説明

細胞培養装置

【課題】培養した細胞を該細胞培養担体から自動的に剥離させ、また培養した細胞を自動的に取り出すことのできる細胞培養装置を提供する。
【解決手段】細胞を培養する凹部が設けられた細胞培養担体を内部空間に密閉可能に保持する密閉系部材10と、細胞培養担体の凹部が設けられた第1面に対向する第2面に対して水圧あるいは空圧を供給する圧力供給部20と、前記細胞培養担体の凹部における細胞の培養状態を撮像するカメラ41と、前記カメラによって撮像された画像から培養している細胞の大きさを判定し、所定の大きさに培養されているか否かを検出する培養状態検出回路を有する画像処理動作制御部40とを備え、細胞が所定の大きさに培養されている場合に、前記画像処理動作制御部40の動作信号により、圧力供給部20が第2面に対して水圧あるいは空圧を供給し、細胞培養担体Sの凹部S1に培養された細胞を剥離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヒト骨髄液からの幹細胞の分離、目的とする組織細胞への分化・誘導、3次元培養技術、足場材料の開発等の進歩に伴い、細胞培養によって幹細胞から皮膚、骨、軟骨、血管、心臓弁、靭帯等の組織を作製することが可能となり、一部では、既に臨床応用が開始されている。
このような細胞の培養にあっては、基板表面上にアレイ状やハニカム状等に規則配列され、種細胞を凝集させて保持する細胞培養セルを備えた細胞培養チップを用いる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
また、細胞培養担体と細胞とを含む培養液を収納する培養容器と、培養液中で細胞培養担体を移動させるための磁場を発生する磁場発生装置とを備える細胞培養装置が知られている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2005−27598号公報
【特許文献2】特開2004−313007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した特許文献1、2に示すような細胞培養技術は、細胞を培養させた後、前記細胞培養チップや前記細胞培養担体からの剥離作業が必要となる。この剥離作業は、通常、トリプシン処理等の酵素処理を用いて行う。
しかしながら、このような酵素処理を長時間行うと培養した細胞はある程度劣化してしまい、最悪、細胞自体が死滅する場合がある。また、トリプシン処理等の酵素処理は、非常に作業が煩雑という問題もある。
かかる問題を解決するために、本出願人は、特願2008−172949号において、トリプシン処理等の酵素処理を行う事無く、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から容易に剥離させることができる細胞培養モジュールを提案している。
【0004】
この本出願人が提案した細胞培養モジュールは、細胞を培養する凹部が設けられた多孔体からなる細胞培養担体を内部空間に密閉可能に保持する密閉系部材と、前記内部空間に培養液が充填された状態で、前記内部空間に保持された細胞培養担体の前記凹部が設けられた第1面(培養面)に対向する第2面(培養面の背面)に対して水圧を供給する水圧供給部と、前記第2面に対する水圧により前記凹部から剥離された細胞を前記内部空間から回収する細胞回収部とを備えている。
【0005】
そして、この細胞培養モジュールにあっては、前記細胞培養担体の凹部が設けられた第1面(培養面)に対向する第2面(培養面の背面)に対して水圧を供給し、前記水圧により、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から剥離させるため、トリプシン処理等の酵素処理を行うことなく、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から容易に取り出すことができる。
【0006】
ところで、前記細胞培養モジュールに対して水圧を作用させ、培養した細胞を該細胞培養担体から取り出すには、作業者が培養した細胞を観察し、所定の大きさに培養されたと認められた場合に、水圧供給部の弁を開放し、第2面(培養面の背面)に対して水圧を供給し、この水圧によって培養した細胞を細胞培養担体から剥離させる必要がある。
そのため、培養した細胞の大きさにばらつきが生じるのみならず、弁の開放等の水圧供給動作を手動で行わなければならず、作業上、人手がかかり好ましいものではなかった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、一定の大きさを有する細胞を培養することができ、また培養した細胞を該細胞培養担体から自動的に剥離させることができ、更に培養した細胞を取り出すことのできる細胞培養装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、本発明にかかる細胞培養装置は、細胞を培養する凹部が設けられた多孔体からなる細胞培養担体を内部空間に密閉可能に保持する密閉系部材と、前記内部空間に培養液が充填された状態で、細胞培養担体の凹部が設けられた第1面に対向する第2面に対して水圧あるいは空圧を供給する圧力供給部と、前記細胞培養担体の凹部における細胞の培養状態を撮像する撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された画像から培養している細胞の大きさを判定し、所定の大きさに培養されているか否かを検出する培養状態検出回路を有する画像処理動作制御部と、を備え、細胞が所定の大きさに培養されている場合に、前記画像処理動作制御部の動作信号により、圧力供給部が細胞培養担体の第2面に対して水圧あるいは空圧を供給し、細胞培養担体の凹部に培養された細胞を剥離することを特徴としている。
