説明

組成物、その組成物が組み込まれた材料、およびその組成物および材料を使用する方法

汚染物質を防御および/または除染するための、組成物、その組成物が組み込まれた材料、およびそれを使用する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、それぞれが参照により全体的に本明細書に完全に組み込まれる;以下の米国特許仮出願:2006年3月29日出願の米国仮特許出願第60/787,002号明細書を有する「COMPOSITIONS,MATERIALS INCORPORATING THE COMPOSITIONS,AND METHODS OF USING THE COMPOSITIONS AND MATERIALS」;2007年1月3日出願の米国仮特許出願第60/878,474号明細書を有する「COMPOSITIONS,MATERIALS INCORPORATING THE COMPOSITIONS,AND METHODS OF USING THE COMPOSITIONS AND MATERIALS」;2007年1月31日出願の米国仮特許出願第60/898,608号明細書を有する「COMPOSITIONS,MATERIALS INCORPORATING THE COMPOSITIONS,AND METHODS OF USING THE COMPOSITIONS AND MATERIALS」に対して優先権を主張する。
【0002】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
本発明は、米国陸軍により与えられた授与番号DAAD16−03−C−0070およびDAAD19−02−D−0001下での政府援助で行われた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
汚染物質(例えば、硫黄化合物、アルデヒド、および兵器剤)の危険性を低減することは、長い間重要な問題であった。軍職員または会社職員などの人々が働く環境から、汚染物質を防御し、かつ/または除去することができる組成物は、汚染物質に伴う問題を著しく低減する。様々な組成物が使用されているが、多くの場合、効果的な方法で、組成物によって汚染物質は防御かつ/または除去されない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
簡潔に述べると、この開示内容の実施形態は、汚染物質等の防御および/または除染のための、組成物、その組成物が組み込まれた材料、およびその使用方法を含む。組成物の一実施形態は、特に:式Me/POM/NO(式中、「Me」は、銅(Cu)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、および亜鉛(Zn)から独立して選択され;POMはポリオキソメタレートであり;「x」は1または2である)を有する化合物を含む。
【0005】
組成物の一実施形態は、特に:式Me/POM/NO(式中、「M」は、銅(Cu)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、および亜鉛(Zn)から独立して選択され;POMはポリオキソメタレートであり;xは1または2である)を有する化合物を含む。組成物はさらに:式EMe(Hal)(式中、「Me」は、銅(Cu)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、および亜鉛(Zn)から独立して選択され;「E」は、テトラエチルアンモニウム(TEA)またはテトラ−n−ブチルアンモニウム(TBA)、テトラヘキシルアンモニウム、テトラヘプチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラメチルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、テトラフェニルアルソニウム、およびその組み合わせから選択され;「Hal」は、ハロゲン基である)を有する化合物を含む。
【0006】
汚染物質を除去する方法の実施形態は、特に:本発明の開示内容の組成物を汚染物質と接触させることを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
開示内容の多くの態様が、以下の図面を参照して、より良く理解される。図面の構成要素は、必ずしも一定の縮尺で拡大しているわけではなく、代わりに、本発明の開示内容の原理を明確に説明することに重点が置かれている。さらに、図面において、参照番号は、いくつかの図全体を通して対応する部分を示す。
【0008】
本発明の開示内容がより詳細に説明される前に、この開示内容は、記載の特定の実施形態に限定されるものではなく、当然のことながらそれ自体が変化し得ることを理解されたい。本発明の開示内容の範囲は、特許請求の範囲によってのみ制限されることから、本明細書で使用される専門用語は、あくまでも特定の実施形態を説明する目的のためのみに使用され、限定することを意図するものではないこともまた理解されたい。
【0009】
ある範囲の値が提供されている場合、コンテクストに明確に別段の指定がない限り、下限の単位の小数第1位まで、その範囲の上限と下限の間の介在する各値、およびその指定の範囲における他の指定値または介在値が、開示内容内に包含される。これらのより小さな範囲の上限および下限は独立して、より小さな範囲に包含され、かつ開示内容内にも包含され、指定範囲において具体的に除外される限界の支配下にある。指定範囲が限界の1つまたは両方を含む場合、これらの包含される限界のいずれかまたは両方を除外する範囲もまた、開示内容に包含される。
【0010】
別段の指定がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、この開示内容が属する、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様または同等の方法および材料もまた、本発明の開示内容の実施および試験に使用することができるが、好ましい方法および材料をこれから説明する。
【0011】
本明細書に記載のすべての出版物および特許は、個々の出版物または特許がそれぞれ、あたかも具体的かつ個々に参照により組み込まれるように示されるように、参照により本明細書に組み込まれ、かつ出版物が引用しているものと関連する方法および/または材料を開示かつ説明するために参照により本明細書に組み込まれる。出版物の引用は、出願日前のその開示のためであり、本発明の開示内容が、先の開示内容によってかかる出版物に先行する権利が与えられることの許可として解釈すべきではない。さらに、提供される出版物の日付は、独自に確認する必要がある実際の出版日と異なる場合がある。
【0012】
この開示内容を読めば当業者には明らかであるように、本明細書に記載かつ説明される個々の実施形態のそれぞれが、本発明の開示内容の範囲および精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離されるか、または特徴と組み合わせることができる、別々の構成要素および特徴を有する。記載の方法は、記載の事象の順序で、または論理的に可能な他のいずれかの順序で行うことができる。
【0013】
本発明の開示内容の実施形態では、別段の指定がない限り、当技術分野の技術内にある、化学、有機化学、無機化学等の技術が用いられるだろう。
【0014】
以下の実施例は、本明細書において開示かつ主張される方法をいかに実施し、かつプローブをいかに使用するかの完全な開示内容および説明を当業者に提供するために示されている。数(例えば、量、温度等)に関して精度を保証するために努力がなされているが、いくつかの誤りおよび誤差を考慮すべきである。別段の指定がない限り、部は重量部であり、温度は℃で示され、圧力は気圧または気圧付近である。標準温度および圧力は、20℃および1気圧として定義される。
【0015】
本発明の開示内容の実施形態が詳細に説明される前に、別段の指定がない限り、本発明の開示内容は、特定の材料、試薬、反応材料、製造プロセス等に制限されず、それ自体が変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される専門用語は、あくまでも特定の実施形態を説明する目的で使用されており、制限することを意図するものではないことも理解されたい。これが論理的に可能である場合には、工程を異なる順序で実行されることも本発明の開示内容において可能である。
【0016】
明細書および特許請求の範囲で使用される、単数形の「1つ(a)」、「1つ(an)」および「前記又はその(the)」は、明確に別段の指定がない限り、複数の指示物を含むことを留意しなければならない。したがって、例えば、「化合物」の言及は、複数の化合物を包含する。以下の本明細書および特許請求の範囲において、逆の意図が明らかでない限り、以下の意味を有するように定義されるべき多くの用語が言及されるだろう。
【0017】
(考察)
本発明の開示内容に従って、本明細書において具体化され、広く説明されるように、本発明の開示内容の実施形態は、一態様において、汚染物質を防御および/または除染するための、組成物、その組成物が組み込まれた材料、およびその使用方法に関する。例証となる実施形態において、その組成物および/または材料は、脱臭スプレー、局所用皮膚保護剤、室内使用用コーティング、HOにさらされない布地(例えば、椅子張り生地、カーペット等)、靴(例えば、ランニングシューズ、ドレスシューズ等)の裏当て、屋外使用用コーティング(例えば、HOにさらされないコーティング)、洗濯されない衣服の布、フィルターおよび濾過システム(例えば、フィルターの繊維上および濾過システムの一部分上への、かつ/またはフィルターの繊維または布に組み込まれた、コーティング)、および他の布にも使用することができる。組成物の実施形態は、組成物を保管および搬送するために溶媒と組み合わせて使用することができる。「HOにさらされない」とは、空気中の水分にさらされないことを意味しないことに留意されたい。
【0018】
特に、本発明の開示内容の実施形態は、Me/POM/NO(例えば、[MePOM][NO]または[MePOMNO])およびMe/POM/NO:EMe(Hal)を含む、組成物、材料等を含む。各「Me」は、独立して、限定されないが、銅(Cu)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、および亜鉛(Zn)、または他のd電子含有遷移金属を含む。一実施形態において、Meは、CuおよびFe(例えば、Cu/POM/NOおよびEFe(Hal))である。「E」としては、限定されないが、テトラエチルアンモニウム(TEA)またはテトラ−n−ブチルアンモニウム(TBA)、テトラヘキシルアンモニウム、テトラヘプチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラメチルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、テトラフェニルアルソニウム、関連するポリアルキルまたはポリアリールカチオン、およびその組み合わせが挙げられる。「POM」は、以下に詳細に記述されるポリオキソメタレートを含み得る。「Hal」は、ハロゲン(例えば、臭素(Br)、塩素(Cl)、フッ素(F)、ヨウ素(I))またはN、OCN等の他のモノハプトモノアニオン)であり、「x」は1または2である。一実施形態において、NOは、NOまたはNOと取り替えられることを留意されたい。NOの表記は、本発明の開示の目的のために「NO」または「NO」を包含することを留意されたい。Me/POM/NOおよびMe/POM/NO:EMe(Hal)を含む実施形態については、Me/POM/NOとMe/POM/NO:EMe(Hal)の比は、約1:9〜9:1(例えば、1:9〜8:2、1:9〜5:5、および0.1刻みの他の比)であることができる。
