説明

組立式製紙用ドライヤー

【課題】製紙用ドライヤーを分割して運搬等を容易にする。
【解決手段】円筒状の外周部2と、この外周部2の円筒口を覆いふさぐ蓋部3と、この蓋部3の中心を貫通する軸部としての回転軸4とからなり、外周部2と蓋部3とで囲まれる空間を、加熱手段により蒸気を導入して加熱するとともに、外周部2の外側に湿潤した紙材原料を巻回させて乾燥するようにした乾燥回転体構造を有し、外周部2は軸方向に複数分割された分割外周板21が結合されてなり、蓋部3は径方向に分割され、かつ、複数分割された分割外周板21と対になるように分割された分割蓋板31が結合されてなり、分割外周板21の周方向両端に、その円弧を含む仮想円の中心に向けて突出させたフランジ22が設けられているものから組立てて組立式製紙用ドライヤー1を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型の製紙用ドライヤーに関し、特に、製紙工場への運搬を容易にし、製紙工場でも組立可能な構成にした組立式製紙用ドライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
製紙は概略、次の工程を経て製造される。すなわち、製紙用原料液から紙材原料を抄き取り、ウェブ状にする原紙成形工程と、抄き取った紙材原料をプレスして脱水する脱水工程と、脱水された紙材原料の乾燥を行う乾燥工程と、乾燥させた紙材原料をロール状に巻取って製紙ロールにする巻取り工程とを経て製造される。これらの工程中、乾燥工程では、直径3〜5m×長さ2〜4mにもなる巨大な円柱状の製紙用ドライヤーを用いて紙材原料を乾燥させることが一般的である。
【0003】
この製紙用ドライヤーについては、下記特許文献1,2に開示されているように、いくつかの提案がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−316789号公報
【特許文献2】特開2005−36362号公報
【0005】
特許文献1では、ドライヤーを軽量化し、また、より高温加熱が可能となるように、ドライヤー本体を構成する外筒と、内周面に断熱材が付着された内筒との間に、一定間隔に凹凸形状が反復的に形成された耐熱支持部を設け、この耐熱支持部の凹部に内部にニクロム線が備えられたステンレス管よりなる複数のヒーターを設置するとともに、ベアリング装置により回転可能に支持された支持軸をドライヤー本体の両側板の中心に同軸に配置し、この支持軸の一方に、一端が電源供給装置と、他端がヒーターとそれぞれ接続する接点端子を有する回転リングを設置して構成された製紙設備用ドライヤーに係る発明が提案されている。
【0006】
特許文献2では、鋳造により製造されたドライヤーと、鋼板加工により製造されたドライヤーの相互の利点を生かし、乾燥ドラム面の熱歪みを無くしながらも全体として軽量化が達成でき、紙製品の量産要求にも応えることができるように、中心部に回転軸を備えた円形の側板と、この側板外周に取り付けられる円筒状の乾燥ドラムと、これらにより囲まれた内部の空間である加熱室とを有する中空の回転体であって、乾燥ドラムの周面を加熱手段により加熱した状態で周面に未乾燥ウェブを巻回させることによって未乾燥ウェブの乾燥を行う装置において、乾燥ドラムの外周面が切削加工された鋳造部材であり、一方、側板が鋼板により形成されている製紙用ドライヤー装置に係る発明が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、製紙用ドライヤーは上述のとおり巨大な構造物である。しかも、その大きさは、一度に大面積の紙材原料を乾燥させることで大量生産に応えるようにするため、大型化する傾向にある。しかし、巨大な構造物である製紙用ドライヤーをそのまま製紙工場に導入する、例えば、船舶により港湾まで運搬し、その後、一般道路を経て製紙工場内に運搬して導入しようとすれば、一般道路を一時的に封鎖する等の作業が必要になる。そうすると、官公庁に許可を申請したり、深夜の運搬に限られたりする等、その運搬作業自体に非常に労力を要するという問題が生じている。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑み提案され、製紙工場への運搬を容易にし、製紙工場でも組立可能な構成にした製紙用ドライヤーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る組立式製紙用ドライヤーは、円筒状の外周部と、この外周部の円筒口を覆いふさぐ蓋部と、この蓋部の中心を貫通する軸部とからなり、前記外周部と前記蓋部とで囲まれる空間を加熱手段により加熱するとともに、前記外周部の外側に湿潤した紙材原料を巻回して、前記紙材原料を乾燥させるようにした回転体構造を有し、前記外周部は複数分割された分割外周板が結合されてなることを特徴とする。
