説明

細胞又は組織の培養装置及び培養方法

【課題】細胞及び/又は組織を含む培養物の培養装置及び培養方法に関し、人等の体の部位に適正な細胞及び/又は組織の培養装置及び培養方法を提供する。
【解決手段】培養物を収容する培養器部4と、前記培養器部の内外に貫通させ、前記培養器部の壁部又はその近傍に設定された支点を中心に円弧運動することが可能なレバー70とを備え、前記レバーを操作して前記培養物に変位を付与する構成である。細胞及び/又は組織を含む培養物に曲げ力を作用させることができ、培養器部内の培養液の増減を伴うことなく、即ち、培養液に対する圧力を増減させることなく、培養器部内の培養物に対して培養に必要な変位を付与し得る。湾曲させることにより、その凹の部分から凸の部分の厚み方向に連続的な圧縮と伸長とを生じさせている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生医療分野、ティッシュエンジニアリング(Tissue Engineering)の分野における細胞又は組織の培養に関し、三次元組織又は器官再生のための三次元組織培養方法、具体的には、細胞構成体(Cell construct) として、細胞、細胞担体(Scaffold)、細胞が産出する細胞外マトリクス(Extracellar Matrix:ECM)の何れかを含み、場合により、培養液や、その他の添加物や、グロスファクター或いは薬品等を添加して行う培養に用いられる培養装置及び培養方法に関する。
【0002】
要するに、本発明の培養装置及び培養方法は、従来の静置培養と異なり、物理作用併用の三次元培養に関する培養装置であって、細胞構成体の細胞に積極的に刺激を与えるとともに、細胞構成体に変位を与え、増殖、細胞移動、物質移動を促し、分化の促進又は停止により、目的とする再生組織の実現を図るものである。
【背景技術】
【0003】
細胞や組織の培養には、培養しようとする細胞や組織に圧力や張力等の物理刺激を与える方法が検討され、各種のバイオリアクタ等が提案されている。二次元培養(平面培養)は、平底培養基材を用いる培養方法であり、一般的には、インキュベータ内での静置培養である。浮遊培養は、非接着性の細胞を浮遊培養する方法である。これもインキュベータ内で静置培養する。三次元培養は、細胞を播種した細胞担体をインキュベータ内で静置し、培養するのが一般的方法である。三次元培養(バイオリアクタ使用)は、細胞担体に細胞を接着又は包含させ、培養液の攪拌等の処理を行うのが一般的であるが、細胞担体の三次元培養で細胞に加圧、圧縮、張力、せん断等の物理的作用を付加する培養方法も考えられている。
【0004】
物理的作用を与えるための培養装置は、「バイオリアクタ」、「ティッシュエンジニアリングプロセッサ」等と称され、ティッシュエンジニアリングの培養実験や再生医療のための体外(in vitro)における細胞・組織の培養装置として実用化が期待されている。
【0005】
このような細胞や組織の培養、その培養に用いられる物理的な変位や応力、刺激を与える機能を有するバイオリアクタに関し、圧力、振動(超音波)を用いる例として、特許文献1には、細胞又は組織の培養方法及びその装置が開示され、圧力を用いる例として、特許文献2には、生体内、生体外及び試験管内での軟骨及びコラーゲンの修復及び再生並びに骨再形成方法が開示され、せん断力を用いる例として、特許文献3には、細胞・組織培養装置が開示され、引っ張り力を用いる例として、特許文献4には、細胞・組織培養装置が開示され、圧縮力を用いる例として、特許文献5には、圧縮力を用いる例として、細胞・組織培養装置が開示され、せん断力を用いる例として、特許文献6には、細胞培養装置が開示され、引っ張り力を用いる例として、特許文献7には、シリコンベルトを使った培養細胞用伸縮刺激負荷装置が開示され、引っ張りとせん断とを併用する例として、特許文献8には、組織、 合成又は天然血管移植片の滅菌、接種、培養、保存、輸送、並びに検査を行う装置及び方法が開示されている。また、特許文献9には、膜体状に保持された細胞に膜体によって歪みを生じさせる培養方法等が開示されている。また、特許文献10及び特許文献11には、培養に半透膜を利用することが開示されている。様々な物理的作用及び刺激の付与や、半透膜の利用による細胞等の培養についての試みがなされている。
【特許文献1】特開2001−238663号公報(要約等)
【特許文献2】特表2004−512031号公報(要約等)
【特許文献3】特開2002−315566号公報(要約等)
【特許文献4】特開2003−061642号公報(要約等)
【特許文献5】特開2003−180331号公報(要約等)
【特許文献6】特開平09−313166号公報(要約等)
【特許文献7】特開平10−155475号公報(要約等)
【特許文献8】特表平11−504216号公報(要約等)
【特許文献9】特開2005−143343号公報(要約等)
【特許文献10】WO2006/015304A2(要約等)
【特許文献11】特表2000−513214号公報(要約等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、人体には、種々の応力を受けている部位が存在し、これらの部位の修復に用いる組織はその部位毎に異なるものである。例えば、椎間板、半月板、骨、繊維軟骨、心臓の弁では体内で曲げ力を受けている。この曲げ応力は、単純な圧力、圧縮、引っ張り、せん断等とは異なるものである。斯かる曲げ力を受けている部位に対し、単純な圧力、圧縮、引っ張り、せん断等の刺激ファクタを以て培養された組織を適用させることでは不十分である。
【0007】
このため、本発明者は、培養する細胞や組織に付与する刺激又は負荷として曲げが細胞や組織の増殖等に極めて有益であることに気づいたのである。斯かる課題については、特許文献1〜11には開示されておらず、その示唆もない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、細胞及び/又は組織を含む培養物の培養装置及び培養方法に関し、人等の体の部位に適正な細胞及び/又は組織の培養装置及び培養方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、人等の体の部位に適正な細胞及び/又は組織の培養装置に関し、培養物を湾曲又は伸縮させることにより、適正な細胞及び/又は組織の培養に寄与することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の培養装置は、細胞及び/又は組織を含む培養物に曲げ力を作用させることができ、培養器部内の培養液の増減を伴うことなく、即ち、培養液に対する圧力を増減させることなく、培養器部内の培養物に対して培養に必要な変位を付与し得る。具体的には、湾曲させることにより、その凹の部分から凸の部分の厚み方向に連続的な圧縮と伸長とを生じさせ、従前の加圧、せん断、引っ張りでは得られない物理的な刺激や負荷を培養物に付与することにより、曲げを伴う部位の組織の修復に適合する培養物を実現するものである。本発明は、このような曲げに限定されるものではなく、培養器部内の培養液の増減を伴うことなく、即ち、培養液に対する圧力を増減させることなく、培養に必要な運動や刺激等を培養物に付与することができる。
【0011】
