説明

組み立て式シェルター

【課題】冬期に自然氷を氷結させ、夏期にその自然氷の冷気を利用するためのアイスシェルターや、アイスシェルターの冷気を利用する施設として使用できる、組立容易で、搬送可能、且つ安価な組み立て式シェルターを提供する。
【解決手段】鋼製薄板を折曲して屋根部2と左右側壁部3とが一体に形成された複数の屋根・左右側壁部材4を互いに折板ハゼ締め接合することによって屋根・左右側壁連接体6を形成し、屋根・左右側壁連接体6の両先端に床部材7を架設した中間ユニット8と、中間ユニット8の空洞部の一端部に、入口ドアー9が配設された前壁部材10を嵌装した前部妻ユニット11と、中間ユニット8の空洞部の一端部に、排気ドアー12と入気ドアー13とが配設された後壁部材14を嵌装した後部妻ユニット15とを、床部材7を互いに接合し、ハゼ締め部5を折板ハゼ締め接合することにより順次連接した組み立て式シェルター1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寒冷地において冬期に自然氷を氷結させ、夏期にその自然氷の冷気を利用するアイスシェルターや、アイスシェルターに接続してその冷気を利用する植物栽培用施設、貯蔵室、又は、冷蔵室として使用できる、組立容易で、搬送可能、且つ安価な組み立て式シェルターに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、世界に於いてエネルギー消費が急激に増加し、そのため地球温暖化が加速している。地球温暖化は、各国でその対策が求められており、特に、先進国に於いては、エネルギー消費も激しく、率先して対策を講じる必要が生じている。
又、地球温暖化を防止するため、化石燃料に代わるCOを排出しない代替エネルギーが求められている。
我が国は、省エネ対策が進み、省エネ先進国となっているが、それでも全体のエネルギー需要は伸び続けており、更なる対策が求められている。
【0003】
その対策の一つとして、例えば、夏期に於ける冷房等で使用するエネルギー消費を減らすことで、地球温暖化の抑制効果が期待できる。
そこで、夏期に於ける冷房等に、例えば、寒冷地における冬期の自然氷を利用すれば、エネルギー消費の減少化を図ることができる。
自然氷とは、冬期の自然冷気のみを導入して作った氷のことで、湖水、河川、池にできる氷(天然氷)や、電気製氷による氷(機械氷)と区別して用いられている。
この自然氷は次のような特徴がある。
(1)冷熱エネルギー密度が高い。例えば天然氷等は空気が含まれているため冷熱エネルギー密度が低くなる。
(2)手間をかけずに利用できる。例えば、自然氷の製造は、施設内に水の入った容器(貯氷タンク)を常設し、そこに冬期の自然冷気を導入して行われる。この方法によって、搬入などの労力が不要となる。さらに、解けた氷は翌年の冬に再度凍らせるため、水を無駄なく利用できる。
(3)通年利用が可能である。自然氷を利用したシステムの一つにアイスシェルターシステムがある。このシステムは貯蔵庫を貯蔵庫と貯氷室の二重構造にし、夏期と冬期で送風システムを制御することで、1年を通じて水の融解・凍結潜熱を利用することができる。
つまり、夏は氷を解かして周囲の空気から熱を奪い、冬は逆に水を凍らせて周囲の空気に熱を与えるというサイクルを繰り返すことで、1年中低温・高湿で安定した空気環境を創出できる。
【0004】
自然氷を利用する此種技術の先行文献として、例えば、特許文献1があり、特許文献1には、建物の地下に設けられた貯氷室で冬期に凍らせた自然氷を建物の居住室の夏期の冷房用冷熱源とする冷房方法を提供するものである。又、特許文献1は、建物外部の温度がマイナス温度の時、自然氷を作る際の水の凝結潜熱を利用して0℃の温度で建物を包み込み暖房時の省エネルギーを達成することも可能である。
又、本願出願人は、既に特許文献2を出願済みであり、特許文献2は、寒冷地において冬期に氷結された自然氷を、寒冷地のみではなく、寒冷地以外の夏期の冷房、冷蔵に容易に使用できるようにした移動式氷室とその使用方法を提供するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−193967号公報
