結束装置及び結束テープの張力調節方法
【課題】 リールから引き出された結束テープの張力が、リールに巻付けられた結束テープの外径寸法に関わらず略一定に維持される結束装置及び結束テープの張力調節方法を提供する。
【解決手段】 所定長さの結束テープ3がリール2から引き出された時の当該リールの回転変位に応じて、サーボモータによってテープ巻上方向へ回転駆動されるリール2の回転トルクが調節される。また、リール2の回転変位(結束テープの外径寸法)が8段階に区分けされて、回転変位の段階(結束テープの外径寸法の段階)に応じてサーボモータの軸トルクが8段階に調節されてリール2の回転トルクが8段階に調節される。したがって、リール2の回転トルクが結束テープの外径寸法(残量)に応じて適正に調節されるため、結束テープの外径寸法に関わらず被結束物に巻付けられる結束テープの張力が略一定に保たれて、被結束物の締付力が適正に維持されるので、被結束物の品質が確保される。
【解決手段】 所定長さの結束テープ3がリール2から引き出された時の当該リールの回転変位に応じて、サーボモータによってテープ巻上方向へ回転駆動されるリール2の回転トルクが調節される。また、リール2の回転変位(結束テープの外径寸法)が8段階に区分けされて、回転変位の段階(結束テープの外径寸法の段階)に応じてサーボモータの軸トルクが8段階に調節されてリール2の回転トルクが8段階に調節される。したがって、リール2の回転トルクが結束テープの外径寸法(残量)に応じて適正に調節されるため、結束テープの外径寸法に関わらず被結束物に巻付けられる結束テープの張力が略一定に保たれて、被結束物の締付力が適正に維持されるので、被結束物の品質が確保される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リールから引き出された所定長さの結束テープが被結束物に巻付けられる結束装置及び結束テープの張力調節方法に関して、特に、リールがテープ巻上方向へ回転駆動されて結束テープに張力が付与される結束装置及び結束テープの張力調節方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、リールをテープ巻上方向へ回転駆動させて当該リールから引き出された結束テープに張力を付与させる結束装置が知られている。このような結束装置には、リールが電動モータによって回転駆動されるものがある。このような結束装置では、リールに、例えば長さが1000mの結束テープが巻付けられるため、リールに巻付けられた結束テープの外径寸法(以下、単に結束テープの外径寸法と称する。)が当該結束テープの引き出し初期(結束テープの外径寸法が比較的大きい時)と引き出し終期(結束テープの外径寸法が比較的小さい時)とで異なる。このため、このような結束装置では、電動モータの軸トルクが一定である場合に、結束テープの外径寸法(結束テープの残量)に応じて被結束物に巻付けられる結束テープの張力、即ち該結束テープによる被結束物の締付力が大きく変化する。
【0003】
したがって、上記結束装置では、結束テープの引き出し初期に被結束物の締付力が不足したり、また、結束テープの引き出し終期には結束テープの張力が過大になるといった不具合が生じていた。例えば、被結束物が野菜である場合には、締付力のばらつきが品質(商品価値)のばらつきに結びつくため、結束テープの外径寸法(結束テープの残量)に関わらず、一定の締付力が得られる結束装置が要望されていた。そこで、特許文献1には、電磁パウダークラッチを介してリールの軸が回転駆動される結束装置が開示されている。この結束装置では、電磁パウダークラッチの伝達トルクが調節されることで、結束テープの巻上力、即ち被結束物の締付力が調節される。しかしながら、このような電磁パウダークラッチを備える結束装置では、作業者は、結束テープの外径寸法(結束テープの残量)を定期的に確認して、該結束テープの外径寸法に応じて電磁パウダークラッチのボリュームを調整することが必要になる。
【0004】
そこで、特許文献2には、テープパッドに電磁ブレーキによってブレーキ力が与えられるようにしておいて、さらに、線条体の条長パルスデータと、線条体の外径データをもとに、予め条長、外径に対するデータテーブルを比較演算器に記憶しておいて、それぞれ対応するデータにて演算を行い、電磁ブレーキにかかる電圧を段階的に減少させることによって、テープの張力を一定に制御するようにしたテープ張力調整装置が開示されている。このテープ張力調整装置では、線条体計尺パルスと外径及びブレーキ力に対する相関関係を予め実測したデータに基づいてテープの張力が制御されることにより、手動連続調整に極めて近い調整が自動的に行われるため、特許文献1の結束装置のように結束テープの外径寸法(結束テープの残量)を定期的に確認する必要がない。しかしながら、このテープ張力調整装置では、データテーブルの選択されたデータに基づいて、テープパッドのブレーキ力が調節されてテープの張力が調整されるため、線条体毎に予めデータテーブルにデータを設定しておく必要があり、データテーブルの作成に時間と手間とを要する。
【特許文献1】特開2003−191911号公報(段落番号0019〜0030、図1)
【特許文献2】特開平9−40290号公報(段落番号0011及び0012、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、第1の目的は、リールから引き出された結束テープの張力が、リールに巻付けられた結束テープの外径寸法に関わらず略一定に維持される結束装置を提供することにある。
また、第2の目的は、リールから引き出された結束テープの張力が、リールに巻付けられた結束テープの外径寸法に関わらず略一定に維持される結束テープの張力調節方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記第1の目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、リールから引き出された所定長さの結束テープが被結束物に巻付けられる結束装置であって、リールがテープ巻上方向へ回転駆動されて結束テープに張力が付与されるリール駆動手段と、結束テープが引き出された時のリールの回転変位が検出される回転変位検出手段と、該回転変位検出手段の検出結果に応じてリールの回転トルクが調節されるトルク調節手段と、を含んで構成されることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の結束装置において、トルク調節手段は、回転変位検出手段の検出結果に応じてリールの回転トルクが複数段階に調節されることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の結束装置において、リール駆動手段には駆動源としてのサーボモータが設備されて、トルク調節手段によって回転変位検出手段の検出結果に応じてサーボモータの軸トルクが調節されてリールの回転トルクが調節されることを特徴とする。
【0007】
