説明

組み換え微生物及びこれを用いた脂肪族ポリエステルの製造方法

【課題】脂肪族ポリエステルの生産性に優れた組換え微生物を提供するとともに、当該組換え微生物を利用した脂肪族ポリエステルの製造方法を提供する
【解決手段】宿主微生物に対してMegasphaera elsdenii由来のpct遺伝子及び/又はStaphylococcus aureus由来のpct遺伝子と、Pseudomonas sp. 61-3株由来のPHAシンターゼ遺伝子(phaC2遺伝子)及び/又はAlcanivorax borkumensis SK2株由来のPHAシンターゼ遺伝子とを導入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宿主微生物に所定の遺伝子を導入することで所望の機能を付与された組み換え微生物及びこれを用いた脂肪族ポリエステルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪族ポリエステルは、自然界で容易に分解される生分解性プラスチックとして、また糖や植物油などの再生可能な炭素資源から合成することができる“グリーン”プラスチックとして、注目されている。現在、脂肪族ポリエステルとしては、ポリ乳酸等の乳酸骨格を有するものが実用的に利用されている。
【0003】
ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルを組み換え微生物を利用して製造する技術としては、例えば特許文献1(WO 2006/126796)に開示された技術が知られている。特許文献1には、宿主となる大腸菌に、乳酸を乳酸CoAに変換する酵素をコードする遺伝子及び乳酸CoAを基質としてポリヒドロキシアルカン酸を合成する酵素をコードする遺伝子を導入した組み換え大腸菌を開示している。特許文献1に開示された技術において、乳酸を乳酸CoAに変換する酵素をコードする遺伝子としては、Clostridium propionicum由来のpct遺伝子を使用している。また、同技術において、乳酸CoAを基質としてポリヒドロキシアルカン酸を合成する酵素をコードする遺伝子としては、Pseudomonas sp. 61-3株由来のphaC2遺伝子を使用している。
【0004】
但し、特許文献1には、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルの生産性が十分とは言えず、また当該生産性を向上させるために種々の検討が不十分である。例えば、特許文献2(WO 2008/062999)には、Pseudomonas sp. 6-19株由来のphaC1遺伝子に特定の変異を導入することで、乳酸CoAを基質として乳酸ホモポリマー又はポリ乳酸コポリマーの合成能を高めようとする試みが開示されている。
【0005】
一方、乳酸を乳酸CoAに変換する酵素をコードする遺伝子としては、例えば特許文献3(US 7,186,541)にMegasphaera elsdenii由来の遺伝子(プロピオニルCoAトランスフェラーゼ遺伝子(pct遺伝子))が開示されている。しかしながら、特許文献3は、種々のプロピオニルCoAトランスフェラーゼ遺伝子について、その活性を比較検討したものではなく、また、特許文献1のように脂肪族ポリエステルを製造する際に当該遺伝子を利用するといった技術を開示するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO 2006/126796
【特許文献2】WO 2008/062999
【特許文献3】US 7,186,541
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルを組み換え微生物を利用して製造する技術は、脂肪族ポリエステルの生産性が低いという問題があり、また当該生産性の向上という観点から十分に検討されたとは言えない。そこで、本発明は、脂肪族ポリエステルの生産性に優れた組換え微生物を提供するとともに、当該組換え微生物を利用した脂肪族ポリエステルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討した結果、所定の微生物由来のプロピオニルCoAトランスフェラーゼ遺伝子と所定の微生物由来のポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子とを導入した組み換え微生物においてポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルの生産性が顕著に優れることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下を包含する。
本発明に係る組換え微生物は、宿主微生物に対して以下の(a)〜(c)のいずれかに示す遺伝子及び(d)〜(f)のいずれかに示す遺伝子を導入したものである。
(a)配列番号2又は4に示すアミノ酸配列を含むタンパク質コードする遺伝子
(b)配列番号2又は4に示すアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列を含み、乳酸を乳酸CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
(c)配列番号1又は3に示す塩基配列に対する相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件でハイブリダイズし、乳酸を乳酸CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
