説明

組電池の管理装置

【課題】複数個の電池セルBijの直列接続体として構成される組電池10における電池セルBijのいくつかからなるブロック内の電池セルBijの状態を管理するに際し、バイパスコンデンサの数が増大すること。
【解決手段】隣接する管理ユニットUp,Uq(p=2x−1、q=p+1:x=1,2,3,…)及びブロックの電池セルBp1〜Bpm、Bq1〜Bqmの両端とは、電源ラインとしての電気経路Lp1、Lp(m+1)、Lq(m+1)によって接続されている。これらのうちの隣接する2つの電気経路Lp1及び電気経路Lp(m+1)間と、電気経路Lp(m+1)及び電気経路Lq(m+1)間には、コンデンサCp1,Cp2及びコンデンサCp2,Cp3がそれぞれ直列接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個の電池セルの直列接続体として構成される組電池における単一の電池セル及び隣接するいくつかからなる電池セルのいずれかである単位電池の状態を管理する組電池の管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の管理装置としては、例えば下記特許文献1に見られるように、組電池の各電池セルの電圧を均等化すべく、各電池セルの電圧を管理し、他の電池セルと比較して高電圧の電池セルを放電するものも提案されている。ここで、電池セルの電圧を管理し、また同電池セルを放電させるための管理ユニットは、通常、管理対象となる電池セルの電圧を電源とする。
【0003】
なお、この種の管理装置としては、上述したものに限らず、例えば下記特許文献2に記載されるものもある。
【特許文献1】特開2000−92733号公報
【特許文献2】特表2002−521792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記各電池セルの状態を管理する管理ユニットは、管理対象となる電池セルを電圧源とするため、管理ユニットの動作に伴って一時的に管理ユニット内の電圧降下が顕著となり、管理ユニットが不安定化するおそれがある。また、電池セル及び管理ユニット間を接続する電気経路にノイズが混入することで、管理ユニットが誤動作するおそれもある。
【0005】
こうした回路の動作の不安定化を回避すべく、動作を安定させたい回路と電源とを結ぶ一対の電源ライン間にバイパスコンデンサを接続することが周知である。バイパスコンデンサを接続することで、一対の電源ライン間の電圧の変動を抑制することができる。
【0006】
ただし、バイパスコンデンサの両電極間が短絡する故障が生じる場合には、電源が短絡されることとなり、ひいては電源の電力を無駄に消費することとなる。このため、バイパスコンデンサを用いる際には、一対の電源ライン間に複数のバイパスコンデンサを直列接続することで、バイパスコンデンサの上記故障に対処する。
【0007】
しかし、このようにバイパスコンデンサの故障を想定して冗長設計する場合、必要なバイパスコンデンサの数が増大する。特に組電池の管理装置にあっては、管理ユニット数が多くなる傾向にあるため、必要なバイパスコンデンサの数が膨大となるおそれがある。また、バイパスコンデンサの実装によって回路面積が増大したり、管理装置及び組電池間の配線に制約が生じたりする問題もある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数個の電池セルの直列接続体として構成される組電池における単一の電池セル及び隣接するいくつかからなる電池セルのいずれかである単位電池の状態を管理するに際し、バイパスコンデンサの数の増大を好適に抑制することのできる組電池の管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
【0010】
請求項1記載の発明は、前記各単位電池の電極と当該管理装置とを接続する電気経路のうちの一対の電気経路間に複数のコンデンサが直列接続されて且つ、前記一対の電気経路の間に挟まれた電気経路と前記直列接続されるコンデンサ同士の接続点との間に、コンデンサが更に接続されてなることを特徴とする。
【0011】
上記発明では、一対の電気経路間にコンデンサが接続されているために、これら一対の電気経路間の電圧が変動したり、これら一対の電気経路の電圧がノイズの混入によって大きく変動したりすることを好適に回避することができる。また、上記挟まれた電気経路と一対の電気経路のそれぞれとの間にもコンデンサが接続されているために、上記挟まれた電気経路と一対の電気経路のいずれかとの間の電圧が変動したり、上記挟まれた電気経路の電圧がノイズの混入によって大きく変動したりすることを好適に回避することができる。
