説明

細長い円筒形チューブの球状端部を形成するための方法および器具

【課題】複数のタンポン用アプリケーターを成形するための方法を提供する。
【解決手段】この方法は、形成要素の形成表面を加熱するステップ、第1のタンポン用アプリケーターの一部を形成表面に当てるステップ、第1のタンポン用アプリケーターの一部を成形するステップ、形成表面を冷却するステップ、および、第1のタンポン用アプリケーターの一部を形成表面から除去するステップを含む。形成要素は、高い熱伝導性および低い熱質量を有する。形成要素の形成表面を加熱するステップは、形成要素の形成表面を、アプリケーター部分の熱変形可能な材料の軟化点より高い温度まで加熱するステップを含む。形成要素の形成表面を冷却するステップは、形成要素の形成表面を、熱変形可能な材料の軟化点より低い温度まで冷却するステップを含む。タンポン用アプリケーターの一部を加熱し形成するために必要とされる時間は、約90秒未満である。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、概して、哺乳動物の身体に物質を挿入するために有用な細長い円筒形チューブを形成するための方法および器具に関し、より詳細には、タンポン用アプリケーターの一部を形成するための方法および器具に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
タンポン用および鼻用アプリケーターを含めた挿入装置は、概して、細長い円筒形の管状構造物であることが知られており、この構造物は、体腔に挿入されるよう意図された物体を収容し、かつ、その物体を意図された開口部に放出するために使用される。アプリケーターは、概して、挿入部材およびプランジャーを具備する。アプリケーターから放出されるべき、タンポンなどの物体は、挿入部材の内部に位置付けられる。挿入部材は、タンポンを挿入するための第1端部、および、プランジャーを受容するための第2端部を有する。典型的には、プランジャーは、直径がわずかに小さめとなっており、タンポン用アプリケーターの中に携帯されるタンポンの背後に、スライド可能に位置付けられる。アプリケーターを使用するためには、使用者は、第1端部を適切に位置付け、挿入部材を握り、プランジャーを挿入部材の中へと第1端部に向けて押し、タンポンを挿入する。様々なアプリケーターで、アプリケーターの内容物が十分に放出された時を確認するための視覚的なマークが用いられている。
【0003】
タンポン用アプリケーターは、厚紙またはプラスチックを含め様々な材料から作製されてよい。各タイプの材料が、製造および使用の間の課題を有し得る。例えば、タンポン挿入部材は、概して、後端部または把持端部に表面特徴部を組み込むことで、アプリケーターの反対側の端部からタンポンを排出する間に使用者がアプリケーターをいくらか安全に掴めるようになるだろう。身体内へのアプリケーターの挿入を助け、包含されるタンポンを保護するための別の方策は、アプリケーターの挿入端部を「ドーム状にする(dome)」ことである。ドーム状にされた端部は、滑らかな挿入をもたらし、使用前のタンポンの汚染を防止するのに役立ち得る。
【0004】
過去には、アプリケーターの挿入端部をドーム状にするか、または、丸くすることは、1)2つの別個のダイを伴う、加熱および冷却のツーステップ工程、または、2)単一の加熱されたダイが冷却するのに追加的な時間を必要とする、シングルステップのいずれかで、実施されてきた。ツーステップ工程では、熱い用具と冷たい用具との間でのアプリケーターの移送が必要となる。ツーステップ工程は欠点を有し、欠点には、1)とりわけ、加熱された用具がプラスチックなどの劣化した(degraded)材料を保持する場合の、用具の汚染、および、2)アプリケーターが1つの用具から次の用具に移動される際に発生し得る整合の問題が含まれ得る。このようなツーステップ工程に関するさらなる懸念事項は、工程の中断(interruptions)の間に生成される、無駄物(waste)である。多くの場合、2つのステップの間におちいった製品は、システムの再開の際に、さらなる加工には適さない。
【0005】
これらの理由から、アプリケーターの挿入端部を迅速かつ清潔にドーム状にする、効率的なシングルステップ工程の必要性が依然として存在する。こうしたステップによって、結果として、より良質な製品、より迅速な製造、および、コストの効率性がもたらされるだろう。
