説明

細胞培養モジュール

【課題】トリプシン処理等の酵素処理を行う事無く、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から容易に剥離させることができ、更に、ピペッティング等による移動作業も行う必要が無いため、複数の細胞培養担体を用いた段階的な細胞培養を容易に行うことができる細胞培養モジュールの提供。
【解決手段】本発明に係る細胞培養モジュールは、第1凹部が設けられた第1細胞培養担体を密閉可能に保持する第1密閉系部材と第1細胞培養担体の第2面に対して第1水圧を供給する第1水圧供給部と第1凹部よりも大きい第2凹部が設けられた第2細胞培養担体を密閉可能に保持する第2密閉系部材と第2細胞培養担体の第4面に対して第2水圧を供給する第2水圧供給部と第1凹部から剥離された細胞を第1内部空間から第2内部空間に搬送する細胞搬送部と第2水圧により第2凹部から剥離された細胞を第2内部空間から回収する細胞回収部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヒト骨髄液からの幹細胞の分離、目的とする組織細胞への分化・誘導、3次元培養技術、足場材料の開発等の進歩に伴い、細胞培養によって幹細胞から皮膚、骨、軟骨、血管、心臓弁、靭帯等の組織を作製することが可能となり、一部では、既に臨床応用が開始されている。
【0003】
なお、このような細胞の培養にあっては、基板表面上にアレイ状やハニカム状等に規則配列され、種細胞を凝集させて保持する細胞培養セルを備えた細胞培養チップを用いる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、細胞培養担体と細胞とを含む培養液を収納する培養容器と、培養液中で細胞培養担体を移動させるための磁場を発生する磁場発生装置とを備える細胞培養装置が知られている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2005−27598号公報
【特許文献2】特開2004−313007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
なお、上述した特許文献1、2に示すような細胞培養技術は、細胞を培養させた後、前記細胞培養チップや前記細胞培養担体からの剥離作業が必要となる。この剥離作業は、通常、トリプシン処理等の酵素処理を用いて行う。
【0006】
しかしながら、このような酵素処理を長時間行うと培養した細胞はある程度劣化してしまい、最悪、細胞自体が死滅する場合がある。また、トリプシン処理等の酵素処理は、非常に作業が煩雑という問題もある。
【0007】
また、球状の細胞を培養する場合は、単離した細胞をいきなり大きい空間で培養すると、培養される細胞はその空間の底部を球と認識せず、平面と認識してしまうため、培養する細胞が前記底部に付着されてしまい、球状の細胞を培養することができない。そのため、球状の細胞を所望の大きさまで培養するには、最初は小さい空間で所望の大きさまで細胞を培養した後、その後、大きい空間で段階的に培養していく必要がある。すなわち、ある一定の大きさの細胞培養セル(以下、凹部という)を備えた細胞培養担体で培養した細胞を、より大きい凹部を備えた別の細胞培養担体に移動させて、段階的に培養していく必要がある。
【0008】
従来、このような培養した細胞を別の細胞培養担体に移動させる手段は、上述したトリプシン処理等による剥離を行った後、ピペッティング等によって行っているため、これらの剥離・移動作業は、極めて煩雑且つ非効率であった。
【0009】
そこで、本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、トリプシン処理等の酵素処理を行う事無く、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から容易に剥離させることができ、更に、ピペッティング等による移動作業も行う必要が無いため、複数の細胞培養担体を用いた段階的な細胞培養を容易に行うことができる細胞培養モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る細胞培養モジュールは、細胞を培養する第1の凹部が設けられた多孔体からなる第1の細胞培養担体を第1の内部空間に密閉可能に保持する第1の密閉系部材と、前記第1の内部空間に培養液が充填された状態で、前記第1の内部空間に保持された前記第1の細胞培養担体の前記第1の凹部が設けられた第1面に対向する第2面に対して第1の水圧を供給する第1の水圧供給部と、を備えた第1の細胞培養部と、細胞を培養する前記第1の凹部よりも大きい第2の凹部が設けられた多孔体からなる第2の細胞培養担体を第2の内部空間に密閉可能に保持する第2の密閉系部材と、前記第2の内部空間に培養液が充填された状態で、前記第2の内部空間に保持された前記第2の細胞培養担体の前記第2の凹部が設けられた第3面に対向する第4面に対して第2の水圧を供給する第2の水圧供給部と、を備えた第2の細胞培養部と、前記第1の内部空間と前記第2の内部空間とを連結し、前記第1の水圧により前記第1の凹部から剥離された細胞を前記第1の内部空間から前記第2の内部空間に搬送する細胞搬送部と、前記細胞搬送部と異なる位置で前記第2の内部空間と連結し、前記第2の水圧により前記第2の凹部から剥離された細胞を前記第2の内部空間から回収する細胞回収部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
このような構成とすることで、トリプシン処理等の酵素処理を行う事無く、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から容易に剥離させることができ、更に、ピペッティング等による移動作業も行う必要が無いため、複数の細胞培養担体を用いた段階的な細胞培養を容易に行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る細胞培養モジュールは、細胞を培養する第1の凹部が設けられた多孔体からなる第1の細胞培養担体を第1の内部空間に密閉可能に保持する第1の密閉系部材と、前記第1の内部空間に培養液が充填された状態で、前記第1の内部空間に保持された前記第1の細胞培養担体の前記第1の凹部及び前記第1の凹部が設けられた第1面に対向する第2面に対して第1の水圧を供給する第1の水圧供給部と、を備えた第1の細胞培養部と、細胞を培養する前記第1の凹部よりも大きい第2の凹部が設けられた多孔体からなる第2の細胞培養担体を第2の内部空間に密閉可能に保持する第2の密閉系部材と、前記第2の内部空間に培養液が充填された状態で、前記第2の内部空間に保持された前記第2の細胞培養担体の前記第2の凹部及び前記第2の凹部が設けられた第3面に対向する第4面に対して第2の水圧を供給する第2の水圧供給部と、を備えた第2の細胞培養部と、前記第1の内部空間と前記第2の内部空間とを連結し、前記第1の細胞培養担体の前記第2面に対する前記第1の水圧により前記第1の凹部から剥離された細胞を前記第1の内部空間から前記第2の内部空間に搬送する細胞搬送部と、前記細胞搬送部と異なる位置で前記第2の内部空間と連結し、前記第2の細胞培養担体の前記第4面に対する前記第2の水圧により前記第2の凹部から剥離された細胞を前記第2の内部空間から回収する細胞回収部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
このような構成とすることで、軟骨細胞等の圧力に強い細胞を培養することができ、かつ、トリプシン処理等の酵素処理を行う事無く、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から容易に剥離させることができ、更に、ピペッティング等による移動作業も行う必要が無いため、複数の細胞培養担体を用いた段階的な細胞培養を容易に行うことができる。
【0014】
