説明

組立式台座

【課題】中空板からなる部材同士を嵌合して組み立てた場合に、この嵌合を外れ難くして、形態の安定性を確保し、耐水性や耐久性にも優れた組立式台座を提供する。
【解決手段】合成樹脂製の中空板材からなり、設置面に立設可能な組立式台座であって、中空板材を自立可能に折り曲げ形成した脚部10と、脚部10の上面に着脱可能に嵌合するとともにその上面が載置面となる天板部20とを備え、天板部20は脚部10に向かって垂下する垂下片211を両端部に有し、脚部10は水平方向端部に形成した突出片131と、両端部をそれぞれ内側に折り曲げることにより突出片131と係合する係合孔とを有し、突出片131と係合孔との係合により脚部10が自立可能に保形されるとともに、係合によって形成される空間であって、設置面に対して垂直方向に延びる壁面により囲まれる嵌合空間Sに垂下片211を嵌め込むことで組み立てられる構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立式台座に関し、特に、建物内や屋外等において組み立てて用いる椅子,テーブル,作業台等の組立式台座に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物内や屋外等において、一時的、応急的な用途で用いられる椅子,テーブル,作業台等の人又は物品を載置するための組み立て式の台座(以下、組立式台座)がある。
このような組立式台座は、簡単に組み立てや設置を行うことができ、持ち運び及び保管も容易に行えるものであって、例えば、屋外でのレジャーや行事等において一時的に用いられ、災害時の避難所,教育施設,医療施設等の建物内においても一時的、応急的に使用されている。
【0003】
このような簡易・一時的に設置される組立式台座に関するものとしては、例えば、特許文献1に開示されているような「組立テーブル及び組立椅子」や、特許文献2に開示されているような「段ボール製載せ台」がある。
特許文献1の組立テーブル及び組立椅子は、平面視十字状に組み合わせた2枚の脚板と正方形の天板とによって構成され、脚板の上部外端近傍から上方に突出させてある突起を、天板の四隅を結ぶ対角線上に形成された開孔内に突入することにより脚板と天板とが一体的に組み合わされるようになっている。
これによって、2枚の脚板と天板のみで構成されるため、簡単に組み立てをすることができ、組み外した際には、嵩張らずに持ち運び及び保管ができる。
【0004】
また、特許文献2の段ボール製載せ台は、段ボール製の天板、二枚の補強板及び筒胴板によって構成され、天板の裏面に設けられた起立片と、補強板に切欠された係合溝とが係合され、さらに、筒胴板を折り曲げ形成した四角筒に挿嵌されることで組み立てられるようになっている。
これによって、天板の起立片に二枚の補強板を係合し、これを筒胴板からなる四角筒に差し込む作業だけで簡単に組み立てることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平05−48727号公報
【特許文献2】特開平11−128061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の組立テーブル及び組立椅子は、脚板に形成された突起と、天板に形成された開孔との嵌合が外れ易いという問題があった。例えば、天板の一端部に下方から上向きの強い力が加わった場合、この衝撃によって、突起が開孔から抜け出てしまい、天板が脚板から外れてしまうことがあった。このように、突起を孔に嵌め込むことで、天板と脚板とを組み合わせる構造の場合では、形態の安定化を確保することができないという問題があった。
【0007】
また、特許文献2の段ボール製載せ台は、天板の起立片と補強板の係合溝との係合に加えて、筒胴板を補強板に被着し補強するため、形態の安定化を確保することはできるが、別途に筒胴板を用意する必要があり、部材点数が増加してしまっていた。
さらに、段ボール製であるために耐水性や耐久性に乏しく、また、汚れてしまった場合には、汚れを洗い流すのが困難であることから繰り返し再利用するには適していなかった。
【0008】