(d)配列番号6又は8に示すアミノ酸配列を含むタンパク質コードする遺伝子
(e)配列番号6又は8に示すアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列を含み、乳酸CoAを基質としてポリ乳酸を合成する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
(f)配列番号5又は7に示す塩基配列に対する相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件でハイブリダイズし、乳酸CoAを基質としてポリ乳酸を合成する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
【0010】
特に、本発明に係る組み換え微生物は、宿主微生物として大腸菌を使用したものであることが好ましい。また、本発明に係る組み換え微生物は、上述した2種類の遺伝子の他にも、脂肪族ポリエステルの合成系に関与する酵素をコードする遺伝子を導入した物であっても良い。上述した2種類の遺伝子を導入した組み換え微生物によれば、培地中の炭素源を利用してポリ乳酸ホモポリマーを合成することができる。上述した2種類の遺伝子の他に、脂肪族ポリエステルの合成系に関与する酵素をコードする遺伝子を更に導入した組み換え微生物によれば、培地中の炭素源を利用して乳酸コポリマーを合成することができる。ここで、乳酸コポリマーとは、ポリマーの骨格中に乳酸骨格を有するとともに、乳酸以外のヒドロキシアルカン酸骨格を有するポリマーを意味する。
【0011】
また、本発明によれば、上述した本発明に係る組み換え微生物を利用した脂肪族ポリエステルの製造方法を提供することができる。すなわち、本発明に係る脂肪族ポリエステルの製造方法は、上述した微生物を培養する工程と、培地中から脂肪族ポリエステルを回収する工程を含むものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、脂肪族ポリエステルの生産能に優れた組み換え微生物を提供することができる。すなわち、本発明に係る組み換え微生物は、従来の組み換え微生物と比較して顕著に優れた脂肪族ポリエステルの生産能を有している。本発明に係る組み換え微生物を利用することによって、生産性に優れた脂肪族ポリエステルの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】Clostridium. propionicum由来のプロピオニルCoAトランスフェラーゼ遺伝子、Megasphaera elsdenii由来のプロピオニルCoAトランスフェラーゼ遺伝子及びStaphylococcus aureus由来のプロピオニルCoAトランスフェラーゼ遺伝子について、乳酸を乳酸CoA変換する活性を評価した結果を示す特性図である。
【図2】種々のポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子について、Megasphaera elsdenii由来のプロピオニルCoAトランスフェラーゼ遺伝子とともに発現させた場合のポリ乳酸の生産性を評価した結果を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る組み換え微生物及びこれを用いた脂肪族ポリエステルの製造方法を詳細に説明する。
本発明に係る組み換え微生物は、所定のプロピオニルCoAトランスフェラーゼ遺伝子(pct遺伝子)と、所定のポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子とを宿主微生物に導入したものである。
【0015】
プロピオニルCoAトランスフェラーゼ遺伝子
本発明において、プロピオニルCoAトランスフェラーゼ遺伝子(以下、pct遺伝子と称する)としては、Megasphaera elsdenii由来の遺伝子及びStaphylococcus aureus由来の遺伝子を挙げることができる。Megasphaera elsdenii由来のpct遺伝子におけるコーディング領域の塩基配列を配列番号1に示し、当該pct遺伝子によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号2に示す。また、Staphylococcus aureus由来pct遺伝子におけるコーディング領域の塩基配列を配列番号3に示し、当該pct遺伝子によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号4に示す。これら配列番号2又は4に示すアミノ酸配列を含むタンパク質は、プロピオニルCoAトランスフェラーゼ活性、なかでも乳酸を基質として乳酸CoAを合成する活性を有している。
【0016】
また、本発明において、pct遺伝子としては、配列番号2又は4に示すアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するものに限定されず、当該アミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸配列が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、乳酸を乳酸CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードするものであってもよい。ここで、複数個のアミノ酸としては、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1個から5個、特に好ましくは1個から3個を意味する。
