説明

経路計算システム

【課題】PDH網とSDH網が混在するネットワークのにおいて、SDH網用の経路計算システムにてネットワーク全体を対象として一度に最適経路を計算することを可能とする。
【解決手段】ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)10は、PDH網のトポロジー情報をSDH網のトポロジー情報に変換した後のネットワーク30のトポロジー情報に従って、経路計算装置20に経路計算用のトポロジーデータを生成する。経路計算装置20は、ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)10からの経路計算要求に応じて、自装置に生成された経路計算用のトポロジーデータに基づき、最適経路を計算し、計算結果を返却する。ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)10は、返却された計算結果のうち、元々PDH網の経路であった箇所のトポロジー情報を変換前のPDH網のトポロジー情報に戻す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PDH網とSDH網が混在するネットワーク上の通信経路を計算する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
SDH(Synchronous Digital Hierarchy)網上の或るノードを始点ノード、別の或るノードを終点ノードとし、始点ノードから終点ノードに至る最適経路(例えば最短経路)を計算する経路計算システムが提案ないし実用化されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された経路計算システムは、まず、SDH網を構成するノードの情報と、ノード間を接続するリンクの情報とを含むネットワークトポロジー情報をデータベースに構築する。次に、経路計算システムは、このデータベースに保持されたネットワークトポロジー情報から、実際の経路計算用のトポロジーデータを生成する。具体的には、行と列とにノードを配し、各行列要素に、対応するノード間に空きタイムスロットを含むリンクが存在するか否かを示す値を配したトポロジ行列を生成する。そして、経路計算システムは、このトポロジーデータに基づき、オペレータから経路計算要求のあった始点ノードおよび終点ノードに対して、ダイクストラ法などの一般的な経路計算アルゴリズムを用いて最短経路を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−232472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記関連技術では、PDH(Plesiochronous Digital Hierarchy)網とSDH網が混在するネットワークの全体を対象として、最適経路を計算することはできないという問題点があった。その理由は、PDH網にはタイムスロットという概念がない等、PDH網とSDH網では、経路計算用のトポロジーデータが異なるためである。
【0006】
本発明の目的は、PDH網とSDH網が混在するネットワークはSDH網用の経路計算システムではネットワーク全体を対象として一度に最適経路を計算することはできないという課題を解決する経路計算システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態にかかる経路計算システムは、PDH網とSDH網が混在するネットワークのトポロジー情報を保持するネットワーク・マネージメント・システム(NMS)と、このネットワーク・マネージメント・システム(NMS)からの経路計算要求に応じて、自装置に生成された経路計算用のトポロジーデータに基づき、最適経路を計算し、この計算結果を上記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)へ送信する経路計算装置とを備え、上記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)は、PDH網のトポロジー情報をSDH網のトポロジー情報に変換した後の上記ネットワークのトポロジー情報に従って、上記経路計算装置に経路計算用のトポロジーデータを生成し、上記経路計算装置から受信した計算結果のうち、元々PDH網の経路であった箇所のトポロジー情報を変換前のPDH網のトポロジー情報に戻す、という構成を採る。
【0008】
また本発明の他の形態である経路計算方法は、PDH網とSDH網が混在するネットワークのトポロジー情報を保持するネットワーク・マネージメント・システム(NMS)と、該ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)に通信回線を介して接続された経路計算装置とが連携して経路計算を行う方法であって、上記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)が、上記ネットワークのトポロジー情報中のPDH網のトポロジー情報をSDH網のトポロジー情報に変換し、上記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)が、上記変換後の上記ネットワークのトポロジー情報に従って、上記経路計算装置に経路計算用のトポロジーデータを生成した後に、上記経路計算装置に対して経路計算要求を送信し、上記経路計算装置が、上記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)からの経路計算要求に応じて、自装置に生成された経路計算用のトポロジーデータに基づき、最適経路を計算し、該計算結果を上記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)へ送信し、上記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)が、上記経路計算装置から受信した計算結果のうち、元々PDH網の経路であった箇所のトポロジー情報を変換前のPDH網のトポロジー情報に戻す、という構成を採る。
【0009】
また本発明の他の形態であるネットワーク・マネージメント・システム(NMS)は、PDH網とSDH網が混在するネットワークのトポロジー情報を保持するトポロジー情報記憶手段と、PDH網のトポロジー情報とSDH網のトポロジー情報との間の変換を行うトポロジーデータ変換手段と、該トポロジーデータ変換手段を用いてPDH網のトポロジー情報をSDH網のトポロジー情報に変換した後の上記ネットワークのトポロジー情報に従って、経路計算装置に経路計算用のトポロジーデータを生成する経路計算用トポロジーデータ生成手段と、操作入力部から入力された経路計算要求を上記経路計算装置に対して送信し、上記経路計算装置から受信した計算結果のうち、元々PDH網の経路であった箇所のトポロジー情報を上記トポロジーデータ変換手段を用いて変換前のPDH網のトポロジー情報に戻して画面表示部に出力する経路計算要求受付/結果出力手段とを備える、という構成を採る。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上記のように構成されているため、PDH網とSDH網が混在するネットワークの全体を対象として、最適経路の計算を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態の経路計算システムのブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の経路計算システムのネットワーク・マネージメント・システム(NMS)のブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施形態の経路計算システムで使用するトポロジー変換ルールの一例を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の経路計算システムで使用するトポロジー変換ルールの一例を示す図である。
