説明

結晶/沈殿体/粒子を生成させる装置および方法

本発明は、沈殿または晶析などによる粒子の製造に使用する装置、および結晶/沈殿体または他の粒子を生成させる方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沈殿または晶析などによって粒子を製造する際に使用する装置、結晶/沈殿体または他の粒子を生成させる方法、および比パワー強度を実質的に一定に保ちながら装置規模を変更する方法に関する。本装置は、鉱物塩などの無機物質はもとより、蛋白質、酵素などの生物学的生成物や、医薬品、ファインケミカルなどの低分子有機物の晶析装置として構成することができる。
【背景技術】
【0002】
次のものに限定するものではないが、アジピン酸、ペンタエリトリトールなどの有機化合物や石膏、フッ化カルシウム、硫酸ナトリウムなどの無機化合物といった、多くの様々な種類の物質や粒子を製造するために、ドラフトチューブ晶析装置が一般に使用されている。例えば、特許文献1(バーク(Burke))には、蒸発冷却によって溶液から単一核結晶を生成させる装置が記載されている。
【0003】
粒子、特に、微粒子の製造は、経口、経皮、注射もしくは吸入用医薬品、生物薬剤、栄養補助食品、診断薬、農業用薬品、顔料、食品添加物、食品配合物、飲料、ファインケミカルズ、化粧品、電子材料、無機物および金属など、多くの用途に使用されている。現状の沈殿および晶析技術では、適切な粒度や粒度分布を有する結晶を高信頼度で製造できないことがある。ある場合には、固液分離を容易にし、生成物の粉体流動特性を向上させるために大きな結晶が望まれ、別の場合には、吸入用医薬品のように狭い粒子径範囲(例えば、1〜5ミクロン)の微粒子が望まれる。
【0004】
粒子径を増大させることは、晶析プロセス技術者にとって、困難であり、挑戦して失敗に終わることが少なくない。この技術における方法の多くは、(i)混合および攪拌システム、並びに、(ii)晶析装置内の種々の粒子径分画を再循環させたり、溶解させたり、濃縮させたりすることを可能にする分級法と関係している。微粒子の生成が望まれる場合には、晶析した粒子を所定の径と分布幅にまで小さくするために、後処理として粉砕、破砕または細砕工程がしばしば必要となる。製品サイズを、後処理の粉砕工程によらずに、晶析装置の操作によって直接適当な粒子径に制御できるならば、プロセスはより簡単でより強力なものになり、粒子表面は清浄になり、ダストが減り、粒子特性(例えば、流動性、錠剤への圧縮性など)が向上し、乾燥粉末吸入治療製品では分散性が改善されることになろう。
【0005】
また、晶析装置は、攪拌機ブレードの直径とピッチまたは厚さの関係と同様に、槽の直径と高さの関係も、一定の幾何学的比率で設計されるのが普通である。しかしながら、晶析の実施において、この固定した幾何学的比率が好ましくない場合がしばしばある。
【0006】
晶析装置の攪拌機システムが固定した幾何学的比率を有していることは、最適ではない。なぜなら、槽内のスラリーポンピングとスラリーへの攪拌機送出エネルギーである比パワー強度(SPI)とは互いに比例関係がなく、装置の比率(例えば、攪拌機の直径)を変更すると、ポンピング速度とSPI設計パラメータは変化する。かくして、どのパラメータを一定に保ち、どのパラメータを変更するか、あるいは、妥協して両パラメータを共に変更させるかを決定することは、設計者にとって難問となる。例えば、非特許文献1などのテキストでは、非特許文献2を引用して、研究室用、パイロットおよび実機晶析装置において先端速度を一定に保つことを推奨している。しかしながら、インペラの直径がより大きくなると、比パワー強度が変化し、先端速度よりも摩滅および二次核生成に密接に関連してくる。
【0007】
本発明は、結晶/沈殿体または他の粒子を製造する効率的で規模を変更可能な装置および方法を提供する。本発明により提供される利点の一つは、低い比パワー入力でありながら、高い内部ポンピング(または循環)速度が得られ、それにより、良好な物質移動、および、機械的に繊細な結晶/沈殿体または粒子に対する破壊/摩滅/損傷を最小にする環境を実現できることである。その結果、本装置の利益は、生物学的生成物(例えば、蛋白質)や医薬品などの低分子有機物などの、機械的に繊細な固体生成物において、特に顕著である。
【0008】
また、本発明の他の利点は、この装置が、晶析の用途のみならず、次のものに限定するものではないが、発酵装置、抽出装置および液/エマルジョン分離装置、不均一触媒反応器などの用途にも、一般的な処理槽として使用可能であるということである。これらの用途において、本装置は、代替の処理槽(ラッシュトン(Rushton)タービン、固定ピッチインペラ、ハイドロフォイル、海洋型インペラ、ローター−ステーターなどによって攪拌される槽など)よりも実質的に低いスラリーへのパワー入力で、非常に良好な混合と供給流れの急速な希釈を提供する。
【0009】
本発明のさらに他の利点は、共沈殿、さらなる成長またはコーティングのために、種結晶または他の粒子を含有する流体を供給するために、場合により利用できるということである。
【0010】
かくして、本発明は、処理槽である装置を提供するものであり、結晶/粒子の生成に対し優れた制御を可能にする、研究室規模、パイロット規模または工業規模の晶析または沈殿処理のための構成を提供するものである。本明細書で議論する特定のパラメータに基づけば、本発明の装置と方法は、また、現在行われている晶析技術、例えばドラフトチューブバッフル型晶析装置を使用する場合と較べて、晶析/沈殿工程で生成される結晶/粒子のサイズをより良く制御することができる。
【0011】
また、市販の晶析装置は、一般に、結晶核生成速度が所望する値より高いため、その性能が制限され妨害されている。所望する値より高い核生成速度を扱う技術は、長い間実際に使われてきており、殆どの晶析のテキストに記載されている。そのような技術には、例えばファインズ・デストラクション(fines destruction)や、クリア・リカー・アドバンス(clear liquor advance)や、ダブル・ドロー・オフ(double draw off)がある。これらの3つの技術ではそれぞれ、結晶のスラリーを分離する(例えば、清澄な液、微粒子および粗粒子の分画に)必要がある。この分離は、通常、エルトリエータやサイクロンなどの外部の分離装置により行われる。
【0012】
ファインズ・デストラクションでは、結晶の微粒子分画を、それらを溶解する系(例えば、熱交換器、希釈装置)に通し、清澄な液を晶析装置に戻す。これは、バッチ式晶析装置の操作において特に有用であるが、連続処理でも広く実施されている。クリア・リカー・アドバンスの場合には、分離は極端であって、多くの連続式鉱物晶析/沈殿プロセスで使用されているように、分離器で集められた分画は本質的に結晶を含んでいない。ダブル・ドロー・オフは、連続式晶析プロセスで使用されており、スラリーの代表的流れが取り出され、分離された微粒子分画の流れと同様に、下流の分離器へ送られる。
【0013】
これらの全ての場合において、装置からは比較的大きな径の結晶が生成されるが、このことは、それ自体好ましいことであり、また、晶析装置の下流側に必要となる分離器(例えば、遠心分離機、フィルタプレスなど)の費用を低減できるという点でも望ましいことである。本発明の他の利点は、この技術分野で見出される他の晶析装置を使用する場合よ
り、大きな結晶/沈殿体/粒子を製造できることであり、そして、このことによって、製造能力の限界で操業されているプロセスでは、下流の分離機器が同じであっても、平均粒子径のより大きな結晶を製造することで、より高い製造能力が与えられる。スラリーを清澄、微粒子および粗粒子の分画に分離することは、この利点を利用できるようにするための工程である。
【0014】
本発明の潜在的な適用範囲は多方面にわたり、例えば、本発明によって製造された粒子を使用できる産業としては、医薬品、栄養補助食品、診断薬、ポリマー中間体、農業用薬品、顔料、食品添加物、食品配合物、飲料、細胞培養およびその生成物、ファインケミカルズ、化粧品、電子材料、無機物、並びに、金属などが挙げられる。
【0015】
【特許文献1】米国特許第1,997,277号明細書
【非特許文献1】ジェイ・ダブリュー・ムーリン(J.W.Mullin)著,「Crystallization」、第3版、バターワース−ハイネマン(Butteworth−Heinemann)、1993年
【非特許文献2】エイ・ダブリュー・ニーナウ(A.W.Nienow),「The effect of Agitation on the Crystal Growth and Nucleation Rates and on Secondary Nucleation」、化学工学技術者協会会報(Transactions of the Institution of Chemical Engineers)、1976年、第54巻、p.205−207
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、
(a)槽、
(b)場合により設けられる上板と底板を有する半径流攪拌機
および
(c)ドラフトチューブ
を含んでなる晶析/沈殿装置であって、
ドラフトチューブは、それに強固に取り付けられた複数のバッフルを有し、槽内に配設されてドラフトチューブと槽の側壁との間に流路を形成し、かつ、ドラフトチューブの直径が槽の直径の約0.7倍である
装置に関する。
【0017】
本発明は、さらに、
少なくとも1つの流体を装置に供給する工程であって、その流体が晶析/沈殿させるべき少なくとも1つの溶解物質を含んでなる工程、