【0017】
さらに、本発明において、pct遺伝子としては、配列番号2又は4に示すアミノ酸配列に対して、例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の配列類似性を有するアミノ酸配列であって、且つ、乳酸を乳酸CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードするものであってもよい。ここで、配列類似性の値は、blastアルゴリズムを実装したコンピュータプログラム及び遺伝子配列情報を格納したデータベースを用いてデフォルトの設定で求められる値を意味する。
【0018】
さらにまた、本発明において、pct遺伝子としては、配列番号1又は3に示す塩基配列を有する遺伝子の少なくとも一部に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを含み、且つ、乳酸を乳酸CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードするものであってもよい。ここで、ストリンジェントな条件とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。例えば、45℃、6×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)でのハイブリダイゼーション、その後の50〜65℃、0.2〜1×SSC、0.1%SDSでの洗浄が挙げられ、或いはそのような条件として、65〜70℃、1×SSCでのハイブリダイゼーション、その後の65〜70℃、0.3×SSCでの洗浄を挙げることができる。ハイブリダイゼーションは、J. Sambrook et al. Molecular Cloning, A Laboratory Manual,2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に記載されている方法等、従来公知の方法で行うことができる。
【0019】
なお、アミノ酸の欠失、置換若しくは付加は、上記転写因子をコードする塩基配列を、当該技術分野で公知の手法によって改変することによって行うことができる。塩基配列に変異を導入するには、Kunkel法またはGapped duplex法等の公知手法又はこれに準ずる方法により行うことができ、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant-KやMutant-G(何れも商品名、TAKARA Bio社製))等を用いて、あるいはLA PCR in vitro Mutagenesisシリーズキット(商品名、TAKARA Bio社製)を用いて変異が導入される。また、変異導入方法としては、EMS(エチルメタンスルホン酸)、5-ブロモウラシル、2-アミノプリン、ヒドロキシルアミン、N-メチル-N’-ニトロ-Nニトロソグアニジン、その他の発ガン性化合物に代表されるような化学的変異剤を使用する方法でも良いし、X線、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、イオンビームに代表されるような放射線処理や紫外線処理による方法でも良い。
【0020】
ポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子
ポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子(PHAシンターゼ遺伝子とも称される)は、特許文献1(WO 2006/126796)にも開示されるように、数多くの微生物において知られている。特に、本発明においては、特定のポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子を上述したPCT遺伝子とともに宿主微生物において発現させる。具体的に、本発明において、ポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子としては、Pseudomonas sp. 61-3株由来のポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子(phaC2遺伝子)及び/又はAlcanivorax borkumensis SK2株由来のポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子を使用する。Pseudomonas sp. 61-3株由来のポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子(phaC2遺伝子)におけるコーディング領域の塩基配列を配列番号5に示し、当該phaC2遺伝子によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号6に示す。また、Alcanivorax borkumensis SK2株由来のポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子におけるコーディング領域の塩基配列を配列番号7に示し、当該ポリヒドロキシアルカン酸シンターゼ遺伝子によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号8に示す。これら、これら配列番号6又は8に示すアミノ酸配列を含むタンパク質は、ポリヒドロキシアルカン酸合成活性、なかでも乳酸CoAを基質としてポリ乳酸を合成する活性若しくは乳酸CoA及びその他のヒドロキシアルカン酸を基質としてポリ乳酸系共重合物を合成する活性を有する。
