説明

細長い対象物の表面を連続して処理するための方法と装置

環境圧力下の電気的な放電によって形成されたプラズマフラックスを用いて、細長いフィラメント状の対象物の表面を連続して処理する方法と装置。この装置(100)はチューブ状の本体(2)を有し、本体の2つの端部に少なくとも部分的に開放された経路(1)を備えて、経路(1)の長手軸線とほぼ平行な移動軸線に沿って細長い対象物(A)を移動させる。また、前記本体(2)の少なくとも一部(10)で長手軸線に対して所定角度でニュートラルのプラズマフラックスを形成する手段と、少なくとも細長い対象物が経路の本体の一部を通って移動する時、この一部(10)の内側にプラズマフラックスを閉じ込める手段を有する。さらにこの装置は処理の効果を変化させることができ、このため、必要な追加物をプラズマに加えたり、及び/又は、処理領域内に直接的に加え、また、様々なエネルギーレベルの粒子を備えたプラズマの様々な領域を用いるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細長い対象物、例えば、ファイバー、ワイヤーや糸(ヤーン)、チューブ状部材、リボン、ストリップ又は同様物の表面を、環境圧力下の電気的な放電によって発生したプラズマフラックスを用いて、連続して処理する方法に関し、特に、細長い対象物を、2つの端部で少なくとも部分的に開放された、中空のチューブ状の本体の内側に備えられた経路を通して、この経路の長手軸線とほぼ平行な移動軸線に沿って、連続的に移動させる方法に関する。
【0002】
また、本発明は、細長い対象物、例えば、ファイバー、ワイヤーや糸、チューブ状部材、リボン、ストリップ又は同様物の表面を、環境圧力下の電気的な放電によって発生したプラズマフラックスを用いて、連続して処理する装置に関し、特に、細長い対象物を、2つの端部で少なくとも部分的に開放された、中空のチューブ状の本体の内側に備えられた経路を通して、この経路の長手軸線とほぼ平行な移動軸線に沿って、連続的に移動させて、本発明に係る方法を行えるようにした装置に関する。
【0003】
さらに、本発明は、フィラメント状の物体の表面の物理特性を変化させる方法の使用にも関する。
【背景技術】
【0004】
連続して又は同時に行われる表面処理には、例えば、洗浄(クリーニング)、研磨(スコーリング)、表面の活性化(アクティベーション)、フィルムの折出(デポジション)、さらには、表面の物理特性を変化させることを可能とする任意の処理、特に絶縁性材料又は導電性材料あるいは、自然又は合成のファイバーを用いた織物材料から形成された細長い対象物の表面の処理が含まれる。
【0005】
尚、処理される細長い対象物には、全てのタイプの糸が含まれ、自然又は合成の材料から形成されたもの、融合又は混合されたファイバーやフィラメントから構成された糸さらに織物や技術的な利用のために組まれたファイバーから構成された糸を含む。
【0006】
米国特許第4,397,893号明細書は、ピストンロッドのような金属製ロッドの表面を処理する方法について開示しているが、この方法では、ロッドに向って、垂直に位置するように向きを定められたプラズマトーチを、ロッドの軸線回りに回転させながら、ロッドに沿って移動させている。この装置は、プラズマトーチと、ロッドサポートの予熱器を同期して移動させることを必要としていた。後者をこの軸線回りに回転させる必要があるため、ロッドの長手方向に沿ってこの方法を行うことが低速度となっており、ワイヤーや糸及び同様の製造物用のほとんどの工業上の製造ラインでは、この方法は不適切の場合があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、第1の目的として、細長い対象物の全側面上での単一の操作で、同質の結果を生じさせるように、細長い対象物の表面を処理するための方法と装置を提供し、プラズマを用いて様々な化学的及び物理的な処理を行えるように、対象物に対して様々なタイプのプラズマと追加物を利用できるようにして、光ファイバー及びスレッド、金属製ケーブル又はコードに対しても適用できるようにする。
【0008】
また、本発明は、第2の目的として、製造ラインに組み込まれて、このラインの構成とパラメーターをできる限り小さくするように調整するとともに、使用中の安全性を高度に保障できるように、上述したタイプの方法と装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、上記目的を達成するため、前文で記載したような方法を用いるが、特に、中間電極と接地(アース)の間に印加された電圧によって発生した電気的な放電を用いてニュートラルのプラズマフラックスを発生させ、上記径路の本体の少なくとも一部で上記長手軸線に対して所定角度でこのニュートラルのプラズマフラックスを発生させ、少なくとも上記細長い対象物が上記経路の本体の一部を移動する際、上記経路の本体の一部の内側に上記プラズマフラックスを閉じ込める。