【0010】
特に、上記組立式製紙用ドライヤーは、分割外周板が外周部の軸方向に分割されて形成され、蓋部が径方向に複数分割された分割蓋板が結合されてなり、分割外周板の周方向両端部には、分割外周板の円弧を含む仮想円の中心に向けて突出させたフランジが設けられていることが好ましい。
【0011】
また、複数分割された分割外周板の円弧は、それぞれ劣弧であり、かつ、長さが異なることがさらに好ましい。分割蓋板は、複数分割された分割外周板と対になるように分割されて形成されることが好ましい。
【0012】
このほか、本発明に係る組立式製紙用ドライヤーは、分割外周板が外周部の周方向に複数分割されて形成されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、円筒状の外周部と、この外周部の円筒口を覆いふさぐ蓋部と、この蓋部の中心を貫通する軸部とからなる回転体構造を有し、外周部が複数分割された分割外周板が結合されてなる構成とした組立式製紙用ドライヤーが提供される。したがって、製紙工場への運搬時には、外周部を複数分割した分割外周板と蓋部と軸部とに分けて運搬することができ、一般道路を一時的に封鎖する等の作業を不要にし、運搬時の労力を大幅に低減することができる。さらに、分割外周板、蓋部および軸部の部品群はそれぞれ、単純な構成であるので、ネジ止めや溶接等により接合すればよく、製紙工場内においても十分容易に組立てることが可能な製紙用ドライヤーを構成することができる。
【0014】
特に、本発明では、分割外周板が外周部の軸方向に分割されて形成され、蓋部が径方向に複数分割された分割蓋板が結合されてなるものとして構成すれば、分割外周板と分割蓋板と軸部とに分けて運搬することができ、一般道路を一時的に封鎖する等の作業を不要にし、確実に運搬時の労力を大幅に低減することができる。さらに、分割外周板の周方向両端部に、分割外周板の円弧を含む仮想円の中心に向けて突出させたフランジを設ければ、このフランジを利用してネジ止めや溶接等により結合することができるので、極めて容易に組立てることができる。また、複数分割された分割外周板の円弧を、それぞれ劣弧とし、かつ、長さを異ならせて構成すれば、運搬時に分割外周板を嵩張らないように重ねることができ、運搬時の容積をさらに減じて効率的な運搬が可能となる。このほか、分割蓋板として、複数分割された分割外周板と対になるように分割されて形成されたものを用いれば、組立時のネジ止め又は溶接がより容易になる。
【0015】
また、本発明では、分割外周板が外周部の周方向に複数分割されて構成された組立式製紙用ドライヤーであっても、製紙工場への運搬時に、複数台の大型自動車、中型自動車に分割部分をそれぞれ分乗させて運搬することで、一般道路を一時的に封鎖する等の作業を不要にし、運搬時の労力を大幅に低減することができる。そして、分割部分をネジ止めや溶接等により接合すれば、製紙工場内においても十分容易に組立てることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態の組立式製紙用ドライヤーの概略を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示したII−II断面図である。
【図3】第1実施形態の製紙用ドライヤーを分解した様子を説明する説明図である。
【図4】第1実施形態の製紙用ドライヤーを分解し、運搬用に纏めた様子を説明する説明図である。
【図5】第2実施形態の製紙用ドライヤーを分解し、運搬用に纏めた様子を説明する説明図である。
【図6】第3実施形態の製紙用ドライヤーを分解した様子を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明では、製紙工場への運搬を容易にし、製紙工場でも組立可能にした構成の製紙用ドライヤーを実現している。具体的には、以下に、いくつかの実施形態として図面とともに説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の構成を具現化した例示に過ぎず、特許請求の範囲に記載した事項を逸脱することがなければ種々の設計変更を行うことが可能であり、本発明は多数の実施形態を含むことに留意すべきである。
