説明

細胞観察装置および細胞観察方法

【課題】組織中の各細胞のイメージを、光の波長依存の像として観察することができる細胞観察装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、複数の単色光を発生させることができる光源の組み合わせと、これらの光源の光を顕微鏡に導入する光学系と、細胞を顕微鏡観察する顕微鏡系と、顕微鏡系から出力された像を計測する光学カメラと、光学カメラの取得イメージの撮像フレームと、前記単色パルス光とを同期させて単一の撮像フレームでは単色の光源からの光学イメージのみが記録される手段と、発光させた単色光の色に応じて撮像フレームの番号を記録して、希望する単色光における画像イメージ像を選択的に再現することができる手段を有する細胞観察装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞観察装置および細胞観察方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多細胞生物における生体組織は種々細胞が役割を分担して全体として調和の取れた機能を維持している。この多細胞組織の中の種々の細胞を識別し、また、その各細胞の状態を解明することは医療の分野のみならず、生命科学全般において非常に重要である。たとえば、組織の一部ががん化(ここでは腫瘍も含め、一括してがんと呼ぶことにする)すると、周辺領域と異なる新生物となるが、がん領域とそこから遠く離れた正常組織部分とはある境界を持って必ずしも区切れるものではなく、がん周辺領域も何らかの影響を受けている。したがって、臓器組織における新生細胞の存在とその機能状態を解析するには狭い領域に存在する少数の細胞を組織から効果的に識別し、同定する必要がある。
【0003】
また、再生医療の分野では、組織の中から臓器幹細胞を分離し、これを再培養して分化誘導し目的の組織、ひいては臓器を再生しようとする試みがなされているが、組織の中の細胞集団から特定の細胞を同定し、その存在を確認するために、より効果的な計測方法の開発が期待されている。
【0004】
細胞を識別したり分離したりしようとすると、何らかの指標に従い区別する必要がある。一般に細胞の区別には、
【0005】
1)目視による形態学的な細胞分類:例えば尿中に出現する異型細胞検査による膀胱がんや尿道のがんなどの検査や血中の異型細胞分類、組織中における細胞診によるがん検査などをあげることができる。
【0006】
2)蛍光抗体法による細胞表面抗原(マーカー)染色による細胞分類:一般にCDマーカーと呼ばれる細胞表面抗原を、それに特異的な蛍光標識抗体で染色するもので、セルソーターによる細胞分離やフローサイトメーターや組織染色によるがん検査などに用いられている。もちろんこれらは、医療面のみならず、細胞生理研究用や、工業的な細胞利用の上でも多用されている。
【0007】
3)あるいは、幹細胞の分離に関しては、細胞内に取り込まれる蛍光色素をレポーターとして幹細胞を含む細胞を大まかに分離し、更にその後で実際に培養を行うことで目的の幹細胞を分離する例がある。これは、幹細胞の有効なマーカーがまだ確立されていないので、実際に培養し、分化誘導したもののみを利用することで、実質的に目的細胞を分離しているのである。
【0008】
4)また、細胞の中の微小器官、細胞内抗生物質の種類に応じて、その光の吸収特性、複屈折特性が異なることを利用して、これを画像化することで細胞内の状態を観察する技術として、位相差光学顕微鏡や微分干渉光学顕微鏡などが存在しているが、ともに同時に複数の波長の光を用いると色収差のために像がぼけるため単色光を用いて観察を行う。
【0009】
5)あるいは、特定の細胞あるいは細胞内小器官が、特異的に染まる染色法、たとえば、グラム染色では、クリスタルバイオレットやゲンチアナバイオレットで染色し、ヨウ素溶液で媒染した後、アルコールで脱色し、その後フクシンまたはサフラニンで対比染色を行うことで、グラム陽性菌は暗い青や青紫に染まり、グラム陰性菌は対比染色によって赤やピンクに染まるため、細胞が染色された色を識別することで、細菌のグラム陽性か陰性を判断することができる。また、ロマノフスキー染色では、還元したエオシンとメチレンブルー(時にその酸化物であるアズールAとアズールBを含む)の組み合わせで染色することによって、全て骨髄生検や骨髄穿刺液・末梢血液塗沫の検体を診るのに使われ、異なった種類の白血球を容易に区別できる。あるいは、パパニコロー染色では、核はヘマトキシリン、細胞質はオレンジG、エオジンY、ライトグリーンSF(分子量の小さい順)が、細胞質構造が緻密なものには分子量の小さい色素が入りやすく(例:角化型扁平上皮細胞:オレンジ)、疎なものには両方が入り込むが、分子量の大きい色素は移動性が少なく家電が大きいので細胞内に吸着されやすく(例:非角化型扁平上皮細胞、腺細胞:ライトグリーン)、類脂質はビスマルクブラウンで染めることができ、悪性腫瘍細胞や感染症などを濃青緑色から暗赤色までの色の違いで同定する方法である。ギムザ染色は、塩基性色素のメチレン青と、その酸化誘導体であるメチレンアズールとエオジンの酸性色素との混合液であるが、これらの色素は、末端のメチル基の違いや細胞内へ浸透する分子の影響によって染色性が異なり、比較的メチル基の少ないアズール・エオジネートは細胞質のみならず核内にも浸透し、核酸のリン酸基と結合し赤紫色調の核に染色される。他方、比較的分子の大きく極性の強いメチレン青は、細胞質のタンパク質と結合し青色調を呈することから、この染色の程度によって細胞の情報を得ることができる。
