結び目を結び易くするために縫合糸端を保持する方法と装置
結び目を結び易くする装置(100,200,300,320,330,340,350,370,400)が、血管あるいは器官の開口を密封するために患者の血管あるいは器官における切開部(10)から延在する縫合糸(14)の二端(20,22)において医師が結び目を離れて結び、かつ締めることができるようにする。結び目を結び易くする装置(100,200,300,320,330,340,350,370,400)は縫合糸(14)の二端(20,22)を受け取り、かつ保持するために本装置に亘って離隔されている第一の受取り部分(106,218,306,418)と第二の受取り部分(108,220,308,420)を含む。前記の受取り部分は結び目の結びを促進するように縫合糸端(20,22)を緩めに保持するか、あるいは代替的にテンションを加えて縫合糸端(20,22)を保持することができる。結び目を結び易くする装置(100,200,300、320,330,340,350,370,400)は更に、治療箇所に対して前記の結び目を結び易くする装置を安定にするための係合部分(120,122,204,302,402)を含む。前記の係合部分(120,122,204,302,402)は、縫合糸の結び目が結ばれ、かつ締められる前に切開部(10)を閉鎖状態に保ちうるように二本の縫合糸の端(20,22)にテンションを保ち易くする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連特許出願との相互参照)
本特許出願は2005年5月23日出願の米国仮特許出願番号第60/683,701号の特典を請求するものであり、その全体は本明細書に援用される。
【0002】
本発明の或る実施例は切開部の縫合に関するものであり、詳しくは、体内の血管や器官における切開部を閉鎖するため縫合糸を使用することに関するものである。
【背景技術】
【0003】
外科医は縫合糸で切開部や創傷を閉鎖するとか、あるいは組織の一部を接合する必要性に遭遇することがよくある。組織の一部に縫合糸を通した後、外科医はそれらの組織部分を共に引き寄せて、それらが分離しないようにするために縫合糸を結び、かつ締める必要がある。例えば動脈につながる組織系の端のような手の届きにくい領域において縫合糸を結ぶ場合、外科医には特別な難関が課せられる。縫合糸は扱いが難しいことが多く、そのため外科医が縫合糸を結ぶのにかかる時間が増大する。外科医が結び目を結ぶことができるようにする間助手が縫合糸の端を離して保持する必要があることがよくある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、縫合糸を結び、かつ締めるためのより迅速で、かつより効果的な方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施態様は縫合糸の結び目を結びかつ締めるための各種の方法や装置を説明している。患者の血管あるいは器官における切開部から離れる方向に縫合糸の二端が延びる場合、好適な実施態様では縫合糸の二端を所望するように分離させ、かつ任意には縫合糸の各端にテンションを加えて縫合糸の端が結ばれている間縫合糸を張って保持する方法および装置を提供する。
【0006】
一つの実施態様において、結び目を結び易くする装置(knot−tying assist device)が提供されている。本装置は好ましくは第一の受取り部分と第二の受取り部分とを含み、各受取り部分は縫合糸の一部を保持するようにされている。前記受取り部分は縫合糸の部分を緩めに保持するとか、あるいは縫合糸にテンションを保つために縫合糸の一部とよりしっかりと係合することができる。一つの実施態様においては、前記受取り部分は、例えばシリコンあるいはゴムのような弾性の材料のブロックの一部として提供され、該受取り部分は弾性材料に切り込まれたスリットによって画成されている。別の実施態様においては、受取り部分は相互から離れる方向に延在するアームとして提供される。前記アームは縫合糸の端を緩めに係合する受け取り部分を有するか、あるいは縫合糸の端と係合するようにされたスリットを備えた、例えばシリコンあるいはゴムのような弾性材料の保持機構を含みうる。
【0007】
一つの実施態様において、結び目を結び易くする装置はまた、誘導装置(introducer)中へ、あるいは直接切開部へ挿入可能である支柱(post)あるいは本装置を誘導装置あるいは切開部に対して安定化させるその他の機構を含む。支柱は2個の受け入れ部分の間に設けられ、誘導装置中へ、あるいは切開部中へ挿入されると、縫合糸を前記導入装置の内壁あるいは切開部に対して保持することによって縫合糸にテンションを加えることができる。支柱が縫合糸部分に対してテンションを保つ受け入れ部分に接続されると、前記支柱が誘導装置あるいは切開部と係合すること、ならびに前記受取り部分内で保持されている縫合糸の部分に対する力との双方によってテンションが有利に縫合糸において保持される。このテンションによって結び目が結ばれ、かつ締められる前に縫合糸が有利に治療箇所を閉鎖状態に保つことができるようにする。
【0008】
別の実施態様において、本装置に取出し機構(ejection mechanism)を設けることによって支柱は誘導装置あるいは切開部から取り外し可能なようにする。取出し機構は支柱に対して下方へ押圧されるプランジャを含みうる。該プランジャの下端は該誘導装置の上端あるいは患者の皮膚あるいはその他の面と係合し、そのため該プランジャが下方へ押圧されるにつれて、支柱が上方へ持ち上げられ、切開部あるいは誘導装置から取り外しできるようにすることが好ましい。
【0009】
一つの実施形態において、治療箇所から延在する二本の縫合糸の端を結ぶ方法が提供されている。本方法は二本の縫合糸部分を相互から所望の距離だけ分離させる装置において二本の縫合糸部分の各々を保持することを含む。縫合糸は緩めに、あるいはぴんと張って保持することができる。二本の縫合糸部分が保持されている間に結び目は2個の縫合糸端で結ばれる。縫合糸部分は本装置から取り外され、結び目は治療箇所に締められる。
【0010】
別の実施態様においては、身体の開口部を結ぶために使用される縫合糸にテンションを保つ方法が提供される。縫合糸の部分を誘導装置の内壁に対して保持するために誘導装置の中へ支柱を挿入することによってテンションが保たれる。代替的に、あるいは追加して、テンションを保つために縫合糸部分を掴持する縫合糸受取り部分に縫合糸部分を係合させることによってテンションを保つことができる。一つの好適実施態様においては、前記受取り部分は縫合糸部分を離すために相互からある距離をおいて二本の縫合糸部分の各々を保持する。
【0011】
以下説明する本発明の好適実施例は特に縫合糸の端を結んで結び目になるようにすることに関するものである。特に、好適実施例は患者の治療箇所から延在する縫合糸の端を結ぶことに関するものである。治療箇所は、例えば動脈、静脈あるいはいずれかのその他の身体の組織のようないずれかの所望する位置でよい。縫合糸の端は同じ縫合糸の端、あるいは別々の縫合糸の端でよい。
【0012】
図1は縫合糸の結び目を結びたいと所望する患者の創傷箇所を示す。特に、図1は患者に対していずれかの種類の治療を実行するために、例えば患者の脚12のような患者の皮膚における切開部10を示している。患者に処置を施した後、縫合糸14は(図1において点線で示す)組織の部分16および18を相互に引き寄せる目的でカテーテルルシース誘導装置(catheter sheath introducer:CSI)24を介して患者の中へ誘導される。縫合糸14の二つの端部分20,22はそれぞれ組織部分16,18から延在しており、前記組織部分は、例えば、血管あるいは器官の創傷あるいは内部切開の結果できたものである。縫合糸14は、米国特許第5,860,990号(US Patent No.5,860,990)、同第6,117,144号(US Patent No.6,117,144)、同第6,562,052号(US Patent No.6,562,052)、および2004年9月27日に出願された本特許の出願人による係属中の特許出願番号第60/613,636号(Application Serial No.60/613,636)に記載されているものを含むいずれかの適当な方法によって患者の身体の中へ誘導することができる。これらの特許及び特許出願は全て全体的に本明細書に援用される。縫合糸14は限定的ではないが、0.1778ミリメートル(0.007inchs)の径の生分解性の材料、あるいはポリプロピレンのような非生分解性の材料でもよい。縫合糸14はまた、編み製のものでよく、あるいはその他の材料からつくられるとか、その他の形態を有するものでもよい。図1に示す縫合糸14はカテーテルシース誘導装置24から延在するものとして示されている。縫合糸14はまた、患者の切開部から直接延在させてもよい。
【0013】
図2Aと図2Bとは結び目を結び易くする装置100の第一の実施例を示す。本装置100は全体的にV字形に相互から離れる方向に延在している第一の受取りアーム102と第二の受取りアーム104を含む。前記アーム102,104の最先端において、該アームは縫合糸14の一部を保持するようにされた受取り部分106および108を含む。図示のように、これらの受取り部分は全体的にU字形のへこみであり、アーム102および104のそれぞれの側において各々フィンガ(fingers)110,112および114、116を画成している。前記アーム102および104の各々の基部118において、前述のように誘導装置を囲繞するようにされた半円形の係合部分120および122が設けられている。前記係合部分120および122は粗くされた面を有してもよく、一実施例においては基部を誘導装置に対して保持し易くする隆起124を有してもよい。