【0009】
このように、細胞培養担体の凹部における細胞の培養状態を撮像装置によって撮像し、培養している細胞の大きさを判定し、所定の大きさに培養されている場合には、画像処理動作制御部の動作信号により、圧力供給部が水圧あるいは空圧を供給し、細胞培養担体の凹部で培養された細胞を自動的に剥離する。そのため、所定の大きさに培養されている細胞を得ることができると共に、省力化することができ、能率的に細胞を培養することができる。
【0010】
ここで、更に、前記第2面に対する水圧あるいは空圧によって前記凹部から剥離された細胞を、前記内部空間から回収する細胞回収部を備えていることが望ましい。
【0011】
また、前記密閉系部材と前記圧力供給部とを接続する培養液供給管と、前記培養液供給管に設けられた培養液の供給量を制御する供給制御電磁弁と、前記供給制御電磁弁の動作を制御するバルブコントローラとを備え、前記バルブコントローラが、前記画像処理動作制御部からの動作信号を受け、供給制御電磁弁の動作を制御し、細胞培養担体の凹部に培養された細胞を剥離することが望ましい。
【0012】
更に、前記密閉系部材と前記圧力供給部とを接続する培養液供給管と、前記密閉系部材と前記細胞回収部とを接続する排出管と、前記培養液供給管に設けられた培養液の供給量を制御する供給制御電磁弁と、前記排出管に設けられた培養液の排出量を制御する排出制御電磁弁と、前記供給制御電磁弁と排出制御電磁弁の動作を制御するバルブコントローラとを備え、前記バルブコントローラが、前記画像処理動作制御部からの動作信号を受け、供給制御電磁弁及び排出制御電磁弁の動作を制御し、細胞培養担体の凹部に培養された細胞を剥離する共に、剥離した細胞を前記細胞回収部により回収することが望ましい。
このように剥離した細胞を回収する場合には省力化することができ、しかも効率的に細胞を回収することができるため、好ましい。
【0013】
また、本発明にかかる細胞培養装置は、細胞を培養する凹部が設けられた多孔体からなる第1の細胞培養担体を内部空間に密閉可能に保持する密閉系部材と、前記内部空間に培養液が充填された状態で、細胞培養担体の凹部が設けられた第1面に対向する第2面に対して水圧あるいは空圧を供給する圧力供給部とを備えた第1の細胞培養モジュールと、前記第1の細胞培養担体の凹部における細胞の培養状態を撮像する第1の撮像装置と、前記第1の撮像装置によって撮像された画像から培養している細胞の大きさを判定し、所定の大きさに培養されているか否かを検出する培養状態検出回路を有する第1の画像処理動作制御部と、細胞を培養する凹部が設けられた多孔体からなる第2の細胞培養担体を内部空間に密閉可能に保持する密閉系部材と、前記内部空間に培養液が充填された状態で、細胞培養担体の凹部が設けられた第1面に対向する第2面に対して水圧あるいは空圧を供給する圧力供給部と、前記第2面に対する水圧あるいは空圧によって前記凹部から剥離された細胞を、前記内部空間から回収する細胞回収部とを備えた第2の細胞培養モジュールと、前記第2の細胞培養担体の凹部における細胞の培養状態を撮像する第2の撮像装置と、前記第2の撮像装置によって撮像された画像から培養している細胞の大きさを判定し、所定の大きさに培養されているか否かを検出する培養状態検出回路を有する第2の画像処理動作制御部と、前記第1の細胞培養モジュールの内部空間と第2の細胞培養モジュールとを接続する細胞搬送管と、を備えている。
そして、前記第1の画像処理動作制御部により、第1の細胞培養担体内で細胞が所定の大きさに培養されている場合には、前記第1の画像処理動作制御部の動作信号により、圧力供給部が第2面に対して水圧あるいは空圧を供給し、細胞培養担体の凹部に培養された細胞を剥離する共に、剥離した細胞を前記細胞搬送管を介して第2の細胞培養モジュールに搬送し、更に、第2の細胞培養モジュールにおける第2の細胞培養担体内で細胞が所定の大きさに培養されている場合には、前記第2の画像処理動作制御部の動作信号により、圧力供給部が第2面に対して水圧あるいは空圧を供給し、第2の細胞培養担体の凹部に培養された細胞を剥離する共に、剥離した細胞を細胞回収部により回収することを特徴としている。
【0014】
このように、第1、2の細胞培養モジュールを用いて、細胞を段階的に培養することができため、球状の細胞を培養することができる。特に、培養状態を撮像装置で撮像し、細胞培養担体からの剥離、搬送、回収を自動的に行うため、所定の大きさの球状の細胞を得ることができ、しかも省力化することができ、能率的に細胞を培養することができる。
【0015】
また、前記第1の細胞培養モジュールの密閉系部材と前記圧力供給部とを接続する培養液供給管に設けられた、培養液の供給量を制御する第1の供給制御電磁弁と、前記細胞搬送管に設けられた電磁弁と、前記第1の供給制御電磁弁と細胞搬送管の電磁弁の動作を制御する第1のバルブコントローラと、前記第2の細胞培養モジュールの密閉系部材と前記圧力供給部とを接続する培養液供給管に設けられた、培養液の供給量を制御する第2の供給制御電磁弁と、前記第2の細胞培養モジュールの密閉系部材と前記細胞回収部とを接続する排出管に設けられた、培養液の排出量を制御する排出制御電磁弁と、前記第2の供給制御電磁弁と排出制御電磁弁の動作を制御する第2のバルブコントローラと、を備え、前記第1のバルブコントローラが、第1の供給制御電磁弁と細胞搬送管の電磁弁の動作を制御することにより、第1の細胞培養モジュールで