説明

組立式の被保護体収容浮遊体

【課題】災害時など、水面上に浮遊した浮遊体への被保護体の出し入れ作業が容易にできるようにすると共に、浮遊体の不使用時に、浮遊体を狭い収容室間に収容することが容易にできるようにする。
【解決手段】組立式の被保護体収容浮遊体が、上方に向かって開口する防水膜材製の箱体6と、それぞれ縦方向に延び、箱体6の側壁膜7内面に沿う水平方向で複数枚並設され、側壁膜7内面に全体的に接触する剛性の側板10と、箱体6の底部膜8に沿って延び、各側板10の下端部で囲まれた空間に嵌入されると共に底部膜8の上面に全体的に接触する剛性の底板11とを備える。各側板10と底板11とによって箱体6が所定形状に保形される。浮遊体1は、その内部に被保護体2を収容して水面3a上を浮遊できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水害時などに、その内部に人や家財など保護されるべき被保護体を収容して、水面上に浮遊可能とされる組立式の被保護体収容浮遊体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記組立式の被保護体収容浮遊体には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、浮遊体は、内部に被保護体を収容し、密閉状態で浮遊可能とされる袋体であり、これにより、上記被保護体が水没しないよう保護されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−29172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の技術の浮遊体は袋体であることから、水面上に浮遊した浮遊体の内部を外部に開放した場合には、その内部の空気が水圧により直ちに排出されて、この浮遊体は容易に水没しがちとなる。このため、水害時に特に多く要求される作業であって、水面上に浮遊した浮遊体に対し被保護体を出し入れするという作業をするとき、上記浮遊体は容易に水没しがちとなることから、この浮遊体への被保護体の出し入れ作業は容易にはできないという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、災害時など、水面上に浮遊した浮遊体への被保護体の出し入れ作業が容易にできるようにすると共に、浮遊体の不使用時に、この浮遊体を狭い収容室間に収容することが容易にできるようにすることである。
【0006】
請求項1の発明は、上方に向かって開口する防水膜材製の箱体6と、それぞれ縦方向に延び、この箱体6の側壁膜7内面に沿う水平方向で複数枚並設され、この側壁膜7内面に全体的に接触する剛性の側板10と、上記箱体6の底部膜8に沿って延び、上記各側板10の下端部で囲まれた空間に嵌入されると共に上記底部膜8の上面に全体的に接触する剛性の底板11とを備え、上記各側板10と底板11とによって上記箱体6が所定形状に保形され、その内部に被保護体2を収容して水面3a上を浮遊できるようにしたことを特徴とする組立式の被保護体収容浮遊体である。
【0007】
請求項2の発明は、上記箱体6から外側方に向かって突出し、水面3a上に浮遊可能な浮体25を設けたことを特徴とする請求項1に記載の組立式の被保護体収容浮遊体である。
【0008】
請求項3の発明は、上記浮体25を板形状とし、この浮体25の基端部25aにおける下端部を上記箱体6の下端部に連結し、この連結部32を中心として上記浮体25を下方回動B可能にする一方、上記浮体25の基端部25aにおける上部を上記箱体6の側壁膜7を介し上記側板10に当接させたことを特徴とする請求項2に記載の組立式の被保護体収容浮遊体である。
【0009】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0010】
本発明による効果は、次の如くである。
【0011】
請求項1の発明は、上方に向かって開口する防水膜材製の箱体と、それぞれ縦方向に延び、この箱体の側壁膜内面に沿う水平方向で複数枚並設され、この側壁膜内面に全体的に接触する剛性の側板と、上記箱体の底部膜に沿って延び、上記各側板の下端部で囲まれた空間に嵌入されると共に上記底部膜の上面に全体的に接触する剛性の底板とを備え、上記各側板と底板とによって上記箱体が所定形状に保形され、その内部に被保護体を収容して水面上を浮遊できるようにしている。
【0012】
このため、上記浮遊体は上方に向かって開口したまま、水面上に浮遊した状態に保持される。よって、災害時など、水面上を浮遊する浮遊体への被保護体の出し入れ作業は容易にできる。
【0013】