【特許文献2】特開2009−127894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献1及び2は、自然氷を利用して、効率良く冷房等が可能になるものである。
然しながら、特許文献1及び2の建物や氷室は比較的大きい建築物であり、一度設置したら、移動することは困難なものである。
又、建築物であると、建築の許可が必要となり、建築物として課税されることも考えられる。
【0007】
以上の現状に鑑み、本発明は、寒冷地において冬期に自然氷を氷結させ、夏期にその自然氷の冷気を利用するアイスシェルターや、アイスシェルターに接続してその冷気を利用する植物栽培用施設、貯蔵室、又は、冷蔵室として使用できる、組立容易で、搬送可能、且つ安価な組み立て式シェルターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決すべく、本発明は以下の構成を提供する。
請求項1に係る発明は、鋼製薄板を所定箇所で湾曲状に折曲することにより、平板状の屋根部と平板状の左右側壁部とが一体に形成される複数の屋根・左右側壁部材を形成し、前記複数の屋根・左右側壁部材を順次隣接させ、隣接する前記屋根・左右側壁部材の夫々の側端部を互いに折板ハゼ締め接合することによって複数の前記屋根・左右側壁部材を連接して所定長さの屋根・左右側壁連接体を形成し、前記屋根・左右側壁連接体の両先端に前記屋根・左右側壁連接体の所定長さと略同長さの平板状の床部材を架設して形成した中間ユニットと、
別途形成した前記中間ユニットの前記屋根・左右側壁連接体と前記床部材とによって囲まれる所定長さの空洞部の一端部に、予め入口ドアーが配設された前壁部材を嵌装して形成した前部妻ユニットと、
別途形成した前記中間ユニットの前記屋根・左右側壁連接体と前記床部材とによって囲まれる所定長さの空洞部の一端部に、予め排気ドアーと入気ドアーとが配設された後壁部材を嵌装して形成した後部妻ユニットとを備え、
前記前部妻ユニットと、1乃至複数の前記中間ユニットと、前記後部妻ユニットとを順次隣接させ、隣接する各ユニットの前記床部材を接合部材により互いに接合し、隣接する各ユニットの前記屋根・左右側壁部材の側端部を折板ハゼ締め接合により互いに接合することにより、前記前部妻ユニットと、1乃至複数の前記中間ユニットと、前記後部妻ユニットとを順次連接して、シェルターを組み立てることを特徴とする組み立て式シェルターを提供するものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、鋼製薄板を所定箇所で湾曲状に折曲することにより、断面視山形状の屋根部と平板状の左右側壁部とが一体に形成される複数の屋根・左右側壁部材を形成し、前記複数の屋根・左右側壁部材を順次隣接させ、隣接する前記屋根・左右側壁部材の夫々の側端部を互いに折板ハゼ締め接合することによって複数の前記屋根・左右側壁部材を連接して所定長さの屋根・左右側壁連接体を形成し、前記屋根・左右側壁連接体の両先端に前記屋根・左右側壁連接体の所定長さと略同長さの平板状の床部材を架設して形成した中間ユニットと、
別途形成した前記中間ユニットの前記屋根・左右側壁連接体と前記床部材とによって囲まれる所定長さの空洞部の一端部に、予め入口ドアーが配設された前壁部材を嵌装して形成した前部妻ユニットと、
別途形成した前記中間ユニットの前記屋根・左右側壁連接体と前記床部材とによって囲まれる所定長さの空洞部の一端部に、予め排気ドアーと入気ドアーとが配設された後壁部材を嵌装して形成した後部妻ユニットとを備え、