前記少なくとも1つの流体を攪拌する工程であって、前記少なくとも1つの流体から少なくとも1つの溶解物質を晶析/沈殿させて粒子を生成させる工程、および
少なくとも1つの流体および粒子を本発明の装置から排出させる工程
を含んでなる、粒子を晶析/沈殿させる方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は結晶/沈殿体または他の粒子を生成させる装置および前記装置を使用する方法に関する。一般に、本発明は、晶析される化合物に応じて、種々の大きさの結晶/沈殿体/粒子を生成させるために使用される。しかしながら、通常は、結晶/沈殿体または他の粒子は、約0.5〜約3000ミクロンの範囲であるが、本発明では、結晶/沈殿体/粒子の径を制御できることから、より小さいまたはより大きい粒子径もまた意図している。このように、本発明は、本技術分野の他の晶析装置によって通常供給されているものと比
べて、より狭い粒子径分布またはより狭い粒子径分布の微細結晶の製造を可能にするとともに、より大きな結晶の製造を可能にする。
【0019】
本発明では、実質的に一定の比パワー強度を保ちながら、本発明の規模を変化させる方法を開示しているので、本発明は、さらに、規模が異なる処理槽(例えば、研究室規模に対して製造規模)で、粒子径と粒子径分布が同じ結晶を製造する能力を提供する。
【0020】
本発明の装置は、バッチ式または連続式のいずれかの構成で使用できる。
【0021】
本発明の装置は、多くの種類の流体を供給物質/反応物質として使用することができ、そうしたものには、溶媒、液体、スラリー、懸濁液、液化ガス、超臨界流体、亜臨界流体などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0022】
本発明は、医薬品、生物薬剤、栄養補助食品、診断薬、農業用薬品、顔料、食品添加物、食品配合物、飲料、ファインケミカルズ、化粧品、電子材料、無機物および金属など、いかなる沈殿または晶析粒子の製造にも使用することができる。他の産業分野における晶析/沈殿粒子は、本明細書で記載した一般的技術を当業者が容易に修正した技術を使用して製造することができる。
【0023】
一般に、晶析装置の攪拌には、例えば、(1)良好な混合および一様な粒子の懸濁と、(2)粒子の損傷と二次結晶核形成の最小化といった、潜在的に相反する要求がある。供給流れの初期分散に対する良好な混合は、通常、攪拌機からの大きな体積流量および乱流域によって得られる。一様な粒子の懸濁は、通常、比較的高い流体速度、特に上昇流におけるそれによって得られる。しかしながら、このような条件を設定することは、普通、粒子を損傷し、二次核を形成する条件を作り出すことになるので、問題がある。本発明は、このような問題を技術的に緩和するための装置および方法を提供するものである。
【0024】
本明細書で使用されているように、「剪断領域」という用語は、本発明の剪断力を受ける全ての領域、例えばインペラブレードの先端とバッフルの間の領域、底板の開口部および攪拌機の掃き払い体積領域などを含む。
【0025】
本明細書で使用されているように、「剪断力」という用語は、本発明の装置内で発生する全ての混合/分散、機械的力を包含するものであり、攪拌機の掃き払い体積領域で発生するわずかな剪断速度、伸長力、乱流、キャビテーションおよび表面衝突などが含まれるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0026】
本明細書で使用されているように、「晶析」および/または「沈殿」という用語は、流体から粒子を生成させるいかなる方法も含むものであり、古典的なソルベント/アンチソルベント晶析/沈殿、温度依存晶析/沈殿、「塩析(salting out)」晶析/沈殿、pH依存反応、「冷却による(cooling・driven)」晶析/沈殿、化学および/または物理反応に基づく晶析/沈殿などが含まれるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0027】
本明細書で使用されているように、「生物薬剤」という用語は、生物学的資源から得られる、または、生物的資源から得られる生成物と等価の化学的に合成された、いかなる治療用化合物も含むものであり、例えば、蛋白質、ペプチド、ワクチン、核酸、免疫グロブリン、多糖類、細胞生成物、植物抽出物、動物抽出物、組み換え蛋白質、酵素またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0028】
本発明は、一般的には、
(a)槽、
(b)場合により上板と底板を有する攪拌機、および
(c)ドラフトチューブ
を含んでなり、
ドラフトチューブは、それに強固に固定された複数のバッフルを有し、槽内に配設されてドラフトチューブと槽の側壁との間にチャネルを形成し、かつ、ドラフトチューブの直径が槽の直径の約0.7倍である
装置を提供する。
【0029】
本発明は様々な規模に拡大縮小できるので、本発明の装置(30)の寸法は、一般に、変化(例えば、約1cmから約15メートル超までの直径)する。このように、寸法は、本発明の拡大縮小版に対応するよう変化させられる。この型式の装置は、少量生産(例えば0.0005kg/h)に対するものから、種々の規模の槽を経て、乾燥重量基準で毎時約300,000キログラムの結晶生成物の生産に対するものまで設計できるというように、本発明の規模は大きく変化させることができる。
【0030】
本発明の槽(1)は、晶析/沈殿または粒子生成技術分野で従来から使用されているいかなる形状のものであってもよい。しかしながら、槽は、側壁(2)および、ノズル、供給パイプなどが挿入可能な少なくとも1つのポート(11)を有する密閉円筒シェルであることが好ましい。
【0031】
槽は、例えば、ガラス繊維、鋼、好ましくはステンレス鋼、より好ましくは炭素鋼、PVC、ガラスなど、本発明により発生する各種の力に耐えることができる材料であればいかなる材料で形成されていてもよい。本発明の槽はステンレス鋼であることが好ましい。
【0032】
槽は、蒸気および/または液体の導入および/または排出のために、並びに/あるいは、槽から生成物を抜き取るために、少なくとも1つのパイプおよび/またはノズルを挿入または装着できるよう、並びに/あるいは、処理工程の衛生に対する要求の一部として清掃および/または殺菌(現場での)ができるよう、少なくとも1つのポート(11)、好ましくは複数のポートを有する。少なくとも1つのポート、および、したがって少なくとも1つの入口パイプ、ラインノズルなどは、槽のいかなる位置に配置してもよい。
【0033】
槽は、また、場合により、槽の側壁とドラフトチューブに固定され、ドラフトチューブの安定と支持に資するセンタリング支持体(8)を備えていてもよい。
【0034】
第2のバッフル(9)は、場合により、含有する供給物質/反応物質の流れの方向を変え、実質的にドラフトチューブの内部へ向かう下降流を発生させるために、槽の側壁に取り付けてもよい。
【0035】
槽の寸法は、使用規模に応じて変わる。当業者であれば、本明細書で開示することに照らして、装置を拡大縮小するときに、槽に対してなされなければならない必要な調整を認識し理解するであろう。
【0036】
図7に示すように、本発明の他の実施形態では、周辺沈殿領域(10)を有する槽を提示するが、これは、外部の分離機器なしで、清澄な溶液および/または微細な結晶/沈殿体/粒子分画の分離が可能である。周辺沈殿領域(10)は、槽の周りを包囲して連続的な周辺領域を形成してもよいし、あるいは、槽の一部のみを包囲してもよく、そして、槽の高さ方向の液面より低い任意の位置に設置してもよい。周辺沈殿領域(10)は、通常は、スラリーで満たされているが、槽の残りの部分で見られる攪拌の範囲に曝されず、したがって、槽内のスラリーの循環からは遮蔽されている。その結果、周辺沈殿領域(10
)は、スラリーから結晶が沈殿する領域を提供する。一般に、大きな結晶は小さい結晶より速く沈殿する。その結果、スラリーの一部を周辺沈殿領域の上部から抜き取り(すなわち、図7に示されている抜き出しポートを通して)、それによって、清澄な液体または微粒子分画を分離してもよい。したがって、結晶の大きさは内部的に決定され、例えば、エルトリエータやサイクロンなどの外部分離機器の高コスト、運転およびスペース要求を避けることができる。
【0037】
当業者であれば、本明細書で開示することに照らして、周辺沈殿領域の寸法、例えば幅や深さを変更しなければならないことを認識し理解するであろうし、また、製造しようとする結晶/沈殿体または他の粒子の特定のパラメータ、粒子径および粒子径分布、結晶/沈殿体または他の粒子を生成させるために使用する流体の種類、並びに、槽の操作条件に応じて、そのような調整を行うことができる。
【0038】
本発明の攪拌機(13)は、供給流れの混合、濃縮供給物の槽の内容物本体への迅速な希釈、結晶/沈殿体/粒子のスラリー中の懸濁、および装置全体にわたる流体の循環を提供する。こうした性質は、安定した運転およびばらつきのない結晶/沈殿体/粒子の生成にとって重要である。一般に、本発明の攪拌機(13)は、必要な液体循環を提供することができればいかなる構成であってもよく、ドラフトチューブの頂部もしくは底部(または両方)に設けられた半径流インペラ、ドラフトチューブの中間部分に設けられた軸流プロペラまたは海洋型プロペラ、ダブルプロペラおよびマルチプロペラなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。本発明の攪拌機は、好ましくは半径流攪拌機であり、より好ましくは、少なくとも1つのブレード、底板、および場合により上板を有する半径流インペラである。典型的な市販の晶析装置は、軸流インペラを使用しており、一般に、本発明のものより、毎分の回転数が高く、小さな攪拌機寸法で使用されているために、非常に大きな比パワー強度で使用される。
