組織スカフォールドを準備し埋め込むための方法及び装置
【課題】 組織スカフォールドを準備して埋め込むための方法及び装置が提供される。
【解決手段】 欠陥部位の周囲の組織内に1つ以上の既定の形状を印付けるために構成された、様々な実施形態の書き込みツールが提供される。組織内に書き込まれた形状を使用して、その組織内に書き込まれた形状に一致する形状を有する組織スカフォールドを切抜くことができる。1つの実施形態において、組織内に形状を印付けるために使用される書き込みツールは、組織スカフォールドの切り出しに使用することができる。
【解決手段】 欠陥部位の周囲の組織内に1つ以上の既定の形状を印付けるために構成された、様々な実施形態の書き込みツールが提供される。組織内に書き込まれた形状を使用して、その組織内に書き込まれた形状に一致する形状を有する組織スカフォールドを切抜くことができる。1つの実施形態において、組織内に形状を印付けるために使用される書き込みツールは、組織スカフォールドの切り出しに使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の技術分野〕
本発明は組織スカフォールドを準備し埋め込むための方法及び装置に関するものである。
【0002】
〔発明の背景〕
軟骨、皮膚、筋肉、骨、腱、及び靱帯などの軟組織の外傷はしばしば、その損傷の修復及び治癒の促進のため、外科的介入を必要とする。そのような外科的修復には、既知の医療装置を用いて損傷組織を縫合ないしは別の方法で修復すること、他の組織を用いて損傷組織を増大させること、インプラント、グラフト、又はこれらの技法の任意の組み合わせを使用することが挙げられる。
【0003】
よく起こる組織の外傷の1つは、血管のない、弾力性かつ柔軟な結合組織である軟骨の損傷を伴う。軟骨は通常、結合関節において「ショックアブソーバー」としてはたらくが、一部のタイプの軟骨は、例えば喉頭、気道、及び耳といった管構造体への支持を提供する。一般に、軟骨組織は、細胞外マトリックス内にある軟骨細胞(chondrocyte)として知られる軟骨細胞(cartilage cell)で構成され、この細胞外マトリックスにはコラーゲン、構造スカフォールド、及びアグリカン(空間充填プロテオグリカン)が含まれる。体内にはいくつかのタイプの軟骨を見出すことができ、これにはガラス質軟骨、線維軟骨、弾性軟骨が挙げられる。ガラス質軟骨は個別の部分として体内に見出され、或いは、このタイプの軟骨は骨の関節末端部に融合しているのが見出され得る。ガラス質軟骨は一般に、関節軟骨、肋骨軟骨、一時的軟骨(すなわち、骨化プロセスにより最終的に骨に変換される軟骨)として体内に見出される。線維軟骨は、通常腱と骨との間、骨と骨との間、及び/又はガラス質軟骨とガラス質軟骨との間にある、過渡的組織である。弾性軟骨には、細胞外マトリックス全体に分布している弾性線維が含まれ、通常、喉頭蓋、耳及び鼻に見出される。
【0004】
ガラス質軟膏外傷の一般的な例としては、膝の関節軟骨の局所的欠陥がある。関節に強い衝撃を受けることにより、さまざまなサイズ及び形の軟骨断片が部分的に除去され、又は、軟骨の細胞外マトリックスがかなりの損傷を受けて、軟骨の変性が起こることがある。損傷した関節軟骨は、治療せずに放置すると、関節機能が制限されることがあり、消耗性の痛みを起こし、変形性関節症(軟骨の崩壊及びその下の骨の好ましくない変化を特徴とする疾患)などの長期的な慢性疾患を起こすことがある。関節軟骨組織の外傷は通常、独力で治癒することはなく、症状をもたらす外傷部を修復するのに外科的介入がしばしば必要になる。現在の治療療法は、部分的又は完全に遊離している組織断片の洗浄、除去からなる。更に外科医はしばしば、磨耗、穴開け、又は微小破壊などのさまざまな方法を使用して、軟骨の欠陥に出血を起こさせ、血塊を形成させる。骨髄由来の細胞は、本来の性質として繊維軟骨性である瘢痕様の組織を形成し、これにより一部の症状をごく一時的に限り緩和することができると考えられる。残念なことに、この修復組織は、ガラス質組織と同じ機械的特性は有しておらず、よって、磨耗の結果、時間が経つにつれてより急速に劣化する。患者は通常、症状の緩和のために二次的な処置を受ける必要がある。
【0005】
最近になって、自己軟骨細胞の埋め込みを含む実験的アプローチがますます頻繁に使用されるようになっている。軟骨細胞は、バイオプシーを用いて患者から軟骨断片を採取することにより取得され、次にこの組織サンプルから細胞を抽出し、実験室内で適切な数まで培養する。増殖した軟骨細胞は次に、軟骨欠陥部位に配置するための、細胞懸濁液の形で、又は、軟骨欠陥部位に配置するための合成若しくは天然の生分解性生体適合性スカフォールドに搭載された形で、外科医に供給される。時に、これらの生存性細胞を三次元の天然又は合成のスカフォールド又はマトリックス内に配置し、組織固有の培養条件の下に維持することによって、移植可能な機能性組織置換物が生成される。適切な条件及び信号が提供されると、この細胞は増殖し、分化し、かつさまざまなマトリックス分子を分泌することにより、患者の欠陥部位に移植して戻すための置換用組織に使用することが可能な実際の生存性組織を生成することができる。
【0006】
損傷した軟骨を修復するための他の技法では、軟骨細胞以外の細胞を用いて、望ましいガラス質様の組織が生成される。例えば脂肪組織、筋肉、又は骨髄に存在する細胞などの幹細胞又は前駆細胞は、患者の骨及び/又は軟骨を再生する可能性を有している。幹細胞はその患者から得たもの(すなわち自己(autogeneic))でも、又は別の患者から得たもの(すなわち同種異系)でもよい。滑膜から得た細胞などの他の細胞に加え、これらの前駆細胞は、軟骨形成の誘発に適した環境に置かれたときに、軟骨組織を再生すると考えられている。
【0007】
損傷した組織の外科的治療のために行われる他の外科的手法には、外科用インプラント、スカフォールド、又はマトリックスの使用が挙げられる。細胞を使用せずに軟骨再生を支援するため、さまざまな外科用インプラントが外科的手順に使用されている。例えば、インプラントは、多孔質の生分解性生体適合性ポリマーマトリックスを含んで生成され得る。他の例には、ヒアルロン酸、コラーゲン、及びフィブリンなどの生体ポリマーから誘導されたマトリックスが含まれる。これらのインプラントはしばしば、微小破壊などの骨髄刺激技法と共に使用され、これにより骨髄が、軟骨再生を支援する他の刺激物質と共に、細胞を提供することができる。
【0008】
インプラントを患者体内に配置する前に、インプラントと欠陥周囲の軟骨とが良好に一体化するよう、欠陥部位とインプラントの両方に対して準備を行わなければならない。患者側は、欠陥部位から得た変性又は損傷組織を取り除くことによって準備を行わなければならない。特に、外科部位に対するアクセスが限定的な場所での関節鏡手術においては、周囲の健康な軟骨及び/又は肋軟骨下骨(すなわち、欠陥の下にある骨)に対する任意の外傷を最小化するために損傷部位の空間の清掃が難しく、時間もかかる可能性がある。インプラントは更に、その患者の清掃された欠陥部位に適合するよう、実験室生成による大きさのものをサイズ調整することによって準備しなければならない。患者の欠陥部位で空間が形成され、そのサイズを識別することができるまで、インプラントを適切にサイズ調整することができないため、外科手術中にインプラントを埋め込みのためにその場で準備しなければならない。手術中の忙しいときにインプラントのサイズ調整に誤りが起こると、外科手術を長引かせることがあり、組織置換物が許容できるサイズになるまで繰り返しサイズ調整を行うことになり得る。インプラントのサイズ調整を試みる場合、1つ以上の使用不能なサイズにまで切断されると、適切なサイズのインプラントが得られなくなってしまうことがあり得る。インプラントが使用不能になると、再度、高価で時間のかかる医学的に侵襲性のプロセスを経て別のインプラントを作製してから、患者への埋め込みを再度試みなければならなくなる必要が生じることがある。
【0009】
よって、患者の欠陥部位に対する準備を行い、インプラントの準備と患者への配置を準備するための方法及び装置に対するニーズが依然として残っている。
【0010】
〔発明の概要〕
本発明は全般に、組織スカフォールドの準備及び埋め込みのための方法及び装置を提供するものである。1つの実施形態において、遠位端に形成された軟骨噛み合いエレメントを有する内側シャフト、並びにその内側シャフトの外側にスライド可能及び回転可能に配置された外側シャフトを含む、外科用装置が提供される。この外側シャフトは、その遠位端に形成された書き込みエレメントを有し、外側シャフトが内側シャフトに対して回転するときに、組織に円形の印を形成するよう構成されている。この装置は、任意の数のバリエーションを有することができる。例えば、外側シャフトは、外側シャフトの長手軸に対して角度をなして、外側シャフトの遠位端から半径方向に外へ延びるアームを有することができる。書き込みエレメントは、アームの遠位端に形成することができる。別の実施例において、軟骨噛み合いエレメントには、内側シャフトの遠位端に形成された第一及び第二のスパイクが含まれ得る。また別の実施例において、この角度は約20°〜70°の範囲であり得る。また別の実施例において、この装置には、外側シャフトの近位端に形成されたハンドル、及び/又は内側シャフトの近位端に形成されたハンドルが含まれ得る。
【0011】
別の態様において、組織修復キットが提供される。1つの実施形態において、組織修復キットには、ハンドル、そのハンドルから延びる細長いシャフトと、その細長いシャフトの遠位端に形成された書き込みエレメントと、を有する書き込み装置が含まれる。この書き込みエレメントは、細長いシャフトの長手方向軸からずれた軸に沿って延び、この書き込みエレメントには、カーブしている最も遠位の書き込みエッジがあり、書き込み装置が細長いシャフトの長手方向軸を中心に回転すると、その書き込みエッジが効果的に、組織内に円形の印を形成する。キットには、組織内の欠陥部位に埋め込まれるよう構成された生体適合性組織修復スカフォールドも含まれる。
【0012】
別の実施形態において、組織修復キットには、既定の直径を有する円形の印を組織内に形成するよう構成された書き込みツールと、互いにスライド可能に結合された第一及び第二部分を有する切断テンプレート装置とが含まれる。この第一及び第二部分は、第一位置を有し、第一位置において第一及び第二部分は、それらの間に形成されかつ既定の直径に対応する直径を有する円形の切り抜き部を画定する。この第一及び第二部分は更に、延伸した位置を有し、延伸した位置において第一及び第二部分は、それらの間に形成されかつ調整可能な長軸長さを有する楕円形の切り抜き部を画定する。このキットは、任意の数のバリエーションを有することができる。例えば、延伸した位置における第一及び第二部分は、それらの間に形成される複数の楕円形の切り抜き部を画定することができ、この複数の楕円形の切り抜き部それぞれが、調整可能な長軸の長さを有する。別の実施例について、第一位置における第一及び第二部分は、それらの間に形成される複数の円形の切り抜き部を画定することができ、この複数の円形の切り抜き部それぞれが、異なる直径を有する。いくつかの実施形態において、このキットには更に、複数の書き込みツールを含めることができ、この複数の書き込みツールはそれぞれ、複数の円形の切り抜き部の直径のうちの1つに対応した既定の直径を有する円形の印を組織内に形成するよう構成されている。
【0013】
別の態様において、外科的方法が提供される。1つの実施形態において、外科的方法には、外科用装置を患者の体内に前進させ、組織の欠陥部位に装置の遠位側書き込み先端を配置することと、その外科用装置の中央の長手方向軸を中心にその外科用装置を回転させることにより、遠位側書き込み先端が回転して欠陥部位の周囲の組織内に円形の印を形成することと、その円形の印の内側の組織を除去することにより組織内に円形の空洞を形成することと、組織内に形成された円形の印に対応する円形の形状を有する生体適合性組織修復スカフォールドを切り出すことと、その生体適合性組織修復スカフォールドを組織内の円形の空洞内に埋め込むことと、が含まれる。この方法は、任意の数のバリエーションを有することができる。例えば、外科用装置は、組織の開口部から挿入することができ、その円形の印は、開口部の直径よりも大きい直径を有することができる。別の実施例において、円形の印は、約5〜40mmの範囲の直径を有し得る。また別の実施例において、生体適合性組織修復スカフォールドは、その上に配置された生存性組織を有することができる。更に別の実施例において、この外科用装置の回転には、組織の下にある骨に噛み合う内側部材に対し、外側部材上に形成された遠位側書き込み先端を有する外側部材を回転させることが含まれ得る。
【0014】
別の実施形態において、外科的方法には、書き込み装置の長手方向軸を中心に書き込み装置を回転させて、欠陥部位の組織に、実質的に円形の第一の印を形成することと、書き込み装置の長手方向軸を中心に書き込み装置を回転させて、欠陥部位の組織に、実質的に円形の第二の印を形成し、その実質的に円形の第一及び第二の印の内部にある組織を除去することにより組織内の欠陥を除去することとが含まれる。実質的に円形の第二の印は、実質的に円形の第一の印に部分的に重なっている。この方法は、様々な方法で変えることができる。例えばこの方法には、実質的に円形の第一の印の外縁と、実質的に円形の第二の印の外縁との間に延びる、少なくとも1本の直線の印を組織内に形成することが含まれ得る。別の実施例において、この方法には、組織内に第一及び第二の直線の印を含めることができ、各直線の印は、実質的に円形の第一及び第二の印に対する接線であり、これにより、実質的に円形の第一及び第二の印と、第一及び第二の直線の印とが、組織内に楕円形の印を形成する。更に別の実施例において、実質的に円形の第一の印は、実質的に円形の第二の印の直径とは異なる直径を有することができる。更に別の実施形態において、第一の書き込み装置を使用して実質的に円形の第一の印を形成し、第二の書き込み装置を使用して実質的に円形の第二の印を形成することができる。この方法には更に、実質的に円形の第一及び第二の印の中にある組織を除去して組織内に空洞を形成することと、その組織内の空洞に生体適合性組織修復スカフォールドを埋め込むことと、が含まれ得る。いくつかの実施形態において、生体適合性組織修復スカフォールドを埋め込む前に、この方法には、組織内に形成された実質的に円形の第一及び第二の印の最大の長さを測定することと、その組織内の空洞のサイズ及び形状に対応したサイズ及び形状を有する生体適合性組織修復スカフォールドを切り出すことと、が含まれ得る。
【0015】
更に別の実施形態において、外科的方法には、組織内に形成された楕円形の印の長さを測定することと、テンプレートツールの第一及び第二部分をスライド可能に移動させて、組織に形成された楕円形の印の測定された長さに対応した長さを有する切り抜き部を、第一部分と第二部分との間に形成することと、その切り抜き部を使用して組織内に形成された楕円形の印に対応するサイズ及び形状を有する組織修復スカフォールドを形成することと、が含まれる。この方法には更に、組織内の楕円形の印内に、組織修復スカフォールドを埋め込むことが含まれ得る。1つの実施形態において、この印は、既定の直径を有する円形の印を組織内に形成するよう構成された書き込みツールを使用して形成することができる。いくつかの実施形態において、テンプレートツールの第一及び第二部分をスライド可能に移動させることには、既定の直径に等しい直径を有する第一形状を画定する第一の位置から、組織内に形成された楕円形の印の測定された長さに対応する長さを有する第二形状を画定する延伸された位置へと、第一及び第二部分を動かすことが含まれ得る。
【0016】
更に別の実施形態において、外科的方法には、組織内を通って体の空洞内に延びる通路を通して透明なフィルムを前進させることと、そのフィルムを体の空洞内の組織表面にある欠陥の上に配置することと、そのフィルムの形状をその欠陥の形状と比較することと、そのフィルムを患者から取り出すことと、欠陥の形状に実質的に対応する形状を有するようにそのフィルムを切り抜くことと、組織修復スカフォールドが欠陥の形状に実質的に対応した形状を有するように、その切り抜いたフィルム形状をテンプレートとして使用して組織修復スカフォールドを切り出すことと、が含まれる。このフィルムは、通路内に配置されているときは折り畳み形状を有することができ、通路を通り抜けて身体の空洞内に入るときに平面形状に開くことができる。この方法は、様々な方法で変えることができる。例えば、この方法には、通路を通して透明フィルムを前進させる前に、既定のさまざまな形状を有する複数の透明フィルムのうちの1つから透明フィルムを選択することが含まれ得る。別の実施例において、この方法には、組織修復スカフォールドを切り出すためにテンプレートとして切り抜いたフィルム形状を使用する前に、前進、配置、比較、取り出し、切り抜きの手順を繰り返すことが含まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明は、以下の詳細な説明を付属の図面と併せ読むことでより完全に理解されよう。
【図1】1つの実施形態における、遠位側書き込みアームを有する書き込みツールの外側シャフトの透視図。
【図2】図1の外側シャフトの側面図。
【図3】図1の外側シャフトの遠位端面図。
【図4】図1の外側シャフトの側面断面図、及びその外側シャフトを通って延びる通路に配置されるよう構成された内側シャフトの側面図。
【図5】図4の内側シャフトの遠位端面図。
【図6】1つの実施形態における、カーブした遠位側書き込み先端を有する書き込みツールの側面図。
【図7】図1の外側シャフトが患者の組織内に前進されるときの一部を切り取った図。
【図8A】図7の外側シャフトに配置された図4の内側シャフト、及び、組織欠陥部位の少なくとも部分的な周囲の組織内に線を印付けるように内側シャフトを中心に回転する外側シャフト、の一部を切り取った図。
【図8B】別の実施形態における、遠位側書き込みアームを有する書き込みツールの外側シャフト内に配置された図4の内側シャフト、及び、組織欠陥部位の少なくとも部分的な周囲の組織内に線を印付けるように内側シャフトを中心に回転する外側シャフト、の一部を切り取った図。
【図9】図6の書き込みツールが患者の組織内に前進し、遠位側書き込み先端が組織欠陥部位に隣接して配置されている書き込みツールの一部を切り取った図。
【図10】図9の書き込みツールが回転して、組織欠陥部位の周囲の組織内に線を印付けている書き込みツールの部分透視図。
【図11】図9の書き込みツールが回転して、組織欠陥部位の周囲の組織内に線を印付けている書き込みツールの平面図。
【図12】1つの実施形態における、組織欠陥部位の部分的な周囲の組織内の第一の円形印、及び第一の円形印の一部と重なりかつ組織欠陥部位の部分的な周囲の組織内の第二の円形印の平面図。
【図13】1つの実施形態における、組織欠陥部位のそれぞれ部分的な周囲の組織内の第一及び第二の円形印の平面図。
【図14】1つの実施形態における、図13の第一及び第二の円形印の外縁を結合して、組織内に印付けられた結合線の平面図。
【図15】1つの実施形態における、組織欠陥部位のそれぞれ部分的な周囲の組織内の第一及び第二の円形印、並びにその第一及び第二の円形印の外縁を結合して、組織内に印付けられた結合線の平面図。
【図16】1つの実施形態における、空洞を形成するための組織内に印付けられた形状内から組織を除去するスクレーパーの部分的透視図。
【図17】1つの実施形態における、図16のスクレーパーで除去された空洞内から組織を吸引する吸引装置の部分的透視図。
【図18】図17の空洞内から組織が除去され吸引された状態の、空洞の部分的透視図。
【図19】図8Bの内側及び外側シャフトを使用して組織スカフォールドを切り出している内側及び外側シャフトの一部を切り取った透視図。
【図20】図6の書き込みツールを使用して組織スカフォールドを切り出している書き込みツールの透視図。
【図21】1つの実施形態における、組織内に形成された空洞のサイズを測定する測定装置の部分的透視図。
【図22】1つの実施形態における、調整可能テンプレートツールが延伸していない位置での平面図。
【図23】図22の調整可能テンプレートツールが延伸した位置での平面図。
【図24】図23の調整可能テンプレートツールの少なくとも一部の下に組織スカフォールド材質が配置された状態の、テンプレートツールの平面図。
【図25】1つの実施形態における、複数の切断済み形状を有する、柔軟な透明フィルムの平面図。
【図25A】1つの実施形態における、十字形に交差する複数のグリッド線を有する柔軟な透明フィルムの平面図。
【図26】1つの実施形態における、導入装置を前進させて、患者の組織内に形成された空洞に隣接した位置に侵入している柔軟な透明フィルムの部分的透視図。
【図27】組織内に形成された空洞の上に配置された、図26のフィルムの部分的透視図。
【図28】書き込み装置を使用して図27のフィルムを切り取っている形状の部分的透視図。
【図29】図26の空洞の上に配置された、図28のフィルムの部分的透視図。
【図30】組織スカフォールド材質の上に置かれた図29のフィルム、並びにそのフィルムをテンプレートとして使用し、組織スカフォールド材質を切り出している書き込み装置の部分的透視図。
【0018】
〔発明の詳細な説明〕
本明細書に開示される装置及び方法の、構造、機能、製造並びに使用の原理について、総合的な理解を提供するために、特定の例示的な実施形態を以後記載する。これらの実施形態の1つ以上の例を添付図面に示す。当業者は、本明細書で明確に記載され、添付の図面に示される装置及び方法が、非限定の例示的な実施形態であり、本発明の範囲は、特許請求の範囲のみにより定義されることを認識するであろう。1つの例示的な実施形態に関連して示される、又は述べられる特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせてもよい。こうした改変及び変形は本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0019】
本発明は全般に、組織置換物の準備及び埋め込みのためのさまざまな方法及び装置を提供するものである。全般に、組織(例えば軟骨)内の欠陥部位の周囲に1つ以上の既定の形状(例えば円、卵形、楕円形など)を印付ける(例えば書き込み又は刻み目付けを行う)ためのさまざまなツール及び技法が開示される。所定の形状内にある印付けされた組織、すなわち欠陥組織は、除去して、組織内に空洞を形成することができる。印付けされた形状は既定であるため、この空洞の形状は既知であることから、組織スカフォールドをその空洞の形状及びサイズに適合するような形状及びサイズに切り出すことができ、これにより、組織の空洞全体を充填するスカフォールドを提供することができる。組織内の空洞の形状及びサイズを決定するため、並びに、その空洞の形状及びサイズに適合するような形状及びサイズを有する組織スカフォールドを準備するための、さまざまな他の方法及び装置も提供される。
【0020】
本明細書で使用される用語「組織」は、さまざまな物質(例えば軟骨、臓器、及び組織スカフォールドを使用して修復可能なその他の物質)を包含することが意図されており、本明細書で使用される用語「軟骨」は、ガラス質軟骨、線維軟骨、及び弾性軟骨などの任意のタイプの軟骨を意味することが、当業者には認識されるであろう。また、本明細書で使用される用語「欠陥部位」は、損傷した、不健康な、又はその他望ましくない状態の、組織内にある現在又はかつての場所を包含することが意図されており、組織置換物によって修復を行うための場所が意図されていることが、当業者には認識されるであろう。また、本明細書で使用される用語「組織置換物」、「インプラント」、「スカフォールド」、又は「マトリックス」は、組織の修復及び再生を可能にするよう、患者に埋め込まれるように構成された、外科的に安全な任意のインプラントを包含することが意図されていることが、当業者には認識されるであろう。
【0021】
また、この方法及び装置は、患者に形成された小さな開口部を通って体内空洞内に経皮的に外科用装置が導入される、侵襲性が最小限の関節鏡手術に関連して記述されているが、本明細書に開示されている方法及び装置は、数多くの外科手術において、数多くの外科用装置で使用可能であることが、当業者には認識されるであろう。非限定的な実施例として、この方法及び装置は、開放外科手術において使用することができる。また、この方法及び装置は軟骨修復に関連して記述されているが、これら方法及び装置は膝(例えば膝蓋骨の軟骨)、又は、他の関節面(例えば肩、足首、股関節、及び肘)に関連した他の組織修復において、並びに組織置換インプラントを用いた他の任意のタイプの組織修復において使用できることが、当業者には認識されるであろう。
【0022】
例示的な一実施形態において、骨関節の関節表面(例えば膝の大腿骨顆部など)の欠陥部位に軟骨外傷を有する患者には、組織修復手術のために準備を行うことができる。関節切開術により、膝関節を切開し、欠陥部位を露出させることができる。外傷部のサイズ及び形状はさまざまであり得るが、ただし、大腿骨顆部での外傷部は通常、約10cm2(1000mm2)の表面積を有する楕円形を有している。好ましくない軟骨組織(小線維形成及び亀裂を含み得る)は、除去して、組織内に空洞を形成することができる。外傷部を除去するプロセスにおいては、外傷部に隣接する健康な軟骨の一定量も除去され得る。組織置換インプラントを受け入れるため、関節表面のデブリードマンは、軟骨の石灰化層及び/又は軟骨下の骨表面を露出させるのに十分な深さ(例えば軟骨の上面から約2〜3mmの範囲)で行うことができる。この骨表面は、インプラントの置換のためのほぼ滑らかな表面と、インプラントを付着させることができる安定した構造とを提供することができる。関節表面が適切に準備された後、組織修復インプラントを、関節内に形成された空洞内で、関節表面に触れさせて埋め込むことができる。いくつかの実施形態において、骨の一部を除去し、軟骨内及び骨内に形成された空洞にインプラントを埋め込むことができる。
【0023】
インプラントを患者に埋め込む前に、このインプラントは、生存性の組織、例えば、自己軟骨細胞埋め込み(ACI)手術(例えばMACI(登録商標)インプラント(マサチューセッツ州ケンブリッジのゲンザイム・コーポレーション(Genzyme Corporation)から販売)を使用した手術)において、インプラントを患者に埋め込む外科手術とは別に、第一の外科手術において患者から取得した、生存性非破壊組織細胞を用いて、生成することができる。ただし、インプラントを患者に取り付けるのと同じ外科手術中に、この生存性組織をさらに集めることも、又は代わりに集めることも可能であることが、当業者には認識されるであろう。
【0024】
生存性組織は任意の方法で患者から収集することができ、これは当業者には認識されるであろう。例えばバイオプシー術などの、患者から組織を収集するための方法及び装置のさまざまな非限定的実施形態は、米国特許第7,115,100号(2006年10月3日発行)「組織バイオプシー及びプロセス装置(Tissue Biopsy And Processing Device)」、米国特許公開番号第2008/0234715号(2008年3月27日出願)「組織抽出及び採集装置(Tissue Extraction and Collection Device)」、並びに米国特許公開番号第2005/0059905号(2003年9月11日出願)「組織抽出及び解離装置(Tissue Extraction and Maceration Device)」に見出すことができ、これらは全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
