説明

組換えヒトエリスロポイエチンを発現する宿主細胞

【課題】組換えヒトEPOを生産する組換え宿主細胞を提供する。
【解決手段】ヒトゲノムDNAから得られたヒトエリスロポイエチン(EPO)をコードする遺伝子をコードするベクターを含む宿主細胞。使用された遺伝子は、i第一の翻訳されたATGの5’およびiiEPO遺伝子の停止コドンの領域からの配列を含まない。この遺伝子は、ただ1つの発現制御エレメントとしてSV40ウィルスの初期プロモーターおよびそのポリアデニル化シグナルを有する真核生物細胞のための発現プラスミドにクローン化された。使用された遺伝的構築物を用いたトランスフェクションから生じた組換え細胞は、一日当たりの1リットルの培養培地当たり50mgの組換えEPOの予想外に高レベルなタンパク質を発現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に、宿主細胞、および組換えヒトエリスロポイエチン(EPO)コードするヌクレオチド配列を含むベクターに関連する。特に、発現ベクターは、EPOの発現を制御するプロモーターを1つのみ含む。本発明はまた、EPOを産生する方法およびそれにしたがって産生されたEPOに関連する。
【背景技術】
【0002】
(背景情報)
EPOは骨髄における赤芽球の分化を刺激する糖タンパク質であり、従って、循環赤血球の数を増加させる。ヒトにおける赤血球の平均寿命は120日であり、そのためヒトは毎日1/120の赤血球を失う。この損失は、適正なレベルの赤血球を維持するために、連続的に回復させなければならない。
【0003】
EPOの存在は、世紀の変わり目で初めて仮定され、それは50年代初期にReissmanおよびErslevによって明確に立証された。Carnotら、C.R.Acad.Sci.(France)143:384−386(1906);Carnotら、C.R.Acad.Sci.(France),143:432−435(1906);Carnotら、C.R.Soc.Biol.,111:344−346(1906);Carnot、C.R.Soc.Biol.,111:463−465(1906);Reissman、Blood 5:372−380(1950)およびErslev、Blood,8:349−357(1953)を参照のこと。ReissmanおよびErslevの実験は、他の研究者によって即座に確認された。Hodgsonら、Blood,9:299−309(1954);Gordonら、Proc.Soc.Exp.Biol.Med.,86:255−258(1954);およびBorsookら、Blood,9:734−742(1954)を参照のこと。
【0004】
生物におけるEPO産生部位の同定は議論の論点であった。連続的な実験によって、腎臓を主要な器官として、そして管周囲の間細胞を合成部位として同定した。Jacobsonら、Nature,179:633−634(1957);Kuratowskaら、Blood,18:527−534(1961);Fisher、Acta Hematol.,26:224−32(1961);Fisherら、Nature,205:611−612(1965);Frenkelら、Ann.N.Y.Acad.Sci.,149:292−293(1968);Busuttilら、Proc.Soc.Exp.Biol.Med.,137:327−330(1971);Busuttil、Acta Haematol.,(Switzerland),47:238−242(1972);Erslev、Blood,44:77−85(1974);Kazal、Ann.Clin.Lab.Sci.,5:98−109(1975);Sherwoodら、Endocrinology,99:504−510(1976);Fisher、Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.,28:101−122(1988);Jelkmannら、Exp.Hematol.,11:581−588(1983);Kurtzら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA),80:4008−4011(1983);Caroら、J.Lab.Clin.Med.,103:922−931(1984);Caroら,Exp.Hematol.,12:357(1984);Schusterら、Blood,70:316−318(1986);Bondurantら、Mol.Cell.Biol.,6:2731−2733(1986);Schusterら、Blood,71:524−527(1988);Kouryら、Blood,71:524−527(1988);Lacombeら、J.Clin.Invest.,81:620−623(1988);Kouryら、Blood,74:645−651(1989)を参照のこと。
【0005】
総EPOの10%〜15%の範囲のより小さな割合は、成体の肝臓で産生される。Naughtonら、J.Surg.Oncol.,12:227−242(1979);Liuら、J.Surg.Oncol.,15:121−132(1980);Dornfestら、Ann.Clin.Lab.Sci.,11:37−46(1981);Dinkelaarら、Exp.Hematol.,9:796−803(1981);Caroら、Am.J.Physiol.,244:5(1983);Dornfestら、J.Lab.Clin.Med.,102:274−285(1983);Naughtonら、Ann.Clin.Lab.Sci.,13:432−438(1983);Jacobsら、Nature,313:806−810(1985);Erslevら、Med.Oncol.Tumor.Pharmacother.,3:159−164(1986)を参照のこと。その産生されたEPOは、組織の低酸素およびEPO産生細胞数の増加によって起こるその発現の程度に正比例する。
【0006】
EPOは、貧血、特に腎不全に由来する貧血の処置において卓越した有効性を示した。Eschbachら、N.England J.of Med.,316:73−78(1987);Krane、Henry Ford Hosp.Med.J.,31:177−181(1983)を参照のこと。しかし、大量に産生する方法が利用できないために、その治療的な有用性は制限されてきた。公知の抽出システムによって得られるEPOの量および質は不充分であった。最近、組換えDNA技術の使用によって大量のタンパク質を得る事が可能となった。これらの技術の真核生物細胞への応用は、大規模なEPOの産生を可能にした。米国特許第5,688,679号(Powell)、同第5,547,933号(Lin)、同第5,756,349号(Lin)、同第4,703,008号(Lin)、および同第4,677,195(Hewickら)を参照のこと。
【0007】
現在では、組換えDNA技術は広く公知であり、そして使用されている。これらの技術は、DNAフラグメントおよび酵素のような遺伝的エレメントの、組換えタンパク質の産生のための遺伝構築物を集合および伝達するための使用を含む。また、組換えDNA技術は生物学的機構の研究を容易にする。Frank−Kamenetskii、「Unraveling DNA」[Samaia Glavnaia Molekula](Addison Wesley Longman Inc.,Reading,Massachusetts,1997);Brown、「Gene Cloning」(Chapman&Hall,London,England,1995);Watsonら、「RecombinantDNA」,第二版(Scientific American Books,New York,New York,1992);Albertsら、「Molecular Biology of the Cell」(Garland Publishing Inc.New York,New York,1990);Innisら編、「PCR Protocols.A Guide to Methods and Applications」(Academic Press Inc.,San Diego,California,1990);Ehrlich編、「PCR Technology.Principles and Applications for DNA Amplification」(Stockton Press,New York,New York,1989);Sambrookら、「Molecular Cloning.A Laboratory Manual」(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989);Bishopら、「Nucleic Acid and Protein Sequence.A Practical Approach」(IRL Press 1987);Reznikoff編、「Maximizing Gene Expression」(Butterworths Publishers,Stoneham,Massachusetts,1987);Davisら、「Basic Methods in Molecular B
iology」(Elsevier Science Publishing Co.,New York,New York,1986);Watson、「The Double Helix」(Penguin Books USA Inc.,New York,New York,1969)を参照のこと。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本願発明は、ヒトEPOをコードする遺伝子を含む発現ベクターを用いるそのトランスフェクションの手段により得られた、組換えヒトEPOを生産する真核生物細胞株を含む。このベクターは発現制御エレメントとして固有のプロモーターおよびターミネーターをさらに含む。配列番号(SEQ ID NO:)1は、使用された遺伝子によって体系化されたEPOアミノ酸配列を同定する。
【0009】