そこで、上記目的を達成するため、本発明の第1の側面は、細胞及び/又は組織を含む培養物の培養装置であって、前記培養物を収容する培養器部と、前記培養器部の内外に貫通させたレバーとを備え、前記レバーを操作して前記培養物に変位を付与する構成である。斯かる構成により、上記目的を達成することができる。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明の第2の側面は、細胞及び/又は組織を含む培養物の培養装置であって、前記培養物を載置するベッドと、このベッドとともに前記培養物を収容する培養器部と、前記培養器部の内外に貫通させたレバーと、前記レバーを操作して前記ベッドを押し、前記ベッドの湾曲変形により前記培養物に変位を付与する駆動手段とを備える構成である。斯かる構成により、上記目的を達成することができる。
【0013】
上記目的を達成するためには、上記培養装置において、好ましくは、前記レバーは、前記培養器部の壁部又はその近傍に設定された支点を中心に円弧運動する構成としてもよく、斯かる構成により、上記目的を達成することができる。
【0014】
また、上記目的を達成するため、本発明の第3の側面は、細胞及び/又は組織を含む培養物の培養装置であって、前記培養物を載置するベッドと、このベッドとともに前記培養物を収容する培養器部と、前記培養器部の内外に貫通させ、前記培養器部の壁部又はその近傍に設定された支点を中心に円弧運動することが可能なレバーと、前記レバーを操作して前記ベッドに伸縮力を付与し、前記ベッドの伸縮変形により前記培養物を伸縮させる駆動手段とを備える構成である。斯かる構成により、上記目的を達成することができる。
【0015】
また、上記目的を達成するため、本発明の第4の側面は、細胞及び/又は組織を含む培養物の培養方法であって、培養器部に前記培養物を収容し、前記培養器部の内外に貫通させたレバーに、前記培養器部の壁部又はその近傍に設定された支点を中心に円弧運動を付与し、この円弧運動によって前記培養物に曲げ変位を付与する構成である。斯かる構成により、上記目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、次の効果が得られる。
【0017】
(1) 培養中の培養物に曲げる等の変位(応力) を加え、純粋に曲げ動作を生じさせることができる。
【0018】
(2) 椎間板等の体内で曲げ力を受ける組織の再生に使用できる。
【0019】
(3) 幹細胞は分化を、組織細胞は脱分化を防ぐことが期待でき、組織構造等に方向性がある場合、その配列方向を一様にでき、体内の組織と同等のものを得ることができる。
【0020】
(4) 圧力等、他の物理作用を排除し、又は最小にして、曲げ作用で必要な組織の培養ができる。
【0021】
(5) 細胞移動をし易くすることが期待できる。
【0022】
(6) 栄養物、酸素を三次元細胞構成体の内部まで浸透させることができ、老廃物を排出することが期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
〔第1の実施の形態〕
【0024】
本発明の第1の実施の形態について、図1ないし図12を参照して説明する。図1は、培養装置の第1の実施の形態に係る培養ユニットを示す縦断面図、図2は培養器部を示す分解斜視図、図3は、カバー部を含む培養器本体部を示す分解斜視図、図4は、カバー部の下面側を示した斜視図、図5は、駆動部を示す分解斜視図、図6は、培養器部からカバー部を外して示した培養ユニットを示す平面図、図7は、培養ベッドを拡大して示した斜視図、図8は、アクチュエータを示す正面図、図9は、アクチュエータを示す平面図、図10及び図11は、アクチュエータにおける運動変換部の具体例を示す図、図12は、培養装置の制御系統の一例を示す図である。図10及び図11において、図8及び図9のアクチュエータと共通部分には同一符号を付してある。
【0025】
この第1の実施の形態は、培養物である細胞構成体に対して曲げ変位を付与する培養ユニットを示している。この培養ユニット2は、図1に示すように、培養チャンバとして培養器部4と、培養器部4内の培養物である例えば、細胞構成体6に所望の運動を付与する駆動部8とを備えている。以下、各機能部の構成及び機能を述べ、培養方法に言及する。
【0026】
A)培養器部(培養チャンバ)4
【0027】
培養器部4は、細胞構成体6の培養空間を構成し、細胞構成体6に対して培養液48(図6)や、培養に必要な変位や刺激を付与する機能部である。そこで、この培養器部4は、図2に示すように、培養器本体部10と、培養器底部12と、カバー部14とを備えている。培養器本体部10は例えば、偏平状の円筒体であって、シリンダ状の培養空間部16を形成している。
【0028】
培養器底部12は、培養空間部16を塞ぐダイヤフラム部20を備え、培養器本体部10の下面側に、密閉手段である例えば、Oリング22を介して複数の固定ねじ23により取り付けられる。ダイヤフラム部20は、培養空間部16に外部から圧力を加えるために設置されており、培養器底部12には、培養空間部16に対応する箇所に筒状の立壁部24が形成され、この立壁部24で包囲された窓部26が形成され、加圧装置27とともに、圧力センサ29が設置される。加圧装置27は、水等の流体を媒介としてダイヤフラム部20を通してその圧力Pを培養空間部16に加える。この圧力Pは、圧力センサ29によって検出される。
【0029】
培養器本体部10の上部には図3に示すように、円筒状の立壁部28によって窓部30が形成され、立壁部28の内側及び外側にOリング32、34を介在させてカバー部14が着脱可能に取り付けられている。
【0030】
また、培養器本体部10の培養空間部16には、その内壁面に棚部38、40が形成され、これら棚部38、40には、両者間に跨がって培養ベッド36が載置される。培養器本体部10には、培養ベッド36の位置決め突部42(図6)、44が形成され、一方の位置決め突部42に培養ベッド36の縁部を当て、他方の位置決め突部44を培養ベッド36の係合凹部46に係合させることにより、培養ベッド36は、培養空間部16の所定位置に位置決めされ、着脱可能に保持される。即ち、培養ベッド36の高さ位置は、棚部38、40によって決定され、水平方向の位置及び角度は、位置決め突部42と培養ベッド36の位置、位置決め突部44と係合凹部46との位置関係及び係合によって決定される。
【0031】
また、培養ベッド36は、培養空間部16の上下方向においても保持される。図4に示すように、カバー部14の下面側には、培養ベッド36側に突出する複数の支持突部47が形成されており、この支持突部47が培養ベッド36の縁部側に接触して培養ベッド36を保持し、培養ベッド36の上下方向の自由移動が阻止される。
【0032】
培養器本体部10には、図6に示すように、培養液48を培養空間部16に流し込む入側ポート部50と、培養空間16から培養液48を排出させる出側ポート部52とが形成されている。入側ポート部50の貫通孔54は、培養ベッド36を載置する棚部38の下側に開口されており、位置決め突部42に開口した透孔部56に連通している。また、出側ポート部52の貫通孔58は、培養ベッド36を載置する棚部40の下側に開口されており、棚部40に開口した透孔部60に連通している。従って、入側ポート部50から供給される培養液48は棚部38の下側に流れ込み、位置決め突部42の透孔部56から培養ベッド36の上側に至り、培養空間部16内を経て貫通孔58に至るが、その一部は培養ベッド36の上部から棚部40の透孔部60を経て出側ポート部52に至る。入側ポート部50には循環パイプ51、出側ポート部52には循環パイプ53が連結され、これら循環パイプ51、53は培養液48の循環路を構成する。