生存性組織の入手源はさまざまであり得、組織はさまざま構成を有し得るが、例示的な一実施形態において、採取された組織には軟骨細胞が含まれる。例示的な一実施形態において、生存性組織のサンプルを取得した後、その組織サンプルに無菌条件で処理を行い、少なくとも1つの、細分化された、又は超微粒子状になった組織粒子を有する懸濁液を作製することができる。また、更なる処理が不要なように、細分化された形態で組織を採取することも可能である。細分化された生存性組織断片は、単なる生存性非破壊組織の小部分であり、細分化された組織断片が、再生及び回復反応の効果を強化できることが、当業者には認識されるであろう。各組織断片の粒子サイズはさまざまであり得る。非限定的な実施例として、組織サイズは約0.001〜3mm3の範囲であり得るが、好ましくはこの組織粒子は約1mm3未満である。別の実施形態において、この生存性組織は、組織再生及び/又は再建が可能な生存性細胞を含む、健康な組織から採取された組織スライス又はストリップの形態であり得る。これについては米国特許公開番号第2005/0125077号(2003年12月5日出願)「生存性組織の修復インプラントと及び使用方法(Viable Tissue Repair Implants and Methods of Use)」に記述されており、これは全体が参照により本明細書に組み込まれる。組織スライスは、外傷又は欠陥の部位に埋め込みを行うのに適した形状を有するよう採取することができ、その採取された組織スライスは、組織スライス内に含まれる生存性細胞が外に遊走でき、増殖して修復部位周辺の組織に一体化できるような寸法にすることができる。組織は患者及び/又は適合ドナーから収集することができ、その組織は人工組織物質であり得、採取された組織と人工組織物質との任意の組み合わせが使用できることが、当業者には認識されるであろう。
【0026】
患者から採取された生存性組織は、所望により、ゲル様担体又は接着剤などの担体を含む、さまざまな他の材質と組み合わせることができる。生存性組織はまた、マトリックス消化酵素に接触させて、その生存性組織周囲の細胞外マトリックスの外へ向かう組織の遊走を促進することができる。酵素は、細胞外マトリックスの外への細胞遊走及びインプラント内への細胞遊走の速度を増加させるために使用することができる。ゲル様担体、接着剤、及び酵素のさまざまな非限定的実施形態は、米国特許公開番号第2005/0177249号(2004年2月9日出願)「生存性組織を用いたスカフォールド(Scaffolds With Viable Tissue)」に見出すことができ、この全体が参照により本明細書に組み込まれる。生存性組織の入手源及び方法に関する他の非限定的実施形態は、米国特許公開番号第2005/0113937号(2003年11月26日出願)「注入送達可能な柔軟性のある組織修復インプラント(Conformable Tissue Repair Implant Capable Of Injection Delivery)」に開示されており、この全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
生存性組織及びその生存性組織と組み合わせられる任意の材質は、組織スカフォールドに搭載することができる。スカフォールドはさまざまな形状を有することができ、これは当業者に認識されるであろう。一般にスカフォールドは、生体適合性、生体移植可能、滅菌が容易で、手術室環境での取扱いの容易さを効果的に提供でき、1つ以上の固定機構(例えば縫合糸、ステープル、接着剤など)を実質的な破断なしに受け入れて固定できるような十分な構造的一体性及び/又は物理的特性と機械的特性とを有する、実質上任意の材質又は送達担体を用いて形成することができる。非限定的な実施例として、スカフォールドは、1つ以上の任意のさまざまな材質(例えば再吸収性材質、非生物学的材質、及び/又は合成材質)から形成されたマトリックス形態であってよい。スカフォールドは、埋め込みの標的部位の形状及び寸法にぴったり適合することができるよう、柔軟性であり得る。スカフォールドにはまた、生体吸収性及び/又は生体再吸収性の構成成分を含めることができ、これは輸送中のインプラントの取扱い性を高めるための一時的な支持材料の役割を果たすことができる。組織スカフォールドのさまざまな非限定的実施形態は、前述の米国特許公開番号第2005/0177249号(2004年2月9日出願)「生存性組織を用いたスカフォールド(Scaffolds With Viable Tissue)」、並びに米国特許公開番号第2004/0078090号(2003年2月25日)「組織断片を有する生体適合性スカフォールド(Biocompatible Scaffolds With Tissue Fragments)」、米国特許公開番号第2005/0038520号(2003年8月11日出願)「関節表面の表面再処理のための方法及び器具(Method And Apparatus For Resurfacing An Articular Surface)」及び米国特許番号第6,884,428号(2005年4月26日発行)「軟組織修復及び再生のための改善された一体性を備えた強化フォームインプラントの使用(Use of Reinforced Foam Implants with Enhanced Integrity For Soft Tissue Repair And Regeneration)」に見出すことができ、これらは全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
患者から採取した組織は、任意の方法で準備し、スカフォールドに適用することができ、これは当業者によって認識されるであろう。スカフォールドの製造中若しくは製造後、又はインプラントを患者に埋め込む前若しくは後に、組織構成成分をスカフォールドに追加することができる。所望により、生物活性剤をこの組織スカフォールドに組み込み及び/若しくは適用することができ、かつ/又は生物活性剤を生存性組織に適用することができる。好ましくは、この生物活性剤は、生存性組織をスカフォールドに追加する前に、スカフォールド内に組み込み、又はコーティングされる。生物活性剤(単数又は複数)は、外傷の部位に存在する場合、欠陥部位組織の治癒及び/又は成長又は再生を促進するような様々なエフェクター及び細胞の中から選択することができる。エフェクター及び細胞のさまざまな非限定的実施形態が、前述の米国特許出願第2005/0177249号(2004年2月9日出願)「生存性組織を用いたスカフォールド(Scaffolds With Viable Tissue)」に見出すことができる。組織(細分化された生存性組織など)をスカフォールドに適用するさまざまな非限定的実施形態が、米国特許出願第2004/0193071(2003年3月28日出願)「組織採集の装置及び方法(Tissue Collection Devices And Methods)」に見出すことができ、これは全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
上述のように、組織スカフォールドが患者に埋め込むのに利用可能になった後、そのスカフォールドを埋め込むために、軟骨を除去して軟骨内に、軟骨表面から下の大腿骨顆部まで延びる(又は上述のように他の部位にある)穴又は空洞を生成することにより、患者は準備され得る。欠陥部位には、様々な方法でスカフォールド埋め込みのための準備を行うことができる。例示的な一実施形態において、組織内に既定の形状の印付けを行うよう構成された外科用書き込みツールを関節鏡的に用い、軟骨内に既定の形状を有する切断部を形成し、これにより、下記に詳しく述べるように、印付けされた形状が外傷部を囲むようにすることができる。印付けされた形状内から軟骨を除去することにより、その印付けた形状が組織空洞の外縁を画定し、この中にスカフォールドを埋め込むことができる。いくつかの実施形態において、下記に詳しく述べるように、書き込みツールを使って軟骨に複数の形状を印付けることができ、これらの形状は互いに、外傷部の少なくとも一部で重なり合い、所望により少なくとも1つの印付けされた追加の形状で重なり合うようにすることができる。この形状は更に、同じ及び/又は更なる書き込みツールを使用して変更及び/又は接続することができる。結合した印の形状内にある軟骨は、除去して、スカフォールドを受け入れる空洞の形を画定してもよい。
【0030】
図1〜5は、組織内に既定の円形を印付ける(例えばスライスする、刻み目をつけるなど)ために構成された、コンパス型外科用書き込みツール10の例示的な一実施形態を示す。書き込みツール10は更に、組織を切断するよう構成することもできる。書き込みツール10には、互いに対して可動となるよう構成された外側シャフト12及び内側シャフト14が含まれる。一般に、外側シャフト12が外側シャフト12の内側通路16内に配置され、これにより外側シャフト12の遠位側書き込み先端18が円を描いて動き、組織に対して配置されたときには円形の印をつけることができるようになっているとき、外側シャフト12は内側シャフト14を中心として時計回り及び/又は反時計回りに回転するよう構成することができる。
【0031】
外側シャフト12は様々な形状及び構成を有していてよい。この実施形態に示すように、外側シャフト12は、その外側シャフト12の近位端12aにハンドル22を有する細長い本体20を含み、外側シャフト12の遠位端12bに、その細長い本体20からずれた位置にある角度付きアーム24を含む。この細長い本体20は、図に示すようにほぼ円筒形にすることができるが、細長い本体20は任意の形状にすることができる。細長い本体20は更に、その長手方向長さが、少なくともハンドル22が患者の身体の外側にある状態で、外側シャフト12の少なくとも一部分を患者の体の空洞内に挿入することができるような、任意のサイズにすることができる。内側通路16は、細長い本体20の中を長手方向に延びていてよく、任意のサイズ及び形状(例えば円筒形など)を有することができ、内側シャフト14がその中にスライド可能に配置され、内側シャフト14が通路16内に配置されているときに、外側シャフト12がその内側シャフト14を中心として回転することができるよう構成され得る。
【0032】
ハンドル22は外側シャフト12の最近位端にあるものとして図に示されているが、このハンドル22は外側シャフトの近位端12aのどこにでも配置することができる。非限定的実施例として、ハンドル22は、図示されているようにほぼ円筒形の円盤又はノブであってよいが、当業者には、ハンドル22は、外側シャフト12を身体の外側に保持することができるような、任意のサイズ、形状、及び構成を有することができることが認識されるであろう。図示されているハンドル22の円盤又はノブ形状により、片手を使ってハンドル22を操作することができ、他の手技を行うためにもう一方の手を自由にすることができる。ハンドル22は、保持及び操作することによって、患者内に外側シャフト12を挿入し、患者内にある外側シャフト12を回転させ、患者から外側シャフト12を取り出すことを補助することができる。通路16は、ハンドル22の中を通って延びていてよく、これにより内側シャフト14がスライド可能にその中に配置される。よって、通路16の直径D1は、ハンドル22の直径D2よりも小さくてよい。いくつかの実施形態において、例えばこのハンドルが、細長い本体20の周囲にある1つ以上の別の場所からゼロ以外の角度で延びている、握ることができるハンドホールドとして構成される場合、通路16はハンドル22とは分離したものにすることができる。ハンドル22の直径D2は、細長い本体20の直径D3よりも大きくてよく、これによりハンドル22が、外側シャフト12が、患者の体内に外側シャフト12の遠位側部分を挿入するのに使用される開口部を通り抜けて、完全に遠位側に前進し、患者の体内へ出てしまうのを防ぐよう構成されるストッパー機構としての働きをするのに役立つことができる。通路16、ハンドル22、及び細長い本体20は、中央の長手方向軸Aを共有することができ、これにより、下記に詳しく述べるように、ハンドル22が外側シャフト12を回すよう動かされたときに、外側シャフト12がその中央の長手方向軸Aを中心に回転するのを助けることができる。ハンドル22によって、外側シャフト12の操作をより容易にすることができるが、一方で外側シャフト12はハンドル22を必ずしも含む必要はなく、代わりに、例えば細長い本体20の近位端を使用して操作することができることが当業者には認識されるであろう。
【0033】
角度付きアーム24は、細長い本体20から任意の角度αで遠位方向に延びていてよい。角度αはゼロ以外で、約90°未満の角度(例えば約20°〜70°の範囲)であり、これによりアーム24の遠位端にある遠位側書き込み先端18が、外側シャフト12の最遠位端を形成することができる。よって、遠位側書き込み先端18は、外側シャフト12の他の部分がまた組織に触れることなく、外側シャフト12の遠位側に配置された組織に接触することができる。
【0034】
アーム24は、中央の長手方向軸Aから距離rで半径方向に延びている遠位側書き込み先端18を備え、任意の長手方向長さを有することができる。このように距離rは、外側シャフト12が中央の長手方向軸Aを中心に回転するときに、遠位側書き込み先端18によって形成される円の半径に対応させることができ、これによりその円の中央は、中央の長手方向軸Aと軸方向に揃う。例示的な一実施形態において、距離rは約2.5〜20mm(直径約5〜40mm)、例えば約5〜10mm(直径約10〜20mm)の範囲であってよい。
【0035】
アーム24は細長い本体20と一体に形成された状態で示されているが、いくつかの実施形態において、アーム24は、例えば、ねじによる取り付け、スナップ嵌めなどの、当業者によって認識される何らかの方法で細長い本体20に取り外し可能に結合して構成されたモジュール要素であってよい。モジュールアームは、所望により、キットの一部として書き込みツールの外側シャフトと共に供給することができ、これは内側シャフトに含めることもできる。このようにして、様々なサイズ(例えば異なる半径距離rを有するもの)のアームを細長い本体20に結合させ、これにより外側シャフト12が、同じ又は異なる外科手術中に異なる直径の円を印付けることができる。距離rは、アーム24の長手方向長さ、及び/又はアーム24と細長い本体20との間の角度αを変更することにより、変えることができる。距離rは更に、例えば傘型の折り目を有する格納式アームなど、アームの長手方向長さを操作する(例えばアーム24を押し出す)ことにより、又は角度αを変えることにより、アーム24を交換することなしに変えることができる。別の実施形態において、カム機構は、細長い本体20に既定の角度(必ずしも同じではない)で出入りするようガイドする剛性のワイヤ形状であってよい。非限定的な実施例として、このワイヤは中央軸Aに対して平行に、細長い本体20に入ることができる。細長い本体20に入るワイヤの供給を制御することによって、距離rを操作することができる。カム機構(図示せず)は、距離rを変えるために所望によりアームに含めることができ、これにより、アームを使用して例えば卵形など非円形の印を作製することが可能になる。
【0036】
遠位側書き込み先端18は、様々なサイズ、形状、及び構成を有してよい。遠位側書き込み先端18は一般に、組織に印付けを行うように構成された書き込みエッジ(例えばナイフブレード、針、ウォータージェット、ボビー(bovie)、超音波振動メスなど)が含まれ得る。遠位側書き込み先端18は、非円形の書き込みエッジを有することができ、これによりこの書き込み先端18は、円の周囲を形成する線など、線を「描く」ために構成されたスタイラスとして使用することができる。遠位側書き込み先端18は、組織を切断するのに十分なだけ、しかしながら組織の下にある骨を顕著に切るほどではない程度の鋭さを有するよう構成することができ、これにより骨への損傷を最小限に抑えるのに役立ち得る。遠位側書き込み先端18は、任意の幅wを有する線に印を付けるよう構成され、例えば従来のナイフエッジ幅(例えば約0.2mm)を有する細い線、又はより太い幅(例えば約3mm)を有する、より太い線又は溝であり得る。より太い幅wの書き込み先端により、外側シャフト12がより多くの軟骨に印付けることができ、これにより、遠位側書き込み先端18によって印付けされる線で画定される形状内から除去する軟骨の量を減らすことができる。
【0037】
内側シャフト14も、様々な構成を有することができる。この実施形態に図示されているように、内側シャフト14は、内側シャフト14の近位端14aにハンドル28を有する細長い本体26と、内側シャフト14の遠位端14bに少なくとも1つの軟骨噛み合いエレメント30とを含む。内側シャフト14は、任意の長手方向長さを有することができるが、例示的な一実施形態において、内側シャフト14は外側シャフト12よりも長く、これにより内側シャフト14は、通路16内に配置されると同時に、外側シャフトの遠位端12bを越えて遠位側に延び、かつ外側シャフトの近位端12aを越えて近位側に延びることができる。ハンドル28は外側シャフトのハンドル22と同様であるが、ただし、ハンドル22、28は互いに異なっていてよく、書き込みツール10に図示されているように同一のものである必要はない。
【0038】
上述のように、内側シャフト14は、内側シャフトの細長い本体26が外側シャフト12の内側通路16内にスライド可能に収容された状態で、外側シャフト12に取り外し可能に結合されるよう構成することができる。よって、内側シャフトの細長い本体26は、本実施形態に示すように、内側通路16の形状に一致するよう、ほぼ円筒形の形状であり得る。外側シャフトの通路16、及び対応する円筒形を有する内側シャフトの細長い本体26により、内側シャフト14は、内側通路16内で直線方向及び回転方向に移動可能にすることができる。よって内側シャフトの細長い本体26は、外側シャフトの内側通路16の直径D1より小さい直径D4を有することができ、これにより細長い本体26がその中を移動可能となる。逆に、内側シャフトのハンドル28は、外側シャフトの通路16の直径D1より大きく、かつ細長い本体の直径D4より大きい、直径D5を有することができる。このようにして、内側シャフトのハンドル28は、内側シャフト14の遠位端14bが外側シャフト12の遠位端12bを越えて延びる距離を制限するよう構成された、前述のようなストッパー機構と同様のストッパー機構として機能することができる。
【0039】
内側シャフト14は図示のように中実部材であり得るが、内側シャフト14はその中に形成された1つ以上の通路を含むことができる。非限定的な実施例として、内側シャフト14には、遠位端14bから近位端14aに貫通して延びるトンネルが含まれてよく、これは例えば、液体、組織などを手術部位から吸引で除去するよう構成された真空装置など、少なくとも1つの外科用機器を通して収容するよう構成されている。
【0040】
内側シャフトの遠位端14bにある1つ以上の軟骨噛み合いエレメント30は一般に、内側シャフト14が外側シャフト12を通って配置されているときに、内側シャフト14を軟骨及び/又は骨に対して固定するのを補助するよう構成することができる。例示的な一実施形態において、軟骨噛み合いエレメント30は、骨に損傷を負わせないよう、骨に貫入することなく軟骨に接触するよう構成することができる。いくつかの実施形態において、軟骨噛み合いエレメント30は、骨には全く接触しないが、内側シャフト14を安定化するのに役立つよう、軟骨又は他の組織だけに接触するよう構成することができる。軟骨噛み合いエレメント30は、任意のサイズ、形状、及び構成を有することができる。2つの軟骨噛み合いエレメント30が図示されているが、内側シャフト14には、任意の数の軟骨噛み合いエレメント30を含めることができる。更に、軟骨噛み合いエレメント30それぞれは、互いに同じであってよく、又は他の軟骨噛み合いエレメント30と互いに異なっていてもよい。軟骨噛み合いエレメント30は図示のようにスパイク又は分岐先端(prong)として構成することができ、軟骨噛み合いエレメント30が骨に貫入するのに役立つよう構成されたテーパ形状の遠位先端を有していてもいなくてもよい。軟骨噛み合いエレメント30は、任意の構成で内側シャフトの遠位端14bに配置することができ、例えば図のように、内側シャフト14の中央長手方向軸A2を中心に半径方向に等間隔で配置することができる。内側シャフトが単一の軟骨噛み合いエレメントを有している実施形態において、その単一の軟骨噛み合いエレメントは、中央長手方向軸A2に実質的に軸方向に揃っていることができる。複数の軟骨噛み合いエレメント30を含むいくつかの実施形態において、軟骨噛み合いエレメント30は、細長い本体20の遠位端表面を覆い、これにより軟骨噛み合いエレメント30(例えば複数の歯)は、軟骨及び/又は骨に貫入することなく、軟骨及び/又は骨を把持するよう構成された、非平坦な軟骨噛み合い表面を形成することができる。
【0041】
軟骨噛み合いエレメント30は細長い本体26と一体に形成された状態で示されているが、軟骨噛み合いエレメント30うち任意の1つ以上は、細長い本体26に対し、移動可能に結合することができる。非限定的な実施例として、軟骨噛み合いエレメント30は格納することができ、これにより延長位置にあるときは、軟骨噛み合いエレメント30は内側シャフトの遠位端14bを越えて遠位側に延びることができ、格納位置にあるときは細長い本体26内に収納することができる。可動式軟骨噛み合いエレメントの格納と延長は、当業者に認識されるような任意の方法で制御することができ、例えば内側シャフト14の近位端14aにおいて、ノブ、ボタン、レバー、電気信号発信機などの制御機構を作動させることによって制御できる。
【0042】
図6は書き込みツールの別の実施形態を示す。この実施形態において、このツールは、組織に円形を印付けるよう構成された木材カッター型の外科用書き込みツール50である。書き込みツール50には、近位側ハンドル部分52と遠位側シャフト部分54が含まれ得る。ハンドル部分52には、図示の円筒形ハンドグリップなど、当業者に認識されるであろう任意のタイプのハンドルを含めることができる。ハンドル部分52には、所望により、書き込みツール50を手で保持し回転させるのに役立つ、1つ以上の把持機構(例えばフィンガーループ、成型された指用凹部、トレッドなど)を含めることができる。シャフト部分54には、ハンドル部分52から遠位方向に延びるシャフト56を含めることができ、そのシャフト56は遠位端に、遠位側書き込み先端58を有する。一般に、書き込みツール50は、書き込みツール50の長手方向軸(例えば、中央の近位長手方向軸A2)を中心に時計方向及び/又は反時計方向に回転することができ、これにより遠位側書き込み先端58が長手方向軸A2を中心とした円形に動き、遠位側書き込み先端58が組織に接して配置されているときは円形の形状の印付けを行うことができる。
【0043】
シャフト56は任意の構成を有することができる。シャフト56は、遠位側部分56cを有する剛性の細長い部材を含み、近位側部分56aと遠位側部分56cとの間にある角度付きの中間部分56bを有し、この遠位側部分56cは、近位側部分56aから半径方向にずれている。シャフトの遠位部分56cは、近位部分56aから任意の半径方向距離dだけ任意の角度βで中心からずれていてよい。図の実施形態に示されているように、中間部分56bは近位側部分56aから角度βで遠位方向に延びてよく、遠位部分56cは中間部分56bから角度βで遠位方向に延びてよく、これにより近位部分56aの長手方向軸A2は、遠位部分56cの長手方向軸A3と平行になるようにできる。このようにして、書き込みツール50は、組織に印付けるために最も効果的に配置された遠位側書き込み先端58と共に回転させることができる。シャフト56は、図に示すようにハンドル部分52の中央から延び、これによりハンドル部分52の長手方向軸A2が、シャフト56の近位部分56aの長手方向軸と軸方向に揃うようにできる。このようにして、遠位側書き込み先端58によって印付けされた円の中央は、書き込みツール50の長手方向軸A2にほぼ揃った中央を有することができる。
【0044】
シャフト56はハンドル部分52と一体に形成された状態で示されているが、いくつかの実施形態において、シャフト56は、例えば、ねじによる取り付け、スナップ嵌めなどの、当業者によって認識される何らかの方法でハンドル部分52に取り外し可能に結合されて構成されたモジュール要素であってよい。このようにして、様々なサイズのシャフト(例えば、異なる半径を有する円を印付けるよう構成されたもの)は、ハンドル部分52に結合させることができる。所望により、キットの一部として、ハンドル部分と共にモジュールシャフトを供給することができる。
【0045】
シャフト56は図示のように中実部材であり得るが、シャフト56はその中に形成された1本以上の通路を含むことができる。非限定的な実施例において、シャフト56には、ハンドル部分52を貫通して延びるトンネルと導通した、少なくとも近位部分56aを通って延びるトンネルが含まれ得る。シャフト及びハンドル部分のトンネルは、例えば、液体、組織などを手術部位から吸引で除去するよう構成された真空装置、又は内側シャフト14などの安定化ツール、又は軸A2を中心に回転するようツール50を支援して骨に貫入するよう構成された位置調整ツールなど、少なくとも1つの外科用機器を通して収容するよう構成することができる。
【0046】
シャフト56も任意のサイズ及び形状を有することができる。この実施形態で図示されているように、シャフト56、又は少なくともその遠位部分56cは、弓状のC字形断面形状を有するバー又はロッドの形状であり得る。よって遠位側書き込み先端58は、書き込みツール50がその長手方向軸A2を中心に回転したときに、書き込みツール50が組織に円形の印付けをするよう構成された、弓状のC字形断面形状を有することができる。いくつかの実施形態において、シャフト56は、遠位側書き込み先端58の書き込みエッジが弓形形状を有している限り、長さ全体にわたってC字形を有するのに加えて、又はC字形の代わりに、例えば円形、正方形、三角形などの1つ以上の他の断面形状を有することができる。
【0047】
遠位側書き込み先端58は、書き込みツール10の遠位側書き込み先端18に関して上記で検討したのと同様に、様々なサイズ、形状、及び構成を有することができる。遠位側書き込み先端58は、遠位側書き込み先端58の曲率半径に等しい半径を有する円の外周を形成するような線を印付けるよう構成された、任意の曲率半径を有することができる。例示的な一実施形態において、遠位側書き込み先端58の曲率半径は約2.5〜20mmの範囲であり、例えば約5mmであり得る。下記で詳しく検討されるように、遠位側書き込み先端58の曲率は、書き込みツール50が中央長手方向軸A2を中心に回転するときに、遠位側書き込み先端58を円形の動きにガイドするのに役立ち得る。書き込みツール50は所望により、シャフトの近位部分56a及び/又はハンドル52から軸方向に延びる中央ピン(図示せず)を含んでよく、これは、遠位側書き込み先端18を使用して円形印を作製することができるようにするため、ツール50の回転方向運動を阻害することなく、軟骨に貫入し、ツール50を安定化するよう構成されている。
【0048】