本発明は、配列番号1におけるアミノ酸配列、ウィルスプロモーターおよびウィルスターミネーター、からなるエリスロポイエチンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0010】
本発明は、EPOポリペプチドが発現かつ回収されるこのような条件下で、上記宿主細胞を培養する工程を包含する、EPOポリペプチドを産生するための方法をさらに提供する。
【0011】
本発明の利点の1つは、利用されたEPOをコードする遺伝子が5’および3’領域の非コードフラグメントを含まないことである。しかし、本願発明の系は、予想外に大量のEPOを産生する。
【0012】
本発明のさらなる利点は、高いEPO生産性を示すただ1つのプロモーターを含む発現ベクターの使用である。本願発明の方法を利用することにより、一日当たりの1リットルの細胞培養物当たり50mgより多くのEPOを得ることが可能であり、すなわち、従来報告された1つのプロモーターを利用する最良の方法よりも、本願発明のEPO産生レベルは5倍を超える。
【0013】
本発明において請求されたEPOをコードする遺伝子と、単純なプロモーターとの組み合わせは、驚くべきことに、効果的に動作し、安定なEPO産生細胞を生じることを示した。遺伝子構築物を操作することはより複雑かつ困難であるが、より適切な理論において使用することが報告されたそれらと匹敵して、またはそれよりもかなり高く、トランスフェクトされた細胞は、大量のEPOを生じた。
【0014】
本願発明のさらなる利点は、異なる耐性を与える2つのベクターを用いた同時トランスフェクションであり、このように、同時トランスフェクトされたEPO産生細胞の選択、遺伝的増幅および維持を単純化し、そして促進する。
【0015】
本発明のさらなる目的および利点は、以下の記載から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、以下に記載の方法の精製の後に得られたEPOサンプルの、ポリアクリルアミドゲル(SDS−PAGE)分析を図示する。レーン1、4、および7には、分子量マーカーがロードされた。レーン2、3、5および6には、本願発明の手順に従って得られた、異なる量の純粋なEPOが電気泳動された。得られた生成物の純度および30kDaを超える見かけの分子量は、はっきりと観測され得るように、尿中のヒトEPOについて報告されたものと同時に起こる。
【図2】図2は、記載された方法に従って得られたEPOサンプルのウエスタンブロット分析を図示する。産生されたEPOの同一性は、ヒトEPOに対するモノクロナール抗体によってそれが認識されたことによって評価された。レーン1および2には、それぞれ標準ヒトEPOおよび分子量マーカーがロードされた。本願発明の方法に従って得られたEPOサンプルは、レーン3〜5にロードされた。
【図3】図3は、記載された方法に従って得られた純粋なEPOサンプルおよび、さらにグリカナーゼ(glycanase)で処理した純粋なEPOサンプルのSDS−PAGE分析を示す。分子量マーカーがレーン1、4および8にロードされた。レーン2および7は未処理EPOに対応する。レーン3には、O−グリカナーゼ処理されたEPOがロードされ;O−グリコシル化部位の存在が検証された。レーン5には、部分的にN−グリカナーゼで消化されたEPOがロードされた。EPOと予想された分子量を有する3つのN−グリコシル化された分子の存在が検証され得る。レーン6には、Nーグリカナーゼで消化されたEPOがロードされ、そして全てが脱グリコシル化されたタンパク質と予想される分子量が観察された。
【図4】図4は、記載された方法に従って産生された純粋なEPOサンプルにおける等電点の調査を図示する。EPOサンプルはレーン2、3および4で、等電点マーカーはレーン1および5で電気泳動された。EPOに対応するイソ型の存在が検証され、3.0から4.5の範囲の等電点を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
組換えDNA技術の生物学的基礎は、以下のように要約され得る。
【0018】
DNA(デオキシリボ核酸)は、全ての生細胞およびいくつかのウィルスの遺伝物質である。4つの異なるヌクレオチドのポリマー鎖が、DNAを形成し、それらの各々はデオキシリボース(desoxyribose)に結合したプリン、またはピリミジンである。糖部分が、その後リン酸基に結合される。これら4つのヌクレオチドは、以下である:アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)およびチミン(T)。
【0019】
DNA鎖は、ヌクレオチド間のホスホトリエステル結合により形成され、ここで1つのヌクレオチドのデオキシリボースの5’位のリン酸塩は、前のヌクレオチドのデオキシリボースの3’位に結合される。インビボでの合成は、5’から3’に生じ、これはDNA配列を記載するために採用される従来の方向である。
【0020】
機能的DNAは、相補的な塩基の二重らせんとして存在し、ここで鎖は、一方の鎖のAおよびCと、相補鎖のTおよびGとの、それぞれの間で形成される水素結合により共に保持される。これが、それらが「塩基対」といわれる理由である。
【0021】
この鎖はまた逆平行でもあり、それは下記のように、各螺旋の5’末端が、他方の3’末端に一致する:
5’−TACGTAC−3’
3’−ATGCATC−5’
タンパク質合成が生じるために特定のDNAコード領域が、最初にメッセンジャーRNA(mRNA)に転写される。このmRNAは、その後、タンパク質に翻訳される。各DNAコード領域は、遺伝子と呼ばれる。
【0022】
RNA(リボ核酸)鎖の合成は、RNAポリメラーゼと呼ばれる酵素による特定の遺伝子領域の転写を含む。従って、DNAテンプレートに相補的な逆平行RNA鎖が得られる。DNAの各AはRNAのUに、各CはGに、各GはCに、および各TはAに対応する。RNA分子はまた、DNAより安定でないという理由で特徴づけられる。さらに、DNAにあるようなデオキシリボースに代わり、RNAの糖部分はリボースである。RNAはさらに、チミン(T)に代わるウラシル(U)の置換によってDNAと区別される。
【0023】
基質DNA 5’−−−ACGTAG−−−3’
合成されたRNA 3’−−−UGCAUG−−−5’
真核生物細胞において、合成されたmRNAは、核内でプロセシング(スプライシング)され成熟mRNAを生じる。細菌において、このプロセシングは確認されない。
【0024】
次いで、成熟mRNAは、タンパク質に翻訳されるために基質として利用され、このプロセスにおいて、トランスファーRNA(tRNA、アミノ酸を運び、そしてそれらを特異的に整列し、タンパク質を形成する短いRNA鎖)およびリボソームが主な関与物である。3つのmRNA塩基(トリプレットまたはコドン)は各アミノ酸をコードする。例えば、mRNAのAUG配列は、アミノ酸メチオニンをコードする。従って、mRNA鎖は、特定のペプチド配列に翻訳され、このペプチド配列は最終的に活性なタンパク質に折りたたまれる。タンパク質合成は、「発現」と呼ばれる。
【0025】
発現されたタンパク質の量は、因子の間でもとりわけ、プロモーターと呼ばれる特定のDNA領域の存在に依存し、プロモーターは発現プロセスが生じる割合に影響する。さらに、転写の終結を示すDNA配列(ターミネーター)、および翻訳の終止を示すコドン(停止コドン)が存在する。
【0026】
DNA技術は、天然または合成のいずれかのDNAフラグメントの単離、および細胞(すなわち、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞および哺乳動物細胞)にEPOのような異種タンパク質の生成を可能にさせるための、DNAフラグメントの細胞への挿入を含む。組換えDNA技術により得られるタンパク質は、組換えタンパク質と呼ばれる。
【0027】
組換えDNA技術の適用分野は、培養細胞に限定されない。なぜなら遺伝子は多細胞生物(すなわち植物、昆虫、哺乳動物および魚類)にもまた、取り込まれ得るからである。
【0028】
異種タンパク質の発現は、以下のエレメントを要求する:
・所望のタンパク質をコードする遺伝子。その遺伝子は以下のような異なる技術を使用して得られ得る;
・ゲノムDNAライブラリーからの単離。
・DNA鎖のインビトロ合成。比較的短いDNA鎖を合成する市販の装置は存在し、これはインビトロでの遺伝子合成を可能にする。
・増幅。遺伝子のようなDNAフラグメントを数倍に複製することを可能にする技術。
・その他、すなわち、mRNAから合成されるcDNAライブラリーより得られるようなもの。
・目的の細胞においてタンパク質を発現するための活性なプロモーター・転写が正確に終結されるような適切なターミネーター・ベクター。プロモーターおよびターミネーターを有する遺伝子を、染色体中または染色体外のいずれかにこの遺伝子を取り込む目的の細胞の内側領域へ、指向するプラスミドまたはウィルスのような遺伝子構造物。特定の場合において、この取り込まれた遺伝子は、細胞内に無限大に残存し得、そしてその子孫に伝達され得るか、または比較的短期間で消失され得る。プラスミドおよび天然ウィルスまたは改変されたウィルスのような多数のベクター系がある。細胞または核への微量注入のようなDNA導入の物理的手段を使用することもまた可能である。ウィルスおよびプラスミドは天然より得られ、そして所望する特性を達成するようにインビトロで遺伝子改変される。
・その他。さらに、他の遺伝エレメントが、遺伝子を受け取る細胞の選択を改善するために(すなわち、抗生物質に対する耐性を与える別の遺伝子)、または各細胞における遺伝子のコピー数を増幅(遺伝子増幅)するために必要であり得る。
【0029】
ベクターおよび遺伝子は、その系の発生のために必要な時間を減少するために可能な限り単純であるべきである。基礎的な考察では、遺伝子の単純性は、生成されるタンパク質産物の生産性または質を軽視すべきでない。
【0030】
目的のタンパク質の発現を達成するために、適切な対応する遺伝子が、適切なベクターによって宿主細胞中にトランスフェクトされる。トランスフェクトは、利用可能な他の技術の中でもエレクトロポレーション、リン酸カルシウムでの沈殿、およびリポソームの使用のような、異なる技術によってなされ得る。