【0014】
前記の半円形の係合部分120および122の各々からバー126および128が水平方向に延在しており、それらは枢点(pivot point)130において接合されている。前記枢点は2個の半円形の係合部分を合体して一方に偏よらせる弾力的なヒンジ(living hinge)130を含んでもよい。前記バー126および128の各々に沿って、拡張プレート132,134がそれぞれ設けられており、該プレートの各々は他方のバーを横切って水平方向に延在し、垂直の出っ張り136および138を含む。前記出っ張りの外面140および142が相互に向って押圧されると、2個の半円形係合部分は分れて本装置が前述のように、誘導装置の上に位置されうるようにする。前記出っ張りの内面144および146は、各バー126および128の停止手段を提供することによって半円形の係合部分が余り離れすぎないようにし、かつヒンジ130の状態を維持する。
【0015】
半円形の係合部分120,122は誘導装置の外半径に対応する半径を有する円弧を形成することが好ましく、例えば約0.5から1センチメートルの範囲でもよい。本装置が誘導装置の周りに位置されると、アームは外科医が縫合糸の結び目を結び易くするために十分な距離だけ別々の縫合糸部分を離すことが好ましい。一実施例において、前記の距離は少なくとも2センチメートル、好ましくは約3から6センチメートルまでの間、更に好ましくは約5センチメートルでもよい。
【0016】
図2Cと図2Dとに示すように、使用時、2個の半円形の係合部分は、前述のように誘導装置24の外壁をその上端あるいは近位置の端部において囲むように位置されている。2本の縫合糸部分20,22は誘導装置の外へ、本装置100の基部118を通って延在する。前記縫合糸部分の各々は、図2Cに示すように、アーム102および104の上を、へこみ106,108を通って下方へ延び、そして、フィンガ112,116の周りに巻きつけられる。代替的に、前記の縫合糸部分は、図2Dに示すように、アーム102,104の第一のフィンガ110、114の下を通り、へこみ106,108を通って上方に延ばされる。いずれの場合も、アームは二本の縫合糸を相互から離すことが好ましく、縫合糸の前記部分に手を届かせ、結び易くする。次いで、前記縫合糸部分は上方へ引っ張られ、各々が対応するアームにあるフィンガの周りに巻きつけられ、アームの上方で結び目を結ぶことができる。一好適実施例においては、改良された締まった結び目が結ばれる。一旦、結び目が結ばれると、縫合糸部分は本装置100から解放することが可能であり、本装置は誘導装置24から取り外すことができ、結び目は、以下述べるように、治療箇所に締めることができる。
【0017】
図3Aは弾性のブロック202と支柱204を含む結び目を結び易くする装置の第二の実施例を示す。図示のように弾性ブロックは、上面206と下面208、前縁部210と裏縁部212、側縁部214および216を有する矩形のブロックである。該ブロックは縫合糸の一部をその中に受け取るようにされた前縁部210からブロック中へ延在する第一のスリット218と第二のスリット220を有している。これらスリットはブロック中へ延在し、かつ相互に対し、かつ側縁部に対し概ね平行でもよい。各スリットの外端すなわち前端において、縫合糸の一部をスリット中へ挿入し易くするV字形のノッチ222および224を設けてもよい。弾性ブロックは、縫合糸の一部をスリット中へ挿入するためにスリットの両側が分かれるようにしうる、例えばシリコンあるいはゴムのような弾性材料であることが好ましい適当な材料からつくりうる。その材料は縫合糸部分をその内部で掴持するために前記スリットを閉鎖するように十分弾性である。
【0018】
図示したブロックは好ましくは矩形であり、その中で縫合糸の一部を保持するに十分な厚みを有している。例えば前記ブロックの厚さは0.5から2センチメートルの間でもよく、好ましくは約1センチメートル、更により好ましくは約0.7センチメートルでもよい。前記ブロックは矩形である必要は無く、他の適当な形状でもよいことが認められる。更に、受取り部分は、ブロック中で縫合糸の一部を保持しかつ掴持するに十分なスリットあるいは適当なその他の構造の形態を取ってもよい。
【0019】
縫合糸部分を十分な距離を離して保持するためにブロック内の所望する位置に受取り部分を設けてもよい。図示実施例においては、スリット間の距離は、外科医が縫合糸の二つの端部で結び目を容易に結ぶことができるように縫合糸を引き離すに十分なものであり、一実施例においては、スリットは少なくとも2センチメートル、好ましくは約2から4センチメートル、更に好ましくは約3センチメートルの間隔をおいて位置されている。前記ブロックは約3から6センチメートルの間、より好ましくは約5センチメートルの長さを有し、約1.5から3センチメートル、より好ましくは約2センチメートルの幅を有してもよい。前記スリット218と220は図示されているように、このブロックの幅、好ましくは幅の距離の半分以下、より好ましくは約1センチメートル未満、ブロックの幅方向に平行して延在している。
【0020】
支柱204はブロック202の下面から延在しており、テーパのついた、すなわち尖った端部226を含む。前記支柱は例えば硬質プラスチックあるいは金属のような剛性材料からつくられることが好ましく、誘導装置の内腔中へ、あるいは患者の切開部の中へ直接挿入されるサイズとすることが好ましい。前記支柱はブロックにある孔を通して支柱を挿入することによってブロックに簡単に接続することができる。図3Bは誘導装置24の内腔中へ挿入する支柱を備えた実施例を示す。支柱は約1から3センチメートルの間、より好ましくは約2センチメートルの長さを有してもよい。使用時、支柱が誘導装置の内腔中へ挿入されるにつれて、縫合糸端20および22は外科医、あるいは執刀医によって比較的張った状態で保持されてもよい。誘導装置に支柱を挿入すれば、縫合糸の二つの部分が前記誘導装置の内壁に対して外方へ押圧され、それによって、組織とか治療箇所におけるその他の開口を閉鎖状態に保持するために使用しうる僅かなテンションを縫合糸に発生させる。次いで、各々の縫合糸部分に対するテンションを保っている間に、各々の縫合糸部分はV字形ノッチを介してスリット218,220中へ挿入される。スリットの両側と縫合糸との間の係合によって、縫合糸の端を離しながら、縫合糸の一部を適所に保持する。このように、外科医は結び目を結びながら縫合糸端にテンションを保持する助手をもはや必要としなくてよく有利である。従って、縫合糸の一部をブロック204において保持しながら、結び目を縫合糸の二つの端部で結ぶことができる。結び目が結ばれた後、縫合糸部分はブロックから取り外され、支柱を誘導装置から取り外し、結び目を治療箇所において締めることができる。
【0021】
図4Aと図4Bとは結び目を結び易くする装置250の別の実施例を示し、本実施例は誘導装置あるいは切開部から本装置を解放し易くする解除ないしは取出し機構を含むものである。支柱204は前記ブロック202の孔内に設けられている剛性の基部252から延在することが好ましい。前記ブロックの上面206において、該上面の一部の上を延在する剛性プレート254が前記基部252と一体に形成されるか、あるいは接続しうる。前記プレート254はブロックに接着させるか、あるいは単に、前記ブロック内の孔中へ基部を挿入することによって接続しうる。前記プレート254は2個のスリット218,220の間で前記ブロックの前縁部まで延在することが好ましい。前記プレート254は親指をかけるための隆起した部分256を有しうる。この部分256は、摩擦係数を上げて良好な掴持性を提供するために、例えば溝あるいは粗い面を備えた外形としうる。拡大頭部260および拡大脚部262を有するプランジャ258は前記プレート254における通路264および基部252を貫通して支柱204に直ぐ隣接して延在することが好ましい。プランジャは支柱の後方にあるものとして示されているが、該支柱に対して適当な位置におくことができる。前記プランジャは前記ブロック202に対して自由に移動可能であることが好ましい。
【0022】
前記プレート254、支柱204、基部252およびプランジャ258に使用される材料は、限定的ではないが、例えばポリカーボネートのようなプラスチックあるいは金属を含む適当な剛性の材料でもよい。
【0023】
使用時、支柱204が誘導装置あるいは切開部の中へ挿入されると、プランジャ258の脚部262は誘導装置の上端部あるいは患者の皮膚に対して係合し、支柱が誘導装置あるいは切開部中へ挿入されるにつれて、上方へ動く。本装置250を誘導装置あるいは患者から解除するには、プランジャ258を相対的に下方へ押し、一方前記ブロックは相対的に上方へ引っ張られ、プランジャの頭部260が前記ブロックに向って移動するにつれて、支柱は相対的に上方へ移動し、前記導入装置あるいは患者から前記支柱を取り外す。プランジャの拡大脚部262は通路264に対して大きめにしているのでプランジャが前記通路から取り外されえない。
【0024】
図5Aと5Bとは前述の図4Aと図4Bのものと類似の実施例を示し、従って同じ参照番号を使用する。本実施例においては、本装置270はブロック202の上面の大部分に亘って延在し、かつブロック202の側面214および216に亘って延在する側方プレート272および274を有してもいるプレート254を含む。前記側方プレートは前記ブロックの上面を覆うプレートと一体とするか、あるいは別個のものとしうる。前記上面におけるプレートはスリット218および220が位置する領域を見せるための空隙276および278を有することが好ましい。各スリットの両側にプレートを設けることによって、該プレートはブロックがスリットにおいて裂かれるのを防止し、また各スリットの両側がその中に設けられている縫合糸の部分が確実にしっかりと保持されるようにし易くする。本実施例におけるプランジャは前記ブロックの前縁部に向って支柱204の前方に設けられている。
