組立て式構造体
【課題】組み立てや保管を容易にし、大きさを自由に変えられることができる組立て式構造体を提供すること。
【解決手段】複数の板状パネル12どうしを連結部材を用いて組立てる構造体であって、板状パネルの両端面の夫々には、凸部20が設けられた凸部領域と凸部がない空間領域Vとが板幅方向に沿って同じ数だけ並べられ、凸部領域及び空間領域に関する寸法が、中央の凸部領域と空間領域との境目Pを中心に対称とされており、凸部20は、板厚方向の一方の領域の一方凸部22−1と他方の領域の他方凸部24−1とからなり、一方凸部には他方の領域E2側に臨んだ溝部30が、他方凸部には一方の領域E1側に臨んだ溝部30が、凸部の突出方向の中央領域に形成され、連結部材は、複数の板状パネルの凸部の溝部30が集結して形成された貫通孔に挿入される棒状体である。
【解決手段】複数の板状パネル12どうしを連結部材を用いて組立てる構造体であって、板状パネルの両端面の夫々には、凸部20が設けられた凸部領域と凸部がない空間領域Vとが板幅方向に沿って同じ数だけ並べられ、凸部領域及び空間領域に関する寸法が、中央の凸部領域と空間領域との境目Pを中心に対称とされており、凸部20は、板厚方向の一方の領域の一方凸部22−1と他方の領域の他方凸部24−1とからなり、一方凸部には他方の領域E2側に臨んだ溝部30が、他方凸部には一方の領域E1側に臨んだ溝部30が、凸部の突出方向の中央領域に形成され、連結部材は、複数の板状パネルの凸部の溝部30が集結して形成された貫通孔に挿入される棒状体である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の板状パネルどうしを、連結部材を利用して組立ててなる家具、展示用什器などの組立て式構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
本棚やテーブル台などの家具類、又は、展示用の棚やパネル掛けなどの展示用什器は、部屋・会場のレイアウトや展示用品などに合わせて、自由に組立てられる組立て式のものを使用されることが多い。
このような組立て式構造体の場合、一般的に、形状・構造が異なるいくつもの板材や金具を用いて組み立てられている(例えば、特許文献1参照)。
そうすると、板材や金具の種類が多数あるため、組み立てが面倒であり、金具などの部品が紛失してしまうこともあった。また、例えば展示用什器の場合は、組み立てられた構造体は、展示が終わると解体され、それを展示会場とは別の場所で保管するといった運用がなされるため、部品の管理が大変であるという問題もある。
【0003】
このため、組立て式構造体の場合、部品の種類を少なくし、容易に組み立てられることが望ましい。この点、従来は例えば図10に示される家具1が存在した(特許文献2参照)。図10の家具1は、側板に上下に貫通する孔2を有する角筒体4を重ね、その孔2に板状の連結部材6を挿入して、複数の角筒体4を連結する家具である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−348995号公報
【特許文献2】実用新案登録第3136238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図10の家具は、予め決められた大きさの家具類や展示用什器を組み立てるには適当かも知れないが、家具類や展示用什器の大きさを自由に設定することができない。すなわち、角筒体4を連結するための連結部材6の長さが予め決められているため、連結される角筒体4の数も決められてしまう。勿論、様々な長さの連結部材6を用意しておけばよいが、それでは、部品の種類が増加してしまう。また、例えば展示会場で大きな棚を組み立てるような場合、解体後において、そのような長い連結部材を保管するスペースが大きくなってしまうし、そもそも、角筒体4を保管すること自体、大きなスペースを必要とする。
【0006】
本発明は、部品の種類を少なくすることで組み立てや保管を容易にし、さらに、大きさを自由に変えられ、かつ、解体した後の保管スペースを小さくすることができる組立て式構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的は、請求項1の発明によれば、2つの端面を有する複数の板状パネルどうしを、連結部材を利用して組立ててなる組立て式構造体であって、前記2つの端面の夫々には、前記板状の主面に沿って外側に突出した凸部が設けられた複数の凸部領域と、前記凸部が設けられていない複数の空間領域とが、前記端面の長手方向に同じ数だけ交互に並べられ、前記複数の凸部領域及び前記複数の空間領域について、前記長手方向の寸法が、前記長手方向の最も中央寄りにある前記凸部領域と前記空間領域との境目を中心に対称とされており、前記凸部は、前記端面の短手方向の一方の領域に配置された一方凸部と、他方の領域に配置された他方凸部とからなり、前記一方凸部と他方凸部とは異なる前記凸部領域に配置され、前記一方凸部には前記他方の領域側に臨んだ溝部が、前記他方凸部には前記一方の領域側に臨んだ溝部が、夫々、前記凸部が突出する方向の先端部と根元部を除くようにして前記端面の長手方向に沿って形成され、前記連結部材は、前記複数の板状パネルのうち、一方のパネルの前記一方凸部及び前記他方凸部に形成された前記溝部の開口と、前記一方のパネルに連結しようとする他方のパネルの前記一方凸部及び前記他方凸部に形成された前記溝部の開口とを対向させた状態における、これら溝部で画される空間に対応した太さを有する棒状体である、組立て構造体により達成される。
【0008】
請求項1の構成によれば、板状パネルの端面には、板状の主面に沿って外側に突出した凸部が設けられた複数の凸部領域と、凸部が設けられていない複数の空間領域とが、端面の長手方向に同じ数だけ交互に並べられているため、この端部領域は凸凹が連続して並んだような形態となっている。ここで、複数の凸部領域及び複数の空間領域について、端面の長手方向の寸法が、最も中央寄りにある凸部領域と空間領域との境目を中心に対称とされている。このため、例えば、第1及び第2のパネルからなる2枚のパネルを用意し、これらを同じ方向に並べた後、第2のパネルのみを端面に対する垂直方向を軸周りに180度回転させ、そして、互いの主面が垂直となるように端面どうしを沿わせると、第1のパネルの空間領域に第2のパネルの凸部が、第2のパネルの空間領域に第1のパネルの凸部がそれぞれ挿入しながら、第1のパネルと第2のパネルとが組まれることになる。したがって、2枚のパネルを垂直に組んだ際、互いの凸部と空間領域とが係合して、端面の長手方向への移動、及び相手方のパネル側への移動を規制することができる。
【0009】
さらに、凸部は、端面の短手方向の一方の領域に配置された一方凸部と、他方の領域に配置された他方凸部とからなり、この一方凸部と他方凸部とは異なる凸部領域に配置されている。このため、端面に凸部が設けられていても、2枚のパネルの端面どうしを並べて突き合わせることができる。例えば、上述のように第1及び第2のパネルを垂直に組んだ状態で、さらに3枚目である第3のパネルを用意し、この第3のパネルを例えば第1のパネルと同じ方向となるようにした状態から、その端面の長手方向を軸周りに180度回転させる。そうすると、第3のパネルの端面を第1のパネルの端面に突き合わせることができる。それと同時に、第3のパネルは、第1のパネルと垂直状態にある第2のパネルに対しては垂直に組まれることになる。そして、第3のパネルの凸部は第2のパネルの空間領域に挿入され、上述の第1及び第2のパネルどうしの関係と同様にして、第3のパネルは端面の長手方向への移動が規制され、それと共に、第2及び第3のパネルは互いに相手方のパネル側への移動が規制されることになる。
【0010】
ここで、一方凸部には他方の領域側に臨んだ溝部が、他方凸部には一方の領域側に臨んだ溝部が、それぞれ端面の長手方向に沿って形成され、この溝部は、凸部が突出する方向の先端部と根元部を除く中央領域に形成されている。そうすると、例えば、上述した第1及び第3のパネルの互いの端面を突き合わせて並べると、例えば第1のパネルの一方及び他方凸部の溝部の開口と第3のパネルの一方及び他方凸部の溝部の開口とが対向する状態になる。ところで、本発明によれば、連結部材は、複数の板状パネルのうち、一方のパネルの一方凸部及び他方凸部に形成された溝部の開口と、一方のパネルに連結しようとする他方のパネルの一方凸部及び他方凸部に形成された溝部の開口とを対向させた状態における、これら溝部で画される空間に対応した太さを有する棒状体である。そこで、この棒状体を、上述した第1のパネルの溝部および第3のパネルの溝部で画される空間に差し込めば、その溝部の内壁が棒状体と係合し、第1及び第3のパネルは並べた方向に移動することが出来なくなる。
【0011】