そこで、本発明者らは以上のような従来技術の課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、一般に気泡ボードと称される樹脂製の中空板に着目し、かかる気泡ボードによって、椅子、テーブル、作業台等の台座を組み立てることを可能とし、耐水性や耐久性に優れ、汚れても洗浄して繰り返し再利用することができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明は、上述した従来の問題を解決するために提案されたものであり、中空板からなる部材同士を嵌め合わせて組み立てた場合に、この嵌合を外れ難くして、形態の安定性を確保し、屋外などでの使用に耐えうる耐水性や耐久性にも優れた、椅子,テーブル,作業台等に好適な組立式台座の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明の組立式台座は、中空構造をなすための立体加工が施されたコア材の表裏両面に平板状の外装材を積層してなる合成樹脂製の中空板材からなり、設置面に立設可能な組立式台座であって、中空板材を自立可能に折り曲げ形成した脚部と、脚部の上面に着脱可能に嵌合するとともにその上面が載置面となる天板部と、を備え、天板部は、脚部に向かって垂下する垂下片をその両端部に有し、脚部は、水平方向における両端部に形成した突出片と、両端部をそれぞれ内側に折り曲げることにより突出片と係合する係合孔と、を有し、突出片と係合孔との係合により脚部が自立可能に保形されるとともに、突出片と係合孔との係合によって形成される空間であって、設置面に対して垂直方向に延びる壁面により囲まれる嵌合空間に垂下片を嵌め込むことで組み立てられる構成としてある。
【0011】
このような構成からなる本発明の組立式台座によれば、中空板材からなる脚部、天板部を用意し、脚部の上面に天板部を嵌合するだけの簡易な構造で構成することができる。このため、複数の異なる部材、接続のための金具や工具等を必要とすることなく、簡単に組み立てや設置が行えるだけでなく、非使用時の持ち運びや保管も容易にすることができる。
また、脚部は、水平方向における両端部に形成した突出片と、この両端部をそれぞれ内側に折り曲げることにより突出片と係合する係合孔とを有しており、この突出片と係合孔が係合されることによって設置面に対して垂直方向に延びる壁面により囲まれる嵌合空間を形成する。その結果、この嵌合空間に天板部の垂下片を嵌め込むことで、脚部と天板部とを組み合わせることができる。
これにより、垂下片の高さ寸法を、嵌合空間を囲む壁面の垂直方向の高さまで設けることができるため、この垂下片を嵌合空間に深く差し込むことができる。その結果、下方から上向きの強い力が加わった時でも、垂下片が嵌合空間から外れ難くなるため、天板部が脚部から外れることを防ぐことができ、組立式台座の形態の安定性を確保することができる。
さらに、脚部及び天板部が、合成樹脂製の中空板材からなるため、耐水性や耐久性、保温性に優れ、水洗い等も可能であるため、組立式台座は繰り返し使用することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、簡単に組み立てや設置を行うことができるだけでなく、中空板からなる部材同士を嵌め合わせて組み立てた場合に、この嵌合を外れ難くして、形態の安定性を確保し、耐水性や耐久性を有し、繰り返し使用することができる組立式台座を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る組立式台座の組立状態を示す外観斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る組立式台座の脚部を示す外観斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る組立式台座の脚部の展開図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る組立式台座の脚部を示し、(a)は図2の平面図であり、(b)は図2の背面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る組立式台座の天板部を示し、(a)は外観斜視図であり、(b)は展開図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る組立式台座を構成する中空板材を示す要部斜視図であり、(a)は三層構成の気泡ボードを示しており、(b)は(a)に示す気泡ボードの端部(縁部)を封止材で封止した場合を示している。
【図7】本発明の一実施形態に係る組立式台座の折り部の一例を示す説明図であり、切り込み(ハーフカット)加工された折り部が形成されたパネルの要部平面を示している。
【図8】本発明の一実施形態に係る組立式台座の折り部の一例を示す説明図であり、折り部が切り込み(ハーフカット)加工された図7のA−A断面を示す断面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る組立式台座の折り部の一例を示す説明図であり、折り部が切り込み(ハーフカット)加工された図7のB−B断面を示す断面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る組立式台座の折り部の一例を示す説明図であり、折り部がV字加工されている場合を示している。
