレーティングプロシジャを使用して調製され、それにより、PRP内で直接懸濁された内皮細胞は、移植片表面上でプレーティングされる。したがって、ソッディングされた移植片では、内皮細胞が、PRPクロットの表面上でプレーティングされ、一方、シーディングされた移植片では、内皮細胞が、PRPクロット内でプレーティングされる(非特許文献6)。
【0012】
基礎になる仮説はかなり単純である。すなわち、人工血管の血液接触表面上への患者自身の内皮細胞の確立を促進することによって、「正常な(normal)」内皮細胞ライニングおよび新生内膜としても知られる関連する基底膜が、移植片上で形成し、移植片失敗を促進するように相乗的に働く、流体力学的力、生理的力、および医用材料的力を抑制する。有望な動物データを含むこの領域における研究が30年行われた後、この単純な仮説は、臨床デバイスを未だもたらしていない。
【0013】
内皮シーディングされた移植片に関する失敗モードは、未処置のポリマー移植片、すなわち、血栓および内膜肥厚と同一であった。失敗モードは、少なくとも部分的に、移植片の管腔表面上の機能性内皮層、新生内膜の欠如、および/または、異常な内皮細胞および平滑筋細胞の直接的および間接的な連通に関係付けられる。シーディングされた移植片が発達して細胞ライニングが発達するという有効な実証があったにもかかわらず、初期の人試験におけるこれらの失敗が起こった。これらのデータが示すところによれば、動物モデルにおけるポリマー血管移植片管腔表面上での新生内膜形成は、厳密にはシーディングされた細胞からではなく、吻合部周囲動脈、移植片間隙の微小血管、または、循環する前駆体内皮細胞から、内皮細胞増殖によって起こる。
【0014】
内皮細胞シーディングのための潜在的な供給源は、微小血管内皮細胞(microvascular endothelial cell)(MVEC)である。Williams等は、細胞機能を調査するために、実験室において、新たに単離されると共に培養された、人、犬、ウサギ、ラット、ウシ、および豚の内皮細胞、特にMVECを開拓した。人MVECのための供給源は、美容脂肪吸引による吸引された組織であった。人脂肪MVEC単離のための2つの別個のプロトコルは、細胞母集団の最終使用に応じて使用された。プロトコルは、MVECが、その後培養されることになる場合、人または動物移植片の即座のソッディングのための単純な手術室適合プロシジャから、より精巧なプロシジャまで、単離の複雑さが異なった。
【0015】
人MVECの単離は、人の脂肪サンプルを得るための脂肪吸引の使用によって高められた。脂肪吸引カニューレを通して脂肪を吸引するプロセスは、皮下脂肪を小さな断片(piece)に解離させ、それが、消化プロセスの効率を上げる。脂肪は、37℃で20分の間、コラゲナーゼ(4mg/cc)を用いて消化されてもよく、これは、脂肪の1グラム当たり>106の細胞を放出する。これらのMVECは、勾配遠心分離によって脂肪から分離されうる。MVECは、ペレットを形成することになり、また、その後、上澄みを廃棄した後、培養液内で再懸濁されうる。これらの細胞は、主要な単離物の細胞構成を確定するために、通常の特徴付けを受けた。このプロシジャによって単離された大多数の細胞は、フォンウィルブランド抗原の発現、中皮細胞固有サイトケラチンの発現の欠如、アンジオテンシン変換酵素、プロスタサイクリンおよびプロスタグランジンE2の合成、基底膜コラーゲンの合成、および微小飲作用小嚢のモフォロジカル発現のために、内皮細胞である。
【0016】
末梢バイパスを必要とする患者における内皮細胞移植を評価するために、人臨床試験が行われた。試験中、多量の内皮細胞が、ePTFE移植片の管腔表面上に直接設置された。細胞堆積を改善するために、全ての移植片は、自家血清を含有する培養液内で事前湿潤された。細胞は、2×105細胞/cm2移植片管腔面積の密度で同じ媒質内で懸濁された。この溶液は、細胞を表面上に押付けるために、壁を横切るまたは経壁の5psiの圧力勾配で保持された(圧力ソッディングと呼ばれるプロセス)。施設の許可を得た後、11人の患者が登録され、実験移植片を受けた。外科調製中、患者は、約50グラムの腹壁脂肪を除去するために、脂肪吸引を受けた。脂肪は、上述のプロシジャを使用して処理され、結果として得られた細胞母集団は、意図される移植片上に圧力ソッディングされ、即座に埋め込まれた。4年以上の経過観察後に、これらの移植片は、伏在静脈移植片の開存率と同じ開存率を維持した。
【0017】
一時的な(<1分)比較的高い圧力(250mmHg)を含む圧力勾配は、篩作用によって透過性骨格上に細胞を堆積するために従来より使用されてきた、すなわち、バルク流を設け、また、細胞母集団より小さい孔を有する基材または骨格材料を使用し、そのため、細胞がマトリクス内に捕捉される(たとえば、特許文献1;非特許文献4;非特許文献5)。しかし、上述した進歩にもかかわらず、血管が、十分に粘着性のある非血栓形成性表面を維持しないために、臨床冠状動脈適用は、今まで制限されてきた。研究は、生体外でのさらなる成熟時間に焦点を当てた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第5,628,781号
【特許文献2】米国特許第4,820,626号
【特許文献3】米国特許第5,230,693号
【特許文献4】米国特許第5,559,022号
【特許文献5】米国特許第5,672,346号
【特許文献6】米国特許第5,827,735号
【特許文献7】米国特許第4,963,489号
【特許文献8】米国特許第5,516,681号
【特許文献9】米国特許第5,559,022号
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Williams等,1994,J.Vasc.Surg.,19:594-604
【非特許文献2】Art等、2001 Lab Invest 81:1461-1465
【非特許文献3】Robert T.Tranquillo,2002,Ann.N.Y.Acad.Sci.,961:251-254
【非特許文献4】Williams等,1992,J Biomed Mat Res 26:103-117
【非特許文献5】Williams等,1992,J Biomed Mat Res 28:203-212
【非特許文献6】Rupnick等,1989,J Vascular Surgery 9(6):788-795
【非特許文献7】Mitchell, JB等, Immunophenotype of Human Adipose-Derived Cells: Temporal Changes in Stromal-Associated and Stem Cell-Associated Markers, Stem Cells 2006, 24:376-385
【非特許文献8】McIntosh K.等,The immunogenicity of Human Adipose-Derived Cells: Temporal Changes In Vitro, Stem Cells 2006, 24:1246-1253
【非特許文献9】Kern S.等, Comparative Analysis of Mesenchymal Stem Cells from Bone Marrow, Umbilical Cord Blood, or Adipose Tissue, Stem Cells 2006, 24:1294-1301
【非特許文献10】Liu, T.V.等, 2004, adv. Drug. Deliv. Rev. 56(11):1635-1647
【非特許文献11】Nygren, P.A.等, 2004, J. Immuno. Methods 290(1-2):3-28
【非特許文献12】Hutmacher, D.W.等, 2004, Trends Biotechnol. 22(7):354-362
【非特許文献13】Webb, A.R.等, 2004, Expert Opin. Biol. Ther. 4(6):801-812
【非特許文献14】Yang, C.等, 2004, BioDrugs 18(2):103-119
【非特許文献15】Embryonic Stem Cells, Methods and Protocols, Turksen, ed., Humana Press, 2002
【非特許文献16】Weisman等, Annu. Rev. Cell. Dev. Biol. 17:387-403
【非特許文献17】Pittinger等, Science, 284:143-147, 1999
【非特許文献18】Animal Cell Culture, Masters, ed., Oxford University Press, 2000
【非特許文献19】Jackson等, PNAS 96(Shepherd BR等, Rapid perfusion and network remodeling in a microvascular construct after implantation. Arterioscler Thromb Vasc Biol 24:898-904, 2004):14482-14486, 1999
【非特許文献20】Zuk等, Tissue Engineering, 7:211-228, 2001
【非特許文献21】AtalaおよびLanza, eds., Academic Press, 2001
【非特許文献22】Prockop, Science, 276:71-74, 1997
【非特許文献23】Theise等, Hepatology, 31:235-240, 2000
【非特許文献24】Current Protocols in Cell Biology, Bonifacino等, eds., John Wiley & Sons, 2000(2002年3月までの更新を含む)
【非特許文献25】Freshney, Culture of Animal Cells A Mannual of Basic Techniques, 4th ed., Wiley Liss, John Wiley & Sons, 2000
【非特許文献26】Basic Cell Culture: A Practical Approach, Davis, ed., Oxford University Press, 2002
【非特許文献27】Animal Cell Culture: A Practical Approach, Masters, ed., 2000
【非特許文献28】Atkins等, J. of Heart and Lung Transplantation, December 1999, pp.1173-1180
【非特許文献29】Tomita等, Cardiovascular Research Institute, American Heart Association, 1999, pp.92-101
【非特許文献30】Sakai等, Cardiovascular Research Institute, American Heart Association, 1999, pp.108-114
【非特許文献31】Ausubel等, Current Protocols in Molecular Biology(2002年3月までの補遺を含む), John Wiley & Sons, New York, N.Y., 1989
【非特許文献32】Sambrook等, Molecular Cloning: A Laboratory Mannual, 2.sup.nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989
【非特許文献33】SambrookおよびRussell, Molecular Cloning: A Laboratory Mannual, 3.sup.rd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 2001
【非特許文献34】Beaucage等, Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry, John Wiley & Sons, New York, N.Y., 2000
【非特許文献35】Short protocols in Molecular Biology, 4.sup.th Ed., Ausbel, BrentおよびMoore, eds., John Wiley & Sons, New York, N.Y., 1999
【非特許文献36】Davis等, Basic Methods in Molecular Biology, MacGraw Hill Professional Publishing, 1995
【非特許文献37】Molecular Biology Protocols(highveld.com)
【非特許文献38】Protocol Online(protocol-online.net)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
内皮細胞は、非血栓形成性細胞ライニングを確立するときに極めて重要である。さらに、手術室設定において合成移植片上で内皮細胞ライニングを生成するための、効率的でかつ信頼性のある方法についての必要性が依然として存在し、本発明は解決策を提供する。手術室環境に適し、無菌バリアを維持し、使用するのが容易であり、一貫した移植片結果を生成し、費用がかからない機器を用いて、数分または数時間足らずで、透過性マトリクス、骨格、または他の透過性細胞基材内にまたはその上に、迅速な細胞付着を達成することが望ましい。本発明は、脂肪組織からの多量の内皮細胞の単離および合成移植片の迅速な細胞ソッディングを可能にし、また、移植片の迅速なソッディングのために、ターンキー手術室準備完了機器において細胞付着の自動化を可能にする。本発明は、おそらく、埋め込みのための移植片のライニング以外に他の適用を有するであろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、種々の細胞治療および組織エンジニアリング法をサポートするときに使用するためのデバイスを提供する。具体的には、細胞治療および/または組織エンジニアリングで使用するために、組織サンプルから細胞を洗浄し、分離することが可能な細胞分離装置を提供する。本発明の特定の実施形態では、細胞分離装置は、血管移植片の自家内皮化をサポートするためのソッディング装置、および、血管内デバイスと組み合わせて使用されうる。