【0010】
ここで重要なことは、既存の染色による細胞同定法は、異なる複数の吸光特性を持った色素を組み合わせて、それらの色素の発色(吸収)の相対的な組み合わせから視覚的に異なる強度で各色成分が組み合わされるかで、どのような色に見えるかという視覚系の情報処理に依存した直観的でかつ可視スペクトル全体を対象とした計測法となっていることである。この点は、特定の1波長の蛍光を定量的に計測すればよい蛍光計測評価技術と最も情報を異にする部分である。
【0011】
このように組織中、培養液中の特定の細胞を同定することは、生物学・医学的な分析においては重要な技術であるため、さまざまな方法が開発されているが、特に、細胞の形状の違いがほとんど無い場合には、蛍光抗体で染色した情報あるいは目視の情報を基に細胞を1つ1つ識別する必要があった。
【0012】
この技術については、例えば、近年、定量化イメージングサイトメトリー(Quantitative Imaging Cytometry)という技術として研究開発が進んでいる(非特許文献1:Harnett, M., “Laser scanning cytometry: understanding the immune system in situ. Nature Review Immunology, Vol. 7, pp. 897-904 (2007))。このイメージングサイトメトリーは、従来の光学顕微鏡のイメージング法とサイトメトリーの概念を融合したもので、従来の組織のランダムな顕微鏡イメージングから、細胞形状や蛍光標識などの特定のインデックスについて基準値を設けて、組織中のすべての細胞を計測して統計処理するものである。他方、サイトメトリー技術については、現状で流路中を流れる細胞の蛍光標識や散乱光強度に基づいた細胞サイズの見積もりを用いたフローサイトメトリーが知られている。これは蛍光染色処理後の細胞を電荷を持たせた液滴中に1細胞単位で単離して滴下し、この液滴中の細胞の蛍光の有無、光散乱量の大小を基に、液滴が落下する過程で、落下方向に対して法平面方向に高電界を任意の方向に印加することで、液滴の落下方向を制御して、下部に置かれた複数の容器に分画して回収する技術である(非特許文献2:Kamarck,M.E., Methods Enzymol. Vol.151, p150-165 (1987))。
【0013】
しかし、このフローサイトメトリー技術は高価であること、装置が大型であること、数千ボルトという高電界が必要であること、一定以上の濃度まで濃縮された試料が多量に必要であること、液滴を作成する段階で細胞に損傷を与える可能性があること、直接試料を観察できないことなどの問題がある。これらの問題を解決するため、近年、マイクロ加工技術を用いて微細な流路を作成し、流路内の層流中を流れる細胞を直接顕微鏡観察しながら分離するセルソーターが開発されている(非特許文献3:Micro Total Analysis, 98, pp.77-80 (Kluwer Academic Publishers, 1998);非特許文献4:Analytical Chemistry, 70, pp.1909-1915 (1998))。しかし、このマイクロ加工技術を用いて作成するセルソーターでは観察手段に対する試料分離の応答速度が遅く、実用化するためには、試料に損傷を与えず、かつ、より応答の速い分離処理方法が必要であった。また、利用するサンプル溶液中の細胞濃度も一定以上の濃度に事前に高めることをしないと、希薄な細胞濃度であっては、十分に装置の分離効率を高めることができないという問題点、さらに微量なサンプルの濃縮を別装置で行った場合には、その濃縮液をロスなく回収することが困難であるだけでなく、煩雑な前処理段階において、細胞が汚染されるなどの回収した細胞を再利用するという観点では望ましくない問題が発生することが課題となっていた。
【0014】
本発明者らは、このような問題点を解消するため、マイクロ加工技術を活用して、試料の微細構造と試料中の蛍光分布に基づいて試料を分画し、回収する試料に損傷を与えることなく、簡便に細胞試料を分析分離することのできる細胞分析分離装置を開発している(特許文献1:特開2003−107099;特許文献2:特開2004−85323;特許文献3:WO2004/101731)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2003−107099号公報
【特許文献2】特開2004−85323号公報
【特許文献3】国際公開第2004/101731号パンフレット
