結合ヨークを有する静油圧装置
静油圧装置は、ヨークとこれに関連する回転グループとを有するポンプを含む。ポンプヨークはバケット部とアーム部とを有する。少なくとも1つの流体通路がポンプヨークを貫通して延びる。静油圧装置は、ヨークとこれに関連する回転グループとを有するモータも含む。モータヨークもバケット部とアーム部とを有する。少なくとも1つの流体通路がモータヨークを貫通して延びる。ポンプヨークのアーム部およびモータヨークのアーム部は、ポンプヨークをモータヨークに流体結合するための関連する結合部を有し、それにより、ポンプヨークの少なくとも1つの流体通路がモータヨークの少なくとも1つの流体通路と直接に連通する。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本出願は、その全体を参照することによりその開示内容が本願に組み入れられる2009年2月24日に出願された米国非仮特許出願第12/391、433号の出願日の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
[0002]本発明は静油圧装置(hydostatic assembly)に関する。特に、この発明は、結合ヨークを有する静油圧装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]静油圧装置もしくはトランスミッションは、一般に、互いに結合される油圧ポンプおよび油圧モータを含み、それにより、モータに動力を供給するためにポンプからの流体が使用される。ポンプやモータなどの油圧装置は高い出力密度を有するが、静油圧装置から出力される動力の大きさは、油圧装置の物理的なサイズによって制限される。特定の用途のために更なる動力が必要とされる場合には、更に大きい物理的サイズの油圧装置が一般に必要とされる。静油圧装置を利用する多くの車両では、空間が限られている。その結果、そのような車両では、油圧装置の物理的なサイズを増大させることができない場合がある。
【0004】
[0004]図1は、既知の静油圧装置10を概略的に示している。静油圧装置10は可変容量ポンプ14と可変容量モータ12とを含む。ポンプ14およびモータ12は油圧導管15および16を通じて互いに流体連通し、一方の導管は動作中に高圧下にあり、他方の導管は動作中に低圧下にある。一般に、導管15および16に加えて、静油圧装置10は、ポンプ14とモータ12とを流体的に接続するためのマニホールドおよび取付具などの他のハードウェアも含む。ハードウェアは、静油圧装置10に対して更なるサイズおよび重量を付加する。
【0005】
[0005]別の既知の静油圧装置20が図2に示されている。静油圧装置20は斜軸式ポンプ25と斜軸式モータ26とを含む。ポンプ25とモータ26との間の流体移行は、それぞれのポート付きキャップに取り付けられる固定マニホールド27Aおよび27Bと固定マニホールド27Aおよび27B間に介挿されるマニホールド27Cとを通じて経路付けられる流体導管を介してなされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]静油圧装置の物理的サイズを著しく増大させることなく静油圧装置の出力を増大させる必要性が存在する。ポンプとモータとの間の流体接続部のサイズが減少される場合には、油圧装置のサイズが増大されるときであっても静油圧装置の全体のサイズが維持される場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]本発明の1つの態様によれば、静油圧装置は、油圧流体(作動油)を受けて加圧下で油圧流体を出力するためにヨークおよび関連する回転グループを含むポンプを備える。ポンプヨークはバケット部とアーム部とを有する。少なくとも1つの流体通路がポンプ回転グループと流体連通するためにポンプヨークを貫通して延びる。静油圧装置は、加圧下で油圧流体を受けて機械的エネルギを出力するためにヨークおよび関連する回転グループを含むモータも備える。モータヨークはバケット部とアーム部とを有する。少なくとも1つの流体通路がモータ回転グループと流体連通するためにモータヨークを貫通して延びる。ポンプヨークのアーム部およびモータヨークのアーム部は、ポンプヨークの少なくとも1つの流体通路をモータヨークの少なくとも1つの流体通路と直接に流体連通する状態に配置するための関連する結合部を有する。ポンプヨークとモータヨークとの間の相対的な回転を可能にするべく上記結合部が互いに対して回転でき、それにより、ポンプおよびモータのうちの少なくとも一方が可変容量を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】従来技術の静油圧装置の概略図である。
【図2】固定マニホールドを有する従来技術の静油圧装置の斜視図である。
【図3】雌相互接続部を有する油圧ユニットヨークの正面図である。
【図4】油圧回転グループの上側に配置される図3の油圧ユニットヨークの斜視部分断面図である。
【図5】図4に示される側とは反対側から見た図3の油圧ユニットヨークの斜視部分断面図である。
【図6】雄相互接続部を有する油圧ユニットヨークの正面図である。
【図7】油圧回転グループの上側に配置される図6の油圧ユニットヨークの斜視部分断面図である。
【図8】図7に示される側とは反対側から見た図6の油圧ユニットヨークの斜視部分断面図である。
【図9】ポンプユニットおよびモータユニットが最大容量位置にあって図3および図6の油圧ユニットヨークによって接続される本発明の静油圧装置斜視部分断面図である。
【図10】ポンプユニットおよびモータユニットがゼロ有効容量にある本発明の静油圧装置の正面図である。
【図11】図10に示される線11−11に沿う図である。
【図12】破線が平面図から見えない要素を示す本発明の静油圧装置の平面図である。
【図13】図12の線13−13に沿う図である。
【図14】図12の線14−14に沿う図である。
【図15】図3および図6の油圧ユニットヨークによって接続される静油圧装置の第2の実施形態の一部の斜視図である。
【図16】タップ流体導管を示すデュアル静油圧装置の斜視部分断面図である。
【図17】雌相互接続部を有する2部品ヨークの分解斜視図である。
【図18】図17の2部品ヨークの別の分解斜視図である。
【図19】1つの定容量油圧ユニットおよび1つの可変容量油圧ユニットを有する静油圧装置の斜視部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0027]図9を参照すると、本発明にしたがって構成される静油圧装置50が示されている。静油圧装置50は、2つの油圧ユニット30および40が支持されるハウジング1を含む。図示の実施形態では、油圧ユニット30がポンプであり、油圧ユニット40がモータである。あるいは、油圧ユニット30がモータであってもよく、油圧ユニット40がポンプであってもよい。ポンプ30は、図9に33で部分的に示されるポンプ回転グループを駆動させる入力シャフト32を含む。ポンプヨーク38が、ポンプ回転グループ33と関連付けられており、ポンプ30の容量を変えるために軸線31を中心に回転できる。同様に、モータ40は、モータ回転グループ43によって駆動される出力シャフト42を含む。モータヨーク48が、ポンプ回転グループ43と関連付けられており、モータ40の容量を変えるために軸線31を中心に回転できる。本発明の他の実施形態では、ポンプヨークまたはモータヨークの一方が定容量を与えるために固定されてもよく、これに対し、他方が容量を変えるために回転できる。