【0039】
攪拌機は、例えば、ガラス繊維、鋼、好ましくはステンレス鋼、PVC、チタン、ガラスなど、本発明で発生する各種の力に耐えることができる材料であればいかなる材料で形成されていてもよい。本発明の攪拌機はステンレス鋼またはチタンであることが好ましい。
【0040】
半径流インペラは、例えば、ブレードの数、ブレードの寸法、ブレードのアタック角、および、結晶が曝される乱流混合と剪断の性質をオペレータが制御するために操作し得る毎分の回転数などのいくつかの観点を有している。乱流の減衰の程度を、このように間接的に制御することによって、高濃度供給流れの混合や希釈、結晶の懸濁、気泡の巻き込み、および周辺沈殿領域などの結晶沈殿域の形成が可能になる。
【0041】
さらに、ブレードの寸法、毎分回転数および分離の程度は、インペラによって形成される乱流のみならず、乱流の大きさ(乱流エネルギーの消滅から、通常、イプシロンで示される)にも影響を与える。小型で高速のインペラは、同じパワーレベルの大型のインペラと比べて、高周波領域(および小スケール)で、より高いエネルギーの乱流を形成するが、その乱流はより急速に消滅する。固形分が多いと、乱流の速度スペクトルの高周波領域での消滅が多くなるので、晶析装置においては、特にそうしたことが起こる。
【0042】
本発明の半径流インペラは、少なくとも1つのブレード、場合により設けられる上板および底板を含んでなるように、いくつかの構成を含むことができる。しかしながら、インペラは、図2、3、4および5に示した構成を含んでなることが好ましい。
【0043】
インペラの少なくとも1つのブレードは、適切な直径のインペラを提供し、装置全体に流体を循環させるために必要なポンピング速度を提供する限り、いかなる形状を有してい
てもよい。しかしながら、通常、ブレード高さは、攪拌機直径の約6分の1(1/6)である。少なくとも1つのブレードの幅はブレードの角度に応じて変化するが、しかしながら、通常、攪拌機直径を(8×ブレード角のcos)の量で割った値に等しくなるように定められる。例えば、直径10フィート(120インチ)の攪拌機を使用した場合、少なくとも1つのブレードのブレード角が55度であると、ブレード高さは約120インチ×1/6、すなわち20インチとなり、幅は120/(8×cos55)、すなわち(8×0.574)、つまり約26インチとなる。
【0044】
一般的に、ブレードは、装置全体にわたる流体の必要な循環を可能とするならば、いかなる角度を有していてもよい。しかしながら、本発明のブレード角は、通常、約45度〜約65度の範囲である。好ましくは、ブレード角は約55度である。
【0045】
インペラブレードが、分離流れ(アタック角が6〜10度と低いときに起こる)の中にある限り、ブレードリフト(例えば、インペラから流体をポンピングで送り出すとき、半径方向にブレードに加わる力)はブレード角に実質的に依存しないが、ブレードドラッグ(ブレードの運動の方向にブレードに加わる力)はアタック角に依存する。分離流れは、ブレードリフトが一定であり、そしてドラッグ力がブレードの有効面積と関連しているこのケースのように、互いに独立しているブレードリフトとブレードドラッグの力に関係する。ブレードドラッグからのエネルギーはほぼ完全に乱流に変換される。このように、ブレード角を制御することにより、乱流と混合に向かうエネルギー量を制御することができる。流量は、インペラの回転数、ブレード角と回転数による乱流のエネルギーによって制御される。
【0046】
攪拌機の毎分回転数(RPM)は、本発明の装置の規模により変わる。しかしながら、一般に、最大許容RPMは装置の大きさが増大するにしたがって低下する。
【0047】
場合により設けられるインペラの上板(14)は、幅が実質的にブレードの長さと同じであって、一般に環形状であるというように、個々のブレードの距離にわたって一般に設けられている。流れは、負圧とともに板直下の強い分離流れを有する強い乱流域へと導く上板(14)に沿って移動しなければならないので、上板(14)の存在は流れに強く影響する。この乱流域では極めて激しく乱流の消滅が起きており、全断面に対して僅かな部分で起きているに過ぎないが、エネルギー的には効率はよくない。板を取り除くか、実質的に(環状というより)円盤である内径を拡大すれば、インペラの効率を高めることができるであろう。
【0048】
攪拌機の底板(15)は、図3に示すように、攪拌機の少なくとも1つのブレードの下部に位置し、ドライブシャフトを受容可能な孔を有する、実質的には一体構造物である。
【0049】
あるいは、底板(15)は、これを槽内に導入され分配されるべき供給物質および/または反応物質の点源としてでなく機能させるために、さらに、少なくとも1つの開口(16)、好ましくは複数の開口を含んでいてもよい。図3に示す半径流攪拌機においては、非点源からの供給物質/反応物質の添加は、供給物質/反応物質を攪拌機の底板(15)の下から供給することによってなされることが好ましい。供給物質/反応物質の良好な希釈/分散は、攪拌機の下からの添加によってなされるが、その攪拌機の底板は、ドラフトチューブの半径より大きく、槽の内部半径以下の半径を有する。その結果、供給物質および/または反応物質はこれらの開口(16)を通って流れることができ、それが攪拌機のブレードを通過するとき、急速混合領域を通り放射状に広がることができる。その場合、供給物質および/または反応物質の分配を助けるために、少なくとも1つのスイーパブレード(17)、好ましくは複数のスイーパブレードが使用されることが好ましい。図4および5に示すように、複数のスイーパブレード(17)は、通常、底板(15)の下側に
取り付けられ、底板(15)の縦軸および/または横軸に沿って伸び、互いに垂直をなし、いかなる長さであってもよいが、通常、底板の直径と同じかそれより短い長さである。スイーパブレードの高さは、ドライブシャフトから離れる方向に伸びるにしたがって、テーパーがつけられていることが好ましい(例えば、スイーパブレードの高さを、ドライブシャフトに近接する側の端で1.75、反対側の端で約1.25とすることができる)。
【0050】
供給物質/反応物質の非点源添加は、攪拌機底板の半径がドラフトチューブの半径に等しい装置で、従来から商業的に用いられてきたが、本発明では攪拌機底板(15)の半径を大きくしている。この拡大は、攪拌機(13)によってなされる内部循環に影響を与えることはない。この拡大は、攪拌機底板(15)の開口を通る供給流れをバイパスする高濃度供給物質/反応物質の割合を減少させる。攪拌機底板(15)の半径が大きくなるほど、攪拌機(13)と装置の槽の内壁との間の隙間を通る供給物質/反応物質は減少する。
【0051】
通常、スパージャパイプなどの点源は市販の晶析装置でよく使われているが、このタイプの供給機器は、供給された液体が晶析装置の槽全体に希釈され分散するときに、出口周りに強い過飽和領域を形成し、その結果強い過飽和の水柱を形成するという重大な欠点を有している。
【0052】
底板(15)の開口(16)は、いかなる形状および/または寸法であってもよく、溝、円形、三角形もしくは四角形またはこれらの混合形が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。このことは、流体が剪断領域を通過し、その結果、均質な混合が行われることを保証するものである。開口(16)の寸法と形状は、本発明により生成される結晶のサイズや形状に影響を与えないが、装置内の流体の流れのパターンに影響するため、剪断力の生成には影響を与える。結晶のサイズは、流体流れの化学、インペラ回転数、各種供給流れの流量およびそれらの相対的な流量を変えることによって操作することができる。
【0053】
一般に、本発明の攪拌機(13)は、例えば、約10cmから約550cmのような、広範囲の直径を有し、そして、使用する装置規模に依存する。好ましい攪拌機、インペラは、使用する槽の直径の約0.4〜約0.75倍の範囲の直径(1つのブレードの先端から別の反対側のブレードの先端まで測定)を有する。当業者であれば、本明細書での開示に照らして、攪拌機(13)の寸法は装置規模が変化に応じて変えることができること、および、そのような寸法の変更、それは下記に示す規模変更法で定義されるが、そのような寸法の変更の方法を認識し理解するであろう。
【0054】
一般に、本発明の攪拌機で発生した体積流量(すなわち、ポンピング速度であり、これは単位時間に送り出されたスラリーの体積である)、したがって線速度(例えば、平均線速度は、攪拌機ポンピング速度を対象とする断面積で除したもの)は、攪拌機(13)の直径に比例する。例えば、約10フィートの直径を有する攪拌機は、一般に、約30rpmで、約112,800gpmの体積流量および約3.2ft/秒の線速度を発生する。同様に、比パワー入力も、攪拌機角速度の3乗に比例する。したがって、比較的大きな直径を有する攪拌機(13)は、同じ体積流量では、比較的遅く回転する。したがって、攪拌機(13)の直径を大きくすると、与えられた体積流量および平均線速度に対する比パワー強度を最小化することができる。このことは、2001年12月、バターワース−ハイネマン(Butterworth−Heinemann)発行、エイ・エス・マイアソン(A.S.Myerson)編、Handbook of Industrial Crystallizationの中の「Crystallizer Mixing;Understanding and Modeling Crystallizer Mixing and Suspension Flow」で、ディー・エー・グリーン(D