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Harnett, M., “Laser scanning cytometry: understanding the immune system in situ. Nature Review Immunology, Vol. 7, pp. 897-904 (2007)
【非特許文献2】Kamarck,M.E., Methods Enzymol. Vol.151, p150-165 (1987)
【非特許文献3】Micro Total Analysis, 98, pp.77-80 (Kluwer Academic Publishers, 1998)
【非特許文献4】Analytical Chemistry, 70, pp.1909-1915 (1998)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記、フローサイトメトリー技術は、液中に分散させることができる細胞に対しては非常に有効なサイトメトリー計測技術であるが、細胞が集積した組織切片を直接、隣接した細胞との関係を確認しながら計測する手法としては有効ではない。このような組織の直接計測については、上記、定量イメージングサイトメトリーが有効である。しかし、現状の定量イメージングサイトメトリー技術では、観察できる指標としては、細胞形状の観察、標識した蛍光の観察にとどまっており、上記、細胞の識別技術として普及している染色法(例:グラム染色、ギムザ染色)についての定量イメージングサイトメトリー法については開発されていないのが現状である。
【0018】
臨床現場において、癌幹細胞をはじめとして組織中に存在する細胞を1細胞単位で同定し、その周辺細胞との関係から癌転移に関しての状態を確認する事が重要視されているにも拘わらず、これを癌転移の指標とした診断基準は、現状確立されていない。理由として、それ自体の多様性・希少性のため多様な形状を持つがん細胞を、その形状のみからがん細胞であることを特定するためには膨大な形状データベースを構築する必要があり、それゆえ確実にがん細胞を同定するアルゴリズムを開発することは非常に困難な課題であった。
【0019】
そのため、特にこれまでは、蛍光標識による癌細胞の標識同定を行っていたが、特定のがんに特異的な蛍光標識を適切に選択できたかどうかについては、これを保証する手法が存在しない。そのため「がん細胞」が存在するにもかかわらず、これを判別することができない「偽陰性」の問題があった。
【0020】
さらに、正常細胞については、各細胞がどのような細胞であるかを明らかにする染色方法が多数存在するが、イメージングサイトメトリーにおいては、高倍率での顕微鏡観察を行う場合には、位相差顕微鏡観察、微分干渉顕微鏡観察、あるいは明視野顕微鏡観察においても、単色光で微小な形状観察をすることが通常の目的のため、従来の吸光分光計測と同程度の波長分解能を持ち、かつ、顕微鏡レベルの空間分解能を持った吸光分光計測技術は存在していなかった。
【0021】
また、蛍光イメージング計測法等では、空間分解能を維持して光の波長分解をするために、光学フィルターを用いて、特定の蛍光波長をイメージングする手法が用いられているが、その場合には選択した光学フィルターの透過波長域(あるいは反射像を用いる場合は、反射波長域)のイメージだけを回収することとなるが、その場合であっても、透過波長(あるいは反射波長)の中の波長ごとの吸収(反射)の効率が異なるために、光強度に基づいた定量的なスペクトロスコピーは難しかった。また、光学フィルターの特性は透過率ならびに反射率ともに100%には至らないため、複数のフィルターを組み合わせて、複数の波長域を取り出してスペクトロスコピーとして利用するには、先に述べた不均質な波長依存性を持った吸収(あるいは反射)分布があるために、定量的な利用には困難があった。
【課題を解決するための手段】
【0022】
このような状況に鑑み、本発明者らは、光学顕微鏡イメージングにおいて、顕微鏡レベルの空間分解能を維持して、細胞内の局所の吸収について波長依存性を確認できるスペクトロスコピー機能を併せ持った細胞観察装置を提供する。
【0023】
すなわち、本発明は、以下の細胞観察装置および細胞観察方法を提供する。
【0024】
(1)各々異なる波長特性を有する単色パルス光を発生させることができる複数の単色パルス光源の組み合わせを含む光源部(light source member)と、
細胞を顕微鏡観察する光学顕微鏡系(optical microscope system)と、
上記光源部からの光を上記顕微鏡系に導入する光学系(optical system)と、
上記光学顕微鏡系から出力された光学イメージを撮像する光学カメラを含む撮像部(imaging member)と、
上記撮像された画像を記録するための記録部(storage member)と、
単一の撮像フレームに単一の上記単色パルス光の光学イメージが収まるように上記光学カメラの撮像フレームレートと上記単色パルス光源の発光タイミングとを同期させて上記撮像部により撮像した画像を上記記録部に記録するように制御する制御部(controller)と、