【0031】
目的の遺伝子は、例えば、抗生物質(例えば、ジェネチシン(geneticin))に対する、または毒物(例えば、メトトレキサート(MTX))に対する耐性を付与することが既知の他の遺伝子に結合し得る。すなわち、この結合は、安定な様式によりトランスフェクトされた細胞の選択を可能にし、選択された細胞は、目的の遺伝子を子孫へ複製および伝達することが可能である。結合はまた、目的のタンパク質の最も高い発現レベルを示している組換え細胞を選択することを可能にする。
【0032】
このようにして得られた組換え産物は、他にも適用可能なアッセイはあるが、その分子量、アミノ酸配列および生物学的活性により同定される。
【0033】
組換えDNA工学を生み出した、この手段(すなわち、制限酵素)および技術は、70年代初期に最初に発達し、そして後に、強烈および広範に利用された。さらに詳細には、EPO産生のためにここで利用したこの遺伝子工学技術は以下を含む。
1.非コード領域のフラグメントを含むEPO遺伝子の使用は、最初の翻訳ATGの5’およびこの遺伝子の終止コドンの3’に位置している。この遺伝子の非コード領域中に位置している発現制御エレメントの存在は、EPOの高産生を達成するために必要であると従来考えられている。米国特許第5,688,679号(Powell)を参照のこと。
2.異種プロモーターを有する発現ベクターの使用は、プロモーターの組み合わせがより高いEPO産生を誘導するという仮定に基づいた。現在まで、ベクターに含まれる1つのみのプロモーターの使用は、低いレベルのタンパク質の発現を生じてきた。米国特許第4,703,008号(Lin)、米国特許第4,677,195号(Hewickら)、および米国特許第5,688,679号(Powell)を参照のこと。1つのみのプロモーターを使用するEPOの平均的な産生は、200μg/l/日である。1つのみのプロモーターを使用して報告されたEPOの最大の産生は、10mg/l/日である。
3.遺伝子系の潜在的な不安定性は、利用した遺伝子の構築物の複雑性に起因する。
【0034】
特許請求の範囲に記載されているEPO産生細胞を得るために、まずゲノムDNAをヒト白血球から抽出する。EPOコード遺伝子は、単離したゲノムDNAから得られる。これを達成するために、この遺伝子は、EPO遺伝子の5’および3’非コード領域の存在を妨げるために適切なプライマーを使用して増幅される。これらのプライマーは、さらにクローニングを容易にするために単離した遺伝子の両方の末端に残存する、プライマーの5’末端に制限部位を含む。
【0035】
次に、増幅した遺伝子は、細菌のベクターにクローン化し、そして配列決定される。一旦、得られた配列が確認されれば、この遺伝子をSV40初期プロモーターおよびそれのターミネーターのみを保持している真核生物細胞のための発現ベクターのXhoI−HindIII部位へクローン化した。このベクターは、ジェネチシンおよびアンピシリンに対する耐性を付与する。
【0036】
CHO細胞は、その後2つのベクターで同時トランスフェクトされる:1)このEPO発現ベクターおよび2)メトトレキサートに対する耐性を付与するベクター。安定にトランスフェクトされたEPO産生細胞は、ジェネチシンに対するそれらの耐性により選択される。EPO発現のレベルは、メトトレキサートの増加する濃度に耐性である増幅した細胞の選択によりモニターされる。
【0037】
最後に、クローンは、ラジオイムノアッセイにより測定したそれらの産生レベルにより選択される。最も産生力を有するクローンの培養上清を使用し、SDS−PAGE、ウエスタンブロット、グリカナーゼ処理後のSDS−PAGE、等電点電気泳動法および完全なタンパク質配列分析により産生したEPOの同一性を試験する。産生したEPOのインビボでの生物学的活性は、EPO基準のための国際基準を参照して、ex−hypoxic polycythemicマウスアッセイにより決定される。
【0038】
(ベクターおよび宿主細胞)
本発明は、ヌクレオチド配列コードEPOを含むベクター、組換えベクターで遺伝的に加工された宿主細胞、および組換え技術によるEPOポリペプチドまたはその一部分の産生に関する。
【0039】
組換え構築物は、周知の技術(例えば、感染、形質導入、トランスフェクション、伝播媒介、接合、エレクトロポレーションおよび形質転換)を使用して宿主細胞へ導入され得る。例えば、このベクターは、ファージベクター、プラスミドベクター、ウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターであり得る。
【0040】
ポリヌクレオチドは、宿主における増殖のための選択マーカーを含むベクターに連結され得る。一般に、プラスミドベクターは、沈降物(例えば、リン酸カルシウム沈降物)の状態、または荷電脂質との複合体の状態で導入される。このベクターがウイルスである場合、それは、インビトロで適当なパッケージング細胞株を使用してパッケージされ得、次いで宿主細胞へ形質導入され得る。
【0041】
目的のポリヌクレオチドにシス作用性制御領域を含むベクターが、好ましい。適当なトランス作用性因子は、宿主への導入の際に宿主によって供給され得るか、補足しているベクターにより供給され得るか、またはベクターそれ自体により供給され得る。
【0042】
この点に関して、特定の好ましい実施形態において、このベクターは特定の発現のために提供され、この発現は、誘導可能および/または細胞型特異的であり得る。特に、このようなベクターのうち好ましいのは、操作(例えば、温度および栄養添加剤)することが容易である、環境因子により誘導可能なベクターである。
【0043】
本発明において有用な発現ベクターとしては以下が挙げられる:染色体誘導ベクター、エピソーム誘導ベクター、およびウイルス誘導ベクター(例えば、細菌プラスミド、バクテリオファージ、酵母エピソーム、酵母染色体エレメント、ウイルス(例えば、バキュロウイルス、パポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、禽痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス、レトロウイルス)由来ベクター、およびそれらの組み合わせ由来ベクター(例えば、コスミドおよびファージミド))。
【0044】
このDNA挿入物は、適切なプロモーター(例えば、2〜3例を挙げれば、ファージλPLプロモーター、E.coli lac,trpおよびtacプロモーター、SV40初期および後期プロモーターならびにレトロウイルスLTRのプロモーター)へ作動可能に連結されるはずである。他の安定なプロモーターは、当業者に公知である。発現構築物はさらに、転写開始部位、終止部位および転写領域中に翻訳のためのリボソーム結合部位を含み得る。この構築物によって発現された成熟転写物のコード部分は、始めに翻訳開始コドン(AUGまたはGUG)および翻訳されるべきポリペプチドの末端に適切に位置付けられた終止コドンを含む。
【0045】
示されたとおり、この発現ベクターは好ましくは、少なくとも1つの選択可能マーカーを含む。より好ましくは、2つの発現ベクターは全部で2つのマーカーを含む。このようなマーカーは、メトトレキサート、ジヒドロ葉酸還元酵素またはネオマイシン耐性を含む。好ましいベクターは、メトトレキサートおよびネオマイシン誘導抗生物質(例えば、ジェネチシン)に対して耐性を付与する。
【0046】
特に好ましい宿主細胞は、CHO、COS、BHK、NamalwaおよびHeLaを含む哺乳動物細胞である。好ましい宿主細胞は、CHO細胞である。上記宿主細胞について適切な培養培地および条件は、当該分野で公知である。
【0047】
本発明の宿主細胞からEPOを得る好ましい方法は、インスリンを含む培地中で培養することである。詳細には、そのような培養は、本発明の宿主細胞から、EPOおよびインスリンを含む上清を分離し、その上清を濃縮し、そしてその濃縮した産物を凍結することを含む。好ましくは、培養培地は、培養培地1リットル当たり0.5mgと20mgとの間のインスリンを含む。
【0048】
とりわけ、好ましい真核生物細胞ベクターは、Stratagenから入手可能なpWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1およびpSG;ならびにPharmaciaから入手可能なpSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVLである。他の適切なベクターは、当業者に容易に明らかである。
【0049】
特に好ましいベクターは、pDHFRおよびpVex1である。pDHFRベクターは、マウスのジヒドロ葉酸レダクターゼ(dehydrofolate reductase)(DHFR)をコードするDNAを含み、そのDNAの発現は、SV40ウイルスの初期プロモーター、およびそのポリアデニル化シグナルによって制御される。pVex1−EPOベクターは、配列番号1のEPOポリペプチドをコードするDNA、ネオマイシン誘導体化抗生物質に対する耐性を付与する因子、SV40ウイルスの初期プロモーターおよびSV40ウイルスのポリアデニル化シグナルを含む。
【0050】
本発明における使用に適切な真核生物プロモーターとしては、CMV即時型初期プロモーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、初期SV40プロモーターおよび後期SV40プロモーター、レトロウイスルLTRのプロモーター(例えば、ラウス肉腫ウイルス(RSV)のプロモーター、およびメタロチオネインプロモーター(例えば、マウスメタロチオネインIプロモーター)を含む。特に好ましいプロモーターは、ウイルス性SV40初期プロモーターである。
【0051】
宿主細胞への構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染または他の方法によってもたらされ得る。そのような方法は、多くの標準的な実験室マニュアル(例えば、Davisら「Basic Methods in Molecular Biology」(1986))に記載されている。