【0010】
[0028]ポンプヨークおよびモータヨーク38および48はそれぞれ、関連する回転グループと流体連通する少なくとも1つの流体通路を含む。以下で更に説明するように、ポンプヨークおよびモータヨーク38および48は、流体通路を通じた回転グループ間での流体交換を可能にするために互いに結合されてもよい。ポンプヨークおよびモータヨーク38および48は互いに独立に自由に回転でき、それにより、ポンプ30およびモータ40のための容量の独立した制御が可能になる。ヨーク38および48の通路を通じて流体を交換することにより、本発明の静油圧装置50は、ポンプおよびモータを結合するために流体導管およびマニホールドを有する同等の従来技術の装置よりもサイズが小さくなる。シャフト32および42の様々な想定し得る取付形態が存在し、また、既知の構造と比べて、本発明ではシャフト32および42間の間隔をかなり小さくできる。また、図9は、図13および図14において更に説明するように、例えばオリフィスを介して流体を流路45および5へ供給するためのタップ(給水)流体通路102および104も示している。
【0011】
[0029]図3はポンプヨーク38を示している。図3の破線は、ヨーク38の正面図から見えない特徴を示している。この例に関して、ポンプヨーク38は雌相互接続部または結合部を含むが、当業者であれば分かるように、ポンプヨークは、対応するモータヨークと結合するために(図6〜図8を参照して説明されるように)雌相互接続部または雄相互接続部のいずれかを有していればよい。ポンプヨーク38は、例えば鋳造または成型によって単一のモノリシック品として形成されてもよく、また、ダクタイル鉄などの金属から形成されるのが好ましい。
【0012】
[0030]ヨーク38は、回転グループ33を支持するための中央バケット部4を有する。バケット部4は、ヨーク38の回転グループ33の位置決めを助けるための位置合わせ凹部6を含む。バケット部4に対して回転グループ33を位置決めするために、位置合わせ凹部6内に位置合わせポスト7(図4および図5)が受けられる。
【0013】
[0031]また、ヨーク38は、バケット部4の正反対の両側から延びるアーム部2および3も含む。アーム部3が随意的であることに留意すべきである。アーム部2は、図3に見られるようにバケット部4から下方へ延びて、軸線31に中心付けられるベアリングトラニオン34Aで終端する。第1の結合部材または雌相互接続部35Aがベアリングトラニオン34Aから軸線31に沿ってアーム部2を貫通して延びている。図4に最も良く示されるように、流体通路36および37がバケット部4からアーム部2を貫通して延びて雌相互接続部35Aで終端する。
【0014】
[0032]バケット部4に配置される流体通路36および37の開口が回転グループ33の流体ポート23および21のそれぞれと位置合わせされている。雌相互接続部35Aでは、流体通路36および37の開口は、軸線31に沿って互いに軸線方向に離間されるとともに、雌相互接続部35Aに受けられてこれに対して固定されるロータリーシール58により互いから分離される。流体は通路36および37を通じて雌相互接続部35Aと回転グループ33との間で流通される。静油圧装置50の動作中、流体通路の一方36または37が高圧流体(500〜15000psiの範囲であるが、一般的には3000〜7000psiの範囲)を運び、その一方で、他方の流体通路37または36が低圧流体(一般的には50〜499psiの範囲)を運ぶ。
【0015】
[0033]図3を再び参照すると、アーム部3は、バケット部4から下方へ延びて、軸線31に中心付けられるベアリングトラニオン34Bで終端する。ベアリングトラニオン34Aおよび34Bは、回転グループ33と関連付けられるポンプヨーク38の軸線31周りの回転を可能にするために、ハウジング1により支持されるベアリング107(図9)で受けられる。1つ以上のセッティングピストン39Aおよび39B(図4および図5のそれぞれ)または他の適した手段、例えばステッピングモータ、電気ソレノイド、あるいは更には、手動調整されるケーブルまたはレバー機構が、ハウジング1に対してヨーク38を回転させるために使用されてもよい。流体タップ通路5が、アーム部3を貫通して延びて、ベアリングトラニオン34B内の径方向の場所で軸線31に沿って外側に延びる円筒相互接続部17の外周に配置されるタップ通路ポート18で終端する。タップ通路5は、補給油を供給して油を冷却のために送るべく、ハウジング1内の固定流体ポート(図示せず)と流体連通してもよい。
【0016】
[0034]図6〜図8はモータヨーク48を示している。図6の破線は、ヨーク48の正面図から見えない特徴を示している。この例に関して、モータヨーク48は、ポンプヨーク38の雌相互接続部に結合するために雄相互接続部または結合部を有するように描かれている。モータヨーク48は、例えば鋳造または成型によって単一のモノリシック品として形成されてもよく、また、ダクタイル鉄などの金属から形成されるのが好ましい。
【0017】
[0035]モータヨーク48は、回転グループ43を支持するための中央バケット部19を有する。バケット部19は、ヨーク48の回転グループ43の位置決めを助けるための対応する位置合わせポストを受けるために、図3の凹部6に類似する位置合わせ凹部を含んでもよい。また、ヨーク48は、バケット部19の正反対の両側から延びるアーム部8および9も含む。アーム部8が随意的であることに留意すべきである。
【0018】
[0036]アーム部9は、図6に見られるようにバケット部19から下方へ延びて、軸線31に中心付けられるベアリングトラニオン44Aで終端する。略円筒状の延在部(または、雄相互接続部)35Bが、バケット部19と反対の方向でベアリングトラニオン44Aの軸線方向外側に延びる。2つの流体通路46(図7)および47(図8)が、バケット部19からアーム部9を貫通して延びて、雄相互接続部35Bの外周にわたって周方向に離間される径方向開口で終端する。バケット部19の流体通路46および47は回転グループ43の流体ポート13(図7)および11(図8)のそれぞれと位置合わせされている。雄相互接続部35Bでは、流体通路46および47の径方向開口は、軸線31に沿って互いに軸線方向に離間される。流体は通路46および47を通じて雄相互接続部35Bと回転グループ43との間で流通される。静油圧装置50の動作中、流体通路の一方46または47が高圧流体(500〜15000psiの範囲であるが、一般的には3000〜7000psiの範囲)を運び、その一方で、他方の流体通路47または46が低圧流体(一般的には50〜499psiの範囲)を運ぶ。
【0019】