【図5】PDH網とSDH網とが混在するネットワークのトポロジー情報と、経路計算用のトポロジーデータの例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の経路計算システムの経路計算装置のブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の経路計算システムの処理例を示すフローチャートである。
【図8】PDH網とSDH網とが混在するネットワークのトポロジーの一例を示す図である。
【図9】PDHの転送速度を擬似的にSDHのLayer Rateに変換した例を示す図である。
【図10】PDHのチャネル番号を擬似的にSDHのタイムスロット番号に変換した例を示す図である。
【図11】経路計算装置に生成される経路計算用のトポロジー情報の一例を示す図である。
【図12】経路計算用トポロジーデータにおいて、PDHとSDHとを区別するための識別子を表形式で保持する例を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施形態の経路計算システムの処理例を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第2の実施形態の経路計算システムの処理例を示すフローチャートである。
【図15】経路計算用の下位レイヤのネットワークを示す図である。
【図16】下位レイヤのネットワークに上位レイヤのネットワークをつなげた経路計算用のネットワークを示す図である。
【図17】下位レイヤのネットワークに上位レイヤのネットワークをつなげた経路計算用のネットワークから計算された最適経路の一例を示す図である。
【図18】上位レイヤのネットワークの一部のリンクを削除して、経路を再計算する様子を示す図である。
【図19】最適経路の計算結果の表示例を示す図である。
【図20】Higher Order Pathに関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
[第1の実施形態]
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態にかかる経路計算システム1は、PDH網とSDH網が混在するネットワーク30上の或るノードを始点ノード、別の或るノードを終点ノードとするとき、始点ノードから終点ノードに至る最適経路を計算する機能を有している。ここで、最適経路とは、経由するリンクに定義されたメトリックまたはコストの和が最小となる経路を意味する。
【0014】
本実施形態の経路計算システム1は、ネットワーク30に通信回線51を通じて接続されたネットワーク・マネージメント・システム(NMS)(以下、単にNMSと記す)10と、このNMS10に通信回線52を通じて接続された経路計算装置(計算エンジン)20とから構成されている。
【0015】
経路計算装置20は、NMS10からの経路計算要求に応じて、自装置に生成された経路計算用のトポロジーデータに基づき、最適経路を計算し、その計算結果をNMS10へ送信するコンピュータである。
【0016】
NMS10は、ネットワーク30内の各ノードや各リンクの状態を監視、制御するコンピュータである。このNMS10は、ネットワーク30のトポロジー情報を保持し、経路計算装置20と連携して、オペレータ40から入力された経路計算要求に応じて、ネットワーク30のトポロジー情報に基づき、2つのノード間を結ぶネットワーク30上の最適経路を計算する機能を有している。
【0017】
具体的には、NMS10は、PDH網のトポロジー情報をSDH網のトポロジー情報に変換する機能を有している。また、NMS10は、このトポロジー情報変換機能を用いて、PDH網のトポロジー情報を、それに対応するSDH網のトポロジー情報に変換した後のネットワーク30のトポロジー情報に従って、経路計算装置20に経路計算用のトポロジーデータを生成する機能を有している。さらに、NMS10は、オペレータ40から入力された経路計算要求を経路計算装置20へ送信してその計算結果を経路計算装置20から受信し、受信した計算結果のうち、元々PDH網の経路であった箇所のトポロジー情報を上記トポロジー情報変換機能を用いて変換前のPDH網のトポロジー情報に戻してオペレータ40に提示する機能を有している。
【0018】
このように本実施形態によれば、PDH網のトポロジー情報をSDH網のトポロジー情報に変換した後のネットワーク30のトポロジー情報に従って、経路計算用のトポロジーデータを生成するので、SDH網用の経路計算機能を用いてPDH網とSDH網が混在するネットワーク30の全体を対象とした最適経路の計算が可能になる。
【0019】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態にかかる経路計算システムについて説明する。
【0020】
まず、本発明の第2の実施形態にかかる経路計算システムのNMS10について説明する。
【0021】
図2を参照すると、本発明の第2の実施の形態にかかる経路計算システムのNMS10は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータで構成され、ネットワーク30内の各ノードや各リンクの状態を監視したり、または制御する機能と、経路計算装置20と連携してネットワーク30上の最適経路を計算する機能とを有している。
【0022】
このNMS10には、主な機能部として、演算処理部11、記憶部12、通信インターフェース部(以下、通信I/F部と称す)13、操作入力部14、および画面表示部15が設けられている。
【0023】
通信I/F部13は、専用のデータ通信回路からなり、通信回線51を介して接続されたネットワーク30内の各ノードや通信回線52を介して接続された経路計算装置20などの各種装置との間でデータ通信を行う機能を有している。
【0024】
操作入力部14は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなり、オペレータ40の操作を検出して演算処理部11へ出力する機能を有している。
【0025】
画面表示部15は、液晶ディスプレイ装置などの画面表示装置からなり、演算処理部11からの指示に応じて、操作メニュー、経路計算要求入力画面、経路計算結果などの各種情報を画面表示する機能を有している。
【0026】