を備える、細胞観察装置(cell observation device)。
(2)上記撮像フレームの各々に識別子が付与され、発光させた上記単色光の色と上記撮像フレームの識別子とが対応して上記記録部に記録され、所望の単色光に対応する画像を選択的に再現できるように制御されている、上記(1)に記載の細胞観察装置。
(3)上記画像を表示するためのディスプレイをさらに備える、上記(1)または(2)に記載の細胞観察装置。
(4)上記単色パルス光源として、LED単色光光源を用いる、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の細胞観察装置。
(5)上記光源部が、各色について複数の同色の単色パルス光源を含む複数の異なる単色パルス光源を周期的に2次元に配置して平行光の光源としたものである、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の細胞観察装置。
(6)上記光源部が、各色について複数の同色の単色パルス光源を含む複数の異なる単色パルス光源を周期的に回転対称となるように2次元に配置し、上記回転対称軸を中心に上記複数の単色パルス光源を回転させる機構をさらに備え、
各単色パルス光源が上記光学顕微鏡系の適切な光源位置に来た時に上記光学カメラの1撮像フレームの時間範囲内でパルス光が発生するように上記機構および上記各部の動作が制御されている、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の細胞観察装置。
(7)上記単色パルス光源の光源強度の比が、上記光学系、上記光学顕微鏡系および上記光学カメラの波長吸収、損失、および光電子変換特性に合わせて調整され、同程度の吸収に対して同程度の明るさの画像が取得されるように構成されており、各波長の単色パルス光源について撮像された画像に基づいた細胞の局所の吸収波長特性が解析可能とされた、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の細胞観察装置。
(8)上記光源部が、各単色光光源がそれぞれ異なる一定の波長の幅の単色光を発光し、複数の前記単色光光源を組み合わせるとスペクトロスコピーとして利用可能となるように前記複数の単色光光源が均等に分布されている、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の細胞観察装置。
(9)上記単色パルス光源が、各単色光光源が一定の波長の幅で均等に分布するように光源とフィルターを組み合わせた光源を用いたものである、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の細胞観察装置。
(10)上記光学顕微鏡系が位相差あるいは微分干渉などの複屈折計測手段を備える、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の細胞観察装置。
(11)各々異なる波長特性を有する単色パルス光を発生させることができる複数の単色パルス光源を含む光源部からの単色光を細胞試料に照射する工程、
単一の撮像フレームに単一の上記単色光に関連する光学イメージが収まるように光学カメラの撮像フレームレートと上記単色パルス光源の発光タイミングとを同期させて、上記単色光を照射された上記細胞試料の光学イメージを上記光学カメラで撮像する工程、および
撮像した画像を記録する工程、
を含む、細胞観察方法。
(12)上記撮像する工程において、上記光学イメージをデジタル画像として撮像し、
上記撮像した画像を記録する工程において、上記デジタル光学イメージを電子的記録媒体(electronic storage media)に記録する、上記(11)に記載の細胞観察方法。
(13)上記撮像フレームの各々に識別子を付与し、発光させた上記単色光の色と上記撮像フレームの識別子とを対応させて上記記録部に記録し、所望の単色光に対応する画像を選択的に再現できるようにすることを含む、上記(12)に記載の細胞観察方法。
(14)上記撮像した画像をディスプレイに表示することを含む、上記(11)〜(13)のいずれかに記載の細胞観察方法。
(15)上記単色パルス光源として、LED単色光光源を用いる、上記(11)〜(14)のいずれかに記載の細胞観察方法。
(16)上記単色パルス光源の光源強度の比を、上記光学系、上記光学顕微鏡系および上記光学カメラの波長吸収、損失、および光電子変換特性に合わせて調整し、同程度の吸収に対して同程度の明るさの画像を取得すること、および
各波長の単色パルス光源について撮像された画像に基づいて細胞の局所の吸収波長特性を解析することを含む、上記(11)〜(15)のいずれかに記載の細胞観察方法。
(17)各単色光光源としてそれぞれ異なる一定の波長の幅の単色光を発光する光源を使用し、複数の前記単色光光源を組み合わせるとスペクトロスコピーとして利用可能となるように前記複数の単色光光源を均等に分布させた単色パルス光源を使用することを含む、上記(11)〜(16)のいずれかに記載の細胞観察方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、組織中の各細胞のイメージを、光の波長依存の像として観察することができ、無染色あるいは染色した細胞の特性を光の吸収スペクトルという観点からの顕微鏡画像情報として解析が実現できる。
