説明

組立式収納家具及びこれに用いられる連結具

【課題】 組み立て,解体作業を容易に行なうことができるようにするとともに、板材同士の位置決め精度や接合強度の向上を図る。
【解決手段】 複数の板材1をその各一側端面2を面一にして接合して形成され、隣接する板材1をこれらの接合部を跨いで設けられる連結具Jを介して連結して形成される組立式収納家具Kにおいて、各板材1の接合部から所定距離離間した位置に、各板材1の一側端面2に直交するスリットを形成し、連結具Jを、隣接する板材1の接合部を跨いで各板材1の一側端面2に当接するとともに両側縁11a間の巾が板材1の厚さに対応し且つ端縁11bがスリットの位置に至る基壁11と、基壁11の側縁11aに直角に連接され各板材1を挾持する挾持壁12と、基壁11の端縁11b及び挾持壁12の端縁12aの少なくともいずれか一方に直角に連接されスリットに嵌合して各板材1の移動を制止する制止壁とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の板材を接合して形成される組立式収納家具に係り、特に、隣接する板材をこれらの接合部を跨いで設けられる連結具を介して連結して形成される組立式収納家具及びこれに用いられる連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、組立式収納家具は、複数の板材を隣接させ、この隣接した各板材の接合部を、例えば、連結具で接合している。従来、連結具としては、例えば、隣接する板材をこれらの接合部を跨いで設けられる金属板で形成され、この金属板を、ネジや釘等を用いて固定している(例えば、特開2000−236954号公報等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−236954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の組立式収納家具及びこれに用いられる連結具においては、組み立て時に、ネジや釘等を隣接する各板材に打ち込まなければならず、それだけ、組み立て作業が煩雑になり、解体時には、打ち込んだネジや釘等を抜かなければならず、それだけ、解体作業も煩雑になっているという問題があった。また、ネジや釘で固定しているとはいっても連結具が金属板なので、板材同士の位置決め精度が必ずしも良いとはいえないとともに、接合強度も必ずしも高いとはいえないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、組み立て,解体作業を容易に行なうことができるようにするとともに、板材同士の位置決め精度や接合強度の向上を図った組立式収納家具及びこれに用いられる連結具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するため、本発明の組立式収納家具は、複数の板材をその各一側端面を面一にして接合して形成され、隣接する板材をこれらの接合部を跨いで設けられる連結具を介して連結して形成される組立式収納家具において、上記各板材の上記接合部から所定距離離間した位置に、該各板材の一側端面に直交するスリットを形成し、上記連結具を、上記隣接する板材の接合部を跨いで各板材の一側端面に当接するとともに両側縁間の巾が上記板材の厚さに対応し且つ端縁が上記スリットの位置に至る基壁と、該基壁の側縁に直角に連接され各板材を挾持する挾持壁と、上記基壁の端縁及び上記挾持壁の端縁の少なくともいずれか一方に直角に連接され上記スリットに嵌合して上記各板材の移動を制止する制止壁とを備えて構成している。
【0007】
これにより、この組立式収納家具を組み立てるときは、複数の板材をその各一側端面を面一にして隣接させ、各板材の一側端面側から連結具を差し込んで、その基壁の内面が各板材の接合部を跨ぐように当接させるとともに挾持壁の内面で各板材を挾持させる。このとき、各板材に形成されたスリットに、連結具の制止壁を嵌合させるように差し込む。これによって、基壁に連接された挾持壁で各板材が挾持され、更に、制止壁によって各板材の移動が制止されて各板材の接合部が接合支持されるようになるので、板材同士の位置決めが確実になるとともに、各板材の接合強度を向上させることができる。
【0008】
この場合、組み立て時には、各板材の接合部に連結具を差し込むだけで隣接した板材を接合させることができるので、容易に組み立てることができる。また、解体時には、連結具を各板材から抜き取るだけで良いので、容易に解体させることができる。
【0009】