【0006】
〔発明の概要〕
発明者は、熱変形可能なアプリケーターの挿入端部を迅速かつ清潔にドーム状にする、効率的なシングルステップ工程を発明した。
【0007】
本発明の一態様では、熱変形可能な材料を具備する複数のタンポン用アプリケーターを成形するための方法は、形成要素の形成表面を加熱するステップ、第1のタンポン用アプリケーターの一部を形成表面に当てるステップ、第1のタンポン用アプリケーターの一部を成形するステップ、形成表面を冷却するステップ、および、第1のタンポン用アプリケーターの一部を形成表面から除去するステップを含む。形成要素は、高い熱伝導性および低い熱質量(thermal mass)を有する。形成要素の形成表面を加熱するステップは、形成要素の形成表面を、アプリケーター部分の熱変形可能な材料の軟化点より高い温度まで加熱するステップを含む。形成要素の形成表面を冷却するステップは、形成要素の形成表面を、熱変形可能な材料の軟化点より低い温度まで冷却するステップを含む。タンポン用アプリケーターの一部を加熱および形成するために必要とされる時間は、約90秒未満である。これらのステップは、次のタンポン用アプリケーターについて繰り返される。
【0008】
別の実施形態では、タンポン用アプリケーターを成形するための器具は、鋳型本体、および、タンポン用アプリケーターの少なくとも一部を鋳型に提供するための手段を含む。タンポン用アプリケーターは、熱変形可能な材料で少なくとも部分的に形成される。鋳型本体は、形成要素、形成要素流体空洞、形成要素に熱を加えるための手段、および、形成要素流体空洞を通して冷却流体を提供するための手段を有する。形成要素は、高い熱伝導性および低い熱質量、ならびに、形成表面を有する。形成要素流体空洞は、形成要素に隣接し、熱接触する(in thermal contact with)。
【0009】
〔詳細な説明〕
本明細書で使用される場合、「タンポン」の語は、膣管または他の体腔からの流体を吸収するため、創傷治癒を助けるため、あるいは、薬剤などの活性剤または湿気の送達のために、膣管または他の体腔の中に挿入される任意のタイプの吸収性構造物を指す。タンポンは、概して円筒形構成になるよう、径方向に、長さ方向軸に沿って軸方向に、または、径方向および軸方向の双方に、圧縮されてよい。タンポンは、実質的に円筒形構成になるよう圧縮されてよいが、他の形状も可能である。こうした形状には、矩形、三角形、台形、半円形、砂時計形、蛇行した形、または、他の適する形状として説明され得る断面を有する形状が含まれてよい。タンポンは、挿入端部、回収端部(withdrawal end)、長さ、幅、長さ方向軸、径方向軸、および、外面を有する。タンポンの長さは、長さ方向軸に沿って、挿入端部から回収端部までを測定され得る。人用の典型的な圧縮型タンポンは、35〜60mmの長さがある。タンポンは、直線形でも、または、長さ方向軸に沿って湾曲するなどした、非線形でもよい。典型的な圧縮型タンポンは、約5〜約20mmの幅がある。タンポンの幅は、別途明細書に記述されない限り、タンポンの長さに垂直な最大断面にわたる距離に相当する。本発明のタンポンはまた、鼻タンポンも含む。
【0010】
膣腔の中に生理用タンポンを送達することに加え、本発明のタンポン用アプリケーターは、任意の適する空洞に、あらゆる他のタイプの吸収性または非吸収性の物質を送達するのに使用され得ることが注目されるべきである。例えば、本発明のタンポン用アプリケーターは、治療用胚珠(treatment ovule)または失禁用装置を挿入するために使用され得る。「失禁用装置」とは、本明細書で使用される場合、女性の尿失禁の発生および/または重症度を削減するために、膣内に設置されるよう具体的にデザインされ、構成され、かつ/または、適応された装置を指す。失禁用装置は、典型的には、非吸収性材料で作製されるが、少なくとも部分的に吸収性の材料が使用されてもよい。しかしながら、体液を吸収するという意図はないので、また、失禁用装置は、筋肉組織および体組織への構造的支持を提供するよう適応および構成されるので、失禁用装置は、タンポンとは容易に識別することができる。このような任意の既知の衛生的にデザインされた、タンポンを受容することのできるアプリケーターの非限定的な具体例が、タンポンの挿入のために使用されてよく、それらには、いわゆるはめ込み式のチューブおよびプランジャー、ならびに、小型アプリケーター、疾病の予防または治療のため、ある領域に薬剤を提供するためのアプリケーター、光ファイバーを介して接続された先端にマイクロカメラを包含した分光器、任意のデザインの検鏡、舌圧子、外耳道検査用のチューブ、手術器具のガイド用の微小中空パイプなどが含まれる。