【0019】
本発明の開示内容の実施形態(例えば、Me/POM/NO(例えば、[MePOM][NO]、または[MePOMNO])および/またはMe/POM/NO:EMe(Hal))は、限定されないが、EMe(Hal)、E/POM、およびMe(NOなどの成分の混合物として表すことができることを留意されたい。一実施形態において、その混合物は、TBAFeBr、TBAPW1139、およびCu(NOの混合物であることができる。一実施形態において、組成物は、TBAFeBr、TBAPW1139、およびCu(NOの混合物を含有し得る。TBAFeBrの範囲は、組成物の約10〜80重量%であり、組成物の約10〜50重量%である。TBAPW1139の範囲は、組成物の約82〜1.8重量%であり、組成物の約82〜45重量%である。Cu(NOの範囲は、組成物の約8〜0.2重量%であり、組成物の約8〜5重量%である。本明細書に記載の教示に鑑みて、式の組成を当業者が決定することができる。
【0020】
一実施形態において、化合物またはその一部(例えば、POM)は、担体(Si/(ZO)上に固定化される。(Si/(ZO)を説明するために使用する場合、「Z」は、金属または非金属であることができ、「O」は酸素である。「Z」としては、限定されないが、ジルコニウム、アルミニウム、酸化アルミニウム、鉄、銅、チタン、およびクロムなどの金属が挙げられる。さらに、「Z」は酸化チタンを含み得る。本発明の開示内容の実施形態に関する更なる詳細は以下に述べられる。
【0021】
一実施形態において、組成物は、Cu/POM/NOまたはTBAFe(Hal):Cu/POM/NO[式中、Halはハロゲン(例えば、Br)であり、POMは、それぞれに対して適切な量の酸素原子を有するPOM(例えば、PW11、PW、SiW11、SiW10、SiW、AIW11、AsW11、および関連する欠陥(「空隙」)POM単位およびその組み合わせ)(例えば、[PW11397−、[PW349−、[SiW11398−、[SiW10368−、および[SiW3410−、[AlW11399−、および[AsW11397−)であることができる]を含み得る。特に、TBAFe(Hal)とCu/POM/NOの比は、約1:9〜9:1(例えば、1:9〜8:2、1:9〜5:5、および0.1刻みの他の比)であることができる。
【0022】
誘導期間がないか、または誘導期間が短いことから、Cu/POM/NOまたはTBAFe(Hal):Cu/POM/NOを含む、本発明の開示内容の実施形態は有利であり、組成物および/または材料が、対象の汚染物質を即座に除染かつ/または分解するために有効であることから有利であることに留意されたい。誘導期間が短いか、または誘導期間がないことは、化学兵器剤、生物兵器剤、または他の化学剤または生物剤を急速に分解かつ/または除染する必要がある状況で有利である。誘導期間が短いか、または誘導期間がないことは、化学剤または生物剤に臭気がある状況で有利である。
【0023】
ポリオキソメタレート(POM)は、一般式A[VMoNbTa]を有することができる。「A」は、限定されないが、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アンモニウムカチオン、第4級アンモニウムカチオン、d−ブロックカチオン(周期表の3〜12族)、f−ブロックカチオン(ランタニドおよびアクチニド系列)、またはその組み合わせなどを含む、少なくとも1つの対イオンである。「M」は、バナジウム、モリブデン、タングステン、ニオブ、またはタンタルを除く、少なくとも1つのd電子を有する、少なくとも1つのfブロック元素またはdブロック元素である。「X」は、酸素を除く、少なくとも1つのpブロック元素、dブロック元素、またはfブロック元素である。さらに、「k」は、0〜30であることができ、「m」は、0〜160であることができ、「n」は、0〜160であることができ、「o」は、0〜30であることができ、「p」は、0〜10であることができ、「q」は、0〜30であることができ、「r」は、0〜30であることができる。一実施形態において、「s」は、「y」がゼロを超えるために十分に大きい。一実施形態において、「k」、「m」、「n」、「o」、および「p」の合計は、4以上である。一実施形態において、「k」、「m」、および「q」の合計は、ゼロを超える。
【0024】
他の実施形態において、ポリオキソメタレートは、式[Xg+h+12−b−c40u−[A]を有する。「X」は、少なくとも1つのpブロック元素、dブロック元素、またはfブロック元素であり、「g+」は、Xの電荷である。「M」は、少なくとも1つのd電子を有する、少なくとも1つのfブロック元素またはdブロック元素であり、「M」は、バナジウムではなく、「h+」は、「M」の電荷である。POM式に関して、「Z」は、タングステン、モリブデン、ニオブ、またはその組み合わせである。さらに、「b」は0〜6であり;「c」は0〜6であり、「b」と「c」の合計は1以上である。最後に、「u」は3を超え、「A」は対イオンである。
【0025】
他の実施形態において、ポリオキソメタレートは、式[Xg+h+11−b−c39u−「A]を有する。「X」は、少なくとも1つのpブロック元素、dブロック元素、またはfブロック元素であり、「g+」は、Xの電荷である。「M」は、少なくとも1つのd電子を有する、少なくとも1つのfブロック元素またはdブロック元素であり、「M」はバナジウムではなく、「h+」は、「M」の電荷である。POM式に関して、「Z」は、タングステン、モリブデン、ニオブ、またはその組み合わせである。さらに、「b」は0〜6であり、「c」は0〜6であり、「b」と「c」の合計は、1以上である。最後に、「u」は3を超え、「A」は対イオンである。
【0026】
他の実施形態において、ポリオキソメタレートは、式[Xg+12−b40u−「A]を有する。「X」は、リン、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、亜鉛、コバルト、または鉄のうちの少なくとも1つである。POM式に関して、「Z」は、タングステン、モリブデン、ニオブ、またはその組み合わせを含む。さらに、「b」は1〜6であり、「u」は3を超える。
【0027】
他の実施形態において、ポリオキソメタレートは、式[Xg+11−b39u−[A]を有する。「X」は、リン、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、亜鉛、コバルト、または鉄のうちの少なくとも1つである。POM式に関して、「Z」は、タングステン、モリブデン、ニオブ、またはその組み合わせを含む。さらに、「b」は1〜6であり、「u」は3を超える。
【0028】
他の実施形態において、ポリオキソメタレートは、式[Xg+h+12−c40u−[A]を有する。「X」は、リン、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、亜鉛、コバルト、または鉄のうちの少なくとも1つである。POM式に関して、「Z」は、タングステン、モリブデン、ニオブ、またはその組み合わせを含む。さらに、「Mh+」は、少なくとも1つのd電子を有する、少なくとも1つのfブロック元素またはdブロック元素であり、「c」は1〜6であり、「u」は3を超える。
【0029】
他の実施形態において、ポリオキソメタレートは、式[Xg+h+11−c39u−[A]を有する。「X」は、リン、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、亜鉛、コバルト、または鉄のうちの少なくとも1つである。POM式に関して、「Z」は、タングステン、モリブデン、ニオブ、またはその組み合わせを含む。さらに、「Mh+」は、少なくとも1つのd電子を有する、少なくとも1つのfブロック元素またはdブロック元素であり、「c」は1〜6であり、「u」は3を超える。
【0030】
他の実施形態において、ポリオキソメタレートは、式[Xi+j+18−u−v62w−[A]を有する。「X」は、少なくとも1つのpブロック元素、dブロック元素、またはfブロック元素であり、「i+」は「X」の電荷である。「M」は、少なくとも1つのdブロック元素またはfブロック元素であり、ここで「M」はバナジウムではない。さらに、「j+」は「M」の電荷である。POM式に関して、「Z」は、タングステン、モリブデン、ニオブ、またはその組み合わせである。さらに、「u」は0〜9であり、「v」は0〜9であり、「u」と「v」の合計は1以上である。最後に、「w」は4以上であり、「A」は対イオンである。
【0031】
他の実施形態において、ポリオキソメタレートは、式[Xi+j+17−u−v61w−[A]を有する。「X」は、少なくとも1つのpブロック元素、dブロック元素、またはfブロック元素であり、「i+」は「X」の電荷である。「M」は、少なくとも1つのdブロック元素またはfブロック元素であり、ここで「M」はバナジウムではない。さらに、「j+」は「M」の電荷である。POM式に関して、「Z」は、タングステン、モリブデン、ニオブ、またはその組み合わせである。さらに、「u」は0〜9であり、「v」は0〜9であり、「u」と「v」の合計は1以上である。最後に、「w」は4以上であり、「A」は対イオンである。
【0032】
他の実施形態において、ポリオキソメタレートは、式[Xi+18−u62w−[A]を有する。「X」は、リン、硫黄、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、亜鉛、コバルト、または鉄のうちの少なくとも1つである。POM式に関して、「Z」は、タングステン、モリブデン、ニオブ、またはその組み合わせを含む。さらに、「u」は1〜9であり、「w」は4以上である。
【0033】
他の実施形態において、ポリオキソメタレートは、式[Xi+17−u61w−[A]を有する。「X」は、リン、硫黄、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、亜鉛、コバルト、または鉄のうちの少なくとも1つである。POM式に関して、「Z」は、タングステン、モリブデン、ニオブ、またはその組み合わせを含む。さらに、「u」は1〜9であり、「w」は4以上である。
【0034】