少なくとも1つの円形を組織に印付けするために書き込みツールが患者の体内に導入されることとは無関係に、当業者には認識されるように、書き込みツールは任意の方法で患者体内に導入することができる。図7に示されている1つの実施形態において、書き込みツール、例えば書き込みツール10は、組織32内に外科的に生成された切開又は開口部34を通じて、身体の空洞内に挿入され得る。外側シャフト12だけが最初に組織32を通して導入されているのが図示されているが、内側シャフト14が、外側シャフト12よりも前に、一緒に、又は好ましくは後に、組織32を通して導入できることが、当業者には認識されるであろう。また、書き込みツール10は図示されているように組織32に直接挿入することができ、又は書き込みツール10はカニューレ、トロカール、内視鏡などの外科用機器(別の外科用機器を通すことができる作業用チャネルを有するもの)といった導入用装置を通して前進させることができることも当業者には認識されるであろう。
【0049】
患者に外側シャフト12を内側シャフト14の前に導入するか、又は内側シャフト14を通路16まで部分的にのみ前進させた状態で導入することにより、外側シャフトの遠位側アーム24を或る角度で組織32に最初に挿入することができ、これにより組織の開口部が、遠位側書き込み先端18を使用して形成される円形印の直径よりも小さいサイズを有するようにすることができる。当業者に認識されるように、遠位側書き込み先端18は、開口部34を形成するのに役立つことができ、かつ/又は1つ以上の外科用ツールが開口部34を形成するために使用できる。遠位側アーム24の有する幅は、長手方向長さr、外側シャフトの細長い本体20の直径D3、外側シャフトの通路16の直径D1、及び内側シャフトの細長い本体26の直径D4よりも小さくできるため、ほぼアームの幅である直径D6を有する切開を通して挿入することができる。所望により、外側シャフト12を前進させる際に、アーム24を使って開口部34を広げることができる。外側シャフトの細長い本体20は、開口部34の直径を、外側シャフトの細長い本体20が通り抜けるときにその直径D3近くまで広げることができ、これにより開口部34のサイズを最小限に抑え、患者の外傷を低減するのに役立つ。
【0050】
外側シャフト12は、組織32を通って長手方向に任意の距離だけ前進させることができ、組織32に対して任意の方法で位置付けることができる。外側シャフト12は更に、書き込みツール10を使用して印付けしたい組織欠陥部位に対し、任意の方法で位置付けることができる。例示的な一実施形態において、外側シャフト12は、その長手方向軸Aが欠陥部位に対しほぼ垂直になるように、組織32を通して位置付けることができる。このようなほぼ垂直の位置付けにより、組織に対して患者の体の外からアーム24をより正確に位置付けるのに役立ち、アーム24をより迅速かつ容易に動かして、標的組織に印付けを行うことができる。
【0051】
例えば、ハンドル22及びアーム24を組織32の反対側にした状態で、細長い本体20を開口部34内に配置した状態で、外側シャフト12が組織32を通過すると、内側シャフト14が外側シャフトの近位端12aを通り抜けて通路16の中に前進させることができる。外側シャフト12の中央の長手方向軸A、及び内側シャフト14の中央の長手方向軸A2は、実質的に揃っており、組織欠陥部位に対して望ましい位置にすることができる。内側シャフトの軟骨噛み合いエレメント30は、欠陥部位の組織を通り抜けて延び、骨に噛み合って摩擦を提供し、書き込みツール10を安定した位置に取り付け、これにより書き込み先端18を用いて組織に書き込みを行うのに役立つことができる。骨表面は非平面的であり得るため、軟骨噛み合いエレメント30が、骨に貫入するための鋭い先端を伴って構成されている場合、軟骨噛み合いエレメント30は、様々な深さで骨に貫入することができ、かつ/又は軟骨噛み合いエレメント30のうちの1つ以上は骨に貫入することが全くないかもしれない。
【0052】
図8Aの1つの実施形態に示されているように、書き込みツール10が組織32内に前進し、内側シャフト14が望ましい状態で骨に噛み合っているとき、外側シャフト12は、内側シャフト14及び軟骨40の内部にある欠陥部位36に対して、欠陥部位内側シャフト14の周りを回ることができ、これによりアーム24が、外側シャフト12の長手方向軸A及び内側シャフト14の長手方向軸A2それぞれを中心に回転することができる。外側シャフト12は、例えばハンドル22を片手でつかむことによって手動で回転させることができ、かつ/又は例えばロボット利用手術などで電気的に回転させることができる。内側シャフト14は、外側シャフト12が回転している間、欠陥部位36の下にある骨に対して押し付け、これにより書き込みツール10の安定化をはかることができる。アーム24の回転により、遠位側書き込み先端18を用いて軟骨40内に線38を印付けることができる。アーム24は、約360°回転できるため、印付けされた線38は閉じた経路を形成し、アームの長さrに等しい半径rを有する円の外周を画定してもよい。このようにして、印付けされた円は、書き込みツール10が患者内に導入された開口部34の直径D6よりも大きい直径にすることができる。アーム24は、一方向(例えば図のように反時計回り)に約360°連続的に回転させることができ、又は時計回り及び/若しくは反時計回りに任意の角度回転させて、軟骨40に円形の印付けを行えることが、当業者には認識されるであろう。上述のように、線38は、軟骨40の下にある骨の方向に向かって、軟骨40に任意の深さの傷をつけることができる。例示的な一実施形態において、遠位側書き込み先端18は、骨に接触したのを感じるところまで遠位方向に押し出し、遠位側書き込み先端18が軟骨40を骨のところまで切断し、線38によって画定された形状内の軟骨40を除去するのを容易にするのに役立つ。外側シャフト12は、内側シャフト14に対して回りを回転する運動に加え、内側シャフト14に対して直線的にスライドすることができるため、外側シャフト12は、中央の長手方向軸Aの周りを回りながら上下にスライドすることができる。このようなスライド可能な直線運動により、外側シャフト12が軟骨40及び/又はその軟骨40の下にある骨の非平面的表面に対して補償を行うことができ、軟骨40に連続的に線38の傷をつけることができる。
【0053】
図8Bは、コンパス型書き込みツール10’が骨表面42に至るまで軟骨40’に書き込みを行っている別の実施形態を示す。書き込みツール10’には、書き込みツール10の外側シャフト12及び内側シャフト14と同様に、内側シャフト14’をその中に通してスライド可能に収容するよう構成された外側シャフト12’が含まれる。この別の実施形態において、外側シャフト12’はしかしながら、遠位端12b’に直線状のアーム24’を有している。この直線状アーム24’は、書き込みツール10のアーム24にあるような遠位端の曲がりは含んでいないが、その代わりに、尖った遠位側書き込み先端18’を有している。尖った遠位側書き込み先端18’は、軟骨40’内に細い線を印付けるよう構成され得る。
【0054】
前述のように、木材カッター型の外科用書き込みツール50を何らかの方法で患者の体内に導入し、コンパス型の書き込みツール10と同様の方法で組織に円形の印を付けるのに使用することができる。図9は、表面組織60を通って延びる最初の位置にある遠位側書き込みツール50の1つの実施形態を示し、遠位側書き込みツール50は、その遠位側書き込み先端58を、遠位側書き込みツール50を用いて印付けされるべき組織(例えば軟骨62)に隣接して位置付けている。例示的な一実施形態において、書き込みツール50は、組織60を通って配置され、書き込みツールの長手方向軸A2及びシャフトの遠位側長手方向軸A3が、欠陥部位に対してほぼ垂直となる。ハンドル部分52は、シャフト56の少なくとも一部分(例えば遠位部分56c及び中間部分56b)に対して、表面組織60の反対側に配置することができ、これにより組織60の開口部61(ここを通って書き込みツール50が挿入される)のサイズを最小化することができる(ハンドル部分52はシャフト部分54よりも大きいため)。
【0055】
書き込みツール50が組織表面60を通って前進し、遠位側書き込み先端58が軟骨62に隣接して配置された状態で、書き込みツール50は回転して、軟骨62に円形の線を印付けることができる。書き込みツール50は一般に、書き込みツール10について上述した回転と同様に回転することができる。図10及び11の1つの実施形態に示すように、書き込みツール50は、軟骨62に対して、中央の長手方向軸A2を中心に約360°回転することができ、遠位側書き込み先端58によって線を印付け、これにより軟骨62の欠陥部位64を囲んだ円形66を形成することができる。円形66は、遠位側書き込み先端58の曲率半径に等しい半径r2を有する。
【0056】
場合によっては、欠陥部位の有する直径が、欠陥部位を囲んだ円を印付けるのに使用する書き込みツールが印付けられる円の直径よりも大きいことがあり、又は、欠陥部位が楕円形の形状を有していて、単一の円で印を付けると、あまりにも多くの健康な組織が除去されてしまうため、望ましくないことがあり得る。よって、上述のように、いくつかの実施形態において、書き込みツール10、10’、50のうち任意のものなどの書き込みツールを使って、欠陥部位の組織に2つ又はそれ以上の円形を印付け、非円形の外周を有する形を画定してもよい。欠陥部位にそれぞれが部分的に重なり合う複数の円が組織に描かれることがわかっている場合は、その円のうち1つ以上が組織内に部分的に印付けられ(例えばC字形の線として印付けられる)、これにより印付けられた線が、円形の線を印付けたかのように非円形の外周の形状を形成するのと同様の方法で、非円形の外周形状を形成することができることが、当業者には認識されるであろう。外科手術中に患者体内に外科用装置を導入及び除去することを最小限に抑えるため、同じ書き込みツールを使用して各円を印付けることができるが、ただし、別の書き込みツールを使用することもできる。図12に示す骨軟骨移植術アプローチ(mosaicplasty approach)の1つの実施形態に示すように、印付けた複数の円、例えば第一及び第二の円70a、70b、は、印付けた円70a、70bのそれぞれが、印付けた少なくとももう一方の円70a、70bに部分的に重なり合うことにより、組織欠陥部位72の周囲の組織内に印付けることができる。2つの印付けた円70a、70bが図示されているが、任意の数の重なり合う円を組織に印付けて、欠陥部位72がその印付けた円70a、70bによって囲まれるようにすることができることが、当業者には認識されるであろう。また、印付けた円70a、70bは、第一の円70aが有する第一の半径r3が、第二の円70bが有する第二の半径r4よりも小さいものとして示されているが、印付けられた複数の円のいずれも、その他の印付けられた円のうち任意の1つ以上と同じか又は異なる半径を有することができることが、当業者には認識されるであろう。重なり合う円70a、70bは、互いに任意の順序で印付けることができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、複数の円を、組織の欠陥部位の相対する末端部に重なり合うように組織に印付けることができる。このようなアプローチは、組織内に卵形又は楕円形の形状を印付けるのを助けるのに有効であり得、特に、軟骨の欠陥部位はしばしば全体に卵形又は楕円形の形状を有し得るため、軟骨の欠陥修復に有効であり得る。図13及び14は、卵形印付けのアプローチの例示的な一実施形態を示す。図13に示すように、第一及び第二の円74a、74bは、全体的に卵形又は楕円形の組織欠陥部位76に対し、その欠陥部位76の相対する末端部で部分的に重なり合うように、組織に印付けることができる。第一及び第二の円74a、74bは、互いに任意の順序で印付けることができる。印付けた円74a、74bは、第一の円74aが有する第一の半径r5が、第二の円74bの第二の半径r6よりも小さいものとして示されているが、第一及び第二の円74a、74bは、互いに同じか又は異なる半径を有することができることが、当業者には認識されるであろう。非限定的な実施例として、図15には、同じ半径r7を有し、卵形の組織欠陥部位80の相対する末端部に印付けられている、第一及び第二の互いに重なり合わない円78a、78bの例示的な一実施形態を示す。図13及び14の第一及び第二の円74a、74bは、この実施形態では重なり合っていない状態で示されているが、組織欠陥部位の相対する末端部に印付けられている円は、互いに部分的に重なり合っていてもよいことが、当業者には認識されるであろう。
【0058】
組織欠陥部位の相対する末端部に重なって印付けられた円がある状態で、その2つの円を結合する直線を、欠陥部位の周りの組織に印付けることができる。欠陥部位76の相対する末端部に印付けられた第一及び第二の円74a、74bがある状態で、第一及び第二の結合線75a、75bを組織に印付け、第一及び第二の円74a、74bを結合することができる。第一及び第二の円74a、74b並びに第一及び第二の線75a、75bを合わせて、欠陥部位76の周囲の組織内に印付けた楕円形の外周を画定してもよい。第一及び第二の線75a、75bは、当業者には認識されるように、書き込みエッジを使って組織に印付けるよう構成された任意の外科用機器を用いて、任意の順序及び任意の方法で組織に形成することができる。第一及び第二の線75a、75bは図に示すように、互いに直線であり、線75a、75bそれぞれが、第一及び第二の円74a、74bの接線であってよく、又は、線75a、75bのうち一方又は両方が非直線及び/又は非接線であってもよい。同様に、図15を参照すると、第一及び第二の結合線79a、79bは、第一及び第二の円78a、78bを結合し欠陥部位80を囲んで印付け、欠陥部位80の周りに楕円形を形成することができる。
【0059】
望ましい1つ以上の円が組織欠陥部位の周辺に印付けられ、所望により、印付けられた円を結合する結合線が印付けられた後は、その印付けられた円(単数又は複数)及び線によって画定された外周内にある組織を除去することができる。この除去によって、組織から欠陥を取り除くことができ、潜在的にはその組織欠陥部位に隣接する最小限の量の健康な組織を一緒に取り除き、組織置換インプラントを受け入れる組織内の空洞を形成することができる。この形状の外周内にある組織は、当業者には認識されるように、任意の外科用ツール(キューレット、スクレーパー、書き込みツール50の遠位側書き込み先端58など)を使用して、例えばツールと除去する組織との間に垂直のエッジを形成することによる方法など、任意の方法で除去することができる。図16は、フラットエッジスクレーパー86を用いて、軟骨84に印付けられた円形82内にある組織を除去する、1つの実施形態を示す。図17は、吸引装置87を使用して、円82内から掻き出された余分な軟骨を手術部位から吸引して除去する様子を示す。これは、当業者には認識されるように、組織を真空又は吸引により除去するよう構成された任意の外科用装置であってよい。図18に示すように、軟骨84内に印付けられた形状の外周又は外縁によって画定された空洞90は、その形状内の組織を除去した後、軟骨84内に、軟骨84の下にある骨90のところまで、形成することができる。
【0060】
印付けられた形状内から、所望通りに組織を除去して空洞を形成した状態で、その空洞に送達して空洞内で固定するための組織置換インプラントを準備することができる。インプラントは従来、空洞の予測サイズよりも大きく(例えば、欠陥部位よりも大きいサイズに)生成され、外科手術中に、空洞にほぼ一致するサイズ及び形状にまで切断される。この方法において、インプラントは、準備された組織置換インプラントの一部から切り出すことができ、この組織置換インプラントには高濃度に沈積させた組織(従来、組織は、組織置換インプラントに対して様々な濃度で付着する)が含まれる。更に、例えば欠陥部位が事前の判断より大きかった場合、健康な組織が当初の意図よりも多く除去された場合など、外科手術中に形成された空洞のサイズが、予測よりもより大きいか又はより小さいことがある。よって、手術中にインプラントのサイズを切り出すことは、空洞の実際のサイズにインプラントのサイズを適合させ、空洞全体にぴったり合わせて充填するよう形成するのに役立ち得る。
【0061】
組織置換インプラントは、任意の様々な方法で、望むサイズにトリミングすることができる。例示的な一実施形態において、組織置換インプラントは、インプラントを受け入れる組織内に少なくとも1つの円を印付けるのに使用した書き込みツールを使用して、準備されたより大きなインプラントから切り出すことができる。図19に示す1つの実施形態において、図8Bのコンパス型書き込みツール10’は、準備された組織置換インプラント102に線100を切り込み、その書き込みツール10’が組織内で円形を印付けられるのと同様の方法で、円形を形成するのに使用されることができる。図20に示す別の実施形態において、図6の木材カッター型書き込みツール50は、準備された組織置換インプラント106に線104を切り込み、その書き込みツール50が組織内で円形を印付けられるのと同様の方法で、円形を形成することができる。空洞の形状の印付けとインプラントの切断に同じ書き込みツールを使用することが、空洞のサイズとインプラントのサイズとをほぼ一致させるのに役立ち得る。同じ個別の書き込みツールを使用して空洞の形状とインプラントとを形成することができるが、空洞の形状を切るのに使用した書き込みツールと同じ既定の直径の円を切り込むよう構成された、別ではあるが同様に構成された書き込みツール(例えばパンチ)を使用することもできることが、当業者には認識されるであろう。別ではあるが同様に構成された書き込みツールを使用することで、同じ書き込みツールを使用する場合よりもより清潔かつ迅速に行うことができるが、ただし、サイズ誤差の確率は、組織とインプラントとに同じ装置を使用した方が低減され得る。
【0062】
別の例示的な実施形態において、望ましいサイズの組織置換インプラントの切断を支援するためにテンプレートツールを使用することができる。このテンプレートツールは、様々な構成を有することができ、インプラントのサイズを調整するために様々な方法で使用することができる。インプラントの切断を支援するためにテンプレートツールを使用する前に、組織内の欠陥部位で形成された空洞のサイズを測定することができる。図21に示す1つの実施形態において、組織118内に何らかの方法で切断された空洞110は、測定装置112を使用して測定し、空洞110のサイズを判定することができる。測定装置112は、患者の体内で少なくとも2点の間の距離を測定するよう構成することができ、例えば、導入装置114を通して患者体内に導入するよう構成された、目盛り116を有する細長いシャフトであり得る。空洞110は、空洞110の長軸M1に沿った第一方向で測定して空洞110の長さを判定し、かつ/又は空洞110の短軸M2に沿った第二方向で測定して空洞110の幅を判定することができる。ただし、短軸M2に沿った空洞110の長さは、例えば、空洞110の相対する末端部が、例えば既定の半径を有する円を切断するよう構成された遠位側書き込み先端を含む書き込みツール(例えば書き込みツール10、10’、50のうち任意のもの)を使用して形成された場合には、空洞110の形成前に既に定まっていることが可能である。更に空洞110が、図21に示すような卵形ではなく、円形の場合、(空洞の半径は既定の値として既知であるため、このような測定が行われないかぎり)長軸及び短軸M1、M2は同一であり、1つの直径又は1つの半径測定で判定される長さとなることが、当業者には認識されるであろう。また、空洞110の測定は、精密又は近似であり得ることが、当業者には認識されるであろう。空洞110の長さ及び幅を知ることにより、又は単にその直径若しくは半径を知ることにより、組織置換インプラントを、その空洞110のサイズ及び形状にほぼ一致したサイズ及び形状に切り出すことができる。
【0063】
組織置換インプラントのサイズ調整に役立つテンプレートツールを使用した例示的な一実施形態において、テンプレートツールは、少なくとも1つの調整可能な開口部がある調整可能テンプレートツールを有する。図22及び23の1つの実施形態に示すように、調整可能テンプレートツール120には、複数の調整可能な開口部126a、126b、126c、126dを画定するよう構成された第一及び第二可動部材122、124が含まれ得る。第一、第二、第三及び第四開口部126a、126b、126c、126dが図示されているが、テンプレートツール120には、任意の数の調整可能な開口部が含まれ得る。第一及び第二の可動部分122、124は、第一及び第二の可動部分122、124の両方とも可動にすることによって互いに対して可動になるよう構成することができるが、ただし、第一及び第二の可動部分122、124のうち一方だけが可動であり、第一及び第二の可動部分122、124のうち残る一方は静止のままであるように構成され得ることが、当業者には認識されるであろう。
【0064】
この図示された実施形態において、第二の可動部分124は、第一の可動部分122に対して直線的にスライド可能に可動であり得る。第二の可動部分124は、例えば、第一及び第二の可動部分122、124を接続する結合ロッド128a、128bに沿って、第一可動部分122の面と平行な面上又は同一平面上でスライド可能とすることにより、任意の方法で直線的にスライド可能に可動であってよい。テンプレートツール120は、図22では延伸していない位置で示されており、開口部126a、126b、126c、126dのそれぞれが円形を有している。第一及び第二の可動部分122、124を互いに対して動かすことにより、テンプレートツール120は、延伸していない位置から、図23に示す延伸した位置に移行し、このとき開口部126a、126b、126c、126dはそれぞれ楕円形を有している。開口部126a、126b、126c、126dは、この実施形態の図に示すようにサイズを同時に調整することができ、又は、開口部126a、126b、126c、126dのうち任意の1つ以上のものを、個別に、又は他の開口部126a、126b、126c、126dのうち任意の個数のものと同時に、調整することができることが、当業者には認識されるであろう。
【0065】
テンプレートツール120は、様々な短軸長さを有する様々な開口部(例えば、様々な既定半径を有する書き込みツールを使用して作製した開口部)のサイズに構成することができる。図示されている実施形態において、テンプレートツール120が延伸していない位置にあるとき、各開口部126a、126b、126c、126dはそれぞれ異なる半径ra、rb、rc、rdを有する円形であり得る。第二の可動部分124を第一の可動部分122から任意の距離に直線的に離す方向にスライドさせ、テンプレートツール120を延伸した位置に移行させることにより、各開口部126a、126b、126c、126dのサイズは、各開口部126a、126b、126c、126dの短軸長さを一定にしたままで大きくすることができる(例えば、楕円形状の相対する末端部に既定の曲率半径を有し、各開口部126a、126b、126c、126dの長軸長さを増加させることによって)。このようにして、第二開口部126bを非限定的な例にとると、第二開口部126bの長さlb1は、円半径rbの2倍に等しく、これは第二開口部126bが延伸していない位置にあるときの円形から延伸した位置にあるときの楕円形に形状を変えることによって、延伸した長さlb2に増加し得る。
【0066】
テンプレートツール120は、所望によりサイズ識別子130を含むことができ、これは延伸していない位置における各開口部126a、126b、126c、126dの半径を識別し、かつ、したがって各開口部126a、126b、126c、126dの短軸長さも識別するよう構成することができる。様々なサイズを表わすサイズ識別子130は、テンプレートツール120上に印刷、浮き出し、又はその他の目に見えるアルファベット文字として図に示されているが、このサイズ識別子130は、任意の大きさ、形状、及び構成を有することができ、例えば色又はアルファベット文字、数字、及び記号文字の任意の組み合わせにすることができることが、当業者には認識されるであろう。
【0067】
テンプレートツール120は更に、所望により、開口部126a、126b、126c、126dの長軸長さ(例えば延伸した長さlb2)を識別するよう構成されたサイズ又は定規目盛132を含むことができる。定規目盛132は任意のサイズ、形状、及び構成を有することができ、例えば図示のように約1mm間隔の刻み目にすることができる。定規目盛132は、第一及び第二開口部126a、126bの間にある第一可動部分122の細長いバー134上にのみ示されているが、任意の開口部126a、126b、126c、126dを区分している任意の細長いバー134、並びに/又は第一及び/若しくは第二可動部分122、124の他の任意の部分に、定規目盛を含め得ることが、当業者には認識されるであろう。バー134の長手方向の長さは、図23に示すように、テンプレートツール120が完全に延伸した位置にあるときの、各開口部126a、126b、126c、126dの最大の長軸の長さを定めてもよい。
【0068】
使用中、テンプレートツール120は楕円形の開口部を供給でき、これを使用して望ましいサイズの組織スカフォールドを生成することができる。非限定的な実施形態として、図15に示すように、短軸長さとしてr7の2倍を有する楕円形が組織内に作製され、組織を除去されて、組織内に楕円形の空洞が形成された場合、この楕円形の長軸長さは、例えば図21の測定装置112を使用して、測定することができる。テンプレートツール120の第一及び第二部分を動かしてよく、延伸していない位置において半径r7に等しい半径を有する開口部126a、126b、126c、126dのうちの1つが、延伸位置において、欠陥部位80に形成された空洞の長軸長さに等しい長軸長さを有する楕円形開口部を定めるようにする。図24の例示的な一実施形態に示すように、準備された組織スカフォールド136は、テンプレートツール120の下の、望ましいようにサイズ調整された開口部の下に少なくとも配置することができる(この実施形態では第二開口部126bの下)。高濃度に沈積させた組織を有する、準備された組織スカフォールド136の部分を、この第二開口部126bの下に配置することにより、組織再生を支援するためのインプラント内の組織の量を最大化することに役立ち得る。当業者には認識されるように、望ましいサイズに調整したスカフォールドは、第二開口部126bをテンプレートとして使用し、準備された組織スカフォールド136から任意の方法で切り出すことができ、例えば、書き込み装置を使用して第二開口部126bの外周に沿ってスカフォールド136を切り出すこと、又は、開口部126bを使ってスカフォールドに印を付け、テンプレートツール120を外してから切り出すことによって行える。
【0069】
所望により、スカフォールド136はテンプレートツール120と、図23に示すテンプレートツール120と同様の第二のテンプレートツールとの間に配置又は挟み込むことができ、これにより、スカフォールド136の切断準備又は切断をより容易かつ迅速なプロセスにするのに役立つ。2つのテンプレートツールは互いに独立であってよく、又は2つのテンプレートツールは、例えば、ツールの間に或る間隔をおいて第一及び第二可動部分を互いに接合することによって互いに接合されてもよく、スカフォールドをその間隔内に配置することができる。テンプレートツールは、互いに固定して接合されていてよく、また、例えばツール面に対して垂直向きの整合ピンを使用することにより、取り外し可能に接合されていてもよい。接合されているとき、ツールの可動部分は一緒に動くことができる。
【0070】