培養された細胞を第2の細胞培養モジュールへ搬送し、前記第2のバルブコントローラが、第1の供給制御電磁弁と排出制御電磁弁の動作を制御することにより、第2の細胞培養モジュールで培養された回収することが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、一定の大きさを有する細胞を培養することができ、また培養した細胞を該細胞培養担体から自動的に剥離させることができ、更に培養した細胞を取り出すことのできる細胞培養装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明について、図面を参照して、詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る細胞培養装置Aの概略構成図である。
この細胞培養装置Aに係る細胞培養モジュール1は、図1に示すように、密閉系部材10と、培養液水圧供給部20と、細胞回収部30とで構成されている。また、この細胞培養装置Aには、細胞の培養状態をカメラ41で撮像し、画像処理を行い所定の制御を行う画像処理動作制御部40とを備えている。
【0018】
前記密閉系部材10は、例えば、図1に示すように、下蓋10Aと、下蓋10A上に設けられた上蓋10Bと、下蓋10Aと上蓋10Bとを固定する固定部材15とで構成されている。
前記下蓋10Aは、図1に示すように、細胞培養担体Sを保持し、かつ、培養液を収容するための凹部10Aaを備える凹形状で構成されている。
一方、上蓋10Bは、図1に示すように、下蓋10A上に設けられ、下蓋10Aと内部空間12を形成し、該内部空間12を密閉可能に保持するために、該下蓋10Aの凹部10Aaに密閉可能に嵌合する凸部10Baを備えている。
【0019】
細胞培養担体Sの保持は、例えば、図1に示すように、下蓋10Aの凹部10Aaの底部10Aa1にO−リング17aを配置し、O−リング17a上に細胞培養担体Sを配置し、細胞培養担体S上にO−リング17bを配置し、O−リング17a、細胞培養担体S及びO−リング17bを、下蓋10Aと上蓋10Bとを一体に固定する際に、上蓋10Bの凸部10Baで、O−リング17bを加圧することで、下蓋10Aの凹部10Aa内に細胞培養担体Sを保持する。
なお、下蓋10Aの凹部10Aaに、上蓋10Bの凸部10Baを嵌合させる際には、内部空間12が密閉可能に保持されるように、上蓋10Bの凸部10Baに設けられた窪みにO−リング17cを取り付けてから行う。
【0020】
下蓋10A及び上蓋10Bは、例えば、アクリル樹脂で構成されている。固定部材15は、例えば、SUS304で構成されている。O−リング17a、17b、17cは、例えば、フッ素系ゴムで構成されている。
なお、前記密閉系部材10は、本実施形態では、前述したように、下蓋10Aと上蓋10Bとが固定部材15により一体に固定された構成で説明しているが、本発明は、細胞培養担体Sを内部空間12に密閉可能に保持することができれば、上述した構成に限定されない。
【0021】
内部空間12に密閉可能に保持される細胞培養担体Sは、その表面(第1面)Saに細胞を培養するための凹部S1が設けられた多孔体で構成されている。
前記細胞培養担体Sは、ジルコニア、イットリア、チタニア、アルミナ、シリカ、ハイドロキシアパタイトおよび竈−リン酸三カルシウムのうちの少なくともいずれか1種のセラミックスまたはガラスにより構成される。これらのセラミックスまたはガラスは、生体安定性が高いため、好適である。
【0022】
培養液水圧供給部20は、下蓋10Aの底部10Aa1に一体に又は着脱可能に設けられ、該内部空間12に培養液を供給する。
培養液水圧供給部20は、例えば、図1に示すように、培養液を収容する培養液収容部22と、一端が該底部10Aa1に他端が該収容部22に取り付けられ、該収容部22に収容された培養液を該内部空間12に供給する培養液供給管24と、該供給管24に取り付けられ、該内部空間12に供給する培養液の供給量を制御する供給量制御部26と、該収容部22に取り付けられ培養液供給の際の供給圧を制御する供給圧制御部28とを備える。
【0023】
培養液収容部22は、例えば、樹脂性の収容容器で構成されている。培養液供給管24は、例えば、樹脂性のチューブで構成されている。供給量制御部26は、例えば、該培養液の供給量を制御する電磁弁(供給制御電磁弁)で構成されている。この供給制御電磁弁26は、後述するバルブコントローラ42により、その開閉動作及び開閉量が制御され、その開閉量によって、該培養液の供給量が制御される。供給圧制御部28は、例えば、培養液収容部22から培養液供給管24に対して高圧ガスを供給する高圧ガス供給装置で構成されている。
【0024】
更に、培養液水圧供給部20は、該内部空間12に保持された細胞培養担体Sの裏面側Sb(細胞培養担体Sの凹部S1が設けられた面(第1面)Saに対向する面(第2面))方向に液圧を与えることで、前記第2面Sbに水圧を供給する。
水圧(液圧)を与える方法は、密閉された内部空間12に培養液が充填された状態で、該内部空間12に培養液を供給するように供給量制御部26及び供給圧制御部28を制御することで行う。即ち、内部空間12に培養液が充填された状態で、供給量制御部26を開状態として、供給圧制御部28により培養液の供給圧を大きくすることで大きい水圧が、また供給圧を小さくすることで小さい水圧が細胞培養担体Sの第2面Sbに供給される。
【0025】
前記水圧を細胞培養担体Sの第2面Sbに与えることにより、細胞培養担体Sの凹部S1で培養された細胞は、細胞培養担体Sから剥離され、内部空間12に充填された培養液内に浮遊する。