他の実施形態において、ポリオキソメタレートは、式[Xi+j+18−v62w−[A]を有する。「X」は、リン、硫黄、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、亜鉛、コバルト、または鉄のうちの少なくとも1つである。POM式に関して、「Z」は、タングステン、モリブデン、ニオブ、またはその組み合わせを含む。「Mj+」は、少なくとも1つのdブロック元素またはfブロック元素であり、「v」は1〜9であり、「w」は4以上である。
【0035】
他の実施形態において、ポリオキソメタレートは、式[Xi+j+17−v61w−[A]を有する。「X」は、リン、硫黄、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、亜鉛、コバルト、または鉄のうちの少なくとも1つである。POM式に関して、「Z」は、タングステン、モリブデン、ニオブ、またはその組み合わせを含む。「Mj+」は、少なくとも1つのdブロック元素またはfブロック元素であり、「v」は1〜9であり、「w」は4以上である。
【0036】
他の実施形態において、ポリオキソメタレートは、式[YV12−x40][A]を有する。「Y」は、リン、ケイ素、またはアルミニウムである。POM式に関して、「Z」は、タングステンまたはモリブデンである。さらに、「X」は1〜6であり、「A」は対イオンである。一実施形態において、「Y」はリンであり、「Z」はモリブデンである。一実施形態において、「Y」はリンであり、「Z」はタングステンである。一実施形態において、「Y」はケイ素であり、「Z」はモリブデンである。一実施形態において、「Y」はケイ素であり、「Z」はタングステンである。一実施形態において、「Y」はアルミニウムであり、「Z」はタングステンである。一実施形態において、「Y」はアルミニウムであり、「Z」はモリブデンである。
【0037】
他の実施形態において、ポリオキソメタレートは、式[YV11−x39][A]を有する。「Y」は、リン、ケイ素、またはアルミニウムである。POM式に関して、「Z」は、タングステンまたはモリブデンである。さらに、「X」は1〜6であり、「A」は対イオンである。一実施形態において、「Y」はリンであり、「Z」はモリブデンである。一実施形態において、「Y」はリンであり、「Z」はタングステンである。一実施形態において、「Y」はケイ素であり、「Z」はモリブデンである。一実施形態において、「Y」はケイ素であり、「Z」はタングステンである。一実施形態において、「Y」はアルミニウムであり、「Z」はタングステンである。一実施形態において、「Y」はアルミニウムであり、「Z」はモリブデンである。
【0038】
組成物は、組成物の約0.05〜0.90重量%でポリオキソメタレートを含有し得る。特に、組成物は、組成物の約0.10〜0.15重量%でポリオキソメタレートを含有し得る。
【0039】
上記で示されるように、開示内容の実施形態は、陽イオンシリカ(例えば、(Si/(ZO)に結合した一般式A[VMoNbTa]を有する少なくとも1つのPOM(またはより具体的なPOM式のいずれか1つ)を有する組成物を含む。陽イオンシリカとしては、限定されないが、陽イオン金属または非金属酸化物でコーティングされたコロイダルシリカ粒子((Si/ZO)(「Si」はケイ素であり、「Z」は金属または非金属であることができ、「O」は酸素である)が挙げられる。「Z」としては、限定されないが、ジルコニウム、アルミニウム、酸化アルミニウム、鉄、銅、チタン、およびクロムなどの金属が挙げられる。さらに、「Z」は酸化チタンを含み得る。金属または非金属酸化物シリカ表面は、負に荷電したPOMが結合するための陽イオン部位として機能する。特定の理論に束縛されないが、シリカおよびPOMは相乗的に相互作用し、POM/(Si/ZO材料の触媒能力を高めることができる。
【0040】
実施形態において、限定されないが、非極性有機溶媒、アルカン、低分子量フルオロカーボン、炭化水素、およびその組み合わせなどの溶媒中で組成物が使用される。特に、溶媒としては、限定されないが、石油エーテル、パラフィン油、ベンゼン、トルエン、およびその組み合わせが挙げられる。その他の溶媒としては、限定されないが、実施例1の表2に記載の溶媒が挙げられる。
【0041】
いくつかの組成物が、兵器剤(例えば、化学および/または生物兵器剤)などの汚染物質を分解にするときに有効である。特定の理論に束縛されないが、開示内容の実施形態は、化学および/または生物兵器剤の酸化に対して触媒として有効である。特に、本発明の開示内容の組成物は、末端酸化剤として酸素(O)または空気を使用しての、2−クロロエチルエチルスルフィド(CEES)、マスタードガス刺激薬の酸化に有効である。
【0042】
本明細書に記載の組成物の実施形態は、環境における1種類のまたは複数種の汚染物質を分解することができる。本明細書で使用される「環境」という用語は、少なくとも1種類の汚染物質を含有する媒体を意味する。例えば、一実施形態において、環境は、液相を含み得る。他の実施形態では、環境は、気相を含み得る。
【0043】
「分解する」または「分解」という用語は、限定されないが、汚染物質の分解、毒性が低いまたは非毒性である他の化合物への汚染物質の転化、または本発明の開示内容の組成物による汚染物質の吸着を意味する。この組成物は、多くの異なるメカニズムによって汚染物質を分解することができる。例えば、本発明の開示内容の組成物は、汚染物質を好気的に酸化することができる。
【0044】
本発明の開示内容の組成物を使用することによって分解することができる汚染物質としては、限定されないが、化学兵器剤、生物兵器剤またはその組み合わせが挙げられる。例示的な化学兵器剤としては、マスタードガスおよびサリンが挙げられ、例示的な生物兵器剤としては、炭疽菌が挙げられる。
【0045】
本明細書に参照によりその全体が組み込まれる、Marrs,Timothy C;Maynard,Robert L.;Sidell,Frederick R.;Chemical Warfare Agents Toxicology and Treatment;John Wiley & Sons:Chichester,England,1996;Compton,James A.F.;Military Chemical and Biological Agents Chemical and Toxicological Properties;The Telford Press:Caldwell,New Jersey,1988;Somani,Satu M.;Chemical Warfare Agents;Academic Press:San Diego,1992に開示される化学兵器剤よび生物兵器剤のいくつかは、本発明の開示内容の実施形態によって分解することができる。
【0046】
さらに、発明の開示内容の実施形態を使用することによって分解することができる汚染物質としては、限定されないが、以下の:アルデヒド、脂肪族窒素化合物、硫黄化合物、脂肪族酸素添加化合物、ハロゲン化化合物、有機リン酸化合物、ホスホノチオン酸化合物、ホスホロチオン酸化合物、ヒ素化合物、クロロエチル化合物、ホスゲン、シアン化合物、またはその組み合わせが挙げられる。一実施形態において、汚染物質は、アセトアルデヒド、メチルメルカプタン、アンモニア、硫化水素、ジエチルスルフィド、ジエチルジスルフィド、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、トリメチルアミン、スチレン、プロピオン酸、n−酪酸、n−吉草酸、イソ−吉草酸、ピリジン、ホルムアルデヒド、2−クロロエチルエチルスルフィド、一酸化炭素、またはその組み合わせが挙げられる。
【0047】
本発明の開示内容の組成物は、通常、環境から汚染物質を分解するために、酸化剤の存在下にて使用される。酸化剤の例としては、限定されないが、二酸素が挙げられる。好ましい実施形態において、空気中に存在する酸素が酸化剤として使用される。
【0048】
本発明の開示内容の組成物は、汚染物質の防御および/または分解を促進するために、適切な材料中に組み込むことができる。その材料としては、例えば、局所的担体、コーティング、粉末、フィルター材料、および/または布が挙げられる。本明細書で使用される材料としては、本発明の開示内容の組成物の1つまたは複数が組み込まれる媒体を意味する。
【0049】
いくつかの組成物は、当技術分野で知られる技術を用いて材料中に組み込むことができる。一実施形態において、材料が局所的担体、粉末、フィルター材料、布またはコーティングである場合、組成物は直接、材料に添加され、材料と混合される。一実施形態において、組成物の成分は、材料に逐次的に組み込まれる。他の実施形態において、その組成物と溶媒とを含有する組成物と材料を接触させる。組成物は、組成物の成分および選択される溶媒に応じて、溶媒に可溶性、一部可溶性、または不溶性であることができる。一実施形態において、溶媒は水である。他の実施形態において、溶媒は有機溶媒であることができる。本発明の開示内容の実施形態において有用な溶媒の例としては、限定されないが、アセトニトリル、トルエン、二酸化炭素、キシレン、1−メチル−2−ピロリジノン、またはパーフルオロポリエーテル化合物などのフッ素化媒質が挙げられる。
【0050】
材料に組み込まれる各組成物の量は、少なくとも一部で、分解される汚染物質および選択される材料に応じて異なる。材料中に組み込むことができる各組成物の量にはほとんど制限がない。一実施形態において、材料に組み込まれる組成物は、材料の0.1〜95重量%である。一実施形態において、組成物の下限は、0.05、0.1、0.5、1.0、2.0、5.0、10、15、20、25、30、35、40、45、または50重量%であることができ、上限は、30、40、50、60、70、80、90、または95重量%であることができる。一実施形態において、材料が局所的担体である場合、組成物は、局所的組成物の1〜50重量%である。
【0051】
本発明の開示内容の組成物は、多種多様な局所的担体において使用することができる。適切な、局所的に許容可能な薬剤担体は、薬剤および化粧品の局所塗布で通常使用される担体である。かかる担体の例としては、限定されないが、ローション、クリーム、軟膏、およびゲルが挙げられる。一部の用途では、局所的担体は、バリアクリームおよび局所皮膚保護薬と呼ばれる。そのそれぞれの全体が参照により組み込まれる、米国特許第5,607,979号明細書、米国特許第6,410,603号明細書、米国特許第6,713,076号明細書および米国特許第7,097,858号明細書に開示される局所的担体のいずれも、本発明の開示内容の実施形態の一部で使用することができる。一実施形態において、局所的担体は、過フッ素化媒質(例えば、ポリマーまたはポリマーの混合物)を含む。他の実施形態において、局所的担体は、パーフルオロポリエーテル化合物を含む。本発明の開示内容において有用なパーフルオロポリエーテル(PFPE)化合物の一例は、一般式CFO[−CF(CF)CFO−](−CFO−)CFを有する。PFPE媒質の例としては、例えば、アウジモント・モンテディソン・グループ社(Ausimont Montedison Group)から市販のフルオロリンク(Fluorolink)(登録商標)、ガルデン(Galden)(登録商標)、およびフォンブリン(Fomblin)(登録商標)が挙げられる。一実施形態において、局所的担体は、過フッ素化ポリマーおよび1種または複数種の非フッ素化ポリマーまたは化合物を含む。他の実施形態において、局所的担体は、パーフルオロポリエーテルおよび1種または複数種の非フッ素化ポリエーテルを含む。