記憶部12は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置からなり、演算処理部11での各種処理に必要な処理情報やプログラム12Pを記憶する機能を有している。プログラム12Pは、演算処理部11に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現するプログラムであり、通信I/F部13などのデータ入出力機能を介して外部装置(図示せず)や記録媒体(図示せず)から予め読み込まれて記憶部12に保存される。記憶部12で記憶される主な処理情報として、ネットワークトポロジー情報12A、変換ルール12B、変換後ネットワークトポロジー情報12C、およびノード・リンク生成ルール12Dがある。
【0027】
ネットワークトポロジー情報12Aは、PDH網とSDH網が混在するネットワーク30全体の構成を示す情報である。このネットワークトポロジー情報12Aには、ネットワーク30を構成する各ノードに関する各種の情報、ノード間を接続するリンクに関する各種の情報が含まれている。ノードに関する各種の情報には、ノード識別子、PDH、SDHの何れのノードであるかを示す種別情報、ポート情報などがある。また、リンクに関する各種情報には、リンク識別子、リンクがPDH、SDHの何れのリンクであるかを示す種別情報、リンクの使用状態、転送速度、リンクに付与されたメトリックやコストなどがある。リンクの使用状態には、PDHのリンクの場合は使用済チャネルと空きチャネルの情報があり、SDHのリンクの場合は使用済タイムスロットと空きタイムスロットの情報がある。
【0028】
変換ルール12Bは、PDH網のトポロジー情報を、それに対応するSDH網のトポロジー情報に変換するルールである。図3および図4は、変換ルール12Bの構成例である。図3の変換ルール12B1は、PDHの転送速度はSDHの同等速度のLayer Rateに変換することを示している。図4の変換ルール12B2は、PDHのチャネル番号はSDHのタイムスロット番号に変換することを示している。
【0029】
変換後ネットワークトポロジー情報12Cは、ネットワークトポロジー情報12A中のトポロジー情報のうち、PDH網のトポロジー情報は変換ルール12Bを用いて、それに対応するSDH網のトポロジー情報に変換し、SDH網のトポロジー情報はそのままコピーした情報である。この変換後ネットワークトポロジー情報12Cでは、識別子などを使用して、PDH網のトポロジー情報から変換されて生成されたSDH網のトポロジー情報と、それ以外のトポロジー情報とが明確に区別されている。
【0030】
ノード・リンク生成ルール12Dは、変換後ネットワークトポロジー情報12Cに従って、経路計算装置20に経路計算用のトポロジーデータを生成する際に適用されるルールである。ノード・リンク生成ルール12Dは、以下で説明する6つのルールR1〜R6から構成されている。また、図5は、PDH網とSDH網とが混在するネットワークのトポロジー情報12Cの例と、この例のネットワークトポロジー情報12Cにノード・リンク生成ルール12Dを適用して生成した経路計算用のトポロジーデータの例を示す図である。図5に示すように、経路計算用のトポロジーデータは、下位レイヤと上位レイヤの2つのレイヤから構成される。
【0031】
(1)ルールR1:図5に示すように、PDH網のノードとリンクは下位レイヤにのみ生成し、上位レイヤには生成しない。
図20に示されるように、SDH網はLower Order Pathの経路を計算する際は、Lower Order Pathを通すHigher Order Pathの経路を考慮する必要がある。これに対し、PDH網はシングルLayerのためHigher Order Pathを考慮する必要がない。このことから、このルールR1が設けられている。
【0032】
(2)ルールR2:図5に示すように、SDH網でVC11/VC12/VC3(下位レイヤ)の端点を持たないノードとそれをつなぐリンクは、上位レイヤにのみ生成し、下位レイヤには生成しない。
基本的には、上位レイヤのネットワークはVC4以上の高速回線の接続になり、下位レイヤのネットワークはVC11/VC12/VC3といった低速回線の接続になる。よって、VC11/VC12/VC3の通信回線がないノードは、下位レイヤのネットワークの接続図には見えてこないことになることから、このルールR2が設けられている。
【0033】
(3)ルールR3:図5に示すように、SDH網でVC11/VC12/VC3(下位レイヤ)の端点を持つノードは、上位レイヤおよび下位レイヤそれぞれに生成する。
【0034】
(4)ルールR4:SDH網でVC11/VC12/VC3(下位レイヤ)の端点を持つノード間を接続するリンクは、上位レイヤにのみ生成する。
【0035】
(5)ルールR5:図5に示すように、或るSDH装置を始点とし、別の或るSDH装置を終点として、Higher Order Pathを生成したときに、この生成したHigher Order Pathに対応するリンクを、下位レイヤにのみ生成する。
Higher Order PathとLower Order Pathとの関係は、Higher Order Pathという土管の中をLower Order Pathという線が通るような如き関係である。このため、上位レイヤのネットワーク上で生成されるHigher Order Pathの経路を下位レイヤ上では一つのリンクとして扱うことで、Lower Order Pathの経路を下位レイヤ上で表現することが可能となる。Higher Order Pathの生成時、生成されたHigher Order Pathの情報からA/Z端点(始点/終点)などの情報を抜き出して、生成するリンクの始点と終点などの情報を生成する。
【0036】
(6)ルールR6:ノードやリンクにPDHとSDHとを区別するための識別子を付与する。
【0037】
演算処理部11は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部12からプログラム12Pを読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム12Pとを協働させて各種処理部を実現する機能を有している。演算処理部11で実現される主な処理部として、トポロジー情報構築部11A、トポロジーデータ変換部11B、経路計算用トポロジーデータ生成部11C、Higher Order Path生成部11D、および経路計算要求受付/結果出力部11Eがある。
【0038】
トポロジー情報構築部11Aは、一般的なルーティングプロトコルに基づきネットワーク30内の各ノードから、ノードに関する情報やノード間の接続リンクに関する情報を収集する機能と、これらの情報に基づきネットワークトポロジー情報12Aを作成して記憶部12へ保存する機能とを有している。
【0039】
トポロジーデータ変換部11Bは、変換ルール12Bを使用して、PDH網のトポロジー情報を擬似的にSDH網のトポロジー情報に変換する機能と、その逆変換、つまり擬似的に変換されたSDH網のトポロジー情報を元のPDH網のトポロジー情報に戻す機能とを有している。
【0040】
経路計算用トポロジーデータ生成部11Cは、ノード・リンク生成ルールを参照して、変換後ネットワークトポロジー情報12Cに従って、経路計算装置20に経路計算用のトポロジーデータを生成するためのコマンドを送信する機能を有している。