なお、細胞培養担体Sの第2面Sbに供給した水圧を、該細胞培養担体Sの凹部S1の表面まで伝達させるためには、該細胞培養担体Sは多孔質体(多孔体)で構成されていることが必要である。
【0026】
より好ましくは、前記細胞培養担体Sを構成する多孔体の気孔の平均気孔径が10nm以上10μm以下であり、前記気孔は前記細胞培養担体Sの前記凹部S1の表面から、前記第2面Sbまで連通して設けられていることが好ましい。
このような構成とすることで、細胞培養担体Sの第2面Sbに供給した水圧を、該細胞培養担体Sの凹部S1の表面まで伝達することができるため、細胞培養担体Sの凹部S1で培養した細胞を、細胞培養担体Sから容易に剥離させることができる。
【0027】
細胞回収部30は、上蓋10Bの上部10Ba1に一体に又は着脱可能に設けられ、細胞培養担体Sの凹部S1で培養され、細胞培養担体Sの第2面Sbに供給した水圧により、細胞培養担体Sから剥離された細胞を培養液ごと密閉系部材10の内部空間12から回収する。
細胞回収部30は、例えば、図1に示すように、培養した細胞を培養液ごと収容する細胞収容部32と、一端が該上部10Ba1に、他端が該収容部32に取り付けられ、該内部空間12内で培養された細胞を培養液ごと該内部空間12から排出する細胞排出管34と、該排出管34に取り付けられ、該内部空間12から排出される培養液の排出量を制御する排出量制御部36とで構成されている。
【0028】
細胞収容部32は、例えば、樹脂性の収容容器で構成されている。細胞排出管34は、例えば、樹脂性のチューブで構成されている。排出量制御部36は、例えば、該排出量を制御する電磁弁(排出制御電磁弁)で構成されている。この排出制御電磁弁は、後述するバルブコントローラ42により、その開閉動作及び開閉量が制御され、その開閉量によって、該排出量を制御する。
【0029】
次に、細胞の培養状態を撮像装置41で撮像し、画像処理を行い、所定の動作制御を行う画像処理動作制御部40ついて説明する。
前記密閉系部材10の上蓋10Bの上方には、CCDカメラのような撮像装置41が設けられている。そして、前記撮像装置41からの画像デ−タに基づいて細胞の培養状態を検出し、バルブコントローラ42に対して、動作信号を送出する画像処理動作制御部40が設けられている。尚、図2中、符号43は撮像装置41からの画像を表示する表示装置である。
【0030】
前記撮像装置41としては、CCDカメラを例にとって説明するが、特にこれに限定されるものではなく、細胞培養担体Sの凹部S1で培養されている細胞の像を画像デ−タに変換できるものであれば良く、例えば、ラインセンサーカメラ、遠赤外線検出素子等を用いることもできる。
前記画像処理動作制御部40は、図2に示すように、撮像装置41からの映像アナログ信号が入力される入力インタ−フェイス部40aと、入力インタ−フェイス部40aからのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路40bと、前記A/D変換回路40bからの信号を2値化する2値化処理回路40cと、2値化処理回路40cからの信号に基づいて、培養状態を検出する培養状態検出回路40dと、前記培養状態検出回路40dからの信号に基づいて、バルブコントローラ42を制御するバルブ動作制御回路40eと、前記2値化処理回路40c、培養状態検出回路40d、バルブ動作制御回路40eの動作を制御管理するコンピュ−タ40fとから構成されている。
【0031】
前記2値化処理回路40cは、A/D変換回路からのデジタル信号が一定の値(しきい値)より大きいかあるいは小さいかによって、すなわち所定の明度を基準として、細胞が存在しない場合には「0」、存在する場合は「1」として「0、1」の画像デ−タに変換するものである。
ここで、しきい値は、透明色だけが「0」、透明色以外の色、例えば茶色、クリ−ム色等のものは黒色「1」と判断されるように、あらかじめ設定する。
【0032】
また、培養状態検出回路40dは、前記2値化処理回路40cからの「1」のデ−タをカウントすることによって、培養している細胞の大きさ(面積)を検出し、培養の終了状態にある細胞か否かを検出するものである。
ここで、例えば、撮像装置における撮像素子の分解能が8μm(1画素の大きさ)の場合、4×4画素(16画素、1辺32μmの大きさ)を基準として、16個の画素における全てデ−タが「1」である場合に、径が30μm以上(面積が1024μm2)以上の細胞が存在していると認識される。
一方、16個の画素中、一群の4画素のデ−タが「1」である場合に、径が16μm以上(面積が256μm2)の細胞が存在していると認識される。
このように、細胞が存在すると認められる画素数を求めることにより、培養している細胞の大きさ(面積)を検出することができる。
【0033】
なお、図中のコンピュ−タ40fは、2値化処理回路40cのしきい値を変えたり、培養状態検出回路40dにおける培養終了時の細胞の大きさ(径)を変えたり、あるいはまたバルブ動作制御回路40eからのバルブコントローラ42への信号の送出タイミング等の管理調整のために用いられる。
【0034】
次に、図1に示す細胞培養装置を用いた細胞培養方法の一例を、図2乃至図4に基づいて説明する。
最初に、図3に示すように、細胞培養担体Sの第2面Sbに、フィーダー細胞(Feeder細胞)を設置する。次に、凹形状の下蓋10Aを用意し、下蓋10Aの底部10Aa1にO−リング17a、フィーダー細胞(Feeder細胞)が設置された細胞培養担体S及びO−リング17bをこの順で積層して下蓋10Aの凹部10Aa内に設置する。その後、下蓋10Aの凹部10Aa内に設置した細胞培養担体Sの凹部S1に培養する細胞を設置する。なお、培養する細胞が細胞培養担体Sの凹部S1に設置されると、前記設置した細胞は、細胞培養担体Sの表面に付着され、保持される。