【0033】
培養器本体部10には、図1、図2、図3及び図6に示すように、ジョイント部62が取付ねじ65によって固定され、培養空間部16と駆動部8との間には培養器本体部10の壁部を跨がってレバー70が設置されている。このレバー70は、培養器本体部10の壁部に設定された支点72(図1)を中心に円弧回動が可能であり、駆動部8によって付与される駆動力により、その先端部が上下動し、その先端部が培養ベッド36に接触することにより、培養ベッド36を湾曲させることができ、培養ベッド36に保持されている細胞構成体6に変位動作を付与することができる。
【0034】
レバー70は、図3に示すように、培養空間部16側から作用部74、径小部76、径大部(シール部)78、フランジ部80、円柱部82、先端部を最も先鋭にした円錐部84を備えている。フランジ部80は、作用部74側から見て前面側をフラット面とし、後面側に球面からなる摺動面86を備えている。
【0035】
培養器本体部10にはレバー70を貫通させる貫通孔88が形成され、貫通孔88は、培養空間部16側のレバー70の回動を許容するために培養空間部16側に向かって径大に形成され、レバー70と培養器本体部10の壁部との気密性を保持するため、Oリング90が設置されている。このOリング90の中心がレバー70の回動中心であり、既述の支点72を構成する。このOリング90とレバー70のフランジ部80との間には、環状のレバーガイド92が設置されており、レバー70は、Oリング90の中心を回転中心として回動する構成である。
【0036】
また、ジョイント部62は駆動部8のフレーム64と培養器本体部10とを結合するための部材であり、図6に示すように、取付ねじ66、68によって固定され、このジョイント部62の突出部96(図3)を貫通孔88に対応する凹部98(図1)に係合させるとともに、この突出部96にはレバー70のフランジ部80の摺動面86と接する球面からなる摺動面100が形成されている。また、ジョイント部62には、レバー70の回動を許容するための開口端側を径大にした透孔部102が形成されている。
【0037】
この培養器部4において、ダイヤフラム部20は例えば、シリコーンゴムのような成分の溶出等がない安全性の高い柔軟材料で形成する。ダイヤフラム部20は薄く形成され、その周囲にはOリング部22が形成されている。ダイヤフラム部20が薄い膜状であるのは、外側の圧力Pを培養空間部16内に伝えるための構成であって、培養器部4の圧力をダイヤフラム部20を隔てて反対側の圧力と概ね同圧にするためである。また、レバー70は、Oリング90によってシールされ、培養器本体部10の気密性及び水密性が保持されている。
【0038】
B)駆動部8
【0039】
駆動部8は、外部から付与される駆動力を受けて、細胞構成体6に変位動作を付与するレバー70を駆動する機能部である。そこで、駆動部8のフレーム64には、図1及び図5に示すように、カバー部104が複数のねじ106によって固定される。カバー部104はワイヤ110を通して駆動力を受ける。また、カバー部104には、上下動する第1のスライダ112が摺動可能に取り付けられ、このスライダ112の先端部がレバー70に当接している。そして、フレーム64にはスライダ112と同一直線上に配置された第2のスライダ114が設置され、このスライダ114とフレーム64との間にはスライダ114を上方に移動させるために復元力を作用させるスプリング116が設置されている。スプリング116は、スライダ112を移動前の位置に戻す戻しばねを構成する。
【0040】
スライダ112にはワイヤ110の先端部が取り付けられ、ワイヤ110の外面部には外筒部118が備えられ、ワイヤ110は外筒部118と独立して摺動可能である。ワイヤ110と外筒部118を以てケーブル119が構成されている。外筒部118は、固定ナット120を貫通し、固定ナット120によってカバー部104に固定されている。固定ナット120とカバー部104との間にはスライドブッシュ122が設置されている。ワイヤ110の端部にはスライダ112を上下動させるための駆動源としてアクチュエータ124(図8、図9)が取り付けられる。この場合、スライダ112が下降すると、レバー70とともにスライダ114が押し下げられ、その駆動力を解除すると、スライダ112、114がスプリング116の復元力により、元の位置に復帰する。
【0041】
また、フレーム64には、レバー70を挿入するための開口部126が形成されているとともに、レバー70の挿入をガイドするガイド板128、130が開口部126からスライダ112、114の間に挿入されている。このガイド板128、130の間にレバー70の円錐部84を挿入すれば、スライダ112、114の間の所定位置にレバー70を容易に挿入することができる。
【0042】
C)培養ベッド36
【0043】
培養ベッド36は、細胞構成体6を保持するとともに、細胞構成体6に変位動作を伝達する手段であって、培養ベッド36が持つ弾性を利用して細胞構成体6を変位動作前の状態に戻す機能部である。培養空間部16には例えば、細胞構成体6が培養ベッド36に載置されて収容される。
【0044】
培養ベッド36には、図7に示すように、2つの細胞構成体6を平行に載置する載置部136が備えられ、、この載置部136は、外部からの作用を受けて変形する受力部を構成しており、2つの細胞構成体6を平行に載置する面積及び形状を持ち、各細胞構成体6に曲げ運動を付与するため、弾性材料により板状に形成されている。弾性材料として例えば、ばね用ステンレス鋼板やその他のばね性の高い材料が用いられる。この場合、培養ベッド36の全体を弾性材料で形成してもよく、曲げ運動を可能にする載置部136又はその一部を弾性材料で形成してもよい。載置部136は、フラットな板状部に限定されるものではなく、ネット状であってもよい。また、バネ材の成分溶出を防ぐため、安定なコーティングを施してもよい。
【0045】
この載置部136は長方形状であって、その長手方向の端部には長方形状の立壁部138、140が形成され、各立壁部138、140は載置部136に対して直角をなすとともに、各細胞構成体6が挿入される楕円形の透孔部142が形成されている。この透孔部142は、細胞構成体6の両端を固定する役目がある。また、各立壁部138、140は、各細胞構成体6の寸法に応じて所定の高さhに設定されている。
【0046】
各立壁部138、140の頂部には、載置部136と平行して一定幅を持つ支持面部144、146が形成され、各支持面部144、146には、その一部を折り返して各立壁部138、140と平行に折返し部148が形成されている。各折返し部148により、各支持面部144、146及び各立壁部138、140が補強されているとともに、細胞構成体6が固定される。即ち、薄い板状部からなる載置部136と同一の板材で各支持面部144、146及び各立壁部138、140を形成しても十分な強度が得られ、この実施の形態の場合、長手方向のみに曲がる。また、培養ベッド36には、支持面部144側を固定するため、図6に示す位置決め突部44に対応するU字形の係合凹部46が形成されている。
【0047】