上記第2の目的を達成するために、本発明のうち請求項4に記載の発明は、上記請求項1〜3のいずれかに記載の結束装置に用いられる結束テープの張力調節方法であって、結束テープがリールから引き出された時のリールの回転変位に応じてリールのテープ巻上方向への回転トルクが調節されて被結束物へ巻付けられる結束テープの張力が調節されることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の結束テープの張力調節方法において、リールの回転トルクが該リールの回転変位に応じて複数段階に調節されることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の結束テープの張力調節方法において、リールがサーボモータによってテープ巻上方向へ回転駆動されて、該サーボモータの軸トルクがリールの回転変位に応じて調節されることでリールの回転トルクが調節されることを特徴とする。
【0008】
したがって、請求項1及び4に記載の発明では、結束テープがリールから引き出された時のリールの回転変位に応じてリールのテープ巻上方向への回転トルクが調節されて被結束物へ巻付けられる結束テープの張力が調節される。
請求項2及び5に記載の発明では、所定長さの被結束物がリールから引き出された時のリールの回転変位に応じてリールの回転トルクが複数段階に調節される。
請求項3及び6に記載の発明では、サーボモータの軸トルクが調節されてリールの回転トルクが調節される。
【発明の効果】
【0009】
リールから引き出された結束テープの張力が、リールに巻付けられた結束テープの外径寸法に関わらず略一定に維持される結束装置及び結束テープの張力調節方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の一実施の形態を図1〜図17に基づいて説明する。本結束装置1は、リール2から引き出された所定長さ(一定長さ)の結束テープ3が当該リール2と結束ヘッド下部5との間に張設されて、該リール2と結束ヘッド下部5との間に張設された結束テープ3が被結束物6に巻付けられる。そして、本結束装置1は、リール2をテープ巻上方向へ回転駆動させて被結束物6に巻付けられる結束テープ3に張力を付与させるリール駆動手段と、所定長さの結束テープ3がリール2から引き出された時のリール2の回転変位を検出する回転変位検出手段と、該回転変位検出手段の検出結果に応じてリール駆動手段によって回転駆動されるリール2の回転トルクを調節するトルク調節手段と、を含んで構成されて、該トルク調節手段によってリール2の回転トルクが段階的(本実施の形態では8段階)に調節されることにより、被結束物6に巻付けられる結束テープ3の張力が略一定に維持される構造になっている。
【0011】
また、図1に示されるように、本結束装置1は、投入装置によって被結束物6が順次供給された複数個のバケット7を被結束物搬送方向(図1における紙面視左方向)へ順次搬送すると共にこれらのバケット7を所定の軌道で巡回させるバケットコンベア8を備える。図2及び図3に示されるように、該バケットコンベア8は、装置幅方向(図3における紙面視上下方向)に延びて両端がフレーム10に固定された支持側シャフト11に2組のスプロケット対12,13が設けられる。また、上記フレーム10には、上記支持側シャフト11に対して被結束物搬送方向へ所定の軸距離で配置されて両端がフレーム10に回転可能に取付けられた駆動側シャフト14が設けられており、該駆動側シャフト14には2組のスプロケット対15,16が固着される。そして、上記バケットコンベア8は、スプロケット対12,13とスプロケット対15,16との同一平面(鉛直面)上に配置された各スプロケットに、各バケット搬送チェーン17(無端チェーン)が巻回されており、各バケット搬送チェーン17には、被結束物6が積載されるバケット7が所定間隔で複数配設される。
【0012】
なお、図1に示されるように、上記バケットコンベア8は、駆動側シャフト14がバケット駆動用モータ47によって駆動されることで各バケット7が巡回される構造になっている。また、上記バケットコンベア8は、各バケット搬送チェーン17のうち上側(図2における紙面視上側)を走行している部分が各レール18によって略水平に案内されると共に、各バケット搬送チェーン17に設けられた各バケット7が各レール18の終端で所定の軌道で旋回される。図4に示されるように、各バケット7は、装置幅方向(図4における紙面視方向)に2分割されて形成されて、矩形に形成された被結束物6(本実施の形態では、レトルト食品のパックを3つ重ねたもの。)の四辺が支持されると共に前側(図4における紙面視左側)の支持壁19が必要に応じて前方へ傾倒される構造になっている。なお、各バケット7の各支持壁19は、各引張コイルばね20のばね力によって起立された状態に保持される。
【0013】
また、本結束装置1は、結束ヘッド上部4と結束ヘッド下部5とを含んで構成される結束機構を備える。なお、本結束装置1は、既存の結束機構が設備されるので、ここでは、結束機構の概略構造のみを説明して各結束ヘッド4,5の詳細な説明を省略する。図5及び図6に示されるように、上記結束機構は、結束ヘッド下部5が、上記バケットコンベア8の終端に整合されてフレーム10の幅方向略中央に設けられる。また、図5及び図7に示されるように、上記結束機構は、上記結束ヘッド上部4が、一端がフレーム10に回転可能に取付けられたアーム21の他端に設けられる。そして、上記結束機構では、フレーム10に設けられたエアシリンダ22の駆動によって上記アーム21が支持軸の回りに図5における紙面視で時計回り方向へ回動される。これにより、結束ヘッド上部4と結束ヘッド下部5とが衝合されて、被結束物6に巻付けられた結束テープ3の尾部が合掌貼りされて切断されると共に、切断された結束テープ3の端部が結束ヘッド下部5によって保持される構造になっている。
【0014】
また、図5及び図8に示されるように、本結束装置1は、リール2と結束ヘッド下部5との間に張設された結束テープ3が所定長さだけ引き出されるテープ引き出し機構23を備える。該テープ引き出し機構23は、直動ガイド24によって水平方向(図5及び図8における紙面視左右方向)へ往復動可能なローラ対25を具備して、該ローラ対25のローラ間には、リール2から引き出された結束テープ3がローラ対27,28、29を介して通される。そして、上記テープ引き出し機構23は、リール2から引き出された結束テープ3の端部が結束ヘッド下部5に保持された状態で、上記ローラ対25がエアシリンダ26の駆動によって被結束物搬送方向(図5及び図8における紙面視左方向)へ移動されることにより、所定長さの結束テープ3がリール2から引き出される構造になっている。なお、本結束装置1では、ローラ対25が前進端位置(結束テープ3がリール2から引き出された直後の位置)に位置された状態で、ローラ対25と結束ヘッド下部5との間に張設された結束テープ3が、バケットコンベア8の終端を旋回するバケット7に収容された被結束物6に巻付けられるように構成される。
【0015】
