説明

組合せ式調理器具

【課題】カウンタトップ1に開設した単一の開口1aに複数の単位調理器具の器体21,31,41を横方向に並べて落とし込む組合せ式調理器具において、各単位調理器具の天板22,32,42上に重量物を搭載しても、天板の他の単位調理器具に隣接する側の側縁部が下方に撓まないようにする。
【解決手段】各単位調理器具2,3,4の器体21,31,41の他の単位調理器具に隣接する側の側板部とこの側板部に隣接する当該他の単位調理器具の器体の側板部とを両側板部間にスペーサ5,5を介在させた状態で締結する。各単位調理器具の天板22,32,42の他の単位調理器具に隣接する側の側縁部とこの側縁部に隣接する当該他の単位調理器具の天板の側縁部とをスペーサ5,5の上面に着座させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底板部と前後左右の側板部とを有する方形箱状であって、各側板部の上縁に外曲げフランジが形成された器体と、器体の上面を外曲げフランジに亘って上方から覆う天板とを備える単位調理器具を複数個組合せて構成される組合せ式調理器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の組合せ式調理器具では、一般的に、カウンタトップに各単位調理器具に対応する開口を横方向に並べて複数個開設し、各単位調理器具の器体を各開口に落とし込んだ状態で、各器体の前後左右の外曲げフランジをカウンタトップの各開口の縁部に掛止して、カウンタトップに各器体を吊持させると共に、各単位調理器具の天板を前後の縁部と左右両側の側縁部とにおいてカウンタトップの上面に着座させるようにしている。
【0003】
然し、カウンタトップに各単位調理器具に対応する個別の開口を開設することは面倒である。そこで、カウンタトップに開設した単一の開口に複数の単位調理器具の器体を横方向に並べて落とし込んだ状態で、各器体の前後の外曲げフランジと、これら単位調理器具のうち横方向両側に位置する単位調理器具器体の器体の横方外側の外曲げフランジとをカウンタトップの開口の縁部に掛止して、カウンタトップにこれら器体を吊持させるようにした組合せ式調理器具も従来知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
これによれば、開口の開設作業が1回で済み、作業が容易になる利点がある。然し、開口が単一であると、各単位調理器具の器体が開口内で位置決めされず、器体間の間隔がばらつく。そこで、特許文献1記載のものでは、横方向に隣接する一方の単位調理器具の器体と他方の単位調理器具の器体とを連結片を介して所定間隔で連結し、器体間の間隔がばらつくことを防止している。
【0005】
ところで、カウンタトップに単一の開口を開設する場合、各単位調理器具の天板の前後の縁部と、複数の単位調理器具のうち横方向両側に位置する単位調理器具の天板の横方向外側の側縁部とはカウンタトップの上面に着座するが、他の単位調理器具に隣接する側の天板の側縁部は開口上に位置するため、この側縁部をカウンタトップで支持することはできなくなる。その結果、天板の支持剛性が不足して、天板上に重量物を搭載した場合、天板の上記側縁部寄りの部分が下方に撓んでしまう。
【特許文献1】特開平11−337083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、カウンタトップに複数の単位調理器具の器体を落とし込む単一の開口を開設するにも拘らず、天板の支持剛性を十分に確保できるようにした組合せ式調理器具を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、底板部と前後左右の側板部とを有する方形箱状であって、各側板部の上縁に外曲げフランジが形成された器体と、器体の上面を外曲げフランジに亘って上方から覆う天板とを備える単位調理器具を複数個組合せて構成される組合せ式調理器具であって、カウンタトップに開設した単一の開口にこれら単位調理器具の器体を横方向に並べて落とし込んだ状態で、各器体の前後の外曲げフランジと、これら単位調