そして、板状パネルは以上のような構成であるため、例えば、上述のように第1ないし第3のパネルを組んだ状態で、さらに4枚目である第4のパネルを用意し、この第4のパネルの主面を、第1及び第3のパネルの主面に対して垂直に配置すると共に、その端面を第2のパネルの端面に突き合せて配置することもできる。そうすると、第4のパネルは、上述した第1ないし第3のパネルの関係と同様にして、その動きが規制される。このようにして、第1ないし第4のパネルを組み立てると、溝部に差し込まれる棒状体の助力もあって、互いの動きを規制し合って、いずれの方向にも容易に外れることがなくなる。
【0012】
このように、請求項1の構成によれば、同種類の複数のパネルを用意して、互いの凸部と空間領域とを係合させたり、互いの一方凸部と他方凸部を連結部材に係合させたりして、組み立てることができるため、部品の種類を低減することができる。
さらに、請求項1の板状パネルは、2つの端面の夫々が、上述した構成とされているため、何枚ものパネルを連続して、上述のように連結していくことができる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、前記板状パネルの前記2つの端面の一方と他方とは、その端面の長手方向を軸周りに180度回転させて視認した際、同様の構成とされていることを特徴とする。このため、板状パネルの方向性に留意することなく、容易に構造体を組み立てることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上、本発明によれば、部品の種類を少なくすることで組み立てと保管を容易にし、さらに、大きさを自由に変えられ、かつ、解体した後の保管スペースを小さくすることができる組立て式構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る組立て式構造体の例示としての棚の斜視図。
【図2】図1の棚の部材である板状パネルの斜視図であり、一点鎖線で囲った図は凸部の部分拡大図。
【図3】図2の板状パネルの側面図。
【図4】図1の棚の部材である連結部材の斜視図。
【図5】図2の板状パネルの第1の変形例に係る部分平面図。
【図6】図2の凸部の変形例に係る斜視図。
【図7】図2の板状パネルの第2の変形例に係る概略斜視図。
【図8】図1の棚を構成する複数の板状パネルの端部領域を集中させようとしている図。
【図9】図1の棚を構成する複数の板状パネルを集中させ、そこに連結部材を組み込もうとしている図。
【図10】従来の家具の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の好適な実施形態を添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0017】
図1は、本発明の実施形態にかかる組立て構造体の例示としての棚10の斜視図であり、図2は図1の棚10の部材である板状パネル12の斜視図、図3は図2の板状パネル12の側面図、図4は図1の棚10の部材である連結部材40の斜視図である。
この棚10は、家庭用の棚や展示会場で作品を飾るための家具類又は展示用什器であり、第1ないし第6のパネル12−1,12−2,12−3,12−4,12−5,12−6を含む複数の板状パネル12どうしの端部領域(図2の端面12a,12b及び凸部20を含む先端の領域)を、連結部材40を利用して連結し、互いの主面を垂直に組み立てるようになっている。
この棚10の組立て方等については後で詳細に説明するが、理解の便宜のため、先ず、その概略を説明する。
【0018】
〔概略説明〕
図1の棚10の部材である第1ないし第4のパネル12−1〜12−4を、互いの主面が垂直となるように組み立てるには、図8及び図9に示すように、その端面から突出する複数の凸部20を、この凸部20が設けられていない相手方の空間領域Vに差し入れる。ここで、主面が並んだパネル、例えば図8の第1のパネル12−1と第3のパネル12−3については、双方とも凸部20は板幅W方向の同じ位置にあるが、その凸部20は板状の厚みDの片側にのみ配置されている。そこで、並べようとする相手方のパネルの凸部20が配置されていない領域E1・E2に、その凸部20の先端を突き当てるように差し入れる。このようにして、4枚のパネル12−1〜12−4の凸部20を図9のように集中させる。そして、このように凸部20を集中させた集結領域に、側面(図9の場合は上側)から見て、板幅Wの方向(図9のX方向)に沿って連続して貫通した孔が生じるように、凸部20には溝部30が設けられている。そこで、この複数の溝部30で形成された集結領域の貫通孔(図9のHO)に棒状の連結部材40を挿入して、4枚のパネル12−1〜12−4を連結させる。
【0019】
〔棚10の構造〕
次に、この棚10の構造について説明する。
棚10は、図1に示すように、複数の板状パネル12どうしを、互いの主面が垂直となるように、各端部領域を連結したものであり、4枚のパネル12−3,12−4,12−5,12−6で一つの枠状体FRを構成し、その枠状体FRを格子状に縦横に配列して棚としている。
なお、枠状体FRの内側には本等の物品が載置され、その物品が落下しないように、枠状体FRの裏側には板材9が組まれているが、板材9は棚10を構造的に支持するためのものではない。
また、この棚10は絵画や写真などの薄板状ないし紙状の展示用品(図1の平行斜線で示す部分)を飾ることができるようにビス等のネジ類42が差し込まれているが(この点については後で詳細に説明する)、このネジ類42も棚10を構造的に支持するためのものではない。
すなわち、本実施形態の棚10は、複数の板状パネル12と、複数の連結部材40のみで構造的に支持されており、かつ、構造的に支持するための各板状パネル12は同種類であり、各連結部材40も同じ種類である。
【0020】
以下、一枚の板状パネル12について図2及び図3を用いて説明する。
板状パネル12は、その材質を問わない。また、板状パネル12は、主面の幅Wに対して厚みDが小さな板状であって、少なくとも2つの端面12a,12bを有すれば、その形状も問われない。
本実施形態の場合、板状パネル12は、木材、金属或いは木材と金属の組み合わせにより形成されており、全体が所定の厚みDを有する矩形状とされている。具体的には、板状パネル12の主面(図2の上下面)12cの幅Wは、一般的な本棚の寸法を考慮して30cm程度とされている。また、主面12cは平坦であって一方向に長く、その長手方向(図2のY方向)に2つの互いに平行な端面12a,12bを有している。
端面12a,12bは凸部20を除いて平坦とされており、端面12aと端面12bとの構成は、凸部20の向きを除き同様とされている。以下、特段の言及がない限り、端面12aのみの構成について説明している。
【0021】
端面12aには、板状の主面12cに沿って(本実施形態の場合、図2のY方向の外側に)突出した複数の凸部20が設けられている。この凸部20は複数の板状パネルを連結するための係止部であり、突出部または突片または舌片と言うこともできる。また、この凸部20には棚に載置した物品の荷重がかかるため、複数個にして、その荷重を分散できるようにしている。
なお、凸部20は端面12aと一体に形成されてもよいし、或いは、端面12aに対して別部材として接着剤等で接合してもよい。また、凸部20を金属製にして、これを木製の端面12a側に接続してもよい。但し、凸部20は図のように板状本体の主面や側面の延長線上から飛び出さないことが好ましい。
【0022】
そして、端面12aには、凸部20が設けられている複数の凸部領域Tと、凸部20が設けられていない複数の空間領域Vとが、端面12aの長手方向(板状パネルの幅W方向であり、図2のX方向)に同じ数だけ交互に並べられている。なお、ここにいう凸部領域T及び空間領域Vは、端面12aの長手方向に関しての領域であり、端面12aの短手方向(板状パネルの厚みD方向であり、図2のZ方向)の一部にでも凸部20があれば、その凸部20が存在する端面12aの長手方向の領域は凸部領域Tである。
そして、凸部領域Tと空間領域Vとは同じ数だけ一列に並べられ、端面12aの長手方向Xの一端側に凸部領域Tが、他端側に空間領域Vが配置されるようになっている。
【0023】
ここで、複数の凸部領域T及び複数の空間領域Vについては、端面12aの長手方向Xの寸法が、当該長手方向Xの最も中央寄りにある凸部領域T1と空間領域V1との境目Pを中心に対称とされている。具体的には、図2の凸部領域TはT1とT2の2つ、空間領域VはV1とV2の2つあり、T1とV1との当該長手方向Xの寸法が同様であり、T2とV2との当該長手方向Xの寸法が同様とされている。さらに、図2の場合、全ての領域T1,T2,V1,V2の長手方向Xの寸法は同様である。
【0024】
なお、凸部領域T及び空間領域Vは、端面の長手方向Xに沿って同じ数だけ並べられ、かつ、当該長手方向Xの寸法について、最も中央寄りにある凸部領域と空間領域との境界を中心に対称であれば、例えば図2の板状パネル12の第1の変形例である図5の板状パネル49の部分平面図に示すように、その数は3つずつ以上であっても構わない。また、例えば図5のT1=V1、T2=V2、T3=V3、T4=V4(T1,T2,T3,T4は凸部領域に関する端面の長手方向の寸法、V1,V2,V3,V4は空間領域に関する端面の長手方向の寸法)のように、各凸部領域及び空間領域の寸法は区々であっても構わない。