また、図5及び図9に示されるように、本結束装置1は、バケットコンベア8の終端を旋回するバケット7に収容された被結束物6を押え付けて支持する被結束物押さえ機構30を備える。該被結束物押さえ機構30は、フレーム10に回転自在に配設された3つのガイドローラ31,32,33に巻回された丸ベルト34(無端ベルト)が結束ヘッド上部4の装置幅方向両側(図5及び図9における紙面視方向両側)に所定間隔で配設されて構成される。そして、本結束装置1では、上記被結束物押さえ機構30のガイドローラ32とガイドローラ33との間に張設された丸ベルト34によってバケット7に収容された被結束物6が押さえ付けられて支持されることにより、バケットコンベア8の終端を旋回中の被結束物6の姿勢が保持される。なお、図7及び図9に示されるように、上記被結束物押さえ機構30は、一端が上記アーム21の支持軸に回動可能に設けられて他端にガイドローラ31が取付けられた各アーム35が、各引張コイルばね36によって図7及び図9における紙面視で支持軸の回りに反時計回り方向へ付勢されて、各丸ベルト34に張力が付与される。
【0016】
また、本結束装置1では、図6に示されるように、結束ヘッド下部5の下方にエアシリンダ48の駆動によって進退されるプッシャ46が設けられており、所定のタイミングで該プッシャ46を前進させることにより、結束テープ3による結束が完了した被結束物6がバケット7から排出コンベア9に向けて搬出される構造になっている。図10及び図11に示されるように、本結束装置1は、リール2が、フレーム10に設置された軸受対37に回転可能に支持された軸部材38のフランジ部に固定される。また、本結束装置1は、フレーム10にモータ取付ブラケット39を介してサーボモータ40(リール駆動手段)が設けられて、該サーボモータ40のスピンドル41に固着された平歯車42が、上記軸部材28の他側に固着された平歯車43に噛合される。さらに、上記軸部材38の他端面には円板状に形成されたセンサドグ44(回転変位検出手段)が同心で設けられて、該センサドグ44の周縁には複数(本実施の形態では、15本。)のスリット(小穴等)が等配される。
【0017】
また、上記モータ取付ブラケット39には、センサドグ44の中心線回りの所定角度位相(以下、単に所定角度位相と称する。)に位置されるスリットを検出するマイクロフォトセンサ45(回転変位検出手段)が設けられる。そして、本結束装置1では、上記テープ引き出し機構23によって結束テープ3がリール2から引き出された時の当該リール2の回転変位が、マイクロフォトセンサ45で検出されたセンサドグ44のスリットの数によって検出される構造になっている。また、本結束装置1は、上記サーボモータ40の軸トルクがマイクロコンピュータによって構成される制御装置(トルク調節手段)の制御に基づいてコントロールされる。そして、本結束装置1では、上記制御装置の制御に基づいてサーボモータ40の軸トルクが調節されてリール2の回転トルクが調節される構造になっている。
【0018】
上記制御装置は、図12に示されるデータテーブルが当該制御装置の記憶部に格納される。該データテーブルは、被結束物6に約0.1Nの締付力を付与させる場合に、上記マイクロフォトセンサ45から出力された検出信号(パルス信号)のパルス数(4以下、5、6、7、8、9、10、11以上、の8段階)に対して、リール2の回転トルクを8段階で対応させたものである。そして、上記制御装置では、上記マイクロフォトセンサ45から出力された検出信号(パルス信号)のパルス数に応じてサーボモータ40の軸トルクが8段階に設定されることで、リール2の回転トルク、即ち被結束物6に巻付けられる結束テープ3の張力が8段階に調節される構造になっている。なお、上記制御装置の出力信号(サーボモータ制御信号)は、シーケンサ、アナログ出力ユニットを介してサーボモータ40へ入力される。
【0019】
次に、本結束装置1の作用を説明する。なお、本実施の形態では、被結束物6が、投入装置によって順次結束可能に供給される3パックの重ねられたレトルト食品(被結束物)である。図5及び図13に示されるのは、テープ引き出し機構23によって結束テープ3がリール2から引き出される直前の状態である。この状態で、図14に示されるように、テープ引き出し機構23によって所定長さ(本実施の形態では、230mm。)の結束テープ3がリール2から引き出される。これにより、所定長さの結束テープ3がリール2から引き出されて、リール2が軸部材38の中心線の回りに、当該リール2に巻付けられた結束テープ3の外径寸法(以下、単に結束テープ3の外径寸法と称する。)に応じた角度位相だけテープ引き出し方向(図5における紙面視反時計回り方向)へ回転される。そして、リール2が回転されるのに伴ってセンサドグ44(回転変位検出手段)が回転されて、該センサドグ44の回転変位に応じた数のスリットがマイクロフォトセンサ45(回転変位検出手段)によって検出される。
【0020】
上記マイクロフォトセンサ45は、検出されたスリットの数に応じたパルス数のパルス信号を出力して、該パルス信号が制御装置(トルク調節手段)に入力される。該制御装置では、図12に示されるデータテーブルに基づいて、入力されたパルス信号のパルス数に応じてリール2の回転トルクが8段階のうちいずれかの段階に設定されて、該設定されたリール2の回転トルクに応じてサーボモータ40(トルク調節手段)の軸トルクが設定される。なお、図12に示されるように、本実施の形態では、リール2に巻付けられた結束テープ3の最大半径寸法が152.5mm、最小半径寸法が45mmであって、パルス数が4以下である場合のリール2の回転トルクが1.49Nm、パルス数が5である場合のリール2の回転トルクが1.34Nm、パルス数が6である場合のサーボモータ40の軸トルクが1.19Nm、パルス数が7である場合のリール2の回転トルクが1.04Nm、パルス数が8である場合のリール2の回転トルクが0.89Nm、パルス数が9である場合のリール2の回転トルクが0.75Nm、パルス数が10である場合のリール2の回転トルクが0.59Nm、パルス数が11以上である場合のリール2の回転トルクが0.44Nm、に設定される。
【0021】
次に、図14に示されるように、テープ引き出し機構23のローラ対25を被結束物搬送方向に対して反対方向(図14における紙面視右方向)へ移動(後退)させつつ、被結束物2が収容されたバケット7をバケットコンベア8の終端(図14における紙面視左側の端)で旋回させる。そして、図15に示されるように、ローラ対25が後退端位置に位置されると共に結束テープ3が途中まで巻付けられている被結束物6を収容するバケット7aが結束位置(図15におけるバケット7aの位置)に位置決めされた状態で、図16に示されるように、結束機構のアーム21(図7参照)を回動させて結束ヘッド上部4と結束ヘッド下部5とを該被結束物6の底面で衝合させる。これにより、被結束物6に巻付けられた結束テープ3が当該被結束物6の底面で合掌貼りされて切断されると共に、リール2に連続する結束テープ3の端部が結束ヘッド下部5に保持される。
【0022】