テンプレートツールを使って組織置換インプラントのサイズ調整を適切に行うのを支援する別の例示的な実施形態において、テンプレートツールは、柔軟な透明フィルムの形態であり得る。一般に、柔軟な透明フィルムは、空洞のサイズ調整を支援するため、インプラントを受け入れる組織空洞に隣接して、患者の体内に導入されるよう構成することができる。このフィルムは透明であるため、空洞の上に配置し、フィルムを通し、フィルムに対する空洞のサイズを見るのに役立てることができる。フィルムは患者の身体から取り出し、見えた空洞のサイズに合わせてトリミングし、これを型紙として使用することにより組織置換スカフォールドを望ましいサイズに切り出すことができる。当業者には認識されるように、本明細書で使用される用語「透明」とは、光学的に透過性の材質及び半透明の材質を含む、1つ以上の透き通った材質の任意の組み合わせを含むことを意図している。フィルムは1つ以上の色を有していてよく、例示的な一実施形態においては、患者の体内で容易に見ることができるような青又は緑などの目立つ色の材質で形成されている。フィルムの形成には任意の柔軟な材質を使用することができるが、例示的な一実施形態において、この材質は生体適合性であり、かつ、フィルムに圧力がかかってもフィルムが実質的に変形しないような柔順なものであり得る(例えば、フィルムが巻かれた状態の後、又は下記で詳しく検討するように圧力がかかった後に、元の平面形状に実質的に戻るか、又は「回復する(spring)」)。生体適合性かつ柔順な材質の、非限定的な1つの例が、サビック・イノベーティブ・プラスチックス(SABIC Innovative Plastics)(マサチューセッツ州ピッツフィールド)から販売されているアルテム(Ultem)(商標)である。このフィルムは、患者の体内にフィルムを導入できかつ体内でフィルムを操作できるように構成された任意の厚さ、例えば約0.127mm(約0.005インチ)を有することができる。
【0071】
図25の1つの実施形態に示すように、柔軟な透明フィルム140には、患者の体内に少なくとも一部分を導入させるよう構成された平面シートが含まれ得る。このフィルム140には、少なくとも1つの既定形状142が含まれ、この形状142はそれぞれ、フィルムシート140から取り外せるような構成にすることができる。形状142は、当業者には認識されるように、様々な方法でフィルム140から取り外し可能にすることができ、例えば図に示すように、フィルム140から形状142を打ち抜けるように構成された刻み目付きの外縁を有する方法、又は、形状142を切り取る書き込み装置用のガイドとして利用できるよう構成されている外周の輪郭を用意しておく方法がある。形状142がフィルム140から取り外されたとき、形状142は静置した状態で平面形状を維持することができる。フィルム140には9つの形状142が含まれているが、フィルム142は任意の数の形状を含むことができることは、当業者には認識されるであろう。また、形状142はそれぞれ、その他の形状142のうち任意の1つ以上と同じ又は異なる幾何学的形態(例えば円、楕円、矩形、三角形など)を有することができることも、当業者には認識されるであろう。形状142はそれぞれ、形状142に関連付けられた形状及び/又はサイズを識別するよう構成されたラベル144を含むことができ、これにより、組織内に形成された所与の空洞に対するテンプレートを形成するために、どの形状142を選ぶべきかを判定するのに役立ち得る。ラベル144は、フィルム140上に印刷、浮き出し、又はその他の目に見えるアルファベット文字として図に示されているが、当業者には認識されるように、このラベル144は、任意の大きさ、形状、及び構成を有することができ、例えば色又はアルファベット文字、数字、及び記号文字の任意の組み合わせにすることができる。
【0072】
図25Aに図示されている別の実施形態において、柔軟な透明フィルム140’は、フィルム140’上に印刷、浮き出し、又はその他の目に見えるグリッド線141を有する平面シートを含むことができ、これにより望む形状及びサイズを有する形状をフィルム140’から切り取ることができる。グリッド線141は、フィルム140’から特定のサイズを有する形状を切り取ることができるよう構成され、例えばグラフ用紙と同様、図示のように約1mm間隔の垂直及び水平線などの、均一間隔にすることができる。グリッド線141は更に、下記で詳しく検討するように、フィルム140’に対して空洞を見る際、及び望むサイズにフィルム140’をトリミングする際の助けになるよう、少なくとも1つの参照点を提供することにより、組織空洞のサイズを見積もるのに役立てることができる。フィルム140’は、当業者には認識されるように、例えば書き込み装置の鋭いエッジを使用するなど、任意の方法で切り取ることができる。フィルム140’からフリーハンド形式で形状を切り取ることができるようにすることにより、フィルム140’は、より広い範囲のサイズ及び形状の選択肢を提供することができる。
【0073】
下記で詳しく検討するように、2枚以上の柔軟な透明フィルム、例えばフィルム140及び/又はフィルム140’を、キットの一部として供給することにより、大量にフィルムトリミングを行う必要なしに、組織空洞のサイズにぴったり適合し得るフィルム形状が確実に得られるように役立てることができる。
【0074】
使用中、図26の1つの実施形態に示すように、柔軟な透明フィルム142Dが、患者の体内の軟骨146に形成された空洞部位148(ここに組織スカフォールドが埋め込まれる)に導入され得る。この図示されている実施形態において、フィルム142Dには、図25のフィルムシート140から取り外された矩形142Dが含まれ、このフィルム142Dには、フィルム140から打ち抜かれた形状142のうちいずれか1つ、グリッド線のあるフィルム140’から切り取られた形状、又は任意の他の柔軟な透明フィルムが含まれ得る。加えて、図示されている空洞148は円形であるが、フィルム142Dは任意の形状を有する空洞と関連して使用することができる。例示的な一実施形態において、空洞148は、上述の書き込みツールを使用して形成することができるが、ただしフィルム142Dは、当該技術分野において既知又は本明細書に開示されている任意の方法で形成された空洞と関連して使用することができる。
【0075】
フィルム142Dは、当業者には認識されるように、任意の方法で患者の体内に導入することができる。図26及び27に図示されている1つの実施形態において、フィルム142Dは、把持器150によって保持され、導入装置152の通路152pを通って前進させることができ、又は空洞148の部位に向かって、組織の開口部から直接前進させることができる。当業者には認識されるように、本明細書で使用される用語「把持器」とは、例えばピンセット、開創器、移動可能なつかみ具、磁石、接着剤などの、フィルム及び/又は他の要素を把持及び/又はこれに装着するよう構成され、これによりフィルム及び/又は他の要素を操作できるよう構成された任意の外科用装置を含むことを意図している。上述のように、フィルム142Dは平面形状を有し得るが、図26に示すように、通路152pを通して送達するために、折り畳んだ形状に移行させることができる。このようにして、フィルム142Dは幅wIを有する通路を前進することができ、この幅は、フィルム形状の長さlD及び幅wDのいずれか一方(例示的な一実施形態においては両方とも)、すなわち最大長さよりも小さい(図25を参照)。折り畳まれた形状のフィルム142Dは、当業者には認識されるように、図示のようにU字形の断面を有するよう丸めることができ、又は、例えば円筒形に丸める、折り曲げる、圧縮するなどの他の任意の方法で折り畳むことができる。
【0076】
フィルム142Dが通路152pの遠位端152aを越えて遠位方向に前進されるとき、図27に示すように、フィルム142Dは折り畳まれた形状から元の平面形状に戻ることができる。当業者には認識されるように、フィルム142Dが、通路の遠位端152aを越えて遠位方向に前進されるときに、フィルム142Dは折り畳まれた形状から平面形状に移行することができる。フィルム142Dは、フィルム142Dが折り畳まれた形状から平面形状へと自動的に移行するような材質で形成することができるが、所望により、少なくとも1つの把持器を用いて、フィルム142Dを把持し、広げるのを手助けすることができる。フィルム142Dが導入装置152の外に前進され平面形状になった状態で、フィルム152Dは、図27に示すように、空洞148の上に配置することができる。フィルム152Dが平面になった状態で、フィルム142Dの下に配置されている空洞148を、フィルム142Dを通して見ることにより(例えば、患者の体外の視覚化画面上で見るなど)、フィルム142Dに対する空洞148のサイズをより正確に見積もることができる。フィルム142Dに対する空洞148の外形は記憶することができ、かつ/又は、当業者には認識されるように、フィルム142Dには任意の方法で物理的に印を付けることができ、これにより空洞148のサイズ及び形状にほぼ一致したサイズ及び形状にフィルム142Dを切り取るのに役立つ。
【0077】
フィルム142Dは、空洞148と視覚的に比較したサイズ及び形状からトリミングを行い、これによりフィルム142Dのサイズ及び形状が、空洞148のサイズ及び形状によりぴったり一致するようにすることができる。例示的な一実施形態において、フィルム142Dは、患者の体内から取り出してから、フィルム142Dのトリミングを行うことができる。空洞148を目で見たサイズ及び形状に合わせて、フィルム142Dを患者の体外でトリミングすることにより、軟骨146又はその他の患者の一部を誤って傷つけるのを防ぐのに役立ち、より広い作業スペースが得られ、フィルム142Dの切り取りにおける正確さと視認性の向上に役立ち得る。しかしながら、フィルム142Dは、患者の体内及び/又は体外で、空洞148に合うよう望ましいサイズ及び形状にトリミングすることができる。フィルム142Dは、当業者には認識されるように、例えば把持器150によって保持し、導入装置152の通路152pを通して近位側に引っ張ることによるなど、任意の方法で患者の体内から取り出すことができる。フィルム142Dは、通路152p内へと近位側に引っ張られる際に、折り畳み位置から平面位置へと移行するよう構成可能な方法と同様の方法で、平面位置から折り畳み位置へと移行するよう構成することができ、更に所望により把持器が、フィルム142Dを平面形状から折り畳み形状に移行するのを支援することができる。フィルム142Dは、図28に示す1つの実施形態に図示されているように、任意の方法でトリミングすることができ、例えば切断装置154を使用してフィルム142Dの線156を切断できることが、当業者には認識されるであろう。この実施形態における線156は円を形成しているため、フィルム142Dは、空洞148の記憶されたサイズ及び形状並びに/又は空洞148の物理的に印付けられたサイズ及び形状に近づくように、トリミングすることができる。
【0078】
図29に示す1つの実施形態において、フィルム142Dのトリミングされた部分142D’を患者の体内に導入して、そのトリミングされたフィルム142D’を空洞のサイズ及び形状と比較することができる。例示的な一実施形態において、トリミングされたフィルム142D’は、導入装置152及び把持器150を使用してフィルム142Dを導入するのと同じ方法で、患者の体内に導入できるが、トリミングされたフィルム142D’は任意の方法で患者の体内に挿入することができ、例えば把持器を使用して組織を通して直接挿入することができることが、当業者には認識されるであろう。トリミングされたフィルム142D’は、空洞148の上に配置して、そのトリミングされたフィルム142’のサイズ及び形状が空洞のサイズ及び形状にほぼ一致しているかどうか判定することができる。図29に示すように、空洞及びトリミングされたフィルムのサイズ及び形状がほぼ一致したら、そのトリミングされたフィルム142D’を任意の方法で体外に取り出し、これをテンプレートとして使用して、空洞148内に配置するための組織スカフォールドを切り出すことができる。空洞及びトリミングされたフィルムのサイズ及び形状が実質的に一致しない場合、そのトリミングされたフィルム142D’は、上記での検討と同様に、空洞148と比較し、体内及び/又は体外で再びトリミングを行うことができる。このような比較及びトリミングは、空洞のサイズ及び形状に実質的に一致したサイズ及び形状を有するフィルムを作製するまで、必要に応じて何度でも繰り返すことができる。フィルム142Dをトリミングしすぎて、空洞148のサイズ及び形状に使用できないほど小さくなった場合は、そのトリミングされたフィルム142D’は廃棄して、新しい柔軟な透明フィルム(例えばフィルム140の形状142のうち別の1つ)を使用し、フィルムテンプレートを作製するプロセスをもう一度開始することができる。
【0079】
フィルム142Dが望ましいサイズ及び形状にトリミングされた後(トリミングが行われた場合)、図30の例示的な一実施形態に図示されているように、準備した組織スカフォールド158をそのトリミングされたフィルム142D’の下に配置することができる。高濃度に沈積させた組織を有する、準備された組織スカフォールド158の部分を、トリミングされたフィルム142D’の下に配置することにより、組織再生を支援するためにインプラント内で使用できる組織の量を最大化することに役立ち得る。当業者には認識されるように、トリミングされたフィルム142D’をテンプレートとして使用し、準備された組織スカフォールド158から任意の方法で、好ましいサイズに調整されたスカフォールドを切り出すことができ、この方法には例えば、切断装置160を使用して、トリミングされたフィルム142D’の外周に沿ってスカフォールド158を切り出すことが挙げられる。
【0080】
組織置換インプラントを望ましいサイズに切り出す方法に関わらず、インプラントは、当業者によって認識されるように、任意の方法で、組織内に形成された空洞に送達及び接着することができる。組織置換インプラントを組織に送達及び固定するための方法及び装置の非限定的な実施形態は、米国特許出願番号第[]号「組織スカフォールドの送達及び接着(Methods And Devices For Delivering And Affixing Tissue Scaffolds)」[代理人整理番号第22956−872(MIT5114USNP)号](本書と同一日付で出願)に見出すことができ、この全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0081】
本明細書で検討された装置は、剛性及び/又は柔軟材質の任意の組み合わせで製造することができるが、例示的な一実施形態において、材質は生体適合性である。本明細書で使用される用語「柔軟」及び「剛性」とは、様々な形状を包含するよう意図されていることが、当業者には認識されるであろう。一般に「柔軟」な部品は、ある程度の弾性(例えば破断することなしに曲げることができる性質)を有し、「剛性」の部品には弾性が欠如している。例示的な一実施形態において、装置、又は少なくともその一部分は、少なくとも1つの生体適合性かつ柔軟な材質(例えばプラスチック、チタン、ステンレススチールなど)から構成されている。
【0082】
本発明は、従来の内視鏡装置及び開放手術装置における用途、並びにロボット支援手術における用途があることが、当業者には認識されるであろう。
【0083】
本明細書に記載されている装置は、1回の使用の後に廃棄されるように設計することができ、又は、これらは複数回使用されるように設計することができる。ただし、いずれの場合も、装置は、少なくとも1回の使用後に再使用のため再調整することができる。再調整は、装置の解体工程、これに続く特定部品の洗浄工程又は交換工程、及びその後の再組立工程の、任意の組み合わせを含むことができる。特に、装置は分解することができ、装置の任意の数の特定の個片又は部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は除去することができる。特定の部品を洗浄及び/又は交換すると、装置は、再調整設備において、或いは外科的処置の直前に手術チームによって、後で使用するために再組立てすることができる。当業者であれば、装置の再調整は、分解、洗浄/交換、及び再組立ての様々な技術を利用できることを認識するであろう。そのような技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置はすべて、本出願の範囲内にある。
【0084】
当業者であれば、上記に述べた実施形態に基づく本発明の更なる特徴及び利点は認識されるであろう。したがって、本発明は、付属の特許請求の範囲において示される場合は例外として、具体的に図示、記載されたものに限定されるものではない。本明細書中に引用される刊行物及び参考文献はすべて、それらの全容を本明細書に特に組み込むものである。
【0085】
当業者であれば、上記に述べた実施形態に基づく本発明の更なる特徴及び利点が認識されるであろう。したがって、本発明は、付属の特許請求の範囲において示される場合は例外として、具体的に図示、記載されたものに限定されるものではない。本明細書中に引用される刊行物及び参考文献はすべて、それらの全容を本明細書に特に組み込むものである。
【0086】
〔実施態様〕
(1) ハンドルと、該ハンドルから延びる細長いシャフトと、該細長いシャフトの遠位端に形成された書き込みエレメントと、を有する書き込み装置であって、該書き込みエレメントが、該細長いシャフトの長手方向軸からずれた軸に沿って延び、該書き込みエレメントには、カーブしている最も遠位の書き込みエッジがあり、該書き込み装置が該細長いシャフトの該長手方向軸を中心に回転すると、該書き込みエッジが効果的に、組織内に円形の印を形成する、書き込み装置と、
組織内の欠陥部位に埋め込まれるよう構成された生体適合性組織修復スカフォールドと、を含む、組織修復キット。
(2) 患者の体内に外科用装置を前進させ、組織の欠陥部位に該装置の遠位側書き込み先端を配置することと、
該外科用装置の中央の長手方向軸を中心に該外科用装置を回転させることにより、該遠位側書き込み先端が回転して該欠陥部位の周囲の組織内に円形の印を形成することと、
該円形の印の内部の組織を除去することにより、該組織内に円形の空洞を形成することと、
該組織内に形成された該円形の印に対応する円形形状を有する生体適合性組織修復スカフォールドを切り出すことと、
該生体適合性組織修復スカフォールドを該組織の該円形の空洞内に埋め込むことと、を含む、外科的方法。
(3) 前記外科用装置が、組織の開口部を通って挿入され、かつ、前記円形の印が、該開口部の直径よりも大きい直径を有する、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記生体適合性組織修復スカフォールドの切り出しが、前記組織内に形成された前記円形の印の直径に対応する直径を有するパンチを用いて、該スカフォールドを打ち抜くことを含む、実施態様2に記載の方法。
(5) 前記円形の印が、約5〜40mmの範囲の直径を有する、実施態様2に記載の方法。
【0087】
(6) 前記生体適合性組織修復スカフォールドが、その上に生存性組織を配置されて有している、実施態様2に記載の方法。
(7) 前記外科用装置の回転には、前記組織の下にある骨に噛み合う内側部材に対し、外側部材上に形成された前記遠位側書き込み先端を有する該外側部材を回転させることが含まれる、実施態様2に記載の方法。
(8) 書き込み装置の長手方向軸を中心に該書き込み装置を回転させて、欠陥部位の組織に実質的に円形の第一の印を形成することと、
該書き込み装置の長手方向軸を中心に該書き込み装置を回転させて、該欠陥部位の該組織に実質的に円形の第二の印を形成し、該実質的に円形の第二の印が、該実質的に円形の第一の印に部分的に重なっていることと、
該実質的に円形の第一及び第二の印の内部にある組織を除去することにより該組織内の欠陥を除去することと、を含む、外科的方法。
(9) 少なくとも1本の直線の印を前記組織内に形成することを更に含み、該少なくとも1本の直線の印が、前記実質的に円形の第一の印の外縁と前記実質的に円形の第二の印の外縁との間に延びている、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記組織内に第一及び第二の直線の印を形成することを更に含み、各直線の印は、前記実質的に円形の第一及び第二の印に対する接線であり、これにより、該実質的に円形の第一及び第二の印と、該第一及び第二の直線の印とが、該組織内に楕円形の印を形成する、実施態様8に記載の方法。
【0088】
(11) 前記実質的に円形の第一及び第二の印の内部にある組織を除去して該組織内に空洞を形成することと、該組織内の該空洞に生体適合性組織修復スカフォールドを埋め込むこととを更に含む、実施態様8に記載の方法。
(12) 前記生体適合性組織修復スカフォールドを埋め込む前に、前記組織内に形成された前記実質的に円形の第一及び第二の印の最大長さを測定することと、該組織内の前記空洞のサイズ及び形状に対応したサイズ及び形状を有する該生体適合性組織修復スカフォールドを切り出すこととを更に含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記実質的に円形の第一の印が、前記実質的に円形の第二の印の直径とは異なる直径を有する、実施態様8に記載の方法。
(14) 第一の書き込み装置を使用して前記実質的に円形の第一の印を形成し、第二の書き込み装置を使用して前記実質的に円形の第二の印を形成する、実施態様8に記載の方法。
(15) 既定の直径を有する円形の印を組織内に形成するよう構成された書き込みツールと、
互いにスライド可能に結合された第一及び第二部分を有する切断テンプレート装置であって、該第一及び第二部分は、第一位置を有し、該第一位置において該第一及び第二部分は、それらの間に形成されかつ該既定の直径に対応する直径を有する円形の切り抜き部を画定し、該第一及び第二部分は、延伸した位置を有し、該延伸した位置において該第一及び第二部分は、それらの間に形成されかつ調整可能な長軸長さを有する楕円形の切り抜き部を画定する、切断テンプレート装置と、を含む、組織修復キット。
【0089】
(16) 前記第一位置における前記第一及び第二部分が、それらの間に形成される複数の円形の切り抜き部を画定し、該複数の円形の切り抜き部それぞれが、異なる直径を有する、実施態様15に記載のキット。
(17) 複数の書き込みツールを更に含み、該複数の書き込みツールがそれぞれ、前記複数の円形の切り抜き部の前記直径のうちの1つに対応した既定の直径を有する円形の印を組織内に形成するよう構成されている、実施態様16に記載のキット。
(18) 前記延伸した位置における前記第一及び第二部分が、それらの間に形成される複数の楕円形の切り抜き部を画定し、該複数の楕円形の切り抜き部それぞれが、調整可能な長軸長さを有する、実施態様15に記載のキット。
(19) 組織内に形成された楕円形の切断部の長さを測定することと、
テンプレートツールの第一及び第二部分をスライド可能に移動させて、該組織に形成された該楕円形の切断部の測定長さに対応した長さを有する切り抜き部を、該第一部分と該第二部分との間に形成することと、
該切り抜き部を使用して、該組織内に形成された該楕円形の切断部に対応するサイズ及び形状を有する組織修復スカフォールドを形成することと、を含む、外科的方法。
(20) 既定の直径を有する円形の切断部を組織内に形成するよう構成された書き込みツールを使用して、組織内に形成された楕円形の切断部を書き込むことを更に含む、実施態様19に記載の方法。
【0090】
(21) テンプレートツールの第一及び第二部分をスライド可能に移動させることに、前記既定の直径に等しい直径を有する第一形状を画定する第一の位置から、前記組織内に形成された前記楕円形の切断部の測定された長さに対応する長さを有する第二形状を画定する延伸された位置へと、該第一及び第二部分を動かすことが含まれる、実施態様20に記載の方法。
(22) 前記組織の前記楕円形の切断部に、前記組織修復スカフォールドを埋め込むことを更に含む、実施態様19に記載の方法。
(23) 組織内を通って体の空洞内に延びる通路を通して透明なフィルムを前進させることであって、該フィルムは該通路内に配置されているときに折り畳み形状を有し、該通路を通り抜けて該体の空洞内に入るときに平面形状に開く、前進させることと、
該フィルムを該体の空洞内にある組織表面の欠陥の上に配置することと、
該フィルムの形状を該欠陥の形状と比較することと、
該フィルムを患者から取り出すことと、
該欠陥の該形状に実質的に対応する形状を有するよう該フィルムを切り抜くことと、
切り抜いた該フィルム形状をテンプレートとして使用して組織修復スカフォールドを切り出し、これにより該組織修復スカフォールドが該欠陥の該形状に実質的に対応する形状を有するようにすることと、を含む、外科的方法。
(24) 通路を通して透明フィルムを前進させる前に、既定のさまざまな形状を有する複数の透明フィルムのうちの1つから透明フィルムを選択することを更に含む、実施態様23に記載の方法。
(25) 組織修復スカフォールドを切り出すためにテンプレートとして前記切り抜いたフィルム形状を使用する前に、前進、配置、比較、取り出し、及び切り抜きの手順を繰り返すことを更に含む、実施態様23に記載の方法。
【開示の内容】
【0001】
〔発明の技術分野〕
本発明は組織スカフォールドを準備し埋め込むための方法及び装置に関するものである。
【0002】
〔発明の背景〕
軟骨、皮膚、筋肉、骨、腱、及び靱帯などの軟組織の外傷はしばしば、その損傷の修復及び治癒の促進のため、外科的介入を必要とする。そのような外科的修復には、既知の医療装置を用いて損傷組織を縫合ないしは別の方法で修復すること、他の組織を用いて損傷組織を増大させること、インプラント、グラフト、又はこれらの技法の任意の組み合わせを使用することが挙げられる。
【0003】
よく起こる組織の外傷の1つは、血管のない、弾力性かつ柔軟な結合組織である軟骨の損傷を伴う。軟骨は通常、結合関節において「ショックアブソーバー」としてはたらくが、一部のタイプの軟骨は、例えば喉頭、気道、及び耳といった管構造体への支持を提供する。一般に、軟骨組織は、細胞外マトリックス内にある軟骨細胞(chondrocyte)として知られる軟骨細胞(cartilage cell)で構成され、この細胞外マトリックスにはコラーゲン、構造スカフォールド、及びアグリカン(空間充填プロテオグリカン)が含まれる。体内にはいくつかのタイプの軟骨を見出すことができ、これにはガラス質軟骨、線維軟骨、弾性軟骨が挙げられる。ガラス質軟骨は個別の部分として体内に見出され、或いは、このタイプの軟骨は骨の関節末端部に融合しているのが見出され得る。ガラス質軟骨は一般に、関節軟骨、肋骨軟骨、一時的軟骨(すなわち、骨化プロセスにより最終的に骨に変換される軟骨)として体内に見出される。線維軟骨は、通常腱と骨との間、骨と骨との間、及び/又はガラス質軟骨とガラス質軟骨との間にある、過渡的組織である。弾性軟骨には、細胞外マトリックス全体に分布している弾性線維が含まれ、通常、喉頭蓋、耳及び鼻に見出される。
【0004】
ガラス質軟膏外傷の一般的な例としては、膝の関節軟骨の局所的欠陥がある。関節に強い衝撃を受けることにより、さまざまなサイズ及び形の軟骨断片が部分的に除去され、又は、軟骨の細胞外マトリックスがかなりの損傷を受けて、軟骨の変性が起こることがある。損傷した関節軟骨は、治療せずに放置すると、関節機能が制限されることがあり、消耗性の痛みを起こし、変形性関節症(軟骨の崩壊及びその下の骨の好ましくない変化を特徴とする疾患)などの長期的な慢性疾患を起こすことがある。関節軟骨組織の外傷は通常、独力で治癒することはなく、症状をもたらす外傷部を修復するのに外科的介入がしばしば必要になる。現在の治療療法は、部分的又は完全に遊離している組織断片の洗浄、除去からなる。更に外科医はしばしば、磨耗、穴開け、又は微小破壊などのさまざまな方法を使用して、軟骨の欠陥に出血を起こさせ、血塊を形成させる。骨髄由来の細胞は、本来の性質として繊維軟骨性である瘢痕様の組織を形成し、これにより一部の症状をごく一時的に限り緩和することができると考えられる。残念なことに、この修復組織は、ガラス質組織と同じ機械的特性は有しておらず、よって、磨耗の結果、時間が経つにつれてより急速に劣化する。患者は通常、症状の緩和のために二次的な処置を受ける必要がある。
