説明

組立式サイコロ

【課題】 1種類の部品で構成でき、製造コストの低減を図ることができる組立式サイコロを提供する。
【解決手段】 組立式サイコロ10は、正方形状の6個の面部材20を正六面体状に連結してなり、面部材20の表面21に設けられ、個別の情報を表示する表示部22と、面部材20の裏面23に設けられ、一方の対辺の中点を結ぶ線に沿って延びる嵌合溝24と、他方の対辺の中点を結ぶ線に沿って設けられ、嵌合溝24と十字状に交差する凸状の嵌合片25と、を有する。面部材20の嵌合溝24に、隣り合う面部材20の嵌合片25を着脱可能に嵌合させて、隣り合う面部材20同士を直角に連結した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立式サイコロに関し、より詳細には、正方形状の面部材を正六面体状に連結してなる組立式サイコロに関するものである。
【背景技術】
【0002】
正方形状の面部材を正六面体状に連結するようにした組立式のサイコロが知られている。従来、この種のサイコロとして、各種の技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の表示玩具では、正六面体に形成された基枠の各面に、正方形の装着体を着脱可能に嵌め、装着体の表面に収容部を設け、収容部に情報表示カードを挿脱可能に収容する。この表示玩具によれば、装着体の色や配置を変えたり、情報表示カードを交換したりすることで、表示内容の異なる様々なサイコロを作ることができる。
【0004】
ところで、安くて面白い玩具が求められる中、組立式サイコロを低コストで製造できる技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−174968号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1の表示玩具は、装着体および基枠からなる2種類の部品で構成される。構成部品が1種類で済めば、成形金型や成形工程が削減でき、製造コストの低減を図ることができる。しかしながら、特許文献1の表示玩具において、装着体および基枠は、各々、サイコロを組み立てるうえで必須の要素であり、いずれも無くすことはできない。
【0007】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、1種類の部品で構成でき、製造コストの低減を図ることができる組立式サイコロを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、正方形状の6個の面部材を正六面体状に連結してなる組立式サイコロにおいて、前記面部材の表面に設けられ、個別の情報を表示する表示部と、前記面部材の裏面に設けられ、一方の対辺の中点を結ぶ線に沿って延びる嵌合溝と、前記面部材の裏面に設けられ、他方の対辺の中点を結ぶ線に沿って延びる凸状の嵌合片と、を有し、前記面部材の前記嵌合溝に、隣り合う他の面部材の前記嵌合片を着脱可能に嵌合させて、隣り合う面部材同士を直角に連結したことを特徴とする。
【0009】
上記発明は、前記隣り合う面部材の辺部同士を互いに離間させて、前記6個の面部材のそれぞれの周囲に隙間を設けたことを特徴とする。
上記発明は、前記嵌合溝と前記嵌合片との交差部に、前記隙間同士を互いに連通させる切り欠きを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、面部材の裏面に設けた嵌合溝および嵌合片によって、6個の面部材同士を連結できるので、従来の基枠が不要になる。よって、面部材のみで構成でき、製造コストの低減が図れる組立式サイコロを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態の組立式サイコロの斜視図である。
【図2】組立式サイコロの分解斜視図である。
【図3】組立式サイコロの構成を説明する図であり、(a)は裏面側から見た図、(b)は(a)のB矢視図である。
【図4】面部材の連結構造を説明する図である。
【図5】第2実施形態にかかる面部材の斜視図である。
【図6】第3実施形態にかかる面部材の斜視図である。
【図7】第4実施形態にかかる面部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための第1実施形態について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0013】
図1に示すように、第1実施形態の組立式サイコロ10は、正方形状の6個の面部材20を正六面体状に連結してなる。組立式サイコロ10では、出た面の情報の内容によって、勝敗や優劣などを競う。面部材20の表面21には、個別の情報を表示する表示部(たとえば、シール)22が設けられる。ここで、個別の情報は、対戦時の勝敗や優劣を判定するための面部材20の固有情報であって、たとえば、数字や文字の情報、あるいは、キャラクタや人、動物等を模した模様や写真などの情報である。
【0014】
図2に示すように、6個の面部材20は、全て同一の形態であり、たとえば、成形金型を用いて合成樹脂材料で成形される。裏面23には、嵌合溝24および凸状の嵌合片25が十字状に形成される。
【0015】
図3(a)および(b)に示すように、裏面23の4つの辺部には、外周全体に亘り、所定の大きさの面取り27が設けられる。嵌合溝24は、裏面23における一方の対辺の中点を結ぶ線C1線上に形成される。ここでは、中点を結ぶ線C1を挟むように1対の壁26を設け、これら1対の壁26の間を嵌合溝24として構成する。
【0016】
嵌合片25は、他方の対辺の中点を結ぶ線C2上に形成され、嵌合溝24と直交する。ここでは、嵌合片25は、1対の壁26のそれぞれの側面から他方の対辺に向けて形成される1対の壁で構成される。
【0017】
また、嵌合溝24の幅W1は、嵌合片25の幅W2と同程度またはそれよりも僅かに小さく設定される。これにより、嵌合片25が嵌合溝24に離脱可能に保持される。さらに、嵌合溝24の深さDは、嵌合片25の有効長さLと同程度に設定される。
【0018】
なお、面部材20の構成において、裏面23の外周全体に亘り、所定の大きさの面取り27を設けたが、面取り27の代わりに丸みを設けても差し支えない。
【0019】
続いて、組立式サイコロ10の連結構造を図4に基づいて説明する。
図4では、連結された3個の面部材20を示しており、面部材20の嵌合溝24には、他の面部材20の嵌合片25が着脱可能に差し込まれる。これにより、面部材20同士が直角に連結される。また、裏面23の面取り27によって、面部材20の辺部同士が、接触せずに離間する。結果、面部材20の周囲には、隙間29が形成される。このようにして、残りの3個の面部材20を連結すると、各面部材20の周囲に隙間29が形成された組立式サイコロ10(図1参照)が得られる。