【0026】
本発明の細胞観察装置によれば、光学フィルターを必ずしも用いる必要がないため、フィルターによる観察光の吸収や反射による光強度の減衰を抑えることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の細胞観察装置システムを概念的に示す模式図である。
【図2】本発明の細胞観察装置システムの単色光セット光源の一例の構成を概念的に示す断面の模式図である。
【図3】図2に示した単色光セット光源の波長の組み合わせの一例を概念的に示す模式図である。
【図4】本発明の細胞観察装置システムの単色光セット光源の各単色光光源の発光と高速カメラの各フレームとの関係を概念的に示す模式図である。
【図5】本発明の細胞観察装置システムの単色光セット光源の一例の構成を概念的に示す模式図である。
【図6】本発明の細胞観察装置システムの単色光セット光源の一例の構成を概念的に示す模式図である。
【図7】本発明の細胞観察装置システムの単色光セット光源の一例の構成を概念的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の細胞観察装置は、既存のさまざまな発色系あるいは吸収系の染色方法あるいは、無染色で吸収波長特異性を持った生体分子の局在について高解像度顕微鏡観察を用いて生体試料を観察する顕微鏡イメージング技術に関するものである。この目的を達成するために、本発明の細胞観察装置は、典型的には、(1)異なる波長の単色光の光源を複数用いて、観察したい吸収波長の各単色光光源からの単色光によって顕微観察を行うことができる光源部、(2)細胞を観察する顕微鏡光学系、(3)上記、単色光光源の発光時間で光学ビデオカメラ画像1枚が取得できるようにタイミング同期制御が可能な光学ビデオカメラ、(4)上記単色光光源の発光と光学ビデオカメラの撮像フレームの同期制御ならびに各波長での画像を集積する画像記録・制御部を備えている。
【0029】
波長選択については、光源の光を単色光として用いるため、従来の単色光計測を行う顕微鏡光学系後段に設置されていたような波長選択用のフィルター類は一切配置する必要がなく、フィルターによる観察光の吸収や反射による減衰は発生しない構成とすることが可能である。また、厳密に光学ビデオカメラの撮像フレームと光源の発光タイミングが同期することが、単色光計測では重要であるため、本発明の好ましい実施形態では、ビデオカメラの撮像フレーム速度より早い速度で発光時間を制御できる光源を用いることが有利である。
【0030】
さらに、本技術では吸収の波長依存特性を定量的に計測するために、特に、正確に露光時間インターバルを制御でき、かつ、受光した光強度を線形、指数関数形、あるいは対数関数形で定量的に電気データに変換して光強度を定量的に換算することができるビデオカメラを計測系として用い、上記、発光時間を厳密に一定時間で制御できる光源と組み合わせることで露光時間の制御を行う構成となっていることが好ましい。
【0031】
さらに、本発明の好ましい実施形態では、各単色光の本装置での光学系に依存した波長ごとの光の損失を補正するために、各単色光の強度を、それぞれ調整を行って同量の単色光が光学系を通過してビデオカメラに到達するように単色光の強度調整を行う機構が付加されていてもよい。
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施形態をより詳細に説明するが、これらは単なる例示であって、本発明の範囲がこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0033】
(細胞観察装置のシステム構成)
図1は、本発明の細胞観察装置1の基本構成の一例を模式的に図示したものである。本発明の細胞観察装置1は、典型的には、単色光光源アレイ101を含む光源部、全反射ミラー102を含む光学系、集光レンズ103、観察用の細胞試料104、それを載せるための試料ステージ105を含む光学顕微鏡系、ビデオカメラ等から構成される高速カメラ106を含む撮像部、撮像した画像を記録するための記録部、ならびに上記各部の動作を制御するための制御部を備える。上記記録部および制御部は一体化した記録・制御部としてもよい。また、図示していないが、撮像した画像を表示するディスプレイをさらに備えていてもよい。以下、本発明についてより具体的に説明する。
【0034】
単色光を発生させる発光波長が異なる光源のアレイが配列された単色光光源アレイ101で発生させた単色パルス光は、全反射ミラー102を経て顕微鏡光学系に導入される。すなわち、例えば、集光レンズ103に導入され、次に、試料ステージ105上に配置された観察用細胞試料104を経て、再度、集光レンズ(対物レンズ)103を経た後、高速カメラ106に光源アレイ101からの特定の単色光による試料の像が映写される。また、光源の暗色光の波長選択、すなわち発光単色光光源の選択とこの単色光光源の発光タイミングを制御し、かつ、各単色光での発光であることをマーキングしながら、その波長での顕微鏡イメージを記録する制御・記録モジュール107によって各波長での画像を記録し、その際、各撮像フレームの識別子(例えば、そのフレーム番号)を記録するとともに、そのフレームで使用した単色光波長についても記録する。