【0025】
図6Aと図6Bとは非対称形態を有する結び目を結び易くする装置280の実施例を示す。スリットの一方は支柱204と同じ面に沿って設けられ、一方他方のスリット218は所望の距離だけ支柱から偏位している。例えば、この距離は約1から2センチメートルまででもよい。前記支柱と整合しているスリットは前記の偏位したスリットよりも相対的に短かくてもよい。この非対称形態は、縫合糸の一部がそれぞれのスリットに保持されると、縫合糸部分の一方が誘導装置あるいは切開部に相対的により近接して保持することができ、従って誘導装置の軸線に対して全体的に整合するため有利である。このような整合性は結び目の一つを結ぶ場合の安定性を増し、かつ治療箇所に対する結び目の滑りを促進させる。
【0026】
図7Aは結び目を結び易くする装置300の別の実施例を示す。本装置は支柱302とアーム304とを含み、アームには各端において2個の全体的に円形の受け取り部分306、308が縫合糸の一部を受け取るようにされている。受け取り部分306,308は縫合糸の結びをし易くするために縫合糸の部分を分離させるに十分な距離だけ離して位置されることが好ましく、更に好ましくは少なくとも2センチメートル、更に好ましくは約4から6センチメートルの間、更に好ましくは約5センチメートル離して位置される。これらの円形の受取り部分はアーム304に対しては平行で、支柱に対しては垂直に位置されることが好ましい。本装置300は、各受取り部分が支柱から同じ距離だけ離れるように対称形であることが好ましいが、受取り部分の一方が他方のものより支柱により近接するような非対称形の設計も考えられる。受取り部分はドーナツ型が好ましく、縫合糸部分が前記受取り部分によって画成される孔すなわち開口314,316の中へ挿入できるようにするための空隙310,312を含んでいる。支柱およびアームは例えばポリカーボネートのような硬質プラスチックあるいは金属のような剛性材料から一体に形成しうる。前述した実施例と同様に、支柱302はテーパのついた、すなわち尖った端部326を有してもよい。
【0027】
図7Bは誘導装置24中へ挿入された本装置300を示す。前述の実施例と同様に、支柱302は縫合糸部分に対するテンションを保ちながら誘導装置の中へ挿入することができ、そのため支柱が縫合糸部分を誘導装置の内壁に対して押圧させて縫合糸のテンションを保つことができる。各縫合糸部分は次いで空隙310および312を通して受取り部分306および308中へ挿入することができ、前記の受取り部分において縫合糸部分は緩めに保持される。これらの受取り部分は縫合糸部分を相互に分離して、受取り部分の内部で保持されている間に結び目を結び易くする。一旦結び目が結ばれると、縫合糸部分は本装置300から解放され、本装置300は誘導装置から外されて、結び目を締めることができる。
【0028】
図8は図7に示すものと同じような結び目を結び易くする装置であるが、Y字形の形態を有している装置の別の実施例を示す。アーム304Aと304Bとは支柱302から離れる方向に或る角度で延在しており、例えば前述したような受取り部分306および308で終わっている、図7Aに示す実施例と同様に、受取り部分は全体的に円形であり、支柱に対して垂直である。支持のために、横棒(cross−bar)322も設けられている。
【0029】
図9に示す装置330は、ドーナツ形の受取り部分306,308が支柱に対して垂直である代わりにアーム304Aおよび308Aの各々に対して垂直であることを除いて図8に示す実施例と同様である。
【0030】
図10は、円形の受取り部分306,308の各々が相互に向かって、次いで離れるよう曲げられた端部342,344および346,348を含むことを除いて図9に示すものと同様の装置340を示している。これは縫合糸の一部が受取り部分の中へ挿入されるのを促進する前述のものと類似のV字形の部分を基本的に形成する。僅かな空隙310,312を端部342,344および346、348の間に設けることが可能であり、あるいはこれらの端部は相互に接触してもよいが、但し縫合糸がそこを通過できるようにする。
【0031】
図11は前述したように支柱302、アーム304A、304Bを有する結び目を結び易くする装置350の別の実施例を示す。受取り部分306,308は、図示のようにアーム304Aおよび304Bに対して垂直である全体的に円形のフレームを形成する。更に、例えばシリコンまたはゴムのような適当な材料からつくられうる弾性ブロック352,354が受取り部分306,308に設けられている。これらのブロックは円形あるいは筒型であることが好ましく、前記アームの端部に設けたフレームにおいて保持されるようにつくられている。前記ブロックの各々は前述した弾性ブロックにおけるものと類似のスリット356,358を含み、またV字形のノッチ360,362を含むことが好ましい。このように、縫合糸の一部はスリットに位置され、スリットの両側によってしっかりと保持されうる。
【0032】
図12は、弾性ブロック352,354を保持している円形フレーム306,308が全体的に支柱302に対して垂直であることを除き図11に示す実施例と同様の装置370を含む。
【0033】
図13Aと図13Bとは結び目を結び易くする装置400の別の実施例を示す。本実施例においては、支柱402には、T字形を形成するプレート404が、それにしっかりと接続されるか、あるいは一体形成されて設けられている。前記プレートは拡大頭部410を有するプランジャ408がそれに沿って摺動しうる通路を形成するノッチ406を該プレートの中央部分において含む。プランジャ408と支柱402とは相互に対して軸線方向に摺動可能であるが、ノッチがあるため回転的には固定されている。プランジャ408は、そこから外方に延在し、各々が縫合糸受取り部分418、420を有するアーム414および417を有する基部412に接続されている。縫合糸受取り部分は、例えば前述したような実施例を利用して縫合糸部分を緩めに、あるいはしっかりと保持しうる。支柱402がそこを通って相対的に摺動しうるようにする孔(図示せず)が前記基部412を貫通して設けられている。
【0034】
プランジャ408は、前記基部の上面に設けられ、プランジャにしっかりと接続されるかあるいは一体形成されている上側のプレート424と、前記基部の下面に設けられ、前記プランジャにしっかりと接続されるか、あるいは一体形成された下側のプレート426とによって基部に対して軸線方向に固定されている。これらのプレートは各々、支柱402が貫通する孔を有し、それによってプランジャ408および基部412を相対的に共に保持している。しかしながら、これらのプレートは前記基部に接着されず、従ってそれらは支柱402の周りで基部に対して回転しうる。J字形のフック428が基部412にしっかりと接続されるかあるいは一体に形成され、前記基部から下方へ延在する。
【0035】
使用時、フック428が誘導装置の端部に設けることができるコネクタの周りで掛け留めするように設けられる。図13Cに示されているように、フック428は誘導装置24の近位端の側から延在しているライン(line)26の下で掛け留めしうる。フックは誘導装置に対してアーム414,416を回転可能に所望どおり固定し、一方プランジャの底側のプレート426が誘導装置の頂端と係合する。フックを適所において、支柱402はプレート404を使用して、プランジャ408に対して誘導装置中へ押し下げることができる。支柱402を押し下げる前に、プレート404はアーム414,416に対して回転され、そのためプレート404はアーム414,416に対してある角度をつけて位置し、縫合糸受け取り部分418,420と干渉しない。図13Dに示すように、支柱を誘導装置内へ押し込んで、縫合糸の一部20および22はアーム416,418における受け取り部分418,420を貫通しうる。これらの受け取り部分は縫合糸を緩めに保持するか、あるいは前述のように、縫合糸の一部をしっかりと保持しうる。結び目が結ばれた後、縫合糸部分は受取り部分418、420から解放することができ、執刀医は誘導装置から支柱402を取り外すために、プレート404を引っ張り上げながらプランジャ408を押し下げることができる。
【0036】
前述したものと類似の他の実施例も考えられることが認められる。図14に示すように、より簡単な実施例においては縫合糸の部分を分けるための支柱を使用することなく弾性ブロック202自体を使用することができる。前記ブロックは外科医が結び目を結んでいる間に縫合糸の一部によって懸架しうる。結び目が結ばれた後、ブロックは取り外され、結び目を締めることができる。考えられるその他の実施例は、例えば複数の縫合糸部分あるいは縫合糸端部を結ぶべき場合に、2個以上の縫合糸受け取り部分を有することが含まれる。
【0037】
例えば前述したもののような装置を使用して縫合糸の端部分を分離したり、および(または)保持している間に結びうる一好適結び目は改良された締め結び目である。その他のタイプの結び目も結ぶことができる。結び目が結ばれ、結び目を結び易くする装置が縫合糸部分から解除された後、結び目は当該技術分野の専門家には既知であるように締められることが望ましい。ある実施例においては、縫合糸部分の一つのみが本装置から解除され、他方その他の縫合糸部分は結び目が締められている間に本装置において保持されている。2000年5月15日に出願された本発明の出願人による「結び目押圧装置(Knot Pusher)という名称の出願番号第09/571,759号(Serial No.09/571,759)に記載されているように、結び目締め装置あるいは結び目押圧装置も使用可能であり、これは全体的に本明細書に援用される。