【0022】
一実施形態では、細胞分離装置は、媒質リザーバと、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口、第1ローブおよび第2ローブを備える細胞処理デバイスと、少なくとも1つのポンプと、流体流の向きを変えるかまたは止めるようになっている少なくとも1つの弁とを備え、それらの全てが互いに流体連通する。好ましい実施形態では、細胞処理デバイスは遠心分離機を備える。別の実施形態では、細胞処理デバイスは使い捨てである。さらなる実施形態では、細胞処理デバイスは、さらに、抽出チューブおよび/または回転カップリングを備える。特定の実施形態では、回転カップリングは、さらに、加圧式噴射ノズルを備える。
【0023】
別の実施形態では、本発明の細胞分離システムは、本発明者等によって開発される他のシステムにおいてコンポーネントが再使用されるようにモジュール式であるようにデザインされる。ある実施形態では、細胞分離デバイスは、細胞ソッディングデバイスおよび/または細胞採取デバイスと共に使用するようになっている。ある実施形態では、装置は、完全に自動化され、また、たとえば、人と機械のインタフェース、電子グラフィカルディスプレイ、センサ、アラーム、細胞計数デバイス、およびバーコード読取りデバイスを備えてもよい。さらなる実施形態では、装置は、加熱器、廃棄物リザーバ、または組織解離化学リザーバを備えてもよい。特定の実施形態では、細胞分離装置は手持ち式である。
【0024】
他の実施形態では、装置は、たとえば、細胞処理デバイス入口と組織解離化学リザーバとの間、または、細胞処理デバイスの出口と無菌細胞収集デバイスとの間に1つまたは複数のフィルタを含んでもよい。一実施形態では、フィルタは、約100ミクロンより大きな粒子を排除し、別の実施形態では、フィルタは、約30ミクロンより大きな粒子を排除する。特定の実施形態では、無菌細胞収集デバイスはシリンジである。
【0025】
本発明で使用される媒質は、M199、M199E、PBS、生理食塩水、およびジカチオンの無いDPBSであってよい。好ましい実施形態では、媒質はM199Eである。別の実施形態では、組織解離化学物質はコラゲナーゼである。
【0026】
細胞ソッディング装置と共に使用するようになっている本発明の細胞分離装置を備える、細胞治療で使用するためのキットもまた提供され、細胞分離装置および細胞ソッディング装置は、耐久性格納容器内に収容される。一実施形態では、キットは、1つまたは複数の流体リザーバ、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備える流路カートリッジと、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を有する細胞処理カートリッジと、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を有する、移植片基材を保持するためのオプションの移植片チャンバカートリッジと、流路を通して流れを引き起こすよう構成される少なくとも1つのポンプと、細胞セパレータカートリッジから移植片チャンバカートリッジへ流れを誘導するよう構成される少なくとも1つの弁とを備え、流路カートリッジ、細胞セパレータカートリッジ、および移植片チャンバカートリッジは、連続流路を形成するため連通し、前記流路カートリッジ、前記細胞セパレータカートリッジ、および前記オプションの移植片チャンバカートリッジは、装置に電力を供給することが可能なモジュール式キット格納容器に連通する。
【0027】
一実施形態では、流路カートリッジ、細胞処理カートリッジ、および移植片チャンバカートリッジは使い捨てである。別の実施形態では、細胞処理カートリッジは遠心分離機を備える。請求される発明の装置はまた、流路カートリッジに連通する細胞解離器と共に使用するようになっている。
【0028】
本発明の別の実施形態では、キット格納容器は、流路カートリッジ、細胞処理カートリッジ、および移植片チャンバの存在を検出するための少なくとも1つのセンサ手段、および/または、温度、圧力、および流量を監視し制御するための少なくとも1つのセンサ手段を備え、センサ手段はアラームに連通する。
【0029】
本発明の装置を使用して組織移植片を調製する方法もまた提供され、方法において、付着細胞を含有する媒質が移植片チャンバ内に導入され、細胞を基材に付着させるのに十分な期間の間、基材にわたって媒質の持続性低圧経壁流が加えられる。特定の実施形態では、付着細胞は、脂肪組織に由来する微小血管内皮細胞である。別の実施形態では、内皮細胞は、本発明の装置によって処置される患者から採取される。
【0030】
さらに、本発明の装置によって調製される細胞懸濁物を組織または器官内に注入することによって、被検者の組織または器官を再生させる方法もまた提供される。本発明の装置によって調製される少なくとも1つの細胞懸濁物を組織または器官内に注入することによって、必要なときに、創傷を処置し、被検者の組織または器官内の付着形成を防止する方法もまた提供される。
【0031】
本発明はまた、短期間の臨床使用のために、適した移植片上で細胞を形成するための、自動化された無菌でかつ安全な方法およびデバイス、ならびに、治療使用に適した細胞サンプルを収集するための方法およびデバイスを提供する。本発明は、さらに、血管再生、組織および器官の再生および再構築、ならびに、疾患の処置および防止を含む複数の治療において、本明細書で述べる装置によって調製される組織移植片および細胞懸濁物を使用する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】細胞分離装置のある実施形態のシステム流路を示す略図である。
【図2A】本発明の一実施形態による、噴射ノズル部材ならびに内側および外側遠心分離機ボウルを含む細胞分離装置の処理デバイスの断面図である。
【図2B】本発明の一実施形態による、細胞処理装置の斜視図である。
【図2C】本発明の一実施形態による、処理デバイスを細胞分離装置に結合するツイストロック機構を示す図である。
【図2D】本発明の一実施形態による、処理デバイスを細胞分離装置に結合するツイストロック機構を示す図である。
【図2E】本発明の一実施形態による、処理デバイスを細胞分離装置に結合するツイストロック機構を示す図である。
【図2F】本発明の一実施形態による、処理デバイスを細胞分離装置に結合するツイストロック機構を示す図である。
【図3A】人と機械のインタフェース、細胞処理デバイス(遠心分離機)、チューブカセット、媒質バッグ、シリンジポンプ、ピンチ弁、収集シリンジ、およびバーコードスキャナを含む、本発明の細胞分離装置の一実施形態による斜視図である。
【図3B】本発明の別の実施形態による細胞分離装置の斜視図である。
【図3C】本発明の一実施形態による細胞分離装置の背面の図である。
【図4】本発明の一実施形態による臨床(OR)キット入力を示す略図である。
【図5】本発明の一実施形態による臨床(OR)キットの流路を示す略図である。
【図6】本発明の一実施形態による移植片ソッディングモジュールを示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による細胞収集モジュールを示す図である。
【図8】本発明の一実施形態による、使い捨てコンポーネントが使用のために装填された状態で、細胞分離モジュールに接続された細胞収集モジュール耐久材の斜視図である。
【図9A】本発明の一実施形態による、ジェット噴射ノズルおよび回転カップリングを示す図である。
【図9B】本発明の一実施形態による、遠心分離機ボウルの1つのローブに整列した噴射ノズル部材を示す図である。
【図10A】本発明の一実施形態によるピンチ弁マニホルドラックの斜視図である。
【図10B】本発明の一実施形態によるピンチ弁マニホルドラックのチューブラックの斜視図である。
【図10C】本発明の一実施形態によるピンチ弁マニホルドラックのチューブラックの断面図である。
【図10D】本発明の一実施形態によるピンチ弁マニホルドラックの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施形態は、種々の細胞治療および組織エンジニアリング法をサポートするときに使用するためのデバイスの文脈で本明細書において述べられる。本発明の以下の詳細な説明は例証的であるに過ぎず、いずれの点でも制限的であることを意図されないことを当業者は認識するであろう。本発明の他の実施形態は、本開示の利益を受ける当業者に容易に思いつかれるであろう。ここで、添付図面に示される本発明の実施態様に対して参照が行われるであろう。同じ参照インジケータは、同じまたは同様の部品を指すために、図面および以下の詳細な説明を通して使用されるであろう。
【0034】
明確にするために、本明細書で述べる実施態様の通常の特徴が全て示され、述べられるわけではない。もちろん、任意のこうした実際の実施態様の開発において、適用に関連する制約に関する適合などの、開発者の固有の目標を達成するために、多数の実施態様固有の決定が行われなければならないこと、および、これらの固有の目標が、実施態様ごとに、また、開発者ごとに変わることになることが理解されるであろう。さらに、こうした開発者の努力は、複雑でかつ時間がかかるが、それでも、本開示の利益を受ける当業者にとってエンジニアリングの通常の仕事になることが理解されるであろう。
【0035】
本開示によれば、本明細書で述べるコンポーネントおよびプロセスステップは、種々のタイプのオペレーティングシステム、コンピューティングプラットフォーム、コンピュータプログラム、および/または、汎用機械を使用して実施されてもよい。さらに、実配線されたデバイスなどの汎用性が低いデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、または同様なものは、本明細書に開示される本発明の概念の範囲および精神から逸脱することなく使用されてもよいことを当業者は認識するであろう。
【0036】
本発明は、種々の細胞治療および組織エンジニアリング法をサポートするときに使用するためのデバイスを提供する。細胞治療、細胞性治療、または細胞ベース治療は、疾患のあるまたは損傷した組織および/または細胞を置換えるかまたは修復するために、あるいは、疾患または障害を処置するかまたは防止するために、人または動物細胞を使用することを指す。
【0037】
特に、本発明は、細胞治療および/組織エンジニアリングにおいて使用するために、組織サンプルから細胞を消化し、洗浄し、分離することが可能な細胞分離装置を提供する。本明細書で使用されるように、「細胞洗浄(cell rinsing)」は、脂肪/コラゲナーゼ混合物から単離された細胞を再懸濁するために、さらなる流体を使用するプロセスを指す。再懸濁された細胞は、その後、細胞産物(MVEC)を純化するために、遠心分離によって第2の単離プロセスを受けうる。この洗浄プロセスは、たとえば、赤血球、コラゲナーゼ、およびタンパク質などの消化副産物の濃度を減少させる。
【0038】
本発明の特定の実施形態では、細胞分離装置は、血管移植片の自家内皮化をサポートするために、ソッディング装置と組み合わせて使用されうる。
【0039】
細胞分離装置
本発明の一実施形態では、細胞分離モジュールまたは細胞分離装置は、脂肪組織を切除し、加熱し、消化し、分離するための、全ての必要な電子部品およびコンポーネントを収容する機器の独立型部品である。好ましい実施形態では、細胞分離コンポーネントは遠心分離機を備える。移植片ソッディングモジュール、細胞収集モジュール、または他のモジュールに接続される、細胞分離モジュールからの出口は、単離細胞の単一細胞懸濁物を供給する。図3は、人と機械のインタフェース、細胞処理デバイス(遠心分離機)、チューブカセット、媒質バッグ、シリンジポンプ、ピンチ弁、収集シリンジ、およびバーコードスキャナを含む細胞分離モジュール耐久性コンポーネントおよび使い捨てコンポーネントを示す。
【0040】
一実施形態では、細胞分離モジュール耐久性ユニットは、コンピュータ基板、ソフトウェア、電源、およびユーザインタフェースを含む、デバイスの動作に必要な電子部品の全てを収容する。好ましい実施形態では、ユーザインタフェースは、デバイスのセットアップおよび動作を通してユーザを導くボタンを有するLCDスクリーンを含む。細胞分離モジュール耐久材はまた、必要なピンチン弁、モータ、センサ、ならびに、被検者組織を切除し、加熱し、消化し、遠心分離するのに必要とされる他の耐久材を収容しうる。好ましい実施形態では、被検者組織は脂肪組織である。ピンチ弁は、一番上の平坦表面上で格納容器から突出して、弁が、使い捨て流体通路に係合することを可能にする。好ましい実施形態では、電子部品は、任意の流体通路から最大距離のところに配置される。
【0041】
別の実施形態では、デバイスは、媒質および廃棄物バッグを懸架するための搭載可能フックを含む。好ましくは、バッグフックは、移植片ソッディング耐久材または細胞収集耐久材に搭載されて、細胞分離耐久材内に収容される媒質バッグと電子部品との距離を最大にする。この分離は、流体流出による電子部品の損傷を低減する。
【0042】
本発明の特定の実施形態では、細胞分離モジュール流路の全ての要素は使い捨てである。一実施形態では、これらの使い捨てコンポーネントは、細胞分離モジュール耐久材上に装填される剛性トレイ上で組立てられうる。ユーザは、使い捨てトレイ内の弁カットアウトにピンチ弁を整列させることにより、耐久材の平坦表面上にトレイを設置することによって使い捨てトレイを装填する。ユーザは、次に、トレイを前方に摺動させて、チューブループをピンチ弁に係合させ、使い捨てトレイを所定場所にロックする。全ての使い捨てコンポーネントは、トレイ内に配置されて、この装填動作によって、細胞分離耐久材内の必要な耐久性コンポーネントに整列し係合する。トレイデザインは、多くのチューブ接続および多くの使い捨てコンポーネントの個々の装填についての必要性をなくすことによって、セットアップおよび廃棄(disposal)のためのユーザの負荷を最小にする。トレイを装填した後、ユーザは、耐久性コンポーネント内に設けられた凹所内に使い捨て遠心分離機ボウルを装填し、使い捨てトレイからの入口および出口チューブを、遠心分離機、媒質バッグ、廃棄物バッグ、およびソッディングまたは収集ユニットに取付ける。
【0043】
細胞処理装置の遠心分離機ボウルと流体経路との間の相互作用を含む、細胞処理装置のための流体経路(流路)略図が、図1に示される。細胞処理装置の遠心分離機ボウルおよび流体経路は、図2に示される。