【0011】
「放出される」の語は、本明細書で使用される場合、タンポンが、タンポン用アプリケーターの挿入部分から外へ押し出されることを意味する。
【0012】
図1および図2は、本発明のタンポン用アプリケーターの実施形態を示している。しかしながら、本発明は、図に示されるか、または、本明細書で論じられる特定の構成を有する構造物に限定されるものではない。本発明のタンポン用アプリケーターは、タンポンの身体内への送達の容易さが保持される限り、いかなる構成またはサイズを有してもよい。
【0013】
タンポン用アプリケーター10は、図1および図2に示されるような放出される前の状態を有する。示されるように、アプリケーター10は、挿入部材12およびプランジャー14を有する。挿入部材12は、中空であり、体腔の中(具体的には、女性使用者の膣腔)に挿入されるよう寸法決めされた第1端部つまり挿入端部16、第1端部16の反対側に位置付けられた第2端部18、および、把持部分20を有する。第1端部16は、複数の花弁部22をさらに有する。
【0014】
挿入部材12は、回収糸26を有する吸収性タンポン24などの挿入可能な要素を収容するようサイズ決めおよび構成される。上記のように、挿入部材12は、好ましくは、実質的に滑らかな外面、または、女性の膣の中への挿入部材12の挿入を促進する、膣の体組織に低い抗力(low drag)をもたらす外面を有する。外面が滑らか、かつ/または、滑りやすいと、挿入部材12は、膣の内部組織に擦りむけを受けさせることなく、容易に女性の膣の中にスライドする。挿入部材12は、高い滑り特性を与えられるように被覆されてよい。ワックス、ポリエチレン、ワックスとポリエチレンとの組み合わせ、セロファン、粘土、雲母、および他の潤滑剤が、快適な挿入を促進するために挿入部材12に塗布され得る代表的な被覆剤である。
【0015】
本発明のアプリケーター10は、挿入されるべき物体を包含するのに有用な幾何学的配列または断面を有してよい。多くの場合、包含されるタンポン24の形状は、挿入部材12の形状を示唆するが、この一般的なルールから逸脱してもよく、よって、円筒形のタンポン24が、例えば矩形の形状のアプリケーターに収容されてもよい。挿入部材12およびプランジャー14は、円形、卵形、多角形(例えば台形、矩形、三角形など)などを限定せずに含め、多数の断面形状を帯びてよい。加えて、挿入部材12およびプランジャー14は、線形の形式など実質的に細長いか、湾曲しているか、もしくは、可撓性のものであってもよく、または、当業者にとっては明らかである他の形状を帯びてもよい。さらに、挿入部材12およびプランジャー14は、実質的に細長いか、湾曲しているか、もしくは、可撓性のものであってよく、または、当業者にとっては明らかである他の形状を帯びてもよい。アプリケーターの形状のいくつかの例が、2004年3月25日公開のLecanらによる国際出願第2004/024193号、および、2001年5月23日公開のMitsuhiroらによる欧州特許出願第1101473号に記載されている。
【0016】
挿入部材12の挿入端部16は、実質的に閉じており、花弁部、波またはひだを具備してよい。挿入の間、タンポン24がプランジャー14によって上方に押されると、花弁部22が開き、タンポン24を膣の中へと通させる。
【0017】
本発明のアプリケーター装置は、熱変形可能な材料を含み、また、当業者に一般に既知の他の材料も含んでよい。一実施形態では、挿入部材12およびプランジャー14は、例えば、射出成型、吹込み成型、押し出し成形によって、プラスチックで形成されてよく、あるいは、プラスチックシートから熱形成されるか、または、プラスチックフィルムから折りたたまれるか、もしくは、巻きつけられるかなどして、別様に可撓性プラスチックから形成されてよい。加えて、アプリケーター装置は、Dabiらによる米国特許第5,910,520号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるような、生物分解性のプラスチックから作製されてよい。所望される場合、当業者に既知の方式で、スリーブが、紙または厚紙の積層物(laminate)を含んでもよい。