前記前部妻ユニットと、1乃至複数の前記中間ユニットと、前記後部妻ユニットとを順次隣接させ、隣接する各ユニットの前記床部材を接合部材により互いに接合し、隣接する各ユニットの前記屋根・左右側壁部材の側端部を折板ハゼ締め接合により互いに接合することにより、前記前部妻ユニットと、1乃至複数の前記中間ユニットと、前記後部妻ユニットとを順次連接して、シェルターを組み立てることを特徴とする組み立て式シェルターを提供するものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記屋根・左右側壁連接体、前記前壁部材、前記後壁部材、前記排気ドアー及び前記入気ドアーの内壁面の略全面に及んで断熱材が配設され、前記床部材には断熱層が介装されていることを特徴とする請求項1又は2記載の組み立て式シェルターを提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、寒冷地において冬期に氷結させた自然氷を夏期の冷房、冷蔵に使用できるようにした貯氷庫、氷室、又は、それらに連結されて用いられる植物栽培用施設、貯蔵室、又は、冷蔵室として使用できる、組立容易で、搬送可能、且つ安価な組み立て式シェルターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の組み立て式シェルターの斜視図である。
【図2】(a)本発明の組み立て式シェルターの平面図である。(b)本発明の組み立て式シェルターの側面図である。(c)本発明の組み立て式シェルターの背面図である。(d)本発明の組み立て式シェルターの正面図である。
【図3】本発明の組み立て式シェルターの組立方法の説明図である。
【図4】本発明の組み立て式シェルターの側面断面図である。
【図5】(a)本発明の組み立て式シェルターの屋根部の部分断面図である。(b)本発明のハゼ締め部の拡大断面図である。
【図6】(a)本発明の組み立て式シェルターの床部材の接続プレートによる接続方法の説明図である。(b)前図(a)のB−B線断面図である。(c)前図(b)の拡大図である。
【図7】(a)本発明の組み立て式シェルターによる冬期に於ける自然氷の生成方法を説明する側面断面図である。(b)本発明の組み立て式シェルターによる冬期に於ける自然氷の生成方法を説明する平面断面図である。
【図8】(a)本発明の組み立て式シェルターによる夏期に於ける冷気の利用方法を説明する側面断面図である。(b)本発明の組み立て式シェルターによる夏期に於ける冷気の利用方法を説明する平面断面図である。
【図9】本発明の他の実施例の組み立て式シェルターの斜視図である。
【図10】(a)本発明の他の実施例の組み立て式シェルターの平面図である。(b)本発明の他の実施例の組み立て式シェルターの側面図である。(c)本発明の他の実施例の組み立て式シェルターの背面図である。(d)本発明の他の実施例の組み立て式シェルターの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
図1及び2に於いて、1は、本発明の組み立て式シェルターであり、組み立て式シェルター1は、鋼製薄板を所定箇所で湾曲状に折曲することにより、平板状の屋根部2と平板状の左右側壁部3とが一体に形成される複数の屋根・左右側壁部材4を形成し、複数の屋根・左右側壁部材4を順次隣接させ、隣接する屋根・左右側壁部材4の夫々の側端部である所定幅のハゼ締め部5を互いに折板ハゼ締め接合することによって複数の屋根・左右側壁部材4を連接して所定長さの屋根・左右側壁連接体6を形成し、屋根・左右側壁連接体6の両先端(屋根部2が上になるように起立させた状態で下端)に屋根・左右側壁連接体6の所定長さと略同長さの平板状の床部材7を架設して形成した中間ユニット8と、別途形成した中間ユニット8の屋根・左右側壁連接体6と床部材7とによって囲まれる所定長さの空洞部の一端部に、予め入口ドアー9が配設された前壁部材10を嵌装して形成した前部妻ユニット11と、別途形成した中間ユニット8の屋根・左右側壁連接体6と床部材7とによって囲まれる所定長さの空洞部の一端部に、予め排気ドアー12と入気ドアー13とが配設された後壁部材14を嵌装して形成した後部妻ユニット15とを備え、図3に示す如く、前部妻ユニット11と、1乃至複数の中間ユニット8と、後部妻ユニット15とを順次隣接させ、隣接する各ユニットの床部材7を後述する接合方法により互いに接合し、隣接する各ユニットの屋根・左右側壁部材4の側端部であるハゼ締め部5を折板ハゼ締め接合により互いに接合することにより、前部妻ユニット11と、1乃至複数の中間ユニット8と、後部妻ユニット15とを順次連接して、シェルターを組み立てたものである。