.A.Green)により記載されている。しかしながら、一般に望ましくない二次核生成(結晶の摩滅により)を増大させるおそれがあって、攪拌機のブレードの先端を槽壁の極く近傍にまで近付けることできないことから、これにも限度がある。
【0055】
攪拌機(13)は回転可能に取り付けられたドライブシャフト(18)に結合されている。そして、ドライブシャフト(18)は、晶析させる溶液またはスラリーを十分に混合し懸濁させることができる速度で攪拌機(13)を回転し得るモーターまたは駆動力に一般に結合されている。回転可能に取り付けられたドライブシャフト(18)は、中実軸であっても、あるいは逆に、単一またはマルチの入口パイプとして機能させ、攪拌機の掃き払い体積(19)内部に流体を送り込ませるために、中空であってもよい。同様に、攪拌機自体も中空であってよく、その場合、少なくとも1つの流体流れが攪拌機を通して供給され、攪拌機に沿った、例えば、少なくとも1つのブレードおよび/またはブレードの先端に沿った1箇所または数箇所で分散させられる。
【0056】
本発明のドラフトチューブ(23)は、一般に、これを取り囲む流体を循環させるために使用され、これによって、供給物質/反応物質の均質な混合が行われ、結晶/沈殿体/粒子の生成と一様な分布をもたらす。さらに詳しくは、ドラフトチューブ(23)は、ドラフトチューブの壁(25)の外側部分と槽の円筒シェル(26)の内側部分との間に、流路(24)を形成する。半径流攪拌機の掃き払い容積(19)に流入した後、流体は、バッフルにより、実質的にドラフトチューブの上端に向かって上昇する。その後、流体は流路(24)に流入し、ドラフトチューブ(23)の長さ方向に移動し、チューブの上端から流出するまでは、最終的にインペラに向かって引き戻される。場合により、槽容積が完全には使用されないような、あるいは、スラリーが満たしているレベルがバッチ運転中を通して増減するような、バッチの特別な使用では、本発明のドラフトチューブ(23)は、さらに、ドラフトチューブの高さ方向に沿って設けられる、少なくとも1つの窓(27)、好ましくは複数の窓を含む。これによって、ドラフトチューブの外側で上向きで、ドラフトチューブの内側で下向きのスラリーの強制循環が可能になる。
【0057】
さらに、一般に、ドラフトチューブ(23)の上端で、装置の中心へ向かう流れは分離されるので、ドラフトチューブの上部の内側に沿う流れは上昇流であり、そうしたことから、上端で僅かに約70%のドラフトチューブが実際に使用されているに過ぎず、このことによって、ドラフトチューブ(23)の有効面積を減少させている。しかしながら、本発明の窓(27)により、より大きな割合でドラフトチューブを使用することを可能になる。
【0058】
ドラフトチューブ(23)は、槽内で同心的に配置されている円筒体であって、槽の直径の約0.7倍の直径を有する。このドラフトチューブの使用は、幾何学的に、ドラフトチューブの直径がドラフトチューブの内側と外側の体積を等しくするものであるから、従来の晶析装置のドラフトチューブに比べて優れている。ドラフトチューブはテーパーを有する円筒体であって、そのテーパー付ドラフトチューブは上端の直径(28)と下端の直径(29)を有し、上端の直径が下端の直径よりも大きいものであることが好ましい。ドラフトチューブは、線形状または非線形状にテーパーが付けられていてもよく、あるいは、さらにコーン台と直円筒体の組み合わせであってもよい。あるいは、ドラフトチューブは、上端がフレア状に広がって、ホルンもしくはトランペットの端のような形状を有し、したがって下端より大きな直径を有する、実質的な直円筒体であってもよい。この形状は、スラリー中における結晶/沈殿体/粒子の沈降速度により定められ、そうした決定は当業者であればなし得るであろう。スラリー流れがドラフトチューブの外側を上昇するとき、テーパーを有する形状であると、スラリー流れは加速される。一般に、ドラフトチューブ外側のスラリー上昇速度とドラフトチューブ内側のスラリー下降速度は等しいことが望ましい。これにより、ドラフトチューブの両側で上向きと下向きの等しいスラリー流速が
得られる。ドラフトチューブの内側と外側で供給物質/反応物質が同じ速度であれば、加速および減速の際のさらなる剪断力の発生が避けられる。大きいまたは流体の比重に比べて高密度の結晶の場合、ドラフトチューブの外側で、結晶はそれを含有する流体より遅い速度で上昇する(重力のため)。これは、ドラフトチューブの外側で、結晶の蓄積または破滅的な閉塞につながる。いくつかの晶析材料では、テーパー付きドラフトチューブは、ドラフトチューブの外側で、重力に逆らってスラリーを加速し、それにより沈降と蓄積現象に打ち勝つため、円筒直径型ドラフトチューブより、さらに優れている。テーパー付きドラフトチューブの寸法決定のガイドラインは、槽のドラフトチューブ両側の外部および内部領域の容積を本質的に等しく保つことである。
【0059】
ドラフトチューブ(23)は、さらに、液体の流れがドラフトチューブの上端に向かう垂直の流れとなるように作用し、そして、攪拌機による円運動の中で液体の渦が生成されるのを防止する、バッフル(12)を含むことがより好ましい。バッフル(12)は、槽内で維持されている渦の程度、環状部における乱流の消滅速度に強い影響を及ぼし、バッフル内部の物質分布に影響する。
【0060】
ドラフトチューブ(23)は、例えば、ガラス繊維、鋼、好ましくはステンレス鋼、PVC、ガラスなど、本発明で発生する各種の力に耐えることができる材料であればいかなる材料で形成されていてもよい。本発明のドラフトチューブはステンレス鋼であることが好ましい。
【0061】
別の実施態様では、ドラフトチューブの壁の間に穴が存在する中空のドラフトチューブを含む。穴は、いくつかの目的のために使用することができ、例えば、供給物質/反応物質の装置への導入目的、並びに/または、装置および内容物の加熱または冷却のための熱移動の手段としての目的が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。このように、ドラフトチューブは熱交換器として使用することができる。
【0062】
さらに別の実施態様では、周辺沈殿領域を有し、その領域が槽に見出される周辺沈殿領域と実質的に同じ形状であるドラフトチューブを含む。周辺沈殿領域は、ドラフトチューブの外側にあってもよく、あるいは、中空ドラフトチューブの穴にあってもよい。しかしながら、槽と比べるとドラフトチューブのサイズが小さいため、サイズ、直径、高さなどの差については酌量されなければならない。
【0063】
槽(1)およびドラフトチューブ(23)内において、真に均一な粒子分布を達成するには、上昇流では粒子は平均の流体方向の反対方向に沈降し、他方、下降流では沈降速度と平均の流体速度は同一方向であるので、下降流領域に対して上昇流領域ではより高速とする必要がある。これによって、粒子の損傷および二次核生成が抑制され、ドラフトチューブの外側における破滅的な粒子の蓄積が避けられる。しかしながら、上昇流と下降流の平均速度の比は、結晶/沈殿体/粒子を生成させるために使用する、懸濁液の特性、流れ条件および供給物質/反応物質のタイプにより変化する。したがって、一般的な比は提示できず、それぞれのプロセス条件に応じて最適化されるものである。しかしながら、一般に、スラリーの線速度は毎秒約0.1〜約1.8メートルの範囲であり、好ましくは、毎秒約0.9メートルである。上昇速度が速いと、また、再循環領域におけるスラリー/液体の混合が促進される。この領域は、特に、懸濁液のレベルがドラフトチューブの上端を越えて極めて高くなるとき、分離しやすい。極端な場合には、粒子がほとんど存在しない液体層が、循環懸濁液の上部に形成される。この問題は、懸濁液の上昇速度をより大きくすることで減ずることができる。ドラフトチューブの外側の流路から出る、速い流体の運動量は、ドラフトチューブより上部の領域の中へ、流体をより高く運び込み、この領域における混合を促進する。
【0064】
二次核生成を最小化し、また、迅速な脱エンクラステーションを容易にするために、場合により、特に限定されるものではないが、攪拌機(13)、ドラフトチューブ(23)などの槽内の部品と同様、槽の内部の一部に、永久的なまたは熱により除去可能なコーティングを施してもよい。
【0065】
適切なソフトコーティングとしては、ポリエチレン、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリプロピレン、ネオプレン、ラテックス、ゴムなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0066】
攪拌機のブレードなどの槽内のあらゆる部品と同様に、槽の鋼製の壁などの硬い表面との結晶の衝突も、二次核生成速度を促進することになるので、本発明ではソフトコーティングについて十分に検討している。内部および可動部品にソフトコーティングを施すと、衝突時の結晶の破砕が抑制され、生物学的生成物で特に有利である。こうして、二次核生成速度が抑制され、比較的大きな結晶サイズが達成される。本発明の装置の内部および可動部品にソフトコーティングを施すことは、生物学的生成物が関係するとき、特に有用である。
【0067】