一方、上記浮遊体の不使用時には、上記箱体から上記各側板や底板を離脱させて互いに重ね合わせる一方、上記箱体を収縮させ、かつ、これら箱体、側板、および底板を結束するなど束ねてやれば、上記浮遊体をコンパクトにすることができる。よって、浮遊体の不使用時に、上記のように浮遊体をコンパクトにしてやれば、この浮遊体の持ち運びなど取り扱いが容易にできると共に、この浮遊体を狭い収容空間に収容することが容易にできる。
【0014】
請求項2の発明は、上記箱体から外側方に向かって突出し、水面上に浮遊可能な浮体を設けている。
【0015】
このため、上記水面上を浮遊する箱体がローリングやピッチングすることは上記浮体により防止され、この浮体は上記箱体を安定して浮遊させるためのスタビライザとして働く。よって、水面上を浮遊する浮遊体への被保護体の出し入れ作業時に、上記浮遊体が不安定に作動することが防止されて、上記出し入れ作業がより容易にできる。
【0016】
また、上記水面上を流動してきた何らかの物体が上記箱体に衝突しようとするとき、これに先立ち、上記水面上に浮遊可能な上記浮体が上記物体と衝突してバンパーとして働くことから、上記した物体の衝突による箱体の損傷が防止される。
【0017】
請求項3の発明は、上記浮体を板形状とし、この浮体の基端部における下端部を上記箱体の下端部に連結し、この連結部を中心として上記浮体を下方回動可能にする一方、上記浮体の基端部における上部を上記箱体の側壁膜を介し上記側板に当接させている。
【0018】
このため、上記浮体に与えられる浮力によって、この浮体が上記連結部を中心として上方回動しようとすることは、上記したように、浮体の基端部の上部が上記側板に当接することによって規制される。よって、上記浮体は箱体と一体化された状態となって、この箱体のスタビライザとして効果的に働くことから、浮遊体への被保護体の出し入れ作業はより容易にできる。
【0019】
一方、上記連結部を中心とした浮体の下方回動が可能なことから、この下方回動により、この浮体を上記箱体の底部膜の下面に当接させるなど沿わせてやれば、上記浮遊体をコンパクトにすることができる。よって、浮遊体の不使用時に、上記のように浮遊体をコンパクトにしてやれば、この浮遊体の持ち運びなど取り扱いが容易にできると共に、この浮遊体を狭い収容空間に収容することが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】全体側面図である。
【図2】全体平面図である。
【図3】正面部分破断図である。
【図4】全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の組立式の被保護体収容浮遊体に関し、災害時など、水面上に浮遊した浮遊体への被保護体の出し入れ作業が容易にできるようにすると共に、浮遊体の不使用時に、この浮遊体を狭い収容室間に収容することが容易にできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0022】
即ち、組立式の被保護体収容浮遊体は、上方に向かって開口する防水膜材製の箱体と、それぞれ縦方向に延び、この箱体の側壁膜内面に沿う水平方向で複数枚並設され、この側壁膜内面に全体的に接触する剛性の側板と、上記箱体の底部膜に沿って延び、上記各側板の下端部で囲まれた空間に嵌入されると共に上記底部膜の上面に全体的に接触する剛性の底板とを備えている。上記各側板と底板とによって上記箱体が所定形状に保形される。このように形成された浮遊体は、その内部に被保護体を収容して水面上を浮遊できることとされる。
【実施例】
【0023】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0024】
図において、符号1は浮遊体であり、この浮遊体1は、水害時などに、その内部に人や家財など保護されるべき被保護体2を収容して、洪水などの水3の水面3a上に浮遊可能とされるものである。
【0025】
上記浮遊体1は、全体として直方体形状をなし上方に向かって開口する防水膜材製の箱体6を備えている。この箱体6は、その平面視で長方形の枠形状とされる側壁膜7と、この側壁膜7の下端開口を密閉するようこの側壁膜7の下端縁部に結合される長方形状の底部膜8とを備えている。また、上記側壁膜7は、箱体6の平面視で各短辺部を構成する一対の短辺側壁膜7aと、各長辺部を構成する一対の長辺側壁膜7bとを備えている。上記箱体6は、所定寸法の防水膜材を互いに熱溶着により結合することにより、一体的に形成されている。
【0026】
上記箱体6を形成する膜材は、汎用のテント等に用いられるものであって、繊維織物の両面を合成樹脂でコーティングしたものである。この樹脂は、熱溶着による接合が可能な熱可塑性樹脂のポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリウレタン(PU)などとされる。
【0027】