【0025】
さらに、図2及び図3に示すように、凸部20は、板状の厚みDの片側に寄せて配置されており、端面12aの短手方向Zの一方の領域E1に配置された一方凸部22と、他方の領域E2に配置された他方凸部24とからなっている。この一方凸部22と他方凸部24とは、異なる凸部領域Tに配置され、同じ凸部領域Tに、同時に一方凸部22と他方凸部24が配置されることはない(つまり、一つの凸部領域T1,T2には、一方凸部22或いは他方凸部24のいずれか一方のみが配置されている)。
なお、この一方の領域E1と他方の領域E2は、同じ凸部領域Tにおける互いに相対的な観念であって、一方凸部22が配置されている領域が一方の領域であれば、その凸部領域T2について、一方の領域と反対側の領域が他方の領域E2となる。
このように、一方凸部22及び他方凸部24を同じ凸部領域Tに配置しないのは、板状パネルの種類を変えることなく、複数の板状パネルどうしの端部領域(図2の端面12a及び凸部20を含む先端の領域)を集中させて連結するためである。
【0026】
本実施形態の場合、一方凸部22と他方凸部24とは、端面12aの長手方向Xに沿って交互に配置されている。また、一方凸部22と他方凸部24とは、その突出方向に対する垂直方向の寸法である厚みD1が同様とされ、厚みD1は板状パネル12の厚みDの半分以下に設定されている。また、一方凸部22と他方凸部24とは、その突出した長さLも同様であり、図2及び図3の場合、その長さLを板状パネル12の厚みD(端面12aの短手方向Zの寸法)と同様にすることで、複数の板状パネルを組立てた後の揺れないしグラつきを防止している。
【0027】
そして、この凸部20には溝部30が形成されている。溝部30は、複数の板状パネル12の端部領域を互いに突き当てるように集結させた際、複数の溝部30が集まって、連結部材40を挿入するための貫通孔を形成するためのものである。すなわち、後述する図9に示すように、複数の凸部20が並ぶ方向(図9のX方向)に連結部材40が挿入されて、連結部材40と係合するようになっている。
具体的には、図2及び図3に示すように、一方凸部22には他方の領域E2側に臨んで開口された溝部31が、他方凸部24には一方の領域E1側に臨んで開口された溝部32が形成されている。本実施形態の場合、凸部20は、矩形状(先端面は板状本体の端面12aと平行であり、側面は板状本体の側面と平行であり、主面は板状本体の主面と平行)の一部に溝部30を設けたような形状であり、側面視において、略コの字ないしCの字状とされている。
また、溝部31と溝部32とは、凸部20の突出方向Yについて略同じ位置に形成され、このため、図3の側面視において、端面の長手方向に貫通した空間が形成されるようになっている。具体的には、図3の側面視において、溝部31の開口と溝部32の開口とが対向するように視認され、溝部31及び溝部32で略四角形状の空間が画されるようになっている。この空間が、上述した凸部20を集中させた集結領域に形成された貫通孔(図9のHO)に対応し、また、連結部材40の断面形状に対応する。
【0028】
さらに、この溝部30(31,32)は、凸部20が突出する方向Yの先端部20aと根元部20bを除く中央領域に形成されている。このように、先端部20aに溝部30を形成しないのは、その内壁と連結部材40の外周とを係合させるためである。また、根元部20bに溝部30を形成しないのは、連結する別の板状パネルの凸部を挿入できるようにするためである。本実施形態の場合、先端部20aの突出方向Yの寸法L1と、根元部20bの突出方向Yの寸法L2とは同様とされている。
また、この溝部30は、端面20aの長手方向Xに沿って形成されている。すなわち、溝部30は、凸部20の全幅(凸部20のX方向の寸法全体であり、凸部領域Tの全体)に形成されている。
【0029】
なお、凸部20は図2及び図3のような形状に限られるものではなく、例えばこの凸部の変形例である図6に示すように、凸部20の先端部20aの厚みD2と根元部20bの厚みD3は異なっていてもよい。但し、その際は、一方凸部22と他方凸部24の形状自体(方向性は別)は同様であるのが好ましく、また、凸部20と端面12aとの接合強度を考慮して、根元部20bの厚みD3が先端部20aの厚みD2に比べて大きい方が好ましい。
【0030】
また、本発明の板状パネルは、凸部20の構成が以上のようになっていれば、端面12aと端面12bとは、必ずしも同様な構成でなくてもよい。図7はこれを説明するためのものであり、図2の板状パネル12の第2の変形例に係る板状パネル50の概略斜視図である。なお、図7は、図面の煩雑さを回避するため、板状パネルの厚みを図示していない。そして、理解の便宜のため、一方凸部22(図7の場合、図面の表面に向って開口した溝部を有する凸部を一方凸部としている)には平行斜線を付し、他方の凸部24には平行斜線を付さず、また、板状パネル50を矢印方向に反転ないし回転させた状態を破線で表している。この板状パネル50は、左側の端面12aに2つずつ凸部領域Tと空間領域Vが配置されているのに対して、右側の端面12bには4つずつ凸部領域及び空間領域が配置されている。このようにしても、矢印に示すようパネルを反転ないし回転させて、板状パネルを破線で表した図のように配置することができる。したがって、この破線で示したパネルが板状パネル50とは別部材のパネル(構成は同じ)であれば、複数の板状パネルの互いの凸部領域と空間領域とを係合させ、かつ、各一方の領域側及び他方の領域側に各一方凸部22及び他方凸部24の夫々を突き当てることができる。
【0031】
この点、図2に示すように、本実施形態の板状パネル12では、両側の端面の一方12aと他方12bとは、その端面の長手方向(図2のX方向)を軸周りに180度回転させて視認した際、すなわち、図2の矢印S2の方向に反転させると、同様の構成となるように形成されている。これにより、パネルの方向性を図7のように考慮することなく、簡単に複数の板状パネル12を連結できる。この点については、後述する棚10の組立て方法の欄でさらに説明する。
【0032】
次に、連結部材40について説明する(なお、以下の符号については図2ないし図4を適宜参照)。
連結部材40は、複数の板状パネル12の端部領域を互いに突き当たるように集結させた際、上述した溝部30が集結して形成された貫通孔を埋めるように挿入され、その溝部の内面と係合される部材である。
この連結部材40は、複数の板状パネルのうち、一方のパネルの一方凸部及び他方凸部に形成された溝部の開口と、その一方のパネルに連結しようとする他方のパネルの一方凸部及び他方凸部に形成された溝部の開口とを対向させたと仮想した状態における、これら溝部で画される空間に対応した太さを有する棒状体である。例えば、図9の場合、連結部材40は、一方のパネル12−2の一方凸部22−2及び他方凸部24−2に形成された溝部30の開口と、この一方のパネル12−2に並べて配置された他方のパネル12−4の一方凸部22−4及び他方凸部24−4に形成された溝部30の開口とを対向させた状態における、これら溝部で画される空間HOAに対応した断面を有している。換言すれば、本実施形態の連結部材40は、図3の側面視において溝部31及び溝部32で画される空間に対応した断面を有している。
【0033】
具体的には、連結部材40は、図3の当該空間に対応した略四角形状の断面を有する真っ直ぐな棒状体であり、平行な2辺の寸法Hが板状パネル12の厚みDよりも小さく形成されている。また、棒状体の長さL4は、端面12aの長手方向Xの全寸法と同じ長さに形成されている。これにより、端面12aの一方凸部22及び他方凸部24に形成された溝部31,32に、連続して挿入できるようになっている。
なお、本実施形態の連結部材40の断面形状は略四角形状とされているが、本発明の連結部材の形状はこれに限られるものではなく、複数の溝部で画される形状に対応すれば、その他の多角形或いは円形状であってもよい。
【0034】
そして、本実施形態の連結部材40には、次にような工夫が施されている。
すなわち、図4に示すように、複数の溝部で画される空間に円滑に挿入することができるように、片側先端が窄まっている。また、もう片方の先端には、ビス等のネジ類が挿入できるように、ネジ穴44が形成されている。これにより、図1の平行斜線で示す領域に絵画やポスター等の印刷物を配置し、その四つ角にネジ類42を挿入すれば、そのネジ類42の頭部で印刷物を押さえて固定できる。
本実施形態の棚10の構造は以上の通りであり、次に、この棚10の組み立て方法について説明する。
【0035】
〔棚10の組み立て方法〕