【0052】
一実施形態において、局所的担体はさらに、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、パルミトオレイン酸などの飽和または不飽和脂肪酸、セチルまたはオレイルアルコール、ステアリン酸、フッ素化酸、フッ素化アルコール、またはその組み合わせを含有し得る。クリームは、非イオン性界面活性剤などの1種または複数種の界面活性剤も任意に含有し得る。
【0053】
本発明の開示内容の実施形態において、当技術分野で知られている多種多様な粉末およびコーティング(例えば、熱可塑性および熱硬化性)を材料として使用することができる。一実施形態において、粉末は活性炭を含む。
【0054】
組成物のうちの1つまたは複数種を含有するように、ほとんどいかなる布でも開発することができる。一実施形態において、衣服、掛け布、カーペット、および椅子張り材料を作製するために使用される布を使用することができ、それから作られる物品はこの開示内容の一部である。他の実施形態において、布は、メリヤス生地または不織布であることができる。有用な繊維としては、限定されないが、ポリアミド、綿、ポリアクリル、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリビニリデン、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリテトラフルオロエチレン、またはカーボンクロス、またはその組み合わせが挙げられる。さらに他の実施形態において、布は、綿、ポリアクリル、またはポリアクリロニトリルから製造される。さらに他の実施形態において、布は、陽イオン繊維から製造される。他の実施形態では、布は、(1)ナイロン−6、6と綿との50/50ブレンド、または(2)ポリウレタンまたはポリ尿素とブレンドされた伸張可能なカーボンを含む。
【0055】
さらに、いずれのセルロース系繊維にも、本発明の開示内容の混合物を組み込むことができる。有用なセルロース系繊維の例としては、限定されないが、木材または紙が挙げられる。
【0056】
一実施形態において、材料が布またはセルロース系繊維である場合には、組成物は、材料の約0.1〜約20重量%、初期に水約80〜約99.9重量%、好ましくは組成物約0.3〜約15重量%、初期に水85〜99.7重量%である。概ね、温度約0℃〜100℃で数時間から数日、好ましくは約25〜80℃で2時間から2日の間、組成物中に布またはセルロース系繊維を浸漬または浸す。他の実施形態において、組成物を樹脂または接着剤と混合し、得られた接着剤を布またはセルロース系繊維の表面に塗布するか、または布またはセルロース系繊維と混合する。
【0057】
通常、材料を1度、組成物と接触させたら、残りの溶媒を除去するために組成物を乾燥させる。一実施形態において、組成物を気圧以下で約0℃〜220℃に、好ましくは約25℃〜100℃に加熱する。他の実施形態において、組成物を真空内(つまり、約10トル以下)で乾燥させる。
【0058】
他の実施形態において、材料が布またはセルロース系繊維である場合には、既存の布またはセルロース系繊維の表面に組成物を堆積させること、布またはセルロース系繊維の繊維に組成物の成分を共有結合させること、布またはセルロース系繊維に組成物を含浸させるか、または組成物を布またはセルロース系繊維と密接に混合すること、布またはセルロース系繊維に組成物の成分を静電気的に結合さること、または布またはセルロース系繊維に組成物の成分を供与結合させることによって、組成物を布またはセルロース系繊維に組み込むことができる。
【0059】
本発明の開示内容の組成物の実施形態は、先行技術の除染と比較して多くの利点を有する。1つの利点は、本発明の開示内容の組成物は、接触してミリ秒内で開始して、環境から汚染物質を触媒作用で分解することができ、数日から無期限の範囲の長期間、汚染物質を分解することができることである。他の利点は、一部の組成物は材料により耐水性を付与し、材料の表面積を増加することができることである。最後に、材料が布またはセルロース系繊維である場合には、組成物は、布またはセルロース系繊維の可染性、耐光性、耐変色性、および製織特性を高めることができる。
【0060】
以下に、POMを製造するための実例となる方法を記述する。
【0061】
(全体の方法および材料)
文献の方法によって、TBA[A−PW34]またはNa[A−PW34]を調製した。FeBr、Cu(NO・2.5HO、Fe(NO・9HO、TBABr、TBANO、アセトニトリル、o−トルエンスルホン酸(TsOH)、1,3−ジクロロベンゼンおよび2−クロロエチルエチルスルフィド(CEES)をアルドリッチ社(Aldrich)から購入し、さらに精製することなく使用した。
【0062】
ガスクロマトグラフィー(GC;炎イオン化検出器、5%フェニルメチルシリコーンのキャピラリーカラム、Nキャリアガス、およびヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)3390Aシリーズの積分器を備えたヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)5890シリーズのガスクロマトグラフ)によって、化学種を同定かつ定量化した。
【0063】
(触媒の実施形態の製造)
Na[A−PW34]の水溶液に、XBr(X=テトラブチルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニウム、テトラヘプチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラメチルホスホニウム等)の飽和水溶液を攪拌しながら添加する。間断なく沈殿物が形成し、それを回収し、乾燥させる。XBrが水に不溶性の場合には、液−液抽出を用いて生成物を単離し、続いて有機層を蒸発させる。その生成物は、X[A−PW1134]と同定される。アセトニトリル中のX[A−PW1134]の溶液に、Y(NO[Y=dまたはfブロック遷移金属であり、Z=Yカチオンの電荷であり、一実施形態では、それはCu(NOまたはFe(NOである]のアセトニトリル溶液を添加する。溶媒が蒸発するまで、混合物を攪拌し、フィルター上にてアセトニトリルで洗浄し、空気中で乾燥させる。生成物は、X[A−YPW1134]と同定される。
【0064】
モル当量のFeBrおよびXBr(Xは上記で定義されている)をアセトニトリルに溶解する。得られた溶液を蒸発させ、暗褐色の固体を回収する。その固体を最低限量のアセトニトリルに再度溶解し、ゆっくりとしたエーテルの拡散によって再結晶化させる。得られた化合物は、XFeBr、テトラブロモ鉄酸誘導体と同定される。
【0065】
触媒は、上記の2種類の化合物の1:1機械的混合物であり、さらに精製することなく使用される。標準的酸化手順は、触媒、標的、および内標準を溶媒(リスト参照)中で合わせ、起こった反応をガスクロマトグラフィーでモニターすることを含む。
【0066】
同様な製造方法に従って、上述の式で示されるものなど他のPOMを製造することができることを留意されたい。
【実施例】
【0067】
(実施例1)
本発明の開示内容には、担持されたポリオキソメタレート(POM)触媒を製造する方法が述べられている。この新規な合成プロトコルは、以前および従来の経路によって製造された担持ポリオキソメタレート触媒よりも、スルフィドをスルホキシドに酸素化することによって例示される(等式1)好気的酸化に対して、はるかに活性の高い触媒を提供することから、重要である。後者は、POMの合成および精製、それに続く、担体へのPOMの固定化を伴う。in situでのPOMの自己集合による、これらの不均一系酸素化触媒は、POMの表面部位におけるd電子含有金属に末端配位した硝酸塩および臭化物を有するPOMを含む。
S+→RSO(1)
【0068】
担体は、炭素、陽イオンシリカ(Si/(ZO)+、Z=Al、Fe、Zr、Ti)、TiO、およびAlなどの多種多様な材料から選択することができ、多孔質または無孔質であることができる。触媒は、周囲条件下で形成され、かつH[A−α−(Fe(NO))(FeBr)PW1139−(3−X)、既に開示されている新規な高活性の均一系触媒、またはH[A−α−(Cu(NO))(FeBr)PW1139−(4−X)、スルフィド酸化に特に反応性の均一系触媒であることが最近発見された材料を含む。これらの材料は今後、適宜、「Fe/PW11/Br/NO/C」、「Fe/PW11/Br/NO/AlO」、「Fe/PW11/Br/NO/TiO」、「Fe/PW11/Br/NO/Si/AlO」、または「Fe/PW11/Br/Cu/NO/C」、「Fe/PW11/Br/Cu/NO/AlO」、「Fe/PW11/Br/Cu/NO/TiO」および「Fe/PW11/Br/Cu/NO/Si/AlO」と呼ぶ。スルフィド酸化またはマスタード(HD)除染のための、得られた自己集合不均一系触媒は、使用後に容易に再利用することができる。
【0069】
種々の担体上にin situで製造されたPOMで構成される、これらの材料は、2−クロロエチルエチルスルフィド(CEES)、HDの最適な類似物およびHD自体の酸化的除染(選択的スルホキシド化)に最も有効な不均一系触媒であることが実証された。HDは、最も豊富な化学兵器剤(CWA)である。これらの触媒は、周囲条件下でHDを対応するスルホキシドに転化するために(等式2)、酸化剤として空気中のOのみを必要とする(熱、光、溶媒、添加剤または他の要件は活性に必要ない)。
(ClCHCHS(または「HD」)+1/2O→(ClCHCHSO(または「HDO」)(2)
【0070】
スルホキシドに対するその選択性は、有効に定量的である(100%;毒性のスルホン(ClCHCHSO(または「HDO」)への過剰な酸化は認められない)。マスタード、HDOのスルホキシドは、無機質化全体の生成物(CO、HO、およびS)を除いては、HDの(多くの酸化的および加水分解性の可能性のある分解生成物の)最も魅力的な除染標的である。最後に、これらすべての新規な不均一系触媒の安定性は高い。
【0071】
触媒は、3つの段階で製造される。例示的な自己集合合成、炭素表面上のH[A−α−(Cu(NO))FeBr)PW1139−(4−X)の合成が以下に示される。
【0072】
文献の方法(Massart,R.,Contant,R.,Fruchart,Jean−Marc,Ciabrini,Jean−Pierre and Fournier,M.Inorg.Chem.1977,16,2916−2921;Domalle,P.Inorganic Synth.1990,27,96−104)によって、α−Na34・7HOを製造した。
【0073】
工程1.