【0010】
本発明の好適な実施形態では、上記プラズマフラックスは、上記細長い対象物の上記移動軸線に対して鋭角をなす。
【0011】
効果的には、上記経路の本体の少なくとも一部を、外部環境と流通させる。
【0012】
上記電気的な放電は、適用分野に従って適切な方法が選択されて、任意の周波数の範囲で、直流、パルス又は交流の電圧から構成される電圧群から選ばれた電圧によって発生する。
【0013】
特に効果的なやり方で、上記プラズマフラックスが、上記経路の本体の一部内で経路と接続された供給ダクト(サプライダクト)を用いて発生される。
【0014】
特定の処理を行うためには、上記プラズマの発生装置内に射出された少なくとも一つのキャリヤ流体を用いて、上記プラズマを保つ。好ましくは、上記プラズマは、射出可能な形態で処理構成物を含むキャリヤ流体を用いて保たれる。
【0015】
上記射出可能な形態は、ガス、蒸気、ガスと蒸気の混合でもよく、又は、ガス状や固体状の粒子、又はこれら粒子の混合を含む流体輸送を形成する構成物でもよい。
【0016】
特に効果的な変更例では、上記径路の本体の長手軸線に対して所定角度で幾つかのプラズマフラックスを発生させて、これらプラズマフラックスを夫々、上記径路の本体の一部に閉じ込めて、これらプラズマフラックスを夫々、特定のキャリヤ流体を用いて保つようにする。
【0017】
適用分野に従って、細長い対象物を、毎秒数センチメートルから毎秒数十メートルの範囲内の速度で、上記経路内を移動させてもよい。
【0018】
また、本発明では、上記目的を達成するため、前文で記載したような装置を用いるが、特に、中間電極と接地の間に印加された電圧によって発生した電気的な放電を用いてニュートラルのプラズマフラックスを発生する手段と、上記径路の本体の少なくとも一部で上記長手軸線に対して所定角度でこのニュートラルのプラズマフラックスを発生する手段と、少なくとも上記細長い対象物が上記経路の本体の一部を移動する際、上記経路の本体の一部の内側に上記プラズマフラックスを閉じ込める手段とを有する。
【0019】
本発明の好適な実施形態では、上記径路の本体の長手軸線に対して所定角度でプラズマフラックスを発生する手段は、上記経路の本体の一部内で上記経路と接続された供給ダクトとともに備えられたプラズマ発生装置を含み、この供給ダクトは、細長い対象物の移動軸線と角度を形成する。
【0020】
好ましくは、プラズマ発生装置は、電極と、上記径路の本体の一部の間に発生した電気的な放電を用いて、プラズマフラックスを発生するように構成されて、上記経路の本体の一部の内壁の間にこのプラズマフラックスを閉じ込める。
【0021】
効果的には、供給ダクトは、細長い対象物の移動軸線に対して、0°〜90°の間、好ましくは、30°〜60°の間で角度を形成する。
【0022】
この構成の第1の形態では、経路は、プラズマフラックスの温度に対して耐性のある材料から形成されたチューブ状の本体内に備えられる。
【0023】
この構成の第2の形態では、経路は、良好な熱伝導性を有する材料から形成されたチューブ状の本体内に備えられ、経路の本体の外壁は冷却される。利用可能な材料のうち、石英やセラミックス、特に、良好な熱伝導性を有し、アルミニウムに基づくセラミックスから形成されたものを用いてもよい。
【0024】
プラズマフラックスは、層状に発生して、プラズマの伝達速度が、細長い対象物の移動速度と比べて、等しいか、大きくなるようにしてもよい。
【0025】
効果的には、この装置は、上記細長い対象物を、毎秒数センチメートルから毎秒数十メートルの範囲内の速度で移動させる手段を含む。また、好ましくは、細長い対象物の製造又は加工用のプラントに対して上流及び/又は下流側のワークステーションと同じ移動速度を適用する。
【0026】
効果的には、この装置は、反対方向にプラズマフラックスの向きを定めるように配向された、2つのプラズマ発生装置を含んでいてもよい。
【0027】
幾つかの適用分野では、上記経路の本体に分離手段を備えて、上記経路の内側を外部環境から隔てるようにしてもよい。
【0028】
また、プラズマ発生装置の供給ダクトを、キャリヤ流体の射出用ダクトと関連させることは可能である。
【0029】