【図11】本発明の一実施形態に係る組立式台座の組立方法を示す説明図であり、(a)は天板部の組立方法を示しており、(b)は脚部の組立方法を示している。
【図12】本発明の一実施形態に係る組立式台座の脚部と天板部との嵌合による組立方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る組立式台座の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る組立式台座の組立状態を示す外観斜視図、図2〜図4は、本発明の一実施形態に係る組立式台座の脚部を示す図、図5は、本発明の一実施形態に係る組立式台座の天板部を示す図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態における組立式台座1は、脚部10と、天板部20とを備えて構成されている。
脚部10は、一枚の中空板材が設置面に対して垂直方向に延びる垂直折り目11に沿って折り曲げられ、垂直方向端部14の下端面が設置面と接することで自立可能に形成される。
天板部20は、一枚の中空板材を折り畳んだものからなり、折り目を境界に脚部10に向かって垂下する垂下片211が形成されるとともにその上面が載置面となる嵌合板21と、この嵌合板の下側に積層される補強板22と、に区画されている。
すなわち、組立式台座1は、設置面に対して自立可能な脚部10と、人又は物品を載置可能な載置面を有する天板部20とから構成されるようになっており、脚部10の上面に着脱可能に天板部20が嵌合されることで組み立てられるようになっている。このように組み立てられた組立式台座1は、建物内や屋外等の任意の設置場所に設置されて使用される。
以下、組立式台座1の各部材の構成について詳細に説明する。
【0016】
[脚部]
本実施形態の脚部10について、図2〜図4を参照して説明する。
脚部10は、中空構造をなすための立体加工が施されたコア材の表裏両面に平板状の外装材を積層してなる合成樹脂製の中空板材を一枚用いて、この一枚の中空板材を自立可能となるように折り曲げて形成したものである。
具体的には、脚部10は、設置面に対して垂直方向に延びる複数の垂直折り目11に沿って、内側へ折り曲げられることによって、設置面に対して垂直方向に延びる各壁面(10a〜10d)を形成する。なお、垂直折り目11は、後述する中空板材の折り部2によって形成することができる(図7〜図10参照)。また、図3において、破線で示される垂直折り目11は、谷折り状に折り曲げ加工される折り目となっている。
【0017】
また、脚部10は、図3に示すように、水平方向端部13に形成された突出片131と、後壁面10aに形成された係合孔12と、を有している。
係合孔12は、垂直折り目11に沿って水平方向端部13をそれぞれ内側へ向けて折り曲げることにより突出片131と係合するようになっている。
本実施形態における突出片131及び係合孔12は、略同一の寸法に形成されているため、これらが係合されると、互いに揺動不能に係止される。
また、突出片131の突出長は、脚部10の板厚と同等よりも長くなるように形成されている。これは、突出片131の突出長が、脚部10の板厚と同等又は短い場合には、突出片131を係合孔12に嵌め込んだ際に、突出片131が係合孔12から外れ易いため、本実施形態のように、突出片131の突出長は、脚部10の板厚よりも長くなるように形成することが好ましい。
このように、突出片131と係合孔12とが係合されることにより、脚部10は自立可能に保形される。
【0018】
なお、係合孔12が形成される場所は、後壁面10aに限らず、突出片131と係合することにより、脚部10が自立可能に保形される場所であれば、後壁面10aと異なる壁面であってもよい。
また、突出片131及び係合孔12は、略矩形状に、2個形成されているが、突出片131及び係合孔12の数量、形状は、これらに限定されない。
【0019】
また、図2及び図4に示すように、突出片131と係合孔12とが係合されることにより、設置面に対して垂直方向に延びる壁面により囲まれる嵌合空間Sが形成される。
そして、この嵌合空間Sには、天板部20の両端部に形成される垂下片211を嵌め込むことができる。
具体的には、嵌合空間Sは、脚部10が垂直折り目11に沿って、内側へ折り曲げられることによって、少なくとも背壁面10aと、側壁面10bと、中間壁面10cによって囲まれて構成される。