【0018】
異なるタンポン用アプリケーター部品が、異なる材料および工程で構造付けられてよい。タンポン用アプリケーター10、または、タンポン用アプリケーターの任意の部品は、紙、厚紙、ボール紙、またはそれらの任意の組み合わせから形成される、らせん状に巻きつけられるか、回旋状に巻きつけられるか、または、長さ方向にシームの付いた、中空のチューブで形成されてよい。表面には、被覆が提供されてよい。
【0019】
タンポン用アプリケーター10またはタンポン用アプリケーターの任意の部品は、材料の単一の層で構造付けられても、または、積層物を形成するように接着された2つもしくはそれ以上の層から形成されてもよい。しかしながら、積層物の少なくとも1つの層は、(被覆によることを含め、)熱変形可能な材料を具備しなければならない。2つもしくはそれ以上の層またはレイヤーを使用することが好ましく、というのも、それにより製造業者が、タンポン用アプリケーターまたはタンポン用アプリケーターの任意の部品の性能を高め得る様々なレイヤーに、特定の材料を使用することが可能となるからである。2つまたはそれ以上の層が利用される場合、全ての層が、細長い円筒を形成するように、らせん状に巻きつけられるか、回旋状に巻きつけられるか、または、長さ方向にシームを付けられ得る。タンポン用アプリケーターまたはタンポン用アプリケーターの任意の部品は、より肌理の粗く、おそらくは、より厚い層を囲む外側の表面つまり外面に材料の滑らかな薄い層を使用して、構造付けられてよい。
【0020】
タンポン用アプリケーターまたはタンポン用アプリケーターの任意の部品を形成する層は、のりなどの接着剤、熱、圧力、超音波、または、それらの任意の組み合わせによって、結合されてよい。接着剤は、水溶性または非水溶性のいずれでもよい。水溶性の接着剤は、タンポン用アプリケーターまたはタンポン用アプリケーターの任意の部品が、水に浸漬されると迅速に分離するという点で、環境的な理由から好ましい。このような浸漬は、タンポン用アプリケーターまたはタンポン用アプリケーターの任意の部品が、トイレに流して廃棄される場合に、発生するだろう。タンポン用アプリケーターまたはタンポン用アプリケーターの任意の部品を、水への浸透、化学物質との相互作用、および、攪拌の全てが発生する、自治体の廃棄物処理施設に曝すことにより、タンポン用アプリケーターまたはタンポン用アプリケーターの任意の部品は、比較的短い期間で、分離し、均一に分散するだろう。
【0021】
タンポン用アプリケーターに有用な管状要素の典型的な寸法は、約5〜8cmの長さ、約8〜約20mmの直径、約0.1〜0.6mmの厚さを含む。好ましくは、プランジャー14の直径は、挿入部材12の直径よりも小さく、図1および図2で示されるようにはめ込み式の配列を可能にする。
【0022】
図3は、従来のツーステップ工程(先行技術)の基本原理を示している。挿入部材およびプランジャーは、異なる供給源から供給されてよいが、ドーム状にする前に組み立てられてよい。タンポンは、組立体の内部に包含されてよい。挿入部材52の第1端部50は、開いており、花弁部54を備えている。挿入部材52の開いた第1端部50は、鋳型58の加熱室56の内部に整列して位置させられる。室56内にある間、第1端部50は、熱変形可能な材料の軟化点より高い温度および成形圧力に晒される。花弁部54は、示された図では、実質的に半球形状である「ドーム」を形成する。好ましい形状は半球形であるが、弾丸先端などの他の形状が形成されてもよい。ドーム状にされた第1端部50は、次に、加熱室56から除去され、冷却室60に割り出される(indexed)。ここで、ドーム状の第1端部50は、冷却器具62の冷却室60の内部に位置させられ、冷却器具62が、ドーム状の第1端部50から過剰な熱を除去し、熱変形可能な材料は、さらに不変的な形状を帯びる。この工程は、2つのステップを必要とする。ツーステップ工程の欠点には、溶融したか、または、こげた挿入部材材料による、熱い用具の汚染、および、ドーム状の花弁部端部の除去の際の、熱い用具への熱い(また、それによって軟化した)花弁部の粘着が含まれ、この花弁部の粘着は結果的に奇形の端部をもたらす。ツーステップ工程の別の問題は、挿入部材が加熱室から冷却室の中へ動く際の、挿入部材の誤整列の可能性である。このようなツーステップ工程に関するさらなる懸念事項は、工程の中断の間に生成される無駄物である。多くの場合、2つのステップの間におちいった製品は、システムの再開の際に、さらなる加工には適さない。