また、載置部136の中間縁部には、載置される細胞構成体6の側面部を支える支持壁部152、154が形成され、各支持壁部152、154の頂部には、細胞構成体6の上面部を覆う押え部156、158が形成されている。各支持壁部152、154は載置部136と直交する壁部であって、その高さは既述の立壁部138、140と同様である。また、各押え部156、158は載置部136と平行面を構成している。細胞構成体6は載置部136と各押え部156、158との間隔内に配置される。各押え部156、158の終端部は曲面部を構成し、両者間には細胞構成体6の着脱のための間隔160が設定されている。
【0048】
ここで、培養器部4に関し、その構成材料は、培養物や培養液に対する安定性、経済性、耐滅菌性、加工性、耐磨耗性、取扱性等から選択される。培養液48に接触する部品、例えば、培養器本体部10、カバー部14、Oリング32、34、90、培養ベッド36、レバー70は、構成材料から物質の溶出がない安定性の高いものを使用すべきであり、例えば、ステンレス鋼材、プラスチック等を使用することができる。ステンレス鋼材は、安定性、耐滅菌性に優れ、プラスチックは加工性に優れ、軽量化や使い捨て等の取扱性に優れる。
【0049】
プラスチックを使用した場合には、雑菌による汚染や他人の細胞又は遺伝子による汚染を防ぐ必要から使い捨てが可能であり、ステンレス鋼材に比較して安価である。また、培養器部4は、組み立てられた状態で滅菌する必要があるが、ステンレス鋼材及びプラスチックは、何れも滅菌処理に耐えられる。例えば、121℃、2気圧の条件で滅菌処理を行うオートクレープでは、充分な耐熱性が求められるが、このような処理にはPTFE、ETFE、PFA等のフッ素樹脂、或いはポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、硝子強化のPET、ポリエーテルサルフォン等が適する。γ線や電子線による滅菌処理では、ETFE、或いはポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、PET、ポリエチレン、ポリプロピレン等が適する。
【0050】
培養器部4において、ジョイント部62、レバーガイド92等では、レバー70のフランジ部80との摺動が繰り返されるので、耐磨耗性が要求される。そこで、ポリアセタールやポリエチレン、ポリプロピレン、PTFE、ETFE、PFA等のフッ素樹脂が適している。
【0051】
カバー部14を外すことなく、その内部を観察するためには、透明な材料が適する。カバー部14には、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、PET等の透明材料が適する。
【0052】
培養物の汚染を防止するには、滅菌処理は不可欠であるから、滅菌に対する耐性からの材料の選択は重要である。滅菌処理がオートクレープでもγ線や電子線のどちらでも可能で、且つ、それぞれの部品が必要とする機能性等を考慮すれば、最適材料は次の通りである。
【0053】
培養器本体部10や培養器底部12及びカバー部14には、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、又は、ポリカーボネート、Oリング32、34、90には、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ダイヤフラム部20やOリング22には、フッ素ゴム、シリコーンゴム、又はETFEEフィルム、ジョイント部62やレバーガイド92には、ETFE、レバー70には、ステンレス鋼(SUS316、SUS304)、培養ベッド36には、ばね用ステンレス鋼(SUS304CSPシリーズ)が適する。
【0054】
ばね用ステンレス鋼は、SUS316シリーズに比べて耐食性が若干劣るので、それを補うには、例えば、ダイヤモンド・ライク・コーティング(DLC)等のコーティングを施せばよい。
【0055】
洗浄を綿密に行って再使用を前提とするのであれば、プラスチックに代え、ステンレス鋼SUS316、SUS304を使用すればよい。培養ベッド36の構成材料について、加圧により必要な変位運動を生じさせ、変位前の状態に戻す機能が不可欠であるから、例えば、ばね用ステンレス鋼板等の強靱な弾性材料を用いればよい。
【0056】
D)アクチュエータ124
【0057】
アクチュエータ124は、駆動部8に外部からレバー70の駆動力を付与する駆動源を構成している。図8及び図9に示すように、アクチュエータ124は、モータ回転をワイヤ110の進退移動に変換し、その移動を駆動部8のスライダ112に加える。そこで、駆動部8のワイヤ110は、外筒部118とともにアクチュエータ124に導かれ、その端部がクランクレバー162にワイヤ止めねじ164を以て固定されている。ワイヤ110を被覆する外筒部118は、アクチュエータ124のフレーム部166に中継部材として設置された補強板168の固定部170に固定されている。
【0058】
クランクレバー162は、ベア軸受172を介してクランク軸174に固定されている。クランク軸174が固定されたクランク176には、モータ178が取り付けられている。モータ178は、例えば、DCモータで構成される。このモータ178には、回転を検出するエンコーダ180が設置されている。
【0059】
アクチュエータ124のフレーム部166には、回転調節器182、電源スイッチ183、運転スイッチ184、回転調節ダイヤル186の他、回転数等を表示する表示装置188が設置されている。
【0060】
このアクチュエータ124のクランク機構を拡大して示した例として、図10に示すように、モータ178の回転軸190にクランク176を示すクランクアーム192が取り付けられ、このクランクアーム192にクランク軸174によってクランクレバー162が回動可能に取り付けられ、このクランクレバー162にワイヤ110の端部がワイヤ止めねじ164によって固定されている。
【0061】
斯かる構成によれば、モータ178の回転により、回転軸190を中心にクランクアーム192が回転し、その先端にクランク軸174で取り付けられたクランクレバー162が、図11の一点鎖線Xで示す軌道を描くように動く。その先端部に固定されたワイヤ110がクランクアーム192の長さSに応じたストローク2Sに応じて前後動し、この変位運動がワイヤ110を通じて駆動部8に付与される。この変位運動がレバー70に伝えられ、レバー70に円弧運動を生じさせる。
【0062】
なお、クランクアーム192を連続回転する必要はなく、ステッピングモータやサーボモータにより必要な角度だけ変移させても、同様にレバー70の変移運動を得ることができる。
【0063】
このアクチュエータ124には、図12に示すように、モータ178を制御する制御装置200が備えられ、この制御装置200には、加圧装置27、圧力センサ29、モータ178、エンコーダ180、回転調節器182、電源スイッチ183、運転スイッチ184、表示装置188等が接続されている。制御装置200には、回転調節ダイヤル186によって回転調節器182に回転数が設定され、設定された回転数にモータ178の回転が設定され、この回転力がワイヤ110の進退運動に変換され、駆動部8に付与される。モータ178の回転はエンコーダ180によって検出され、設定された回転数との変動が算出され、所定回転数に制御される。この実施の形態では、制御装置200を用いることにより、圧力センサ29の検出圧力に応じて加圧装置27の出力圧Pを制御する構成としているが、加圧装置27の制御や、圧力センサ29の検出圧力の取込みを他の制御装置で行うようにしてもよい。
【0064】
E)培養方法
【0065】