上記浮遊体1は、それぞれ縦方向に延び、上記箱体6の側壁膜7内面に沿う水平方向で複数枚(4枚)並設され、この側壁膜7内面に全体的に接触する剛性の側板10と、上記箱体6の底部膜8に沿って延び、上記各側板10の下端部で囲まれた平面視で長方形状の空間に密嵌状に嵌入されると共に上記底部膜8の上面に全体的に接触する剛性で長方形状の底板11とを備えている。
【0028】
具体的には、上記側板10は、箱体6の平面視で各短辺部を構成する一対の短辺側板10aと、各長辺部を構成する一対の長辺側板10bとを備えている。また、上記箱体6の幅方向を左右としたとき、上記底板11は左右一対の底板部材11a,11aと、これら両底板部材11a,11aを互いに枢支させる膜材製のヒンジ11bとを備えている。このヒンジ11bは、上記左右底板部材11a,11aの互いの対向縁部の上面に結合され、これら左右底板部材11a,11aは上記ヒンジ11bにより谷折れ状に回動Aするよう互いに枢支されている(図3中、一点鎖線)。
【0029】
上記側板10の各縦寸法は400〜500mm、底板11の幅寸法×長さ寸法は900×1800mm程度であり、これら側板10と底板11との各厚さ寸法は20〜40mm程度であって、30mm程度にすることが好ましい。また、上記側板10と底板11とは、それぞれ水面3a上に浮遊可能な板本体14と、この板本体14を密閉状に覆うシート状の表皮体15とを備えている。上記板本体14は多孔性樹脂である発泡ポリスチレン製であり、上記表皮体15は樹脂性のシート又は、上記箱体6と同様の材質を利用できるが、好ましくは低発泡ポリエチレンシートとされている。
【0030】
上記各長辺側壁膜7bの上端縁部の内面に沿ってそれぞれ水平に延び、この内面に熱溶着や縫製等により固着される樹脂製の係止体17が設けられている。この係止体17は、上記長辺側壁膜7bの上端縁部の内面に固着される基板18と、この基板18から上記箱体6の内方に向かって一体的に突設される断面が倒立L字形状の一対の突条体19とを備えている。上記基板18と突条体19との間には、下方に向かって開口する係止溝20が形成され、この係止溝20に対し、上記長辺側板10bの上端縁部が嵌脱可能に嵌入されて、上記係止体17に係止されている。また、上記係止体17は上記各長辺側板10bの上端縁部を補強し、これにより、この上端縁部は直線形状を保つよう保形されている。このため、上記長辺側板10bを上記長辺側壁膜7bに固定する際、固定位置がずれることなく容易に位置決めをすることが可能となる。
【0031】
また、上記箱体6の側壁膜7の各部を上記側板10に着脱可能に固着させる面ファスナーである固着具22が設けられている。
【0032】
上記箱体6の下端部から、この箱体6の幅方向における外側方に向かって突出し、水面3a上に浮遊可能な左右一対の浮体25,25と、これら各浮体25を上記箱体6の側壁膜7の上部に連結して支持する支持具26とが設けられている。上記各浮体25は、水平方向に延びる板形状とされ、前記側板10や底板11と同様に板本体14と表皮体15とを備えている。上記浮体25の幅寸法は80〜180mm、厚さ寸法は40〜60mmであって、上記側板10や底板11よりも厚くされ、50mm程度にすることが好ましい。
【0033】
上記支持具26は、上記箱体6の側壁膜7の上部と浮体25とを連結するバンド28と、このバンド28の長手方向の中途部同士を着脱可能に連結するバックル29とを備えている。なお、図示しないが、上記バンド28の長さは調整可能とされている。
【0034】
上記浮体25における上記箱体6側の端部が上記浮体25の基端部25aに相当する。この浮体25の基端部25aにおける下端部の表皮体15は、上記箱体6の下端部の外面である底部膜8の下面に熱溶着により連結され、この連結部32を中心として上記浮体25が下方回動B可能とされる。一方、上記浮体25の基端部25aにおける上部は、上記箱体6の側壁膜7を介し上記側板10に当接させられている。これにより、上記浮体25は、上記箱体6の下端部から外側方に向かって突出した姿勢から、上記連結部32を中心として自由に上方回動しようとすることが規制されている。
【0035】
上記箱体6の上端開口を開閉可能に閉じるカバー体34が設けられる。このカバー体34は、上記側壁膜7の上端縁部に取り付けられた複数(4つ)の係止具35と、これら各係止具35に着脱可能に架設される一対の弾性のカバーフレーム36,36と、これらカバーフレーム36,36と上記箱体6とをその上方から取り外し可能に覆うと共に、上記カバーフレーム36,36に支持されるカバーシート37とを備えている。
【0036】
上記カバーフレーム36は、上記箱体6の上端開口を跨ぎ、上方に凸の円弧形状となるよう上記各係止具35に架設される。また、上記両カバーフレーム36,36は、平面視で互いに交差するよう設置される。上記カバーシート37は樹脂製で、防水性かつ透明とされている。