【0052】
宿主細胞に本発明の構築物を導入するための特に好ましい方法は、リン酸カルシウムトランスフェクションによる方法である。
【0053】
高等真核生物による、本発明のポリペプチドをコードするDNAの転写は、ベクターにエンハンサーを挿入することにより増加し得る。エンハンサーは、通常、10から300bpの範囲の大きさのDNAのシス作用エレメントであり、これは、所定の宿主細胞型において、プロモーターの転写活性を増加するために作用する。エンハンサーの例としては、bp100〜270で複製開始点の後期側に位置するSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製開始点の後期側にあるポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーを含む。
【0054】
小胞体の内腔中、細胞膜周辺腔中、または細胞外環境中への翻訳されたタンパク質の分泌のために、適切な分泌シグナルが、発現されるポリペプチドの中に組込まれ得る。このシグナルは、ポリペプチドに対して内因性であり得るかまたは、このシグナルは異種シグナルであり得る。
【0055】
このポリペプチドは、改変された形態(例えば、融合タンパク質)で発現され得、そして分泌シグナルだけでなく、さらなる異種機能的領域もまた含み得る。従って、例えば、さらなるアミノ酸(特に荷電アミノ酸)の領域が、ポリペプチドのN末端に付加され、精製、または引き続く操作および保存のいずれかの間の、宿主細胞における安定性および持続性を改善し得る。ペプチド部分はまた、精製を容易にするためにポリペプチドに付加され得る。
【0056】
EPOタンパク質は、硫酸アンモニウム沈殿、またはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオン交換クロマトグラフィーまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水的相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィーを含む周知の方法によって、組換え細胞培養物から回収および精製され得る。
【0057】
本発明の細胞によって生成されるEPOを精製するための好ましい方法は、以下の工程の組合わせによってEPOを含む細胞培養上清を処理することを包含する:(a)示差的沈殿、(b)疎水的相互作用クロマトグラフィー、(c)ダイアフィルトレーション、(d)陰イオン交換クロマトグラフィー、(e)陽イオン交換クロマトグラフィーおよび(f)分子排除クロマトグラフィー。好ましくは、これらの工程は以下の順番で行われる:(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、および(f)。
【0058】
本発明の細胞により生成されるEPOを使用する好ましい方法は、疾患の処置のために、ヒトに注射するのに適切な形態への凍結乾燥を含む。詳細には、好ましい凍結乾燥手順は、以下を包含する:薬学的組成物中にEPOを置く工程、第1のEPO組成物を容器中にロードする工程であって、ここでこの容器は−30℃またはそれ未満の温度である、工程;大気圧下で4時間またはそれより長い時間、このEPO組成物を−30℃またはそれ未満の温度でインキュベートする工程;この組成物を、30絶対ミクロンかまたはそれ未満の圧力で、一時間かそれより長い時間インキュベートする工程;および、圧力値を5絶対ミクロンかそれ未満に保ちつつ、少なくとも25℃に達するまで、一時間当たり3℃かそれ未満の温度を上昇させる工程。
【0059】
凍結乾燥のために好ましい薬学的組成物は、EPO、糖、塩およびヒトアルブミンを含む。凍結乾燥のために特に好ましい組成物は、EPO、マンニトール、NaCl、NaH2PO4およびNa2HPO4・12H2Oを含む。
【0060】
(核酸分子)
本発明の宿主細胞は、Lin,「DNA Sequences Encoding Erythropoietins」、米国特許第4,703,008号(本明細書中に参考として援用される)からのEPO核酸分子、およびその改変体を含むベクターを含み得る。改変体は、天然の対立遺伝子改変体のように天然に存在し得る。「対立遺伝子改変体」は、生物の染色体上の所定の遺伝子座を占める遺伝子の、いくつかの改変形態の1つを意図する。Genes II、Lewin、編。天然に存在しない改変体は、当該分野で公知の変異誘発技術を用いて産生され得る。
【0061】
このような改変体は、ヌクレオチドの置換、欠失または付加によって産生されるものを含む。置換、欠失または付加は、1以上のヌクレオチドを含み得る。改変体は、コード化領域または非コード化領域あるいはその両方で変えられ得る。コード化領域内での変更は、保存的または非保存的なアミノ酸置換、アミノ酸欠失またはアミノ酸付加を産生し得る。これらの中で特に好ましいのは、サイレント(silent)置換、付加および欠失であり、これは、EPOタンパク質またはその一部の特性および活性を変えない。この点に関して特に好ましいのはまた、保存的置換である。最も非常に好ましいのは、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するEPOタンパク質をコードする核酸分子である。
【0062】
本発明のさらなる実施形態は、(a)配列番号1の完全アミノ酸配列を有するEPOポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、または(b)(a)中のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列に、少なくとも90%同一性、より好ましくは、少なくとも95%、97%、98%または99%同一性のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子を含む。
【0063】
もちろん、遺伝的なコードの縮重のために、当業者は、直ちに、EPOポリペプチドをコードする核酸配列に少なくとも90%、95%、97%、98%、または99%同一である配列を有する多くの核酸分子は、「EPOタンパク質活性を有する」ポリペプチドをコードすることを認識する。実際に、これらのヌクレオチド配列の全ての各々の改変体およびあらゆる縮重改変体が同一のポリペプチドをコードするので、これは当業者には明らかである。当該分野において、縮重改変体ではないこのような核酸分子について、妥当な数もまたEPO活性を有するポリペプチドをコードすることがさらに認識され得る。これは、当業者が、タンパク質機能にほとんど有意には影響しそうにないまたは全く有意には影響しそうにないアミノ酸置換(例えば、1つの脂肪性アミノ酸と第二の脂肪性アミノ酸との置換)に十分気づくからである。
【0064】
例えば、いかに表現型的にサイレントなアミノ酸置換を作製するかに関する指導が、Bowie,J.U.ら「Deciphering the Message in Protein Sequences:Tolerance to Amino Acid Substitutions」、Science 247:1306−1310(1990)に提供され、ここで、著者は、アミノ酸配列の寛容性を変化する研究に関する2つの主要なアプローチが存在することを示す。第一の方法は、変異が天然の選択によって受け入れられるか拒絶されるかのいずれかである進化のプロセスに依存する。第二のアプローチは、クローン化した遺伝子の特定の位置におけるアミノ酸変化を導入する遺伝子工学を用い、そして機能性を保存する配列を同定するために選択またはスクリーニングする。著者が述べるには、これらの研究は、タンパク質がアミノ酸置換に意外にも寛容性であることを明らかにした。著者はさらに、アミノ酸変化がタンパク質の特定の位置において許容性であるようであることを示す。例えば、ほとんどの埋没アミノ酸残基が非極性の側鎖を必要とするのに対して、表面側鎖のわずかな特徴が、一般的に補存される。他のこのような表現型的にサイレントな置換は、Bowie,J.U.、前出、およびその中に引用される参考文献に記載される。
【0065】
本願発明は、以下に示す実施例によってさらに説明される。
【実施例】
【0066】
(実施例1)
ヒトゲノムDNAの調製 10mlの血液を、臨床的に健康なヒト成人男性被験体から抽出し、そして10mM EDTA(pH8)を含む試験管に加えた。この血液を、5mlのアリコートで、0.3M サッカロース、10mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM MgCl2および1% Triton X 100を含む45mlの溶液を加えた2つの50ml 試験管へ移した。
【0067】
次いでこの溶液を、氷上で10分間インキュベートし、そして4℃で1,000 gで10分間遠心分離した。上清を捨て、そしてペレットを0.025M EDTA(pH8)を含む0.075M NaCl溶液で数回リンスし、続いて4℃で1,000 gで10分間遠心分離した。
【0068】
このようにして得られた結果の沈殿を、3mlの10mM Tris−HCl(pH8)、400mM NaCl、2mM EDTA(pH8)溶液中に再懸濁した。次いで、200μlの10% SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)および500μl Kプロテイナーゼ(1% SDSおよび2mM EDTA pH8中に1mg/ml)を加え、そしてこの溶液を37℃で一晩インキュベートした。各々の試験管への1mlのNaCl飽和溶液の添加後、ゲノムDNAを含む溶液を、2,500 gで15分間遠心分離した。
【0069】
各々の上清を、1容量のイソプロパノールを加えた15mlの試験管へ移した。この試験管を転倒混和によって静かに混合し、DNA沈殿が形成されるまで室温で保存した。次いでゲノムDNAをカギ端のパスツール(hook−end Pasteur)ガラスピペットを用いて回収した。
【0070】