【0018】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係る組立式製紙用ドライヤー1は、円筒状の外周部2と、この外周部2の円筒口を覆いふさぐ蓋部3と、この蓋部3の中心を貫通する軸部としての回転軸4とからなり、外周部2と蓋部3とで囲まれる空間を、加熱手段により加熱媒体、例えば、蒸気を導入して加熱するとともに、外周部2の外側に湿潤した紙材原料を巻回させて乾燥するようにした回転体構造を有している。特に、図3に示すように、外周部2は、軸方向に複数分割された分割外周板21が結合されてなり、蓋部3も、径方向に分割され、かつ、複数分割された分割外周板21と対になるように分割された分割蓋板31が結合されてなるものとしている。すなわち、組立式製紙用ドライヤー1は、分割外周板21を結合して形成した外周部2と、分割蓋板31を結合して形成した蓋部3と、回転軸4とを組立てて構成することができる製紙用ドライヤーである。
【0019】
なお、回転軸4は、左右別部材で構成されている。一方が組立式製紙用ドライヤー1へ加熱媒体である蒸気を導入する導入側回転軸41であり、他方が蒸気を排出する排出側回転軸42である。各回転軸41,42には、外周部2と蓋部3とで囲まれる空間を加熱するための蒸気が通過する芯孔が形成されている。各回転軸41,42には、図2や図3に示すように、組立時に分割蓋板31との結合が便宜となるように、鍔状のボスが設けられることが好ましい。また、例えば、導入側回転軸41には、蒸気が外周部2付近まで導かれ、円筒状の外周部2が効率的に加熱されるように設けられる蒸気伝導管411が接続されていると、さらに好ましい。
【0020】
第1実施形態において、分割外周板21は、90度の円弧を有する曲面板で、結合されれば円筒状の外周部2が構成されるように、4つが同一形状で用意されている。分割外周板21は、例えば、鋼板加工により製造することができる。さらに、特に、図2や図3に示すように、分割外周板21には、分割外周板21の円弧を含む仮想円の中心に向けて突出させたフランジ22が周方向両端部に設けられている。組立式製紙用ドライヤー1の組立では、フランジ22を利用してネジ止めまたは溶接(図2、図3においてネジ止め)により、4つの分割外周板21をそれぞれ結合して外周部2を構成すればよい。
【0021】
分割蓋板31は、図1〜図3に示すように、結合されると蓋部3が構成されるように、円板を径方向に分割して、かつ、蓋部3が構成されたときに中心を回転軸4(各回転軸41,42)が貫通可能となるように、基部が切り欠かれて形成された略扇形板である。この略扇形板は、例えば、鋼板加工により製造することができる。分割蓋板31の円弧は、分割外周板21が90度の円弧を有するので、これに対応させて90度に形成されている。また、分割蓋板31の円弧が90度であるので、外周部2の円筒口を塞ぐのに必要な個数は4つであり、したがって、外周部2の上下の円筒口を塞ぐのに、8つの分割蓋板31が用意されている。なお、4つの分割蓋板31を結合して蓋部3を構成する際には、溶接により結合すればよい。
【0022】
このほか、外周部2と蓋部3とは、ネジ止め又は溶接により結合すればよい。ただし、その結合では、外周部2の外周面に溶接痕やネジ頭が現れないようにする。巻回して乾燥させる紙材原料に、溶接痕やネジ頭によってネジ痕や傷を発生させる等の悪影響を及ぼさないようにするためである。
【0023】
以下、第1実施形態に係る組立式製紙用ドライヤー1における製紙工場への運搬の様子と、製紙工場での組立の様子を簡単に説明する。
【0024】
まず、製紙工場への運搬では、分割外周板21を4つ、分割蓋板31を8つ、回転軸4として導入側回転軸41、排出側回転軸42をそれぞれ用意し、トラック等の荷物収納部に収容して運搬すればよい。特に、図4に示すように、4つの分割外周板21は、円弧の向きを一方向に揃えることで、非常にコンパクトに収容することができる。なお、運搬時の労力低減が目的であるので、8つの分割蓋板31についても重ねて運搬すればよい。このように、第1実施形態では、製紙用ドライヤーが巨大な構造物となる原因である外周部2を、4つの分割外周板21に分割したことにより、一般道路を一時的に封鎖する等の作業も必要なく、容易に製紙工場へ運搬することができるようになる。
【0025】
また、製紙工場での組立では、4つの分割蓋板31と導入側回転軸41とを結合し、他の4つの分割蓋板31と排出側回転軸42とを結合して、回転軸4(各回転軸41,42)が中心に貫通した蓋部3を2つ組立てる。併行して、4つの分割外周板21を、フランジ22を利用して、例えばネジ止めにより結合して外周部2を組立てる。4つの分割蓋板31と回転軸4(各回転軸41,42)との結合では、4つの分割蓋板31を溶接により結合して蓋部3を組立て、その後、回転軸41,42を貫通させ、回転軸41,42に設けられている鍔状のボスと、蓋部3を構成する4つの分割蓋板31の基部とを溶接により結合することが便宜である(特に、図3参照)。
【0026】