【0044】
流体チューブマトリクス、流体(たとえば、PBSおよび/または血清)のバッグ、廃棄物バッグ、およびシリンジS2は、細胞分離ユニット内に装填される。これらのアイテムは、遠心分離機ボウルおよび回転カップリングと共に、デバイス用の消耗部品を構成する。ある実施形態では、図1の弁は、ピンチ弁であり、チューブマトリクス内でチューブをピンチングすることによって流れを遮断する。図10(A)〜10(D)は、本発明の一実施形態による、ピンチ弁マニホルドラックを示す。好ましくは、弁は、耐久性機器の一部であり、流体に直接接触しない。一実施形態では、デバイスは、約60mlの脂肪組織および60mlのコラゲナーゼ溶液を保持し処理するようデザインされる。
【0045】
細胞処理装置の遠心分離機ボウルは、図2Aおよび9Bに示すように、内側ボウルおよび外側ボウルからなる、ローブされた2チャンバ構造である。外側ボウルは、細胞分離プロセス中に、消費される脂肪を貯蔵するオーバフローチャンバとして主に使用される。本発明の遠心分離機ボウルの新規なデザインは、最適化された2重機能を提供する。たとえば、ボウルの内部チャンバは、本明細書で開示される細胞処理法の消化ステップで利用される混合ゾーン、ならびに、十分に純化された細胞ペレットの捕捉を最適化する分離ゾーン(すなわち、内側ボウルのローブ)を提供するよう構成される。
【0046】
本発明の内側ボウルのローブは、特に、内皮細胞の収集を最適化し、たとえば、赤血球および他の細胞フラグメントなどの非内皮細胞材料の収集を最小にするよう構成される。図2および9Bを参照されたい。本発明のさらなる実施形態では、図2(A)〜2(F)に示すように、遠心分離機ボウルは、ツイストロックカップリング部材を備え、ツイストロックカップリング部材は、遠心分離機ボウルを、細胞分離デバイスに対して、迅速にかつ効率的に、結合し、また、外すために利用されうる。
【0047】
図1を参照すると、非制限的な例として、脂肪組織(Fat)は、シリンジから遠心分離機ボウル内に手で押し込まれる。ボウルは、その後、ドライブ機構上で、細胞処理デバイス内に手で装填され、ドライブ機構は、ツイストロックカップリングを利用して、ボウルを固定する。遠心分離機チャンバ蓋は、その後、閉じられ、このチャンバ内で循環する熱い空気が、チャンバを37℃まで暖め続ける。
【0048】
冷たい(約2℃の)コラゲナーゼ溶液で充填された60mlシリンジは、シリンジドライバS1内に装填される。シリンジドライバと一体の加熱要素は、約15分以内にこの溶液を37℃まで暖める。コラゲナーゼ溶液が37℃まで加熱された後、シリンジドライバS1が起動され、コラゲナーゼ溶液が、弁V7を通して遠心分離機ボウル内に押し込まれ、一方、弁V8は、100μmフィルタ(F)を通る流れを遮断するために閉じたままにされる。遠心分離機ボウルドライブ機構(モータ)は、コラゲナーゼが、脂肪組織を「消費する(digest)」ことを可能にするのに十分な期間の間、ボウルを振動させる。好ましい実施形態では、コラゲナーゼが、脂肪組織を消費することを可能にするのに十分な期間は約30分である。
【0049】
線維組織は、その後、消化された材料から除去される。シリンジポンプS1は、弁V8を介して50mlの流体を引戻す。線維組織は、これら2つの弁間のフィルタ(F)によって収集される。一実施形態では、フィルタは、サイズが100μmより大きな材料を排除する。シリンジS1は、流体の最初の半分を一時的に廃棄物タンク(このステップの間汚れていない)に押し込む。2回目の引抜きが使用されて、遠心分離機ボウルの排出が終了し、遠心分離機ボウルからの全ての材料がろ過される。弁は、その後、ろ過された材料を、弁V7を介してボウル内に押し戻すように整列する。一実施形態では、流体の2回目の半分は、シリンジポンプから直接到来し、最初の半分は、廃棄物バッグからS1シリンジ内に引戻され、その後、遠心分離機ボウル内に押し戻される。
【0050】
遠心分離機ボウルは、その後、約5分間、約3100RPMで回転する。遠心分離中、内皮細胞は、消化された材料から分離され、遠心分離機ボウルの2つのローブ内に堆積される。細胞は、ローブ内に「パッキングされ(pack)」、別個の手段によってローブから押出されるまで、ローブ内に留まる傾向があることになる。
【0051】
遠心分離機ボウルが約3100RPMで依然として回転している状態で、さらなるM199E流体が、弁V2を介してS2からボウル内に押し込まれる。回転運動と組み合わされたこの流体は、密度の低い脂肪細胞をボウルの中心へ変位させる。少なくとも1つのノッチアパーチャが、遠心分離機ボウルの一番上の中心の近くに配置され、ノッチアパーチャを通して、内側ボウルの遠心分離機作用によって、内側ボウルから外側ボウル内へ脂肪が誘導される。これは、消費された脂肪組織の多くを内側ボウルから効果的に除去する。図2を参照されたい。
【0052】
遠心分離機ボウルは静止するようにされ、コラゲナーゼ/M199E混合物は、内側ボウルの底部に沈降する。この消費された流体は、その後、弁V7およびV9を介してシリンジポンプS1を使用して廃棄部に送られる。
【0053】
新鮮な媒質M199Eが、弁V2を介してボウルに付加される。ボウルを「洗浄する(rinse)」ために、軽い回転が実施される。この流体は、その後、弁V8およびV9を介してシリンジポンプS1を使用して廃棄部に送られる。
【0054】
ボウルが空でかつ洗浄された状態で、依然として遠心分離機ローブ内にある細胞ペレットは、回転(またはロータリ)カップリングによって内側ボウル内に押し戻され、流体はチューブを通して移動する。本発明の一実施形態による回転カップリングは、図2に示される。特定の実施形態では、回転カップリングは、遠心分離機ボウルの内側チャンバから液体に対して液体を付加する、かつ/または、除去するときに使用するための少なくとも1つの輸送チューブを備える。一実施形態では、回転カップリングは、遠心分離機ボウルの内側チャンバに液体を付加するための輸送チューブ、および、遠心分離機ボウルの内側チャンバから液体を除去するための別の輸送チューブを備える。
【0055】
本発明の別の特定の実施形態によれば、遠心分離機ローブ内にある細胞ペレットは、ノズル部材から導入される流体の加圧ジェット(ジェット噴射)を使用してローブから排出される。特定の実施形態では、ノズル部材は、特にノズルと共に使用するようになっている回転カップリングに連通する。図9は、本発明の特定の実施形態による、ジェット噴射ノズルおよび回転カップリングを示す。図9Bは、さらに、遠心分離機ボウルに整列した、回転カップリングおよびジェット噴射ノズルを示す。
【0056】
非制限的な例によれば、ジェット噴射ノズルは、流体を吐出し、流体は、遠心分離機ローブ内に「パッキングされ(packed)」、または、集積された細胞ペレット上に当たる。細胞ペレットは、粉砕され、かつ/または、ローブから除去され、流体および細胞ペレット材料は、重力によって、元の遠心分離機ボウルの底部に運ばれる。一実施形態では、ジェット噴射ノズルは、そのロケーションを固定するために、細胞処理装置内の支持構造に整列する(たとえば、図9Bを参照されたい)。好ましい実施形態では、遠心分離機モータは、コンピュータによって制御され、遠心分離機ボウルの位置を指示するようになっている。そのため、モータは、遠心分離機ボウルのそれぞれのローブにジェット噴射ノズルを整列させるように遠心分離機ボウルを回転させることが可能である。たとえば、1つのローブの排出後に、遠心分離機ボウルは、180°回転し、ジェットノズルは、第2のローブを排出するために起動される。したがって、ジェット噴射ノズルは、遠心分離機ボウルのそれぞれのローブ内の細胞ペレットを効率的に除去することが可能である。
【0057】
この目的のために使用される流体は、生理的pHのある生理的濃度の塩化ナトリウムを有する流体であってよい。好ましい実施形態では、この目的のために使用される流体は、それぞれ、6:1の比のM199Eおよび血清である。血清は、細胞産物内の任意の残留コラゲナーゼを不活性化するのに使用される。約1mlの細胞材料および10mlのM199E/血清混合物が、ここで、内側ボウルの底部内にある。
【0058】
本発明のある実施形態では、遠心分離機ローブは、特定の細胞母集団を濃縮するか、または、選択して取出すために遠心力を使用することが可能な1つまたは複数の選択的ろ過デバイスを含むようになっている。ある実施形態では、選択的ろ過デバイス(複数可)は、所望の濃縮物または細胞母集団を回復するために、ジェット噴射ノズルとの優先的なアライメントを提供されてもよい。別の実施形態では、細胞分離装置は、収集モジュールの上流に1つまたは複数の選択的フィルタを含むようになっており、選択的フィルタは、所望の細胞を選択し捕捉すること、任意の過剰の媒質を再送すること、所望の細胞/ml濃度で所望の細胞が収集されるようにすることが可能である。別の実施形態では、本発明の細胞分離装置は、限定はしないが、既知の光学密度を使用するデバイスまたはオリフィス電気刺激技術を含む、細胞計数デバイスおよび/または細胞分類デバイスを含んでもよい。
【0059】
本発明の細胞分離装置によって処理される細胞は、たとえば、線維芽細胞、平滑筋細胞、周皮細胞、マクロファージ、単球、形質細胞、マスト細胞、脂肪細胞、組織固有実質細胞、内皮細胞、尿路上皮細胞、脂肪由来幹細胞、ならびに、種々の組織供給源からの未分化成人幹細胞を含む、組織エンジニアリング用途および細胞治療で遭遇する種々の他の細胞タイプを含んでもよい。Mitchell, JB等, Immunophenotype of Human Adipose-Derived Cells: Temporal Changes in Stromal-Associated and Stem Cell-Associated Markers, Stem Cells 2006, 24:376-385; McIntosh K.等,The immunogenicity of Human Adipose-Derived Cells: Temporal Changes In Vitro, Stem Cells 2006, 24:1246-1253; Kern S.等, Comparative Analysis of Mesenchymal Stem Cells from Bone Marrow, Umbilical Cord Blood, or Adipose Tissue, Stem Cells 2006, 24:1294-1301。好ましい実施形態では、細胞は、内皮細胞、より好ましくは、その全てが参照によりその全体が組込まれる、米国特許第4,820,626号(1989年4月11日に発行された、Williams等による)、第5,230,693号(1993年7月27日に発行された、Williams等による)、および第5,628,781号(1997年5月13日に発行された、Williams等による)において参照されるように、自家微小血管に富む脂肪組織から得られる人微小血管内皮細胞である。付着細胞は、自家性であるか、同種性であるか、または異種性であってよいが、好ましくは、起源が自家性である。
【0060】
移植片ソッディングモジュール
本発明の細胞分離装置は、他のデバイスおよびシステムと共にコンポーネントが使用され、また、再使用されてもよいように、モジュール式であるようにデザインされる。一実施形態では、細胞分離装置は、細胞ソッディングデバイスまたは移植片ソッディングモジュールと共に使用するようになっている。移植片ソッディングモジュールは、細胞分離ユニットによって供給される細胞を、圧力ソッディング技法を使用して多孔質移植片骨格上に適用するために必要である、耐久性コンポーネントおよび使い捨てコンポーネントを指す。移植片ソッディングモジュール耐久性コンポーネントおよび使い捨てコンポーネントは、図6に示される。
【0061】
本発明のある実施形態では、ソッディングモジュールは、2つの耐久性コンポーネント、すなわち、ソッディングユニット耐久材および移植片チャンバ耐久材を含む。これらの耐久性コンポーネントは、細胞分離耐久材に物理的に嵌合して、電力および通信接続を提供する。本発明の別の実施形態では、ソッディングモジュール耐久材は、細胞分離モジュール耐久材内の電子部品によって制御される。移植片チャンバ耐久材は、使い捨て移植片用の確固としたマウンティングを提供し、チャンバの加熱に必要なコンポーネントを収容する。ソッディング耐久材は、圧力ソッディング適用の必要に応じて、移植片チャンバを通して流れを操作することを特に必要とされるハードウェア(たとえば、ピンチ弁、センサ)を含む。一実施形態では、ソッディング耐久材は、ソッディング使い捨て材が装填されうる、突出する耐久性機器を有する上部平坦表面を有する。図6は、移植片ソッディング耐久性コンポーネントおよび使い捨てコンポーネント内の主要なコンポーネントを示す。
【0062】
さらなる実施形態では、ソッディング使い捨てコンポーネントは、使い捨て移植片チャンバおよびソッディング使い捨てトレイを含む。骨格または他の基材材料は、通常、使い捨て移植片チャンバに事前装填され、使い捨て移植片チャンバは、周囲に関して、全ての他の気体、液体、および固体物質の交換を禁止しながら、移植片に液体を送出するための密閉環境を提供する。一実施形態では、移植片チャンバ上の3つのポートは、ソッディング使い捨てトレイからのチューブに接続して、移植片チャンバから入口、経壁出口、および管腔出口を提供する。ある実施形態では、移植片チャンバは、ソッディング動作中にチャンバを閉囲するための閉鎖ドアを有するチャンバ耐久材内部に載置される。
【0063】
ある実施形態では、ソッディング使い捨て剛性トレイは、ソッディング動作に必要とされる全ての使い捨てコンポーネントおよび接続材料を含む。トレイは、使い捨てトレイ内の弁カットアウトにピンチ弁を整列させ、そして、使い捨てトレイを前方に摺動させて、チューブをピンチ弁に係合させることによって、ソッディング耐久材の平坦表面上に装填される。ユーザは、細胞分離使い捨て材、ソッディング使い捨て材、および移植片チャンバ使い捨て材を接続して、ソッディング用の完全な流路が形成される。
【0064】
分離およびソッディング媒質は、ヘパリンを含んでもよいさらなる因子または所望の細胞タイプに対処する他の因子が有るか、または、無い状態で、DMEN、F12、AlphaMEM、University of Wisconsin液など、または、その任意の組合せを含む商業的に入手可能な媒質であってよい。
【0065】
収集モジュール