次に、図17に示されるように、結束機構のアーム21(図7参照)を回動させることで結束ヘッド上部4を上昇させて当該結束ヘッド上部4を待機位置(図17における結束ヘッド上部4の位置)に位置決めさせる。そして、結束ヘッド上部4が待機位置に位置決めされた後に、テープ引き出し機構23によって所定長さの結束テープ3をリール2から引き出しつつ、各バケット7を1ピッチ(図16において、次に結束される被結束物6を収容して待機しているバケット7bが結束位置に到達する距離)だけ順方向へ送る。なお、上述したように、ここでも、結束テープ3の引き出し時にマイクロフォトセンサ45によって検出されたセンサドグ44のスリットの数に応じてサーボモータ40の軸トルクが8段階に設定されることで、リール2の回転トルク、即ち被結束物6に巻付けられる結束テープ3の張力が8段階に調節される。また、バケット7aに収容された結束が完了した被結束物6は、プッシャ46(図6参照)によって払い出されて排出コンベア9によって装置外へ搬出される。
【0023】
この実施の形態では以下の効果を奏する。
本結束装置1では、所定長さの結束テープ3がリール2から引き出された時の当該リール2の回転変位に応じて、サーボモータ40(リール駆動手段)によってテープ巻上方向へ回転駆動されるリール2の回転トルクが調節される。また、本結束装置1では、該リール2の回転変位(結束テープ3の外径寸法)が8段階に区分けされて、該回転変位の段階(結束テープ3の外径寸法の段階)に応じてサーボモータ40の軸トルクが8段階に調節されてリール2の回転トルクが8段階に調節される。
したがって、本結束装置1では、リール2の回転トルクが結束テープ3の外径寸法(残量)に応じて適正に調節されるため、当該結束テープ3の外径寸法に関わらず被結束物6に巻付けられる結束テープ3の張力が略一定に保たれて、被結束物6の締付力が適正に維持されるので、被結束物6の品質(商品価値)が確保される。
【0024】
また、本結束装置1では、リール2に対して従動回転されるセンサドグ44(回転変位検出手段)のスリットがマイクロフォトセンサ45(回転変位検出手段)によって検出されて、該マイクロフォトセンサ45によって検出されたスリットの数に応じて当該マイクロフォトセンサ45からパルス信号が出力される。そして、制御装置(トルク調節手段)が、記憶部に格納されたデータテーブルに基づいて、パルス信号のパルス数に応じてサーボモータ40(トルク調節手段)の軸トルクが8段階に調節される。
したがって、本結束装置1では、精度(回転変位の検出精度、リール2の回転トルク調節精度)が極めて高いため装置としての信頼性が高く、被結束物6の品質が確保される。また、センサドグ44の分解能(スリットの数)を変更すると共に、該センサドグ44に対応させてデータテーブルを準備するだけで、多種多様の被結束物6に対応される。さらに、本結束装置1では、リール2の回転トルク制御がシンプルに行われるため、装置の信頼性が高い。
【0025】
また、本結束装置1では、被結束物6が当該被結束物6の底面(バケット7の底面)で結束テープ3によって結束されるため、被結束物6に巻付けられた結束テープ3の両側が被結束物6の底面に向けて引張られて被結束物6が確実に締付けられる。これにより、例えば被結束物6の表面に水滴が付着していて結束テープ3が貼着しづらい場合であっても、被結束物6が確実に結束される。また、被結束物6が当該被結束物6の底面(裏面)で結束されるため、袋端部が結束テープ3に挟まれることなく被結束物6が結束される。
【0026】
なお、実施の形態は上記に限定されるものではなく、例えば次のように構成してもよい。
本実施の形態では、サーボモータ40の軸トルクが8段階に調節(結束テープ3の外径寸法が8段階に区分け)されて、被結束物6に巻付けられた結束テープ3を巻上げる時のリール2の回転トルク、即ち被結束物6の締付力が8段階に調節されるが、例えば、更に細かく被結束物6の締付力を調節したい場合には、センサドグ44の分解能(スリットの数)を増加させると共に、該センサドグ44に対応させたデータテーブルを準備すればよい。
回転変位検出手段は、センサドグ44とマイクロフォトセンサ45とで構成する必要はなく、例えば、ロータリエンコーダを用いて構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本結束装置の正面図である。
【図2】本結束装置の説明図で、バケットコンベアの正面図である。
【図3】本結束装置の説明図で、バケットコンベアの平面図である。
【図4】本結束装置の説明図で、バケットの正面図である。
【図5】本結束装置の説明図で、結束機構周辺を示す図である。
【図6】本結束装置の説明図で、バケットコンベアの終端周辺を示す図である。
【図7】本結束装置の説明図で、結束ヘッド上部周辺を示す図である。
【図8】本結束装置の説明図で、テープ引き出し機構を示す図である。
【図9】本結束装置の説明図で、被結束物押さえ機構を示す図である。
【図10】本結束装置の説明図で、リール周辺を示す図である。
【図11】本結束装置の説明図で、リール駆動手段及び回転変位検出手段の構造を示す図である。
【図12】本結束装置の説明図で、制御装置の記憶部に格納されるデータテーブルの模式図である。
【図13】本結束装置の説明図で、最初に結束される被結束物が収容されたバケットが待機位置で待機した状態を示す図である。
【図14】図13に示された状態から、結束テープがリールから引き出された状態を示す図である。
【図15】図14に示された状態から、最初に結束される被結束物が収容されたバケットが結束位置に位置決めされた状態を示す図である。
【図16】図15に示された状態で、結束ヘッド上部と結束ヘッド下部とが衝合された状態を示す図である。
【図17】図16に示された状態から、結束ヘッド上部が上昇して待機に位置決めされた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 結束装置、2 リール、3 結束テープ、6 被結束物、40 サーボモータ(リール駆動手段)、44 センサドグ(回転変位検出手段)、45 マイクロフォトセンサ(回転変位検出手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、リールから引き出された所定長さの結束テープが被結束物に巻付けられる結束装置及び結束テープの張力調節方法に関して、特に、リールがテープ巻上方向へ回転駆動されて結束テープに張力が付与される結束装置及び結束テープの張力調節方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、リールをテープ巻上方向へ回転駆動させて当該リールから引き出された結束テープに張力を付与させる結束装置が知られている。このような結束装置には、リールが電動モータによって回転駆動されるものがある。このような結束装置では、リールに、例えば長さが1000mの結束テープが巻付けられるため、リールに巻付けられた結束テープの外径寸法(以下、単に結束テープの外径寸法と称する。)が当該結束テープの引き出し初期(結束テープの外径寸法が比較的大きい時)と引き出し終期(結束テープの外径寸法が比較的小さい時)とで異なる。このため、このような結束装置では、電動モータの軸トルクが一定である場合に、結束テープの外径寸法(結束テープの残量)に応じて被結束物に巻付けられる結束テープの張力、即ち該結束テープによる被結束物の締付力が大きく変化する。
【0003】