図8は、図1の棚10を構成する複数の板状パネルである第1ないし第4のパネル12−1〜12−4の端部領域を集中させようとしている図であり、図9は、第1・2・4のパネル12−1・12−2・12−4の端部領域を集中させ、そこに第3のパネル12−3と連結部材40を組み込もうとしている図である。なお、これらの図で図1乃至図7と同一の符号を付した箇所は共通する構成である。また、以下の「一方凸部」「他方凸部」「溝部」「凸部領域」「空間領域」は、図2で説明した同じ名称のものと共通する構成である。
【0036】
第1ないし第4のパネル12−1〜12−4を連結するには、第1ないし第4のパネル12−1〜12−4の端部領域(端面や凸部を含む先端領域)を一箇所に集中させた後に、棒状の連結部材40を挿入するだけでよい。
すなわち、図8のように第1ないし第4のパネル12−1〜12−4を用意する。この際、第1ないし第4のパネル12−1〜12−4は同じ構成であるため、多数保管してあるパネルの中からどのパネルを選択してもよい。
次に、第1ないし第4のパネル12−1〜12−4の端部領域を互いに突き合わせるように集中させる。その集中させる順番は特に問わないが一例を説明すると以下の通りである。
【0037】
先ず、図8及び図9に示すように、2枚のパネル、この場合、第2のパネル12−2と第4のパネル12−4とを同じ向きに並べて、互いの端部領域を突き合わる(ステップ1)。すなわち、第2及び第4のパネルの各一方凸部22−2,22−4の先端を、第2及び第4のパネルの各他方の領域E2の夫々に突き当て、第2及び第4のパネルの各他方凸部24−2,24−4の先端を、第2及び第4のパネルの各一方の領域E1の夫々に突き当てる。
ところで、例えば図7の場合は、特定の板状パネルを基準にして、その特定の板状パネルの端部領域に突き合わせようとする別の板状パネルを回転ないし反転させて、初めて突き合わせが可能となる。ところが、本実施形態の板状パネルは、図2に示すように、両端面の一方12aと他方12bとは、当該端面の長手方向を軸周りに180度回転させて視認した際、同様の構成となるように形成されている。このため、第2のパネル12−2と第4のパネル12−4とを同じ向きに並べさえすれば、図8及び図9に示すように、第2のパネル12−2の端面12b(図2の端面12bと同じ構成)と第4のパネル12−4の端面12a(図2の端面12aと同じ構成)とを対向させて、端部領域の容易な突き合わせが可能となる。
そして、このように主面を並べて端部領域を突き合わせると、図9のように互いの端部領域が集中し、第2のパネルの一方凸部22−2の溝部30と第4のパネルの一方凸部22−4の溝部30、及び、第2のパネルの他方凸部24−2の溝部30と第4のパネルの他方凸部24−4の溝部30が夫々対向し、連結部材40を挿入するための貫通孔HOの一部空間HOAを形成する。また、第2のパネル12−2の空間領域Vと第4のパネル12−4の空間領域Vも集中ないし対向して、一つのまとまった空間になる。
【0038】
次に、図9に示すように、複数の空間領域Vがまとまった空間に、第1のパネル12−1の一方及び他方凸部22−1,24−1を差し入れる(ステップ2)。すなわち、第1のパネル12−1と第2及び第4のパネル12−2,12−4との先端面どうしを沿わせるようにして、互いの主面が垂直となるように配置する。
【0039】
次に、第3のパネル12−3を第1のパネル12−1と同じ向きにして、第3のパネルの端面12bを第1のパネルの端面12aに突き当てる(ステップ3)。
そうすると、第3のパネルの一方凸部22−3の先端は第2及び第4のパネルの空間領域Vを通って第1のパネルの他方の領域E2に突き当たり、また、他方凸部24−3の先端は第2及び第4のパネルの空間領域Vを通って、第1のパネルの一方の領域E1に突き当たる。そして、第1のパネルの一方凸部22−1の溝部30と第3のパネルの一方凸部22−3の溝部30、及び第1のパネルの他方凸部24−1の溝部30と第3のパネルの他方凸部24−3の溝部30がそれぞれ対向して、連結部材40を挿入するための貫通孔HOの一部空間を形成すると共に、これが前記ステップ1で形成した一部空間HOAとつながって、貫通孔HOが形成される。
【0040】
次に、形成された貫通孔HOに棒状体である連結部材40を挿入する(ステップ4)。これにより、連結部材40の外周面と各凸部20の溝部30の内壁とが係合して、連結部材40と各パネル12−1〜12−4とが互いに係止する。
そして、各パネルは、連結部材40を引き抜かない限り、図9のX,Y,Z方向のいずれの方向にも抜けなくなる。これを第1のパネル12−1を代表例として図9を用いて説明すると以下の通りである。
すなわち、第1のパネル12−1のY方向の移動について、凸部22−1,24−1の溝部30の内面が連結部材40の外周と係合するため規制される。また、Z方向の移動については、凸部22−1,24−1が第2及び第4のパネル12−2,12−4の端面と当接するため規制される。また、X方向の移動については、凸部22−1,24−1が第2及び第4のパネル12−2,12−4の凸部20と当接するため規制される。
なお、このようなパネルの移動規制は、例えば図1の最上段の板状パネル12−7にも発揮される。すなわち、Y方向の移動は上記第1のパネルと同様に、連結部材40と溝部との係合で規制され、X方向の移動は、水平方向に隣接する他のパネルの凸部同士の係合で規制される。また、Z方向の下側の移動については、パネル12−7の凸部がパネル12−1の端面に当接して規制され、Z方向の上側の移動については、一方凸部或いは他方凸部のいずれかが連結部材に当接して規制される。
【0041】
なお、以上のステップ1〜ステップ4の組み立て方法は、理解の便宜のために、組立て手順を分けて説明した一例であり、板状パネルの方向性に気を配る必要性が少ないことなどから、第1ないし第4のパネル12−1〜12−4の端部領域を略同時に突き合わせて、より簡単に組み立てることができる。
そして、以上のような複数の板状パネルの端部領域の連結を、第1ないし第4のパネル12−1〜12−4の連結していない端面側についても行い、連続して好きなだけ複数の板状パネルを組み合わせることができる。
【0042】
本発明の実施形態の組立て式構造体は以上のように構成され、少ない部材の種類(板状パネルと連結部材)により構造体を組立て、しかも、板状パネルの方向性に気を配る必要性も少ないため、容易な組立てが可能となる。また部材の種類が少ないため、その保管も容易である。さらに、板状パネルの端部領域を順次組み合わせて大きさを自由に変えられる。しかも、構造体を解体した後は、薄い板状と棒状の部材だけなので、保管スペースも小さくできる。
【0043】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、本発明の組立て式構造体は、図1に示される棚に限られるものではなく、板状パネルの幅を小さくして、図1の平行斜線で示す展示用のパネル等を取り付けるためだめの展示用什器として使用されてもよい。また、4枚のパネルで図1のような枠状体FRのみを形成し、板状の側面を床に載置するようにしてテーブル台にしてもよい。
また、上記実施形態では、板状の長手方向の両端面に凸部を設けたが、短手方向の両端面に凸部を設けても勿論よい。あるいは、板状の長手方向の片側の端面と短手方向の片側の端面に凸部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10・・・組立て式構造体(棚)、12,12−1,12−2,12−3,12−4・・・板状パネル、12a,12b・・・端面、20・・・凸部、22,22−1,22−2,22−3,22−4・・・一方凸部、24,24−1,24−2,24−3,24−4・・・他方凸部、30・・・溝部、40・・・連結部材、HO・・・貫通孔、E1・・・一方の領域、E2・・・他方の領域、T・・・凸部領域、V・・・空間領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の板状パネルどうしを、連結部材を利用して組立ててなる家具、展示用什器などの組立て式構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
本棚やテーブル台などの家具類、又は、展示用の棚やパネル掛けなどの展示用什器は、部屋・会場のレイアウトや展示用品などに合わせて、自由に組立てられる組立て式のものを使用されることが多い。
このような組立て式構造体の場合、一般的に、形状・構造が異なるいくつもの板材や金具を用いて組み立てられている(例えば、特許文献1参照)。
そうすると、板材や金具の種類が多数あるため、組み立てが面倒であり、金具などの部品が紛失してしまうこともあった。また、例えば展示用什器の場合は、組み立てられた構造体は、展示が終わると解体され、それを展示会場とは別の場所で保管するといった運用がなされるため、部品の管理が大変であるという問題もある。
【0003】