理器具のうち横方向両側に位置する単位調理器具の器体の横方外側の外曲げフランジとをカウンタトップの開口の縁部に掛止して、カウンタトップにこれら器体を吊持させるものにおいて、上記課題を解決するために、各単位調理器具の器体の他の単位調理器具に隣接する側の側板部とこの側板部に隣接する当該他の単位調理器具の器体の側板部とが両側板部間にスペーサを介在させた状態で締結され、各単位調理器具の天板の他の単位調理器具に隣接する側の側縁部とこの側縁部に隣接する当該他の単位調理器具の天板の側縁部とがスペーサの上面に着座することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、各単位調理器具の天板の他の単位調理器具に隣接する側の側縁部に作用する荷重がスペーサに伝達される。そして、スペーサは隣接する2つの単位調理器具の器体の側板部間に側板部同士の締結力により強く狭圧されているため、スペーサに伝達された荷重は器体に伝達され、最終的に器体の外曲げフランジ部を介してカウンタトップに伝達される。換言すれば、各単位調理器具の天板の他の単位調理器具に隣接する側の側縁部に作用する荷重をスペーサと器体とを介してカウンタトップで受けられるようになる。従って、天板の支持剛性が十分に確保され、天板上に重量物が搭載されても、天板の他の単位調理器具に隣接する側の部分が下方に撓むようなことはない。
【0009】
また、本発明において、スペーサの横幅は、各単位調理器具の天板の他の単位調理器具に隣接する側の側縁部とこの側縁部に隣接する当該他の単位調理器具の天板の側縁部とが両者間に隙間を生ずることなくスペーサの上面に着座可能となるように設定されることが望ましい。これによれば、隣接する2つの単位調理器具の天板間の隙間に煮こぼれ汁等の汚れが侵入して堆積することを防止でき、掃除が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1を参照して、1はシステムキッチンのカウンタトップを示している。このカウンタトップ1には第1乃至第3の3個の単位調理器具2,3,4が組み込まれて、組合せ式調理器具が構成されている。
【0011】
各単位調理器具2,3,4は、図2、図3に示す如く、底板部と前後左右の側板部とを有する方形箱状であって、各側板部の上縁に外曲げフランジ21a,31a,41aが形成された器体21,31,41と、器体21,31,41の上面を外曲げフランジ21a,31a,41aに亘って上方から覆う、アルミニウム等の金属製厚板で形成される天板22,32,42とを備えている。天板22,32,42の前部上面には、図1に示す如く、操作摘み23,33,43が設けられている。また、天板22,32,42の後部22a,32a,42aは後上がりに傾斜しており、この後部22a,32a,42aの下側の空間を経由して燃焼用空気が器体21,31,41内に流入するようにしている。
【0012】
本実施形態において、第1単位調理器具2は、天板22上の五徳24に載置する被加熱物を加熱するバーナ25を備える一口コンロであり、このバーナ25は環状のバーナヘッドの外周に多数の炎孔25aを形成した外炎式バーナで構成されている。第2単位調理器具3は、天板32上の焼成プレート34を器体31内のバーナ(図示せず)で加熱するグリラーである。第3単位調理器具4は、天板42上の五徳44に載置する被加熱物を加熱するバーナ45を備える一口コンロであり、このバーナ45は環状のバーナ本体の内周に多数の炎孔45aを形成した内炎式バーナ45で構成されている。尚、図2では、図面の簡略化のため、器体21,31,41の内容物を省略している。
【0013】
第1乃至第3単位調理器具2,3,4の器体21,31,41はカウンタトップ1に開設した単一の開口1aに横方向に並べた状態で落とし込まれる。そして、各器体21,31,41の前後の外曲げフランジ21a,31a,41aをカウンタトップ1の開口1aの前後の縁部に掛止すると共に、左側の第1単位調理器具2の器体21の左側の外曲げフランジ21aと右側の第3単位調理器具4の器体41の右側の外曲げフランジ41aとをカウンタトップ1の開口1aの左右各側の縁部に掛止して、各器体21,31,41をカウンタトップ1に吊持させている。