【0012】
更に、上記発明では、一対の電気経路間や、上記挟まれた電気経路と一対の電気経路のいずれかとの間には、複数個のコンデンサが接続されているため、これらコンデンサのいずれかが短絡故障したとしても、単位電池の両電極間が短絡することを回避することができる。
【0013】
しかも、上記挟まれた電気経路及び直列接続されるコンデンサ間にコンデンサが更に接続されるために、一対の電気経路のいずれか一方と上記挟まれた電気経路との間に接続されるコンデンサの一部が、一対の電気経路のいずれか他方と上記挟まれた電気経路との間に接続されるコンデンサと共有されることとなる。このため、コンデンサの短絡異常に対処しつつもコンデンサの数の増大を好適に抑制することができる。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記各単位電池が管理対象として割り振られて且つ、該割り振られた単位電池と並列接続されることで当該単位電池を電源とする複数の管理ユニットを備え、前記一対の電気経路が、互いに隣接する複数個の管理ユニットの電源ラインのうちの両端の電源ラインであって且つ、前記一対の電気経路間の電気経路が前記複数個の管理ユニットの電源ラインのうちの両端以外の電源ラインであることを特徴とする。
【0015】
上記発明では、各管理ユニットの一対の電源ライン間に複数のコンデンサが接続されるために、各管理ユニットの動作を安定させつつも、コンデンサの短絡異常時に単位電池の両電極間が短絡されることを回避することができる。しかも、こうした効果を有しつつも、コンデンサの数の増大を好適に抑制することができる。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項2の発明において、前記単位電池は、複数の電池セルによって構成されており、前記単位電池を構成する電池セルの電極を前記管理ユニットと接続する電気経路のうちの前記電源ライン以外の電気経路と、前記電源ライン間に接続される複数のコンデンサ同士の接続点との間に、コンデンサが更に接続されてなることを特徴とする。
【0017】
上記発明では、電源ライン以外の電気経路のうちの一対の電気経路間や、電源ライン以外の電気経路と電源ラインとの間に、複数のコンデンサが接続されることとなる。このため、コンデンサの短絡時に電池セルの両電極間が短絡することを回避しつつ、電源ラインのみならず、電源ライン以外の電気経路の電圧の変動をも抑制することができる。更に、この際、電源ライン間に直列接続される複数のコンデンサの接続点と電源ライン以外の電気経路との間にコンデンサが更に接続されるために、各電気経路間に接続されるコンデンサの一部が、隣接する電気経路間同士で共有されることとなる。このため、コンデンサの短絡異常に対処しつつもコンデンサの数の増大を好適に抑制することができる。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項2又は3記載の発明において、前記管理ユニットのうち前記複数個の2倍未満の所定数を除いた管理ユニットは、前記互いに隣接する複数個の管理ユニットに均等分割されてなることを特徴とする。
【0019】
上記請求項2又は3記載の発明によれば、複数の管理ユニットの数を増加させるほど、コンデンサの数を低減できるとはいえ、管理ユニットの数が増加すればするほど、コンデンサに要求される耐圧が上昇する。この点、上記発明では、管理ユニットのうち複数個の2倍未満の所定数を除く全てが、互いに隣接する複数個の管理ユニットに均等分割され、これら複数個の管理ユニットと対応する単位電池とを接続する電気経路である電源ラインには、上記請求項2又は3記載の態様にてコンデンサが接続される。このため、コンデンサの耐圧は、均等分割された複数個の管理ユニットの数に依存することとなるため、この管理ユニットの数を適宜調節することで、コンデンサの耐圧の上昇を抑制することができる。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記単位電池のうちの複数が管理対象として割り振られて且つ、該割り振られた複数の単位電池の両端の電極と並列接続されることで当該複数の単位電池を電源とする複数個の管理ユニットを備え、前記一対の電気経路が、前記複数の単位電池の電極を前記管理ユニットと接続する電気経路のうちの前記管理ユニットの一対の電源ラインであることを特徴とする。