このため、組立て式構造体の場合、部品の種類を少なくし、容易に組み立てられることが望ましい。この点、従来は例えば図10に示される家具1が存在した(特許文献2参照)。図10の家具1は、側板に上下に貫通する孔2を有する角筒体4を重ね、その孔2に板状の連結部材6を挿入して、複数の角筒体4を連結する家具である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−348995号公報
【特許文献2】実用新案登録第3136238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図10の家具は、予め決められた大きさの家具類や展示用什器を組み立てるには適当かも知れないが、家具類や展示用什器の大きさを自由に設定することができない。すなわち、角筒体4を連結するための連結部材6の長さが予め決められているため、連結される角筒体4の数も決められてしまう。勿論、様々な長さの連結部材6を用意しておけばよいが、それでは、部品の種類が増加してしまう。また、例えば展示会場で大きな棚を組み立てるような場合、解体後において、そのような長い連結部材を保管するスペースが大きくなってしまうし、そもそも、角筒体4を保管すること自体、大きなスペースを必要とする。
【0006】
本発明は、部品の種類を少なくすることで組み立てや保管を容易にし、さらに、大きさを自由に変えられ、かつ、解体した後の保管スペースを小さくすることができる組立て式構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的は、請求項1の発明によれば、2つの端面を有する複数の板状パネルどうしを、連結部材を利用して組立ててなる組立て式構造体であって、前記2つの端面の夫々には、前記板状の主面に沿って外側に突出した凸部が設けられた複数の凸部領域と、前記凸部が設けられていない複数の空間領域とが、前記端面の長手方向に同じ数だけ交互に並べられ、前記複数の凸部領域及び前記複数の空間領域について、前記長手方向の寸法が、前記長手方向の最も中央寄りにある前記凸部領域と前記空間領域との境目を中心に対称とされており、前記凸部は、前記端面の短手方向の一方の領域に配置された一方凸部と、他方の領域に配置された他方凸部とからなり、前記一方凸部と他方凸部とは異なる前記凸部領域に配置され、前記一方凸部には前記他方の領域側に臨んだ溝部が、前記他方凸部には前記一方の領域側に臨んだ溝部が、夫々、前記凸部が突出する方向の先端部と根元部を除くようにして前記端面の長手方向に沿って形成され、前記連結部材は、前記複数の板状パネルのうち、一方のパネルの前記一方凸部及び前記他方凸部に形成された前記溝部の開口と、前記一方のパネルに連結しようとする他方のパネルの前記一方凸部及び前記他方凸部に形成された前記溝部の開口とを対向させた状態における、これら溝部で画される空間に対応した太さを有する棒状体である、組立て構造体により達成される。
【0008】
請求項1の構成によれば、板状パネルの端面には、板状の主面に沿って外側に突出した凸部が設けられた複数の凸部領域と、凸部が設けられていない複数の空間領域とが、端面の長手方向に同じ数だけ交互に並べられているため、この端部領域は凸凹が連続して並んだような形態となっている。ここで、複数の凸部領域及び複数の空間領域について、端面の長手方向の寸法が、最も中央寄りにある凸部領域と空間領域との境目を中心に対称とされている。このため、例えば、第1及び第2のパネルからなる2枚のパネルを用意し、これらを同じ方向に並べた後、第2のパネルのみを端面に対する垂直方向を軸周りに180度回転させ、そして、互いの主面が垂直となるように端面どうしを沿わせると、第1のパネルの空間領域に第2のパネルの凸部が、第2のパネルの空間領域に第1のパネルの凸部がそれぞれ挿入しながら、第1のパネルと第2のパネルとが組まれることになる。したがって、2枚のパネルを垂直に組んだ際、互いの凸部と空間領域とが係合して、端面の長手方向への移動、及び相手方のパネル側への移動を規制することができる。
【0009】
さらに、凸部は、端面の短手方向の一方の領域に配置された一方凸部と、他方の領域に配置された他方凸部とからなり、この一方凸部と他方凸部とは異なる凸部領域に配置されている。このため、端面に凸部が設けられていても、2枚のパネルの端面どうしを並べて突き合わせることができる。例えば、上述のように第1及び第2のパネルを垂直に組んだ状態で、さらに3枚目である第3のパネルを用意し、この第3のパネルを例えば第1のパネルと同じ方向となるようにした状態から、その端面の長手方向を軸周りに180度回転させる。そうすると、第3のパネルの端面を第1のパネルの端面に突き合わせることができる。それと同時に、第3のパネルは、第1のパネルと垂直状態にある第2のパネルに対しては垂直に組まれることになる。そして、第3のパネルの凸部は第2のパネルの空間領域に挿入され、上述の第1及び第2のパネルどうしの関係と同様にして、第3のパネルは端面の長手方向への移動が規制され、それと共に、第2及び第3のパネルは互いに相手方のパネル側への移動が規制されることになる。
【0010】
ここで、一方凸部には他方の領域側に臨んだ溝部が、他方凸部には一方の領域側に臨んだ溝部が、それぞれ端面の長手方向に沿って形成され、この溝部は、凸部が突出する方向の先端部と根元部を除く中央領域に形成されている。そうすると、例えば、上述した第1及び第3のパネルの互いの端面を突き合わせて並べると、例えば第1のパネルの一方及び他方凸部の溝部の開口と第3のパネルの一方及び他方凸部の溝部の開口とが対向する状態になる。ところで、本発明によれば、連結部材は、複数の板状パネルのうち、一方のパネルの一方凸部及び他方凸部に形成された溝部の開口と、一方のパネルに連結しようとする他方のパネルの一方凸部及び他方凸部に形成された溝部の開口とを対向させた状態における、これら溝部で画される空間に対応した太さを有する棒状体である。そこで、この棒状体を、上述した第1のパネルの溝部および第3のパネルの溝部で画される空間に差し込めば、その溝部の内壁が棒状体と係合し、第1及び第3のパネルは並べた方向に移動することが出来なくなる。
【0011】
そして、板状パネルは以上のような構成であるため、例えば、上述のように第1ないし第3のパネルを組んだ状態で、さらに4枚目である第4のパネルを用意し、この第4のパネルの主面を、第1及び第3のパネルの主面に対して垂直に配置すると共に、その端面を第2のパネルの端面に突き合せて配置することもできる。そうすると、第4のパネルは、上述した第1ないし第3のパネルの関係と同様にして、その動きが規制される。このようにして、第1ないし第4のパネルを組み立てると、溝部に差し込まれる棒状体の助力もあって、互いの動きを規制し合って、いずれの方向にも容易に外れることがなくなる。
【0012】
このように、請求項1の構成によれば、同種類の複数のパネルを用意して、互いの凸部と空間領域とを係合させたり、互いの一方凸部と他方凸部を連結部材に係合させたりして、組み立てることができるため、部品の種類を低減することができる。
さらに、請求項1の板状パネルは、2つの端面の夫々が、上述した構成とされているため、何枚ものパネルを連続して、上述のように連結していくことができる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、前記板状パネルの前記2つの端面の一方と他方とは、その端面の長手方向を軸周りに180度回転させて視認した際、同様の構成とされていることを特徴とする。このため、板状パネルの方向性に留意することなく、容易に構造体を組み立てることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上、本発明によれば、部品の種類を少なくすることで組み立てと保管を容易にし、さらに、大きさを自由に変えられ、かつ、解体した後の保管スペースを小さくすることができる組立て式構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る組立て式構造体の例示としての棚の斜視図。
【図2】図1の棚の部材である板状パネルの斜視図であり、一点鎖線で囲った図は凸部の部分拡大図。
【図3】図2の板状パネルの側面図。
【図4】図1の棚の部材である連結部材の斜視図。
【図5】図2の板状パネルの第1の変形例に係る部分平面図。
【図6】図2の凸部の変形例に係る斜視図。
【図7】図2の板状パネルの第2の変形例に係る概略斜視図。
【図8】図1の棚を構成する複数の板状パネルの端部領域を集中させようとしている図。
【図9】図1の棚を構成する複数の板状パネルを集中させ、そこに連結部材を組み込もうとしている図。
【図10】従来の家具の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の好適な実施形態を添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0017】
図1は、本発明の実施形態にかかる組立て構造体の例示としての棚10の斜視図であり、図2は図1の棚10の部材である板状パネル12の斜視図、図3は図2の板状パネル12の側面図、図4は図1の棚10の部材である連結部材40の斜視図である。