次に、培養ユニット2を用いる、細胞又は組織の培養方法について、図13ないし図16を参照して説明する。図13は、培養の処理手順を示すフローチャート、図14は、細胞構成体の設置を示す図、図15は、細胞構成体に対する曲げ運動の付与及びその解除を示す図、図16は、アクチュエータの動作手順を示すフローチャートである。
【0066】
図13に示すように、細胞構成体6の培養処理は、前処理(ステップS1)、培養処理(ステップS2)及び後処理(ステップS3)を含んでいる。前処理には、細胞構成体6の形成、半透膜の包み込み処理等が含まれる。培養処理には、曲げ運動処理を含み、湾曲処理(ステップS21)、湾曲解除(ステップS22)、湾曲処理(ステップS23)・・・湾曲解除(ステップS2N)の繰り返しが実行される。そして、後処理では、培養を終了した細胞構成体6の培養ベッド36からの取り出し等が含まれる。
【0067】
I 前処理(ステップS1)
【0068】
図14のA及びBに示すように、培養物である細胞構成体6を形成する。この細胞構成体6は、例えば、半透膜で覆われている。
【0069】
細胞構成体6は、細胞、細胞担体(Scaffold)、前記細胞が産出する細胞外マトリクス(Extracellar Matrix)、培養液48の何れかを含み、他の要素として添加物を含んでもよい。
【0070】
細胞構成体6は、細胞が播種された三次元スキャフォールドとゲル状物質であってもよいし、細胞が播種された三次元スキャフォールドを半透膜で密封したものであってもよいし、また、細胞が播種された三次元スキャフォールドとゲル状物質を半透膜で密封したものであってもよい。三次元スキャフォールド及びゲル状物質は、生体吸収性材料で構成される。
【0071】
また、細胞構成体6は、三次元のスキャフォールドに細胞を播種したもの、或いは前記構成体に他の担体を複合させたもの、或いはそれらを半透膜製の袋又はチューブに入れたもの、或いは半透膜製の袋又はチューブに細胞を浮遊させた培養液を封入したもの、又は、半透膜製の袋又はチューブに細胞とゲル状のスキャフォールドを封入したものであってもよい。
【0072】
また、半透膜(Semi-permeable membrane )は、透過分子量が100〔Da〕から1000〔kDa〕の半透膜の中から選択して使用すればよい。半透膜を培養に利用する考えは、PCT/US2005/027220(Amorphous cell delivery vehicle treated with physical/physicochemical stimuli )等に述べられている。この半透膜は、通過できる分子の大きさに応じて様々なものが提供されているので、それを用いればよい。即ち、培養液中の栄養分、必要な酸素等のガスや細胞が出した老廃物等の低分子の物質等は通過し、細胞や大分子の細胞外マトリクスを通過させないような半透膜を選択し、細胞を閉じ込めれば、細胞や細胞外マトリクスの流失を防ぎながら、栄養分と酸素の供給が可能となり効率的な培養が実現する。この場合、半透膜が栄養物の通過を妨げる場合の対策として、本発明では、曲げ動作を付加するので、曲げ部の変位が能動的に上昇し、また、圧力の差が生じて、栄養分の移動を促す。血管のない段階の細胞構成体6(血管のない組織においても)曲げ動作が血管や心臓の働きを代行することになり、同時に、細胞に対し物理的刺激の付与にもなる。
【0073】
半透膜で覆われた細胞構成体6は、図14のA及びBに示すように、培養ベッド36の載置部136に設置する。細胞構成体6は培養ベッド36に支持されて載置される。
【0074】
II 培養処理(ステップS2)
【0075】
細胞構成体6は、図1及び図15のAに示すように、培養ベッド36とともに培養空間である培養器部4に移送する。
【0076】
培養器部4内には培養液48を入れ、カバー部14が取り付けられる。カバー部14が取り付けられると、カバー部14に設けられた4個所の支持突部47が培養ベッド36の縁部を軽く押さえて支持する。
【0077】
培養ベッド36の背面側からレバー70により力Fを付与すると、図15のBに示すように、培養ベッド36の載置部136が力Fによって上方に湾曲し、この湾曲により、載置部136上の細胞構成体6も湾曲する。即ち、細胞構成体6には曲げが生じる。
【0078】
この曲げ状態から力Fを解除すると、培養ベッド36の載置部136は弾性により、原形状に復帰し、平坦になるため、図15のAに示すように、載置部136上の細胞構成体6も平坦状態に移行する。この場合、細胞構成体6の上面部には、培養ベッド36の押え部156、158が存在しており、上方に凸に変形した細胞構成体6は、載置部136の復帰とともに押え部156、158により押さえ付けられ、載置部136の原状復帰に応じて平坦化する。
【0079】
そして、このような曲げ運動が繰り返され(ステップS21〜ステップS2N)、必要な培養時間の経過により、組織が形成される。また、図1等に示した培養ユニット2を用いれば、培養器底部12のダイヤフラム部20に圧力Pを加えることにより、培養液48を通じて細胞構成体6に曲げとは別に所望の圧力Pを作用させることが可能である。
【0080】
なお、この培養において、培養液48は、入側ポート部50から培養空間部16に供給し、出側ポート部52から排出させることにより、培養空間部16に新鮮な培養液48を供給することができる。培養液48は、酸素等の気体や養分等を細胞構成体6に供給する供給媒体であるとともに、細胞構成体6から排出される老廃物等の伝送媒体である。
【0081】
III 後処理(ステップS3)
【0082】
培養を完了した細胞構成体6は、培養ベッド36とともに、培養器部4(図1等)から取り出される。そして、細胞構成体6は、人体の修復部位に適用される。
【0083】
このような培養の処理手順において、制御装置200の制御動作について、図16に示すフローチャートを参照して説明する。
【0084】
運転スイッチ184を投入すると、表示装置188が点灯し(ステップS11)、この状態で回転数を設定する(ステップS12)。これにより、回転が開始し、アクチュエータ124からワイヤ110を通して駆動部8のスライダ112に変位が付与される(ステップS13)。ワイヤ110の進退によってレバー70が回動し、既述の運動が細胞構成体6に付与される。
【0085】
回転及び変位が発生すると、表示装置188にその設定回転数及び実回転数が表示され(ステップS14)、制御装置200では実回転数と設定回転数との回転数差が監視され(ステップS15)、回転数差や回転むらが所定値以上に到達したとき、異常と判定する。異常が生じたとき、表示装置188に警告を表示する(ステップS16)。
【0086】
〔第2の実施の形態〕
【0087】
本発明の第2の実施の形態について、図17ないし図19を参照して説明する。図17ないし図19は細胞構成体の構成例を示している。
【0088】
ところで、この細胞構成体を用いた細胞及び/又は組織の培養方法の工程は以下の通りである。
【0089】
a 組織、又は細胞を体内から取り出す。
b 取り出した組織を酵素等で分解して細胞を分離し、必要とする細胞を選別する。培養対象である細胞は種別を問わない。
c 選別した細胞数が不足している場合、又は、増す必要がある場合には、単層培養等で一旦細胞数を増やす。
d 細胞構成体を作成する。
i 不定形構成体の場合(以下の何れかを必要に応じて、成長因子、薬剤等を添加すればよい。)
・培養液に細胞を浮遊させる。
・ハイドロゲルに細胞を浮遊させる。
・ゲル状担体に細胞を混ぜる。