【0035】
本発明の細胞観察装置では、集光レンズ(対物レンズ)103から、高速ビデオカメラ106までの間に、一切の波長選択フィルターを用いずに試料からのそのままの画像を記録することができるため、この単色における吸収の空間分布を、イメージングデータの劣化を最小限にしながら、厳密に計測することができる。
【0036】
本発明において用いられる「試料」または「細胞試料」には、例えば、緩衝液または培養液中の任意の培養細胞、培養がん細胞、がん組織切片、硬骨組織切片、膠原線維、臓器組織切片、培地培養微生物等の試料ならびに、これらの試料を銀染色、PAS染色、コンゴーレッド染色、ズダンIII染色、パパニコロー染色、ギムザ染色、ゴルジ染色、アザン・マロリー染色、ワンギーソン染色、ムチカルミン染色したもの、あるいは、ビスマルクブラウン、カーミン、クマシーブルー、クリスタルバイオレット、エオシン、フクシン、マラカイトグリーン、メチルグリーン、メチレンブルー、ニュートラルレッド、ナイルブルー、ナイルレッド、サフラニン、アリザリンレッドS、アルシアンブルー等の染色色素で染色した試料が含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
本発明において用いられる「単色光光源」としては、LED光源、従来の発熱型光源、レーザー光源、またはその他の発光光源に波長選択フィルターとパルス光となるべきシャッターや発光制御部を付加し、単色光としたものなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
また、本発明において用いられる「光学顕微鏡系」には、位相差顕微鏡、微分干渉顕微鏡、明視野顕微鏡、暗視野顕微鏡、走査型光学顕微鏡等が含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
本発明において用いられる「高速カメラ」は、典型的には、カメラの受光面を構成する受光素子の光電子変換効率の波長による依存性を調整するために、受光側の出力が同程度となるように、各波長の光源の強度を受光側特性に合わせて調整する手段を有していてもよい。あるいは、各波長の光源強度は同じにしておき、受光素子の光電子変換効率の波長依存性を予め勘案した電子回路的あるいは画像処理プログラム段階での各波長受信データの増幅補正を行うことができる電子的2次元撮像素子、あるいはコンピューター、増幅電子回路を有するカメラ、たとえばCCDカメラ(ビデオカメラ、デジタルカメラ)等であってもよい。
【0040】
本発明において用いられる「記録・制御部」としては、電子的記録媒体(例:ROM、RAM、ハードディスク、USB、メモリカード等)を備えたパソコン(personal computer)、プログラム型演算素子、SPGA等が含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
本発明において用いられる「ディスプレイ」または「表示部」としては、撮影した画像を2次元に再現できるディスプレイ、たとえば液晶ディスプレイ、ブラウン管ディスプレイ、プラズマディスプレイ等が含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
図2は、図1で示した単色光源アレイ101の装置構成の一例を示したものである。
【0043】
この実施例では、アレイの横断面の模式図を示しているが、基板200上に可視領域をほぼカバーできるように異なる波長特性を持った単色光を発生させるLED光源などの単色光光源素子201〜210をアレイ状に、かつ周期的に2次元に並べて配置している。同色の同時に発光する単色光光源が基板上に周期的に繰り返し配置されることで、ホイヘンスの原理から基板表面から発生する単色光は疑似的に平行光となり、平行光光源として用いることができる。また、各光源については、より厳密な波長特性を持たせるために、単色LED光源の表面に波長選択を行う光学フィルターを付加してもよい。また、上記のように、各LED光源の発光効率の違いや、顕微鏡光学系の波長依存損失を補正するために、各LED光源については、1素子単位でその電気―光変換効率を調整する機能を有していてもよい。また、本実施例ではLED光源を用いたが、従来の発熱型光源、レーザー光源あるいはその他の発光光源に波長選択フィルターとパルス光となるべきシャッターや発光制御部を付加し、これらの単色光を、たとえば光ファイバーによって同様の位置に周期的に配置して、同様な2次元の周期構造を持った配置を行ってもよい。あるいは、特にコンデンサーレンズの結像位置を厳密に制御しなくてもよい低解像度の顕微観察の場合には、各単色光光源を、1つずつなるべく1か所に集積した形で配置し、この集合光源を、結像位置に配置してもよい。