【0023】
ワンステップの本発明は、先行技術のツーステップ工程よりも利点を提供する。本発明は、挿入部材のドーム状の第1端部を加熱し、形成し、また、硬化させる鋳型内でのワンステップ工程を提供する。これにより、ドーム状にする工程は、工程の中断の間、完了され得るようになり、ドーム状にする加工中の不完全な製品が加工ステップの間におちいることはなくなる。したがって、このワンステップ工程は、かなりの無駄物の削減をもたらす。
【0024】
図4〜図7に示されたワンステップ工程は、薄壁鋳型100、例えば、タンポン用アプリケーターの挿入端部に対して所望のドーム形状を形成し、また、硬化させるために、熱エネルギーを伝えるための高い熱伝導性の形成要素104を収容する本体102を有する鋳型、を用いている。最初に、形成表面106が、タンポン用アプリケーターの熱変形可能な材料の軟化点より高い標的温度まで加熱され、タンポン用アプリケーターの一部が、加熱された薄壁鋳型100の中に挿入され、静止して保持され、花弁部を軟化させてドーム形状へと形成する。形成要素104は、冷却され、タンポン用アプリケーターのドーム状の部分から熱を除去し、それによって、挿入端部のドーム状の形態を硬化させる。ドーム状の端部が冷却されたあと、ドーム状の端部は、鋳型100から除去される。
【0025】
<実施形態1>
図4は、本発明の実施形態を示している。この実施形態では、鋳型本体102は、電気バンドヒーター108を用いて標的温度まで加熱される。熱は、薄い空洞(流体空洞110の小さな空隙)にわたって形成要素104に伝えられる。形成要素104が標的温度に達すると、アプリケーターの挿入端部(不図示)が、鋳型空洞112の中に挿入され、形成表面106に接触し、軟化温度に至ることができる。一旦、挿入端部の花弁部が、軟化し、形成表面106により形成されると、バルブ114が開き、(例えば冷気などの)冷却流体が、冷却供給流体導管116を通して鋳型の流体空洞110に供給される。冷却流体は、鋳型の本体102を通過し、流体が流体空洞110を通過する際、形成要素104から熱を除去し、冷却流体は、ポート118で鋳型の本体102から出ていく。この実施形態では、形成表面は、100±5℃の温度まで加熱される。冷却流体は、約1分間、または、鋳型が65±5℃の温度に達するまで、提供される。電気バンドヒーター108は、冷却サイクルの間にスイッチを切られてよいが、一実施形態では、継続的にスイッチを入れられたままである。
【0026】
この実施形態では、加熱および冷却サイクルを完了するのに必要な時間は、約2分であってよい。鋳型部分を作製するのに使用される材料の選択を最適化することにより、サイクル時間に影響を及ぼし得る。加えて、冷却流体の選択が、サイクル時間に作用し得る。
【0027】
一実施形態では、形成本体は、1分間加熱され、1分間冷却され、結果としてサイクル時間は2分となる。
【0028】
<実施形態2>
本発明の別の実施形態が図5(および概略的に図6に)示されている。この実地形態では、形成要素104’の加熱および冷却は、加熱流体および冷却流体を、単一の流体取入れ導管116’を通して流体空洞110’に方向付けることにより、達成される。必要に応じて、流体は、(加熱装置121’により加熱される)加熱流体貯蔵部120’、または、(冷却装置123’により冷却される)冷却流体貯蔵部122’のいずれかから、ポンプ125’の作動を通して循環される。実施形態1のように、形成要素104’は、標的温度まで加熱され、熱が形成表面106’に伝えられる。形成要素104’が標的温度に達すると、実施形態1に関して上記された工程が、供給バルブ114a’および戻りバルブ114b’の作動による加熱流体または冷却流体の供給により制御される形成要素104’の加熱および冷却で、繰り返される。流体は、出口ポート118’を通って鋳型本体102’から出ていく。
【0029】
加熱流体の使用は、外部の電気バンドヒーターに比べ、形成要素を加熱するのに必要とされる時間を削減する。したがって、全サイクル時間もまた、削減され、加熱および冷却の全サイクルは、30秒未満となり得、20秒未満にさえなり得る。また、鋳型部分を作製するのに使用される材料の選択を最適化することは、サイクル時間に影響を及ぼし得る。多くの場合、加熱ステップには、冷却ステップよりも多くの時間がかかることにわれわれは、注目している。
