説明

組織性質を改善する亜鉛レベルの調節

亜鉛イオンの形態において、改質に有効な亜鉛の量を提供することによって組織の特質を変える方法。これは、塩などの一種又は二種以上の亜鉛含有成分から成る局所組成物及び/又は特に亜鉛酢酸塩などの他の亜鉛化合物又は複合体を用いることによって達成される。組織の性質を変えることは、脂肪組織の増加又は減少、表皮厚の増加又は減少、エラスチン含有量の増加及び歯茎の退行又は衰退の予防又は治療を含んでいる。また、亜鉛イオンの放出を通して眼の水晶体のエラスチン含有量を増加させることによって、視力を改善する亜鉛含有原料でコートされているコンタクトレンズが提供されることを開示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2002年10月25日に「亜鉛を用いた移植可能な医療器具」と題して出願された米国仮特許出願60/421,278、及び、2002年10月25日「組織性質を改善する亜鉛レベルの調節」と題して出願された米国仮特許出願60/421,336の優先事項を主張している。本出願は、又、これと共に同じ日に同じ発明者によって出願された「亜鉛を用いた移植可能な薬剤器具」と題する米国非仮出願にも関連している(代理人名簿020154−001210US)。前記の全ての出願の全内容は、本契約によって、この文書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
本発明は、薬学及びコスメシューティカルの目的のための亜鉛含有組成物に関連している。
【0003】
亜鉛は、人間の健康及び栄養における最も重要な微量要素であり、多くの細胞内タンパク質の機能において重大な役割を担っている。亜鉛は、遺伝子発現及び核酸代謝にとって重大であり、細胞内増殖及び分化における重要性の一部の原因となっている。最近の発明者達は、亜鉛は実際調節的役割を担っていると示している。亜鉛は、酵素の広範囲の触媒部位において効果的に利用されているリガンド結合性質を有している。更に、生物学的膜[Tang et al., (2001) J Nutr 131:1414-14200]、細胞受容体、及びタンパク質(例えば、転写因子及びDNA複製に組み込まれているタンパク質)内で多くの構造的役割を持つ。亜鉛は、上皮増殖因子(EGF)刺激細胞内情報伝達に対する効果を示し[Wu et al., (1999) Am J Physiol 277:L924-L931]、多くの研究が亜鉛はインシュリン様効果を有することを示している[Tang et al., 上記]。亜鉛は、大腿骨幹及び骨幹端組織培養におけるIGF−I及びTGF−beta1内の増殖を引き起こすことを示した[Ma et al.(2001)Int J Mol Med 8 (6):623-8]。
【0004】
研究は、亜鉛は上皮増殖因子(EGF)刺激情報伝達に対する効果があることを示した。亜鉛0.3mM又は上皮増殖因子は、細胞エキス全体のタンパク質のチロシンリン酸化において、著しい増殖を生じさせた[Hansson et al. (1996) Arch Biochem and Biophys 328(2):233-238]。亜鉛は、リン酸化チロシン脱リン酸化酵素の潜在的な阻害剤であり[Wang et al. (1992) J Biol Chem 267(23):16696-16702]、増殖リン酸化チロシンを誘発し、MAPキナ−ゼ活性を含む細胞内情報伝達の宿主を活性化させる[Hanson et al., 上記]。広範囲の集積生物学的反応は、上皮成長因子受容体(EGFR)情報伝達と会合した。これらの生物学的反応は、有系分裂誘発、アポトーシス、増殖細胞運動性、タンパク質の分泌、及び表現型に依って同じ細胞でも分化したり脱分化することを包含している[Wells(1999) EGF receptor. Int J Biochem Cell Biol 31(6):637-643]。成体動物におけるEGFR情報伝達は、器官修復において役割を担うと仮定され、実験結果は、EGFR阻害剤は上皮細胞増殖及び層形成に影響を与えることを示している。更に、EGFRは創傷治癒にも影響を及ぼし、正常な上皮厚を維持するのに役割を果たしている[Nakamura et al.(2001)Exp Eye Res 72(5):511-517]。多くの特許及び刊行物において、亜鉛は増加する創傷治癒において役割を担い、EGFR情報伝達経路は創傷を治す手助けをする能力の鍵となることが指摘された。
【0005】
亜鉛は、脂質生合成、[Coulston et al. (1980) Diabetes 29(8):665-667]、ラットの精巣上体の脂肪細胞内のグルコース運搬及びグルコース酸化に関するインスリンの様な効果を発揮する潜在性を有している[Shisheva et al. (1992) Diabetes 41(8):982-988; May et al. (1982) J Biol Chem 257(8):4362-4368]。更に、亜鉛は、又、インスリンの分裂促進的情報伝達を増強する[Kiss et al. (1997) FEBS Lett 415(1)71-74]。証拠は亜鉛は実際インスリン情報伝達経路のいくつかの段階に関わっていることを指摘している。亜鉛は、未知の仕組みを経てインスリン合成結合を刺激することが示された[Gomot et al. (1992) Biol Trace Elem Ras 32:331-335; Herington(1985) Horm Metab Res 17:328-332]。上記に示されたように、亜鉛はリン酸化チロシン脱リン酸化酵素活性を阻害する能力をも有している。リン酸化チロシン脱リン酸化酵素は、インスリン情報伝達において初期及び重大な接合点である。膜に関連したリン酸化チロシン脱リン酸化酵素活性は、インスリン受容体及び他の成長因子に関連したチロシンキナーゼに対する効果を中和する[Kremerskothen et al. (1993) Mol Cell Biochem 125: 1-9; Li et al. (1997) Endocrinology 138:2274-2279; Samet et al. (1999) Am J Respir Cell Mol Biol 21:357-364]。 インスリン情報伝達経路には、いくつかの枝分かれ部位がある。これらの枝分かれ部位の一つは、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3−kinase)の活性化に影響する。PI3−Kは、細胞表面のGLUT4の補充を要することが知られている。タンパク質キナ−ゼC(PKC)の特異アイソフォームは、原型質膜の細胞内貯蔵部位からのGLUT4の再分布に必要であるようだ[Brainman et al. (1999) Mol Endocrinol 13:2002-2012; Kanoh et al. (2000) J Biol Chem 275: 16690-16696; Standaert et al. (1999) J Biol Chem 274:25308-25316.]。PKC膜の局在化及び活性は、亜鉛により刺激されることが出来る[Csermely et al. (1998) J Biol Chem 263:6487-6490; Forbes et al. (1990) Biochem Int 22:741-748; Forbes et al. (1990) Biochim Biophys Acta 1053:113-117; Quest et al. (1992) J Biol Chem 267:10193-10197]。最近の証拠は、亜鉛は哺乳類のラパマイシン標的タンパク質、すなわち、mTOR(FRAP及びRAFTとしても知られている)と称するSer/Thrタンパク質キナ−ゼを制御することを示した[Lynch et al. (2001) Am J Physiol Endocrinol Metab 281(1):E25-E34]。mTOR情報伝達経路は、PI3−キナ−ゼ活性化部位において開始する。mTOR経路の下流標的は、40Sリボソーム性のタンパク質S6であり、p70S6kの基質である[Lynch、上記]。アミノ酸は、リボソーム性のタンパク質S6キナ−ゼを通して、mRNA翻訳(単に合成のための基質として独立して機能している)を増加させる[Patti et al. (1998) J Clin Invest 101(7):1519-1529]。70kDaリボソーム性S6キナ−ゼ(p70S6K)は、40Sリボソーム性のタンパク質S6をリン酸化し、5-末端オリゴピリミジン路mRNAsを制御する能力を有するため、細胞内トランスレーション容量の重要な制御因子である[Martin et al. (2001) J Biol Chem 276(11):7884-7791]。リボソーム性のタンパク質S6の活性化は、したがって、リボソーム生合成を上方制御し、細胞のトランスレーション容量を促進する。更に、リボソーム性のタンパク質S6は、細胞の大きさの制御に関連付けられた[Martin et al.,上記]。
【0006】
インスリン様成長因子−I(IGF−I)及びトランスフォーミング成長因子ベータ―1(TGF−β1)は、生物学的システムにおいて重要な役割を果たしている。IGF−I及びTGF−β1生成に対する亜鉛の影響は、新生仔のラットの成長において、この合金の役割を決定するために検討された[Ma、上記]。実験結果は、亜鉛の存在は、IGF−I及びTGF−β1濃度は、骨幹又は骨幹端組織と共に中培養され、タンパク質内の顕著な増加を引き起こすことを示した。更に、IGF−I及びTGF−β1の発現レベルは、亜鉛と培養した骨幹及び骨幹端の組織内でも、著しく増加した。トランスフォーミング成長因子ベータは、細胞の増殖や分化、胚芽の発達、創傷治癒、及び、血管形成に関わる多機能性ポリペプチド成長因子である[Blobe et al. (2000) N Engl J Med 342(18):1350-1358]。通常、TGF−β1は、細胞外基質に結合し、プロテアーゼによって遊離させられる[Taipale et al. (1992) J Biol Chem 267:25378-25384]。細胞外基質の存在は、TGF−β1遺伝子発現を下方制御することが分かった[Streuli et al. (1993) J Cell Biol 120:253-260]。したがって、TGFベータは、細胞外基質の形成の帰還制御因子として作用することができる。TGF−βは、高親和性膜受容体との結合を経て細胞内プロセスを制御し、SMAD系属のタンパク質をリン酸化するレセプター複合体の構築を引き起こす[Blobe et al., 上記]。SMADsは、TGF−β系属の一部のシグナルトランスデューサーとして作用している。リン酸化の後に、SMADsは、複合体を形成し、核へ移動し、DNA結合を経た遺伝子発現及び転写性活性化補因子又は補抑制体を直接制御する複合体を構築する[Massague J. (2000) Nat Rev Mol Cell Biol 1(3):169-178] 。SMADsは、コラーゲンを含む多くの遺伝子を制御するのを助け[Zhang et al. (2000) J Biol Chem 275(50):39237-39245]、SMADsの制御は、いくつかの異なる方法で達成されている。一旦、核内では、活性SMAD複合体は、遺伝子発現を活性化又は抑制することが出来る。SMADsは、細胞内の相対レベルによって、p300(活性化補因子)又はTG3−相互作用因子(TGIF)(補抑制体)に結合するであろう[Massague、上記]。TGIFは、TGF−β情報伝達が転写を活性化出来る最大限のレベルにまで上げることができることを証拠は示唆している[Wotten et al. (1999) Cell97(1):29-39]。細胞外シグナル制御キナ−ゼ(ERK)を経て、TGIFのレベルを上げている[Lo et al.(2001)EMBO J20(1-2):128-136]。ERKは、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路の一部分であり、EGF受容体経路の活性化を通して活性するであろう。
【0007】
亜鉛は、又、特に、プラズマとの併用効果において、特異的にファイブリノーゲンと共に、血小板の凝集を阻害することが示された[Chevapil et al. (1975) Life Sciences(16):561-572; Sauvage et al., 米国特許法 5,401,730号]。
【0008】