本発明のある実施形態では、細胞分離装置はまた、収集モジュールまたは収集デバイスと共に機能するようデザインされる。収集モジュールまたは収集デバイスは、細胞治療で使用するために、細胞分離ユニットからシリンジ内に細胞を収集するのに必要である耐久性コンポーネントおよび使い捨てコンポーネントを指す。細胞収集モジュール耐久性コンポーネントおよび使い捨てコンポーネントは図7に示される。図8は、使い捨てコンポーネントが使用のために装填された状態での、細胞分離モジュールに接続された細胞収集モジュール耐久材を示す。ある実施形態では、収集モジュール耐久材は、細胞分離ユニットに物理的に嵌合して、電力および通信接続を提供する。収集耐久材は、リニアアクチュエータを収容し、リニアアクチュエータは、シリンジにインタフェースして、細胞分離ユニット内で生成される細胞産物を自動的に収集する。
【0066】
別の実施形態では、収集ユニット内の使い捨てコンポーネントは、細胞産物を収集するためのシリンジである。シリンジは、収集ユニット耐久材上でクリップによって所定場所に保持される。シリンジの上部は、アクチュエータの運動によって、シリンジプランジャが引抜かれるように、耐久材内に装填される。ユーザは、細胞分離モジュールからシリンジの上部へ出口チューブを接続する。
【0067】
懸濁された細胞産物は、V8を介してシリンジS0内に移され、細胞産物は、その後、V5に取付けられた無菌コンテナ(図示せず)に送られる。本発明のある実施形態では、無菌コンテナはシリンジである。さらなる実施形態では、第2のフィルタは、通常、約30ミクロンより大きな残留粒子を除去するために、弁V5とコンテナとの間で使用される。
【0068】
臨床(OR)キットシステムの概要
本発明の臨床キットまたは手術室(OR)キットは、無菌流路を提供し、無菌流路を通して、脂肪組織が、消化され、分離され、多孔質血管移植片骨格上に圧力ソッディングされうる。システムはまた、圧力ソッディング動作のため、移植片骨格を調製するために移植片骨格を前処理することが可能である。一実施形態では、流路は、耐久性臨床(OR)キットシステム格納容器にインターロックする3つの使い捨てカートリッジを備える。使い捨てカートリッジは、流体リザーバを有する流路カートリッジ、本発明の細胞分離装置を備える使い捨て遠心分離機カートリッジ、および移植片骨格を事前装填される使い捨て移植片チャンバを含む。臨床(OR)キットシステムは、動作するために電力だけを必要とする内蔵式の独立型システムである。
【0069】
本発明のシステムは、最小のオペレータ相互作用を必要とするようにデザインされる。移植片骨格を事前装填された無菌移植片チャンバ、流路カートリッジ、および遠心分離機カートリッジは、臨床(OR)キット内に装填されうる。流路カートリッジは、たとえば、M199、M199E、PBS、生理食塩水、およびジカチオンの無いDPBSであってよい媒質を事前装填されうる。好ましい実施形態では、媒質はM199Eである。
【0070】
オペレータは、その後、病院薬局からの再構成されたコラゲナーゼ、患者の血液から分離された血清、および患者からの脂肪組織を、適切な注入ポートを通して遠心分離機および流路カートリッジ内に注入しうる。このシステムセットアップの終了後に、オペレータは、臨床(OR)キット上のLCDインタフェースを使用してソディン動作を始動しうる。オペレータからのさらなる相互作用が無い状態で、臨床(OR)キットは、M199E/血清溶液を調製し、移植片を事前処理し、外部で調製されたコラゲナーゼ/PBS溶液を使用して脂肪組織を消化し、目標細胞を単離するために遠心分離し、目標細胞を多孔質移植片骨格内に圧力ソッディングし、移植片管腔から過剰の細胞をパージし、ソッディングされた移植片にわたってM199E/血清溶液を再循環させ、採取のために移植片に対する流れを隔離するために必要な全ての動作を自動的に実施することになる。図7は、移植片処理動作のための、臨床(OR)キット耐久性格納容器内への入力を示す。
【0071】
想定される臨床(OR)キットシステムのコンポーネントは、臨床(OR)キット格納容器、フロントパネルディスプレイ(front panel display)(FPD)、臨床(OR)キット流路カートリッジ、事前装填された骨格を有する移植片チャンバ、主コントローラ基板(main controller board)(MCB)、アナログ基板、遠心分離機、少なくとも1つのポンプ、流体分配システム、種々のセンサおよびアラーム、ならびに細胞カウンタを含むが、必ずしもそれに限定されない。
【0072】
臨床(OR)キット格納容器は、臨床(OR)キットに対して電力を供給し、機械的安定性を与える、臨床(OR)キット用の機械式プラットフォームを指す。格納容器は、電力用のケーブル接続のエントリを可能にする。特定の実施形態では、この格納容器はまた、モータ、ピンチ弁、フロントパネルディスプレイ、およびセンサを含む、機器用の全ての耐久性コンポーネントを収容する。
【0073】
フロントパネルディスプレイ(FPD)は、使いやすいグラフィカルLCDディスプレイを提供する。FPD上のスクリーンは、オペレータが、OR内で、または、ORに隣接して圧力ソッディング動作を終了するのに必要な全ての機能を実施することを可能にする。オペレータは、移植片処理動作を始め、移植片調製の状態を任意の時点で観察する能力を有することになるが、ソッディングされた移植片の品質に影響を及ぼす可能性があるパラメータを変更することを制限される。
【0074】
流路カートリッジは、流体が、システムの隅々までそこを通して流れる使い捨ての内蔵式実体を指す。図3は、流路カートリッジを通る通路の概念図を提供する。流路カートリッジは、流れ回路、ポンプ使い捨て材、および、フィードとサンプの両方のための流体リザーバを含む。流路カートリッジは、細胞処理または遠心分離機カートリッジ、および、手術室内での圧力ソッディングのために移植片を収容する移植片チャンバに嵌合する。流路カートリッジは、格納容器に物理的に嵌合する。代替の実施形態では、使い捨て細胞処理カートリッジは、流路カートリッジの一部として含まれてもよい。別の実施形態では、ポンプ使い捨て材は、流路カートリッジから分離される。
【0075】
移植片チャンバは、移植片処理動作のために移植片骨格を収容する。骨格は、移植片チャンバ内に事前装填され、移植片チャンバは、周囲に関して、全ての他の気体、液体、および固体物質の交換を禁止しながら、移植片に液体を送出するための密閉環境を提供する。本発明で使用される移植片基材(「骨格(scaffold)」)材料は、種々のサイズおよび幾何形状の好ましくは透過性の任意の材料であってよい。材料は、限定はしないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、または延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含む天然または合成材料であってよい。別の実施形態では、移植片骨格は、コラーゲンなどのバイオポリマーであってよい。材料は、プレクロッティングされる、かつ/または、エラスチン、あるいは、凍結保存された静脈、脱細胞化された静脈または動脈などの同種移植片血管であってよい。なお別の実施形態では、骨格は、機械的特性を改善するためにたとえば表面上でエレクトロスピニングされたポリマーコーティングを有するエラスチン骨格などの複合材料であってよい。材料は、タンパク質(たとえば、アルブミン)または血漿でプレクロッティングされるか、または、前処理されてもよく、そのことは、いくつかの実施形態では、基材材料上での、組織細胞の付着、延展(spreading)、および成長をさらに高めるのに役立ちうる。移植片基材または骨格は、限定はしないが、Liu, T.V.等, 2004, adv. Drug. Deliv. Rev. 56(11):1635-1647; Nygren, P.A.等, 2004, J. Immuno. Methods 290(1-2):3-28; Hutmacher, D.W.等, 2004, Trends Biotechnol. 22(7):354-362; Webb, A.R.等, 2004, Expert Opin. Biol. Ther. 4(6):801-812;およびYang, C.等, 2004, BioDrugs 18(2):103-119において参照される方法を含む任意の適した方法によって構築されてもよい。
【0076】
臨床(OR)キット内の主コントローラ基板(MCB)は、臨床(OR)キット組立体内の周辺センサを制御するアナログ基板に対する適切なインタフェースを有するマイクロプロセッサコアモジュールを含む。ソフトウェアは、主コントローラ基板プロセッサ上に存在し、臨床(OR)キットの信頼性のあるかつ決定論的な動作を保証する簡単なユーザインタフェースを提供する。アナログ基板は、MCBの周辺機器であり、アクチュエータを駆動し、センサ情報を受信し調節するために使用される。
【0077】
遠心分離機は、移植片内に圧力ソッディングする前に細胞を分離する。一実施形態では、湿潤した遠心分離機ボウルは、別個の使い捨て遠心分離機カートリッジであり、耐久性コンポーネントは、臨床(OR)キット格納容器内に収容される。
【0078】
圧力脈動を最小に維持するようにデザインされている1つまたは複数のポンプは、システムを通して流れを駆動する。湿潤したポンプコンポーネントは、流路カートリッジの一部であり、ポンプ軸は、非侵襲的手段によって駆動される。本発明の一実施形態では、ポンプは、細胞分離デバイスの動作中に自動的にセルフプライミングを行う。
【0079】
臨床(OR)キットシステムは、移植片骨格を前処理し、移植片内にソッディングするために脂肪組織を調製し、移植片に細胞を適用し、採取まで生存能を維持するために移植片にわたってM199E/血清溶液を再循環させるために必要な流れ通路を自動的に進むようにデザインされる。一実施形態では、組織調製は、PBS溶液を使用して臨床(OR)キットの外側で粉末形態から再構成されたコラゲナーゼを用いた処理と、それに続く、遠心分離を含む。細胞は、その後、臨床(OR)キット内の流体リザーバ内に貯蔵されるM199E/血清溶液内で、溶液が移植片に適用される前に自動的に再懸濁される。流体弁は、流路カートリッジおよび遠心分離機カートリッジ内でこれらの必要な通路を作るよう構成され、臨床(OR)キットソフトウェアによって制御される。移植片骨格にわたる一定圧力は、圧力ソッディング動作中、維持される。
【0080】
特定の実施形態では、臨床(OR)キットは、温度、圧力、および流量を監視し制御するために必要なセンサを含む。終了されるべき特定のタイプの移植片ソッディング(たとえば、CABG、末梢)に合わせるために、異なる流路カートリッジおよび移植片チャンバが、臨床(OR)キット内に装填される。センサは、使い捨て材が適切に装填されていることを保証するために、流路カートリッジ、遠心分離機カートリッジ、および移植片チャンバの存在を検出することが可能である。さらに、センサは、正しい使い捨て材が使用されていることを保証するために、装填された流路カートリッジおよび移植片チャンバのタイプを検出することが可能である。
【0081】
圧力ソッディング動作は、骨格cm2ごとに、200,000の細胞が移植片骨格に適用されることを必要とする。
【0082】
臨床(OR)キットは、PBS溶液で再構成されたコラゲナーゼの入力を受容することが可能である。一実施形態では、キットは、少なくとも約60mLの調製されたコラゲナーゼ溶液を収容する。キットは、脂肪組織の入力を受容する。ある実施形態では、脂肪入口は、約30〜60mLの脂肪組織を収容する。別の実施形態では、脂肪入口は、37℃に予熱されている環境内に組織が導入されることを可能にするように配置される。
【0083】
さらなる実施形態では、臨床(OR)キットシステムは、組織供給源に応じて任意選択で使用されうる消耗性切除アダプタを使用して、脂肪組織を切除することが可能である。特定の実施形態では、消耗性切除アダプタは、チュリップシリンジ(Tulip syringe)に対する接続に適合する。システムは、さらに、移植片チャンバ、消化の前に脂肪組織が装填される空間、および消化用の空間を、37℃まで加熱し、予想される脂肪組織入力に等しいコラゲナーゼ溶液の容量を計量することが可能である。
【0084】
システムは、脂肪組織とコラゲナーゼ細胞スラリを混合することが可能である。好ましい実施形態では、システムは、流路カートリッジおよび移植片チャンバに嵌合する、単一遠心分離機使い捨て材、すなわち、細胞処理デバイス内で混合および分離動作を実行する。システムはまた、消化された混合物から線維性材料を除去することが可能である。ある実施形態では、再懸濁される細胞内の最大許容可能粒子サイズは、約100μmを超えない。
【0085】
ある実施形態では、臨床(OR)キットシステムは、コラゲナーゼによって消化された脂肪組織からある容量の「目標細胞(target cells)」を単離し、分離によって単離された目標容量を収集することが可能である。好ましい実施形態では、システムは、以下の目標ペレット容量純度、すなわち、赤血球の場合、単離ペレット総容量の5容量%未満、脂肪細胞の場合、単離ペレット総容量の1容量%未満、死細胞の場合、単離ペレット総容量の4容量%未満を提供する。さらなる好ましい実施形態では、再懸濁物内の全ての粒子は、100μm以下の径を有する。なお別の好ましい実施形態では、分離プロセスは、細胞を900Gより大きな力にさらさない。
【0086】
ある実施形態では、目標細胞は、M199Eと血清の6:1容量混合物内で再濁液される。別の実施形態では、システムは、移植片骨格に適用される細胞数を制御する手段を提供し、このとき、目標数は約200,000細胞/cm2移植片である。+50%〜-10%の、この目標数の変動は許容可能である。例として、臨床(OR)キットシステムは、システムに装填される脂肪組織の予想容量に比例する、6:1 M199E/血清溶液の容量を使用する。
【0087】
ある実施形態では、システムは、ソッディングのために移植片骨格を事前装填されている使い捨て移植片チャンバを含む。移植片チャンバは、約1〜90cmの長さ、約1〜12mmの移植片内径サイズ、約100〜700ミクロンの移植片壁厚を有する移植片骨格を収容することが可能である。移植片チャンバは、移植片チャンバポートを通すことを除いて、周囲に関して気体、液体、および固体物質の交換を禁止する、ソッディング用の密閉環境を提供する。
【0088】