【0030】
<実施形態3>
図7A〜図7Bは、流体バルブが鋳型本体102’’の内部に組み込まれている第3の実施形態の作動を示している。この(スプールバルブ114’’などの)内部バルブが、外部の供給バルブと置き換わり、安定したオンデマンド式の、適切な加熱流体または冷却流体の供給を可能にする。加えて、共通の流体通路が短くされ、それによって、加熱流体および冷却流体の混合が最小限となる。また、これにより、サイクル時間を削減することができる。
【0031】
必要に応じて、流体は、加熱流体貯蔵部または冷却流体貯蔵部のいずれかから(バルブ114’’の作用によって選択されるとおり)移動される。図7Aに示されるように、バルブ114’’は、加熱流体取入れ部124’’、共通の流体供給導管126’’を通して流体空洞110’’へと、(暗い影付きの)加熱流体の循環を提供するよう位置付けられる。加熱流体は、流体空洞110’’を出て、加熱流体出口導管128’’、および、バルブ114’’の加熱流体出口帯域130’’を通って、加熱流体排出ポート132’’へと向かう。加熱段階の作動の間、(明るい影付きの)冷却流体は、冷却流体取入れ部134’’、冷却流体バイパス導管136’’、バルブ114’’の冷却流体バイパス帯域138’’を通って、冷却流体排出ポート140’’へと循環する。(図7Bに示される)冷却段階の間、114’’は、冷却流体取入れ部134’’、共通の流体供給導管126’’を通して流体空洞110’’へと、冷却流体の循環を提供するよう位置付けられる。冷却流体は、流体空洞110’’を出て、冷却流体出口導管142’’、および、バルブ114’’の冷却流体出口帯域144’’を通って、冷却流体排出ポート140’’へと向かう。冷却段階の作動の間、加熱流体は、加熱流体取入れ部124’’、加熱流体バイパス導管146’’、バルブ114’’の加熱流体バイパス帯域148’’を通って、加熱流体排出ポート132’’へと循環する。
【0032】
実施形態1のように、形成要素104’’は、標的温度まで加熱され、熱が形成表面106’’に伝えられる。形成要素104’’が標的温度に達すると、実施形態1に関して上記された工程が、上記のように、内部バルブ114’’の作動により制御される形成要素104’’の加熱および冷却で、繰り返される。
【0033】
加熱流体および内部バルブの使用は、実施形態2のシステムに比べ、工程の加熱段階と冷却段階との間で効果的に切り替えを行うのに必要とされる時間をさらに削減する。したがって、全サイクル時間もまた、削減され、加熱および冷却の全サイクルは、20秒未満となり得、15秒未満にさえなり得る。また、鋳型部分を作製するのに使用される材料の選択を最適化することは、サイクル時間に影響を及ぼし得る。
【0034】
<実施例1>
低密度のポリエチレンで形成された(図7Aに示される)実施形態3のプロトタイプを使用して、以下の条件を使用し、試験が設定された。
・軽い液圧流体(Light hydraulic fluid)が、加熱流体および冷却流体に使用された。
・加熱流体の標的温度は100℃であり、結果として100℃に近い形成要素表面の温度をもたらした。冷却流体の標的温度は、約25〜30℃の室温であり、結果として、40℃未満の形成要素表面の温度をもたらした。
【0035】
結果としてもたらされた温度プロフィールが、図8に示されている。結果には、鋳型が、スプールバルブの切り替えから3秒以内に、標的の加熱温度および冷却温度の双方に到達したことが示され、全サイクル時間は、約13秒である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明により形成されたアプリケーターの側面図である。
【図2】図1のアプリケーターの側面図であり、アプリケーター内に包含されたタンポンを(透視線で)示している。
【図3】アプリケーターの第1端部をドーム状の形状に形成するための、先行技術のツーステップ工程を図示している。
【図4】本発明の鋳型本体の断面図である。
【図5】本発明の代替的実施形態の鋳型本体の断面図である。
【図6】本発明によるシステムの概略図である。
【図7A】加熱作動の間の、本発明の代替的実施形態の鋳型本体の断面図である。