【0038】
図15は縫合糸部分が前述のように本装置の一つから取り外された後の結び目53を示している。縫合糸の端部分22の中の一本は本明細書に援用された上記特許出願に記載されている、ホルダ35を有する結び目締め装置27を通って延在する。縫合糸の端部分22は前記装置27の遠位端にある内腔を通って延在する。医師は片方の手で縫合糸端22をぴんと張って先ず持ち、一方同時に同じ手でCSI(誘導装置)24を持つことによって結び目53を締める。医師は別の手で締め装置27の管状部材33によって結び目53をCSI24の下方へ、かつ切開部の内部に向って押す。締め装置27の内腔の内径が結び目53の直径よりも実質的に小さいので、結び目53は内腔の中へは入らない。一旦結び目53が切開内部に正に近接して位置されると、医師は次いで縫合糸端20,22が患者の皮膚の切開部10から出ないように縫合糸14の切断を行う。縫合糸の切断装置はこの目的のために使用しうる。
【0039】
本発明の実施例は縫合糸部分を結び易くするために縫合糸部分を有利に分離させるが、一方縫合糸受取り部分におけるかあるいは誘導装置あるいは切開部内で縫合糸と係合する支柱の効能によるいずれかの保持力によって、縫合糸部分を緊張状態にする。更に、本装置を誘導装置に係合させる機構が設けられている場合、そのような機構は本装置の位置を安定させ、従って誘導装置に対して縫合糸を安定させる。このことによって、縫合糸の端が捩れるのを防止する。
【0040】
本発明のある変更や修正は当該技術分野の専門家には暗示されることを理解すべきである。本発明の範囲は図示とか前述した説明に限定されるべきものでない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】一対の縫合糸の端部がそこから延在している創傷箇所の斜視図である。
【図2A】結び目を結び易くする装置の第一の実施例の斜視図である。
【図2B】結び目を結び易くする装置の第一の実施例の斜視図である。
【図2C】誘導装置と係合している間に2本の縫合糸部分を保持している、図2Aに示す装置を示す。
【図2D】誘導装置と係合している間に2本の縫合糸部分を保持している、図2Bに示す装置を示す。
【図3A】結び目を結び易くする装置の第二の実施例の斜視図である。
【図3B】誘導装置中へ挿入され、2本の縫合糸部分を保持している、図3Aの装置を示す。
【図4A】結び目を結び易くする装置の第三の実施例の斜視図である。
【図4B】結び目を結び易くする装置の第三の実施例の斜視図である。
【図5A】結び目を結び易くする装置の第四の実施例の斜視図である。
【図5B】結び目を結び易くする装置の第四の実施例の斜視図である。
【図6A】結び目を結び易くする装置の第五の実施例の斜視図である。
【図6B】結び目を結び易くする装置の第五の実施例の斜視図である。
【図7A】結び目を結び易くする装置の第六の実施例の斜視図である。
【図7B】誘導装置中へ挿入され、2本の縫合糸を保持している、図7Aの結び目を結び易くする装置を示す。
【図8】結び目を結び易くする装置の第七の実施例の斜視図である。
【図9】結び目を結び易くする装置の第八の実施例の斜視図である。
【図10】結び目を結び易くする装置の第九の実施例の斜視図である。
【図11】結び目を結び易くする装置の第十の実施例の斜視図である。
【図12】結び目を結び易くする装置の第十一の実施例の斜視図である。
【図13A】結び目を結び易くする装置の第十二の実施例の斜視図である。
【図13B】結び目を結び易くする装置の第十二の実施例の斜視図である。
【図13C】誘導装置中へ挿入する準備がなされつつある、図13Aおよび図13Bの装置を示す。
【図13D】誘導装置中へ挿入された、図13Cの装置を示す。
【図14】使用中の結び目を結び易くする装置の第十三の実施例を示す。
【図15】結び目を締める装置を使用して締められつつある結び目を示す。
【技術分野】
【0001】
(関連特許出願との相互参照)
本特許出願は2005年5月23日出願の米国仮特許出願番号第60/683,701号の特典を請求するものであり、その全体は本明細書に援用される。
【0002】
本発明の或る実施例は切開部の縫合に関するものであり、詳しくは、体内の血管や器官における切開部を閉鎖するため縫合糸を使用することに関するものである。
【背景技術】
【0003】
外科医は縫合糸で切開部や創傷を閉鎖するとか、あるいは組織の一部を接合する必要性に遭遇することがよくある。組織の一部に縫合糸を通した後、外科医はそれらの組織部分を共に引き寄せて、それらが分離しないようにするために縫合糸を結び、かつ締める必要がある。例えば動脈につながる組織系の端のような手の届きにくい領域において縫合糸を結ぶ場合、外科医には特別な難関が課せられる。縫合糸は扱いが難しいことが多く、そのため外科医が縫合糸を結ぶのにかかる時間が増大する。外科医が結び目を結ぶことができるようにする間助手が縫合糸の端を離して保持する必要があることがよくある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、縫合糸を結び、かつ締めるためのより迅速で、かつより効果的な方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施態様は縫合糸の結び目を結びかつ締めるための各種の方法や装置を説明している。患者の血管あるいは器官における切開部から離れる方向に縫合糸の二端が延びる場合、好適な実施態様では縫合糸の二端を所望するように分離させ、かつ任意には縫合糸の各端にテンションを加えて縫合糸の端が結ばれている間縫合糸を張って保持する方法および装置を提供する。
【0006】
一つの実施態様において、結び目を結び易くする装置(knot−tying assist device)が提供されている。本装置は好ましくは第一の受取り部分と第二の受取り部分とを含み、各受取り部分は縫合糸の一部を保持するようにされている。前記受取り部分は縫合糸の部分を緩めに保持するとか、あるいは縫合糸にテンションを保つために縫合糸の一部とよりしっかりと係合することができる。一つの実施態様においては、前記受取り部分は、例えばシリコンあるいはゴムのような弾性の材料のブロックの一部として提供され、該受取り部分は弾性材料に切り込まれたスリットによって画成されている。別の実施態様においては、受取り部分は相互から離れる方向に延在するアームとして提供される。前記アームは縫合糸の端を緩めに係合する受け取り部分を有するか、あるいは縫合糸の端と係合するようにされたスリットを備えた、例えばシリコンあるいはゴムのような弾性材料の保持機構を含みうる。
【0007】
一つの実施態様において、結び目を結び易くする装置はまた、誘導装置(introducer)中へ、あるいは直接切開部へ挿入可能である支柱(post)あるいは本装置を誘導装置あるいは切開部に対して安定化させるその他の機構を含む。支柱は2個の受け入れ部分の間に設けられ、誘導装置中へ、あるいは切開部中へ挿入されると、縫合糸を前記導入装置の内壁あるいは切開部に対して保持することによって縫合糸にテンションを加えることができる。支柱が縫合糸部分に対してテンションを保つ受け入れ部分に接続されると、前記支柱が誘導装置あるいは切開部と係合すること、ならびに前記受取り部分内で保持されている縫合糸の部分に対する力との双方によってテンションが有利に縫合糸において保持される。このテンションによって結び目が結ばれ、かつ締められる前に縫合糸が有利に治療箇所を閉鎖状態に保つことができるようにする。
【0008】
別の実施態様において、本装置に取出し機構(ejection mechanism)を設けることによって支柱は誘導装置あるいは切開部から取り外し可能なようにする。取出し機構は支柱に対して下方へ押圧されるプランジャを含みうる。該プランジャの下端は該誘導装置の上端あるいは患者の皮膚あるいはその他の面と係合し、そのため該プランジャが下方へ押圧されるにつれて、支柱が上方へ持ち上げられ、切開部あるいは誘導装置から取り外しできるようにすることが好ましい。
【0009】
一つの実施形態において、治療箇所から延在する二本の縫合糸の端を結ぶ方法が提供されている。本方法は二本の縫合糸部分を相互から所望の距離だけ分離させる装置において二本の縫合糸部分の各々を保持することを含む。縫合糸は緩めに、あるいはぴんと張って保持することができる。二本の縫合糸部分が保持されている間に結び目は2個の縫合糸端で結ばれる。縫合糸部分は本装置から取り外され、結び目は治療箇所に締められる。
【0010】
別の実施態様においては、身体の開口部を結ぶために使用される縫合糸にテンションを保つ方法が提供される。縫合糸の部分を誘導装置の内壁に対して保持するために誘導装置の中へ支柱を挿入することによってテンションが保たれる。代替的に、あるいは追加して、テンションを保つために縫合糸部分を掴持する縫合糸受取り部分に縫合糸部分を係合させることによってテンションを保つことができる。一つの好適実施態様においては、前記受取り部分は縫合糸部分を離すために相互からある距離をおいて二本の縫合糸部分の各々を保持する。
【0011】
以下説明する本発明の好適実施例は特に縫合糸の端を結んで結び目になるようにすることに関するものである。特に、好適実施例は患者の治療箇所から延在する縫合糸の端を結ぶことに関するものである。治療箇所は、例えば動脈、静脈あるいはいずれかのその他の身体の組織のようないずれかの所望する位置でよい。縫合糸の端は同じ縫合糸の端、あるいは別々の縫合糸の端でよい。
【0012】