システムの全ての個々の使い捨てコンポーネントは、連続流路を形成するために、互いに嵌合するようになっている。さらに、本発明のシステムの全ての使い捨て湿潤材料およびコーティングは、生体適合性があり、また、少なくとも5%透過率の無菌化後の透明性によって、25〜40kGyのガンマ線照射に耐えるようにデザインされる。さらに、システムの、全ての使い捨てでない材料およびコーティングは、内部電気コンポーネントを例外として、たとえば、Cidex(グルタルアルデヒド消毒液)、70%エタノール、100%イソプロピルアルコール、および10%漂白剤溶液を含む、通常の殺菌溶液に適合性がある。
【0089】
一実施形態では、臨床(OR)キットシステムは、圧力、温度、および流量用のセンサを駆動し、調節し、取得し、処理することが可能な制御電子部品を有する電子部品モジュールを含む。圧力は、移植片チャンバで測定される。一実施形態では、骨格壁にわたる圧力は、約1.5psiから2.0psi未満までの目標値に制御される。別の実施形態では、温度は、消化用の空間内および移植片チャンバ内で測定され、そこで約37℃に維持される。別の実施形態では、流量測定および/または制御は、移植片の壁にわたる圧力要件を維持するために、必要に応じて実施される。
【0090】
本発明の一実施形態では、ソフトウェアは、中央プロセッサ内に存在し、デバイス格納容器内に含まれる電気コンポーネントおよび通信経路を制御する。本発明のシステムは、全ての使い捨てコンポーネントが、格納容器内で正しく接続されず、インターロックされない場合、ソフトウェが任意の機器の動作させないようになっている。
【0091】
臨床(OR)キット動作
臨床(OR)キットシステムは、移植片骨格を前処理し、移植片内にソッディングするために脂肪組織を調製し、移植片に細胞を適用し、移植片管腔をパージし、採取まで生存能を維持するために移植片にわたってM199E/血清溶液を再循環させるために必要な流れ通路を自動的に進む。図4は、臨床(OR)キット内のコンポーネント間の概念的な流路を説明する。
【0092】
本明細書に述べる例証的なシステムは、通常、システムを制御し、ユーザ入力に基づいて1つまたは複数のステップを自動的に行うための、マイクロプロセッサおよび関連するソフトウェアを含むことになる。ソフトウェアは、たとえば、ポンプおよび弁を制御することによる管状導管を通る流れの制御、温度の制御、ならびに細胞セパレータおよび解離器の制御の完全なまたは部分的な自動化を可能にしてもよい。好ましくは、システムは、完全に自動化されるが、1つまたは複数の入力パラメータに基づいて再構成されることが可能である。システムは、さらに、閉塞を指示することになる圧力などのシステムパラメータを検出するかまたは測定し、システムパラメータをマイクロプロセッサまたはユーザに送信するための種々のセンサを含んでもよい。一実施形態では、システムは、手持ち式システムである。
【0093】
透過性骨格材料にわたる制御された持続性の圧力勾配差は、圧力が十分に持続され、また、本発明の利点を達成するのに圧力が十分な大きさである限り、限定はしないが、ギアポンプ、蠕動ポンプ、ダイアフラムポンプ、遠心ポンプ、および流体カラムによって生成される受動圧力水頭を含む任意の適した構成によって生成されてもよい。特定の好ましい実施形態では、圧力は、約50mmHgの圧力水頭で、かつ、約5分の継続期間の間、内皮細胞を含有する媒質を使用して、血管移植片骨格に経壁的に加えられる。
【0094】
本発明についての流れの少なくとも一部分は、通常、経壁的であるため、流量は、移植片材料の透過性に依存し、細胞が管腔表面に適用されるにつれて低下する。細胞を導入する前の経壁流量は、移植片材料に応じて5〜50ml/分であり、細胞の導入後に、一般に1〜10ml/分まで減少しうる。好ましい内皮細胞数は、120,000〜2,000,000細胞/cm2管腔表面積、より好ましくは、約250,000細胞/cm2を含む。
【0095】
本発明の別の特定の実施形態では、デバイスシステムは、モジュール式であるため、デバイスの組織消化および分離部分は、細胞を血管移植片に適用するか、または、シリンジ内に細胞を収集するための交換可能なモジュールと共に使用されうる。図5は、モジュール式システムで組立てられたデバイスを示す。デバイスの細胞分離部分は、離れた別のユニット内に収容されるため、この実施形態はまた、細胞分離ユニットを他のシステムと対形成する柔軟性を提供する。好ましくは、デバイスは、3つの別個のモジュール、すなわち、細胞分離モジュール、移植片ソッディングモジュール、および細胞収集モジュールに分割される。
【0096】
一実施形態では、ユーザは、デバイスをスイッチオンする前に、目下の用途に必要とされる耐久性コンポーネント(たとえば、移植片ソッディング耐久材または細胞収集耐久材)をインストールする。デバイスは、スイッチオンされると、ブートし、耐久性モジュールが適切に係合していることを検出し、初期診断を実施し、スタンドバイモードに入る。ユーザは、その後、ディスプレイの近くのボタンを押して、デバイスセットアップを始動する。臨床(OR)キットは、使い捨て材のインストールを可能にするモードに入る。ユーザは、細胞分離耐久材上に搭載されるバーコードスキャナを使用してそれぞれの使い捨てコンポーネントをスキャンするよう催促される。ユーザが使い捨て材をスキャンすると、臨床(OR)キットは、正しい耐久材が所定場所にあることを確認し、その後、使い捨て材を装填し、必要なチューブ接続を行うように、それぞれのステップを通してユーザを導くことになる。デバイスは、使い捨てコンポーネントが適切に装填されていることを検知し、全ての必要とされる使い捨て材が、目下の用途のためにインストールされていることを保証することになる。好ましい実施形態では、バーコードスキャナは、使い捨て材のスキャニングが使い捨て材の装填を妨げないようにデバイス上に配置される。搭載されたバーコードスキャナは図5に示される。
【0097】
デバイスセットアップを終了した後、ユーザは、進行するためにユーザインタフェースと相互作用する。デバイスは、媒質および血清が流路を通して圧送される空気パージ動作を実施し、空気が大気に逃げることを可能にするベントポートを有する廃棄物収集点まで空気を押出す。移植片チャンバは、移植片が決して空気にさらされないようにバイパスされる。
【0098】
ユーザは、その後、遠心分離機使い捨て材上のポート内に脂肪組織を注入するよう催促される。脂肪組織は、固定ブレードを通過することによって、遠心分離機に入るにつれて解離される。好ましい実施形態では、プロテアーゼ溶液はコラゲナーゼ/PBS溶液である。ユーザインタフェースディスプレイは、細胞分離プロセスが始動されたことを指示する。
【0099】
好ましい実施形態では、この時点以降、臨床(OR)キットプロセス全体が終了するまで、ユーザ相互作用は全く必要とされない。ユーザインタフェースディスプレイは、プロセスに関する途切れない更新を提供し、実施される特定の動作、動作を終了するための推定時間、およびプロセス全体を終了するための推定時間を指示する。一実施形態では、他の重要なプロセスパラメータ(温度、ポンプ速度など)もまた、ディスプレイを介してユーザに利用可能にされうる。
【0100】
ある実施形態では、移植片骨格は、使い捨て移植片チャンバ内でアルコールまたは他の適切な無菌物質内にパッキングされる。移植片調製は、以下で提供される細胞分離と同時である。以下のステップは、ソッディングのために移植片を調製するときに含まれる。(1)アルコールパージ-アルコールは、移植片チャンバを通して媒質を流し、液体出力を廃棄部に誘導することによって移植片チャンバからパージされる。(2)骨格前処理-媒質は、細胞懸濁物が移植片ソッディングに利用可能になるまで、移植片チャンバを通って再循環される。媒質は、制限なしで、M199、M199E、PBS、生理食塩水、およびジカチオンの無いDPBSを含みうる。好ましい実施形態では、媒質は、M199Eと患者からの血清の6:1混合物である。
【0101】
細胞分離プロセスは、ソッディングおよび細胞収集動作モードについて同一である。一実施形態では、細胞分離ステップは、(1)脂肪組織消化-遠心分離機は、約37℃に温度制御され、低速混合作用を提供する(混合は、十分な消化を保証するために適切な期間の間維持される);(2)遠心分離-遠心分離機は、高いRPMで回転し、脂肪組織をその構成材料に分離する;および(3)内皮細胞単離および再懸濁を含む。一実施形態では、分離された内容物は、光学センサが、内皮細胞のロケーションおよび容量を検出する薄く透明なチューブ内に誘導されてもよい。好ましくない材料は、廃棄物リザーバへ誘導され、特定の容量の内皮細胞が、遠心分離機に戻される。M199Eと血清の6:1混合物は、遠心分離機内に圧送される。遠心分離機は、低速混合作用によって、分離された細胞を混合物内で懸濁する。細胞懸濁物は、その後、30ミクロンフィルタを通して遠心分離機から圧送され、シリンジ内への収集のために、移植片ソッディングユニットまたは細胞収集ユニットへ誘導される。図14は、遠心分離機ボウルの一実施形態の断面図を示す。
【0102】
移植片ソッディングのプロセスでは、液体は、ソッディングモジュールを介して分離モジュールと移植片モジュールとの間を通過する。好ましくは、移植片は、約37℃に温度制御される。ある実施形態では、移植片ソッディングステップは、細胞ソッディングおよび「フィードおよびブリード(feed and bleed)」流を含む。細胞ソッディングステップでは、内皮懸濁物が、再循環流路内に導入され、細胞懸濁物が、一端で移植片に流入し、移植片壁を通って流出することを可能にする。最初は、移植片チャンバを出る液体混合物は、全容量の細胞懸濁物が再循環経路に入ってしまうまで廃棄部に誘導される。細胞懸濁物は、その後、移植片ソッディングが終了するまで再循環する。微小孔ePTFEは、媒質/血清混合物の通過を可能にするが、細胞は、ePTFE内に埋め込まれる。このプロセスの間、経壁圧は、ソッディングモジュール内の圧力センサによって監視される。「フィードおよびブリード」流ステップでは、移植片流は、特定の経壁圧に達する(ソッディングの終了を指示する)と、管腔に切換えられる。このプロセスの間、流れは、あるいは、廃棄部および再循環用のポンプ(複数可)に誘導される。流れが廃棄部に誘導される期間の間、構成媒質および血清は、リザーバから圧送される。「フィードおよびブリード」プロセスは、適切な期間の間維持される。
【0103】
本発明の細胞収集プロセスの一実施形態では、細胞懸濁物は、分離モジュールから収集モジュール内のシリンジへ圧送される。リニアアクチュエータは、シリンジプランジャを引き、細胞懸濁物がシリンジに引き込まれる。図15は、システム流路を示す。
【0104】
懸濁された細胞が透過性骨格材料にわたって存在する状態で液体媒質に加えられる持続性圧力水頭は、一時的な圧力ソッディング技法で使用される大きな圧力勾配が無い状態で迅速に細胞が付着するという利点を提供する。当業者は、任意の数のデバイスデザインによる無数の細胞タイプ、骨格材料、および幾何形状に関して本発明を容易に実施するであろう。当業者は、通常の実験程度のものを使用して本明細書で述べる本発明の特定の実施形態に対する多くの等価形態を認識するか、または、確認しうるであろう。こうした等価形態は、特許請求の範囲によって包含されることを意図される。
【0105】
本発明は、任意の適した移植片骨格または他の透過性基材材料上に細胞を付着させるかまたは「ソッディングする」ために、所定の圧力、好ましくは、大きさの小さい持続性圧力を加えることによって種々の組織インプラントまたは移植片を調製するデバイスおよび方法を提供する。特定の実施形態では、組織は、血管組織などの管状組織である。しかし、本発明はまた、任意のタイプの組織移植片に適用可能であり、限定はしないが、皮膚、軟骨、骨組織、骨髄、腱、靭帯、胃腸管、尿生殖器官、肝臓、膵臓、腎臓、副腎、粘膜上皮、および神経移植片を含む、骨格または他の基材材料に対する細胞の付着を含む。方法は、限定はしないが、心臓血管系および泌尿器系の組織を含む管状組織に特に好適である。
【0106】
本明細書で使用される用語「大きさの小さい持続性圧力(sustained low magnitude pressure)」は、細胞の付着、成長および/または分化を高めるために、約5分、約20分、約30分、約40分、約50分、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、約3時間、約4時間、約5時間、または約6時間の間の、約10mmHg、約15mmHg、約20mmHg、約25mmHg、約30mmHg、および約55mmHgの水頭を有する圧力を意味する。当業者は、細胞、組織移植片、基材材料のタイプに応じて、また、本明細書の教示が与えられると、大きさの小さい持続性圧力を加えるために適切な条件を選択しうる。
【0107】
本明細書で使用される用語「経壁的圧力または流れ(transmural pressure or flow)」は、移植片骨格の壁を横切る、移植片骨格の一方の側から他方の側へのある圧力または流れを指す。移植片骨格が管状移植片骨格である場合、用語は、移植片の管腔または毛細管内(intracapillary)(IC)空間から移植片の外側または毛細管外(EC)空間への圧力または流れを指す。
【0108】
本明細書で使用される用語「経管腔的圧力または流れ(translumental pressure or flow)」は、管状移植片の管腔を通る圧力または流れを指す。用語「経管腔的流れ(translumental flow)」および「経管腔的灌流(translumental perfusion)」は、交換可能に使用されてもよい。経管腔的灌流は、本発明の細胞付着について必要とされないが、たとえば、訓練またはクリーニング作用を提供するために、経壁的流れの後に使用されてもよい。この場合、生理的流量以下(〜160ml/分)の流量が好ましいが、その後の生理的流れに耐えることが可能な細胞付着を提供するのには、5ml/分程度の低い流量で十分である。
【0109】
治療的使用
上述したデバイスによって調製される組織移植片および細胞懸濁物は、無数の治療的使用に使用されうる。たとえば、本発明の一実施形態では、上述したデバイスの任意のデバイスによって調製される少なくとも1つの組織移植片または細胞懸濁物を組織または器官内に埋め込むことによって、必要なときに、被検者の組織または器官の血管再生を行う方法が提供される。本明細書で使用される用語「血管再生を行う(revascularize)」、「血管再生を行うこと(revascularizing)」、「血管新生(neovascularization)」、または「血管再生(revascularization)」は、通常、疾患、先天性欠損、または傷害により、無血管性ゾーンまたは乏血管性ゾーンを有する組織または器官内で、既存の血管ネットワークを修正すること、または、新しい機能性のまたは実質的に機能性の血管ネットワークを確立することを指す。