したがって、上記結束装置では、結束テープの引き出し初期に被結束物の締付力が不足したり、また、結束テープの引き出し終期には結束テープの張力が過大になるといった不具合が生じていた。例えば、被結束物が野菜である場合には、締付力のばらつきが品質(商品価値)のばらつきに結びつくため、結束テープの外径寸法(結束テープの残量)に関わらず、一定の締付力が得られる結束装置が要望されていた。そこで、特許文献1には、電磁パウダークラッチを介してリールの軸が回転駆動される結束装置が開示されている。この結束装置では、電磁パウダークラッチの伝達トルクが調節されることで、結束テープの巻上力、即ち被結束物の締付力が調節される。しかしながら、このような電磁パウダークラッチを備える結束装置では、作業者は、結束テープの外径寸法(結束テープの残量)を定期的に確認して、該結束テープの外径寸法に応じて電磁パウダークラッチのボリュームを調整することが必要になる。
【0004】
そこで、特許文献2には、テープパッドに電磁ブレーキによってブレーキ力が与えられるようにしておいて、さらに、線条体の条長パルスデータと、線条体の外径データをもとに、予め条長、外径に対するデータテーブルを比較演算器に記憶しておいて、それぞれ対応するデータにて演算を行い、電磁ブレーキにかかる電圧を段階的に減少させることによって、テープの張力を一定に制御するようにしたテープ張力調整装置が開示されている。このテープ張力調整装置では、線条体計尺パルスと外径及びブレーキ力に対する相関関係を予め実測したデータに基づいてテープの張力が制御されることにより、手動連続調整に極めて近い調整が自動的に行われるため、特許文献1の結束装置のように結束テープの外径寸法(結束テープの残量)を定期的に確認する必要がない。しかしながら、このテープ張力調整装置では、データテーブルの選択されたデータに基づいて、テープパッドのブレーキ力が調節されてテープの張力が調整されるため、線条体毎に予めデータテーブルにデータを設定しておく必要があり、データテーブルの作成に時間と手間とを要する。
【特許文献1】特開2003−191911号公報(段落番号0019〜0030、図1)
【特許文献2】特開平9−40290号公報(段落番号0011及び0012、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、第1の目的は、リールから引き出された結束テープの張力が、リールに巻付けられた結束テープの外径寸法に関わらず略一定に維持される結束装置を提供することにある。
また、第2の目的は、リールから引き出された結束テープの張力が、リールに巻付けられた結束テープの外径寸法に関わらず略一定に維持される結束テープの張力調節方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記第1の目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、リールから引き出された所定長さの結束テープが被結束物に巻付けられる結束装置であって、リールがテープ巻上方向へ回転駆動されて結束テープに張力が付与されるリール駆動手段と、結束テープが引き出された時のリールの回転変位が検出される回転変位検出手段と、該回転変位検出手段の検出結果に応じてリールの回転トルクが調節されるトルク調節手段と、を含んで構成されることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の結束装置において、トルク調節手段は、回転変位検出手段の検出結果に応じてリールの回転トルクが複数段階に調節されることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の結束装置において、リール駆動手段には駆動源としてのサーボモータが設備されて、トルク調節手段によって回転変位検出手段の検出結果に応じてサーボモータの軸トルクが調節されてリールの回転トルクが調節されることを特徴とする。
【0007】
上記第2の目的を達成するために、本発明のうち請求項4に記載の発明は、上記請求項1〜3のいずれかに記載の結束装置に用いられる結束テープの張力調節方法であって、結束テープがリールから引き出された時のリールの回転変位に応じてリールのテープ巻上方向への回転トルクが調節されて被結束物へ巻付けられる結束テープの張力が調節されることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の結束テープの張力調節方法において、リールの回転トルクが該リールの回転変位に応じて複数段階に調節されることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の結束テープの張力調節方法において、リールがサーボモータによってテープ巻上方向へ回転駆動されて、該サーボモータの軸トルクがリールの回転変位に応じて調節されることでリールの回転トルクが調節されることを特徴とする。
【0008】
したがって、請求項1及び4に記載の発明では、結束テープがリールから引き出された時のリールの回転変位に応じてリールのテープ巻上方向への回転トルクが調節されて被結束物へ巻付けられる結束テープの張力が調節される。
請求項2及び5に記載の発明では、所定長さの被結束物がリールから引き出された時のリールの回転変位に応じてリールの回転トルクが複数段階に調節される。
請求項3及び6に記載の発明では、サーボモータの軸トルクが調節されてリールの回転トルクが調節される。
【発明の効果】
【0009】
リールから引き出された結束テープの張力が、リールに巻付けられた結束テープの外径寸法に関わらず略一定に維持される結束装置及び結束テープの張力調節方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の一実施の形態を図1〜図17に基づいて説明する。本結束装置1は、リール2から引き出された所定長さ(一定長さ)の結束テープ3が当該リール2と結束ヘッド下部5との間に張設されて、該リール2と結束ヘッド下部5との間に張設された結束テープ3が被結束物6に巻付けられる。そして、本結束装置1は、リール2をテープ巻上方向へ回転駆動させて被結束物6に巻付けられる結束テープ3に張力を付与させるリール駆動手段と、所定長さの結束テープ3がリール2から引き出された時のリール2の回転変位を検出する回転変位検出手段と、該回転変位検出手段の検出結果に応じてリール駆動手段によって回転駆動されるリール2の回転トルクを調節するトルク調節手段と、を含んで構成されて、該トルク調節手段によってリール2の回転トルクが段階的(本実施の形態では8段階)に調節されることにより、被結束物6に巻付けられる結束テープ3の張力が略一定に維持される構造になっている。
【0011】
また、図1に示されるように、本結束装置1は、投入装置によって被結束物6が順次供給された複数個のバケット7を被結束物搬送方向(図1における紙面視左方向)へ順次搬送すると共にこれらのバケット7を所定の軌道で巡回させるバケットコンベア8を備える。図2及び図3に示されるように、該バケットコンベア8は、装置幅方向(図3における紙面視上下方向)に延びて両端がフレーム10に固定された支持側シャフト11に2組のスプロケット対12,13が設けられる。また、上記フレーム10には、上記支持側シャフト11に対して被結束物搬送方向へ所定の軸距離で配置されて両端がフレーム10に回転可能に取付けられた駆動側シャフト14が設けられており、該駆動側シャフト14には2組のスプロケット対15,16が固着される。そして、上記バケットコンベア8は、スプロケット対12,13とスプロケット対15,16との同一平面(鉛直面)上に配置された各スプロケットに、各バケット搬送チェーン17(無端チェーン)が巻回されており、各バケット搬送チェーン17には、被結束物6が積載されるバケット7が所定間隔で複数配設される。
【0012】
なお、図1に示されるように、上記バケットコンベア8は、駆動側シャフト14がバケット駆動用モータ47によって駆動されることで各バケット7が巡回される構造になっている。また、上記バケットコンベア8は、各バケット搬送チェーン17のうち上側(図2における紙面視上側)を走行している部分が各レール18によって略水平に案内されると共に、各バケット搬送チェーン17に設けられた各バケット7が各レール18の終端で所定の軌道で旋回される。図4に示されるように、各バケット7は、装置幅方向(図4における紙面視方向)に2分割されて形成されて、矩形に形成された被結束物6(本実施の形態では、レトルト食品のパックを3つ重ねたもの。)の四辺が支持されると共に前側(図4における紙面視左側)の支持壁19が必要に応じて前方へ傾倒される構造になっている。なお、各バケット7の各支持壁19は、各引張コイルばね20のばね力によって起立された状態に保持される。
【0013】
また、本結束装置1は、結束ヘッド上部4と結束ヘッド下部5とを含んで構成される結束機構を備える。なお、本結束装置1は、既存の結束機構が設備されるので、ここでは、結束機構の概略構造のみを説明して各結束ヘッド4,5の詳細な説明を省略する。図5及び図6に示されるように、上記結束機構は、結束ヘッド下部5が、上記バケットコンベア8の終端に整合されてフレーム10の幅方向略中央に設けられる。また、図5及び図7に示されるように、上記結束機構は、上記結束ヘッド上部4が、一端がフレーム10に回転可能に取付けられたアーム21の他端に設けられる。そして、上記結束機構では、フレーム10に設けられたエアシリンダ22の駆動によって上記アーム21が支持軸の回りに図5における紙面視で時計回り方向へ回動される。これにより、結束ヘッド上部4と結束ヘッド下部5とが衝合されて、被結束物6に巻付けられた結束テープ3の尾部が合掌貼りされて切断されると共に、切断された結束テープ3の端部が結束ヘッド下部5によって保持される構造になっている。
【0014】
また、図5及び図8に示されるように、本結束装置1は、リール2と結束ヘッド下部5との間に張設された結束テープ3が所定長さだけ引き出されるテープ引き出し機構23を備える。該テープ引き出し機構23は、直動ガイド24によって水平方向(図5及び図8における紙面視左右方向)へ往復動可能なローラ対25を具備して、該ローラ対25のローラ間には、リール2から引き出された結束テープ3がローラ対27,28、29を介して通される。そして、上記テープ引き出し機構23は、リール2から引き出された結束テープ3の端部が結束ヘッド下部5に保持された状態で、上記ローラ対25がエアシリンダ26の駆動によって被結束物搬送方向(図5及び図8における紙面視左方向)へ移動されることにより、所定長さの結束テープ3がリール2から引き出される構造になっている。なお、本結束装置1では、ローラ対25が前進端位置(結束テープ3がリール2から引き出された直後の位置)に位置された状態で、ローラ対25と結束ヘッド下部5との間に張設された結束テープ3が、バケットコンベア8の終端を旋回するバケット7に収容された被結束物6に巻付けられるように構成される。
【0015】
また、図5及び図9に示されるように、本結束装置1は、バケットコンベア8の終端を旋回するバケット7に収容された被結束物6を押え付けて支持する被結束物押さえ機構30を備える。該被結束物押さえ機構30は、フレーム10に回転自在に配設された3つのガイドローラ31,32,33に巻回された丸ベルト34(無端ベルト)が結束ヘッド上部4の装置幅方向両側(図5及び図9における紙面視方向両側)に所定間隔で配設されて構成される。そして、本結束装置1では、上記被結束物押さえ機構30のガイドローラ32とガイドローラ33との間に張設された丸ベルト34によってバケット7に収容された被結束物6が押さえ付けられて支持されることにより、バケットコンベア8の終端を旋回中の被結束物6の姿勢が保持される。なお、図7及び図9に示されるように、上記被結束物押さえ機構30は、一端が上記アーム21の支持軸に回動可能に設けられて他端にガイドローラ31が取付けられた各アーム35が、各引張コイルばね36によって図7及び図9における紙面視で支持軸の回りに反時計回り方向へ付勢されて、各丸ベルト34に張力が付与される。
【0016】
また、本結束装置1では、図6に示されるように、結束ヘッド下部5の下方にエアシリンダ48の駆動によって進退されるプッシャ46が設けられており、所定のタイミングで該プッシャ46を前進させることにより、結束テープ3による結束が完了した被結束物6がバケット7から排出コンベア9に向けて搬出される構造になっている。図10及び図11に示されるように、本結束装置1は、リール2が、フレーム10に設置された軸受対37に回転可能に支持された軸部材38のフランジ部に固定される。また、本結束装置1は、フレーム10にモータ取付ブラケット39を介してサーボモータ40(リール駆動手段)が設けられて、該サーボモータ40のスピンドル41に固着された平歯車42が、上記軸部材28の他側に固着された平歯車43に噛合される。さらに、上記軸部材38の他端面には円板状に形成されたセンサドグ44(回転変位検出手段)が同心で設けられて、該センサドグ44の周縁には複数(本実施の形態では、15本。)のスリット(小穴等)が等配される。
【0017】
また、上記モータ取付ブラケット39には、センサドグ44の中心線回りの所定角度位相(以下、単に所定角度位相と称する。)に位置されるスリットを検出するマイクロフォトセンサ45(回転変位検出手段)が設けられる。そして、本結束装置1では、上記テープ引き出し機構23によって結束テープ3がリール2から引き出された時の当該リール2の回転変位が、マイクロフォトセンサ45で検出されたセンサドグ44のスリットの数によって検出される構造になっている。また、本結束装置1は、上記サーボモータ40の軸トルクがマイクロコンピュータによって構成される制御装置(トルク調節手段)の制御に基づいてコントロールされる。そして、本結束装置1では、上記制御装置の制御に基づいてサーボモータ40の軸トルクが調節されてリール2の回転トルクが調節される構造になっている。
【0018】
上記制御装置は、図12に示されるデータテーブルが当該制御装置の記憶部に格納される。該データテーブルは、被結束物6に約0.1Nの締付力を付与させる場合に、上記マイクロフォトセンサ45から出力された検出信号(パルス信号)のパルス数(4以下、5、6、7、8、9、10、11以上、の8段階)に対して、リール2の回転トルクを8段階で対応させたものである。そして、上記制御装置では、上記マイクロフォトセンサ45から出力された検出信号(パルス信号)のパルス数に応じてサーボモータ40の軸トルクが8段階に設定されることで、リール2の回転トルク、即ち被結束物6に巻付けられる結束テープ3の張力が8段階に調節される構造になっている。なお、上記制御装置の出力信号(サーボモータ制御信号)は、シーケンサ、アナログ出力ユニットを介してサーボモータ40へ入力される。
【0019】
次に、本結束装置1の作用を説明する。なお、本実施の形態では、被結束物6が、投入装置によって順次結束可能に供給される3パックの重ねられたレトルト食品(被結束物)である。図5及び図13に示されるのは、テープ引き出し機構23によって結束テープ3がリール2から引き出される直前の状態である。この状態で、図14に示されるように、テープ引き出し機構23によって所定長さ(本実施の形態では、230mm。)の結束テープ3がリール2から引き出される。これにより、所定長さの結束テープ3がリール2から引き出されて、リール2が軸部材38の中心線の回りに、当該リール2に巻付けられた結束テープ3の外径寸法(以下、単に結束テープ3の外径寸法と称する。)に応じた角度位相だけテープ引き出し方向(図5における紙面視反時計回り方向)へ回転される。そして、リール2が回転されるのに伴ってセンサドグ44(回転変位検出手段)が回転されて、該センサドグ44の回転変位に応じた数のスリットがマイクロフォトセンサ45(回転変位検出手段)によって検出される。
【0020】
上記マイクロフォトセンサ45は、検出されたスリットの数に応じたパルス数のパルス信号を出力して、該パルス信号が制御装置(トルク調節手段)に入力される。該制御装置では、図12に示されるデータテーブルに基づいて、入力されたパルス信号のパルス数に応じてリール2の回転トルクが8段階のうちいずれかの段階に設定されて、該設定されたリール2の回転トルクに応じてサーボモータ40(トルク調節手段)の軸トルクが設定される。なお、図12に示されるように、本実施の形態では、リール2に巻付けられた結束テープ3の最大半径寸法が152.5mm、最小半径寸法が45mmであって、パルス数が4以下である場合のリール2の回転トルクが1.49Nm、パルス数が5である場合のリール2の回転トルクが1.34Nm、パルス数が6である場合のサーボモータ40の軸トルクが1.19Nm、パルス数が7である場合のリール2の回転トルクが1.04Nm、パルス数が8である場合のリール2の回転トルクが0.89Nm、パルス数が9である場合のリール2の回転トルクが0.75Nm、パルス数が10である場合のリール2の回転トルクが0.59Nm、パルス数が11以上である場合のリール2の回転トルクが0.44Nm、に設定される。
【0021】
次に、図14に示されるように、テープ引き出し機構23のローラ対25を被結束物搬送方向に対して反対方向(図14における紙面視右方向)へ移動(後退)させつつ、被結束物2が収容されたバケット7をバケットコンベア8の終端(図14における紙面視左側の端)で旋回させる。そして、図15に示されるように、ローラ対25が後退端位置に位置されると共に結束テープ3が途中まで巻付けられている被結束物6を収容するバケット7aが結束位置(図15におけるバケット7aの位置)に位置決めされた状態で、図16に示されるように、結束機構のアーム21(図7参照)を回動させて結束ヘッド上部4と結束ヘッド下部5とを該被結束物6の底面で衝合させる。これにより、被結束物6に巻付けられた結束テープ3が当該被結束物6の底面で合掌貼りされて切断されると共に、リール2に連続する結束テープ3の端部が結束ヘッド下部5に保持される。
【0022】
次に、図17に示されるように、結束機構のアーム21(図7参照)を回動させることで結束ヘッド上部4を上昇させて当該結束ヘッド上部4を待機位置(図17における結束ヘッド上部4の位置)に位置決めさせる。そして、結束ヘッド上部4が待機位置に位置決めされた後に、テープ引き出し機構23によって所定長さの結束テープ3をリール2から引き出しつつ、各バケット7を1ピッチ(図16において、次に結束される被結束物6を収容して待機しているバケット7bが結束位置に到達する距離)だけ順方向へ送る。なお、上述したように、ここでも、結束テープ3の引き出し時にマイクロフォトセンサ45によって検出されたセンサドグ44のスリットの数に応じてサーボモータ40の軸トルクが8段階に設定されることで、リール2の回転トルク、即ち被結束物6に巻付けられる結束テープ3の張力が8段階に調節される。また、バケット7aに収容された結束が完了した被結束物6は、プッシャ46(図6参照)によって払い出されて排出コンベア9によって装置外へ搬出される。
【0023】
この実施の形態では以下の効果を奏する。
本結束装置1では、所定長さの結束テープ3がリール2から引き出された時の当該リール2の回転変位に応じて、サーボモータ40(リール駆動手段)によってテープ巻上方向へ回転駆動されるリール2の回転トルクが調節される。また、本結束装置1では、該リール2の回転変位(結束テープ3の外径寸法)が8段階に区分けされて、該回転変位の段階(結束テープ3の外径寸法の段階)に応じてサーボモータ40の軸トルクが8段階に調節されてリール2の回転トルクが8段階に調節される。
したがって、本結束装置1では、リール2の回転トルクが結束テープ3の外径寸法(残量)に応じて適正に調節されるため、当該結束テープ3の外径寸法に関わらず被結束物6に巻付けられる結束テープ3の張力が略一定に保たれて、被結束物6の締付力が適正に維持されるので、被結束物6の品質(商品価値)が確保される。
【0024】
また、本結束装置1では、リール2に対して従動回転されるセンサドグ44(回転変位検出手段)のスリットがマイクロフォトセンサ45(回転変位検出手段)によって検出されて、該マイクロフォトセンサ45によって検出されたスリットの数に応じて当該マイクロフォトセンサ45からパルス信号が出力される。そして、制御装置(トルク調節手段)が、記憶部に格納されたデータテーブルに基づいて、パルス信号のパルス数に応じてサーボモータ40(トルク調節手段)の軸トルクが8段階に調節される。
したがって、本結束装置1では、精度(回転変位の検出精度、リール2の回転トルク調節精度)が極めて高いため装置としての信頼性が高く、被結束物6の品質が確保される。また、センサドグ44の分解能(スリットの数)を変更すると共に、該センサドグ44に対応させてデータテーブルを準備するだけで、多種多様の被結束物6に対応される。さらに、本結束装置1では、リール2の回転トルク制御がシンプルに行われるため、装置の信頼性が高い。
【0025】
また、本結束装置1では、被結束物6が当該被結束物6の底面(バケット7の底面)で結束テープ3によって結束されるため、被結束物6に巻付けられた結束テープ3の両側が被結束物6の底面に向けて引張られて被結束物6が確実に締付けられる。これにより、例えば被結束物6の表面に水滴が付着していて結束テープ3が貼着しづらい場合であっても、被結束物6が確実に結束される。また、被結束物6が当該被結束物6の底面(裏面)で結束されるため、袋端部が結束テープ3に挟まれることなく被結束物6が結束される。
【0026】
なお、実施の形態は上記に限定されるものではなく、例えば次のように構成してもよい。
本実施の形態では、サーボモータ40の軸トルクが8段階に調節(結束テープ3の外径寸法が8段階に区分け)されて、被結束物6に巻付けられた結束テープ3を巻上げる時のリール2の回転トルク、即ち被結束物6の締付力が8段階に調節されるが、例えば、更に細かく被結束物6の締付力を調節したい場合には、センサドグ44の分解能(スリットの数)を増加させると共に、該センサドグ44に対応させたデータテーブルを準備すればよい。
回転変位検出手段は、センサドグ44とマイクロフォトセンサ45とで構成する必要はなく、例えば、ロータリエンコーダを用いて構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本結束装置の正面図である。
【図2】本結束装置の説明図で、バケットコンベアの正面図である。
【図3】本結束装置の説明図で、バケットコンベアの平面図である。
【図4】本結束装置の説明図で、バケットの正面図である。
【図5】本結束装置の説明図で、結束機構周辺を示す図である。
【図6】本結束装置の説明図で、バケットコンベアの終端周辺を示す図である。
【図7】本結束装置の説明図で、結束ヘッド上部周辺を示す図である。
【図8】本結束装置の説明図で、テープ引き出し機構を示す図である。
【図9】本結束装置の説明図で、被結束物押さえ機構を示す図である。
【図10】本結束装置の説明図で、リール周辺を示す図である。
【図11】本結束装置の説明図で、リール駆動手段及び回転変位検出手段の構造を示す図である。
【図12】本結束装置の説明図で、制御装置の記憶部に格納されるデータテーブルの模式図である。
【図13】本結束装置の説明図で、最初に結束される被結束物が収容されたバケットが待機位置で待機した状態を示す図である。
【図14】図13に示された状態から、結束テープがリールから引き出された状態を示す図である。
【図15】図14に示された状態から、最初に結束される被結束物が収容されたバケットが結束位置に位置決めされた状態を示す図である。
【図16】図15に示された状態で、結束ヘッド上部と結束ヘッド下部とが衝合された状態を示す図である。
【図17】図16に示された状態から、結束ヘッド上部が上昇して待機に位置決めされた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 結束装置、2 リール、3 結束テープ、6 被結束物、40 サーボモータ(リール駆動手段)、44 センサドグ(回転変位検出手段)、45 マイクロフォトセンサ(回転変位検出手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リールから引き出された所定長さの結束テープが被結束物に巻付けられる結束装置であって、前記リールがテープ巻上方向へ回転駆動されて前記結束テープに張力が付与されるリール駆動手段と、前記結束テープが引き出された時の前記リールの回転変位が検出される回転変位検出手段と、該回転変位検出手段の検出結果に応じて前記リールの回転トルクが調節されるトルク調節手段と、を含んで構成されることを特徴とする結束装置。
【請求項2】
前記トルク調節手段は、前記回転変位検出手段の検出結果に応じて前記リールの回転トルクが複数段階に調節されることを特徴とする請求項1に記載の結束装置。
【請求項3】
前記リール駆動手段には駆動源としてのサーボモータが設備されて、前記トルク調節手段によって前記回転変位検出手段の検出結果に応じて前記サーボモータの軸トルクが調節されて前記リールの回転トルクが調節されることを特徴とする請求項1又は2に記載の結束装置。
【請求項4】
上記請求項1〜3のいずれかに記載の結束装置に用いられる結束テープの張力調節方法であって、結束テープがリールから引き出された時の前記リールの回転変位に応じて前記リールのテープ巻上方向への回転トルクが調節されて被結束物へ巻付けられる前記結束テープの張力が調節されることを特徴とする結束テープの張力調節方法。
【請求項5】
前記リールの回転トルクが該リールの回転変位に応じて複数段階に調節されることを特徴とする請求項4に記載の結束テープの張力調節方法。
【請求項6】
前記リールがサーボモータによってテープ巻上方向へ回転駆動されて、該サーボモータの軸トルクが前記リールの回転変位に応じて調節されることで前記リールの回転トルクが調節されることを特徴とする請求項4又は5に記載の結束テープの張力調節方法。
【請求項1】
リールから引き出された所定長さの結束テープが被結束物に巻付けられる結束装置であって、前記リールがテープ巻上方向へ回転駆動されて前記結束テープに張力が付与されるリール駆動手段と、前記結束テープが引き出された時の前記リールの回転変位が検出される回転変位検出手段と、該回転変位検出手段の検出結果に応じて前記リールの回転トルクが調節されるトルク調節手段と、を含んで構成されることを特徴とする結束装置。
【請求項2】
前記トルク調節手段は、前記回転変位検出手段の検出結果に応じて前記リールの回転トルクが複数段階に調節されることを特徴とする請求項1に記載の結束装置。
【請求項3】
前記リール駆動手段には駆動源としてのサーボモータが設備されて、前記トルク調節手段によって前記回転変位検出手段の検出結果に応じて前記サーボモータの軸トルクが調節されて前記リールの回転トルクが調節されることを特徴とする請求項1又は2に記載の結束装置。
【請求項4】
上記請求項1〜3のいずれかに記載の結束装置に用いられる結束テープの張力調節方法であって、結束テープがリールから引き出された時の前記リールの回転変位に応じて前記リールのテープ巻上方向への回転トルクが調節されて被結束物へ巻付けられる前記結束テープの張力が調節されることを特徴とする結束テープの張力調節方法。
【請求項5】
前記リールの回転トルクが該リールの回転変位に応じて複数段階に調節されることを特徴とする請求項4に記載の結束テープの張力調節方法。
【請求項6】
前記リールがサーボモータによってテープ巻上方向へ回転駆動されて、該サーボモータの軸トルクが前記リールの回転変位に応じて調節されることで前記リールの回転トルクが調節されることを特徴とする請求項4又は5に記載の結束テープの張力調節方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−151441(P2006−151441A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−344740(P2004−344740)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000004020)ニチバン株式会社 (80)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000004020)ニチバン株式会社 (80)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]