【0014】
尚、図4に示す如く、前記屋根・左右側壁連接体6、前壁部材10及び後壁部材14の内壁面には略全面に及んで断熱材31が配設され、更に、前記床部材7には床部材7の中間層に断熱層32が介装されている。そして、排気ドアー12と入気ドアー13の内壁面にも略全面に及んで断熱材31が配設されている。更に、前記入口ドアー9も断熱効果のあるものが用いられ、或いは、断熱処理が施される。
又、後壁部材14に配設された排気ドアー12と入気ドアー13は、夫々、上端を後壁部材14に支着されて後壁部材14の内側に開くように揺動自在に配設され、排気ドアー12と入気ドアー13に対応する後壁部材14の外側には下端開放のフード33が配設されている。
更に、同図に示すように、排気ドアー12は後壁部材14の比較的高い位置に配設され、入気ドアー12は後壁部材14の比較的低い位置に配設されている。
【0015】
そして、図3に示す、前部妻ユニット11と、複数の中間ユニット8,8…と、後部妻ユニット15とを順次隣接させ、図6に示す如く、隣接する各ユニットの床部材7,7を接続プレート34と、ボルト・ナット35とから成るジョイント等の接合部材とにより互いに接合し、隣接する各ユニットの屋根・左右側壁連接体6,6のハゼ締め部5,5を折板ハゼ締め接合により互いに接合して図1に示す如く組み立て式シェルター1として組み立てる。尚、前記複数の中間ユニット8,8…の個数を調節することにより、組み立て式シェルター1の組立後の長さを調節することが可能である。
【0016】
前記組み立て式シェルター1の中間ユニット8、前部妻ユニット11、及び、後部妻ユニット15は、夫々予め工場生産されるものであり、工場生産によって製造コストを低減させることが可能になる。中間ユニット8は、できるだけ、同じサイズに揃えることにより大量生産を可能にして更に製造コストを低減させることができる。
中間ユニット8、前部妻ユニット11、及び、後部妻ユニット15は、夫々設置場所まで搬送されて組み立てられる。
【0017】
前記屋根・左右側壁部材4のハゼ締めは、図5(a)に示すように、隣接する屋根・左右側壁部材4のハゼ締め部5,5を共に起立させ、図5(b)に於いて、起立させた右側のハゼ締め部5の上端部を同図に於いて右回りに水平方向まで折曲し、更に、その先端部を左回りに水平方向まで折曲し、左側のハゼ締め部5の上端部を右側のハゼ締め部5の水平部分の直上で同図に於いて右回りに水平方向まで折曲し、更に、その先端部を右側のハゼ締め部5の折曲された水平部分を巻き込むように右回りに水平方向まで折曲する。
【0018】
図7及び図8は、前記組み立て式シェルター1をアイスシェルターとして使用する場合の一例を示したものである。
図7に示す如く、冬期に於いては、組み立て式シェルター1を前述の如く組み立てた後、入口ドアー9から空の水タンク41,41…を搬入し、床部材7の略全面に水タンク41,41…を積重ねて水タンク41,41…内に水を入れる。尚、水タンク41,41…は積重ねた状態で水を入れられる形状に形成されている。
そして、入口ドアー9を閉め、排気ドアー12と入気ドアー13を開放状態にすると、主として、比較的低い位置に配設された入気ドアー13から冷たい外気が組み立て式シェルター1内に侵入し、水タンク41,41…を冷却した後、対流により比較的高い位置に配設された排気ドアー12から排出される。
これによって、一定期間で水タンク41,41…内の水が冷たい外気により凍結し、自然氷が生成される。
【0019】
自然氷が生成されたら、排気ドアー12と入気ドアー13を閉じて、そのまま夏期まで維持する。水タンク41,41…内の氷は、組み立て式シェルター1内で、特に、断熱材31及び断熱層32により断熱され、夏期まで殆ど氷の状態で保持される。
【0020】