【0044】
図3は、図2で示した単色光源アレイの発光波長の特性分布の一例を示したものである。
【0045】
横軸に発光波長、縦軸に各波長の強度を取った場合、たとえば10個の異なる波長特性を持った単色LED光源201〜210を組み合わせ、これら各波長の光301〜310を単色で順次発光させ、その単色光の発光時に、単一の画像データをカメラが取得すれば、特に光学フィルターを用いなくても、試料のイメージングについて各発光波長の像を取得することができ、これらを組み合わせることでスペクトルとなる可視領域全般の各波長領域での吸光イメージング像を取得することができる。
【0046】
図4は、図2で示した単色光源アレイの光源の発光タイミングと高速カメラの画像取得のタイミングの関係の一例を示したものである。
【0047】
本装置では、高速カメラ106が一定の時間間隔で画像データを1枚ずつ取得するとき401,402、この各画像データ取得時間中に、単色光源の一つのみを発光させる構成となっており、たとえば、光源201のみが発光することで光源201の波長の光で観察した顕微鏡イメージ像については、高速カメラの取得画像401に記憶され、次に、光源202の波長で観察した細胞イメージは、撮像フレーム402に記憶されるものなる。同様に、光源203〜210までについても各撮像フレームに記憶させることで、10枚の連続した撮像フレームに各単色光での画像イメージングを記録することができる。たとえばパパニコロー染色などの複数の異なる波長に吸収を持つ複数の色素を組み合わせた染色法であっても、可視領域の全波長領域の画像イメージを波長分割した形で保存しているため、これらの1セットの画像イメージ(この場合は10枚)の染色状態の空間分布の相対的な比較を行うことで、目視の時に観察される(視覚)色を類推し、細胞種や細胞内小器官を同定することができる。また、特に無染色であっても、たんぱく質などの細胞構成分子の複屈折などについても光の波長依存的に特異性を持った場合があるため、位相差像、微分干渉像などについても、上記と同様に、複数の単色光で計測を行い、これらを比較計測することができる。固定した試料の場合には、一般の30フレーム/秒のビデオレートのカメラであっても時間的制約がないため、十分に複数の単色光光源からの画像をセットとして取得することができるためこれを用いればよい。あるいは、ノイズ成分が気になる場合、あるいは微弱な光の計測をより高い光強度分解能で行いたい場合は、冷却CCDカメラを用いシャッター時間もより長く1枚当たり1秒〜2秒程度の照射を行ってもよい。これは、計測する対象が蛍光などの退色・消光をするものではないので、観測に必要な時間だけ照射をすることができるためである。他方、動きのある試料を観察する場合には、従来の観察する撮像フレーム速度にスペクトル計測をするために用いる単色光光源の数を掛けた速度のフレームレートの高速カメラを用いる必要がある。たとえば、毎秒30枚の通常のフレームレートの像を10個の単色光光源の分解能で解析する場合には、最低300フレーム/秒の取り込みレートがあれば計測することができる。
【0048】
図5は、単色光源アレイの装置構成の別の一例を示したものである。
【0049】
この実施例では、基板501上に可視領域をほぼカバーできるように異なる波長特性を持ったLED光源などの単色光光源素子201〜210を同心円状に等間隔で配置し、軸502を中心に、一定の回転速度で矢印503の方向に回転できる構成となっている。そして、発光素子が、ちょうど顕微鏡光学系の光軸上でコンデンサーレンズの焦点位置となる光照射領域504に来たところでパルス光を発生させる構成となっている。また、この発光インターバルが、図4に示したような高速カメラの撮像フレームタイミングと1対1対応できるように回転速度は調整される構成となっている。この構成であれば、多数の単色光を用いて、かつ、各光源を点光源として光学的な配置を行うことができる。
【0050】
図6は、単色光源アレイの装置構成の別の一例を示したものである。
この実施例では、可視領域をほぼカバーできるように異なる波長特性を持ったLED光源などの単色光光源素子201〜210の光を集光レンズ103によって、光ファイバー601、602、603に導入し、これらの光ファイバーを束ねた他端部を点光源部として用いるものである。
【0051】
図7は、単色光源アレイの装置構成の別の一例を示したものである。
この実施例では、可視領域をほぼカバーできるように異なる波長特性を持ったLED光源などの単色光光源素子201〜210の光を半透過ミラー701、702によって出力光源光の光路700に誘導して光源と用いるものである。この場合、各単色光源によって、半透過ミラーを通過する回数が異なるため、その通過によって起こる減衰を補正するために、各単色光光源の強度を調整し、出力光源光の各単色光の強度を等しくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、組織中の各細胞のイメージを、光の波長依存の像として観察することができ、無染色あるいは染色した細胞の特性を光の吸収スペクトルという観点からの顕微鏡画像情報として解析を行うために有用である。