更に、この連結具は、制止壁が基壁の端縁及び挾持壁の端縁の少なくともいずれか一方に直角に連接されているので、この連結具を製造するときは、例えば、一枚の板状の部材を折り曲げて形成することができ、そのため、比較的容易に製造することができる。また、型成形することもできる。この場合、制止壁が基壁の端縁及び挾持壁の端縁に設けられるので、型の製造が容易になり、それだけ、コストダウンを図ることができる。
【0010】
そして、必要に応じ、上記連結具の基壁及び挾持壁が対峙する板材の対峙部を、上記連結具の基壁及び挾持壁の肉厚の分以上掘削され該基壁及び挾持壁が没入する凹所で構成している。凹所が基壁及び挾持壁の肉厚と同じ掘削深さのときは、基壁の外面と板材の一側端面とが面一になり、挾持壁の外面と板材の板面とが面一になる。また、凹所が基壁及び挾持壁の肉厚より大きい掘削深さのときは、基壁の外面が板材の一側端面より内側に段差形成され、挾持壁の外面が板材の板面より内側に段差形成される。
これにより、連結具を接合部に差し込むと、基壁及び挾持壁が凹所に没入するようになり、そのため、連結具がその肉厚の分だけ板材の一側端面及び板面から突出することがないので、外観品質が向上させられるとともに、この収納家具を設置する際、収納家具に物を収納する際等に、連結具が邪魔になることがない。
【0011】
また、必要に応じ、一つの板材の一側端面に直交する他側端面を、該一つの板材に隣接する他の板材の板面に接合する接合部において、該他の板材の板面に上記一つの板材の他側端面部が嵌入して支持される支持溝を形成した構成としている。
これにより、複数の板材を隣接させる際、他の板材の支持溝に一つの板材の他側端面が嵌入して支持されるので、一つの板材の他の板材に対する支持が安定する。また、一つの板材の他側端面を他の板材の支持溝に嵌入させるだけで、一つの板材を他の板材に対して連結具の形状に対応した位置に確実に位置させるようにガイドすることができるので、板材同士の位置決めがより一層確実になるとともに、組み立て時に組み立て易くなる。
【0012】
更に、必要に応じ、上記連結具の基壁を、T字状,L字状,I字状及び十字状の何れかの形状に形成した構成としている。
これにより、一つの板材の一側端面の長手方向を他の板材の一側端面の長手方向に対して並列に隣接させる、あるいは、一つの板材の一側端面の長手方向を他の板材の一側端面の長手方向に対して垂直に隣接させる場合、板材の隣接形状がT字形,L字形,I字形,十字形の何れかになるが、これらの形状に対応した形状の連結具を作成することができる。また、予めすべての種類の形状の連結具を用意しておけば、すべての隣接形状の組み合わせに対応することができる。
【0013】
更にまた、必要に応じ、上記連結具の挾持壁に、他の部材を止着するための止着部を形成した構成としている。
これにより、他の部材を板材に付設させる際、一つの連結具で止着できるので、組み付けが容易になるとともに部品点数も削減できる。
【0014】
また、上記目的を達成するための本発明の連結具は、上記に記載の組立式収納家具に用いられる連結具にある。
上記と同様の作用,効果を奏する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の板材をその各一側端面を面一にして隣接させ、各板材に形成されたスリットに制止壁を嵌合させるように連結具を差し込んで、その基壁が各板材の接合部を跨ぐように当接させるとともに挾持壁で各板材を挾持させることにより、基壁に連接された挾持壁で各板材が挾持され、更に、制止壁によって各板材の移動が制止されて各板材の接合部が接合支持されるようになるので、板材同士の位置決めが確実になるとともに、各板材の接合強度を向上させることができる。この場合、組み立て時には、各板材の接合部に連結具を差し込むだけで隣接した板材を接合させることができるので、容易に組み立てることができる。また、解体時には、連結具を各板材から抜き取るだけで良いので、容易に解体させることができる。
【0016】
更に、この連結具は、制止壁が基壁の端縁及び挾持壁の端縁の少なくともいずれか一方に直角に連接されているので、この連結具を製造するときは、例えば、一枚の板状の部材を折り曲げて形成することができ、そのため、比較的容易に製造することができる。また、型成形することもできる。この場合、制止壁が基壁の端縁及び挾持壁の端縁に設けられるので、型の製造が容易になり、それだけ、コストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る組立式収納家具を組み立て後の状態で示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る第一連結具を用いて二枚の板材を連結する場合の連結前の状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る第一連結具を用いて二枚の板材を連結する場合の連結後の状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る第一連結具を用いて二枚の板材を連結する場合の連結後の状態を示す正面図である。