前記第1の内部空間又は前記第2の内部空間のいずれか一方又は両方に対して培養液を充填し、前記充填させた培養液を循環させる培養液循環系が更に設けられていることが好ましい。
【0015】
このような構成とすることで、上述した効果に加え、培養液循環系が設けられた内部空間内において灌流培養も可能となる。
【0016】
前記細胞搬送部の前記第2の内部空間と連結する連結部は、前記第2の内部空間に保持された前記第2の細胞培養担体の前記第2の凹部の直上に設けられていることが好ましい。
【0017】
このような構成とすることで、第1の内部空間から第2の内部空間に搬送された細胞を容易に第2の細胞培養担体の第2の凹部内に導くことができる。
【0018】
より好ましくは、前記第2の内部空間には、前記細胞搬送部から搬送された細胞を前記第2の細胞培養担体の前記第2の凹部内に導くための細胞整流手段が新たに設けられていることが好ましい。ここでいう細胞整流手段は、具体的には、前記第2の内部空間に設けられた整流板である。
【0019】
このような構成とすることで、より確実に、第1の内部空間から第2の内部空間に搬送された細胞を第2の細胞培養担体の第2の凹部内に導くことができる。
【0020】
前記第2の凹部を構成する空間の大きさは、前記第1の凹部を構成する空間の大きさよりも全方向に等倍で大きいことが好ましい。
【0021】
このような構成とすることで、球状の細胞を確実に培養することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、トリプシン処理等の酵素処理を行う事無く、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から容易に剥離させることができ、更に、ピペッティング等による移動作業も行う必要が無いため、複数の細胞培養担体を用いた段階的な細胞培養を容易に行うことができる細胞培養モジュールが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明について、図面を参照して、詳細に説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る細胞培養モジュールの断面構成を示す概念図である。本実施形態に係る細胞培養モジュール100は、図1に示すように、第1の細胞培養部101と、第2の細胞培養部102と、細胞搬送部50と、細胞回収部30とで構成されている。
【0025】
第1の細胞培養部101は、第1の密閉系部材10と、第1の水圧供給部20とで構成されている。
【0026】
第1の密閉系部材10は、例えば、図1に示すように、下蓋10Aと、下蓋10A上に設けられた上蓋10Bと、下蓋10Aと上蓋10Bとを固定する固定部材15とで構成されている。
【0027】
下蓋10Aは、図1に示すように、第1の細胞培養担体Sを保持し、かつ、培養液を収容するための凹部10Aaを備える凹形状で構成されている。
【0028】
上蓋10Bは、図1に示すように、下蓋10A上に設けられ、下蓋10Aと第1の内部空間12を形成し、第1の内部空間12を密閉可能に保持するために、下蓋10Aの凹部10Aaに密閉可能に契合する凸部10Baを備えている。
【0029】
第1の細胞培養担体Sの保持は、例えば、図1に示すように、下蓋10Aの凹部10Aaの底部10Aa1に○−リング17aを配置し、○−リング17a上に第1の細胞培養担体Sを配置し、第1の細胞培養担体S上に○−リング17bを配置し、○−リング17a、第1の細胞培養担体S及び○−リング17bを、下蓋10Aと上蓋10Bとを一体に固定する際に、上蓋10Bの凸部10Baで、○−リング17bを加圧することで、下蓋10Aの凹部10Aa内に第1の細胞培養担体Sを保持する。
【0030】
なお、下蓋10Aの凹部10Aaに、上蓋10Bの凸部10Baを契合させる際には、第1の内部空間12が密閉可能に保持されるように、上蓋10Bの凸部10Baに設けられた窪みに○−リング17cを取り付けてから行う。
【0031】
下蓋10A及び上蓋10Bは、例えば、アクリル樹脂で構成されている。
【0032】
固定部材15は、例えば、SUS304で構成されている。
【0033】
○−リング17a、17b、17cは、例えば、フッ素系ゴムで構成されている。
【0034】
なお、第1の密閉系部材10は、本実施形態では、前述したように、下蓋10Aと上蓋10Bとが固定部材15により一体に固定された構成で説明しているが、本発明は、第1の細胞培養担体Sを第1の内部空間12に密閉可能に保持することができれば、上述した構成に限定されない。
【0035】
第1の内部空間12に密閉可能に保持される第1の細胞培養担体Sは、その表面(第1面)Sa1に細胞を培養するための第1の凹部S11が設けられた多孔体で構成されている。
【0036】
前記第1の細胞培養担体Sは、ジルコニア、イットリア、チタニア、アルミナ、シリカ、ハイドロキシアパタイトおよびβ−リン酸三カルシウムのうちの少なくともいずれか1種のセラミックスまたはガラスにより構成される。これらのセラミックスまたはガラスは、生体安定性が高いため、好適である。
【0037】
第1の水圧供給部20は、下蓋10Aの底部10Aa1に一体に又は着脱可能に設けられ、第1の内部空間12に培養液を供給する。
【0038】
第1の水圧供給部20は、例えば、図1に示すように、培養液を収容する培養液収容部22と、一端が該底部10Aa1に他端が該収容部22に取り付けられ、該収容部22に収容された培養液を第1の内部空間12に供給する培養液供給管24と、該供給管24に取り付けられ、第1の内部空間12に供給する培養液の供給量を制御する供給量制御部26と、該収容部22に取り付けられ、培養液供給の際の供給圧を制御する供給圧制御部28とを備える。
【0039】
培養液収容部22は、例えば、樹脂性の収容容器で構成されている。
【0040】
培養液供給管24は、例えば、樹脂性のチューブで構成されている。
【0041】
供給量制御部26は、例えば、該培養液の供給量を制御する電磁弁で構成されている。電磁弁は図示しない制御部により、その開閉動作及び開閉量が制御され、その開閉量によって、該培養液の供給量が制御される。
【0042】
供給圧制御部28は、例えば、培養液収容部22から培養液供給管24に対して高圧ガスを供給する高圧ガス供給装置で構成されている。
【0043】
更に、第1の水圧供給部20は、第1の内部空間12に保持された第1の細胞培養担体Sの裏面側Sb1(第1の細胞培養担体Sの第1の凹部S11が設けられた面(第1面)Sa1に対向する面(第2面))方向に液圧を与えることで、前記第2面Sb1に第1の水圧を供給する。
【0044】
第1の水圧を与える方法は、密閉された第1の内部空間12に培養液が充填された状態で、第1の内部空間12に培養液を供給するように供給量制御部26及び供給圧制御部28を制御することで行う。
【0045】
すなわち、第1の内部空間12に培養液が充填された状態で、供給量制御部26を「開」状態として、供給圧制御部28により培養液の供給圧を大きくすることで大きい第1の水圧が、供給圧を小さくすることで小さい第1の水圧が第1の細胞培養担体Sの第2面Sb1に供給される。
【0046】
前記第1の水圧を第1の細胞培養担体Sの第2面Sb1に与えることにより、第1の細胞培養担体Sの第1の凹部S11で培養された細胞は、第1の細胞培養担体Sから剥離され、第1の内部空間12に充填された培養液内に浮遊する。
【0047】
なお、第1の細胞培養担体Sの第2面Sb1に供給した第1の水圧を、第1の細胞培養担体Sの第1の凹部S11の表面まで伝達させるためには、第1の細胞培養担体Sは多孔質体(多孔体)で構成されていることが必要である。
【0048】
より好ましくは、前記第1の細胞培養担体Sを構成する多孔体の気孔の平均気孔径が10nm以上10μm以下であり、前記気孔は前記第1の細胞培養担体Sの前記第1の凹部S11の表面から、前記第2面Sb1まで連通して設けられていることが好ましい。
【0049】