DNAを2mlの試験管に置き、1mlの70%エタノールを加えた。1分後、上清を捨て、そして沈殿を乾燥した。乾燥後、沈殿を500μlのTE緩衝液(10mM Tris−HCl pH8−1mM EDTA)中に溶解した。
【0071】
DNA溶液の濃度を、溶液の1:1000希釈の260nmでの吸収度を測定することによって計算した。50μgのゲノムDNAが1ODユニットに等価であると仮定した。1μlのTE緩衝液あたり500μgのゲノムDNAを含む溶液を調製した。
【0072】
(実施例2 EPO構築物の調製)
EPO構築物を、実施例1において得られる500ngのヒトゲノムDNAから調製した。以下のものを、0.5mlの試験管に置かれた、実施例1に由来する1μlの溶液に添加した:400ngのEPO1プライマーおよびEPO2プライマーの各々、2.5mMの各々のデオキシヌクレオチド(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)水溶液、ならびに、製造業者によって推奨される緩衝液を用いた100lの最終容量における、2.5ユニットのTaq DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer)。熱サイクラーを用いて、そして、30サイクル:93℃で1分間、55℃で1分間、および72℃で3分間にプログラムした。この反応から、EPO遺伝子を含む約2,170塩基対のDNAフラグメントを得た。
【0073】
利用されたプライマーのヌクレオチド配列は、以下の通りであった: EPO1:5’GAATTCTCGAGATGGGGGTGCACGGTGAG3’(配列番号2)。このプライマーは、最初の塩基に対応し、そしてこの塩基は、XhoI酵素の認識部位、および5’末端のEcoRI酵素の別の認識部位とともに、EPO遺伝子から翻訳された。これらの部位を、引き続くクローニング工程に用いた。
【0074】
EPO2:5’AAGCTTTCATCTGTCCCCTGTCCTGCA3’(配列番号3)。このプライマーは、EPO遺伝子の最後に翻訳された塩基、および停止コドンに対して相補的である。HindIII酵素の認識部位を、プライマーの3’末端に付加した。この部位を、引き続くクローニング工程に用いた。
【0075】
得られたヌクレオチド配列は、以下の通りであった(配列番号4):
【0076】
【化1】


最初に翻訳されたatgコドン、ならびにtga「停止」コドンに下線を引く。クローニングに利用した制限部位の配列を、太字のイタリックで示す。1つを超えるコドンが、同一のアミノ酸をコードし得、そして結果として、EPOタンパク質は、異なるmRNA鋳型(異なるヌクレオチド配列を有するが、それにもかかわらず、EPOをコードする)から翻訳され得たことに注意しなければならない。
【0077】
(実施例3 EPO遺伝子のクローニングおよび配列決定)
EPOをコードするDNAを含む、約2,170塩基対のフラグメントを精製した。DNA末端を、標準的な分子生物学技術に従って、DNAポリメラーゼクレノウフラグメントを用いた処理によって平滑末端化し、そしてM13mp18ベクターのSmaI部位にクローニングした。得られた組み換えプラスミドを、XhoI酵素およびHindIII酵素を用いて切断した。挿入物の存在を、臭化エチジウムを用いて染色した0.8%アガロースゲル中の制限フラグメントの電気泳動により、確認した。陽性のクローン(2つのバンド、一方は約2,200塩基対を有し、そしてもう一方は、線状化されたベクターに対応する)を、選択した。挿入されたEPO遺伝子を、T7配列決定キット(Pharmacia)を用いて、Sangerの技術に従って、配列決定した。EPO遺伝子のいくつかの領域を、自動370A Applied Biosystems International配列決定装置を用いて、さらに配列決定した。各々の配列決定システムについては、製造業者に推奨されるプロトコルに従った。
【0078】
(実施例4 真核生物細胞に対するベクター)
(1. pVex1ベクターの構築)
pVex1ベクターを、以下の標準的な分子生物学技術により形成した。これは、以下から構成される: a. E.coliにおけるベクターの増幅および選択のために、細菌の複製起点を有し、そして、アンピシリンに対する耐性を与える、細菌性pBR322ベクターのフラグメント。
【0079】
b.a)からすぐ下流に、SV40ウイルスの初期プロモーターが続き、これは、このエレメントから3’にクローニングされた遺伝子の発現を可能にした。
【0080】
c.b)からすぐ下流に、XhoIクローニング部位およびHindIIIクローニング部位が続き、これは、発現されるべき遺伝子の挿入を可能にした。
【0081】
d.c)からすぐ下流に、SV40ウイルスのポリアデニル化シグナルが続き、これは、c)においてクローニングされた遺伝子の特異的な転写物の適切なポリアデニル化を可能にした。
【0082】
e.d)からすぐ下流に、TKプロモーター、およびそのポリアデニル化シグナルを有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼをコードする遺伝子が続く。これらのエレメントは、ネオマイシンおよびネオマイシンから誘導された抗生物質(例えば、ジェネティシン)の使用を通して、安定にトランスフェクトされた細胞の選択を可能にした。e)の3’末端を、a)の5’末端に連結する。
【0083】
pVex1ベクターを、1999年4月16日、DSMZ−Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Mascheroder Weg1b,D−38124 Braunschweig,Germanyに寄託し、そして登録番号DSM12776が与えられた。
【0084】
(2. pDHFRベクター)
pDHFRベクターは、細菌における選択のために、アンピシリンに対する耐性を与える。このベクターは、マウスジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)をコードするcDNAを包含し、このDHFRの発現レベルは、SV40ウイルス初期プロモーターおよびそのポリアデニル化シグナルによって制御される。pVex1−EPO(実施例5を参照のこと)ベクターを用いて獲得されたEPO発現レベルは、増加した濃度のメトトレキセート(MTX)を含む培養培地中での、DHFRおよびEPO遺伝子の増幅によって、数倍に増強される。
【0085】
このpDHFRベクターを、1999年4月16日、DSMZ−Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Mascheroder Weg1b,D−38124 Braunschweig,Germanyに寄託し、そして登録番号DSM12777が与えられた。
【0086】
(実施例5 発現ベクターへのEPOコード遺伝子のクローン化)
実施例3に記載の通りにクローン化されたEPOコード遺伝子を含むM13mp18クローンを、Xho I−Hind III酵素で切断した。このようにして得られた、約2.2Kbのフラグメントを単離し、そしてpVex Iベクターの同じ制限部位を使用して、再びクローン化した。ポジティブなpVex−EPOクローンを単離し、そして分析して、このEPOコード配列配列番号4はクローン化する手順の間変化しないことが示された。
【0087】
上記実施例を、従来の分子生物学の技術により、実行した。Brown、「Gene Cloning」、(Chapman & Hall,London,England,1995);Watsonら、「Recombinant DNA,第2版」、(Scientific American Books,New York,New York,1992);Sambrookら、「Molecular Cloning.A Laboratory Manual」、(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989);Bishopら、「Nucleic Acid and Protein Sequence.A Practical Approach」、(IRL Press,1987);Davisら、「Basic Methods in Molecular Biology」、(Elsevier Science Publishing Co.,New York,New York,1986)を参照のこと。
【0088】
(実施例6 同時トランスフェクションおよび増幅)
DHFR酵素遺伝子が欠損した(CHO−DHFR-)、変異誘発したCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞株を、MTXを用いた遺伝子の増幅を促進するために使用した。全プロセスの間、細胞を、37℃、5%のCO2雰囲気中で、増殖させた。
【0089】
このCHO細胞をリン酸カルシウム技術に従って、直径90mmのペトリ皿を用いて、同時トランスフェクトした。これは以下の通りであった: (1)培養培地(10%のウシ胎仔血清を伴う、α−MEM)をトランスフェクションの4〜8時間前に新しい培地と置換した。
【0090】
(2)10g/lのHEPES(pH7.1)溶液の500μL、16g/lのNaClの500μL、35mMのNa2HPO4の10μlおよび35mMのNaH2PO4溶液の10μlを5mlの試験管へ加えた。
【0091】
(3)別の1.5ml試験管の中へ、60μlの2MのCaCl2および10μgの各々のトランスフェクトされるDNAベクター(pVex−EPOおよびpDHFR)を有する溶液を加えた。500μlの最終の容量に到達するまで、水を加えた。実施例2に記載のpDHFRプラスミドは、アンピシリン耐性である、pBR322プラスミドに基づく。pDHFRプラスミドは、E.Coli中で複製され得、そしてSV40の初期プロモーターとそのターミネーターとの間でクローン化されたDHFR遺伝子を有する。pDHFRプラスミドは、CHO細胞におけるDHFRタンパク質の発現を、コードする。このタンパク質は、メトトレキセートに対する抵抗性を与え、それゆえ、高いエリスロポイエチン生産性を示す細胞を選択するように使用され得る。
【0092】