特に効果的な変更例では、上記径路の本体の長手軸線に対して所定角度で複数のプラズマフラックスを発生するように、上記経路に複数の部分と複数のプラズマ発生装置を備え、これらプラズマフラックスを夫々、上記経路の本体の部分内に閉じ込めて、これらプラズマフラックスを夫々、特定のキャリヤ流体を用いて保つようにする。限定的ではなく、単なる例として示すと、キャリヤ流体は、アルゴン、空気又は窒素から形成されてもよい。また、キャリヤ流体は、例えば、酸素、四フッ化炭素、四塩化炭素又は同様物のような、プラズマ−化学の処理構成物を搬送してもよい。
【0030】
上記経路は、必要に応じて、ポンプを用いて部分的な真空とつなげられたり、又は真空チャンバ内や制御された大気内に置かれてもよい。
【0031】
本発明の方法と装置に関するさらなる特徴は、添付した図を参照して、装置を構成する幾つかの方法とこの方法の適用例について示した明細書の説明を理解することで明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1を参照すると、装置100は、中空の円筒形状の本体2の内側に経路1を備えており、これは、2つの端部で開放されて、例えば、銅や、絶縁性や、さらには耐性の材料から形成されている。この円筒形状の本体2は、接地Tと電気的につなげられており、中間電極と接地Tの間に印加される電圧によって発生する電気的な放電を用いて、径路1内にニュートラルのプラズマフラックスを発生する手段を備えており、径路1は、軸線を横切る方向に電圧が加えられないようにしている。このため、本体2と接続されるプラズマ発生装置3は、電源5と接続された電極4を含むが、この電源5は接地Tとつなげられている。プラズマ発生装置3の電極4は、絶縁体6の内側に収容されるが、この絶縁体6は径路1と接続された端部7内に取付けられている。好ましくは、端部7を、この長手軸線が経路1の軸と、例えば30°〜60°の間で、鋭角をなすように配置する。経路1の軸は、実際には、処理される細長い対象物Aの移動軸線であり、これは部分的に経路1の軸に沿って示されて、配置されている。電源5は、直流電圧の発電器でもよく、又は交流電圧の発電器でもよい。プラズマ発生装置3は、経路1の軸に対して軸を傾斜させた供給ダクト8を介して、径路1と接続されている。この供給ダクト8内には、キャリヤ流体の射出用ダクト9が延出するが、キャリヤ流体は、処理ガス(トリートメントガス)や蒸気でもよく、又はキャリヤ流体は、固体粒子等を含んでいてもよい。
【0033】
経路1を移動する細長い対象物Aの一部は、経路内に含まれる案内部11と、径路外のテンション装置と駆動装置(図示せず)を用いて、ほぼ中央位置に保たれる。これらは、織物産業で、糸を、経路1の外側に配置された一連の処理ステーションを移動させるように用いられており、例えば糸である、細長い対象物Aの一部を、保持すべく緊張させて、径路の長手方向に移動させている。尚、適用される処理のタイプに従って、右−左の方向や、左−右の方向に移動させることは可能である。
【0034】
プラズマ発生装置3は、供給ダクト8を通って伝達されるようにニュートラルのプラズマフラックスを発生させるが、経路の一部10内で集中させて、プラズマを閉じ込める。このため、表面が処理される、細長い対象物Aの一部は、径路1内を移動する際、プラズマ内に全体が浸される。また、処理を必要とすることがある物質を、直接的な射出又は射出ダクト9を通るキャリヤ流体を用いてプラズマに加えてもよい。この物質は、例えば洗浄、研磨、表面の折出である処理に従って選ばれる。
【0035】
図2を参照すると、本発明に係る処理装置の第2の実施形態の長手方向の断面を示している。経路1は、特に2つの部分10aと10bを含み、これらの中でプラズマを閉じ込めて、夫々、独自のプラズマ発生装置3と関連させているが、これらプラズマ発生装置3は、図1を用いて参照したものと同じである。これら2つの発生装置と夫々関係付けられる電源5は、図1で参照した装置の電源5と同じであり、これらは同じ電圧を供給し、かつ細長い対象物Aが同じ速度で経路1内を移動すると仮定すると、この装置は、同一の処理状況下では、この対象物とプラズマの間の接触時間を2倍にすることができる。あるいは、対象物とプラズマの間の接触時間を等しいと仮定すると、この装置は、移動する対象物の速度を2倍にすることができる。
【0036】
図3を参照すると、本発明に係る処理装置の第3の実施形態の長手方向の断面を示している。経路1は、2つのプラズマ発生装置3を含み、これらは、プラズマの密度を向上させることを目的として、プラズマが閉じ込められる経路の一部10をプラズマで満たすように配向されており、この結果、処理速度を向上させるとともに、細長い対象物Aの移動速度を向上させることができる。この実施形態はまた、連続して処理するためには細長い対象物の表面上で同時に生じることを必要とし、プラズマ内に射出される前に直接的に混合できない物質を用いる処理を可能にする。この場合、これら物質は、射出ダクト9を介してプラズマ内に射出される。プラズマ発生装置3は、2つの電源5と関連するが、これらは、適用分野に従って、同一又は異なる電圧を供給してもよい。