【0005】
最近になって、自己軟骨細胞の埋め込みを含む実験的アプローチがますます頻繁に使用されるようになっている。軟骨細胞は、バイオプシーを用いて患者から軟骨断片を採取することにより取得され、次にこの組織サンプルから細胞を抽出し、実験室内で適切な数まで培養する。増殖した軟骨細胞は次に、軟骨欠陥部位に配置するための、細胞懸濁液の形で、又は、軟骨欠陥部位に配置するための合成若しくは天然の生分解性生体適合性スカフォールドに搭載された形で、外科医に供給される。時に、これらの生存性細胞を三次元の天然又は合成のスカフォールド又はマトリックス内に配置し、組織固有の培養条件の下に維持することによって、移植可能な機能性組織置換物が生成される。適切な条件及び信号が提供されると、この細胞は増殖し、分化し、かつさまざまなマトリックス分子を分泌することにより、患者の欠陥部位に移植して戻すための置換用組織に使用することが可能な実際の生存性組織を生成することができる。
【0006】
損傷した軟骨を修復するための他の技法では、軟骨細胞以外の細胞を用いて、望ましいガラス質様の組織が生成される。例えば脂肪組織、筋肉、又は骨髄に存在する細胞などの幹細胞又は前駆細胞は、患者の骨及び/又は軟骨を再生する可能性を有している。幹細胞はその患者から得たもの(すなわち自己(autogeneic))でも、又は別の患者から得たもの(すなわち同種異系)でもよい。滑膜から得た細胞などの他の細胞に加え、これらの前駆細胞は、軟骨形成の誘発に適した環境に置かれたときに、軟骨組織を再生すると考えられている。
【0007】
損傷した組織の外科的治療のために行われる他の外科的手法には、外科用インプラント、スカフォールド、又はマトリックスの使用が挙げられる。細胞を使用せずに軟骨再生を支援するため、さまざまな外科用インプラントが外科的手順に使用されている。例えば、インプラントは、多孔質の生分解性生体適合性ポリマーマトリックスを含んで生成され得る。他の例には、ヒアルロン酸、コラーゲン、及びフィブリンなどの生体ポリマーから誘導されたマトリックスが含まれる。これらのインプラントはしばしば、微小破壊などの骨髄刺激技法と共に使用され、これにより骨髄が、軟骨再生を支援する他の刺激物質と共に、細胞を提供することができる。
【0008】
インプラントを患者体内に配置する前に、インプラントと欠陥周囲の軟骨とが良好に一体化するよう、欠陥部位とインプラントの両方に対して準備を行わなければならない。患者側は、欠陥部位から得た変性又は損傷組織を取り除くことによって準備を行わなければならない。特に、外科部位に対するアクセスが限定的な場所での関節鏡手術においては、周囲の健康な軟骨及び/又は肋軟骨下骨(すなわち、欠陥の下にある骨)に対する任意の外傷を最小化するために損傷部位の空間の清掃が難しく、時間もかかる可能性がある。インプラントは更に、その患者の清掃された欠陥部位に適合するよう、実験室生成による大きさのものをサイズ調整することによって準備しなければならない。患者の欠陥部位で空間が形成され、そのサイズを識別することができるまで、インプラントを適切にサイズ調整することができないため、外科手術中にインプラントを埋め込みのためにその場で準備しなければならない。手術中の忙しいときにインプラントのサイズ調整に誤りが起こると、外科手術を長引かせることがあり、組織置換物が許容できるサイズになるまで繰り返しサイズ調整を行うことになり得る。インプラントのサイズ調整を試みる場合、1つ以上の使用不能なサイズにまで切断されると、適切なサイズのインプラントが得られなくなってしまうことがあり得る。インプラントが使用不能になると、再度、高価で時間のかかる医学的に侵襲性のプロセスを経て別のインプラントを作製してから、患者への埋め込みを再度試みなければならなくなる必要が生じることがある。
【0009】
よって、患者の欠陥部位に対する準備を行い、インプラントの準備と患者への配置を準備するための方法及び装置に対するニーズが依然として残っている。
【0010】
〔発明の概要〕
本発明は全般に、組織スカフォールドの準備及び埋め込みのための方法及び装置を提供するものである。1つの実施形態において、遠位端に形成された軟骨噛み合いエレメントを有する内側シャフト、並びにその内側シャフトの外側にスライド可能及び回転可能に配置された外側シャフトを含む、外科用装置が提供される。この外側シャフトは、その遠位端に形成された書き込みエレメントを有し、外側シャフトが内側シャフトに対して回転するときに、組織に円形の印を形成するよう構成されている。この装置は、任意の数のバリエーションを有することができる。例えば、外側シャフトは、外側シャフトの長手軸に対して角度をなして、外側シャフトの遠位端から半径方向に外へ延びるアームを有することができる。書き込みエレメントは、アームの遠位端に形成することができる。別の実施例において、軟骨噛み合いエレメントには、内側シャフトの遠位端に形成された第一及び第二のスパイクが含まれ得る。また別の実施例において、この角度は約20°〜70°の範囲であり得る。また別の実施例において、この装置には、外側シャフトの近位端に形成されたハンドル、及び/又は内側シャフトの近位端に形成されたハンドルが含まれ得る。
【0011】
別の態様において、組織修復キットが提供される。1つの実施形態において、組織修復キットには、ハンドル、そのハンドルから延びる細長いシャフトと、その細長いシャフトの遠位端に形成された書き込みエレメントと、を有する書き込み装置が含まれる。この書き込みエレメントは、細長いシャフトの長手方向軸からずれた軸に沿って延び、この書き込みエレメントには、カーブしている最も遠位の書き込みエッジがあり、書き込み装置が細長いシャフトの長手方向軸を中心に回転すると、その書き込みエッジが効果的に、組織内に円形の印を形成する。キットには、組織内の欠陥部位に埋め込まれるよう構成された生体適合性組織修復スカフォールドも含まれる。
【0012】
別の実施形態において、組織修復キットには、既定の直径を有する円形の印を組織内に形成するよう構成された書き込みツールと、互いにスライド可能に結合された第一及び第二部分を有する切断テンプレート装置とが含まれる。この第一及び第二部分は、第一位置を有し、第一位置において第一及び第二部分は、それらの間に形成されかつ既定の直径に対応する直径を有する円形の切り抜き部を画定する。この第一及び第二部分は更に、延伸した位置を有し、延伸した位置において第一及び第二部分は、それらの間に形成されかつ調整可能な長軸長さを有する楕円形の切り抜き部を画定する。このキットは、任意の数のバリエーションを有することができる。例えば、延伸した位置における第一及び第二部分は、それらの間に形成される複数の楕円形の切り抜き部を画定することができ、この複数の楕円形の切り抜き部それぞれが、調整可能な長軸の長さを有する。別の実施例について、第一位置における第一及び第二部分は、それらの間に形成される複数の円形の切り抜き部を画定することができ、この複数の円形の切り抜き部それぞれが、異なる直径を有する。いくつかの実施形態において、このキットには更に、複数の書き込みツールを含めることができ、この複数の書き込みツールはそれぞれ、複数の円形の切り抜き部の直径のうちの1つに対応した既定の直径を有する円形の印を組織内に形成するよう構成されている。
【0013】
別の態様において、外科的方法が提供される。1つの実施形態において、外科的方法には、外科用装置を患者の体内に前進させ、組織の欠陥部位に装置の遠位側書き込み先端を配置することと、その外科用装置の中央の長手方向軸を中心にその外科用装置を回転させることにより、遠位側書き込み先端が回転して欠陥部位の周囲の組織内に円形の印を形成することと、その円形の印の内側の組織を除去することにより組織内に円形の空洞を形成することと、組織内に形成された円形の印に対応する円形の形状を有する生体適合性組織修復スカフォールドを切り出すことと、その生体適合性組織修復スカフォールドを組織内の円形の空洞内に埋め込むことと、が含まれる。この方法は、任意の数のバリエーションを有することができる。例えば、外科用装置は、組織の開口部から挿入することができ、その円形の印は、開口部の直径よりも大きい直径を有することができる。別の実施例において、円形の印は、約5〜40mmの範囲の直径を有し得る。また別の実施例において、生体適合性組織修復スカフォールドは、その上に配置された生存性組織を有することができる。更に別の実施例において、この外科用装置の回転には、組織の下にある骨に噛み合う内側部材に対し、外側部材上に形成された遠位側書き込み先端を有する外側部材を回転させることが含まれ得る。
【0014】
別の実施形態において、外科的方法には、書き込み装置の長手方向軸を中心に書き込み装置を回転させて、欠陥部位の組織に、実質的に円形の第一の印を形成することと、書き込み装置の長手方向軸を中心に書き込み装置を回転させて、欠陥部位の組織に、実質的に円形の第二の印を形成し、その実質的に円形の第一及び第二の印の内部にある組織を除去することにより組織内の欠陥を除去することとが含まれる。実質的に円形の第二の印は、実質的に円形の第一の印に部分的に重なっている。この方法は、様々な方法で変えることができる。例えばこの方法には、実質的に円形の第一の印の外縁と、実質的に円形の第二の印の外縁との間に延びる、少なくとも1本の直線の印を組織内に形成することが含まれ得る。別の実施例において、この方法には、組織内に第一及び第二の直線の印を含めることができ、各直線の印は、実質的に円形の第一及び第二の印に対する接線であり、これにより、実質的に円形の第一及び第二の印と、第一及び第二の直線の印とが、組織内に楕円形の印を形成する。更に別の実施例において、実質的に円形の第一の印は、実質的に円形の第二の印の直径とは異なる直径を有することができる。更に別の実施形態において、第一の書き込み装置を使用して実質的に円形の第一の印を形成し、第二の書き込み装置を使用して実質的に円形の第二の印を形成することができる。この方法には更に、実質的に円形の第一及び第二の印の中にある組織を除去して組織内に空洞を形成することと、その組織内の空洞に生体適合性組織修復スカフォールドを埋め込むことと、が含まれ得る。いくつかの実施形態において、生体適合性組織修復スカフォールドを埋め込む前に、この方法には、組織内に形成された実質的に円形の第一及び第二の印の最大の長さを測定することと、その組織内の空洞のサイズ及び形状に対応したサイズ及び形状を有する生体適合性組織修復スカフォールドを切り出すことと、が含まれ得る。
【0015】
更に別の実施形態において、外科的方法には、組織内に形成された楕円形の印の長さを測定することと、テンプレートツールの第一及び第二部分をスライド可能に移動させて、組織に形成された楕円形の印の測定された長さに対応した長さを有する切り抜き部を、第一部分と第二部分との間に形成することと、その切り抜き部を使用して組織内に形成された楕円形の印に対応するサイズ及び形状を有する組織修復スカフォールドを形成することと、が含まれる。この方法には更に、組織内の楕円形の印内に、組織修復スカフォールドを埋め込むことが含まれ得る。1つの実施形態において、この印は、既定の直径を有する円形の印を組織内に形成するよう構成された書き込みツールを使用して形成することができる。いくつかの実施形態において、テンプレートツールの第一及び第二部分をスライド可能に移動させることには、既定の直径に等しい直径を有する第一形状を画定する第一の位置から、組織内に形成された楕円形の印の測定された長さに対応する長さを有する第二形状を画定する延伸された位置へと、第一及び第二部分を動かすことが含まれ得る。
【0016】
更に別の実施形態において、外科的方法には、組織内を通って体の空洞内に延びる通路を通して透明なフィルムを前進させることと、そのフィルムを体の空洞内の組織表面にある欠陥の上に配置することと、そのフィルムの形状をその欠陥の形状と比較することと、そのフィルムを患者から取り出すことと、欠陥の形状に実質的に対応する形状を有するようにそのフィルムを切り抜くことと、組織修復スカフォールドが欠陥の形状に実質的に対応した形状を有するように、その切り抜いたフィルム形状をテンプレートとして使用して組織修復スカフォールドを切り出すことと、が含まれる。このフィルムは、通路内に配置されているときは折り畳み形状を有することができ、通路を通り抜けて身体の空洞内に入るときに平面形状に開くことができる。この方法は、様々な方法で変えることができる。例えば、この方法には、通路を通して透明フィルムを前進させる前に、既定のさまざまな形状を有する複数の透明フィルムのうちの1つから透明フィルムを選択することが含まれ得る。別の実施例において、この方法には、組織修復スカフォールドを切り出すためにテンプレートとして切り抜いたフィルム形状を使用する前に、前進、配置、比較、取り出し、切り抜きの手順を繰り返すことが含まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明は、以下の詳細な説明を付属の図面と併せ読むことでより完全に理解されよう。
【図1】1つの実施形態における、遠位側書き込みアームを有する書き込みツールの外側シャフトの透視図。
【図2】図1の外側シャフトの側面図。
【図3】図1の外側シャフトの遠位端面図。
【図4】図1の外側シャフトの側面断面図、及びその外側シャフトを通って延びる通路に配置されるよう構成された内側シャフトの側面図。
【図5】図4の内側シャフトの遠位端面図。
【図6】1つの実施形態における、カーブした遠位側書き込み先端を有する書き込みツールの側面図。
【図7】図1の外側シャフトが患者の組織内に前進されるときの一部を切り取った図。
【図8A】図7の外側シャフトに配置された図4の内側シャフト、及び、組織欠陥部位の少なくとも部分的な周囲の組織内に線を印付けるように内側シャフトを中心に回転する外側シャフト、の一部を切り取った図。
【図8B】別の実施形態における、遠位側書き込みアームを有する書き込みツールの外側シャフト内に配置された図4の内側シャフト、及び、組織欠陥部位の少なくとも部分的な周囲の組織内に線を印付けるように内側シャフトを中心に回転する外側シャフト、の一部を切り取った図。
【図9】図6の書き込みツールが患者の組織内に前進し、遠位側書き込み先端が組織欠陥部位に隣接して配置されている書き込みツールの一部を切り取った図。
【図10】図9の書き込みツールが回転して、組織欠陥部位の周囲の組織内に線を印付けている書き込みツールの部分透視図。
【図11】図9の書き込みツールが回転して、組織欠陥部位の周囲の組織内に線を印付けている書き込みツールの平面図。
【図12】1つの実施形態における、組織欠陥部位の部分的な周囲の組織内の第一の円形印、及び第一の円形印の一部と重なりかつ組織欠陥部位の部分的な周囲の組織内の第二の円形印の平面図。
【図13】1つの実施形態における、組織欠陥部位のそれぞれ部分的な周囲の組織内の第一及び第二の円形印の平面図。
【図14】1つの実施形態における、図13の第一及び第二の円形印の外縁を結合して、組織内に印付けられた結合線の平面図。
【図15】1つの実施形態における、組織欠陥部位のそれぞれ部分的な周囲の組織内の第一及び第二の円形印、並びにその第一及び第二の円形印の外縁を結合して、組織内に印付けられた結合線の平面図。
【図16】1つの実施形態における、空洞を形成するための組織内に印付けられた形状内から組織を除去するスクレーパーの部分的透視図。
【図17】1つの実施形態における、図16のスクレーパーで除去された空洞内から組織を吸引する吸引装置の部分的透視図。
【図18】図17の空洞内から組織が除去され吸引された状態の、空洞の部分的透視図。
【図19】図8Bの内側及び外側シャフトを使用して組織スカフォールドを切り出している内側及び外側シャフトの一部を切り取った透視図。
【図20】図6の書き込みツールを使用して組織スカフォールドを切り出している書き込みツールの透視図。
【図21】1つの実施形態における、組織内に形成された空洞のサイズを測定する測定装置の部分的透視図。
【図22】1つの実施形態における、調整可能テンプレートツールが延伸していない位置での平面図。
【図23】図22の調整可能テンプレートツールが延伸した位置での平面図。
【図24】図23の調整可能テンプレートツールの少なくとも一部の下に組織スカフォールド材質が配置された状態の、テンプレートツールの平面図。
【図25】1つの実施形態における、複数の切断済み形状を有する、柔軟な透明フィルムの平面図。
【図25A】1つの実施形態における、十字形に交差する複数のグリッド線を有する柔軟な透明フィルムの平面図。
【図26】1つの実施形態における、導入装置を前進させて、患者の組織内に形成された空洞に隣接した位置に侵入している柔軟な透明フィルムの部分的透視図。
【図27】組織内に形成された空洞の上に配置された、図26のフィルムの部分的透視図。
【図28】書き込み装置を使用して図27のフィルムを切り取っている形状の部分的透視図。
【図29】図26の空洞の上に配置された、図28のフィルムの部分的透視図。
【図30】組織スカフォールド材質の上に置かれた図29のフィルム、並びにそのフィルムをテンプレートとして使用し、組織スカフォールド材質を切り出している書き込み装置の部分的透視図。
【0018】
〔発明の詳細な説明〕
本明細書に開示される装置及び方法の、構造、機能、製造並びに使用の原理について、総合的な理解を提供するために、特定の例示的な実施形態を以後記載する。これらの実施形態の1つ以上の例を添付図面に示す。当業者は、本明細書で明確に記載され、添付の図面に示される装置及び方法が、非限定の例示的な実施形態であり、本発明の範囲は、特許請求の範囲のみにより定義されることを認識するであろう。1つの例示的な実施形態に関連して示される、又は述べられる特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせてもよい。こうした改変及び変形は本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0019】
本発明は全般に、組織置換物の準備及び埋め込みのためのさまざまな方法及び装置を提供するものである。全般に、組織(例えば軟骨)内の欠陥部位の周囲に1つ以上の既定の形状(例えば円、卵形、楕円形など)を印付ける(例えば書き込み又は刻み目付けを行う)ためのさまざまなツール及び技法が開示される。所定の形状内にある印付けされた組織、すなわち欠陥組織は、除去して、組織内に空洞を形成することができる。印付けされた形状は既定であるため、この空洞の形状は既知であることから、組織スカフォールドをその空洞の形状及びサイズに適合するような形状及びサイズに切り出すことができ、これにより、組織の空洞全体を充填するスカフォールドを提供することができる。組織内の空洞の形状及びサイズを決定するため、並びに、その空洞の形状及びサイズに適合するような形状及びサイズを有する組織スカフォールドを準備するための、さまざまな他の方法及び装置も提供される。
【0020】
本明細書で使用される用語「組織」は、さまざまな物質(例えば軟骨、臓器、及び組織スカフォールドを使用して修復可能なその他の物質)を包含することが意図されており、本明細書で使用される用語「軟骨」は、ガラス質軟骨、線維軟骨、及び弾性軟骨などの任意のタイプの軟骨を意味することが、当業者には認識されるであろう。また、本明細書で使用される用語「欠陥部位」は、損傷した、不健康な、又はその他望ましくない状態の、組織内にある現在又はかつての場所を包含することが意図されており、組織置換物によって修復を行うための場所が意図されていることが、当業者には認識されるであろう。また、本明細書で使用される用語「組織置換物」、「インプラント」、「スカフォールド」、又は「マトリックス」は、組織の修復及び再生を可能にするよう、患者に埋め込まれるように構成された、外科的に安全な任意のインプラントを包含することが意図されていることが、当業者には認識されるであろう。
【0021】
また、この方法及び装置は、患者に形成された小さな開口部を通って体内空洞内に経皮的に外科用装置が導入される、侵襲性が最小限の関節鏡手術に関連して記述されているが、本明細書に開示されている方法及び装置は、数多くの外科手術において、数多くの外科用装置で使用可能であることが、当業者には認識されるであろう。非限定的な実施例として、この方法及び装置は、開放外科手術において使用することができる。また、この方法及び装置は軟骨修復に関連して記述されているが、これら方法及び装置は膝(例えば膝蓋骨の軟骨)、又は、他の関節面(例えば肩、足首、股関節、及び肘)に関連した他の組織修復において、並びに組織置換インプラントを用いた他の任意のタイプの組織修復において使用できることが、当業者には認識されるであろう。
【0022】
例示的な一実施形態において、骨関節の関節表面(例えば膝の大腿骨顆部など)の欠陥部位に軟骨外傷を有する患者には、組織修復手術のために準備を行うことができる。関節切開術により、膝関節を切開し、欠陥部位を露出させることができる。外傷部のサイズ及び形状はさまざまであり得るが、ただし、大腿骨顆部での外傷部は通常、約10cm2(1000mm2)の表面積を有する楕円形を有している。好ましくない軟骨組織(小線維形成及び亀裂を含み得る)は、除去して、組織内に空洞を形成することができる。外傷部を除去するプロセスにおいては、外傷部に隣接する健康な軟骨の一定量も除去され得る。組織置換インプラントを受け入れるため、関節表面のデブリードマンは、軟骨の石灰化層及び/又は軟骨下の骨表面を露出させるのに十分な深さ(例えば軟骨の上面から約2〜3mmの範囲)で行うことができる。この骨表面は、インプラントの置換のためのほぼ滑らかな表面と、インプラントを付着させることができる安定した構造とを提供することができる。関節表面が適切に準備された後、組織修復インプラントを、関節内に形成された空洞内で、関節表面に触れさせて埋め込むことができる。いくつかの実施形態において、骨の一部を除去し、軟骨内及び骨内に形成された空洞にインプラントを埋め込むことができる。
【0023】
インプラントを患者に埋め込む前に、このインプラントは、生存性の組織、例えば、自己軟骨細胞埋め込み(ACI)手術(例えばMACI(登録商標)インプラント(マサチューセッツ州ケンブリッジのゲンザイム・コーポレーション(Genzyme Corporation)から販売)を使用した手術)において、インプラントを患者に埋め込む外科手術とは別に、第一の外科手術において患者から取得した、生存性非破壊組織細胞を用いて、生成することができる。ただし、インプラントを患者に取り付けるのと同じ外科手術中に、この生存性組織をさらに集めることも、又は代わりに集めることも可能であることが、当業者には認識されるであろう。
【0024】
生存性組織は任意の方法で患者から収集することができ、これは当業者には認識されるであろう。例えばバイオプシー術などの、患者から組織を収集するための方法及び装置のさまざまな非限定的実施形態は、米国特許第7,115,100号(2006年10月3日発行)「組織バイオプシー及びプロセス装置(Tissue Biopsy And Processing Device)」、米国特許公開番号第2008/0234715号(2008年3月27日出願)「組織抽出及び採集装置(Tissue Extraction and Collection Device)」、並びに米国特許公開番号第2005/0059905号(2003年9月11日出願)「組織抽出及び解離装置(Tissue Extraction and Maceration Device)」に見出すことができ、これらは全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
生存性組織の入手源はさまざまであり得、組織はさまざま構成を有し得るが、例示的な一実施形態において、採取された組織には軟骨細胞が含まれる。例示的な一実施形態において、生存性組織のサンプルを取得した後、その組織サンプルに無菌条件で処理を行い、少なくとも1つの、細分化された、又は超微粒子状になった組織粒子を有する懸濁液を作製することができる。また、更なる処理が不要なように、細分化された形態で組織を採取することも可能である。細分化された生存性組織断片は、単なる生存性非破壊組織の小部分であり、細分化された組織断片が、再生及び回復反応の効果を強化できることが、当業者には認識されるであろう。各組織断片の粒子サイズはさまざまであり得る。非限定的な実施例として、組織サイズは約0.001〜3mm3の範囲であり得るが、好ましくはこの組織粒子は約1mm3未満である。別の実施形態において、この生存性組織は、組織再生及び/又は再建が可能な生存性細胞を含む、健康な組織から採取された組織スライス又はストリップの形態であり得る。これについては米国特許公開番号第2005/0125077号(2003年12月5日出願)「生存性組織の修復インプラントと及び使用方法(Viable Tissue Repair Implants and Methods of Use)」に記述されており、これは全体が参照により本明細書に組み込まれる。組織スライスは、外傷又は欠陥の部位に埋め込みを行うのに適した形状を有するよう採取することができ、その採取された組織スライスは、組織スライス内に含まれる生存性細胞が外に遊走でき、増殖して修復部位周辺の組織に一体化できるような寸法にすることができる。組織は患者及び/又は適合ドナーから収集することができ、その組織は人工組織物質であり得、採取された組織と人工組織物質との任意の組み合わせが使用できることが、当業者には認識されるであろう。
【0026】
患者から採取された生存性組織は、所望により、ゲル様担体又は接着剤などの担体を含む、さまざまな他の材質と組み合わせることができる。生存性組織はまた、マトリックス消化酵素に接触させて、その生存性組織周囲の細胞外マトリックスの外へ向かう組織の遊走を促進することができる。酵素は、細胞外マトリックスの外への細胞遊走及びインプラント内への細胞遊走の速度を増加させるために使用することができる。ゲル様担体、接着剤、及び酵素のさまざまな非限定的実施形態は、米国特許公開番号第2005/0177249号(2004年2月9日出願)「生存性組織を用いたスカフォールド(Scaffolds With Viable Tissue)」に見出すことができ、この全体が参照により本明細書に組み込まれる。生存性組織の入手源及び方法に関する他の非限定的実施形態は、米国特許公開番号第2005/0113937号(2003年11月26日出願)「注入送達可能な柔軟性のある組織修復インプラント(Conformable Tissue Repair Implant Capable Of Injection Delivery)」に開示されており、この全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