本発明のさらに他の実施形態では、場合により槽の側壁に取り付けられ、ドラフトチューブ(23)内上端の大きな再循環領域(前述)を減ずる第2のバッフル(9)の使用についてさらに検討している。液体がドラフトチューブの上端で上昇流から下降流へとターンするとき、穏やかな方向転換が行われるよう、ドラフトチューブを修正して、第2のバッフル(9)を使用することができる。再循環は、ドラフトチューブの上端で、上昇流から下降流へと180度の方向転換を行う液体の運動量により生じる。液体の流れは、瞬時に180度の急激な方向転換をすることはできず、特に、ドラフトチューブに近接している位置において最も変化が厳しくなる上昇流部分でそうである。したがって、流れは、方向転換するとき、上端でドラフトチューブから離れ、ドラフトチューブの内側を辿らず、代わりに、ドラフトチューブの内側に近接して存在する弱い再循環領域の内側に、下降流の核を形成する。これにより下降流は圧縮され高流速の核となる。ドラフトチューブの上部にテーパーをつけると、この領域の大きさと速度をともに減少させる。これは、また、ドラフトチューブより上の領域に向かう上昇流の局部的な速度を増大させる手段にもなり、上記したように、この領域の混合を促進する利点が得られる。
【0068】
一般に、この装置(30)は、流体(供給物質/反応物質)を、少なくとも1つのポート(11)および/または少なくとも1つの供給物質/反応物質パイプから、導入して運転される。流体は、槽(1)内、好ましくは攪拌機(13)の極く近くに導入され、攪拌機に供給される。流体は、攪拌機の回転により、掃き払い体積(19)内で、急速に回転する。回転する攪拌機により発生する遠心力によって、流体が、半径方向に槽(1)の側壁(2)に向かって、そしてさらにバッフル(12)の向こう側に、押し出される。流体が槽の側壁および/またはバッフルに近づくと、それらの流れは、バッフルおよびドラフトチューブの存在によって、軸方向、上向きに方向を変える。少なくとも1つのポートから掃き払い容積を通り、バッフルを越えてドラフトチューブの外側に上向きに流れる流路は、供給流れの良好な混合をもたらす。さらに、大きな循環流量は、供給流れの槽内容物本体による希釈速度を高める。供給物質/反応物質の流れは、単一混合物が、ドラフトチューブの上端で、上向きから下向きに、その後ドラフトチューブの内部を下向きに、流れの方向を変えるとき、さらに混合される。その結果、新しく生成された結晶/沈殿体または他の粒子は、槽から排出され、分離またはその後の処理のために回収される前に、所望のサイズにまで成長する。
【0069】
供給物質/反応物質およびその過飽和液の化学により、種々のメカニズムが、結晶/沈殿/粒子生成技術において知られる従来のメカニズムを含むように、結晶の生成と成長が
進行する。そのような技術としては、下に示す方法が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。当業者には、本発明の方法により得られる結晶のサイズが、プロセスのパラメータを調整することによって制御できるということは、明白であろう。例えば、晶析装置のrpmを上げると、多くの場合、より細かい粒子が得られ、また、添加および/または攪拌の速度を調整すれば、過飽和および混合の程度が変化することによって、粒子のサイズを変えることができよう。当業者であれば、日常の実験を行うことによって、個々の状況に最適なパラメータを決めることができるであろう。
【0070】
本発明において、溶媒は、晶析/沈殿させる物質の溶解度により選択される。実質的に飽和または過飽和である溶液が生成するのは、それぞれのパイプを通して供給された供給物質/反応物質の流体流れが混合されたときであることが好ましい。当業者には知られたアンチソルベント晶析/沈殿技術と同様に、少なくとも1つの流体は、通常、沈殿させる物質を含有する溶媒である。2つ以上の供給流れが含まれる場合、少なくとも1つの同伴する第2の流体は、アンチソルベント、反応物質、沈殿剤、pH調節剤、中和剤、溶解した塩または緩衝液、冷却または加熱流体、加圧ガスである。
【0071】
晶析を誘発するために第2の供給物質を添加する場合、特定の供給物質流れと第2の供給物質流れ(例えば、アンチソルベント)の選択は、沈殿させる化合物の溶解特性を考慮することによって、当業者には容易に行うことができる。例えば、アンチソルベントは、例えば水に溶解し、適当な水と相溶するアンチソルベント(例えば、アセトン、イソプロパノール、ジメチルスルホキシドなど、またはそれらの混合物)、例えば20重量%メタノールと80重量%エタノールを使用することによって沈殿する、水溶性物質とすることができる。アンチソルベントの例としては、さらに、例えば石油軽質溜分またはエチルアセテートなどの有機溶媒に溶け、例えばジメチルエーテルまたはシクロヘキサンにより沈殿する、低水溶性の物質が挙げられる。
【0072】
反応性の沈殿/晶析の例としては、高いpHで水に溶解し、より低いpHの酸性水で沈殿する物質が挙げられる。他の反応の例としては、最初、別々の水溶液に溶解させた2つの無機イオンの急激な反応が挙げられる。そのような反応性沈殿または晶析の例は、鉱物塩(例えば、Al(OH)またはCa(POOH、またはCaFなどの蛍光物質)の生成、あるいは、pHの変化により固相を形成する化合物の晶析/沈殿(例えば、蛋白質溶液のpHを、酸または塩基で蛋白質の等電位点に調節すると晶析が起こり、さらに例をあげれば、低いpHでは水に対する溶解度は低いが、高いpHでは水に対する溶解度がかなり高い、イブプロフェンなどのカルボン酸含有化合物がある)などの様々な形態をとる。
【0073】
塩析沈殿/晶析の例には、緩衝水溶液に溶解し、例えば水に溶解した塩の溶液(塩化ナトリウムまたは硫酸アンモニウムなど)とともに均質に混合することによって沈殿または晶析する、蛋白質またはペプチドなどの物質が挙げられる。
【0074】
冷却による晶析/沈殿の例には、溶媒に溶解し、急激な冷却により晶析/沈殿する物質が挙げられ、この場合、第2の液体の流れは、例えば水、エチレングリコールまたはアンモニアなどの冷媒である。
【0075】
運転温度は、物質の溶解度に影響し、したがって、プロセスの収率に影響するパラメータの1つである。多くの物質では、低温で運転することによって、収率を最大にすることができる。しかしながら、アンチソルベントを注意深く選択すれば、プロセスを室温で運転しても高い収率を得ることができる。しかしながら、このプロセスの収率を最大にすることは、本発明のプロセスの重要な観点ではない。本発明では、単に、晶析が起こる温度を必要としているだけである。晶析が起こる温度は、溶解度データから決定され、ある場
合には、溶解度データは、例えば、Handbook of Chemistry and Physics、第73版、CRCプレス(CRC Press)発行、または科学雑誌の表から入手できる。
【0076】
本発明が連続プロセスの一部として利用されるとき、パイプからの溶媒およびアンチソルベントの供給速度は、知られているいかなる方法で制御してもよく、そのような方法としては、例えばポンプが挙げられるが、これに限定されるものではない。一般に、当業者であれば、典型的な晶析装置への流量を制限する方法を認識し理解しているであろう。そのような方法としては、流量調整バルブの使用が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。したがって、これらの同じ方法が、本発明にも適用可能である。溶媒およびアンチソルベントの供給速度は、これを制御する機器によってのみ制限される。流体は、出口流量に等しい流量で供給される。すなわち、溶媒とアンチソルベントの入口流量の合計は、プロセスを出るスラリーの流量に等しい。2つもしくはそれ以上の供給物質/反応物質流れを使用するときは、2つもしくはそれ以上の入口流れの比は、当業者にはよく知られていることではあるが、物質の状態図によって決定される値であればよい。もし、1つもしくはそれ以上の流体が、スラリー/懸濁液ならば、結晶/沈殿体のシーディングが起こり得るが、この場合、このプロセスにより精製される結晶/沈殿体は、晶析/沈殿するものと同じ物質の上に、または、例えば、槽に供給された少なくとも1つの流体流れ中に懸濁している異なった物質の上に、晶析/沈殿が起きる。
【0077】
本発明の装置の出口では、沈殿/晶析した粒子が、流体混合体から除去される(例えば、濾過、遠心分離など)。沈殿化合物は、場合により、当業者に一般に知られる従来からの方法で乾燥させてもよい。そのような方法の例としては、トレー乾燥、オーブン乾燥、フラッシュ乾燥および空気乾燥などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。場合により、乾燥工程の前に、当業者に一般に知られる固液分離技術、例えば、濾過、沈降、遠心分離などを用いて、晶析または沈殿した粒子を流体混合体から分離してもよい。
【0078】
さらに、本発明は、液体のキャリア粒子または晶析もしくは沈殿の種として使用できる、各種の小さく表面積の大きい粒子の製造に用いることができる。本発明の方法で生成された結晶/沈殿体は、また、多くの場合、同時にもしくは後工程で、結晶医薬品の特質を向上させる防湿剤、味のマスキング剤、または他の添加剤でコーティングすることができる。同様に、他の薬剤(付形剤、界面活性剤、高分子など)を配合して、活性物質の結晶/粒子を、適当な投与形態(例えば、錠剤、カプセルなど)の物質として提供することができる。このように、本発明の方法では、物質に加えて、界面活性剤、乳化剤、安定剤を別の流体流れとして剪断領域に導入して、沈殿分散体を安定化させることができる。