【0037】
図4を参照すると、本発明に係る処理装置100の第4の実施形態の長手方向の断面を示している。この変化例では、径路1の端部に分離装置12を備えており、プラズマが閉じ込められる部分10を周囲の環境から隔てている。これら分離装置は、開口部13と14を介して過度の圧力又は真空下に置かれることができるバッファー室の型を示している。これらは、例えば、上記経路1を移動する細長い対象物Aを、径路1の内側と処理領域である部分10について、他の外部環境から分離させるために設けられている。この構成では、一連の2つの分離装置が設けられる場合には、細長い対象物の表面上にある物質の分子を融合させたり、2つの操作を連続して行うことを可能にする。
【0038】
図5を参照すると、本発明に係る処理装置100の第5の実施形態の長手方向の断面を示している。プラズマが閉じ込められる部分10を構成する処理領域は、2つのプラズマ発生装置3により発生されたプラズマで満たされているが、これらプラズマ発生装置3は、互いに反対方向にプラズマの伝達方向で経路1に対して所定角度でプラズマを向けるように配置されており、処理領域を広げることを可能にしている。処理に必要な物質をこの処理領域に向って搬送するため、上述した射出ダクト9を用いることは可能である。また、他の補完的な射出ダクト15を用いて、処理に必要な物質を処理領域まで直接的に搬送することを可能にし、又、プラズマ内に射出する一般的なプロセスでは、処理される細長い対象物の表面上に所望の効果を生じさせる前に破壊されるおそれがある、プラズマ媒体に対してかなり敏感な物質を用いることを可能にする。
【0039】
電源5によって供給される電圧は全て、適用分野に従って、異なっていてもよく、又は同じでもよい。
【0040】
本発明に係る処理装置は、本発明の範囲から離れることなく、他、様々に変化されたものでもよい。特に、構成を容易にするため、本体2は、分離可能な2つの部分であって、長手方向に、オープントラフの形状とこの補完的な形状のカバーとを用いて形成されて、これらの間に処理される対象物の移動用の経路を定めてもよい。
【0041】
本発明に係る方法と装置によれば、非常に小さなプラズマ装置を用いて、種々の細長い対象物、特にフィラメント状の対象物を処理することを可能にする。この小さなプラズマ装置では、プラズマ発生用の電圧と処理ガスの消費を非常に小さくすることが可能になる。さらに、この装置は接地されている(アースに接続されている)ので、十分安全に、特に導電性のワイヤーである、金属製のワイヤーを処理するために使用できる。
以下、細長い対象物を処理するために、本発明に係る装置を使用する幾つかの例について記載する。
【0042】
例1
この例では、木綿の糸(コットンヤーン)の表面を燃やす処理を行うため、第1の実施形態に従う装置を使用する例について示す。
方法に用いられるパラメーター
電力 AC(20 kHz)
プラズマに印加される電圧 500 V
キャリヤ/処理ガス 空気
キャリヤ/処理ガスの流動率 2 l/分
糸の移動速度 10 m/秒
結果
フレームを用いる一般的な方法と比べて、3倍以上も効果的に処理を行うことができた。
【0043】
例2
この例では、合成糸の表面の一部を研磨するため、第1の実施形態に従う装置を使用する例について示す。
方法に用いられるパラメーター
電力 DC
プラズマに印加される電圧 800 V
キャリヤガス 窒素
処理ガス 酸素
キャリヤガスの流動率 2.5 l/分
処理ガスの流動率 1 l/分
糸の移動速度 10 m/秒
結果
表面上にクレイズを生じさせることで、合成糸の全重量の10%を取り除くことができた。
【0044】
例3
この例では、合成糸の表面上にSiOXの層を折出するため、第1の実施形態に従う装置を使用する例について示す。
方法に用いられるパラメーター
電力 AC(13.56 MHz)
キャリヤガス アルゴン
処理ガス 酸素+C919NSi2(蒸気)
キャリヤガスの流動率 2 l/分
処理ガスの流動率 0.2 l/分
糸の移動速度 5 m/秒
結果
約0.1ミクロンの厚さを有するSiOX(X=1.8−2.2)の層を得る処理を行うことができた。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る処理装置の第1の実施形態の長手方向の断面図である。
【図2】本発明に係る処理装置の第2の実施形態の長手方向の断面図である。