背壁面10a及び中間壁面10cは、本発明に係る「挟持面」の一例であり、間隔D1をおいて対向配置される。そして、間隔D1は、後述する垂下片211の幅寸法D2とほぼ等しい寸法になっている。すなわち、挟持面(10a,10c)間に、垂下片211を差し込むことができ、その結果、垂下片211が挟持面によって幅方向から挟持されて固定するため、嵌合空間Sから外れ難くなる。
【0020】
側壁面10bは、本発明に係る「接触面」の一例であり、挟持面と連結する。これにより、側壁面10bは、垂下片211が挟持面(10a,10c)間に差し込まれた際に、垂下片211の外側面に面接触することになる。
このように、側壁面10bと垂下片211とが、面接触して嵌合されることで、これらの間に摩擦が生じるため、例えば下方から上向きの力が加わった場合に、この摩擦により、垂下片211が嵌合空間Sから外れ難くなる。
【0021】
脚部10の大きさは、組立式台座1の用途や構成に応じて適切な値に設定することができるが、組立式台座1をテーブルとして使用する場合、図2に示すように折り曲げて立設された状態では、例えば、幅が400mm〜500mm、奥行きが300mm〜400mm、高さが300mm〜400mmのような、一般的な体格の成人が使用することができる程度の大きさで形成される。
【0022】
[天板部]
次に、本実施形態の天板部20について、図5を参照して説明する。
天板部20は、中空構造をなすための立体加工が施されたコア材の表裏両面に平板状の外装材を積層してなる合成樹脂製の中空板材を一枚用いて、この一枚の中空板材を折り畳み可能に形成したものである。
具体的には、天板部20は、図5に示すように、折り畳み可能な折り目23を境界に、垂下片211が形成されるとともにその上面が載置面となる嵌合板21と、この嵌合板21の下側に積層される補強板22と、に区画される。
なお、折り目23は、後述する切り込み加工やV字加工を施した折り部2としてある(図7〜図10参照)。また、図5(b)において、一点鎖線で示される折り目23は、山折り状に折り曲げ加工される折り目となっている。
【0023】
嵌合板21は、脚部10に向かって垂下する垂下片211を両端部に有している。
この垂下片211は、上記のように脚部10と天板部20とを組み合わせる際に、脚部10の嵌合空間Sに嵌合するようになっている。
具体的には、垂下片211の幅寸法D2は、挟持面(10a,10c)間の間隔D1とほぼ等しく、嵌合空間Sに嵌め込み可能な形状となっている。また、垂下片211の高さ寸法は、嵌合空間Sを囲む壁面の高さまで長く設けることができるため、垂下片211を嵌合空間Sに深く差し込むことができ、下方から上向きの強い力が加わった場合でも、垂下片211が嵌合空間Sから外れ難い構造とすることができる。
【0024】
補強板22は、折り目23に沿った内方への折り曲げにより、嵌合板21の下側に積層されるようになっている。
そのため、補強板22が、嵌合板21の下面に積層されることによって、天板部20が二重構造(積層構造)に形成されることになる。これによって、補強板22が嵌合板21を下方から補強するため、載置面に人又は物品が載置した際の天板部20の形状の安定化さらには組立式台座1全体の強度を高めることができる。
さらに、天板部20は、嵌合板21と補強板22とを一体に構成することで、部品点数が低減でき、製造原価のコストダウンを図ることができる。
【0025】
また、補強板22が、嵌合板21の下面に積層されることによって、補強板22の両端面が、垂下片211の内側面と接触し、垂下片211が内方に折れ曲がらないように抑制することができる。これによって、垂下片211が嵌合空間Sに嵌合された場合に、垂下片211は、補強板22と側壁面10b(接触面)に挟み込まれて固定されることになる。
【0026】
なお、補強板22は嵌合板21と、同じ幅で形成されている。
これは、例えば補強板22の幅が、嵌合板21の幅より大きく形成された場合では、補強板22を折り目23に沿って内方へ折り曲げ、嵌合板21の下面に積層した際に、補強板22が差幅分だけ幅方向に突出するため、垂下片211を折り目23に沿って直角に折り曲げられず、垂下する状態にならないことになる。また、補強板22の幅が、嵌合板21の幅より小さく形成された場合では、嵌合板21の下面に積層した際に、補強板22の端面が、垂下片211の内側面と垂直に接触しないため、垂下片211の内方への折れ曲げを抑制することができないことになる。これにより、本実施形態の補強板22は、嵌合板21と同じ幅で形成されるようになっている。
【0027】
天板部20の大きさは、組立式台座1の用途や構成に応じて適切な値に設定することができるが、組立式台座1をテーブルとして使用する場合、図1に示すように、補強板22を折り曲げて嵌合板21に積層した状態では、例えば、幅が400mm〜500mm、奥行きが300mm〜400mm、厚さが約15mm〜20mmのような、物品を載置可能な載置面として用いることができる程度の大きさで形成される。
