説明

組立治具

【課題】回路基板の製造コストを低減し、製造歩留りを向上させ、さらには位置決めを安定させることができる組立治具を提供する。
【解決手段】組立治具1は、シールドカバーおよび回路基板本体を置く搭載部113を有する基台11と、移動自在に基台11へ接続され、搭載部113に対向した圧着部を有する圧着機構13と、基台11に配置され、圧着機構13に接続された駆動部151を有し、駆動部151により圧着機構13を駆動させて搭載部113の方向に移動させ、第2の位置決め部それぞれの末端部を折り曲げて係合させる駆動機構15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は組立技術に関し、特に、回路基板に応用する組立治具に関する。
【背景技術】
【0002】
無線製品が高パワーでデータの無線通信を行うとき、能動素子の非線性特性により高調波が生成され、電磁波妨害(Electro−Magnetic Interference:EMI)を発生させることがあった。そのため、各国は次々と関連法規を制定し、規定に合わない無線製品の輸入および使用を制限していた。そのため、無線製品の設計および製造を行うメーカは、無線製品の制御回路を設計するとき、関連法規の要求を考慮する必要があった。さらに、無線製品自体の回路が外部の電磁波の信号妨害(例えば、無線周波数(Radio Frequency:RF)信号)を受け、予期できない状況が発生することがあったため、妨害およびノイズを抑制することは困難であった。
【0003】
従来、上述の問題を防ぐために、回路基板上にシールドカバーを配置していた。図1に示すように、一般に、回路基板2には表面実装技術(Surface Mount Technology:SMT)を利用し、全溶接方式により回路基板本体20上にシールドカバー22を溶接して回路基板本体20の表面(例えば、チップの一部のデバイス)を覆った後、回路基板2をリフロー炉(図示せず)に通してリフロー半田付け(reflow−soldering)工程を行う。
【0004】
しかし、この従来の1ピース式全溶接方式では、シールドカバー22全体を回路基板本体20上に溶接してリフロー半田付け工程を行った後、シールドカバー22下に不良(fail)なデバイスが見つかった場合、溶接を外してシールドカバー22を取り外さなければ不良デバイスを交換することができなかった。その上、取り外したシールドカバー22が変形し易く、回収して再利用することが困難であったため、製造コストが増大した。
【0005】
前述の1ピース式全溶接技術が有する問題を解決するため、図2に示すように、前述の1ピース式シールドカバー22の替わりにダウンフレーム24および上蓋26を使用した2ピース式全溶接技術を利用した技術がある。例えば、組み立てを行う際、回路基板本体20上に、まず、ダウンフレーム24を溶接してから、回路基板2’をリフロー炉に通して上蓋26で覆い、ダウンフレーム24に上蓋26を結合させる。
【0006】
しかし、この2ピース式全溶接技術は必要な部品が多いため、コストが高くなった。また、予めダウンフレーム24を溶接する必要があるため、リフロー炉に通してから上蓋26の2次加工を行うことから、組み立てに必要な工程が増えた。
【0007】
しかし、1ピース式全溶接技術および2ピース式全溶接技術もそれぞれ半田付けを使用しなければならなかったため、半田付けの高い温度により回路基板本体およびその上のデバイスが損傷し、表面実装技術の不良率が高くなる虞があった。
【0008】
この問題を解決するため、従来には以下2つの方法があった。回路基板全体をシールドカバーで覆い、その末端を内側に折り曲げた弾性アームにより回路基板の周辺を挟み込む(例えば、特許文献1参照。)。回路基板に貫設したシールドカバーにより回路基板の一部の表面を覆い、末端が外側に折り曲げられた干渉構造により回路基板へシールドカバーを固定させる(例えば、特許文献2参照。)。
【0009】
上述した従来技術は、半田付けを行う必要はなかったが、これらの弾性アームおよび干渉構造は、後続工程で高温により変形し易かった。そのため、回路基板にシールドカバーを係合させる強度に悪影響を与え、シールドカバーが脱落してしまう虞があった。
【0010】
そのため、従来技術が有した上述の問題を解決することができる組立治具が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】中国実用新案登録第201063966号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0043453号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、回路基板の製造コストを低減させることが可能な組立治具を提供することにある。