【符号の説明】
【0053】
1 細胞撮像装置
101 単色光光源アレイ
102 ミラー
103 集光レンズ
104 観察用試料
105 試料ステージ
106 高速ビデオカメラ
107 制御・記録モジュール
200 基板
201〜210 異なる波長の単色光光源素子
211 単色光光源アレイの1セット
301〜310 異なる波長の単色光光源の発光スペクトル
401,402 高速カメラの各撮像フレーム
411,412 光源の発光時間
501 基板
502 回転軸
503 回転方向の矢印
504 発光部位
601,602,603 光ファイバー
700 出力光源光
701,702 半透過ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々異なる波長特性を有する単色パルス光を発生させることができる複数の単色パルス光源の組み合わせを含む光源部と、
細胞を顕微鏡観察する光学顕微鏡系と、
前記光源部からの光を前記顕微鏡系に導入する光学系と、
前記光学顕微鏡系から出力された光学イメージを撮像する光学カメラを含む撮像部と、
前記撮像された画像を記録するための記録部と、
単一の撮像フレームに単一の前記単色パルス光の光学イメージが収まるように前記光学カメラの撮像フレームレートと前記単色パルス光源の発光タイミングとを同期させて前記撮像部により撮像した画像を前記記録部に記録するように制御する制御部と、
を備える、細胞観察装置。
【請求項2】
前記撮像フレームの各々に識別子が付与され、発光させた前記単色光の色と前記各撮像フレームの識別子とが対応して前記記録部に記録され、所望の単色光に対応する画像を選択的に再現できるように制御されている、請求項1に記載の細胞観察装置。
【請求項3】
前記画像を表示するためのディスプレイをさらに備える、請求項1または2に記載の細胞観察装置。
【請求項4】
前記単色パルス光源として、LED単色光光源を用いる、請求項1〜3のいずれかに記載の細胞観察装置。
【請求項5】
前記光源部が、各色について複数の同色の単色パルス光源を含む複数の異なる単色パルス光源を周期的に2次元に配置して平行光の光源としたものである、請求項1〜4のいずれかに記載の細胞観察装置。
【請求項6】
前記光源部が、各色について複数の同色の単色パルス光源を含む複数の異なる単色パルス光源を周期的に回転対称となるように2次元に配置し、前記回転対称軸を中心に前記複数の単色パルス光源を回転させる機構をさらに備え、
各単色パルス光源が前記光学顕微鏡系の適切な光源位置に来た時に前記光学カメラの1撮像フレームの時間範囲内でパルス光が発生するように前記機構および前記各部の動作が制御されている、請求項1〜4のいずれかに記載の細胞観察装置。
【請求項7】
前記単色パルス光源の光源強度の比が、前記光学系、前記光学顕微鏡系および前記光学カメラの波長吸収、損失、および光電子変換特性に合わせて調整され、同程度の吸収に対して同程度の明るさの画像が取得されるように構成されており、各波長の単色パルス光源について撮像された画像に基づいた細胞の局所の吸収波長特性が解析可能とされた、請求項1〜6のいずれかに記載の細胞観察装置。
【請求項8】
前記光源部が、各単色光光源がそれぞれ異なる一定の波長の幅の単色光を発光し、複数の前記単色光光源を組み合わせるとスペクトロスコピーとして利用可能となるように前記複数の単色光光源が均等に分布されている、請求項1〜7のいずれかに記載の細胞観察装置。
【請求項9】
前記単色パルス光源が、各単色光光源が一定の波長の幅で均等に分布するように光源とフィルターを組み合わせた光源を用いたものである、請求項1〜8のいずれかに記載の細胞観察装置。
【請求項10】
前記光学顕微鏡系が位相差あるいは微分干渉などの複屈折計測手段を備える、請求項1〜9のいずれかに記載の細胞観察装置。
【請求項11】
各々異なる波長特性を有する単色パルス光を発生させることができる複数の単色パルス光源を含む光源部からの単色光を細胞試料に照射する工程、
単一の撮像フレームに単一の前記単色パルス光に関連する光学イメージが収まるように光学カメラの撮像フレームレートと前記単色パルス光源の発光タイミングとを同期させて、前記照射された単色パルス光に関連する前記細胞試料の光学イメージを前記光学カメラで撮像する工程、および
撮像した画像を記録する工程、
を含む、細胞観察方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−55267(P2012−55267A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203503(P2010−203503)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(591243103)財団法人神奈川科学技術アカデミー (271)
【出願人】(504296024)一般社団法人オンチップ・セロミクス・コンソーシアム (39)
【出願人】(504179255)国立大学法人 東京医科歯科大学 (228)
【Fターム(参考)】