【0110】
ある実施形態では、組織移植片または細胞懸濁物は、皮膚、骨格筋、心筋、心臓の心房付属物、肺、腸間膜、または脂肪組織からなる群から選択される細胞を含む。脂肪組織は、大網脂肪、前腹膜脂肪、腎周囲脂肪、心臓周囲脂肪、皮下脂肪、乳房脂肪、または精巣上体脂肪からのものであってよい。
【0111】
いくつかの実施形態では、組織移植片または細胞懸濁物は、さらに、適切な間質細胞、幹細胞、関連細胞、またはその組合せを含む。本明細書で使用されるように、用語「幹細胞(stem cells)」は、広い意味で使用され、従来の幹細胞、脂肪由来幹細胞、前駆細胞、プリ前駆細胞、予備細胞、および同様なものを含む。例示的な幹細胞は、胚性幹細胞、成人幹細胞、多能性幹細胞、神経幹細胞、肝臓幹細胞、筋肉幹細胞、筋肉前駆幹細胞、内皮前駆細胞、骨髄幹細胞、軟骨形成幹細胞、リンパ球幹細胞、間葉幹細胞、造血幹細胞、中枢神経系幹細胞、末梢神経系幹細胞、および同様なものを含む。幹細胞を単離し培養する方法を含む、幹細胞の説明は、とりわけ、Embryonic Stem Cells, Methods and Protocols, Turksen, ed., Humana Press, 2002; Weisman等, Annu. Rev. Cell. Dev. Biol. 17:387-403; Pittinger等, Science, 284:143-147, 1999; Animal Cell Culture, Masters, ed., Oxford University Press, 2000; Jackson等, PNAS 96(Shepherd BR等, Rapid perfusion and network remodeling in a microvascular construct after implantation. Arterioscler Thromb Vasc Biol 24:898-904, 2004):14482-14486, 1999; Zuk等, Tissue Engineering, 7:211-228, 2001(「Zuk等」); AtalaおよびLanza, eds., Academic Press, 2001(Atala等),特に第33-41章;ならびに米国特許第5,559,022号、第5,672,346号および第5,827,735号において見出される可能性がある。間質細胞を単離する方法を含む、間質細胞の説明は、とりわけ、Prockop, Science, 276:71-74, 1997; Theise等, Hepatology, 31:235-240, 2000; Current Protocols in Cell Biology, Bonifacino等, eds., John Wiley & Sons, 2000(2002年3月までの更新を含む);および米国特許第4,963,489号において見出される可能性がある。組織移植片または細胞懸濁物内に含むために選択される幹細胞および/または間質細胞は、通常、その構成物の意図される使用について適切であることを当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、生体内で一旦埋め込まれた組織移植片または細胞懸濁物は、機能性血管床を生成し、周囲の機能性血管系と吻合し、損傷した組織または器官を灌流するか、または、灌流することが可能になることになる。
【0112】
組織または器官の血管再生を行ういくつかの方法によれば、少なくとも1つの組織移植片または細胞懸濁物は、前記組織または器官と組合され、血管再生された組織または器官が生成される。組織または器官の血管再生を行ういくつかの方法によれば、用語「組み合わせること(combining)」は、少なくとも1つの組織移植片または細胞懸濁物を、前記組織または器官の、前記組織または器官内の、前記組織または器官の層間の、または、前記組織または器官に隣接する任意の表面上に設置すること、または、埋め込むことを含む。いくつかの実施形態では、組織移植片または細胞懸濁物は、注入によって組織または器官に埋め込まれる。いくつかの実施形態では、こうして注入された構成物は、埋め込み後に生体内原位置で(in situ)重合することになる。いくつかの実施形態では、こうして注入された組織移植片または細胞懸濁物は、少なくとも1つの培養された微小血管構成物、少なくとも1つの新しく単離された微小血管構成物、または両方を含む。いくつかの実施形態では、組み合わせることは、上述したような当技術分野で知られている技法を使用して、血管再生を行うことが必要なときに、少なくとも1つの組織または器官に少なくとも1つの組織移植片または細胞懸濁物を付着させることを含む。
【0113】
いくつかの組織および器官が、線維組織、結合組織、脂肪組織、または同様なものの層で覆われるか、または、その層を含むこと、および、下にある組織または器官が、この層を除去することなく、血管再生されうることを当業者は理解する。こうした層は、自然に発生する可能性があり(漿膜層、粘膜、線維カプセル、または同様なものなど)、疾患、欠陥、傷害、または生化学的欠損のために、線維症、壊死、または虚血から生じる可能性がある。通常、組織移植片または細胞懸濁物の微小欠陥フラグメントは、こうした層に貫入し、下にある組織または器官の脈管構造と吻合し、組織または器官の血管再生を行う。そのため、血管再生の必要なときに、組織移植片または細胞懸濁物を組織または器官と組み合わせることは、こうした層上にまたは層内に組織移植片または細胞懸濁物を設置すること、たとえば、限定はしないが、脳組織の血管再生を行うために髄膜上に、心筋の血管再生を行うために心外膜上に、大腸の所定部分の血管再生を行うために腹膜および/または漿膜上に、目の血管再生を行うために結膜および/または下結膜上に、気管の血管再生を行うために気管表面上に、口の血管再生を行うために頬側粘膜上に、肺の血管再生を行うために肋膜表面および/または漿膜表面上に、横隔膜の血管再生を行うために肋膜表面および/または腹膜表面上に、糖尿病性潰瘍などの非治癒性皮膚潰瘍の血管再生を行うために皮膚上に、心膜の血管再生を行うために心臓周囲表面上になどに、組織移植片または細胞懸濁物を設置することを含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、組織移植片または細胞懸濁物は、動物または人の内部で組織または器官と組み合わされると、機能性血管床を生成し、周囲の機能性血管系と吻合し、損傷した組織または器官を灌流することになる。いくつかの実施形態では、埋め込み式組織移植片または細胞懸濁物は、損傷した組織または器官の血管再生を行うための核形成部位の役をする。いくつかの実施形態では、組織移植片または細胞懸濁物からの適切な幹細胞、間質細胞および/または関連細胞は、損傷した組織または器官の再構築および修復をサポートすることになる。遺伝子改変細胞を含む構成物は、組換え型産物を生成する可能性があり、組換え型産物は、血流によって全身に分配されるか、または、局所的な微小環境に送出されて、修復、創傷治癒、または同様なものを誘発する。
【0115】
特定の実施形態では、組織移植片または細胞懸濁物は、内皮細胞を含み、内皮細胞は、制限なしで、神経、心筋細胞、軟骨細胞、膵臓腺房細胞、ランゲルハンス島を含む膵臓内分泌細胞、肝細胞、腎臓内皮細胞、副甲状腺細胞、ライディッヒ細胞、セルトリ細胞、始原生殖細胞、卵母細胞、未分化胚芽細胞、クッパー細胞、リンパ細胞、線維芽細胞、筋細胞、筋芽細胞、衛星細胞、脂肪細胞、前脂肪細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、軟骨細胞、胆管上皮細胞、プルキンエ細胞、およびペースメーカ細胞に分化することが可能である。
【0116】
別の特定の実施形態では、組織移植片または細胞懸濁物は、少なくとも1つの幹細胞、前駆細胞、または関連細胞を含み、関連細胞は、制限なしで、神経、心筋細胞、軟骨細胞、膵臓腺房細胞、ランゲルハンス島を含む膵臓内分泌細胞、肝細胞、腎臓内皮細胞、副甲状腺細胞、ライディッヒ細胞、セルトリ細胞、始原生殖細胞、卵母細胞、未分化胚芽細胞、クッパー細胞、リンパ細胞、線維芽細胞、筋細胞、筋芽細胞、衛星細胞、脂肪細胞、前脂肪細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、軟骨細胞、胆管上皮細胞、プルキンエ細胞、およびペースメーカ細胞であってよい。
【0117】
本明細書で使用される用語「関連細胞(Relevant Cell)(複数可)」は、本発明のデバイスによって調製される組織移植片または細胞懸濁物の意図される使用に基づいて、組織移植片または細胞懸濁物に組込むのに適切である細胞を指す。例によれば、損傷した肝臓の修復、再構築、または再増殖に適切である関連細胞は、制限なしで、肝細胞、胆管上皮細胞、クッパー細胞、線維芽細胞、および同様なものを含んでもよい。組織移植片または細胞懸濁物に組込むための例示的な関連細胞は、神経、心筋細胞、筋細胞、軟骨細胞、膵臓腺房細胞、ランゲルハンス島、骨細胞、肝細胞、クッパー細胞、線維芽細胞、筋芽細胞、衛星細胞、内皮細胞、脂肪細胞、前脂肪細胞、胆管上皮細胞、および同様なものを含む。これらのタイプの細胞は、当技術分野で知られている従来技法によって単離され培養されてもよい。例示的な技法は、とりわけ、Atala等,特に第9-32章; Freshney, Culture of Animal Cells A Mannual of Basic Techniques, 4th ed., Wiley Liss, John Wiley & Sons, 2000; Basic Cell Culture: A Practical Approach, Davis, ed., Oxford University Press, 2002; Animal Cell Culture: A Practical Approach, Masters, ed., 2000;ならびに、米国特許第5,516,681号および第5,559,022号において見出されうる。
【0118】
こうした間質細胞、幹細胞および/または関連細胞は、調製中または調製後に、組織移植片または細胞懸濁物内に組込まれてもよいことを当業者は理解するであろう。たとえば、限定はしないが、コラーゲン、フィブリン、または同様なものなどの液体3次元培養物内で細胞懸濁物、幹細胞、関連細胞および/または間質細胞を組み合わせること、あるいは、組織移植片内でまたは組織移植片上で幹細胞、関連細胞および/または間質細胞をシーディングするかまたはソッディングすることが、達成されてもよい。組織移植片または細胞懸濁物内に組込むための適切な幹細胞、間質細胞、および関連細胞の例示的な組合せは、損傷した膵臓の血管再生を行うための組織移植片または細胞懸濁物内のランゲルハンス島および/または膵臓腺房細胞、損傷した肝臓の血管再生を行うための組織移植片または細胞懸濁物内の肝細胞、肝臓前駆細胞、クッパー細胞、内皮細胞、内皮性幹細胞、肝臓線維芽細胞および/または肝臓予備細胞を含む。たとえば、限定はしないが、損傷した、または、疾患のある肝臓の血管再生を行い、修復し、再構築するための、組織移植片または細胞懸濁物についての適切な幹細胞または間質細胞は、肝臓予備細胞、肝臓前駆細胞(限定はしないが、肝臓線維芽細胞)、胚性幹細胞、肝臓幹細胞、心筋細胞、プルキンエ細胞、ペースメーカ細胞、筋芽細胞、間葉幹細胞、衛星細胞および/または損傷したまたは虚血心臓の血管再生を行うための骨髄幹細胞(たとえば、Atkins等, J. of Heart and Lung Transplantation, December 1999, pp.1173-1180; Tomita等, Cardiovascular Research Institute, American Heart Association, 1999, pp.92-101; Sakai等, Cardiovascular Research Institute, American Heart Association, 1999, pp.108-114を参照されたい)、および同様なものを含む。
【0119】
一実施形態では、組織移植片または細胞懸濁物は、さらに、サイトカイン、ケモカイン、抗生物質、薬物、鎮痛薬、抗炎症薬、免疫抑制薬、またはその組合せからなる群から選択される作用物質を含む。例示的なサイトカインは、制限なしで、アンジオゲニン、血管内皮成長因子(限定はしないがVEGF-165を含むVEGF)、インターロイキン、線維芽細胞成長因子たとえば限定はしないがFGF-1およびFGF-2、肝細胞成長因子(HFG)、形質転換成長因子(TGF-β)、エンドセリン(ET-1、ET-2、およびET-3など)、インスリン様成長因子(IGF-1)、アンジオポエチン(Ang-1、Ang-2、Ang-3/4など)、アンジオポエチン様タンパク質(ANGPTL-1、ANGPTL-2、ANGPTL-3、およびANGPTL-4など)、限定はしないがPDGF-AA、PDGF-BB、およびPDGF-ABを含む血小板由来成長因子(PDGF)、表皮成長因子(EGF)、ECGSを含む内皮細胞成長因子(ECGF)、血小板由来内皮細胞成長因子(PD-ECGF)、胎盤成長因子(PLGF)、および同様なものを含んでもよい。組換え型サイトカインを含むサイトカインおよびケモカインは、通常、多くの供給源、たとえば、R & D Systems(ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis, Minn.))、Endogen(ワシントン州ウォバーン(Woburn, Wash.))、Sigma(モンタナ州セントルイス(St. Lois, Mo.))から商業的に入手可能である。特定の組織移植片および細胞懸濁物内に組込むためのケモカインおよびサイトカインの選択は、血管新生されるか、血管再生されるか、増大されるか、または再構築される目標の組織または器官に部分的に依存することになることを当業者は理解するであろう。
【0120】