水(350mL)中のNaHPW34−HO(3.5g;0.0012モル)の溶液に、攪拌しながら一度に炭素ビーズを添加した(31.5g;受け取った状態のままでジェンテックス(Gentex)炭素ビーズを使用した)。混合物を周囲温度で一晩攪拌し、フィルター上で水で洗浄し、空気中で乾燥させる。反応で使用したPOMの量から、上清にTBABrを添加することによって沈殿したPOM(ミリモル)の量およびビーズを洗浄した後に回収した水の量を引くことによって、表面に結合したNaHPW34の量を決定する。得られる生成物(以降、「PW11/C」と呼ぶ)は、炭素1g当たりに結合したPOM0.099gまたは0.034ミリモルを含有する。
【0074】
工程2.
アセトニトリル10mLに懸濁されたPW11/C(1.0g;POM0.034ミリモル)に、アセトニトリル1.0mLに溶解されたFeBr(0.1g.0.28ミリモル)を添加する。溶媒すべてが蒸発するまで、混合物を空気中で攪拌する。得られた固体をフィルター上でアセトニトリルで洗浄し、空気乾燥させる。この生成物は今後、「FePW11/Br/C」と呼ぶ。
【0075】
工程3.
アセトニトリル10mLに懸濁されたFePW11/Br/C(1g;PW0.034ミリモル)に、固体Cu(NO・nHO(0.042g0.10ミリモル)を添加する。溶媒すべてが空気中で蒸発するまで、混合物を攪拌し、フィルター上でアセトニトリルで洗浄し、空気乾燥させる。得られた生成物は今後、「Fe/PW11/Br/Cu/NO/C」と呼ぶ。
【0076】
アルミニウム修飾陽イオンシリカ(Si/(AlO)、TiO、およびAl上への他のすべての触媒の製造に、類似の手順が使用される。
【0077】
通常のCEESスルホキシド化反応において、0.130gの「Fe/PW11/Br/NO/C」、「Fe/PW11/Br/NO/AlO」、「Fe/PW11/Br/NO/TiO」、「Fe/PW11/Br/NO/Si/AlO」、「Fe/PW11/Br/Cu/NO/C」、「Fe/PW11/Br/Cu/NO/AlO」、「Fe/PW11/Br/Cu/NO/TiO」または「Fe/PW11/Br/Cu/NO/Si/AlO」を秤量して20mLバイアルに入れ、CHCN2.3mLに懸濁し、次いで1,3−ジクロロベンゼン(GC内標準)0.095mLをバイアルに添加し、それを密閉した。1〜20分間攪拌した後、PTFEセプタムを備えたバイアルにシリンジを用いて、CEES0.105mLを添加した。実験中の空気の出入りは、キャップにおける針を通して提供された。反応を20〜24時間モニターした。ガスクロマトグラフィー(GC)によって、アリコートを15分毎に分析した。
【0078】
FID検出器および5%フェニルメチルシリコーンのキャピラリーカラムを備えたHP5890ガスクロマトグラフで、ガスクロマトグラフ分析を行った。5%フェニルメチルシリコーンのキャピラリーカラムおよび5971A質量選択検出器を備えたHP5890GCを使用して、質量存在度(Mass abundance)の測定を行った。触媒実験(および対照反応)の結果を表1にまとめる。
【0079】
【表1】


【0080】
「Fe/PW11Br/NOC」、「Fe/PW11/Br/NO/AlO」、「Fe/PW11/Br/NO/TiO」、「Fe/PW11/Br/NO/Si/AlO」、「Fe/PW11/Br/Cu/NO/C」、「Fe/PW11/Br/Cu/NO/AlO」、「Fe/PW11/Br/Cu/NO/TiO」、「Fe/PW11/Br/Cu/NO/SiAlO」等の触媒は、コーティング、塗装、布(戦闘服または「BDU」を含む)、化粧品(局所用皮膚保護薬または軍による開発における「TSP」を含む)およびフィルター構成要素に組み込まれることが適している。これらの触媒の一部および間違いなくそれらのCu(II)塩は、有機リン神経剤(例えば、GB(サリン)、GD(ソマン)、VX)およびマラチオンなどの殺虫剤も触媒作用で分解するはずであることは予想される。ほぼすべてのPOMベースの触媒が、拮抗的な(不活性化する)化学相互作用なく、神経剤の他の触媒的除染と組み合わせられ、したがって、有効な除染をする式を得るために、2種類の触媒を単に混合することが最も容易であることから、この活性は、タイトルの触媒でまだ評価されていない。
【0081】
さらに、空気およびタイトルの触媒の存在下にて、酸化的非活性化/除染にも適用可能である、毒性の工業化学物質(TIC)が多数ある。これらとしては、HS、他の硫黄化合物およびアルデヒドが挙げられる。H[A−α−(Fe(NO))(FeBr)PW1139−(3−X)およびH(A−α−(Cu(NO))(FeBr)PW1139−(4−X)と同様な構造的および電子的特徴を有する多くのPOMベースの触媒が、触媒酸化的活性を有する。
【0082】
したがって、これらの触媒は、軍関係だけでなく民間市場においても有用性を有し、かつ関連性を有するはずである。
【0083】
(実施例2)
この実施例では、最も活性なPOMベースの好気的除染触媒に関連するCu含有POMの単離を説明する。
【0084】
(最も活性なPOM含有好気的酸化触媒に関連する一部のCu含有POMの構造キャラクタリゼーション)
【0085】
(実験セクション)
(Rb[CuSiW28(OH)(1)の合成)
Cu(NOの試料0.25g(1.33ミリモル)を攪拌しながら脱イオン水20mLに溶解した。次いで、K[SiW1036]・12HOのγ異性体(1.0g,0.33ミリモル)を添加した。溶液を10分間攪拌し、中程度のフリットを使用して、残存する未溶解物質を除去した。0.5M RbCl水溶液2mLを濾液に一滴ずつ添加した。溶液を空気にさらして一晩静置しておいた。薄青色の沈殿物が現れ、濾過によって分離した。回収した沈殿物を脱イオン水10mLに再懸濁し、混合物を60℃で5時間攪拌した。得られた溶液を冷却した後に濾過した。空気にさらされた25mLビーカーに濾液を数週間入れ、回折性の薄緑色の結晶が得られた。
【0086】
([Cu(CuSi166942−(2)の合成)
4mLバイアルに、Cu(NO0.25g(1.33ミリモル)を含有するアセトニトリル溶液2.5mLを添加した。次いで、バイアルに蒸留水を補充した。γ−K[SiW1036]・12HOの試料0.5g(0.16ミリモル)を蒸留水8mLに溶解し、その溶液を15mLバイアルに移した。Cu(NOを含有する4mLバイアルを大きなバイアルに入れ、2つの溶液が互いにちょうど接触するまで、蒸留水を大きな方のバイアルにゆっくりと添加した。3日後に小さなバイアルの外側に緑色の針状結晶が現れ、1週間後に回折性の緑色板状結晶が小さなバイアルの上部に現れた。
【0087】
(結果)
Rb[CuSiW28(OH)(1)および[Cu(CuSi166942−のK塩(2)のX線構造を図1および2にそれぞれ示す。どちらの錯体も、ポリオキソメタレート(POM)化学において前例がないと考えられる構造を有する。構造1は、C対称および2種類のCu部位を有し;構造2は、C2h対称および注目すべき5種類のCu部位を有する。構造1における2種類のCu部位は、空いている配位座を有するが、立体的に込み合っているため、臭化物などの単一の原子の配位子のみがそこに結合することができる、ポケットに存在する。それと対照的に、構造2における5種類のCu部位のうち3つは、空いた、かつほとんど妨げのない配位座を有する。これらのX線構造の電流R値から、構造1および2の両方におけるCu中心すべてがCu(I)中心ではなくCu(II)中心であると考えられる。
【0088】
(POM含浸アンバーライト樹脂の製造)
アンバーライトポリマーベースの陰イオン交換樹脂に担持された場合のFe3+−Cu2+−POM触媒の活性が研究されている。この担持触媒を製造する初期の試みにおいて、NaPW34出発原料が陰イオン交換樹脂に対して高い親和性を有することが見出された。実際に、POMを担持する初期の試みの結果、担体への触媒前駆物質の非常に高いローディングが得られた(ローディング約30%(質量))。得られた触媒は活性を示さず、この活性の欠如は、触媒のローディングが高いと細孔が詰まるため、低い内部表面積を有する担体が原因であったと考えられる。この一連の実験において、アンバーライト担持触媒は、それより低い総ローディング率で製造されていた。触媒は、段階的プロセスによって組み立てられた。最初に、アンバーライトをNaPW34の水溶液で処理し、その結果、イオン交換プロセスが起こり、担体へのPOMのローディング率5〜8%(質量)が得られた。この生成物をFeBrのアセトニトリル溶液で処理し、続いてCu(NOのアセトニトリル溶液で処理した。次に、これらの低いローディング率で、CEES、HD類似物の好気的酸化に対する担持触媒の触媒活性を調べた。
【0089】
(担持触媒の製造:)
