説明

経口投与用のリン酸塩結合性ポリマー

胃腸管からリン酸塩を除去するためのリン酸塩結合性ポリマーが提供される。このポリマーは経口的に投与されそして過リン酸塩血症(hyperphosphatemia)の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
経口投与用のリン酸塩結合性ポリマー 発明の背景技術 本発明は、経口投与用のリン酸塩結合性ポリマーに関する。
腎機能不全、上皮小体機能減退症あるいはある種の他の医療を必要とする状態の人々は、血清リン酸塩レベルが6mg/dLを超える過リン酸塩血症にたびたびかかる。過リン酸塩血症は、特に長期間に渡って存在すると、カルシウムやリンの代謝における重篤な異常をきたす。このことは関節、肺や目の異常な石灰化により明らかになることが少なくない。
血清中リン酸塩を減少させる治療行為は、透析、食物リン酸塩の減少と胃腸での吸収を減少させる不溶性リン酸塩結合体の経口投与を包含する。透析と食物リン酸塩の減少は通常、過リン酸塩血症を適切に改善するには不充分であり、それ故、リン酸塩結合体の使用がこれらの患者の処置に日常的に必要である。リン酸塩結合体には、カルシウムまたはアルミニウム塩、あるいはイオン交換樹脂のような有機ポリマーが含まれる。
腸内リン酸塩と結合し、吸収を阻害するために、カルシウム塩は広く用いられてきた。摂取したカルシウムはリン酸塩と結合し、Ca3(PO42、CaHPO4、あるいはCa(H2PO42のような不溶性リン酸カルシウム塩を生成する。炭酸カルシウム、酢酸カルシウム(薬剤“Phos

ウムそしてケト酸カルシウム塩などの異なった型のカルシウム塩がリン酸塩結合のために使用されてきた。これらの治療法すべてに伴う主な問題点は、摂取した高用量カルシウムの吸収によりたびたび生じる高カルシウム血症である。高カルシウム血症は心臓の不整脈、腎不全そして皮膚と内臓の石灰化のような重篤な副作用を生じる。カルシウムに基づくリン酸塩結合体での治療の間は、血清カルシウムレベルの頻繁な監視が必要である。


なアルミニウムに基づくリン酸塩結合体もまた、過リン酸塩血症の処置に使用されてきた。これらの化合物は腸内リン酸塩と複合体を作り、高度に不溶性のリン酸アルミニウムを生成させ、結合したリン酸塩は患者の吸収には利用されない。
アルミニウムゲルの長期使用は、アルミニウムの蓄積をもたらし、脳疾患、骨軟化症そして筋病のような症状を伴うアルミニウム毒性をたびたびもたらす。
リン酸塩結合に用いられてきた有機ポリマーは、イオン交換樹脂が典型的であった。試験された物は、XF 43311、XY 40013、XF 43254、XY 4001

換樹脂の塩化物型などである。これらの樹脂は、過リン酸塩血症の処置のためには、結合効率が悪い、リン酸塩吸収の顕著な減少のためには高用量の使用が必要であるといういくつかの欠点がある。さらに、イオン交換樹脂は胆汁酸塩も結合してしまう。
発明の概要 一般的に、本発明はイオン交換により患者からリン酸塩を除去する方法を特徴とし、摂取しても毒性のない安定なリン酸塩結合性ポリマーを少なくとも1つ含む組成物の治療法上有効量の経口投与を包含する。本発明のポリマーは架橋剤で架橋してもよい。好ましい架橋剤の例として、エピクロロヒドリン、1,4ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2エタンジオールジグリシジルエーテル、1,3−ジクロロプロパン、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジブロモプロパン、1,2−ジブロモエタン、スクシニルジクロリド、ジメチルスクシネート、トルエンジイソシアネート、アクリロイルクロリド、及びピロメリティックジアンヒドリドが含まれる。架橋剤は約0.5重量%から約75重量%、より好ましくは、約2重量%から約20重量%までの量で存在する。
「毒性のない」とは、治療法上有効量を摂取したとき、ポリマーもあるいはイオン交換時に体中に放出されるどんなイオンも有害でないことを意味する。
「安定な」とは、治療法上有効量を摂取した時、ポリマーが溶解せず、あるいは分解して副生成物を形成することがなく、そして体外へ結合リン酸塩を輸送できる程に実質的に無傷であり続けることを意味する。
「治療上有効量」とは、患者に投与した時、血清リン酸塩を減少させ得る組成物の量を意味する。
ひとつの態様では、ポリマーは下記式を有する反復単位により、

またはそのコポリマーにより特徴付けられる、上式におけるnは整数であり、Rはそれぞれ独立にH又は低級アルキル基(例、1から5の炭素原子を含む)、アルキルアミノ基(例、1から5の炭素原子を含む、エチルアミノ基のように)、又はアリール基(例、フェニル基)である。
第2の態様において、ポリマーは下記式を有する反復単位により

またはそのコポリマーにより特徴付けられる、上式におけるnは整数であり、Rはそれぞれ独立にH又は低級アルキル基(例、1から5の炭素原子を含む)、アルキルアミノ基(例、1から5の炭素原子を含む、エチルアミノ基のように)、又はアリール基(例、フェニル基)であり、X-はそれぞれ交換可能な負に荷電した対イオンである。
本発明の第2の態様に従うコポリマーの1例とは、下記式を有する第1の反復単位により特徴付けられる、

上式におけるnは整数であり、Rはそれぞれ独立にH又は低級アルキル基(例、1から5の炭素原子を含む)、アルキルアミノ基(例、1から5の炭素原子を含む、エチルアミノ基のように)、又はアリール基(例、フェニル基)であり、X-はそれぞれ交換可能な負に荷電した対イオンであり、そしてさらに下記式を有する第2の反復単位により特徴付けられる、

上式におけるnはそれぞれ独立に整数であり、Rはそれぞれ独立にH又は低級アルキル基(例、1から5の炭素原子を含む)、アルキルアミノ基(例、1から5の炭素原子を含む、エチルアミノ基のように)、又はアリール基(例、フェニル基)である。
第4の態様において、ポリマーは、下記式を有する反復単位により

またはそのコポリマーにより特徴付けられる、上式におけるnは整数であり、RはH又は低級アルキル基(例、1から5の炭素原子を含む)、アルキルアミノ基(例、1から5の炭素原子を含む、エチルアミノ基のように)、又はアリール基(例、フェニル基)である。
本発明の第2の態様に従うコポリマーの1例は、下記式を有する第1の反復単位により特徴付けられる、

上式におけるnは整数であり、RはH又は低級アルキル基(例、1から5の炭素原子を含む)、アルキルアミノ基(例、1から5の炭素原子を含む、エチルアミノ基のように)、又はアリール基(例、フェニル基)であり、さらに下記式を有する第2の反復単位により特徴付けられる、