この棚10は、家庭用の棚や展示会場で作品を飾るための家具類又は展示用什器であり、第1ないし第6のパネル12−1,12−2,12−3,12−4,12−5,12−6を含む複数の板状パネル12どうしの端部領域(図2の端面12a,12b及び凸部20を含む先端の領域)を、連結部材40を利用して連結し、互いの主面を垂直に組み立てるようになっている。
この棚10の組立て方等については後で詳細に説明するが、理解の便宜のため、先ず、その概略を説明する。
【0018】
〔概略説明〕
図1の棚10の部材である第1ないし第4のパネル12−1〜12−4を、互いの主面が垂直となるように組み立てるには、図8及び図9に示すように、その端面から突出する複数の凸部20を、この凸部20が設けられていない相手方の空間領域Vに差し入れる。ここで、主面が並んだパネル、例えば図8の第1のパネル12−1と第3のパネル12−3については、双方とも凸部20は板幅W方向の同じ位置にあるが、その凸部20は板状の厚みDの片側にのみ配置されている。そこで、並べようとする相手方のパネルの凸部20が配置されていない領域E1・E2に、その凸部20の先端を突き当てるように差し入れる。このようにして、4枚のパネル12−1〜12−4の凸部20を図9のように集中させる。そして、このように凸部20を集中させた集結領域に、側面(図9の場合は上側)から見て、板幅Wの方向(図9のX方向)に沿って連続して貫通した孔が生じるように、凸部20には溝部30が設けられている。そこで、この複数の溝部30で形成された集結領域の貫通孔(図9のHO)に棒状の連結部材40を挿入して、4枚のパネル12−1〜12−4を連結させる。
【0019】
〔棚10の構造〕
次に、この棚10の構造について説明する。
棚10は、図1に示すように、複数の板状パネル12どうしを、互いの主面が垂直となるように、各端部領域を連結したものであり、4枚のパネル12−3,12−4,12−5,12−6で一つの枠状体FRを構成し、その枠状体FRを格子状に縦横に配列して棚としている。
なお、枠状体FRの内側には本等の物品が載置され、その物品が落下しないように、枠状体FRの裏側には板材9が組まれているが、板材9は棚10を構造的に支持するためのものではない。
また、この棚10は絵画や写真などの薄板状ないし紙状の展示用品(図1の平行斜線で示す部分)を飾ることができるようにビス等のネジ類42が差し込まれているが(この点については後で詳細に説明する)、このネジ類42も棚10を構造的に支持するためのものではない。
すなわち、本実施形態の棚10は、複数の板状パネル12と、複数の連結部材40のみで構造的に支持されており、かつ、構造的に支持するための各板状パネル12は同種類であり、各連結部材40も同じ種類である。
【0020】
以下、一枚の板状パネル12について図2及び図3を用いて説明する。
板状パネル12は、その材質を問わない。また、板状パネル12は、主面の幅Wに対して厚みDが小さな板状であって、少なくとも2つの端面12a,12bを有すれば、その形状も問われない。
本実施形態の場合、板状パネル12は、木材、金属或いは木材と金属の組み合わせにより形成されており、全体が所定の厚みDを有する矩形状とされている。具体的には、板状パネル12の主面(図2の上下面)12cの幅Wは、一般的な本棚の寸法を考慮して30cm程度とされている。また、主面12cは平坦であって一方向に長く、その長手方向(図2のY方向)に2つの互いに平行な端面12a,12bを有している。
端面12a,12bは凸部20を除いて平坦とされており、端面12aと端面12bとの構成は、凸部20の向きを除き同様とされている。以下、特段の言及がない限り、端面12aのみの構成について説明している。
【0021】
端面12aには、板状の主面12cに沿って(本実施形態の場合、図2のY方向の外側に)突出した複数の凸部20が設けられている。この凸部20は複数の板状パネルを連結するための係止部であり、突出部または突片または舌片と言うこともできる。また、この凸部20には棚に載置した物品の荷重がかかるため、複数個にして、その荷重を分散できるようにしている。
なお、凸部20は端面12aと一体に形成されてもよいし、或いは、端面12aに対して別部材として接着剤等で接合してもよい。また、凸部20を金属製にして、これを木製の端面12a側に接続してもよい。但し、凸部20は図のように板状本体の主面や側面の延長線上から飛び出さないことが好ましい。
【0022】
そして、端面12aには、凸部20が設けられている複数の凸部領域Tと、凸部20が設けられていない複数の空間領域Vとが、端面12aの長手方向(板状パネルの幅W方向であり、図2のX方向)に同じ数だけ交互に並べられている。なお、ここにいう凸部領域T及び空間領域Vは、端面12aの長手方向に関しての領域であり、端面12aの短手方向(板状パネルの厚みD方向であり、図2のZ方向)の一部にでも凸部20があれば、その凸部20が存在する端面12aの長手方向の領域は凸部領域Tである。
そして、凸部領域Tと空間領域Vとは同じ数だけ一列に並べられ、端面12aの長手方向Xの一端側に凸部領域Tが、他端側に空間領域Vが配置されるようになっている。
【0023】
ここで、複数の凸部領域T及び複数の空間領域Vについては、端面12aの長手方向Xの寸法が、当該長手方向Xの最も中央寄りにある凸部領域T1と空間領域V1との境目Pを中心に対称とされている。具体的には、図2の凸部領域TはT1とT2の2つ、空間領域VはV1とV2の2つあり、T1とV1との当該長手方向Xの寸法が同様であり、T2とV2との当該長手方向Xの寸法が同様とされている。さらに、図2の場合、全ての領域T1,T2,V1,V2の長手方向Xの寸法は同様である。
【0024】
なお、凸部領域T及び空間領域Vは、端面の長手方向Xに沿って同じ数だけ並べられ、かつ、当該長手方向Xの寸法について、最も中央寄りにある凸部領域と空間領域との境界を中心に対称であれば、例えば図2の板状パネル12の第1の変形例である図5の板状パネル49の部分平面図に示すように、その数は3つずつ以上であっても構わない。また、例えば図5のT1=V1、T2=V2、T3=V3、T4=V4(T1,T2,T3,T4は凸部領域に関する端面の長手方向の寸法、V1,V2,V3,V4は空間領域に関する端面の長手方向の寸法)のように、各凸部領域及び空間領域の寸法は区々であっても構わない。
【0025】
さらに、図2及び図3に示すように、凸部20は、板状の厚みDの片側に寄せて配置されており、端面12aの短手方向Zの一方の領域E1に配置された一方凸部22と、他方の領域E2に配置された他方凸部24とからなっている。この一方凸部22と他方凸部24とは、異なる凸部領域Tに配置され、同じ凸部領域Tに、同時に一方凸部22と他方凸部24が配置されることはない(つまり、一つの凸部領域T1,T2には、一方凸部22或いは他方凸部24のいずれか一方のみが配置されている)。
なお、この一方の領域E1と他方の領域E2は、同じ凸部領域Tにおける互いに相対的な観念であって、一方凸部22が配置されている領域が一方の領域であれば、その凸部領域T2について、一方の領域と反対側の領域が他方の領域E2となる。
このように、一方凸部22及び他方凸部24を同じ凸部領域Tに配置しないのは、板状パネルの種類を変えることなく、複数の板状パネルどうしの端部領域(図2の端面12a及び凸部20を含む先端の領域)を集中させて連結するためである。
【0026】
本実施形態の場合、一方凸部22と他方凸部24とは、端面12aの長手方向Xに沿って交互に配置されている。また、一方凸部22と他方凸部24とは、その突出方向に対する垂直方向の寸法である厚みD1が同様とされ、厚みD1は板状パネル12の厚みDの半分以下に設定されている。また、一方凸部22と他方凸部24とは、その突出した長さLも同様であり、図2及び図3の場合、その長さLを板状パネル12の厚みD(端面12aの短手方向Zの寸法)と同様にすることで、複数の板状パネルを組立てた後の揺れないしグラつきを防止している。
【0027】
そして、この凸部20には溝部30が形成されている。溝部30は、複数の板状パネル12の端部領域を互いに突き当てるように集結させた際、複数の溝部30が集まって、連結部材40を挿入するための貫通孔を形成するためのものである。すなわち、後述する図9に示すように、複数の凸部20が並ぶ方向(図9のX方向)に連結部材40が挿入されて、連結部材40と係合するようになっている。
具体的には、図2及び図3に示すように、一方凸部22には他方の領域E2側に臨んで開口された溝部31が、他方凸部24には一方の領域E1側に臨んで開口された溝部32が形成されている。本実施形態の場合、凸部20は、矩形状(先端面は板状本体の端面12aと平行であり、側面は板状本体の側面と平行であり、主面は板状本体の主面と平行)の一部に溝部30を設けたような形状であり、側面視において、略コの字ないしCの字状とされている。