図1は縫合糸の結び目を結びたいと所望する患者の創傷箇所を示す。特に、図1は患者に対していずれかの種類の治療を実行するために、例えば患者の脚12のような患者の皮膚における切開部10を示している。患者に処置を施した後、縫合糸14は(図1において点線で示す)組織の部分16および18を相互に引き寄せる目的でカテーテルルシース誘導装置(catheter sheath introducer:CSI)24を介して患者の中へ誘導される。縫合糸14の二つの端部分20,22はそれぞれ組織部分16,18から延在しており、前記組織部分は、例えば、血管あるいは器官の創傷あるいは内部切開の結果できたものである。縫合糸14は、米国特許第5,860,990号(US Patent No.5,860,990)、同第6,117,144号(US Patent No.6,117,144)、同第6,562,052号(US Patent No.6,562,052)、および2004年9月27日に出願された本特許の出願人による係属中の特許出願番号第60/613,636号(Application Serial No.60/613,636)に記載されているものを含むいずれかの適当な方法によって患者の身体の中へ誘導することができる。これらの特許及び特許出願は全て全体的に本明細書に援用される。縫合糸14は限定的ではないが、0.1778ミリメートル(0.007inchs)の径の生分解性の材料、あるいはポリプロピレンのような非生分解性の材料でもよい。縫合糸14はまた、編み製のものでよく、あるいはその他の材料からつくられるとか、その他の形態を有するものでもよい。図1に示す縫合糸14はカテーテルシース誘導装置24から延在するものとして示されている。縫合糸14はまた、患者の切開部から直接延在させてもよい。
【0013】
図2Aと図2Bとは結び目を結び易くする装置100の第一の実施例を示す。本装置100は全体的にV字形に相互から離れる方向に延在している第一の受取りアーム102と第二の受取りアーム104を含む。前記アーム102,104の最先端において、該アームは縫合糸14の一部を保持するようにされた受取り部分106および108を含む。図示のように、これらの受取り部分は全体的にU字形のへこみであり、アーム102および104のそれぞれの側において各々フィンガ(fingers)110,112および114、116を画成している。前記アーム102および104の各々の基部118において、前述のように誘導装置を囲繞するようにされた半円形の係合部分120および122が設けられている。前記係合部分120および122は粗くされた面を有してもよく、一実施例においては基部を誘導装置に対して保持し易くする隆起124を有してもよい。
【0014】
前記の半円形の係合部分120および122の各々からバー126および128が水平方向に延在しており、それらは枢点(pivot point)130において接合されている。前記枢点は2個の半円形の係合部分を合体して一方に偏よらせる弾力的なヒンジ(living hinge)130を含んでもよい。前記バー126および128の各々に沿って、拡張プレート132,134がそれぞれ設けられており、該プレートの各々は他方のバーを横切って水平方向に延在し、垂直の出っ張り136および138を含む。前記出っ張りの外面140および142が相互に向って押圧されると、2個の半円形係合部分は分れて本装置が前述のように、誘導装置の上に位置されうるようにする。前記出っ張りの内面144および146は、各バー126および128の停止手段を提供することによって半円形の係合部分が余り離れすぎないようにし、かつヒンジ130の状態を維持する。
【0015】
半円形の係合部分120,122は誘導装置の外半径に対応する半径を有する円弧を形成することが好ましく、例えば約0.5から1センチメートルの範囲でもよい。本装置が誘導装置の周りに位置されると、アームは外科医が縫合糸の結び目を結び易くするために十分な距離だけ別々の縫合糸部分を離すことが好ましい。一実施例において、前記の距離は少なくとも2センチメートル、好ましくは約3から6センチメートルまでの間、更に好ましくは約5センチメートルでもよい。
【0016】
図2Cと図2Dとに示すように、使用時、2個の半円形の係合部分は、前述のように誘導装置24の外壁をその上端あるいは近位置の端部において囲むように位置されている。2本の縫合糸部分20,22は誘導装置の外へ、本装置100の基部118を通って延在する。前記縫合糸部分の各々は、図2Cに示すように、アーム102および104の上を、へこみ106,108を通って下方へ延び、そして、フィンガ112,116の周りに巻きつけられる。代替的に、前記の縫合糸部分は、図2Dに示すように、アーム102,104の第一のフィンガ110、114の下を通り、へこみ106,108を通って上方に延ばされる。いずれの場合も、アームは二本の縫合糸を相互から離すことが好ましく、縫合糸の前記部分に手を届かせ、結び易くする。次いで、前記縫合糸部分は上方へ引っ張られ、各々が対応するアームにあるフィンガの周りに巻きつけられ、アームの上方で結び目を結ぶことができる。一好適実施例においては、改良された締まった結び目が結ばれる。一旦、結び目が結ばれると、縫合糸部分は本装置100から解放することが可能であり、本装置は誘導装置24から取り外すことができ、結び目は、以下述べるように、治療箇所に締めることができる。
【0017】
図3Aは弾性のブロック202と支柱204を含む結び目を結び易くする装置の第二の実施例を示す。図示のように弾性ブロックは、上面206と下面208、前縁部210と裏縁部212、側縁部214および216を有する矩形のブロックである。該ブロックは縫合糸の一部をその中に受け取るようにされた前縁部210からブロック中へ延在する第一のスリット218と第二のスリット220を有している。これらスリットはブロック中へ延在し、かつ相互に対し、かつ側縁部に対し概ね平行でもよい。各スリットの外端すなわち前端において、縫合糸の一部をスリット中へ挿入し易くするV字形のノッチ222および224を設けてもよい。弾性ブロックは、縫合糸の一部をスリット中へ挿入するためにスリットの両側が分かれるようにしうる、例えばシリコンあるいはゴムのような弾性材料であることが好ましい適当な材料からつくりうる。その材料は縫合糸部分をその内部で掴持するために前記スリットを閉鎖するように十分弾性である。
【0018】
図示したブロックは好ましくは矩形であり、その中で縫合糸の一部を保持するに十分な厚みを有している。例えば前記ブロックの厚さは0.5から2センチメートルの間でもよく、好ましくは約1センチメートル、更により好ましくは約0.7センチメートルでもよい。前記ブロックは矩形である必要は無く、他の適当な形状でもよいことが認められる。更に、受取り部分は、ブロック中で縫合糸の一部を保持しかつ掴持するに十分なスリットあるいは適当なその他の構造の形態を取ってもよい。
【0019】
縫合糸部分を十分な距離を離して保持するためにブロック内の所望する位置に受取り部分を設けてもよい。図示実施例においては、スリット間の距離は、外科医が縫合糸の二つの端部で結び目を容易に結ぶことができるように縫合糸を引き離すに十分なものであり、一実施例においては、スリットは少なくとも2センチメートル、好ましくは約2から4センチメートル、更に好ましくは約3センチメートルの間隔をおいて位置されている。前記ブロックは約3から6センチメートルの間、より好ましくは約5センチメートルの長さを有し、約1.5から3センチメートル、より好ましくは約2センチメートルの幅を有してもよい。前記スリット218と220は図示されているように、このブロックの幅、好ましくは幅の距離の半分以下、より好ましくは約1センチメートル未満、ブロックの幅方向に平行して延在している。
【0020】
支柱204はブロック202の下面から延在しており、テーパのついた、すなわち尖った端部226を含む。前記支柱は例えば硬質プラスチックあるいは金属のような剛性材料からつくられることが好ましく、誘導装置の内腔中へ、あるいは患者の切開部の中へ直接挿入されるサイズとすることが好ましい。前記支柱はブロックにある孔を通して支柱を挿入することによってブロックに簡単に接続することができる。図3Bは誘導装置24の内腔中へ挿入する支柱を備えた実施例を示す。支柱は約1から3センチメートルの間、より好ましくは約2センチメートルの長さを有してもよい。使用時、支柱が誘導装置の内腔中へ挿入されるにつれて、縫合糸端20および22は外科医、あるいは執刀医によって比較的張った状態で保持されてもよい。誘導装置に支柱を挿入すれば、縫合糸の二つの部分が前記誘導装置の内壁に対して外方へ押圧され、それによって、組織とか治療箇所におけるその他の開口を閉鎖状態に保持するために使用しうる僅かなテンションを縫合糸に発生させる。次いで、各々の縫合糸部分に対するテンションを保っている間に、各々の縫合糸部分はV字形ノッチを介してスリット218,220中へ挿入される。スリットの両側と縫合糸との間の係合によって、縫合糸の端を離しながら、縫合糸の一部を適所に保持する。このように、外科医は結び目を結びながら縫合糸端にテンションを保持する助手をもはや必要としなくてよく有利である。従って、縫合糸の一部をブロック204において保持しながら、結び目を縫合糸の二つの端部で結ぶことができる。結び目が結ばれた後、縫合糸部分はブロックから取り外され、支柱を誘導装置から取り外し、結び目を治療箇所において締めることができる。
【0021】