生存性組織及びその生存性組織と組み合わせられる任意の材質は、組織スカフォールドに搭載することができる。スカフォールドはさまざまな形状を有することができ、これは当業者に認識されるであろう。一般にスカフォールドは、生体適合性、生体移植可能、滅菌が容易で、手術室環境での取扱いの容易さを効果的に提供でき、1つ以上の固定機構(例えば縫合糸、ステープル、接着剤など)を実質的な破断なしに受け入れて固定できるような十分な構造的一体性及び/又は物理的特性と機械的特性とを有する、実質上任意の材質又は送達担体を用いて形成することができる。非限定的な実施例として、スカフォールドは、1つ以上の任意のさまざまな材質(例えば再吸収性材質、非生物学的材質、及び/又は合成材質)から形成されたマトリックス形態であってよい。スカフォールドは、埋め込みの標的部位の形状及び寸法にぴったり適合することができるよう、柔軟性であり得る。スカフォールドにはまた、生体吸収性及び/又は生体再吸収性の構成成分を含めることができ、これは輸送中のインプラントの取扱い性を高めるための一時的な支持材料の役割を果たすことができる。組織スカフォールドのさまざまな非限定的実施形態は、前述の米国特許公開番号第2005/0177249号(2004年2月9日出願)「生存性組織を用いたスカフォールド(Scaffolds With Viable Tissue)」、並びに米国特許公開番号第2004/0078090号(2003年2月25日)「組織断片を有する生体適合性スカフォールド(Biocompatible Scaffolds With Tissue Fragments)」、米国特許公開番号第2005/0038520号(2003年8月11日出願)「関節表面の表面再処理のための方法及び器具(Method And Apparatus For Resurfacing An Articular Surface)」及び米国特許番号第6,884,428号(2005年4月26日発行)「軟組織修復及び再生のための改善された一体性を備えた強化フォームインプラントの使用(Use of Reinforced Foam Implants with Enhanced Integrity For Soft Tissue Repair And Regeneration)」に見出すことができ、これらは全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
患者から採取した組織は、任意の方法で準備し、スカフォールドに適用することができ、これは当業者によって認識されるであろう。スカフォールドの製造中若しくは製造後、又はインプラントを患者に埋め込む前若しくは後に、組織構成成分をスカフォールドに追加することができる。所望により、生物活性剤をこの組織スカフォールドに組み込み及び/若しくは適用することができ、かつ/又は生物活性剤を生存性組織に適用することができる。好ましくは、この生物活性剤は、生存性組織をスカフォールドに追加する前に、スカフォールド内に組み込み、又はコーティングされる。生物活性剤(単数又は複数)は、外傷の部位に存在する場合、欠陥部位組織の治癒及び/又は成長又は再生を促進するような様々なエフェクター及び細胞の中から選択することができる。エフェクター及び細胞のさまざまな非限定的実施形態が、前述の米国特許出願第2005/0177249号(2004年2月9日出願)「生存性組織を用いたスカフォールド(Scaffolds With Viable Tissue)」に見出すことができる。組織(細分化された生存性組織など)をスカフォールドに適用するさまざまな非限定的実施形態が、米国特許出願第2004/0193071(2003年3月28日出願)「組織採集の装置及び方法(Tissue Collection Devices And Methods)」に見出すことができ、これは全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
上述のように、組織スカフォールドが患者に埋め込むのに利用可能になった後、そのスカフォールドを埋め込むために、軟骨を除去して軟骨内に、軟骨表面から下の大腿骨顆部まで延びる(又は上述のように他の部位にある)穴又は空洞を生成することにより、患者は準備され得る。欠陥部位には、様々な方法でスカフォールド埋め込みのための準備を行うことができる。例示的な一実施形態において、組織内に既定の形状の印付けを行うよう構成された外科用書き込みツールを関節鏡的に用い、軟骨内に既定の形状を有する切断部を形成し、これにより、下記に詳しく述べるように、印付けされた形状が外傷部を囲むようにすることができる。印付けされた形状内から軟骨を除去することにより、その印付けた形状が組織空洞の外縁を画定し、この中にスカフォールドを埋め込むことができる。いくつかの実施形態において、下記に詳しく述べるように、書き込みツールを使って軟骨に複数の形状を印付けることができ、これらの形状は互いに、外傷部の少なくとも一部で重なり合い、所望により少なくとも1つの印付けされた追加の形状で重なり合うようにすることができる。この形状は更に、同じ及び/又は更なる書き込みツールを使用して変更及び/又は接続することができる。結合した印の形状内にある軟骨は、除去して、スカフォールドを受け入れる空洞の形を画定してもよい。
【0030】
図1〜5は、組織内に既定の円形を印付ける(例えばスライスする、刻み目をつけるなど)ために構成された、コンパス型外科用書き込みツール10の例示的な一実施形態を示す。書き込みツール10は更に、組織を切断するよう構成することもできる。書き込みツール10には、互いに対して可動となるよう構成された外側シャフト12及び内側シャフト14が含まれる。一般に、外側シャフト12が外側シャフト12の内側通路16内に配置され、これにより外側シャフト12の遠位側書き込み先端18が円を描いて動き、組織に対して配置されたときには円形の印をつけることができるようになっているとき、外側シャフト12は内側シャフト14を中心として時計回り及び/又は反時計回りに回転するよう構成することができる。
【0031】
外側シャフト12は様々な形状及び構成を有していてよい。この実施形態に示すように、外側シャフト12は、その外側シャフト12の近位端12aにハンドル22を有する細長い本体20を含み、外側シャフト12の遠位端12bに、その細長い本体20からずれた位置にある角度付きアーム24を含む。この細長い本体20は、図に示すようにほぼ円筒形にすることができるが、細長い本体20は任意の形状にすることができる。細長い本体20は更に、その長手方向長さが、少なくともハンドル22が患者の身体の外側にある状態で、外側シャフト12の少なくとも一部分を患者の体の空洞内に挿入することができるような、任意のサイズにすることができる。内側通路16は、細長い本体20の中を長手方向に延びていてよく、任意のサイズ及び形状(例えば円筒形など)を有することができ、内側シャフト14がその中にスライド可能に配置され、内側シャフト14が通路16内に配置されているときに、外側シャフト12がその内側シャフト14を中心として回転することができるよう構成され得る。
【0032】
ハンドル22は外側シャフト12の最近位端にあるものとして図に示されているが、このハンドル22は外側シャフトの近位端12aのどこにでも配置することができる。非限定的実施例として、ハンドル22は、図示されているようにほぼ円筒形の円盤又はノブであってよいが、当業者には、ハンドル22は、外側シャフト12を身体の外側に保持することができるような、任意のサイズ、形状、及び構成を有することができることが認識されるであろう。図示されているハンドル22の円盤又はノブ形状により、片手を使ってハンドル22を操作することができ、他の手技を行うためにもう一方の手を自由にすることができる。ハンドル22は、保持及び操作することによって、患者内に外側シャフト12を挿入し、患者内にある外側シャフト12を回転させ、患者から外側シャフト12を取り出すことを補助することができる。通路16は、ハンドル22の中を通って延びていてよく、これにより内側シャフト14がスライド可能にその中に配置される。よって、通路16の直径D1は、ハンドル22の直径D2よりも小さくてよい。いくつかの実施形態において、例えばこのハンドルが、細長い本体20の周囲にある1つ以上の別の場所からゼロ以外の角度で延びている、握ることができるハンドホールドとして構成される場合、通路16はハンドル22とは分離したものにすることができる。ハンドル22の直径D2は、細長い本体20の直径D3よりも大きくてよく、これによりハンドル22が、外側シャフト12が、患者の体内に外側シャフト12の遠位側部分を挿入するのに使用される開口部を通り抜けて、完全に遠位側に前進し、患者の体内へ出てしまうのを防ぐよう構成されるストッパー機構としての働きをするのに役立つことができる。通路16、ハンドル22、及び細長い本体20は、中央の長手方向軸Aを共有することができ、これにより、下記に詳しく述べるように、ハンドル22が外側シャフト12を回すよう動かされたときに、外側シャフト12がその中央の長手方向軸Aを中心に回転するのを助けることができる。ハンドル22によって、外側シャフト12の操作をより容易にすることができるが、一方で外側シャフト12はハンドル22を必ずしも含む必要はなく、代わりに、例えば細長い本体20の近位端を使用して操作することができることが当業者には認識されるであろう。
【0033】
角度付きアーム24は、細長い本体20から任意の角度αで遠位方向に延びていてよい。角度αはゼロ以外で、約90°未満の角度(例えば約20°〜70°の範囲)であり、これによりアーム24の遠位端にある遠位側書き込み先端18が、外側シャフト12の最遠位端を形成することができる。よって、遠位側書き込み先端18は、外側シャフト12の他の部分がまた組織に触れることなく、外側シャフト12の遠位側に配置された組織に接触することができる。
【0034】
アーム24は、中央の長手方向軸Aから距離rで半径方向に延びている遠位側書き込み先端18を備え、任意の長手方向長さを有することができる。このように距離rは、外側シャフト12が中央の長手方向軸Aを中心に回転するときに、遠位側書き込み先端18によって形成される円の半径に対応させることができ、これによりその円の中央は、中央の長手方向軸Aと軸方向に揃う。例示的な一実施形態において、距離rは約2.5〜20mm(直径約5〜40mm)、例えば約5〜10mm(直径約10〜20mm)の範囲であってよい。
【0035】
アーム24は細長い本体20と一体に形成された状態で示されているが、いくつかの実施形態において、アーム24は、例えば、ねじによる取り付け、スナップ嵌めなどの、当業者によって認識される何らかの方法で細長い本体20に取り外し可能に結合して構成されたモジュール要素であってよい。モジュールアームは、所望により、キットの一部として書き込みツールの外側シャフトと共に供給することができ、これは内側シャフトに含めることもできる。このようにして、様々なサイズ(例えば異なる半径距離rを有するもの)のアームを細長い本体20に結合させ、これにより外側シャフト12が、同じ又は異なる外科手術中に異なる直径の円を印付けることができる。距離rは、アーム24の長手方向長さ、及び/又はアーム24と細長い本体20との間の角度αを変更することにより、変えることができる。距離rは更に、例えば傘型の折り目を有する格納式アームなど、アームの長手方向長さを操作する(例えばアーム24を押し出す)ことにより、又は角度αを変えることにより、アーム24を交換することなしに変えることができる。別の実施形態において、カム機構は、細長い本体20に既定の角度(必ずしも同じではない)で出入りするようガイドする剛性のワイヤ形状であってよい。非限定的な実施例として、このワイヤは中央軸Aに対して平行に、細長い本体20に入ることができる。細長い本体20に入るワイヤの供給を制御することによって、距離rを操作することができる。カム機構(図示せず)は、距離rを変えるために所望によりアームに含めることができ、これにより、アームを使用して例えば卵形など非円形の印を作製することが可能になる。
【0036】
遠位側書き込み先端18は、様々なサイズ、形状、及び構成を有してよい。遠位側書き込み先端18は一般に、組織に印付けを行うように構成された書き込みエッジ(例えばナイフブレード、針、ウォータージェット、ボビー(bovie)、超音波振動メスなど)が含まれ得る。遠位側書き込み先端18は、非円形の書き込みエッジを有することができ、これによりこの書き込み先端18は、円の周囲を形成する線など、線を「描く」ために構成されたスタイラスとして使用することができる。遠位側書き込み先端18は、組織を切断するのに十分なだけ、しかしながら組織の下にある骨を顕著に切るほどではない程度の鋭さを有するよう構成することができ、これにより骨への損傷を最小限に抑えるのに役立ち得る。遠位側書き込み先端18は、任意の幅wを有する線に印を付けるよう構成され、例えば従来のナイフエッジ幅(例えば約0.2mm)を有する細い線、又はより太い幅(例えば約3mm)を有する、より太い線又は溝であり得る。より太い幅wの書き込み先端により、外側シャフト12がより多くの軟骨に印付けることができ、これにより、遠位側書き込み先端18によって印付けされる線で画定される形状内から除去する軟骨の量を減らすことができる。
【0037】
内側シャフト14も、様々な構成を有することができる。この実施形態に図示されているように、内側シャフト14は、内側シャフト14の近位端14aにハンドル28を有する細長い本体26と、内側シャフト14の遠位端14bに少なくとも1つの軟骨噛み合いエレメント30とを含む。内側シャフト14は、任意の長手方向長さを有することができるが、例示的な一実施形態において、内側シャフト14は外側シャフト12よりも長く、これにより内側シャフト14は、通路16内に配置されると同時に、外側シャフトの遠位端12bを越えて遠位側に延び、かつ外側シャフトの近位端12aを越えて近位側に延びることができる。ハンドル28は外側シャフトのハンドル22と同様であるが、ただし、ハンドル22、28は互いに異なっていてよく、書き込みツール10に図示されているように同一のものである必要はない。
【0038】
上述のように、内側シャフト14は、内側シャフトの細長い本体26が外側シャフト12の内側通路16内にスライド可能に収容された状態で、外側シャフト12に取り外し可能に結合されるよう構成することができる。よって、内側シャフトの細長い本体26は、本実施形態に示すように、内側通路16の形状に一致するよう、ほぼ円筒形の形状であり得る。外側シャフトの通路16、及び対応する円筒形を有する内側シャフトの細長い本体26により、内側シャフト14は、内側通路16内で直線方向及び回転方向に移動可能にすることができる。よって内側シャフトの細長い本体26は、外側シャフトの内側通路16の直径D1より小さい直径D4を有することができ、これにより細長い本体26がその中を移動可能となる。逆に、内側シャフトのハンドル28は、外側シャフトの通路16の直径D1より大きく、かつ細長い本体の直径D4より大きい、直径D5を有することができる。このようにして、内側シャフトのハンドル28は、内側シャフト14の遠位端14bが外側シャフト12の遠位端12bを越えて延びる距離を制限するよう構成された、前述のようなストッパー機構と同様のストッパー機構として機能することができる。
【0039】
内側シャフト14は図示のように中実部材であり得るが、内側シャフト14はその中に形成された1つ以上の通路を含むことができる。非限定的な実施例として、内側シャフト14には、遠位端14bから近位端14aに貫通して延びるトンネルが含まれてよく、これは例えば、液体、組織などを手術部位から吸引で除去するよう構成された真空装置など、少なくとも1つの外科用機器を通して収容するよう構成されている。
【0040】
内側シャフトの遠位端14bにある1つ以上の軟骨噛み合いエレメント30は一般に、内側シャフト14が外側シャフト12を通って配置されているときに、内側シャフト14を軟骨及び/又は骨に対して固定するのを補助するよう構成することができる。例示的な一実施形態において、軟骨噛み合いエレメント30は、骨に損傷を負わせないよう、骨に貫入することなく軟骨に接触するよう構成することができる。いくつかの実施形態において、軟骨噛み合いエレメント30は、骨には全く接触しないが、内側シャフト14を安定化するのに役立つよう、軟骨又は他の組織だけに接触するよう構成することができる。軟骨噛み合いエレメント30は、任意のサイズ、形状、及び構成を有することができる。2つの軟骨噛み合いエレメント30が図示されているが、内側シャフト14には、任意の数の軟骨噛み合いエレメント30を含めることができる。更に、軟骨噛み合いエレメント30それぞれは、互いに同じであってよく、又は他の軟骨噛み合いエレメント30と互いに異なっていてもよい。軟骨噛み合いエレメント30は図示のようにスパイク又は分岐先端(prong)として構成することができ、軟骨噛み合いエレメント30が骨に貫入するのに役立つよう構成されたテーパ形状の遠位先端を有していてもいなくてもよい。軟骨噛み合いエレメント30は、任意の構成で内側シャフトの遠位端14bに配置することができ、例えば図のように、内側シャフト14の中央長手方向軸A2を中心に半径方向に等間隔で配置することができる。内側シャフトが単一の軟骨噛み合いエレメントを有している実施形態において、その単一の軟骨噛み合いエレメントは、中央長手方向軸A2に実質的に軸方向に揃っていることができる。複数の軟骨噛み合いエレメント30を含むいくつかの実施形態において、軟骨噛み合いエレメント30は、細長い本体20の遠位端表面を覆い、これにより軟骨噛み合いエレメント30(例えば複数の歯)は、軟骨及び/又は骨に貫入することなく、軟骨及び/又は骨を把持するよう構成された、非平坦な軟骨噛み合い表面を形成することができる。
【0041】
軟骨噛み合いエレメント30は細長い本体26と一体に形成された状態で示されているが、軟骨噛み合いエレメント30うち任意の1つ以上は、細長い本体26に対し、移動可能に結合することができる。非限定的な実施例として、軟骨噛み合いエレメント30は格納することができ、これにより延長位置にあるときは、軟骨噛み合いエレメント30は内側シャフトの遠位端14bを越えて遠位側に延びることができ、格納位置にあるときは細長い本体26内に収納することができる。可動式軟骨噛み合いエレメントの格納と延長は、当業者に認識されるような任意の方法で制御することができ、例えば内側シャフト14の近位端14aにおいて、ノブ、ボタン、レバー、電気信号発信機などの制御機構を作動させることによって制御できる。
【0042】
図6は書き込みツールの別の実施形態を示す。この実施形態において、このツールは、組織に円形を印付けるよう構成された木材カッター型の外科用書き込みツール50である。書き込みツール50には、近位側ハンドル部分52と遠位側シャフト部分54が含まれ得る。ハンドル部分52には、図示の円筒形ハンドグリップなど、当業者に認識されるであろう任意のタイプのハンドルを含めることができる。ハンドル部分52には、所望により、書き込みツール50を手で保持し回転させるのに役立つ、1つ以上の把持機構(例えばフィンガーループ、成型された指用凹部、トレッドなど)を含めることができる。シャフト部分54には、ハンドル部分52から遠位方向に延びるシャフト56を含めることができ、そのシャフト56は遠位端に、遠位側書き込み先端58を有する。一般に、書き込みツール50は、書き込みツール50の長手方向軸(例えば、中央の近位長手方向軸A2)を中心に時計方向及び/又は反時計方向に回転することができ、これにより遠位側書き込み先端58が長手方向軸A2を中心とした円形に動き、遠位側書き込み先端58が組織に接して配置されているときは円形の形状の印付けを行うことができる。
【0043】
シャフト56は任意の構成を有することができる。シャフト56は、遠位側部分56cを有する剛性の細長い部材を含み、近位側部分56aと遠位側部分56cとの間にある角度付きの中間部分56bを有し、この遠位側部分56cは、近位側部分56aから半径方向にずれている。シャフトの遠位部分56cは、近位部分56aから任意の半径方向距離dだけ任意の角度βで中心からずれていてよい。図の実施形態に示されているように、中間部分56bは近位側部分56aから角度βで遠位方向に延びてよく、遠位部分56cは中間部分56bから角度βで遠位方向に延びてよく、これにより近位部分56aの長手方向軸A2は、遠位部分56cの長手方向軸A3と平行になるようにできる。このようにして、書き込みツール50は、組織に印付けるために最も効果的に配置された遠位側書き込み先端58と共に回転させることができる。シャフト56は、図に示すようにハンドル部分52の中央から延び、これによりハンドル部分52の長手方向軸A2が、シャフト56の近位部分56aの長手方向軸と軸方向に揃うようにできる。このようにして、遠位側書き込み先端58によって印付けされた円の中央は、書き込みツール50の長手方向軸A2にほぼ揃った中央を有することができる。
【0044】
シャフト56はハンドル部分52と一体に形成された状態で示されているが、いくつかの実施形態において、シャフト56は、例えば、ねじによる取り付け、スナップ嵌めなどの、当業者によって認識される何らかの方法でハンドル部分52に取り外し可能に結合されて構成されたモジュール要素であってよい。このようにして、様々なサイズのシャフト(例えば、異なる半径を有する円を印付けるよう構成されたもの)は、ハンドル部分52に結合させることができる。所望により、キットの一部として、ハンドル部分と共にモジュールシャフトを供給することができる。
【0045】
シャフト56は図示のように中実部材であり得るが、シャフト56はその中に形成された1本以上の通路を含むことができる。非限定的な実施例において、シャフト56には、ハンドル部分52を貫通して延びるトンネルと導通した、少なくとも近位部分56aを通って延びるトンネルが含まれ得る。シャフト及びハンドル部分のトンネルは、例えば、液体、組織などを手術部位から吸引で除去するよう構成された真空装置、又は内側シャフト14などの安定化ツール、又は軸A2を中心に回転するようツール50を支援して骨に貫入するよう構成された位置調整ツールなど、少なくとも1つの外科用機器を通して収容するよう構成することができる。
【0046】
シャフト56も任意のサイズ及び形状を有することができる。この実施形態で図示されているように、シャフト56、又は少なくともその遠位部分56cは、弓状のC字形断面形状を有するバー又はロッドの形状であり得る。よって遠位側書き込み先端58は、書き込みツール50がその長手方向軸A2を中心に回転したときに、書き込みツール50が組織に円形の印付けをするよう構成された、弓状のC字形断面形状を有することができる。いくつかの実施形態において、シャフト56は、遠位側書き込み先端58の書き込みエッジが弓形形状を有している限り、長さ全体にわたってC字形を有するのに加えて、又はC字形の代わりに、例えば円形、正方形、三角形などの1つ以上の他の断面形状を有することができる。
【0047】
遠位側書き込み先端58は、書き込みツール10の遠位側書き込み先端18に関して上記で検討したのと同様に、様々なサイズ、形状、及び構成を有することができる。遠位側書き込み先端58は、遠位側書き込み先端58の曲率半径に等しい半径を有する円の外周を形成するような線を印付けるよう構成された、任意の曲率半径を有することができる。例示的な一実施形態において、遠位側書き込み先端58の曲率半径は約2.5〜20mmの範囲であり、例えば約5mmであり得る。下記で詳しく検討されるように、遠位側書き込み先端58の曲率は、書き込みツール50が中央長手方向軸A2を中心に回転するときに、遠位側書き込み先端58を円形の動きにガイドするのに役立ち得る。書き込みツール50は所望により、シャフトの近位部分56a及び/又はハンドル52から軸方向に延びる中央ピン(図示せず)を含んでよく、これは、遠位側書き込み先端18を使用して円形印を作製することができるようにするため、ツール50の回転方向運動を阻害することなく、軟骨に貫入し、ツール50を安定化するよう構成されている。
【0048】
少なくとも1つの円形を組織に印付けするために書き込みツールが患者の体内に導入されることとは無関係に、当業者には認識されるように、書き込みツールは任意の方法で患者体内に導入することができる。図7に示されている1つの実施形態において、書き込みツール、例えば書き込みツール10は、組織32内に外科的に生成された切開又は開口部34を通じて、身体の空洞内に挿入され得る。外側シャフト12だけが最初に組織32を通して導入されているのが図示されているが、内側シャフト14が、外側シャフト12よりも前に、一緒に、又は好ましくは後に、組織32を通して導入できることが、当業者には認識されるであろう。また、書き込みツール10は図示されているように組織32に直接挿入することができ、又は書き込みツール10はカニューレ、トロカール、内視鏡などの外科用機器(別の外科用機器を通すことができる作業用チャネルを有するもの)といった導入用装置を通して前進させることができることも当業者には認識されるであろう。
【0049】
患者に外側シャフト12を内側シャフト14の前に導入するか、又は内側シャフト14を通路16まで部分的にのみ前進させた状態で導入することにより、外側シャフトの遠位側アーム24を或る角度で組織32に最初に挿入することができ、これにより組織の開口部が、遠位側書き込み先端18を使用して形成される円形印の直径よりも小さいサイズを有するようにすることができる。当業者に認識されるように、遠位側書き込み先端18は、開口部34を形成するのに役立つことができ、かつ/又は1つ以上の外科用ツールが開口部34を形成するために使用できる。遠位側アーム24の有する幅は、長手方向長さr、外側シャフトの細長い本体20の直径D3、外側シャフトの通路16の直径D1、及び内側シャフトの細長い本体26の直径D4よりも小さくできるため、ほぼアームの幅である直径D6を有する切開を通して挿入することができる。所望により、外側シャフト12を前進させる際に、アーム24を使って開口部34を広げることができる。外側シャフトの細長い本体20は、開口部34の直径を、外側シャフトの細長い本体20が通り抜けるときにその直径D3近くまで広げることができ、これにより開口部34のサイズを最小限に抑え、患者の外傷を低減するのに役立つ。
【0050】
外側シャフト12は、組織32を通って長手方向に任意の距離だけ前進させることができ、組織32に対して任意の方法で位置付けることができる。外側シャフト12は更に、書き込みツール10を使用して印付けしたい組織欠陥部位に対し、任意の方法で位置付けることができる。例示的な一実施形態において、外側シャフト12は、その長手方向軸Aが欠陥部位に対しほぼ垂直になるように、組織32を通して位置付けることができる。このようなほぼ垂直の位置付けにより、組織に対して患者の体の外からアーム24をより正確に位置付けるのに役立ち、アーム24をより迅速かつ容易に動かして、標的組織に印付けを行うことができる。
【0051】
例えば、ハンドル22及びアーム24を組織32の反対側にした状態で、細長い本体20を開口部34内に配置した状態で、外側シャフト12が組織32を通過すると、内側シャフト14が外側シャフトの近位端12aを通り抜けて通路16の中に前進させることができる。外側シャフト12の中央の長手方向軸A、及び内側シャフト14の中央の長手方向軸A2は、実質的に揃っており、組織欠陥部位に対して望ましい位置にすることができる。内側シャフトの軟骨噛み合いエレメント30は、欠陥部位の組織を通り抜けて延び、骨に噛み合って摩擦を提供し、書き込みツール10を安定した位置に取り付け、これにより書き込み先端18を用いて組織に書き込みを行うのに役立つことができる。骨表面は非平面的であり得るため、軟骨噛み合いエレメント30が、骨に貫入するための鋭い先端を伴って構成されている場合、軟骨噛み合いエレメント30は、様々な深さで骨に貫入することができ、かつ/又は軟骨噛み合いエレメント30のうちの1つ以上は骨に貫入することが全くないかもしれない。