エラスチンは、細胞外基質に存在する弾力のある結合組織であり、肺、血管及び皮膚などの反復性の身体変形を引き起こす組織が特に豊富である[Parks(1997)]。エラスチンは、酵素的に架橋されたトロポエラスチンで構成され、それは、分泌可溶性前駆タンパク質である[Zhang et al.(1999) Mol Cell Biol 9(11):7314-7326]。他の薬剤は、狭いウィンドウの発達に制限されているエラスチンの生成の大部分である。組織の大部分内で、胚発生は胎生後期において、顕著に増殖し、誕生と新生の初期において頂点に達し、直後に減少し、成熟期においてほぼ抑圧される。先行研究は、インシュリン様成長因子−I(IGF−I)は、基部プロモーターに結合したタンパク質の置換を通して、エラスチンの遺伝子転写を増加させた。Sp1及びSp3は、IGF−Iによって抑制されている結合を有する因子として認められた[Conn et al. (1996) J Biol Chem 271(46):28853-28860]。転写後のレベルにおいて、トロポエラスチンmRNAの安定度を増強させることで、エラスチンの遺伝子発現を増殖させる[Kahari et al. (1992) Lab Invest 66(5)580-588]。亜鉛は、IGF−I及びTGF−βの発現に影響し、これらの二つのタンパク質を通して、亜鉛がエラスチンの生成を増加させることが示唆されている。トロポエラスチン合成の後に、67kDaエラスチン結合タンパク質は、結合し、有効なシャペロンとして作用し、早発性細胞内凝集を妨げる[Hinek et al. (1994) J Cell Biol 126(2):563-574]。トロポエラスチン及びエラスチン結合タンパク質は、シャペロンがミクロフィブリルのガラクト糖と相互作用する細胞外空間へと、複合体が排出するまで、結合したままであり、トロポエラスチン分子の結合性を減少させる。ミクロフィブリル成分は、エラスチンの成膜の骨格として作用する。かつて、トロポエラスチン分子は正式に整列し、リジル酸化酵素によって架橋した[Robert(1999) Connect Tissue Res40(2):75-82]。 皮膚に適用されたアスコルビン酸、チロシン、及び硫酸亜鉛の化合は、微細な皺の構造が直ちに目に見えて減少させることを示した[Schinitsky et al., 米国特許法4,938,969号]。そのメカニズムは、明確に理解されなかったが、三つの成分は、線維芽細胞の増殖を刺激し、コラーゲン及びエラスチンの生成を促進し、それによって関連した真皮性組織の支持役割を促進しながら、機能すると考えられている(カラム2、12〜16行目)。
【0009】
他の特許は、皮膚への活性剤と配合した際に、一定の亜鉛化合物の有益な効果を開示する。Thornfeldt,米国特許法6,071,543号は、皮膚又は粘膜における老化の徴候を治療したり予防するためのピリジンチオールオキシドの塩の化合及びそのような塩と金属酸化物及びチオールとの化合を開示している。具体的に言及された化合は、セレンピリチオンを伴った亜鉛及びセレン硫化物を伴った亜鉛ピリチオンを含む。Perricone, 米国特許法5,554,647号は、老化した皮膚の治療のための組成物における二次成分としての亜鉛の使用について論じており、それによると、組成物における第一活性成分はアセチルコリン前駆物質である。亜鉛は、神経伝達物質の合成を増強するのに効果的であるといわれている。Murad, 米国特許法5,972,999号は、皮膚治療のための組成物を開示し、その組成物の第一活性成分は血流内でグリコサミノグリカンに変換する一つ以上の糖化合物である。これらの組成物は、又、亜鉛成分というよりかはメチオニンのようなアミノ酸複合型の亜鉛を含んでいる。このような亜鉛化合物は、傷害性又は老齢の皮膚を再構築するために、コラーゲンとエラスチン組織の結合を多少なりとも助けているといわれている。
【特許文献1】Sauvage et al., 米国特許法 5,401,730号
【特許文献2】Schinitsky et al., 米国特許法4,938,969号
【特許文献3】Thornfeldt,米国特許法6,071,543号
【特許文献4】Perricone, 米国特許法5,554,647号
【特許文献5】Murad, 米国特許法5,972,999号
【非特許文献1】Tang et al., (2001) J Nutr 131: 1414-14200
【非特許文献2】Wu et al., (1999) Am J Physiol 277: L924-L931
【非特許文献3】Ma et al. (2001) Int J Mod 8(6):623-8
【非特許文献4】Hansson et al. (1996) Arch Biochem and Biophys 328(2):233-238
【非特許文献5】Wang et al. (1992) J Biol Chem 267(23):16696-16702
【非特許文献6】Wells (1999) EGF receptor. Int J Biochem Cell Biol 31(6):637-643
【非特許文献7】Nakamura et al. (2001) Exp Eye Res 72(5): 511-517
【非特許文献8】Coulston et al. (1980) Diabetes 29(8):665-667
【非特許文献9】Shisheva et al. (1992) Diabetes 41(8):982-988
【非特許文献10】May et al. (1982) J Biol Chem 257(8):4362-4368
【非特許文献11】Kiss et al. (1997) FEBS Lett 415(1):71-74
【非特許文献12】Chausmer et al. J Am Coll Nutr 17:109-115
【非特許文献13】Gomot et al. (1992) Biol Trace Elem Res 32:331-335
【非特許文献14】Herington (1985) Horm Metab Res 17:328-332
【非特許文献15】Kremerskothen et al. (1993) Mol Cell Biochem 125:1-9
【非特許文献16】Li et al. (1997) Endocrinolgy 138: 2274-2279
【非特許文献17】Samet et al. (1999) Am J Respir Cell Mol Biol 21:357-364
【非特許文献18】Braiman et al. (1999) Mol Endocrinol 13: 2002-2012
【非特許文献19】Kanoh et al. (2000) J Biol Chem 275: 16690-16696
【非特許文献20】Standaert et al. (1999) J Biol Chem 274: 25308-25316
【非特許文献21】Csermely et al. (1998) J Biol Chem 263: 6487-6490
【非特許文献22】Forbes et al. (1990) Biochem Int 22:741-748
【非特許文献23】Forbes et al. (1990) Biochim Biophys Acta 1053:113-117
【非特許文献24】Quest et al. (1992) J Biol Chem 267:10193-10197
【非特許文献25】Lynch et al. (2001) Am J Physiol Endocrinol Metab 281(1): E25-E34
【非特許文献26】Patti et al. (1998) J Clin Invest 101(7):1519-1529
【非特許文献27】Martin et al. (2001) J Biol Chem 276(11): 7884-7791
【非特許文献28】Blobe et al. (2000) N Engl J Med 342(18):1350-1358
【非特許文献29】Taipale et al. (1992) J Biol Chem 267:25378-25384
【非特許文献30】Streuli et al. (1993) J Cell Biol 120:253-260
【非特許文献31】Massague J. (2000) Nat Rev Mol cell Biol 1(3):169-178
【非特許文献32】Zhang et al. (2000) J Biol Chem 275(50): 39237-39245
【非特許文献33】Wotton et al. (1999) Cell 97(1):29-39
【非特許文献34】Lo et al. (2001) EMBO J 20(1-2):128-136
【非特許文献35】Chvapil et al. (1975) Life Sciences (16): 561-572
【非特許文献36】Zhang et al. (1999) Mol Cell Biol 9 (11):7314-7326
【非特許文献37】Conn et al. (1996) J Biol Chem 271(46):28853-28860
【非特許文献38】Kahari et al. (1992) Lab Invest 66(5): 580-588
【非特許文献39】Hinek et al. (1994) J Cell Biol 126(2):563-574
【非特許文献40】Robert (1999) Connect Tissue Res 40(2):75-82
【発明の開示】
【0010】
本発明は、いくつかある効果の一つ以上を達成するために用いられ、表皮厚の増加又は減少、弾力性又はエラスチンのレベルの増加、及び皮内又は皮膚付近の脂肪の増加又は減少を含み、亜鉛含有組織物又は方法、特に局在的方法に関連している。我々がそれによって拘束されているとは考えたくない一方で、これらの製剤形態及び方法が、関連組織に増加した局所的なイオン亜鉛濃度を供給することによって、このような結果を提供していると考えられている。
【0011】
一般的に、本発明は、対象者の組織の性質を変える方法であって、改質が前記組織における脂肪含有量の増加、前記組織における脂肪含有量の減少、及び前記組織におけるエラスチン含有量の増加からなる群から選択される、皮膚科学的又は薬学的に許容されるキャリアと混合された1種又は2種以上の亜鉛含有成分から基本的に構成される皮膚科学的又は薬学的に許容される組成物(例、亜鉛化合物、複合物、及び/又は、キレート)を、改質を必要とする前記組織の1種又は2種以上の部位に、組織の改質に有効な量で使用することを含む。
【0012】
より具体的には、一つの態様においては、本発明は、皮膚科学的又は薬学的に許容されるキャリアと混合された1種又は2種以上の亜鉛含有成分から基本的に構成される皮膚科学的又は薬学的的に許容される組成物を、脂肪を増加させる必要のある対象者の部位に、脂肪組織の増加に有効な量で局所的に使用することを含む、対象者の皮内(すなわち「表層性脂肪」)又は皮下(すなわち「深在性脂肪」)の脂肪組織を増加させる方法から成っている。本発明の別の態様においては、皮膚科学的又は薬学的に許容されるキャリアと混合された1種又は2種以上の亜鉛含有成分から基本的に構成される皮膚科学的又は薬学的的に許容される組成物を、脂肪を減少させる必要のある対象者の部位に、脂肪組織の減少に有効な量で局所的に使用することを含む、対象者の皮内又は皮下の脂肪組織を減少させる方法から成っている。脂肪組織の増加又は減少は、脂肪組織の質量を増加又は減少させることを意味し、脂肪細胞の数又は個々の存在する脂肪細胞の大きさに影響を与えることで実施可能である。第三の態様においては、本発明は、皮膚科学的又は薬学的に許容されるキャリアと混合された1種又は2種以上の亜鉛含有成分から基本的に構成される組成物を、前記組織に対し、エラスチンを増加させる必要のある対象者の部位に、エラスチンの増加に有効な量で局所的に使用することを含む、対象者の組織のエラスチン含有量(皮膚に含まれるが、皮膚に限定されない)を増加させる方法から成っている。第四の態様においては、皮膚科学的又は薬学的に許容されるキャリアと混合された1種又は2種以上の亜鉛含有成分から基本的に構成される組成物を、表皮厚を増加させる必要のある対象者の部位に、表皮厚の増加に有効な量で局所的に使用することを含む、対象者の表皮厚を増加させる方法から成っている。別の態様においては、本発明は、皮膚科学的又は薬学的に許容されるキャリアと混合された1種又は2種以上の亜鉛含有成分から基本的に構成される組成物を、表皮厚を減少させる必要のある対象者の部位に、表皮厚の減少に有効な量で局所的に使用することを含む、対象者の表皮厚を減少させる方法から成っている。
【0013】
しかし、本発明の別の態様においては、亜鉛含有成分を1種又は2種以上構成するコンタクトレンズに配置することを特徴とする対象者の眼の水晶体のエラスチン含有量を増加させる方法から成っており、それによって、コンタクトレンズは、エラスチンを増加させるのに有効な量で、眼の水晶体部位、及び/又は、隣接する組織(筋肉など)上に亜鉛イオンを放出する。そのようなレンズ自体が、又、本発明を構成している。