【0013】
本発明のもう一つの目的は、回路基板の製造歩留りを向上させることが可能な組立治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、回路基板本体が有する複数の第1の位置決め部に、シールドカバーが有する複数の第2の位置決め部をそれぞれ貫設し、前記シールドカバーと前記回路基板本体とを組み立てるために用いる組立治具であって、前記組立治具は、前記シールドカバーおよび前記回路基板本体を置く搭載部を有する基台と、移動自在に前記基台へ接続され、前記搭載部に対向した圧着部を有する圧着機構と、前記基台に配置され、前記圧着機構に接続された駆動部を有し、前記駆動部により前記圧着機構を駆動させて前記搭載部の方向に移動させ、前記第2の位置決め部それぞれの末端部を折り曲げて係合させる駆動機構と、を備えることを特徴とする組立治具が提供される。
【0015】
また、前記基台は、底部と、前記底部に対して垂直な立柱と、を含むL字状台座であることが好ましい。
【0016】
また、前記基台は、前記底部に配置された高さ調整装置と、前記高さ調整装置上に配置された前記搭載部と、前記立柱に配置された第1のスライド部と、を有することが好ましい。
【0017】
また、前記搭載部は、前記基台および前記高さ調整装置の一方と一体成形され、前記圧着機構は、前記第1のスライド部に対応した第2のスライド部を含み、前記第1のスライド部および前記第2のスライド部は、互いに対応したスライドレールおよびスライドブロックを含むことが好ましい。
【0018】
また、前記搭載部は、前記回路基板本体および前記シールドカバーをそれぞれ置く第1の凹溝および第2の凹溝を有することが好ましい。
【0019】
また、前記圧着機構は、前記搭載部に対応するように設けられた圧着部と、前記第2の位置決め部を折り曲げる折り曲げ部と、前記圧着部の側面に折り曲げ部を挟持させる第1の位置規制部と、前記折り曲げ部の上端部に貫設された第2の位置規制部と、を有することが好ましい。
【0020】
また、前記圧着部は、圧着ブロックであり、前記折り曲げ部は、下端部に設けられた斜面と、側面に設けられた第3の位置規制部と、を有し、前記圧着部の側面に設けられたストッパ板であり、前記斜面は、前記圧着部の側面から離れるように形成された斜面であり、前記第1の位置規制部は、ボルトおよびピンの一方であり、前記第2の位置規制部は、バネが外嵌された接続ロッドであり、前記第3の位置規制部は、導入溝であることが好ましい。
【0021】
また、前記圧着部は、凹溝が設けられていることが好ましい。
【0022】
また、前記駆動部は連動ロッドであることが好ましい。
【0023】
また、前記駆動機構は、前記駆動部に接続された接続部と、前記接続部に接続された前記基台の作動部と、を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の組立治具は、ダウンフレームを使用したり、半田付けを行ったりしなければならなかった従来技術と異なり、圧着方式により回路基板本体の組立治具にシールドカバーを接続させることにより、回路基板の製造コストを低減し、製造歩留りを向上させ、さらには位置決めを安定させることもできる。さらに、本発明の組立治具は、半田付けを取り外さずに回路基板上にあるデバイスを交換することができるため修理を簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来の1ピース式全溶接シールドカバーを有する回路基板を示す斜視図である。
【図2】従来の2ピース式全溶接シールドカバーを有する回路基板を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による組立治具を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態による組立治具により組み立てる回路基板のシールドカバーおよび回路基板本体を示す分解斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態による組立治具を示す側面図である。
【図6A】図3の組立治具を用いて図4の回路基板を組み立てるときの工程を示す模式図である。
【図6B】図3の組立治具を用いて図4の回路基板を組み立てるときの工程を示す模式図である。