このような構成とすることで、第1の細胞培養担体Sの第2面Sb1に供給した第1の水圧を、第1の細胞培養担体Sの第1の凹部S11の表面まで伝達することができるため、第1の細胞培養担体Sの第1の凹部S11で培養した細胞を、第1の細胞培養担体Sから容易に剥離させることができる。
【0050】
第2の細胞培養部102は、第2の密閉系部材110と、第2の水圧供給部120とで構成されている。
【0051】
第2の密閉系部材110は、例えば、図1に示すように、下蓋110Aと、下蓋110A上に設けられた上蓋110Bと、下蓋110Aと上蓋110Bとを固定する固定部材115とで構成されている。
【0052】
下蓋110Aは、図1に示すように、第2の細胞培養担体Sを保持し、かつ、培養液を収容するための凹部110Aaを備える凹形状で構成されている。
【0053】
上蓋110Bは、図1に示すように、下蓋110A上に設けられ、下蓋110Aと第2の内部空間112を形成し、第2の内部空間112を密閉可能に保持するために、下蓋110Aの凹部110Aaに密閉可能に契合する凸部110Baを備えている。
【0054】
第2の細胞培養担体Sの保持は、例えば、図1に示すように、下蓋110Aの凹部110Aaの底部110Aa1に○−リング117aを配置し、○−リング117a上に第2の細胞培養担体Sを配置し、第2の細胞培養担体S上に○−リング117bを配置し、○−リング117a、第2の細胞培養担体S及び○−リング117bを、下蓋110Aと上蓋110Bとを一体に固定する際に、上蓋110Bの凸部110Baで、○−リング117bを加圧することで、下蓋110Aの凹部110Aa内に第2の細胞培養担体Sを保持する。
【0055】
なお、下蓋110Aの凹部110Aaに、上蓋110Bの凸部110Baを契合させる際には、第2の内部空間112が密閉可能に保持されるように、上蓋110Bの凸部110Baに設けられた窪みに○−リング117cを取り付けてから行う。
【0056】
下蓋110A及び上蓋110Bは、例えば、アクリル樹脂で構成されている。
【0057】
固定部材115は、例えば、SUS304で構成されている。
【0058】
○−リング117a、117b、117cは、例えば、フッ素系ゴムで構成されている。
【0059】
なお、第2の密閉系部材110は、本実施形態では、前述したように、下蓋110Aと上蓋110Bとが固定部材115により一体に固定された構成で説明しているが、本発明は、第2の細胞培養担体Sを第2の内部空間112に密閉可能に保持することができれば、上述した構成に限定されない。
【0060】
第2の内部空間112に密閉可能に保持される第2の細胞培養担体Sは、その表面(第3面)Sa2に細胞を培養するための第2の凹部S22が設けられた多孔体で構成されている。なお、この第2の凹部S22を構成する空間の大きさは、前記第1の凹部S11を構成する空間の大きさよりも大きく構成されている。
【0061】
前記第2の細胞培養担体Sは、ジルコニア、イットリア、チタニア、アルミナ、シリカ、ハイドロキシアパタイトおよびβ−リン酸三カルシウムのうちの少なくともいずれか1種のセラミックスまたはガラスにより構成される。これらのセラミックスまたはガラスは、生体安定性が高いため、好適である。
【0062】
第2の水圧供給部120は、下蓋110Aの底部110Aa1に一体に又は着脱可能に設けられ、第2の内部空間112に培養液を供給する。
【0063】
第2の水圧供給部120は、例えば、図1に示すように、培養液を収容する培養液収容部122と、一端が該底部110Aa1に他端が該収容部122に取り付けられ、該収容部122に収容された培養液を第2の内部空間112に供給する培養液供給管124と、該供給管124に取り付けられ、第2の内部空間112に供給する培養液の供給量を制御する供給量制御部126と、該収容部122に取り付けられ培養液供給の際の供給圧を制御する供給圧制御部128とを備える。
【0064】
培養液収容部122は、例えば、樹脂性の収容容器で構成されている。
【0065】
培養液供給管124は、例えば、樹脂性のチューブで構成されている。
【0066】
供給量制御部126は、例えば、該培養液の供給量を制御する電磁弁で構成されている。電磁弁は図示しない制御部により、その開閉動作及び開閉量が制御され、その開閉量によって、該培養液の供給量が制御される。
【0067】
供給圧制御部128は、例えば、培養液収容部122から培養液供給管124に対して高圧ガスを供給する高圧ガス供給装置で構成されている。
【0068】
更に、第2の水圧供給部120は、第2の内部空間112に保持された第2の細胞培養担体Sの裏面側Sb2(第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22が設けられた面(第3面)Sa2に対向する面(第4面))方向に液圧を与えることで、前記第4面Sb2に第2の水圧を供給する。
【0069】
第2の水圧を与える方法は、密閉された第2の内部空間112に培養液が充填された状態で、第2の内部空間112に培養液を供給するように供給量制御部126及び供給圧制御部128を制御することで行う。
【0070】
すなわち、第2の内部空間112に培養液が充填された状態で、供給量制御部126を「開」状態として、供給圧制御部128により培養液の供給圧を大きくすることで大きい第2の水圧が、供給圧を小さくすることで小さい第2の水圧が第2の細胞培養担体Sの第4面Sb2に供給される。
【0071】
前記第2の水圧を前記第2の細胞培養担体Sの第4面Sb2に与えることにより、第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22で培養された細胞は、第2の細胞培養担体Sから剥離され、第2の内部空間112に充填された培養液内に浮遊する。
【0072】
なお、第2の細胞培養担体Sの第4面Sb2に供給した第2の水圧を、第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22の表面まで伝達させるためには、第2の細胞培養担体Sは多孔質体(多孔体)で構成されていることが必要である。
【0073】
より好ましくは、前記第2の細胞培養担体Sを構成する多孔体の気孔の平均気孔径が10nm以上10μm以下であり、前記気孔は前記第2の細胞培養担体Sの前記第2の凹部S22の表面から、前記第4面Sb2まで連通して設けられていることが好ましい。
【0074】
このような構成とすることで、第2の細胞培養担体Sの第4面Sb2に供給した第2の水圧を、第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22の表面まで伝達することができるため、第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22で培養した細胞を、第2の細胞培養担体Sから容易に剥離させることができる。
【0075】
細胞搬送部50は、第1の内部空間12と第2の内部空間112とを連結し、前記第1の細胞培養担体Sの第2面Sb1に対する第1の水圧により前記第1の凹部S11から剥離された細胞を、培養液ごと第1の内部空間12から第2の内部空間112に搬送する。
【0076】
細胞搬送部50は、例えば、図1に示すように、第1の密閉系部材10の上蓋10Bの上部10Ba1と第2の密閉系部材110の上蓋110Bの上部110Ba1との間を連結する細胞搬送管52と、該搬送管52に取り付けられ、第1の内部空間12から第2の内部空間112に対して前記第1の凹部S11から剥離された細胞が含まれる培養液の搬送量を制御する搬送量制御部54とを備える。
【0077】
細胞搬送管52は、例えば、樹脂性のチューブで構成されている。
【0078】
搬送量制御部54は、例えば、前記剥離された細胞が含まれる培養液の搬送量を制御する電磁弁で構成されている。電磁弁は図示しない制御部により、その開閉動作及び開閉量が制御され、その開閉量によって、前記第1の凹部S11から剥離された細胞が含まれる培養液の搬送量が制御される。
【0079】
