説明

経口薬理化合物の生物有用性を高めるためのエッセンシャルオイルの利用

【課題】薬剤生物有用性を高める、特にチトクロームP450薬剤代謝及び/又はP−糖タンパク質(P−gp)薬剤輸送を阻害することにより腸壁内での正味の薬剤吸収を高める及び/又は薬剤生物変換を低めることにより薬剤生物有用性を高める優れた能力を有する組成物を同定する。
【解決手段】1又は複数種のエッセンシャルオイルを1又は複数種の経口薬理化合物(薬剤)と同時投与して薬剤の生物有用性を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬学の分野に関連し、そして特に生物有用性を高める並びに個体内及び個体間変動を低めるための経口薬理組成物の製剤化に関連する。
【背景技術】
【0002】
薬物動力学は薬剤が摂取された時からそれらが身体から消えるまでの薬剤の道筋の研究である。経口組成物の一連の挙動には、様々な粘膜を介する吸収、血流を介する様々な組織に至る分散、肝臓及びその他の組織内での生物変換、標的部位での作用、並びに尿又は胆汁内での薬剤又は代謝物の排除が含まれる。
【0003】
経口投与後の薬剤(薬理組成物)の生物有用性は重要な薬動力学的決定因子であり、それは下記の式により近似されうる。
oral=FABS×F×F
【0004】
oralは経口生物有用率であり、これは活性な無変化形態で循環に到達する経口投与体の率である。Foralは下記の4つの理由のため、経口投与体中の活性成分の100%未満となる:(1)薬剤が腸腔から腸内細胞へと吸収されず、従って糞で排出される;(2)薬剤が腸内細胞には吸収されるが、腸腔に逆輸送される;(3)薬剤が腸内細胞により生物変換されてしまう(不活性代謝物へと);又は(4)薬剤が肝臓細胞により、生物変換及び/もしくは胆汁への輸送のいずれかを介して排除されてしまう。従って、経口生物有用性は、吸収される経口投与体率(FABS)、胃腸管の血流側に有効に到達する吸収された投与体率(F)、及び肝臓の心臓側に到達するGI血液供給体中の薬剤の率(F)の積である。腸壁吸収、逆輸送及び代謝、並びに肝臓排出の程度は全て幅広い個体間及び個体内変動に委ねられる。
【0005】
本発明者の研究室又は一人による今までの研究は生物有用性に関与する要因の新たな理解及び1994年2月2日提出の米国特許第08/190,288号に記載の発明を供した。この出願には経口薬理組成物の生物有用性を高めるための方法及び生物有用性の高まった化合物を同定するための方法が一般的に記載されている。しかしながら、この発明は、生物有用性を高めるうえで有用であるとは従来考えられていなかった多数の化合物のクラスを調べることを可能にはするが、ある程度作用するバイオエンハンサーのなかから優れたバイオエンハンサーである特定のクラスの化合物を同定する実際の方法は未だ研究及び発見の段階にあり続けている。有利な生物増強効果を示すものと同定された数多くの物質のクラスにおいて、各化合物の生物増強効果の程度にはクラス構成員間で驚くべきほどの差があり、そして一般的に有効な化合物のクラスの構成員資格を有する理由で薬剤の生物有用性のエンハンサーであると当初考えられるであろういくつかの薬剤が実際には薬剤の生物有用性を妨げる因子であることが見い出されている(かかる妨げのメカニズムがどのように起こるかは解明されていないにもかかわらず)。あるケースにおいては、単一の化合物又は少数群の化合物は、低活性を有する又は生物有用性を低めることさえもあるようなその他の化合物と構造的に似ていても、バイオエンハンサーとして極めて有能であることが見い出されている。
【0006】
従って、生物有用性を高めるのに極めて有用である化合物のクラス又は個々の化合物を同定する及びその同定を確認することは重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、薬剤生物有用性を高める、特にチトクロームP450薬剤代謝及び/又はP−糖タンパク質(P−gp)薬剤輸送を阻害することにより腸壁内での正味の薬剤吸収を高める及び/又は薬剤生物変換を低めることにより薬剤生物有用性を高める優れた能力を有する組成物を同定することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、腸内において、その他の位置、例えば薬剤代謝の主要部位と従来考えられていた肝臓に優先したチトクロームP4503Aクラス(CYP3A)の酵素を強力に阻害する組成物の提供にある。
【0009】
本発明の更なる目的は、腸内細胞層を介する薬剤の正味の輸送を高めるようにP−gp−制御式逆輸送を強く阻害し、且つ同時投与した薬剤の生物有用性の上昇をもたらす組成物の提供にある(なぜなら、タンパク質P−gpは、腸内細胞の細胞質の中に輸送された薬剤を腸腔にポンピングして戻すからである)。
【0010】
本発明の一の特定の目的は活性薬理化合物の全身濃度の個体間有用性を低める及び投与した薬理化合物の全身濃度の個体内変動を低めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は1又は複数種のエッセンシャルオイルを1又は複数種の経口薬理化合物(薬剤)と同時投与して薬剤の生物有用性を高めることにより実施する。本発明の組成物及び方法はヒト及びその他の哺乳動物の薬効を高めるために利用できうる。獣医学的用途が特に考慮されるが、主たる用途はヒトの処置であろう。投与スキームには、限定することなく、ヒトにおける経口及び局所製剤の利用、並びに家畜のための類似の製剤の利用が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
エッセンシャルオイルは薬剤生物有用性を高める
本発明は本発明者の一人の研究室に由来の先願に記載された薬剤生物有用性を左右する要因の継続研究により見い出された。「薬剤有用性」はここでは経時的に全身的に有用となった薬剤の総量と定義する。本発明は、腸内の薬剤生物変換を阻害することにより及び/又は腸上皮を横断して血流に至る薬剤の正味輸送量を低める活性逆輸送系を阻害することにより薬剤の生物有用性を高める。いずれの場合も、高められた薬剤生物有用性を司る組成物はエッセンシャルオイルである。すぐに明らかにはならないことを理由に、一のクラスとしてのエッセンシャルオイルは、一般にエッセンシャルオイルの中に見い出される個々の化合物間に存在する化学的な相違に関係なく、適当な酵素及び/又は輸送系を阻害することができる。
【0013】
本発明者はかかる阻害作用についてのメカニズムは哺乳動物の進化の過程に直接又は間接的に由来すると理論づけた。一般に、エッセンシャルオイル及びエッセンシャルオイル成分の属する植物学は常に哺乳動物食品が主流である。作用を供するため、それらは単に食せられればよく、そして調製抜きで直接食される(濃縮エッセンシャルオイル形態でも、単離されたエッセンシャルオイル成分でも)。食されているうちに哺乳動物生体の直接的な利点のため又は進化の偶然もしくは緊急性の間接的な結果として、関連の生化学メカニズムは進化しうる。即ち、様々なエッセンシャルオイル及びエッセンシャルオイル成分は化学的な違いを示すが、それが由来する起源の類似、哺乳動物食品内でのその存在箇所の類似性、可能としては哺乳動物生体の進化に対するその直接的又は間接的作用の類似性、及び明らかなる哺乳動物生体におけるその作用の類似性は、エッセンシャルオイルが技術定義により何がそれらを結びつけているかを超えて重要な結合力のある化合物のクラスであると、即ち、エッセンシャルオイルは芳香性単種植物起源から何らかの物理的(化学的と対立する)過程により単離された主に揮発性な1又は複数種の材料であると考えられることができることに結びつく。
【0014】
一般に、本発明の経口投与した薬理化合物(特に疎水性のもの)、のオルガニズム(organism)を高めるための方法であって、処置を必要とする哺乳動物に当該薬理化合物をエッセンシャルオイルと一緒に経口投与することによる方法を提供し、ここでこのエッセンシャルオイルは、それ抜きでの経時的化合物積分全身濃度よりも高い経時的化合物積分全身濃度を供するのに十分な量とする。経時的集積全身濃度の変化は、以下に詳細の許容された薬理技術である「曲線下面積」(AUC)測定により表示される。
【0015】
エッセンシャルオイル
本発明の目的に関し、エッセンシャルオイルは芳香性単種植物起源から何らかの物理的(化学的とは対立)方法により単離された1又は複数種の主に揮発性の材料である。エッセンシャル油の単離のために最も幅広く利用されている方法は植物材料のスチーム蒸留であが、ドライ蒸留及び溶媒抽出も利用されている。植物起源はもしその臭いがヒトのみならば任意の動物により検出できるなら芳香性である;従って「芳香性」とは、単に何らかの揮発成分が植物の中に存在していることを意味する。物理的工程により抽出されたオイルは当業界に公知の通り何らかの不揮発成分を含んでよい。エッセンシャルオイルは多くのケースにおいて何世紀、そして更には千年もの前から知られ、そしてこの用語は当業界において公知である。
【0016】
エッセンシャルオイルはその食品のための香料としての一般的用途を理由に市販されている(貨車貸切扱い標準の程度でさえも)。以下の表1のエッセンシャルオイルについて利用されている名称は一般に知られている商品名である。
【0017】
エッセンシャルオイルの個々の成分は本明細書に記載の態様で酵素及び輸送タンパク質と相互作用するため、十分に活性であるエッセンシャルオイル成分も本発明において有用であろうことが明らかであろう。しかしながら、それはめんどうだが常に「エッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分」を意味し、従って本願において「エッセンシャルオイル」とは植物から得られるエッセンシャルオイル全体及び下記の表2に挙げるものの如きエッセンシャルオイルの個々の成分の双方を意味する。エッセンシャルオイル成分を全エッセンシャルオイル混合物から区別するものとしてより正確性が必要なとき、その成分が言及される。エッセンシャルオイルを「エッセンシャルオイル及びエッセンシャルオイル成分」からクラスとして区別するのに適切な場合、その意味が文脈から明らかにできないなら「エッセンシャルオイルエクストラクト」又は「全エッセンシャルオイル」を使用する。
【0018】
いくつかのエッセンシャルオイル及びエッセンシャルオイル成分は低活性であり、それ故本明細書に一般に記載の目的のために有用でないようであるため、1mlの0.1Mのリン酸ナトリウムバッファー、pH7.4中の250μgのラット肝臓ミクロソーム、1μMのシクロスポリン及び1mMの還元ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADPH)を含むアッセイ系を利用するシクロスポリンからヒドロキシル化生成物に至る還元変換を測定するアッセイにおいて0.01重量%以下の濃度において10%以上の阻害活性を有するエッセンシャルオイル及びエッセンシャルオイル成分のみが「エッセンシャルオイル」の意味に属するものと考えられ、それ故本明細書記載の発明に属する。好ましいのは0.01%の濃度において60%以上の阻害を示す全オイル及び成分である;より好ましいのは0.001%の濃度において40%以上の阻害を示す全オイル及び成分である;更により好ましいのは0.0001%の濃度において20%以上の阻害を示す全オイル及び成分である。このアッセイ系の詳細な説明を下記実施例に記載する。
【0019】
多数のエッセンシャルオイルがその香り及び臭いのために利用され、そしてCode of Federal Regulations,Title 21により、摂取材料に含ませる前に規制協会の認定を要しないGRAS(一般に安全と認定:generally recognized as safe)化合物として指定されている。詳しくは21CFRの182.20、282.40及び182.50章を参照のこと。更なるエッセンシャルオイル及びエッセンシャル成分が21CFR 172.510及び 172.515の中で食品に事前に利用されるものとして表示されている(それらはGRASリストには載っていない)。数多くの重要なエッセンシャルオイルが下記表1に記載されている。阻害を示すこの表及び類似の表において、阻害は溶媒基底から測定されている(通常は下記の通りエタノール又はその他の溶媒)。低めの濃度のオイルについての繰り返しについての高い変動結果の理由は不明だが、それは少量しかない成分の蒸発に基づきうる。
【0020】
【表1】