【図6C】図3の組立治具を用いて図4の回路基板を組み立てるときの工程を示す模式図である。
【図6D】図3の組立治具を用いて図4の回路基板を組み立てるときの工程を示す模式図である。
【図6E】図3の組立治具を用いて図4の回路基板を組み立てるときの工程を示す模式図である。
【図6F】図3の組立治具を用いて図4の回路基板を組み立てるときの工程を示す模式図である。
【図6G】図3の組立治具を用いて図4の回路基板を組み立てるときの工程を示す模式図である。
【図7】本発明の変形例による組立治具を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
【0027】
図3を参照する。図3に示すように、本発明の一実施形態による組立治具1は、基台11と、移動自在に基台11へ接続された圧着機構13と、圧着機構13に接続された駆動機構15と、を含む。
【0028】
図4を参照する。本発明の一実施形態による組立治具1は、図4のシールドカバー30を回路基板本体50に組み立てるときに用いる。回路基板本体50には、複数の第1の位置決め部501が設けられている。シールドカバー30には、複数の第2の位置決め部301が設けられている。各第2の位置決め部301は、第1の位置決め部501にそれぞれ対応して貫設される。シールドカバー30は、回路基板本体50の一方の表面に覆設され、各第2の位置決め部301は、各第1の位置決め部501を介して回路基板本体50の他方の表面まで貫通される。その後、組立治具1により、回路基板本体50の他方の表面に接触されるように各第2の位置決め部301の末端を折り曲げ、組み立てを完成させる。当然、互いに対応した複数の第1の位置決め部501および複数の第2の位置決め部301を含み、各第1の位置決め部501に各第2の位置決め部301をそれぞれ対応するように貫通させることができる構造であれば、回路基板のシールドカバー30および回路基板本体50の構造は別の態様にしてもよい。また、異なったシールドカバー30が回路基板本体50に使用できるようにして共用性を高めるために、第1の位置決め部501の数を第2の位置決め部301より多くしてもよい。
【0029】
基台11は、圧着を行う際、支持に用いる治具の平台(例えば L字状台座)である。この基台11は、底部と、底部に対して垂直な立柱と、を含む。本実施形態の基台11は、底部に配置された高さ調節装置111と、高さ調節装置111上に配置された搭載部113と、立柱に配置された第1のスライド部115と、を含む。高さ調節装置111は、高さを調節することができれば如何なる構造または部材を利用してもよい。例えば、高さ調節装置111の操作部1111を回転させることにより、搭載部113の昇降および移動を行うことができる。この搭載部113は、例えば、組立物を置くことができる平台であり、前述の回路基板本体50およびシールドカバー30をそれぞれ置くために用いる第1の凹溝1131および第2の凹溝1133を含む。第1の凹溝1131は、第2の凹溝1133より大きく、第1の凹溝1131および第2の凹溝1133により、各第2の位置決め部501がガイドされ、第1の位置決め部301にそれぞれ位置合わせさせることができる。
【0030】
本実施形態では、駆動機構15の駆動行程を固定することにより、圧着機構13で圧着を行う際、回路基板本体50を押圧しないように制御しながら、第2の位置決め部301それぞれの末端部を回路基板本体50の他方の表面に接触するように折り曲げることができるため、回路基板本体50の破損を防ぐことができる。他の実施形態では、高さ調節装置111を省略し、駆動機構15の駆動行程を変動可能な行程で実施して他の構造または部材により駆動行程を制御してもよい。また、本実施形態において、組立物を置く平台として用いる搭載部113を高さ調節装置111へさらに加えることにより、組み立てを行う回路基板本体50およびシールドカバー30の構造または寸法を変更する際、適宜な搭載部113に交換するだけで組み立てを行うことができる。しかし、当業者であれば分かるように、本発明は本実施形態の態様だけに限定されるわけではなく、搭載部113は、基台11または高さ調節装置111上へ一体成形させてもよい。
【0031】
図5を参照する。図5に示すように、圧着機構13は、搭載部113に対向するように配置された圧着部131と、各第2の位置決め部301を折り曲げるために用いる折り曲げ部133と、折り曲げ部133を圧着部131の側面に挟持させるために用いる第1の位置規制部135と、折り曲げ部133の上端部に貫設された第2の位置規制部137と、第1のスライド部115に対応した第2のスライド部139と、を含む。