上式におけるnはそれぞれ独立に整数であり、RはH又は低級アルキル基(例、1から5の炭素原子を含む)、アルキルアミノ基(例、1から5の炭素原子を含む、エチルアミノ基のように)、又はアリール基(例、フェニル基)である。
5番めの態様において、ポリマーは下記式を有する反復単位により

あるいはそのコポリマーにより特徴付けられる。上式におけるnは整数であり、R1とR2はそれぞれ独立にH又は低級アルキル基(例、1から5の炭素原子を含む)、アルキルアミノ基(例、1から5の炭素原子を含む、エチルアミノ基のように)、又はアリール基(例、フェニル基)であり、X-はそれぞれ交換可能な負に荷電した対イオンである。
本発明の第5の態様に従うひとつの好ましいポリマーにおいては、R基の少なくとも1つが水素基である。
6番目の態様において、ポリマーは下記式を有する反復単位により

あるいはそのコポリマーにより特徴付けられる。上式におけるnは整数であり、R1とR2はそれぞれ独立にH又は1から20の炭素原子を含むアルキル基、アルキルアミノ基(例、1から5の炭素原子を含む、エチルアミノ基のように)、又は1から12の原子を含むアリール基(例、フェニル基)である。
7番目の態様において、ポリマーは下記式を有する反復単位により

あるいはそのコポリマーにより特徴付けられる。上式におけるnは整数であり、R1とR2とR3はそれぞれ独立にH又は1から20の炭素原子を含むアルキル基、アルキルアミノ基(例、1から5の炭素原子を含む、エチルアミノ基のように)、又は1から12の原子を含むアリール基(例、フェニル基)であり、X-はそれぞれ交換可能な負に荷電した対イオンである。
すべての態様において、負に荷電した対イオンは、有機イオンでも、無機イオンでもあるいはそれらの組み合わせでも構わない。本発明の用途に適する無機イオンは、ハロゲン化物(特に塩化物)、リン酸塩、亜リン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、水酸化物、硝酸塩、過硫酸塩、亜硫酸塩そして硫化物を含む。適する有機イオンは、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、二水素化クエン酸塩、一水素化クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、タウロコール酸塩、グリココール酸塩、そしてコール酸塩を含む。
本発明は、特にカルシウムやアルミニウムのような臨床上好ましくない物質の吸収を同時に増加させることなく、胃腸管内のリン酸塩と結合することによりリン酸塩の血清レベルを下げるための有効な処置法を提供する。
他の特徴及び利点は、下記の好ましい態様の説明及び請求の範囲から明らかとなろう。
好ましい態様の説明 好ましいポリマーは、上記の発明の概要に述べた構造を有している。ポリマーは、いくつかの例では重合反応の間に、反応混合物に架橋剤を添加することにより架橋するのが好ましい。適切な架橋剤の例は、ジアクリレートとジメタクリレート(例、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート)、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、エピクロロヒドリン、トルエンジイソシアネート、エチレンビスメタクリルアミド、エチリデンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン、ビスフェノール A ジメタクリレート、ビスフェノール A ジアクリレート、1,4ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2エタンジオールジグリシジルエーテル、1,3−ジクロロプロパン、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジブロモプロパン、1,2−ジブロモエタン、スクシニルジクロリド、ジメチルスクシネート、アクリロイルクロリド、又はピロメリティックジアンヒドリドである。架橋剤とモノマーの総量に基づき、架橋剤の量は約0.5から約75重量%までが通常であり、好ましくは約1から約25重量%までである。
別の態様では、架橋剤は約2から約20重量%まで存在する。
いくつかの例では、ポリマーは重合反応後に架橋される。
そのような架橋を達成する1つの方法は2官能基を持つ架橋剤と該ポリマーとの反応を含むものである。かかる架橋剤としては例えば、エピクロロヒドリン、スクシニルジクロリド、ビスフェノール Aのジグリシジルエーテル、ピロメリティックジアンヒドリド、トルエンジイソシアネートそしてエチレンジアミン等がある。典型的な例はポリ(エチレンイミン)とエピクロロヒドリンとの反応である。この例では、ポリエチレンイミン(100部)を含む溶液にエピクロロヒドリン(1から100部)を加え、反応促進のため加熱する。すでに重合化した物質に架橋を施す別の方法は、イオン化放射、紫外線放射、電子ビーム、ラジカルそして熱分解にさらすことを含むが、それに限定されない。
実施例 リン酸塩含有溶液中、ポリマーの候補をpH7で3時間攪拌することにより試験を行った。小腸に存在する模擬状態となるように溶液を作成した。


試験の開始時に1回、試験終了時にもう1回、NaOH水溶液かHCl水溶液を用いてpHを7に調節した。3時間後、ポリマーをろ過除去し、試験溶液中の残存するリン酸塩濃度を分光光度法で測定した。ポリマーに結合したリン酸塩の量を測定するために、リン酸塩の初濃度と最終濃度の差を用いた。この結果を出発ポリマー1g当たりのミリ当量(meq/g)で表す。
下表はいくつかのポリマーで得られた結果を示す。高い数値はより効果的なポリマーを示す。


下表はリン酸塩の結合につき他の種々の物質を用いて得られた結果を示す。


下表はポリエチレンイミンと有機酸又は無機酸から作られた種々の塩で得られた結果を示す。




ポリマーであり、カルシウムはリン酸塩のようなイオンと結合するために利用できるが、ポリマーにより放出されず、従って、患者に吸収されないと考えられる。
ポリマーと無機ゲルの両方であるこれらの物質のすべてに結合するリン酸塩量は、リン酸塩濃度が変化するに従って変わると予想される。下記グラフは、溶液リン酸塩濃度とポリ(ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)に結合したリン酸塩量との関係を示す。他のポリマーも類似の関係を示すと予想されるであろう。


他の型の試験では、リン酸塩にさらす前に患者の胃で起こる可能性のある酸性環境にポリマーをさらした。その固体(0.1g)を40mLの0.1M NaClに懸濁した。この混合物を10分間攪拌し、1M HClでpHを3.0に調節し、ついで混合物を30分間攪拌した。混合物を遠心分離し、上清をデカンテーションし、固体を40mLの0.1m NaClに再懸濁した。この混合物を10分間攪拌し、1M HClでpHを3.0に調節し、ついで混合物を30分間攪拌した。混合物を遠心分離し、上清をデカンテーションし、個体残留物を通常のリン酸塩測定に用いた。種々のポリマーと水酸化アルミニウム乾燥ゲルについての結果を下記に示す。ほとんどの場合、リン酸塩結合量の値は通常の方法よりもこの試験法の方が高い。