40mLバイアル中で、量1gのアンバーライト3つを水(全体積10mL)中の様々な濃度のNaPW34で処理した。対照実験も行い、アンバーライト1gを純水で処理した。その量を以下の表1に示す。混合物を5時間攪拌し、その後、余分な溶液をピペットで除去した。次いで、アンバーライトを水(3×)で洗浄し、アセトン(3×)で洗浄した。空気乾燥後、固体を真空内で5時間乾燥させた。生成物すべてが、その出発重量のかなりの割合を失った。これは、在庫の材料がわずかに湿っており、アセトン洗浄または乾燥プロセスのいずれかで重量が減るためである。担体へのPOMローディングは、対照実験で使用されたアンバーライトの質量減少%に対して、NaPW34塩で処理されたアンバーライト試料の質量減少%を比較することによって決定された。先の実験において、この方法により、その結果をTGA測定値と比較することによって、アンバーライトへのPOMローディングの正確な測定値が得られることが見出された。この段階で、アンバーライトビーズは淡黄色であった。NaPW34で処理することによって、著しい色の変化は起こらなかった。
【0090】
実施例2の表1は、アンバーライトにおける塩化物陰イオンでのNaPW34のイオン交換の結果を示す。担体へのPOMのローディング(質量%)は、担体の重量変化(%)を対照と比較することによって決定された。エントリー1および2は、対照(エントリー4)と比較して著しい質量の増加を示すのに対して、エントリー3は、対照に対してアンバーライトの質量の変化はごくわずかであることを示した。
【0091】
【表2】

【0092】
実施例2の表2。アセトニトリル中のアンバーライト担持POM触媒によるCEESの触媒好気的酸化の結果。
【0093】
【表3】

【0094】
次に、より高いローディング率の2つの担体(表1のエントリー1および2)をアセトニトリル(5mL)中のFeBr(100mg)の溶液で処理した。エントリー3におけるNaPW34のローディング率は非常に低いことから、もはや使用しなかった。その溶液は暗赤色であった。混合物を一晩攪拌した。午前に、溶液の色の大部分が色抜きされていた;その時点で溶液は黄色であり、アンバーライトビーズは暗赤色であった。上清を除去し、ビーズをアセトニトリル(5×)で洗浄し、真空内で乾燥させた。
【0095】
最後に、アセトニトリル(5mL)中のCu(NO(100mg)の溶液で2セットのビーズを処理した。上清は、混合物のそれぞれで最初青色であったが、一晩攪拌した後、溶液は薄緑色になった。ビーズは暗赤色のままだった。上清を除去し、ビーズをアセトニトリル(5×)で洗浄し、真空内で乾燥させた。
【0096】
(CEES触媒酸化)
アセトニトリル(7.7526g)中のCEES(284.1mg)およびドデカン(182.6mg)のストック溶液を調製した。4つの40mLバイアルそれぞれに、上記で製造した触媒ビーズ約200mgを添加した。2つのバイアルに、高ローディング率のビーズ(8.2%)を添加し、残り2つのバイアルに低ローディング率のビーズ(5.5%)を添加した。次に、CEES溶液(約0.3g)のアリコートを各バイアルに添加し、続けて撹拌子を入れた。バイアルを密閉し、次いで激しく攪拌した。触媒が存在することなく、40mLバイアル中でストック溶液にアリコートを攪拌することによって、対照反応もセットアップした(先の実験において、ストックアンバーライトビーズの存在下で対照が実施され、ビーズがCEES溶液に影響しないことが実証されている)。2時間および3日後にアリコートを除去し、反応をガスクロマトグラフィーで分析した。その結果を表2に示す。触媒反応は3日後にすべて完了した。2時間後、CEESOを触媒反応において観察できた。しかしながら、3日の期間後に、CEESOの濃度が低下したように思われた。これは、図3に示されるGCトレースで実証されている。
【0097】
興味深い観察結果は、反応の2時間後のターンオーバー頻度が両方の触媒に関して一致していることである(これは、4つの実験のうち3つで測定された)。高ローディング率の触媒と低ローティング率の触媒の両方が、2時間後に約13当量のCEESを転化した。ローディング率8%を有する触媒(エントリー1、表1)の製造が、より大きな規模(10×)で繰り返され、この材料はCEESの酸化に対して同様な触媒活性を有することが実証されている。
【0098】
CEESの触媒酸化が、溶解状態ではなく、所望のように不均一系で起こることを決定するためにも実験が行われた。最初に、アンバーライト担持触媒の2つの別々の試料をアセトニトリル中のCEESおよびドデカンのストック溶液で処理した。これらの溶液のそれぞれを15分間激しく攪拌し、それぞれのバイアルから上清の半分を新たな40mLバイアルに移した。4つの溶液すべてを一晩攪拌した。16時間後、攪拌を止め、4つのバイアルにおける酸化の進行をGCによって測定した。CEESすべてが、固体触媒にさらされたままの溶液において酸化されたが、固体触媒から除去された上清中ではCEESは全く酸化されないことが見出された。このことから、アンバーライト担持触媒の活性表面上でのみ触媒作用が起こり、溶解状態では起こらないことが実証されている。この結果は、ナトリウム塩から製造された触媒がアセトニトリルに不溶性であり;テトラアルキルアンモニウム塩がアセトニトリルに可溶性であり、前にアセトニトリル中で触媒活性を示している、先の観察結果と一致する。
【0099】
使用済み触媒を調べて、残留活性を有するかどうかを決定した。特に、表2のエントリー3からの触媒を回収し、アセトニトリル(5×)で洗浄し、次いで乾燥させた。この触媒を第2用量のCEES溶液で処理した。触媒は第1ラウンドにある時ほど活性ではなかった;しかしながら、この触媒はCEESをゆっくりと酸化した。攪拌して2週間後(表2と同じローディングレベルで)、CEESは完全に酸化された。先に見出されたように、この反応混合物の上清(1時間後に触媒から除去された)は全く触媒酸化を示さなかった。
【0100】
アンバーライト陰イオン交換樹脂は、これらのPOM触媒の適切な担体である。触媒のローディングを適度なレベルに、例えば<10重量%に制御することが重要である。ローディング率が高いと(例えば、30%)、おそらく細孔を塞ぎ、担体の内部表面積が低減することによって、触媒の活性が著しく低下すると思われる。これによって、溶解状態の触媒にアクセス可能な触媒の量が少なくなる。触媒の2種類の異なるバッチを低いローディング率で調製し、これらの触媒がアセトニトリル溶液中でCEESを酸化することが見出された。触媒の活性は第2の使用の間に低下するが、回収し、再利用した場合には活性のままである。触媒作用は、固体触媒上で起こり、溶解状態では起こらない。本発明者らが製造したアンバーライト担持触媒は、溶解状態でCEESを再現可能に酸化し、かつ表面上でCW剤を酸化するであろう触媒を製造する有望なアプローチである。このことから、これらの触媒は、本発明者らが研究の対象としてきた以前のPOMベース触媒よりも安定性が高いことが示唆されている。
【0101】
(実施例3)
(全体の方法および材料)
文献の方法(Domaille,P.J.In Inorganic Syntheses;Ginsberg,A.P.,Ed.;John Wiley and Sons:New York,1990;Vol.27,pp96−104)によって、A−α−NaPW34・24HOを調製し、その純度をFT−IRによって調べた。Cu(NO、FeBr、TBABr、アセトニトリル、1,3−ジクロロベンゼン、および2−クロロエチルエチルスルフィド(CEES)をアルドリッチ社(Aldrich)から入手し、さらに精製することなく使用した。サーモエレクトロン社(ThermoElectron Corporation)から市販のニコレット(Nicolet)(商標)6700FT−IR分光計で赤外スペクトルを記録した。ガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS;ヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)5971質量選択検出器に接続されたヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)5890シリーズIIガスクロマトグラフ)によって酸化生成物を同定し、ガスクロマトグラフィー(GC;炎イオン化検出器、5%フェニルメチルシリコーンのキャピラリーカラム、Nキャリアガス、およびヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)3390Aシリーズ積分器を備えたヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)5890シリーズガスクロマトグラフ)によって定量化した。
【0102】
(「Fe/Cu/PW11/Br/NO」の製造)
工程1.