【0035】
その後、上蓋10Bの凸部10Baの窪みにO−リング17cを挿入し、下蓋10Aの凹部10Aaと、上蓋10Bの凸部10Baとをそれぞれ嵌め合わせ、固定部材15により下蓋10Aと上蓋10Bとを一体に固定して、内部空間12が形成された本実施形態に係る密閉系部材10を構成する。
その後、下蓋10Aの底部10Aa1に培養液水圧供給部20の培養液供給管24を取り付けると共に、上蓋10Bの上部10Ba1に細胞回収部30の細胞排出管34を取り付けることで、本実施形態に係る細胞培養モジュール1を構成する。
【0036】
次に、細胞回収部30の排出量制御部36を「開」状態とし(本実施形態では排出制御電磁弁を「開」状態として)、培養液水圧供給部20の供給量制御部26を「開」状態とし(本実施形態では供給制御電磁弁を「開」状態として)、更に、供給圧制御部28から供給圧を与えることで該内部空間12内に培養液が完全に満たされるまで、培養液収容部22から培養液を供給する。
内部空間12に培養液が完全に満たされた時点で供給圧制御部28からの供給圧を止めて、供給量制御部26を「閉」状態とし(本実施形態では供給制御電磁弁を「閉」状態とし)、同時に、細胞回収部30の排出量制御部36を「閉」状態(本実施形態では排出制御電磁弁を「閉」状態)とする。これによって、細胞培養担体Sの凹部S1に保持された細胞が培養される環境が整う(図3)。
【0037】
そして、上蓋10Bの上方から撮像装置41で観察し、撮像装置41によって撮影された一定の範囲の画像のアナログ信号は、入力インタ−フェ−ス40aに入力され、A/D変換回路40bに供給される。このA/D変換回路にあっては、前記アナログ信号をデジタル信号に変換し、2値化処理回路40cに前記デジタル信号を供給する。
また、2値化処理回路40cにおいて、画像が2値化処理される。
すなわち、画素毎に明度によって、細胞が存在しない場合は「0」、存在する場合は「1」として「0、1」の画像デ−タに変換される。
この2値化処理回路40cからの2値化信号は、培養状態検出回路40dに供給され、「0、1」デ−タがカウントされ、その「1」のデ−タが所定の数(画素数)に到達した際には、培養された細胞が所定に大きさ(面積)を有するまでに培養されたとして検出する。そして、この培養状態検出回路40dからの検出信号は、バルブ動作制御回路40eに入力され、バルブ動作制御回路40eから供給量制御部26、排出量制御部36を開閉制御するバルブコントローラ42に対して、動作信号を送出する。
【0038】
即ち、培養状態検出回路40dによって培養された細胞が所定に大きさ(面積)を有するまでに培養されたとして検出された際には、図4に示すように、バルブコントローラ42は、細胞回収部30の排出量制御部(排出制御電磁弁)36を「開」状態として内部空間12内の培養液の排出を開始すると共に、培養液水圧供給部20の供給量制御部(供給制御電磁弁)26を「開」状態とする。
更に、供給圧制御部28から供給圧を与えて内部空間12に新たに培養液の供給を開始する。この操作により、細胞培養担体Sの第2面Sb方向に、培養液水圧供給部20から液圧(水圧)P1が供給される。
この液圧(水圧)P1により、細胞培養担体Sの第2面Sbには水圧が供給されるため、細胞培養担体Sの凹部S1で培養された細胞Cは、細胞培養担体Sの凹部S1の表面から剥離され、内部空間12内の培養液内に浮遊し、そのまま、培養液と共に、細胞回収部30の細胞排出管34を経て、細胞収容部32に回収される(図4)。
【0039】
このように、細胞培養担体Sの凹部S1における細胞Cの培養状態を撮像装置41によって撮像し、培養している細胞Cの大きさを判定する。そして、細胞Cが所定の大きさに培養されている場合には、画像処理動作制御部40の動作信号により、圧力供給部20が水圧(液圧)を供給し、細胞培養担体Sの凹部S1で培養された細胞Cを自動的に剥離させる。そのため、所定の大きさ(面積)に培養された細胞Cを得ることができる。また細胞の培養作業を省力化することができ、能率的に細胞を培養することができる。
【0040】
次に、本発明にかかる第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態にかかる細胞培養装置は、細胞培養モジュールを2つ備えている点において、第1の実施形態と相違している。
即ち、一の細胞培養モジュールで一定の大きさまで細胞を培養し、この培養した細胞を、他の細胞培養モジュールに移送し、更に大きな細胞に培養するように構成されている点において相違している。
【0041】
このように、2つの細胞培養モジュールを用いて細胞を培養するのは、球状の細胞を培養する場合、単離した細胞を細胞培養担体の大きな凹部(細胞培養セル)で培養すると、培養される細胞は、前記凹部底部を球と認識せず、平面と認識してしまうため、培養する細胞が前記底部に付着し、球状の細胞を培養することができない。
そのため、球状の細胞を所望の大きさまで培養するには、最初は細胞培養担体の小さな凹部(小さい空間)で所望の大きさまで細胞を培養した後、細胞培養担体の大きな凹部(大きい空間)で段階的に培養していく必要がある。
即ち、一の細胞培養モジュールで一定の大きさまで細胞を培養し、その後、この培養した細胞を、他の細胞培養モジュールに移送し、更に大きな細胞に段階的に培養することにより、球状の細胞を培養する必要がある。
【0042】