図4Aと図4Bとは結び目を結び易くする装置250の別の実施例を示し、本実施例は誘導装置あるいは切開部から本装置を解放し易くする解除ないしは取出し機構を含むものである。支柱204は前記ブロック202の孔内に設けられている剛性の基部252から延在することが好ましい。前記ブロックの上面206において、該上面の一部の上を延在する剛性プレート254が前記基部252と一体に形成されるか、あるいは接続しうる。前記プレート254はブロックに接着させるか、あるいは単に、前記ブロック内の孔中へ基部を挿入することによって接続しうる。前記プレート254は2個のスリット218,220の間で前記ブロックの前縁部まで延在することが好ましい。前記プレート254は親指をかけるための隆起した部分256を有しうる。この部分256は、摩擦係数を上げて良好な掴持性を提供するために、例えば溝あるいは粗い面を備えた外形としうる。拡大頭部260および拡大脚部262を有するプランジャ258は前記プレート254における通路264および基部252を貫通して支柱204に直ぐ隣接して延在することが好ましい。プランジャは支柱の後方にあるものとして示されているが、該支柱に対して適当な位置におくことができる。前記プランジャは前記ブロック202に対して自由に移動可能であることが好ましい。
【0022】
前記プレート254、支柱204、基部252およびプランジャ258に使用される材料は、限定的ではないが、例えばポリカーボネートのようなプラスチックあるいは金属を含む適当な剛性の材料でもよい。
【0023】
使用時、支柱204が誘導装置あるいは切開部の中へ挿入されると、プランジャ258の脚部262は誘導装置の上端部あるいは患者の皮膚に対して係合し、支柱が誘導装置あるいは切開部中へ挿入されるにつれて、上方へ動く。本装置250を誘導装置あるいは患者から解除するには、プランジャ258を相対的に下方へ押し、一方前記ブロックは相対的に上方へ引っ張られ、プランジャの頭部260が前記ブロックに向って移動するにつれて、支柱は相対的に上方へ移動し、前記導入装置あるいは患者から前記支柱を取り外す。プランジャの拡大脚部262は通路264に対して大きめにしているのでプランジャが前記通路から取り外されえない。
【0024】
図5Aと5Bとは前述の図4Aと図4Bのものと類似の実施例を示し、従って同じ参照番号を使用する。本実施例においては、本装置270はブロック202の上面の大部分に亘って延在し、かつブロック202の側面214および216に亘って延在する側方プレート272および274を有してもいるプレート254を含む。前記側方プレートは前記ブロックの上面を覆うプレートと一体とするか、あるいは別個のものとしうる。前記上面におけるプレートはスリット218および220が位置する領域を見せるための空隙276および278を有することが好ましい。各スリットの両側にプレートを設けることによって、該プレートはブロックがスリットにおいて裂かれるのを防止し、また各スリットの両側がその中に設けられている縫合糸の部分が確実にしっかりと保持されるようにし易くする。本実施例におけるプランジャは前記ブロックの前縁部に向って支柱204の前方に設けられている。
【0025】
図6Aと図6Bとは非対称形態を有する結び目を結び易くする装置280の実施例を示す。スリットの一方は支柱204と同じ面に沿って設けられ、一方他方のスリット218は所望の距離だけ支柱から偏位している。例えば、この距離は約1から2センチメートルまででもよい。前記支柱と整合しているスリットは前記の偏位したスリットよりも相対的に短かくてもよい。この非対称形態は、縫合糸の一部がそれぞれのスリットに保持されると、縫合糸部分の一方が誘導装置あるいは切開部に相対的により近接して保持することができ、従って誘導装置の軸線に対して全体的に整合するため有利である。このような整合性は結び目の一つを結ぶ場合の安定性を増し、かつ治療箇所に対する結び目の滑りを促進させる。
【0026】
図7Aは結び目を結び易くする装置300の別の実施例を示す。本装置は支柱302とアーム304とを含み、アームには各端において2個の全体的に円形の受け取り部分306、308が縫合糸の一部を受け取るようにされている。受け取り部分306,308は縫合糸の結びをし易くするために縫合糸の部分を分離させるに十分な距離だけ離して位置されることが好ましく、更に好ましくは少なくとも2センチメートル、更に好ましくは約4から6センチメートルの間、更に好ましくは約5センチメートル離して位置される。これらの円形の受取り部分はアーム304に対しては平行で、支柱に対しては垂直に位置されることが好ましい。本装置300は、各受取り部分が支柱から同じ距離だけ離れるように対称形であることが好ましいが、受取り部分の一方が他方のものより支柱により近接するような非対称形の設計も考えられる。受取り部分はドーナツ型が好ましく、縫合糸部分が前記受取り部分によって画成される孔すなわち開口314,316の中へ挿入できるようにするための空隙310,312を含んでいる。支柱およびアームは例えばポリカーボネートのような硬質プラスチックあるいは金属のような剛性材料から一体に形成しうる。前述した実施例と同様に、支柱302はテーパのついた、すなわち尖った端部326を有してもよい。
【0027】
図7Bは誘導装置24中へ挿入された本装置300を示す。前述の実施例と同様に、支柱302は縫合糸部分に対するテンションを保ちながら誘導装置の中へ挿入することができ、そのため支柱が縫合糸部分を誘導装置の内壁に対して押圧させて縫合糸のテンションを保つことができる。各縫合糸部分は次いで空隙310および312を通して受取り部分306および308中へ挿入することができ、前記の受取り部分において縫合糸部分は緩めに保持される。これらの受取り部分は縫合糸部分を相互に分離して、受取り部分の内部で保持されている間に結び目を結び易くする。一旦結び目が結ばれると、縫合糸部分は本装置300から解放され、本装置300は誘導装置から外されて、結び目を締めることができる。
【0028】
図8は図7に示すものと同じような結び目を結び易くする装置であるが、Y字形の形態を有している装置の別の実施例を示す。アーム304Aと304Bとは支柱302から離れる方向に或る角度で延在しており、例えば前述したような受取り部分306および308で終わっている、図7Aに示す実施例と同様に、受取り部分は全体的に円形であり、支柱に対して垂直である。支持のために、横棒(cross−bar)322も設けられている。
【0029】
図9に示す装置330は、ドーナツ形の受取り部分306,308が支柱に対して垂直である代わりにアーム304Aおよび308Aの各々に対して垂直であることを除いて図8に示す実施例と同様である。
【0030】
図10は、円形の受取り部分306,308の各々が相互に向かって、次いで離れるよう曲げられた端部342,344および346,348を含むことを除いて図9に示すものと同様の装置340を示している。これは縫合糸の一部が受取り部分の中へ挿入されるのを促進する前述のものと類似のV字形の部分を基本的に形成する。僅かな空隙310,312を端部342,344および346、348の間に設けることが可能であり、あるいはこれらの端部は相互に接触してもよいが、但し縫合糸がそこを通過できるようにする。
【0031】
図11は前述したように支柱302、アーム304A、304Bを有する結び目を結び易くする装置350の別の実施例を示す。受取り部分306,308は、図示のようにアーム304Aおよび304Bに対して垂直である全体的に円形のフレームを形成する。更に、例えばシリコンまたはゴムのような適当な材料からつくられうる弾性ブロック352,354が受取り部分306,308に設けられている。これらのブロックは円形あるいは筒型であることが好ましく、前記アームの端部に設けたフレームにおいて保持されるようにつくられている。前記ブロックの各々は前述した弾性ブロックにおけるものと類似のスリット356,358を含み、またV字形のノッチ360,362を含むことが好ましい。このように、縫合糸の一部はスリットに位置され、スリットの両側によってしっかりと保持されうる。
【0032】
図12は、弾性ブロック352,354を保持している円形フレーム306,308が全体的に支柱302に対して垂直であることを除き図11に示す実施例と同様の装置370を含む。
【0033】
図13Aと図13Bとは結び目を結び易くする装置400の別の実施例を示す。本実施例においては、支柱402には、T字形を形成するプレート404が、それにしっかりと接続されるか、あるいは一体形成されて設けられている。前記プレートは拡大頭部410を有するプランジャ408がそれに沿って摺動しうる通路を形成するノッチ406を該プレートの中央部分において含む。プランジャ408と支柱402とは相互に対して軸線方向に摺動可能であるが、ノッチがあるため回転的には固定されている。プランジャ408は、そこから外方に延在し、各々が縫合糸受取り部分418、420を有するアーム414および417を有する基部412に接続されている。縫合糸受取り部分は、例えば前述したような実施例を利用して縫合糸部分を緩めに、あるいはしっかりと保持しうる。支柱402がそこを通って相対的に摺動しうるようにする孔(図示せず)が前記基部412を貫通して設けられている。
【0034】
プランジャ408は、前記基部の上面に設けられ、プランジャにしっかりと接続されるかあるいは一体形成されている上側のプレート424と、前記基部の下面に設けられ、前記プランジャにしっかりと接続されるか、あるいは一体形成された下側のプレート426とによって基部に対して軸線方向に固定されている。これらのプレートは各々、支柱402が貫通する孔を有し、それによってプランジャ408および基部412を相対的に共に保持している。しかしながら、これらのプレートは前記基部に接着されず、従ってそれらは支柱402の周りで基部に対して回転しうる。J字形のフック428が基部412にしっかりと接続されるかあるいは一体に形成され、前記基部から下方へ延在する。
【0035】