【0021】
また、本発明において、PHAシンターゼ遺伝子としては、配列番号6又は8に示すアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するものに限定されず、当該アミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸配列が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、乳酸CoAを基質としてポリ乳酸を合成する活性を有するタンパク質をコードするものであってもよい。ここで、複数個のアミノ酸としては、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1個から5個、特に好ましくは1個から3個を意味する。
【0022】
さらに、本発明において、PHAシンターゼ遺伝子としては、配列番号6又は8に示すアミノ酸配列に対して、例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の配列類似性を有するアミノ酸配列であって、且つ、乳酸CoAを基質としてポリ乳酸を合成する活性を有するタンパク質をコードするものであってもよい。ここで、配列類似性の値は、blastアルゴリズムを実装したコンピュータプログラム及び遺伝子配列情報を格納したデータベースを用いてデフォルトの設定で求められる値を意味する。
【0023】
さらにまた、本発明において、PHAシンターゼ遺伝子としては、配列番号5又は7に示す塩基配列を有する遺伝子の少なくとも一部に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを含み、且つ、乳酸CoAを基質としてポリ乳酸を合成する活性を有するタンパク質をコードするものであってもよい。なお、ストリンジェントな条件とは、「プロピオニルCoAトランスフェラーゼ遺伝子」の欄で示した条件と同義である。
【0024】
また、アミノ酸の欠失、置換若しくは付加についても、「プロピオニルCoAトランスフェラーゼ遺伝子」の欄で示した手法を適用することができる。
【0025】
宿主微生物
本発明において、宿主微生物としては、例えば、シュードモナス・エスピー(Pseudomonas sp.)61-3株などのシュードモナス(Pseudomonas)属細菌、R.ユートロファなどのラルストニア(Ralstonia)属細菌、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)などのバチルス(Bacillus)属細菌、大腸菌(Escherichia coli)などのエシェリヒア(Escherichia)属細菌、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属細菌、サッカロマイセス・セレビシー(Saccharomyces cerevisiae)などのサッカロマイセス(Saccharomyces)属酵母、カンジダ・マルトーサ(Candida maltosa)などのカンジダ(Candida)属酵母などを挙げることができる。宿主微生物としては、特に大腸菌を使用することが好ましい。
【0026】
宿主細胞に上述した遺伝子を導入するためのベクターは、宿主中で自立複製可能なものであればよく、プラスミドDNA、ファージDNAの形態にあることが好ましい。大腸菌に導入するためのベクターの例としては、pBR322、pUC18、pBLuescriptII等のプラスミドDNAを、EMBL3、M13、λgtII等のファージDNA等を、それぞれ挙げることができる。また酵母に導入するためのベクターの例としては、YEp13、YCp50等を挙げることができる。
【0027】
上述した遺伝子の両方若しくは一方をベクターへ挿入するは、当業者に知られた遺伝子組み換え技術を用いて行うことができる。また組み換えに際して、転写を調節することのできるプロモーターの下流に、前記遺伝子を連結することが好ましい。プロモーターとしては、宿主中で遺伝子の転写を調節できるものであればいずれを用いてもよい。例えば、大腸菌を宿主として用いる場合には、trpプロモーター、lacプロモーター、PLプロモーター、PRプロモーター、T7プロモーターなどを、酵母を宿主として用いる場合には、gal1プロモーター、gal10プロモーターなどを用いることができる。
【0028】
また、ベクターには、必要に応じて、遺伝子を導入しようとする微生物において利用可能なターミネーター配列、エンハンサー配列、スプライシングシグナル配列、ポリA付加シグナル配列、リボゾーム結合配列(SD配列)、選択マーカー遺伝子などを連結することができる。選択マーカー遺伝子の例としては、アンピシリン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、カナマシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子等の薬剤耐性遺伝子の他、アミノ酸や核酸等の栄養素の細胞内生合成に関与する遺伝子、あるいはルシフェラーゼ等の蛍光タンパク質をコードする遺伝子などを挙げることができる。