【0021】
上記発明では、複数の単位電池の各電極と管理ユニットとを接続する電気経路のうち隣接する一対の電気経路に、複数のコンデンサが接続されることとなるため、コンデンサの短絡時に電池セルの両電極間が短絡することを回避しつつ、一対の電源ラインのみならず、一対の電源ライン以外の電気経路の電圧の変動をも抑制することができる。更に、この際、上記電源ライン以外の電気経路及び複数のコンデンサの接続点間にコンデンサが更に接続されるために、各電気経路間に接続されるコンデンサの一部が、隣接する電気経路間同士で共有されることとなる。このため、コンデンサの短絡異常に対処しつつもコンデンサの数の増大を好適に抑制することができる。
【0022】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記複数のコンデンサが、2個のコンデンサからなることを特徴とする。
【0023】
上記発明では、複数のコンデンサを2個のコンデンサとすることで、短絡異常に対処するための必要最小限の設定とすることができ、ひいては、短絡異常に対処しつつも冗長性を極力抑制することができる。
【0024】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記コンデンサが、セラミックコンデンサであることを特徴とする。
【0025】
上記発明によれば、応答性の高いセラミックコンデンサを用いることで、バイパスコンデンサとしての機能を十分に発揮することができる。ただし、セラミックコンデンサの故障は短絡故障となる確率が極めて高いため、コンデンサの故障時には、単位電池や電池セルの両電極間が短絡するおそれがある。この点、上記発明では、一対の電源ライン等に必ず複数のコンデンサが接続される構成とするために、短絡異常に対処することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる組電池の管理装置をハイブリッド車に搭載される組電池の管理装置に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図1に、上記組電池及び管理装置の構成を示す。
【0028】
組電池10は、複数(ここではm×n個)のリチウム2次電池(電池セルB11〜Bnm)の直列接続体として構成されている。組電池10は、ブレーキ時の制動エネルギ等を車載発電機により電力回収する際の受け皿として機能するとともに、蓄えた電力を、DC−DCコンバータを介して低圧(例えば「12V」)の車載バッテリに供給するものである。また、組電池10は、車両加速時にはモータでエンジンをアシストする際の電力供給源として機能する。
【0029】
一方、管理装置20は、「m(≧2)」個ずつの電池セルB11〜B1m,…,Bn1〜Bnmを、1つのブロックとして、ブロックの状態を管理する管理ユニットU1〜Unを備えている。そして、各管理ユニットUi(i=1〜n)には、それぞれブロック内の電池セルBij(j=1〜m)の両電極間と接続される電気経路Lik(k=1〜m+1)が接続されている。ただし、隣接するブロック間の電気経路Li(m+1)及び電気経路L(i+1)1は、互いに共有される同電位の電気経路である。
【0030】
管理ユニットU1では、電気経路L1kを介してブロック内の各電池セルB1jの両電極間の電圧が過度に高くないか、あるいは過度に低くないかを監視する。そして、この監視結果は、隣接する下流の管理ユニットU2に出力される。下流の管理ユニットU(i+1)(i=1〜n−1)では、上流の管理ユニットUiによって出力された監視結果と自己の監視結果とを論理合成して、更に下流の管理ユニットU(i+2)に出力する。こうして最下流の管理ユニットUnでは、全ての管理ユニットUiの監視結果の論理合成信号を生成することとなる。なお、この論理合成としては、例えば、電池セルBijの電圧が過度に高いか否かを監視する場合、各ブロックの電池セルBijのいずれか1つでも電圧が過度に高いものがある場合に監視結果信号を論理「H」とし、論理合成信号は、合成対象となる2つの信号の少なくとも2つが論理「H」であるときに、論理「H」となるものとすればよい。これにより、最下流の管理ユニットUnの生成する論理合成信号である全ての管理ユニットUiの監視結果の論理合成信号が論理「H」であるときには、電池セルBijの少なくとも1つの電圧が過度に高いと判断することができる。なお、この論理合成信号は、管理装置20の外部に出力される。