TBA9−xNaPW34の製造で開始して、本発明の開示内容の実施形態の製造を行った。固体A−NaPW34・7HO(10g,約3.7ミリモル)を脱イオン水100mLに溶解する。この溶液に、脱イオン水160mLに溶解したTBABr(80g,約248ミリモル)を添加する。この混合物を室温で30分間攪拌する。得られた沈殿物TBA9−xNaPW34(約15.8g)を細かいフリット上で濾過することによって分離し、100mLの水2〜3回分で洗浄し、一晩真空乾燥させた。
【0103】
工程2.
固体Cu(NO(0.52g,2.8ミリモル)をアセトニトリル20mLに溶解し、それに、アセトニトリル20mLに溶解した固体TBA9−xNaPW34(4.0g,約1.4ミリモル)を激しく攪拌しながら添加した。緑がかった青色の溶液が形成される。溶媒がすべて蒸発するまで、その溶液をビーカーに数日間入れておく。得られたホワイトブルーの生成物(4.5g)を以降、「TBA/Cu/PW11/NO」と呼ぶ。
【0104】
工程3.
任意の量の「TBA/Cu/PW11/NO」を秤量し、乳鉢と乳棒を使用して、FeBrと混合する(1:1(重量%))。最終生成物は暗褐色であり、茶色の100mlバイアル中で保管する。この生成物を以降、「Fe/Cu/PW11/Br/NO」と呼ぶ。
【0105】
これらの製法によって、[PW11397−がin situで生成されることに留意されたい。すなわち、わずかに酸性の条件によって、超反応性の触媒の製造中にin situで[PW349−が[PW11397−へと転化される。TBA9−xNaPW34の代わりにTBA7−xNaPW1139で開始した場合、反応性触媒も形成される。
【0106】
(アセトニトリル溶液中のHD類似体2−クロロエチルエチルスルフィド(CEES)の触媒酸化)
通常のCEES酸化反応において、「Fe/Cu/PW11/Br/NO」0.01ミリモル(約32mg)を秤量して20mLバイアルに入れ、アセトニトリル2.3mLに懸濁した。1,3−ジクロロベンゼン(0.095mL)(GC内標準)をバイアルに添加し、密閉する。10〜20分間攪拌した後、PTFEセプタムを備えたバイアルにシリンジでCEES0.105mLを添加する。実験中の空気の出入りは、キャップにおける針を通して提供される。反応を20時間モニターする。GC分析によって、アリコートを20分毎に分析する。
【0107】
(実施例4)
この実施例では、混合比1:9〜9:1のTBAFeBr:TBACuPW1140の組成物が記述される。
【0108】
ターンオーバーは、生成物のモル数/触媒のモル数として定義される。この実施例において、生成物CEESOは、標的2−CEESの分解生成物である。
【0109】
【表4】

【0110】
(実施例5)
本発明の開示内容の実施形態に対する最初の列の異なる遷移金属(例えば、Me/POM/NO)の作用を研究した。得られたデータから、遷移金属なしの組成物は完全に不活性であり、遷移金属を添加することによって組成物が活性化されることが示される。これらの金属の中で、Cuは最良の活性化能力を有し、Cu含有触媒は最良の触媒活性を有する。
【0111】
(全体の方法および材料)
文献の方法(Domaille,P.J.In Inorganic Syntheses;Ginsberg,A.P.,Ed.;John Wiley and Sons:NewYork,1990;Vol.27,pp96−104)によって、A−α−NaPW34・24HOを製造し、その純度をFT−IRによって調べた。Cr(NO・9HO、Mn(NO、Co(NO、Ni(NO・6HO、Cu(NO、Zn(NO、FeBr、TBABr、アセトニトリル、1,3−ジクロロベンゼン、および2−クロロエチルエチルスルフィド(CEES)をアルドリッチ社(Aldrich)から入手し、さらに精製することなく使用した。サーモエレクトロン社(Thermo Electron Corporation)から市販のニコレット(Nicolet)(商標)6700FT−IR分光計で赤外スペクトルを記録した。ガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS;ヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)5971質量選択検出器に接続されたヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)5890シリーズIIガスクロマトグラフ)によって酸化生成物を同定し、ガスクロマトグラフィー(GC;炎イオン化検出器、5%フェニルメチルシリコーンのキャピラリーカラム、Nキャリアガス、およびヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)3390Aシリーズ積分器を備えたヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)5890シリーズガスクロマトグラフ)によって定量化した。
【0112】
(異なる金属置換触媒「M/Cu/PW11/Br/NO」(Mは、Cr、Mn、Co、Ni、CuおよびZnに等しい)の製造)
工程1.
TBA9−xNaPW34の製造で開始して、組成物の製造を行った。固体A−NaPW34・7HO(10g,約3.7ミリモル)を脱イオン水100mLに溶解する。この溶液に、脱イオン水160mLに溶解したTBABr(80g,約248ミリモル)を添加する。混合物を室温で30分間攪拌する。得られた沈殿物TBA9−xNaPW34(約15.8g)を細かいフリット上で濾過することによって分離し、100mLの水2〜3回分で洗浄し、一晩真空乾燥させた。
【0113】
工程2.
固体M(NO・yHO(1.4ミリモル)をアセトニトリル20mLに溶解し、それに、アセトニトリル20mLに溶解した固体TBA9−xNaPW34(4.0g,約1.4ミリモル)を激しく攪拌しながら添加する。溶媒がすべて蒸発するまで、その溶液をビーカーに数日間入れておく。得られた生成物(約4.5g)を以降、「TBA/M/PW11/NO」と呼ぶ。
【0114】
工程3.
任意の量の「TBA/M/PW11/NO」を秤量し、乳鉢と乳棒を使用して、FeBrと混合する(1:1(重量%))。最終生成物は暗褐色であり、茶色の100mlバイアル中で保管する。この熱い触媒を以降、「Fe/M/PW11/Br/NO」と呼ぶ。
【0115】
(アセトニトリル溶液中のHD類似体2−クロロエチルエチルスルフィド(CEES)の触媒酸化)
通常のCEES酸化反応において、「Fe/M/PW11/Br/NO」0.1gを秤量して20mLバイアルに入れ、アセトニトリル2.3mLに懸濁する。1,3−ジクロロベンゼン(0.095mL)(GC内標準)をバイアルに添加し、密閉する。10〜20分間攪拌した後、PTFEセプタムを備えたバイアルにシリンジでCEES0.105mLを添加する。実験中の空気の出入りは、キャップにおける針を通して提供される。反応を2時間モニターする。GC分析によって、アリコートを20分毎に分析する。
【0116】
(結果)
図4は、異なる遷移金属の存在下にて1時間後のCEES酸化の転化を示す表である。遷移金属が存在しない場合、触媒は完全に不活性であり、触媒活性はそれぞれの金属に応じて異なることは明らかである。Cuを含有する試料は最良の触媒性能を与え、転化率は1時間で約75%に達する。
【0117】
比、濃度、量、および他の数値データは、本明細書において範囲方式で表されることに留意されたい。かかる範囲方式は、便宜および簡潔さのために使用され、したがって、範囲の限度として明示される数値だけでなく、あたかも各数値および部分的範囲が明示されているかのようにその範囲内に包含される個々のすべての数値または部分的範囲も含むように柔軟に解釈されるべきであることを理解されたい。例証のために、「約0.1%〜約5%」の濃度範囲は、明示される濃度約0.1重量%〜約5重量%だけでなく、示される範囲内の個々の濃度(例えば、1%、2%、3%、および4%)および部分的範囲(例えば、0.5%、1.1%、2.2%、3.3%、および4.4%)も含むように解釈されるべきである。「約」という用語は、修飾される数値の±1%、±2%、±3%、±4%、±5%、±6%、±7%、±8%、±9%、または±10%またはそれ以上を含み得る。さらに、「約「x」〜「y」」というフレーズは、「約「x」〜約「y」」を含む。
【0118】
本発明の開示内容の上述の実施形態、特に「好ましい」実施形態は、あくまでも可能性のある実施の例であり、かつ開示内容の原理を明確に理解するために述べられているだけであることが強調されるべきである。開示内容の趣旨および原理から実質的に逸脱することなく、開示内容の上述の実施形態に多くの変更および修正を加えることができる。かかるすべての修正および変更は、この開示内容および本発明の開示内容の範囲内で本明細書に含まれ、かつ上記の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】図1は、原子(球と棒)表記(左)および多面体表記(右)でRb[CuSiW28(OH)のX線構造を示す。ポリアニオンは、C対称性を有し、すべてのCu中心は、BVS計算に基づいてCu(II)中心であると考えられる。Cu中心上の空いた配位座は、おそらく立体障害がありすぎるためにNO配位子が結合することができない空間に存在する。
【図2】図2は、原子(球と棒)表記(左)および多面体表記(右)で[Cu(CuSi166942−のK塩のX線構造を示す。ポリアニオンは、C2h対称性および注目に値する5つの異なる構造タイプのCu部位を有する。すべてのCu中心は、BVS計算に基づいてCu(II)中心であると考えられる。Cu部位のうちの少なくとも2つは明らかに、3つはおそらく、NO、CEES、および他の配位子に結合し得る。
【図3】図3は、反応の2時間後(上、図3A)および3日後(下、図3B)の試料1のガスクロマトグラフを示す。最初のピークは溶媒(アセトニトリル)であり、2番目のピークは未反応CEESであり、3番目のピークはドデカン(内標準)であり、4番目のピークは酸化生成物、CEESOである。反応から3日後、CEESO濃度は低下した;CEESOの一時的外観は、溶液実験でも観察された。
【図4】図4は、5mM金属−POMおよび34mM TBAFeBrの存在下での、1時間後のCEES酸化の転化を示すグラフである;25℃、O1気圧、CHCN2.5mL、[CEES]=360mM;純粋なTBAPW11395mMを金属POMの代わりに使用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Me/POM/NO
(式中、「Me」は、銅(Cu)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、および亜鉛(Zn)から独立して選択され;POMはポリオキソメタレートであり;「x」は1または2である)を有する化合物を含む、組成物。
【請求項2】
Me/POM/NOの構造が、[MePOM][NO]および[MePOMNO]から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
MeがCuである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記POMが、以下の群:[PW11397−、[PW349−、[SiW11398−、[SiW10368−、および[SiW3410−のうちの少なくとも1つを含むPOMから選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
NOが[NO]である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリオキソメタレートが、式A[VMoNbTa