したがって、この第2の実施形態にあっては、細胞培養担体の凹部(細胞培養セル)の大きさの異なる2つの細胞培養モジュールを用いて細胞を培養する装置であり、基本的に第1の実施形態と同様な構成を備えている。そのため、第1の実施形態と同一の構成については、同一符号を付することにより、その詳細な説明は省略する。
【0043】
この第2の実施形態にかかる細胞培養装置Aは、前記したように、二つの第1、第2の細胞培養モジュール1、2を備えている。
また、この第1、第2の細胞培養モジュール1、2の内部空間を連結する細胞搬送管60と、この細胞搬送管60に設けられた電磁弁62を備えている。
【0044】
また、第1、第2の細胞培養モジュール1、2の内部空間に密閉可能に保持される細胞培養担体SA、SBは、第1の実施形態に示された細胞培養担体Sと同一の構成であるが、表面(第1面)SAa,SBaに形成された細胞を培養するための凹部SA1,SB1の大きさが異なる。前記したように凹部SA1は,凹部SB1よりも小さな寸法形状を有している。
更に、細胞回収部30は、第2の細胞培養モジュール2側に設けられ、第1の細胞培養モジュール1側には設けられていない。即ち、第1の実施形態と同一の細胞回収部30を第2の細胞培養モジュール2側に設けることにより、第2の細胞培養モジュール2によって培養された細胞を第2の細胞培養モジュール2から回収できるように構成されている。
【0045】
また、この細胞培養装置Aの細胞培養モジュール1、2の夫々に、細胞の培養状態をカメラ41、51で撮像し、その画像の処理を行う画像処理動作制御部40、50を備えている。また、夫々の細胞培養モジュール1、2側には、表示装置43,53が設けられている。
第1の細胞培養モジュール1側のカメラ41、画像処理動作制御部40、バルブコントローラ42の構成は第1の実施形態と同一であり、また第2の細胞培養モジュール2側のカメラ51、画像処理動作制御部50、バルブコントローラ52の構成も第1の実施形態と同一である。
しかし、前記バルブコントローラ42は、第1の細胞培養モジュール1側の供給量制御部(供給制御電磁弁)26と、細胞搬送管60に設けられた電磁弁62を制御するものである。また、前記バルブコントローラ52は、第2の細胞培養モジュール2側の供給量制御部(供給制御電磁弁)26と、細胞回収部30の排出量制御部(排出制御電磁弁)36を制御するものである。
【0046】
次に、図5に示す細胞培養装置を用いた細胞培養方法について説明する。
まず、第1の細胞培養モジュール1側の細胞培養担体SAの第2面SAbに、フィーダー細胞(図示せず)を設置する。次に、下蓋10Aの凹部10Aa内に設置した細胞培養担体SAの凹部SA1に培養する細胞を設置し、細胞培養モジュール1を組み立てる。
その後、下蓋10Aの底部10Aa1に培養液水圧供給部20の培養液供給管24を取り付けると共に、上蓋10Bの上部10Ba1に、電磁弁62が設けられた細胞搬送管60一端を取り付ける。
そしてまた、前記細胞搬送管60の他端には、細胞培養モジュール2が取り付けられる。この細胞培養モジュール2には、培養液水圧供給部20の培養液供給管24を取り付けると共に、細胞回収部30の細胞排出管34が取り付ける。
更にまた、前記カメラ41,51、表示装置43,53を細胞培養モジュール1、2の所定の位置に設置する。
【0047】
そして、細胞搬送管60の電磁弁62を「開」状態とし、第1の細胞培養モジュール1の培養液水圧供給部20の供給量制御部26を「開」状態とし(本実施形態では供給制御電磁弁26を「開」状態として)、更に、供給圧制御部28から供給圧を与えることで該内部空間12内に培養液が完全に満たされるまで、培養液収容部22から培養液を細胞培養モジュール1の内部空間に供給する。
内部空間12に培養液が完全に満たされた時点で供給圧制御部28からの供給圧を止めて、供給量制御部26を「閉」状態とすると共に、細胞搬送管60の電磁弁62を「閉」状態とする。これによって、細胞培養担体SAの凹部SA1に保持された細胞が培養される環境が整う。
【0048】
そして、第1の細胞培養モジュール1の上方から撮像装置41で観察し、撮像装置41によって撮影された一定の範囲の画像のアナログ信号は、入力インタ−フェ−ス40aに入力され、A/D変換回路40bに供給される。このA/D変換回路にあっては、前記アナログ信号をデジタル信号に変換し、2値化処理回路40cに前記デジタル信号を供給する。
また、2値化処理回路40cにおいて、画像が2値化処理される。即ち、画素毎に明度によって、細胞が存在しない場合は「0」、存在する場合は「1」として「0、1」の画像デ−タに変換される。
この2値化処理回路40cからの2値化信号は、培養状態検出回路40dに供給され、「0、1」デ−タがカウントされ、その「1」のデ−タが所定の数(画素数)に到達した際には、培養された細胞が所定に大きさ(面積)を有するまでに培養されたとして検出する。そして、この培養状態検出回路40dからの検出信号は、バルブ動作制御回路40eに入力され、バルブ動作制御回路40eから供給量制御部26、電磁弁62を開閉制御するバルブコントローラ42に対して、動作信号を送出する。
【0049】
即ち、培養状態検出回路40dによって培養された細胞が所定に大きさ(面積)を有するまでに培養されたとして検出された際には、バルブコントローラ42は、細胞搬送管60の電磁弁62を「開」状態として、内部空間12内の培養液を第2の細胞培養モジュール2へ移送可能な状態となし、更に培養液水圧供給部20の供給量制御部26を「開」状態とする。