また、溝部31と溝部32とは、凸部20の突出方向Yについて略同じ位置に形成され、このため、図3の側面視において、端面の長手方向に貫通した空間が形成されるようになっている。具体的には、図3の側面視において、溝部31の開口と溝部32の開口とが対向するように視認され、溝部31及び溝部32で略四角形状の空間が画されるようになっている。この空間が、上述した凸部20を集中させた集結領域に形成された貫通孔(図9のHO)に対応し、また、連結部材40の断面形状に対応する。
【0028】
さらに、この溝部30(31,32)は、凸部20が突出する方向Yの先端部20aと根元部20bを除く中央領域に形成されている。このように、先端部20aに溝部30を形成しないのは、その内壁と連結部材40の外周とを係合させるためである。また、根元部20bに溝部30を形成しないのは、連結する別の板状パネルの凸部を挿入できるようにするためである。本実施形態の場合、先端部20aの突出方向Yの寸法L1と、根元部20bの突出方向Yの寸法L2とは同様とされている。
また、この溝部30は、端面20aの長手方向Xに沿って形成されている。すなわち、溝部30は、凸部20の全幅(凸部20のX方向の寸法全体であり、凸部領域Tの全体)に形成されている。
【0029】
なお、凸部20は図2及び図3のような形状に限られるものではなく、例えばこの凸部の変形例である図6に示すように、凸部20の先端部20aの厚みD2と根元部20bの厚みD3は異なっていてもよい。但し、その際は、一方凸部22と他方凸部24の形状自体(方向性は別)は同様であるのが好ましく、また、凸部20と端面12aとの接合強度を考慮して、根元部20bの厚みD3が先端部20aの厚みD2に比べて大きい方が好ましい。
【0030】
また、本発明の板状パネルは、凸部20の構成が以上のようになっていれば、端面12aと端面12bとは、必ずしも同様な構成でなくてもよい。図7はこれを説明するためのものであり、図2の板状パネル12の第2の変形例に係る板状パネル50の概略斜視図である。なお、図7は、図面の煩雑さを回避するため、板状パネルの厚みを図示していない。そして、理解の便宜のため、一方凸部22(図7の場合、図面の表面に向って開口した溝部を有する凸部を一方凸部としている)には平行斜線を付し、他方の凸部24には平行斜線を付さず、また、板状パネル50を矢印方向に反転ないし回転させた状態を破線で表している。この板状パネル50は、左側の端面12aに2つずつ凸部領域Tと空間領域Vが配置されているのに対して、右側の端面12bには4つずつ凸部領域及び空間領域が配置されている。このようにしても、矢印に示すようパネルを反転ないし回転させて、板状パネルを破線で表した図のように配置することができる。したがって、この破線で示したパネルが板状パネル50とは別部材のパネル(構成は同じ)であれば、複数の板状パネルの互いの凸部領域と空間領域とを係合させ、かつ、各一方の領域側及び他方の領域側に各一方凸部22及び他方凸部24の夫々を突き当てることができる。
【0031】
この点、図2に示すように、本実施形態の板状パネル12では、両側の端面の一方12aと他方12bとは、その端面の長手方向(図2のX方向)を軸周りに180度回転させて視認した際、すなわち、図2の矢印S2の方向に反転させると、同様の構成となるように形成されている。これにより、パネルの方向性を図7のように考慮することなく、簡単に複数の板状パネル12を連結できる。この点については、後述する棚10の組立て方法の欄でさらに説明する。
【0032】
次に、連結部材40について説明する(なお、以下の符号については図2ないし図4を適宜参照)。
連結部材40は、複数の板状パネル12の端部領域を互いに突き当たるように集結させた際、上述した溝部30が集結して形成された貫通孔を埋めるように挿入され、その溝部の内面と係合される部材である。
この連結部材40は、複数の板状パネルのうち、一方のパネルの一方凸部及び他方凸部に形成された溝部の開口と、その一方のパネルに連結しようとする他方のパネルの一方凸部及び他方凸部に形成された溝部の開口とを対向させたと仮想した状態における、これら溝部で画される空間に対応した太さを有する棒状体である。例えば、図9の場合、連結部材40は、一方のパネル12−2の一方凸部22−2及び他方凸部24−2に形成された溝部30の開口と、この一方のパネル12−2に並べて配置された他方のパネル12−4の一方凸部22−4及び他方凸部24−4に形成された溝部30の開口とを対向させた状態における、これら溝部で画される空間HOAに対応した断面を有している。換言すれば、本実施形態の連結部材40は、図3の側面視において溝部31及び溝部32で画される空間に対応した断面を有している。
【0033】
具体的には、連結部材40は、図3の当該空間に対応した略四角形状の断面を有する真っ直ぐな棒状体であり、平行な2辺の寸法Hが板状パネル12の厚みDよりも小さく形成されている。また、棒状体の長さL4は、端面12aの長手方向Xの全寸法と同じ長さに形成されている。これにより、端面12aの一方凸部22及び他方凸部24に形成された溝部31,32に、連続して挿入できるようになっている。
なお、本実施形態の連結部材40の断面形状は略四角形状とされているが、本発明の連結部材の形状はこれに限られるものではなく、複数の溝部で画される形状に対応すれば、その他の多角形或いは円形状であってもよい。
【0034】
そして、本実施形態の連結部材40には、次にような工夫が施されている。
すなわち、図4に示すように、複数の溝部で画される空間に円滑に挿入することができるように、片側先端が窄まっている。また、もう片方の先端には、ビス等のネジ類が挿入できるように、ネジ穴44が形成されている。これにより、図1の平行斜線で示す領域に絵画やポスター等の印刷物を配置し、その四つ角にネジ類42を挿入すれば、そのネジ類42の頭部で印刷物を押さえて固定できる。
本実施形態の棚10の構造は以上の通りであり、次に、この棚10の組み立て方法について説明する。
【0035】
〔棚10の組み立て方法〕
図8は、図1の棚10を構成する複数の板状パネルである第1ないし第4のパネル12−1〜12−4の端部領域を集中させようとしている図であり、図9は、第1・2・4のパネル12−1・12−2・12−4の端部領域を集中させ、そこに第3のパネル12−3と連結部材40を組み込もうとしている図である。なお、これらの図で図1乃至図7と同一の符号を付した箇所は共通する構成である。また、以下の「一方凸部」「他方凸部」「溝部」「凸部領域」「空間領域」は、図2で説明した同じ名称のものと共通する構成である。
【0036】
第1ないし第4のパネル12−1〜12−4を連結するには、第1ないし第4のパネル12−1〜12−4の端部領域(端面や凸部を含む先端領域)を一箇所に集中させた後に、棒状の連結部材40を挿入するだけでよい。
すなわち、図8のように第1ないし第4のパネル12−1〜12−4を用意する。この際、第1ないし第4のパネル12−1〜12−4は同じ構成であるため、多数保管してあるパネルの中からどのパネルを選択してもよい。
次に、第1ないし第4のパネル12−1〜12−4の端部領域を互いに突き合わせるように集中させる。その集中させる順番は特に問わないが一例を説明すると以下の通りである。
【0037】
先ず、図8及び図9に示すように、2枚のパネル、この場合、第2のパネル12−2と第4のパネル12−4とを同じ向きに並べて、互いの端部領域を突き合わる(ステップ1)。すなわち、第2及び第4のパネルの各一方凸部22−2,22−4の先端を、第2及び第4のパネルの各他方の領域E2の夫々に突き当て、第2及び第4のパネルの各他方凸部24−2,24−4の先端を、第2及び第4のパネルの各一方の領域E1の夫々に突き当てる。
ところで、例えば図7の場合は、特定の板状パネルを基準にして、その特定の板状パネルの端部領域に突き合わせようとする別の板状パネルを回転ないし反転させて、初めて突き合わせが可能となる。ところが、本実施形態の板状パネルは、図2に示すように、両端面の一方12aと他方12bとは、当該端面の長手方向を軸周りに180度回転させて視認した際、同様の構成となるように形成されている。このため、第2のパネル12−2と第4のパネル12−4とを同じ向きに並べさえすれば、図8及び図9に示すように、第2のパネル12−2の端面12b(図2の端面12bと同じ構成)と第4のパネル12−4の端面12a(図2の端面12aと同じ構成)とを対向させて、端部領域の容易な突き合わせが可能となる。
そして、このように主面を並べて端部領域を突き合わせると、図9のように互いの端部領域が集中し、第2のパネルの一方凸部22−2の溝部30と第4のパネルの一方凸部22−4の溝部30、及び、第2のパネルの他方凸部24−2の溝部30と第4のパネルの他方凸部24−4の溝部30が夫々対向し、連結部材40を挿入するための貫通孔HOの一部空間HOAを形成する。また、第2のパネル12−2の空間領域Vと第4のパネル12−4の空間領域Vも集中ないし対向して、一つのまとまった空間になる。
【0038】