【0029】
上記ベクターは、当業者に知られた方法によって、微生物に導入できる。微生物へのベクターの導入方法としては、例えばリン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法、接合伝達法、カルシウムイオンを用いる方法等が挙げられる。
【0030】
脂肪族ポリエステルの製造
上述したpct遺伝子及びPHAシンターゼ遺伝子を宿主微生物に導入して得られる組み換え微生物を、炭素源を含む培地で培養し、培養菌体又は培養物中に脂肪族ポリエステルを生成蓄積させ、該培養菌体又は培養物から脂肪族ポリエステルを回収することで、目的とする脂肪族ポリエステルを製造することができる。この組み換え微生物は、糖の代謝経路によって糖から乳酸を合成し、pct遺伝子によりコードされるプロピオニルCoAトランスフェラーゼが乳酸を乳酸CoAに変換する。そして、この組み換え微生物は、PHAシンターゼ遺伝子によりコードされるPHAシンターゼが乳酸CoAを基質として構成単位として乳酸を含む脂肪族ポリエステルを合成する。ここで、脂肪族ポリエステルとしては、構成単位が乳酸のみからなるポリ乳酸(ホモポリマー)であってもよいし、構成単位として乳酸と乳酸以外のヒドロキシアルカン酸とからなる乳酸系共重合体であってもよい。ポリ乳酸(ホモポリマー)を合成する際には、培地中に乳酸以外のヒドロキシアルカン酸を添加しないか、宿主微生物における乳酸以外のヒドロキシアルカン酸生合成経路を欠損させる。一方、構成単位として乳酸と乳酸以外のヒドロキシアルカン酸とからなる乳酸系共重合体を合成する際には、培地中に乳酸以外のヒドロキシアルカン酸を添加すればよく、また、宿主微生物に対して乳酸以外のヒドロキシアルカン酸生合成経路を付与してもよい。
【0031】
炭素源としては、例えばグルコース、フラクトース、スクロース、マルトース等の炭水化物が挙げられる。また、炭素数4以上の油脂関連物質を炭素源とすることもできる。炭素数4以上の油脂関連物質としては、コーン油、大豆油、サフラワー油、サンフラワー油、オリーブ油、ヤシ油、パーム油、ナタネ油、魚油、鯨油、豚油又は牛油などの天然油脂、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノレン酸、リノール酸若しくはミリスチン酸等の脂肪酸又はこれらの脂肪酸のエステル、オクタノール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール若しくはパルミチルアルコール等又はこれらアルコールのエステル等が挙げられる。
【0032】
窒素源としては、例えばアンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩の他、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスティープリカー等が挙げられる。無機物としては、例えばリン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。
【0033】
培養は、通常振盪培養などの好気的条件下、25〜37℃の範囲で、上記pct遺伝子及びPHAシンターゼ遺伝子が発現してから24時間以上行うことが好ましい。培養中は、カナマイシン、アンピシリン、テトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。上記pct遺伝子及びPHAシンターゼ遺伝子いずれか或いは両方を誘導性プロモーターの制御下に導入した場合には、当該プロモーターからの転写を誘導する因子を培地に添加し、その後24時間以上行うことが好ましい。
【0034】
特に、上述したpct遺伝子及びPHAシンターゼ遺伝子を導入した組み換え大腸菌を培養し、ポリ乳酸を製造することが好ましい。この方法では、培地に乳酸などの、目的とするポリマーを構成するモノマー成分を培地に添加しなくても、ポリ乳酸を製造することができ、製造コストの点で有利である。
【0035】
なお、乳酸等の脂肪族ポリエステルの回収は、当業者に公知の方法によって行えばよい。例えば、培養液から遠心分離によって集菌、洗浄した後、乾燥させ、クロロホルムに乾燥菌体を懸濁し、加熱することによって、目的とするポリエステルをクロロホルム画分に抽出し、さらにこのクロロホルム溶液にメタノールを加えてポリエステルを沈殿させ、濾過や遠心分離によって上澄み液を除去した後、乾燥することで、精製されたポリエステルを得ることができる。回収されたポリエステルがポリ乳酸であることの確認は、通常の方法、例えばガスクロマトグラフ法や核磁気共鳴法等により行えばよい。
【実施例】
【0036】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕種々のpct遺伝子の評価
本実施例では、Clostridium. propionicum由来のpct遺伝子、Megasphaera elsdenii由来のpct遺伝子及びStaphylococcus aureus由来のpct遺伝子について、乳酸を乳酸CoA変換する活性を評価した。Clostridium. propionicum由来のpct遺伝子を導入するためのベクターpTV118N-C.P PCT、Megasphaera elsdenii由来のpct遺伝子を導入するためのベクターpTV118N-M.E PCT及びStaphylococcus aureus由来のpct遺伝子を導入するためのベクターpTV118N-S.A PCTを作製した。