使用時、フック428が誘導装置の端部に設けることができるコネクタの周りで掛け留めするように設けられる。図13Cに示されているように、フック428は誘導装置24の近位端の側から延在しているライン(line)26の下で掛け留めしうる。フックは誘導装置に対してアーム414,416を回転可能に所望どおり固定し、一方プランジャの底側のプレート426が誘導装置の頂端と係合する。フックを適所において、支柱402はプレート404を使用して、プランジャ408に対して誘導装置中へ押し下げることができる。支柱402を押し下げる前に、プレート404はアーム414,416に対して回転され、そのためプレート404はアーム414,416に対してある角度をつけて位置し、縫合糸受け取り部分418,420と干渉しない。図13Dに示すように、支柱を誘導装置内へ押し込んで、縫合糸の一部20および22はアーム416,418における受け取り部分418,420を貫通しうる。これらの受け取り部分は縫合糸を緩めに保持するか、あるいは前述のように、縫合糸の一部をしっかりと保持しうる。結び目が結ばれた後、縫合糸部分は受取り部分418、420から解放することができ、執刀医は誘導装置から支柱402を取り外すために、プレート404を引っ張り上げながらプランジャ408を押し下げることができる。
【0036】
前述したものと類似の他の実施例も考えられることが認められる。図14に示すように、より簡単な実施例においては縫合糸の部分を分けるための支柱を使用することなく弾性ブロック202自体を使用することができる。前記ブロックは外科医が結び目を結んでいる間に縫合糸の一部によって懸架しうる。結び目が結ばれた後、ブロックは取り外され、結び目を締めることができる。考えられるその他の実施例は、例えば複数の縫合糸部分あるいは縫合糸端部を結ぶべき場合に、2個以上の縫合糸受け取り部分を有することが含まれる。
【0037】
例えば前述したもののような装置を使用して縫合糸の端部分を分離したり、および(または)保持している間に結びうる一好適結び目は改良された締め結び目である。その他のタイプの結び目も結ぶことができる。結び目が結ばれ、結び目を結び易くする装置が縫合糸部分から解除された後、結び目は当該技術分野の専門家には既知であるように締められることが望ましい。ある実施例においては、縫合糸部分の一つのみが本装置から解除され、他方その他の縫合糸部分は結び目が締められている間に本装置において保持されている。2000年5月15日に出願された本発明の出願人による「結び目押圧装置(Knot Pusher)という名称の出願番号第09/571,759号(Serial No.09/571,759)に記載されているように、結び目締め装置あるいは結び目押圧装置も使用可能であり、これは全体的に本明細書に援用される。
【0038】
図15は縫合糸部分が前述のように本装置の一つから取り外された後の結び目53を示している。縫合糸の端部分22の中の一本は本明細書に援用された上記特許出願に記載されている、ホルダ35を有する結び目締め装置27を通って延在する。縫合糸の端部分22は前記装置27の遠位端にある内腔を通って延在する。医師は片方の手で縫合糸端22をぴんと張って先ず持ち、一方同時に同じ手でCSI(誘導装置)24を持つことによって結び目53を締める。医師は別の手で締め装置27の管状部材33によって結び目53をCSI24の下方へ、かつ切開部の内部に向って押す。締め装置27の内腔の内径が結び目53の直径よりも実質的に小さいので、結び目53は内腔の中へは入らない。一旦結び目53が切開内部に正に近接して位置されると、医師は次いで縫合糸端20,22が患者の皮膚の切開部10から出ないように縫合糸14の切断を行う。縫合糸の切断装置はこの目的のために使用しうる。
【0039】
本発明の実施例は縫合糸部分を結び易くするために縫合糸部分を有利に分離させるが、一方縫合糸受取り部分におけるかあるいは誘導装置あるいは切開部内で縫合糸と係合する支柱の効能によるいずれかの保持力によって、縫合糸部分を緊張状態にする。更に、本装置を誘導装置に係合させる機構が設けられている場合、そのような機構は本装置の位置を安定させ、従って誘導装置に対して縫合糸を安定させる。このことによって、縫合糸の端が捩れるのを防止する。
【0040】
本発明のある変更や修正は当該技術分野の専門家には暗示されることを理解すべきである。本発明の範囲は図示とか前述した説明に限定されるべきものでない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】一対の縫合糸の端部がそこから延在している創傷箇所の斜視図である。
【図2A】結び目を結び易くする装置の第一の実施例の斜視図である。
【図2B】結び目を結び易くする装置の第一の実施例の斜視図である。
【図2C】誘導装置と係合している間に2本の縫合糸部分を保持している、図2Aに示す装置を示す。
【図2D】誘導装置と係合している間に2本の縫合糸部分を保持している、図2Bに示す装置を示す。
【図3A】結び目を結び易くする装置の第二の実施例の斜視図である。
【図3B】誘導装置中へ挿入され、2本の縫合糸部分を保持している、図3Aの装置を示す。
【図4A】結び目を結び易くする装置の第三の実施例の斜視図である。
【図4B】結び目を結び易くする装置の第三の実施例の斜視図である。
【図5A】結び目を結び易くする装置の第四の実施例の斜視図である。
【図5B】結び目を結び易くする装置の第四の実施例の斜視図である。
【図6A】結び目を結び易くする装置の第五の実施例の斜視図である。
【図6B】結び目を結び易くする装置の第五の実施例の斜視図である。
【図7A】結び目を結び易くする装置の第六の実施例の斜視図である。
【図7B】誘導装置中へ挿入され、2本の縫合糸を保持している、図7Aの結び目を結び易くする装置を示す。
【図8】結び目を結び易くする装置の第七の実施例の斜視図である。
【図9】結び目を結び易くする装置の第八の実施例の斜視図である。
【図10】結び目を結び易くする装置の第九の実施例の斜視図である。
【図11】結び目を結び易くする装置の第十の実施例の斜視図である。
【図12】結び目を結び易くする装置の第十一の実施例の斜視図である。
【図13A】結び目を結び易くする装置の第十二の実施例の斜視図である。
【図13B】結び目を結び易くする装置の第十二の実施例の斜視図である。
【図13C】誘導装置中へ挿入する準備がなされつつある、図13Aおよび図13Bの装置を示す。
【図13D】誘導装置中へ挿入された、図13Cの装置を示す。
【図14】使用中の結び目を結び易くする装置の第十三の実施例を示す。
【図15】結び目を締める装置を使用して締められつつある結び目を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療箇所から延在する二本の縫合糸部分の結び目を結び易くするための結び目を結び易くする装置において、
第一の縫合糸部分を受け取るように構成された第一の受取り部分と、
第二の縫合糸部分を受け取るように構成された第二の受取り部分と、
前記の結び目を結び易くする装置を治療箇所に対して固定するように構成された係合部分とを含み、
前記第一と第二の受取り部分は前記の結び目を結び易くする装置の上で離隔されていることを特徴とする結び目を結び易くする装置。
【請求項2】
前記第一と第二の受取り部分が約2−6センチメートルの間で離隔していることを特徴とする請求項1に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項3】
前記第一と第二の受取り部分が前記第一と第二の縫合糸部分を緩く保持するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項4】
前記第一と第二の受取り部分が第一と第二のスリットを含むことを特徴とする請求項1に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項5】
前記第一と第二の受取り部分が第一と第二の孔を含むことを特徴とする請求項1に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項6】
前記第一と第二の受取り部分が前記縫合糸部分を受け入れるためのスリットを有する弾性材料を備えることを特徴とする請求項1に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項7】
前記の係合部分が前記第一と第二の受取り部分の間で画成される軸線に対して横方向に延在する支柱を含むことを特徴とする請求項1に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項8】
前記支柱が前記治療箇所における切開部に位置する誘導装置の中へ挿入されるサイズとされていることを特徴とする請求項7に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項9】
誘導装置を更に含み、前記支柱が前記誘導装置中へ挿入されるサイズとされていることを特徴とする請求項8に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項10】
前記の結び目を結び易くする装置を前記の誘導装置から解除させる取出し機構を更に含むことを特徴とする請求項8に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項11】
治療箇所から延在する2本の縫合糸部分の結び目を結び易くするための結び目を結び易くする装置において、
第一と第二の端部を有する支柱と、
前記支柱の第二の端部に接続された少なくとも1個のアームと、
第一の縫合糸部分を受け取るように構成された第一の受取り部分であって、円形であり、前記第一の縫合糸部分を前記第一の受取り部分によって画成された開口中へ挿入しうるようにする空隙を含む第一の受取り部分と、
第二の縫合糸部分を受け取るように構成された第二の受取り部分であって、円形であり、前記第二の受取り部分によって画成された開口中へ前記第二の縫合糸部分を挿入できるようにする空隙を含む第二の受取り部分とを含み、