細胞回収部30は、細胞搬送部50の細胞搬送管52と異なる位置(図1では、第2の細胞培養担体Sの水平方向)で第2の密閉系部材110と一体に又は着脱可能に第2の内部空間112と連結し、第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22で培養され、第2の細胞培養担体Sの第4面Sb2に供給した第2の水圧により、第2の細胞培養担体Sから剥離された細胞を培養液ごと第2の内部空間112から回収する。
【0080】
細胞回収部30は、例えば、図1に示すように、培養した細胞を培養液ごと収容する細胞収容部32と、一端が第2の密閉系部材110に他端が該収容部32に取り付けられ、第2の内部空間112内で培養された細胞を培養液ごと該内部空間112から排出する細胞排出管34と、該排出管34に取り付けられ、該内部空間112から排出される培養液の排出量を制御する排出量制御部36とで構成されている。
【0081】
細胞収容部32は、例えば、樹脂性の収容容器で構成されている。
【0082】
細胞排出管34は、例えば、樹脂性のチューブで構成されている。
【0083】
排出量制御部36は、例えば、該排出量を制御する電磁弁で構成されている。電磁弁は図示しない制御部により、その開閉動作及び開閉量が制御され、その開閉量によって、該排出量が制御される。
【0084】
次に、図1に示す細胞培養モジュール100を用いた細胞培養方法の一例を、図2から図4を用いて説明する。
【0085】
図2から図4は、第1の実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。
【0086】
最初に第1の細胞培養担体Sの第2面Sb1に、フィーダー細胞(Feeder細胞)を設置する。
【0087】
次に、凹形状の下蓋10Aを用意し、下蓋10Aの底部10Aa1にO−リング17a、フィーダー細胞(Feeder細胞)が設置された第1の細胞培養担体S及びO−リング17bをこの順で積層して下蓋10Aの凹部10Aa内に設置する。その後、下蓋10Aの凹部10Aa内に設置した第1の細胞培養担体Sの第1の凹部S11に培養する細胞を設置する。なお、培養する細胞が第1の細胞培養担体Sの第1の凹部S11に設置されると、前記設置した細胞は、第1の細胞培養担体Sの表面に付着され、保持される。
【0088】
その後、上蓋10Bの凸部10Baの窪みにO−リング17cを挿入し、下蓋10Aの凹部10Aaと、上蓋10Bの凸部10Baとをそれぞれ契合させるように嵌め合わせ、固定部材15により下蓋10Aと上蓋10Bとを一体に固定して、第1の内部空間12が形成された本実施形態に係る第1の密閉系部材10を構成する。
【0089】
その後、下蓋10Aの底部10Aa1に第1の水圧供給部20の培養液供給管24を取
り付けることで、本実施形態に係る第1の細胞培養部101を構成する。
【0090】
次に、第1の密閉系部材10と同様に第2の密閉系部材110を構成する。すなわち、最初に第2の細胞培養担体Sの第4面Sb2に、フィーダー細胞(Feeder細胞を設置する。
【0091】
次に、凹形状の下蓋110Aを用意し、下蓋110Aの底部110Aa1にO−リング117a、フィーダー細胞(Feeder細胞)が設置された第2の細胞培養担体S及びO−リング117bをこの順で積層して下蓋110Aの凹部110Aa内に設置する。
【0092】
その後、上蓋110Bの凸部110Baの窪みにO−リング117cを挿入し、下蓋110Aの凹部110Aaと、上蓋110Bの凸部110Baとをそれぞれ契合させるように嵌め合わせ、固定部材115により下蓋110Aと上蓋110Bとを一体に固定して、第2の内部空間112が形成された本実施形態に係る第2の密閉系部材110を構成する。
【0093】
その後、下蓋110Aの底部110Aa1に第2の水圧供給部120の培養液供給管124を取り付けることで、本実施形態に係る第2の細胞培養部102を構成する。
【0094】
最後に、細胞搬送部50の細胞搬送管52の一端を、第1の密閉系部材10の上蓋10Bの上部10Ba1に、他端を、第2の密閉系部材110の上蓋110Bの上部110Ba1にそれぞれ連結させると共に、細胞回収部30の細胞排出管34を前記細胞搬送管52と異なる位置で第2の密閉系部材110と連結することで、本実施形態に係る細胞培養モジュール100を構成する。
【0095】
次に、排出量制御部36を「開」状態とし(本実施形態では排出量制御部36の電磁弁を「開」状態とし)、搬送量制御部54を「開」状態とし(本実施形態では搬送量制御部54の電磁弁を「開」状態とし)、更に、供給量制御部26、126をそれぞれ「開」状態とし(本実施形態では供給量制御部26、126の電磁弁を「開」状態とし)、供給圧制御部28、128から供給圧を与えることで、第1の内部空間12、第2の内部空間112及び細胞搬送管52内に培養液が完全に満たされるまで、培養液収容部22、122から培養液を供給する。
【0096】
第1の内部空間12、第2の内部空間112及び細胞搬送管52内に培養液が完全に満たされた時点で供給圧制御部28、128からの供給圧を止めて、供給量制御部26、126を「閉」状態とし(本実施形態では供給量制御部26、126の電磁弁を「閉」状態とし)、同時に、排出量制御部36を「閉」状態とし(本実施形態では排出量制御部36の電磁弁を「閉」状態とし)、更に、搬送量制御部54を「閉」状態(本実施形態では搬送量制御部54の電磁弁を「閉」状態)とする。
【0097】
これによって、第1の細胞培養担体Sの第1の凹部S11に保持された細胞が第1の内部空間12内で培養される環境が整う(図2)。
【0098】
第1の内部空間12内で細胞培養後、排出量制御部36を「開」状態として第2の内部空間112内の培養液の排出を開始すると共に、搬送量制御部54及び供給量制御部26を「開」状態とし、更に、供給圧制御部28から供給圧を与えて第1の内部空間12に新たに培養液の供給を開始する。この操作により、第1の細胞培養担体Sの第2面Sb1方向に、第1の水圧供給部20から液圧P1が供給される。この液圧P1により、第1の細胞培養担体Sの第2面Sb1には水圧が供給されるため、第1の細胞培養担体Sの第1の凹部S11で培養された細胞は、第1の細胞培養担体Sの第1の凹部S11の表面から剥離され、第1の内部空間12内の培養液内に浮遊し、そのまま、培養液と共に、細胞搬送管52内を流れ、第2の内部空間112内に搬送され、次に、第2の内部空間112に保持された第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22内に、前記細胞が入り込み、第2の凹部S22内で第2の細胞培養担体Sの表面に付着され、保持される。
【0099】
その後、供給圧制御部28から供給圧を止めた後、供給量制御部26、排出量制御部36及び搬送量制御部54を「閉」状態とする。
【0100】
これによって、第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22に保持された細胞が第2の内部空間112内で培養される環境が整う(図3)。
【0101】
第2の内部空間112内で細胞培養後、排出量制御部36を「開」状態として第2の内部空間112内の培養液の排出を開始すると共に、供給量制御部126を「開」状態とし、更に、供給圧制御部128から供給圧を与えて第2の内部空間112に新たに培養液の供給を開始する。この操作により、第2の細胞培養担体Sの第4面Sb2方向に、第2の水圧供給部120から液圧Pが供給される。この液圧Pにより、第2の細胞培養担体Sの第4面Sb2に水圧が供給されるため、第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22で培養された細胞は、第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22の表面から剥離され、第2の内部空間112内の培養液内に浮遊し、そのまま、培養液と共に、細胞回収部30の細胞排出管34を経て、細胞収容部32に回収される(図4)。
【0102】
以上より、本実施形態に係る細胞培養モジュールは、上述したような構成を備えている