【0037】
先ず、M. elsdenii(ATCC17753)、S. aureus(ATCC10832)及びC.propionicum(ATCC25522)のゲノムを常法により取得し、PCR法により各PCT遺伝子を取得した。M. elsdenii由来のpct遺伝子を含むDNA断片を増幅するためのプライマーとして、MePCTN:5’-atgagaaaagtagaaatcattac-3’(配列番号9)及びMePCTC:5’-ttattttttcagtcccatgggaccgtcctg-3’ (配列番号10)を使用した。S. aureus(ATCC10832)由来のpct遺伝子を含むDNA断片を増幅するためのプライマーとして、SpctN:5’-gtgccatggaacaaatcacatggcacgac-3’ (配列番号11)及びSpctC:5’-cacgaattcatactttatgaattgattg-3’ (配列番号12)を使用した。C.propionicum(ATCC25522) 由来のpct遺伝子を含むDNA断片を増幅するためのプライマーとして、CpPCTN:5’-gggggccatgggaaaggttcccattattaccgcagatgag-3’ (配列番号13)及びCpPCTC: 5’-ggggggctcgagtcaggacttcatttccttcagacccat-3’ (配列番号14)を使用した。
なお、プライマーの塩基配列はNCBIに登録されている情報を参考にしたが、M.elsdemniiについては特許WO02/42418に記載されている配列を参考にした。
【0038】
ゲノムから各遺伝子の増幅は以下の条件で行った。PCR (酵素KOD plus)(94℃ 1min)×1, (94℃ 0.5min, 50℃ 0.5min, 72℃ 2min)×30, (94℃ 2min)。増幅断片をTOPO BluntIIベクターに導入し、シークエンスを行った結果、C.propionicum 及びS.aureus由来PCTについてはNCBIデータベースに登録されている配列、AJ276553及びMW0211と完全に一致した。M.elsdenii由来PCTについては報告されている配列と塩基配列では97.8%のホモロジーであったが、アミノ酸配列では1箇所のみ異なっていた。
【0039】
上述したPCRにより得られたC.propionicum、M. elsdenii及びS. aureus由来の各PCT遺伝子を、それぞれpTV118Nベクター(タカラバイオ社製)のNcoI-BamHI、EcoR1-PstI及びNcoI-EcoRI間に挿入することで発現プラスミドpTV118N-C.P PCT、pTV118N-M.E PCT及びpTV118N-S.A PCTを作製した。その後、これら各発現プラスミドをそれぞれEscherichia coli W3110に導入した。
【0040】
得られた形質転換大腸菌を前培養した後、200ml LB/2L flaskに2%植菌、37℃、180rpmで3h培養した。OD600=0.5付近で10mM IPTGにより発現誘導し、30℃、80rpmで6h培養した。次に、遠心により菌体を回収し、37℃でM9(+1.5%Glucose, 10mMMgSO4, 10mM パントテン酸Ca)で培養し(OD=20、3ml)、適宜サンプリングを行った。
【0041】
C.propionicum、M. elsdenii及びS. aureus由来の各PCT遺伝子による乳酸から乳酸CoAへの変換活性を、乳酸CoA合成量を測定することによって比較した。先ず、菌体を回収(1×105cellに相当量)し、試料調製を行った(n=3)。サクションフィルターシステムにアプライし、ミリQ水で2回洗浄した。MeOH溶液2ml入りのシャーレにフィルター(裏返)を入れ、室温で10分間放置後、1.6mlのMeOH溶液を遠沈管に移送し、1.6mlのクロロホルム及び640ulのミリQ水を混合し懸濁した。4600g、4℃、5min遠心後、水+MeOH層1.5mlを5k限外ろ過膜(Millopore社製)にて約2h遠心ろ過した。ろ液を回収し、凍結乾燥後、二次内部標準物質を含むミリQ水により200倍濃縮溶解しCE-MS分析に供した。CE-MS分析条件はAnal.Chem 2002,74, 6224-6229「Pressure-Assisted Capillary Electrophoresis Electrospray Ionization Mass Spectrometry for Analysis of Multivalent Anions」を参照した。
【0042】
結果を図1に示す。図1に示すように、Megasphaera elsdenii由来のpct遺伝子及びStaphylococcus aureus由来のpct遺伝子は、Clostridium. propionicum由来のpct遺伝子と比較して乳酸を乳酸CoAへ変換する活性が著しく高いことが明らかとなった。この結果から、Megasphaera elsdenii由来のpct遺伝子及び/又はStaphylococcus aureus由来のpct遺伝子を利用することによって、乳酸を基本骨格の一部又は全部とする脂肪族ポリエステルの合成反応における基質を十分に供給できることが明らかとなった。
【0043】
〔実施例2〕種々のPHAシンターゼ遺伝子の評価