【0031】
上記管理ユニットUiは、ブロックを構成する電池セルBi1〜Bimを電源とし、電池セルBi1〜Bimの両端の電圧によって動作する。ただし、この場合、管理ユニットUi内部による電圧降下によって、また、電源ラインとしての電気経路Li1,Li(m+1)にノイズが混入することによって、管理ユニットUiの動作が不安定となるおそれがある。そこで本実施形態では、図示されるように、各管理ユニットUp(p=2x−1:x=1、2、3、…)の電源ラインとしての電気経路Lp1及び電気経路Lp(m+1)間に直列に、コンデンサCp1及びコンデンサCp2を接続する。また、各管理ユニットUq(q=p+1)の電源ラインとしての電気経路Lq1及び電気経路Lq(m+1)間に直列に、コンデンサCp2及びコンデンサCp3を接続する。
【0032】
すなわち、図2(a)に示すように、管理ユニットUiを隣接する2つの管理ユニットUp,Uqに均等分割して且つ、これらの一対の電源ラインとしての電気経路Lp1及び電気経路Lp(m+1)間と、電気経路Lq1及び電気経路Lq(m+1)間とにコンデンサを接続する。これにより、ノイズの混入や管理ユニットUp,Uqによる電圧降下にかかわらず、これら各管理ユニットUp,Uqの一対の電源ラインとしての電気経路Lp1及び電気経路Lp(m+1)間の電圧や、電気経路Lq1及び電気経路Lq(m+1)間の電圧を安定させることができる。特にコンデンサCp1,Cp2,Cp3は、いずれもセラミックコンデンサが用いられている。セラミックコンデンサは高周波数特性を有するため、コンデンサCp1,Cp2,Cp3は、上記ノイズの混入や管理ユニットUp,Uqによる電圧降下に対して迅速に反応することができる。このため、バイパスコンデンサとしての機能を十分に発揮することができる。
【0033】
また、電気経路Lp1及び電気経路Lp(m+1)間、及び電気経路Lq1及び電気経路Lq(m+1)間のそれぞれにおいて、コンデンサを2つ直列接続する構成であるため、コンデンサのいずれか一つが短絡故障したとしても、ブロックの電池セルBp1〜Bpmや電池セルBq1〜Bqmの両電極間が短絡されることはない。このため、セラミックコンデンサが故障する場合、短絡故障となる可能性が極めて高いにもかかわらず、これに対処することができる。
【0034】
更に、電気経路Lp1及び電気経路Lp(m+1)間に接続されるコンデンサCp1,Cp2と、電気経路Lq1及び電気経路Lq(m+1)間に接続されるコンデンサCp2、Cp3とは、コンデンサCp2が共有されている。このため、例えば図2(b)に示す構成と比較して、コンデンサの数を「25%」削減することができる。このため、管理装置20の回路規模の増大を抑制することや、管理装置20内の配線の制約を低減することができる。
【0035】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0036】
(1)電気経路Lp1及び電気経路Lp(m+1)間に接続されるコンデンサCp1,Cp2と、電気経路Lq1及び電気経路Lq(m+1)間に接続されるコンデンサCp2、Cp3とで、コンデンサCp2を共有した。これにより、バイパスコンデンサの短絡異常に対処しつつもバイパスコンデンサの数の増大を好適に抑制することができる。
【0037】
(2)管理ユニットUiを、互いに隣接する2つの管理ユニットUp,Uqに均等分割して、これらの間で用いるバイパスコンデンサを共有した。これにより、コンデンサCp1,Cp3に対する要求耐圧を、2つのブロックの電池セルBp1〜Bpm,Bq1〜Bqmの両端の電圧程度に設定することができ、ひいては、要求耐圧の過度の上昇を抑制することができる。
【0038】
(3)電気経路Lp1及び電気経路Lp(m+1)間や、電気経路Lq1及び電気経路Lq(m+1)間に接続されるコンデンサの数を、2個とした。これにより、短絡異常に対処するための必要最小限の設定とすることができ、ひいては、短絡異常に対処しつつも冗長性を極力抑制することができる。
【0039】
(4)コンデンサCp1,Cp2,Cp3を、セラミックコンデンサとすることで、バイパスコンデンサとしての機能を十分に発揮することができる。