ため、トリプシン処理等の酵素処理を行う事無く、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から容易に剥離させることができる。更に、ピペッティング等による移動作業も行う必要が無いため、複数の細胞培養担体を用いた段階的な細胞培養を容易に行うことができる。
【0103】
なお、本実施形態で説明した細胞搬送管52は、図1では、一端を、第1の密閉系部材10の上蓋10Bの上部10Ba1に連結させた構成で説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図5に示すように、下蓋10Aの凹部10Aaに保持された第1の細胞培養担体Sの水平方向に、前記細胞搬送管52の一端を連結させてもよい。
【0104】
細胞搬送部50の第2の内部空間112と連結する連結部は、図1に示すように、前記第2の内部空間112に保持された第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22の直上に設けられていることが好ましい。このような構成とすることで、第1の内部空間12から第2の内部空間112に搬送された細胞を容易に第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22内に導くことができる。
【0105】
また、より好ましくは、第2の内部空間112には、細胞搬送部50から搬送された細胞を第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22内に導くための細胞整流手段が新たに設けられていることが好ましい。
【0106】
このような構成とすることで、より確実に、第1の内部空間12から第2の内部空間112に搬送された細胞を容易に第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22内に導くことができる。
【0107】
このような細胞整流手段は、具体的には、図6に示すように、第2の密閉系部材110の上蓋110Bの凸部110Baの内側、すなわち、第2の内部空間112に取り付けられた整流板150(図6ではリング状であり、リング内側の内径が下方に向かって縮小している形状)で構成されていることが好ましい。整流板150の断面図及び上面図を図17(a)及び(b)に示す。図17(a)及び(b)に示すように、整流板150は、リング状であり、前記リング状の中央部151aは下方に向かってその径が減少する構成を有している。なお、ここでいう整流板150は、例えば、アクリル樹脂で構成されている。
【0108】
前記第2の凹部S22を構成する空間の大きさは、前記第1の凹部S11を構成する空間の大きさよりも全方向に等倍で大きいことが好ましい。
【0109】
図7は、第1の実施形態に係る細胞培養モジュールに用いられる第1の細胞培養担体Sの第1の凹部S11近傍の(a)上面図、(b)(a)のA−A線における断面図であり、図8は、第1の実施形態の細胞培養モジュールに用いられる第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22近傍の(a)上面図、(b)(a)のB−B線における断面図である。
【0110】
ここでいう「全方向に等倍で大きい」とは、図8に示す第2の凹部S22の上面の開口部の幅X及び深さYの両方が、図7に示す第1の凹部S11の上面の開口部の幅X及び深さYより同一の等倍で大きい、すなわち、X=aX、Y=aY(aは1より大きい自然数)で構成されていることをいう。
【0111】
このような構成とすることで、球状の細胞を確実に培養することができる。
【0112】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係る細胞培養モジュールの断面構成を示す概念図である。本実施形態に係る細胞培養モジュール200は、第1の実施形態で説明した図5に示す第1の細胞培養部101が、第3の水圧供給部60を新たに備えた第1の細胞培養部101aに置き換えられ、第2の細胞培養部102が、第4の水圧供給部160を新たに備えた第2の細胞培養部102aに置き換えられた点が異なる。その他は、第1の実施形態と同様なため説明を省略する。
【0113】
第3の水圧供給部60は、第1の密閉系部材10の上蓋10Bの上部10Ba1に一体に又は着脱可能に設けられ、第1の内部空間12に培養液を供給する。
【0114】
第3の水圧供給部60は、例えば、図9に示すように、培養液を収容する培養液収容部62と、一端が上蓋10Bの上部10Ba1に、他端が該収容部62に取り付けられ、該収容部62に収容された培養液を第1の内部空間12に供給する培養液供給管64と、該供給管64に取り付けられ該内部空間12に供給する培養液の供給量を制御する供給量制御部66と、該収容部62に取り付けられ培養液供給の際の供給圧を制御する供給圧制御部68とを備える。
【0115】
培養液収容部62は、例えば、樹脂性の収容容器で構成されている。
【0116】
培養液供給管64は、例えば、樹脂性のチューブで構成されている。
【0117】
供給量制御部66は、例えば、該培養液の供給量を制御する電磁弁で構成されている。電磁弁は図示しない制御部により、その開閉動作及び開閉量が制御され、その開閉量によって、該培養液の供給量が制御される。
【0118】
供給圧制御部68は、例えば、培養液収容部62から培養液供給管64に対して高圧ガ
スを供給する高圧ガス供給装置で構成されている。
【0119】
また、第3の水圧供給部60は、第1の内部空間12に保持された第1の細胞培養担体Sの第1の凹部S11方向に液圧を与えることで、第1の凹部S11に水圧を供給する。
【0120】
水圧を与える方法は、密閉された第1の内部空間12に培養液が充填された状態で、該内部空間12に培養液を供給するように供給量制御部66及び供給圧制御部68を制御することで行う。
【0121】
すなわち、第1の内部空間12に培養液が充填された状態で、供給量制御部66を「開」状態として、供給圧制御部68により培養液の供給圧を大きくすることで大きい水圧が、供給圧を小さくすることで小さい水圧が第1の細胞培養担体Sの第1の凹部S11に供給される。第3の水圧供給部60により液圧を第1の細胞培養担体Sの第1の凹部S11方向に与えながら、第1の凹部S11内で細胞を培養すると、軟骨細胞等の圧力に強い細胞を培養することができる。
【0122】
第4の水圧供給部160は、第2の密閉系部材110の上蓋110Bの上部110Ba1に一体に又は着脱可能に設けられ、第2の内部空間112に培養液を供給する。
【0123】
第4の水圧供給部160は、例えば、図9に示すように、培養液を収容する培養液収容部162と、一端が搬送量制御部54と第2の密閉系部材110との間の細胞搬送管52に、他端が該収容部162に取り付けられ、該収容部162に収容された培養液を第2の内部空間112に供給する培養液供給管164と、該供給管164に取り付けられ該内部空間112に供給する培養液の供給量を制御する供給量制御部166と、該収容部162に取り付けられ培養液供給の際の供給圧を制御する供給圧制御部168とを備える。
【0124】
培養液収容部162は、例えば、樹脂性の収容容器で構成されている。
【0125】
培養液供給管164は、例えば、樹脂性のチューブで構成されている。
【0126】
供給量制御部166は、例えば、該培養液の供給量を制御する電磁弁で構成されている。電磁弁は図示しない制御部により、その開閉動作及び開閉量が制御され、その開閉量によって、該培養液の供給量が制御される。
【0127】
供給圧制御部168は、例えば、培養液収容部162から培養液供給管164に対して高圧ガスを供給する高圧ガス供給装置で構成されている。
【0128】
また、第4の水圧供給部160は、第2の内部空間112に保持された第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22方向に液圧を与えることで、第2の凹部S22に水圧を供給する。
【0129】