図8に示す如く、夏期に於いては、組み立て式シェルター1の入口ドアー9を閉めた状態で、排気ドアー12と入気ドアー13を開放状態又は半開放状態にして、比較的低い位置に配設された入気ドアー13から、図示しない給気管を差し込んで、組み立て式シェルター1内の比較的低い位置の温度の低い冷気を取り出して利用する。尚、給気管を接続するためのプラグを例えば後壁部材に予め取り付けておくことも可能である。
冷気を利用する側は、冷気を必要とする物や場所であれば、何でも良く、例えば、建物や、広場であっても良い。建物としては、野菜冷蔵室、野菜貯蔵室、植物栽培施設等として利用する前記組み立て式シェルター1であっても良く、住宅や、マンション、ビル等であっても良い。広場としては、屋外イベント会場や、公園、道路、通路、庭等であっても良い。
【0021】
尚、前図7及び8に於いては、組み立て式シェルター1の床部材7の全面に水タンク41,41…を積重ねたが、全面に限定するものではなく例えば床部材7の一部の面積に水タンク41,41…を積重ね、残りに被冷蔵物等を置いても良い。例えば、床部材7の半分の面積に水タンク41,41…を積重ね、残りの半分の面積に冷蔵するものを置くことも可能である。
【0022】
組み立て式シェルター1は、前述したように、前部妻ユニット11と、複数の中間ユニット8,8…と、後部妻ユニット15とを工場生産できるので、規格に基づいた品質の高い製品を製造コストを安く提供できる。
又、前部妻ユニット11と、複数の中間ユニット8,8…と、後部妻ユニット15は、組立前の状態がコンパクトであるので、搬送も容易である。
更に、現場での施工も床部材7,7を接合プレート34やジョイント等の接合部材により互いに接合し、屋根・左右側壁部材4のハゼ締め部5を折板ハゼ締め接合により互いに接合するものであるので、施工が容易である。しかも、中間ユニット8,8…の個数を調節したり、或いは、サイズの異なる中間ユニット8,8…を用意することにより組み立て式シェルター1の長さも調節可能である。
更に又、組み立て式シェルター1は、現地組立式で現場に一時的に載置するものであり、基礎工事やアンカー等の打ち込みも必要ないものであるため、建築物ではなく、従って、建築物としての法的な規制もなく、課税等の負担も発生しないので極めて利便性が高い。
【0023】
尚、前述の例では、組み立て式シェルター1内の冷気を夏期に利用するものであったが、寒冷地に於ける冬期に於いては、外気が例えばマイナス25℃になる等、極めて寒さが厳しい場合もあり、その場合、図7で説明した例に於いて、水タンク41の水の凍結潜熱を利用してその熱を暖房の一部として利用することが可能である。
例えば、外気がマイナス25℃である場合、水タンク41の水の凍結潜熱により排気ドアー12から排出される排気の温度はマイナス25℃以上となるため、その排気を利用して、例えば、他の建物を屋外からマイナス25℃以上に温めることも可能であり、或いは、他の建物等に設置されたヒートポンプ等の屋外機の冷媒を外気温度よりも高温であるマイナス25℃以上の温度で加熱して、ヒートポンプ等の熱効率を高めることができる。
【0024】
又、本発明の組み立て式シェルター1は、前述したアイスシェルターや、アイスシェルターに接続される施設としての用途に限定されるものではなく、その他、組立容易で、搬送可能、且つ安価な、断熱された建物として種々の用途に利用可能である。
【0025】
図9に於いて、51は、他の実施例の組み立て式シェルターであり、組み立て式シェルター51は、前記組み立て式シェルター(図1に於いて1)の屋根・左右側壁部材(図1に於いて4)の屋根部(図1に於いて2)を、断面視山形状の屋根部52としたものである。
断面視山形状の屋根部52により、降雪時の屋根部52の積雪を滑落させて積雪を減少させ、組み立て式シェルター51や、屋根部52の損壊を防止できると共に、断面視山形状の屋根部52により、屋根部52の内壁内に断面視山形状の空気層が形成され、その空気層により温かい時期に於ける断熱効果が期待できる。
【符号の説明】
【0026】
1,51 組み立て式シェルター
2,52 屋根部
3 左右側壁部
4 屋根・左右側壁部材