(4)DNAおよびCaCl2を含むこの溶液を、HEPESを含む試験管へ気泡を泡立てながら一滴ずつ加えて迅速な混合を得、そして局部濃度を最小にした。この方法は、この細胞によってより効果的に組み込まれる、DNAおよびリン酸カルシウムを含む非常に小さな粒子の形成を促進した。
【0093】
(5)この溶液を30分間静置し、そして次いでこの細胞を含むペトリ皿へ加えた。
【0094】
(6)この溶液を穏やかに振ることにより、細胞間で分配した。この細胞を、37℃、5%CO2雰囲気下、インキュベーター中で一晩放置した。
【0095】
(7)細胞をPBS緩衝液(8gのNaCl;0.2gのKCl;1.44gのNa2HPO4、0.24gのNaH2PO4、1リットルになるように水を加え、そしてpHをHClで7.4へ調整した)で2回リンスした。新しい培養培地を次いで加えた。
【0096】
600g/mlの濃度でジェネティシン(geneticin)(G418)を用いた選択を、トランスフェクションの後、24時間で始めた。pVex−EPOプラスミドを組み込んだ細胞は、この抗生物質に抵抗し得、一方で、他の全ては、25日後に死亡した。抵抗性コロニーを選択し、そしてそれらの生産性をアッセイした。最も生産的な3つのクローンを、単離されたクローンから選択した。
【0097】
本発明において使用された遺伝子の構成を利用して、10-8M、10-7M、10-6Mおよび10-5Mの濃度で、第2の選択試薬としてMTXを使用して、選択を3つのクローンの各々に対して実行した。その目的のために、培養培地をヌクレオチドを伴わない、10%の透析したウシ胎仔血清を補充したα−MEMに交換した。以下のプロトコルに従って透析プロセスを実行することが必須である:100mlの血清を3,000Daカットオフ(より高いカットオフを用いると、増殖因子が失われ得、そしてこの細胞が増殖および繁殖し得ない)を有する透析バッグ中に入れ、このバッグを密閉して閉じ、5リットルの2回蒸留した水を有する容器中に完全に浸し、そして4℃で、12時間撹拌しないで放置した。この工程の後、この水を捨て、そして交換し、このバッグを4℃でさらに12時間放置した。次いでこの透析バッグを取り出し、そしてこの血清を回収した。より短い期間の、より少ない容量を用いるまたは水の交換を伴わない透析は効果的でない。なぜなら、この血清中の任意のわずかなヌクレオチドが、MTX選択に悪影響を与えるからである。他方では、より長い期間の透析もまた効果的でない。なぜなら、細胞の増殖に必要ないくつかのタンパク質が沈降して、細胞の成熟を妨げ得るからである。
【0098】
(実施例7 高生産性クローンの単離)
10-7および10-6MのMTXにおいて増殖したクローンを単離し、そしてヌクレオチドを伴わない、10%の透析したウシ胎仔血清を補充した新しいα−MEM中で増殖させた。一旦増殖したら、培養の上清みを、EPOの生成および分泌についてアッセイした。その目的のために、特異的イノムアッセイを使用した。
【0099】
上記のプロセスは、1日につき50,000μgのエリスロポイエチン/培養培地のリットルを生成する、組換え宿主細胞のクローンの選択で、終了した。
【0100】
本実施例で記載された組換え宿主細胞は、1999年4月16日にDSMZ−Deutsche Sammlung von Mikroorganismenund Zellkulturen GmbH,Mascheroder Weg 1b,D−38124 Braunschweig,Germanyに寄託され、受託番号DSM ACC2397が与えられた。
【0101】
この細胞における転写プロセスの有効性を、実施例8に記載される通りに確認した。得られたタンパク質の配列を、実施例9に記載の手順に従って同定した。
【0102】
(実施例8 組換え細胞によって産出された特異的メッセンジャーRNA配列の検証)
(1.細胞からのRNAの調製)
全RNAを、以下のプロトコルに従って、EPO産出細胞から調製した: コンフルエントの細胞を含む直径90mmのペトリ皿を、10mlのPBS緩衝液で2回洗浄した。次いで、2mlのGTC緩衝液を添加し、そしてこの皿一面に均等に分布させた。このGTC緩衝液は:50gのグアニジニウムチオシアネート;0.5gのN−ラウロイルサルコシン、2.5mlの1Mクエン酸ナトリウム(pH7)、0.7mlのβ−メルカプトエタノール、0.33mlの30%消泡材(SIGMA)および100mlにするに足る水(pH7.0)、から構成される。
【0103】
次いで細胞を溶解した。この溶解物は高粘性の溶液を生じた。この溶液を、15mlの試験管に移し、そして上記の工程を2mlのGTC緩衝液を使用してもう1度繰り返した。
【0104】
この15mlの試験管を、DNAを切断するために1分間激しく攪拌した。次いで塩化セシウム勾配を行った。この目的のために、4mlの、CsClを含む溶液(95.97gのCsClおよび2.5mlの1M酢酸ナトリウム、(pH5.4)、そして体積が100mlに達するまで水を加えた)を超遠心分離試験管に加えた。次いでこの溶液の上に、混合することなく、細胞のGTC懸濁液を加えた。この試験管を次に、GTC緩衝液で満たし、そして20℃で20時間、31,000rpmで超遠心分離した。
【0105】
超遠心分離の間、RNAは試験管の底に沈殿してペレットを形成し、そして得られたDNAは塩化セシウム勾配の中央にバンドを示した。上清を、DNAを完全に除去するために廃棄した。RNA含有ペレットを5分間乾燥させ、次いで200μlの水に溶解し、そして1.5mlの試験管に移した。次いで200μlの0.4M酢酸ナトリウム、(pH4.8)および2倍の体積のエタノールを加え、この生じた溶液を完全に混合し、そして−80℃で30分間静置した。次いでこの溶液を14,000rpmにて15分間微小遠心分離機で遠心分離し、上清を廃棄し、そして沈殿を1mlの80%エタノールですすいだ。このペレットを乾燥し、100μlの水に再溶解した。このRNA溶液の1:100希釈溶液の濃度を、260nmで測定した(1OD単位が約40μgのRNAに相当する)。使用された全ての溶液および要素にはRNaseが無かった。
【0106】
(2.cDNAの調製)
特異的cDNAを、その目的のために意図されたキットの指示に従って調製した(cDNA Synthesis System Plus,Amersham−cat.RPN1256)。EPO 2が使用したプライマーであった。
【0107】
(3.EPOをコードするcDNAのクローニング)
このように得られたcDNAの5%を、EPO 2およびEPO 3オリゴヌクレオチドをそれぞれ400ng、適切な緩衝溶液中のデオキシヌクレオチドをそれぞれ2.5mM、および2.5単位のTaq DNAポリメラーゼを、全体積100μlで使用して、増幅した。35回の増幅サイクルを、以下のように行った:93℃で1分間、55℃で1分間そして72℃で1分間。
【0108】
EPO 3を,EPO 1およびEPO 2について記載したように合成し、そしてその配列
【0109】
【化2】


は、EPO cDNAをコードする最初の20塩基に相当し、Eco RI酵素の認識のための1つの部位である。Eco RI酵素認識部位を、次のクローニング工程を容易にするために付加した。
【0110】
約600塩基対のフラグメントが得られ、そしてM13mpI8およびM13mpI9ベクター中にクローニングした。Sangerの配列決定方法を使用して、完全な配列を得るために両方向で、インサートを配列決定した。
【0111】
この遺伝子のいくつかの領域の高い自己相補性(これは、放射能写真において多くの非常に不明瞭な圧縮を生じる)のために、Taq DNAポリメラーゼを使用する配列決定キットおよび修飾塩基を使用した。低い品質結果が得られたが、圧縮は分離された。使用したキットは、Pharmacia−LKB BiotechnologyのGene aTaqであった。
【0112】
ヒトエリスロポイエチンcDNAの完全配列を単離し、そしてクローニングし、EPOのコードを示した。結果として、細胞においてクローニングされた遺伝子およびその転写産物は、完全であり、その配列はEPOについて正確であることを見出した。
【0113】
(実施例9 EPO産物の分析)
前記の実施例に例示されるように、宿主細胞を培養することによって得られたEPOを、種々の品質および同定アッセイを行うためにさらに精製した。
【0114】
変性SDS−PAGEゲルにおいて、EPOについて予想されたように、このEPOは、30kDaを越える分子量の広いバンドとして同定された。図1を参照のこと。このバンドは、EPOについて予想されたように、「ウェスタンブロット」アッセイにおいて、ヒトEPOに対するモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体によって認識された。図2を参照のこと。グリカナーゼによる処理は、EPOについて予想されたように、範囲およびサイズにおいてグリコシド鎖の存在を証明した。図3を参照のこと。産生されたEPOは、EPOについて予想されたように、3.0から4.5の等電点の範囲の種のシリーズから構成されることが示された。図4を参照のこと。
【0115】
トランスフェクトされた細胞株の培養上清から精製された、単離されたタンパク質の完全なアミノ酸配列は、天然ヒトエリスロポイエチンと全くの相同性を示した。天然ヒトエリスロポイエチンの165のアミノ酸配列は、以下の通り(配列番号1)である:
【0116】
【化3】


この165のアミノ酸鎖に沿った4つのグリコシル化部位、および複雑な炭化水素構造、ならびに特に、EPOに特徴的なシアリン酸末端残基の存在が、証明された。これらの結果は、産生されたタンパク質の生物学的活性アッセイ、国際EPO標準と完全な一致を示した低酸素性多血症マウス試験によって、さらに支持された。
【0117】
特異的な免疫学的アッセイによって測定された、達成された生産性は、1日あたり培養培地1lにつき50mgEPOであった。
【0118】
本明細書中上記の全ての刊行物は、本明細書によりその全体が参考として援用される。
【0119】