【図5】図4中、A−A線断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る第一連結具を用いて三枚の板材を連結する場合の連結前の状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る第一連結具を用いて三枚の板材を連結する場合の連結後の状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る第一連結具を用いて三枚の板材を連結する場合の連結後の状態を示す正面図である。
【図9】図8中、B−B線断面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る第二連結具を用いて二枚の板材を連結する場合の連結前の状態を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る第二連結具を用いて二枚の板材を連結する場合の連結後の状態を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る第二連結具を用いて二枚の板材を連結する場合の連結後の状態を示す正面図である。
【図13】図12中、C−C線断面図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る第三連結具を用いて二枚の板材を連結する場合の連結前の状態を示す斜視図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る第三連結具を用いて二枚の板材を連結する場合の連結後の状態を示す斜視図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る第三連結具を用いて二枚の板材を連結する場合の連結後の状態を示す正面図である。
【図17】図16中、D−D線断面図である。
【図18】本発明の実施の形態に係る第四連結具を用いて四枚の板材を連結する場合の連結前の状態を示す斜視図である。
【図19】本発明の実施の形態に係る第四連結具を用いて四枚の板材を連結する場合の連結後の状態を示す斜視図である。
【図20】本発明の実施の形態に係る第四連結具を用いて四枚の板材を連結する場合の連結後の状態を示す正面図である。
【図21】図20中、E−E線断面図である。
【図22】本発明の実施の形態に係る第五連結具を用いて三枚の板材及び二本の脚部材を連結する場合の連結前の状態を示す斜視図である。
【図23】本発明の実施の形態に係る第五連結具を用いて三枚の板材及び二本の脚部材を連結する場合の連結後の状態を示す斜視図である。
【図24】本発明の実施の形態に係る第五連結具を用いて三枚の板材及び二本の脚部材を連結する場合の連結後の状態を示す正面図である。
【図25】図24中、F−F線断面図である。
【図26】本発明の実施の形態に係る第六連結具を用いて二枚の板材及び二本の脚部材を連結する場合の連結前の状態を示す斜視図である。
【図27】本発明の実施の形態に係る第六連結具を用いて二枚の板材及び二本の脚部材を連結する場合の連結後の状態を示す斜視図である。
【図28】本発明の実施の形態に係る第六連結具を用いて二枚の板材及び二本の脚部材を連結する場合の連結後の状態を示す正面図である。
【図29】図28中、G−G線断面図である。
【図30】本発明の実施の形態に係る第七連結具を用いて二枚の板材及び二本の脚部材を連結する場合の連結前の状態を示す斜視図である。
【図31】本発明の実施の形態に係る第七連結具を用いて二枚の板材及び二本の脚部材を連結する場合の連結後の状態を示す斜視図である。
【図32】本発明の実施の形態に係る第七連結具を用いて二枚の板材及び二本の脚部材を連結する場合の連結後の状態を示す正面図である。
【図33】図32中、H−H線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る組立式収納家具及びこれに用いられる連結具を説明する。