【0040】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に、図面を参照しつつ説明する。
【0041】
図3に、本実施形態にかかる組電池及び管理装置の構成を示す。
【0042】
図示されるように、本実施形態では、各管理ユニットUs(s=3x−2:x=1、2、3、…)の電源ラインとしての電気経路Ls1及び電気経路Ls(m+1)間に直列に、コンデンサCs1及びコンデンサCs2を接続する。また、各管理ユニットUt(t=p+1)の電源ラインとしての電気経路Lt1及び電気経路Lt(m+1)間に直列に、コンデンサCs2及びコンデンサCs3を接続する。更に、各管理ユニットUu(u=p+2)の電源ラインとしての電気経路Lu1及び電気経路Lu(m+1)間に直列に、コンデンサCs3及びコンデンサCs4を接続する。
【0043】
すなわち、図4(a)に示すように、管理ユニットUiを隣接する3つの管理ユニットUs,Ut,Uuに均等分割して且つ、これらの一対の電源ラインとしての電気経路Ls1及び電気経路Ls(m+1)間と、電気経路Lt1及び電気経路Lt(m+1)間と、電気経路Lu1及び電気経路Lu(m+1)間とに、コンデンサを接続する。
【0044】
これにより、電気経路Ls1及び電気経路Ls(m+1)間に接続されるコンデンサCs1及びコンデンサCs2と、電気経路Lt1及び電気経路Lt(m+1)間に接続されるコンデンサCs2及びコンデンサCs3とは、コンデンサCs2が共有されている。また、電気経路Lt1及び電気経路Lt(m+1)間に接続されるコンデンサCs2及びコンデンサCs3と、電気経路Lu1及び電気経路Lu(m+1)間に接続されるコンデンサCs3及びコンデンサCs4とは、コンデンサCs3が共有されている。
【0045】
このため、例えば図4(b)に示すものと比較して、コンデンサの数を「33%」低減することができる。
【0046】
以上説明した本実施形態によっても、先の第1の実施形態の上記(1)〜(4)の効果に準じた効果を得ることができる。
【0047】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に、図面を参照しつつ説明する。
【0048】
図5(a)に、管理ユニットUi及び電池セルBi1〜Bim間のバイパスコンデンサの接続態様を示す。
【0049】
図示されるように、本実施形態では、各管理ユニットUiと各電池セルBijの両電極とを接続する電気経路Lij及び電気経路Li(j+1)間に、それぞれ2つのコンデンサCij,Ci(j+1)を直列接続する。これにより、ノイズの混入によって各電気経路Lijの電圧が変動することを好適に抑制することができ、ひいては、各電池セルBijの状態をより高精度の監視することができる。
【0050】
この際、互いに隣接する一対の電気経路Lij,Li(j+1)と一対の電気経路Li(j+1),Li(j+2)とで、コンデンサCi(j+1)が共有されることとなる。これにより、図5(b)に示す場合と比較して、コンデンサの数を低減することができる。
【0051】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(3)、(4)に準じた効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
【0052】
(5)各管理ユニットUiと各電池セルBijの両電極とを接続する電気経路Lij及び電気経路Li(j+1)間に、それぞれ2つのコンデンサCij,Ci(j+1)を直列接続した。これにより、ノイズの混入によって各電気経路Lijの電圧が変動することを好適に抑制することができる。
【0053】
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に、図面を参照しつつ説明する。
【0054】
図6に、管理ユニットUp、Uq(p=2x−1、q=p+1:x=1,2,3,…)及び電池セルBp1〜Bpm、Bq1〜Bqmの構成を示す。
【0055】
本実施形態では、互いに隣接する2つの管理ユニットUp,Uqの両端の電源ラインとしての電気経路Lp1及び電気経路Lq(m+1)間に、2つのコンデンサCp1、Cq(m+1)を直列接続する。また、電池セルBp1〜Bpm、Bq1〜Bqmの両電極と管理ユニットUp、Uqとを接続する電気経路のうちの上記両端の電源ライン以外の電気経路Lpα(α=2〜m+1)、Lqβ(β=2〜m:Lq1は、Lp(m+1)と表記)と、上記コンデンサCp1,Cq(m+1)の接続点との間に、コンデンサCpα、Cqβをそれぞれ接続する。