【0021】
【表2】

【0022】
【表3】

【0023】
【表4】

【0024】
【表5】

【0025】
【表6】

【0026】
【表7】

【0027】
【表8】

【0028】
【表9】

【0029】
【表10】

【0030】
【表11】

【0031】
【表12】

【0032】
【表13】

【0033】
驚くべきことに、今日までに試験されたエッセンシャルオイルの個々の成分は往々にして、通常は化合物の複雑な混合物である(通常は炭化水素と酸化炭化水素)エッセンシャルオイル自身ほどは生物有用性を高めるのに有効でないことも発見された。従って、エッセンシャルオイルは、おそらくはオイルの様々な成分の生物有用性に関係する様々な生物学的経路を阻害する能力を理由に、相乗的組成物として機能するようである。本発明は空論に拘束されることを所望するわけではないが、全ての植物のエッセンシャルオイルの中に存在する微量成分が関与している可能性がある;例えば多くのエッセンシャルオイル成分はテルペン誘導体であり、そしてそれらは全てではないにしてもほとんど植物油の中に存在する同一又は構造的に類似する微量成分でありうる。従って、全(フル)エッセンシャルオイルが本発明の一の好適な態様である。
【0034】
明らかな通り、数多くの成分を含み、且つ混合物である一のエッセンシャルオイルの利用が本発明の範囲に属するため、エッセンシャルオイル(及び/又は成分)の混合物の利用も本発明の範囲に属する。
【0035】
生物有用性測定
エッセンシャルオイルの投与に寄因する薬剤生物有用性の上昇は薬剤とエッセンシャルオイルとの同時投与後及び薬剤の投与後に経時的に全身薬剤総濃度を測定することにより決定できうる。薬剤生物有用性の上昇は曲線下面積(AUC)の上昇として規定される。AUCは重量−時間/容積の単位における経時的な全身薬剤濃度の積分測定値である。ゼロ時(投与時)から薬剤投与体の投与後の無限大時間(身体に薬剤が残らなくなるとき)までのAUCは薬剤に対する患者の曝露の尺度である。エッセンシャルオイルの効能を測定するとき、投与する活性薬剤の量及び形態は、薬剤とエッセンシャルオイルの同時投与及び薬剤のみの投与の双方において同じとなるべきである。例えば、10mgの薬剤単独の投与は500μg・hr/mlの経時的に導入される総全身薬剤(AUCにより測定)を供しうる。同時投与において(即ち、エッセンシャルオイルの存在下)、全身薬剤AUCは700μg・hr/mlにまで上昇しうる。もしエッセンシャルオイルの存在下で有意に上昇する薬剤生物有用性が期待されるなら、安全のために薬剤用量は引き下げる必要がありうる。
【0036】
全身薬剤濃度は標準のin vitro又は in vivo薬剤測定技術を利用して測定される。「全身薬剤濃度」とは哺乳動物の体液、例えば血清、血漿又は血液中の薬剤濃度を意味する;この語は表皮等の全身流体により覆われた組織中の薬剤濃度も含む。全身薬剤濃度は摂取流体には言及されない。全身薬剤総濃度の上昇はエッセンシャルオイルと薬剤との同時投与による薬剤生物有用性の上昇を定義する一の手段である。尿の中で代謝されず排出された薬剤に関し、尿の中で変化しなかった薬剤の増大した量は全身濃度における上昇を反映するであろう。
【0037】
エッセンシャルオイルと一緒に用いる薬剤の特徴
本明細書において用いる語「薬剤」は生物の生理を改質又は改変するように生物に投与可能な化合物質と定義される。より好ましくは、本明細書で用いる「薬剤」なる語は病気の処置又は予防における使用を意図する任意の物質と定義される。薬剤には合成及び天然毒素及び生物影響物質、並びに「The Physicians Desk Reference,」第49版、1995,頁 101-338;「Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics」第8版(1990)、頁 84-1614及び 1655-1715;並びに「The United States Pharmacopeia,The National Formulary」USP 23 NF 18(1995)に記載の如きの認定薬剤が含まれる。これらの文献の化合物は引用することで本明細書に組入れる。薬剤なる語は米国において未だ発見されていない又は入手できない表示の特性を有する化合物も含む。薬剤なる語は薬剤のプロ活性、活性化、及び代謝形態を含む。本発明は帯電、無帯電、親水性、双イオン性又は疎水性物質、並びにこのような物理特性の任意の組合せより成る薬剤と一緒に利用できうる。疎水性薬剤はその非イオン化形態が水の中でよりも脂質又は脂肪の中で一層可溶性である薬剤として定義される。疎水性薬剤の好適なクラスは水よりもオクタノールの中で一層可溶性である薬剤である。
【0038】
数多くの化合物のクラス由来の化合物(又は薬剤)がエッセンシャルオイルと共に投与してよく、それには限定することなく、例えば下記のクラスが含まれる:アセトアニリド、アニリド、アミノキノリン、ベンズヒドリル化合物、ベンゾジアゼピン、ベンゾフラン、カンナビノイド、環状ペプチド、ジベンズアゼピン、ジジタリスグリコシド、エルゴットアルカロイド、フラボノイド、イミダゾール、キノリン、マクロリド、ナフタレン、オピエート(又はモルヒナン)、オキサジン、オキサゾール、フェニルアルキルアミン、ピペリジン、多環芳香族炭化水素、ピロリジン、ピロリジノン、スチルベン、スルホニル尿素、スルホン、トリアゾール、トロパン及びビンカアルカロイド。
【0039】
チトクロームP450の阻害による上昇した薬剤生物有用性
第一期成分変換
薬剤生物変換における腸内チトクロームP450関与の低下は本発明の一の目的である。薬剤代謝に関与する主要酵素は数多くのタイプの小胞体に存在するが、肝細胞の中で最大濃度である。伝統的に、腸内細胞生物変換は肝臓と比べて生物変換において重要でないと考えられる。数多くの化合物がチトクロームP450を阻害する。これらには、限定することなく、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、ゲストデン、フラボン、例えばクエルセチン及びナリンゲニン、エリトロマイシン、エチニルエストラジオール、並びにプレドニソロンが含まれる。本発明の最初の目標は薬剤生物有用性を高めるために腸内での薬剤のチトクロームP450生物変換を阻害するエッセンシャルオイルの利用にある。
【0040】
チトクロームのタイプ及び細胞位置
チトクロームP450は血液タンパク質の超科の構成員である。それらは複合機能式オキシダーゼ系の末端オキシダーゼである。チトクロームP450遺伝子超科はその進化的な関係に基づき命名された207種以上の遺伝子より成る。この命名システムに関し、チトクロームP450遺伝子の全ての配列を比較し、そして40%以上の同一性を共有するようなチトクロームP450が一の科として定義され(CTPの後にローマ又はアラビア数字を続けて表示:例えばCYP3)、更には亜科へと分けられ(大文字で表示、例えばCYP3A)、それらはその推定アミノ酸配列により55%以上近縁するような形態を含んで成る。最後に、チトクロームP450個々の形態についての遺伝子はアラビア数字で示す(例えばCYP3A4)。
【0041】
3種のチトクロームP450遺伝子科(CYP1,CYP2及びYP3)がほとんどの薬剤代謝を司るようである。少なくとも15種のチトクロームP450がヒト肝臓において様々な度合で特性決定されている。生理条件下で見い出せる基質の濃度では、酵素反応は往々にして、特定の薬剤又はその他の酵素基質の代謝の一次触媒としてチトクロームP450の単一形態を好む。
【0042】
3タイプのチトクロームP450をコードするCYP3遺伝子科がおそらくはヒト薬剤代謝における最も重要な科である。少なくとも5形態のチトクロームP450がヒト3A亜科において見い出され、そしてこれらの形態は数多くの構造的に多様な薬剤の代謝を司る。非誘導型個体において、3Aは肝臓の中のP450酵素の15%を占めうる。腸内細胞においては、3A亜科の構成員はチトクローム含有酵素の70%以上を占める。最初の2つのヒト3A亜科構成員は3A3及び3A4と同定されている。これらの2つのチトクロームP450は、今日までに行われた研究の大半がその役割を区別できないほどに近縁しており、それ故それらは3A3/4と称されている。エクトロマイシンN−ジメチル化、シクロスポリン酸化、ニフェジピン酸化、ミダゾラムヒドロキシル化、テストステロン6β−ヒドロキシル化、及びコルチゾール6β−ヒドロキシル化は全て3A3/4触媒活性のin vitroプローブである。3A3/4のレベルはヒト肝臓ミクロソームサンプル間で60倍ほどに変動し、3A形態のレベルは3A3/4のインデューサを受容した個体由来のヒト肝臓サンプルの中に存在する全チトクロームP450の50%に達する。
【0043】
この肝臓はチトクロームP450の数多くのアイソフォームを含み、そして多種多様な物質を生物変換しうる。腸腔を覆う腸内細胞も有意なチトクロームP450活性を有し、そしてこの活性はアイソザイムの単一の科3A、即ち薬剤代謝において最重要なアイソフォームにより支配される。
【0044】
CYP3A薬剤生物変換を引き下げることによる薬効の上昇
本発明の好適なエッセンシャルオイルは、血清中の薬剤生物有用性の総合上昇に結びつく腸上皮細胞内のCYP3A活性の阻害により腸内の薬剤生物変換を引き下げる。エッセンシャルオイルの存在下では、若干の薬剤分子しか腸内で第一期酵素により代謝されず、従って第二期接合酵素にとって有用とならないであろう。
【0045】
これは腸から血液及び身体におけるその他の組織へと運搬される未変換薬剤の濃度を高めるであろう。
【0046】
エッセンシャルオイルの主要目的は腸内のCYP3A薬剤生物変換を阻害することにあるが、もしエッセンシャルオイルが血流に吸収されると若干生物変換はその他の組織の中でも同様に低下しうる。その他の組織による生物変換の低下は薬剤生物有用性も高めるであろう。しかしながら、エッセンシャルオイルに腸を標的とさせる利点は、それが、肝臓の中のCYP3Aを標的とするインヒビターと比べ、エッセンシャルオイルの低めの全身濃度の利用を可能にすることである。エッセンシャルオイルの経口投与後、濃度は全身流体及び身体組織により希釈されない腸上皮の管腔表面において最大となるであろう。血液濃度と比べて高い管腔濃度は肝臓の代わりに腸内でのCYP3Aの優先的な阻害を可能にするであろう。腸CYP3Aを優先的に阻害するエッセンシャルオイルは、腸以外の組織内のエッセンシャルオイルのより高い濃度の効果を最少限にしながら、薬剤生物有用性を高める極めて有効な手段でもあるであろう。
【0047】
エッセンシャルオイルの同時投与は経口生物有用性の変動も引き下げるであろう。薬剤生物変換の低下又は高まる薬剤吸収は、経口生物有用性の変動をある程度引き下げ、なぜなら生物有用性の上昇は経口生物有用性の理論的最大値の100%に近づき始めるからであろう。経口生物有用性の上昇は一般に低い経口有用性を有する対象体において高いであろう。エッセンシャルオイルの添加は薬剤又は化合物の全身濃度の個体間及び個体内変動を引き下げるであろう。
【0048】
CYP3Aの活性の低下に基づく薬剤生物有用性の正味の上昇
阻害されるCYP3Aの触媒活性には、限定することなく、脱アルキラーゼ、オキシダーゼ及びヒドロラーゼ活性が含まれる。CYP3Aの様々な触媒活性に加えて、CYP3Aの様々な形態が様々な分子量で存在する(例えば、Komoriら、J.Biochem.1988,104:912−16に示すように51kD〜54kD)。
【0049】
いくつかのエッセンシャルオイルはCYP3A活性のインヒビター又はCYP3A活性の基質として作用することによりCYP3A薬剤生物変換を引き下げる。CYP3Aのインヒビター又は基質として作用するエッセンシャルオイル(又はエッセンシャルオイルの成分)はCYP3A薬剤生物変換の競合、非競合、不競合、複合又は不可逆式インヒビターとして作用しうる。更に、エッセンシャルオイルはP−gpもしくはチトクロームP450のためのリガンド、又はいずれかのタンパク質のためのリガンドとなる特性を有しうる。
