説明

絞り兼用シャッタ装置

【構成】絞り兼用シャッタ装置1aは、端部に長孔23a〜43aが形成された羽根2a〜4aと、付勢手段12aを備えたソレノイド5aと、環状部材6aと、一端側に突部71が形成されたレバー7aと、付勢手段8aと、中央に開口部が形成された枠部材9aと、装置本体とを有している。環状部材6aの外周部には、突起61a〜63aと、長孔65aとが形成されており、前記突起61a〜63aは、羽根2a〜4aの長孔23a〜43aに挿入され、前記長孔65aには、レバー7aの突部71が挿入されている。ソレノイド5aに通電すると、環状部材6aが反時計回りの方向に回転して、羽根2a〜4aが開き、通電を切ると、環状部材6aが時計回りの方向に回転して、羽根2a〜4aが閉じる。
【効果】実質的に円形または円形に近い開口形状が得られる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、絞り兼用シャッタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】カメラに設置されている絞り兼用シャッタ装置としては、ステッピングモータを用いたものが多いが、ステッピングモータに比較して、安価であり、かつ応答性が良いという理由から、ソレノイド等の駆動源を用いたものが知られている。そして、ソレノイドのように、プランジャを直線運動させる駆動源を用いた絞り兼用シャッタ装置の場合、駆動源からの動力を、直接またはレバーを介して2枚の羽根に伝達し、2枚の羽根を片持ち式に駆動する方式が採られている。
【0003】具体的には、このような絞り兼用シャッタ装置は、回転可能に設置された2枚の羽根と、ソレノイドと、ソレノイドからの動力を羽根に伝達するレバーとにより構成されている。この場合、前記各羽根には、それぞれ、長孔がレバーの移動方向に対して斜めに形成され、この長孔に前記レバーの先端部が挿入されている。そして、ソレノイドのプランジャの移動にともなって、レバーが上下動し、この際、レバーの先端部が長孔に沿って移動することより、羽根が回転する。
【0004】このような方式の場合、構成が簡易であり、コストが低いといった長所があり、シャッタとしては良いが、羽根を2枚までしか駆動できないことから、絞りの機能に関し、次のような欠点がある。
【0005】すなわち、本来、絞りの開口形状はできるだけ円形に近いのが均一な露光にとって良いとされているが、羽根が2枚のため、開口径を比較的小さくした場合(絞り込む場合)に開口形状が円形に近づくように設計すると、開口径を比較的大きくした場合に、開口形状が円形には程遠い形となり、逆に、開口径を比較的大きくした場合に開口形状が円形に近づくように設計すると、開口径を比較的小さくした場合に、開口形状が円形には程遠い形となり、絞り込みの状態から開放までのすべてにおいて開口形状を円形に近づけることは困難である。このため、絞りとしての機能が低下し、例えば、フィルム上に、露光量の違いによるムラができてしまうといった問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、実質的に円形または円形に近い開口形状の絞り兼用シャッタ装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記(1)〜(6)の本発明により達成される。
【0008】(1) 移動体を直線運動させる駆動源と、3枚以上の羽根と、前記各羽根と第1の係合部を介して係合する環状部材と、前記環状部材を所定方向に付勢する付勢手段と、前記移動体の直線運動を前記環状部材の回転運動に変換する動力伝達部材とを有し、前記環状部材の回転により、前記各羽根を駆動して開口部を開閉するよう構成したことを特徴とする絞り兼用シャッタ装置。
【0009】(2) 前記各羽根の形状は、実質的に同一である上記(1)に記載の絞り兼用シャッタ装置。
【0010】(3) 前記各羽根は、前記開口部を中心とした等角度間隔で配置されている上記(1)または(2)に記載の絞り兼用シャッタ装置。
【0011】(4) 前記第1の係合部は、長孔と、該長孔に挿入されている突起とで構成されている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の絞り兼用シャッタ装置。
【0012】(5) 前記動力伝達部材は、回転可能に設置されたレバーであって、その回転中心から一端側が第2の係合部を介して前記環状部材と係合し、他端側が前記移動体に係合している上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の絞り兼用シャッタ装置。
