説明

組み立て式簡易トイレ

【課題】 段ボール製であっても簡易な構成で十分な強度を有しており、また、糞尿処理を容易に行える組み立て式簡易トイレを提供すること。
【解決手段】 汚物袋を収納した段ボール製の矩形箱体からなる組み立て式簡易トイレであって、矩形箱体は、一対の側面部に連接されたフラップの一部が、もう一対の側面部の一方に連接された便座部として機能する中央に開口部を有するフラップを支持してなり、汚物袋は、その内側の表面に吸水性樹脂を担持させた合成樹脂製のものであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害発生時などにその場で組み立てて使用できる組み立て式簡易トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
地震などの災害発生時にはライフラインが被害を受けることで断水によって水洗トイレが使えなくなることが多い。そこでこのような場面を想定し、その場で組み立てて使用できる段ボール製の組み立て式簡易トイレが提案されている(例えば特許文献1や特許文献2)。しかしながら、これまでに提案されているものは、段ボール製であるが故に使用者が腰掛けた際の体の重みに対する十分な強度を有していなかったり、構造が複雑であったり、また、糞尿処理を容易に行えなかったりといった問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−104558号公報
【特許文献2】特開2009−425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、段ボール製であっても簡易な構成で十分な強度を有しており、また、糞尿処理を容易に行える組み立て式簡易トイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の点に鑑みてなされた本発明の組み立て式簡易トイレは、請求項1記載の通り、汚物袋を収納した段ボール製の矩形箱体からなる組み立て式簡易トイレであって、矩形箱体は、一対の対向する側面部が、いずれも先端に突起部を有するとともに折り曲げ線で箱体の内方に折り曲げた際にさらに箱体の内部に向かって折り込むための折り込み線を有するフラップが連接されたものであり、もう一対の対向する側面部が、一方は折り曲げ線で箱体の内方に折り曲げることで便座部として機能する中央に開口部を有するフラップが連接されたもの、もう一方は折り曲げ線で箱体の内方に折り曲げることで折り曲げ線で箱体の内方に折り曲げた他方の便座部として機能するフラップを覆う蓋部として機能するフラップが連接されたものであり、前者の側面部に連接されたフラップを折り曲げ線で箱体の内方に折り曲げ、さらに折り込み線で箱体の内部に向かって折り込んで先端の突起部をフラップが連接された側面部に設けた嵌め込み部に嵌め込むと、フラップの折り曲げ線と折り込み線の間の部分が水平部を形成し、その上に折り曲げ線で箱体の内方に折り曲げた便座部として機能する後者の側面部の一方に連接されたフラップを位置させることで水平部がフラップを支持してなり、汚物袋は、その内側の表面に吸水性樹脂を担持させた合成樹脂製のものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、段ボール製であっても簡易な構成で十分な強度を有しており、また、糞尿処理を容易に行える組み立て式簡易トイレを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の組み立て式簡易トイレの矩形箱体の一実施形態の組み立て前の展開図である。
【図2】図1に展開図を示す矩形箱体の組み立て手順の概略図である。
【図3】図2(d)のA−A断面図である。
【図4】図1に展開図を示す矩形箱体の組み立て後の非使用時の取扱い方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の組み立て式簡易トイレを図面に基づいて説明するが、本発明の組み立て式簡易トイレは以下の記載に限定して解釈されるものではない。
【0009】
本発明の組み立て式簡易トイレは、汚物袋を収納した段ボール製の矩形箱体からなる。図1に矩形箱体の一実施形態の組み立て前の展開図を示し、図2にその組み立て手順の概略図を示す。この矩形箱体は、一対の対向する側面部が、いずれも先端に突起部(13)を有するとともに折り曲げ線(8)で箱体の内方に折り曲げた際にさらに箱体の内部に向かって折り込むための折り込み線(15)を有するフラップ(5)が連接されたもの(1,3)であり、もう一対の対向する側面部が、一方は折り曲げ線(9)で箱体の内方に折り曲げることで便座部として機能する中央に開口部(16)を有するフラップ(6)が連接されたもの(2)、もう一方は折り曲げ線(10)で箱体の内方に折り曲げることで折り曲げ線(9)で箱体の内方に折り曲げた他方の便座部として機能するフラップ(6)を覆う蓋部として機能する先端に突起部(14)を有するフラップ(7)が連接されたもの(4)である。図2(a)は、側面部(4)に連接された取付代(17)を側面部(1)の端部に接着剤や両面接着テープなどで止着し、4つの側面部(1,2,3,4)のそれぞれに連接された底部側のフラップ(11)を折り曲げ線(12)で箱体の内方に折り曲げて組み合わせることで箱体の底部を構成した状態の図である(理解を容易にするために天部側の4つのフラップ(5,5,6,7)は折り曲げ線(8,8,9,10)で箱体の外方に折り曲げてある)。図2(b)は、図2(a)に示す側面部(3)に連接されたフラップ(5)を折り曲げ線(8)で箱体の内方に折り曲げ、さらに折り込み線(15)で箱体の内部に向かって折り込んで先端の突起部(13)をフラップ(5)が連接された側面部(3)に設けた嵌め込み部(18)に折り曲げて嵌め込んだ状態の図である。