【0014】
他の態様においては、本発明は、問題となっている目的に効果的な1種又は2種以上の亜鉛含有成分から基本手的に構成される上記の方法及び目的のために皮膚科学的及び/又は薬学的に許容される組成物及び皮膚学的及び/又は薬学的に許容される1種又は2種以上のキャリアを構成することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
上記で簡単に説明されたように、本発明はここに示されている種類の望ましい結果を達成するために、対象者の身体の選択された部位又は部分に亜鉛を亜鉛イオンという形で提供する方法及び組成物を特徴としている。皮膚及び他の組織内の脂肪含有量の増加又は減少、表皮厚の増加又は減少、及びエラスチン含有量の増加を含む多くの異なった結果がここで検討されている。一般的には、以下に更なる詳細が示されているように、前記の結果を一つ以上必要だと考えられている対象者の身体の部位又は位置に1種又は2種以上の亜鉛含有成分が通常局所的に適用されている。「必要とする」(“in need”)とは、治癒組織や修復組織のような薬学的又は健康に関連した必要性及び組織の外見を変更したり改善するような美容の必要性の両方を意味している。
【0016】
本発明の組成物は、特に老化に関連した皮膚の木目における可視的及び/又は触覚的に不連続な皮膚の老化の徴候を制御するのに有用である。「皮膚の老化の徴候を制御する」(“Regulating the signs of skin aging”)とは、そのような徴候の一つ以上を予防学的に制御及び/又は治癒的に制御することを含んでいる(同様に、線、皺、又は細孔といった一定の皮膚の老化は、その徴候を予防的に制御及び/又は治癒的に制御することを含んでいる)。ここに用いられているように、そのような徴候を治癒的に制御することは、皮膚の老化の徴候を減少、最小化、及び/又は消すことを含んでいる。
【0017】
「皮膚の老化の徴候」(“signs of skin aging”)は、外見上可視的及び触覚的に感知可能な徴候及び皮膚の老化による他のマクロ又はミクロの効果の両方を意味している。これらの徴候は、微細な表皮の皺及び粗く深い皺を含んだ皺、皮膚のライン、間隙、隆起、大きな細孔、うろこ状、鱗状及び/又は皮膚のでこぼこや荒れの他の形態、皮膚の弾力性の喪失、たるみ(眼の付近の腫れやあごを含む)、皮膚の固さの喪失、皮膚の張りの喪失、変形による皮膚の反跳の喪失、変色(眼の下のくまを含む)、しみ、血色の悪さ、しみやそばかす等の過剰色素性の皮膚の部分、角化症、異常分化、過剰角化症、弾力線維症、コラーゲンの分解、及び層(stratum comeum)、真皮、皮膚血管システムにおける他の組織学的変化(毛細血管拡張又はspider vesselなど)及び特に皮膚に近接する潜在組織を含んでいる。
【0018】
そのような徴候は、経時的な老化及び/又は環境破壊又は他の病理的状態等の内因性又は外因性の要素によって誘発又は引き起こされるだろう。しかしながら、この態様においては、本発明は皮膚の老化に関連した作用によって起こる上記に示した皮膚の老化の徴候の制御に限ったものではなく、本来の作用とは無関係の前記の徴候の制御を含んでいるということは特筆されるべきであろう。
【0019】
本発明の成分、装置、及び方法は、皮膚の老化に関連した組織の不連続を含みながら、哺乳類の皮膚組織内の可視的及び/又は触覚的な不連続を治癒的に制御するのに有用である。これは、哺乳類の皮膚の組織内の可視及び/又は触覚の不連続を減少、最小化、及び 又は消すといった寛解を含み、それによって、より滑らかなより均等な外見及び/又は感覚といったような改善された皮膚の外見及び/又は感覚を提供している。例えば、ライン及び/又は皺の長さ、深さ、及び/又は他の次元は、減少するかもしれないが、内的付属器の皮膚に接近するために、明確な細孔の直径は減少したり、細孔の開口に直近した組織の明確な高さは減少するであろう。
【0020】
本発明は、又、哺乳類の皮膚組織の可視及び/又は触覚の不連続を予防的に制御するのに有用であり、皮膚の老化に関連した組織の不連続を含んでいる。つまり、それは、皮膚組織の可視及び/又は触覚の不連続を遅延、最小化、及び/又は防ぐことであり、それによって、より滑らかで均等な外見及び/又は感覚といった改善した皮膚の外見及び/又は感覚を提供することである。
【0021】
本発明の成分は、目的を達成するのに有効な1種又は2種以上の亜鉛含有成分を含んでいる。特に利用された亜鉛含有成分又は成分群、及び成分内の濃度は、本発明が適用される目的に依拠することが出来る。
【0022】
一般的に、本発明に使用された亜鉛含有成分は亜鉛の化合物、複合物、キレートなどの成分を有している。これらの亜鉛化合物の中で、特に本発明の化合物及び方法において有用なのは、酢酸亜鉛、アスコルビン酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、酪酸亜鉛、カプロン酸亜鉛、カプリル酸亜鉛、炭酸亜鉛、クロム酸亜鉛、シトラコン酸亜鉛(zinc citraconate)、シトラマル酸亜鉛(zinc citramalate)、クエン酸亜鉛、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ギ酸亜鉛、フマル酸亜鉛、没食子亜鉛(zinc gallate)、グルコン酸亜鉛、ハロゲン化亜鉛、ヨウ化亜鉛、乳酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、zinc laureate、リンゴ酸亜鉛、マレイン酸亜鉛、マロン酸亜鉛(zinc malonate)、メタリン酸亜鉛、メタスルホン酸亜鉛(zinc methanesulfonate)、モノリン酸亜鉛(zinc monophosphate)、ミリスチン酸亜鉛、硝酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オロト酸亜鉛(zinc orotate)、オルトリン酸亜鉛、ショウ酸亜鉛、酸化亜鉛、パルミチン酸亜鉛、過マンガン酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、リン酸亜鉛、ピコリン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、サルチル酸亜鉛、セレン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、コハク酸亜鉛、硫酸亜鉛、スルホン酸亜鉛、タンニン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、テトラメタリン酸亜鉛(zinc tetrametaphosphate)、チタン酸亜鉛、トランスフェリン亜鉛(zinc transferring)、トリポリリン酸亜鉛(zinc tripolyphosphate)、ウンデシレン酸亜鉛、吉草酸亜鉛(zinc valerate)である。又、本発明に利用できるものは、亜鉛のキレート及びメチオニン又はヌクレオチドを基礎としたキャリアなどの複合物のような他の種の亜鉛含有化学物質のことである。
【0023】
本発明の成分は、人間又は他の哺乳類の皮膚、歯茎、眼、又は他の組織に適用される製品形態であるのが望ましい。それらは、したがって、適用される組織と適合するキャリア、媒介物又は培養液などの皮膚科学的又は薬学的にも許容されるキャリア、媒介物又は培養液を含んでいる。ここで使われている「皮膚科学的又は薬学的に許容される」
(“dermatologically or pharmaceutically acceptable”)という表現はそれについて説明されている組成物又は成分は、これらの組織との接触における使用又は過度の毒性、不適合、不安定、アレルギー反応などを伴わない対象者全般に使用するのに適している。
【0024】
更に、本発明の組成物は、考慮中の分野において従来使用されている成分からなっており、特に化粧品及び皮膚科学において顕著である。
【0025】
ここで使用されている「有効な量」(“effective amount”)とは、特に明確な効果を顕著に導くのに十分な本発明による化合物又は成分の量を意味しているが、それは安全な量のことである。つまり、深刻な副作用を予防するのに十分な位少ない量のことである。明確な効果は、健康に関連している又は事実上は、より美容的であり、又は、両者の組合せであろう。
【0026】
それらの外形についてだが、本発明の組成物は、皮膚、歯茎、眼などの治療に使用された溶液、マイクロ乳剤を含む乳剤、懸濁剤、クリーム、ローション、ジェル、パウダー又は他の典型的な固形又は液体の組成物を含む。そのような組成物は、本発明の亜鉛塩に加えて、抗菌剤、保湿液及び水和作用薬、貫通剤、防腐剤、乳化剤、自然或いは合成油、溶剤、サーファクタント、洗剤、ゲル化剤、緩和薬、抗酸薬、芳香剤、賦形剤、濃縮剤、ワックス、防臭剤、染料、染色剤、パウダー、粘性調節剤及び水、及び麻酔薬、かゆみ止め、植物エキス、コンディショニング、黒又は茶染め剤、グリッター、湿潤剤、雲母、ミネラル、ポリフェノール、シリコン、又はそれらの派生物、日焼け止め、ビタミン、及び植物薬品を任意に含んでいる。
【0027】
亜鉛含有成分に加えて、組成物は、皮膚又は歯のケアに用いられる他の成分を含有するであろう。例えば、反アクネ活動分子;反皺、反皮膚萎縮性又は皮膚修復活動分子;皮膚保護修復活動因子;非ステロイド美容緩和剤;人工日焼け剤及び促進剤;紫外線対策活動因子;皮脂刺激剤皮脂阻害剤;反オキシダント;プロテアーゼ阻害剤;皮膚引き締め剤;かゆみ止め成分;剥離性酵素即製剤;反糖化剤;及びそのような活動分子の混合物を含んでいる。
【0028】
本発明による成分は、放出制御又は叙法成分の形態にあり、亜鉛含有成分又は成分群は被砲性又はそうでなければ時間をかけて制御された方法で周囲環境(皮膚や他の組織など)に放出されるような原料内に含まれる。亜鉛含有成分又は成分群は、基質、リポソーム、小胞、マイクロカプセル、微粒子等、又は、時間をかけて全ての亜鉛含有成分の放出を提供するために選択及び/又は構築されている固形分子原料の中に含まれるであろう。放出制御原料は、生分解性又は非生分解性であり、それ自体又は乳濁液、縣濁剤、クリーム、軟膏剤等の成分形態で適用されるだろう。
【0029】
本発明の成分は、下記に説明されているように、望ましい効果や結果を得る際に、それ自体で効果的な量の1種又は2種以上の亜鉛含有成分を含むように形成されるのが適切である。それによって、この望ましい効果は、単独の適用又は比較的少ない繰り返される適用によって得られる。一般的には、本発明の成分は、約1.0ピコモル(pM)から約100ミリモル(mM)までの亜鉛含有成分又は成分群の全濃度を典型的に含んでいる。組成物は望ましい一定の目的を達成するために一定期間及び多くの処理において適用される。いくつかのケースでは、一定の効果が現れる範囲は異なり、他のケース(例えば、脂肪の改質やエラスチンの沈着)では重複が生じる。ここに示されている実施例は、亜鉛含有異なる濃度を使用したり、組成物の適用の頻度及び長さに変化をつけることで、得られる効果の誘導を含んでいる。もし一効果が望まれるのであれば、その効果が優勢である濃度が選択されるであろう。局所的な適用の興味深い範囲は、表皮を厚くするものであり、それは脂肪含有量の増加又は減少を伴ってエラスチンを増加させる。この目的を達成するために、実施例の局所的適用の範囲及び持続期間が使用される。いくつかのケースでは、このような組成物は、余製医者、カイロプラクター又はほかの健康管理のプロの監督のもとに実施され、彼らは望ましい効果を遂げるための適切な量の使用を確認することに責任がある。
【0030】
弾性及びエラスチン 一態様においては、本発明は組織の弾性を改善したりエラスチンのレベルを増加させるための方法、成分、及び装置を提供している。一態様においては、本発明は、皮膚科学的又は薬学的に許容されるキャリアと混合された1種又は2種以上の亜鉛含有成分から基本的に構成される組成物を、前記組織に対し、エラスチンを増加させる必要のある対象者の部位に、エラスチンの増加に有効な量で局所的に使用することを含む、対象者の組織のエラスチン含有量を増加させる方法から成っている。この適用は、老化関連又は他の望ましくない変化を食い止めたり、美容の改善を提供する皮膚の表皮厚又はエラスチンのレベルを増加させるのに特に適切である。
【0031】
成分が適用される皮膚の箇所は、顔(頬、眼の周辺、口の周辺、額、唇及び鼻の周辺)、胸、臀部、首、腕、脚、胴、又は顔の溝又は皺、手及び首を含む。
【0032】