次に、図9に示すように、複数の空間領域Vがまとまった空間に、第1のパネル12−1の一方及び他方凸部22−1,24−1を差し入れる(ステップ2)。すなわち、第1のパネル12−1と第2及び第4のパネル12−2,12−4との先端面どうしを沿わせるようにして、互いの主面が垂直となるように配置する。
【0039】
次に、第3のパネル12−3を第1のパネル12−1と同じ向きにして、第3のパネルの端面12bを第1のパネルの端面12aに突き当てる(ステップ3)。
そうすると、第3のパネルの一方凸部22−3の先端は第2及び第4のパネルの空間領域Vを通って第1のパネルの他方の領域E2に突き当たり、また、他方凸部24−3の先端は第2及び第4のパネルの空間領域Vを通って、第1のパネルの一方の領域E1に突き当たる。そして、第1のパネルの一方凸部22−1の溝部30と第3のパネルの一方凸部22−3の溝部30、及び第1のパネルの他方凸部24−1の溝部30と第3のパネルの他方凸部24−3の溝部30がそれぞれ対向して、連結部材40を挿入するための貫通孔HOの一部空間を形成すると共に、これが前記ステップ1で形成した一部空間HOAとつながって、貫通孔HOが形成される。
【0040】
次に、形成された貫通孔HOに棒状体である連結部材40を挿入する(ステップ4)。これにより、連結部材40の外周面と各凸部20の溝部30の内壁とが係合して、連結部材40と各パネル12−1〜12−4とが互いに係止する。
そして、各パネルは、連結部材40を引き抜かない限り、図9のX,Y,Z方向のいずれの方向にも抜けなくなる。これを第1のパネル12−1を代表例として図9を用いて説明すると以下の通りである。
すなわち、第1のパネル12−1のY方向の移動について、凸部22−1,24−1の溝部30の内面が連結部材40の外周と係合するため規制される。また、Z方向の移動については、凸部22−1,24−1が第2及び第4のパネル12−2,12−4の端面と当接するため規制される。また、X方向の移動については、凸部22−1,24−1が第2及び第4のパネル12−2,12−4の凸部20と当接するため規制される。
なお、このようなパネルの移動規制は、例えば図1の最上段の板状パネル12−7にも発揮される。すなわち、Y方向の移動は上記第1のパネルと同様に、連結部材40と溝部との係合で規制され、X方向の移動は、水平方向に隣接する他のパネルの凸部同士の係合で規制される。また、Z方向の下側の移動については、パネル12−7の凸部がパネル12−1の端面に当接して規制され、Z方向の上側の移動については、一方凸部或いは他方凸部のいずれかが連結部材に当接して規制される。
【0041】
なお、以上のステップ1〜ステップ4の組み立て方法は、理解の便宜のために、組立て手順を分けて説明した一例であり、板状パネルの方向性に気を配る必要性が少ないことなどから、第1ないし第4のパネル12−1〜12−4の端部領域を略同時に突き合わせて、より簡単に組み立てることができる。
そして、以上のような複数の板状パネルの端部領域の連結を、第1ないし第4のパネル12−1〜12−4の連結していない端面側についても行い、連続して好きなだけ複数の板状パネルを組み合わせることができる。
【0042】
本発明の実施形態の組立て式構造体は以上のように構成され、少ない部材の種類(板状パネルと連結部材)により構造体を組立て、しかも、板状パネルの方向性に気を配る必要性も少ないため、容易な組立てが可能となる。また部材の種類が少ないため、その保管も容易である。さらに、板状パネルの端部領域を順次組み合わせて大きさを自由に変えられる。しかも、構造体を解体した後は、薄い板状と棒状の部材だけなので、保管スペースも小さくできる。
【0043】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、本発明の組立て式構造体は、図1に示される棚に限られるものではなく、板状パネルの幅を小さくして、図1の平行斜線で示す展示用のパネル等を取り付けるためだめの展示用什器として使用されてもよい。また、4枚のパネルで図1のような枠状体FRのみを形成し、板状の側面を床に載置するようにしてテーブル台にしてもよい。
また、上記実施形態では、板状の長手方向の両端面に凸部を設けたが、短手方向の両端面に凸部を設けても勿論よい。あるいは、板状の長手方向の片側の端面と短手方向の片側の端面に凸部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10・・・組立て式構造体(棚)、12,12−1,12−2,12−3,12−4・・・板状パネル、12a,12b・・・端面、20・・・凸部、22,22−1,22−2,22−3,22−4・・・一方凸部、24,24−1,24−2,24−3,24−4・・・他方凸部、30・・・溝部、40・・・連結部材、HO・・・貫通孔、E1・・・一方の領域、E2・・・他方の領域、T・・・凸部領域、V・・・空間領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの端面を有する複数の板状パネルどうしを、連結部材を利用して組立ててなる組立て式構造体であって、
前記2つの端面の夫々には、前記板状の主面に沿って外側に突出した凸部が設けられた複数の凸部領域と、前記凸部が設けられていない複数の空間領域とが、前記端面の長手方向に同じ数だけ交互に並べられ、
前記複数の凸部領域及び前記複数の空間領域について、前記長手方向の寸法が、前記長手方向の最も中央寄りにある前記凸部領域と前記空間領域との境目を中心に対称とされており、
前記凸部は、前記端面の短手方向の一方の領域に配置された一方凸部と、他方の領域に配置された他方凸部とからなり、前記一方凸部と他方凸部とは異なる前記凸部領域に配置され、
前記一方凸部には前記他方の領域側に臨んだ溝部が、前記他方凸部には前記一方の領域側に臨んだ溝部が、夫々、前記凸部が突出する方向の先端部と根元部を除くようにして前記端面の長手方向に沿って形成され、
前記連結部材は、前記複数の板状パネルのうち、一方のパネルの前記一方凸部及び前記他方凸部に形成された前記溝部の開口と、前記一方のパネルに連結しようとする他方のパネルの前記一方凸部及び前記他方凸部に形成された前記溝部の開口とを対向させた状態における、これら溝部で画される空間に対応した太さを有する棒状体である
ことを特徴とする組立て式構造体。
【請求項2】
前記板状パネルの前記2つの端面の一方と他方とは、その端面の長手方向を軸周りに180度回転させて視認した際、同様の構成とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の組立て式構造体。
【請求項1】
2つの端面を有する複数の板状パネルどうしを、連結部材を利用して組立ててなる組立て式構造体であって、
前記2つの端面の夫々には、前記板状の主面に沿って外側に突出した凸部が設けられた複数の凸部領域と、前記凸部が設けられていない複数の空間領域とが、前記端面の長手方向に同じ数だけ交互に並べられ、
前記複数の凸部領域及び前記複数の空間領域について、前記長手方向の寸法が、前記長手方向の最も中央寄りにある前記凸部領域と前記空間領域との境目を中心に対称とされており、
前記凸部は、前記端面の短手方向の一方の領域に配置された一方凸部と、他方の領域に配置された他方凸部とからなり、前記一方凸部と他方凸部とは異なる前記凸部領域に配置され、
前記一方凸部には前記他方の領域側に臨んだ溝部が、前記他方凸部には前記一方の領域側に臨んだ溝部が、夫々、前記凸部が突出する方向の先端部と根元部を除くようにして前記端面の長手方向に沿って形成され、
前記連結部材は、前記複数の板状パネルのうち、一方のパネルの前記一方凸部及び前記他方凸部に形成された前記溝部の開口と、前記一方のパネルに連結しようとする他方のパネルの前記一方凸部及び前記他方凸部に形成された前記溝部の開口とを対向させた状態における、これら溝部で画される空間に対応した太さを有する棒状体である
ことを特徴とする組立て式構造体。
【請求項2】
前記板状パネルの前記2つの端面の一方と他方とは、その端面の長手方向を軸周りに180度回転させて視認した際、同様の構成とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の組立て式構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−143064(P2011−143064A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6124(P2010−6124)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(397008948)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(397008948)
【Fターム(参考)】
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