【0014】
また、第1乃至第3単位調理器具2,3,4の天板22,32,42はその前縁部においてパッキン22b,32b,42bを介してカウンタトップ1の上面に着座すると共に、第1単位調理器具2の天板22の左側縁部と第3単位調理器具4の天板42の右側縁部とが夫々パッキン22b,42bを介してカウンタトップ1の上面に着座する。然し、第1単位調理器具2の天板22の右側縁部、第2単位調理器具3の天板32の左右の側縁部及び第3単位調理器具4の天板42の左側縁部は開口1a上に位置するため、これら側縁部をカウンタトップ1で支持することはできない。このままでは、天板22,32,42の支持剛性が不足して、天板22,32,42に重量物を搭載した場合、天板22,32,42の他の単位調理器具に隣接する側の部分が下方に撓んでしまう。
【0015】
そこで、本実施形態では、第1単位調理器具2の器体21の右側板部と第2単位調理器具3の左側板部とを両側板部間にこれら側板部の全長に亘り第1スペーサ5を介在させた状態で前後一対のボルト6,6とナット6a,6aにより締結し、同様に第3単位調理器具4の器体41の左側板部と第2単位調理器具3の器体31の右側板部とを両側板部間にこれら側板部の全長に亘り第2スペーサ5を介在させた状態で前後一対のボルト6,6とナット6a,6aにより締結している。また、第1単位調理器具2の器体21の左側板部と第3単位調理器具4の右側板部とには夫々前後一対の調節ねじ7が螺挿されている。そして、第1乃至第3の単位調理器具2,3,4の器体21,31,41をスペーサ5,5を介在させて締結した後、これら器体21,31,41を開口1aに落とし込み、次に、調節ねじ7を開口1aの左右の各端面に当接させてこれら器体21,31,41を横方向に位置決めするようにしている。
【0016】
ここで、各スペーサ5,5の上面は上記側板部の上端の外曲げフランジ21a,31a,41aの下面に当接しており、器体21,31,41を開口1aに落とし込んだ状態では各スペーサ5,5の上面がカウンタトップ1の上面と同レベルになる。そして、第1単位調理器具2の天板22の右側縁部と第2単位調理器具3の天板32の左側縁部とを夫々パッキン22b,32bを介して第1スペーサ5の上面に着座させると共に、第2単位調理器具3の天板32の右側縁部と第3単位調理器具4の天板42の左側縁部とを夫々パッキン32b,42bを介して第2スペーサ5の上面に着座させている。
【0017】
これによれば、第1単位調理器具2の天板22の右側縁部や第2単位調理器具3の天板32の左側縁部に作用する荷重は第1スペーサ5に伝達される。そして、第1スペーサ5はボルト6による締結力で第1単位調理器具2の器体21の右側板部と第2単位調理器具3の器体31の左側板部とに強く圧接されるため、第1スペーサ5に伝達された荷重は摩擦力で第1と第2の両単位調理器具2,3の器体21,31に伝達され、最終的にこれら器体21,31の外曲げフランジ21a,31aを介してカウンタトップ1に伝達される。換言すれば、第1単位調理器具2の天板22の右側縁部や第2単位調理器具3の天板32の左側縁部に作用する荷重を第1スペーサ5と第1と第2の両単位調理器具2,3の器体21,31とを介してカウンタトップ1で受けられる。第2単位調理器具3の天板32の右側縁部や第3単位調理器具4の天板42の左側縁部に作用する荷重も同様に第2スペーサ5と第2と第3の両単位調理器具3,4の器体31,41とを介してカウンタトップ1で受けられる。従って、各単位調理器具2,3,4の天板22,32,42の支持剛性が十分に確保され、天板22,32,42上に重量物が搭載されても、天板22,32,42の他の単位調理器具に隣接する側の部分が下方に撓むようなことはない。
【0018】