【0037】
上記箱体6の各長辺側壁膜7bの外面には、それぞれベルト製の把手40が取り付けられている。
【0038】
そして、上記各側板10、底板11、係止体17、および固着具22によって、上記箱体6が所定の直方体形状に保形される。このように形成された浮遊体1は、その内部に被保護体2を収容して、水面3a上を浮遊できることとされている。また、上記箱体6と共に水面3a上に浮遊可能な上記各浮体25は、上記箱体6が特にローリングすることを防止し、この箱体6のスタビライザとして働く。
【0039】
上記浮遊体1の不使用時に、これをコンパクトに収納しようとする場合には、例えば、上記浮遊体1を次のように折り畳めばよい。
【0040】
即ち、図1中、一点鎖線で示すように、まず、左右底板部材11a,11aを谷折れするよう回動Aさせて互いに重ね合わせ、次に、これを縦向き姿勢として上記両長辺側板10b,10bのうち、一方の長辺側板10bに重ね合わせる。次に、上記両短辺側板10a,10aを上記箱体6の長手方向に列設して、上記両底板部材11a,11aに重ね合わせる。次に、上記両短辺側板10a,10aに対し他方の長辺側板10bを重ね合わせ、これら各板10,11の外面に全体的に接触するよう上記箱体6を収縮させる。
【0041】
一方、図1中、一点鎖線で示すように、上記各支持具26のバックル29を外して、上記各連結部32を中心として上記各浮体25を下方回動Bさせ、上記箱体6の底部膜8の下面に当接させ、不図示の固着具などにより固着させる。
【0042】
そして、上記のようにコンパクトにした浮遊体1を不図示のバンドで結束すれば、この浮遊体1の厚さ寸法は150〜200mm程度となる。このため、上記浮遊体1の持ち運びは、前記把手40を把持するなどして容易にできると共に、狭い収納空間への収納も容易にできる。
【0043】
上記構成によれば、上方に向かって開口する防水膜材製の箱体6と、それぞれ縦方向に延び、この箱体6の側壁膜7内面に沿う水平方向で複数枚並設され、この側壁膜7内面に全体的に接触する剛性の側板10と、上記箱体6の底部膜8に沿って延び、上記各側板10の下端部で囲まれた空間に嵌入されると共に上記底部膜8の上面に全体的に接触する剛性の底板11とを備え、上記各側板10と底板11とによって上記箱体6が所定形状に保形され、その内部に被保護体2を収容して水面3a上を浮遊できるようにしている。
【0044】
このため、上記浮遊体1は上方に向かって開口したまま、水面3a上に浮遊した状態に保持される。よって、災害時など、水面3a上を浮遊する浮遊体1への被保護体2の出し入れ作業は容易にできる。
【0045】
一方、上記浮遊体1の不使用時には、上記箱体6から上記各側板10や底板11を離脱させて互いに重ね合わせる一方、上記箱体6を収縮させ、かつ、これら箱体6、側板10、および底板11を結束するなど束ねてやれば、上記浮遊体1をコンパクトにすることができる。よって、浮遊体1の不使用時に、上記のように浮遊体1をコンパクトにしてやれば、この浮遊体1の持ち運びなど取り扱いが容易にできると共に、この浮遊体1を狭い収容空間に収容することが容易にできる。
【0046】
また、前記したように、箱体6から外側方に向かって突出し、水面3a上に浮遊可能な浮体25を設けている。
【0047】
このため、上記水面3a上を浮遊する箱体6がローリングやピッチングすることは上記浮体25により防止され、この浮体25は上記箱体6を安定して浮遊させるためのスタビライザとして働く。よって、水面3a上を浮遊する浮遊体1への被保護体2の出し入れ作業時に、上記浮遊体1が不安定に作動することが防止されて、上記出し入れ作業がより容易にできる。
【0048】
また、上記水面3a上を流動してきた何らかの物体が上記箱体6に衝突しようとするとき、これに先立ち、上記水面3a上に浮遊可能な上記浮体25が上記物体と衝突してバンパーとして働くことから、上記した物体の衝突による箱体6の損傷が防止される。
【0049】
また、前記したように、浮体25を板形状とし、この浮体25の基端部25aにおける下端部を上記箱体6の下端部に連結し、この連結部32を中心として上記浮体25を下方回動B可能にする一方、上記浮体25の基端部25aにおける上部を上記箱体6の側壁膜7を介し上記側板10に当接させている。
【0050】
このため、上記浮体25に与えられる浮力によって、この浮体25が上記連結部32を中心として上方回動しようとすることは、上記したように、浮体25の基端部25aの上部が上記側板10に当接することによって規制される。よって、上記浮体25は箱体6と一体化された状態となって、この箱体6のスタビライザとして効果的に働くことから、浮遊体1への被保護体2の出し入れ作業はより容易にできる。
【0051】