図1乃至図33には、本発明の実施の形態に係る組立式収納家具Kを示している。本発明の組立式収納家具Kは、枠体20と、枠体20に収容される引出し21とを備えている。枠体20は、引出し21を出し入れ可能に支持する支持体22と、支持体22に付設され支持体22を接地面に対して支持する他の部材としての脚部材23とを備えて構成されている。支持体22は、複数の板材1をその各一側端面2を面一にして接合して形成され、隣接する板材1をこれらの接合部3を跨いで設けられる連結具J(J1〜J7)を介して連結して形成されている。
【0019】
板材1は、夫々矩形状に形成され、各板材1の接合部3から所定距離離間した位置に、各板材1の一側端面2に直交するスリット4が形成されている。また、一つの板材1の一側端面2に直交する他側端面5を、一つの板材1に隣接する他の板材1の板面6に接合する接合部3において、他の板材1の板面6に一つの板材1の他側端面部5aが嵌入して支持される支持溝7が形成されている。
【0020】
また、支持体22においては、板材1の隣接形状として、T字形,L字形,I字形,十字形の何れもが出現し、連結具Jはこれらの形状に対応して複数種類設けられている。
詳しくは、連結具Jとして、その基壁11の形状がT字状に形成された第一連結具J1と、L字状に形成された第二連結具J2と、I字状に形成された第三連結具J3と、十字状に形成された第四連結具J4とが用意される。また、支持体22においては他の部材としての脚部材23が付設されるが、この脚部材23が付設された板材1の連結部においては、他の部材としての脚部材23を止着するための止着部14を形成した第五連結具J5,第六連結具J6及び第七連結具J7が用意される。
【0021】
そして、連結具J(J1〜J7)の基本的構成は、隣接する板材1の接合部3を跨いで各板材1の一側端面2に当接するとともに両側縁11a間の巾が板材1の厚さに対応し且つ端縁11bがスリット4の位置に至る基壁11と、基壁11の側縁11aに直角に連接され各板材1を挾持する挾持壁12と、基壁11の端縁11b及び挾持壁12の端縁12aの少なくともいずれか一方に直角に連接され板材1のスリット4に嵌合して各板材1の移動を制止する制止壁13とを備えて構成されている。
また、第五連結具J5においては、第一連結具J1と同形状のものでその外側の基壁11に両端が開放され脚部材23が差し込まれる筒状の止着部14を一体形成している。第六連結具J6においては、第二連結具J2と同形状のものでその外側の基壁11にL字の屈曲した筒状の止着部14を一体形成している。第七連結具J7においては、第三連結具J3と同形状のものでその外側の基壁11に両端が開放され脚部材23が差し込まれる筒状の止着部14を一体形成している。
【0022】
一方、板材1においては、連結具Jを差し込む際に基壁11及び挾持壁12が対峙する板材1の対峙部8は、基壁11及び挾持壁12の肉厚の分以上掘削(実施の形態では肉厚と同じ深さに掘削)され基壁11及び挾持壁12が没入する凹所9で構成されている。そのため、連結具Jの基壁11の外面11cと板材1の一側端面2とが面一になり、挾持壁12の外面12bと板材1の板面6とが面一になる。
【0023】
従って、この実施の形態に係る組立式収納家具Kを組み立てるときは、板材1及び他の部材としての脚部材23を所要形状に接合し、各接合部3を対応する連結具Jで連結する。以下、各連結具J(J1〜J7)を用いて複数の板材1及び脚部材23を連結する場合について説明する。
【0024】
(1)第一連結具J1を用いて複数の板材1を連結する場合
本実施の形態では、二枚の板材1を連結する場合と、三枚の板材1を連結する場合について説明する。
二枚の板材1を連結する場合、図2乃至図5に示すように、板面6の中間部6aに支持溝7が形成された一枚目の板材1の支持溝7に、二枚目の板材1の一側端面2に直交する他側端面5を嵌入させる。即ち、一枚目の板材1の一側端面2の長手方向に対して、二枚目の板材1の一側端面2の長手方向が垂直になるように各板材1を隣接させ、各板材1の隣接形状をT字形にする。この状態で、一枚目の板材1及び二枚目の板材1の一側端面2側から第一連結具J1を差し込んで、その基壁11の内面11dが各板材1の接合部3を跨ぐように当接させるとともに挾持壁12の内面12cで各板材1を挾持させる。このとき、各板材1に形成されたスリット4に、連結具Jの制止壁13を嵌合させるように差し込む。
【0025】