皮膚内のエラスチン又は弾力性を改善するためには、本発明の成分は、全濃度が約1.0ピコモル(pM)から約900mMまで、出来れば約100から500pMであることが望ましい。成分は、効果が期待される箇所に有効な亜鉛の量を提供するために、局所的に適用され、適切な程度において、エラスチン含有量の増加を遂げるために、異なる間隔又は異なる持続期間において適用するのが良いであろう。
【0033】
本発明の別の態様においては、1種又は2種以上の亜鉛含有成分によって被覆されたコンタクトレンズ、できることならハードレンズは、形を改質させたり及び/又はより弾力性を与えるために眼のレンズの弾力性を改質させることを目的として用いられている。そのような適用は、単独で、又は老眼を減少させる治療などの視力改善を目的とした他の治療との組合せにおいて、実施される。レンズをコーティングすることは、米国特許法6,113,636、6,190,407、6,267,782、及び6,322,588に言及されている技術を用いるなどして実施される。コンタクトレンズはプラズマ放出によって治療されるので、内部表面の外側の周辺は誘導体化するであろう(例えば、蒸発アリルアミンによって)。適切に使用されたときにレンズの外側の周辺に接触するこの反応性表面は、亜鉛イオンのための可変性結合性のキレート剤、できれば、イオン亜鉛の制御された遊離のために、6つ以上の炭素原子を持つもの(例えば、ウンデシレン酸)に結合する。この結合は、亜鉛イオンの存在下で実施されるか、処方前にイオン亜鉛の接触の負荷が行われる。あるいは、亜鉛含有コーティングは、これらの特許全般に説明されているように、レンズが作られる原料にまず適用される。
【0034】
本態様においては、コンタクトレンズは眼の水晶体の一過性の再形成を生成し、イオン亜鉛は、修正された形のために弾力性を与える為にその水晶体内でエラスチン生成を誘導する。眼の水晶体は、コンタクトレンズを取り外した後でも、修正された形を維持する傾向がある。本発明の本態様の治療されたコンタクトレンズは、レンズの近傍で、0.1から100マイクロモルまでの局所的なイオン亜鉛濃度を生成する。効果的な範囲内で、亜鉛のより低い濃度は、同じ結果を達成するために長期間用いられ、又は、より高い濃度は短期間用いられる。一般的には、亜鉛濃度は、亜鉛含有成分又は成分群の1.0pMから500mMまでの範囲に及び、組織コンタクトレンズの界面において、100pMから50mMであることが好ましい。
【0035】
脂肪レベルの変化
本発明の別の態様においては、本発明の組成物は、脂肪レベルを増加又は減少させることによって、局所的な脂肪レベルを改質するために局所的に投与されている。この脂肪レベルの変化は、局所的な亜鉛レベルの変化のためである。影響されている脂肪レベルは、皮膚自身(表皮性脂肪)又は皮下に存在する組織(深在性脂肪)の脂肪レベルである。そのような投与は、単独で、又は局所脂肪のレベルを増加又は減少させるための他の要因との組合せによって行われる。脂肪を増加させる本発明による方法は、外見の欠損を減少させたり、好ましい美容的又は機能的効果を提供するために、外見の溝や深い皺を減らす美容の効果、局所投与による胸の増強(輪郭又はサイズ)、美容効果のための唇の増強、美容効果のための軟部組織の再構築又は再モデリング、又は輪郭の欠点を補うための組織再構築などの効果を提供している。脂肪を減少させる方法は、減少した胴体、外見上の体重を減らしたり全体の美容輪郭を改善したりする脚又は他の脂肪貯蔵(例えば、局所脂肪吸引のようなもの)、眼窩周辺の脂肪の減少した脂肪(例えば、局所眼瞼形成述のようなもの)、又は唇の減少などの効果を提供している。
【0036】
脂肪を増加させるために、組成物は唇、軟部組織、顔の溝又は皺、胸、妊婦線、臀部、頬、腕、及び 又は脚などの身体箇所に投与される。脂肪を減少させるためには、胴(前側腹部又はへそを含む)、同一の側腹部(“love handle”として知られている)、脚、顔、首、臀部、腕、脚及び瞼又は眼窩周辺に組成物は投与される。
【0037】
本発明の態様に用いられる脂肪含有量を増加させる組成物は、全濃度が約1.0pMから約900mMまで、出来れば約100pMから約500mMまでにおいて、1種又は2種以上の亜鉛含有成分を有している。脂肪含有量を減少させる組成物は、全濃度が約10mMから約100mMまで、出来れば100mMから10mMまでにおいて、1種又は2種以上の亜鉛含有成分又は成分群を有している。
【0038】
表皮厚の改質 本発明による組成物の局所的な適用は、微細なラインや皺の外見を減少させたり、老化又は様々な病的な状態による表皮の衰退を遅らせるなどの表皮厚を増加させる目的で実施される。そのような適用は、身体の部分、特に顔(眼の周辺、唇又は額など)に充当するために
行われる。対照的に、本発明の組成物は、傷跡や妊婦線を減少させるなどの表皮厚を減少させるために適用される。また、これらの効果は、関連組織において、亜鉛レベルの変化の結果起こるものだと信じられている。
【0039】
表皮厚を増加させる組成物は、全濃度が約1.0pMから約900mMまで、できれば100pMから500mMまでの、1種又は2種以上の亜鉛含有成分を含む。表皮厚を減少させる組成物は、約10mMから約100mMまで、できれば約100mMから10mMまでの全濃度を含んでいる。
【0040】
歯茎治療 本発明の組成物は、歯茎の退行又は衰退を防いだり治療したりするために、組織亜鉛レベルを増加させる目的で、局所的に歯茎に適用されることが出来る。これは、歯を適した場所により良く固着させるためのエラスチンの増加及び/又は表皮組織の増加を促進する亜鉛の効果、二つの効果の可能な組合せに起因していることが考えられる。この目的のための組成物は、約1.0pMから約100mM、できれば100pMから900mMまでの全濃度を含む。
(実施例)
【0041】
以下の実施例は、制御方法によるものではなく図面によって提供されている。明細書を読んだ当業者は、本質的に類似した結果をもたらすために変更または修正された様々な重大でないパラメーターに直ちに気付くであろう。
【実施例1】
【0042】
[皮膚の弾力性を増加するための亜鉛製剤形態の局所的な適用]
皮膚の弾力性のための治療上の利益を達成するために、最初の保存液は以下のように調製された。
保存液のサンプル
a)ベースのみ(ブランク)
b)10mMZn++(Z低)
c)1.0mMZn++(Z中)
d)100mMZn++(Z高)
【0043】
これらの溶液を調製するために、亜鉛酢酸塩の1.0M系統[ZnAc(H2O)][Mallinkrodt Lot 8740KPRK]は、500mLにおいて、109.75gを溶解することによって、無菌のリン酸塩の緩衝サリン(PBS、pH7.2、GibcoBRL Lot#1111327)において調製された。0.2mlの保湿剤を基礎としたセタフィル(Cetaphila)が、グループa、b、c、又はdに20mlの溶解液が付加された(グループA、B、C、又はDに呼応する)。グループAには、180mlセタフィル(Cetaphil)x84チューブに20mlのPBSのみが付加された。グループBには、180mlセタフィル(Cetaphil)x84チューブに20ml1.0M Znが付加された。グループCには、0.01M Znと標示されボルテックスされた19.8ml PBSに、200mlの1.0M Znが付加され、180mlセタフィル(Cetaphil)x84チューブに、20mlの1.0M Znが付加された。グループDには、0.1mM Znとして標示されボルテックスされた19.8mlPBSに、200ml1.0M Znが付加された。保湿剤主成分にサンプルを付加した後で、サンプルは同種に混合され、4℃で一晩貯蔵された。一治療につきN=4のグループでは、生まれて8週間の6匹のC57黒マウスは、吸引によって3%のインフルランの麻酔下に置かれ、肩甲部背部が剪毛された。保湿用剤は、各グループにおいて、一日0.2cc21日間投与された。21日間の投与の後に、治療された皮膚のセグメントは、ひとまとめにして収集され、均等な三つの部分に細分された:頭蓋部分、左の外側部分及び右の外側部分。頭蓋の部分及び左の外側の部分は12から16時間、10%の中性緩衝ホルマリンにおいて固定され、70%のエタノールにおいてすすがれ、パラフィンに包埋された。右の外側の部分は、収集の時期にOCT培養液においてスナップ凍結され、用いられるまで、−35℃で貯蔵された。
【0044】
パラフィンに包埋された検体は、4から6ミクロンで区分けされ、エラスチン含有量の形態学的アセッスメントのためのVerhoeff elastica 染料で染色された。全ての手続き及び分析は、視力障害のある観察者によって実施された。各調製の高分割デジタル顕微鏡写真は、プランアポクロマートレンズで、NikonE600 表面蛍光性顕微鏡に標示された診断装置SPOTカメラ(Diagnostic Instruments, Sterling Heights, Michigan)を用いて得られた。エラスチン含有量を示す典型的な顕微鏡写真(黒ファイバー)は、図1(a)から1(d)として説明されている。
【0045】
図1は、増加するエラスチンのレベルを表すa)ベースのみ(ブランク)、b)10mM Zn++(Z低)、c)1.0mM Zn++(Z中)又は、d)100mM Zn++(Z高)による局所投与を21日間行った後に、切断されVerhoeff Elastica 染料によって染色されたマウスの皮膚の典型的な顕微鏡写真を示している。Znの投与がゼロ(a)から低(b)、中(c)、高(d)まで増加するにつれて、黒の弾性線維の長さ、密度及び厚さは著しく増加する。しかしながら、高用量においては、表皮の脱皮及び刺激作用が起こる。より低い用量においては、刺激作用の局所的な徴候を伴なわずに、利益を産出する。結果的に、イオン亜鉛は、局所投与の後に皮膚のエラスチン含有量において、投与依存性の増加を産出する。
【実施例2】
【0046】
[表皮厚を改質するための亜鉛形成の局所投与]
上記の実施例1で治療されたパラフィンに包埋した動物の検体は、4から6ミクロンにおいて、切断され、完全にパラフィンで処理され、Verhoeff elastica染料とマッソントリコーム染料との組合せで表皮厚の形態学的アセッスメントのために染色された。全ての手続き及び分析は、視覚障害のある観察者によって実施された。各調製の高分割デジタル顕微鏡写真は、プランアポクロマートレンズによってNikonE600 表面蛍光性顕微鏡上に示されているように、診断装置SPOTカメラ(診断装置Sterling Heights, Michigan)を用いて得られた。イメージは、標準の長さ以上の表皮の全横断面を測定するためにイメージプロプラスソフトウェア(Image Pro Plus software)(Media Cybernetics, Silver Spring, Maryland)を用いて分析された。平均値及び標準誤差は、Starview(Abacus Concepts, Berkeley, California)によって査定され、Fisher PLSD又はScheffe F-テストによるpost-hoc検定において、95%と測定されたANOVA反復平均値及び有意性を用いて比較された。結果は、以下の表1に示さている。
【表1】

【0047】
パラフィンに包埋した動物の検体は実施例1において治療され、10.0mMZn++、1.0mMZn++、0.1mMZn++ 及びコントロールの投与に関しては、42日間適用された。検体は、上記のように固定及び包埋され、4から6ミクロンにおいて切断され、完全にパラフィンで処理され、表皮厚の形態学的アセッスメントのためにVerhoeff elastica染料とマッソントリコーム染料との組合せによって染色された。全ての手続き及び分析は、視覚障害のある観察者によって実施された。各調製の高分割デジタル顕微鏡写真は、プランアポクロマートレンズを用いてNikon E600表面蛍光性顕微鏡上に示されているように、診断装置SPOTカメラ(診断装置Sterling Heights, Michigan)によって得られた。イメージは、標準の長さ以上の表皮の全横断箇所を測定するために、イメージプロプラスソフトウェア(Image Pro Plus Software)(Media Cybernetics, Silver Spring, Maryland)を用いて分析された。平均値及び標準誤差が、Starview (Abacus Concepts, Berkeley, California)によって査定され、Fisher PLSD又はScheffe F-テストによるpost-hoc検定において、95%と測定されたANOVA反復平均値及び有意性を用いて比較された。結果は以下の表2に示されている。
【表2】

【実施例3】
【0048】
[皮下組織の褐色脂肪を減少させるための亜鉛形成の局所投与]