【0041】
Higher Order Path生成部11Dは、ネットワーク30にHigher Order Pathを生成する機能を有している。
【0042】
経路計算要求受付/結果出力部11Eは、操作入力部14を通じてオペレータ40から経路計算要求を受け付ける機能、この受け付けた経路計算要求を通信回線52を通じて経路計算装置20に対して送信する機能、この送信した経路計算要求に対する計算結果を経路計算装置20から通信回線52を通じて受信する機能、受信した計算結果のうち、元々PDH網の経路であった箇所のSDHのトポロジー情報をトポロジーデータ変換部11Bを用いて変換前のPDH網のトポロジー情報に戻して、画面表示部15を通じてオペレータ40に提示する機能を有している。
【0043】
次に、本発明の第2の実施形態にかかる経路計算システムの経路計算装置20について説明する。
【0044】
図6を参照すると、本発明の第2の実施の形態にかかる経路計算システムの経路計算装置20は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータで構成され、経路計算装置20と連携してネットワーク30上の最適経路を計算する機能を有している。
【0045】
この経路計算装置20には、主な機能部として、演算処理部21、記憶部22、および通信I/F部23が設けられている。
【0046】
通信I/F部23は、専用のデータ通信回路からなり、通信回線52を介して接続されたNMS10などの各種装置との間でデータ通信を行う機能を有している。
【0047】
記憶部22は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置からなり、演算処理部21での各種処理に必要な処理情報やプログラム22Pを記憶する機能を有している。プログラム22Pは、演算処理部21に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現するプログラムであり、通信I/F部23などのデータ入出力機能を介して外部装置(図示せず)や記録媒体(図示せず)から予め読み込まれて記憶部22に保存される。記憶部22で記憶される主な処理情報として、経路計算用トポロジーデータ22Aがある。
【0048】
経路計算用トポロジーデータ22Aは、経路計算装置20が経路計算に使用するネットワーク30のトポロジーデータである。
【0049】
演算処理部21は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部22からプログラム22Pを読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム22Pとを協働させて各種処理部を実現する機能を有している。演算処理部21で実現される主な処理部として、経路計算用トポロジーデータ生成部21A、経路計算要求受信/結果送信部21B、および経路計算部21Cがある。
【0050】
経路計算用トポロジーデータ生成部21Aは、NMS10の経路計算用トポロジーデータ生成部11Cから受信したコマンドを実行することにより、経路計算用トポロジーデータ生成部11Cから生成要求された経路計算用トポロジーデータ22を記憶部22上に作成する機能を有している。
【0051】
経路計算要求受信/結果送信部21Bは、NMS10から経路計算要求を受信して経路計算部21Cに伝達する機能と、その経路計算要求に対する計算結果を経路計算部21Cから受け取ってNMS10へ送信する機能とを有している。
【0052】
経路計算部21Cは、経路計算要求受信/結果送信部21Bから受け取った経路計算要求に応じて、経路計算用トポロジーデータ22Aに基づき、最適経路を計算し、その計算結果を経路計算要求受信/結果送信部21Bへ返却する機能を有している。
【0053】
次に、本発明の第2の実施形態にかかる経路計算システムの動作を説明する。
【0054】
まず、経路計算の前準備として、NMS10と経路計算装置20とが連携して、経路計算用トポロジーデータ22Aを経路計算装置20の記憶部22に生成する動作を図7を参照して説明する。
【0055】
NMS10の演算処理部11は、トポロジー情報構築部11Aを用いて、ネットワーク30内の各ノードから、ノードに関する情報やノード間の接続リンクに関する情報を収集し、この収集した情報に基づきネットワークトポロジー情報12Aを作成して記憶部12へ保存する(ステップS1)。
【0056】
ここでは、図8に示されるようなネットワークのトポロジー情報12Aが作成されたものとする。図中、○はPDH装置、□はSDH装置、破線は2M(Section)、実線は140M(Section)、一点鎖線はSTM4(Section)、二点鎖線はVC4(Path)を示す。
【0057】
次に、NMS10の演算処理部11は、トポロジーデータ変換部11Bを用いて、ネットワークトポロジー情報12A中のPDH網のトポロジーデータを、それに対応するSDH網のトポロジーデータに変換し、変換後ネットワークトポロジー情報12Cを作成する(ステップS2)。
【0058】
具体的には、トポロジーデータ変換部11Bは、ネットワークトポロジー情報12A中のPDHの転送速度は、図3の変換ルール12B1を参照して、SDHの同等速度のLayer Rateに変換する。図8に示したネットワークの場合、図9のLink(区間)欄に記載されたPDHの区間における、変換前欄に記載された転送速度が、変換後欄に記載されたSDHの同等速度のLayer Rateに変換される。例えば、図9の1行目は、通信速度2Mbpsのリンクで接続されているノードAとノードDは、VC12で接続されているように変換されたことを示している。
【0059】
また、トポロジーデータ変換部11Bは、ネットワークトポロジー情報12A中のPDHのチャネル番号は、図4の変換ルール12B2を参照して、SDHのタイムスロット番号に変換する。図8に示したネットワークの場合、図10のLink(区間)欄に記載されたPDHの区間における、変換前欄に記載されたチャネル番号が、変換後欄に記載されたSDHのタイムスロット番号に変換される。例えば、図10の1行目は、ch10で接続されているノードAとノードDは、タイムスロット番号10で接続されているように変換されたことを示している。なお、PDHのリンクは、1つのリンクに対して1つのチャネルしか存在しない。従って、パスが通っていないリンクは、空きチャネル(変換後は空きタイムスロット)が1つ存在し、パスが通っているリンクは、空きチャネル(変換後は空きタイムスロット)が存在しないという管理になる。
【0060】
次に、NMS10の経路計算用トポロジーデータ生成部11Cと経路計算装置20の経路計算用トポロジーデータ生成部21Aとが連携して、経路計算装置20の記憶部22に経路計算用トポロジーデータ22Aを生成する(ステップS3)。具体的には、NMS10の演算処理部11は、経路計算用トポロジーデータ生成部11Cを用いて、変換後ネットワークトポロジー情報12Cおよびノード・リンク生成ルール12Dに基づいて、経路計算装置20に経路計算用トポロジーデータ22Aを作成するためのコマンドを送信する。他方、経路計算装置20の経路計算用トポロジーデータ生成部21Aは、受信したコマンドを解釈実行することにより、記憶部22上に経路計算用トポロジーデータ22Aを作成する。図9および図10のように変換が行われた後の図8のネットワークのトポロジー情報12Cの場合、図11に示すような経路計算用トポロジーデータ22Aが生成される。なお、図11では、下位レイヤと上位レイヤとを区別せずに表示している。