ii 定型構成体の場合(以下の何れかを必要に応じて、成長因子、薬剤等を添加すればよい。)
・培養液に細胞を浮遊させ、これをコラーゲンスポンジ、キトサンスポンジ等の細胞担体に入れ、細胞を担体に付着させる。
・ゾルの状態で担体に細胞を混入させ、これをコラーゲンスポンジ、キトサンスポンジ等の細胞担体に入れ、細胞を担体に付着させるとともに、ゲル化させる。
e 細胞構成体6は、半透膜製のチューブ又は袋に細胞等を入れて、そのチューブ又は袋を密封して構成する。半透膜は、細胞や分子量の大きなものは透過せず、培養液中成分の栄養分、薬剤、酸素等の気体等分子量の小さいものは透過する。
f 細胞構成体6は、培養ベット36に取り付ける。
g 培養液を循環させる場合は、培養液の循環回路を用意しておく。循環回路には、ガス交換部を設けて、培養装置内のガスと培養回路の培養液中のガスとのガス交換ができるようにする。
h 細胞構成体6を培養ベッド36とともに、培養器部4に入れ、培養液48を満たす。
i 培養器部4にカバー部14を取り付け、培養器部4(及び培養回路)を密封する。以上は、クリーンルーム及びクリーンベンチ等のクリーンな環境で行う。以後は、回路が密封させているので、それ以外の場所でも雑菌の汚染はない。
j 培養器部4には、駆動部8を取り付ける。
k 温度、ガス濃度を最適状態に保つ。
l 繰り返し、曲げ動作を細胞構成体6に付加する。曲げ動作の周期、大きさ、動作スケジュール等は前もって設定して運転する。
m 必要に応じて、培養液の循環、加圧を行う。加圧は、一定、断続、周期的な繰り返し等の加圧パターンから最適なパターンを選択する。
n 所定の時間が経過したら、培養器部4から駆動部8を外す。
【0090】
このような培養方法において、細胞構成体6は、図17に示すように、半透膜を以てチューブ202に入れられ、この場合、培養液48と、ゲルに細胞を混合した混合物204とで構成されている。チューブ202は、両端の開口を封止栓206を以て封止されている。
【0091】
この細胞構成体6は例えば、2本を一組とし、培養ベッド36に取り付け、既述の曲げ変位動作を繰り返し付与する。これにより、細胞が増殖するとともに、細胞外マトリクス等が産出され、不定形な新生組織が生成される。
【0092】
この生成過程についてみると、培養前には、細胞、培養液、ハイドロゲル又はゲル状スキャフォールドの全部又はこれらの一部の組み合わせであった細胞構成体6が、培養後にあっては、細胞、培養液、ハイドロゲル、ゲル状スキャフォールド、細胞外マトリクス又はその他の細胞の産出物の全部又はこれらの一部の組み合わせに変換される。
【0093】
そして、細胞構成体6から抽出した培養物を体内の損傷又は欠損部に注入すれば、その注入部分で本来の組織が再生され、注入した培養物は周囲の組織に融合し、一体化される。
【0094】
また、細胞構成体6は、図18に示すように、半透膜を以てチューブ202に入れられ、この場合も、培養液48と、ゲルに細胞を混合させた混合物204とで構成されている。チューブ202は、各開口端側を折り曲げ、クリップ208で挟んで封止されている。この場合、チューブ202には余裕を持たせ、培養液48及び混合物を充填されたチューブ202が断面楕円となる程度に培養液48及び混合物204を入れる。これら細胞構成体6は、既述の培養ベッド36に取り付け、繰り返し湾曲させる。
【0095】
このような細胞構成体6を用いても、細胞の増殖が得られ、細胞外マトリクス等の産出により不定形な新生組織が生成される。即ち、培養前には、細胞と培養液とハイドロゲルとゲル状スキャフォールドの全部又はこれらの一部の組み合わせからなる細胞構成体6が、培養後には、細胞と培養液とハイドロゲルとゲル状スキャフォールドと細胞外マトリクスとその他の細胞の産出物の全部又はこれらの一部の組み合わせに変換される。
【0096】
このような培養物を人体の損傷又は欠損部分に注入すれば、体内の注入した部分で本来の組織を再生し、かつ、周囲組織に融合させることができる。
【0097】
また、細胞構成体6は、図19に示すように、半透膜からなるチューブ202に入れられており、この場合、定型の細胞担体(スキャフォールド)205に細胞を播種したものである。チューブ202の各開口端は、封止栓206によって封止される。
【0098】
この細胞構成体6は、単体又は複数個並べて培養ベッド36に取り付け、繰り返し湾曲させる。これにより、細胞の増殖とともに、細胞外マトリクス等が産出され、不定形な、新生組織が生成される。即ち、培養前の細胞とコラーゲンスポンジ等の細胞担体とゲル状担体とからなる細胞構成体6は、培養後、細胞と細胞担体と細胞外マトリクスとその他の細胞の産出物とからなる新生組織に生成される。
【0099】
半透膜を取り除き、中の新生組織を取り出し、これを人体の損傷又は欠損部分に縫合或いは接着等によって移植すれば、移植部分で、本来の組織を再生させ、周囲の組織に融合させることができる。
【0100】
〔第3の実施の形態〕
【0101】
本発明の第3の実施の形態について、図20ないし図22を参照して説明する。図20は、第3の実施の形態に係る培養システムを示す図、図21は、制御部の構成例を示す図、図22は、培養動作の処理手順を示すフローチャートである。
【0102】
この培養システム240では、培養液48の循環や随時、新鮮な培養液48を供給するため、培養室242内に培養ユニット2の培養器部4を含む培養回路244を設置したものである。培養回路244は、循環チューブ246を以て培養液槽248、ガス交換部250、ポンプ252、逆止弁254、培養器部4、圧力調節弁256を連結した循環路を構成する。この培養回路244では、培養液48の循環を任意で行うことができるが、その循環の制御の一態様として、例えば、培養液48の循環を停止又は禁止する場合には、培養回路244を閉塞すればよい。上記のポンプ252は、ピストン式ポンプ、シリンジポンプ、ペリスタルティックポンプ等で構成することができる。循環チューブ246には、例えば、培養液48の滴下をカウントする等の方法によって培養液48の流れを検出する流れセンサ268が設置されている。
【0103】
培養室242には、温度調節器258、ガス濃度調節器260及び制御装置262が設置されている。培養室242内は、温度調節器258によって培養に必要な温度に設定され、ガス濃度調節器260によって一定のガス濃度に保たれ、制御装置262によって培養液48の循環、培養器部4内の圧力の制御が実行される。
【0104】
培養器部4にはアクチュエータ124からケーブル119を通して曲げ応力が付加される。この場合、アクチュエータ124は培養室242内に設置されているが、培養室242の外部に設置してもよい。
【0105】
アクチュエータ124の動作は、培養液48の加圧循環と一括して制御してもよいし、それぞれを独立して制御してもよい。この場合、培養液48の加圧と、アクチュエータ124による曲げ応力が細胞構成体6に付加される。
【0106】
そして、細胞構成体6に対し、曲げ変位の付与と、培養液48の循環及び培養器部4内の圧力を一括して制御するには、図21に示すように、制御系統を構成すればよい。制御装置262には、入力装置264からモータ178の回転数、培養液48の循環量を設定し、モータ178及びポンプ252を駆動する。制御装置262は、CPU(Central Processing Unit )、ROM(Read-Only Memory)及びRAM(Random-Access Memory)を備えたコンピュータで構成されている。
【0107】
モータ178、エンコーダ180及び制御装置262により変位付与制御が実行され、モータ178の回転がエンコーダ180に検出され、その検出情報が制御装置262に加えられている。
【0108】
圧力調節弁256、ポンプ252、流れセンサ268及び制御装置262により培養液送液制御が実行される。この培養液送液制御では、ポンプ252の回転数を上昇させれば、培養液48の流量が増加するが、その送液による圧力は圧力調節弁256によって調節することができる。培養液48の流れは、例えば、培養液48の滴下をカウントする等の方法により流れセンサ268に検知され、その検知情報がポンプ制御等の制御情報に用いられる。
【0109】
加圧装置27、圧力センサ29及び制御装置262により加圧制御が実行され、圧力センサ29で圧力が検出され、この検出情報によって加圧制御が実行される。
【0110】
温度調節器258を構成する温度センサ280、ヒータ282及び制御装置262により温度調節制御が実行され、温度センサ280の検出情報に基づき、ヒータ282の発熱温度が制御される。ガス濃度調節器260を構成するCO2 濃度センサ284、CO2 電磁弁286、O2 濃度センサ288、N2 電磁弁290及び制御装置262によりガス濃度制御が実行される。CO2 濃度センサ284の検出情報に基づき、CO2 電磁弁286の開度が制御され、また、O2 濃度センサ288の検出情報に基づき、N2 電磁弁290の開度が制御される。これら温度調節及びガス濃度の制御により、培養室242内の環境制御が実行される。即ち、培養室242内のガス濃度雰囲気により、ガス交換部250において、培養液48と培養室242内との間でガス交換が行われる。
【0111】
このような培養システム240では、図22に示すように、電源スイッチ292の投入により(ステップS51)、表示装置266が点灯する(ステップS52)。そこで、環境制御値の入力(ステップS53)、制御動作値の入力(ステップS54)の後、設定値が表示装置266に表示される(ステップS55)。ここで、運転スイッチ294を投入する(ステップS56)。
【0112】
培養システム240が動作状態に入ると、温度調節(ステップS57)、ガス濃度調節(ステップS58)、加圧制御(ステップS59)、培養液送液運転(ステップS60)、変位付与運転(ステップS61)が実行され、運転状態が表示装置266に表示される(ステップS62)。
【0113】
変位付与に必要な運転状態が監視され(ステップS63)、異常があれば、警告表示の後、運転を停止し(ステップS64)、培養システム240をリセットさせ(ステップS65)、異常原因を除去し(ステップS66)、再度、ステップS51〜S63を動作させ、培養終了に至る(ステップS67)。培養終了の後、運転スイッチ294を切り(スイッチ68)、培養処理を終了する(ステップS69)。
【0114】
〔第4の実施の形態〕
【0115】
本発明の第4の実施の形態について、図23及び図24を参照して説明する。図23は、第4の実施の形態に係る培養ユニットを示す図、図24は、図23のXXIV−XXIV線断面を示す図である。図23及び図24において、図1ないし図8と同一部分には同一符号を付してある。
【0116】
第1ないし第3の実施の形態では、細胞構成体6に対して曲げ変位を付与する処理について説明したが、本発明は、細胞構成体600の伸縮処理に適用することができ、レバー70の運動による培養器部4の培養空間部16における内部圧力に変化を生じさせることなく、所望の変位を細胞構成体600に付与することができる。
【0117】
この実施の形態の培養器部4には長方形状の培養空間部16が形成され、この培養空間部16の棚部295に突出させた突起296に細胞構成体600の一端を取り付け、その他端側に取り付けた保持枠298にレバー70の先端部が回動可能に固定されている。この実施の形態では、保持枠298に固定ピン300が突設されているので、この固定ピン300にレバー70の先端部に形成された係合環302を可動可能に係合させている。
【0118】
斯かる構成とすれば、駆動部8にワイヤ110を介してアクチュエータ124(図8、図9)から付与される応力により、レバー70を円弧回動させれば、その円弧回動に応じて細胞構成体6を矢印m、n方向に伸縮させ、培養に必要な刺激、張力の付与及びその解除を繰り返し行うことができる。
【0119】
この場合、入側ポート部50から培養液48を培養空間部16内に流し込み、出側ポート部52から流出させ、新鮮な培養液48を細胞構成体600に供給することができる。
【0120】
〔実施の形態から抽出される特徴事項〕
【0121】
次に、以上述べた各実施の形態から抽出される特徴事項に関し、特許請求の範囲に記載した事項以外の特徴事項を以下に列挙する。列挙した特徴事項に本発明が限定されるものではない。
【0122】
(1) 上記培養装置において、
前記ベッドと前記レバーとを平行又は直角に配置したことを特徴とする培養装置。
【0123】
(2) 上記培養装置において、
前記培養器部は、密閉構造であることを特徴とする培養装置。
【0124】
(3) 上記培養装置において、
前記レバーの端部に作用部を備えることを特徴とする培養装置。
【0125】
(4) 上記培養装置において、
前記ベッドは、前記培養物を支持し、前記レバーからの加圧を受けて湾曲し、前記加圧の解除により加圧前の状態に復帰することを特徴とする培養装置。
【0126】
(5) 上記培養装置において、
前記ベッドは、端部に前記培養器部に支持させる支持部、中間部に前記レバーから作用を受ける受力部を備えることを特徴とする培養装置。
【0127】
(6) 上記培養装置において、
前記レバーは前記支点の近傍に円弧状面を持つフランジ部を備え、このフランジ部に対応して円弧状面を持つジョイント部を前記培養器部に備え、前記フランジ部の前記円弧状面と前記ジョイント部の円弧状面とを摺動可能に接触させたことを特徴とする培養装置。
【0128】
(7) 上記培養装置において、
上記ジョイント部は、前記レバーを回転させたとき、その回転の中心が、前記レバーのシール部中央に一致することを特徴とする培養装置。
【0129】
(8) 上記培養装置において、
前記培養器部から引き出された前記レバーの後端部に駆動力を付与する駆動部を前記培養器部の側部に設置してなることを特徴とする培養装置。
【0130】
(9) 上記培養装置において、
前記駆動部は、前記培養器部に着脱可能に設置されることを特徴とする培養装置。
【0131】
(10) 上記培養装置において、
前記駆動部から前記レバーに付与される前記加圧を周期的、連続的に制御し、及び/又は加圧速度を制御する制御部を備えることを特徴とする培養装置。
【0132】
(11) 上記培養装置において、
前記培養器部には、培養液が供給口から供給され、排出口から排出されることを特徴とする培養装置。
【0133】
(12) 培養器部にダイヤフラム部を備え、該ダイヤフラム部を通して前記培養器部内に圧力を付与することが可能であることを特徴とする培養装置。
【0134】
(13) 上記培養装置において、
前記駆動部は、
前記培養器部の側部に設置された筐体部と、
前記筐体部に摺動可能に支持され、外部から加えられる駆動力により摺動し、前記レバーに円弧運動を生じさせる第1のスライダと、
前記筐体部に摺動可能に支持され、前記レバーに前記スライダと反対方向に復帰力を作用させる第2のスライダと、
を備えることを特徴とする培養装置。