上記の実施例1で治療されたパラフィンに包埋した動物の検体は、4から6ミクロンにおいて、切断され、完全にパラフィンで処理され、Verhoeff elastica染料とマッソントリコーム染料との組合せで表皮厚の形態学的アセッスメントのために染色された。全ての手続き及び分析は、視覚障害のある観察者によって実施された。各調製の高分割デジタル顕微鏡写真は、プランアポクロマートレンズによってNikonE600 表面蛍光性顕微鏡上に示されているように、診断装置SPOTカメラ(診断装置Sterling Heights, Michigan)を用いて得られた。イメージは、標準の長さ以上の表皮の全横断面を測定するためにイメージプロプラスソフトウェア(Image Pro Plus software)(Media Cybernetics, Silver Spring,Maryland)を用いて分析された。平均値及び標準誤差が、Starview(Abacus Concepts, Berkeley, California)によって査定され、Fisher
PLSD又はScheffe F-テストによるpost-hoc検定において、95%と測定されたANOVA反復平均値及び有意性を用いて比較された。結果は以下の表3に示されている(P=0.0001)。
【表3】

褐色脂肪組織及び白脂肪組織は異なって反応し、成長因子の異なる組合せは、それぞれの反応を改質させるので、本明細書及び以下の実施例に示されているように、イオン亜鉛は、脂肪箇所を著しく増加又は減少させるために適用されることができる。
【実施例4】
【0049】
[脂肪(深在性白脂肪)を減少させる為の亜鉛形成の局所投与]
保湿剤主成分において最終濃度が10mMZn++にするために、上記のように、調製され、亜鉛貯蔵液は、セタフィルによって希釈された。 保湿剤主成分に付加した後で、サンプルは同種に混合され、一晩4℃で貯蔵された。一治療につきN=4のグループでは、生まれて8週間の6匹のC57黒マウスは、吸引にて3%のインフルランの麻酔下に置かれた。保湿剤は、中液窩線を中心として肋骨から骨盤までの腹部の外側の湾曲に毎日適用された。各グループにおいて、一日0.2cc21日間投与された。21日間の投与の後に、治療された皮膚のセグメントは、全深さをひとまとめにして収集され、均等な三つの部分に細分された:頭蓋部分、左の外側部分及び右の外側部分。頭蓋の部分及び左の外側の部分は12−16時間、10%の中性緩衝ホルマリンにおいて固定され、70%のエタノールにおいてすすがれ、パラフィンに包埋された。
【0050】
上記の実施例1で治療されたパラフィンに包埋した動物の検体は、4から6ミクロンにおいて、切断され、完全にパラフィンで処理され、Verhoeff elastica染料とマッソントリコーム染料との組合せで表皮厚の形態学的アセッスメントのために染色された。全ての手続き及び分析は、視覚障害のある観察者によって実施された。各調製の高分割デジタル顕微鏡写真は、プランアポクロマートレンズによってNikonE600 表面蛍光性顕微鏡上に示されているように、診断装置SPOTカメラ(診断装置Sterling Heights,Michigan)を用いて得られた。イメージは、標準の長さ以上の表皮の全横断面を測定するためにイメージプロプラスソフトウェア(Image Pro Plus software)(Media Cybernetics, Silver Spring, Maryland)を用いて分析された。平均値及び標準誤差が、Starview(AbacusConcepts, Berkeley, California)によって査定され、Fisher PLSD又はScheffe F-テストによるpost-hoc検定において、95%と測定されたANOVA反復平均値及び有意性を用いて比較された。結果は、以下の表4に示されている(P=0.0001)。
【表4】

【実施例5】
【0051】
[歯茎の後退の治療又は予防のための亜鉛形成の局所投与]
ゲル又はペーストの溶液は、イオン性Znを歯茎付近に放出するために用いられている。例えば、亜鉛酢酸塩は、軟膏製剤形態に付加されることが出来る。この混合物の実施例は、Tween80、グリコールスターチ、無菌脱イオン水、水及びトリエタノールアミンによって構成されている。最も好ましい製剤形態は、1から100マイクロモルまでの局所的イオン亜鉛の濃度を得ることが出来る。この亜鉛経口組成物は、歯茎の後退を治療し、歯茎の病気及び老化に伴う退化によって起きる歯の喪失を助けるために用いられる。増加したエラスチン及び表皮組織は、最適な場所に固定し支えを提供するのを助ける。
[実施例6−8]
【0052】
実施例6から8は、a)トロポエラスチン含有量の増加、b)表皮厚、エラスチン含有量及び皮下組織脂肪の増加及びc)皮膚の弾力性の増加における本発明による、組成物の投与の効果を示している。また、一般的には表皮厚の増加、表皮細胞の増加及び新たなエラスチンの生成の誘導の効果は、投与によるものであるということ、及びこれら三つの効果のための活性成分は重複することが分かった。
【実施例6】
【0053】
[トロポエラスチン含有量増加のための亜鉛形成の局所投与]
保湿剤主成分に付加した後で、サンプルは同種に混合され、室温で貯蔵された。一治療につきN=3のグループでは、生まれて8週間の6匹のC57黒マウスは、吸引にて3%のインフルランの麻酔下に置かれた。保湿剤は、中液窩線を中心として肋骨から骨盤までの腹部の外側の湾曲に毎日適用された。各グループにおいて、一日0.2cc7日間投与された。7日間の投与の後に、治療された背部の皮膚は収集され、均等な三つの部分に細分された:頭蓋部分、左の外側部分及び右の外側部分。頭蓋の部分及び左の外側の部分は12から16時間、10%の中性緩衝ホルマリンにおいて固定され、70%のエタノールにおいてすすがれ、パラフィンに包埋された。二つのセグメントは、−73℃で、凍結され貯蔵された。
【0054】
パラフィンに包埋した動物の検体は、4から6ミクロンにおいて切断され、完全にパラフィンで処理され、トロポエラスチン(5’FGCCTGGTGCCCACT及び5’FCTCCACCAAGGCCATA)に対するDNAプライマーと標示されているフルオレッセインでによって探索され、ファストレッド(Fast Red)染料によって染色された。パラフィンに包埋した検体は、4から6ミクロンにおいて切断され、完全にパラフィンで処理され、アルカリフォスフォターゼに接合した抗体で染色され、エオシン染料によって対比染色された。全ての手続き及び分析は、視覚障害のある観察者によって実施された。各調製の高分割デジタル顕微鏡写真は、プランアポクロマートレンズによってNikonE600 表面蛍光性顕微鏡上に示されているように、診断装置SPOTカメラ(診断装置Sterling Heights,Michigan)を用いて得られた。イメージは、トロポエラスチン含有量の全横断面を測定するためにイメージプロディスカバリーソフトウェア(Image Pro Discovery Software)(Media Cybernetics, Silver Spring, Maryland)を用いて分析された。平均値及び標準誤差が、Starview(Abacus Concepts, Berkeley, California)によって査定され、Fisher PLSD又はScheffe F-テストによるpost-hoc検定において、95%と測定されたANOVA反復平均値及び有意性を用いて比較された。
【0055】
図2は、(A)コントロールの検体(亜鉛化合物の追加なし)及び(B)本発明の検体との比較のために、上記の検体を示している。図3は亜鉛含有組成物(黒棒)による治療におけるトロポエラスチンmRNAレベルの増加を示してる。この増加は、免疫組織化学によって新たに翻訳されているトロポエラスチン(従って溶けやすい)における増加と比較されている。
【実施例7】
【0056】
[表皮厚、エラスチン含有量及び皮下組織脂肪を改質させる亜鉛形成の局所投与]
亜鉛貯蔵液は、実施例6において、上記のように調製され適用された。パラフィンに包埋した動物の検体は、4から6ミクロンにおいて切断され、完全にパラフィンで処理され、ヘマトキシリンエオシン染料で染色された。全ての手続き及び分析は、視覚障害のある観察者によって実施された。半定量分析スコアリングは、横断面の表皮厚、エラスチン含有量及び皮下組織脂肪を測定するために実施された。
【0057】
図4,5及び6は、半定量分析スケールを用いて、エラスチン含有量、表皮厚及び皮下組織脂肪の比較に基づいたスコアを示している。
【実施例8】
【0058】
[皮膚の弾力性を増加させる亜鉛形成の局所投与]
亜鉛貯蔵液は、商業用保湿剤を主成分にした最終濃度が100マイクロモルZnになるために、上記のように調製された。保湿剤主成分に付加した後で、サンプルは同種に混合され、室温で貯蔵された。保湿剤は、眼窩の周囲及び下の付近に一日2回適用された。ビデオによるベースラインのイメージが、キャノンZR60(Canon, Jamesburg, New Jersey)を用いて1週間ごとに捉えられた。撮影の時間は、Abode After Effects ソフトウェアを用いて、複合性皮膚の弾力性の測定として判定された。
【0059】
図7から11は、示されているように、6週間に及ぶ5人の人間の対象者の実験結果を表している。
【実施例9】
【0060】
[エラスチン生成の導入のための効果的な亜鉛濃度]
亜鉛貯蔵液は、最終濃度が100マイクロモルZn++になるために、商業用保湿剤を主成分にして調製された。保湿剤主成分に付加した後で、サンプルは同種に混合され、室温で貯蔵された。一治療につきN=4のグループでは、生まれて8週間の6匹のC57黒マウスは、吸引にて3%のインフルランの麻酔下に置かれた。保湿剤は、マウスの背部の皮膚に毎日適用された。各グループにおいて、一日0.2cc21日間投与された。21日間の投与の後に、治療された背部の皮膚は収集され、三つの部分に細分された。一つのセグメントは、10%の中性緩衝ホルマリンにおいて、12から16時間、固定され、70%のエタノールですすがれ、パラフィンに包埋された。二つのセグメントは、凍結され貯蔵された。
【0061】
パラフィンに包埋した動物の検体は4から6ミクロンにおいて切断され、完全にパラフィンで処理され、Verhoeff-van giesson elastica染料で染色された。全ての手続き及び分析は、視覚障害のある観察者によって実施された。各調製の高分割デジタル顕微鏡写真は、プランアポクロマートレンズによってNikonE600 表面蛍光性顕微鏡上に示されているように、診断装置SPOTカメラ(診断装置Sterling Heights, Michigan)を用いて得られた。イメージは、全横断面エラスチン含有量の%を測定するためにイメージプロディスカバリーソフトウェア(Image Pro Discovery Software)(Media Cybernetics, Silver Spring, Maryland)を用いて分析された。平均値及び標準誤差が、Starview(Abacus Concepts, Berkeley, California)によって査定され、Fischer PLSD又はScheffe F-テストによるpost-hoc検定において、95%と測定されたANOVA反復平均値及び有意性を用いて比較された。試験結果は、図12(G―コントロール;H―亜鉛含有組成物)に示されており、亜鉛又はコントロールの局所投与を21日間行った後の横断面のエラスチン含有量を表している。
【0062】
例えば亜鉛酢酸塩のような亜鉛は、亜鉛含有成分の濃度が増加するにつれて、エラスターゼ機能を安定化し、不安定化し、そして再度安定化することによって作用することが分かった。この活性パターンは、エラスチン生成の誘導のために観察された濃度の底値及び最高値に寄与するものが多い。
【0063】
分析は、リン酸緩衝サリン(PBS)における各二価陽イオンの範囲が0.005Mから1.0Mまでの様々な濃度を含みながら行われた。陽性のコントロールは陽性イオンを一切含まない一方で、陰性イオンはエラスターゼを一切含まなかった。溶液は、制御された条件のもと、15分毎に405nmと測定された。バックグラウンドの干渉を表している陰性のコントロールの光学密度値は、各結果から除かれた。二つの試験に基づくこれらの訂正された光学密度値は平均化された。
【0064】
エラスターゼ活性は、陽イオンの濃度の間隔が0.005Mから0.01Mまでである全てのイオンMg2+、Ca2+及びZn2+において増加した。0.01M以上の全ての陽イオン濃度では、エラスターゼの活性は著しく減少し、より高い濃度では、最低値に向かってエラスターゼ活性が減少するという結果が、続けて生じた。二価陽イオンは、非常に低い濃度(<0.01M)において、エラスターゼ活性を誘導することが分かり、二価陽イオンの存在がゼロ以上の最低値に向けて、エラスターゼ(0.01M〜0.75M)を阻害するような濃度の範囲が、後に続いた。非常に高い濃度においては、二価陽イオンは、再度エラスターゼ活性を誘導することが分かった(>0.75M)。