【図7B】冷却作動の間の、本発明の代替的実施形態の鋳型本体の断面図である。
【図8】実施例に記載される、本発明による方法の実施から結果としてもたらされる温度プロフィールのグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱変形可能な材料を具備する複数のタンポン用アプリケーターを成形するための方法において、
前記方法は、
a)形成要素の形成表面を、熱変形可能な材料の軟化点より高い温度まで加熱するステップであって、前記形成要素は、高い熱伝導性および低い熱質量を有する、ステップと、
b)第1のタンポン用アプリケーターの一部を前記形成表面に当てるステップと、
c)前記第1のタンポン用アプリケーターの前記一部を成形するステップと、
d)前記形成表面を、前記熱変形可能な材料の軟化点より低い温度まで冷却するステップと、
e)前記第1のタンポン用アプリケーターの前記一部を前記形成表面から除去するステップと、
f)ステップa)〜e)を、第2のタンポン用アプリケーターについて繰り返すステップと、
を具備し、
各タンポン用アプリケーターの前記一部を、前記熱変形可能な材料の軟化点より高い温度を有する前記形成表面に当てる時間は、約90秒未満である、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記形成表面に当てられた各タンポン用アプリケーターの前記一部は、前記タンポン用アプリケーターの第1端部を具備し、前記タンポン用アプリケーターの前記第1端部は、前記タンポン用アプリケーターのドーム状の第1端部へと成形される複数の花弁部を具備する、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記形成要素の形成表面を加熱する前記ステップは、加熱流体を、前記形成要素に隣接し、かつ、熱接触する形成要素流体空洞に方向付けるステップを具備する、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
前記形成要素の形成表面を冷却する前記ステップは、冷却流体を、前記形成要素に隣接し、かつ、熱接触する形成要素流体空洞に方向付けるステップを具備する、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、
ステップa)〜e)は、約2分以内に完了される、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
前記第1のタンポン用アプリケーターは、ポリエチレン材料を具備し、
ステップa)〜e)は、約20秒以内に完了される、方法。
【請求項7】
熱変形可能な材料を具備するタンポン用アプリケーターを成形するための器具において、
前記器具は、
a)鋳型本体であって、
i)高い熱伝導性および低い熱質量、ならびに、形成表面を有する形成要素、
ii)前記形成要素に隣接し、かつ、熱接触する形成要素流体空洞、
iii)熱を前記形成要素に加えるための手段、ならびに、
iv)前記形成要素流体空洞を通して冷却流体を提供するための手段、
を有する、鋳型本体と、
b)前記タンポン用アプリケーターの少なくとも一部を前記鋳型に提供するための手段と、
を具備する、器具。
【請求項8】
請求項7に記載の器具おいて、
熱を前記形成要素に加えるための前記手段は、前記形成要素流体空洞に作動可能に接続可能な熱供給流体導管を具備する、器具。
【請求項9】
請求項7に記載の器具において、
冷却流体を前記形成要素流体導管に提供するための前記手段は、前記形成要素流体空洞に作動可能に接続可能な冷却供給流体導管を具備する、器具。
【請求項10】
請求項7に記載の器具において、
前記形成要素は、薄壁の形成表面を具備する、器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−207894(P2009−207894A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−45348(P2009−45348)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(591252839)マクニール−ピーピーシー・インコーポレイテッド (69)
【氏名又は名称原語表記】MCNEIL−PPC,INCORPORATED
【Fターム(参考)】