ラット食餌性リン排泄モデル 6から8週齢のスプラーグ−ドーリー(Sprague-Dawley)ラットを6匹、代謝ケージ内に置き、0.28%の無機リンを含む半精製げっ歯類用粉末食物を与えた。11.7%のRenaStatTM〔例、ポリ(アリルアミン/エピクロロヒドリン)〕又は微結晶化セルロースを食餌に補給した;セルロース又はRenaStatTMをランダム順位で受け取ることにより、動物自身を対照として扱った。食餌に慣らすために、ラットを3日間自由に食餌させた。次の48時間中に排泄された糞便を集め、凍結乾燥し、粉状にした。無機リン酸塩含有量は、タウスキー(Taussky)やショアー(Shorr)の方法:無機リンの微量決定法に従って測定した。粉状糞便1gを、炭素を除くために燃やし、それから600℃のオーブンで灰化した。それから、リンを溶解させるため濃HClを加えた。硫酸鉄−モリブデン酸アンモニウム試薬でリンを測定した。Perkin−Elmer分光光度計で1cmセルを用い、700nmで青色の強度を測定した。
次のグラフに結果を示す。すべての動物において、糞便中のリン酸塩濃度が増加した。


部分腎切除したラットにおける尿中リン酸塩排泄 約8週齢のスプラーグ−ドーリーラットを75%腎切除した。一方の腎臓は外科的に取り除き、対側腎臓への腎動脈流の約50%を結さくした。動物に10%RenaStatTMあるいはセルロースと0.385%の無機リンを含む半精製げっ歯類用食物を与えた。特定の日に尿を集め、リン酸塩含有量を分析した。食餌から吸収されたリン酸塩は、血清中リン酸塩を維持するために尿中に排泄される。
次のグラフにその結果を示す。動物はすべて過リン酸塩血症または過リン酸塩尿症にならなかった、このことは、残った腎機能が吸収リン酸塩負荷をろ過するのに十分であったことを示す。RenaStatTMを受け取った動物は、リン酸塩の吸収低下の指標となるリン酸塩の排泄低下の傾向を示した。


合成 ポリ(アリルアミン)ヒドロクロリド。 1)窒素ガス差込み口を上部に持つ凝縮器と2)温度計と3)機械的攪拌子を装置した5Lの水ジャケット付反応釜に濃HCl(2590mL)を加えた。反応釜のジャケットに0℃の水を循環させることによりこの酸を5℃まで冷却した。温度を5から10℃に維持し攪拌しながらアリルアミン(2362mL;1798g)を滴下して加えた。添加完了後、60から70℃での真空蒸留により1338mLの液体を除いた。81mLの水に懸濁したアゾビス(アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(36g)添加した。釜を窒素雰囲気下に撹拌しながら24時間50℃で加熱した。81mLの水に懸濁したアゾビス(アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(36g)を再び加え、さらに44時間加熱と攪拌を続けた。蒸留水(720mL)を加え、攪拌しながら溶液を冷却した。その液体を攪拌中のメタノール溶液(30L)に滴下して加えた。それから固体をろ過で分取し、メタノール(30L)に再懸濁し、1時間撹拌し、ろ過により集めた。このメタノールリンスをもう1回繰り返し、固体を真空オーブン中で乾燥して、2691gの顆粒状の白色固体〔ポリ(アリルアミン)ヒドロクロリド〕を得た。
ポリ(アリルアミン/エピクロロヒドリン)
5ガロンのバケツにポリ(アリルアミン)ヒドロクロリド(2.5kg)と水(10L)を加えた。混合物を攪拌して溶解させ、固体のNaOHでpHを10に調節した。その溶液をバケツ中、室温まで冷却放置し、エピクロロヒドリン(250mL)を攪拌しながら1度にすべて加えた。約15分後にゲル状になるまでその混合物をゆっくり攪拌した。そのゲルを室温で18時間キュアリングし続けた。それからゲルを取り出し、イソプロパノール(約7.5L)と共にブレンダーに入れた。ゲルを500mLのイソプロパノールと約3分間ブレンダー中で混合して粗い粒子を形成させ、それからその固体をろ過により集めた。固体を9ガロンの水に懸濁し、その混合物を1時間攪拌し、それからろ過により集めることにより、固体を3回リンスした。その固体をイソプロパノール(60L)に懸濁し、混合物を1時間攪拌し、ろ過で集めることにより、もう1度リンスした。
その固体を18時間真空オーブン中で乾燥させて1.55kgの顆粒状のもろい白色固体を得た。
ポリ(アリルアミン/ブタンジオールジグリシジルエーテル)
5ガロンのプラスチックのバケツに、ポリ(アリルアミン)ヒドロクロリド(500g)と水(2L)を加えた。混合物を攪拌して溶解させ、固体のNaOH(142.3g)でpHを10に調節した。その溶液をバケツ中、室温まで冷却放置し、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(130mL)を攪拌しながら1度にすべて加えた。4分後にゲル状になるまでその混合物をゆっくり攪拌した。そのゲルを室温で18時間キュアリングし続けた。それからそのゲルを取り出し、75℃の真空オーブン中、24時間乾燥させた。乾燥固体を粉状にし、−30メッシュのふるいにかけ、それから6ガロンの水に懸濁した。1時間攪拌後、固体をろ取し、リンスの工程をさらに2回繰り返した。その固体をイソプロパノール(3ガロン)で2回リンスし、50℃の真空オーブン中で24時間乾燥させて580gの白色固体を得た。
ポリ(アリルアミン/エタンジオールジグリシジルエーテル)
100mLのビーカーに、ポリ(アリルアミン)ヒドロクロリド(10g)と水(40mL)を加えた。混合物を攪拌して溶解させ、固体のNaOHでpHを10に調節した。その溶液をビーカー中、室温まで冷却放置し、1,2−エタンジオールジグリシジルエーテル(2.0mL)を攪拌しながら1度にすべて加えた。そのゲルを室温で18時間キュアリングし続けた。それからゲルを取り出し、500mLのメタノールと混合した。その固体をろ取し、水(500mL)に懸濁した。1時間撹拌した後、固体をろ取し、リンスの工程を繰り返した。その固体をイソプロパノール(400mL)で2回リンスし、50℃の真空オーブン中で24時間乾燥させて8.7gの白色固体を得た。
ポリ(アリルアミン/ジメチルスクシネート)
500mLの丸底フラスコにポリ(アリルアミン)ヒドロクロリド(10g)
、メタノール(100mL)とトリエチルアミン(10mL)を加えた。混合物を攪拌し、ジメチルスクシネート(1mL)を加えた。溶液を加熱還流し、30分後攪拌を止めた。18時間後溶液を室温まで冷却し、固体をろ取し、水(1L)に懸濁した。1時間攪拌後、固体をろ取し、リンス工程をさらに2回繰り返した。その固体をイソプロパノール(800mL)で1回リンスし、50℃の真空オーブン中で24時間乾燥させて5.9gの白色固体を得た。
ポリ(アリルトリメチルアンモニウムクロリド)
マグネット攪拌子と温度計と上部に窒素注入口を持つ凝縮器を装着した500mLの三つ口フラスコに、エピクロロヒドリンで架橋したポリ(アリルアミン)
(5.0g)、メタノール(300mL)、ヨウ素化メチル(20mL)と炭酸ナトリウム(50g)を加えた。それから混合物を冷却し、全容量が2Lになるまで水を加えた。これ以上泡が生じなくなるまで濃HClを加え、残留固体をろ取した。その固体を10%のNaCl水(1L)中1時間攪拌した後ろ過して固体を回収することにより2回リンスを行った。それからその固体を水(2L)に懸濁し、1時間撹拌し、ろ過して固体を回収することにより、3回リンスをした。最後に、その固体を上述のようにメタノールでリンスし、50℃の真空オーブン中で18時間乾燥させて7.7gの白色粉状固体を得た。
ポリ(エチレンイミン)/アクリロイルクロリド
機械的攪拌子、温度計と追加ロートを装着した5Lの三つ口フラスコ内に、ポリエチレンイミン〔510gの50%水溶液(乾燥ポリマーの255gと等量)
〕とイソプロパノール(2.5L)を加えた。アクリロイルクロリド(50g)
を35分かけて追加ロートを通して滴下して加え、温度は29℃以下に保った。
それから、この溶液を18時間攪拌しながら60℃まで加熱した。その溶液を冷却し、すぐに固体をろ取した。その固体を水(2ガロン)に懸濁し、1時間攪拌し、ろ過して固体を回収することにより、3回リンスをした。その固体をメタノール(2ガロン)中に懸濁し、30分間攪拌し、ろ過して固体を回収することにより、1回リンスをした。最後に、その固体を上述のようにイソプロパノールでリンスし、50℃の真空オーブン中で18時間乾燥させて206gの薄オレンジ色の粉状固体を得た。