[0037]図6を再び参照すると、アーム部8、バケット部19から下方へ延びて、軸線31に中心付けられるベアリングトラニオン44Bで終端する。ベアリングトラニオン44Aおよび44Bは、回転グループ43と関連付けられるモータヨーク48の軸線31周りの回転を可能にするために、ハウジング1対する回転のために支持される。1つ以上のセッティングピストン49A(図8)および49B(図7)または他の適した手段、例えばステッピングモータ、電気ソレノイド、あるいは更には、手動調整されるケーブルまたはレバー機構が、ハウジング1に対してヨーク48を回転させるために使用されてもよい。流体タップ通路45が、アーム部8を貫通して延びて、ベアリングトラニオン44B内の径方向の場所で軸線31に沿って外側に延びる円筒相互接続部24の径方向外周に配置されるタップ通路ポート22で終端する。タップ通路45は、補給油を供給して油を冷却のために送るべく、ハウジング1内の固定流体ポート(図示せず)と流体連通してもよい。
【0020】
[0038]図3および図6のヨーク38および48は互いに結合されあるいは相互接続されるようになっている。互いに結合されると、ヨーク48の雄相互接続部35Bがヨーク38の雌相互接続部35A内に挿入され、それにより、通路36が通路46と流体連通状態で配置されるとともに、通路37が通路47と流体連通状態で配置される。図9および図10は互いに結合されたヨーク38および48を示している。図11は、図10の線11−11に沿う部分断面図であり、雌相互接続部35Aに受けられる雄相互接続部35Bを示している。図11には、通路36および46および通路37および47の接続が示されている。また、図11は、雄相互接続部35Bと雌相互接続部35Aとの間をシールするとともに更に高圧および低圧通路を互いからシールするためのロータリーシール58も示している。図11には、ハウジング1に対するヨーク38および48の回転を支持するためのベアリング106および107も示されている。
【0021】
[0039]図12、図13、および図14は、組み立てられた本発明の静油圧装置50の更なる例を示している。図12の破線は、平面図から見えないヨーク38および48の特徴を示している。図13の部分断面図は、タップ流体通路45から回転グループ43までおよび回転グループ43から通路46および36を通じた回転グループ33までの連続した流体流路を示している。同様に、図14の断面図は、タップ流体通路5から回転グループ33までおよび回転グループ33から通路37および47を通じた回転グループ43までの連続した流体流路を示している。
【0022】
[0040]図15は、本発明の静油圧装置の第2の実施形態を示している。図15の静油圧装置50’は、図9に示される平行形態とは対照的にポンプ30およびモータ40のシャフト32および42が互いに対して角度を成すことを示すためにハウジングを伴わずに示されている。
【0023】
[0041]更なる駆動力のため、本発明の2つの静油圧装置を組み合わせることによってデュアル静油圧装置を構成することができる。図16は、先に説明した2つの静油圧装置50Aおよび50Bを組み合わせるデュアル油圧モジュール70の一実施形態を示している。図16の実施形態では、ポンプ30Aおよび30Bのシャフトが互いに結合され、あるいは、共通のシャフトが使用される。ギア73がポンプシャフトに関連付けられる。同様に、モータ40Aおよび40Bのシャフトが互いに結合され、あるいは、共通のシャフトが使用される。ギア75がモータシャフトに関連付けられる。また、図16は、対向するポンプ30Aと30Bとの間の流体圧を釣り合わせるための流体導管102Aおよび102B、ならびに対向するモータ40Aと40Bとの間の流体圧を釣り合わせるための流体導管104Aおよび104Bも示している。流体導管102A、102B、104A、および104Bは、図示のように、外部ハウジングの部分1A、1B、1C、および1Dに組み込まれてもよい。この場合、ハウジングは、タップ通路ポート(図6のポート22など)と関連する流体導管102A、102B、104A、および104Bとの間で流体が連通できるようにする円筒相互接続部17および24と対応するレセプタクル(受容部)を有する。
【0024】
[0042]閉ループ油圧システムでは、供給ライン圧力を増大させて、漏れに起因する流体損失を補うべく補給油をシステムに加えることが有用である。これは、流体通路のうちの1つ102A、102B、104A、または104Bを利用して比較的低圧の補給流体を供給することによって達成される。また、閉ループ油圧システム中に熱油フラッシングサブシステムを含ませて、冷却のための主駆動ループからの少量の油を除去することも有用である。本発明では、フラッシングがタップ流体通路102A、102B、104Aおよび104Bによって達成されてもよい。従来の閉ループ油圧システムは、一般に、補給流体を供給してフラッシングするための外部配管を有し、そのため、ヨーク内に組み込み通路を有する必要がない。本発明のこの実施形態では、ポンプとモータとの間に外部マニホールドまたは配管が存在せず、したがって、別個の流体相互接続部を用いて各ヨークにタップ流体通路が組み込まれる。タップ流体通路102A、102B、104Aおよび104Bに対する流体の流入および流出を制御するために外部ハウジング内のバルブ(図示せず)が使用されてもよい。
【0025】
[0043]図17および図18は2部品ヨーク構造を示している。図17および図18は雌相互接続部35Aを有するヨーク80を示しているが、この2部品構造に関しては雄相互接続部を有するヨークが構成されてもよい。ヨーク80は、締結具84を用いて互いに組み付けられるトップカバー82およびベース部88を含む。締結具84を受けるための穴がトップカバー82およびベース部88に形成される。流体密なシールを与えるために、トップカバー82とベース部88との間にガスケット86が介挿される。通路36および37で図17および図18に示される通路は、トップカバー82がベース部88に取り付けられるときに互いに接続される2つの別個の部分に分けられる。関連する回転グループ(図示せず)がベース部88の穴81を貫通して延び、それにより、回転グループのポートを通路36および37と関連付けられるポート91および92(図18)に流体接続できる。ヨーク80のためのセッティングピストンがベース部88のサイロ部83内に収容される。サイロ部83は、ベース部88と一体の部品として成形されてもよく、あるいは、ベース部の対応する構造に挿入される別個の構造であってもよい。
【0026】
[0044]幾つかの静油圧装置形態は、ポンプまたはモータの一方が定容量であり、他方が可変容量を有することを必要としてもよい。先に説明したヨークは、図19に示されるように、定容量ポンプまたはモータと共に使用されてもよい。図19において、静油圧装置110は、回転グループ119と関連付けられる固定ヨーク112と可変ヨーク115とを含み(2部品ヨークとして示される)、これらのヨークはいずれもハウジング114内に取り付けられる。あるいは、固定ヨーク112がハウジング114と一体であってもよい。先に説明したように、固定ヨーク112の流体通路は、回転可能ヨークまたは可変ヨーク115の流体通路と流体連通する。
【0027】
[0045]本発明の原理、実施形態、および動作を本明細書中で詳しく説明してきたが、これは、開示された特定の例示形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。例えば、ポンプヨークが雄相互接続部を含んでもよく、モータヨークが雌相互接続部を含んでもよい。また、ヨークが2つよりも多い部品から形成されてもよい。更にまた、雄相互接続部および雌相互接続部の通路ポートの一方または両方が径方向ではなく軸線方向に方向付けられてもよい。したがって、本発明の精神または範囲から逸脱することなく本明細書中の実施形態のこれらおよび様々な他の変形を成すことができることが当業者に明らかになる。
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本出願は、その全体を参照することによりその開示内容が本願に組み入れられる2009年2月24日に出願された米国非仮特許出願第12/391、433号の出願日の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
[0002]本発明は静油圧装置(hydostatic assembly)に関する。特に、この発明は、結合ヨークを有する静油圧装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]静油圧装置もしくはトランスミッションは、一般に、互いに結合される油圧ポンプおよび油圧モータを含み、それにより、モータに動力を供給するためにポンプからの流体が使用される。ポンプやモータなどの油圧装置は高い出力密度を有するが、静油圧装置から出力される動力の大きさは、油圧装置の物理的なサイズによって制限される。特定の用途のために更なる動力が必要とされる場合には、更に大きい物理的サイズの油圧装置が一般に必要とされる。静油圧装置を利用する多くの車両では、空間が限られている。その結果、そのような車両では、油圧装置の物理的なサイズを増大させることができない場合がある。
【0004】
[0004]図1は、既知の静油圧装置10を概略的に示している。静油圧装置10は可変容量ポンプ14と可変容量モータ12とを含む。ポンプ14およびモータ12は油圧導管15および16を通じて互いに流体連通し、一方の導管は動作中に高圧下にあり、他方の導管は動作中に低圧下にある。一般に、導管15および16に加えて、静油圧装置10は、ポンプ14とモータ12とを流体的に接続するためのマニホールドおよび取付具などの他のハードウェアも含む。ハードウェアは、静油圧装置10に対して更なるサイズおよび重量を付加する。
【0005】
[0005]別の既知の静油圧装置20が図2に示されている。静油圧装置20は斜軸式ポンプ25と斜軸式モータ26とを含む。ポンプ25とモータ26との間の流体移行は、それぞれのポート付きキャップに取り付けられる固定マニホールド27Aおよび27Bと固定マニホールド27Aおよび27B間に介挿されるマニホールド27Cとを通じて経路付けられる流体導管を介してなされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]静油圧装置の物理的サイズを著しく増大させることなく静油圧装置の出力を増大させる必要性が存在する。ポンプとモータとの間の流体接続部のサイズが減少される場合には、油圧装置のサイズが増大されるときであっても静油圧装置の全体のサイズが維持される場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]本発明の1つの態様によれば、静油圧装置は、油圧流体(作動油)を受けて加圧下で油圧流体を出力するためにヨークおよび関連する回転グループを含むポンプを備える。ポンプヨークはバケット部とアーム部とを有する。少なくとも1つの流体通路がポンプ回転グループと流体連通するためにポンプヨークを貫通して延びる。静油圧装置は、加圧下で油圧流体を受けて機械的エネルギを出力するためにヨークおよび関連する回転グループを含むモータも備える。モータヨークはバケット部とアーム部とを有する。少なくとも1つの流体通路がモータ回転グループと流体連通するためにモータヨークを貫通して延びる。ポンプヨークのアーム部およびモータヨークのアーム部は、ポンプヨークの少なくとも1つの流体通路をモータヨークの少なくとも1つの流体通路と直接に流体連通する状態に配置するための関連する結合部を有する。ポンプヨークとモータヨークとの間の相対的な回転を可能にするべく上記結合部が互いに対して回転でき、それにより、ポンプおよびモータのうちの少なくとも一方が可変容量を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】従来技術の静油圧装置の概略図である。
【図2】固定マニホールドを有する従来技術の静油圧装置の斜視図である。
【図3】雌相互接続部を有する油圧ユニットヨークの正面図である。
【図4】油圧回転グループの上側に配置される図3の油圧ユニットヨークの斜視部分断面図である。
【図5】図4に示される側とは反対側から見た図3の油圧ユニットヨークの斜視部分断面図である。
【図6】雄相互接続部を有する油圧ユニットヨークの正面図である。
【図7】油圧回転グループの上側に配置される図6の油圧ユニットヨークの斜視部分断面図である。
【図8】図7に示される側とは反対側から見た図6の油圧ユニットヨークの斜視部分断面図である。
【図9】ポンプユニットおよびモータユニットが最大容量位置にあって図3および図6の油圧ユニットヨークによって接続される本発明の静油圧装置斜視部分断面図である。
【図10】ポンプユニットおよびモータユニットがゼロ有効容量にある本発明の静油圧装置の正面図である。
【図11】図10に示される線11−11に沿う図である。
【図12】破線が平面図から見えない要素を示す本発明の静油圧装置の平面図である。
【図13】図12の線13−13に沿う図である。
【図14】図12の線14−14に沿う図である。
【図15】図3および図6の油圧ユニットヨークによって接続される静油圧装置の第2の実施形態の一部の斜視図である。
【図16】タップ流体導管を示すデュアル静油圧装置の斜視部分断面図である。
【図17】雌相互接続部を有する2部品ヨークの分解斜視図である。
【図18】図17の2部品ヨークの別の分解斜視図である。
【図19】1つの定容量油圧ユニットおよび1つの可変容量油圧ユニットを有する静油圧装置の斜視部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0027]図9を参照すると、本発明にしたがって構成される静油圧装置50が示されている。静油圧装置50は、2つの油圧ユニット30および40が支持されるハウジング1を含む。図示の実施形態では、油圧ユニット30がポンプであり、油圧ユニット40がモータである。あるいは、油圧ユニット30がモータであってもよく、油圧ユニット40がポンプであってもよい。ポンプ30は、図9に33で部分的に示されるポンプ回転グループを駆動させる入力シャフト32を含む。ポンプヨーク38が、ポンプ回転グループ33と関連付けられており、ポンプ30の容量を変えるために軸線31を中心に回転できる。同様に、モータ40は、モータ回転グループ43によって駆動される出力シャフト42を含む。モータヨーク48が、ポンプ回転グループ43と関連付けられており、モータ40の容量を変えるために軸線31を中心に回転できる。本発明の他の実施形態では、ポンプヨークまたはモータヨークの一方が定容量を与えるために固定されてもよく、これに対し、他方が容量を変えるために回転できる。
【0010】
[0028]ポンプヨークおよびモータヨーク38および48はそれぞれ、関連する回転グループと流体連通する少なくとも1つの流体通路を含む。以下で更に説明するように、ポンプヨークおよびモータヨーク38および48は、流体通路を通じた回転グループ間での流体交換を可能にするために互いに結合されてもよい。ポンプヨークおよびモータヨーク38および48は互いに独立に自由に回転でき、それにより、ポンプ30およびモータ40のための容量の独立した制御が可能になる。ヨーク38および48の通路を通じて流体を交換することにより、本発明の静油圧装置50は、ポンプおよびモータを結合するために流体導管およびマニホールドを有する同等の従来技術の装置よりもサイズが小さくなる。シャフト32および42の様々な想定し得る取付形態が存在し、また、既知の構造と比べて、本発明ではシャフト32および42間の間隔をかなり小さくできる。また、図9は、図13および図14において更に説明するように、例えばオリフィスを介して流体を流路45および5へ供給するためのタップ(給水)流体通路102および104も示している。
【0011】
[0029]図3はポンプヨーク38を示している。図3の破線は、ヨーク38の正面図から見えない特徴を示している。この例に関して、ポンプヨーク38は雌相互接続部または結合部を含むが、当業者であれば分かるように、ポンプヨークは、対応するモータヨークと結合するために(図6〜図8を参照して説明されるように)雌相互接続部または雄相互接続部のいずれかを有していればよい。ポンプヨーク38は、例えば鋳造または成型によって単一のモノリシック品として形成されてもよく、また、ダクタイル鉄などの金属から形成されるのが好ましい。
【0012】
[0030]ヨーク38は、回転グループ33を支持するための中央バケット部4を有する。バケット部4は、ヨーク38の回転グループ33の位置決めを助けるための位置合わせ凹部6を含む。バケット部4に対して回転グループ33を位置決めするために、位置合わせ凹部6内に位置合わせポスト7(図4および図5)が受けられる。
【0013】
[0031]また、ヨーク38は、バケット部4の正反対の両側から延びるアーム部2および3も含む。アーム部3が随意的であることに留意すべきである。アーム部2は、図3に見られるようにバケット部4から下方へ延びて、軸線31に中心付けられるベアリングトラニオン34Aで終端する。第1の結合部材または雌相互接続部35Aがベアリングトラニオン34Aから軸線31に沿ってアーム部2を貫通して延びている。図4に最も良く示されるように、流体通路36および37がバケット部4からアーム部2を貫通して延びて雌相互接続部35Aで終端する。
【0014】
[0032]バケット部4に配置される流体通路36および37の開口が回転グループ33の流体ポート23および21のそれぞれと位置合わせされている。雌相互接続部35Aでは、流体通路36および37の開口は、軸線31に沿って互いに軸線方向に離間されるとともに、雌相互接続部35Aに受けられてこれに対して固定されるロータリーシール58により互いから分離される。流体は通路36および37を通じて雌相互接続部35Aと回転グループ33との間で流通される。静油圧装置50の動作中、流体通路の一方36または37が高圧流体(500〜15000psiの範囲であるが、一般的には3000〜7000psiの範囲)を運び、その一方で、他方の流体通路37または36が低圧流体(一般的には50〜499psiの範囲)を運ぶ。
【0015】
[0033]図3を再び参照すると、アーム部3は、バケット部4から下方へ延びて、軸線31に中心付けられるベアリングトラニオン34Bで終端する。ベアリングトラニオン34Aおよび34Bは、回転グループ33と関連付けられるポンプヨーク38の軸線31周りの回転を可能にするために、ハウジング1により支持されるベアリング107(図9)で受けられる。1つ以上のセッティングピストン39Aおよび39B(図4および図5のそれぞれ)または他の適した手段、例えばステッピングモータ、電気ソレノイド、あるいは更には、手動調整されるケーブルまたはレバー機構が、ハウジング1に対してヨーク38を回転させるために使用されてもよい。流体タップ通路5が、アーム部3を貫通して延びて、ベアリングトラニオン34B内の径方向の場所で軸線31に沿って外側に延びる円筒相互接続部17の外周に配置されるタップ通路ポート18で終端する。タップ通路5は、補給油を供給して油を冷却のために送るべく、ハウジング1内の固定流体ポート(図示せず)と流体連通してもよい。
【0016】
[0034]図6〜図8はモータヨーク48を示している。図6の破線は、ヨーク48の正面図から見えない特徴を示している。この例に関して、モータヨーク48は、ポンプヨーク38の雌相互接続部に結合するために雄相互接続部または結合部を有するように描かれている。モータヨーク48は、例えば鋳造または成型によって単一のモノリシック品として形成されてもよく、また、ダクタイル鉄などの金属から形成されるのが好ましい。
【0017】
[0035]モータヨーク48は、回転グループ43を支持するための中央バケット部19を有する。バケット部19は、ヨーク48の回転グループ43の位置決めを助けるための対応する位置合わせポストを受けるために、図3の凹部6に類似する位置合わせ凹部を含んでもよい。また、ヨーク48は、バケット部19の正反対の両側から延びるアーム部8および9も含む。アーム部8が随意的であることに留意すべきである。
【0018】
[0036]アーム部9は、図6に見られるようにバケット部19から下方へ延びて、軸線31に中心付けられるベアリングトラニオン44Aで終端する。略円筒状の延在部(または、雄相互接続部)35Bが、バケット部19と反対の方向でベアリングトラニオン44Aの軸線方向外側に延びる。2つの流体通路46(図7)および47(図8)が、バケット部19からアーム部9を貫通して延びて、雄相互接続部35Bの外周にわたって周方向に離間される径方向開口で終端する。バケット部19の流体通路46および47は回転グループ43の流体ポート13(図7)および11(図8)のそれぞれと位置合わせされている。雄相互接続部35Bでは、流体通路46および47の径方向開口は、軸線31に沿って互いに軸線方向に離間される。流体は通路46および47を通じて雄相互接続部35Bと回転グループ43との間で流通される。静油圧装置50の動作中、流体通路の一方46または47が高圧流体(500〜15000psiの範囲であるが、一般的には3000〜7000psiの範囲)を運び、その一方で、他方の流体通路47または46が低圧流体(一般的には50〜499psiの範囲)を運ぶ。
【0019】
[0037]図6を再び参照すると、アーム部8、バケット部19から下方へ延びて、軸線31に中心付けられるベアリングトラニオン44Bで終端する。ベアリングトラニオン44Aおよび44Bは、回転グループ43と関連付けられるモータヨーク48の軸線31周りの回転を可能にするために、ハウジング1対する回転のために支持される。1つ以上のセッティングピストン49A(図8)および49B(図7)または他の適した手段、例えばステッピングモータ、電気ソレノイド、あるいは更には、手動調整されるケーブルまたはレバー機構が、ハウジング1に対してヨーク48を回転させるために使用されてもよい。流体タップ通路45が、アーム部8を貫通して延びて、ベアリングトラニオン44B内の径方向の場所で軸線31に沿って外側に延びる円筒相互接続部24の径方向外周に配置されるタップ通路ポート22で終端する。タップ通路45は、補給油を供給して油を冷却のために送るべく、ハウジング1内の固定流体ポート(図示せず)と流体連通してもよい。
【0020】
[0038]図3および図6のヨーク38および48は互いに結合されあるいは相互接続されるようになっている。互いに結合されると、ヨーク48の雄相互接続部35Bがヨーク38の雌相互接続部35A内に挿入され、それにより、通路36が通路46と流体連通状態で配置されるとともに、通路37が通路47と流体連通状態で配置される。図9および図10は互いに結合されたヨーク38および48を示している。図11は、図10の線11−11に沿う部分断面図であり、雌相互接続部35Aに受けられる雄相互接続部35Bを示している。図11には、通路36および46および通路37および47の接続が示されている。また、図11は、雄相互接続部35Bと雌相互接続部35Aとの間をシールするとともに更に高圧および低圧通路を互いからシールするためのロータリーシール58も示している。図11には、ハウジング1に対するヨーク38および48の回転を支持するためのベアリング106および107も示されている。
【0021】
[0039]図12、図13、および図14は、組み立てられた本発明の静油圧装置50の更なる例を示している。図12の破線は、平面図から見えないヨーク38および48の特徴を示している。図13の部分断面図は、タップ流体通路45から回転グループ43までおよび回転グループ43から通路46および36を通じた回転グループ33までの連続した流体流路を示している。同様に、図14の断面図は、タップ流体通路5から回転グループ33までおよび回転グループ33から通路37および47を通じた回転グループ43までの連続した流体流路を示している。
【0022】
[0040]図15は、本発明の静油圧装置の第2の実施形態を示している。図15の静油圧装置50’は、図9に示される平行形態とは対照的にポンプ30およびモータ40のシャフト32および42が互いに対して角度を成すことを示すためにハウジングを伴わずに示されている。
【0023】
[0041]更なる駆動力のため、本発明の2つの静油圧装置を組み合わせることによってデュアル静油圧装置を構成することができる。図16は、先に説明した2つの静油圧装置50Aおよび50Bを組み合わせるデュアル油圧モジュール70の一実施形態を示している。図16の実施形態では、ポンプ30Aおよび30Bのシャフトが互いに結合され、あるいは、共通のシャフトが使用される。ギア73がポンプシャフトに関連付けられる。同様に、モータ40Aおよび40Bのシャフトが互いに結合され、あるいは、共通のシャフトが使用される。ギア75がモータシャフトに関連付けられる。また、図16は、対向するポンプ30Aと30Bとの間の流体圧を釣り合わせるための流体導管102Aおよび102B、ならびに対向するモータ40Aと40Bとの間の流体圧を釣り合わせるための流体導管104Aおよび104Bも示している。流体導管102A、102B、104A、および104Bは、図示のように、外部ハウジングの部分1A、1B、1C、および1Dに組み込まれてもよい。この場合、ハウジングは、タップ通路ポート(図6のポート22など)と関連する流体導管102A、102B、104A、および104Bとの間で流体が連通できるようにする円筒相互接続部17および24と対応するレセプタクル(受容部)を有する。
【0024】
[0042]閉ループ油圧システムでは、供給ライン圧力を増大させて、漏れに起因する流体損失を補うべく補給油をシステムに加えることが有用である。これは、流体通路のうちの1つ102A、102B、104A、または104Bを利用して比較的低圧の補給流体を供給することによって達成される。また、閉ループ油圧システム中に熱油フラッシングサブシステムを含ませて、冷却のための主駆動ループからの少量の油を除去することも有用である。本発明では、フラッシングがタップ流体通路102A、102B、104Aおよび104Bによって達成されてもよい。従来の閉ループ油圧システムは、一般に、補給流体を供給してフラッシングするための外部配管を有し、そのため、ヨーク内に組み込み通路を有する必要がない。本発明のこの実施形態では、ポンプとモータとの間に外部マニホールドまたは配管が存在せず、したがって、別個の流体相互接続部を用いて各ヨークにタップ流体通路が組み込まれる。タップ流体通路102A、102B、104Aおよび104Bに対する流体の流入および流出を制御するために外部ハウジング内のバルブ(図示せず)が使用されてもよい。
【0025】
[0043]図17および図18は2部品ヨーク構造を示している。図17および図18は雌相互接続部35Aを有するヨーク80を示しているが、この2部品構造に関しては雄相互接続部を有するヨークが構成されてもよい。ヨーク80は、締結具84を用いて互いに組み付けられるトップカバー82およびベース部88を含む。締結具84を受けるための穴がトップカバー82およびベース部88に形成される。流体密なシールを与えるために、トップカバー82とベース部88との間にガスケット86が介挿される。通路36および37で図17および図18に示される通路は、トップカバー82がベース部88に取り付けられるときに互いに接続される2つの別個の部分に分けられる。関連する回転グループ(図示せず)がベース部88の穴81を貫通して延び、それにより、回転グループのポートを通路36および37と関連付けられるポート91および92(図18)に流体接続できる。ヨーク80のためのセッティングピストンがベース部88のサイロ部83内に収容される。サイロ部83は、ベース部88と一体の部品として成形されてもよく、あるいは、ベース部の対応する構造に挿入される別個の構造であってもよい。
【0026】
[0044]幾つかの静油圧装置形態は、ポンプまたはモータの一方が定容量であり、他方が可変容量を有することを必要としてもよい。先に説明したヨークは、図19に示されるように、定容量ポンプまたはモータと共に使用されてもよい。図19において、静油圧装置110は、回転グループ119と関連付けられる固定ヨーク112と可変ヨーク115とを含み(2部品ヨークとして示される)、これらのヨークはいずれもハウジング114内に取り付けられる。あるいは、固定ヨーク112がハウジング114と一体であってもよい。先に説明したように、固定ヨーク112の流体通路は、回転可能ヨークまたは可変ヨーク115の流体通路と流体連通する。
【0027】
[0045]本発明の原理、実施形態、および動作を本明細書中で詳しく説明してきたが、これは、開示された特定の例示形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。例えば、ポンプヨークが雄相互接続部を含んでもよく、モータヨークが雌相互接続部を含んでもよい。また、ヨークが2つよりも多い部品から形成されてもよい。更にまた、雄相互接続部および雌相互接続部の通路ポートの一方または両方が径方向ではなく軸線方向に方向付けられてもよい。したがって、本発明の精神または範囲から逸脱することなく本明細書中の実施形態のこれらおよび様々な他の変形を成すことができることが当業者に明らかになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプと、モータとを備える静油圧装置であって、
前記ポンプが、油圧流体を受けて加圧下で油圧流体を出力するためにヨーク及び該ヨークに関連する回転グループを含み、前記ポンプヨークがバケット部とアーム部とを有し、少なくとも1つの流体通路が前記ポンプ回転グループと流体連通するために前記ポンプヨークを貫通して延びており、
前記モータが、加圧下で油圧流体を受けて機械的エネルギを出力するためにヨークおよび該ヨークに関連する回転グループを含み、前記モータヨークがバケット部とアーム部とを有し、少なくとも1つの流体通路が前記モータ回転グループと流体連通するために前記モータヨークを貫通して延びており、
前記ポンプヨークの前記アーム部および前記モータヨークの前記アーム部が、前記ポンプヨークの前記少なくとも1つの流体通路を前記モータヨークの前記少なくとも1つの流体通路と直接に流体連通する状態に配置するための関連する結合部を有し、前記ポンプヨークと前記モータヨークとの間の相対的な回転を可能にするべく前記結合部が互いに対して回転でき、それにより、前記ポンプおよび前記モータのうちの少なくとも一方が可変容量となっている、静油圧装置。
【請求項2】
前記ポンプおよび前記モータの両方の容量を可変とするために前記ポンプヨークおよび前記モータヨークがいずれも回転でき、前記ポンプヨークおよび前記モータヨークが互いに独立に回転できる、請求項1に記載の静油圧装置。
【請求項3】
前記ポンプヨークおよび前記モータヨークの前記関連する結合部が、雄相互接続部と、該雄相互接続部に関連する雌相互接続部とを含み、前記ポンプヨークと前記モータヨークとを結合するために前記雄相互接続部が前記雌相互接続部によって受けられる、請求項1に記載の静油圧装置。
【請求項4】
前記ポンプヨークを貫通して延びる前記少なくとも1つの流体通路が、前記ポンプヨークの前記バケット部および前記アーム部の両方を貫通して延び、前記モータヨークを貫通して延びる前記少なくとも1つの流体通路が、前記モータヨークの前記バケット部および前記アーム部の両方を貫通して延びる、請求項1に記載の静油圧装置。
【請求項5】
前記ポンプおよび前記モータの容量を変えるために前記ヨークのそれぞれを独立に位置決めするための手段を更に備える、請求項2に記載の静油圧装置。
【請求項6】
前記位置決め手段がセッティングピストンを含む、請求項5に記載の静油圧装置。
【請求項7】
前記結合部が、径方向または軸線方向のうちの一方に方向付けられる対応のポートを含む、請求項1に記載の静油圧装置。
【請求項8】
前記雄相互接続部が少なくとも1つの径方向開口を有する外面を含み、前記雌相互接続部が前記雄相互接続部の径方向開口と流体連通するための少なくとも1つの径方向開口を有する内面を含む、請求項3に記載の静油圧装置。
【請求項9】
2つの前記流体通路が前記ポンプヨークを貫通して延び、2つの前記流体通路が前記モータヨークを貫通して延び、前記ポンプヨークの第1の流体通路が前記モータヨークの第1の流体通路と直接に連通し、前記ポンプヨークの第2の流体通路が前記モータヨークの第2の流体通路と直接に連通する、請求項1に記載の静油圧装置。
【請求項10】
前記ポンプヨークおよび前記モータヨークの前記関連する結合部が、雄相互接続部と、該雄相互接続部と関連する雌相互接続部とを含み、前記ポンプヨークと前記モータヨークとを流体結合するために前記雄相互接続部が前記雌相互接続部によって受けられる、請求項9に記載の静油圧装置。
【請求項11】
前記雄相互接続部が少なくとも2つの径方向開口を有する外面を含み、前記径方向開口の1つがそれぞれの前記アーム部を貫通して延びるそれぞれの前記流体通路と関連付けられ、前記雌相互接続部が少なくとも2つの径方向開口を有する内面を含み、前記径方向開口の1つが、それぞれの前記アーム部を貫通して延びるそれぞれの前記流体通路と関連付けられるとともに、前記雄相互接続部の外面上の2つの径方向開口のうちの対応する1つと関連付けられる、請求項10に記載の静油圧装置。
【請求項12】
前記ポンプヨークおよび前記モータヨークのうちの少なくとも一方が一体部品のモノリシック構造として形成される、請求項1に記載の静油圧装置。
【請求項13】
前記ポンプヨークおよび前記モータヨークのうちの少なくとも一方が互いに取着される複数の部品から形成される、請求項1に記載の静油圧装置。
【請求項14】
複数の部品が、前記流体通路が不連続となるように前記流体通路と交差している、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ポンプヨークおよび前記モータヨークのうちの少なくとも一方が、前記バケット部から前記アーム部と反対方向に延びる第2のアームを更に含む、請求項1に記載の静油圧装置。
【請求項16】
少なくとも1つのタップ流体通路が、関連するヨークの前記第2のアームおよび前記バケット部を貫通して延びて関連する回転グループと流体連通する、請求項15に記載の静油圧装置。
【請求項17】
前記ポンプヨークおよび前記モータヨークのうちの他方が、前記バケット部から前記アーム部と反対方向に延びる第2のアームを含む、請求項15に記載の静油圧装置。
【請求項18】
少なくとも1つのタップ流体通路が、前記ポンプヨークおよび前記モータヨークのうちの他方の前記第2のアームおよび前記バケット部を貫通して延びて関連する回転グループと流体連通する、請求項17に記載の静油圧装置。
【請求項19】
前記ポンプおよび前記モータが第1の油圧モジュールを形成し、当該静油圧装置が、関連するヨークを有する第2のポンプと関連するヨークを有する第2のモータとを含む第2の油圧モジュールを更に備え、前記第1の油圧モジュールおよび前記第2の油圧モジュールが、前記ポンプのためのシャフトが互いに固定されるように、そして前記モータのためのシャフトが互いに固定されるように、前記シャフトが鏡像配置を成して対向する状態で配置される、請求項1に記載の静油圧装置。
【請求項20】
互いに固定されたポンプシャフトに対する機械的入力のための手段と、互いに固定されたモータシャフトからの機械的出力のための手段とを更に含む、請求項19に記載の静油圧装置。
【請求項21】
対向する前記ポンプと対向する前記モータとの間で流体圧を釣り合わせることができる導管を更に備える、請求項19に記載の静油圧装置。
【請求項22】
前記ポンプヨークおよび前記モータヨークを回転可能に支持するハウジングを更に備える、請求項1に記載の静油圧装置。
【請求項23】
前記ヨークのそれぞれを独立に位置決めするための手段を更に備える、請求項22に記載の静油圧装置。
【請求項24】
前記位置決め手段が前記ハウジングに取り付けられている、請求項23に記載の静油圧装置。
【請求項1】
ポンプと、モータとを備える静油圧装置であって、
前記ポンプが、油圧流体を受けて加圧下で油圧流体を出力するためにヨーク及び該ヨークに関連する回転グループを含み、前記ポンプヨークがバケット部とアーム部とを有し、少なくとも1つの流体通路が前記ポンプ回転グループと流体連通するために前記ポンプヨークを貫通して延びており、
前記モータが、加圧下で油圧流体を受けて機械的エネルギを出力するためにヨークおよび該ヨークに関連する回転グループを含み、前記モータヨークがバケット部とアーム部とを有し、少なくとも1つの流体通路が前記モータ回転グループと流体連通するために前記モータヨークを貫通して延びており、