【0032】
本実施形態の圧着部131は、シールドカバー30と同じ大きさか、シールドカバー30より大きな圧着ブロックである。折り曲げ部133は、圧着部131の側面に設けられた伸縮可能なストッパ板などである。この折り曲げ部133の下端部は、圧着部131の表面から突出されている。
【0033】
折り曲げ部133は、下端部に設けられた斜面1331と、側面に設けられた第3の位置規制部1333と、を有する。斜面1331は、圧着部131の側面から離れるように傾斜している斜面である。
【0034】
第1の位置規制部135は、例えば、ボルトまたはピンである。第3の位置規制部1333は、例えば、導入溝である。第1の位置規制部135は、第3の位置規制部1333に移動行程を提供する。
【0035】
第2の位置規制部137は、バネ1371が外嵌された接続ロッド1373でもよい。接続ロッド1373は、折り曲げ部133の上端部に貫設され、第1の位置規制部135に接続される。圧着部131が駆動されて下降すると、まず、折り曲げ部133が回路基板本体50およびシールドカバー30に接触され、第1の位置規制部135により第3の位置規制部1333の直線移動が規制される。このように、圧着部131が駆動し続け、組み立てる回路基板本体50およびシールドカバー30に圧着部131が接触されると、折り曲げ部133が第2の位置規制部137の方向(上方)に移動し、圧着部131と折り曲げ部133とが略共平面となる。
【0036】
第2のスライド部139は、基台11の第1のスライド部115に対応して配置され、第1のスライド部115および第2のスライド部139は、互いに対応したスライドレールおよびスライドブロックでもよい。本実施形態では、第1のスライド部115はスライドレールであり、第2のスライド部139はスライドブロックであるが、他の実施形態では、第1のスライド部115をスライドブロックにし、第2のスライド部139をスライドレールにしてもよい。さらに、第1のスライド部115および第2のスライド部139は、必ずしも本実施形態の態様だけに限定されるわけではなく、他の実施形態では、対応して直線移動する同等の効果を有する部材(例えば、ラック(チェーン)および歯車)により構成してもよい。
【0037】
駆動機構15は、基台11に配置される。例えば、この駆動機構15は、基台11の立柱に固定され、圧着機構13を均一に押し下げるために用いられる。本実施形態の駆動機構15は、圧着機構13に接続された駆動部151と、駆動部151に接続された接続部153と、接続部153および基台11の立柱に接続された作動部155と、を含む。駆動部151は、圧着機構13を移動させ、各第2の位置決め部301の末端を折り曲げて係合させるために用いる。さらに駆動部151は、圧着部131を上下移動させるために用いる連動ロッドであり、圧着部131を駆動させて各第2の位置決め部301を折り曲げてもよい。ここで、本実施形態では、圧着部131を上下に移動させる方式で組み立てられているが、他の実施形態では、左右に移動させる方式で組み立ててもよい。即ち、駆動機構15の駆動部151により圧着機構13を駆動させ、基台11の搭載部113の方向へ圧着機構13を移動させ、各第2の位置決め部301の末端部を折り曲げて係合させることができれば如何なる構造にしてもよい。
【0038】
本実施形態では、2つの接続アームが接続部153として配置されているが、他の実施形態では、駆動部151と作動部155とを軸接続させる連動ロッドまたはそれと同等の効果を有する他の接続部材として接続部153を用いてもよい。作動部155は、基台11の立柱に軸接続された一方の端部と、接続部153と軸接続された略中央部分と、作動部155を下げて圧着部131を下方移動させることが可能な他方の端部と、を有する。
【0039】
図6Aおよび図6Bを参照する。シールドカバー30を回路基板本体50に組み立てるとき、回路基板本体50およびシールドカバー30を搭載部113に置く。図6Aに示すように、まず、第2の凹溝1133中にシールドカバー30を置いてから、図6Bに示すように、第1の凹溝1131中に回路基板本体50を置く。シールドカバー30は、回路基板本体50の一方の表面に覆設される。各第2の位置決め部301は、各第1の位置決め部501により回路基板本体50の他方の表面まで貫通される。
【0040】
ここで、本実施形態では、圧着による組み立てが行なわれるため、回路基板をリフロー炉に通してから、シールドカバー30を回路基板本体50上に覆設させる。これにより、回路基板がリフロー炉に通された後、デバイスに故障(fail)が発生したか否かを即座に検出することができる。これにより、回路基板の製造工程で発生する不良率を低減させることができる。