【0065】
エラスターゼは、Ca2+イオン(最も強力な即効阻害剤)に最も敏感であり、時間が経つにつれてZn2+によって最も定期的に阻害することが分かった。エラスターゼは、Mg2+に最も敏感ではなかった。結果は図13に示されている。
【0066】
本明細書に引用されている全ての刊行物及び特許出願書は、各刊行物又は特許出願が本明細書に具体的かつ個々に示されているかのように、参考のために示されている。
【0067】
前記の発明について明確に理解するために、図面や実施例を用いて詳細に説明されているにもかかわらず、添付クレームの精神又は範囲から逸脱することなく、一定の変更や応用例が為されることが、本発明の教示を考慮に入れた当業者には、直ちに明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1a】図1(a)は、エラスチンの含有量を増加させるために、様々な亜鉛イオンの濃度を用いて処置した、切断及び染色されたマウスの皮膚の顕微鏡写真を示している。
【図1b】図1(b)は、エラスチンの含有量を増加させるために、様々な亜鉛イオンの濃度を用いて処置した、切断及び染色されたマウスの皮膚の顕微鏡写真を示している。
【図1c】図1(c)は、エラスチンの含有量を増加させるために、様々な亜鉛イオンの濃度を用いて処置した、切断及び染色されたマウスの皮膚の顕微鏡写真を示している。
【図1d】図1(d)は、エラスチンの含有量を増加させるために、様々な亜鉛イオンの濃度を用いて処置した、切断及び染色されたマウスの皮膚の顕微鏡写真を示している。
【図2】図2は、亜鉛含有組成物を用いて処置した切断及び染色したマウスの皮膚及びトロポエラスチンの中身を表すコントロールの顕微鏡写真を示している。
【図3】図3は、本発明の組成物を用いたマウスの皮膚のトロポエラスチン含有量の増加を示したグラフである。
【図4】図4は、本発明の組成物をコントロールと比較して、エラスチン含有量の比較スコアを示したグラフである。
【図5】図5は、本発明の組成物をコントロールと比較して、表皮厚の比較スコアを示したグラフである。
【図6】図6は、本発明の組成物をコントロールと比較して、皮下組織の比較スコアを示したグラフである。
【図7】図7は、グラフ及び写真を用いて、本発明の組成物を表面に適用することによって、皮膚の弾力性の増加を示した試験結果である。
【図8】図8は、グラフ及び写真を用いて、本発明の組成物を表面に適用することによって、皮膚の弾力性の増加を示した試験結果である。
【図9】図9は、グラフ及び写真を用いて、本発明の組成物を表面に適用することによって、皮膚の弾力性の増加を示した試験結果である。
【図10】図10は、写真を用いて、本発明の組成物を表面に適用することによって、皮膚の弾力性の増加を示した試験結果である。
【図11】図11は、グラフ及び写真を用いて、本発明の組成物を表面に適用することによって、皮膚の弾力性の増加を示した試験結果である。
【図12】図12は、亜鉛の局所的適用又はコントロールを21日間行った後の横断面のエラスチンの含有量を示したグラフである。
【図13】図13は、エラスチン生成に対する濃度の効果を調べるために実施された実験から得た情報を示したグラフを含んでいる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の組織の性質を変える方法であって、改質が前記組織における脂肪含有量の増加、前記組織における脂肪含有量の減少、表皮厚の増加、表皮厚の減少、及び前記組織におけるエラスチンン含有量の増加からなる群から選択される、皮膚科学的又は薬学的に許容されるキャリアと混合された1種又は2種以上の亜鉛含有成分から基本的に構成される皮膚科学的又は薬学的に許容される組成物を、改質を必要とする前記組織の1種又は2種以上の部位に、組織の改質に有効な量で使用することを含む、対象者の組織の性質を変える方法。
【請求項2】
皮膚科学的又は薬学的に許容されるキャリアと混合された1種又は2種以上の亜鉛含有成分から基本的に構成される皮膚科学的又は薬学的に許容される組成物を、脂肪を増加させる必要のある対象者の部位に、脂肪組織の増加に有効な量で局所的に使用することを含む、対象者の皮内又は皮下の脂肪組織を増加させる方法。
【請求項3】
前記のキャリアが皮膚科学的に許容されるキャリアであり、成分が唇、軟部組織、顔の溝又は皺部、胸、妊娠線、臀部、頬、腕、脚、及び輪郭を変化させる必要のある部分からなる群から選択される1種又は2種以上の部位に、組成物を局所的に適用することを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛化合物を含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項5】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛塩によって構成されることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項6】
1種又は2種以上の亜鉛塩が、酢酸亜鉛、アスコルビン酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、酪酸亜鉛、カプロン酸亜鉛、カプリル酸亜鉛、炭酸亜鉛、クロム酸亜鉛、シトラコン酸亜鉛(zinc citraconate)、シトラマル酸亜鉛(zinc citramalate)、クエン酸亜鉛、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ギ酸亜鉛、フマル酸亜鉛、没食子亜鉛(zinc gallate)、グルコン酸亜鉛、ハロゲン化亜鉛、ヨウ化亜鉛、乳酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、zinc laureate、リンゴ酸亜鉛、マレイン酸亜鉛、マロン酸亜鉛(zinc malonate)、メタリン酸亜鉛、メタスルホン酸亜鉛(zinc methanesulfonate)、モノリン酸亜鉛(zinc monophosphate)、ミリスチン酸亜鉛、硝酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オロト酸亜鉛(zinc orotate)、オルトリン酸亜鉛、ショウ酸亜鉛、酸化亜鉛、パルミチン酸亜鉛、過マンガン酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、リン酸亜鉛、ピコリン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、サルチル酸亜鉛、セレン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、コハク酸亜鉛、硫酸亜鉛、スルホン酸亜鉛、タンニン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、テトラメタリン酸亜鉛(zinc tetrametaphosphate)、チタン酸亜鉛、トランスフェリン亜鉛(zinc transferring)、トリポリリン酸亜鉛(zinc tripolyphosphate)、ウンデシレン酸亜鉛、吉草酸亜鉛(zinc valerate)、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
組成物が酢酸亜鉛を含むことを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛キレートを含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項9】
組成物が亜鉛複合物から構成されることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項10】
キャリアが皮膚科学的に許容されるキャリアであり、保湿剤(moisturizer)を更に含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項11】
1種又は2種以上の亜鉛含有成分が、約1.0pMから約900mMの濃度で組成物に存在することを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項12】
1種又は2種以上の亜鉛含有成分が、約100pMから約500mMの濃度で組成物に存在することを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項13】
皮膚科学的又は薬学的に許容されるキャリアと混合された1種又は2種以上の亜鉛含有成分から基本的に構成される皮膚科学的又は薬学的に許容される組成物を、脂肪を減少させる必要のある対象者の部位に、脂肪組織の減少に有効な量で局所的に使用することを含む、対象者の皮内又は皮下における脂肪組織を減少させる方法。
【請求項14】
キャリアが皮膚科学的に許容されるキャリアであり、組成物を、胴、側腹部、脚、顔、首、臀部、瞼、眼の周辺、腕及び唇からなる群から選択される対象の皮膚の部位に局所的に使用することを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛化合物を含むことを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項16】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛塩を含むことを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項17】
1種又は2種以上の亜鉛塩が、酢酸亜鉛、アスコルビン酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、酪酸亜鉛、カプロン酸亜鉛、カプリル酸亜鉛、炭酸亜鉛、クロム酸亜鉛、シトラコン酸亜鉛(zinc citraconate)、シトラマル酸亜鉛(zinc citramalate)、クエン酸亜鉛、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ギ酸亜鉛、フマル酸亜鉛、没食子亜鉛(zinc gallate)、グルコン酸亜鉛、ハロゲン化亜鉛、ヨウ化亜鉛、乳酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、zinc laureate、リンゴ酸亜鉛、マレイン酸亜鉛、マロン酸亜鉛(zinc malonate)、メタリン酸亜鉛、メタスルホン酸亜鉛(zinc methanesulfonate)、モノリン酸亜鉛(zinc monophosphate)、ミリスチン酸亜鉛、硝酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オロト酸亜鉛(zinc orotate)、オルトリン酸亜鉛、ショウ酸亜鉛、酸化亜鉛、パルミチン酸亜鉛、過マンガン酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、リン酸亜鉛、ピコリン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、サルチル酸亜鉛、セレン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、コハク酸亜鉛、硫酸亜鉛、スルホン酸亜鉛、タンニン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、テトラメタリン酸亜鉛(zinc tetrametaphosphate)、チタン酸亜鉛、トランスフェリン亜鉛(zinc transferring)、トリポリリン酸亜鉛(zinc tripolyphosphate)、ウンデシレン酸亜鉛、吉草酸亜鉛(zinc valerate)、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とするによって構成されるグループから選択されることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
組成物が酢酸亜鉛を含むことを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項19】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛キレートを含むことを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項20】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛複合体を含むことを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項21】