【0052】
図8Aの1つの実施形態に示されているように、書き込みツール10が組織32内に前進し、内側シャフト14が望ましい状態で骨に噛み合っているとき、外側シャフト12は、内側シャフト14及び軟骨40の内部にある欠陥部位36に対して、欠陥部位内側シャフト14の周りを回ることができ、これによりアーム24が、外側シャフト12の長手方向軸A及び内側シャフト14の長手方向軸A2それぞれを中心に回転することができる。外側シャフト12は、例えばハンドル22を片手でつかむことによって手動で回転させることができ、かつ/又は例えばロボット利用手術などで電気的に回転させることができる。内側シャフト14は、外側シャフト12が回転している間、欠陥部位36の下にある骨に対して押し付け、これにより書き込みツール10の安定化をはかることができる。アーム24の回転により、遠位側書き込み先端18を用いて軟骨40内に線38を印付けることができる。アーム24は、約360°回転できるため、印付けされた線38は閉じた経路を形成し、アームの長さrに等しい半径rを有する円の外周を画定してもよい。このようにして、印付けされた円は、書き込みツール10が患者内に導入された開口部34の直径D6よりも大きい直径にすることができる。アーム24は、一方向(例えば図のように反時計回り)に約360°連続的に回転させることができ、又は時計回り及び/若しくは反時計回りに任意の角度回転させて、軟骨40に円形の印付けを行えることが、当業者には認識されるであろう。上述のように、線38は、軟骨40の下にある骨の方向に向かって、軟骨40に任意の深さの傷をつけることができる。例示的な一実施形態において、遠位側書き込み先端18は、骨に接触したのを感じるところまで遠位方向に押し出し、遠位側書き込み先端18が軟骨40を骨のところまで切断し、線38によって画定された形状内の軟骨40を除去するのを容易にするのに役立つ。外側シャフト12は、内側シャフト14に対して回りを回転する運動に加え、内側シャフト14に対して直線的にスライドすることができるため、外側シャフト12は、中央の長手方向軸Aの周りを回りながら上下にスライドすることができる。このようなスライド可能な直線運動により、外側シャフト12が軟骨40及び/又はその軟骨40の下にある骨の非平面的表面に対して補償を行うことができ、軟骨40に連続的に線38の傷をつけることができる。
【0053】
図8Bは、コンパス型書き込みツール10’が骨表面42に至るまで軟骨40’に書き込みを行っている別の実施形態を示す。書き込みツール10’には、書き込みツール10の外側シャフト12及び内側シャフト14と同様に、内側シャフト14’をその中に通してスライド可能に収容するよう構成された外側シャフト12’が含まれる。この別の実施形態において、外側シャフト12’はしかしながら、遠位端12b’に直線状のアーム24’を有している。この直線状アーム24’は、書き込みツール10のアーム24にあるような遠位端の曲がりは含んでいないが、その代わりに、尖った遠位側書き込み先端18’を有している。尖った遠位側書き込み先端18’は、軟骨40’内に細い線を印付けるよう構成され得る。
【0054】
前述のように、木材カッター型の外科用書き込みツール50を何らかの方法で患者の体内に導入し、コンパス型の書き込みツール10と同様の方法で組織に円形の印を付けるのに使用することができる。図9は、表面組織60を通って延びる最初の位置にある遠位側書き込みツール50の1つの実施形態を示し、遠位側書き込みツール50は、その遠位側書き込み先端58を、遠位側書き込みツール50を用いて印付けされるべき組織(例えば軟骨62)に隣接して位置付けている。例示的な一実施形態において、書き込みツール50は、組織60を通って配置され、書き込みツールの長手方向軸A2及びシャフトの遠位側長手方向軸A3が、欠陥部位に対してほぼ垂直となる。ハンドル部分52は、シャフト56の少なくとも一部分(例えば遠位部分56c及び中間部分56b)に対して、表面組織60の反対側に配置することができ、これにより組織60の開口部61(ここを通って書き込みツール50が挿入される)のサイズを最小化することができる(ハンドル部分52はシャフト部分54よりも大きいため)。
【0055】
書き込みツール50が組織表面60を通って前進し、遠位側書き込み先端58が軟骨62に隣接して配置された状態で、書き込みツール50は回転して、軟骨62に円形の線を印付けることができる。書き込みツール50は一般に、書き込みツール10について上述した回転と同様に回転することができる。図10及び11の1つの実施形態に示すように、書き込みツール50は、軟骨62に対して、中央の長手方向軸A2を中心に約360°回転することができ、遠位側書き込み先端58によって線を印付け、これにより軟骨62の欠陥部位64を囲んだ円形66を形成することができる。円形66は、遠位側書き込み先端58の曲率半径に等しい半径r2を有する。
【0056】
場合によっては、欠陥部位の有する直径が、欠陥部位を囲んだ円を印付けるのに使用する書き込みツールが印付けられる円の直径よりも大きいことがあり、又は、欠陥部位が楕円形の形状を有していて、単一の円で印を付けると、あまりにも多くの健康な組織が除去されてしまうため、望ましくないことがあり得る。よって、上述のように、いくつかの実施形態において、書き込みツール10、10’、50のうち任意のものなどの書き込みツールを使って、欠陥部位の組織に2つ又はそれ以上の円形を印付け、非円形の外周を有する形を画定してもよい。欠陥部位にそれぞれが部分的に重なり合う複数の円が組織に描かれることがわかっている場合は、その円のうち1つ以上が組織内に部分的に印付けられ(例えばC字形の線として印付けられる)、これにより印付けられた線が、円形の線を印付けたかのように非円形の外周の形状を形成するのと同様の方法で、非円形の外周形状を形成することができることが、当業者には認識されるであろう。外科手術中に患者体内に外科用装置を導入及び除去することを最小限に抑えるため、同じ書き込みツールを使用して各円を印付けることができるが、ただし、別の書き込みツールを使用することもできる。図12に示す骨軟骨移植術アプローチ(mosaicplasty approach)の1つの実施形態に示すように、印付けた複数の円、例えば第一及び第二の円70a、70b、は、印付けた円70a、70bのそれぞれが、印付けた少なくとももう一方の円70a、70bに部分的に重なり合うことにより、組織欠陥部位72の周囲の組織内に印付けることができる。2つの印付けた円70a、70bが図示されているが、任意の数の重なり合う円を組織に印付けて、欠陥部位72がその印付けた円70a、70bによって囲まれるようにすることができることが、当業者には認識されるであろう。また、印付けた円70a、70bは、第一の円70aが有する第一の半径r3が、第二の円70bが有する第二の半径r4よりも小さいものとして示されているが、印付けられた複数の円のいずれも、その他の印付けられた円のうち任意の1つ以上と同じか又は異なる半径を有することができることが、当業者には認識されるであろう。重なり合う円70a、70bは、互いに任意の順序で印付けることができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、複数の円を、組織の欠陥部位の相対する末端部に重なり合うように組織に印付けることができる。このようなアプローチは、組織内に卵形又は楕円形の形状を印付けるのを助けるのに有効であり得、特に、軟骨の欠陥部位はしばしば全体に卵形又は楕円形の形状を有し得るため、軟骨の欠陥修復に有効であり得る。図13及び14は、卵形印付けのアプローチの例示的な一実施形態を示す。図13に示すように、第一及び第二の円74a、74bは、全体的に卵形又は楕円形の組織欠陥部位76に対し、その欠陥部位76の相対する末端部で部分的に重なり合うように、組織に印付けることができる。第一及び第二の円74a、74bは、互いに任意の順序で印付けることができる。印付けた円74a、74bは、第一の円74aが有する第一の半径r5が、第二の円74bの第二の半径r6よりも小さいものとして示されているが、第一及び第二の円74a、74bは、互いに同じか又は異なる半径を有することができることが、当業者には認識されるであろう。非限定的な実施例として、図15には、同じ半径r7を有し、卵形の組織欠陥部位80の相対する末端部に印付けられている、第一及び第二の互いに重なり合わない円78a、78bの例示的な一実施形態を示す。図13及び14の第一及び第二の円74a、74bは、この実施形態では重なり合っていない状態で示されているが、組織欠陥部位の相対する末端部に印付けられている円は、互いに部分的に重なり合っていてもよいことが、当業者には認識されるであろう。
【0058】
組織欠陥部位の相対する末端部に重なって印付けられた円がある状態で、その2つの円を結合する直線を、欠陥部位の周りの組織に印付けることができる。欠陥部位76の相対する末端部に印付けられた第一及び第二の円74a、74bがある状態で、第一及び第二の結合線75a、75bを組織に印付け、第一及び第二の円74a、74bを結合することができる。第一及び第二の円74a、74b並びに第一及び第二の線75a、75bを合わせて、欠陥部位76の周囲の組織内に印付けた楕円形の外周を画定してもよい。第一及び第二の線75a、75bは、当業者には認識されるように、書き込みエッジを使って組織に印付けるよう構成された任意の外科用機器を用いて、任意の順序及び任意の方法で組織に形成することができる。第一及び第二の線75a、75bは図に示すように、互いに直線であり、線75a、75bそれぞれが、第一及び第二の円74a、74bの接線であってよく、又は、線75a、75bのうち一方又は両方が非直線及び/又は非接線であってもよい。同様に、図15を参照すると、第一及び第二の結合線79a、79bは、第一及び第二の円78a、78bを結合し欠陥部位80を囲んで印付け、欠陥部位80の周りに楕円形を形成することができる。
【0059】
望ましい1つ以上の円が組織欠陥部位の周辺に印付けられ、所望により、印付けられた円を結合する結合線が印付けられた後は、その印付けられた円(単数又は複数)及び線によって画定された外周内にある組織を除去することができる。この除去によって、組織から欠陥を取り除くことができ、潜在的にはその組織欠陥部位に隣接する最小限の量の健康な組織を一緒に取り除き、組織置換インプラントを受け入れる組織内の空洞を形成することができる。この形状の外周内にある組織は、当業者には認識されるように、任意の外科用ツール(キューレット、スクレーパー、書き込みツール50の遠位側書き込み先端58など)を使用して、例えばツールと除去する組織との間に垂直のエッジを形成することによる方法など、任意の方法で除去することができる。図16は、フラットエッジスクレーパー86を用いて、軟骨84に印付けられた円形82内にある組織を除去する、1つの実施形態を示す。図17は、吸引装置87を使用して、円82内から掻き出された余分な軟骨を手術部位から吸引して除去する様子を示す。これは、当業者には認識されるように、組織を真空又は吸引により除去するよう構成された任意の外科用装置であってよい。図18に示すように、軟骨84内に印付けられた形状の外周又は外縁によって画定された空洞90は、その形状内の組織を除去した後、軟骨84内に、軟骨84の下にある骨90のところまで、形成することができる。
【0060】
印付けられた形状内から、所望通りに組織を除去して空洞を形成した状態で、その空洞に送達して空洞内で固定するための組織置換インプラントを準備することができる。インプラントは従来、空洞の予測サイズよりも大きく(例えば、欠陥部位よりも大きいサイズに)生成され、外科手術中に、空洞にほぼ一致するサイズ及び形状にまで切断される。この方法において、インプラントは、準備された組織置換インプラントの一部から切り出すことができ、この組織置換インプラントには高濃度に沈積させた組織(従来、組織は、組織置換インプラントに対して様々な濃度で付着する)が含まれる。更に、例えば欠陥部位が事前の判断より大きかった場合、健康な組織が当初の意図よりも多く除去された場合など、外科手術中に形成された空洞のサイズが、予測よりもより大きいか又はより小さいことがある。よって、手術中にインプラントのサイズを切り出すことは、空洞の実際のサイズにインプラントのサイズを適合させ、空洞全体にぴったり合わせて充填するよう形成するのに役立ち得る。
【0061】
組織置換インプラントは、任意の様々な方法で、望むサイズにトリミングすることができる。例示的な一実施形態において、組織置換インプラントは、インプラントを受け入れる組織内に少なくとも1つの円を印付けるのに使用した書き込みツールを使用して、準備されたより大きなインプラントから切り出すことができる。図19に示す1つの実施形態において、図8Bのコンパス型書き込みツール10’は、準備された組織置換インプラント102に線100を切り込み、その書き込みツール10’が組織内で円形を印付けられるのと同様の方法で、円形を形成するのに使用されることができる。図20に示す別の実施形態において、図6の木材カッター型書き込みツール50は、準備された組織置換インプラント106に線104を切り込み、その書き込みツール50が組織内で円形を印付けられるのと同様の方法で、円形を形成することができる。空洞の形状の印付けとインプラントの切断に同じ書き込みツールを使用することが、空洞のサイズとインプラントのサイズとをほぼ一致させるのに役立ち得る。同じ個別の書き込みツールを使用して空洞の形状とインプラントとを形成することができるが、空洞の形状を切るのに使用した書き込みツールと同じ既定の直径の円を切り込むよう構成された、別ではあるが同様に構成された書き込みツール(例えばパンチ)を使用することもできることが、当業者には認識されるであろう。別ではあるが同様に構成された書き込みツールを使用することで、同じ書き込みツールを使用する場合よりもより清潔かつ迅速に行うことができるが、ただし、サイズ誤差の確率は、組織とインプラントとに同じ装置を使用した方が低減され得る。
【0062】
別の例示的な実施形態において、望ましいサイズの組織置換インプラントの切断を支援するためにテンプレートツールを使用することができる。このテンプレートツールは、様々な構成を有することができ、インプラントのサイズを調整するために様々な方法で使用することができる。インプラントの切断を支援するためにテンプレートツールを使用する前に、組織内の欠陥部位で形成された空洞のサイズを測定することができる。図21に示す1つの実施形態において、組織118内に何らかの方法で切断された空洞110は、測定装置112を使用して測定し、空洞110のサイズを判定することができる。測定装置112は、患者の体内で少なくとも2点の間の距離を測定するよう構成することができ、例えば、導入装置114を通して患者体内に導入するよう構成された、目盛り116を有する細長いシャフトであり得る。空洞110は、空洞110の長軸M1に沿った第一方向で測定して空洞110の長さを判定し、かつ/又は空洞110の短軸M2に沿った第二方向で測定して空洞110の幅を判定することができる。ただし、短軸M2に沿った空洞110の長さは、例えば、空洞110の相対する末端部が、例えば既定の半径を有する円を切断するよう構成された遠位側書き込み先端を含む書き込みツール(例えば書き込みツール10、10’、50のうち任意のもの)を使用して形成された場合には、空洞110の形成前に既に定まっていることが可能である。更に空洞110が、図21に示すような卵形ではなく、円形の場合、(空洞の半径は既定の値として既知であるため、このような測定が行われないかぎり)長軸及び短軸M1、M2は同一であり、1つの直径又は1つの半径測定で判定される長さとなることが、当業者には認識されるであろう。また、空洞110の測定は、精密又は近似であり得ることが、当業者には認識されるであろう。空洞110の長さ及び幅を知ることにより、又は単にその直径若しくは半径を知ることにより、組織置換インプラントを、その空洞110のサイズ及び形状にほぼ一致したサイズ及び形状に切り出すことができる。
【0063】
組織置換インプラントのサイズ調整に役立つテンプレートツールを使用した例示的な一実施形態において、テンプレートツールは、少なくとも1つの調整可能な開口部がある調整可能テンプレートツールを有する。図22及び23の1つの実施形態に示すように、調整可能テンプレートツール120には、複数の調整可能な開口部126a、126b、126c、126dを画定するよう構成された第一及び第二可動部材122、124が含まれ得る。第一、第二、第三及び第四開口部126a、126b、126c、126dが図示されているが、テンプレートツール120には、任意の数の調整可能な開口部が含まれ得る。第一及び第二の可動部分122、124は、第一及び第二の可動部分122、124の両方とも可動にすることによって互いに対して可動になるよう構成することができるが、ただし、第一及び第二の可動部分122、124のうち一方だけが可動であり、第一及び第二の可動部分122、124のうち残る一方は静止のままであるように構成され得ることが、当業者には認識されるであろう。
【0064】
この図示された実施形態において、第二の可動部分124は、第一の可動部分122に対して直線的にスライド可能に可動であり得る。第二の可動部分124は、例えば、第一及び第二の可動部分122、124を接続する結合ロッド128a、128bに沿って、第一可動部分122の面と平行な面上又は同一平面上でスライド可能とすることにより、任意の方法で直線的にスライド可能に可動であってよい。テンプレートツール120は、図22では延伸していない位置で示されており、開口部126a、126b、126c、126dのそれぞれが円形を有している。第一及び第二の可動部分122、124を互いに対して動かすことにより、テンプレートツール120は、延伸していない位置から、図23に示す延伸した位置に移行し、このとき開口部126a、126b、126c、126dはそれぞれ楕円形を有している。開口部126a、126b、126c、126dは、この実施形態の図に示すようにサイズを同時に調整することができ、又は、開口部126a、126b、126c、126dのうち任意の1つ以上のものを、個別に、又は他の開口部126a、126b、126c、126dのうち任意の個数のものと同時に、調整することができることが、当業者には認識されるであろう。
【0065】
テンプレートツール120は、様々な短軸長さを有する様々な開口部(例えば、様々な既定半径を有する書き込みツールを使用して作製した開口部)のサイズに構成することができる。図示されている実施形態において、テンプレートツール120が延伸していない位置にあるとき、各開口部126a、126b、126c、126dはそれぞれ異なる半径ra、rb、rc、rdを有する円形であり得る。第二の可動部分124を第一の可動部分122から任意の距離に直線的に離す方向にスライドさせ、テンプレートツール120を延伸した位置に移行させることにより、各開口部126a、126b、126c、126dのサイズは、各開口部126a、126b、126c、126dの短軸長さを一定にしたままで大きくすることができる(例えば、楕円形状の相対する末端部に既定の曲率半径を有し、各開口部126a、126b、126c、126dの長軸長さを増加させることによって)。このようにして、第二開口部126bを非限定的な例にとると、第二開口部126bの長さlb1は、円半径rbの2倍に等しく、これは第二開口部126bが延伸していない位置にあるときの円形から延伸した位置にあるときの楕円形に形状を変えることによって、延伸した長さlb2に増加し得る。
【0066】
テンプレートツール120は、所望によりサイズ識別子130を含むことができ、これは延伸していない位置における各開口部126a、126b、126c、126dの半径を識別し、かつ、したがって各開口部126a、126b、126c、126dの短軸長さも識別するよう構成することができる。様々なサイズを表わすサイズ識別子130は、テンプレートツール120上に印刷、浮き出し、又はその他の目に見えるアルファベット文字として図に示されているが、このサイズ識別子130は、任意の大きさ、形状、及び構成を有することができ、例えば色又はアルファベット文字、数字、及び記号文字の任意の組み合わせにすることができることが、当業者には認識されるであろう。
【0067】
テンプレートツール120は更に、所望により、開口部126a、126b、126c、126dの長軸長さ(例えば延伸した長さlb2)を識別するよう構成されたサイズ又は定規目盛132を含むことができる。定規目盛132は任意のサイズ、形状、及び構成を有することができ、例えば図示のように約1mm間隔の刻み目にすることができる。定規目盛132は、第一及び第二開口部126a、126bの間にある第一可動部分122の細長いバー134上にのみ示されているが、任意の開口部126a、126b、126c、126dを区分している任意の細長いバー134、並びに/又は第一及び/若しくは第二可動部分122、124の他の任意の部分に、定規目盛を含め得ることが、当業者には認識されるであろう。バー134の長手方向の長さは、図23に示すように、テンプレートツール120が完全に延伸した位置にあるときの、各開口部126a、126b、126c、126dの最大の長軸の長さを定めてもよい。
【0068】
使用中、テンプレートツール120は楕円形の開口部を供給でき、これを使用して望ましいサイズの組織スカフォールドを生成することができる。非限定的な実施形態として、図15に示すように、短軸長さとしてr7の2倍を有する楕円形が組織内に作製され、組織を除去されて、組織内に楕円形の空洞が形成された場合、この楕円形の長軸長さは、例えば図21の測定装置112を使用して、測定することができる。テンプレートツール120の第一及び第二部分を動かしてよく、延伸していない位置において半径r7に等しい半径を有する開口部126a、126b、126c、126dのうちの1つが、延伸位置において、欠陥部位80に形成された空洞の長軸長さに等しい長軸長さを有する楕円形開口部を定めるようにする。図24の例示的な一実施形態に示すように、準備された組織スカフォールド136は、テンプレートツール120の下の、望ましいようにサイズ調整された開口部の下に少なくとも配置することができる(この実施形態では第二開口部126bの下)。高濃度に沈積させた組織を有する、準備された組織スカフォールド136の部分を、この第二開口部126bの下に配置することにより、組織再生を支援するためのインプラント内の組織の量を最大化することに役立ち得る。当業者には認識されるように、望ましいサイズに調整したスカフォールドは、第二開口部126bをテンプレートとして使用し、準備された組織スカフォールド136から任意の方法で切り出すことができ、例えば、書き込み装置を使用して第二開口部126bの外周に沿ってスカフォールド136を切り出すこと、又は、開口部126bを使ってスカフォールドに印を付け、テンプレートツール120を外してから切り出すことによって行える。
【0069】
所望により、スカフォールド136はテンプレートツール120と、図23に示すテンプレートツール120と同様の第二のテンプレートツールとの間に配置又は挟み込むことができ、これにより、スカフォールド136の切断準備又は切断をより容易かつ迅速なプロセスにするのに役立つ。2つのテンプレートツールは互いに独立であってよく、又は2つのテンプレートツールは、例えば、ツールの間に或る間隔をおいて第一及び第二可動部分を互いに接合することによって互いに接合されてもよく、スカフォールドをその間隔内に配置することができる。テンプレートツールは、互いに固定して接合されていてよく、また、例えばツール面に対して垂直向きの整合ピンを使用することにより、取り外し可能に接合されていてもよい。接合されているとき、ツールの可動部分は一緒に動くことができる。
【0070】
テンプレートツールを使って組織置換インプラントのサイズ調整を適切に行うのを支援する別の例示的な実施形態において、テンプレートツールは、柔軟な透明フィルムの形態であり得る。一般に、柔軟な透明フィルムは、空洞のサイズ調整を支援するため、インプラントを受け入れる組織空洞に隣接して、患者の体内に導入されるよう構成することができる。このフィルムは透明であるため、空洞の上に配置し、フィルムを通し、フィルムに対する空洞のサイズを見るのに役立てることができる。フィルムは患者の身体から取り出し、見えた空洞のサイズに合わせてトリミングし、これを型紙として使用することにより組織置換スカフォールドを望ましいサイズに切り出すことができる。当業者には認識されるように、本明細書で使用される用語「透明」とは、光学的に透過性の材質及び半透明の材質を含む、1つ以上の透き通った材質の任意の組み合わせを含むことを意図している。フィルムは1つ以上の色を有していてよく、例示的な一実施形態においては、患者の体内で容易に見ることができるような青又は緑などの目立つ色の材質で形成されている。フィルムの形成には任意の柔軟な材質を使用することができるが、例示的な一実施形態において、この材質は生体適合性であり、かつ、フィルムに圧力がかかってもフィルムが実質的に変形しないような柔順なものであり得る(例えば、フィルムが巻かれた状態の後、又は下記で詳しく検討するように圧力がかかった後に、元の平面形状に実質的に戻るか、又は「回復する(spring)」)。生体適合性かつ柔順な材質の、非限定的な1つの例が、サビック・イノベーティブ・プラスチックス(SABIC Innovative Plastics)(マサチューセッツ州ピッツフィールド)から販売されているアルテム(Ultem)(商標)である。このフィルムは、患者の体内にフィルムを導入できかつ体内でフィルムを操作できるように構成された任意の厚さ、例えば約0.127mm(約0.005インチ)を有することができる。
【0071】
図25の1つの実施形態に示すように、柔軟な透明フィルム140には、患者の体内に少なくとも一部分を導入させるよう構成された平面シートが含まれ得る。このフィルム140には、少なくとも1つの既定形状142が含まれ、この形状142はそれぞれ、フィルムシート140から取り外せるような構成にすることができる。形状142は、当業者には認識されるように、様々な方法でフィルム140から取り外し可能にすることができ、例えば図に示すように、フィルム140から形状142を打ち抜けるように構成された刻み目付きの外縁を有する方法、又は、形状142を切り取る書き込み装置用のガイドとして利用できるよう構成されている外周の輪郭を用意しておく方法がある。形状142がフィルム140から取り外されたとき、形状142は静置した状態で平面形状を維持することができる。フィルム140には9つの形状142が含まれているが、フィルム142は任意の数の形状を含むことができることは、当業者には認識されるであろう。また、形状142はそれぞれ、その他の形状142のうち任意の1つ以上と同じ又は異なる幾何学的形態(例えば円、楕円、矩形、三角形など)を有することができることも、当業者には認識されるであろう。形状142はそれぞれ、形状142に関連付けられた形状及び/又はサイズを識別するよう構成されたラベル144を含むことができ、これにより、組織内に形成された所与の空洞に対するテンプレートを形成するために、どの形状142を選ぶべきかを判定するのに役立ち得る。ラベル144は、フィルム140上に印刷、浮き出し、又はその他の目に見えるアルファベット文字として図に示されているが、当業者には認識されるように、このラベル144は、任意の大きさ、形状、及び構成を有することができ、例えば色又はアルファベット文字、数字、及び記号文字の任意の組み合わせにすることができる。