最後に、2つの回転軸4(各回転軸41,42)が中心に貫通した蓋部3を、外周部2の円筒口の上下にそれぞれ、外周部2の外周面に溶接痕やネジ頭が現れないようにネジ止め又は溶接により結合して組立て、組立式製紙用ドライヤー1を完成させる。このように、第1実施形態では、分割外周板21、分割蓋部31、導入側回転軸41および排出側回転軸42の分割した部品から、ネジ止め又は溶接等の容易な結合方法により結合するので、製紙工場内においても十分容易に組立式製紙用ドライヤー1を組立てることができる。
【0027】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る組立式製紙用ドライヤーは、第1実施形態と同様、円筒状の外周部2と、この外周部2の円筒口を覆いふさぐ蓋部3と、この蓋部3の中心を貫通する軸部としての回転軸4とからなる回転体構造を有し、外周部2が、軸方向に複数分割された分割外周板21が結合されてなり、蓋部3も、径方向に分割され、かつ、複数分割された分割外周板21と対になるように分割された分割蓋板31が結合されてなる。また、分割外周板21の周方向両端に、分割外周板21の円弧を含む仮想円の中心に向けて突出させたフランジ22が設けられていることも同様である。しかし、第2実施形態に係る組立式製紙用ドライヤーが第1実施形態と異なるのは、分割外周板21の円弧が、それぞれ劣弧であって、かつ、長さが異なる構成である点である。
【0028】
すなわち、第2実施形態に係る組立式製紙用ドライヤーは、図5に示すように、分割外周板に関し、例えば、150度の円弧を有する分割外周板21a、110度の円弧を有する分割外周板21b、70度の円弧を有する分割外周板21cおよび30度の円弧を有する分割外周板21dの4つから構成されている。これにより、分割外周板21a,21b,21c,21dの周方向両端に、その円弧を含む仮想円の中心に向けて突出させたフランジ22が設けられていても、運搬時に円弧の向きを一方向に揃えることができ、さらに、円弧部分が接した状態で重ねることができる(図4を対比する図面として参照すること。)。そうすると、トラック等の荷物収納部に、分割外周板21a,21b,21c,21dをさらにコンパクトに収容して運搬することができる。なお、分割蓋板31については、図5に示すように、分割された分割外周板21と対になるように分割された分割蓋板31とし、これらを溶接等により結合して蓋部3を構成してもよく、第1実施形態のように円板を4等分にしたような分割蓋板31とし、これらを溶接等により結合して蓋部3を構成してもよい。
【0029】
したがって、本発明では、円筒状の外周部2が軸方向に複数分割された分割外周板21が結合されてなり、蓋部3も径方向に分割された分割蓋板31が結合されてなる構成としたので、製紙工場への運搬時には、分割外周板21と分割蓋板31と回転軸4とに分けて運搬することができる。これにより、トラック等の荷物収納部にコンパクトに収容して運搬することができるので、一般道路を一時的に封鎖する等の作業を不要にし、運搬時の労力を大幅に低減することができる。さらに、分割外周板21、分割蓋板31および回転軸4は、それ自体単純な構成であるので、ネジ止めや溶接等により接合すればよく、製紙工場内においても十分容易に組立てることができる。分割外周板21の周方向両端部にフランジ22を設ければ、さらに容易に組立てることができるし、分割外周板21a〜21dのように、円弧をそれぞれ劣弧とし、かつ、長さを異ならせれば、周方向両端部にフランジ22が設けられていても運搬時に嵩張らないように重ねることができ、さらにコンパクトに収容して運搬することができる。
【0030】
ここで、上記第1実施形態および第2実施形態では、本発明に係る組立式製紙用ドライヤーにおける分割外周板の個数が、4つである例を説明したが、この個数(4つ)に限定されるものではない。分割外周板は、軸方向に分割し、それぞれ結合されることで円筒状の外周部が形成されるものであれば、例えば、3〜8つで構成すればよい。ただし、製紙工場でのネジ止め又は溶接等による組立を考慮すれば、煩雑にならないように3〜5つで構成することが好ましい。また、分割蓋板についても、径方向に分割され、それぞれ結合されることで円板状の蓋部が形成されるものであれば、3〜8つに分割すればよい。その分割形態としては、等分に分割してもよく、分割された分割外周板と対になるように分割してもよく、いずれも好ましい形態といえる。