三枚の板材1を連結する場合、図6乃至図9に示すように、板面6の一側端面2に直交する他側端面部5aに半割りの支持溝7が形成された一枚目の板材1と、板面6の一側端面2に直交する他側端面部5aに半割りの支持溝7が形成された二枚目の板材1とを、互いの半割りの支持溝7が一つの支持溝7を形成するように隣接させ、この一枚目の板材1と二枚目の板材1との間に跨って形成される支持溝7に、三枚目の板材1の一側端面2に直交する他側端面部5aを嵌入させる。即ち、一枚目の板材1の一側端面2の長手方向に対して、二枚目の板材1の一側端面2の長手方向が並列になるように各板材1を隣接させ、この一枚目及び二枚目の板材1の一側端面2の長手方向に対して、三枚目の板材1の一側端面2の長手方向が垂直になるように各板材1を隣接させて、各板材1の隣接形状をT字形にする。この状態で、各板材1の一側端面2側から第一連結具J1を差し込んで、その基壁11の内面11dが各板材1の接合部3を跨ぐように当接させるとともに挾持壁12の内面12cで各板材1を挾持させる。このとき、各板材1に形成されたスリット4に、連結具Jの制止壁13を嵌合させるように差し込む。
【0026】
(2)第二連結具J2を用いて複数の板材1を連結する場合
本実施の形態では、二枚の板材1を連結する場合について説明する。
この場合、図10乃至図13に示すように、板面6の一側端面2に直交する他側端面部5aに支持溝7が形成された一枚目の板材1の支持溝7に、二枚目の板材1の一側端面2に直交する他側端面部5aを嵌入させる。即ち、一枚目の板材1の一側端面2の長手方向に対して、二枚目の板材1の一側端面2の長手方向が垂直になるように各板材1を隣接させ、各板材1の隣接形状をL字形にする。この状態で、一枚目の板材1及び二枚目の板材1の一側端面2側から第二連結具J2を差し込んで、その基壁11の内面11dが各板材1の接合部3を跨ぐように当接させるとともに挾持壁12の内面12cで各板材1を挾持させる。このとき、各板材1に形成されたスリット4に、連結具Jの制止壁13を嵌合させるように差し込む。
【0027】
(3)第三連結具J3を用いて複数の板材1を連結する場合
本実施の形態では、二枚の板材1を連結する場合について説明する。
この場合、図14乃至図17に示すように、板面6の一側端面2に直交する他側端面部5aに半割りの支持溝7が形成された一枚目の板材1と、板面6の一側端面2に直交する他側端面部5aに半割りの支持溝7が形成された二枚目の板材1とを、互いの半割りの支持溝7が一つの支持溝7を形成するように隣接させる。即ち、一枚目の板材1の一側端面2の長手方向に対して、二枚目の板材1の一側端面2の長手方向が並列になるように各板材1を隣接させ、各板材1の隣接形状をI字形にする。この状態で、各板材1の一側端面2側から第三連結具J3を差し込んで、その基壁11の内面11dが各板材1の接合部3を跨ぐように当接させるとともに挾持壁12の内面12cで各板材1を挾持させる。このとき、各板材1に形成されたスリット4に、連結具Jの制止壁13を嵌合させるように差し込む。また、本実施の形態のように、挾持壁12の中間部に、支持溝7に嵌入する嵌入壁15が設けられている場合は、この嵌入壁15が、一枚目の板材1と二枚目の板材1との間に跨って形成される支持溝7に嵌入されるようになる。
【0028】
(4)第四連結具J4を用いて複数の板材1を連結する場合
本実施の形態では、四枚の板材1を連結する場合について説明する。
この場合、図18乃至図21に示すように、板面6の両面であって一側端面2に直交する他側端面部5aに半割りの支持溝7が形成された一枚目の板材1と、板面6の両面であって一側端面2に直交する他側端面部5aに半割りの支持溝7が形成された二枚目の板材1とを、互いの半割りの支持溝7が一つの支持溝7を形成するように隣接させ、この一枚目の板材1と二枚目の板材1との間に跨って形成される両面の支持溝7夫々に、三枚目の板材1及び四枚目の板材1の一側端面2に直交する他側端面部5aを夫々嵌入させる。即ち、一枚目の板材1の一側端面2の長手方向に対して、二枚目の板材1の一側端面2の長手方向が並列になるように各板材1を隣接させ、この一枚目及び二枚目の板材1の一側端面2の長手方向に対して、三枚目の板材1及び四枚目の板材1の一側端面2の長手方向が垂直になるように各板材1を隣接させて、各板材1の隣接形状を十字形にする。この状態で、各板材1の一側端面2側から第四連結具J4を差し込んで、その基壁11の内面11dが各板材1の接合部3を跨ぐように当接させるとともに挾持壁12の内面12cで各板材1を挾持させる。このとき、各板材1に形成されたスリット4に、連結具Jの制止壁13を嵌合させるように差し込む。
【0029】
尚、上記第四連結具J4は、四枚の板材1の接合部3に用いたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、一枚の板材1の両面に夫々他の板材1を接合させて三枚の板材1で十字形を構成する接合部3に用いても良い。この場合、板面6の両面であって中間部6aに支持溝7が形成された一枚目の板材1の両面の支持溝7夫々に、二枚目の板材1及び三枚目の板材1の他側端面部5aを夫々嵌入させ、その後、上記と同様に第四連結具J4を差し込んで連結するようにすれば良い。