いくつかの実施形態では、組織移植片および細胞懸濁物は、さらに、少なくとも1つの遺伝子改変細胞を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子改変細胞を含む組織移植片および細胞懸濁物は、当技術分野で知られている技法によって誘発される、少なくとも1つの遺伝子改変細胞内の遺伝子変異のために、少なくとも1つの遺伝子改変細胞によって符合化される少なくとも1つの遺伝産物を構成的に発現するか、または、誘導的に発現することになる。例示的な遺伝子工学技法の説明は、とりわけ、Ausubel等, Current Protocols in Molecular Biology(2002年3月までの補遺を含む), John Wiley & Sons, New York, N.Y., 1989; Sambrook等, Molecular Cloning: A Laboratory Mannual, 2.sup.nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989; SambrookおよびRussell, Molecular Cloning: A Laboratory Mannual, 3.sup.rd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 2001; Beaucage等, Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry, John Wiley & Sons, New York, N.Y., 2000(2002年3月までの補遺を含む); Short protocols in Molecular Biology, 4.sup.th Ed., Ausbel, BrentおよびMoore, eds., John Wiley & Sons, New York, N.Y., 1999; Davis等, Basic Methods in Molecular Biology, MacGraw Hill Professional Publishing, 1995; Molecular Biology Protocols(highveld.comウェブサイトを参照されたい)、
およびprotocol Online(protocol-online.net)において見出されうる。本発明の遺伝子改変細胞を遺伝的に修飾するための例示的な遺伝子産物は、プラスミノーゲン活性化因子、可溶性CD4、第VIII因子、第IX因子、フォンウィルブランド因子、ウロキナーゼ、ヒルジン、インターフェロンα、β、およびγを含むインターフェロン、腫瘍壊死因子、インターロイキン、造血成長因子、抗体、グルコセレブロシダーゼ、アデノシンデアミナーゼ、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、人成長ホルモン、インスリン、エリスロポエチン、VEGF、アンジオポエチン、肝細胞成長因子、PLGF、および同様なものを含む。
【0121】
本発明のある実施形態では、組織または器官は、心臓組織、肺組織、心筋組織、横紋筋組織、肝臓組織、膵臓組織、軟骨、骨組織、心膜、腹膜、腎臓、平滑筋、皮膚、粘膜組織、小腸、大腸、および脂肪組織からなる群から選択される。
【0122】
細胞懸濁物を被検者の組織または器官に注入するステップは、制限なしで、少なくとも1つのシリンジ、ニードル、カニューレ、カテーテル、チューブ、またはマイクロニードルを使用することを含んでもよい。本明細書で使用される用語「注入すること(injecting)」、「注入(injection)」、またはその変形は、通常ボアまたは外部開口を備えるチューブまたは構造を通して、物質を排出するか、または、押出す任意の手段を指すものとする。こうしたチューブまたは構造は、可撓性でありうる、非可撓性でありうる、または、少なくとも1つの可撓性部分および少なくとも1つの非可撓性部分を備えうる。例示的な注入手段は、ニードルが有るかまたは無いシリンジ、カニューレ、カテーテル、可撓性チューブ、および同様なものを含む。特定の細胞懸濁物の送出は、マイクロニードルなどの、組織に透過性を持たせるデバイスの使用によって達成されるであろう。標準ゲージの皮下組織ニードルによる従来の注入と対照的に、マイクロニードル(通常、約1μmの曲率半径によって規定される)またはマイクロニードルアレイは、顕微鏡レベルの穴を作ることによって、皮膚または内皮細胞に透過性を持たせる。これらの穴は、事実上、材料送出用の導管として働き、血管、組織、または器官に対する本発明の細胞懸濁物の付着または送出を高めてもよい。そのため、少なくとも1つの細胞懸濁物が、組織または器官上にまたはその中にそこを通って押出されるボアまたは外部開口を備える任意の構造、あるいは、組織または器官の表面に透過性を持たせうる任意の構造は、本発明の範囲内にあることを当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、こうして注入される構成物は、注入に続いて、生体外で重合する。
【0123】
特定の実施形態では、本発明の組織移植片または細胞懸濁物は、皮膚、骨格筋、心筋、心臓の心房付属物、肺、腸間膜、または脂肪組織からなる群から選択される細胞を含む。脂肪組織は、大綱脂肪、前腹膜脂肪、腎周囲脂肪、心臓周囲脂肪、皮下脂肪、乳房脂肪、または精巣上体脂肪からなる群から選択されてもよい。
【0124】
必要であるときに被検者の組織または器官を増大させる方法も提供され、方法は、本発明のデバイスによって調製された組織移植片を器官または組織内に埋め込むこと、または、本発明のデバイスによって調製された細胞懸濁物を組織または器官に注入することを含む。本明細書で使用されるように、「増大(augmentation)」は、組織または器官の容量および/または密度を増加させることを指す。
【0125】
本明細書で述べるデバイスによって調製された少なくとも1つの組織移植片を組織または器官内に埋め込むことによって、または、本発明のデバイスによって調製された少なくとも1つの細胞懸濁物を組織または器官に注入することによって、被検者内の組織または器官を再生させる方法も提供される。本明細書で使用されるように、「再生すること(regenerating)」は、新しい組織の形成によって、失われた、疾患のある、またはその他の方法で損傷した組織を置換えることを指す。
【0126】
本発明の被検者は、両生類、鳥類、魚類、哺乳類、および有袋類を含む任意の動物であってよいが、好ましくは、哺乳類(たとえば、人;猫、犬、猿、マウス、およびラットなどの家畜;または牛、馬、または豚などの商業動物)であることを当業者は理解するであろう。さらに、本発明の被検者は、胎児、胎芽、子供、および成人を含む任意の年齢であってよい。本発明の好ましい実施形態では、被検者は人である。一実施形態では、被検者は馬であり、本発明の方法は、その動物の蹄の中、または、蹄の周りの組織を再生させるのに使用される。さらなる実施形態では、被検者は人であり、組織再生方法が使用されて、たとえば、関節炎、および、限定はしないが緑内症および黄斑変性症を含む目の疾患が防止されるかまたは処置される。
【0127】
さらに、必要であるときに被検者の組織または器官を再構築する方法は、本明細書で述べるデバイスによって調製された少なくとも1つの組織移植片を組織または器官内に埋め込むこと、または、これらのデバイスによって調製された少なくとも1つの細胞懸濁物を組織または器官に注入することを含む。本明細書で使用されるように、「再構築すること(reconstructing)」は、組織または器官を、立て直すこと、再構成すること、再形成すること、および/または、回復することを指す。本発明の一実施形態では、たとえば、被検者はセリュライトを有し、被検者は、適切な細胞懸濁物の皮下注入を施行されて、脂肪組織を局所的に再構築し、そのため、被検者の美容的外観が改善される。一実施形態では、被検者は術後被検者である。
【0128】
本明細書で述べるデバイスによって調製された少なくとも1つの組織移植片を組織または器官内に埋め込むことによって、または、これらのデバイスによって調製された少なくとも1つの細胞懸濁物を組織または器官に注入することによって、被検者の組織または器官における一次感染および二次感染を処置するかまたは防止する方法も提供される。
【0129】
被検者の組織または器官内における瘢痕組織の形成を防止するために、かつ/または、被検者の組織または器官内における炎症を処置するかまたは防止するために、本発明のデバイスによって調製された細胞懸濁物および組織移植片を使用する方法も提供される。
【0130】
本発明のデバイスによって調製された少なくとも1つの細胞懸濁物および組織移植片を組織または器官に注入することによって、必要であるときに、被検者の組織または器官内における付着形成を防止する方法も提供される。
【0131】
一実施形態では、本明細書で述べるデバイスの任意のデバイスによって調製された少なくとも1つの細胞懸濁物を心臓に注入することによって、被検者の急性心筋梗塞を処置するかまたは防止する方法が提供され、心臓組織に対する脈管構造が増加する。別の実施形態では、被検者の心筋炎を処置する方法が提供され、方法は、本発明のデバイスの任意のデバイスによって調製された少なくとも1つの細胞懸濁物を被検者の心臓周囲流体に注入することを含む。
【0132】
本発明のデバイスによって調製された少なくとも1つの細胞懸濁物を創傷に注入することによって被検者の創傷を処置する方法もまた提供される。一実施形態では、被検者は術後被検者である。
【0133】
本発明は、持続性圧力ソッディング、ならびに、患者の細胞の所望の分画を組織から分離しかつろ過し、洗浄し、加熱し、解離し、タンパク分解的に放出し、分離し、再懸濁し、透過性移植片上に細胞を圧力ソッディングするという臨床プロシジャの自動化を提供する。当業者は、通常の実験程度のものを使用して本明細書で述べる本発明の特定の実施形態に対する多くの等価形態を認識するか、または、確認しうるであろう。こうした等価形態は、特許請求の範囲によって包含されることを意図される。
【0134】
本明細書で述べる全ての出版物、特許、および特許出願は、それぞれの個々の出版物、特許、または特許出願が、参照により本明細書に組込まれることを、具体的にまた個々に指示されるのと同じ程度に、参照により本明細書に組込まれる。
【0135】
上記説明および例は、本発明の目的、特徴、および利点を達成する好ましい実施形態を示すに過ぎず、本発明が好ましい実施形態に限定されることは意図されない。
【符号の説明】
【0136】
S0、S1、S2 シリンジ
F フィルタ
V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10 弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞分離装置であって、
媒質リザーバと、
少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口、第1ローブおよび第2ローブを備える細胞処理デバイスと、
少なくとも1つのポンプと、
流体流の向きを変えるかまたは止めるようになっている少なくとも1つの弁とを備え、
それらは互いに流体連通するようになっている装置。
【請求項2】
前記細胞処理デバイスは遠心分離機である請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記細胞処理デバイスは使い捨てである請求項1に記載の装置。
【請求項4】
モジュール式である請求項1に記載の装置。
【請求項5】
自動化されている請求項1に記載の装置。
【請求項6】
加熱器をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項7】
廃棄物リザーバをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項8】
組織解離化学リザーバをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記細胞処理デバイス入口と前記組織解離化学リザーバとの間にフィルタをさらに備える請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記フィルタからの第1の細胞分画が前記細胞処理デバイスに入り、第2の分画が前記廃棄物リザーバに入ることを可能にするよう構成される少なくとも1つの弁をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記細胞処理デバイスの出口と無菌細胞収集デバイスとの間にフィルタをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記無菌細胞収集デバイスはシリンジである請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記細胞処理デバイスは、互いに流体連通する、内側ボウルおよび外側ボウルをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記内側ボウルは、消化のために構成されたエリアおよび分離のために構成されたエリアを備える請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記内側ボウルは、前記外側ボウルと連通する少なくとも1つのアパーチャをさらに備える請求項13に記載の装置。
【請求項16】
分離のために構成された前記エリアは、さらに、内皮細胞の収集を最適化し、非内皮細胞材料の収集を最小化するよう構成される請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記細胞処理デバイスは、前記細胞処理デバイスを前記細胞分離装置に結合するときに使用するためのツイストロックカップリング部材をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記細胞処理デバイスは、前記内側ボウルに流体連通する抽出チューブをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記細胞処理デバイスは、調整可能噴射ノズルをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記細胞処理デバイスは、回転カップリングをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記回転カップリングは、噴射ノズルをさらに備える請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記回転カップリングは、前記内側ボウルに対して液体を付加するかまたは除去するときに使用するための少なくとも1つの輸送チューブをさらに備える請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記少なくとも1つのポンプは、自動のセルフプライミングポンプである請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記少なくとも1つの弁はピンチ弁である請求項1に記載の装置。