【0050】
CYP3A薬剤生物変換の低下によるエッセンシャルオイルの選択
バイオエンハンサーとして作用し、且つ薬剤生物有用性を高める化合物の相対的能力は、in vitro及in vivo薬剤生物変換測定を利用して評価できうる。薬剤生物有用性のin vivo測定、例えば経時的な血清又は血液薬剤濃度の測定は総薬剤全身有用性(生物有用性)の最も近い尺度を供する。CYP3A代謝及びP−gp−輸送のin vitroアッセイは、下記の通り、薬剤の生物有用性を間接的に示唆し、なぜならCYP3A薬剤代謝及びP−gp薬剤輸送は経時的な積分全身薬剤濃度を左右するからである。一般に、試験すべき化合物のエッセンシャルオイルとして作用する能力は薬剤生物変換アッセイにオイルを添加したときにCYP3A薬剤生物変換を低下させるときに実証される。エッセンシャルオイルが有用とされるのにはわずかに測定された上昇で十分であるが、CYP3Aモジュレーターとして作用する好適な商業的に所望されるエッセンシャルオイルは一般に、エッセンシャルオイルの存在下での生物有用性とエッセンシャルオイルの非存在下での摂取用量の総有用性との間で10%以上、好ましくは50%以上、そしてより好ましくは75%の量で薬剤生物有用性を高めるであろう。十分な量の経口投与したエッセンシャルオイルは、エッセンシャルオイルの非存在下での経時的な積分全身薬剤濃度よりも高い経時的な積分全身薬剤濃度を供するであろう。薬理組成物の中に含ませるべきエッセンシャルオイルの実際の量はオイル及び保護する活性成分に応じて変わるであろう。エッセンシャルオイルの量は一般に0.00001〜0.01重量%の腸内濃度(及び/又は所望の作用に依存して容量)を供するのに十分とすべきであろう。個々のエッセンシャルオイルの例及び有用効用量を表1に記載した。かかる量は一般に有効であるが、最大の生物有用性を供するための薬理組成物の最適化を、特定の薬理組成物のための成分が一旦決定されたなら、本明細書記載のAUC法を利用して実施すべきであろう。
【0051】
P4503Aクラスの酵素の極めて良好なインヒビターであるエッセンシャルオイルは様々なバイオアッセイにより同定でき、そのいくつかを下記に示す。
【0052】
in vitro CYP3Aアッセイ及び上昇した薬剤生物有用性
CYP3A機能の細胞アッセイ及び上昇した薬剤生物有用性
肝細胞もしくは腸内細胞の培養細胞又は肝臓もしくは腸のいくつかより調製したばかりの細胞がCYP3Aインヒビターとしてのエッセンシャルオイルの活性を決定するために利用できうる。腸上皮細胞単離の様々な方法、例えば Watkinsら、J.Clin.Invest.1985 ; 80 : 1029-36の方法が利用できうる。Schmeiedlin-Renら、Biochem.Pharmacol.1993 ; 46 : 905-918に記載の通りに培養細胞も利用できうる。細胞内でのCYP3A代謝の産物はCYP3A活性のミクロソームアッセイについての下記の章に記載の高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)法を利用して測定できる。
【0053】
CYP3A機能のミクロソームアッセイ及び上昇した生物有用性
肝細胞又は腸内細胞由来のミクロソームがCYP3A活性のアッセイのために利用されるであろう。ミクロソームのKronbachら Clin.Pharmacol.Ther 1988 ; 43 : 630-5に記載の慣用の方法を利用して肝臓から調製できる。他方、ミクロソームの Watkinsら、J.Clin.Invest.1987 ; 80 : 1027-1037の方法を利用して単離化腸内細胞から調製できる。腸上皮細胞由来のミクロソームは Bonkovskyら、Gastroenterology 1985 ; 88 : 458-467に記載のカルシウム沈殿を利用して調製することもできる。ミクロソームを薬剤及び代謝物とインキュベーションし、経時モニターすることができる。更に、組織サンプル中のこれらの酵素のレベルはラジオイムノアッセイ又はウェスタンブロットを利用して測定できうる。更に、代謝物の生産は高圧液体 クロマトグラフィー系(HPLC)を利用してモニターでき、そして保持時間に基づいて同定できる。CYP3A活性はWrightorら、Mol. Pharmacol.1985 ; 28 : 312-321及び Nash,Biochem.J.1953 ; 55 : 416-421に記載の如き、ホルムアルデヒドの生成としてエトロマイシン脱メチラーゼ活性を熱量式に測定することによりアッセイすることもできる。
【0054】
CYP3A薬剤代謝を引き下げるエッセンシャルオイルの特性決定
好適なエッセンシャルオイルは薬剤が腸内細胞を通過する間にCYP3Aに迅速に結合し、そして阻害する。エッセンシャルオイルが心臓に達し、そして全身に分布すると、エッセンシャルオイルの濃度はその後肝臓を介して希釈されるであろう。腸腔において用いられるエッセンシャルオイルの濃度は好ましくは腸CYP3A代謝に対して有効であるように選択すべきであるが、希釈により、その他の組織においては活性が弱い。
【0055】
経口投与のために用いられるエッセンシャルオイルの量は、薬剤代謝のCYP3A阻害に関するKiの少なくとも1/10小腸管腔濃度が達せられるか、又は全身薬剤濃度レベルを高めるのに十分な量であるかのいずれか少ない量となるように選択できうる。他方、製剤に利用されるであろうチトクロームP4503A酵素のインヒビターの量は下記に詳細の様々なアッセイにより計算できうる。例えば、一のかかるアッセイは100μlの0.1Mのリン酸ナトリウムバッファー、pH7.4中の100μgのヒト肝臓ミクロソーム、25μMのミクロスポリン及びNADPH再生系を含むアッセイ系においてヒドロキシル化産物に至るミクロスポリンの変換を測定する。当初のインヒビターの量は、このアッセイにより決定される変換率を好ましくは10%以上の低下率で引き下げる濃度と同等又はそれを超えるような小腸管腔濃度を供するように選択する。臨床製剤中のインヒビターの実際の用量は臨床試験の結果に依存して当初の用量から最適化されうるが、記載のアッセイが実用的な用量レベルを樹立するのに十分である。
【0056】
P−糖タンパク質(P−gp)の阻害による上昇した薬剤生物有用性
P−gp薬剤輸送を低下させることによる上昇した薬剤吸収
エッセンシャルオイルは腸内の正味の薬剤吸収量を高めることにより生物有用性を更に高めうる。エッセンシャルオイルは腸上皮を横断する薬剤の正味輸送を高めるためにP−gp活性薬剤輸送を低めるであろう。上皮は様々なタイプの組織に存在し、例えば限定することなく、皮膚、肝臓、腎臓、角膜、腸及び直腸の上皮である。かかる上皮はP−gpインヒビターの全身投与によっても影響されるが、オイルの主要効果は腸に限定され、その理由は経口投与に由来する濃度効果にある。
【0057】
多種多様な化合物がエッセンシャルオイルの中に存在し、そして多種多様な活性薬理化合物のクラスがそれと一緒に利用できるため、製剤(又は下記の何らかのもの)の中に存在するオイル及び活性成分の双方の経口用量は経験的に最も良く決定でき、なぜなら用量はP−gpに対する薬剤の親和力に対するP−gpに対するインヒビターの親和力に依存するからであろう。臨床試験を必要とすることなく所望の用量を容易に決定できるようになる数多くのアッセイが存在する。臨床製剤におけるインヒビターの実際の用量は臨床試験の結果に依存してこの当初の用量から最適化でき、そのアッセイは実用的な用量レベルを樹立するように十分に記載されている。
【0058】
P−gp薬剤輸送/活性の引き下げによるエッセンシャルオイルの選択
エッセンシャルオイルの相対的な能力及び薬剤生物有用性を高める能力はin vitro及びin vivo薬剤輸送測定を利用して評価できうる。好適なエッセンシャルオイルは活性P−gp薬剤輸送活性の低下に由来する薬剤拡散の正味の上昇を供するであろう。P−gpの活性は薬剤のATP−依存性膜輸送又は薬剤依存性ATP加水分解のいずれかとして測定できうる。P−gp活性又は薬剤線速度は、限定することなく、感電圧電極又は色素、化学感受性電極又は色素、基質又は生成物分析、電子顕微鏡、又は複合アッセイを利用するin vitro又はin vivo技術を利用して測定できる。このアッセイにおいて用いられるP−gpの見かけ上の分子量は種、アイソフォーム、グリコシル化の程度、及び分子量アッセイ法に依存して変動するであろう。一般には、P−gpの分子量は約170キロダルトンであろう。
【0059】
P−gpインヒビター又は基質のいずれかとして作用するエッセンシャルオイル(又は1もしくは複数種のその成分)はP−gp薬剤輸送の競合、非競合、不競合、複合又は不可逆性インヒビターとして作用する。P−gpのインヒビター又は基質としてのエッセンシャルオイルはP−gpの輸送性又は非輸送性リガンドのいずれかでありうる。エッセンシャルオイル(又は成分)は管腔アクセス可能表層、細胞質アクセス可能表層又は膜結合(spanning)領域上のP−gpに結合できる。
【0060】
エッセンシャルオイルはP−gpのリガンド、チトクロームP450のリガンド、もしくは双方のリガンド、又は3タイプのリガンドの任意の組合せであってよい。例えばエッセンシャルオイルはP−gpのリガンドとチトクロームP450のリガンド、又はP−gpのリガンドとP−gp及びチトクロームP450の双方に結合するリガンドとを含んで成りうる。
【0061】
P−gp薬剤輸送を引き下げるエッセンシャルオイルの特性決定
エッセンシャルオイルを十分な量で使用するとき、P−gpの活性は低下するであろう;特に腸腔へと逆輸送されるP−gp薬剤は少なくなるであろう。十分な量にはエッセンシャルオイルと一緒に用いる薬剤の積分全身濃度を経時的に高めるのに必要な量が含まれるであろう。P−gp薬剤輸送の阻害のために十分なエッセンシャルオイルの量を供するのに必要なエッセンシャルオイルの濃度はエッセンシャルオイルと薬剤のために用いる導入ビヒクルとにより変わる。エッセンシャルオイルの管腔濃度はP−gpに対する薬剤及びエッセンシャルオイルの親和力並びに使用する薬剤濃度に関係するであろう。P−gpに対する薬剤の親和力が高まると、適当なエッセンシャルオイルの必要とされる濃度は高まるであろう。商業的用途のほとんどのエッセンシャルオイルは10%以上、より好ましくは50%以上、そして更に好ましくは75%以上P−gp薬剤輸送を低めるであろう。
【0062】
生物有用性のためのin vitro P−gpアッセイ
所定の組成物がP−gp輸送を阻害するかどうかを決定する任意のバイオアッセイが好適なエッセンシャルオイルを同定するために利用できる。いくつかのかかるアッセイを以下に記載する。
【0063】
めくり返し腸アッセイ
めくり返した腸は当業界公知の方法により調製できうる(Hsingら、Gastroenterology 1992 ; 102 : 879-85)。これらの研究において、「めくり返した」ラットの小腸を(即ち、粘膜(又は管腔)面を外側に向け、そして漿膜面を内側に向ける)、エッセンシャルオイルを添加した及び添加していない薬剤含有溶液に浸す。小腸の漿膜面を薬剤又はエッセンシャルオイル測定の目的のために定期的にモニター又は交換する溶液の中に浸す。例えば、めくり返したラット小腸をローダミン123(Rh123)の負荷した生理食塩溶液の中に浸し、そしてRh123の漿膜溶液に至る線速度をモニターする。この条件においてエッセンシャルオイルの添加は漿膜溶液に至るRh123の輸送を高めるであろう。薬剤又はRh123生物有用性の上昇は下記の通りに決定されるであろう:
【0064】
【数1】