前述の発明は、明瞭さおよび理解の目的のために、いくらか詳細に記載されたが、本発明および添付の特許請求の範囲の真の範囲から逸脱することなく、形式および詳細における多様な変化がなされ得るということが、本開示を読むことにより当業者に理解される。
【0120】
【表1】

【0121】
【表2】

【0122】
【表3】


寄託:MC2 20 22/12/98 登録番号:DSM ACC2397 1頁 (オーストラリア)
出願人はここにおいて、微生物のサンプルの供与は、特許の付与前において、あるいは出願の放棄(lapsing)、拒絶あるいは取り下げ前において、発明に対し利害関係を有さない当業者である対象者(skilled addressee)に対してのみ行われる旨を、告知するものである(オーストラリア国特許法第3.25(3)号規定)。
【0123】
(カナダ)
出願人は、出願に基づきカナダ国特許が発行されるか、あるいは同出願が拒絶または放棄されて回復され得なくなるかもしくは取り下げられるまでは、特許庁長官(Commissioner of Patents)により指名された独立の専門家に対してのみ出願中で言及された寄託済みの生物学的材料のサンプルの供与を許可する旨を請求する。
【0124】
(デンマーク)
出願人はここにおいて、出願が(デンマーク特許庁により)公開に付されるかあるいは公開を経ずにデンマーク特許庁による決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は、デンマーク特許法第22条および第33条(3)に基づき出願が公に利用可能にされる時点以前に、出願人によりデンマーク特許庁に対してなされるものとする。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家は、デンマーク特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0125】
(フィンランド)
出願人はここにおいて、出願が(特許および登録委員会(National Board of Patents and Registrations)により)公開に付されるかあるいは公開を経ずに特許および登録委員会による決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は、優先日から16ヶ月が経過するよりも前に、出願人により国際事務局に対してなされるものとする(好ましくはPCT Applicant’s GuideのVolume Iのannex Zに複製された書式PCT/RO/134による)。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家は、特許および登録委員会により作成された公認専門家のリスト(list of recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0126】
(アイスランド)
出願人はここにおいて、出願が(アイスランド特許庁(the Icelandic Patent Office)により)公開に付されるかあるいは公開を経ずにアイスランド特許庁により最終的に決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。
【0127】
寄託:MC2 20 22/12/98 登録番号:DSM ACC2397 2頁 (オランダ)
出願人はここにおいて、オランダ特許の発行日まで、あるいは出願が拒絶、取り下げあるいは放棄(lapsed)される日までは、特許法31F(1)の規定に基づき、微生物は専門家へのサンプル供与の形でのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は、オランダ王国特許法の第22C条または第25条に基づき出願が公に利用可能にされる日のうちいずれか早い方の日付よりも前に、出願人によりオランダ工業所有権局に対して提出されるものとする。
【0128】
(ノルウェー)
出願人はここにおいて、出願が(ノルウェー特許庁により)公開に付されるかあるいは公開を経ずにノルウェー特許庁による決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は、ノルウェー特許法第22条および第33条(3)に基づき出願が公に利用可能にされる時点以前に、出願人によりノルウェー特許庁に対してなされるものとする。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家は、ノルウェー特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0129】
(シンガポール)
出願人はここにおいて、微生物のサンプルの供給は専門家に対してのみ利用可能にされる旨を、請求する。この旨の請求は、出願の国際公表のための技術上の準備が完了する前に、出願人により国際事務局に対してなされなければならない。
【0130】
(スウェーデン)
出願人はここにおいて、出願が(スウェーデン特許庁により)公開に付されるかあるいは公開を経ずにスウェーデン特許庁により最終的に決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は、優先日から16ヶ月が経過するよりも前に、出願人により国際事務局に対してなされるものとする(好ましくはPCT Applicant’s GuideのVolume Iのannex Zに複製された書式PCT/RO/134による)。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家は、スウェーデン特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0131】
(英国)
出願人はここにおいて、微生物のサンプルの供給は専門家に対してのみ利用可能にされる旨を、請求する。この旨の請求は、出願の国際公表のための技術上の準備が完了する前に、出願人により国際事務局に対してなされなければならない。
【0132】
寄託:pDHFR 登録番号:DSM 12777 1頁 (オーストラリア)
出願人はここにおいて、微生物のサンプルの供与は、特許の付与前において、あるいは出願の放棄(lapsing)、拒絶あるいは取り下げ前において、発明に対し利害関係を有さない当業者である対象者(skilled addressee)に対してのみ行われる旨を、告知するものである(オーストラリア国特許法第3.25(3)号規定)。
【0133】
(カナダ)
出願人は、出願に基づきカナダ国特許が発行されるか、あるいは同出願が拒絶または放棄されて回復され得なくなるかもしくは取り下げられるまでは、特許庁長官(Commissioner of Patents)により指名された独立の専門家に対してのみ出願中で言及された寄託済みの生物学的材料のサンプルの供与を許可する旨を請求する。
【0134】
(デンマーク)
出願人はここにおいて、出願が(デンマーク特許庁により)公開に付されるかあるいは公開を経ずにデンマーク特許庁による決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は、デンマーク特許法第22条および第33条(3)に基づき出願が公に利用可能にされる時点以前に、出願人によりデンマーク特許庁に対してなされるものとする。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家は、デンマーク特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0135】
(フィンランド)
出願人はここにおいて、出願が(特許および登録委員会(National Board of Patents and Registrations)により)公開に付されるかあるいは公開を経ずに特許および登録委員会による決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は、優先日から16ヶ月が経過するよりも前に、出願人により国際事務局に対してなされるものとする(好ましくはPCT Applicant’s GuideのVolume Iのannex Zに複製された書式PCT/RO/134による)。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家は、特許および登録委員会により作成された公認専門家のリスト(list of recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0136】
(アイスランド)
出願人はここにおいて、出願が(アイスランド特許庁(the Icelandic Patent Office)により)公開に付されるかあるいは公開を経ずにアイスランド特許庁により最終的に決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。
【0137】
寄託:pDHFR 登録番号:DSM 12777 2頁 (オランダ)
出願人はここにおいて、オランダ特許の発行日まで、あるいは出願が拒絶、取り下げあるいは放棄(lapsed)される日までは、特許法31F(1)の規定に基づき、微生物は専門家へのサンプル供与の形でのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は、オランダ王国特許法の第22C条または第25条に基づき出願が公に利用可能にされる日のうちいずれか早い方の日付よりも前に、出願人によりオランダ工業所有権局に対して提出されるものとする。
【0138】
(ノルウェー)
出願人はここにおいて、出願が(ノルウェー特許庁により)公開に付されるかあるいは公開を経ずにノルウェー特許庁による決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は、ノルウェー特許法第22条および第33条(3)に基づき出願が公に利用可能にされる時点以前に、出願人によりノルウェー特許庁に対してなされるものとする。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家は、ノルウェー特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0139】