ポリ(ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)。
ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(10g)とメチレンビスアクリルアミド(1.1g)を100mLの三つ口フラスコ中の50mLの水に溶解した。
溶液を窒素雰囲気下に10分間攪拌した。過硫酸カリウム(0.3g)と二亜硫酸ナトリウム(0.3g)をそれぞれ2〜3mLの水に溶解後、混合した。数秒後、この溶液を窒素雰囲気下に保ったまま、モノマー溶液に加えた。直ちにゲルが生成し、一晩放置した。ゲルを取り出し、500mLのイソプロパノールと混合した。その固体をろ取し、アセトンで3回リンスした。固体の白色粉末をろ取し、真空オーブン中で乾燥させて6.1gを得た。


ポリ(メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)=〔ポリ(MAPTAC)〕。〔3−(メタクリロイルアミノ)プロピル〕トリメチルアンモニウムクロリド(38mLの50%水溶液)とメチレンビスメタクリルアミド(2.2g)をビーカー中で室温にて攪拌した。10mLのメタノールを加え、ビスアクリルアミドが完全に溶解するまでその溶液を40℃まで加温した。過硫酸カリウム(0.4g)を加え、溶液を2分間攪拌した。二亜硫酸カリウム(0.4g)を加え、攪拌を続けた。5分後その溶液を窒素雰囲気下に置いた。20分後その溶液は著量の沈澱物を含んでおり、一晩放置した。固体を3回イソプロパノールで洗い、ろ取した。それからその固体を500mLの水に懸濁し、数時間攪拌し、遠心分離により集めた。再び固体を水で洗い、ろ取した。それからその固体を真空オーブン中で乾燥させて21.96gを得た。


ポリ(エチレンイミン)“A”。ポリ(エチレンイミン)(50gの50%水溶液;Scientific Polimer Products)を水(100mL)に溶解した。エピクロロヒドリン(4.6mL)を滴下して加えた。その溶液を4時間55℃まで加温し、その後ゲル化した。そのゲルを取り出し、水(1L)と混合し、固体をろ取した。それを水(2L)に再懸濁し、10分間攪拌した。固体をろ取し、水で1回、イソプロパノールで2回リンスを繰り返し、生成したゲルを真空オーブン中で乾燥させて26.3gの弾性固体を得た。
ポリ(エチレンイミン)“B”ポリ(エチレンイミン)“C”。はそれぞれ9.2mLと2.3mLのエピクロロヒドリンを使用することを除いて、同様に合成された。
ポリ(メチルメタクリレートーコージビニルベンゼン)
メチルメタクリレート(50g)とジビニルベンゼン(5g)とアゾビスイソブチロニトリル(1.0g)をイソプロパノール(500mL)に溶解し、窒素雰囲気下に18時間加熱還流した。固体の白色沈澱物をろ取し、アセトンで1回(遠心分離により集めた)し、水で1回リンス(ろ取した)し、真空オーブン中で乾燥させて19.4gを得た。


ポリ(ジエチレントリアミンメタクリルアミド)
ポリ(メチルメタクリレートーコージビニルベンゼン)(20g)をジエチレントリアミン(200mL)に懸濁し、窒素雰囲気下に18時間加熱還流した。固体をろ取し、水(500mL)に再懸濁し、30分間攪拌し、ろ取し、水(500mL)に再懸濁し、30分間攪拌し、ろ取し、イソプロパノールで手早くリンスし、真空オーブン中で乾燥させて18.0gを得た。


ポリ(ペンタエチレンヘキサミンメタクリルアミド)ポリ(テトラエチレンペンタミンメタクリルアミド)ポリ(トリエチレンテトラアミンメタクリルアミド)をそれぞれ、ペンタエチレンヘキサミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラアミンからポリ(ジエチレントリアミンメタクリルアミド)と同様に合成した。
ポリ(メチルメタクリレート/PEI)。ポリ(メチルメタクリレートーコージビニルベンゼン)(1.0g)をヘキサノール(150mL)とポリエチレンイミン(15gの水に15g)を含む混合物に加えた。混合物を窒素雰囲気下に4日間加熱還流した。反応物を冷却し、固体をろ取し、メタノール(300mL)
に懸濁し、1時間攪拌してろ取した。イソプロパノールで1回リンスをくりかえし、固体を真空オーブン中で乾燥させて0.71gを得た。


ポリ(アミノエチルメタクリルアミド)
ポリ(メチルメタクリレートーコージビニルベンゼン)(20g)をエチレンジアミン(200mL)に懸濁し、窒素雰囲気下に3日間加熱還流した。その固体を遠心分離で集め、水(500mL)に再懸濁し、30分間攪拌し、固体をろ取することにより洗浄した。その固体をさらに2回水で、1回イソプロパノールで洗い、真空オーブン中で乾燥させて17.3gを得た。