【0041】
また、本実施形態の工程では、まず、シールドカバー30と回路基板本体50とを手動で接続させた後に搭載部113内に入れるが、他の実施形態では、自動生産ラインを利用し、まず、シールドカバー30と回路基板本体50とを接続させてから、搭載部113内に入れる。
【0042】
図6Cおよび図6Dを参照する。図6Cおよび図6Dに示すように、この工程では作動部155を下げる。そして、圧着を行う前に折り曲げ部133により各第2の位置決め部301を所望の方向へ折り曲げる。本実施形態では、まず、斜面1331を各第2の位置決め部301の末端部に接触させ、各第2の位置決め部301を予め折り曲げておく。作動部155を下げ続けると、搭載部113上にある回路基板本体50およびシールドカバー30に圧着部131が接触され、図6Eおよび図6Fに示すように、折り曲げ部133が上方に移動する。第1の位置規制部135は、第3の位置規制部1333の下方に位置するため、圧着部131と折り曲げ部133とを共平面に維持することができる。折り曲げ部133が上方移動するときにバネ1371が圧縮されるため、下降動作が終了すると、バネ1371の弾性復元力がリリースされ、折り曲げ部133を復位させる。
【0043】
図6Gを参照する。図6Gに示すように、各第2の位置決め部301の末端が回路基板本体50の表面(例えば、回路基板本体50の接地部503)に接触するまで折り曲げられる。
【0044】
本実施形態の駆動機構15(例えば、てこの原理を利用した連動ロッドからなる駆動機構15)は大きな作用力を有するため、簡便に操作を行うことができる。当然、他の実施形態では、駆動機構15に他の機械式直線駆動機構(linear drive mechanism)、または、気圧式、電磁式、液圧式、油圧式もしくは圧電式の直線駆動機構を利用してもよく、本実施形態の態様のみに限定されるわけではない。例えば、駆動機構15には、ラチェット歯と歯車とを噛合させた直線駆動機構を利用してもよい。
【0045】
上述したように本実施形態では駆動機構15を下降させることにより圧着工程を行っていたが、他の実施形態では、駆動機構15と圧着機構13との位置を入れ替えて反対に配置してもよい。つまり、駆動機構15の上方に圧着機構13を配置させてもよい。その場合、組み立て動作を逆に行い、駆動機構15を上方に引き上げて圧着を行う。また、圧着力を均一にするために、人力で圧着させる替わりに、気圧(液圧)式により圧着させてもよい。或いは、荷重圧着またはそれと同等の効果を有する別の圧着方式で圧着を行ってもよい。例えば、気圧(液圧)式の圧着を行うときは、気圧(液圧)シリンダの行程で圧着機構13が駆動される高さを制御することにより、高さ調節装置111を省略してもよい。即ち、当業者であれば分かるように、前述の圧着機構13の細部構造を変更したり、圧着機構13と駆動機構15との配置位置を入れ替えたりしてもよい。また、前述の変更は、当業者であれば理解して実施することが可能であるため、図面は省略する。
【0046】
(変形例)
図7を参照する。図7に示すように、本発明の変形例による圧着部131に設けられる凹溝1311の形状は弧形状などであるが、これだけに限定されるわけではなく、回路基板本体50の表面に各第2の位置決め部301の末端を接触するように折り曲げることができれば如何なる態様にしてもよい。つまり、本実施形態では、まず、各第2の位置決め部301が折り曲げられてから、各第2の位置決め部301が押圧されて平坦にされ、対応する接地部に接触されるが、他の実施形態では、直接に各第2の位置決め部301を押圧して平坦にし、対応する接地部に接触させたり、他の方式により各第1の位置決め部501に各第2の位置決め部301を貫設させた後に押圧して平坦にしてもよい。さらに、この変形例では、折り曲げ部133、第1の位置規制部135、第2の位置規制部137およびその他の細部構造を省略することもできる。また、この変形例では、カバー30の周辺部のみを押圧し、シールドカバー30の中央部分が押圧されないように、シールドカバー30に接触される圧着部131の接触面のサイズおよび形状を調整してもよい。
【0047】
さらに、本実施形態では、まず、シールドカバー30を置き、シールドカバー30の第2の位置決め部301を上方に向けてから回路基板本体50が置かれるが、他の実施形態では、まず、回路基板本体50を置いてから、その回路基板本体50上にシールドカバー30を置き、第2の位置決め部301を下方に向けてもよい。つまり、本発明は、組立動作を逆にすることができるだけでなく、組立物を反対に配置し、入れ替えてもよい。