【0079】
本発明の装置は、また、結晶/沈殿体または粒子の生成以外のプロセスに使用することができ、そのようなプロセスとしては、(i)槽の醗酵槽としての使用、(ii)醗酵中の液/液抽出用としての環状沈降領域の使用、(iii)槽の不均一触媒反応用としての使用が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0080】
槽(1)は、また、細胞培養のための醗酵槽としても使用することができる。
【0081】
この設計の醗酵槽からのin situでの生成物の除去は、最小限に攪拌された状態の前記周辺沈殿領域(10)を使用することにより行うことができる。これは液/液抽出モードでの使用で可能である。より低い密度の液体が、周辺沈殿領域の上端に向かって徐々に濃縮される。
【0082】
この槽(1)を醗酵槽として使用する場合、攪拌機(13)の最小のパワー入力特性に
よって、機械的に繊細な微生物を高剪断力に曝すことなく、懸濁させることができる。例えば、線状酵母が細胞培養に使用されるが、それは細胞培養法で通常使用されている攪拌機では破壊されてしまう。
【0083】
細胞生成物がある閾値濃度を超えたとき実際に細胞にとって有毒となるような、あるいは、生成を阻害するような醗酵生成物の場合、この状態を回避するために、混じりあわない抽出溶媒をこの槽内でエマルジョン状に使用して、生成物のini situでの除去が行われる。エマルジョンは、多くの可能な箇所から醗酵槽に導入することができるので、槽(1)の内部を細胞、生成物および媒体とともに循環する。しかしながら、供給物質/反応物質の流れは、攪拌機の底板の下に、および/または、ドラフトチューブ内の攪拌機に近接して設置されている上昇流スパージャから導入することが好ましい。有毒の(または、他の)生成物は、抽出溶媒の中に分配される。醗酵を止めずに醗酵生成物を取り出すために、抽出溶媒を、周辺沈殿領域(10)を使用して、連続的に濃縮し抜き出すことができる。この領域では、有機液体などの抽出溶媒(この比重は細胞培養媒体の比重より小さい)は環状部を上昇し、上部に向かうにしたがい濃度が高くなる。濃縮または結合した分散体は、周辺沈殿領域(10)の上端で、抜き出しノズルを通して、醗酵槽から連続的に抜き出される。この物質はストリップ工程に送られ、抽出溶媒から生成物が分離される。再生された抽出溶媒は、乳化工程に戻され、その後、醗酵槽に戻される。
【0084】
本発明は、また、高速の内部循環により良好な物質移動が可能であるため、不均一触媒反応にも使用することができる。さらに、低い比パワー入力により、従来の攪拌槽型反応器よりも、触媒粒子の摩滅を抑制することができる。この利点は不均一触媒に一般的な効用を有するが、固定化酵素および架橋酵素結晶(CLEC(登録商標))、(アルタス・コーポレーション(Altus Corporation)の登録商標)は、機械的に繊細な不均一触媒であり、本装置の比パワー強度が低いという特徴から多くの恩恵を受けるものである。
【0085】
生物学的生成物には、天然物、合成物または半合成物(例えば、ペプチド、蛋白質、酵素、ヌクレオチドなど)があり、大きな槽で晶析が行われることが実証されている(例えば、グルコース・イソメラーゼ酵素)。また、生物学的生成物は、非晶質または半結晶質状態で沈殿することが実証されている(例えば大豆蛋白の分離体)。このような沈殿では、生物学的生成物沈殿プロセスの物理的特性は、粒子の良好な懸濁の恩恵や実際に可能な最低の比パワー強度の恩恵といった、多くの晶析プロセス操作原理にしたがう。生物学的生成物は、通常、小さな分子、塩または無機物よりも機械的損傷に繊細な粒子として結晶化する。したがって、本晶析槽の穏やかな攪拌特性は、生物学的生成物の晶析に特に大きな効用を有する。この理由の1つは、結晶の破壊が最小限に抑えられ、その結果、二次核生成が大幅に低下し、大きな平均結晶径と狭い粒度分布が得られることである。不純物は主に母液中に存在し、結晶の表面に付着するので、大きな結晶は小さな結晶より高純度の傾向がある。大きな結晶は単位体積当たりの表面積が小さい。大きな結晶径では、また、下降流の固体/液体分離も容易になる。
【0086】
生物学的生成物の晶析は、通常、塩析技術またはpH調整によって行われている。これらの晶析の場合、濃縮塩析溶液または酸/塩基の導入手段が、核生成速度と結晶/沈殿体の生成に大きく影響する。本技術の槽に使用されている供給物質/反応物質の非点源技術は、生物学的生成物の晶析では、より一般的なスパージャタイプの供給物質/反応物質送入パイプよりはるかに大きい利点を有する。この方法では、非常に微細な沈殿体を導入点周りに生成させることがなく、より大きくより良好な結晶粒子を生成させる。
【0087】
処理に対する必要事項ではないが、多くの医薬品晶析プロセスと同様に、生物学的生成物は、バッチ式操作が最も適している。この場合、晶析が熱的操作によって誘発される場
合を除き、槽内の液面は晶析操作の時間的経過とともに上昇する。ドラフトチューブ付きの槽では、このことにより、バッチ式操作の初期において、液面高さが低いため、ドラフトチューブの上端を越え、攪拌機に向かって再循環して戻る、液体/スラリーの流路が形成されないという、液体の循環の問題が生じる。この制約を克服するために、ドラフトチューブに窓を付け、液体/スラリー面がドラフトチューブより低いときには、ドラフトチューブの外側からドラフトチューブの内側へ通じる液体/スラリーの流路を確保するようにすることができる。これによって、液面がドラフトチューブ高さより低いバッチ式操作期間でも、スラリー/液体の循環が可能になる。
【0088】
生物学的生成物としては、例えば、食品や食品添加物が挙げられる。晶析または沈殿可能な水溶性および非水溶性の食品および食品添加物としては、炭水化物、多糖類、オリゴ糖類、二糖類、単糖類、蛋白質、ペプチド、アミノ酸、脂質、脂肪酸、植物化学物質、ビタミン、ミネラル、塩、食用色素、酵素、甘味料、凝結防止剤、濃縮剤、乳化剤、安定剤、抗菌剤、酸化防止剤、ポリペプチド、有機小分子の治療薬、補助因子、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、RNA配列、DNA配列、ワクチン、免疫グロブリン、モノクローナルまたは他の抗体、ウィルス、遺伝子治療ベクター、炭水化物、多糖類、オリゴ糖類、二糖類、単糖類、着色剤、他の顔料およびこれらの混合物が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0089】
本発明の装置で晶析/沈殿可能な物質としては、さらに、上で定義したような生物薬剤や、例えば作物保護薬品などの薬品化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明によって、大量晶析により通常製造されるもの(約50ミクロン)より、より細かいかもしくはより粗い薬品結晶を調製することが可能になり、したがって、本発明によって、粉砕工程の必要/粉砕工程に要する費用/粉砕工程による汚染なしに、あるいは、シクロデキストリンまたは界面活性剤などの溶解促進剤を導入することなしに、水にほとんど溶解しない薬品の溶解度を高めることが可能になる。
【0090】
医薬品または生物薬剤物質には、経肺デリバリーメカニズム、非経口デリバリーメカニズム、経皮デリバリーメカニズム、経口デリバリーメカニズム、経眼デリバリーメカニズム、経肛または経膣デリバリーメカニズム、経耳デリバリーメカニズム、経鼻デリバリーメカニズムおよびインプラントデリバリーメカニズムによって配送されるものがある。
【0091】
本発明によって製造される医薬品としては、さらに、水溶性および非水溶性医薬品、例えば、アナボリックステロイド、興奮剤、鎮痛剤、麻酔薬、制酸剤、抗不整脈薬、抗喘息薬、抗生物質、抗カリエス薬、抗凝固剤、抗コリン薬、抗痙攣剤、抗うつ薬、抗糖尿病薬、止瀉薬、制吐剤、抗てんかん薬、抗真菌剤、駆虫剤、痔核用剤、抗ヒスタミン剤、抗ホルモン剤、抗高血圧薬、抗低血圧薬、抗炎症剤、抗ムスカリン薬、抗カビ剤、抗新生物薬、抗肥満薬、抗プラーク剤、抗原虫剤、抗精神病薬、防腐薬、鎮痙薬、抗血栓薬、鎮咳剤、抗ウイルス剤、抗不安薬、収斂剤、ベータアドレナリン受容体遮断薬、胆汁酸、ブレスフレッシュナー、気管支鎮痙薬、気管支拡張剤、カルシウムチャネルブロッカー、強心配糖体、避妊薬、副腎皮質ステロイド類、うっ血除去薬、診断薬、消化薬、利尿剤、ドーパミン作動薬、電解質、催吐剤、去痰剤、止血薬、ホルモン類、ホルモン補充療法薬、催眠薬、血糖降下薬、免疫抑制剤、性的不全治療薬、緩下剤、脂質調節剤、粘液溶解薬、筋弛緩剤、非ステロイド系抗炎症剤、栄養補助食品、鎮痛剤、副交感神経遮断薬、副交感神経作動薬、プロスタグラジン類、精神刺激薬、向精神薬、鎮静剤、性ステロイド剤、鎮痙薬、ステロイド、刺激薬、スルホンアミド類、交感神経作用遮断薬、交感神経作動薬(sympathicomimetics、sympathomimetics)、甲状腺ホルモン様作動薬、甲状腺ホルモン抑制薬(threotatic drugs)、血管拡張剤、ビタミン類、キサンチン類、およびこれらの混合物が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0092】