ポリ(ジエチルアミノプロピルメタクリルアミド)
ポリ(メチルメタクリレートーコージビニルベンゼン)(20g)をジエチルアミノプロピルアミン(200mL)に懸濁し、窒素雰囲気下に18時間加熱還流した。固体をろ取し、水(500mL)に再懸濁し、ろ取し、水(500mL)
に再懸濁し、ろ取し、イソプロパノールで手早くリンスし、真空オーブン中で乾燥させて8.2gを得た。


NHS−アクリレート。N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS、157.5g)を5Lフラスコ中のクロロホルム(2300mL)に溶解した。溶液を0℃まで冷却し、温度を2℃以下に保ちながら、アクリロイルクロリド(132g)を滴下して加えた。完全に加えた後、溶液を1.5時間攪拌し、分液ロート中、水(1100mL)でリンスし、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を真空下に留去し、残留物に少量の酢酸エチルを加えた。この混合物を攪拌しながらヘキサン(200mL)中に注いだ。その溶液を加熱還流し、さらに酢酸エチル(400mL)を加えた。不溶のNHSをろ取し、ヘキサン(1L)を加え、溶液を加熱還流し、酢酸エチル(400mL)を加えてその溶液を10℃以下に冷却した。それから固体をろ取し、真空オーブン中で乾燥させて125.9gを得た。さらに冷却することにより、続いて2回めの収穫物80gを得た。


ポリ(NHS−アクリレート)。NHS−アクリレート(28.5g)、メチレンビスアクリルアミド(1.5g)とテトラヒドロフラン(500mL)を1Lフラスコ中で混合し、窒素雰囲気下に50℃まで加熱した。アゾビスイソブチロニトリル(0.2g)を加え、溶液を1時間攪拌し、過剰のN−ヒドロキシスクシンイミドを除くためにろ過し、窒素雰囲気下に4.5時間、50℃まで加熱した。それから溶液を冷却し、固体をろ取し、テトラヒドロフランでリンスし、真空オーブン中で乾燥させて16.1gを得た。


ポリ(グアニジノブチルアクリルアミド)。固体のNaOHでpHを9に調節したアグマチン(1.5g)を含む水(25mL)に、ポリ(NHS−アクリレート)(1.5g)を懸濁した。その溶液を4日間攪拌した後、pHは6.3まで下がっていた。全体で500mLになるように水を加え、30分間その溶液を攪拌し、固体をろ取した。その固体を水で2回、イソプロパノールで2回リンスし、真空オーブン中で乾燥させて0.45gを得た。


ポリ(メタクリロイルクロリド)。メタクリロイルクロリド(20mL)、ジビニルベンゼン(純度80%のものを4mL)、AIBN(0.4g)とTHF(150mL)を窒素雰囲気下に60℃で18時間攪拌した。溶液を冷却して固体をろ取し、THFそれからアセトンでリンスし、真空オーブン中で乾燥させて8.1gを得た。


ポリ(グアニジノブチルメタクリルアミド)。ポリ(メタクリロイルクロリド)(0.5g)、硫酸アグマチン(1.0g)、トリエチルアミン(2.5mL)とアセトン(50mL)を共に4日間攪拌した。水(100mL)を加えて、その混合物を6時間攪拌した。固体をろ取し、水(500mL)に再懸濁し、30分間攪拌して固体をろ取することにより、洗浄した。水で2回、メタノールで1回洗浄を繰り返し、固体を真空オーブン中で乾燥させて0.41gを得た。


ポリ(グアニジノアクリルアミド)。アグマチンを炭酸水素アミノグアニジン(5.0g)に置換して、ポリ(グアニジノブチルアクリルアミド)の手順に従い、0.75gを得た。
ポリ(PEH/EPI)。ペンタエチレンヘキサミン(20g)と水(100mL)を含む溶液に、温度を65℃以下に保ちながら、エピクロロヒドリン(21.5g)を滴下して加えた。溶液をゲル化するまで攪拌して、加熱(65℃)
を4時間続けた。室温で一晩放置後、ゲルを取り出し、水(1L)と混合した。
固体をろ取し、水(1L)を加え、混合とろ過を繰り返した。ゲルをイソプロパノールに懸濁し、生成した固体をろ取し、真空オーブン中で乾燥させて28.2gを得た。


エチリデンビスアセタミド。アセタミド(118g)、アセトアルデヒド(44.06g)、酢酸銅(0.2g)と水(300mL)を凝縮器、温度計と機械的攪拌子を備えた1Lの三つ口フラスコ中に入れた。濃HCl(34mL)を加え、混合物を45〜50℃に加熱しながら24時間攪拌した。それから水を真空中で除去すると厚いスラッジが残った。これを5℃まで冷却すると結晶が生成した。アセトン(200mL)を加えて数分間攪拌した後、その固体をろ取して捨てた。アセトンを0℃に冷却して固体をろ取した。この固体を500mLのアセトンでリンスし、18時間風乾して31.5gを得た。


ビニルアセタミド。温度計と機械的撹拌子とビグラックス(Vigroux)カラムの頂上に蒸留装置を付けた500mLの三つ口フラスコに、エチリデンビスアセタミド(31.05g)、炭酸カルシウム(2g)とシーライト541(2g)を入れた。ポットを180から225℃に加熱することにより混合物を35mmHgで真空蒸留した。生成物に加えアセタミドの大部分を含む単一のフラクション(10.8g)のみを集めた(NMRにより測定)。この固体生成物をイソプロパノール(30mL)に溶解し、重合に使用する粗溶液を作成した。


ポリ(ビニルアセタミド)。粗ビニルアセタミド溶液(15mL)、ジビニルベンゼン(1g、工業用、純度55%、異性体を含む)とAIBN(0.3g)を混合し、窒素雰囲気下で90分間、加熱還流すると固体の沈殿物が生じた。その溶液を冷却し、イソプロパノール(50mL)を加えて遠心分離により固体を集めた。その固体をイソプロパノールで2回、水で1回リンスして、真空オーブン中で乾燥させて0.
8gを得た。