また、第1スペーサ5の横幅は、第1単位調理器具2の天板22の右側縁部と第2単位調理器具3の天板32の左側縁部とが両者間に隙間を生ずることなく第1スペーサ5の上面に着座可能になるように設定され、第2スペーサ5の横幅も、第2単位調理器具3の天板32の右側縁部と第3単位調理器具4の天板42の左側縁部とが両者間に隙間を生ずることなくよう第2スペーサ5の上面に着座可能になるように設定されている。そのため、第1と第2の両単位調理器具2,3の天板22,32間の隙間や第2と第3の両単位調理器具3,4の天板32,42間の隙間に煮こぼれ汁等の汚れが侵入して堆積することを防止でき、掃除が容易になる。
【0019】
尚、各スペーサ5,5は角柱状の樹脂成形品で構成されている。そして、各スペーサ5,5に、図4に示す如く、上記ボルト6を挿通する前後一対の透孔5a,5aを形成しているが、透孔5aに代えて図5に示す如く、ボルト6に対する逃げとなる前後一対の凹溝5b,5bを形成してもよい。また、図6に示す如く、各スペーサ5,5を金属製の断面逆U字状のプレス成形品で構成することも可能である。
【0020】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、各単位調理器具2,3,4の天板22,32,42の後部22a,32a,42aを後上がりに傾斜させている関係で、天板22,32,42の後縁部がカウンタトップ1の上面に着座しないが、天板22,32,42をその後部に亘って平坦に形成し、その後縁部をカウンタトップ1に着座させるようにしてもよい。また、天板22,32,42をガラス製や鋼板製のものとしてもよい。
【0021】
また、単位調理器具2,3,4の種類は上記実施形態のものに限定されない。更に、上記実施形態の組合せ式調理器具は第1乃至第3の3個の単位調理器具2,3,4で構成されているが、2個の単位調理器具や4個以上の単位調理器具で構成される組合せ式調理器具にも同様に本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態の組合せ式調理器具の斜視図。
【図2】図1の組合せ式調理器具の天板を取外した状態の平面図。
【図3】図2のIII−III線で切断した拡大断面図。
【図4】図1の組合せ式調理器具で用いるスペーサの斜視図。
【図5】スペーサの他の実施形態を示す斜視図。
【図6】スペーサの更に他の実施形態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0023】
1…カウンタトップ、1a…開口、2,3,4…単位調理器具、21,31,41…器体、21a,31a,41a…外曲げフランジ、22,32,42…天板、5,5…スペーサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板部と前後左右の側板部とを有する方形箱状であって、各側板部の上縁に外曲げフランジが形成された器体と、器体の上面を外曲げフランジに亘って上方から覆う天板とを備える単位調理器具を複数個組合せて構成される組合せ式調理器具であって、
カウンタトップに開設した単一の開口にこれら単位調理器具の器体を横方向に並べて落とし込んだ状態で、各器体の前後の外曲げフランジと、これら単位調理器具のうち横方向両側に位置する単位調理器具の器体の横方外側の外曲げフランジとをカウンタトップの開口の縁部に掛止して、カウンタトップにこれら器体を吊持させるものにおいて、
各単位調理器具の器体の他の単位調理器具に隣接する側の側板部とこの側板部に隣接する当該他の単位調理器具の器体の側板部とが両側板部間にスペーサを介在させた状態で締結され、
各単位調理器具の天板の他の単位調理器具に隣接する側の側縁部とこの側縁部に隣接する当該他の単位調理器具の天板の側縁部とがスペーサの上面に着座することを特徴とする組合せ式調理器具。
【請求項2】
前記スペーサの横幅は、前記各単位調理器具の天板の他の単位調理器具に隣接する側の側縁部とこの側縁部に隣接する当該他の単位調理器具の天板の側縁部とが両者間に隙間を生ずることなくスペーサの上面に着座可能となるように設定されることを特徴とする請求項1記載の組合せ式調理器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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