図2(c)は、図2(b)に示す側面部(1)に連接されたフラップ(5)を折り曲げ線(8)で箱体の内方に折り曲げ、さらに折り込み線(15)で箱体の内部に向かって折り込んで先端の突起部(13)をフラップ(5)が連接された側面部(1)に設けた嵌め込み部(18)に折り曲げて嵌め込んだ状態の図である。先端の突起部(13)が側面部(1,3)に設けた嵌め込み部(18)に折り曲げて嵌め込まれたフラップ(5)の折り曲げ線(8)と折り込み線(15)の間の部分は水平部(19)を形成する。図2(d)は、図2(c)に示す側面部(2)に連接された便座部として機能する中央に開口部(16)を有するフラップ(6)を折り曲げ線(9)で箱体の内方に折り曲げ、フラップ(6)の先端部を折り曲げて側面部(4)とフラップ(5)の水平部(19)の間の隙間に嵌め込んだ状態の図である。便座部として機能するフラップ(6)は、水平部(19)の上に位置することで水平部(19)によって支持されるので、この矩形箱体は、使用者が腰掛けた際の体の重みに対する十分な強度を有する。図3は、図2(d)のA−A断面図である(理解を容易にするために側面部(4)に連接された先端に突起部(14)を有するフラップ(7)は起立させてある)。図4は、この矩形箱体の組み立て後の非使用時の取扱い方法の概略図である。図2(d)に示す状態にある矩形箱体の側面部(4)に連接されたフラップ(7)を折り曲げ線(10)で箱体の内方に折り曲げ、先端の突起部(14)を側面部(2)に連接されたフラップ(6)の折り曲げ線(9)上に設けた嵌め込み部(20)に嵌め込むことで、フラップ(7)は便座部として機能するフラップ(6)を覆う蓋部として機能する。
【0010】
なお、上記の矩形箱体は、側面部(4)に連接された取付代(17)を側面部(1)の端部に接着剤や両面接着テープなどで止着したものであるが、側面部(1)と側面部(4)の連結は非使用時に分解可能な構成にしてもよい。
【0011】
矩形箱体に収納する汚物袋は、その内側の表面に吸水性樹脂を担持させたポリエチレン製などの合成樹脂製のものである。吸水性樹脂は水を吸水することでゲル化して保持する機能を有した市販の高分子材料であってよい。具体的には、住友精化株式会社製のアクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物の粉末であるアクアキープ(製品名)などが挙げられる。袋の内側の表面への吸水性樹脂の担持は、例えば、接着剤を袋の内側の表面に塗布した後、吸水性樹脂を撒布して接着剤に固着させることで行うことができる。汚物袋は、矩形箱体の便座部として機能するフラップが有する開口部から箱体の内部に収納し、袋の開放上縁部をフラップの上面にテープで止着したりすることで用いることができる。また、袋の開放上縁部に周回状の枠体を取り付け、枠体をフラップの上面に載置することで用いてもよい。糞尿は汚物袋の中で吸水性樹脂とともにゲル状物となる。従って、袋ごと廃棄して焼却することができるので処理が容易である。袋の内側の表面に吸水性樹脂とともに脱臭成分を担持させたり、袋の開放上縁部を縛るための紐を袋に取り付けたりしておけば、糞尿の処理はいっそう容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明は、段ボール製であっても簡易な構成で十分な強度を有しており、また、糞尿処理を容易に行える組み立て式簡易トイレを提供することを提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0013】
1 側面部
2 〃
3 〃
4 〃
5 フラップ
6 〃
7 〃
8 折り曲げ線
9 〃
10 〃
11 フラップ
12 折り曲げ線
13 突起部
14 〃
15 折り込み線
16 開口部
17 取付代
18 嵌め込み部
19 水平部
20 嵌め込み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚物袋を収納した段ボール製の矩形箱体からなる組み立て式簡易トイレであって、矩形箱体は、一対の対向する側面部が、いずれも先端に突起部を有するとともに折り曲げ線で箱体の内方に折り曲げた際にさらに箱体の内部に向かって折り込むための折り込み線を有するフラップが連接されたものであり、もう一対の対向する側面部が、一方は折り曲げ線で箱体の内方に折り曲げることで便座部として機能する中央に開口部を有するフラップが連接されたもの、もう一方は折り曲げ線で箱体の内方に折り曲げることで折り曲げ線で箱体の内方に折り曲げた他方の便座部として機能するフラップを覆う蓋部として機能するフラップが連接されたものであり、前者の側面部に連接されたフラップを折り曲げ線で箱体の内方に折り曲げ、さらに折り込み線で箱体の内部に向かって折り込んで先端の突起部をフラップが連接された側面部に設けた嵌め込み部に嵌め込むと、フラップの折り曲げ線と折り込み線の間の部分が水平部を形成し、その上に折り曲げ線で箱体の内方に折り曲げた便座部として機能する後者の側面部の一方に連接されたフラップを位置させることで水平部がフラップを支持してなり、汚物袋は、その内側の表面に吸水性樹脂を担持させた合成樹脂製のものであることを特徴とする組み立て式簡易トイレ。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−85807(P2013−85807A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230572(P2011−230572)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(511254398)
【Fターム(参考)】