【0065】
(ここでYはRh123輸送の初速度であり、そしてXはエッセンシャルオイルの存在下でのローダミン輸送の初速度である)。これらの初速度は時間と管腔溶液内のRh123の濃度との間の直線関係として決定されるであろう。他方、ラットの小腸の漿膜例を薬剤又は注目のエッセンシャルオイルに浸し、そして膜溶液をHsingら(1992)に記載の通りにモニターする。
【0066】
細胞増殖アッセイに基づくP−gpインヒビターの選別
このアッセイは特に好適なエッセンシャルオイルを選別するのに利用できうる。公知のP−gp輸送基質として知られる細胞障害剤と共に培養した細胞は薬剤又はエッセンシャルオイルの非存在下でコントロールとして増殖する。薬剤による細胞増殖についてのappKi(見かけ上の阻害定数)は培養培地中の薬剤濃度の変動により決定されるであろう。appKiは細胞増殖の50%の阻害を供するのに必要な薬剤の濃度として表示されるであろう。細胞は薬剤及びエッセンシャルオイルの存在下でも増殖するであろう。エッセンシャルオイルはappKiを細胞増殖の阻害のために必要な低めの薬剤濃度にシフトさせるのを担うであろう。MDRを伴う細胞はHaitら、Biochemical Pharmacology 1993,45 : 401-406に記載の通りこのアッセイに利用できうる。Haitら(1993)の方法の章は引用することで本明細書に組入れる。好適なエッセンシャルオイルは無毒な用量において薬剤に対するappKiを少なくとも2分の1、より好ましくは少なくとも3分の1、そして更に好ましくは少なくとも6分の1に低めるであろう。
【0067】
P−gp薬剤輸送及び薬剤生物有用性のローダミン(Rh123)細胞アッセイ
Rh123は薬剤の生物有用性をモニターするために細胞アッセイにおいて利用できうる。この系においてP−gpにより輸送されるRh123は薬剤として作用し、ここでP−gpはRh123を細胞の外へと汲み出す。単種の細胞又は細胞集団をP−gp輸送の指標であるRh123蛍光体についてモニターできうる。使用する細胞タイプは、引用することで本明細書に組入れる Nielsen and Skovsgaard,Biochimica et Biophysica Acta 1993 ; 1139 : 169-183に記載のものの如きMDR株由来のP−gp輸送体を含むであろう。細胞にRh123を15ng/ml〜500ng/mlのRh123の存在下で、生理学的に適合性なバッファー、例えば3−N−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)と適当な濃度の塩化ナトリウム、カリウム及びカルシウムの中で、並びにエネルギー源下で負荷する。細胞にRh123を温度に依存して(37℃又は室温)30〜60分かけて負荷する。負荷細胞をRh123抜きのバッファーで洗い、そして再懸濁する。Rh123の流出速度はフルオリメーターを用いて決定できうる。任意のエッセンシャルオイル抜きでは、Rh123はP−gpの作用により細胞の外に汲み出され、細胞由来のRh123蛍光体の量を引き下げる。
【0068】
細胞をRh123フリーバッファーにより洗浄した後又は細胞からのRh123の流出の際のプレインキュベーションによるP−gp基質又はインヒビターの添加は細胞内でRh123を保持させるであろう。細胞内のRh123の保持はエッセンシャルオイルの添加により起こるであろう。上昇した薬剤生物有用性は細胞内のRh123保持力の上昇と定義される。Rh123保持力を高める化合物はエッセンシャルオイルである。
【0069】
エッセンシャルオイルの非存在下でのRh123保持力は全Rh123細胞蛍光からバックグランドRh123細胞蛍光を差し引くことにより決定されるであろう。エッセンシャルオイルの添加に基づく薬剤生物有用性の上昇は下記の通りのRh123蛍光保持力の%上昇であろう:
【0070】
【数2】