ポリ(ビニルアミン)。ポリ(ビニルアセタミド)(0.79g)を25mLの水と25mLの濃HClを含む100mLの一口フラスコに入れた。混合物を5日間還流して固体をろ取し、水で1回、イソプロパノールで2回リンスして、真空オーブン中で乾燥させて0.77gを得た。この反応の生成物(約0.84g)をNaOH(46g)と水(46g)に懸濁して沸騰(約140℃)するまで加熱した。泡立つので温度を下げ、約100℃で2時間保温した。水(100mL)を加えて固体をろ取した。水で1回リンスした後、その固体を水(500mL)に懸濁して酢酸でpHを5に調節した。再び固体をろ取し、水それからイソプロパノールでリンスし、真空オーブン中で乾燥させて0.51gを得た。
ポリ(トリメチルアンモニオメチルスチレンクロリド)はトリメチルアンモニオメチルスチレンクロリドとジビニルベンゼンのコポリマーである。
ポリ(DET/EPI)はジエチレントリアミンとエピクロロヒドリンの反応により生じたポリマーである。
ポリ(エチレンイミン)塩類。ポリエチレンイミン(25gを25gの水に溶解)を水(100mL)に溶解してトルエン(1L)と混合した。エピクロロヒドリン(2.3mL)を加えて、混合物を18時間強力に機械的に撹拌しなから、60℃まで加熱した。混合物を冷却し、固体をろ取してメタノール(2L)に再懸濁し、1時間撹拌し、遠心分離により集めた。その固体を水(2L)に懸濁し、1時間撹拌し、ろ取し、水(4L)に懸濁し、1時間撹拌し、再びろ取した。固体をアセトン(4L)に懸濁し、15分間撹拌し、液体を流し去り、アセトン(2L)を加えて混合物を15分間撹拌し、再びアセトンを流し去り、固体を真空オーブン中で乾燥させて中間体“D”を合成した。
ポリ(エチレンイミンサルフェート A)。中間体“D”(1.0g)を水(150mL)に懸濁し、30分間撹拌し、硫酸(1.1g)で部分中和した。混合物をさらに30分間撹拌し、固体をろ取してメタノール(200mL)に再懸濁し、5分間撹拌し、ろ取し、真空オーブン中で乾燥させた。
ポリ(エチレンイミンサルフェート B)。中間体“D”(1.0g)を水(150mL)に懸濁し、30分間撹拌し、硫酸(0.57g)で部分中和した。混合物をさらに30分間撹拌し、固体をろ取してメタノール(200mL)に再懸濁し、5分間撹拌し、ろ取し、真空オーブン中で乾燥させた。
ポリ(エチレンイミンサルフェート C)。中間体“D”(1.0g)を水(150mL)に懸濁し、30分間撹拌し、硫酸(0.28g)で部分中和した。混合物をさらに30分間撹拌し、固体をろ取してメタノール(200mL)に再懸濁し、5分間撹拌し、ろ取し、真空オーブン中で乾燥させた。
ポリ(エチレンイミンサルフェート D)。中間体“D”(1.0g)を水(150mL)に懸濁し、30分間撹拌し、硫酸(0.11g)で部分中和した。混合物をさらに30分間撹拌し、固体をろ取してメタノール(200mL)に再懸濁し、5分間撹拌し、ろ取し、真空オーブン中で乾燥させた。
ポリ(エチレンイミンタートレート A)。中間体“D”(1.0g)を水(150mL)に懸濁し、30分間撹拌し、酒石酸(1.72g)で部分中和した。
混合物をさらに30分間撹拌し、固体をろ取してメタノール(200mL)に再懸濁し、5分間撹拌し、ろ取し、真空オーブン中で乾燥させた。
ポリ(エチレンイミンタートレート B)。中間体“D”(1.0g)を水(150mL)に懸濁し、30分間撹拌し、酒石酸(0.86g)で部分中和した。
混合物をさらに30分間撹拌し、固体をろ取してメタノール(200mL)に再懸濁し、5分間撹拌し、ろ取し、真空オーブン中で乾燥させた。
ポリ(エチレンイミンタートレート C)。中間体“D”(1.0g)を水(150mL)に懸濁し、30分間撹拌し、酒石酸(0.43g)で部分中和した。
混合物をさらに30分間撹拌し、固体をろ取してメタノール(200mL)に再懸濁し、5分間撹拌し、ろ取し、真空オーブン中で乾燥させた。
ポリ(エチレンイミンアスコルベート A)。中間体“D”(1.0g)を水(150mL)に懸濁し、30分間撹拌し、アスコルビン酸(4.05g)で部分中和した。混合物をさらに30分間撹拌し、固体をろ取してメタノール(200mL)に再懸濁し、5分間撹拌し、ろ取し、真空オーブン中で乾燥させた。
ポリ(エチレンイミンアスコルベート B)。中間体“D”(1.0g)を水(150mL)に懸濁し、30分間撹拌し、アスコルビン酸(2.02g)で部分中和した。混合物をさらに30分間撹拌し、固体をろ取してメタノール(200mL)に再懸濁し、5分間撹拌し、ろ取し、真空オーブン中で乾燥させた。
ポリ(エチレンイミンアスコルベート C)。中間体“D”(1.0g)を水(150mL)に懸濁し、30分間撹拌し、アスコルビン酸(1.01g)で部分中和した。混合物をさらに30分間撹拌し、固体をろ取してメタノール(200mL)に再懸濁し、5分間撹拌し、ろ取し、真空オーブン中で乾燥させた。
ポリ(エチレンイミンシトレート A)。中間体“D”(1.0g)を水(150mL)に懸濁し、30分間撹拌し、クエン酸(1.47g)で部分中和した。
混合物をさらに30分間撹拌し、固体をろ取してメタノール(200mL)に再懸濁し、5分間撹拌し、ろ取し、真空オーブン中で乾燥させた。
ポリ(エチレンイミンシトレート B)。中間体“D”(1.0g)を水(150mL)に懸濁し、30分間撹拌し、クエン酸(0.74g)で部分中和した。
混合物をさらに30分間撹拌し、固体をろ取してメタノール(200mL)に再懸濁し、5分間撹拌し、ろ取し、真空オーブン中で乾燥させた。
ポリ(エチレンイミンシトレート C)。中間体“D”(1.0g)を水(150mL)に懸濁し、30分間撹拌し、クエン酸(0.37g)で部分中和した。
混合物をさらに30分間撹拌し、固体をろ取してメタノール(200mL)に再懸濁し、5分間撹拌し、ろ取し、真空オーブン中で乾燥させた。
ポリ(エチレンイミンスクシネート A)。中間体“D”(1.0g)を水(150mL)に懸濁し、30分間撹拌し、コハク酸(1.36g)で部分中和した。混合物をさらに30分間撹拌し、固体をろ取してメタノール(200mL)に再懸濁し、5分間撹拌し、ろ取し、真空オーブン中で乾燥させた。
ポリ(エチレンイミンスクシネート B)。中間体“D”( 1.0g)を水(150mL)に懸濁し、30分間撹拌し、コハク酸(0.68g)で部分中和した。混合物をさらに30分間撹拌し、固体をろ取してメタノール(200mL)
に再懸濁し、5分間撹拌し、ろ取し、真空オーブン中で乾燥させた。
ポリ(エチレンイミンクロリド)。ポリエチレンイミン(100gの水に100g)を水(さらに640mL)に溶解して濃HClでpHを10に調節した。イソプロパノール(1.6L)次にエピクロロヒドリン(19.2mL)を加えた。混合物を窒素雰囲気下に60℃で18時間撹拌した。固体をろ取してロート上においてメタノール(300mL)でリンスした。その固体をメタノール(4L)に再懸濁し、30分間撹拌してろ取することによりリンスした。メタノールで2回リンスを繰り返し、水(1ガロン)に再懸濁した。pHを濃HClで1.0に調節し、固体をろ取し、水(1ガロン)に再懸濁し、再びpHを濃HClで1.0に調節し、混合物を30分間撹拌し、固体をろ取した。
再びメタノールリンスを繰り返し、その固体を真空オーブン中で乾燥させて112.4gを得た。
ポリ(ジメチルエチレンイミンクロリド)。ポリ(エチレンイミンクロリド)(5.0g)をメタノール(300mL)に懸濁し、炭酸ナトリウム(50g)を加えた。ヨウ化メチル(20mL)を加えて混合物を3日間加熱還流した。全容積が500mLとなるように水を加え、混合物を15分間撹拌し、固体をろ取した。その固体を水(500mL)に懸濁し、30分間撹拌し、ろ過した。その固体を水(1L)に懸濁し、pHを濃HClで7.0に調節して混合物を10分間撹拌した。固体をろ取し、イソプロパノール(1L)に再懸濁し、30分間撹拌し、ろ取し、真空オーブン中で乾燥させて6.33gを得た。
使用 本発明の方法は、過リン酸塩血症の患者の治療を含む。血清リン酸塩の高レベルは、腎不全、上皮小体機能減退症、偽上皮小体機能減退症、急性無処理の先端巨大症、リン酸塩の過剰投与、横紋筋変性や悪性腫瘍の治療の際に生ずるような急性組織破壊を有する患者に普通に見られる。
本明細書で用いられる「患者」という語は、リン酸塩結合体を投与される哺乳動物の患者すべてを意味する。特に本発明の方法で治療しようと意図する患者は、ヒト及び非ヒト霊長類、ヒツジ、ウマ、ウシ、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ハムスター、ゲルビルスネズミ、ラットおよびマウスなどである。
本発明の方法に用いられる組成物は、治療上の有効量で経口投与される。化合物の治療上有効量とは、一つの結果を生ずる量すなわち治療しようとする特定の状態に対し影響を与える量である。本明細書で用いるとき、リン酸塩結合体の治療上有効量とは、それが投与される患者の血清リン酸塩レベルを減少させるのに有効な量である。
本発明の医薬組成物は、よく知られそして容易に入手可能な成分を用いて既知の手順で調製される。本発明の組成物を製造する際、ポリマー性のリン酸塩結合体は単独でもよく、担体と混ぜてもよく、担体で希釈したり、カプセル、サッシェー、紙もしくはその他の容器の形態の担体内に封入させてもよい。担体を希釈剤として利用するときは、それはビーイクル、賦形剤またはポリマーの培地として作用する固体、半固体または液状の物質であってもよい。従って、組成物は錠剤、ピル、粉末、ロゼンジ(lozenge)、サシェー(sachet)、カシェー(cachet)、エリクシール(elixir)、懸濁液、シロップ、エアロゾル、(固体培地または液体培地として)、ソフトまたはハードゼラチンカプセル、殺菌包装粉末などの形にすることができる。適当な担体、賦形剤、希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシアゴム、アルギン酸、トラガカント、ゼラチン、カルシウムシリケート、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、およびタルクなどが挙げられる。
しかしながら、本発明に関するこれまでの記述は、単なる例によって例示的に示そうと意図したものに過ぎず、従って本発明の本旨から離れることのないその他の修正や態様およびそれらの均等物はこの分野における熟練者にとって明白であると理解すべきである。