水圧を与える方法は、密閉された第2の内部空間112に培養液が充填された状態で、該内部空間112に培養液を供給するように供給量制御部166及び供給圧制御部168を制御することで行う。
【0130】
すなわち、第2の内部空間112に培養液が充填された状態で、供給量制御部166を「開」状態として、供給圧制御部168により培養液の供給圧を大きくすることで大きい水圧が、供給圧を小さくすることで小さい水圧が第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22に供給される。第4の水圧供給部160により液圧を第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22方向に与えながら、第2の凹部S22内で細胞を培養すると、第2の内部空間112内においても軟骨細胞等の圧力に強い細胞を培養することができる。
【0131】
次に、図9に示す細胞培養モジュール200を用いた細胞培養方法の一例を、図10から図13を用いて説明する。なお、第1の実施形態で説明した部分と重複する部分の説明は省略する。
【0132】
図10から図13は、第2の実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。
【0133】
最初に、本実施形態に係る第1の密閉系部材10、第2の密閉系部材110を構成する。
【0134】
その後、第1の密閉系部材10の下蓋10Aの底部10Aa1に第1の水圧供給部20の培養液供給管24を取り付け、第1の密閉系部材10の上蓋10Bの上部10Ba1に第3の水圧供給部60の培養液供給管64を取り付けることで、第1の細胞培養部101aを構成する。
【0135】
更に、第2の密閉系部材110の下蓋110Aの底部110Aa1に第2の水圧供給部120の培養液供給管124を取り付け、更に、細胞搬送部50の細胞搬送管52の一端を第1の密閉系部材10の第1の細胞培養担体Sの水平方向に、他端を第2の密閉系部材110の上蓋110Bの上部110Ba1にそれぞれ連結させ、更に、細胞回収部30の細胞排出管34を細胞搬送管52と異なる位置(図9では、第2の細胞培養担体Sの水平方向)で第2の密閉系部材110と連結する。
【0136】
最後に、搬送量制御部54と第2の密閉系部材110との間の細胞搬送管52に連結部Rを介して第4の水圧供給部160の培養液供給管164を連結させることで、第2の密閉系部材110、第2の水圧供給部120及び第4の水圧供給部160を備えた第2の細胞培養部102aを構成し、第1の細胞培養部101a、第2の細胞培養部102a、細胞搬送部50及び細胞回収部30を備えた本実施形態に係る細胞培養モジュール200を構成する。
【0137】
次に、排出量制御部36を「開」状態とし、搬送量制御部54を「開」状態とし、更に、供給量制御部26、126をそれぞれ「開」状態とし、供給圧制御部28、128から供給圧を与えることで、第1の内部空間12、第2の内部空間112及び細胞搬送管52内に培養液が完全に満たされるまで、培養液収容部22、122から培養液を供給する。
【0138】
第1の内部空間12、第2の内部空間112及び細胞搬送管52内に培養液が完全に満たされた時点で供給圧制御部28、128からの供給圧を止めて、供給量制御部26、126を「閉」状態とし、同時に、排出量制御部36を「閉」状態とし、更に、搬送量制御部54を「閉」状態とする。
【0139】
次に、供給量制御部66を「開」状態とし、供給圧制御部68から供給圧を与えることで、第1の内部空間12に保持された第1の細胞培養担体Sの第1の凹部S11方向に液圧Pを与えることで、第1の凹部S11に水圧を供給する。
【0140】
これによって、第1の細胞培養担体Sの第1の凹部S11に保持された細胞が第1の内部空間12内で培養される環境が整う(図10)。
【0141】
第1の内部空間12内で細胞培養後、供給圧制御部68からの供給圧を止め、供給量制御部66を「閉」状態とし、排出量制御部36を「開」状態として第2の内部空間112内の培養液の排出を開始すると共に、搬送量制御部54及び供給量制御部26を「開」状態とし、更に、供給圧制御部28から供給圧を与えて第1の内部空間12に新たに培養液の供給を開始する。この操作により、第1の細胞培養担体Sの第2面Sb1方向に、第1の水圧供給部20から液圧P1が供給される。この液圧P1により、第1の細胞培養担体Sの第2面Sb1には水圧が供給されるため、第1の細胞培養担体Sの第1の凹部S11で培養された細胞は、第1の細胞培養担体Sの第1の凹部S11の表面から剥離され、第1の内部空間12内の培養液内に浮遊し、そのまま、培養液と共に、細胞搬送管52内を流れ、第2の内部空間112内に搬送され、第2の内部空間112に保持された第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22内に、前記細胞が入り込み、第2の凹部S22内で第2の細胞培養担体Sの表面に付着され、保持される(図11)。
【0142】
その後、供給圧制御部28から供給圧を止め、供給量制御部26、排出量制御部36及び搬送量制御部54を「閉」状態とする。
【0143】
次に、供給量制御部166を「開」状態とし、供給圧制御部168から供給圧を与えることで、第2の内部空間112に保持された第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22方向に液圧Pを与えることで、第2の凹部S22に水圧を供給する。
【0144】
これによって、第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22に保持された細胞が第2の内部空間112内で培養される環境が整う(図12)。
【0145】
第2の内部空間112内で細胞培養後、供給圧制御部168からの供給圧を止め、供給量制御部166を「閉」状態とし、排出量制御部36を「開」状態として第2の内部空間112内の培養液の排出を開始すると共に、供給量制御部126を「開」状態とし、更に、供給圧制御部128から供給圧を与えて第2の内部空間112に新たに培養液の供給を開始する。この操作により、第2の細胞培養担体Sの第4面Sb2方向に、第2の水圧供給部120から液圧Pが供給される。この液圧Pにより、第2の細胞培養担体Sの第4面Sb2に水圧が供給されるため、第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22で培養された細胞は、第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22の表面から剥離され、第2の内部空間112内の培養液内に浮遊し、そのまま、培養液と共に、細胞回収部30の細胞排出管34を経て、細胞収容部32に回収される(図13)。
【0146】
以上より、本実施形態に係る細胞培養モジュールは、上述したような構成を備えている
ため、軟骨細胞等の圧力に強い細胞を培養することができ、かつ、トリプシン処理等の酵素処理を行う事無く、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から容易に剥離させることができる。更に、ピペッティング等による移動作業も行う必要が無いため、複数の細胞培養担体を用いた段階的な細胞培養を容易に行うことができる。
【0147】
なお、本実施形態で説明した第4の水圧供給部160の培養液供給管164は、搬送量制御部54と第2の密閉系部材110との間の細胞搬送管52に連結部Rを介して連結させた構成で説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図14に示すように、細胞搬送管52及び培養液供給管164を上蓋110Bの上部110Ba1に各々独立に連結させてもよい(図14中α)。このような構成とすることで、第4の水圧供給部160からの水圧Pの供給がより効率的になるため好ましい。
【0148】
(第3の実施形態)