【0028】
[気泡ボード]
次に、以上のような構成からなる本実施形態の組立式台座1(脚部10及び天板部20)を構成する中空板材について、図6〜図10を参照して説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係る組立式台座を構成する中空板材を示す要部斜視図であり、(a)は三層構成の気泡ボードを示しており、(b)は(a)に示す気泡ボードの端部(縁部)を封止材で封止した場合を示している。
本実施形態に係る脚部10及び天板部20は、図6(a)に示す中空構造をなすための立体加工が施されたコア材の表裏両面に平板状の外装材を積層してなる合成樹脂製の中空板材からなっている。このような中空板材としては、一般に、気泡ボード、プラスチック段ボールなどと称されるものが知られているが、独立した多数の気泡内に空気が封入され、より断熱性に優れていることから、図6(a)に示すような気泡ボード100を用いるのが好ましい。
【0029】
図6(a)に示す気泡ボード100は、中空状に膨出する多数の突起103が成形されたコア材としてのキャップシート102と、突起103内に空気を封入して気泡を形成する一方の外装材としてのバックシート101と、突起103の頂面側に積層された他方の外装材としてのライナーシート104とを備えている。
【0030】
このような気泡ボード100は、例えば、図示しない多数のキャビティ孔が設けられた成形ロールの外周面に、シート状に連続して繰り出される溶融樹脂を接触させて中空状に膨出する多数の突起103を真空成形することによってキャップシート102を形成しつつ、このキャップシート102を、突起103の開口側に供給されたバックシート101と、突起103の頂面側に供給されたライナーシート104とで挟み込み、これらを熱融着により積層一体化し、しかる後に所定の形状に切り出すことによって製造することができる。
なお、上記のようにして気泡ボード100を製造するにあたり、バックシート101、キャップシート102、ライナーシート104のそれぞれの厚みは、気泡ボード100に要求される強度、剛性などを考慮して適宜調整することができる。通常は、例えば100μm〜1.5mm程度とすることができる。
【0031】
所定の形状に切り出された気泡ボード100の端縁には、必要に応じて、図6(b)に示すように、帯状の封止材105を熱融着などによって取り付けるようにしてもよい。このようにすることで、気泡ボード100の内部に異物が侵入してしまうのを防止するとともに、それぞれの気泡103の間にも空気が封入されるようにして、さらなる断熱性の向上を図ることもできる。
また、以上のような気泡ボード(中空板材)100の材料樹脂としては、例えば、ポリプロピレン,ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂などを挙げることができる。但し、これらに限定はされない。
また、気泡ボード(中空板材)100は、ハサミ、カッター等を用いて適宜切断、裁断が可能であり、所望の形状に加工・変形等することは当然可能である。したがって、組立式台座1の組み立てを行う者が、自由に脚部10や天板部20の切断・裁断加工を行うこともできる。
【0032】
[折り部]
以上のような気泡ボード100に対して、図7に示すように、所定の加工を施すことにより折り部2を形成して、脚部10及び天板部20を折り曲げ可能とする。
図7に示す折り部2は、脚部10及び天板部20の所定箇所に切り込み(ハーフカット)加工を入れて形成することができ、これによって折り部2に沿って脚部10及び天板部20を折り曲げ可能に構成することができる。
折り部2を形成する際に切り込み(ハーフカット)を入れるのは、気泡ボード100のバックシート101側、ライナーシート104側のいずれであってもよいが、図7〜図9に示す例では、気泡ボード100のバックシート101側に切り込み3を入れることによって折り部2を形成している。
【0033】
ここで、図7は、図6に示す気泡ボード100をバックシート側から見た拡大図であり、図7のA−A断面図を図8(a)に示し、当該部位を折り部2で折り曲げた状態を図8(b)に示す。同様に、図7のB−B断面図を図9(a)に示し、当該部位を折り部2で折り曲げた状態を図9(b)に示す。
これらの図に示すように、突起103がない部位では、キャップシート102とバックシート101との融着部を切断するように切り込み3を入れ(図8(a)参照)、ライナーシート104のみが屈曲して折り部2が形成されるようになる(図8(b)参照)。