【0056】
これにより、管理ユニットUp、Uqと接続される電気経路Lpm、Lqm(m=1〜m+1)のうち、互いに隣接する一対の電気経路間でコンデンサが共有される。これにより、先の第3の実施形態の場合よりも更にコンデンサの数を低減することができる。
【0057】
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に、図面を参照しつつ説明する。
【0058】
図7に、本実施形態にかかる組電池及び管理装置の構成を示す。
【0059】
図示されるように、本実施形態においても、最下流のブロック(第nブロック)を除いた管理ユニットU1〜U(n−1)を、隣接する2つの管理ユニットUp,Uq(p=2x−1、q=p+1:x=1,2,3,…)に分割し、これらに対して、先の図2に示した態様にてコンデンサを接続する。そして、最下流のブロックの管理ユニットUnについては、一対の電源ラインとしての電気経路Ln1、Ln(m+1)間に2つのコンデンサを独立に直列接続する。
【0060】
これは、ブロックの数が奇数(n=2y+1)であるためになされる処置である。
【0061】
以上説明した本実施形態によっても、先の第1の実施形態の上記(1)〜(4)の各効果に準じた効果を得ることができる。
【0062】
(第6の実施形態)
以下、第6の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に、図面を参照しつつ説明する。
【0063】
図8に、本実施形態にかかる組電池及び管理装置の構成を示す。本実施形態においても、最下流の2つのブロック(第nブロック及び第(n−1)ブロック)を除いた管理ユニットU1〜U(n−2)を、隣接する3つの管理ユニットUs,Ut,Uu(s=3x−2、t=s+1、u=s+2:x=1,2,3,…)に分割し、これらに対して、先の図4に示した態様にてコンデンサを接続する。そして、最下流の2つのブロックの管理ユニットU(n−1),Unについては、先の図2に示した態様にてコンデンサを直列接続する。
【0064】
これは、ブロックの数が3で割って2余る数(例えば「80」)であるためになされる処置である。
【0065】
以上説明した本実施形態によっても、先の第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0067】
・上記第5の実施形態において、最下流の3つのブロックを除いた管理ユニットU1〜U(n−3)を、隣接する2つの管理ユニットUp,Uqに均等分割し、これらに対して先の図2に示した態様にてコンデンサを接続するとともに、管理ユニットU(n−2)〜Unについては、先の図4に示した態様にてコンデンサを接続してもよい。ただし、先の第5の実施形態のように、コンデンサの接続パターンを定める単位となる複数個の管理ユニットUp,Uqの数未満の管理ユニットを除いて管理ユニットUiを均等分割することが望ましい。
【0068】
・n個の管理ユニットUiを、互いに隣接する複数個の管理ユニットによって分割する際の上記複数個としては、2個又は3個に限らない。この数が増加するほど、コンデンサの数を低減することができる。
【0069】
・管理ユニットとしては、各電池セルBijの状態を監視するものに限らない。例えば、ブロック毎の電池セルBi1〜Bimの電圧を、ブロック間で均等化すべく、電圧の高いものを放電させる放電回路であってもよい。これは、例えば電池セルBij単位の放電回路である上記特許文献1記載の回路を、ブロック単位の放電回路として用いればよい。この場合、ブロックの電池セルBi1〜Bimと管理ユニットとを接続する電気経路としては、電源ラインとしての電気経路Li1、Li(m+1)の2本で足りる。
【0070】
・管理装置20としては、ブロック単位の電池セルBi1〜imを電源とする管理ユニットを備えるものに限らない。この場合であっても、組電池10の各電池セルBijやブロック単位の電池セルBi1〜imの状態を管理するに際し、ノイズの影響を抑制する観点からバイパスコンデンサを用いることが望まれる。そして、その数は、電池セルBijの数やブロックの数が多いほど多くなるため、コンデンサの数を抑制するうえでは本発明の適用は有効である。
【0071】