【0071】
(式中、Xはエッセンシャルオイルの存在下でのRh123蛍光からバックグランドRh123蛍光を差し引いた値に相当し、そしてYはエッセンシャルオイルの非存在下でのRh123蛍光からバックグランドRh123蛍光を差し引いた値に相当する)。
【0072】
バックグランドRh123蛍光は様々な手段で測定でき、それには、限定することなく、実験終了時でのRh123蛍光の残量、細胞からのRh123の流出を表わす一次反応速度の外挿に基づき残っているRh123の残量、トリトンもしくはジシトニンの如き膜界面活性剤の十分な量の存在下でのRh123蛍光の残量、又はカルシウム−バリノマイシンクランプの存在下でのRh123蛍光の量が含まれる。
【0073】
Rh123への第二薬剤及びエッセンシャルオイルの双方の添加は、エッセンシャルオイル単独又は第二薬剤単独の存在と比較して増大した値のRh123保持力を及ぼすとは限らないであろう。その理由はRh123保持力は、第二薬剤又はエッセンシャルオイルの濃度に基づき既に非常に強いからでありうる。第二薬剤又はエッセンシャルオイル単独の存在下でのRh123のシグナルを超える第二薬剤又はエッセンシャルオイルのいずれかの添加による追加の保持力は測定することが困難である。しかしながら、薬剤(又は第二薬剤のみ)がRh123蛍光を高める、即ち、Rh流出を下げることが決定できたなら、薬剤(又は第二薬剤のみ)はP−gp輸送系により輸送されるものと推定できうる。
【0074】
P−gp活性及び薬剤生物有用性の小胞体アッセイ特に好適なアッセイはブラッシュボーダー膜を利用する。ブラッシュボーダー膜小胞体は当業界公知の方法、例えば、HsingらGastroenterology 1992 ; 102 : 879-885 の方法により小腸から調製される。小胞体はP−gpの存在について、P−gpに特異的なモノクローナル抗体を利用し、SDSPAGEゲル電気泳動及びウェスタンブロット技術、又は免疫化学及び電子顕微鏡を用いてアッセイされるであろう。P−gpを含む小胞体が薬剤輸送アッセイのために用いられるであろう。
【0075】
薬剤輸送アッセイはアデノシン三リン酸(ATP)依存式の小胞体への薬剤の輸送を測定することより成る。ATPの存在下での薬剤の取り込みは蛍光又は吸収技術、例えば小胞体の内部へと輸送される蛍光薬剤としてのRh123を用いてモニターされるであろう。放射能ラベル化薬剤もフィルター洗浄系を利用して小胞体の内部に至る薬剤輸送をモニターするのに利用できうる。ATPの添加は小胞体に至る薬剤の輸送を誘導し、そして小胞体内部への薬剤の受動拡散と比べて薬剤輸送を高めるであろう。ATPの非加水分解性類似体、例えばATPガンマーS又はアデノシン一リン酸パラ−ニトロフェノール(AMP−PNP)は小胞体への薬剤のATP依存式流入を供しないであろう。即ち、非加水分解性ヌクレオチドの導入は薬剤輸送がP−gp輸送系由来のATP加水分解により事実上起こるかどうかをモニターするためにコントロールとして利用できうる。
【0076】
蛍光薬剤又は放射能薬剤を利用するこのアッセイ系へのエッセンシャルオイルの添加及びその取り込みのモニターは、ATPの添加により小胞体内部への薬剤の取り込みを引き下げるであろう。薬剤輸送におけるこの低下は薬剤の生物有用性の上昇を表わす。ATP依存式に薬剤を輸送する小胞体はATPにアクセス可能なP−gpのサイトゾル(cystolic)面で並んでいる。これらの小胞体がATPを加水分解し、そして薬剤を小胞の内部に輸送させる。小胞体の内部はブラッシュボーダー細胞の管腔面又は頂膜に対応する。即ち、小胞体の管腔に至る又は小胞体の内部に至る輸送は腸腔への輸送に対応する。小胞体の腔の輸送の低下は正味薬剤の吸収の上昇及び薬剤生物有用性の上昇に相当する。
【0077】
P−gp活性及び薬剤生物有用性のP−gpATPaseアッセイP−gp分子はATPase活性を測定するのに適当な小胞体において単離できうる。
【0078】
P−gpATPase活性はその他のタイプのATPaseインヒビター、例えば、限定することなく、ナトリウム・カリウムATPaseインヒビター(オウアバイン及びバナデート)、ミトコンドリアATPaseインヒビター、例えばオリゴマイシン、及びアルカリホスファターゼインヒビターの存在下で測定されるであろう。ATPaseアッセイはバックグランドのナトリウム及びカリウムATPase活性を排除するためにナトリウム及びカリウムの非存在下でも実施されるであろう。ATPase活性はダウノマイシンの如き薬剤の存在に依存するATPase活性として測定されるであろう。ATPase活性はATP又は加水分解性ATP類似体、例えばパラ−ニトロフェノールホスフェートを用いて測定されるであろう。生成物の生成はYoda,A.and Hokin,L.,Biochem.Biophys.Res.Comm.1970 ; 40 : 880-886のようなリン酸アッセイ手順又は論文において認知されている通りホスファターゼ活性をモニターすることによりモニターされるであろう。
【0079】
エッセンシャルオイルの添加によるP−gpATPase薬剤輸送活性の低下は薬剤生物有用性の上昇として認識される。ブラッシュボーダー膜小胞体の中に位置するP−gp分子はその分子のサイトゾル部分がATPを探して加水分解するように並んでいる。ATPase活性を阻害できるエッセンシャルオイルはP−gp輸送系について薬剤と競合できるであろう。かかるエッセンシャルオイルはP−gp活性を阻害するその高められた能力によりP−gp薬剤輸送を低めるであろう。好ましくは、エッセンシャルオイルは腸P450薬剤代謝(好ましくはCYP3A)もしくは腸P−gp薬剤輸送又は双方を阻害することにより経口投与した薬剤の薬剤生物有用性を高めるであろう。好ましくは、経口投与した薬剤の薬剤生物有用性の上昇の尺度は、エッセンシャルオイルの非存在下と比較しての、エッセンシャルオイルの存在下で経口投与した薬剤のAUCの上昇である。例えば(エッセンシャルオイル存在下での経口薬剤AUC)−(経口薬剤AUC)。より好ましくは、エッセンシャルオイルの存在下で経口投与した薬剤の薬剤生物有用性のわずかな上昇は腸薬剤代謝の阻害に基づく薬剤生物有用性の上昇であり、非腸薬剤代謝の阻害によるものではない。例えば、経口生物有用性のわずかな上昇は下記のように計算される:
(エッセンシャルオイル存在下の経口薬剤AUC/エッセンシャルオイル存在下でのN薬剤AUC)−(経口薬剤AUC/IV薬剤AUC)。
【0080】
「経口薬剤AUC」は経口投与した薬剤のAUCを意味する。「IV薬剤AUC」は静脈投与した薬剤のAUCを意味する。この計算はエッセンシャルオイルが腸により最少限に代謝される状況に最もよく適用される。好ましくは、薬剤生物有用性(又は経口薬剤生物有用性)の上昇は、5%以上、より好ましくは10%以上、そして最も好ましくは30%以上のエッセンシャルオイルの添加に関連する。
【0081】
経口製剤に適するエッセンシャルオイルの量を決定する別の手段は特異的なインヒビターのKiに基づく(どちらかの結合力を測定)。インヒビターの適切な量は、エッセンシャルオイルのKiの少なくとも0.1倍の動物の腸腔中のエッセンシャルオイル濃度を供するのに十分なものとする。
【0082】
このようなケース全てにおいて、特定の濃度を選択する目標は投与する薬理化合物の高められた生物有用性にある。従って、所望の目標は、インヒビターの非存在下での薬理化合物の経時的な積分全身濃度よりも高いインヒビターの存在下での薬理化合物の経時的な積分全身濃度の提供にあり、非存在下での生物有用性と完全経口生物有用性との差は10%以上とする。好ましいのは全身生物有用性が投与量の100%である「完全生物有用性」の達成である。
【0083】
優れたエッセンシャルオイルのためのスクリーニングアッセイ