キャリアが皮膚科学的に許容されるキャリアであり、保湿剤(moisturizer)を更に含むことを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項22】
1種又は2種以上の亜鉛含有成分が、約10mMから約100mMの濃度で組成物に存在することを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項23】
1種又は2種以上の亜鉛含有成分が約100mMから約10mMの濃度で組成物に存在することを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項24】
皮膚科学的又は薬学的に許容されるキャリアと混合された1種又は2種以上の亜鉛含有成分から基本的に構成される組成物を、前記組織に対し、エラスチンを増加させる必要のある対象者の部位に、エラスチンの増加に有効な量で局所的に使用することを含む、対象者の組織のエラスチン含有量を増加させる方法。
【請求項25】
キャリアが皮膚科学的に許容されるキャリアであり、組成物を対象の皮膚の部位に使用することを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項26】
顔、胸、臀部、首、脚、腕、胴及び顔の溝若しくは皺、手又は首からなる群から選択される1種又は2種以上の部位に組成物を使用することを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛化合物を含むことを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項28】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛塩を含むことを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項29】
1種又は2種以上の亜鉛塩が、酢酸亜鉛、アスコルビン酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、酪酸亜鉛、カプロン酸亜鉛、カプリル酸亜鉛、炭酸亜鉛、クロム酸亜鉛、シトラコン酸亜鉛(zinc citraconate)、シトラマル酸亜鉛(zinc citramalate)、クエン酸亜鉛、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ギ酸亜鉛、フマル酸亜鉛、没食子亜鉛(zinc gallate)、グルコン酸亜鉛、ハロゲン化亜鉛、ヨウ化亜鉛、乳酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、zinc laureate、リンゴ酸亜鉛、マレイン酸亜鉛、マロン酸亜鉛(zinc malonate)、メタリン酸亜鉛、メタスルホン酸亜鉛(zinc methanesulfonate)、モノリン酸亜鉛(zinc monophosphate)、ミリスチン酸亜鉛、硝酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オロト酸亜鉛(zinc orotate)、オルトリン酸亜鉛、ショウ酸亜鉛、酸化亜鉛、パルミチン酸亜鉛、過マンガン酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、リン酸亜鉛、ピコリン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、サルチル酸亜鉛、セレン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、コハク酸亜鉛、硫酸亜鉛、スルホン酸亜鉛、タンニン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、テトラメタリン酸亜鉛(zinc tetrametaphosphate)、チタン酸亜鉛、トランスフェリン亜鉛(zinc transferring)、トリポリリン酸亜鉛(zinc tripolyphosphate)、ウンデシレン酸亜鉛、吉草酸亜鉛(zinc valerate)、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項30】
組成物が酢酸亜鉛を含むことを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項31】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛キレートを含むことを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項32】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛複合体を含むことを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項33】
キャリアが皮膚科学的に許容されるキャリアであり、保湿剤(moisturizer)を更に含むことを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項34】
1種又は2種以上の亜鉛含有成分が、約1.0pMから約
900mMの濃度で組成物に存在することを特徴とする請求項24記載の
方法。
【請求項35】
1種又は2種以上の亜鉛含有成分が約100pMから約5
00mMの濃度で組成物に存在することを特徴とする請求項24記載の方
法。
【請求項36】
皮膚科学的又は薬学的に許容されるキャリアと混合された1種又は2種以上の亜鉛含有成分から基本的に構成される組成物を、表皮厚を増加させる必要のある対象者の部位に、表皮厚の増加に有効な量で局所的に使用することを含む、対象者の表皮厚を増加させる方法。
【請求項37】
小皺や皺のある顔の1種又は2種以上の部分、及び/又は加齢若しくは潜在する病理学的な状態によって起因する表皮の衰えを示す皮膚の他の部分に、組成物を局所的に使用することを特徴とする請求項36記載の方法。
【請求項38】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛化合物を含むことを特徴とする請求項36記載の方法。
【請求項39】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛塩を含むことを特徴とする請求項36記載の方法。
【請求項40】
1種又は2種以上の亜鉛塩が、酢酸亜鉛、アスコルビン酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、酪酸亜鉛、カプロン酸亜鉛、カプリル酸亜鉛、炭酸亜鉛、クロム酸亜鉛、シトラコン酸亜鉛(zinc citraconate)、シトラマル酸亜鉛(zinc citramalate)、クエン酸亜鉛、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ギ酸亜鉛、フマル酸亜鉛、没食子亜鉛(zinc gallate)、グルコン酸亜鉛、ハロゲン化亜鉛、ヨウ化亜鉛、乳酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、zinc laureate、リンゴ酸亜鉛、マレイン酸亜鉛、マロン酸亜鉛(zinc malonate)、メタリン酸亜鉛、メタスルホン酸亜鉛(zinc methanesulfonate)、モノリン酸亜鉛(zinc monophosphate)、ミリスチン酸亜鉛、硝酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オロト酸亜鉛(zinc orotate)、オルトリン酸亜鉛、ショウ酸亜鉛、酸化亜鉛、パルミチン酸亜鉛、過マンガン酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、リン酸亜鉛、ピコリン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、サルチル酸亜鉛、セレン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、コハク酸亜鉛、硫酸亜鉛、スルホン酸亜鉛、タンニン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、テトラメタリン酸亜鉛(zinc tetrametaphosphate)、チタン酸亜鉛、トランスフェリン亜鉛(zinc transferring)、トリポリリン酸亜鉛(zinc tripolyphosphate)、ウンデシレン酸亜鉛、吉草酸亜鉛(zinc valerate)、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項39記載の方法。
【請求項41】
組成物が酢酸亜鉛を含むことを特徴とする請求項40記載の方法。
【請求項42】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛キレートを含むことを特徴とする請求項36記載の方法。
【請求項43】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛複合体を含むことを特徴とする請求項36記載の方法。
【請求項44】
キャリアが皮膚科学的に許容されるキャリアであり、保湿剤(moisturizer)を更に含むことを特徴とする請求項36記載の方法。
【請求項45】
1種又は2種以上の亜鉛含有成分が、約1.0pMから約900mMの濃度で組成物に存在することを特徴とする請求項36記載の方法。
【請求項46】
1種又は2種以上の亜鉛含有成分が約100pMから約500mMの濃度で組成物に存在することを特徴とする請求項36記載の方法。
【請求項47】
皮膚科学的又は薬学的に許容されるキャリアと混合された1種又は2種以上の亜鉛含有成分から基本的に構成される組成物を、所望するように表皮厚を増加させる必要のある対象者の部位に、表皮厚の増加に有効な量で局所的に使用することを含む、対象者の表皮厚を減少させる方法。
【請求項48】
組成物を1種又は2種以上の傷跡又は妊娠線に局所的に使用することを特徴とする請求項47記載の方法。
【請求項49】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛化合物を含むことを特徴とする請求項47記載の方法。
【請求項50】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛塩を含むことを特徴とする請求項47記載の方法。
【請求項51】
1種又は2種以上の亜鉛塩が、酢酸亜鉛、アスコルビン酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、酪酸亜鉛、カプロン酸亜鉛、カプリル酸亜鉛、炭酸亜鉛、クロム酸亜鉛、シトラコン酸亜鉛(zinc citraconate)、シトラマル酸亜鉛(zinc citramalate)、クエン酸亜鉛、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ギ酸亜鉛、フマル酸亜鉛、没食子亜鉛(zinc gallate)、グルコン酸亜鉛、ハロゲン化亜鉛、ヨウ化亜鉛、乳酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、zinc laureate、リンゴ酸亜鉛、マレイン酸亜鉛、マロン酸亜鉛(zinc malonate)、メタリン酸亜鉛、メタスルホン酸亜鉛(zinc methanesulfonate)、モノリン酸亜鉛(zinc monophosphate)、ミリスチン酸亜鉛、硝酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オロト酸亜鉛(zinc orotate)、オルトリン酸亜鉛、ショウ酸亜鉛、酸化亜鉛、パルミチン酸亜鉛、過マンガン酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、リン酸亜鉛、ピコリン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、サルチル酸亜鉛、セレン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、コハク酸亜鉛、硫酸亜鉛、スルホン酸亜鉛、タンニン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、テトラメタリン酸亜鉛(zinc tetrametaphosphate)、チタン酸亜鉛、トランスフェリン亜鉛(zinc transferring)、トリポリリン酸亜鉛(zinc tripolyphosphate)、ウンデシレン酸亜鉛、吉草酸亜鉛(zinc valerate)、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項50記載の方法。