【0030】
(5)第五連結具J5を用いて複数の板材1を連結する場合
本実施の形態では、三枚の板材1及び二本の脚部材23を連結する場合について説明する。
第五連結具J5は、図22乃至図25に示すように、第一連結具J1と同形状のものでその外側の基壁11に両端が開放され脚部材23が差し込まれる筒状の止着部14を一体形成して構成されているので、三枚の板材1を上記第一連結具J1と同様にして連結し、止着部14の両端から二本の脚部材23を夫々差し込んで連結する。この場合、他の部材としての脚部材23を板材1に付設させる際、一つの連結具Jで止着できるので、組み付けが容易になるとともに部品点数も削減できる。
尚、上記第五連結具J5は、三枚の板材1の接合部3と二本の脚部材23とを連結するように用いたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、二枚の板材1でT字形を構成する接合部3と二本の脚部材23とを連結するように用いても良い。この場合、二枚の板材1を上記第一連結具J1と同様にして連結し、止着部14の両端から二本の脚部材23を夫々差し込んで連結すれば良い。
【0031】
(6)第六連結具J6を用いて複数の板材1を連結する場合
本実施の形態では、二枚の板材1及び二本の脚部材23を連結する場合について説明する。
第六連結具J6は、図26乃至図29に示すように、第二連結具J2と同形状のものでその外側の基壁11に、一端14a及び他端14b側側面が開放されてL字に屈曲され脚部材23が差し込まれる筒状の止着部14を一体形成して構成されているので、二枚の板材1を上記第二連結具J2と同様にして連結し、止着部14の二つの開口から二本の脚部材23を夫々差し込んで連結する。この場合、他の部材としての脚部材23を板材1に付設させる際、一つの連結具Jで止着できるので、組み付けが容易になるとともに部品点数も削減できる。
【0032】
(7)第七連結具J7を用いて複数の板材1を連結する場合
本実施の形態では、二枚の板材1及び二本の脚部材23を連結する場合について説明する。
第七連結具J7は、図30乃至図33に示すように、第三連結具J3と同形状のものでその外側の基壁11に両端が開放され脚部材23が差し込まれる筒状の止着部14を一体形成して構成されているので、二枚の板材1を上記第三連結具J3と同様にして連結し、止着部14の両端から二本の脚部材23を夫々差し込んで連結する。この場合、他の部材としての脚部材23を板材1に付設させる際、一つの連結具Jで止着できるので、組み付けが容易になるとともに部品点数も削減できる。
【0033】
このように、連結具J(J1〜J7)によって複数の板材1が連結させられ、本発明の組立式収納家具Kが組み立てられる。組み立てられた各板材1は、挾持壁12で各板材1が挾持され、更に、制止壁13によって各板材1の移動が制止されて各板材1の接合部3が接合支持されるようになるので、板材1同士の位置決めが確実になるとともに、各板材1の接合強度を向上させることができる。
【0034】
この場合、組み立て時には、各板材1の接合部3に連結具Jを差し込むだけで隣接した板材1を接合させることができるので、容易に組み立てることができる。また、解体時には、連結具Jを各板材1から抜き取るだけで良いので、容易に解体させることができる。
【0035】
また、各板材1の対峙部8は、基壁11及び挾持壁12の肉厚の分だけ掘削形成された凹所9で構成されているので、連結具Jを接合部3に差し込むと、基壁11及び挾持壁12が凹所9に没入するようになり、基壁11の外面11cと板材1の一側端面2とが面一になるとともに挾持壁12の外面12bと板材1の板面6とが面一になる。そのため、連結具Jがその肉厚の分だけ板材1の対峙部8から突出することがないので、外観品質が向上させられるとともに、この収納家具Kを設置する際、収納家具Kに物を収納する際等に、連結具Jが邪魔になることがない。
【0036】
更に、複数の板材1を隣接させる際、他の板材1の支持溝7に一つの板材1の他側端面部5aが嵌入して支持されるので、一つの板材1の他の板材1に対する支持が安定する。また、一つの板材1の他側端面部5aを支持溝7に嵌入させるだけで、一つの板材1を他の板材1に対して連結具Jの形状に対応した位置に確実に位置させるようにガイドすることができるので、板材1同士の位置決めがより一層確実になるとともに、組み立て時に組み立て易くなる。
【0037】