これに対して、突起103がある部位では、バックシート101と突起103の側壁部とを切断するように切り込み3を入れ(図9(a)参照)、ライナーシート104に突起103の頂面が融着された部分が屈曲して折り部2が形成されるようになる(図9(b)参照)。
【0034】
これにより、折り部2は、ライナーシート104のみからなる部分と、ライナーシート104に突起103の頂面が融着されて二重構造となっている部分とが交互に配置されて形成されることになる。したがって、気泡ボード100に切り込み3を入れて形成された折り部2は、ライナーシート104に突起103の頂面が融着された二重構造となっている部分によって部分的に補強されて、折り部2の曲げ易さを損なわない程度に強度が高められている。すなわち、折り部2を補強するために、例えば、折り部2を形成しようとする部位にシート材を積層して二重構造としただけでは、折り部2が折り曲げにくくなって、組み立てに支障をきたすおそれがあるが、本実施形態にあっては、折り部2が部分的に二重構造となるために、その曲げ易さを損なうことなく適度に折り部2が補強されることになる。
【0035】
また、曲げ易さを損なうことなく折り部2の強度をさらに高めるために、例えば、ポリエチレン系樹脂フィルムなどのような柔軟なフィルム材を気泡ボード100に積層することもできる。
このとき、バックシート101側に切り込み3を入れて折り部2を形成するのであれば、ライナーシート104側の面、すなわち、切り込み3を入れる側とは反対側の面に、必要に応じて接着剤を介するなどして当該フィルム材を積層することができる。
【0036】
なお、特に図示しないが、気泡ボード100のライナーシート104側から切り込み3を入れて折り部2を形成する場合、突起103がない部位では、ライナーシート104を切断するように切り込み3を入れ、キャップシート102とバックシート101との融着部が屈曲して折り部2を形成することになる。一方、突起103がある部位では、ライナーシート104に突起103の頂面が融着された部分と突起103の側壁部とを切断するように切り込み3を入れ、バックシート101が屈曲して折り部2を形成することになる。
いずれにしても、形成された折り部2は、バックシート101のみからなる部分と、バックシート101にキャップシート102が融着されて二重構造となっている部分とが交互に配置されて形成されることになり、折り部2が部分的に二重構造となって、その曲げ易さを損なうことなく適度に折り部2が補強されることになる。
【0037】
また、以上のような切り込み加工による折り部2以外にも、例えば、図10に示すようなV字加工を施すことにより脚部10及び天板部20に折り部2を形成することができる。
図10は、上述した図7に対応する気泡ボード100の断面図であり、図8で示した切り込み3に換えてV字加工部4を形成したものである。
同図に示すV字加工部4は、気泡ボード100には、加熱鏝を当てるなどして断面V字状に溶融して形成するものであり、このV字加工部4を設けることによって、図10(b)に示すように、気泡ボード100が折り曲げられるようになる。
V字加工部4を形成した気泡ボード100の折り曲げは、図10(b)に示すように、V字加工部4を形成した面の反対側への折り曲げだけでなく、V字加工部4を形成した面側への折り曲げも可能となる。前者では、略180゜までの折り曲げ角度を確保することができ、後者では、折り曲げ限度が略90゜となる。
【0038】
なお、このような溶融加工して形成されるV字加工部4は、気泡ボード100の一部が線状に押し潰された状態となっており、V字加工部4で囲まれた範囲には空気が封入されるようになる。このため、気泡ボード100の端縁に封止材105(図6(b)参照)を取り付けなくとも、当該範囲における気泡に空気が封入され、これによって気泡ボード100の断熱性を向上させることができる。
【0039】
[組立式台座の組立方法]
次に、以上のような構成からなる本実施形態の組立式台座1を組み立てる手順(組立方法)について、図11及び図12を参照して説明する。
【0040】
まず、組立式台座1を構成するのに必要な脚部10と天板部20を用意する。
脚部10は、図3に示す展開状態から、図11(b)に示すように、垂直折り目11に沿って内側へ折り曲げ、水平方向端部13の突出片131を係合孔12に係合することで嵌合空間Sを形成し、略断面M字形状にする。
天板部20は、図5(b)に示す展開状態から、図11(a)に示すように、補強板22を折り目23に沿って折り曲げ、嵌合板21の下側に積層した状態(閉じた状態)にしておく。また、垂下片211を折り目23に沿って直角に折り曲げ、設置面に向かって垂下する状態にしておく。