6 屋根・左右側壁連接体
7 床部材
8 中間ユニット
9 入口ドアー
10 前壁部材
11 前部妻ユニット
12 排気ドアー
13 入気ドアー
14 後壁部材
15 後部妻ユニット
31 断熱材
32 断熱層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼製薄板を所定箇所で湾曲状に折曲することにより、平板状の屋根部と平板状の左右側壁部とが一体に形成される複数の屋根・左右側壁部材を形成し、前記複数の屋根・左右側壁部材を順次隣接させ、隣接する前記屋根・左右側壁部材の夫々の側端部を互いに折板ハゼ締め接合することによって複数の前記屋根・左右側壁部材を連接して所定長さの屋根・左右側壁連接体を形成し、前記屋根・左右側壁連接体の両先端に前記屋根・左右側壁連接体の所定長さと略同長さの平板状の床部材を架設して形成した中間ユニットと、
別途形成した前記中間ユニットの前記屋根・左右側壁連接体と前記床部材とによって囲まれる所定長さの空洞部の一端部に、予め入口ドアーが配設された前壁部材を嵌装して形成した前部妻ユニットと、
別途形成した前記中間ユニットの前記屋根・左右側壁連接体と前記床部材とによって囲まれる所定長さの空洞部の一端部に、予め排気ドアーと入気ドアーとが配設された後壁部材を嵌装して形成した後部妻ユニットとを備え、
前記前部妻ユニットと、1乃至複数の前記中間ユニットと、前記後部妻ユニットとを順次隣接させ、隣接する各ユニットの前記床部材を接合部材により互いに接合し、隣接する各ユニットの前記屋根・左右側壁部材の側端部を折板ハゼ締め接合により互いに接合することにより、前記前部妻ユニットと、1乃至複数の前記中間ユニットと、前記後部妻ユニットとを順次連接して、シェルターを組み立てることを特徴とする組み立て式シェルター。
【請求項2】
鋼製薄板を所定箇所で湾曲状に折曲することにより、断面視山形状の屋根部と平板状の左右側壁部とが一体に形成される複数の屋根・左右側壁部材を形成し、前記複数の屋根・左右側壁部材を順次隣接させ、隣接する前記屋根・左右側壁部材の夫々の側端部を互いに折板ハゼ締め接合することによって複数の前記屋根・左右側壁部材を連接して所定長さの屋根・左右側壁連接体を形成し、前記屋根・左右側壁連接体の両先端に前記屋根・左右側壁連接体の所定長さと略同長さの平板状の床部材を架設して形成した中間ユニットと、
別途形成した前記中間ユニットの前記屋根・左右側壁連接体と前記床部材とによって囲まれる所定長さの空洞部の一端部に、予め入口ドアーが配設された前壁部材を嵌装して形成した前部妻ユニットと、
別途形成した前記中間ユニットの前記屋根・左右側壁連接体と前記床部材とによって囲まれる所定長さの空洞部の一端部に、予め排気ドアーと入気ドアーとが配設された後壁部材を嵌装して形成した後部妻ユニットとを備え、
前記前部妻ユニットと、1乃至複数の前記中間ユニットと、前記後部妻ユニットとを順次隣接させ、隣接する各ユニットの前記床部材を接合部材により互いに接合し、隣接する各ユニットの前記屋根・左右側壁部材の側端部を折板ハゼ締め接合により互いに接合することにより、前記前部妻ユニットと、1乃至複数の前記中間ユニットと、前記後部妻ユニットとを順次連接して、シェルターを組み立てることを特徴とする組み立て式シェルター。
【請求項3】
前記屋根・左右側壁連接体、前記前壁部材、前記後壁部材、前記排気ドアー及び前記入気ドアーの内壁面の略全面に及んで断熱材が配設され、前記床部材には断熱層が介装されていることを特徴とする請求項1又は2記載の組み立て式シェルター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−241380(P2012−241380A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111085(P2011−111085)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(390019529)株式会社土谷特殊農機具製作所 (8)