【特許請求の範囲】
1.イオン交換により患者からリン酸塩を除去する方法であって、下記式を有する反復単位により特徴付けられるポリマー

またはそのコポリマーを少なくとも一つ含む組成物の治療上有効量を該患者に経口投与することを含む方法であって、上式におけるnは整数であり、Rはそれぞれ独立にH又は低級アルキル基、アルキルアミノ基、又はアリール基であり、そして該ポリマーは摂取されても毒性がなく、安定なものである方法。
2.該ポリマーが架橋剤で架橋されている請求項1記載の方法であって、該架橋剤が該組成物中に約0.5重量%から約75重量%まで存在するものである方法。
3.該架橋剤がエピクロロヒドリン、1,4ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2エタンジオールジグリシジルエーテル、1,3−ジクロロプロパン、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジブロモプロパン、1,2−ジブロモエタン、スクシニルジクロリド、ジメチルスクシネート、トルエンジイソシアネート、アクリロイルクロリド、又はピロメリティックジアンヒドリドを含むものである、請求項2記載の方法。
4.該架橋剤がエピクロロヒドリンを含むものである、請求項3記載の方法。
5.該架橋剤が該組成物中に約2重量%から約20重量%まで存在するものである、請求項2記載の方法。
6.イオン交換により患者からリン酸塩を除去する方法であって、下記式を有する反復単位により特徴付けられるポリマー

またはそのコポリマーを少なくとも一つ含む組成物の治療上有効量を該患者に経口投与することを含む方法であって、上式におけるnは整数であり、Rはそれぞれ独立にH又は低級アルキル基、アルキルアミノ基、又はアリール基であり、X-はそれぞれ交換可能な負に荷電した対イオンであり、そして該ポリマーは摂取されても毒性がなく、安定なものである方法。
7.該ポリマーが架橋剤で架橋されている請求項6記載の方法であって、該架橋剤が該組成物中に約0.5重量%から約75重量%まで存在するものである方法。
8.該架橋剤がエピクロロヒドリン、1,4ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2エタンジオールジグリシジルエーテル、1,3−ジクロロプロパン、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジブロモプロパン、1,2−ジブロモエタン、スクシニルジクロリド、ジメチルスクシネート、トルエンジイソシアネート、アクリロイルクロリド、又はピロメリティックジアンヒドリドを含むものである、請求項7記載の方法。
9.該架橋剤が該組成物中に約2重量%から約20重量%まで存在するものである、請求項7記載の方法。
10.該ポリマーが下記の式を有する第2の反復単位を含むコポリマーである、請求項6記載の方法であって、