【0020】
以上、説明した第1実施形態の組立式サイコロ10によれば、基枠を用いずに、正六面体状の組立式サイコロ10を組み立てることができる。したがって、構成部品の種類が1つ(面部材20)で済むため、製造コストおよび材料コストの低減が図れる。たとえば、組立式サイコロ10を合成樹脂で成形する場合、成形金型の種類および成形工程がそれぞれ1つで済むため、従来に比べ、大幅なコスト削減が図れる。
【0021】
ここで、連結構造の配置による効果について述べる。実施形態では、嵌合溝24や嵌合片25を裏面23に形成した。これに対して、面部材の辺部に連結構造を配置することも可能である。しかし、辺部に連結構造を配置すると、サイコロの見栄えが悪くなる。加えて、サイコロ内部が空洞になるため、外力に対して、組立式サイコロが変形し易くなる。この点、実施形態では、裏面23に連結構造を配置したので、連結構造が組立式サイコロ10の中に収まり、見栄えが良くなるうえ、剛性を高めることもできる。
【0022】
また、実施形態では、各面部材20の周囲に設けた隙間29によって、誤飲時に気道を確保するための空気流通路を各面部材20の辺部に沿って形成することができる。
【0023】
さらに、6個の面部材20の各々は、交換可能であるため、いわゆるカプセル玩具として単体での販売が可能である。よって、使用者は、色々な種類の面部材20を集め、集めた面部材20を任意に組み合わせて、様々な組立式サイコロ10を作って楽しむことができる。
【0024】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の組立式サイコロを図5に基づいて説明する。なお、前述した第1実施形態にかかる組立式サイコロ10と共通する部位には、同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする(第3実施形態以降についても同様)。
【0025】
前述した第1実施形態においては、1対の嵌合片25を断続的に形成したが、図5に示すように、嵌合片25Aを裏面23に連続的に形成してもよい。この第2実施形態によれば、前述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができることに加え、1対の壁26の中央部が連結されるので、剛性を一層高めることができる。
【0026】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の組立式サイコロを図6に基づいて説明する。
図6に示すように、第3実施形態の組立式サイコロでは、壁26Bと嵌合片25Bの交差部に、任意の形状の切り欠き(ここでは、球面状にえぐられた切り欠き)31,32を形成する。これらの切り欠き31,32によって、各面部材20Bの周囲の隙間29(図1参照)同士を連通させる空気流通路(たとえば、図6中、矢印(1),(2)で示す流通路)が形成される。したがって、第3実施形態によれば、前述した第1実施形態と同様の作用効果に加え、誤飲時の気道確保用の空気流通路をより適確に設けることができる。
【0027】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態の組立式サイコロを図7に基づいて説明する。
図7に示すように、第4実施形態では、交差部において、壁26Cおよび嵌合片25Cを裏面23まで完全に切り欠いた形態の切り欠き33,34を形成する。すなわち、交差部には、壁26Cおよび嵌合片25Cを形成せず、壁26Cおよび嵌合片25Cのそれぞれの離間部を切り欠き33,34として構成した。これら切り欠き33,34によって、各面部材20Cの周囲の隙間29(図1参照)同士を連通させる空気流通路(たとえば、図7中、矢印(3),(4)で示す流通路)が形成される。したがって、第4実施形態によれば、前述した第1実施形態と同様の作用効果に加え、誤飲時の気道確保用の空気流通路をより適確に設けることができる。
【0028】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。例えば、6つの面部材によって組立式サイコロが組み立てられた状態から各面部材を容易に取り外すために、各面部材の正方形状の4辺の中点付近に、取り外し用の切り欠き(ツメ)を形成してもよい。また、6つの面部材によって組立式サイコロが組み立てられた状態から他の同様の組立式サイコロと連結することができるように、各面部材の正方形状の辺に、連結用の突起(例えば、鍵状の突起)などを設けてもよい。また、面部材の表面には何も表示(記載)せずに、表示部(例えば、シール)を、別途、面部材の表面に取り付けられるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0029】
C1 一方の対辺の中点を結ぶ線
C2 他方の対辺の中点を結ぶ線
10 組立式サイコロ
20,20A,20B,20C 面部材
21 表面
22 表示部
23 裏面
24 嵌合溝
25,25A,25B,25C 嵌合片
29 隙間
31,32,33,34 切り欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正方形状の6個の面部材を正六面体状に連結してなる組立式サイコロにおいて、
前記面部材の表面に設けられ、個別の情報を表示する表示部と、
前記面部材の裏面に設けられ、一方の対辺の中点を結ぶ線に沿って延びる嵌合溝と、
前記面部材の裏面に設けられ、他方の対辺の中点を結ぶ線に沿って延びる凸状の嵌合片と、を有し、
前記面部材の前記嵌合溝に、隣り合う他の面部材の前記嵌合片を着脱可能に嵌合させて、隣り合う面部材同士を直角に連結したことを特徴とする組立式サイコロ。
【請求項2】
前記隣り合う面部材の辺部同士を互いに離間させて、前記6個の面部材のそれぞれの周囲に隙間を設けたことを特徴とする請求項1に記載の組立式サイコロ。
【請求項3】
前記嵌合溝と前記嵌合片との交差部に、前記隙間同士を互いに連通させる切り欠きを設けたことを特徴とする請求項2に記載の組立式サイコロ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−94572(P2013−94572A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242670(P2011−242670)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(597047130)株式会社ウィズ (19)