(式中、Aは、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アンモニウムカチオン、第4級アンモニウムカチオン、d−ブロックカチオン、f−ブロックカチオン、およびその組み合わせから選択される、少なくとも1つの対イオンを含み;Mは、バナジウム、モリブデン、タングステン、ニオブ、またはタンタルを除く、少なくとも1つのd電子を有する、fブロック元素およびdブロック元素から選択される少なくとも1つの元素を含み;Xは、酸素を除く、pブロック元素、dブロック元素、およびfブロック元素から選択される少なくとも1つの元素を含み;kは、0〜30の範囲であることができ;mは、0〜160の範囲であることができ;nは、0〜160の範囲であることができ;oは、0〜30の範囲であることができ;pは、0〜10の範囲であることができ;qは、0〜30の範囲であることができ;rは、0〜30の範囲であることができ;sは、yがゼロより大きくなるような数であり;k、m、n、o、およびpの合計は4以上であり;k、m、およびqの合計はゼロを超える)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリオキソメタレートが、式[Xj+h+11−b−ci+u−[A]
(式中、Xは、少なくとも1つのpブロック元素、dブロック元素、またはfブロック元素であり;gは、2以上であり;Mは、少なくとも1つのd電子を有する、少なくとも1つのfブロック元素またはdブロック元素であり、ここで、Mはバナジウムではなく;hは1〜7であり;iは5〜6であり;jは4〜5であり;xは39または40であり;Zは、タングステン、モリブデン、ニオブ、またはその組み合わせであり;bは0〜6であり;cは0〜6であり;uは3〜9であり;Aは対イオンである)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリオキソメタレートが、式[Xj+11−bi+39u−[A]
(式中、Xは、リン、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、亜鉛、コバルト、および鉄のうちの少なくとも1つから選択され;bは1〜6であり;aは3〜9である)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリオキソメタレートが、式[Xg+h+11−ci+39u−[A]
(式中、Xは、リン、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、亜鉛、コバルト、および鉄のうちの少なくとも1つから選択され;cは1〜6であり;aは3〜9である)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリオキソメタレートが、式[Xr+s+t+17−u−vy+w−[A]
(式中、Xは、少なくとも1つのpブロック元素、dブロック元素、またはfブロック元素であり;rは1以上であり;Mは、少なくとも1つのd電子を有する、少なくとも1つのfブロック元素またはdブロック元素であり、ここで、Mはバナジウムではなく;tは1〜7であり;sは4〜5であり;Zは、タングステン、モリブデン、ニオブ、またはその組み合わせであり;aは0〜9であり;vは0〜9であり;yは5〜6であり;zは61または62であり;wは4以上であり;Aは対イオンである)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリオキソメタレートが、式[Xr+s+17−uy+61w−[A]
(式中、Xは、リン、硫黄、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、亜鉛、コバルト、または鉄のうちの少なくとも1つであり;aは1〜9であり;wは4以上である)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリオキソメタレートが、式[Xr+t+17−vy+61w−[A]
(式中、Xは、リン、硫黄、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、亜鉛、コバルト、または鉄のうちの少なくとも1つであり;vは1〜9であり;wは4以上である)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリオキソメタレートが、式[YV11−p39][A]
(式中、Yは、リン、ケイ素、またはアルミニウムであり;Zは、タングステンまたはモリブデンであり;pは1〜6であり;Aは対イオンである)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記ポリオキソメタレートが、式[Xj+h+12−b−ci+u−[A]
(式中、Xは、少なくとも1つのpブロック元素、dブロック元素、またはfブロック元素であり;gは2以上であり;Mは、少なくとも1つのd電子を有する、少なくとも1つのfブロック元素またはdブロック元素であり、ここで、Mはバナジウムではなく;hは1〜7であり;iは5〜6であり;jは4〜5であり;xは39または40であり;Zは、タングステン、モリブデン、ニオブ、またはその組み合わせであり;bは0〜6であり;cは0〜6であり;uは3〜9であり;Aは対イオンである)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記ポリオキソメタレートが、式[Xj+12−bi+40u−[A]
(式中、Xは、リン、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、亜鉛、コバルト、または鉄のうちの少なくとも1つであり;bは1〜6であり;aは3〜9である)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記ポリオキソメタレートが、式[Xg+h+12−ci+40u−[A]
(式中、Xは、リン、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、亜鉛、コバルト、または鉄のうちの少なくとも1つであり;cは1〜6であり;aは3〜9である)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記ポリオキソメタレートが、式[Xr+s+t+18−u−vy+w−[A]
(式中、Xは、少なくとも1つのpブロック元素、dブロック元素、またはfブロック元素であり;rは1以上であり;Mは、少なくとも1つのd電子を有する、少なくとも1つのfブロック元素またはdブロック元素であり、ここで、Mはバナジウムではなく;tは1〜7であり;sは4〜5であり;Zは、タングステン、モリブデン、ニオブ、またはその組み合わせであり;aは0〜9であり;vは0〜9であり;yは5〜6であり;zは61または62であり;wは4以上であり;Aは対イオンである)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記ポリオキソメタレートが、式[Xr+s+18−uy+62w−[A]
(式中、Xは、リン、硫黄、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、亜鉛、コバルト、または鉄のうちの少なくとも1つであり;aは1〜9であり;wは4以上である)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記ポリオキソメタレートが、式[Xr+t+18−vy+62w−[A]
(式中、Xは、リン、硫黄、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、亜鉛、コバルト、または鉄のうちの少なくとも1つであり;vは1〜9であり;wは4以上である)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記ポリオキソメタレートが、式[YV12−p40][A]
(式中、Yは、リン、ケイ素、またはアルミニウムであり;Zは、タングステンまたはモリブデンであり;pは1〜6であり;Aは対イオンである)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
EMe(Hal)をさらに含む組成物であって、「Me」が、銅(Cu)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、および亜鉛(Zn)から独立して選択され;「E」が、テトラエチルアンモニウム(TEA)またはテトラ−n−ブチルアンモニウム(TBA)、テトラヘキシルアンモニウム、テトラヘプチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラメチルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、テトラフェニルアルソニウム、およびその組み合わせから選択され;「Hal」がハロゲン基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
Me/POM/NOがCu/POM/NOであり、かつEMe(Hal)がEFe(Hal)である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記ハロゲンが臭素である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記Me/POM/NOとEMe(Hal)の比が、1:9〜9:1である、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
前記Me/POM/NOとEMe(Hal)の比が、1:9〜9:1である、請求項21に記載の組成物。
【請求項26】
前記POMが、以下の群:[PW11397−、[PW349−、[SiW11398−、[SiW10368−、および[SiW3410−のうちの少なくとも1つを含むPOMから選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物が、材料中に含まれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
前記組成物が、材料中に含まれる、請求項21に記載の組成物。
【請求項29】
前記材料が、布、局所的担体、粉末、フィルター材料、およびコーティングから選択される、請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
前記材料が、布、局所的担体、粉末、フィルター材料、およびコーティングから選択される、請求項28に記載の組成物。
【請求項31】
請求項1に記載の組成物を汚染物質と接触させることを含む、汚染物質を除去する方法。
【請求項32】
前記組成物が、材料中に含まれる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記材料が、布、局所的担体、粉末、フィルター材料、およびコーティングから選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
請求項21に記載の組成物を汚染物質と接触させることを含む、汚染物質を除去する方法。
【請求項35】
前記組成物が、材料中に含まれる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記材料が、布、局所的担体、粉末、およびコーティングから選択される、請求項35に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−531177(P2009−531177A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502956(P2009−502956)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/007590
【国際公開番号】WO2008/054484
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(598038968)エモリー・ユニバーシティ (19)
【Fターム(参考)】