【0031】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る組立式製紙用ドライヤーは、図6に示すように、円筒状の外周部2が周方向に複数分割されて形成された分割外周板21eが結合されてなるものである。例えば、製紙用ドライヤーを一度完成させた後に、外周部2を周方向に複数分割することで形成することができる。したがって、本実施形態では、上記第1実施形態および第2実施形態と異なり、蓋部3を径方向等に分割しなくても構成することが可能である。この場合、製紙工場への運搬では、複数台のトラック等を用意し、その荷物収納部に分割した部分ごとに収容して運ぶことで、一般道路を一時的に封鎖する等の作業を不要にし、運搬時の労力を大幅に低減することができる。また、製紙工場内では、分割外周板21eの分割した部分同士をネジ止めや溶接等により接合すればよく、十分容易に組立てることができる。なお、分割した部分同士をネジ止めや溶接等により接合しやすくするために、分割外周板21eの端部にフランジ等を設けてもよい。
【0032】
なお、図6において、円筒状の外周部2は、周方向に3つに分割されて形成された分割外周板21eが結合されてなる例を示したが、この個数(3つ)に限定されるものではない。分割外周板は、周方向に分割し、それぞれ結合されることで円筒状の外周部が形成されるものであれば、例えば、3〜8つで構成すればよい。ただし、製紙工場でのネジ止め又は溶接等による組立を考慮すれば、煩雑にならないように3〜5つで構成することが好ましい。
【0033】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は上述したように、特許請求の範囲に記載した事項を逸脱しない限り、種々の設計変更することが可能である。例えば、分割外周板、分割蓋板等の材質は、鋼板に限られず、湿潤した紙材原料を効率よく乾燥させることのできるものであれば適宜の材質を用いることができる。また、上記実施形態では、外周部と蓋部とで囲まれる空間を蒸気により加熱する例を説明したが、その他の加熱手段により加熱することを選択することもできる。
【0034】
このほか、本発明では、複数分割された分割外周板が結合された外周部と、蓋部と、軸部とから組み立てて構成すれば、製紙工場への運搬を容易にし、製紙工場でも組立可能にするという目的が達成されるのであるから、大型化の要請にも的確に応えることができることに留意すべきである。
【符号の説明】
【0035】
1・・・組立式製紙用ドライヤー
2・・・外周部
21、21a、21b、21c、21d、21e・分割外周板
3・・・蓋部
31・・分割蓋板
4・・・回転軸(軸部)
41・・導入側回転軸
411・蒸気伝導管
42・・排出側回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の外周部と、この外周部の円筒口を覆いふさぐ蓋部と、この蓋部の中心を貫通する軸部とからなり、前記外周部と前記蓋部とで囲まれる空間を加熱手段により加熱するとともに、前記外周部の外側に湿潤した紙材原料を巻回して、前記紙材原料を乾燥させるようにした回転体構造を有し、
前記外周部は、複数分割された分割外周板が結合されてなる、
ことを特徴とする組立式製紙用ドライヤー。
【請求項2】
前記分割外周板は、前記外周部の軸方向に分割されて形成され、
前記蓋部は、径方向に複数分割された分割蓋板が結合されてなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の組立式製紙用ドライヤー。
【請求項3】
前記分割外周板の周方向両端部に、前記分割外周板の円弧を含む仮想円の中心に向けて突出させたフランジが設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の組立式製紙用ドライヤー。
【請求項4】
複数分割された前記分割外周板の円弧は、それぞれ劣弧であり、かつ、長さが異なる、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の組立式製紙用ドライヤー。
【請求項5】
前記分割蓋板は、前記外周部の軸方向に複数分割された前記分割外周板と対になるように分割されて形成される、
ことを特徴とする請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の組立式製紙用ドライヤー。
【請求項6】
前記分割外周板は、前記外周部の周方向に複数分割されて形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の組立式製紙用ドライヤー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−237077(P2012−237077A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107275(P2011−107275)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000190080)信栄製紙株式会社 (8)
【Fターム(参考)】