本実施例では、種々のPHAシンターゼ遺伝子について、実施例1で乳酸から乳酸CoAの変換活性が著しく高いと評価されたMegasphaera elsdenii由来のpct遺伝子とともに発現させた場合のポリ乳酸の生産性を評価した。本例で検討したPHAシンターゼ遺伝子の一覧を表1に示す。表1中、No1のRhodobacter sphaeroides及びNo4のRhodospirillum rubrumについては、異なるAccession 番号で登録された複数の遺伝子が見いだされているためこれら複数の遺伝子について検討した。
【0044】
【表1】

【0045】
なお、表1において、ClassIとは活性は強いものの基質特異性が高いPHAシンターゼ遺伝子であり、ClassIIとは基質特異性が低いものの活性が弱いPHAシンターゼ遺伝子であり、ClassIIIとはPHAシンターゼ反応に他にphaEが存在していることを必要とするPHAシンターゼ遺伝子であり、ClassIVとはPHAシンターゼ反応に他にphaRが存在していることを必要とするPHAシンターゼ遺伝子である。
【0046】
これらNo1〜No17に示した17種類の微生物由来の19種類のPHAシンターゼ遺伝子を含むDNA断片を1回のPCR又は2回のPCRによって増幅し、当該DNA断片をMegasphaera elsdenii由来のpct遺伝子が導入されたpTV188Nベクターに導入した。DNA断片の増幅のために設計した、1stPCR用プライマーを表2及び3に示す。
【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【0049】
DNA断片の増幅のために設計した、2stPCR用プライマーを表4及び5に示す。
【0050】
【表4】

【0051】
【表5】

【0052】
また、これらプライマーを用いたPCRにおける反応条件を表6及び表7に示した。
【0053】
【表6】

【0054】
【表7】

【0055】
なお、表6及び7に示した反応条件における反応液組成A〜Hまでを表8に示す。
【0056】
【表8】

【0057】
なお、No.13のpha遺伝子に関しては、2つの遺伝子(phaR及びphaC)が間に別の遺伝子を挟んで存在するため、1stPCRでそれぞれをクローニングした後に2ndPCRにより一つに繋げた。さらに、ベクターとライゲーションするために、もう一度PCR (反応液組成:G’、温度条件:94℃2分→94℃15秒、50℃30秒、68℃1分40秒×5サイクル→94℃15秒、60℃30秒、68℃1分40秒×30サイクル→68℃5分)した。
【0058】
また、No.2、3及び8のphaC遺伝子については、2ndPCR産物を精製したものとpTV118N-PCT-C1ベクターとをそれぞれ、制限酵素(XbaI及びPstI(タカラバイオ製))で消化し,10×loading Buffer(タカラバイオ(株)製)とともに、アガロースゲル(0.8%、TAE)にロードし電気泳動で分離、切り出し精製を行った。精製はMinElute Gel Extraction Kit(QIAGEN社製)を用い、プロトコールに従って行った。ライゲーションおよび形質転換は、それぞれLigation-Convenience Kit(ニッポンジーン製)、ECOS competent E.coli JM109(ニッポンジーン(株)製)を用いてプロトコールに従い行った。得られた形質転換体をLB-Amp培地2mlで培養し,QIAprep Spin Miniprep Kit(QIAGEN社製)を用いてプラスミド抽出を行った。Big Dye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社製)を用いてシークエンス反応を行い,DNAシークエンサー3100 Genetic Analyzer (Applied Biosystems社製)を用いて配列の確認を行った。
【0059】
さらに、No.1、4〜7及び9〜17のphaC 遺伝子については、実験操作の簡便性又はphaC遺伝子内にPstIサイトがある(No.4、6、10及び12)ことから、ライゲーションをIn-Fusion 2.0 Dry-Down PCR Cloning Kit (Clontech Laboratories社製)を使用して行った。他の部分は上記と同様に行った。
【0060】
上述のように得られた各種phaC遺伝子をそれぞれpTV118N-M.E PCTに組み込みベクターを取得した。得られたベクターを大腸菌W3110コンピテントセルに導入し、Megasphaera elsdenii由来のpct遺伝子及び上記いずれかのPHAシンターゼ遺伝子を発現する組み換え大腸菌を作製した。得られた組み換え大腸菌は、アンピシリンを含むLB培地に植菌され、37℃で一晩静置培養した。得られたコロニーを、アンピシリンを含むLB液体培地2mLに植菌し、37℃でOD600=0.6〜1.0になるまで試験管内で振とう培養した。これを前培養液とした。
【0061】
次に、アンピシリン、2%グルコース及び0.1mMIPTGを含むM9培地200mLに前培養液2mLを添加し、500mLバッフル付き三角フラスコを用いて30℃で48時間、130rpmで回転培養した。
【0062】
培養終了後、培養液を50mLコーニングチューブに移し、3000rpm、15分間の条件で集菌し、上清を破棄した後、-80℃のフリーザー内で一晩保管することで凍結させた。その後、凍結乾燥機を用いて2日間凍結乾燥させた。その後、乾燥菌体100mgを用いて耐圧反応菅へ移し、クロロホルムを1.6mL添加した。更に、メタノールと硫酸の混合溶液(メタノール:硫酸=17:3(体積比))を1.6mL添加し、95℃に設定したウォーターバス内で3時間リフラックスさせた。その後、耐圧反応菅を取り出し、室温まで冷却し、内部の溶液を試験管に移した。試験管内に更に超純水を0.8mL添加し、vortexを用いて混合した後、静置した。十分に静置した後、下層のクロロホルム相をパスツールピペットにて分取した。クロロホルム相を0.2μmメッシュの有機溶媒耐性フィルターでろ過し、GC-MS用のバイアル瓶に移し、分析用サンプルとした。