また、連結具Jは、制止壁13が基壁11の端縁11b及び挾持壁12の端縁12aの少なくともいずれか一方に直角に連接されているので、この連結具Jを製造するときは、例えば、一枚の板状の部材を折り曲げて形成することができ、そのため、比較的容易に製造することができる。また、型成形することもできる。この場合、制止壁13が基壁11の端縁11b及び挾持壁12の端縁12aに設けられるので、型の製造が容易になり、それだけ、コストダウンを図ることができる。
【0038】
尚、上記実施の形態において、本組立式収納家具Kを、枠体20と引出し21とを備えて構成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、どのような家具でも良く、適宜変更して差支えない。
また、上記実施の形態において、枠体20を支持体22と他の部材としての脚部材23とを備えて構成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、物を収納できる形状であれば良く、適宜変更して差支えない。
更に、上記実施の形態において、支持体22を、板材1の隣接形状がT字形,L字形,I字形,十字形の何れもが出現するように形成したが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0039】
尚また、上記実施の形態において、第一連結具J1乃至第七連結具J7で上記の枚数の板材1を連結したが、必ずしもこれに限定されるものではない。
また、上記実施の形態において、連結具Jを第一連結具J1乃至第七連結具J7の形状に形成したが、必ずしもこれに限定されるものではないことは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
K 組立式収納家具
J 連結具
J1 第一連結具
J2 第二連結具
J3 第三連結具
J4 第四連結具
J5 第五連結具
J6 第六連結具
J7 第七連結具
1 板材
2 一側端面
3 接合部
4 スリット
5 他側端面
5a 他側端面部
6 板面
7 支持溝
8 対峙部
9 凹所
11 基壁
12 挾持壁
13 制止壁
14 止着部
15 嵌入壁
20 枠体
21 引出し
22 支持体
23 脚部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の板材をその各一側端面を面一にして接合して形成され、隣接する板材をこれらの接合部を跨いで設けられる連結具を介して連結して形成される組立式収納家具において、
上記各板材の上記接合部から所定距離離間した位置に、該各板材の一側端面に直交するスリットを形成し、
上記連結具を、上記隣接する板材の接合部を跨いで各板材の一側端面に当接するとともに両側縁間の巾が上記板材の厚さに対応し且つ端縁が上記スリットの位置に至る基壁と、該基壁の側縁に直角に連接され各板材を挾持する挾持壁と、上記基壁の端縁及び上記挾持壁の端縁の少なくともいずれか一方に直角に連接され上記スリットに嵌合して上記各板材の移動を制止する制止壁とを備えて構成したことを特徴とする組立式収納家具。
【請求項2】
上記連結具の基壁及び挾持壁が対峙する板材の対峙部を、上記連結具の基壁及び挾持壁の肉厚の分以上掘削され該基壁及び挾持壁が没入する凹所で構成したことを特徴とする請求項1記載の組立式収納家具。
【請求項3】
一つの板材の一側端面に直交する他側端面を、該一つの板材に隣接する他の板材の板面に接合する接合部において、該他の板材の板面に上記一つの板材の他側端面部が嵌入して支持される支持溝を形成したことを特徴とする請求項1または2記載の組立式収納家具。
【請求項4】
上記連結具の基壁を、T字状,L字状,I字状及び十字状の何れかの形状に形成したことを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の組立式収納家具。
【請求項5】
上記連結具の挾持壁に、他の部材を止着するための止着部を形成したことを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載の組立式収納家具。
【請求項6】
上記請求項1乃至5何れかに記載の組立式収納家具に用いられる連結具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate


【公開番号】特開2010−167020(P2010−167020A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10919(P2009−10919)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(504165591)国立大学法人岩手大学 (222)
【Fターム(参考)】