上式中、nはそれぞれ独立に整数であり、そしてRはそれぞれ独立にH又は低級アルキル基、アルキルアミノ基、若しくはアリール基である方法。
11.該ポリマーが架橋剤で架橋されている請求項10記載の方法であって、該架橋剤が該組成物中に約0.5重量%から約75重量%まで存在するものである方法。
12.該架橋剤がエピクロロヒドリン、1,4ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2エタンジオールジグリシジルエーテル、1,3−ジクロロプロパン、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジブロモプロパン、1,2−ジブロモエタン、スクシニルジクロリド、ジメチルスクシネート、トルエンジイソシアネート、アクリロイルクロリド、又はピロメリティックジアンヒドリドを含むものである、請求項11記載の方法。
13.該架橋剤が該組成物中に約2重量%から約20重量%まで存在するものである、請求項11記載の方法。
14.イオン交換により患者からリン酸塩を除去する方法であって、下記式を有する反復単位により特徴付けられるポリマー

またはそのコポリマーを少なくとも一つ含む組成物の治療上有効量を該患者に経口投与することを含む方法であって、上式におけるnは整数であり、Rはそれぞれ独立にH又は低級アルキル基、アルキルアミノ基、又はアリール基であり、そして該ポリマーは摂取されても毒性がなく、安定なものである方法。
15.該ポリマーが架橋剤で架橋されている請求項14記載の方法であって、該架橋剤が該組成物中に約0.5重量%から約75重量%まで存在するものである方法。
16.該架橋剤が1,4ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2エタンジオールジグリシジルエーテル、1,3−ジクロロプロパン、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジブロモプロパン、1,2−ジブロモエタン、スクシニルジクロリド、ジメチルスクシネート、トルエンジイソシアネート、アクリロイルクロリド、又はピロメリティックジアンヒドリドを含むものである、請求項15記載の方法。
17.該ポリマーが架橋剤で架橋されている請求項15記載の方法であって、該架橋剤が該組成物中に約2重量%から約20重量%まで存在するものである方法。
18.ポリマーが下記の式を有する第2の反復単位を含むコポリマーである請求項14記載の方法であって、

上式中、nはそれぞれ独立に整数であり、そしてRは低級アルキル基、アルキルアミノ基又はアリール基である方法。
19.該ポリマーが架橋剤で架橋されている請求項18記載の方法であって、該架橋剤が該組成物中に約1重量%から約75重量%まで存在するものである方法。
20.該架橋剤がエピクロロヒドリン、1,4ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2エタンジオールジグリシジルエーテル、1,3−ジクロロプロパン、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジブロモプロパン、1,2−ジブロモエタン、スクシニルジクロリド、ジメチルスクシネート、トルエンジイソシアネート、アクリロイルクロリド、又はピロメリティックジアンヒドリドを含むものである、請求項19記載の方法。
21.該架橋剤が該組成物中に約2重量%から約20重量%まで存在するものである請求項19記載の方法。
22.イオン交換により患者からリン酸塩を除去する方法であって、下記式を有する反復単位により特徴付けられるポリマー

またはそのコポリマーを少なくとも一つ含む組成物の治療上有効量を該患者に経口投与することを含む方法であって、上式におけるnは整数であり、R1およびR2はそれぞれ独立にH又は低級アルキル基、アルキルアミノ基、若しくはアリール基であり、X-はそれぞれ交換可能な負に荷電した対イオンであり、そして該ポリマーは摂取されても毒性がなく、安定なものである方法。
23.該R基の少なくとも一つが水素原子である、請求項22記載の方法。
24.該ポリマーが架橋剤で架橋されているものである請求項22記載の方法であって、該架橋剤が該組成物中に約0.5重量%から約75重量%まで存在するものである方法。
25.該架橋剤が1,4ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2エタンジオールジグリシジルエーテル、1,3−ジクロロプロパン、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジブロモプロパン、1,2−ジブロモエタン、スクシニルジクロリド、ジメチルスクシネート、トルエンジイソシアネート、アクリロイルクロリド、又はピロメリティックジアンヒドリドを含むものである、請求項24記載の方法。
26.該ポリマーが架橋剤で架橋されているものである請求項24記載の方法であって、該架橋剤が該組成物中に約2重量%から約20重量%まで存在するものである方法。
27.イオン交換により患者からリン酸塩を除去する方法であって、下記式を有する反復単位により特徴付けられるポリマー

またはそのコポリマーを少なくとも一つ含む組成物の治療上有効量を該患者に経口投与することを含む方法であって、上式におけるnは整数であり、R1およびR2はそれぞれ独立にH、1〜20個の炭素原子を含むアルキル基、アミノアルキル基、若しくは1〜12個の原子を含むアリール基であり、そして該ポリマーは摂取されても毒性がなく、安定なものである方法。
28.該ポリマーが架橋剤で架橋されているものである請求項27記載の方法であって、該架橋剤が該組成物中に約0.5重量%から約75重量%まで存在するものである方法。
29.該架橋剤が1,4ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2エタンジオールジグリシジルエーテル、1,3−ジクロロプロパン、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジブロモプロパン、1,2−ジブロモエタン、スクシニルジクロリド、ジメチルスクシネート、トルエンジイソシアネート、アクリロイルクロリド、又はピロメリティックジアンヒドリドを含むものである、請求項28記載の方法。
30.該ポリマーが架橋剤で架橋されているものである請求項28記載の方法であって、該架橋剤が該組成物中に約2重量%から約20重量%まで存在するものである方法。
31.イオン交換により患者からリン酸塩を除去する方法であって、下記式を有する反復単位により特徴付けられるポリマー

またはそのコポリマーを少なくとも一つ含む組成物の治療上有効量を該患者に経口投与することを含む方法であって、上式におけるnは整数であり、R1、R2およびR3はそれぞれ独立にH、1〜20個の炭素原子を含むアルキル基、アミノアルキル基、若しくは1〜12個の原子を含むアリール基であり、X-はそれぞれ交換可能な負に荷電した対イオンであり、そして該ポリマーは摂取されても毒性がなく、安定なものである方法。
32.該ポリマーが架橋剤で架橋されているものである請求項31記載の方法であって、該架橋剤が該組成物中に約0.5重量%から約75重量%まで存在するものである方法。
33.該架橋剤が1,4ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2エタンジオールジグリシジルエーテル、1,3−ジクロロプロパン、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジブロモプロパン、1,2−ジブロモエタン、スクシニルジクロリド、ジメチルスクシネート、トルエンジイソシアネート、アクリロイルクロリド、又はピロメリティックジアンヒドリドを含むものである、請求項32記載の方法。
34.該ポリマーが架橋剤で架橋されているものである請求項32記載の方法であって、該架橋剤が該組成物中に約2重量%から約20重量%まで存在するものである方法。

【公表番号】特表平9−504782
【公表日】平成9年(1997)5月13日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−507065
【出願日】平成6年(1994)8月10日
【国際出願番号】PCT/US94/09060
【国際公開番号】WO95/05184
【国際公開日】平成7年(1995)2月23日
【出願人】
【氏名又は名称】ジェルテックス ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド