説明

結束帯供給装置

【課題】紙幣を結束する紙帯を供給する紙帯供給装置の紙帯搬送ローラと紙帯との滑りを正確に検出する手段を提供する。
【解決手段】供給方向Aの上流側に配置された第1の紙帯監視センサ46aと、紙帯搬送ローラ31の下流側に配置された第2の紙帯監視センサ46bと、紙帯搬送モータ26のモータ回転量を計測するモータ回転量計測手段と、トルクリミッタ27と、ロータリエンコーダ47と、ロータリエンコーダ47の出力を基に計測する駆動ローラ回転量計測手段とを備え、紙帯が、第1および第2の紙帯監視センサ46a、46b間を通過する間の、モータ回転量をモータ回転量計測手段で計測すると共に、その間の駆動ローラ回転量を駆動ローラ回転量計測手段で計測し、計測されたモータ回転量が正常搬送判定値を超え、かつモータ回転量と駆動ローラ回転量との差が誤差判定値以下であることにより、紙帯と駆動ローラ32との間の滑りを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行や郵便局等の金融機関、および大型ディスカウント店等の流通業等に設置され、紙幣を計数、整理して所定の結束枚数の紙幣を紙帯等の結束帯で小束に結束する紙幣整理装置に用いる結束帯供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紙幣整理装置は、紙幣を投入する投入部と、投入部から搬送された紙幣の金種、正損等の各種の識別を行うと共に計数を行う識別部と、識別部の識別結果に基づいて紙幣を金種、正損からなる種別毎に紙幣を集積する複数の一時集積部を有する集積機構と、各一時集積部に集積された所定の結束枚数の紙幣を紙帯で結束して小束として放出する施封部と、一時集積部に集積された結束枚数の紙幣を施封部へ移送する移送部と、識別部で識別された紙幣の種別毎の計数結果の表示等を行う表示画面とタッチパネルを有する操作表示部とを備えて構成され、施封部により紙幣を小束に結束するときに、移送部から結束枚数の紙幣を束のまま受取って結束位置に搬送し、印字部で印字された紙帯を結束帯供給装置から結束部へ供給し、結束部により搬送された束紙幣に紙帯を巻き付けて小束を作成している。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、一般に、束紙幣に紙帯を巻き付けるときに結束帯供給装置は、束紙幣に紙帯を巻き付けた後に、束紙幣を確実に結束するために、紙帯を逆方向に引張って帯封に張力を付与する絞り戻し動作を行い、紙帯を供給する紙帯搬送ローラの回転量が所定の回転量になったときに絞り戻し動作の終了を判定している。
【特許文献1】特開2002−197509号公報(主に第3頁段落0007−第4頁段落0013、第5頁段落0027−0029、第1図、第8図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の一般的な絞り戻し動作においては、紙帯搬送ローラの回転量が所定の回転量になったときに絞り戻し動作の終了を判定しているため、紙帯搬送ローラが経年変化や、紙帯のカット時に発生する紙帯の切粉、束ねる紙幣からの紙粉、外部からの粉塵等によって、紙帯と紙帯搬送ローラとの間の摩擦係数が低下した場合には、絞り戻し動作時に滑りが生じて帯封の張力が低下し、小束にした紙幣の一部が抜けてしまう状態が発生するという問題がある。
【0005】
また、係員等が帯封の緩みに対する予兆に気付かずに施封を継続してしまうと、後に異常に気付いたときには、帯封の緩んだ小束が大量に作成されてしまい、施封のやり直し等のリペア作業に時間を要し、施封における作業効率が低下するという問題がある。
更に、紙帯を滑りのある紙帯搬送ローラで供給すると、印字部による印字にずれが生じ、紙帯への印字が乱れてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、紙幣を結束する結束帯を供給する結束帯供給装置の結束帯搬送ローラと結束帯との滑りを正確に検出する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、結束帯供給装置が、結束帯を挟持して搬送する駆動ローラと従動ローラからなる結束帯搬送ローラと、前記結束帯搬送ローラの前記結束帯の供給方向の上流側に配置された第1の結束帯監視センサと、前記結束帯搬送ローラの前記供給方向の下流側に配置された第2の結束帯監視センサと、前記結束帯搬送ローラの前記駆動ローラを駆動する結束帯搬送モータと、前記結束帯搬送モータのモータ回転量を計測するモータ回転量計測手段と、前記結束帯搬送モータと前記駆動ローラとの間に設けられた、前記駆動ローラの駆動力を制限するトルクリミッタと、前記駆動ローラの回転量を出力する回転検出センサと、該回転検出センサの出力を基に前記駆動ローラの駆動ローラ回転量を計測する駆動ローラ回転量計測手段とを備え、前記結束帯が、前記第1の結束帯監視センサと、前記第2の結束帯監視センサとの間を通過する間の、前記モータ回転量を前記モータ回転量計測手段で計測すると共に、その間の前記駆動ローラ回転量を前記駆動ローラ回転量計測手段で計測し、前記計測されたモータ回転量が正常搬送判定値を超え、かつ前記モータ回転量と前記駆動ローラ回転量との差が誤差判定値以下であることにより、前記結束帯と前記駆動ローラとの間の滑りを検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
これにより、本発明は、トルクリミッタが作動するようなジャムと、駆動ローラの摩擦係数の低下による滑りとを区別して滑りのみを正確に検出することができ、結束帯の絞り戻し動作時における滑りを防止して、適正な張力で帯封された小束を、効率的かつ容易に作成することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本発明による紙幣整理装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は実施例1の紙幣整理装置の内部構成を示す概略側面図、図2は実施例1の紙帯供給装置を示すブロック図、図3は実施例1の紙帯供給装置を示す説明図である。
図1において、1は紙幣整理装置であり、銀行や郵便局等の金融機関、および大型ディスカウント店等の流通業等に設置され、紙幣を計数、整理して所定の結束枚数の紙幣を、結束帯としての紙帯Tで結束した小束を排出する機能を有している。
【0011】
本実施例の小束を形成するための所定の結束枚数は、100枚に設定されている。
2は紙幣整理装置1の投入部であり、金種別に整理するためにセットされた紙幣を下側から1枚毎に分離して繰出す機能を有している。
3は識別部であり、投入部2から繰出され、搬送路4aにより搬送された紙幣の真偽や正損、表裏、金種等を識別する機能、および連鎖、重送、斜行等の搬送異常を識別する機能等を有している。
【0012】
5は表裏反転部であり、識別部3から搬送路4bにより搬送された紙幣を識別部3からの表裏情報を基に、紙幣の表裏を揃えて搬送路4cへ搬出する機能を有している。
6はリジェクトポケットであり、搬送路4b、搬送路4dにより搬送されたリジェクト紙幣(識別部3で外国紙幣等のために認識できなかった紙幣や、搬送異常と判定された紙幣等)が集積される。
【0013】
7はオープンポケットであり、結束対象外の紙幣等が、搬送路4c、搬送路4eにより搬送されて集積される。
8は一時集積部であり、搬送路4cに接続する振分搬送路9により金種や正損レベルに応じて振分けられた紙幣を種別毎に100枚集積する大きさを有している。
本実施例では、一時集積部8a〜8dの4つの一時集積部8が設けられている。
【0014】
上記の搬送路4a〜4eおよび振分搬送路9は、ベルト対またはローラ対で紙幣を挟持して搬送する搬送路として形成され、それぞれの搬送路の各分岐部には図示しない切替ブレードが設けられ、搬送方向が切替えられるように構成されている。
また、本実施例の搬送路8における紙幣の搬送は、紙幣の短手方向を搬送方向として行われる。
【0015】
10は移送部であり、一対の爪により一時集積部8に集積された100枚の紙幣を束のまま把持する把持部11と、この把持部11を昇降させる昇降機構と、把持部11の爪を一時集積部8の方向へ挿入し、引抜く機能を有する挿抜機構等により構成される。
13は施封部であり、移送部10により束のまま移送された紙幣を受取口14に設けられた搬送ベルトで受取り、これを束のまま紙帯Tで結束して排出口15から排出するよう構成されており、受取口14で受取った束のままの紙幣をクランプするためのオープン搬送路(不図示)、束のままの紙幣を結束するための紙帯Tを供給する結束帯供給装置としての紙帯供給装置20、紙帯Tを切断するカッタ(不図示)、束のままの紙幣に巻き付けた紙帯Tの裏面の接着剤を溶かして接合するためのヒータヘッド(不図示)、銀行スタンプや損券スタンプ等を捺印するスタンプ部(不図示)、束のままの紙幣に巻き付けた紙帯Tの張りが戻らないように紙帯Tを押える紙帯押え(不図示)等を備えている。
【0016】
図2において、21は紙帯供給装置20の制御部であり、基板に実装されたマイクロコンピュータのCPU等であって、紙帯供給装置20内の各部を制御して紙帯供給処理等を実行する機能を有している。
22はマイクロコンピュータの内蔵メモリ等の記憶部であり、制御部21が実行するプログラムや前記プログラムに用いる各種のデータおよび制御部21による処理結果等が格納される。
【0017】
23は時計部であり、水晶発振器等を有する周波数発生器とカレンダを格納したメモリ等を備えており、発生した周波数を基に時間を計数し、現在時刻等を制御部21へ出力する機能を有している。
24はドットインパクトプリンタ等の印字部であり、紙帯Tに通番や日付等を印字する機能を有している。
【0018】
図3において、25は紙帯リールであり、ロール状の紙帯Tがセットされており、図示しないホルダのホルダ軸25aに回転自在に支持されている。
26は紙帯搬送モータであり、本実施例ではステッピングモータであって、正逆回転可能に構成されている。
27はトルクリミッタであり、紙帯搬送モータ26のモータ軸26aに取付けられた滑りクラッチ等の機械式のリミッタであって、紙帯搬送モータ26の駆動力が設定トルクを超えたときに空転して駆動力を制限する機能を有している。
【0019】
28は歯付プーリであり、トルクリミッタ27を介してモータ軸26aを中心に回転するように取付けられている。
31は紙帯搬送ローラであり、ローラ軸32aに固定され、ローラ軸32aを中心に回転するゴムローラで形成された駆動ローラ32と、ローラ軸33aを中心に回転し、駆動ローラを押圧するプレッシャローラとして機能するベアリングローラで形成された従動ローラ33とを対向配置して構成され、駆動ローラ32のローラ軸32aに設けられた歯付プーリ34と、歯付プーリ28との間に掛け渡された歯付ベルト35により駆動され、駆動ローラ32と従動ローラ33との間に紙帯Tを挟持して搬送する。
【0020】
36は紙帯搬送ローラであり、紙帯搬送ローラ31と同様に、ローラ軸37aを中心に回転する駆動ローラ37と、ローラ軸38aを中心に回転しプレッシャローラとして機能する従動ローラ38とを対向配置して構成され、駆動ローラ37のローラ軸37aに設けられた歯付プーリ39と、歯付プーリ34との間に掛け渡された歯付ベルト40により駆動され、駆動ローラ37と従動ローラ38との間に紙帯Tを挟持して搬送する。
【0021】
42は繰出搬送部43(図2参照)のコーナローラであり、ローラ軸42aを中心に回転し、繰出搬送部43の図示しない繰出モータにより紙帯リール25から繰出された紙帯Tを、紙帯搬送経路44に沿って、図3の矢印Aで示す紙帯Tの供給方向(供給方向Aという。)の上流側に配置されている紙帯搬送ローラ36の方向に転向させる機能を有している。
【0022】
46aは第1の紙帯監視センサであり、紙帯搬送経路44を挟んで対向配置された発光部と受光部とを備え、発光部からの光を紙帯Tが遮ったことにより紙帯搬送経路44を搬送される紙帯Tの有無を検出する光学式のセンサであって、紙帯搬送ローラ36の供給方向Aの上流側に配置されている。
46bは第2の紙帯監視センサであり、第1の紙帯監視センサ46aと同様の光学式のセンサであって、紙帯搬送ローラ31の供給方向Aの下流側に配置されている。
【0023】
47は回転検出センサとしてのロータリエンコーダであり、駆動ローラ32のローラ軸32aに固定され、複数の歯が設けられた回転円盤48と、その歯のピッチに対して位相をずらした状態で設置された2対のフォトインタラプタ49とを備え、図示しないシュミットトリガ回路により、各フォトインタラプタ49からのパルス信号の位相差からアップカウント信号とダウンカウント信号とを同時にカウントし、回転方向を含めた回転量が、正のカウント値が供給方向A、負のカウント値が図3に矢印Bで示す戻し方向Bの回転量として計数されるようになっており、駆動ローラ32の回転方向およびその駆動ローラ回転量がパルス数により計測できるようになっている。
【0024】
上記の紙帯供給装置20の記憶部22には、移送部10により一時集積部8から施封部13へ束のまま移送され、施封部13で受取った束紙幣を紙帯Tで結束するときに、その紙帯Tを供給し、紙帯Tを戻し方向Bに引張って帯封に張力を付与する絞り戻し動作を行う機能等を有する通常の紙帯供給処理プログラムに、第1および第2の紙帯監視センサ46a、46b間を紙帯Tが搬送されるときの紙帯搬送モータ26のモータ回転量により、紙帯Tの供給方向Aおよび戻し方向Bの紙帯Tと紙帯搬送ローラ31の駆動ローラ32との滑りを検出する機能、およびその機能を用いて紙帯Tの滑り状態を事前にチェックするための搬送テスト処理を実行する機能を有するアプリケーションプログラム等が追加された業務処理実行プログラムが予め格納されており、制御部21が実行する業務処理実行プログラムのステップにより本実施例の紙幣整理装置1のハードウェアとしての各機能手段が形成される。
【0025】
また、記憶部22には、紙帯Tの搬送状態を示すログ情報を記録するログ情報記録エリアが確保されると共に、紙帯搬送モータ26へ供給したパルス数をカウントするためのモータ回転量カウントエリア、およびロータリエンコーダ47から出力されるパルス数をカウントするための駆動ローラ回転量カウントエリアが確保されている。
更に、記憶部22には、第1および第2の紙帯監視センサ46a、46b間を紙帯Tが滑らずに搬送されたときに紙帯搬送モータ26へ供給される標準的なパルス数に滑り許容値を加え、それをパルス数で表した正常搬送判定値、およびトルクリミッタ27の空転を判定するための、紙帯搬送モータ26のモータ回転量と、ロータリエンコーダ47から出力される駆動ローラ32の駆動ローラ回転量との測定開始、終了のタイミングのずれ等に起因して生ずる差の絶対値をパルス数(パルスが1対1に対応していない場合は、いずれか一方に換算したパルス数)で表した誤差判定値が予め設定されて格納されている。
【0026】
上記の構成の紙幣整理装置1の作動について、その概要を説明する。
紙幣整理装置1の投入部2に、係員が金種等の混在した複数の紙幣をセットして、準備完了ボタンを押下すると、紙幣整理装置1は、選択されて整理モードに従って各一時集積部8に集積する金種等を設定し、投入部2から紙幣を1枚毎に分離して搬送路4aにより識別部3へ搬送し、識別部3により紙幣の搬送異常等の識別を行うと共に、正常搬送と識別された紙幣の真偽、金種等の識別を行う。
【0027】
そして、識別した紙幣が、結束対象外の紙幣である場合は、その紙幣を搬送路4b、表裏反転部5、搬送路4c、搬送路4eによりオープンポケット7へ搬送して集積する。
識別した紙幣が、リジェクト紙幣である場合は、その紙幣を搬送路4b、搬送路4dによりリジェクトポケット6へ搬送して集積する。
識別した紙幣が、真券の紙幣である場合は、その金種等により集積先の一時集積部8を認識し、その紙幣を搬送路4bにより表裏反転部5に搬送して表裏を揃えた後に、搬送路4cにより振分搬送路9へ搬送し、振分搬送路9により振分けて集積先の一時集積部8に集積すると共に、その集積枚数を計数する。
【0028】
そして、いずれか一つの一時集積部8、例えば一時集積部8aに結束枚数の紙幣が集積されると、一時集積部8aから移送部10により結束枚数の紙幣を束のまま把持部11により引抜いて施封部13へ移送し、施封部13の受取口14により束のまま受取った束紙幣に、紙帯Tを巻き付けて小束を作成し、これを排出口15に送って装置の外部へ排出する。
【0029】
このようにして、紙幣整理装置1による小束の作成が順次に行われる。
以下に、図4に示すフローチャートを用い、Sで示すステップに従って、本実施例の紙帯供給装置20の搬送テスト処理について説明する。
S1、係員が紙帯リール25に紙帯Tをセットして、搬送テストの開始操作を行うと、これを検知した紙帯供給装置20の制御部21は、搬送テスト処理プログラムにより、第1および第2の紙帯監視センサ46a、46b、並びにロータリエンコーダ47等へ電源を投入し、第1および第2の紙帯監視センサ46a、46bからの出力信号、並びにロータリエンコーダ47からのパルス信号の監視を開始する。
【0030】
S2、次いで、制御部21は、第1および第2の紙帯監視センサ46a、46bにより紙帯Tの通過を監視しながら、繰出搬送部43の図示しない繰出モータおよび紙帯搬送モータ26を、紙帯Tを供給方向Aへ搬送する方向へ回転させ、紙帯Tを供給方向Aへ搬送する。
S3、制御部21、第1の紙帯監視センサ46aが紙帯Tの先端を検出するのを待って待機しており、図5に示すように、第1の紙帯監視センサ46aが紙帯Tの先端を検出したとき、つまりONしたときに、記憶部22のモータ回転量カウントエリア、および駆動ローラ回転量カウントエリアを「0」にリセットしてステップS4へ移行する。第1の紙帯監視センサ46aがOFFの場合は、前記の待機を継続する。
【0031】
S4、第1の紙帯監視センサ46aが紙帯Tの先端を検出したことを認識した制御部21は、紙帯搬送モータ26へ供給したパルス数、およびロータリエンコーダ47からのパルス信号のパルス数を、それぞれ記憶部22のモータ回転量カウントエリア、および駆動ローラ回転量カウントエリアでカウントして、紙帯搬送モータ26のモータ回転量および紙帯搬送ローラ31の駆動ローラ32の駆動ローラ回転量を計測すると共に、時計部23により第1の紙帯監視センサ46aが紙帯Tの先端を検出してから第2の紙帯監視センサ46bが紙帯Tの先端を検出するまでの通過時間を計測する。
【0032】
S5、制御部21、第2の紙帯監視センサ46bが紙帯Tの先端を検出するのを待って待機しており、第2の紙帯監視センサ46bが紙帯Tの先端を検出したとき、つまりONしたときに、ステップS6へ移行する。第2の紙帯監視センサ46bがOFFの場合は、ステップS4による計測を実行しながら前記の待機を継続する。
S6、第2の紙帯監視センサ46bが紙帯Tの先端を検出したことを認識した制御部21は、繰出搬送部43の図示しない繰出モータおよび紙帯搬送モータ26の回転を停止させると共に、記憶部22のモータ回転量カウントエリア、および駆動ローラ回転量カウントエリアによるモータ回転量および駆動ローラ回転量の計測、並びに時計部23による通過時間の計測を停止する。
【0033】
S7、各種の計測を停止した制御部21は、記憶部22から紙帯搬送モータ26の正常搬送判定値を読出すと共に、モータ回転量カウントエリアで計測したモータ回転量を読出してこれらを比較し、計測したモータ回転量が正常搬送判定値以下の場合は、紙帯Tが正常に、つまり滑りなく搬送されたと判定してステップS11へ移行する。
計測したモータ回転量が正常搬送判定値を超えている場合は、滑りまたはジャムが発生したと判定してステップS8へ移行する。
【0034】
S8、滑りまたはジャムが発生したと判定した制御部21は、記憶部22から紙帯搬送モータ26と紙帯搬送ローラ31の駆動ローラ32との回転量の誤差判定値を読出すと共に、駆動ローラ回転量カウントエリアで計測した駆動ローラ回転量を読出して計測したモータ回転量と駆動ローラ回転量との差の絶対値を求め、その差の絶対値が誤差判定値以下の場合は、紙帯Tの搬送時に滑りが発生したと判定してステップS10へ移行する。
【0035】
計測したモータ回転量と駆動ローラ回転量との差の絶対値が誤差判定値を超えている場合は、トルクリミッタ27が作動して紙帯搬送モータ26が一時空転するジャムが発生したと判定してステップS9へ移行する。
S9、ジャムが発生したと判定した制御部21は、差の絶対値の大小により、アラート情報、ノンアラート情報のいずれかに切分けて、供給ジャム発生の旨に時計部23により認識した検出時刻(日付を含む。)を添付したログ情報を、記憶部22のログ情報記録エリアに書込んで、ステップS11へ移行する。
【0036】
S10、紙帯Tの搬送時に滑りが発生したと判定した制御部21は、供給方向Aへの紙帯Tの搬送時に滑り(供給滑りという。)が発生した旨に、時計部23により認識した検出時刻(日付を含む。)を添付したログ情報を、記憶部22のログ情報記録エリアに書込んで、ステップS11へ移行する。
この場合に、係員によるメインテナンス指示や保守員コール、保守未然予防情報とログ情報に書き添えるようにしてもよい。
【0037】
S11、供給方向Aへの紙帯Tの搬送テストを終えた制御部21は、戻し方向Bへの紙帯Tの搬送テストを開始するために、第1および第2の紙帯監視センサ46a、46bにより紙帯Tの通過を監視しながら、繰出搬送部43の図示しない繰出モータおよび紙帯搬送モータ26を、紙帯Tを戻し方向Bへ搬送する方向へ回転させ、既に繰出されている紙帯Tを戻し方向Bへ搬送して紙帯リール25に巻き取る。
【0038】
S12、制御部21、第2の紙帯監視センサ46aが紙帯Tの先端、つまり紙帯Tの戻り抜けを検出するのを待って待機しており、図6に示すように、第1の紙帯監視センサ46aが紙帯Tの戻り抜けを検出したとき、つまりOFFしたときに、記憶部22のモータ回転量カウントエリア、および駆動ローラ回転量カウントエリアを「0」にリセットしてステップS13へ移行する。第2の紙帯監視センサ46bがONの場合は、前記の待機を継続する。
【0039】
S13、第3の紙帯監視センサ46bが紙帯Tの戻り抜けを検出したことを認識した制御部21は、上記ステップS4と同様にして、紙帯搬送モータ26のモータ回転量および紙帯搬送ローラ31の駆動ローラ32の駆動ローラ回転量を計測すると共に、時計部23により第2の紙帯監視センサ46bが紙帯Tの戻り抜けを検出してから第1の紙帯監視センサ46aが紙帯Tの戻り抜けを検出するまでの通過時間を計測する。
【0040】
S14、制御部21、第1の紙帯監視センサ46aが紙帯Tの戻り抜けを検出するのを待って待機しており、第1の紙帯監視センサ46aが紙帯Tの戻り抜けを検出したとき、つまりOFFしたときに、ステップS15へ移行する。第1の紙帯監視センサ46aがONの場合は、ステップS13による計測を実行しながら前記の待機を継続する。
S15、第1の紙帯監視センサ46bが紙帯Tの戻り抜けを検出したことを認識した制御部21は、繰出搬送部43の図示しない繰出モータおよび紙帯搬送モータ26の回転を停止させると共に、記憶部22のモータ回転量カウントエリア、および駆動ローラ回転量カウントエリアによるモータ回転量および駆動ローラ回転量の計測、並びに時計部23による通過時間の計測を停止する。
【0041】
S16、各種の計測を停止した制御部21は、上記ステップS7と同様にして、正常搬送判定値とモータ回転量とを比較し、計測したモータ回転量が正常搬送判定値以下の場合は、紙帯Tが正常に、つまり滑りなく搬送されたと判定してステップS20へ移行する。
計測したモータ回転量が正常搬送判定値を超えている場合は、滑りまたはジャムが発生したと判定してステップS17へ移行する。
【0042】
S17、滑りまたはジャムが発生したと判定した制御部21は、上記ステップS8と同様にして、計測したモータ回転量と駆動ローラ回転量との差の絶対値を求め、その差の絶対値が誤差判定値以下の場合は、紙帯Tの搬送時に滑りが発生したと判定してステップS19へ移行する。
計測したモータ回転量と駆動ローラ回転量との差の絶対値が誤差判定値を超えている場合は、トルクリミッタ27が作動して紙帯搬送モータ26が一時空転するジャムが発生したと判定してステップS18へ移行する。
【0043】
S18、ジャムが発生したと判定した制御部21は、上記ステップS9と同様にして、戻しジャム発生の旨に検出時刻を添付したログ情報を、記憶部22のログ情報記録エリアに書込んで、ステップS20へ移行する。
S19、紙帯Tの搬送時に滑りが発生したと判定した制御部21は、上記ステップS10と同様にして、戻し方向Bへの紙帯Tの搬送時に滑り(戻し滑りという。)が発生した旨に、検出時刻を添付したログ情報を、記憶部22のログ情報記録エリアに書込んで、ステップS20へ移行する。
【0044】
S20、紙帯Tの搬送テストを終えた制御部21は、紙帯供給装置20の搬送テスト処理を終了させる。
上記の搬送テストにおいて、紙帯搬送モータ26の脱調や歯付ベルト35の歯跳びといった異常状態は、第1および第2の紙帯監視センサ46a、46b間の通過時間のタイムアウト状態や、紙帯搬送モータ26が正常動作した状態において、ロータリエンコーダ47の動作周期に異常なパルス抜け状態が断続的に現れることで判定することが可能であるので、これらの異常状態と滑りとを容易に区別することができる。
【0045】
このように、本実施例においては、紙帯Tが、第1の紙帯監視センサ46aと第2の紙帯監視センサ46bとの間を通過する間の、モータ回転量を記憶部22のモータ回転量カウントエリアでカウントしてそのモータ回転量を計測すると共に、その間の紙帯搬送ローラ31の駆動ローラ32の駆動ローラ回転量を記憶部22の駆動ローラ回転量カウントエリアでカウントしてその駆動ローラ回転量を計測し、計測されたモータ回転量が正常搬送判定値を超え、かつモータ回転量と駆動ローラ回転量との差が誤差判定値以下のである場合に、紙帯Tと駆動ローラ32との間の滑りを検出するので、紙帯Tの搬送時の横ずれ等によりトルクリミッタ27が作動するようなジャムと、駆動ローラ32の摩擦係数の低下による滑りとを区別して滑りのみを正確に検出することができ、紙帯搬送ローラ31や36の経年変化や、紙帯Tのカット時に発生する紙帯Tの切粉、束ねる紙幣からの紙粉、外部からの粉塵等によって、紙帯Tと紙帯搬送ローラ31や36との間の摩擦係数が低下して絞り戻し動作時に滑りが生じて帯封の張力が低下し、小束にした紙幣の一部が抜けてしまう状態が発生することを防止することができる。
【0046】
また、紙帯Tにより束紙幣を結束する際の紙帯Tの供給時にも、上記と同様にして、紙帯Tの供給搬送時における滑りを検出し、ログ情報として記録することが可能になるので、滑り状態が検出できないために、緩んだままの施封を継続した後に異常に気付くといったことや、紙帯Tの滑りにより印字部24による印字にずれが生じ、紙帯Tへの印字が乱れてしまうといったことを防止して、帯封の緩んだ小束が大量に作成されたことによる施封のやり直し等のリペア時間を不要にして、施封における作業効率を向上させることができる他、運用において発生する施封状態における紙帯Tの絞り戻し時の緩みの発生を事前に検出することが可能になる。
【0047】
更に、帯封の緩みを誘発させる紙帯Tの搬送時の滑りを事前保守情報として記憶部22に記録するようにしたので、例えば、定期保守における機械個別の保守管理情報として使用することで、未然に障害や休止トラブルの発生を防止することができる。
以上説明したように、本実施例では、紙帯供給装置に、紙帯Tを挟持して搬送する駆動ローラと従動ローラからなる紙帯搬送ローラと、紙帯搬送ローラの紙帯Tの供給方向Aの上流側に配置された第1の紙帯監視センサと、紙帯搬送ローラの供給方向Aの下流側に配置された第2の紙帯監視センサと、紙帯搬送ローラの駆動ローラを駆動する紙帯搬送モータと、紙帯搬送モータと駆動ローラとの間に設けられたトルクリミッタと、駆動ローラの回転量を出力するロータリエンコーダとを設け、紙帯Tが、第1の紙帯監視センサと第2の紙帯監視センサとの間を通過する間の、モータ回転量を記憶部のモータ回転量カウントエリアでカウントしてそのモータ回転量を計測する(モータ回転量計測手段)と共に、その間の紙帯搬送ローラの駆動ローラ回転量を記憶部の駆動ローラ回転量カウントエリアでカウントしてその駆動ローラ回転量を計測し(駆動ローラ回転量計測手段)、計測されたモータ回転量が正常搬送判定値を超え、かつモータ回転量と駆動ローラ回転量との差が誤差判定値以下のである場合に、紙帯Tと駆動ローラとの間の滑りを検出するようにしたことによって、トルクリミッタが作動するようなジャムと、駆動ローラの摩擦係数の低下による滑りとを区別して滑りのみを正確に検出することができ、紙帯Tの絞り戻し動作時における滑りを防止して、適正な張力で帯封された小束を、効率的かつ容易に作成することができる。
【実施例2】
【0048】
図7は実施例2の紙帯供給装置を示すブロック図、図8は実施例2の紙帯供給装置を示す説明図である。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図7、図8において、51は紙帯監視センサであり、上記実施例1の第2の紙帯監視センサ46bと同様の光学式のセンサであって、実施例1の第2の紙帯監視センサ46bと同様に配置されている。
【0049】
このため、実施例1の第1の紙帯監視センサ46aは省略されている。
52は回転検出センサとしてのロータリエンコーダであり、従動ローラ33のローラ軸33aに固定された、上記実施例1のロータリエンコーダ57と同様に、複数の歯が設けられた回転円盤53と、その歯のピッチに対して位相をずらした状態で設置された2対のフォトインタラプタ54とを備えており、従動ローラ33の回転方向およびその従動ローラ回転量がパルス数により計測できるようになっている。
【0050】
このため、従動ローラ33はそのローラ軸33aに固定され、ローラ軸33が図示しないベアリングにより回転自在に支持されている。
上記の紙帯供給装置20の記憶部22には、上記実施例1と同様の機能を有する通常の紙帯供給処理プログラムに、紙帯搬送モータ26を所定のパルス数駆動することにより、紙帯Tの供給方向Aおよび戻し方向Bの紙帯Tと紙帯搬送ローラ31の駆動ローラ32との滑りを検出する機能、およびその機能を用いて紙帯Tの滑り状態を事前にチェックするための搬送テスト処理を実行する機能を有するアプリケーションプログラム等が追加された業務処理実行プログラムが予め格納されており、制御部21が実行する業務処理実行プログラムのステップにより本実施例の紙幣整理装置1のハードウェアとしての各機能手段が形成される。
【0051】
また、記憶部22には、上記実施例1と同様のログ情報記録エリア、モータ回転量カウントエリア、およびロータリエンコーダ52から出力されるパルス数をカウントするための従動ローラ回転量カウントエリアが確保されている。
更に、記憶部22には、搬送テスト時に紙帯搬送モータ26へ供給する所定のパルス数(テスト駆動パルス数という。)が格納され、紙帯搬送モータ26がテスト駆動パルス数駆動されたときにロータリエンコーダ52から出力される標準的な従動ローラ33の従動ローラ回転量に滑り許容値を減じてそれをパルス数で表した正常回転量判定値、およびトルクリミッタ27の空転を判定するための、紙帯搬送モータ26がテスト駆動パルス数回転するときの標準的な駆動時間に許容誤差を加えた正常搬送時間判定値が予め設定されて格納されている。
【0052】
以下に、図9に示すフローチャートを用い、SAで示すステップに従って、本実施例の紙帯供給装置20の搬送テスト処理について説明する。
SA1、係員が紙帯リール25に紙帯Tをセットして、搬送テストの開始操作を行うと、これを検知した紙帯供給装置20の制御部21は、搬送テスト処理プログラムにより、紙帯監視センサ51、およびロータリエンコーダ52へ電源を投入し、紙帯監視センサ51からの出力信号、およびロータリエンコーダ52からのパルス信号の監視を開始する。
【0053】
SA2、次いで、制御部21は、図10に示すように、紙帯監視センサ51により紙帯Tの通過を監視しながら、繰出搬送部43の図示しない繰出モータおよび紙帯搬送モータ26を、紙帯Tを供給方向Aへ搬送する方向へ回転させ、紙帯Tを供給方向Aへ搬送する。
SA3、制御部21、紙帯監視センサ51が紙帯Tの先端を検出するのを待って待機しており、紙帯監視センサ51が紙帯Tの先端を検出したとき、つまりONしたときに、紙帯搬送ローラ21が紙帯Tを挟持したことを判定すると共に、記憶部22のモータ回転量カウントエリア、および従動ローラ回転量カウントエリアを「0」にリセットしてステップSA4へ移行する。紙帯監視センサ51がOFFの場合は、前記の待機を継続する。
【0054】
SA4、紙帯監視センサ51が紙帯Tの先端を検出したことを認識した制御部21は、記憶部22からテスト駆動パルス数を読出し、紙帯搬送モータ26へ供給したパルス数を記憶部22のモータ回転量カウントエリアでカウントすると共にそのカウント数とテスト駆動パルス数とを比較しながら、ロータリエンコーダ52からのパルス信号のパルス数を記憶部22の従動ローラ回転量カウントエリアでカウントして、紙帯搬送ローラ31の従動ローラ33の従動ローラ回転量を計測すると共に、時計部23により紙帯監視センサ51による紙帯Tの先端の検出後に、紙帯搬送モータ26へのパルスの供給を開始してからテスト駆動パルス数のパルスを供給し終えるまでの駆動時間を計測する。
【0055】
SA5、制御部21、紙帯搬送モータ26へ供給したパルス数がテスト駆動パルス数に達するのを待って待機しており、紙帯搬送モータ26へ供給したパルス数がテスト駆動パルス数に達したときに、ステップSA6へ移行する。紙帯搬送モータ26へ供給したパルス数がテスト駆動パルス数に達しない場合は、ステップSA4による計測を実行しながら前記の待機を継続する。
【0056】
SA6、紙帯搬送モータ26へ供給したパルス数がテスト駆動パルス数に達したことを認識した制御部21は、繰出搬送部43の図示しない繰出モータおよび紙帯搬送モータ26の回転を停止させると共に、記憶部22の従動ローラ回転量カウントエリアによる従動ローラ回転量の計測、および時計部23による駆動時間の計測を停止する。
SA7、各種の計測を停止した制御部21は、記憶部22から従動ローラ33の正常回転量判定値を読出すと共に、従動ローラ回転量カウントエリアで計測した従動ローラ回転量を読出してこれらを比較し、計測した従動ローラ回転量が正常回転量判定値以上の場合は、紙帯Tが正常に、つまり滑りなく搬送されたと判定してステップSA11へ移行する。
【0057】
計測した従動ローラ回転量が正常回転量判定値より少ない場合は、滑りまたはジャムが発生したと判定してステップSA8へ移行する。
SA8、滑りまたはジャムが発生したと判定した制御部21は、記憶部22から紙帯搬送モータ26の正常搬送時間判定値を読出すと共に、時計部23により計測した駆動時間を認識してこれらを比較し、計測した駆動時間が正常搬送時間判定値以下の場合は、紙帯Tの搬送時に滑りが発生したと判定してステップSA10へ移行する。
【0058】
計測した駆動時間が正常搬送時間判定値を超えている場合は、ジャムが発生したと判定してステップSA9へ移行する。
SA9、ジャムが発生したと判定した制御部21は、上記実施例1のステップS9と同様にして、供給ジャム発生の旨に検出時刻を添付したログ情報を、記憶部22のログ情報記録エリアに書込んで、ステップSA11へ移行する。
【0059】
SA10、紙帯Tの搬送時に滑りが発生したと判定した制御部21は、上記実施例1のステップS10と同様にして、供給滑りが発生した旨に、検出時刻を添付したログ情報を、記憶部22のログ情報記録エリアに書込んで、ステップSA11へ移行する。
SA11、供給方向Aへの紙帯Tの搬送テストを終えた制御部21は、戻し方向Bへの紙帯Tの搬送テストを開始するために、図11に示すように、紙帯監視センサ51により紙帯Tの通過を監視しながら、繰出搬送部43の図示しない繰出モータおよび紙帯搬送モータ26を、紙帯Tを戻し方向Bへ搬送する方向へ回転させ、既に繰出されている紙帯Tを戻し方向Bへ搬送して紙帯リール25に巻き取る。
【0060】
SA12、制御部21、紙帯監視センサ51が紙帯Tの先端、つまり紙帯Tの戻り抜けを検出するのを待って待機しており、紙帯監視センサ51が紙帯Tの戻り抜けを検出したとき、つまりOFFしたときに、記憶部22のモータ回転量カウントエリア、および従動ローラ回転量カウントエリアを「0」にリセットしてステップSA13へ移行する。紙帯監視センサ51bがONの場合は、前記の待機を継続する。
【0061】
SA13、第3の紙帯監視センサ46bが紙帯Tの戻り抜けを検出したことを認識した制御部21は、上記ステップSA4と同様にして、モータ回転量カウントエリアでカウントしたカウント数とテスト駆動パルス数とを比較しながら、紙帯搬送ローラ31の従動ローラ33の従動ローラ回転量を計測すると共に、時計部23により紙帯監視センサ51による紙帯Tの戻り抜けの検出後に、紙帯搬送モータ26へのパルスの供給を開始してからテスト駆動パルス数のパルスを供給し終えるまでの駆動時間を計測する。
【0062】
SA14、制御部21、紙帯搬送モータ26へ供給したパルス数がテスト駆動パルス数に達するのを待って待機しており、紙帯搬送モータ26へ供給したパルス数がテスト駆動パルス数に達したときに、ステップSA15へ移行する。紙帯搬送モータ26へ供給したパルス数がテスト駆動パルス数に達しない場合は、ステップSA13による計測を実行しながら前記の待機を継続する。
【0063】
SA15、紙帯搬送モータ26へ供給したパルス数がテスト駆動パルス数に達したことを認識した制御部21は、繰出搬送部43の図示しない繰出モータおよび紙帯搬送モータ26の回転を停止させると共に、記憶部22の従動ローラ回転量カウントエリアによる従動ローラ回転量の計測、および時計部23による駆動時間の計測を停止する。
SA16、各種の計測を停止した制御部21は、上記ステップSA7と同様にして、正常回転量判定値と従動ローラ回転量とを比較し、計測した従動ローラ回転量が正常回転量判定値以上の場合は、紙帯Tが正常に、つまり滑りなく搬送されたと判定してステップSA20へ移行する。
【0064】
計測した従動ローラ回転量が正常回転量判定値より少ない場合は、滑りまたはジャムが発生したと判定してステップSA17へ移行する。
SA17、滑りまたはジャムが発生したと判定した制御部21は、上記ステップSA8と同様にして、正常搬送時間判定値と計測した駆動時間とを比較し、計測した駆動時間が正常搬送時間判定値以下の場合は、紙帯Tの搬送時に滑りが発生したと判定してステップSA19へ移行する。
【0065】
計測した駆動時間が正常搬送時間判定値を超えている場合は、ジャムが発生したと判定してステップSA18へ移行する。
SA18、ジャムが発生したと判定した制御部21は、上記ステップSA9と同様にして、戻しジャム発生の旨に検出時刻を添付したログ情報を、記憶部22のログ情報記録エリアに書込んで、ステップSA20へ移行する。
【0066】
SA19、紙帯Tの搬送時に滑りが発生したと判定した制御部21は、上記ステップSA10と同様にして、戻し滑りが発生した旨に、検出時刻を添付したログ情報を、記憶部22のログ情報記録エリアに書込んで、ステップSA20へ移行する。
SA20、紙帯Tの搬送テストを終えた制御部21は、紙帯搬送モータ26等を、紙帯Tを供給方向Aへ搬送する方向へ回転させて紙帯Tを供給方向Aへ搬送(図10参照)し、紙帯監視センサ51が紙帯Tの先端を検出したときに、紙帯搬送モータ26等を停止させ、紙帯Tを紙帯監視センサ51まで繰出した状態にして、紙帯供給装置20の搬送テスト処理を終了させる。
【0067】
上記の搬送テストにおいて、ジャムや搬送不良は、紙帯監視センサ51のON、OFFの時間監視でのタイムアウト状態等で判定することが可能であるので、これらと滑りとを容易に区別することができる。
このように、本実施例においては、紙帯Tが、紙帯監視センサを通過したことにより紙帯搬送ローラ31による紙帯Tの挟持を確認し、紙帯搬送モータ26をテスト駆動パルス数駆動し、その間の紙帯搬送ローラ31の従動ローラ33の従動ローラ回転量を記憶部22の従動ローラ回転量カウントエリアでカウントしてその従動ローラ回転量を計測し、計測された従動ローラ回転量が正常回転量判定値より少なく、かつ駆動時間が正常搬送時間判定値以下のである場合に、紙帯Tと駆動ローラ32との間の滑りを検出するので、紙帯Tのジャムと、駆動ローラ32の摩擦係数の低下による滑りとを区別して滑りのみを正確に検出することができ、紙帯搬送ローラ31や36の経年変化や、紙帯Tのカット時に発生する紙帯Tの切粉、束ねる紙幣からの紙粉、外部からの粉塵等によって、紙帯Tと紙帯搬送ローラ31や36との間の摩擦係数が低下して絞り戻し動作時に滑りが生じて帯封の張力が低下し、小束にした紙幣の一部が抜けてしまう状態が発生することを防止することができる。
【0068】
また、紙帯Tにより束紙幣を結束する際の紙帯Tの供給時にも、上記と同様にして、紙帯Tの供給搬送時における滑りを検出し、ログ情報として記録することが可能になるので、滑り状態が検出できないために、緩んだままの施封を継続した後に異常に気付くといったことや、紙帯Tの滑りにより印字部24による印字にずれが生じ、紙帯Tへの印字が乱れてしまうといったことを防止して、帯封の緩んだ小束が大量に作成されたことによる施封のやり直し等のリペア時間を不要にして、施封における作業効率を向上させることができる他、運用において発生する施封状態における紙帯Tの絞り戻し時の緩みの発生を事前に検出することが可能になる。
【0069】
更に、帯封の緩みを誘発させる紙帯Tの搬送時の滑りを事前保守情報として記憶部22に記録するようにしたので、例えば、定期保守における機械個別の保守管理情報として使用することで、未然に障害や休止トラブルの発生を防止することができる。
更に、紙帯監視センサ51を1つ用いれば、滑りの検出が可能になるので、紙帯供給装置20の構造を簡素化して、その製造コストを低減することができる。
【0070】
以上説明したように、本実施例では、紙帯供給装置に、紙帯Tを挟持して搬送する駆動ローラと従動ローラからなる紙帯搬送ローラと、紙帯搬送ローラの駆動ローラを駆動する紙帯搬送モータと、紙帯搬送モータと駆動ローラとの間に設けられた、駆動ローラの駆動力を制限するトルクリミッタと、従動ローラの回転量を出力する回転検出センサと、紙帯搬送モータの駆動時間を計測する時計部とを設け、紙帯搬送ローラにより紙帯を挟持して紙帯搬送モータを所定のモータ回転量となるように駆動したときに、記憶部の従動ローラ回転量カウントエリアでカウントしてその間の従動ローラ回転量を計測する(従動ローラ回転量計測手段)と共に、その間の駆動時間を時計部で計測し、計測された従動ローラ回転量が、駆動したモータ回転量に相当する正常回転量判定値より少なく、かつ計測された駆動時間が正常搬送時間判定値以下である場合に、紙帯Tと従動ローラとの間の滑りを検出するようにしたことによって、ジャムと、従動ローラの摩擦係数の低下による滑りとを区別して滑りのみを正確に検出することができ、紙帯Tの絞り戻し動作時における滑りを防止して、適正な張力で帯封された小束を、効率的かつ容易に作成することができる。
【0071】
なお、上記各実施例においては、紙帯搬送モータは、ステッピングモータであるとして説明したが、エンコーダ付のDCモータでもよいことはいうまでもない。
また、上記各実施例においては、動力制限機構としてトルクリミッタを用いたが、ステッピングモータを仮に脱調させて代用したとしても同様であることはいうまでもない。
更に、上記各実施例においては、結束帯は紙帯であるとして説明したが、結束帯として他のフープ材(ロール材)を用いた場合も同様である。
【0072】
更に、上記各実施例においては、記憶部は内蔵メモリであるとして説明したが、外部に設けた記憶装置等でもよいことはいうまでもない。
更に、上記各実施例においては、紙帯供給装置を紙幣整理装置の施封部に適用した場合を例に説明したが、適用する整理装置は前記に限らず、整理する対象を、商品券や金券、チケット、切符等とし、摩擦力を用いてこれを結束帯で小束に結束する整理装置であればどのような整理装置に本発明の結束帯供給装置を適用しても上記と同様の効果が得られることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施例1の紙幣整理装置の内部構成を示す概略側面図
【図2】実施例1の紙帯供給装置を示すブロック図
【図3】実施例1の紙帯供給装置を示す説明図
【図4】実施例1の紙帯供給装置の搬送テスト処理を示すフローチャート
【図5】実施例1の搬送テスト処理の供給搬送テストを示す説明図
【図6】実施例1の搬送テスト処理の戻し搬送テストを示す説明図
【図7】実施例2の紙帯供給装置を示すブロック図
【図8】実施例2の紙帯供給装置を示す説明図
【図9】実施例2の紙帯供給装置の搬送テスト処理を示すフローチャート
【図10】実施例2の搬送テスト処理の供給搬送テストを示す説明図
【図11】実施例2の搬送テスト処理の戻し搬送テストを示す説明図
【符号の説明】
【0074】
1 紙幣整理装置
2 投入部
3 識別部
4a〜4e 搬送路
5 表裏反転部
6 リジェクトポケット
7 オープンポケット
8、8a〜8d 一時集積部
9 振分搬送路
10 移送部
11 把持部
13 施封部
14 受取口
15 排出口
20 紙帯供給装置
21 制御部
22 記憶部
23 時計部
24 印字部
25 紙帯リール
25a ホルダ軸
26 紙帯搬送モータ
26a モータ軸
27 トルクリミッタ
28、34、30 歯付プーリ
31、36 紙帯搬送ローラ
32a、33a、37a、38a ローラ軸
32、37 駆動ローラ
33、38 従動ローラ
35、40 歯付ベルト
42 コーナローラ
43 繰出搬送部
44 紙帯搬送経路
46a 第1の紙帯監視センサ
46b 第3の紙帯監視センサ
47、52 ロータリエンコーダ
48、53 回転円盤
49、54 フォトインタラプタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結束帯を挟持して搬送する駆動ローラと従動ローラからなる結束帯搬送ローラと、前記結束帯搬送ローラの前記結束帯の供給方向の上流側に配置された第1の結束帯監視センサと、前記結束帯搬送ローラの前記供給方向の下流側に配置された第2の結束帯監視センサと、前記結束帯搬送ローラの前記駆動ローラを駆動する結束帯搬送モータと、前記結束帯搬送モータのモータ回転量を計測するモータ回転量計測手段と、前記結束帯搬送モータと前記駆動ローラとの間に設けられた、前記駆動ローラの駆動力を制限するトルクリミッタと、前記駆動ローラの回転量を出力する回転検出センサと、該回転検出センサの出力を基に前記駆動ローラの駆動ローラ回転量を計測する駆動ローラ回転量計測手段とを備え、
前記結束帯が、前記第1の結束帯監視センサと、前記第2の結束帯監視センサとの間を通過する間の、前記モータ回転量を前記モータ回転量計測手段で計測すると共に、その間の前記駆動ローラ回転量を前記駆動ローラ回転量計測手段で計測し、
前記計測されたモータ回転量が正常搬送判定値を超え、かつ前記モータ回転量と前記駆動ローラ回転量との差が誤差判定値以下であることにより、前記結束帯と前記駆動ローラとの間の滑りを検出することを特徴とする結束帯供給装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記結束帯搬送モータを、ステッピングモータとし、前記モータ回転量計測手段が計測するモータ回転量を、前記ステッピングモータへ供給したパルス数で計測し、
前記回転検出センサをロータリエンコーダとし、前記駆動ローラ回転量計測手段が計測する前記駆動ローラ回転量を、前記ロータリエンコーダから出力されたパルス数で計測することを特徴とする結束帯供給装置。
【請求項3】
結束帯を挟持して搬送する駆動ローラと従動ローラからなる結束帯搬送ローラと、前記結束帯搬送ローラの前記駆動ローラを駆動する結束帯搬送モータと、前記結束帯搬送モータと前記駆動ローラとの間に設けられた、前記駆動ローラの駆動力を制限するトルクリミッタと、前記従動ローラの回転量を出力する回転検出センサと、該回転検出センサの出力を基に前記従動ローラの従動ローラ回転量を計測する従動ローラ回転量計測手段と、前記結束帯搬送モータの駆動時間を計測する時間計測手段とを備え、
前記結束帯搬送ローラにより前記結束帯を挟持して、前記結束帯搬送モータを所定のモータ回転量となるように駆動したときに、その間の前記従動ローラ回転量を前記従動ローラ回転量計測手段で計測すると共に、その間の前記駆動時間を時間計測手段で計測し、
前記計測された従動ローラ回転量が、前記駆動したモータ回転量に相当する正常回転量判定値より少なく、かつ前記計測された駆動時間が正常搬送時間判定値以下であることにより、前記結束帯と前記駆動ローラとの間の滑りを検出することを特徴とする結束帯供給装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記結束帯搬送モータを、ステッピングモータとし、前記所定のモータ回転量を、前記ステッピングモータへ供給するパルス数で設定し、
前記回転検出センサをロータリエンコーダとし、前記従動ローラ回転量計測手段が計測する前記従動ローラ回転量を、前記ロータリエンコーダから出力されたパルス数で計測することを特徴とする結束帯供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−234502(P2008−234502A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75772(P2007−75772)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】