まとめると、チトクロームP450酵素活性又はP糖タンパク質による輸送活性の哺乳動物の腸における阻害についてアッセイすることによる候補のエッセンシャルオイル化合物の活性レベルについてスクリーニングするための上記の様々な技術は全て哺乳動物における薬剤の生物有用性を高めるために最も有用である化合物を同定する方法として有用である。このようなアッセイ全てにおいて、最良のエッセンシャルオイルは、哺乳動物の腸における試験薬剤の輸送又は酵素的崩壊(好ましくは後者)のいずれかを(invivoで直接試験することにより、又はかかる活性を推測せしめる試験により)最も良く阻害する試験した候補化合物から選ばれる化合物である。チトクローム酵素の活性の阻害について試験したとき、チトクロームP4503A科の構成員(特定の哺乳動物、特にヒトについての)の阻害を検出するアッセイが好ましい。invivoアッセイが好適ではあるが、測定値と腸活性との直接的な関係を理由に、その他のアッセイ、例えば単離された腸内細胞もしくは注目の哺乳動物の腸内細胞から得られるミクロソームにおけるチトクロームP450活性の阻害又は前記哺乳動物の腸に由来する組織もしくは膜におけるチトクロームP450の阻害についてのアッセイがスクリーニングアッセイとして未だ有用である。好適なスクリーニングアッセイの同じ順位(即ち、invivoの方がinvitroより好ましい)はP−gp輸送の阻害のスクリーニングにとっても好ましい。双方の阻害についてアッセイすることによるスクリーニングが好ましく、チトクロームP450活性の阻害は一般にP−gp媒介式輸送のそれよりも重要である。
【0084】
エッセンシャルオイルの同時投与及び導入
エッセンシャルオイル及び薬剤の同時投与本発明はエッセンシャルオイルと薬剤との同時投与により全身流体又は組織内の薬剤の生物有用性を高めるであろう。「同時投与」には、同時の投与(同じ時間でのエッセンシャルオイル及び薬剤の投与)、並びにエッセンシャルオイル及び薬剤の双方が少なくとも部分的に重複した時期の間腸腔及び/又は膜の中に存在している限り、時期のずれた投与(薬剤の投与とは異なる時期においてエッセンシャルオイルを投与)が含まれる。「全身流体又は組織」は、血液、血漿又は血清、そして薬剤測定値を得ることのできるその他の体液又は組織を意味する。
【0085】
導入ビヒクル及び方法同時投与は同一の導入ビヒクル又は異なる導入ビヒクルで行ってよい。エッセンシャルオイル及び薬剤は、例えば、限定することなく、時放性マトリックス、時放性コーティング、コンパニオンイオン及び連続経口投与を利用して投与できうる。他方、薬剤及びエッセンシャルオイルはエッセンシャルオイル及び薬剤の放出に関して異なる時間定数を有する別々のコーティングにより別々に配合されうる。
【0086】
薬理組成物内で保護すべき薬剤と単に混合することに加えて、エッセンシャルオイルの様々な特性の化合物の組合せも含んでよい。例えば、第一化合物がP−gpインヒビターとして作用し、一方第二化合物がCYP3Aインヒビターとして作用しうる。エッセンシャルオイルは共有結合又はイオンもしくは極性吸引のいずれかにより保護すべき薬剤に結合することもできる。
【0087】
エッセンシャルオイルは腸以外の上皮組織と共に利用したときも生物有用性を高める。腸に利用する本発明の上記の論述はその他のタイプの上皮に適する。例えば、CYP3A酵素及びP−糖タンパク質は皮膚の中に存在し、そしてエッセンシャルオイルは全身流体及び組織に対する薬剤有用性を高めるために経皮製剤において使用できうる。かかる用途は本発明の一部であり、なぜなら腸以外の上皮におけるCYP3A酵素及びP−糖タンパク質のかかる阻害は同一の作用メカニズムを供するからである。
【0088】
エッセンシャルオイルの製剤
本発明はエッセンシャルオイルを含ませるように経口薬理組成物を配合することによりある程度実施される。これは薬理化合物、通常は薬理担体及びエッセンシャルオイルを混合することによりいくつかの態様で成し遂げられ、ここでエッセンシャルオイルはその組成物を処置すべき動物を経口投与したときに、当該組成物抜きの当該化合物の経時的積分全身濃度よりも高い当該化合物の経時的積分全身濃度(AUCにより測定)を供するに足りる量で存在する。薬理担体は一般に活性成分を取り扱い易いものにするように添加すべき不活性バルク剤であり、そして当業界においてよく理解されるように慣用手段で固体又は液体でありうる。本明細書に記載の方法により製造した薬理組成物も本発明に属する。
【0089】
本発明は現存の経口薬理組成物の化合物の生物有用性を高めるためにも利用できうる。このようにして実施した場合、本発明は活性成分をエッセンシャルオイルと混合することにより再配合組成物を供するように現存の組成物を再配合することで実施でき、ここでエッセンシャルオイルは、現存の薬理組成物において投与した場合の当該化合物の経時的積分全身濃度よりも高い当該化合物の経時的積分全身濃度と再配合組成物において投与したときに供するのに足りる量で存在させる。新規製剤について上記の基準は全て旧組成物の再配合にも適用される。再配合の好適な観点において、再配合組成物は現存の薬理組成物の中に存在する全ての成分とエッセンシャルオイルとを含んで成り、従って本発明の実施を簡略にするが、生物有用性を高めることを理由に製剤の現存の成分を排除することも可能である。即ち、本発明は現存の薬理組成物の中に入っている成分の全てに未たない成分とエッセンシャルオイルとを含む再配合組成物も包括する。しかしながら、本発明は本明細書に記載のメカニズム(メカニズムの知識は抜きで)により生物有用性を高める成分を含む既に存在している組成物は、そのような組成物が現存している限り、包括しない。
【0090】
伝統的な製剤をエッセンシャルオイルと共に利用できうる。最適なエッセンシャルオイル用量はエッセンシャルオイルの投与量及び投与時期を変え、そして生物有用性をモニターすることにより決定できうる。最適なエッセンシャルオイル用量が薬剤について樹立できたら、製剤(エッセンシャルオイル、薬剤及び適宜その他の製剤成分)を臨床試験し、高められた生物有用性を確認する。時放性又は徐放性製剤の場合、生物有用性実験の開始からかかる製剤を利用して最適エッセンシャルオイル用量を樹立するのが好ましいであろう。
【0091】
多くのエッセンシャルオイルは様々な状況下で風味料の中に利用されており、そしてそれらは薬理組成物の中で風味料として利用されている可能性がある。しかしながら、風味料は少量で利用されており、そしてかかる材料は本明細書及び請求の範囲に規定する本発明の外限界にも達しないようである。詳しくは、本発明の好適な製剤は製剤の総重量(適宜、カプセルを含む)に対して1%以上、より好ましくは2%以上、更により好ましくは5%以上のエッセンシャルオイルを含む。ほとんどのケースにおいて、風味料として利用されているエッセンシャルオイルは、風味料として用いられる材料0.1%未満において使用されている。このようなパーセンテージの考慮において、これらは活性成分が存在している製剤のパーセンテージであり、製剤の摂取後に当該薬理組成物が溶解又は懸濁されるであろう媒質の中の濃度としての重量又は容量ではないことに注意すべきである(後者は表1の如き本明細書の別の箇所に示す%値である)。更に、多くのエッセンシャルオイル及び多くのエッセンシャルオイル成分は液体であるため、かかる材料は往々にしてカプセルにおいて利用される(例えばハード又はソフト標準薬理ゲルカプセル)。風味料は一般にカプセルには使用されておらず、なぜならカプセルは製剤の中に存在する活性薬理化合物又はその他の成分ち由来する任意の好ましくない芳香又は臭気から使用者を保護するからである。薬理カプセル内のエッセンシャルオイルの供与は従って本発明の好適な態様である。
【0092】
表4は本発明を例示するいくつかの典型的な処方を示す。処方の中に示す2種のエッセンシャルオイル、即ち類似の阻害率を有するペパーミントオイル及びキャロットの実のオイルを示す(ペパーミントオイルについてはアッセイ媒体中での0.0001%の濃度で56%、そしてキャロット実オイルについては同濃度で52%)。表1もしくは2の%阻害値又は表には記載していない化合物についてアッセイデータに基づく簡単な計算は同じ効果を供するのに必要なその他のインヒビターの量を供するであろう。これらの処方に示すその他の成分は薬理組成物の中に利用されている標準の成分であり、そしてその他の酸化防止剤、界面活性剤(SSA)等により容易に置換されうる。表4において、「アルファー・トコフ」はアルファートコフェロールであり、「BHA」は、ブチル化ヒドロキシアニソールであり、「PVP」はポリビニルピロリドンであり、「Klucel」はヒドロキシプロピルセルロースであり、「胆汁塩」はコリン酸及び/もしくはそのナトリウム塩、又は胆汁酸の類似の塩、例えばデオキシコール酸又はグリコール酸であり、「Tween」は市販のTweenのクラスの界面活性剤、例えばTween21又は81であり、そして「脂肪酸」は天然脂肪酸又はその単純(例えばエチル)エステルである。
【0093】
【表14】