【0061】
図11には表現されていないが、経路計算用トポロジーデータ22Aの各リンクに対しては、使用済みタイムスロットと空きタイムスロットの情報が含まれている。SDHのトポロジー情報に変換されたPDHのリンクに関しては、使用済みチャネルが使用済みタイムスロットになり、空きチャネルが空きタイムスロットになる。
【0062】
同じく、図11には表現されていないが、経路計算用トポロジーデータ22Aのノードとリンクには、そのノードとリンクがPDHとSDHの何れであるかを区別するための識別子が付与されている。図12は、PDHとSDHとを区別するための識別子を表形式で保持する例である。図12中、Name欄に記載されたAやA―D等は、ノードまたはリンクの名前を示す。また、Type欄に記載されたNodeやlinkは、ノードまたはリンクの何れであるかを示す。そして、SDH/PDH欄に記載されたPDHやSDHが、PDHとSDHとを区別するための識別子を示す。
【0063】
なお、NMS10は、Higher Order Pathを生成した場合(ステップS4)、引き続き、ステップS3の処理を実行する。これにより、ルールR5が適用され、経路計算用トポロジーデータ22Aの下位レイヤに新たなリンクが生成される。
【0064】
次に、オペレータ40から経路計算要求が出された際の動作を図13を参照して説明する。
【0065】
NMS10の演算処理部11は、オペレータ40の経路計算要求操作が操作入力部14により検出された場合、経路計算要求受付/結果出力部11Eを用いて、この経路計算要求を受け付け、経路計算装置20へ送信する(ステップS11)。
【0066】
経路計算装置20の演算処理部21は、NMS10から送信された経路計算要求が経路計算要求受信/結果送信部21Bにより受け付けられた場合、経路計算部21Cを用いて、経路計算要求に応じた最適経路を計算する(ステップS12)。
【0067】
次に経路計算装置20の演算処理部21は、経路計算部21Cの計算結果を、経路計算要求受信/結果送信部21Bを用いて、NMS10へ送信する(ステップS13)。
【0068】
NMS10の演算処理部11は、経路計算装置20から送信された計算結果を受信すると、経路計算要求受付/結果出力部11Eを用いて、計算結果の経路にPDHの識別子が付与されたノードやリンクが含まれているか否かを確認する(ステップS14)。PDHの識別子が付与されたノードやリンクが含まれている場合、NMS10の演算処理部11は、トポロジーデータ変換部11Bを用いて、PDHの識別子が付与されたノードやリンクの情報を元のPDH情報に戻す(ステップS15)。次に、NMS10の演算処理部11は、経路計算要求受付/結果出力部11Eを用いて、計算結果を画面表示部15に表示する(ステップS16)。
【0069】
他方、計算結果の経路にPDH網のノードやリンクが含まれていない場合、NMS10の演算処理部11は、ステップS15をスキップし、ステップS16の処理を実行する。
【0070】
次に、オペレータ40から以下のような条件を指定した経路計算要求が入力された場合を例にして、ステップS12、S13の処理の詳細を図14を参照して説明する。
始点ノード=A
終点ノード=F
必ず経由するノード=h
経路の種類=VC12
最適化方式=コストベース
つまり、ノードhを経由してノードAからノードFへ至るVC12の経路のうち、最もコストの低い経路を計算する要求である。
【0071】
経路計算装置20の演算処理部21は、まず、経路計算部21Cを用いて、経路計算用トポロジーデータ22Aに基づき、下位レイヤのみで構成されるネットワークから経路計算要求に応じた最適経路を計算する(ステップS12−1)。ここで、下位レイヤのみの計算は、既存のHigher Order Pathと下位レイヤのLinkのみを経路の計算対象とする計算に相当する。
【0072】
図15は、図11のネットワークから下位レイヤのネットワークを抽出した図である。この図15から明らかなように、下位レイヤのネットワーク上には、始点ノードAからノードhを経由して終点ノードFに至る経路は存在しない。このため、ステップS12−1での計算結果は、最適経路なしとなる。
【0073】
次に、経路計算装置20の演算処理部21は、経路計算部21Cを用いて、経路計算用トポロジーデータ22Aに基づき、下位レイヤのネットワークに上位レイヤのネットワークをつないだネットワークから経路計算要求に応じた最適経路を計算する(ステップS12−2)。ここで、下位レイヤ+上位レイヤの計算は、新規にHigher Order Pathの生成を必要とするケースの計算に相当する。すなわち、既存のHigher Order Pathと下位レイヤのLinkに加えて更に、新規なHigher Order Pathを経路の計算対象とする計算に相当する。
【0074】
図16は、下位レイヤのネットワークに上位レイヤのネットワークをつないだネットワークである。この図16から明らかなように、下位レイヤのネットワークと上位レイヤのネットワークとの双方を経由すれば、始点ノードAからノードhを経由して終点ノードFに至る経路は複数存在する。ここでは、図16の破線で示す経路が最適経路として計算されたものとする。
【0075】
次に、経路計算装置20の演算処理部21は、経路計算部21Cを用いて、ステップS12−2の計算結果に含まれる上位レイヤの経路に、経路計算要求で指定された経路の種類に相当するLower Order Pathを通すことができるか否かを確認する(ステップS12−3)。具体的には、ステップS12−2の計算結果が図16の破線で示す経路の場合、図17に示すように、上位レイヤを通るa-e-d-h-gの破線の経路でVC4 Path(Higher Order Path)を生成するための空き帯域(空きタイムスロット)があるか否かを確認する。確認の結果、計算結果に含まれる上位レイヤの経路にLower Order Pathを通すことができれば、ステップS12−5の処理に進み、通すことができなければ、ステップS12−4の処理に進む。
【0076】
ステップS12−4では、経路計算装置20の演算処理部21は、経路計算部21Cを用いて、通らない原因となっているリンクを特定し、そのリンクをExclude指定して(そのリンクを経由しないように削除して)、再度、下位レイヤのネットワークに上位レイヤのネットワークをつないだネットワークから経路計算要求に応じた最適経路を計算する(ステップS12−4)。例えば、通らない原因がe-d間における空きタイムスロット不足の場合、図18に示すように、e-d間のリンクを削除して、再計算を行う。そして、ステップS12−3の処理へと戻る。ステップS12−3、S12−4は、計算結果に含まれる上位レイヤの経路にLower Order Pathを通すことができるまで、繰り返される。
【0077】