図15は、第3の実施形態に係る細胞培養モジュールの断面構成を示す概念図である。本実施形態に係る細胞培養モジュール300は、第1の実施形態で説明した図5に示す第1の細胞培養部101が、第1の培養液循環系500を新たに備えた第1の細胞培養部101bに置き換えられ、第2の細胞培養部102が、第2の培養液循環系600を新たに備えた第2の細胞培養部102bに置き換えられた点が異なる。その他は、第1の実施形態と同様なため説明を省略する。
【0149】
第1の培養液循環系500は、第1の内部空間12に培養液を供給すると共に、第1の内部空間12に供給された培養液を循環させる。また、第2の培養液循環系600は、第2の内部空間112に培養液を供給すると共に、第2の内部空間112に供給された培養液を循環させる。
【0150】
第1の培養液循環系500は、例えば、図15に示すように、培養液を事前に保持すると共に、循環された培養液を一時的に収容する培養液収容部512と、該収容部512に収容された培養液を第1の内部空間12内に循環方向Dnから供給する供給装置514と、第1の密閉系部材10、該収容部512及び供給装置514間を連結する配管516a、516b、516cと、配管516a、516cに取り付けられ、第1の培養液循環系500の循環のON/OFF及びその循環量を制御する循環量制御部518a、518bとを備える。配管516aは、第1の密閉系部材10の下蓋10Aの底部10Aa1に、配管516cは、第1の密閉系部材10の上蓋10Bの上部10Ba1の第1の細胞培養担体Sの第1の凹部S11の直上にそれぞれ連結されている。
【0151】
培養液収容部512は、例えば、樹脂性の収容容器で構成されている。
【0152】
供給装置514は、例えば、ポンプで構成されている。
【0153】
配管516a、516b、516cは、例えば、樹脂性のチューブで構成されている。
【0154】
循環量制御部518a、518bは、例えば、第1の実施形態で説明したような電磁弁で構成されている。
【0155】
第1の水圧供給部20の培養液供給管24は、図15に示すように、循環量制御部518aと第1の密閉系部材10の下蓋10Aの底部10Aa1との間の配管516aに連結部Rを介して連結されている。
【0156】
第2の培養液循環系600は、例えば、図15に示すように、培養液を事前に保持すると共に、循環された培養液を一時的に収容する培養液収容部612と、該収容部612に収容された培養液を第2の内部空間112内に循環方向Dnから供給する供給装置614と、第2の密閉系部材110、該収容部612及び供給装置614間を連結する配管616a、616b、616cと、配管616a、616cに取り付けられ、第2の培養液循環系600の循環のON/OFF及びその循環量を制御する循環量制御部618a、618bとを備える。配管616aは、第2の密閉系部材110の下蓋110Aの底部110Aa1に、配管616cは、第2の密閉系部材110の上蓋110Bの上部110Ba1の第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22の直上にそれぞれ連結されている。
【0157】
培養液収容部612は、例えば、樹脂性の収容容器で構成されている。
【0158】
供給装置614は、例えば、ポンプで構成されている。
【0159】
配管616a、616b、616cは、例えば、樹脂性のチューブで構成されている。
【0160】
循環量制御部618a、618bは、例えば、第1の実施形態で説明したような電磁弁で構成されている。
【0161】
第2の水圧供給部120の培養液供給管124は、図15に示すように、循環量制御部618aと第2の密閉系部材110の下蓋110Aの底部110Aa1との間の配管616aに連結部Rを介して連結されている。
【0162】
本実施形態に示す細胞培養モジュール300では、第1の水圧供給部20による液圧P1の供給は、第1の培養液循環系500の循環量制御部518a、518bを、「閉」状態として、その他は、第1の実施形態で説明した方法と同様な方法で行う。
【0163】
また、第2の水圧供給部120による液圧Pの供給においても、第2の培養液循環系600の循環量制御部618a、618bを、「閉」状態として、その他は、第1の実施形態で説明した方法と同様な方法で行う。
【0164】
また、前述した液圧Pの供給は、第1の培養液循環系500の循環量制御部518a、518bを、「開」状態として、培養液収容部512から供給装置514により培養液を第1の内部空間12内に供給し、循環方向Dnから循環させることで行う。
【0165】
また、前述した液圧Pの供給は、第2の培養液循環系600の循環量制御部618a、618bを、「開」状態として、培養液収容部612から供給装置614により培養液を第2の内部空間112内に供給し、循環方向Dnから循環させることで行う。
【0166】
以上より、本実施形態に係る細胞培養モジュールは、上述したような構成を備えている
ため、軟骨細胞等の圧力に強い細胞を培養することができ、かつ、トリプシン処理等の酵素処理を行う事無く、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から容易に剥離させることができる。更に、ピペッティング等による移動作業も行う必要が無いため、複数の細胞培養担体を用いた段階的な細胞培養を容易に行うことができる。
【0167】
なお、本実施形態で説明した第1の水圧供給部20の培養液供給管24は、循環量制御部518aと第1の密閉系部材10の下蓋10Aの底部10Aa1との間の配管516aに連結部Rを介して連結された構成で説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図16に示すように、配管516a及び培養液供給管24を下蓋10Aの底部10Aa1に各々独立に連結させてもよい(図16中β)。また、本実施形態で説明した第2の水圧供給部120の培養液供給管124は、循環量制御部618aと第2の密閉系部材110の下蓋110Aの底部110Aa1との間の配管616aに連結部Rを介して連結された構成で説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図16に示すように、配管616a及び培養液供給管124を下蓋110Aの底部110Aa1に各々独立に連結させてもよい(図16中γ)。
【0168】
このような構成とすることで、第1の水圧供給部20からの水圧Pの供給及び第2の水圧供給部120からの水圧Pの供給がより効率的になるため好ましい。
【0169】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において、各種の設計変更や改良を行うことができる。
【0170】
例えば、前述したように、第1、2の実施形態で説明した細胞培養モジュール100、200に、第3の実施形態で説明した第1の培養液循環系500、第2の培養液循環系600が更に設けられていてもよい。この場合、第1の培養液循環系500、第2の培養液循環系600を、第3の実施形態で説明したように第1の凹部S11、第2の凹部S22に液圧(水圧)を供給するような構成としてもよく、単に、第1の内部空間12、第2の内部空間112内の培養液を循環させるためだけに配置してもよい。
【0171】
なお、単に、第1の内部空間12、第2の内部空間112内の培養液を循環させるためだけに配置する場合は、第1の培養液循環系500又は第2の培養液循環系600のいずれか一方のみ配置してもよく、第1の培養液循環系500及び第2の培養液循環系600両方を配置してもよい。
【0172】
このような構成とすることで、上述した効果に加え、培養液循環系が設けられた内部空間内において灌流培養も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0173】
【図1】第1の実施形態に係る細胞培養モジュールの断面構成を示す概念図である。
【図2】第1の実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。