・コンデンサとしては、セラミックコンデンサに限らない。ただし、高周波数応答特性を有するものが望ましい。周波数特性が比較的良好な他のコンデンサとしては、タンタルコンデンサがある。このタンタルコンデンサについてもその故障は短絡故障となる可能性が極めて高いため、これに対処するための冗長設計が望まれる。このため、タンタルコンデンサを用いる場合であってもコンデンサの数が膨大となりやすいために、本発明の適用が特に有効である。
【0072】
・組電池としては、ハイブリッド車に搭載されるものに限らず、例えば電気自動車に搭載されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第1の実施形態にかかる組電池及びその管理装置の全体構成を示す図。
【図2】同実施形態にかかるバイパスコンデンサの接続パターンを示す図。
【図3】第2の実施形態にかかる組電池及びその管理装置の全体構成を示す図。
【図4】同実施形態にかかるバイパスコンデンサの接続パターンを示す図。
【図5】第3の実施形態にかかるバイパスコンデンサの接続パターンを示す図。
【図6】第4の実施形態にかかるバイパスコンデンサの接続パターンを示す図。
【図7】第5の実施形態にかかる組電池及びその管理装置の全体構成を示す図。
【図8】第6の実施形態にかかる組電池及びその管理装置の全体構成を示す図。
【符号の説明】
【0074】
10…組電池、20…管理装置、Bij…電池セル、Ui…管理ユニット、Cij…コンデンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の電池セルの直列接続体として構成される組電池における単一の電池セル及び隣接するいくつかからなる電池セルのいずれかである単位電池の状態を管理する組電池の管理装置において、
前記各単位電池の電極と当該管理装置とを接続する電気経路のうちの一対の電気経路間に複数のコンデンサが直列接続されて且つ、前記一対の電気経路の間に挟まれた電気経路と前記直列接続されるコンデンサ同士の接続点との間に、コンデンサが更に接続されてなることを特徴とする組電池の管理装置。
【請求項2】
前記各単位電池が管理対象として割り振られて且つ、該割り振られた単位電池と並列接続されることで当該単位電池を電源とする複数の管理ユニットを備え、
前記一対の電気経路が、互いに隣接する複数個の管理ユニットの電源ラインのうちの両端の電源ラインであって且つ、前記一対の電気経路間の電気経路が前記複数個の管理ユニットの電源ラインのうちの両端以外の電源ラインであることを特徴とする請求項1記載の組電池の管理装置。
【請求項3】
前記単位電池は、複数の電池セルによって構成されており、
前記単位電池を構成する電池セルの電極を前記管理ユニットと接続する電気経路のうちの前記電源ライン以外の電気経路と、前記電源ライン間に接続される複数のコンデンサ同士の接続点との間に、コンデンサが更に接続されてなることを特徴とする請求項2記載の組電池の管理装置。
【請求項4】
前記管理ユニットのうち前記複数個の2倍未満の所定数を除いた管理ユニットは、前記互いに隣接する複数個の管理ユニットに均等分割されてなることを特徴とする請求項2又は3記載の組電池の管理装置。
【請求項5】
前記単位電池のうちの複数が管理対象として割り振られて且つ、該割り振られた複数の単位電池の両端の電極と並列接続されることで当該複数の単位電池を電源とする複数個の管理ユニットを備え、
前記一対の電気経路が、前記複数の単位電池の電極を前記管理ユニットと接続する電気経路のうちの前記管理ユニットの一対の電源ラインであることを特徴とする請求項1記載の組電池の管理装置。
【請求項6】
前記複数のコンデンサが、2個のコンデンサからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の組電池の管理装置。
【請求項7】
前記コンデンサが、セラミックコンデンサであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の組電池の管理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−148396(P2008−148396A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330091(P2006−330091)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】