ステップS12−5では、経路計算装置20の演算処理部21は、経路計算部21Cを用いて、ステップS12−1で計算した経路(下位レイヤのネットワークのみを経由する経路)とステップS12−2またはS12−4で計算した経路(下位レイヤおよび上位レイヤのネットワークを経由する経路)とを比較し、そのどちらの経路がより最適な経路であるかを判定する。
【0078】
若し、下位レイヤおよび上位レイヤのネットワークを経由する経路に比べて、下位レイヤのネットワークのみを経由する経路の方が最適か、あるいは同等であれば、経路計算装置20の演算処理部21は、経路計算要求受信/結果送信部21Bを用いて、下位レイヤのネットワークのみを経由する経路を計算結果として、NMS10へ送信する(ステップS13−1)。他方、下位レイヤのネットワークのみを経由する経路に比べて、下位レイヤおよび上位レイヤのネットワークを経由する経路の方が最適であれば、経路計算装置20の演算処理部21は、経路計算要求受信/結果送信部21Bを用いて、下位レイヤおよび上位レイヤのネットワークを経由する経路を計算結果として、NMS10へ送信する(ステップS13−2)。そのとき算出して導けた上位レイヤ上の経路も算出結果としてNMS10へ返す。経路計算後に計算結果をもとにオペレータ40がパスの登録を行う際、まったく上位レイヤのパスがないところに下位レイヤのパスを登録する場合は、下位レイヤのパスだけでなく上位レイヤの経路のパスも登録する必要がある。このため、上位レイヤ上の経路情報を計算結果に含めるようにしている。なお、オペレータ40が上位レイヤのパスを登録した際、前述したように、NMS10は、図7のステップS4によりHigher Order Pathを生成し、ステップS3においてルールR5により下位レイヤにリンクを生成する。
【0079】
NMS10の演算処理部11は、経路計算装置20から送信された計算結果を受信した際、計算結果の経路に、PDHのトポロジー情報から変換されたSDHのトポロジー情報が含まれていれば、元のPDHのトポロジー情報に戻して画面表示部15に表示する(ステップS16)。従って、図16の破線で示す経路が計算結果として返された場合、NMS10の演算処理部11は、トポロジーデータ変換部11Bを用いて、以下のような変換を行う。
(1)A-D間は、2Mのリンクがch10のポートで接続されているようにする。
(2)D-a間は、2Mのリンクがch15のポートで接続されているようにする。
(3)g-F間は、2Mのリンクがch20のポートで接続されているようにする。
【0080】
そして、NMS10の演算処理部11は、経路計算要求受付/結果出力部11Eを用いて、上記変換処理を行った最適経路の情報を、例えば図19に示すように、画面表示する。
【0081】
このように本実施形態によれば、PDH網とSDH網が混在するネットワーク30の全体を対象として、最適経路の計算が可能になる。
【0082】
また、本実施形態によれば、PDH網とSDH網が混在するネットワーク30をPDH網とSDH網とに分割し、各分割ネットワーク毎に経路を計算し、この計算した経路をつなぎあわせて最終結果を求める方法(以下、分割計算方法と称す)に比べて、計算精度が向上する。その理由は、分割計算方法では、ネットワークの分割数が多くなると、始点ノードから終点ノードに至るまでに経由するブロックの組み合わせが膨大になり、どの組み合わせが最適であるかを容易に求めることができなくなるためである。
【0083】
また、本実施形態によれば、3階層のマルチレイヤの経路計算装置(計算エンジン)を使用し、SDH網に2レイヤ、PDH網に1レイヤを割り当てて計算する方法(以下、3レイヤ方法と称す)に比べて、計算量を削減することができる。その理由は、マルチレイヤの経路計算は、レイヤ数が多くなればなるほど、最適経路を導き出すためのアルゴリズムや処理ロジックが複雑になるためである。
【産業上の利用可能性】
【0084】
PDH網とSDH網が混在するネットワーク上での最適経路の計算に利用できる。また、モバイルバックホールからSDH網までを一つのNMSで管理し、PDH網とSDH網をあわせた全体網としてのEnd−End管理や最適経路の算出を行う場合に利用できる。
【0085】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
[付記1]
PDH網とSDH網が混在するネットワークのトポロジー情報を保持するネットワーク・マネージメント・システム(NMS)と、
該ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)からの経路計算要求に応じて、自装置に生成された経路計算用のトポロジーデータに基づき、最適経路を計算し、該計算結果を前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)へ送信する経路計算装置とを備え、
前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)は、
PDH網のトポロジー情報をSDH網のトポロジー情報に変換した後の前記ネットワークのトポロジー情報に従って、前記経路計算装置に経路計算用のトポロジーデータを生成し、
前記経路計算装置から受信した計算結果のうち、元々PDH網の経路であった箇所のトポロジー情報を変換前のPDH網のトポロジー情報に戻すことを特徴とする経路計算システム。
[付記2]
前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)は、PDH網のトポロジー情報をSDH網のトポロジー情報に変換するに際して、PDHの転送速度は、SDHの同等速度のLayer Rateに変換し、PDHのチャネル番号は、SDHのタイムスロット番号に変換することを特徴とする付記1に記載の経路計算システム。
[付記3]
前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)は、
前記経路計算用のトポロジーデータを生成するに際して、
PDH網のノードとリンクは下位レイヤにのみ生成し、
SDH網で下位レイヤの端点を持たないノードとそれをつなぐリンクは、上位レイヤにのみ生成し、
SDH網で下位レイヤの端点を持つノードは、上位レイヤおよび下位レイヤそれぞれに生成し、
SDH網で下位レイヤの端点を持つノード間を接続するリンクは、上位レイヤにのみ生成し、
Higher Order Pathを生成したときに、該生成したHigher Order Pathに対応するリンクを下位レイヤにのみ生成することを特徴とする付記1または2に記載の経路計算システム。
[付記4]
前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)は、
前記経路計算用のトポロジーデータを生成するに際して、
ノードやリンクにPDHとSDHとを区別するための識別子を付与することを特徴とする付記1乃至3の何れかに記載の経路計算システム。
[付記5]
前記経路計算装置は、
下位レイヤのみで構成されるネットワークと、下位レイヤのネットワークに上位レイヤのネットワークをつないだネットワークとの双方から、経路計算要求に応じた経路を計算し、双方の経路のうちの最適な経路を計算結果として出力することを特徴とする付記1乃至3の何れかに記載の経路計算システム。
[付記6]