そして、供給圧制御部28から供給圧を与えて内部空間12に新たに培養液の供給を開始する。この操作により、細胞培養担体SAの第2面SAb方向に、培養液水圧供給部20から液圧(水圧)が供給される。
この液圧(水圧)により、細胞培養担体Sの第2面SAbには水圧が供給されるため、細胞培養担体SAの凹部SA1で培養された細胞は、細胞培養担体SAの凹部SA1の表面から剥離され、内部空間12内の培養液内に浮遊し、そのまま、培養液と共に、細胞搬送管62を経て、第2の細胞培養モジュール2の内部空間に搬送される。
そして、前記培養された細胞は細胞培養担体SBの凹部SB1に捕捉され、保持され、第2の細胞培養モジュール2において、再び培養される。
【0050】
そして、細胞培養モジュール2の上方から撮像装置51で観察し、撮像装置51によって撮影された一定の範囲の画像のアナログ信号は、細胞培養モジュール1側の画像処理装置と同様に、入力インタ−フェ−スに入力され、A/D変換回路に供給される。このA/D変換回路にあっては、前記アナログ信号をデジタル信号に変換し、2値化処理回路に前記デジタル信号を供給する。
また、2値化処理回路において、画像が2値化処理される。この2値化処理回路からの2値化信号は、培養状態検出回路に供給され、「0、1」デ−タがカウントされ、その「1」のデ−タが所定の数(画素数)に到達した場合には、培養された細胞が所定に大きさ(面積)を有するたとして検出する。
そして、この培養状態検出回路からの検出信号は、バルブ動作制御回路に入力され、バルブ動作制御回路から供給量制御部(供給制御電磁弁)26、細胞回収部30の排出量制御部(排出制御電磁弁)36を開閉制御するバルブコントローラ52に対して、動作信号を送出する。
【0051】
即ち、培養状態検出回路によって培養された細胞が所定に大きさ(面積)を有するまでに培養されたとして検出された際には、バルブコントローラ52は、細胞回収部30の排出制御電磁弁36を「開」状態として内部空間12内の培養液の排出を可能な状態になすと共に、細胞培養モジュール2の培養液水圧供給部20の供給制御電磁弁26を「開」状態とする。
そして、第2の細胞培養モジュール2の供給圧制御部28から供給圧を与えて、第2の細胞培養モジュール2の内部空間に新たに培養液の供給を開始する。
この操作により、細胞培養担体SBの第2面SBb方向に、培養液水圧供給部20から液圧が供給される。この液圧により、所定の大きさに培養された細胞は、細胞収容部32に回収される。
【0052】
以上のように、トリプシン処理等の酵素処理を行う事無く、細胞培養担体で培養した細胞を、該細胞培養担体から容易に剥離させることができる。
しかも、細胞培養担体の凹部における細胞の培養状態を撮像装置によって撮像し、培養している細胞の大きさを判定するため、所定の大きさに培養されている細胞を得ることができる。また、細胞培養担体の凹部で培養された細胞を自動的に剥離するため、細胞の培養作業の省力化を図ることができ、能率的に細胞を培養することができる。
更に、2つの細胞培養モジュールを用いて段階的に細胞を培養することができるため、球状の細胞を培養することができる。
【0053】
尚、上記第1、第2の実施形態にあっては、上記したように供給圧制御部から供給圧を与えて内部空間に新たに培養液の供給を開始し、この操作により、細胞培養担体の第2面方向に、培養液水圧供給部から液圧が供給される場合を示した。
しかし、これに限らず、下蓋の底部に一体に又は着脱可能に空気圧供給部を設け、該内部空間に充填された培養液に空気圧を供給することで、細胞培養担体の第2面に空圧を供給するように構成しても良い。
この場合においても、前記空気圧供給部の開閉を行う弁を前記バルブコントローラ42によって制御することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1の実施形態に係る細胞培養装置の概略構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る細胞培養装置に用いられた画像処理動作制御部を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係る細胞培養装置を用いた細胞培養手順を説明するための図である。
【図4】図3に続く細胞培養手順を説明するための図である。
【図5】第2の実施形態に係る細胞培養装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0055】
A 細胞培養装置
C 細胞
S 細胞培養担体
SA (第1の)細胞培養担体
SB (第2の)細胞培養担体
F フィーダー細胞(Feeder細胞)
1 (第1の)細胞培養モジュール
2 (第2の)細胞培養モジュール
10 密閉系部材
20 培養液水圧供給部
26 供給量制御部(供給制御電磁弁)
30 細胞回収部
36 排出量制御部(排出制御電磁弁)
40 画像処理動作制御部
41 撮像装置(カメラ)
42 バルブコントローラ
43 表示装置
60 細胞搬送管
62 電磁弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞を培養する凹部が設けられた多孔体からなる細胞培養担体を内部空間に密閉可能に保持する密閉系部材と、
前記内部空間に培養液が充填された状態で、細胞培養担体の凹部が設けられた第1面に対向する第2面に対して水圧あるいは空圧を供給する圧力供給部と、
前記細胞培養担体の凹部における細胞の培養状態を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された画像から培養している細胞の大きさを判定し、所定の大きさに培養されているか否かを検出する培養状態検出回路を有する画像処理動作制御部と、を備え、