なお、補強板22を嵌合板21に積層した際に、所定の固定手段によってこれらを固定してもよい。例えば、接着剤、両面テープ、面ファスナー等を用いて固定するようにしてもよく、この場合、組み立て、分解が繰り返せるように、接着・剥離が繰り返し可能な粘着度の低いものを用いることが好ましい。
ここで、本実施形態の垂直折り目11及び折り目23は、組み立て時の折り曲げ角度を考慮し、表面側に切り込み加工を施した折り部2としている。なお、これに限らず、垂直折り目11及び折り目23は、V字加工を施した折り部2としてもよく、この場合には、表面側又は裏面側に加工してもよい。
【0041】
このように用意した脚部10及び天板部20を、図12に示すように嵌め合わせることで組み立てる。
具体的には、脚部10の上面に天板部20を上方から載せるようにして、脚部10の嵌合空間Sに嵌合部21の垂下片211を差し込む。このとき、差し込まれた垂下片211の幅寸法D2は、挟持面(10a,10c)間の間隔D1とほぼ等しい寸法であるため、垂下片211は、挟持面によって幅方向から挟持されることになる。
また、差し込まれた垂下片211は、外側面で側壁面10b(接触面)と面接触し、内側面で補強板22の両端面と接触することで、補強板22と側壁面10b(接触面)によって挟持されることになる。
したがって、差し込まれた垂下片211は、脚部10の嵌合空間Sにおいて嵌合され、図1に示すような組立状態となる。
【0042】
このように、合成樹脂製の中空板材からなる脚部10、天板部20を用意し、脚部10に天板部20を嵌合する簡易な構造で組立式台座1が組み立てられることになる。
また、脚部10が天板部20と嵌合可能な嵌合空間Sを形成することで、天板部20が脚部10から外れ難くすることができる。すなわち、嵌合空間Sに嵌合する天板部20の垂下片211の高さ寸法を、嵌合空間Sの垂直方向の高さまで長く設けることができるため、垂下片211を嵌合空間Sに深く差し込むことができ、垂下片211が嵌合空間Sから外れ難い構造とすることができる。
また、嵌合板211の下面に補強板22が積層されることで、補強板22が、垂下片211を内方に折れ曲がらないように抑制するとともに、側壁面10b(接触面)との間で垂下片211を挟持する。さらに、天板部20が二重構造(積層構造)となり、天板部20の形状の安定化さらには組立式台座1全体の強度を高めることができる。
【0043】
なお、組立式台座1を解体する際には、上記の組立方法とは逆の操作、すなわち、組立状態から嵌合空間Sに嵌合されている垂下片211を外すことによって、脚部10と天板部20とを解体することができる。さらに、脚部10は、略断面M字形状の組立状態から、突出片131と係合孔12との嵌め合わせを外し、垂直折り目11にしたがって展開することで偏平な形状となる(図3参照)。また、天板部20は、折り目23にしたがって展開することで偏平な形状(開いた状態)にすることができる(図5参照)。
このように、組立式台座1は、容易に解体することができ、解体後は、嵩張らずに持ち運び及び保管ができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係る組立式台座1によれば、中空板材からなる脚部10と天板部20のみで構成され、これらを嵌合して組み立てるだけの簡易な構造で構成することができる。このため、複数の異なる部材、接続のための金具や工具等を必要とすることなく、簡単に組立や設置が行えるだけでなく、非使用時の持ち運びや保管も容易にすることができる。
また、本実施形態に係る脚部10は、突出片131と係合孔12とが係合されることによって、天板部20の垂下片211を差し込み可能な嵌合空間Sを形成する。
これにより、嵌合空間Sに差し込む垂下片211の高さ寸法を、嵌合空間Sの垂直方向の高さまで設けることができるため、垂下片211を嵌合空間Sに深く差し込むことができる。その結果、垂下片211が嵌合空間Sから外れ難くなるため、組立式台座1の形態の安定性を確保することができる。
【0045】
また、垂下片211が嵌合空間Sに差し込まれた場合には、垂下片211の幅寸法D2と、嵌合空間Sを構成する挟持面(10a,10c)間の間隔D1がほぼ等しく形成されるため、垂下片211は、挟持面によって幅方向に挟持されるとともに、嵌合板21の下面に積層される補強板22と接触面(10b)に挟持されることで、固定される。その結果、垂下片211を嵌合空間Sから外れ難くすることができる。
さらに、合成樹脂製の中空板材で形成されたものであるため、水に濡れても強度が低下するおそれがなく、汚れても水で洗うことができるので、繰り返し使用することも可能である。
【0046】