前記第一の受取り部分が前記の少なくとも1個のアームの第一の端部に位置しており、前記第二の受取り部分が前記の少なくとも1個のアームの第二の端部に位置していることを特徴とする結び目を結び易くする装置。
【請求項12】
前記第一と第二の受取り部分が約2−6センチメートルの間離隔していることを特徴とする請求項11に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項13】
前記の少なくとも1個のアームが前記支柱の第二の端部からT字形の形態で延在している第一と第二の部分を含むことを特徴とする請求項11に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項14】
前記の少なくとも1個のアームが前記支柱の第二の端部からY字形の形態で延在する第一と第二のアームを含むことを特徴とする請求項11に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項15】
前記第一と第二の円形の部分が更に、前記第一と第二の縫合糸部分を保持し、かつテンションを加えるように構成されたスリットを備えた第一と第二の開口に位置した弾性材料を含むことを特徴とする請求項11に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項16】
前記支柱の第一の端部にはテーパがつけられていることを特徴とする請求項11に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項17】
治療箇所から延在する二本の縫合糸の端部を結ぶ方法において、
二本の縫合糸部分を相互に対して所望の距離だけ離す装置に二本の縫合糸部分の各々を保持し、
前記二本の縫合糸部分が保持されている間にこの二本の縫合糸部分において結び目を結び、
前記二つの縫合糸部分を前記装置から解除することを含むことを特徴とする二本の縫合糸端部を結ぶ方法。
【請求項18】
前記装置が前記二本の縫合糸部分にテンションをかけて保持することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記二本の縫合糸部分が誘導装置の覆いの内腔を通して治療箇所から延在し、前記装置が支柱を含み、前記方法が更に前記支柱を前記誘導装置の内腔中へ挿入することを含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記の結び目を前記治療箇所に対して締めることを更に含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項1】
治療箇所から延在する二本の縫合糸部分の結び目を結び易くするための結び目を結び易くする装置において、
第一の縫合糸部分を受け取るように構成された第一の受取り部分と、
第二の縫合糸部分を受け取るように構成された第二の受取り部分と、
前記の結び目を結び易くする装置を治療箇所に対して固定するように構成された係合部分とを含み、
前記第一と第二の受取り部分は前記の結び目を結び易くする装置の上で離隔されていることを特徴とする結び目を結び易くする装置。
【請求項2】
前記第一と第二の受取り部分が約2−6センチメートルの間で離隔していることを特徴とする請求項1に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項3】
前記第一と第二の受取り部分が前記第一と第二の縫合糸部分を緩く保持するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項4】
前記第一と第二の受取り部分が第一と第二のスリットを含むことを特徴とする請求項1に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項5】
前記第一と第二の受取り部分が第一と第二の孔を含むことを特徴とする請求項1に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項6】
前記第一と第二の受取り部分が前記縫合糸部分を受け入れるためのスリットを有する弾性材料を備えることを特徴とする請求項1に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項7】
前記の係合部分が前記第一と第二の受取り部分の間で画成される軸線に対して横方向に延在する支柱を含むことを特徴とする請求項1に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項8】
前記支柱が前記治療箇所における切開部に位置する誘導装置の中へ挿入されるサイズとされていることを特徴とする請求項7に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項9】
誘導装置を更に含み、前記支柱が前記誘導装置中へ挿入されるサイズとされていることを特徴とする請求項8に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項10】
前記の結び目を結び易くする装置を前記の誘導装置から解除させる取出し機構を更に含むことを特徴とする請求項8に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項11】
治療箇所から延在する2本の縫合糸部分の結び目を結び易くするための結び目を結び易くする装置において、
第一と第二の端部を有する支柱と、
前記支柱の第二の端部に接続された少なくとも1個のアームと、
第一の縫合糸部分を受け取るように構成された第一の受取り部分であって、円形であり、前記第一の縫合糸部分を前記第一の受取り部分によって画成された開口中へ挿入しうるようにする空隙を含む第一の受取り部分と、
第二の縫合糸部分を受け取るように構成された第二の受取り部分であって、円形であり、前記第二の受取り部分によって画成された開口中へ前記第二の縫合糸部分を挿入できるようにする空隙を含む第二の受取り部分とを含み、
前記第一の受取り部分が前記の少なくとも1個のアームの第一の端部に位置しており、前記第二の受取り部分が前記の少なくとも1個のアームの第二の端部に位置していることを特徴とする結び目を結び易くする装置。
【請求項12】
前記第一と第二の受取り部分が約2−6センチメートルの間離隔していることを特徴とする請求項11に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項13】
前記の少なくとも1個のアームが前記支柱の第二の端部からT字形の形態で延在している第一と第二の部分を含むことを特徴とする請求項11に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項14】
前記の少なくとも1個のアームが前記支柱の第二の端部からY字形の形態で延在する第一と第二のアームを含むことを特徴とする請求項11に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項15】
前記第一と第二の円形の部分が更に、前記第一と第二の縫合糸部分を保持し、かつテンションを加えるように構成されたスリットを備えた第一と第二の開口に位置した弾性材料を含むことを特徴とする請求項11に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項16】
前記支柱の第一の端部にはテーパがつけられていることを特徴とする請求項11に記載の結び目を結び易くする装置。
【請求項17】
治療箇所から延在する二本の縫合糸の端部を結ぶ方法において、
二本の縫合糸部分を相互に対して所望の距離だけ離す装置に二本の縫合糸部分の各々を保持し、
前記二本の縫合糸部分が保持されている間にこの二本の縫合糸部分において結び目を結び、
前記二つの縫合糸部分を前記装置から解除することを含むことを特徴とする二本の縫合糸端部を結ぶ方法。
【請求項18】
前記装置が前記二本の縫合糸部分にテンションをかけて保持することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記二本の縫合糸部分が誘導装置の覆いの内腔を通して治療箇所から延在し、前記装置が支柱を含み、前記方法が更に前記支柱を前記誘導装置の内腔中へ挿入することを含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記の結び目を前記治療箇所に対して締めることを更に含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14】
【図15】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2008−541857(P2008−541857A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513600(P2008−513600)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/019798
【国際公開番号】WO2006/127636
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(599032305)スーチュラ,インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/019798
【国際公開番号】WO2006/127636
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(599032305)スーチュラ,インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]