【請求項52】
酢酸亜鉛を含むことを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項53】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛キレートを含むことを特徴とする請求項47記載の方法。
【請求項54】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛複合体を含むことを特徴とする請求項47記載の方法。
【請求項55】
キャリアが皮膚科学的に許容されるキャリアであり、保湿剤(moisturizer)を更に含むことを特徴とする請求項47記載の方法。
【請求項56】
1種又は2種以上の亜鉛含有成分が、約10mMから約100mMの濃度で組成物に存在することを特徴とする請求項47記載の方法。
【請求項57】
1種又は2種以上の亜鉛含有成分が約100mMから約10mMの濃度で組成物に存在することを特徴とする請求項47記載の方法。
【請求項58】
皮膚科学的又は薬学的に許容可能なキャリアと混合された1種又は2種以上の亜鉛含有成分から基本的に構成される皮膚科学的又は薬学的に許容可能な組成物を、歯茎に有効な量で局所的に使用することを含む、歯茎の後退又は衰えを予防するための対象者の歯茎を治療する方法。
【請求項59】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛化合物を含むことを特徴とする請求項58記載の方法。
【請求項60】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛塩を含むことを特徴とする請求項58記載の方法。
【請求項61】
1種又は2種以上の亜鉛塩が、酢酸亜鉛、アスコルビン酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、酪酸亜鉛、カプロン酸亜鉛、カプリル酸亜鉛、炭酸亜鉛、クロム酸亜鉛、シトラコン酸亜鉛(zinc citraconate)、シトラマル酸亜鉛(zinc citramalate)、クエン酸亜鉛、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ギ酸亜鉛、フマル酸亜鉛、没食子亜鉛(zinc gallate)、グルコン酸亜鉛、ハロゲン化亜鉛、ヨウ化亜鉛、乳酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、zinc laureate、リンゴ酸亜鉛、マレイン酸亜鉛、マロン酸亜鉛(zinc malonate)、メタリン酸亜鉛、メタスルホン酸亜鉛(zinc methanesulfonate)、モノリン酸亜鉛(zinc monophosphate)、ミリスチン酸亜鉛、硝酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オロト酸亜鉛(zinc orotate)、オルトリン酸亜鉛、ショウ酸亜鉛、酸化亜鉛、パルミチン酸亜鉛、過マンガン酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、リン酸亜鉛、ピコリン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、サルチル酸亜鉛、セレン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、コハク酸亜鉛、硫酸亜鉛、スルホン酸亜鉛、タンニン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、テトラメタリン酸亜鉛(zinc tetrametaphosphate)、チタン酸亜鉛、トランスフェリン亜鉛(zinc transferring)、トリポリリン酸亜鉛(zinc tripolyphosphate)、ウンデシレン酸亜鉛、吉草酸亜鉛(zinc valerate)、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項60記載の方法。
【請求項62】
組成物が酢酸亜鉛を含むことを特徴とする請求項61記載の方法。
【請求項63】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛キレートを含むことを特徴とする請求項58記載の方法。
【請求項64】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛複合体を含むことを特徴とする請求項58記載の方法。
【請求項65】
キャリアが皮膚科学的に許容されるキャリアであり、保湿剤(moisturizer)を更に含むことを特徴とする請求項58記載の方法。
【請求項66】
1種又は2種以上の亜鉛含有成分が約1.0pMから約900mMの濃度で組成物に存在することを特徴とする請求項58記載の方法。
【請求項67】
1種又は2種以上の亜鉛含有成分が約100pMから約500mMの濃度で組成物に存在することを特徴とする請求項58記載の方法。
【請求項68】
エラスチンの増加に有効な量の1種又は2種以上の亜鉛含有成分を、眼のレンズの周辺で提供することを含む、眼の水晶体のエラスチン含有量を増加させる方法。
【請求項69】
亜鉛化合物、亜鉛キレート及び亜鉛複合体からなる群によって構成されるグループから1種又は2種以上の亜鉛含有成分が選択されることを特徴とする請求項68記載の方法。
【請求項70】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛化合物を含むことを特徴とする請求項68記載の方法。
【請求項71】
組成物が1種又は2種以上の亜鉛塩を含むことを特徴とする請求項68記載の方法。
【請求項72】
1種又は2種以上の亜鉛塩が、酢酸亜鉛、アスコルビン酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、酪酸亜鉛、カプロン酸亜鉛、カプリル酸亜鉛、炭酸亜鉛、クロム酸亜鉛、シトラコン酸亜鉛(zinc citraconate)、シトラマル酸亜鉛(zinc citramalate)、クエン酸亜鉛、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ギ酸亜鉛、フマル酸亜鉛、没食子亜鉛(zinc gallate)、グルコン酸亜鉛、ハロゲン化亜鉛、ヨウ化亜鉛、乳酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、zinc laureate、リンゴ酸亜鉛、マレイン酸亜鉛、マロン酸亜鉛(zinc malonate)、メタリン酸亜鉛、メタスルホン酸亜鉛(zinc methanesulfonate)、モノリン酸亜鉛(zinc monophosphate)、ミリスチン酸亜鉛、硝酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オロト酸亜鉛(zinc orotate)、オルトリン酸亜鉛、ショウ酸亜鉛、酸化亜鉛、パルミチン酸亜鉛、過マンガン酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、リン酸亜鉛、ピコリン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、サルチル酸亜鉛、セレン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、コハク酸亜鉛、硫酸亜鉛、スルホン酸亜鉛、タンニン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、テトラメタリン酸亜鉛(zinc tetrametaphosphate)、チタン酸亜鉛、トランスフェリン亜鉛(zinc transferring)、トリポリリン酸亜鉛(zinc tripolyphosphate)、ウンデシレン酸亜鉛、吉草酸亜鉛(zinc valerate)、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項71記載の方法。
【請求項73】
組成物が酢酸亜鉛を含むことを特徴とする請求項68記載の方法。
【請求項74】
、コンタクトレンズの表面に前記の1種又は2種以上の亜鉛含有成分を使用し、眼に前記のコンタクトレンズを装用することによって、亜鉛含有成分が提供されることを特徴とする請求項68記載の方法。
【請求項75】
組織とコンタクトレンズの接触面に0.1mMから100mMの局所的な亜鉛イオン濃度を生成する量の1種又は2種以上の亜鉛含有成分が、コンタクトレンズの表面に存在することを特徴とする請求項74記載の方法。
【請求項76】
約1pMから約500mMの濃度の1種又は2種以上の亜鉛含有成分を表面に有するコンタクトレンズ。
【請求項77】
約100pMから約50mMまでの濃度の、1種又は2種以上の亜鉛含有成分を表面に有するコンタクトレンズ。
【請求項78】
組織の性質を変える組成物であって、改質が、脂肪組織の増加又は減少、表皮厚の増加又は減少、及びエラスチン含有量の増加からなる群から選択され、組織の性質を変える組成物が、皮膚科学的又は薬学的に許容されるキャリアと混合された1種又は2種以上の有効な量の亜鉛含有成分から基本的に構成されることを特徴とする組織の特質を変える組成物。
【請求項79】
組織のエラスチン含有量を増加させる請求項78記載の組成物。
【請求項80】
亜鉛含有成分の濃度が、約1.0pMから約900mMであることを特徴とする請求項79記載の組成物。
【請求項81】
亜鉛含有成分の濃度が約100pMから約500pMであることを特徴とする請求項79記載の組成物。
【請求項82】
酢酸亜鉛を含む請求項79記載の組成物。
【請求項83】
組織の脂肪組織を増加させる請求項78記載の組成物。
【請求項84】
亜鉛含有成分の濃度が約1.0pMから約900mMであることを特徴とする請求項83記載の組成物。
【請求項85】
亜鉛含有成分の濃度が約100pMから約500mMであることを特徴とする請求項83記載の組成物。
【請求項86】
酢酸亜鉛を含む請求項83記載の組成物。
【請求項87】
組織の脂肪含有量を減少させる請求項78記載の組成物。
【請求項88】
亜鉛含有成分の濃度が約190mMから約100mMであることを特徴とする請求項87記載の組成物。
【請求項89】
亜鉛含有成分の濃度が約100mMから約10mMであることを特徴とする請求項87記載の組成物。
【請求項90】
酢酸亜鉛を構成する請求項87記載の組成物。
【請求項91】
表皮厚を増加させる請求項78記載の組成物。
【請求項92】
亜鉛含有成分の濃度が約1.0pMから約900mMであることを特徴とする請求項91記載の組成物。
【請求項93】
亜鉛含有成分の濃度が約100pMから約500mMであることを特徴とする請求項91記載の組成物。
【請求項94】
酢酸亜鉛を含む請求項91記載の組成物。
【請求項95】
表皮厚を減少させる請求項78記載の組成物。
【請求項96】
亜鉛含有成分の濃度が約10mMから約100mMであることを特徴とする請求項95記載の組成物。
【請求項97】
亜鉛含有成分の濃度が約100mMから約10mMまでであることを特徴とする請求項95記載の組成物。
【請求項98】
酢酸亜鉛を含む請求項95記載の組成物。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2006−507291(P2006−507291A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548429(P2004−548429)
【出願日】平成15年10月22日(2003.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2003/033598
【国際公開番号】WO2004/039238
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(504319459)エッセンティア バイオシステムズ インク (12)
【Fターム(参考)】