【実施例】
【0094】
エッセンシャルオイルによる薬剤分解の阻害
デキサメタソンによるラットチトクロームP4503Aの誘導
10匹の雄Sprague-Dawleyラット(250〜300g;Bantin Kingman)に4日間毎日にデキサメタソン(100mg/kg)をコーン油中のデキサメタソン懸濁物の腹腔注射により受容させた。5日目、ラットを断頭により殺し、そして肝臓を切除し、そして血液がなくなるまで0.15Mの塩化カリウム溶液で灌流した。灌流肝臓はその後の全ての操作の間氷の上に保った。
【0095】
ラット肝臓ミクロソームの調製
灌流肝臓を0.1Mのリン酸バッファー(pH7.4)で手動式にホモジナイズし、次いでそのホモジネート品を9,000gで20分遠心した。最初の遠心分離に由来する上清液を超遠沈管に移し、そして100,000gで60分遠心した。超遠心分離由来の上清液を捨て、そして残留ミクロソームペレットを0.15Mの塩化カリウム(約25ml)に懸濁し、そして100,000gで30分遠心した。再び上清液を捨て、そしてそのミクロソームペレットを0.1Mのリン酸バッファーに懸濁した。次いでミクロソーム懸濁物のタンパク質及びチトクロームP450濃度をBraford(M.Braford Anal.Biochem.72 : 248(1976))の方法及びOmura and Sato(T.Omura and R.Sato J.Biol.Chem.239 : 2370(1964))の方法を用いることによりそれぞれ決定した。ミクロソーム懸濁物を代謝インキュベーションにおいて使用するまで−80℃で保存した。
【0096】
ミクロソームインキュベーション
0.1Mのリン酸バッファー、pH7.4中のラット肝臓ミクロソーム(250μg/ml)、ジエチレンテトラミンペンタ酢酸(1mM)、シクロスポリン(1μM;0.0001%)及び候補代謝インヒビター(0.01%、0.001%、0.0001%)又はそれを溶解する溶媒(エタノール又はバッファー)のいずれか(総容量990μl)を往復振盪湯浴を用い、100rpmの定常振盪速度で、ボロシリケートガラス培養チューブ(16mm×100mm)の中で37℃で5分プレインキュベーションした。代謝反応は1mlの総反応容量になるようニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(1mM)を添加することにより開始した。
【0097】
反応は三重測定で行い、そしてニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート抜きのコントロールと比べた。インキュベーションは25分進行させ、そして代謝反応は硫酸亜鉛(2ml)及び100μlのロテノン内部標準溶液(試薬級アルコール中10μg/ml)で飽和にした50:50のアセトニトリル:水の添加により停止させた。サンプルを10秒ボルテックス混合し、次いで5,500rpmで10分遠心分離した。上清液を新たなチューブにデカンテーションし、ヘキサン(2ml)を加え、そしてその混合物を60秒ボルテックス混合した。ヘキサン洗浄サンプルを5,500rpmで5分遠心し、次いでヘキサン上層をボロシリケートガラス製パスツールピペットを介する吸引により除去した。残留溶液を固相抽出にかけた。
【0098】
固相抽出
Bond−Elut(登録商標)LRC C−18固相抽出力ラムをVac Elut SPS24真空マニホールド(共に、Varian Sample Preparation Products,Harbor City,California,USA)に収容し、次いで2mlの試薬級アルコール、次いで2×2mlの蒸留水で洗った。上記のヘキサン洗浄上清液を高真空により洗浄Bond−Elut(登録商標)カラムに導入し、次いでそのカラムを2×1mlの水で洗い、そしてサンプルを1mlのアセトニトリルで溶出させた。アセトニトリル溶液を窒素下で乾燥するまでエバポレーションし、次いで乾燥サンプルに栓をし、そして逆相高圧液体クロマトグラフィーにより分析するまで凍結保存した。
【0099】
シクロスポリン及び代謝物の分析
ミクロソームインキュベーション混合物からのシクロスポリン及び代謝物の逆相高圧液体クロマトグラフィー分析はBeckmanモデル126二重溶媒モジュール、Beckmanモデル168ダイオード−アレー紫外線吸収検出器及びRheodyneモデル7010サンプルインジェクションバルブ(100μlのサンプルループ)の付いた Beckmanモデル507オートサンプラーを利用した。データの収集及び分析はIBMモデル350 466 DX2コンピューターにローディングしたBeckman System Gold(登録商標)Personal(登録商標)クロマトグラフィーソフトウェアを利用する。
【0100】
インキュベーション実験由来の抽出及び乾燥サンプルを65:35のアセトニトリル:水(500μl)で再構築し、次いで100μlを、Beckman Ultrasphere(登録商標)RP−18分析カラム(5μm;4.6mm×250ram)に注入した。そのカラムは、それにインラインではあるが直接取付けられているのではないAlltech Adsorbosphere(登録商標)Direct−Connect(登録商標)ガード・カートリッジシステムにより70℃に維持されている。シクロスポリン及び代謝物をアセトニトリル・水(pH3)溶媒勾配(65%のアセトニトリルで4分、次いで75%のアセトニトリルに至るまで1分につき1%ずつの上昇、そして75%に6分維持)及び1ml/分の溶媒流速を利用して分離した。シクロスポリン及び代謝物を214nmでの紫外吸収により検出した。ロテノン内部標準は5.6±0.4分で溶出し、AM1 とAM9(シクロスポリンヒドロキシル化代謝物)の総合ピークは8.3±0.4分で溶出し、そしてシクロスポリンは16.1±0.5分で溶出した。
【0101】
データ分析
シクロスポリンについてのピーク面積、AM1とAM9 シクロスポリンヒドロキシル化総合代謝物ピーク(AM1 & AM9)、及びロテノン内部標準はBeckman System Gold(登録商標)Personal(登録商標)クロマトグラフィーソフトウェアを利用して積分により高圧液体クロマトグラフィーデータから決定し た。シクロスポリン代謝は親シクロスポリンに対する総合AM1 & AM9ピークのピーク面積比として測定し、次いで候補インヒビターによるシクロスポリン代謝のパーセンテージ阻害を下記の式を利用して決定した:
【0102】
%代謝=100×(1−インヒビター/ビヒクル)
(ここで「インヒビター」はインヒビターで処理したサンプル由来のAM1 & AM9/CyA ピーク面積比であり、そして「ビヒクル」はインキュベーション混合物に添加するためにインヒビターを溶解させたビヒクル(エタノール又はバッファー)で処 理したサンプル由来のAM1 & AM9/CyA 比である)。各インキュベーションは三重測定で行い、そして阻害データは平均±標準偏差(SD)として報告する。
【0103】
阻害アッセイの結果
これらのアッセイの結果を上記表1〜3に示し、それにおいて表1は記載の濃度にてエッセンシャルオイルを利用したアッセイ結果を示し、そして表2及び3はエッセンシャルオイルの個々の成分を用いたアッセイ結果並びにエッセンシャルオイルを溶解した溶媒(即ち、ネガティブコントロール)又は公知のインヒビターケトコナゾールを用いて得られた比較値を示す。エッセンシャルオイル及びエッセンシャルオイル成分はケミカルアブストラクト(CAS#)及びCode of Federal Regulations(CFR#)の第21巻に記載のGRAS表示、並びに一般及び科学名称で特定されている。本アッセイにおいて用いるオイル又はその他の成分の濃度は適宜の行の見出しにwt%で表示し、%阻害は様々なバイオエンハンサーに関して示している(負の値は試験成分が事実上生物有用性を低めることを示す)。あるケースにおいては、個々のアッセイを繰り返し、そしてその結果を示す。いくつかの行の中にある「不明」とは、代謝ピークがエッセンシャルオイルの中の未知の妨害物質の存在を理由に容易に測定できなかったことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口投与した疎水性薬理化合物の生物有用性を高めるための方法であって:
前記化合物による処置を必要とする哺乳動物にエッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分を、前記エッセンシャルオイルの非存在下での前記化合物の生物有用性よりも高い前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分の存在下での前記化合物の生物有用性を供するのに十分な量で前記化合物と同時に経口投与することを含んで成り、ここで前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分は、100μlの0.1Mのリン酸ナトリウムバッファー、pH7.4の中の100μgのヒト肝臓又は腸内細胞ミクロソーム、25μMのシクロスポリン、及びNADPH再生系を含むアッセイ系を利用してシクロスポリンのヒドロキシル化生成物に至る還元変換を測定するアッセイにおいて、0.01重量%以下の濃度において10%以上の阻害活性を有するものである、前記方法。
【請求項2】
前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャル成分が前記哺乳動物の腸内で、前記アッセイ系において、コントロールと比べ、シクロスポリンのヒドロキシル化生成物に至る変換を10%低める前記エッセンシャルオイルの濃度に相当する又はそれより高い濃度において存在する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記量が、前記アッセイによる測定に従い、前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分のKi又は見かけ上のKiの少なくとも0.1倍の前記哺乳動物の腸腔内の前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャル成分の濃度を供するのに十分な量である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分の存在下での生物有用性がその非存在下での前記化合物の生物有用性よりも高く、ここでその非存在下での生物有用性と完全経口生物有用性との差が10%以上である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記薬理化合物が、アセトアニリド、アミノアクリジン、アミノキノリン、アニリド、アントラシクリン抗生物質、アンチエストロゲン、ベンズアゼピン、ベンズヒドリル化合物、ベンゾジアザピン、ベンゾフラン、カンナビノイド、セファロスポリン、コルヒチン、環状ペプチド、ジベンズアゼピン、ジジタリスグリコシド、ジヒドロピリジン、エピフォドフィロトキシン、エルゲリン、エルゴットアルカロイド、イミダゾール、イソキノリン、マクロリド、ナフタレン、ナイトロジェンマスタード、オピオイド、オキサジン、オキサゾール、フェノチアジン、フェニルアルキルアミン、フェニルピペリジン、ピペラジン、ピペリジン、多環芳香族炭化水素、ピリジン、ピリドン、ピリミジン、ピロリジン、ピロリジノン、キナゾリン、キノリン、キノン、インドジャボクアルカロイド、レチノイド、サリチレート、ステロイド、スチルベン、スルフォン、スルホニル尿素、タキソール、トリアゾール、トロパン又はビンカアルカロイドを含んで成る、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記エッセンシャルオイルが、オールスパイスベリー、アンバーエッセンス、アニスの実、アルニカ、ペルー産バルサム、バジル、ベイリーフ、ベンゾインゴム、ベルガモット、ローズウッド、カジェプット、カレンデュラ(マリゴールドポット)、ホワイトカンホール、キャラウェイの実、カルダモン、キャロットの実、チェダーウッド、セロリ、ドイツ産もしくはハンガリー産カモミール、ローマ産もしくは英国産カモミール、シナモン、シトロネラ、クラリーセージ、クローブバッド、コリアンダー、クミン、サイプリス、ユーカリ樹、フェンネル、シベリア産ファーニードル、フランキンセンス(オリバヌム油)、ガーリック、ゲラニウムローズ、ジンジャー、グレープフルーツ、ヒソップ、ジャスミン・アブソルート、ホホバ、ジュニパーベリー、ラベンダー、レモン、レモングラス、ライム、スイートマルジョラム、マグウォート、ムレイン花、ミルラゴム、ビガレードネロリ、ナツメグ、ビターオレンジ、スイートオレンジ、オレガノ、パチョリ、ペンニローヤル、ブラックペッパー、ペパーミント、ペチテグレイン、パインニードル、ポークルーツ、ローズアブソルート、ローズヒップの実、ローズマリー、ダルマチオンセージ、サンダルウッド油、サッサフラス、スペアミント、カンショウ、トウヒ(ヘムロック)、ミカン、茶の木、スジャ(チェダーリーフ)、タイム、バニラエクストラクト、ベチベルト、ウィンタグリーン、ウィッチハゼル(ハマメリア)エクストラクト又はイランイラン(カナンガ)エクストラクトを含んで成る、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分が