(シンガポール)
出願人はここにおいて、微生物のサンプルの供給は専門家に対してのみ利用可能にされる旨を、請求する。この旨の請求は、出願の国際公表のための技術上の準備が完了する前に、出願人により国際事務局に対してなされなければならない。
【0140】
(スウェーデン)
出願人はここにおいて、出願が(スウェーデン特許庁により)公開に付されるかあるいは公開を経ずにスウェーデン特許庁により最終的に決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は、優先日から16ヶ月が経過するよりも前に、出願人により国際事務局に対してなされるものとする(好ましくはPCT Applicant’s GuideのVolume Iのannex Zに複製された書式PCT/RO/134による)。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家は、スウェーデン特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0141】
(英国)
出願人はここにおいて、微生物のサンプルの供給は専門家に対してのみ利用可能にされる旨を、請求する。この旨の請求は、出願の国際公表のための技術上の準備が完了する前に、出願人により国際事務局に対してなされなければならない。
【0142】
寄託:pVex1 登録番号:DSM 12776 1頁 (オーストラリア)
出願人はここにおいて、微生物のサンプルの供与は、特許の付与前において、あるいは出願の放棄(lapsing)、拒絶あるいは取り下げ前において、発明に対し利害関係を有さない当業者である対象者(skilled addressee)に対してのみ行われる旨を、告知するものである(オーストラリア国特許法第3.25(3)号規定)。
【0143】
(カナダ)
出願人は、出願に基づきカナダ国特許が発行されるか、あるいは同出願が拒絶または放棄されて回復され得なくなるかもしくは取り下げられるまでは、特許庁長官(Commissioner of Patents)により指名された独立の専門家に対してのみ出願中で言及された寄託済みの生物学的材料のサンプルの供与を許可する旨を請求する。
【0144】
(デンマーク)
出願人はここにおいて、出願が(デンマーク特許庁により)公開に付されるかあるいは公開を経ずにデンマーク特許庁による決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は、デンマーク特許法第22条および第33条(3)に基づき出願が公に利用可能にされる時点以前に、出願人によりデンマーク特許庁に対してなされるものとする。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家は、デンマーク特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0145】
(フィンランド)
出願人はここにおいて、出願が(特許および登録委員会(National Board of Patents and Registrations)により)公開に付されるかあるいは公開を経ずに特許および登録委員会による決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は、優先日から16ヶ月が経過するよりも前に、出願人により国際事務局に対してなされるものとする(好ましくはPCT Applicant’s GuideのVolume Iのannex Zに複製された書式PCT/RO/134による)。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家は、特許および登録委員会により作成された公認専門家のリスト(list of recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0146】
(アイスランド)
出願人はここにおいて、出願が(アイスランド特許庁(the Icelandic Patent Office)により)公開に付されるかあるいは公開を経ずにアイスランド特許庁により最終的に決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。
【0147】
寄託:pVex1 登録番号:DSM 12776 2頁 (オランダ)
出願人はここにおいて、オランダ特許の発行日まで、あるいは出願が拒絶、取り下げあるいは放棄(lapsed)される日までは、特許法31F(1)の規定に基づき、微生物は専門家へのサンプル供与の形でのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は、オランダ王国特許法の第22C条または第25条に基づき出願が公に利用可能にされる日のうちいずれか早い方の日付よりも前に、出願人によりオランダ工業所有権局に対して提出されるものとする。
【0148】
(ノルウェー)
出願人はここにおいて、出願が(ノルウェー特許庁により)公開に付されるかあるいは公開を経ずにノルウェー特許庁による決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は、ノルウェー特許法第22条および第33条(3)に基づき出願が公に利用可能にされる時点以前に、出願人によりノルウェー特許庁に対してなされるものとする。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家は、ノルウェー特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0149】
(シンガポール)
出願人はここにおいて、微生物のサンプルの供給は専門家に対してのみ利用可能にされる旨を、請求する。この旨の請求は、出願の国際公表のための技術上の準備が完了する前に、出願人により国際事務局に対してなされなければならない。
【0150】
(スウェーデン)
出願人はここにおいて、出願が(スウェーデン特許庁により)公開に付されるかあるいは公開を経ずにスウェーデン特許庁により最終的に決定を受けるまでは、サンプルの供与は当該技術の専門家に対してのみ行われる旨を、請求する。この旨の請求は、優先日から16ヶ月が経過するよりも前に、出願人により国際事務局に対してなされるものとする(好ましくはPCT Applicant’s GuideのVolume Iのannex Zに複製された書式PCT/RO/134による)。そのような請求が出願人によりなされた場合は、第三者によるサンプルの供与のいかなる請求においても、利用される専門家を表示するものとする。専門家は、スウェーデン特許庁により作成された公認専門家のリスト(list of recognized experts)に記載された任意の者か、あるいは、個々の場合において出願人により承認された任意の者であり得る。
【0151】
(英国)
出願人はここにおいて、微生物のサンプルの供給は専門家に対してのみ利用可能にされる旨を、請求する。この旨の請求は、出願の国際公表のための技術上の準備が完了する前に、出願人により国際事務局に対してなされなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベクターを含む宿主細胞であって、該ベクターは、以下:(a)配列番号1のアミノ酸配列からなる、エリスロポイエチンポリペプチドをコードする、ヌクレオチド配列(b)ウィルスプロモーター;および(c)ウィルスターミネーターを含む、宿主細胞。
【請求項2】
DSM ACC2397として寄託される、宿主細胞。
【請求項3】
前記ウィルスプロモーターおよびウィルスターミネーターがSV40ウィルスの初期プロモーターおよびターミネーターを含む、請求項1に記載の宿主細胞。
【請求項4】
前記ベクターがpVex1を含む、請求項1に記載の宿主細胞。
【請求項5】
pDHFRベクターをさらに含む、請求項1に記載の宿主細胞。
【請求項6】
前記宿主細胞がネオマイシン誘導抗体およびメトトレキサートに対して耐性である、請求項4に記載の宿主細胞。
【請求項7】
前記宿主細胞が哺乳動物細胞である、請求項1に記載の宿主細胞。
【請求項8】
前記哺乳動物細胞がCHO、COS、BHK、Namalwa、HeLa、Hep3B、Heo−G2または他の哺乳動物細胞を含む群から選択される、請求項7に記載の宿主細胞。
【請求項9】
前記宿主細胞がCHOまたはCOS細胞を含む、請求項1に記載の宿主細胞。
【請求項10】
前記宿主細胞がCHO細胞を含む、請求項1に記載の宿主細胞。
【請求項11】
EPOポリペプチドを生産するための方法であって、該ポリペプチドが発現かつ回収される条件下で請求項1に記載の宿主細胞を培養する工程を包含する方法。
【請求項12】
前記条件がメトトレキサートへの曝露を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記培養が一日当たりの培養培地1リットル当たり50mgより多くのEPOを生産する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記ヌクレオチド配列がヒト白血球から得られる、請求項1に記載の宿主細胞。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−213699(P2010−213699A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−59896(P2010−59896)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【分割の表示】特願2000−581232(P2000−581232)の分割
【原出願日】平成11年11月8日(1999.11.8)
【出願人】(501177322)スターンベルド バイオテクノロジー ノース アメリカ, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】