図8および/または図9に示すように、本発明は、また、生物学的生成物の晶析装置とともに閉ループで限外濾過処理(または、他の交差流濾過装置)を行うことを意図している。限外濾過膜の境界面での濃縮により、過飽和を生じさせることができる。これは、より高い過飽和度の分布が、供給物質/反応物質の導入部分だけでなく、膜の全面にわたることから、塩析や反応晶析より明らかに有利である。さらに、膜プロセスが晶析装置と直列に使用されることにより、結晶化のために塩析法を使用する希釈された方法より、原料流体の体積を少なくすることができる。限外濾過膜の孔径によって拒否されるおそれのある、ペプチド、酵素、蛋白質および多糖類などの巨大分子の生物学的生成物にとって、濃縮のために膜プロセスを直列に配置することは、連続循環が行われる晶析装置と膜プロセスの有用な組み合わせとなる。もし、膜装置の前に微粉砕システムが使用されるなら、流束は最大となるであろう。微粉砕装置が使用されない場合は、結晶の膜表面への付着を最小にするため、交差流限外濾過装置が好ましい。晶析装置と直列に配置して類似の効用を示す膜プロセスは、精密濾過、ナノ濾過および逆浸透膜でも達成できる。このような構成の効用は、生物学的分子に制限されるものではない。
【0093】
バッチ式晶析装置の、現場洗浄(CIP)および/または現場滅菌(SIP)特性は、食品または治療薬の処理に対してなされる要求を満たすために、本発明で使用可能なされさらなる特性である。食品グレードの晶析プロセスでは、同様に、CIPおよびSIP能力が要求される。1回のバッチ式操作が終了したとき、洗浄流体および滅菌流体を自動的に導入するノズルおよび配管も、ここで、本システムに設けられる。
【0094】
生物学的生成物の晶析に、バイオテクノロジーおよび食品産業における晶析/沈殿技術が急速に用いられてきている。この穏やかな攪拌システム、非点源の供給物質/反応物質導入システムおよび膜濃縮プロセスの直列使用は、現在使用されている攪拌槽型晶析装置に比べて、操作性において大きな利点を付与するものである。CIPおよびSIPシステムの導入は、衛生的生産基準を満たすための1つの要求事項である。
【0095】
本発明は、さらに、本発明の装置規模を変更する方法に関する。装置の比パワー強度を制御することは、極めて重要である。比パワー強度(SPI)は、しばしば結晶の性質や、例えば粉末生成物の流動性に影響を与える。粒子の損傷および二次核生成は、比パワー強度、すなわち、攪拌機に供給されたパワーを攪拌機の掃き払い体積の質量で除した値により変化することが知られている。二つの因子を独立に変更させるためにポンプと分離剪断領域を使用する晶析装置ループは、2001年発行のChemical Engineering Science、第56巻、p.2459−2473のマリカ・トーバック(Marika Torbacke)およびアケ・ラスムソン(Ake Rasmuson)による「Influence of different scales of mixing in reaction crystallization」に記載されている。
【0096】
これは、本発明で行われているように、両因子を制御することの必要性を示し、さらに、単一攪拌機の両因子を制御する方法に関し、その産業における知識の不足を指摘している。
【0097】
このように、本発明は、いかなる規模に対しても、必要なポンピング流量と比パワー強度を与える攪拌機の設計方法を提供するものである。
【0098】
本発明の方法を、さらに記載し説明するために、次の定義を記載する。
【0099】
本明細書で使用されているように、「攪拌機ポンピング流量」は、結晶を一様に懸濁さ
せるため、および、過飽和生成物の領域を希釈し、所望の晶析全容積にわたってそれらを可能な限り均一に混合するために、必要なドラフトチューブ周りの循環流を示す数式によって定義される。攪拌機ポンピング流量は、ニューヨークのマグロー・ヒル(McGraw−Hill,NY)から1997年に発行されたPerry’s Chemical Engineer’s Handbook、第7版(式18−2)に示されており、下記式Iに示す。
I Q=NQ3*
ここで、Qは攪拌機吐出流量(例えば、M/sec)、NQは吐出係数(無次元)、Dは攪拌機直径(例えば、メートル)、およびNは回転速度(例えば、毎秒の回転数)である。
【0100】
本明細書で使用されているように、「比パワー強度」(SPI)は、スラリーがドラフトチューブ経路の周りの経路を移動するとき、攪拌機を通るスラリーに、各回転中に攪拌機によって与えられる混合強度の程度を示す(混合に関する文献にしばしば用いられている槽に対する平均値とは全く異なる)。SPIは、数学的には、攪拌機へのパワー入力を攪拌機の掃き払い体積のスラリーの質量で除した値である。したがって、式IIで表される。
II SPI=攪拌機パワー/(攪拌機体積Rho)
ここで、攪拌機パワー(例えば、ワット)は、下記式IVで示すように、攪拌機からスラリーへの入力であり、分母は、攪拌機の掃き払い体積中の質量(この場合、立方メートルを立方メートル当たりのキログラムで除した単位、すなわち簡単にはキログラム)である。Rhoはスラリーの密度(例えば、立方メートル当たりのキログラム)である。
【0101】
「攪拌機体積」は攪拌機の面積にその高さを乗じたものであり、(初等幾何学によって)式IIIで表される。したがって、掃き払い体積の質量は
III 攪拌機体積の質量=π2*Rho/4
である。ここで、Hは攪拌機の垂直高さ(例えば、メートル)である。
【0102】
「攪拌機パワー」はPerry’s Handbook(前記の通り。式18−3)では、式IVで与えられる。
IV P=Np3*5*Rho
ここで、Npはパワー数(無次元)、Nは攪拌速度(例えば、毎秒回転数)、Dは攪拌機直径(例えば、メートル)、およびRhoはスラリーの密度(例えば、立方メートル当たりのキログラム)である。
【0103】
式IIIおよびIVを式IIに代入すると、SPIは、
SPI=Np5*3*Rho/(π2*Rho/4)
となり、簡単化すると
V SPI=K3*/H
となる。ここで、K=4Np/πである。
【0104】
一般に、ポンピング流量および比パワー強度(SPI)の値は、互いに比例せず、したがって、機器の寸法が変わると、これらの重要な攪拌機設計パラメータが変化し、この結果、どのパラメータを一定に保ち、どのパラメータを変更するか、あるいは、両パラメータをともに調整し変更させるかを決断することが、設計者にとって問題となる。ポンピング流量(式I)は、回転速度に直接比例するが、比パワー強度(式V)は、回転速度の3乗に比例するので、幾何学的なスケールアップまたはスケールダウンはできず、両者の比例関係を同じに維持することはできない。
【0105】
したがって、本発明は、吐出係数NQおよびパワー数(Np)はともに攪拌機の高さと
比例関係にあることから、攪拌機の高さ(式中のH)を変えることによって、これら二つの重要な変数を制御する方法を提供するものである。こうして、与えられた攪拌機直径に対して、SPIは異なる高さの攪拌機に対しても、一定を維持し(排除質量は高さに関しても直線的に変化するから)、一方、ポンピング流量は高さとともに直線的に変化する。これによって、晶析装置をスケールアップまたはスケールダウンしようとするとき、ポンピング流量とSPIの両者を制御できることになる。
【0106】
予め選択された直径(D)、攪拌機回転数(N)、パワー数(Np)および比パワー強度(SPI)を有するドラフトチューブ晶析装置において、次式によりHの値を計算することで、攪拌機高さ(H)を決定する方法が提供される。
H=K2*/SPI、ここでK=4Np/πである。
【0107】
説明のために、例えば、8インチの直径、2.5ガロンのパイロット装置で供給物質の純度の違いの影響を確認するパイロット試験プログラムを行い、12フィートの直径の実機晶析装置を模擬するものとしよう。もし、8インチの晶析装置を、循環速度(したがって、ブレードの先端速度)を基に規模を決めたとすると、次のような結果が得られるであろう。
【0108】
【表1】

【0109】
この方法は、実記装置と比べて極端に高いSPIを与えているため、これは商用規模の装置よりも微細な結晶を生成させる可能性が高い。したがって、小規模装置の固有の高SPIでは、結晶の摩滅の程度が大きくなり、それゆえ、平均の結晶径分布はより小さくなる。
【0110】
しかしながら、本発明の方法を使用すれば、循環速度は上記比較例と同様に一定に保たれ、しかしながらSPIは低下する。このように、この攪拌機設計手順は、種々の規模の装置を、互いにできるだけ同じように稼動させる手段を開示するものである。高さが2倍のパイロットの攪拌機では、次の結果が得られる。
【0111】
【表2】

【0112】
このように、SPIは8分の1にまで低下した。望むならば、この8in装置は、半分の速度で使用することができるであろう。しかしながら、SPIをさらに下げることを望
むならば(おそらく、例えば、結晶は非常に脆い針状のものである)、3倍の高さで当初の1/3の速度で運転される攪拌機にすれば、次のようになろう。
【0113】
【表3】

【0114】
3.1インチ高さの攪拌機では、SPIは商用規模の装置より低くなり、高さを少し小さくし、比例して速度を増大させれば、同じ流量とSPIを有する商用規模の装置に等しい装置設計がなされたことになる。
【実施例】
【0115】
実施例1−スイーパブレード試験
この実施例は、本発明の装置の使用が、この分野の別の晶析装置を使用して得られるよりも、結晶のより良い循環と懸濁をもたらすことを示すものである。直径36インチの晶析装置、透明槽、直径25インチのテーパーのない(ストレートの)ドラフトチューブ、および、変速駆動装置をパワー源として有する直径25インチの半径流攪拌機。攪拌機は底に位置し、変速DC駆動装置を使用して駆動させた。図4に示すように、4つの10.5インチ長さのスイーパブレードを、底板の下に取り付けた。これらは、高さにテーパーが付けられており、駆動軸側の端で1.75インチ、反対側の端で1.25インチであった。試験に使用した粒子は150〜200ミクロンの砂粒子であり、比重は2.9g/cm、流体の水に対して1重量%使用した。測定結果を下の表1に示す。