【図3】本発明に係る処理装置の第3の実施形態の長手方向の断面図である。
【図4】本発明に係る処理装置の第4の実施形態の長手方向の断面図である。
【図5】本発明に係る処理装置の第5の実施形態の長手方向の断面図である。
【符号の説明】
【0046】
A 細長い対象物
1 経路
2 本体
3 プラズマ発生装置
4 電極
8 供給ダクト
9 ダクト
10、10a、10b 部分
12 分離手段
100 装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い対象物、例えば、ファイバー、ワイヤーや糸、チューブ状部材、リボン、ストリップ又は同様物の表面を、環境圧力下の電気的な放電によって発生したプラズマフラックスを用いて、連続して処理する方法であって、
前記細長い対象物が、2つの端部で少なくとも部分的に開放された、中空のチューブ状の本体の内側に備えられた経路を通り、この経路の長手軸線とほぼ平行な移動軸線に沿って連続的に移動され、
中間電極と接地の間に印加された電圧によって発生した電気的な放電を用いてニュートラルの前記プラズマフラックスを発生させ、前記径路の本体の少なくとも一部で前記長手軸線に対して所定角度で前記ニュートラルのプラズマフラックスを発生させて、少なくとも前記細長い対象物が前記経路の本体の一部を通って移動するとき、前記経路の本体の一部内に前記プラズマフラックスを閉じ込めることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記プラズマフラックスは、前記細長い対象物(A)の前記移動軸線に対して鋭角をなすことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記径路(1)の本体(2)の少なくとも一部(10)を、外部環境と流通させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電気的な放電は、任意の周波数の範囲で、直流、パルス又は交流の電圧から構成される電圧群から選ばれた電圧によって発生することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プラズマフラックスは、前記径路の本体の一部と接続された供給ダクト(8)を用いて発生することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記プラズマの発生装置内に射出された少なくとも一つのキャリヤ流体を用いて、前記プラズマを保つことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
射出可能な形態でプラズマ−化学の処理構成物を含むキャリヤ流体を用いて、前記プラズマを保つことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記射出可能な形態は、ガス、蒸気、ガスと蒸気の混合、又は、ガス状や固体状の粒子、又はこれら粒子の混合を含む流体輸送を形成する構成物であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記径路の本体の長手軸線に対して所定角度で複数のプラズマフラックスを発生するように、前記径路の本体の複数の部分を定め、前記プラズマフラックスを夫々、前記径路の本体の部分の内側に閉じ込めて、前記プラズマフラックスを夫々、特定のキャリヤ流体を用いて保つことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記細長い対象物(A)は、毎秒数センチメートルから毎秒数十メートルの範囲内の速度で、前記経路(1)内を移動することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
細長い対象物、例えば、ファイバー、ワイヤーや糸、チューブ状部材、リボン、ストリップ又は同様物の表面を、環境圧力下の電気的な放電によって発生したプラズマフラックスを用いて、連続して処理する装置であって、2つの端部で少なくとも部分的に開放された、中空のチューブ状の本体の内側に備えられた経路(1)を設けて、前記細長い対象物(A)を、この経路の長手軸線とほぼ平行な移動軸線に沿って移動させ、請求項1〜10のいずれかに記載の方法を行うために、前記装置(100)は、中間電極と接地の間に印加された電圧によって発生した電気的な放電を用いてニュートラルの前記プラズマフラックスを発生する手段と、前記径路(1)の本体の少なくとも一部で前記長手軸線に対して所定角度で前記ニュートラルのプラズマフラックスを発生する手段と、少なくとも前記細長い対象物(A)が前記経路の本体の一部を通って移動するとき、前記経路の本体の一部(10)の内側に前記プラズマフラックスを閉じ込める手段とを有することを特徴とする装置。