【0072】
図25Aに図示されている別の実施形態において、柔軟な透明フィルム140’は、フィルム140’上に印刷、浮き出し、又はその他の目に見えるグリッド線141を有する平面シートを含むことができ、これにより望む形状及びサイズを有する形状をフィルム140’から切り取ることができる。グリッド線141は、フィルム140’から特定のサイズを有する形状を切り取ることができるよう構成され、例えばグラフ用紙と同様、図示のように約1mm間隔の垂直及び水平線などの、均一間隔にすることができる。グリッド線141は更に、下記で詳しく検討するように、フィルム140’に対して空洞を見る際、及び望むサイズにフィルム140’をトリミングする際の助けになるよう、少なくとも1つの参照点を提供することにより、組織空洞のサイズを見積もるのに役立てることができる。フィルム140’は、当業者には認識されるように、例えば書き込み装置の鋭いエッジを使用するなど、任意の方法で切り取ることができる。フィルム140’からフリーハンド形式で形状を切り取ることができるようにすることにより、フィルム140’は、より広い範囲のサイズ及び形状の選択肢を提供することができる。
【0073】
下記で詳しく検討するように、2枚以上の柔軟な透明フィルム、例えばフィルム140及び/又はフィルム140’を、キットの一部として供給することにより、大量にフィルムトリミングを行う必要なしに、組織空洞のサイズにぴったり適合し得るフィルム形状が確実に得られるように役立てることができる。
【0074】
使用中、図26の1つの実施形態に示すように、柔軟な透明フィルム142Dが、患者の体内の軟骨146に形成された空洞部位148(ここに組織スカフォールドが埋め込まれる)に導入され得る。この図示されている実施形態において、フィルム142Dには、図25のフィルムシート140から取り外された矩形142Dが含まれ、このフィルム142Dには、フィルム140から打ち抜かれた形状142のうちいずれか1つ、グリッド線のあるフィルム140’から切り取られた形状、又は任意の他の柔軟な透明フィルムが含まれ得る。加えて、図示されている空洞148は円形であるが、フィルム142Dは任意の形状を有する空洞と関連して使用することができる。例示的な一実施形態において、空洞148は、上述の書き込みツールを使用して形成することができるが、ただしフィルム142Dは、当該技術分野において既知又は本明細書に開示されている任意の方法で形成された空洞と関連して使用することができる。
【0075】
フィルム142Dは、当業者には認識されるように、任意の方法で患者の体内に導入することができる。図26及び27に図示されている1つの実施形態において、フィルム142Dは、把持器150によって保持され、導入装置152の通路152pを通って前進させることができ、又は空洞148の部位に向かって、組織の開口部から直接前進させることができる。当業者には認識されるように、本明細書で使用される用語「把持器」とは、例えばピンセット、開創器、移動可能なつかみ具、磁石、接着剤などの、フィルム及び/又は他の要素を把持及び/又はこれに装着するよう構成され、これによりフィルム及び/又は他の要素を操作できるよう構成された任意の外科用装置を含むことを意図している。上述のように、フィルム142Dは平面形状を有し得るが、図26に示すように、通路152pを通して送達するために、折り畳んだ形状に移行させることができる。このようにして、フィルム142Dは幅wIを有する通路を前進することができ、この幅は、フィルム形状の長さlD及び幅wDのいずれか一方(例示的な一実施形態においては両方とも)、すなわち最大長さよりも小さい(図25を参照)。折り畳まれた形状のフィルム142Dは、当業者には認識されるように、図示のようにU字形の断面を有するよう丸めることができ、又は、例えば円筒形に丸める、折り曲げる、圧縮するなどの他の任意の方法で折り畳むことができる。
【0076】
フィルム142Dが通路152pの遠位端152aを越えて遠位方向に前進されるとき、図27に示すように、フィルム142Dは折り畳まれた形状から元の平面形状に戻ることができる。当業者には認識されるように、フィルム142Dが、通路の遠位端152aを越えて遠位方向に前進されるときに、フィルム142Dは折り畳まれた形状から平面形状に移行することができる。フィルム142Dは、フィルム142Dが折り畳まれた形状から平面形状へと自動的に移行するような材質で形成することができるが、所望により、少なくとも1つの把持器を用いて、フィルム142Dを把持し、広げるのを手助けすることができる。フィルム142Dが導入装置152の外に前進され平面形状になった状態で、フィルム152Dは、図27に示すように、空洞148の上に配置することができる。フィルム152Dが平面になった状態で、フィルム142Dの下に配置されている空洞148を、フィルム142Dを通して見ることにより(例えば、患者の体外の視覚化画面上で見るなど)、フィルム142Dに対する空洞148のサイズをより正確に見積もることができる。フィルム142Dに対する空洞148の外形は記憶することができ、かつ/又は、当業者には認識されるように、フィルム142Dには任意の方法で物理的に印を付けることができ、これにより空洞148のサイズ及び形状にほぼ一致したサイズ及び形状にフィルム142Dを切り取るのに役立つ。
【0077】
フィルム142Dは、空洞148と視覚的に比較したサイズ及び形状からトリミングを行い、これによりフィルム142Dのサイズ及び形状が、空洞148のサイズ及び形状によりぴったり一致するようにすることができる。例示的な一実施形態において、フィルム142Dは、患者の体内から取り出してから、フィルム142Dのトリミングを行うことができる。空洞148を目で見たサイズ及び形状に合わせて、フィルム142Dを患者の体外でトリミングすることにより、軟骨146又はその他の患者の一部を誤って傷つけるのを防ぐのに役立ち、より広い作業スペースが得られ、フィルム142Dの切り取りにおける正確さと視認性の向上に役立ち得る。しかしながら、フィルム142Dは、患者の体内及び/又は体外で、空洞148に合うよう望ましいサイズ及び形状にトリミングすることができる。フィルム142Dは、当業者には認識されるように、例えば把持器150によって保持し、導入装置152の通路152pを通して近位側に引っ張ることによるなど、任意の方法で患者の体内から取り出すことができる。フィルム142Dは、通路152p内へと近位側に引っ張られる際に、折り畳み位置から平面位置へと移行するよう構成可能な方法と同様の方法で、平面位置から折り畳み位置へと移行するよう構成することができ、更に所望により把持器が、フィルム142Dを平面形状から折り畳み形状に移行するのを支援することができる。フィルム142Dは、図28に示す1つの実施形態に図示されているように、任意の方法でトリミングすることができ、例えば切断装置154を使用してフィルム142Dの線156を切断できることが、当業者には認識されるであろう。この実施形態における線156は円を形成しているため、フィルム142Dは、空洞148の記憶されたサイズ及び形状並びに/又は空洞148の物理的に印付けられたサイズ及び形状に近づくように、トリミングすることができる。
【0078】
図29に示す1つの実施形態において、フィルム142Dのトリミングされた部分142D’を患者の体内に導入して、そのトリミングされたフィルム142D’を空洞のサイズ及び形状と比較することができる。例示的な一実施形態において、トリミングされたフィルム142D’は、導入装置152及び把持器150を使用してフィルム142Dを導入するのと同じ方法で、患者の体内に導入できるが、トリミングされたフィルム142D’は任意の方法で患者の体内に挿入することができ、例えば把持器を使用して組織を通して直接挿入することができることが、当業者には認識されるであろう。トリミングされたフィルム142D’は、空洞148の上に配置して、そのトリミングされたフィルム142’のサイズ及び形状が空洞のサイズ及び形状にほぼ一致しているかどうか判定することができる。図29に示すように、空洞及びトリミングされたフィルムのサイズ及び形状がほぼ一致したら、そのトリミングされたフィルム142D’を任意の方法で体外に取り出し、これをテンプレートとして使用して、空洞148内に配置するための組織スカフォールドを切り出すことができる。空洞及びトリミングされたフィルムのサイズ及び形状が実質的に一致しない場合、そのトリミングされたフィルム142D’は、上記での検討と同様に、空洞148と比較し、体内及び/又は体外で再びトリミングを行うことができる。このような比較及びトリミングは、空洞のサイズ及び形状に実質的に一致したサイズ及び形状を有するフィルムを作製するまで、必要に応じて何度でも繰り返すことができる。フィルム142Dをトリミングしすぎて、空洞148のサイズ及び形状に使用できないほど小さくなった場合は、そのトリミングされたフィルム142D’は廃棄して、新しい柔軟な透明フィルム(例えばフィルム140の形状142のうち別の1つ)を使用し、フィルムテンプレートを作製するプロセスをもう一度開始することができる。
【0079】
フィルム142Dが望ましいサイズ及び形状にトリミングされた後(トリミングが行われた場合)、図30の例示的な一実施形態に図示されているように、準備した組織スカフォールド158をそのトリミングされたフィルム142D’の下に配置することができる。高濃度に沈積させた組織を有する、準備された組織スカフォールド158の部分を、トリミングされたフィルム142D’の下に配置することにより、組織再生を支援するためにインプラント内で使用できる組織の量を最大化することに役立ち得る。当業者には認識されるように、トリミングされたフィルム142D’をテンプレートとして使用し、準備された組織スカフォールド158から任意の方法で、好ましいサイズに調整されたスカフォールドを切り出すことができ、この方法には例えば、切断装置160を使用して、トリミングされたフィルム142D’の外周に沿ってスカフォールド158を切り出すことが挙げられる。
【0080】
組織置換インプラントを望ましいサイズに切り出す方法に関わらず、インプラントは、当業者によって認識されるように、任意の方法で、組織内に形成された空洞に送達及び接着することができる。組織置換インプラントを組織に送達及び固定するための方法及び装置の非限定的な実施形態は、米国特許出願番号第[]号「組織スカフォールドの送達及び接着(Methods And Devices For Delivering And Affixing Tissue Scaffolds)」[代理人整理番号第22956−872(MIT5114USNP)号](本書と同一日付で出願)に見出すことができ、この全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0081】
本明細書で検討された装置は、剛性及び/又は柔軟材質の任意の組み合わせで製造することができるが、例示的な一実施形態において、材質は生体適合性である。本明細書で使用される用語「柔軟」及び「剛性」とは、様々な形状を包含するよう意図されていることが、当業者には認識されるであろう。一般に「柔軟」な部品は、ある程度の弾性(例えば破断することなしに曲げることができる性質)を有し、「剛性」の部品には弾性が欠如している。例示的な一実施形態において、装置、又は少なくともその一部分は、少なくとも1つの生体適合性かつ柔軟な材質(例えばプラスチック、チタン、ステンレススチールなど)から構成されている。
【0082】
本発明は、従来の内視鏡装置及び開放手術装置における用途、並びにロボット支援手術における用途があることが、当業者には認識されるであろう。
【0083】
本明細書に記載されている装置は、1回の使用の後に廃棄されるように設計することができ、又は、これらは複数回使用されるように設計することができる。ただし、いずれの場合も、装置は、少なくとも1回の使用後に再使用のため再調整することができる。再調整は、装置の解体工程、これに続く特定部品の洗浄工程又は交換工程、及びその後の再組立工程の、任意の組み合わせを含むことができる。特に、装置は分解することができ、装置の任意の数の特定の個片又は部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は除去することができる。特定の部品を洗浄及び/又は交換すると、装置は、再調整設備において、或いは外科的処置の直前に手術チームによって、後で使用するために再組立てすることができる。当業者であれば、装置の再調整は、分解、洗浄/交換、及び再組立ての様々な技術を利用できることを認識するであろう。そのような技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置はすべて、本出願の範囲内にある。
【0084】
当業者であれば、上記に述べた実施形態に基づく本発明の更なる特徴及び利点は認識されるであろう。したがって、本発明は、付属の特許請求の範囲において示される場合は例外として、具体的に図示、記載されたものに限定されるものではない。本明細書中に引用される刊行物及び参考文献はすべて、それらの全容を本明細書に特に組み込むものである。
【0085】
当業者であれば、上記に述べた実施形態に基づく本発明の更なる特徴及び利点が認識されるであろう。したがって、本発明は、付属の特許請求の範囲において示される場合は例外として、具体的に図示、記載されたものに限定されるものではない。本明細書中に引用される刊行物及び参考文献はすべて、それらの全容を本明細書に特に組み込むものである。
【0086】
〔実施態様〕
(1) ハンドルと、該ハンドルから延びる細長いシャフトと、該細長いシャフトの遠位端に形成された書き込みエレメントと、を有する書き込み装置であって、該書き込みエレメントが、該細長いシャフトの長手方向軸からずれた軸に沿って延び、該書き込みエレメントには、カーブしている最も遠位の書き込みエッジがあり、該書き込み装置が該細長いシャフトの該長手方向軸を中心に回転すると、該書き込みエッジが効果的に、組織内に円形の印を形成する、書き込み装置と、
組織内の欠陥部位に埋め込まれるよう構成された生体適合性組織修復スカフォールドと、を含む、組織修復キット。
(2) 患者の体内に外科用装置を前進させ、組織の欠陥部位に該装置の遠位側書き込み先端を配置することと、
該外科用装置の中央の長手方向軸を中心に該外科用装置を回転させることにより、該遠位側書き込み先端が回転して該欠陥部位の周囲の組織内に円形の印を形成することと、
該円形の印の内部の組織を除去することにより、該組織内に円形の空洞を形成することと、
該組織内に形成された該円形の印に対応する円形形状を有する生体適合性組織修復スカフォールドを切り出すことと、
該生体適合性組織修復スカフォールドを該組織の該円形の空洞内に埋め込むことと、を含む、外科的方法。
(3) 前記外科用装置が、組織の開口部を通って挿入され、かつ、前記円形の印が、該開口部の直径よりも大きい直径を有する、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記生体適合性組織修復スカフォールドの切り出しが、前記組織内に形成された前記円形の印の直径に対応する直径を有するパンチを用いて、該スカフォールドを打ち抜くことを含む、実施態様2に記載の方法。
(5) 前記円形の印が、約5〜40mmの範囲の直径を有する、実施態様2に記載の方法。
【0087】
(6) 前記生体適合性組織修復スカフォールドが、その上に生存性組織を配置されて有している、実施態様2に記載の方法。
(7) 前記外科用装置の回転には、前記組織の下にある骨に噛み合う内側部材に対し、外側部材上に形成された前記遠位側書き込み先端を有する該外側部材を回転させることが含まれる、実施態様2に記載の方法。
(8) 書き込み装置の長手方向軸を中心に該書き込み装置を回転させて、欠陥部位の組織に実質的に円形の第一の印を形成することと、
該書き込み装置の長手方向軸を中心に該書き込み装置を回転させて、該欠陥部位の該組織に実質的に円形の第二の印を形成し、該実質的に円形の第二の印が、該実質的に円形の第一の印に部分的に重なっていることと、
該実質的に円形の第一及び第二の印の内部にある組織を除去することにより該組織内の欠陥を除去することと、を含む、外科的方法。
(9) 少なくとも1本の直線の印を前記組織内に形成することを更に含み、該少なくとも1本の直線の印が、前記実質的に円形の第一の印の外縁と前記実質的に円形の第二の印の外縁との間に延びている、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記組織内に第一及び第二の直線の印を形成することを更に含み、各直線の印は、前記実質的に円形の第一及び第二の印に対する接線であり、これにより、該実質的に円形の第一及び第二の印と、該第一及び第二の直線の印とが、該組織内に楕円形の印を形成する、実施態様8に記載の方法。
【0088】
(11) 前記実質的に円形の第一及び第二の印の内部にある組織を除去して該組織内に空洞を形成することと、該組織内の該空洞に生体適合性組織修復スカフォールドを埋め込むこととを更に含む、実施態様8に記載の方法。
(12) 前記生体適合性組織修復スカフォールドを埋め込む前に、前記組織内に形成された前記実質的に円形の第一及び第二の印の最大長さを測定することと、該組織内の前記空洞のサイズ及び形状に対応したサイズ及び形状を有する該生体適合性組織修復スカフォールドを切り出すこととを更に含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記実質的に円形の第一の印が、前記実質的に円形の第二の印の直径とは異なる直径を有する、実施態様8に記載の方法。
(14) 第一の書き込み装置を使用して前記実質的に円形の第一の印を形成し、第二の書き込み装置を使用して前記実質的に円形の第二の印を形成する、実施態様8に記載の方法。
(15) 既定の直径を有する円形の印を組織内に形成するよう構成された書き込みツールと、
互いにスライド可能に結合された第一及び第二部分を有する切断テンプレート装置であって、該第一及び第二部分は、第一位置を有し、該第一位置において該第一及び第二部分は、それらの間に形成されかつ該既定の直径に対応する直径を有する円形の切り抜き部を画定し、該第一及び第二部分は、延伸した位置を有し、該延伸した位置において該第一及び第二部分は、それらの間に形成されかつ調整可能な長軸長さを有する楕円形の切り抜き部を画定する、切断テンプレート装置と、を含む、組織修復キット。
【0089】
(16) 前記第一位置における前記第一及び第二部分が、それらの間に形成される複数の円形の切り抜き部を画定し、該複数の円形の切り抜き部それぞれが、異なる直径を有する、実施態様15に記載のキット。
(17) 複数の書き込みツールを更に含み、該複数の書き込みツールがそれぞれ、前記複数の円形の切り抜き部の前記直径のうちの1つに対応した既定の直径を有する円形の印を組織内に形成するよう構成されている、実施態様16に記載のキット。
(18) 前記延伸した位置における前記第一及び第二部分が、それらの間に形成される複数の楕円形の切り抜き部を画定し、該複数の楕円形の切り抜き部それぞれが、調整可能な長軸長さを有する、実施態様15に記載のキット。
(19) 組織内に形成された楕円形の切断部の長さを測定することと、
テンプレートツールの第一及び第二部分をスライド可能に移動させて、該組織に形成された該楕円形の切断部の測定長さに対応した長さを有する切り抜き部を、該第一部分と該第二部分との間に形成することと、
該切り抜き部を使用して、該組織内に形成された該楕円形の切断部に対応するサイズ及び形状を有する組織修復スカフォールドを形成することと、を含む、外科的方法。
(20) 既定の直径を有する円形の切断部を組織内に形成するよう構成された書き込みツールを使用して、組織内に形成された楕円形の切断部を書き込むことを更に含む、実施態様19に記載の方法。
【0090】
(21) テンプレートツールの第一及び第二部分をスライド可能に移動させることに、前記既定の直径に等しい直径を有する第一形状を画定する第一の位置から、前記組織内に形成された前記楕円形の切断部の測定された長さに対応する長さを有する第二形状を画定する延伸された位置へと、該第一及び第二部分を動かすことが含まれる、実施態様20に記載の方法。
(22) 前記組織の前記楕円形の切断部に、前記組織修復スカフォールドを埋め込むことを更に含む、実施態様19に記載の方法。
(23) 組織内を通って体の空洞内に延びる通路を通して透明なフィルムを前進させることであって、該フィルムは該通路内に配置されているときに折り畳み形状を有し、該通路を通り抜けて該体の空洞内に入るときに平面形状に開く、前進させることと、
該フィルムを該体の空洞内にある組織表面の欠陥の上に配置することと、
該フィルムの形状を該欠陥の形状と比較することと、
該フィルムを患者から取り出すことと、
該欠陥の該形状に実質的に対応する形状を有するよう該フィルムを切り抜くことと、
切り抜いた該フィルム形状をテンプレートとして使用して組織修復スカフォールドを切り出し、これにより該組織修復スカフォールドが該欠陥の該形状に実質的に対応する形状を有するようにすることと、を含む、外科的方法。
(24) 通路を通して透明フィルムを前進させる前に、既定のさまざまな形状を有する複数の透明フィルムのうちの1つから透明フィルムを選択することを更に含む、実施態様23に記載の方法。
(25) 組織修復スカフォールドを切り出すためにテンプレートとして前記切り抜いたフィルム形状を使用する前に、前進、配置、比較、取り出し、及び切り抜きの手順を繰り返すことを更に含む、実施態様23に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルと、該ハンドルから延びる細長いシャフトと、該細長いシャフトの遠位端に形成された書き込みエレメントと、を有する書き込み装置であって、該書き込みエレメントが、該細長いシャフトの長手方向軸からずれた軸に沿って延び、該書き込みエレメントには、カーブしている最も遠位の書き込みエッジがあり、該書き込み装置が該細長いシャフトの該長手方向軸を中心に回転すると、該書き込みエッジが効果的に、組織内に円形の印を形成する、書き込み装置と、
組織内の欠陥部位に埋め込まれるよう構成された生体適合性組織修復スカフォールドと、を含む、組織修復キット。
【請求項2】
既定の直径を有する円形の印を組織内に形成するよう構成された書き込みツールと、
互いにスライド可能に結合された第一及び第二部分を有する切断テンプレート装置であって、該第一及び第二部分は、第一位置を有し、該第一位置において該第一及び第二部分は、それらの間に形成されかつ該既定の直径に対応する直径を有する円形の切り抜き部を画定し、該第一及び第二部分は、延伸した位置を有し、該延伸した位置において該第一及び第二部分は、それらの間に形成されかつ調整可能な長軸長さを有する楕円形の切り抜き部を画定する、切断テンプレート装置と、を含む、組織修復キット。
【請求項3】
前記第一位置における前記第一及び第二部分が、それらの間に形成される複数の円形の切り抜き部を画定し、該複数の円形の切り抜き部それぞれが、異なる直径を有する、請求項2に記載のキット。
【請求項4】
複数の書き込みツールを更に含み、該複数の書き込みツールがそれぞれ、前記複数の円形の切り抜き部の前記直径のうちの1つに対応した既定の直径を有する円形の印を組織内に形成するよう構成されている、請求項3に記載のキット。
【請求項5】
前記延伸した位置における前記第一及び第二部分が、それらの間に形成される複数の楕円形の切り抜き部を画定し、該複数の楕円形の切り抜き部それぞれが、調整可能な長軸長さを有する、請求項2に記載のキット。
【請求項1】
ハンドルと、該ハンドルから延びる細長いシャフトと、該細長いシャフトの遠位端に形成された書き込みエレメントと、を有する書き込み装置であって、該書き込みエレメントが、該細長いシャフトの長手方向軸からずれた軸に沿って延び、該書き込みエレメントには、カーブしている最も遠位の書き込みエッジがあり、該書き込み装置が該細長いシャフトの該長手方向軸を中心に回転すると、該書き込みエッジが効果的に、組織内に円形の印を形成する、書き込み装置と、
組織内の欠陥部位に埋め込まれるよう構成された生体適合性組織修復スカフォールドと、を含む、組織修復キット。
【請求項2】
既定の直径を有する円形の印を組織内に形成するよう構成された書き込みツールと、
互いにスライド可能に結合された第一及び第二部分を有する切断テンプレート装置であって、該第一及び第二部分は、第一位置を有し、該第一位置において該第一及び第二部分は、それらの間に形成されかつ該既定の直径に対応する直径を有する円形の切り抜き部を画定し、該第一及び第二部分は、延伸した位置を有し、該延伸した位置において該第一及び第二部分は、それらの間に形成されかつ調整可能な長軸長さを有する楕円形の切り抜き部を画定する、切断テンプレート装置と、を含む、組織修復キット。
【請求項3】
前記第一位置における前記第一及び第二部分が、それらの間に形成される複数の円形の切り抜き部を画定し、該複数の円形の切り抜き部それぞれが、異なる直径を有する、請求項2に記載のキット。
【請求項4】
複数の書き込みツールを更に含み、該複数の書き込みツールがそれぞれ、前記複数の円形の切り抜き部の前記直径のうちの1つに対応した既定の直径を有する円形の印を組織内に形成するよう構成されている、請求項3に記載のキット。
【請求項5】
前記延伸した位置における前記第一及び第二部分が、それらの間に形成される複数の楕円形の切り抜き部を画定し、該複数の楕円形の切り抜き部それぞれが、調整可能な長軸長さを有する、請求項2に記載のキット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図25A】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図25A】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2010−227577(P2010−227577A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−71684(P2010−71684)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(507083478)デピュイ・ミテック・インコーポレイテッド (47)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Mitek,Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive,Raynham,Massachusetts 02767 United States of America
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71684(P2010−71684)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(507083478)デピュイ・ミテック・インコーポレイテッド (47)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Mitek,Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive,Raynham,Massachusetts 02767 United States of America
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]