PDH網とSDH網が混在するネットワークのトポロジー情報を保持するネットワーク・マネージメント・システム(NMS)と、該ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)に通信回線を介して接続された経路計算装置とが連携して経路計算を行う方法であって、
前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)が、前記ネットワークのトポロジー情報中のPDH網のトポロジー情報をSDH網のトポロジー情報に変換し、
前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)が、前記変換後の前記ネットワークのトポロジー情報に従って、前記経路計算装置に経路計算用のトポロジーデータを生成した後に、前記経路計算装置に対して経路計算要求を送信し、
前記経路計算装置が、前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)からの経路計算要求に応じて、自装置に生成された経路計算用のトポロジーデータに基づき、最適経路を計算し、該計算結果を前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)へ送信し、
前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)が、前記経路計算装置から受信した計算結果のうち、元々PDH網の経路であった箇所のトポロジー情報を変換前のPDH網のトポロジー情報に戻すことを特徴とする経路計算方法。
[付記7]
前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)は、PDH網のトポロジー情報をSDH網のトポロジー情報に変換するに際して、PDHの転送速度は、SDHの同等速度のLayer Rateに変換し、PDHのチャネル番号は、SDHのタイムスロット番号に変換することを特徴とする付記6に記載の経路計算方法。
[付記8]
前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)は、
前記経路計算用のトポロジーデータを生成するに際して、
PDH網のノードとリンクは下位レイヤにのみ生成し、
SDH網で下位レイヤの端点を持たないノードとそれをつなぐリンクは、上位レイヤにのみ生成し、
SDH網で下位レイヤの端点を持つノードは、上位レイヤおよび下位レイヤそれぞれに生成し、
SDH網で下位レイヤの端点を持つノード間を接続するリンクは、上位レイヤにのみ生成し、
Higher Order Pathを生成したときに、該生成したHigher Order Pathに対応するリンクを下位レイヤにのみ生成することを特徴とする付記6または7に記載の経路計算方法。
[付記9]
前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)は、
前記経路計算用のトポロジーデータを生成するに際して、
ノードやリンクにPDHとSDHとを区別するための識別子を付与することを特徴とする付記6乃至8の何れかに記載の経路計算方法。
[付記10]
前記経路計算装置は、
下位レイヤのみで構成されるネットワークと、下位レイヤのネットワークに上位レイヤのネットワークをつないだネットワークとの双方から、経路計算要求に応じた経路を計算し、双方の経路のうちの最適な経路を計算結果として出力することを特徴とする付記6乃至9の何れかに記載の経路計算システム。
[付記11]
PDH網とSDH網が混在するネットワークのトポロジー情報を保持するトポロジー情報記憶手段と、
PDH網のトポロジー情報とSDH網のトポロジー情報との間の変換を行うトポロジーデータ変換手段と、
該トポロジーデータ変換手段を用いてPDH網のトポロジー情報をSDH網のトポロジー情報に変換した後の前記ネットワークのトポロジー情報に従って、経路計算装置に経路計算用のトポロジーデータを生成する経路計算用トポロジーデータ生成手段と、
操作入力部から入力された経路計算要求を前記経路計算装置に対して送信し、前記経路計算装置から受信した計算結果のうち、元々PDH網の経路であった箇所のトポロジー情報を前記トポロジーデータ変換手段を用いて変換前のPDH網のトポロジー情報に戻して画面表示部に出力する経路計算要求受付/結果出力手段とを備えることを特徴とするネットワーク・マネージメント・システム。
[付記12]
前記トポロジーデータ変換手段は、PDH網のトポロジー情報をSDH網のトポロジー情報に変換するに際して、PDHの転送速度は、SDHの同等速度のLayer Rateに変換し、PDHのチャネル番号は、SDHのタイムスロット番号に変換することを特徴とする付記11に記載のネットワーク・マネージメント・システム。
[付記13]
PDH網とSDH網が混在するネットワークのトポロジー情報を保持するトポロジー情報記憶手段を備えたコンピュータを、
PDH網のトポロジー情報とSDH網のトポロジー情報との間の変換を行うトポロジーデータ変換手段と、
該トポロジーデータ変換手段を用いてPDH網のトポロジー情報をSDH網のトポロジー情報に変換した後の前記ネットワークのトポロジー情報に従って、経路計算装置に経路計算用のトポロジーデータを生成する経路計算用トポロジーデータ生成手段と、
操作入力部から入力された経路計算要求を前記経路計算装置に対して送信し、前記経路計算装置から受信した計算結果のうち、元々PDH網の経路であった箇所のトポロジー情報を前記トポロジーデータ変換手段を用いて変換前のPDH網のトポロジー情報に戻して画面表示部に出力する経路計算要求受付/結果出力手段として機能させるためのプログラム。
[付記14]
前記トポロジーデータ変換手段は、PDH網のトポロジー情報をSDH網のトポロジー情報に変換するに際して、PDHの転送速度は、SDHの同等速度のLayer Rateに変換し、PDHのチャネル番号は、SDHのタイムスロット番号に変換することを特徴とする付記13に記載のプログラム。
【符号の説明】
【0086】
1 経路計算システム
10 ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)
11 演算処理部
11A トポロジー情報構築部
11B トポロジーデータ変換部
11C 経路計算用トポロジーデータ生成部
11E 結果出力部
12 記憶部
12A ネットワークトポロジー情報
12B 変換ルール
12B1 変換ルール
12B2 変換ルール
12C 変換後ネットワークトポロジー情報
12D ノード・リンク生成ルール
12P プログラム
14 操作入力部
15 演算処理部
15 画面表示部
20 経路計算装置
21 演算処理部
21A 経路計算用トポロジーデータ生成部
21B 結果送信部
21C 経路計算部
22 記憶部
22A 経路計算用トポロジーデータ
22P プログラム
30 ネットワーク
40 オペレータ
51 通信回線
52 通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PDH網とSDH網が混在するネットワークのトポロジー情報を保持するネットワーク・マネージメント・システム(NMS)と、
該ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)からの経路計算要求に応じて、自装置に生成された経路計算用のトポロジーデータに基づき、最適経路を計算し、該計算結果を前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)へ送信する経路計算装置とを備え、
前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)は、
PDH網のトポロジー情報をSDH網のトポロジー情報に変換した後の前記ネットワークのトポロジー情報に従って、前記経路計算装置に経路計算用のトポロジーデータを生成し、
前記経路計算装置から受信した計算結果のうち、元々PDH網の経路であった箇所のトポロジー情報を変換前のPDH網のトポロジー情報に戻すことを特徴とする経路計算システム。
【請求項2】
前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)は、PDH網のトポロジー情報をSDH網のトポロジー情報に変換するに際して、PDHの転送速度は、SDHの同等速度のLayer Rateに変換し、PDHのチャネル番号は、SDHのタイムスロット番号に変換することを特徴とする請求項1に記載の経路計算システム。
【請求項3】
前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)は、
前記経路計算用のトポロジーデータを生成するに際して、
PDH網のノードとリンクは下位レイヤにのみ生成し、
SDH網で下位レイヤの端点を持たないノードとそれをつなぐリンクは、上位レイヤにのみ生成し、
SDH網で下位レイヤの端点を持つノードは、上位レイヤおよび下位レイヤそれぞれに生成し、
SDH網で下位レイヤの端点を持つノード間を接続するリンクは、上位レイヤにのみ生成し、
Higher Order Pathを生成したときに、該生成したHigher Order Pathに対応するリンクを下位レイヤにのみ生成することを特徴とする請求項1または2に記載の経路計算システム。
【請求項4】
前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)は、
前記経路計算用のトポロジーデータを生成するに際して、
ノードやリンクにPDHとSDHとを区別するための識別子を付与することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の経路計算システム。
【請求項5】
前記経路計算装置は、
下位レイヤのみで構成されるネットワークと、下位レイヤのネットワークに上位レイヤのネットワークをつないだネットワークとの双方から、経路計算要求に応じた経路を計算し、双方の経路のうちの最適な経路を計算結果として出力することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の経路計算システム。
【請求項6】
PDH網とSDH網が混在するネットワークのトポロジー情報を保持するネットワーク・マネージメント・システム(NMS)と、該ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)に通信回線を介して接続された経路計算装置とが連携して経路計算を行う方法であって、
前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)が、前記ネットワークのトポロジー情報中のPDH網のトポロジー情報をSDH網のトポロジー情報に変換し、
前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)が、前記変換後の前記ネットワークのトポロジー情報に従って、前記経路計算装置に経路計算用のトポロジーデータを生成した後に、前記経路計算装置に対して経路計算要求を送信し、
前記経路計算装置が、前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)からの経路計算要求に応じて、自装置に生成された経路計算用のトポロジーデータに基づき、最適経路を計算し、該計算結果を前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)へ送信し、
前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)が、前記経路計算装置から受信した計算結果のうち、元々PDH網の経路であった箇所のトポロジー情報を変換前のPDH網のトポロジー情報に戻すことを特徴とする経路計算方法。
【請求項7】
前記ネットワーク・マネージメント・システム(NMS)は、PDH網のトポロジー情報をSDH網のトポロジー情報に変換するに際して、PDHの転送速度は、SDHの同等速度のLayer Rateに変換し、PDHのチャネル番号は、SDHのタイムスロット番号に変換することを特徴とする請求項6に記載の経路計算方法。
【請求項8】
PDH網とSDH網が混在するネットワークのトポロジー情報を保持するトポロジー情報記憶手段と、
PDH網のトポロジー情報とSDH網のトポロジー情報との間の変換を行うトポロジーデータ変換手段と、
該トポロジーデータ変換手段を用いてPDH網のトポロジー情報をSDH網のトポロジー情報に変換した後の前記ネットワークのトポロジー情報に従って、経路計算装置に経路計算用のトポロジーデータを生成する経路計算用トポロジーデータ生成手段と、
操作入力部から入力された経路計算要求を前記経路計算装置に対して送信し、前記経路計算装置から受信した計算結果のうち、元々PDH網の経路であった箇所のトポロジー情報を前記トポロジーデータ変換手段を用いて変換前のPDH網のトポロジー情報に戻して画面表示部に出力する経路計算要求受付/結果出力手段とを備えることを特徴とするネットワーク・マネージメント・システム。
【請求項9】
前記トポロジーデータ変換手段は、PDH網のトポロジー情報をSDH網のトポロジー情報に変換するに際して、PDHの転送速度は、SDHの同等速度のLayer Rateに変換し、PDHのチャネル番号は、SDHのタイムスロット番号に変換することを特徴とする請求項8に記載のネットワーク・マネージメント・システム。
【請求項10】
PDH網とSDH網が混在するネットワークのトポロジー情報を保持するトポロジー情報記憶手段を備えたコンピュータを、
PDH網のトポロジー情報とSDH網のトポロジー情報との間の変換を行うトポロジーデータ変換手段と、
該トポロジーデータ変換手段を用いてPDH網のトポロジー情報をSDH網のトポロジー情報に変換した後の前記ネットワークのトポロジー情報に従って、経路計算装置に経路計算用のトポロジーデータを生成する経路計算用トポロジーデータ生成手段と、
操作入力部から入力された経路計算要求を前記経路計算装置に対して送信し、前記経路計算装置から受信した計算結果のうち、元々PDH網の経路であった箇所のトポロジー情報を前記トポロジーデータ変換手段を用いて変換前のPDH網のトポロジー情報に戻して画面表示部に出力する経路計算要求受付/結果出力手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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