【0116】
【表4】

【0117】
結果を外挿すると、対照の装置では、全ての砂粒子を懸濁させるのに、RPM約122が必要になるが、スイーパブレードを使用した装置では、僅かに約100のRPMであった。RPMの22の差は、重要でないようにみえるが、パワーはRPMの3乗に比例するという事実に照らしてみれば、対照の装置では、砂粒子を水中に懸濁させ、槽の底から浮遊させるために、スイーパブレードを使用した装置より、73%余分のパワー(1.2^3/1)が必要になる。
【0118】
実施例2−石膏合成プロセス
イオン交換樹脂再生からの3wt%の、弱い硫酸の流れ40gpmを、20重量%の石灰のスラリーで中和し、次の反応に示すように、合成または化学石膏を製造した。
SO+Ca(OH)→CaSO:2H
【0119】
10リットルの、5.5インチの直径を有するドラフトチューブパイロット晶析装置を、約200rpm、SPI約8W/kgで使用した。得られた結晶は針状で、比較的細かい(wt%の平均直径は100ミクロン未満(コールター・カウンタ(Coulter Counter)TMによる))ものであった。ダブルのドローオフ処理を行い、滞留時間を2倍にすることによって(濃度を2倍にすることによって)、結晶を濃縮したところ、結晶径の劇的な増加が見られた。その後、槽直径10ftのバーク(Burke)タイプの装置で上部に沈殿領域を追加したものを使用した。商用機の結果は、パイロット試験からの全ての予測に合致した。製造された結晶のCCによる平均直径は、400ミクロン(重量%基準)より大きかった。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の一実施形態の横断面図である。
【図2】本発明によるインペラの平面図である。
【図3】本発明によるインペラの側面図である。
【図4】本発明によるインペラの一実施形態の底面図である。
【図5】本発明によるインペラの一実施形態の側面図である。
【図6】本発明によるドラフトチューブの別の実施形態の側面図である。
【図7】本発明の別の実施形態の横断面図である。
【図8】本発明の別の実施形態の横断面図である。
【図9】本発明を組み込んだシステムを示す。
【図10】本発明を組み込んだシステムを示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)槽、
(b)場合により設けられる上板と底板を有する半径流攪拌機、
および
(c)ドラフトチューブ
を含んでなる晶析/沈殿装置であって、
ドラフトチューブは、それに強固に取り付けられた複数のバッフルを有し、槽内に配設されてドラフトチューブと槽の側壁との間に流路を形成し、かつ、ドラフトチューブの直径が槽の直径の約0.7倍である装置。
【請求項2】
槽が、鋼、ガラス、ガラス繊維およびPVCよりなる群から選択される材料で構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
槽が、周辺沈殿領域をさらに含んでなる請求項1に記載の装置。
【請求項4】
槽が、ドラフトチューブより上方の槽の側壁に取り付けられた少なくとも1つの第2のバッフルをさらに含んでなる請求項1に記載の装置。
【請求項5】
槽が、センタリング支持体をさらに含んでなる請求項1に記載の装置。
【請求項6】
攪拌機が、半径流インペラである請求項1に記載の装置。
【請求項7】
攪拌機が、鋼、ガラス繊維、チタン、ガラスおよびPVCよりなる群から選択される材料で構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項8】
底板が、少なくとも1つの開口をさらに含んでなる請求項1に記載の装置。
【請求項9】
底板が、少なくとも1つのスイーパブレードをさらに含んでなる請求項1に記載の装置。
【請求項10】
底板が、ドラフトチューブの直径以上の半径を有する請求項1に記載の装置。
【請求項11】
ドラフトチューブが円筒体である請求項1に記載の装置。
【請求項12】
ドラフトチューブにテーパーが付けられている請求項1に記載の装置。
【請求項13】
ドラフトチューブが中空である請求項1に記載の装置。
【請求項14】
中空ドラフトチューブが、周辺沈殿領域をさらに含んでなる請求項13に記載の装置。
【請求項15】
中空のドラフトチューブが、熱交換器を含んでなる請求項13に記載の装置。
【請求項16】
ドラフトチューブが、周辺沈殿領域をさらに含んでなる請求項1に記載の装置。
【請求項17】
ドラフトチューブが、少なくとも1つの窓をさらに含んでなる請求項1に記載の装置。
【請求項18】
ドラフトチューブが、鋼、ガラス繊維、ガラスおよびPVCよりなる群から選択される材料で構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項19】
槽の内部、攪拌機、ドラフトチューブおよびそれに強固に取り付けられた複数のバッフルの少なくとも1つが、適切なソフトコーティングで被覆されている請求項1に記載の装置。
【請求項20】
適切なソフトコーティングが、ポリエチレン、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリプロピレン、ネオプレン、ラテックスおよびゴムよりなる群から選択される請求項19に記載の装置。
【請求項21】
請求項1に記載の装置を含んでなる醗酵槽。
【請求項22】
請求項1に記載の装置を含んでなる不均一触媒反応槽。
【請求項23】
粒子を晶析/沈殿させる方法であって、
少なくとも1つの流体を請求項1の装置に供給する工程であって、その流体が晶析/沈殿させるべき少なくとも1つの溶解物質を含んでなる工程、
前記少なくとも1つの流体を攪拌する工程であって、前記少なくとも1つの流体から少なくとも1つの溶解物質を晶析/沈殿させて粒子を生成させる工程、および
少なくとも1つの流体および粒子を請求項1に記載の装置から排出させる工程
を含んでなる方法。
【請求項24】
少なくとも1つの溶解物質が、生物学的生成物、医薬品物質および生物薬剤物質よりなる群から選択される請求項23に記載の方法。
【請求項25】
生物学的生成物が、天然物、合成物または半合成物である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
生物学的生成物が、蛋白質、酵素、ペプチド、ポリペプチド、アミノ酸、有機小分子の治療薬、補助因子、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、RNA配列、DNA配列、ワクチン、免疫グロブリン、モノクローナルまたは他の抗体、ウィルス、遺伝子治療ベクター、炭水化物、多糖類、オリゴ糖類、二糖類、単糖類、脂質、脂肪酸、植物化学物質、ビタミン、ミネラル、塩、着色剤および他の顔料、甘味料、凝結防止剤、増粘剤、乳化剤、安定剤、抗菌剤、酸化防止剤並びにこれらの混合物よりなる群から選択される請求項25に記載の方法。
【請求項27】
医薬品物質が、アナボリックステロイド、興奮剤、鎮痛剤、麻酔薬、制酸剤、抗不整脈薬、抗喘息薬、抗生物質、抗カリエス薬、抗凝固剤、抗コリン薬、抗痙攣剤、抗うつ薬、抗糖尿病薬、止瀉薬、制吐剤、抗てんかん薬、抗真菌剤、駆虫剤、痔核用剤、抗ヒスタミン剤、抗ホルモン剤、抗高血圧薬、抗低血圧薬、抗炎症剤、抗ムスカリン薬、抗カビ剤、抗新生物薬、抗肥満薬、抗プラーク剤、抗原虫剤、抗精神病薬、防腐薬、鎮痙薬、抗血栓薬、鎮咳剤、抗ウイルス剤、抗不安薬(anxiolytic)、収斂剤、ベータアドレナリン受容体遮断薬、胆汁酸、ブレスフレッシュナー、気管支鎮痙薬、気管支拡張剤、カルシウムチャネルブロッカー(calciumu channel blockers)、強心配糖体、避妊薬、副腎皮質ステロイド類、うっ血除去薬、診断薬、消化薬、利尿剤、ドーパミン作動薬、電解質、催吐剤、去痰剤、止血薬、ホルモン類、ホルモン補充療法薬、催眠薬、血糖降下薬、免疫抑制剤、性的不全治療薬、緩下剤、脂質調節剤、粘液溶解薬、筋弛緩剤、非ステロイド系抗炎症剤、栄養補助食品、鎮痛剤、副交感神経遮断薬、副交感神経作動薬、プロスタグラジン類、精神刺激薬、向精神薬、鎮静剤、性ステロイド剤、鎮痙薬、ステロイド、刺激薬、スルホンアミド類、交感神経作用遮断薬、交感神経作動薬(sympathicomimetics、sympathomimetics)、甲状腺ホルモン様作動薬、甲状腺ホルモン抑制薬(threotatic drugs)、血管拡張剤、ビタミン類、キサンチン類、およびこれらの混合物よりなる群から選択され
る請求項24に記載の方法。

【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−510484(P2006−510484A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563683(P2004−563683)
【出願日】平成15年12月16日(2003.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2003/040240
【国際公開番号】WO2004/058377
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】