【0135】
(14) 上記培養装置において、
前記レバーを挿入する挿入口と、
前記挿入口から挿入される前記レバーの端部を前記第1のスライダと前記第2のスライダとの間にガイドするガイド部と、
を前記筐体部に備えることを特徴とする培養装置。
【0136】
〔実験結果〕
【0137】
次に、上記の培養装置及び培養システムを用いた実験結果について、図25ないし図29を参照して説明する。
【0138】
図25は細胞構成体を示し、この細胞構成体は、培養液中に浮遊させた細胞を半透膜のチューブに入れて構成されている。図26に示すように、細胞構成体は培養ベッドに固定され、培養器部(チャンバ)に収容される。この場合、駆動部は培養器部から分離されている。
【0139】
培養ユニットにはアクチュエータからの加圧が作用し、細胞構成体に曲げ動作が付加される。アクチュエータは、培養室の外に置かれ、ケーブルは培養室のドアを貫通させ、駆動部に接続されている。アクチュエータの動作状態は表示装置により確認できる。
【0140】
アクチュエータは、モータの回転運動をクランクで直線運動に変換しており、クランクアームの長さ選択により、ワイヤの進退幅が調節でき、これに応じて細胞構成体に付与される曲げの大きさが調節される。
【0141】
この実験では、加圧動作に関し、大気圧を維持し、曲げ動作だけに限定し、培養液循環を行った。圧力と、アクチュエータによる曲げ動作は個々に無関係に単独で付加した。この実験では、例えば、0.5〔MPa〕以上の加圧を付与することも考えられる。
【0142】
また、図27ないし図29は、脊椎器官の培養実験(Vertebrae organ culture of 2 days old mouse )を示している。実験は、生後2日のマウスから取り出した脊椎を培養ベッドに設置し(図27)、0.1〔Hz〕の周波数で曲げ動作を付加し、10日間の培養を実施した。この実験では加圧はしていない。
【0143】
比較例として、静置培養を行った。図28及び図29は、10日間の静置培養(Static 10 days)を示している。10日後に、器官の断面をトルイジンブルー染色し、細胞の生存状況を観測した。図中、着色部分は明示できないが、明度の低下している部分(染色部分)が生きた細胞の存在を表している。静置培養では、椎間板内部の細胞密度が上がらず、マトリクスの変性が見られた(図28のa)。
【0144】
これに対し、曲げ動作、Displacement(変位)を付加した脊椎には、椎間板内部の細胞の増生並びに新生マトリクスの蓄積が認められた(図29のb)。
【0145】
この実験結果から、曲げ動作を付与した培養は、静置培養と比較し、細胞の増生並びに新生マトリクスの堆積が見られることから、その曲げ動作が細胞構成体に刺激を与えるとともに、物質移動を促進させていることを推察することができる。
【0146】
以上の通り、本発明を最も好ましい実施の形態として説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は、細胞及び/又は組織を含む培養物の培養装置に関し、人等の体の部位に適正な細胞及び/又は組織の培養装置を提供するものであり、細胞構成体に曲げ動作を付与することにより、脊椎等の組織培養を効率的に行うことができ、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】第1の実施の形態に係る培養装置の培養ユニットを示す縦断面図である。
【図2】培養器部を示す分解斜視図である。
【図3】カバー部を含む培養器本体部を示す分解斜視図である。
【図4】カバー部の下面側を示した斜視図である。
【図5】駆動部を示す分解斜視図である。
【図6】培養器部からカバー部を外して示した培養ユニットを示す平面図である。
【図7】培養ベッドを拡大して示した斜視図である。
【図8】アクチュエータを示す図である。
【図9】アクチュエータを示す平面図である。
【図10】アクチュエータにおける運動変換部の一例を示す図である。
【図11】運動変換部の動作の一例を示す図である。
【図12】培養装置の制御系統の一例を示すブロック図である。
【図13】培養の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】細胞構成体を設置した培養ベッドを示す図である。
【図15】細胞構成体に対する曲げ動作を示す図である。
【図16】アクチュエータの動作手順を示すフローチャートである。
【図17】第2の実施の形態に係る細胞構成体の構成例を示す図である。
【図18】細胞構成体の他の構成例を示す図である。
【図19】細胞構成体の他の構成例を示す図である。
【図20】第3の実施の形態に係る培養システムを示す図である。
【図21】培養システムの制御系統を示すブロック図である。
【図22】培養システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図23】第4の実施の形態に係る培養装置の培養ユニットを示す図である。
【図24】図23のXXIV−XXIV線断面を示す図である。
【図25】実験例を示す図である。
【図26】実験例を示す図である。
【図27】実験例を示す図である。
【図28】実験例を示す図である。
【図29】実験例を示す図である。
【符号の説明】
【0149】
2 培養ユニット
4 培養器部
6、600 細胞構成体
8 駆動部
16 培養空間部
48 培養液
70 レバー
72 支点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞及び/又は組織を含む培養物の培養装置であって、
前記培養物を収容する培養器部と、
前記培養器部の内外に貫通させたレバーと、
を備え、前記レバーを操作して前記培養物に変位を付与することを特徴とする培養装置。
【請求項2】
細胞及び/又は組織を含む培養物の培養装置であって、
前記培養物を載置するベッドと、
このベッドとともに前記培養物を収容する培養器部と、
前記培養器部の内外に貫通させたレバーと、
前記レバーを操作して前記ベッドを押し、前記ベッドの湾曲変形により前記培養物に変位を付与する駆動手段と、
を備えることを特徴とする培養装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の培養装置において、
前記レバーは、前記培養器部の壁部又はその近傍に設定された支点を中心に円弧運動することを特徴とする培養装置。
【請求項4】
細胞及び/又は組織を含む培養物の培養装置であって、
前記培養物を載置するベッドと、
このベッドとともに前記培養物を収容する培養器部と、
前記培養器部の内外に貫通させ、前記培養器部の壁部又はその近傍に設定された支点を中心に円弧運動することが可能なレバーと、
前記レバーを操作して前記ベッドに伸縮力を付与し、前記ベッドの伸縮変形により前記培養物を伸縮させる駆動手段と、
を備えることを特徴とする培養装置。
【請求項5】
細胞及び/又は組織を含む培養物の培養方法であって、
培養器部に前記培養物を収容し、前記培養器部の内外に貫通させたレバーに、前記培養器部の壁部又はその近傍に設定された支点を中心に円弧運動を付与し、この円弧運動によって前記培養物に曲げ変位を付与することを特徴とする培養方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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