2,6−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン;4−プロペニルアニソール;ベンジル−3−フェニルプロペン酸;1,7,7−トリメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタノ−2−オール;2,2−ジメチル−3−メチレンビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン;1,7,7−トリメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン;トランス−8−メチル−n−バニリル−6−ノンナミド;2,2,5−トリメチルビシクロ〔4.1.0〕ヘプテ−5−エン;5−イソプロピル−2−メチルフェノール;p−メンタ−6,8−ジエノ−2−オール;p−メンタ−6,8−ジエノ−2−オン;β−カリオフィレン;3−フェニルプロペンアルデヒド;複合ゲラニアル及びネラル;3,7−ジメチル−6−オクテナール;3,7−ジメチル−6−オクテノ−1−オール;4−アリルアニソール;エチル3−フェニルプロペン酸;3−エトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド;1,8−シネロール;4−アリル−2−メトキシフェノール;3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエノ−1−オール;1,3,3−トリメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタノ−2−オール;1,3,3−トリメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタノ−2−オン;トランス−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエノ−1−オール;トランス−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニ−1−イルアセテート;3−メチル−2−(2−ペンテニル)−2−シクロペンテノ−1−オン;p−メンタ−1,8−ジエン;3,7−ジメチル−1,6−オクタジエノ−3−オール;3,7−ジメチル−1,6−オクタジエニ−3−イルアセテート;p−メンタノ−3−オール;p−メンタノ−3−オン;メチル2−アミノベンゾエート;メチル−3−オキソ−2−(2−ペンテニル)−シクロペンタンアセテート;メチル2−ヒドロキシベンゾエート;7−メチル−3−メチレン−1,6−オクタジエン;シス−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエノ−1−オール;2,6,6−トリメチル−ビシクロ〔3.1.1〕ヘプテ−2−エン;6,6−ジメチル−2−メチレンビシクロ〔3.1.1〕ヘプタン;p−メンテ−4(8)−エノ−3−オン;p−メンテ−1−エノ−4−オール;p−メンタ−1,3−ジエン;p−メンテ−1−エノ−8−オール;又は2−イソプロピル−5−メチルフェノールを含んで成る、請求項1記載の方法。
【請求項8】
経口薬理組成物を配合するための方法であって、薬理化合物、薬理担体及びエッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分を混合することを含んで成り、前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分は、前記薬理組成物を哺乳動物に経口投与したときに、エッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分の非存在下での前記薬理化合物の生物有用性よりも高い前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分の存在下での前記薬理化合物の生物有用性を供するのに十分な量で存在する、前記方法。
【請求項9】
前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分が、1mlの0.1Mのリン酸バッファー、pH7.4中の250μgのラット肝臓又は腸内細胞ミクロソーム、1μMのシクロスポリン及び1mMのNADPHを含むアッセイ系において、シクロスポリンのヒドロキシル化生成物に至る変換を10%低める前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分の濃度に等しい又はそれより高い管腔濃度を供するのに十分な量で存在する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記量が前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分の前記Ki又は見かけ上のKiの少なくとも0.1倍の前記哺乳動物の腸腔内での前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分の濃度を供するのに十分な量である、請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分が前記薬理化合物の対イオンとして存在する、請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分が前記薬理化合物に共有結合している、請求項8記載の方法。
【請求項13】
前記薬理化合物が、アセトアニリド、アミノアクリジン、アミノキノリン、アニリド、アントラシクリン抗生物質、アンチエストロゲン、ベンズアゼピン、ベンズヒドリル化合物、ベンゾジアザピン、ベンゾフラン、カンナビノイド、セファロスポリン、コルヒチン、環状ペプチド、ジベンズアゼピン、ジジタリスグリコシド、ジヒドロピリジン、エピフォドフィロトキシン、エルゲリン、エルゴットアルカロイド、イミダゾール、イソキノリン、マクロリド、ナフタレン、ナイトロジェンマスタード、オピオイド、オキサジン、オキサゾール、フェノチアジン、フェニルアルキルアミン、フェニルピペリジン、ピペラジン、ピペリジン、多環芳香族炭化水素、ピリジン、ピリドン、ピリミジン、ピロリジン、ピロリジノン、キナゾリン、キノリン、キノン、インドジャボクアルカロイド、レチノイド、サリチレート、ステロイド、スチルベン、スルフォン、スルホニル尿素、タキソール、トリアゾール、トロパン又はビンカアルカロイドを含んで成る、請求項8記載の方法。
【請求項14】
前記エッセンシャルオイルが、オールスパイスベリー、アンバーエッセンス、アニスの実、アルニカ、ペルー産バルサム、バジル、ベイリーフ、ベンゾインゴム、ベルガモット、ローズウッド、カジェプット、カレンデュラ(マリゴールドポット)、ホワイトカンホール、キャラウェイの実、カルダモン、キャロットの実、チェダーウッド、セロリ、ドイツ産もしくはハンガリー産カモミール、ローマ産もしくは英国産カモミール、シナモン、シトロネラ、クラリーセージ、クローブバッド、コリアンダー、クミン、サイプリス、ユーカリ樹、フェンネル、シベリア産ファーニードル、フランキンセンス(オリバヌム油)、ガーリック、ゲラニウムローズ、ジンジャー、グレープフルーツ、ヒソップ、ジャスミン・アブソルート、ホホバ、ジュニパーベリー、ラベンダー、レモン、レモングラス、ライム、スイートマルジョラム、マグウォート、ムレイン花、ミルラゴム、ビガレードネロリ、ナツメグ、ビターオレンジ、スイートオレンジ、オレガノ、パチョリ、ペンニローヤル、ブラックペッパー、ペパーミント、ペチテグレイン、パインニードル、ポークルーツ、ローズアブソルート、ローズヒップの実、ローズマリー、ダルマチオンセージ、サンダルウッド油、サッサフラス、スペアミント、カンショウ、トウヒ(ヘムロック)、ミカン、茶の木、スジャ(チェダーリーフ)、タイム、バニラエクストラクト、ベチベルト、ウィンタグリーン、ウィッチハゼル(ハマメリア)エクストラクト又はイランイラン(カナンガ)エクストラクトを含んで成る、請求項8記載の方法。
【請求項15】
請求項8の方法により製造した薬理組成物。
【請求項16】
現存の経口薬理組成物の活性化合物の生物有用性を高めるための方法であって:
前記活性化合物をエッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分と混合することにより再配合組成物が供されるように前記現存の組成物を再配合することを含んで成り、ここで前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分は、前記現存の薬理組成物を投与したときの前記薬理化合物の前記生物有用性よりも高い前記薬理化合物の生物有用性を、前記再配合組成物を投与したときに供するのに十分な量で存在している、前記方法。
【請求項17】
前記再配合組成物が前記現存の薬理組成物の中に存在する成分全てと前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分とを含んで成る、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記再配合組成物が前記現存の薬理組成物の中に存在する成分全てに満たない成分と前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分とを含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
請求項16の方法により製造された再配合薬理組成物。
【請求項20】
局所投与した疎水性薬理化合物の生物有用性を高めるための方法であって:
前記化合物による処置を必要とする哺乳動物にエッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分を、前記化合物と同時に局所投与することを含んで成り、ここで前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分は、前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分の非存在下での前記化合物の生物有用性よりも高い前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャルオイル成分の存在下での前記化合物の生物有用性を供するのに十分な量で存在しており、ここで前記エッセンシャルオイル又はエッセンシャル成分は、1mlの0.1Mのリン酸ナトリウムバッファー、pH7.4の中の250μgのラット肝臓ミクロソーム、1μMのシクロスポリン、及び1mMの還元ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADPH)を含むアッセイ系を利用してシクロスポリンのヒドロキシル化生成物に至る還元変換を測定するアッセイにおいて、0.01重量%以下の濃度において10%以上の阻害活性を有するものである、前記方法。

【公開番号】特開2009−46498(P2009−46498A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−255329(P2008−255329)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【分割の表示】特願平9−501890の分割
【原出願日】平成8年6月7日(1996.6.7)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】