以上、本発明の組立式台座について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明の組立式台座は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
例えば、上述した本実施形態では、図12に示すように、組立状態において設置面と脚部10の下端面、嵌合面(天板部20)と脚部10の上端面、の間に隙間が形成されるように、脚部10の垂直方向端部14が加工成形されている。これによって、組立式台座1の組立状態における美観性を高めることができる。一方、美観性を重視しない場合には、これらの隙間を形成する必要はなく、この場合には、組立状態において嵌合面(天板部20)の下面と脚部10の上端面とが接触することになる。すなわち、前壁面10dの上端面においては、天板部20を中央下方から支えることができる。これによって、荷重を分散することができ、脚部10が、左右によじれて倒れるようなことがなく十分な強度を確保することができる。
【0047】
また、上述した実施形態では、本発明に係る組立式台座を形成するための中空板材として、コア材として多数の突起103を有するキャップシート102を備えた気泡ボード100を例にとって説明したが、これに限らず、異なる中空板材を使用することができる。例えば、気泡ボードに代えて、コア材がハニカム構造により形成された中空板材、コア材が段ボール状に形成された中空板材(プラ段)等を使用することもできる。
また、上述した実施形態では、気泡ボード100のコア材(キャップシート102)を、一層のみ備えているが、これに限らず、キャップシートを複数層備えるようにすることもできる。例えば、二層のキャップシートを積層し、断面ハーモニカ状にコア材とすることができる。その場合、各キャップシートは、突起頂面側同士を対向させて配置することが好ましい。このようにすると、二層のキャップシートの突起を、パックシート及びライナーシートによってそれぞれ封止・密封することができ、二層のキャップシートの突起をそれぞれ気泡として機能させることができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、建物内や屋外等において組み立てて用いる椅子,テーブル,作業台等の組立式台座として利用可能であり、特に、中空板からなる部材同士を嵌め合わせて組み立てた場合に、この嵌合を外れ難くして、形態の安定性を確保し、耐水性や耐久性に優れ、繰り返し使用することができる組立式台座として好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 組立式台座
10 脚部
11 垂直折り目
12 係合孔
13 水平方向端部
131 突出片
14 垂直方向端部
20 天板部
21 嵌合板
211 垂下片
22 補強板
23 折り目
100 気泡ボード(中空板材)
101 バックシート
102 キャップシート
103 突起
104 ライナーシート
105 封止材
S 嵌込空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空構造をなすための立体加工が施されたコア材の表裏両面に平板状の外装材を積層してなる合成樹脂製の中空板材からなり、設置面に立設可能な組立式台座であって、
前記中空板材を自立可能に折り曲げ形成した脚部と、
前記脚部の上面に着脱可能に嵌合するとともにその上面が載置面となる天板部と、を備え、
前記天板部は、
前記脚部に向かって垂下する垂下片をその両端部に有し、
前記脚部は、
水平方向における両端部に形成した突出片と、前記両端部をそれぞれ内側に折り曲げることにより前記突出片と係合する係合孔と、を有し、
前記突出片と前記係合孔との係合により前記脚部が自立可能に保形されるとともに、前記突出片と前記係合孔との係合によって形成される空間であって、設置面に対して垂直方向に延びる壁面により囲まれる嵌合空間に前記垂下片を嵌め込むことで組み立てられる
ことを特徴とする組立式台座。
【請求項2】
前記嵌合空間は、
前記垂下片の幅寸法とほぼ等しい間隔をおいて対向配置され、前記垂下片を幅方向から挟持する挟持面と、
前記挟持面と連結するとともに、前記垂下片の外側面に面接触する接触面と、を備える
ことを特徴とする請求項1記載の組立式台座。
【請求項3】
前記天板部は、
折り畳み可能な折り目を有する一の前記中空板材からなり、
前記一の中空板材は、
前記折り目を境界に、前記垂下片が形成されるとともにその上面が前記載置面となる嵌合板と、前記嵌合板の下側に積層される補強板と、に区画され、
前記垂下片は、前記補強板の端面と前記接触面との間に挟持される
ことを特徴とする請求項2記載の組立式台座。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate