説明

結晶性赤外線反射フィルム

基材と、結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物および有機ポリマーを備える少なくとも一つの赤外線反射層とを備える赤外線反射フィルムであって、前記赤外線反射層は1250nmから1700nmまでの赤外線領域に反射ピークを有する赤外線反射フィルムが提供される。このような赤外線フィルムはその光学特性が光および湿度による変質に対して安定である。また、このような赤外線反射フィルムを備える、太陽光線制御用窓フィルム、セキュリティーマーキング、その他光学物品も提供される。さらに、このような赤外線反射フィルムの製造方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には赤外線フィルムの分野に関し、特に、熱、光、および湿度に対して安定であるとともに、強力な赤外線反射を提供しつつ着色の程度がとても低い赤外線反射フィルムに関連する。さらに具体的には、本発明は、結晶状態にあるアミニウムフリーラジカルカチオン化合物と有機ポリマーとを備える少なくとも一つの赤外線反射層を備える赤外線フィルムに関する。本発明はさらに、本発明の結晶性赤外線反射フィルムを備える太陽光線制御用窓フィルム、セキュリティーマーキング、および他の光学物品、ならびにそのような結晶性赤外線反射フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光線制御用窓フィルムおよびセキュリティーマーキングのような製品は、赤外線領域において強力な反射機能を有している無色またはほぼ無色の層により、太陽光の赤外線領域を反射するまたは遮蔽することができるといった恩恵や、セキュリティーマーキングの場合には赤外線スキャナまたはカメラによって読み取ることができるが、人間に簡単に気付かれたり可視光用スキャナやカメラによって容易に検出されたりするのに十分な可視画像を与えないといった恩恵を受けるであろう。例えば、Carlsonによる特許文献1およびCarlsonらによる特許文献2には、赤外線領域において高いレベルの反射機能を示しながら視認できる着色は非常に少ないアミニウムラジカルカチオン化合物を備える太陽光線制御用窓フィルムについて記載がある。また、例えば、全てCarlsonによる特許文献1、3および4には、アミニウムラジカルカチオン化合物を備え、人間の目や可視光用スキャナの検出にとっては視認不能またはほとんど視認不能でありながら赤外線領域において検出可能とされる、セキュリティーマーキングのための赤外線層について記載がある。
【0003】
そのような赤外線反射層が、赤外線反射機能の強さの程度および光、熱、および湿度に長期間曝されたことによる可視領域の着色の程度について高度に安定であって、塗布や貼付によって他の層と直接的に組み合わせられたときでも、赤外線反射機能の程度および変色または変質に対する安定性を維持できたならば、有利であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7151626号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0097510号明細書
【特許文献3】米国特許第6381059号明細書
【特許文献4】米国特許第6589451号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、強力な赤外線反射機能および光、熱および湿度による変質に対する安定性を付与しながら着色が非常に少ない結晶性の赤外線反射フィルムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、基材と少なくとも一つの赤外線反射層とを備える赤外線反射フィルムに関連し、この少なくとも一つの赤外線反射層は結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物および有機ポリマーを備え、この少なくとも一つの赤外線反射層は1250nmから1700nmまでの赤外線領域に反射ピークを有する。一形態において、アミニウムラジカルカチオン化合物はアミニウムラジカルカチオンの塩であって、この塩のアニオンはヘキサフルオロアンチモン酸イオンおよびヘキサフルオロリン酸イオンからなる群から選ばれたものである。一形態において、アミニウムラジカルカチオン化合物はテトラキス(フェニル)−1,4−ベンゼンジアミンラジカルカチオンの塩である。一形態において、アミニウムラジカルカチオン化合物はトリス(フェニル)−アミニウムラジカルカチオンの塩である。
【0007】
本発明の赤外線反射フィルムの一形態において、少なくとも一つの赤外線反射層は800から900nmの範囲に吸収ピークを示す。一形態において、少なくとも一つの赤外線反射層の420から680nmの範囲の吸収率は、800から900nmの範囲の吸収ピークの吸収率の20%未満であり、好ましくは、830から860nmの範囲の吸収ピークの吸収率の10%未満である。
【0008】
本発明の赤外線反射フィルムの別の一つの態様は、結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物と、脂肪族ウレタンポリマー、ジビニルエーテルポリマー、フルオロポリマー、およびシリコーンポリマーからなる群から選ばれる有機ポリマーとを備える、少なくとも一つの赤外線反射層に関連する。一形態において、ジビニルエーテルポリマーは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、および1,4−シクロヘキサンジメタノールのジビニルエーテルのポリマーからなる群から選ばれる。一形態において、フルオロポリマーはポリビニリデンフルオライドである。一形態において、シリコーンポリマーはジメチルポリシロキサンである。一形態において、少なくとも一つの赤外線反射層は脂肪族ウレタンポリマーおよびジビニルエーテルポリマーを備える。
【0009】
本発明の赤外線反射フィルムの別の一態様は、透明な基材、好ましくは透明ポリエステルフィルムを備える基材に関連する。
【0010】
本発明の赤外線反射フィルムの一態様は、本発明の赤外線反射フィルムを備える太陽光線制御用窓フィルムに関連する。一形態において、太陽光線制御用窓フィルムは透明ポリエステルフィルムを備える基材、結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物および有機ポリマーを備える赤外線反射層を備え、この結晶状態は、アミニウムラジカルカチオン化合物の結晶が存在すること、および結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物の赤外スペクトルにおける低透過率ピークの一つまたは二つ以上が、2−ブタノンの10−5M溶液中で単独であって非結晶分子の状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物の赤外スペクトルにおける最小透過率ピークから少なくとも100nm長波長側にシフトすることによって特徴づけられる。一形態において、結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物の赤外スペクトルにおける低透過率ピークの一つまたは二つ以上が、2−ブタノンの10−5M溶液中で単独であって非結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物の赤外スペクトルにおける最小透過率ピークから、少なくとも50nm短波長側にシフトすることによって、結晶状態はさらに特徴づけられる。一形態において、赤外線反射フィルムは1250nmから1700nmの赤外線領域に反射ピークを示す。
【0011】
赤外線反射フィルムを備える本発明の太陽光線制御用窓フィルムのさらに別の一態様において、赤外線反射層の厚さは0.01から0.1μmである。一形態において、アミニウムラジカルカチオン化合物の結晶の平均幅および奥行きは赤外線反射層の厚さよりも小さい。一形態において、アミニウムラジカルカチオン化合物の結晶の平均長さは赤外線反射層の厚さよりも大きい。
【0012】
赤外線反射フィルムを備える本発明の太陽光線制御用窓フィルムの別の一態様において、赤外線反射層の厚さは0.1から0.3μmである。一形態において、アミニウムラジカルカチオン化合物の結晶の平均幅および奥行きは赤外線反射層の厚さよりも小さい。一形態において、アミニウムラジカルカチオン化合物の結晶の平均長さは前記赤外線反射層の厚さよりも大きい。
【0013】
本発明の太陽光線制御用窓フィルムのさらなる一態様において、窓フィルムのヘーズは3%未満、好ましくは2%未満である。
【0014】
本発明の太陽光線制御用窓フィルムの別の一態様において、赤外線反射層はアミニウムラジカルカチオン化合物を70質量%から99質量%備える。
【0015】
本発明の太陽光線制御用窓フィルムの別の一態様において、赤外線反射層の最大赤外線反射ピークは反射率で20%超であり、好ましくは反射率で30%超である。一形態において、赤外線反射層の最大赤外線反射ピークは1250nmから1400nmの赤外線領域内に位置する。
【0016】
本発明の赤外線反射フィルムの一態様は、本発明の赤外線反射フィルムを備えるセキュリティーマーキングに関連する。
【0017】
本発明の赤外線反射フィルムの一態様は、本発明の赤外線反射フィルムを備える光学物品に関連する。一形態において、赤外線反射フィルムは、結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物を備える少なくとも一つの赤外線反射層のうちの少なくとも一つに、レーザにより形成された画像パターンを備え、アミニウムラジカルカチオン化合物の赤外線吸収はそのレーザに曝されることによって変化し、レーザにより形成された画像パターンは赤外線領域において読み取り可能である。一形態において、レーザにより形成された画像パターンは、1400nmよりも上の、目に安全な波長領域において読み取り可能である。
【0018】
本発明の別の一態様は、赤外線反射フィルムの製造方法に関連し、その方法は、(a)基材、(b)基材を覆う赤外線反射の第一層を提供するステップを備え、この赤外線反射層は、結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物および有機ポリマーを備え、この結晶状態は、アミニウムラジカルカチオン化合物の結晶が存在すること、および結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物の赤外スペクトルにおける低透過率ピークの一つまたは二つ以上が、2−ブタノンの10−5M溶液中で単独であって非結晶分子の状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物の赤外スペクトルにおける最小透過率ピークから、少なくとも100nm長波長側にシフトすることにより特徴づけられる。
【0019】
当業者にとって理解されるであろうこととして、発明におけるある一つの態様や形態における特性は、発明の他の態様や形態にまた適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
有機フリーラジカル化合物
ここで使用される「有機フリーラジカル化合物」なる用語は、原子上にある自由な不対電子を少なくとも一つ備える有機化合物に関連し、その原子の例として、基底状態にある有機化合物における、炭素原子、窒素原子、または酸素原子が挙げられる。本発明の赤外線反射フィルム、太陽光線制御用窓フィルム、セキュリティーマーキング、および光学物品として好ましい有機フリーラジカル化合物には、有機フリーラジカルカチオンの塩が含まれる。簡略化の目的で、「有機フリーラジカルカチオン」、「有機ラジカルカチオン」、および「ラジカルカチオン」はここでは同じ意味として用いられる。ここで使用される「カチオン」なる単語は、分子内の正電荷を有する原子、例えば、正電荷を有する窒素原子に関連する。有機フリーラジカル化合物の自由な不対電子および正電荷は一つの原子に局在化している場合もあり、二つ以上の原子内で共有されている場合もあることに留意すべきである。
【0021】
本発明の赤外線反射フィルム、太陽光線制御用窓フィルム、セキュリティーマーキング、および光学物品として好ましい有機フリーラジカルカチオンの塩の限定されない例として、アミニウムラジカルカチオン化合物の塩が挙げられ、具体的には例えばヘキサフルオロアンチモン酸トリス(p−ジブチルアミノフェニル)アミニウムが挙げられる。この塩は市場においてIR−99として入手可能であり、これはロードアイランド州スミスフィールドのSperian Protectionにより提供される染料の商品名である。もうひとつの好ましいアミニウムラジカルカチオン化合物の塩はIR−165であって、これはロードアイランド州スミスフィールドのSperian Protectionにより提供される染料の商品名である。IR−165はテトラキス(フェニル)−1,4−ベンゼンジアミンラジカルカチオンのヘキサフルオロアンチモン酸塩である。
【0022】
Carlsonによる特許文献1およびCarlsonらによる特許文献2に記載されるように、アミニウムラジカルカチオン化合物を備えるコーティングは赤外線について高レベルの反射機能を示すことが見出されている。IR−165タイプの化合物を備える層は、400から700nmの可視波長領域において、同等能力で赤外線を遮蔽するIR−99タイプの化合物の場合に比べてはるかに低い吸収を有する。それゆえ、この層は、可視着色がないまたはきわめて少ない状態で強力な赤外線吸収および遮蔽が要求される製品への適用に適している。
【0023】
「赤外線」および「赤外線領域」なる用語はここでは同じ意味で用いられ、波長でいえば700nmから2500nmに関する。「可視波長領域」、「可視波長」、「可視領域」、および「可視」なる用語はここでは同じ意味で用いられ、波長でいえば400nmから700nmに関する。
【0024】
本発明の赤外線反射フィルムに適した有機ラジカルカチオン化合物の塩の限定されない例として、アミニウムラジカルカチオン化合物の塩が挙げられる。この塩のカウンターアニオンの選択は、例えば、赤外線反射層への適用のしやすさおよび適用コストならびに有機ラジカルカチオン塩が使用される赤外線反射層に求められる酸素、湿度および光への露出による変質に対する安定性などの多くの因子に依存する。
【0025】
【化1】

【0026】
上記化学式1は、本発明の赤外線反射層のための代表的なフリーラジカル化合物であるIR−99の化学構造を示す。IR−99はトリス(4−ジアルキルアミノフェニル)アミニウムラジカルカチオンの塩の一例である。
【0027】
化学式1から、IR−99は、窒素原子の一つの上に示される一つの自由電子を有する有機フリーラジカル化合物であることが理解される。この場合には、この化合物はヘキサフルオロアンチモン酸アニオンとの塩の形で示されている。
本発明の赤外線反射フィルムの一形態において、アミニウムラジカルカチオン化合物はアミニウムラジカルカチオンの塩であって、塩のアニオンはヘキサフルオロアンチモン酸イオンおよびヘキサフルオロリン酸イオンからなる群から選ばれたものである。一形態において、アミニウムラジカルカチオン化合物はIR−165のようなテトラキス(フェニル)−1,4−ベンゼンジアミンラジカルカチオンの塩である。一形態において、アミニウムラジカルカチオン化合物はIR−99のようなトリス(フェニル)−アミニウムラジカルカチオンの塩である。
【0028】
太陽光線制御用窓フィルム、セキュリティーマーキング、および光学物品のための赤外線反射フィルム
本発明は、強力な赤外線反射機能を提供しつつ着色がとても少ない安定な赤外線反射フィルムに関連する。ここで使用される「フィルム」や「複数のフィルム」なる用語は、例えば、ここではポリエステルと呼ばれるポリエチレンテレフタレートの白色のフィルム、透明のポリエステルフィルム、白色のポリスチレンフィルム、透明なポリプロピレンフィルム、および白色のポリ塩化ビニル(PVC)フィルムのような、透明または不透明なフィルム基材上に形成された少なくとも一つの層を備えるいかなる物品または製品に関連する。例えば、本発明の赤外線反射フィルムは、プラスチックまたはポリマーのフィルムが紙、金属、ガラス、または他のプラスチックフィルムに塗布されたまたは積層された構成を含む。
【0029】
本発明の一態様は、基材と少なくとも一つの赤外線反射層を備える赤外線反射フィルムに関連し、この少なくとも一つの赤外線反射層は結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物および有機ポリマーを備え、この少なくとも一つの赤外線反射層は1250nmから1700nmまでの赤外線領域に反射ピークを有する。一形態において、アミニウムラジカルカチオン化合物はアミニウムラジカルカチオンの塩であって、この塩のアニオンはヘキサフルオロアンチモン酸イオンおよびヘキサフルオロリン酸イオンからなる群から選ばれたものである。一形態において、アミニウムラジカルカチオン化合物はテトラキス(フェニル)−1,4−ベンゼンジアミンラジカルカチオンの塩である。一形態において、アミニウムラジカルカチオン化合物はトリス(フェニル)−アミニウムラジカルカチオンの塩である。
【0030】
アミニウムラジカルカチオン化合物の結晶状態は、その非結晶状態のいずれもの代わりに、保管状態における、ならびに熱、光および湿度への長期の露出状態における赤外線フィルムの光学特性に付加的な安定性を提供する。アミニウムラジカルカチオン化合物の結晶状態とは、アミニウムラジカルカチオン化合物が赤外線反射層内において結晶を形成してしまっていることを意味する。これらの結晶は高倍率の顕微鏡によって観察することができ、透明な赤外線フィルムである場合には、結晶の形成によりヘーズが増大することによっても確認されうる。IR−165のようなアミニウムラジカルカチオン化合物の結晶状態は、赤外線反射層を130℃などの高温で長時間加熱することによって、または、塗布組成物中においてアミニウムラジカルカチオン化合物を限定的にのみ溶解する2,4−ペンタンジオンのような高沸点溶媒を含むことによって形成される。この高沸点溶媒はアミニウムラジカルカチオン化合物に乾燥の最終段階において析出または結晶化をもたらし、そうすることによって赤外線反射層内に結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物を形成する。
【0031】
光に対するおよび他の環境的劣化条件に対しうる増加された安定性に加え、赤外線反射層内におけるアミニウムラジカルカチオン化合物の結晶状態が有するその他の利益とは、非結晶状態における反射率が20%であることに比べて35%であるというように、赤外線の反射率がより高いこと;反射率を少なくとも20%とするために必要とされるアミニウムラジカルカチオン化合物の含有量が非結晶状態の場合に比べて1/3などに少なくなること;非結晶状態では約800nmから1100nmの領域を中心とする狭くかつ強度の低いピークを有する赤外線反射スペクトルであるのに対し、約1300nmに広くかつ強度の高いピークを有し800nmから900nmにもう一つのピークを有するなど、赤外線反射スペクトルが異なり幅広くなること;非結晶状態の場合には、赤外線反射層において15%ポリマーが添加されるとその赤外線の反射がほぼ全て失われたり上塗りされると赤外線の反射に重大な損失が生じたりすることに比べて、赤外線反射層に最大90%のポリマーが添加されたり粘着剤層が上塗りされたりしたときのように、より多くの有機ポリマーが赤外線反射層に添加されたときや、他のコーティング層が赤外線反射層に塗布または積層されたときでも、赤外線反射率をはるかに高く維持すること、である。
【0032】
本発明の赤外線反射フィルムの一形態において、赤外線フィルムの少なくとも一つの赤外線反射層は、800から900nmの範囲に吸収ピークを有する。この範囲は赤外線スキャナやカメラによる検出のための典型的な赤外線波長範囲であり、700から900nmは太陽光の赤外線スペクトルにおいて最も強度の高い部分であって建物や車の内部における熱蓄積を抑制するためにエネルギー制御または遮蔽を行うことが望まれる部分である。一形態において、赤外線フィルムの少なくとも一つの赤外線反射層における420から680nmの領域の吸収は、800から900nmの範囲の吸収ピークの20%未満であり、好ましくは、800から900nmの範囲の吸収ピークの10%未満であり、より好ましくは、830から860nmの範囲の吸収ピークの10%未満である。結晶状態にあるIR−165タイプのアミニウムラジカルカチオン化合物は、これらの望まれる吸収特性を満たしかつそれを維持することに特に適している。
【0033】
本発明の赤外線反射フィルムの別の一態様は、結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物と、脂肪族ウレタンポリマー、ジビニルエーテルポリマー、フルオロポリマー、およびシリコーンポリマーからなる群から選ばれる有機ポリマーとを備える少なくとも一つの赤外線反射層に関連する。一形態において、ジビニルエーテルポリマーは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、および1,4−シクロヘキサンジメタノールのジビニルエーテルのポリマーからなる群から選ばれる。特定の理論に限定されることを望まないが、カチオン性の基を有するアミニウムラジカルカチオン化合物は、ジビニルエーテル化合物の単量体がジビニルエーテル化合物の高分子を形成するカチオン重合反応に対して触媒作用を及ぼすと信じられる。ジビニルエーテル化合物を提供する一つのアプローチは、アミニウムラジカルカチオン化合物と2−ブタノンおよびシクロヘキサノンのような有機溶媒とを含む塗布組成物内にジビニルエーテル化合物の単量体を含有させて、赤外線反射層を形成してその層の乾燥および加熱後にジビニルエーテル化合物の一部を高分子の状態で保持することである。なお、ある量の単量体は乾燥および加熱中に揮発して除去される。一形態において、少なくとも一つの赤外線反射層は、例えば、Huntsman Corporationから入手可能な脂肪族ウレタンポリマーの商品名であるIROCOAT CA−239のような、脂肪族ウレタンポリマーを備える。脂肪族ウレタンポリマーは赤外線反射層に凝集強度および密着強度を付与する。一形態において、少なくとも一つの赤外線反射層は、例えば、デラウェア州ウィルミントンのDupont Corporationから入手可能なポリビニリデンフルオライドポリマーの商品名であるKynar 9037のような、フルオロポリマーを備える。フルオロポリマーは赤外線反射層の安定性を高める耐湿性を付与する。フルオロポリマーは赤外線反射層のコーティングの流動性および均一性をも向上させる。一形態において、少なくとも一つの赤外線反射層は、ジメチルポリシロキサンのような、シリコーンポリマーを備える。シリコーンポリマーは赤外線反射層の安定性を高める耐湿性を付与する。シリコーンポリマーは赤外線反射層のコーティングの流動性および均一性をも向上させる。一形態において、少なくとも一つの赤外線反射層は、脂肪族ウレタンポリマー、ジビニルエーテルポリマー、フルオロポリマー、およびシリコーンポリマーからなる群から選ばれる二つ以上の有機ポリマーの組み合わせを備える。
【0034】
本発明の赤外線フィルムの他の一態様は、透明基材、好ましくは透明なポリエステルフィルムを備える基材に関連する。一形態において基材は反射性の不透明基材を備え、例えば、赤外線および可視光を反射する硫酸バリウム顔料粒子を備えるものであって、デラウェア州ウィルミントンのDupont Corporationから入手可能なポリエステルフィルムの商品名であるMELINEX 339のような、白色のポリエステルフィルムからなることが好ましい。反射性の不透明基材は赤外線反射率が高い背景部材を提供するのに役立つ。この基材を背景部材とする赤外線フィルムは、赤外線の遮蔽および反射を、アミニウムラジカルカチオン化合物を備える層を通過する初期経路およびその基材に反射された後にこの層を通過する帰還経路において行い、赤外線反射層内のアミニウム化合物量が0.05g/m未満のようにとても少ないときであっても、赤外線スキャナやカメラによって容易に検出されることが可能である。
【0035】
本発明の赤外線反射フィルムの一態様は、本発明の赤外線反射フィルムを備える太陽光線制御用窓フィルムに関連する。一形態において、太陽光線制御用窓フィルムは、透明ポリエステルフィルムを備える基材、および結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物および有機ポリマーを備える赤外線反射層を備える赤外線反射フィルムを備え、結晶状態は、アミニウムラジカルカチオン化合物の結晶が存在すること、および結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物の赤外スペクトルにおける低透過率ピークの一つまたは二つ以上が、2−ブタノンの10−5M溶液中で単独であって非結晶分子の状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物の赤外スペクトルにおける最小透過率ピークから、少なくとも100nm長波長側にシフトすることによって特徴づけられる。一形態において、結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物の赤外スペクトルにおける低透過率ピークの一つまたは二つ以上が、2−ブタノンの10−5M溶液中で単独であって非結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物の赤外スペクトルにおける最小透過率ピークから、少なくとも50nm短波長側にシフトすることによって、結晶状態はさらに特徴づけられる。例えば、IR−165をアミニウムラジカルカチオン化合物として用いた場合には、赤外線反射層は、典型的には、大きく幅広の最小透過率ピークを1300nm程度に、より幅が狭い最小透過率ピークを850nm程度に示す。2−ブタノンの10−5M溶液中で単独で非結晶分子状態、または非結晶のコーティング層内にあるIR−165は、単独の最小透過率ピークを950nm程度に示す。それゆえ、IR−165タイプのアミニウムラジカルカチオン化合物を備える赤外線反射コーティングの結晶状態は、典型的には、最小透過率ピークを約850nmおよび1300nmに、換言すれば、液体またはコーティング層内で単独で非結晶分子状態にあるIR−165の赤外線スペクトルにおける最小透過率ピークから100nmほど短波長側および350nm長波長側にある。一形態において、赤外線反射フィルムは1250nmから1700nmの赤外線領域に反射ピークを示す。
【0036】
本発明の太陽光線制御用窓フィルムは、太陽光線制御用窓フィルムとして公知のいかなる設計形態をも取りうる。例えば、基材は、第一の基材の赤外線反射層とは反対の側に塗布された、取り付け用の接着層を有してもよい。この取り付け用の接着層は、水でぬらしたうえで、窓フィルムや窓に取り付けたり接着したりすることに使用されてもよい。本発明の赤外線反射層の非金属的な特性は、水が拡散して、水の透過性がずっと低い金属化層を有する窓フィルムよりもずっと速やかに乾燥することを可能にするという利点を有する。さらに、例えば、赤外線反射層は、粘着剤を用いて第二の基材に積層されていてもよい。このとき赤外線反射層は二つの基材に挟み込まれるため、建物、自動車、その他の窓フィルムが取り付けられた構造物の内側に赤外線反射層が直接露出されるときよりも、この構成は、作業時のダメージや環境上のダメージに対する追加的な保護を赤外線反射層に提供する。引っ掻きや他のタイプの光学的透明度へのダメージに対する太陽光線制御用窓フィルムの追加された保護のために、この第二の基材の反対側に、例えば紫外線で硬化された架橋アクリル系コーティングのような耐摩耗コーティングが塗布されていてもよい。これらの二つの基材の間に設けられる複数のコーティング層の配置の順序は任意である。例えば、赤外線反射層は第二の基材の上に塗布されていてもよいし、第一および第二の双方の基材の上に塗布されていてもよい。第一の基材と第二の基材上の赤外線反射層との間に粘着層が設けられていてもよい。
【0037】
赤外線反射フィルムを備える本発明の太陽光線制御用窓フィルムのさらに別の一態様において、赤外線反射層の厚さは0.01から0.1μmである。一形態において、アミニウムラジカルカチオン化合物の結晶の平均幅および奥行きは赤外線反射層の厚さよりも小さい。一形態において、アミニウムラジカルカチオン化合物の結晶の平均長さは赤外線反射層の厚さよりも大きい。結晶の形状を、高倍率の顕微鏡を用いて測定してもよく、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてより正確に測定してもよい。赤外線反射層および基材の断面露出そしてSEMを用いての厚さ測定によって、赤外線反射コーティングの厚さを測定してもよい。この断面を露出するプロセスは、赤外線反射層の奥行きまたは厚さのみならず、結晶の奥行きまたは長さの測定をも提供する。
【0038】
赤外線反射フィルムを備える本発明の太陽光線制御用窓フィルムの別の一態様において、赤外線反射層の厚さは0.1から0.3μmである。一形態において、アミニウムラジカルカチオン化合物の結晶の平均幅および奥行きは赤外線反射層の厚さよりも小さい。一形態において、アミニウムラジカルカチオン化合物の結晶の平均長さは赤外線反射層の厚さよりも大きい。
【0039】
本発明の太陽光線制御用窓フィルムのさらなる別の一態様において、窓フィルムのヘーズは3%未満であって、好ましくは2%未満である。アミニウムラジカルカチオン化合物の結晶の形成は、形成された結晶の少なくとも一つの寸法は典型的には0.2μmまたはそれ以上であるから、コーティングのヘーズを増加させる。可視光の透過率が約60%より下といった、より暗く、より可視域の透明性が低い窓フィルムの場合にはヘーズは目立たないが、可視光の透過率が約60%より上で着色の少ない窓フィルムにおいてヘーズが3%を超えることは望ましくないことである。ヘーズを最小化するために、赤外線反射層の厚さを減らして結晶サイズを小さくしてもよい。さらに低いヘーズのために、赤外線反射層のための初期の乾燥ステップにおいて溶媒誘起結晶化などにより結晶を形成することが、後加熱工程によって結晶を形成するよりも好ましい。ヘーズを低減するための別の一つのアプローチは、赤外線反射層の上に、上塗り層を配置したり粘着層のようなある層を積層したりすることである。より低減されたヘーズのレベルを得るためにこれらのアプローチの組み合わせてもよい。
【0040】
本発明の太陽光線制御用窓フィルムの別の一態様において、赤外線反射層は、結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物を70質量%から99質量%備える。一形態において、赤外線反射層は、結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物を10から70質量%備える。赤外線反射層の残部は一種または二種以上の有機ポリマーであってもよい。アミニウムラジカルカチオン化合物の結晶状態は、赤外線反射の著しい低減をもたらすことなく、有機ポリマーおよびアミニウムラジカルカチオン化合物と結合されるコーティング材料の質量百分率が大きくなることを可能とする。これに対し、赤外線反射層における赤外線反射のほとんどを減らすことがないとすれば、同じアミニウムラジカルカチオン化合物の非結晶状態に対する高分子および他の添加物の添加量は、典型的には15質量%を超えることはないであろう。
【0041】
本発明の太陽光線制御用窓フィルムの別の一態様において、赤外線反射層の最大赤外反射ピークは反射率で20%超であり、好ましくは反射率で30%超である。一形態において、赤外線反射層の最大赤外線反射率は1250nmから1400nmの赤外領域にある。
【0042】
本発明の別の一態様は、本発明の赤外線反射フィルムを備えるセキュリティーマーキングに関連する。一形態において、セキュリティーマーキングは基材および少なくとも一つの赤外線反射層を備える赤外線反射フィルムを備え、その少なくとも一つの赤外線反射層は結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物および有機ポリマーを備えるとともに、その少なくとも一つの赤外線反射層は1250nmから1700nmの赤外線領域に反射ピークを示す。
【0043】
本発明のさらにまた別の一態様は、本発明の赤外線反射フィルムを備える光学物品に関連する。一形態において、この光学物品は、基材および少なくとも一つの赤外線反射層を備える赤外線反射フィルムを備え、その少なくとも一つの赤外線反射層は結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物および有機ポリマーを備えるとともに、その少なくとも一つの赤外線反射層は1250nmから1700nmの赤外線領域に反射ピークを示す。光学物品は、限定されない例示として、太陽光線制御用窓フィルム、セキュリティーマーキングおよびセキュリティーマーキングのシステム、流体を解析するための試験片、光電池、露天販売店およびその他の表示物のための赤外線遮蔽フィルム、透明なクレジットカード、赤外線フィルタ、ならびにその他物品が赤外線領域において光学的に検出されたり使用されたりする用途を含む。一形態において、赤外線反射フィルムは、アミニウムラジカルカチオン化合物を備える少なくとも一つの赤外線反射層のうちの少なくとも一つに、レーザによって形成された画像パターンを備える。ここで、アミニウムラジカルカチオン化合物の赤外吸収はレーザへの照射により変化してしまって、レーザにより形成された画像パターンは赤外線領域において読み取り可能である。典型的には、レーザは、例えば830nmで出力する半導体ダイオードレーザや1065nmで出力するYAGレーザといった赤外線レーザである。一形態において、レーザにより形成された画像パターンは、1400nmよりも上の、目に安全な波長領域において読み取り可能である。この検出のための赤外線範囲が700nmから1600nmにわたる広い範囲であることは、アミニウムラジカルカチオン化合物の選択に強く依存して、例えば、店のレジや混んだ部屋においてそこにいる人のだれにも害を与える心配なしに赤外線レーザデバイスを用いて赤外線フィルムを読み取ることができるといった、目に安全な波長にて赤外線フィルムを読み取ることの選択肢を与える点で有益である。
【0044】
本発明の別の一態様は、赤外線反射フィルムの製造方法に関連する。ここで、この方法は、(a)基材と(b)基材を覆う赤外線反射層とを提供するステップを備え、この赤外線反射層は、結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物および有機ポリマーを備え、この結晶状態は、アミニウムラジカルカチオン化合物の結晶が存在すること、および結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物の赤外スペクトルにおける低透過率ピークの一つまたは二つ以上が、2−ブタノンの10−5M溶液中で単独であって非結晶分子の状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物の赤外スペクトルにおける最小透過率ピークから、少なくとも100nm長波長側にシフトすることにより特徴づけられ、赤外線反射層は1250nmから1700nmの赤外線領域内に反射ピークを有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と少なくとも一つの赤外線反射層とを備える赤外線反射フィルムであって、前記少なくとも一つの赤外線反射層は結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物および有機ポリマーを備え、前記少なくとも一つの赤外線反射層は1250nmから1700nmまでの赤外線領域に反射ピークを有する赤外線反射フィルム。
【請求項2】
前記アミニウムラジカルカチオン化合物はアミニウムラジカルカチオンの塩であって、この塩のアニオンはヘキサフルオロアンチモン酸イオンおよびヘキサフルオロリン酸イオンからなる群から選ばれたものである請求項1記載の赤外線反射フィルム。
【請求項3】
前記アミニウムラジカルカチオン化合物はテトラキス(フェニル)−1,4−ベンゼンジアミンラジカルカチオンの塩である請求項1記載の赤外線反射フィルム。
【請求項4】
前記アミニウムラジカルカチオン化合物はトリス(フェニル)−アミニウムラジカルカチオンの塩である請求項1記載の赤外線反射フィルム。
【請求項5】
前記少なくとも一つの赤外線反射層は800から900nmの範囲に吸収ピークを示す請求項1記載の赤外線反射フィルム。
【請求項6】
前記少なくとも一つの赤外線反射層の420から680nmの範囲の吸収率は、800から900nmの範囲の吸収ピークの吸収率の20%未満である請求項5記載の赤外線反射フィルム。
【請求項7】
前記少なくとも一つの赤外線反射層の420から680nmの範囲の吸収率は、830から860nmの範囲の吸収ピークの吸収率の10%未満である請求項1記載の赤外線反射フィルム。
【請求項8】
前記有機ポリマーは、脂肪族ウレタンポリマー、ジビニルエーテルポリマー、フルオロポリマー、およびシリコーンポリマーからなる群から選ばれる請求項1記載の赤外線反射フィルム。
【請求項9】
前記ジビニルエーテルポリマーは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、および1,4−シクロヘキサンジメタノールのジビニルエーテルのポリマーからなる群から選ばれる請求項8記載の赤外線反射フィルム。
【請求項10】
前記フルオロポリマーはポリビニリデンフルオライドである請求項8記載の赤外線反射フィルム。
【請求項11】
前記シリコーンポリマーはジメチルポリシロキサンである請求項8記載の赤外線反射フィルム。
【請求項12】
前記少なくとも一つの赤外線反射層は脂肪族ウレタンポリマーおよびジビニルエーテルポリマーを備える請求項1記載の赤外線反射フィルム。
【請求項13】
前記基材は透明な基材を備える請求項1記載の赤外線反射フィルム。
【請求項14】
前記基材は透明ポリエステルフィルムである請求項1記載の赤外線反射フィルム。
【請求項15】
請求項1に記載される赤外線反射フィルムを備える太陽光線制御用窓フィルム。
【請求項16】
a.透明ポリエステルフィルムを備える基材;
b.結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物および有機ポリマーを備える赤外線反射層
を備える赤外線反射フィルムを備える太陽光線制御用窓フィルムであって、
前記結晶状態は、前記アミニウムラジカルカチオン化合物の結晶が存在すること、および前記結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物の赤外スペクトルにおける低透過率ピークの一つまたは二つ以上が、2−ブタノンの10−5M溶液中で単独であって非結晶分子の状態にある前記アミニウムラジカルカチオン化合物の赤外スペクトルにおける最小透過率ピークから少なくとも100nm長波長側にシフトすることによって特徴づけられる、太陽光線制御用窓フィルム。
【請求項17】
前記結晶状態にある前記アミニウムラジカルカチオン化合物の赤外スペクトルにおける低透過率ピークの一つまたは二つ以上が、2−ブタノンの10−5M溶液中で単独であって非結晶状態にある前記アミニウムラジカルカチオン化合物の赤外スペクトルにおける最小透過率ピークから、少なくとも50nm短波長側にシフトすることによって、前記結晶状態はさらに特徴づけられる、請求項16記載の太陽光線制御用窓フィルム。
【請求項18】
前記赤外線反射フィルムは1250nmから1700nmの赤外線領域に反射ピークを示す請求項16記載の太陽光線制御用窓フィルム。
【請求項19】
前記赤外線反射層の厚さは0.01から0.1μmである請求項16記載の太陽光線制御用窓フィルム。
【請求項20】
前記アミニウムラジカルカチオン化合物の結晶の平均幅および奥行きは前記赤外線反射層の厚さよりも小さい請求項19記載の太陽光線制御用窓フィルム。
【請求項21】
前記アミニウムラジカルカチオン化合物の結晶の平均長さは前記赤外線反射層の厚さよりも大きい請求項19記載の太陽光線制御用窓フィルム。
【請求項22】
前記赤外線反射層の厚さは0.1から0.3μmである請求項16記載の太陽光線制御用窓フィルム。
【請求項23】
前記アミニウムラジカルカチオン化合物の結晶の平均幅および奥行きは前記赤外線反射層の厚さよりも小さい請求項22記載の太陽光線制御用窓フィルム。
【請求項24】
前記アミニウムラジカルカチオン化合物の結晶の平均長さは前記赤外線反射層の厚さよりも大きい請求項22記載の太陽光線制御用窓フィルム。
【請求項25】
前記窓フィルムのヘーズは3%未満である請求項16記載の太陽光線制御用窓フィルム。
【請求項26】
前記窓フィルムのヘーズは2%未満である請求項16記載の太陽光線制御用窓フィルム。
【請求項27】
前記赤外線反射層は前記アミニウムラジカルカチオン化合物を70質量%から99質量%備える請求項16記載の太陽光線制御用窓フィルム。
【請求項28】
前記赤外線反射層の最大赤外線反射ピークは反射率で20%超である請求項16記載の太陽光線制御用窓フィルム。
【請求項29】
前記赤外線反射層の最大赤外線反射ピークは反射率で30%超である請求項16記載の太陽光線制御用窓フィルム。
【請求項30】
前記赤外線反射層の最大赤外線反射ピークは1250nmから1400nmの赤外線領域内に位置する請求項16記載の太陽光線制御用窓フィルム。
【請求項31】
請求項1に記載される赤外線反射フィルムを備えるセキュリティーマーキング。
【請求項32】
請求項1に記載される赤外線反射フィルムを備える光学物品。
【請求項33】
前記赤外線反射フィルムは前記少なくとも一つの赤外線反射層のうちの少なくとも一つに、レーザにより形成された画像パターンを備え、前記アミニウムラジカルカチオン化合物の赤外線吸収はそのレーザに曝されることによって変化してしまっていて、前記レーザにより形成された画像パターンは赤外線領域において読み取り可能である請求項32記載の光学物品。
【請求項34】
前記レーザにより形成された画像パターンは、1400nmよりも上の、目に安全な波長領域において読み取り可能である請求項33記載の光学物品。
【請求項35】
a.基材、
b.基材を覆い、結晶状態にあるアミニウムラジカルカチオン化合物および有機ポリマーを備える赤外線反射層
を提供するステップを備える赤外線反射フィルムの製造方法であって、
前記結晶状態は、前記アミニウムラジカルカチオン化合物の結晶が存在すること、および前記結晶状態にある前記アミニウムラジカルカチオン化合物の赤外スペクトルにおける低透過率ピークの一つまたは二つ以上が、2−ブタノンの10−5M溶液中で単独であって非結晶分子の状態にある前記アミニウムラジカルカチオン化合物の赤外スペクトルにおける最小透過率ピークから、少なくとも100nm長波長側にシフトすることにより特徴づけられ、前記赤外線反射層は1250nmから1700nmまでの赤外線領域に反射ピークを有する赤外線反射フィルムの製造方法。

【公表番号】特表2012−507058(P2012−507058A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534505(P2011−534505)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/005847
【国際公開番号】WO2010/062337
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(511108208)オプトドット コーポレイション (5)
【出願人】(500570564)マディコ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】