一方、上記連結部32を中心とした浮体25の下方回動Bが可能なことから、この下方回動Bにより、この浮体25を上記箱体6の底部膜8の下面に当接させるなど沿わせると共に固着させてやれば(図3中、一点鎖線)、上記浮遊体1をコンパクトにすることができる。よって、浮遊体1の不使用時に、上記のように浮遊体1をコンパクトにしてやれば、この浮遊体1の持ち運びなど取り扱いが容易にできると共に、この浮遊体1を狭い収容空間に収容することが容易にできる。
【0052】
なお、以上は図示の例によるが、上記側板10、底板11、浮体25は、上記板本体14のみで構成してもよく、中空の防水性樹脂板で形成してもよい。また、上記表皮体15は上記板本体14の少なくとも一面のみを覆うものであってもよい。
【0053】
また、上記底板11の表皮体15は、上記底板11のヒンジ11bを兼ねていてもよい。この場合、ヒンジ11を兼ねる側の表皮体15の面は、上記両底板部材11a,11aを跨ぐように設けられ、他面は、両底板部材11a,11aごとに個別に独立して表皮体15を設けることによって、左右両底板部材11a,11aを谷折れ状に回動させることが出来る。この場合、上記した表皮体15の他面は設けなくてもよい。
【0054】
また、浮遊体1の収納時など、この浮遊体1をコンパクトにする際に、折り畳まれることのない側壁膜7に固着される側板10、好ましくは上記長辺側壁膜7bに固着される上記長辺側板10bは、これら7b,10bを互いに着脱不可に固着して一体化してもよい。
【0055】
また、上記短辺側壁膜7aの上端縁部の内面に上記係止体17を固着させてもよい。また、上記係止体17と固着具22とはいずれか一方のみを設けてもよい。具体的には、上記係止体7を用いない場合は、上記固着具22のみで、上記側板10を上記側壁膜7にを固着させてもよい。
【0056】
また、上記左右底板部材11a,11aはその下面にヒンジ11bを取り付けて山折れ状に回動するよう互いに枢支させてもよい。また、上記両底板部材11a,11aを互いに一体的に形成して一枚の底板11としてもよく、この場合、ヒンジ11bは不要となる。
【0057】
また、上記浮体25は、上記箱体6の短辺側板10aの下部から外側方に向かって突出するよう設けてもよい。また、上記浮体25の基端部25aにおける下端部の底部膜8への連結位置を、上記下端部の端から浮体25の厚さの1/2以上、より好ましくは浮体25の厚さ以上だけ箱体6の下端部の外縁部から内側にしてもよい。このようにすれば、浮遊体1をコンパクトにする際、両浮体25,25同士を重ね合わせることも可能となり、よりコンパクトに収納することができる。また、上記支持具26は剛性のバーにより形成してもよい。
【0058】
また、上記側板10や係止体17に孔を設け、この孔に上記カバーフレーム36の端部を嵌入させて係止させてやれば、上記各係止具35を不要として、上記各カバーフレーム36を側板10に架設することが可能となる。また、上記カバー体34は設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 浮遊体
2 被保護体
3 水
3a 水面
6 箱体
7 側壁膜
8 底部膜
10 側板
11 底板
25 浮体
25a 基端部
32 連結部
34 カバー体
A 回動
B 下方回動

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に向かって開口する防水膜材製の箱体と、それぞれ縦方向に延び、この箱体の側壁膜内面に沿う水平方向で複数枚並設され、この側壁膜内面に全体的に接触する剛性の側板と、上記箱体の底部膜に沿って延び、上記各側板の下端部で囲まれた空間に嵌入されると共に上記底部膜の上面に全体的に接触する剛性の底板とを備え、上記各側板と底板とによって上記箱体が所定形状に保形され、その内部に被保護体を収容して水面上を浮遊できるようにしたことを特徴とする組立式の被保護体収容浮遊体。
【請求項2】
上記箱体から外側方に向かって突出し、水面上に浮遊可能な浮体を設けたことを特徴とする請求項1に記載の組立式の被保護体収容浮遊体。
【請求項3】
上記浮体を板形状とし、この浮体の基端部における下端部を上記箱体の下端部に連結し、この連結部を中心として上記浮体を下方回動可能にする一方、上記浮体の基端部における上部を上記箱体の側壁膜を介し上記側板に当接させたことを特徴とする請求項2に記載の組立式の被保護体収容浮遊体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−156981(P2011−156981A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20653(P2010−20653)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000204192)太陽工業株式会社 (174)