前記ポンプヨークの前記アーム部および前記モータヨークの前記アーム部が、前記ポンプヨークの前記少なくとも1つの流体通路を前記モータヨークの前記少なくとも1つの流体通路と直接に流体連通する状態に配置するための関連する結合部を有し、前記ポンプヨークと前記モータヨークとの間の相対的な回転を可能にするべく前記結合部が互いに対して回転でき、それにより、前記ポンプおよび前記モータのうちの少なくとも一方が可変容量となっている、静油圧装置。
【請求項2】
前記ポンプおよび前記モータの両方の容量を可変とするために前記ポンプヨークおよび前記モータヨークがいずれも回転でき、前記ポンプヨークおよび前記モータヨークが互いに独立に回転できる、請求項1に記載の静油圧装置。
【請求項3】
前記ポンプヨークおよび前記モータヨークの前記関連する結合部が、雄相互接続部と、該雄相互接続部に関連する雌相互接続部とを含み、前記ポンプヨークと前記モータヨークとを結合するために前記雄相互接続部が前記雌相互接続部によって受けられる、請求項1に記載の静油圧装置。
【請求項4】
前記ポンプヨークを貫通して延びる前記少なくとも1つの流体通路が、前記ポンプヨークの前記バケット部および前記アーム部の両方を貫通して延び、前記モータヨークを貫通して延びる前記少なくとも1つの流体通路が、前記モータヨークの前記バケット部および前記アーム部の両方を貫通して延びる、請求項1に記載の静油圧装置。
【請求項5】
前記ポンプおよび前記モータの容量を変えるために前記ヨークのそれぞれを独立に位置決めするための手段を更に備える、請求項2に記載の静油圧装置。
【請求項6】
前記位置決め手段がセッティングピストンを含む、請求項5に記載の静油圧装置。
【請求項7】
前記結合部が、径方向または軸線方向のうちの一方に方向付けられる対応のポートを含む、請求項1に記載の静油圧装置。
【請求項8】
前記雄相互接続部が少なくとも1つの径方向開口を有する外面を含み、前記雌相互接続部が前記雄相互接続部の径方向開口と流体連通するための少なくとも1つの径方向開口を有する内面を含む、請求項3に記載の静油圧装置。
【請求項9】
2つの前記流体通路が前記ポンプヨークを貫通して延び、2つの前記流体通路が前記モータヨークを貫通して延び、前記ポンプヨークの第1の流体通路が前記モータヨークの第1の流体通路と直接に連通し、前記ポンプヨークの第2の流体通路が前記モータヨークの第2の流体通路と直接に連通する、請求項1に記載の静油圧装置。
【請求項10】
前記ポンプヨークおよび前記モータヨークの前記関連する結合部が、雄相互接続部と、該雄相互接続部と関連する雌相互接続部とを含み、前記ポンプヨークと前記モータヨークとを流体結合するために前記雄相互接続部が前記雌相互接続部によって受けられる、請求項9に記載の静油圧装置。
【請求項11】
前記雄相互接続部が少なくとも2つの径方向開口を有する外面を含み、前記径方向開口の1つがそれぞれの前記アーム部を貫通して延びるそれぞれの前記流体通路と関連付けられ、前記雌相互接続部が少なくとも2つの径方向開口を有する内面を含み、前記径方向開口の1つが、それぞれの前記アーム部を貫通して延びるそれぞれの前記流体通路と関連付けられるとともに、前記雄相互接続部の外面上の2つの径方向開口のうちの対応する1つと関連付けられる、請求項10に記載の静油圧装置。
【請求項12】
前記ポンプヨークおよび前記モータヨークのうちの少なくとも一方が一体部品のモノリシック構造として形成される、請求項1に記載の静油圧装置。
【請求項13】
前記ポンプヨークおよび前記モータヨークのうちの少なくとも一方が互いに取着される複数の部品から形成される、請求項1に記載の静油圧装置。
【請求項14】
複数の部品が、前記流体通路が不連続となるように前記流体通路と交差している、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ポンプヨークおよび前記モータヨークのうちの少なくとも一方が、前記バケット部から前記アーム部と反対方向に延びる第2のアームを更に含む、請求項1に記載の静油圧装置。
【請求項16】
少なくとも1つのタップ流体通路が、関連するヨークの前記第2のアームおよび前記バケット部を貫通して延びて関連する回転グループと流体連通する、請求項15に記載の静油圧装置。
【請求項17】
前記ポンプヨークおよび前記モータヨークのうちの他方が、前記バケット部から前記アーム部と反対方向に延びる第2のアームを含む、請求項15に記載の静油圧装置。
【請求項18】
少なくとも1つのタップ流体通路が、前記ポンプヨークおよび前記モータヨークのうちの他方の前記第2のアームおよび前記バケット部を貫通して延びて関連する回転グループと流体連通する、請求項17に記載の静油圧装置。
【請求項19】
前記ポンプおよび前記モータが第1の油圧モジュールを形成し、当該静油圧装置が、関連するヨークを有する第2のポンプと関連するヨークを有する第2のモータとを含む第2の油圧モジュールを更に備え、前記第1の油圧モジュールおよび前記第2の油圧モジュールが、前記ポンプのためのシャフトが互いに固定されるように、そして前記モータのためのシャフトが互いに固定されるように、前記シャフトが鏡像配置を成して対向する状態で配置される、請求項1に記載の静油圧装置。
【請求項20】
互いに固定されたポンプシャフトに対する機械的入力のための手段と、互いに固定されたモータシャフトからの機械的出力のための手段とを更に含む、請求項19に記載の静油圧装置。
【請求項21】
対向する前記ポンプと対向する前記モータとの間で流体圧を釣り合わせることができる導管を更に備える、請求項19に記載の静油圧装置。
【請求項22】
前記ポンプヨークおよび前記モータヨークを回転可能に支持するハウジングを更に備える、請求項1に記載の静油圧装置。
【請求項23】
前記ヨークのそれぞれを独立に位置決めするための手段を更に備える、請求項22に記載の静油圧装置。
【請求項24】
前記位置決め手段が前記ハウジングに取り付けられている、請求項23に記載の静油圧装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2012−518761(P2012−518761A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551115(P2011−551115)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/023449
【国際公開番号】WO2010/098968
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(598057523)パーカー・ハニフィン・コーポレーション (18)
【出願人】(511202779)カイネティクス ドライヴ ソリューションズ インコーポレイテッド (2)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/023449
【国際公開番号】WO2010/098968
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(598057523)パーカー・ハニフィン・コーポレーション (18)
【出願人】(511202779)カイネティクス ドライヴ ソリューションズ インコーポレイテッド (2)
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