【図3】第1の実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。
【図4】第1の実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。
【図5】第1の実施形態に係る細胞培養モジュールの他の態様の断面構成を示す概念図である。
【図6】第1の実施形態に係る細胞培養モジュールの他の態様の断面構成を示す概念図である。
【図7】第1の実施形態に係る細胞培養モジュールに用いられる第1の細胞培養担体Sの第1の凹部S11近傍の(a)上面図、(b)(a)のA−A線における断面図である。
【図8】第1の実施形態の細胞培養モジュールに用いられる第2の細胞培養担体Sの第2の凹部S22近傍の(a)上面図、(b)(a)のB−B線における断面図である。
【図9】第2の実施形態に係る細胞培養モジュールの断面構成を示す概念図である。
【図10】第2の実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。
【図11】第2の実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。
【図12】第2の実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。
【図13】第2の実施形態に係る細胞培養モジュールを用いた細胞培養方法の一例を説明するための概念図である。
【図14】第2の実施形態に係る細胞培養モジュールの他の態様の断面構成を示す概念図である。
【図15】第3の実施形態に係る細胞培養モジュールの断面構成を示す概念図である。
【図16】第3の実施形態に係る細胞培養モジュールの他の態様の断面構成を示す概念図である。
【図17】第1の実施形態に係る細胞培養モジュールに用いられる整流板150の(a)断面図、(b)上面図である。
【符号の説明】
【0174】
10 第1の密閉系部材
10A 下蓋
10B 上蓋
12 第1の内部空間
15 固定部材
20 第1の水圧供給部
22 培養液収容部
24 培養液供給管
26 供給量制御部
28 供給圧制御部
30 細胞回収部
32 細胞収容部
34 細胞排出管
36 排出量制御部
50 細胞搬送部
52 細胞搬送管
54 搬送量制御部
60 第3の水圧供給部
62 培養液収容部
64 培養液供給管
66 供給量制御部
68 供給圧制御部
100 細胞培養モジュール
101 第1の細胞培養部
102 第2の細胞培養部
110 第2の密閉系部材
110A 下蓋
110B 上蓋
112 第2の内部空間
115 固定部材
120 第2の水圧供給部
122 培養液収容部
124 培養液供給管
126 供給量制御部
128 供給圧制御部
160 第4の水圧供給部
162 培養液収容部
164 培養液供給管
166 供給量制御部
168 供給圧制御部
500 第1の培養液循環系
512 培養液収容部
514 供給装置
516a 配管
516b 配管
516c 配管
518a 循環量制御部
518b 循環量制御部
600 第2の培養液循環系
612 培養液収容部
614 供給装置
616a 配管
616b 配管
616c 配管
618a 循環量制御部
618b 循環量制御部
第1の細胞培養担体
11 第1の凹部
第2の細胞培養担体
22 第2の凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞を培養する第1の凹部が設けられた多孔体からなる第1の細胞培養担体を第1の内部空間に密閉可能に保持する第1の密閉系部材と、前記第1の内部空間に培養液が充填された状態で、前記第1の内部空間に保持された前記第1の細胞培養担体の前記第1の凹部が設けられた第1面に対向する第2面に対して第1の水圧を供給する第1の水圧供給部と、を備えた第1の細胞培養部と、
細胞を培養する前記第1の凹部よりも大きい第2の凹部が設けられた多孔体からなる第2の細胞培養担体を第2の内部空間に密閉可能に保持する第2の密閉系部材と、前記第2の内部空間に培養液が充填された状態で、前記第2の内部空間に保持された前記第2の細胞培養担体の前記第2の凹部が設けられた第3面に対向する第4面に対して第2の水圧を供給する第2の水圧供給部と、を備えた第2の細胞培養部と、
前記第1の内部空間と前記第2の内部空間とを連結し、前記第1の水圧により前記第1の凹部から剥離された細胞を前記第1の内部空間から前記第2の内部空間に搬送する細胞搬送部と、
前記細胞搬送部と異なる位置で前記第2の内部空間と連結し、前記第2の水圧により前記第2の凹部から剥離された細胞を前記第2の内部空間から回収する細胞回収部と、
を備えることを特徴とする細胞培養モジュール。
【請求項2】
細胞を培養する第1の凹部が設けられた多孔体からなる第1の細胞培養担体を第1の内部空間に密閉可能に保持する第1の密閉系部材と、前記第1の内部空間に培養液が充填された状態で、前記第1の内部空間に保持された前記第1の細胞培養担体の前記第1の凹部及び前記第1の凹部が設けられた第1面に対向する第2面に対して第1の水圧を供給する第1の水圧供給部と、を備えた第1の細胞培養部と、
細胞を培養する前記第1の凹部よりも大きい第2の凹部が設けられた多孔体からなる第2の細胞培養担体を第2の内部空間に密閉可能に保持する第2の密閉系部材と、前記第2の内部空間に培養液が充填された状態で、前記第2の内部空間に保持された前記第2の細胞培養担体の前記第2の凹部及び前記第2の凹部が設けられた第3面に対向する第4面に対して第2の水圧を供給する第2の水圧供給部と、を備えた第2の細胞培養部と、
前記第1の内部空間と前記第2の内部空間とを連結し、前記第1の細胞培養担体の前記第2面に対する前記第1の水圧により前記第1の凹部から剥離された細胞を前記第1の内部空間から前記第2の内部空間に搬送する細胞搬送部と、
前記細胞搬送部と異なる位置で前記第2の内部空間と連結し、前記第2の細胞培養担体の前記第4面に対する前記第2の水圧により前記第2の凹部から剥離された細胞を前記第2の内部空間から回収する細胞回収部と、
を備えることを特徴とする細胞培養モジュール。
【請求項3】
前記第1の内部空間又は前記第2の内部空間のいずれか一方又は両方に対して培養液を充填し、前記充填させた培養液を循環させる培養液循環系が更に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の細胞培養モジュール。
【請求項4】
前記細胞搬送部の前記第2の内部空間と連結する連結部は、前記第2の内部空間に保持された前記第2の細胞培養担体の前記第2の凹部の直上に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の細胞培養モジュール。
【請求項5】
前記第2の内部空間には、前記細胞搬送部から搬送された細胞を前記第2の細胞培養担体の前記第2の凹部内に導くための細胞整流手段が新たに設けられていることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の細胞培養モジュール。
【請求項6】
前記細胞整流手段は、前記第2の内部空間に設けられた整流板であることを特徴とする請求項5に記載の細胞培養モジュール。
【請求項7】
前記第2の凹部を構成する空間の大きさは、前記第1の凹部を構成する空間の大きさよりも全方向に等倍で大きいことを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項に記載の細胞培養モジュール。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−75115(P2010−75115A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248758(P2008−248758)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(507182807)コバレントマテリアル株式会社 (506)
【Fターム(参考)】