【0063】
GC-MS装置としては、ヒューレットパッカード社製のHP6890/5973を使用した。カラムとしては、アジレントテクノロジー社製のBD-1 122-1063(内径:0.25mm、長さ:60m、膜厚:1μm)を使用した。昇温条件は、120℃で5分間保持した後、10℃/minにて200℃まで昇温し、その後、20℃/minで300℃まで昇温して8分間保持する条件とした。
【0064】
各組み換え大腸菌におけるポリ乳酸の生産性を比較した結果を図2に示す。図2に示すように、No7に示すPseudomonas sp. 61-3株由来のPHAシンターゼ遺伝子(phaC2遺伝子)及びAlcanivorax borkumensis SK2株由来のPHAシンターゼ遺伝子を使用した組み換え大腸菌は、他の微生物由来のPHAシンターゼ遺伝子を使用した組み換え大腸菌と比較すると、ポリ乳酸の生産性が極めて高い値を示した。以上の結果から、Megasphaera elsdenii由来のpct遺伝子と、Pseudomonas sp. 61-3株由来のPHAシンターゼ遺伝子(phaC2遺伝子)又はAlcanivorax borkumensis SK2株由来のPHAシンターゼ遺伝子を共発現させることで、ポリ乳酸の生産性が大幅に向上することが明らかとなった。なお、本実施例においては、培中に乳酸を別途添加しておらず、通常の炭素源(グルコース)を有する培地にてポリ乳酸を合成したものである。また、Alcanivorax borkumensis SK2株由来のPHAシンターゼ遺伝子は、単独では活性を示さず、PHA合成反応にはphaEが必要であることが示唆されている遺伝子である(表1におけるClassIII)。ところが、本実施例では、phaE遺伝子を導入していないにも拘わらず、Alcanivorax borkumensis SK2株由来のPHAシンターゼ遺伝子単独でPHAシンターゼ活性を示すことが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
宿主微生物に対して以下の(a)〜(c)のいずれかに示す遺伝子及び(d)〜(f)のいずれかに示す遺伝子を導入した組み換え微生物。
(a)配列番号2又は4に示すアミノ酸配列を含むタンパク質コードする遺伝子
(b)配列番号2又は4に示すアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列を含み、乳酸を乳酸CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
(c)配列番号1又は3に示す塩基配列に対する相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件でハイブリダイズし、乳酸を乳酸CoAに変換する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
(d)配列番号6又は8に示すアミノ酸配列を含むタンパク質コードする遺伝子
(e)配列番号6又は8に示すアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列を含み、乳酸CoAを基質としてポリ乳酸を合成する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
(f)配列番号5又は7に示す塩基配列に対する相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件でハイブリダイズし、乳酸CoAを基質としてポリ乳酸を合成する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
【請求項2】
上記宿主微生物は大腸菌であることを特徴とする請求項1記載の組み換え微生物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の組み換え微生物を培地にて培養し、脂肪族ポリエステルを回収することを特徴とする脂肪族ポリエステルの製造方法。
【請求項4】
回収する脂肪族ポリエステルは、乳酸骨格を有する脂肪族ポリエステルであることを特徴とする請求項3記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
【請求項5】
回収する脂肪族ポリエステルは、ポリ乳酸であることを特徴とする請求項3記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
【請求項6】
上記組み換え微生物を培養する際に培地に対して乳酸を添加しないことを特徴とする請求項3記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−24503(P2011−24503A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174703(P2009−174703)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】