【0048】
当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、組立技術に関し、特に、回路基板に応用する組立治具の技術分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 組立治具
2 回路基板
2’ 回路基板
11 基台
13 圧着機構
15 駆動機構
20 回路基板本体
22 シールドカバー
24 ダウンフレーム
26 上蓋
30 シールドカバー
50 回路基板本体
111 高さ調節装置
113 搭載部
115 第1のスライド部
131 圧着部
133 折り曲げ部
135 第1の位置規制部
137 第2の位置規制部
139 第2のスライド部
151 駆動部
153 接続部
155 作動部
301 第2の位置決め部
501 第1の位置決め部
503 接地部
1111 操作部
1131 第1の凹溝
1133 第2の凹溝
1311 凹溝
1331 斜面
1333 第3の位置規制部
1371 バネ
1373 接続ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板本体が有する複数の第1の位置決め部に、シールドカバーが有する複数の第2の位置決め部をそれぞれ貫設し、前記シールドカバーと前記回路基板本体とを組み立てるために用いる組立治具であって、前記組立治具は、
前記シールドカバーおよび前記回路基板本体を置く搭載部を有する基台と、
移動自在に前記基台へ接続され、前記搭載部に対向した圧着部を有する圧着機構と、
前記基台に配置され、前記圧着機構に接続された駆動部を有し、前記駆動部により前記圧着機構を駆動させて前記搭載部の方向に移動させ、前記第2の位置決め部それぞれの末端部を折り曲げて係合させる駆動機構と、を備えることを特徴とする組立治具。
【請求項2】
前記基台は、底部と、前記底部に対して垂直な立柱と、を含むL字状台座であることを特徴とする請求項1に記載の組立治具。
【請求項3】
前記基台は、前記底部に配置された高さ調整装置と、前記高さ調整装置上に配置された前記搭載部と、前記立柱に配置された第1のスライド部と、を有することを特徴とする請求項2に記載の組立治具。
【請求項4】
前記搭載部は、前記基台および前記高さ調整装置の一方と一体成形され、
前記圧着機構は、前記第1のスライド部に対応した第2のスライド部を含み、前記第1のスライド部および前記第2のスライド部は、互いに対応したスライドレールおよびスライドブロックを含むことを特徴とする請求項3に記載の組立治具。
【請求項5】
前記搭載部は、前記回路基板本体および前記シールドカバーをそれぞれ置く第1の凹溝および第2の凹溝を有することを特徴とする請求項1に記載の組立治具。
【請求項6】
前記圧着機構は、前記搭載部に対応するように設けられた圧着部と、前記第2の位置決め部を折り曲げる折り曲げ部と、前記圧着部の側面に折り曲げ部を挟持させる第1の位置規制部と、前記折り曲げ部の上端部に貫設された第2の位置規制部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の組立治具。
【請求項7】
前記圧着部は、圧着ブロックであり、
前記折り曲げ部は、下端部に設けられた斜面と、側面に設けられた第3の位置規制部と、を有し、前記圧着部の側面に設けられたストッパ板であり、
前記斜面は、前記圧着部の側面から離れるように形成された斜面であり、
前記第1の位置規制部は、ボルトおよびピンの一方であり、
前記第2の位置規制部は、バネが外嵌された接続ロッドであり、
前記第3の位置規制部は、導入溝であることを特徴とする請求項6に記載の組立治具。
【請求項8】
前記圧着部は、凹溝が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の組立治具。
【請求項9】
前記駆動部は連動ロッドであることを特徴とする請求項1に記載の組立治具。
【請求項10】
前記駆動機構は、前記駆動部に接続された接続部と、前記接続部に接続された前記基台の作動部と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の組立治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図7】
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