【請求項25】
ピンチ弁マニホルドラックをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項26】
人と機械のインタフェースをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項27】
手持ち式装置である請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記媒質は、生理的pHのある生理的濃度の塩化ナトリウムを含有する溶液である請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記媒質は、M199、M199E、PBS、生理食塩水(saline)、およびジカチオンの無いDPBSからなる群から選択される請求項1に記載の装置。
【請求項30】
前記媒質はM199Eである請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記媒質はバッファード生理食塩水である請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記組織解離化学物質はコラゲナーゼである請求項1に記載の装置。
【請求項33】
電子グラフィカルディスプレイをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項34】
バーコードスキャナをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項35】
細胞計数デバイスをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項36】
さらに、細胞採取デバイスと共に使用するよう構成される請求項1に記載の装置。
【請求項37】
前記遠心分離機は、少なくとも1つの振動アイソレーション部材を使用する装置内に搭載されるモータを備える請求項2に記載の装置。
【請求項38】
前記振動アイソレーション部材はパッドである請求項37に記載の装置。
【請求項39】
細胞を分離する方法であって、
請求項13に記載の装置の前記内部ボウルに、ある量の組織を付加するステップと、
前記組織を約37℃の温度まで加熱するステップと、
有効な量のコラゲナーゼを前記内部ボウルに付加するステップと、
有効な期間の間、前記内部ボウルを振動することによって、前記組織を消化するステップと、
前記消化された組織から線維組織を除去するステップと、
前記内部ボウルを、約5分の間、約3100RPMで回転させるステップと、
前記内部ボウルに流体を付加することによって、脂肪細胞を前記内部ボウルの中心に変位させるステップと、
遠心作用によって、前記脂肪細胞を、前記内部ボウル内の少なくとも1つのアパーチャを通して前記外側ボウル内に誘導するステップと、
流体を用いて前記内部ボウルを洗浄するステップと、
少なくとも1つの細胞ペレットを、前記内部ボウルの少なくとも1つのローブから前記内部ボウルの底部まで誘導するステップと、
任意選択で、流体を前記内部ボウルに付加し、前記内部ボウルを、約5分の間、約3100RPMで回転させ、少なくとも1つの細胞ペレットを収集するステップとを含む方法。
【請求項40】
前記組織は、脂肪組織、骨髄、皮膚、および骨格筋からなる群から選択される請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記組織は脂肪組織である請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記流体は、生理的pHのある生理的濃度の塩化ナトリウムを含有する溶液である請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記流体は、M199、M199E、血清、生理食塩水、ジカチオンの無いDPBS、およびその有効な混合物からなる群から選択される請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記細胞ペレットは、調整可能噴射ノズルを使用して前記内部ボウルの少なくとも1つのローブから除去される請求項39に記載の方法。
【請求項45】
流体は、少なくとも1つの回転カップリング輸送管を使用して、前記ボウルに付加され、前記ボウルから除去される請求項39に記載の方法。
【請求項46】
細胞ソッディング装置に流体連通する、請求項1に記載の前記細胞分離装置を備える細胞ベース治療において使用するためのキットであって、前記細胞分離装置および前記細胞ソッディング装置は、耐久性格納容器内に収容されるキット。
【請求項47】
前記細胞分離装置は遠心分離機を備える請求項46に記載のキット。
【請求項48】
前記細胞分離装置に連通する細胞解離器をさらに備える請求項46に記載のキット。
【請求項49】
少なくとも1つのポンプをさらに備える請求項46に記載のキット。
【請求項50】
加熱器をさらに備える請求項46に記載のキット。
【請求項51】
廃棄物リザーバをさらに備える請求項46に記載のキット。
【請求項52】
少なくとも1つのフィルタをさらに備える請求項46に記載のキット。
【請求項53】
前記フィルタは、約100ミクロンより大きな粒子を排除する請求項46に記載のキット。
【請求項54】
前記フィルタは、約30ミクロンより大きな粒子を排除する請求項46に記載のキット。
【請求項55】
前記細胞分離装置および前記細胞ソッディング装置の存在を検出するための少なくとも1つのセンサ手段をさらに備える請求項46に記載のキット。
【請求項56】
温度、圧力、および流量を監視し、制御するための少なくとも1つのセンサ手段をさらに備え、前記センサ手段はアラームに連通する請求項46に記載のキット。
【請求項57】
電子グラフィカルディスプレイをさらに備える請求項46に記載のキット。
【請求項58】
バーコードスキャナをさらに備える請求項46に記載のキット。
【請求項59】
細胞収集デバイスをさらに備える請求項46に記載のキット。
【請求項60】
前記細胞収集デバイスはシリンジである請求項46に記載のキット。
【請求項61】
細胞計数デバイスをさらに備える請求項46に記載のキット。
【請求項62】
前記装置は手持ち式装置である請求項46に記載のキット。
【請求項63】
細胞採取デバイスと共に使用するようになっている請求項46に記載のキット。
【請求項64】
人と機械のインタフェースをさらに備える請求項46に記載のキット。
【請求項65】
細胞ベース治療において使用するための装置であって、
1つまたは複数の流体リザーバ、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備える流路カートリッジと、
少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口、第1ローブおよび第2ローブ、内側ボウルおよび外側ボウルを有する細胞処理カートリッジと、
少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を有する、移植片基材を保持するためのオプションの移植片チャンバカートリッジと、
流路を通して流れを引き起こすよう構成される少なくとも1つのポンプと、
前記細胞セパレータカートリッジから前記移植片チャンバカートリッジへ流れを誘導するよう構成される少なくとも1つの弁とを備え、
前記流路カートリッジ、前記細胞セパレータカートリッジ、および前記移植片チャンバカートリッジは、連続流路を形成するために連通し、前記流路カートリッジ、前記細胞セパレータカートリッジ、および前記オプションの移植片チャンバカートリッジは、前記装置に電力を供給することが可能なモジュール式キット格納容器に連通するようになっている装置。
【請求項66】
前記流路カートリッジ、前記細胞セパレータカートリッジ、および前記移植片チャンバカートリッジは使い捨てである請求項65に記載の装置。
【請求項67】
前記細胞処理カートリッジは遠心分離機を備える請求項65に記載の装置。
【請求項68】
前記流路カートリッジに連通する細胞解離器をさらに備える請求項65に記載の装置。
【請求項69】
前記流路カートリッジは媒質を事前装填される請求項65に記載の装置。
【請求項70】
前記媒質は、生理的pHのある生理的濃度の生理食塩水を含む溶液である請求項65に記載の装置。
【請求項71】
前記媒質は、M199、M199E、PBS、生理食塩水、およびジカチオンの無いDPBSからなる群から選択される請求項65に記載の装置。
【請求項72】
前記媒質はM199Eである請求項71に記載の装置。
【請求項73】
前記媒質はバッファード生理食塩水である請求項65に記載の装置。
【請求項74】
前記流路カートリッジは少なくとも1つのポンプを備える請求項65に記載の装置。
【請求項75】
加熱器をさらに備える請求項65に記載の装置。
【請求項76】
廃棄物リザーバをさら備える請求項65に記載の装置。
【請求項77】
少なくとも1つのフィルタをさらに備える請求項65に記載の装置。
【請求項78】
前記フィルタは、約100ミクロンより大きな粒子を排除する請求項65に記載の装置。
【請求項79】
前記フィルタは、約30ミクロンより大きな粒子を排除する請求項65に記載の装置。
【請求項80】
少なくとも1つのフィルタは、前記細胞セパレータカートリッジと前記移植片チャンバカートリッジとの間に配置される請求項65に記載の装置。
【請求項81】
前記キット格納容器は、前記流路カートリッジ、前記細胞セパレータカートリッジ、および前記移植片チャンバカートリッジの存在を検出するための少なくとも1つのセンサ手段を備える請求項65に記載の装置。
【請求項82】
前記キット格納容器は、温度、圧力、および流量を監視し、制御するための少なくとも1つのセンサ手段を備え、前記センサ手段はアラームに連通する請求項65に記載の装置。
【請求項83】
前記キット格納容器は電子グラフィカルディスプレイを備える請求項65に記載の装置。
【請求項84】
前記キット格納容器はバーコードスキャナを備える請求項65に記載の装置。
【請求項85】
前記キット格納容器は、入口および出口を有する細胞収集モジュールを備える請求項65に記載の装置。
【請求項86】
前記細胞収集モジュールはシリンジである請求項85に記載の装置。
【請求項87】
細胞計数デバイスをさらに備える請求項65に記載の装置。
【請求項88】
手持ち式装置である請求項65に記載の装置。
【請求項89】
組織移植片を調製する方法であって、請求項65に記載の装置を設けるステップと、付着細胞を含有する媒質を前記移植片チャンバ内に導入するステップと、前記細胞を前記基材に付着させるのに十分な期間の間、前記基材にわたって前記媒質の持続性低圧経壁流を加えるステップとを含む方法。
【請求項90】
前記付着細胞は、線維芽細胞、平滑筋細胞、周皮細胞、マクロファージ、単球、形質細胞、マスト細胞、骨髄細胞、脂肪細胞、組織固有実質細胞、内皮細胞、および脂肪由来幹細胞からなる群から選択される請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記付着細胞は内皮細胞である請求項89に記載の方法。
【請求項92】
前記細胞は微小血管内皮細胞である請求項89に記載の方法。
【請求項93】
前記微小血管内皮細胞は、脂肪組織に由来する請求項89に記載の方法。
【請求項94】
患者から前記脂肪組織を採取するステップをさらに含む請求項89に記載の方法。
【請求項95】
必要なときに、被検者内の組織または器官を再生する方法であって、請求項1に記載の装置によって調製される細胞懸濁物を前記組織または器官に注入するステップを含む方法。
【請求項96】
前記細胞懸濁物の前記細胞は、線維芽細胞、平滑筋細胞、周皮細胞、マクロファージ、単球、形質細胞、マスト細胞、骨髄細胞、脂肪細胞、組織固有実質細胞、内皮細胞、および脂肪由来幹細胞からなる群から選択される請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記被検者は哺乳類である請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記被検者は人である請求項97に記載の方法。
【請求項99】
必要なときに、被検者の組織または器官内における付着形成を防止する方法であって、請求項1に記載の装置によって調製される少なくとも1つの細胞懸濁物を前記組織または器官に注入するステップを含む方法。
【請求項100】
前記付着細胞は、線維芽細胞、平滑筋細胞、周皮細胞、マクロファージ、単球、形質細胞、マスト細胞、骨髄細胞、脂肪細胞、組織固有実質細胞、内皮細胞、および脂肪由来幹細胞からなる群から選択される請求項99に記載の方法。
【請求項101】
被検者の創傷を処置する方法であって、請求項1に記載の装置によって調製される少なくとも1つの細胞懸濁物を前記創傷に注入するステップを含む方法。
【請求項102】
前記付着細胞は、線維芽細胞、平滑筋細胞、周皮細胞、マクロファージ、単球、形質細胞、マスト細胞、骨髄細胞、脂肪細胞、組織固有実質細胞、内皮細胞、および脂肪由来幹細胞からなる群から選択される請求項101に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【公表番号】特表2010−524498(P2010−524498A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506232(P2010−506232)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/005181
【国際公開番号】WO2008/133874
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(508011658)ティシュー・ジェネシス・インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】