【請求項12】
前記径路の本体の長手軸線に対して所定角度で前記プラズマフラックスを発生させる手段は、前記径路の本体の一部(10)で前記径路(1)と接続された供給ダクト(8)とともに備えられたプラズマ発生装置(3)を含み、前記供給ダクト(8)は、前記細長い対象物(A)の移動軸線に対して角度を形成することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記プラズマ発生装置(3)は、電極(4)と前記径路(1)の本体(2)の一部(10)の間に発生した電気的な放電を用いて前記プラズマフラックスを発生するように配置され、このプラズマフラックスを、前記径路の本体の一部(10)の内壁の間に閉じ込めることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記プラズマ発生装置(3)の前記供給ダクト(8)は、前記細長い対象物(A)の移動軸線に対して、0°〜90°の間、好ましくは、30°〜60°の間で角度を形成することを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記径路(1)は、プラズマフラックスの温度に対して耐性のある材料から形成されたチューブ状の本体(2)内に備えられることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記径路(1)は、良好な熱伝導性を有する材料から形成されたチューブ状の本体(2)内に備えられ、前記径路(1)の外壁は冷却されることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項17】
前記プラズマフラックスは層状に発生し、前記プラズマの伝達速度が、前記細長い対象物(A)の移動速度と比べて、等しいか、大きくなるようにしたことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項18】
前記細長い対象物(A)を毎秒数センチメートルから毎秒数十メートルの範囲内の速度で移動させる手段を有することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項19】
反対方向にプラズマフラックスの向きを定めるように配向された、2つのプラズマ発生装置(3)を含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項20】
前記径路(1)に分離手段(12)を備えて、前記径路(1)の内部を外部環境から隔てたことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項21】
前記プラズマ発生装置(3)の前記供給ダクト(8)を、キャリヤ流体の射出用ダクト(9)と関連させたことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項22】
前記径路の本体の長手軸線に対して所定角度で複数のプラズマフラックスを発生するように、前記径路(1)は、複数の部分(10a、10b)と複数のプラズマ発生装置(3)を含み、前記プラズマフラックスを夫々、前記径路の本体の部分(10a、10b)の内側に閉じ込めて、前記プラズマフラックスを夫々、特定のキャリヤ流体を用いて保つことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項23】
前記径路(1)は、部分的な真空や制御された大気につなげられることが可能な手段(13、14、15)を含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項24】
フィラメント状の対象物の表面の物理特性を変化させるため、請求項1〜10のいずれかに記載の方法による使用。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−524004(P2007−524004A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−510679(P2005−510679)
【出願日】平成15年11月18日(2003.11.18)
【国際出願番号】PCT/CH2003/000763
【国際公開番号】WO2005/049226
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(506166701)
【出願人】(506166893)
【Fターム(参考)】