細胞が所定の大きさに培養されている場合に、前記画像処理動作制御部の動作信号により、圧力供給部が細胞培養担体の第2面に対して水圧あるいは空圧を供給し、細胞培養担体の凹部に培養された細胞を剥離することを特徴とする細胞培養装置。
【請求項2】
更に、前記第2面に対する水圧あるいは空圧によって前記凹部から剥離された細胞を、前記内部空間から回収する細胞回収部を備えていることを特徴とする請求項1記載の細胞培養装置。
【請求項3】
前記密閉系部材と前記圧力供給部とを接続する培養液供給管と、前記培養液供給管に設けられた培養液の供給量を制御する供給制御電磁弁と、前記供給制御電磁弁の動作を制御するバルブコントローラと、を備え、
前記バルブコントローラが、前記画像処理動作制御部からの動作信号を受け、供給制御電磁弁の動作を制御し、細胞培養担体の凹部に培養された細胞を剥離することを特徴とする請求項1記載の細胞培養装置。
【請求項4】
前記密閉系部材と前記圧力供給部とを接続する培養液供給管と、前記密閉系部材と前記細胞回収部とを接続する排出管と、前記培養液供給管に設けられた培養液の供給量を制御する供給制御電磁弁と、前記排出管に設けられた培養液の排出量を制御する排出制御電磁弁と、前記供給制御電磁弁と排出制御電磁弁の動作を制御するバルブコントローラとを備え、
前記バルブコントローラが、前記画像処理動作制御部からの動作信号を受け、供給制御電磁弁及び排出制御電磁弁の動作を制御し、細胞培養担体の凹部に培養された細胞を剥離する共に、剥離した細胞を前記細胞回収部により回収することを特徴とする請求項2記載の細胞培養装置。
【請求項5】
細胞を培養する凹部が設けられた多孔体からなる第1の細胞培養担体を内部空間に密閉可能に保持する密閉系部材と、前記内部空間に培養液が充填された状態で、細胞培養担体の凹部が設けられた第1面に対向する第2面に対して水圧あるいは空圧を供給する圧力供給部とを備えた第1の細胞培養モジュールと、
前記第1の細胞培養担体の凹部における細胞の培養状態を撮像する第1の撮像装置と、
前記第1の撮像装置によって撮像された画像から培養している細胞の大きさを判定し、所定の大きさに培養されているか否かを検出する培養状態検出回路を有する第1の画像処理動作制御部と、
細胞を培養する凹部が設けられた多孔体からなる第2の細胞培養担体を内部空間に密閉可能に保持する密閉系部材と、前記内部空間に培養液が充填された状態で、細胞培養担体の凹部が設けられた第1面に対向する第2面に対して水圧あるいは空圧を供給する圧力供給部と、前記第2面に対する水圧あるいは空圧によって前記凹部から剥離された細胞を、前記内部空間から回収する細胞回収部とを備えた第2の細胞培養モジュールと、
前記第2の細胞培養担体の凹部における細胞の培養状態を撮像する第2の撮像装置と、
前記第2の撮像装置によって撮像された画像から培養している細胞の大きさを判定し、所定の大きさに培養されているか否かを検出する培養状態検出回路を有する第2の画像処理動作制御部と、
前記第1の細胞培養モジュールの内部空間と第2の細胞培養モジュールとを接続する細胞搬送管と、を備え、
第1の画像処理動作制御部により、第1の細胞培養担体内で細胞が所定の大きさに培養されている場合には、前記第1の画像処理動作制御部の動作信号により、圧力供給部が第2面に対して水圧あるいは空圧を供給し、細胞培養担体の凹部に培養された細胞を剥離する共に、剥離した細胞を前記細胞搬送管を介して第2の細胞培養モジュールに搬送し、
更に、第2の細胞培養モジュールにおける第2の細胞培養担体内で細胞が所定の大きさに培養されている場合には、前記第2の画像処理動作制御部の動作信号により、圧力供給部が第2面に対して水圧あるいは空圧を供給し、第2の細胞培養担体の凹部に培養された細胞を剥離する共に、剥離した細胞を細胞回収部により回収することを特徴とする細胞培養装置。
【請求項6】
前記第1の細胞培養モジュールの密閉系部材と前記圧力供給部とを接続する培養液供給管に設けられた、培養液の供給量を制御する第1の供給制御電磁弁と、
前記細胞搬送管に設けられた電磁弁と、
前記第1の供給制御電磁弁と細胞搬送管の電磁弁の動作を制御する第1のバルブコントローラと、
前記第2の細胞培養モジュールの密閉系部材と前記圧力供給部とを接続する培養液供給管に設けられた、培養液の供給量を制御する第2の供給制御電磁弁と、
前記第2の細胞培養モジュールの密閉系部材と前記細胞回収部とを接続する排出管に設けられた、培養液の排出量を制御する排出制御電磁弁と、
前記第2の供給制御電磁弁と排出制御電磁弁の動作を制御する第2のバルブコントローラと、を備え、
前記第1のバルブコントローラが、第1の供給制御電磁弁と細胞搬送管の電磁弁の動作を制御することにより、第1の細胞培養モジュールで培養された細胞を第2の細胞培養モジュールへ搬送し、
前記第2のバルブコントローラが、第1の供給制御電磁弁と排出制御電磁弁の動作を制御することにより、第2の細胞培養モジュールで培養された回収することを特徴とする請求項5記載の細胞培養装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−81823(P2010−81823A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252318(P2008−252318)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(507182807)コバレントマテリアル株式会社 (506)
【Fターム(参考)】