【0013】(6) 前記第2の係合部は、長孔と、該長孔に挿入されている突部とで構成されている上記(5)に記載の絞り兼用シャッタ装置。
【0014】
【実施例】以下、本発明の絞り兼用シャッタ装置を添付図面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。図1および図2は、それぞれ、本発明の絞り兼用シャッタ装置の構成例を示す正面図である。なお、図2は、図1に示す絞り兼用シャッタ装置1aの説明上、3枚の羽根2a、3aおよび4aのうちの羽根2aのみを記載した図である。
【0015】図1に示すように、絞り兼用シャッタ装置1aは、3枚の羽根2a、3aおよび4aと、移動体であるプランジャ51aおよびヘッド52aを直線運動させる駆動源であるソレノイド5aと、環状部材6aと、動力伝達部材であるレバー7aと、付勢手段8aと、枠部材9aと、図示しない絞り兼用シャッタ装置の本体(以下、装置本体という)とを有している。この場合、図1中手前から奥に向かって、レバー7a、環状部材6a、羽根2a、3a、4a、枠部材9aの順序で配置されている。
【0016】絞り兼用シャッタ装置1aにおける環状部材6aは、装置本体に対し、図1中時計回りの方向(シャッタ閉方向)および反時計回りの方向(シャッタ開方向)のいずれにも回転可能に設置されている。この場合、環状部材6aの回転中心は、後述する開口部10aの中心と一致するように配置される。
【0017】環状部材6aの外周部には、等角度間隔で3つの突起61a、62aおよび63aが、それぞれ、環状部材6aの回転軸方向に突出するよう形成されている。また、環状部材6aの外周部には、後述する付勢手段8aを取り付けるための突起64aが形成されている。
【0018】また、環状部材6aの外周部には、外方へ突出する突出部66aを有し、この突出部66aには、環状部材6aのほぼ径方向に延びる長孔65aが形成されている。
【0019】図2に示すように、絞り兼用シャッタ装置1aにおける枠部材9aの中央部には、円形の開口部(アパーチャ)10aが形成されており、この枠部材9aは、装置本体に固定的に設置されている。
【0020】絞り兼用シャッタ装置1aにおける3枚の羽根2a〜4aは、実質的に同一のものであるので、代表的に羽根2aについて説明する。なお、羽根2a〜4aの形状を同一にすることにより、次のような利点がある。
【0021】まず、同一形状の羽根を製造すればよいので、製造上、コストダウンが図れる。また、図2に示す湾曲部21aの形状が3枚とも同一であるので、より円形に近い開口が得られる。
【0022】図2に示すように、羽根2aは、全体としてフックのような形状をなす板状の部材であり、内側に円弧状に湾曲する湾曲部21aおよび外側に円弧状に湾曲する湾曲部22aを有している。そして、この羽根2aは、装置本体に対し、ピン111aを中心に回転(回動)可能に設置されている。
【0023】羽根2aの一端部には、長孔23aが形成され、この長孔23aには、環状部材6aの突起61aが挿入されている。図2に示すように、前記長孔23aは、絞り全閉状態において、環状部材6aの径方向に対し、角度θだけ傾いた方向に延びて形成されている。この角度θは、環状部材6aの回転量に対する羽根2aの駆動量(開く度合)を決定する1つの要素であり、例えば、20〜70°程度とすることができる。
【0024】図1に示すように、他の羽根3aおよび4aについても前記羽根2aと同様、それぞれ、長孔33aおよび43aに環状部材6aの突起62aおよび63aが挿入された状態で、装置本体に対し、ピン112aおよび113aを中心に回転可能に設置されている。この場合、3枚の羽根2a〜4aは、開口部10aを中心とした等角度間隔で配置されており、このように配置することにより、より円形に近い開口を形成できる。なお、前記長孔23a〜43aと突起61a〜63aとにより、各羽根2a〜4aと環状部材6aとを係合する第1の係合部が構成されている。
【0025】絞り兼用シャッタ装置1aにおけるレバー7aは、後述するプランジャ51aの直線運動を環状部材6aの回転運動に変換する部材であり、装置本体に対し、ピン114aを中心に回転可能に設置されている。この場合、レバー7aの回転中心(ピン114aの位置)は、レバー7aの中央よりも後述するソレノイド5a側に位置している。
【0026】レバー7aの一端には、突部71aが、環状部材6aの回転軸方向に突出するよう形成されている。この突部71aは、環状部材6aの長孔65aに挿入されている。なお、長孔65aと突部71aとにより、レバー7aの回転中心の一端側と環状部材6aとを係合する第2の係合部が構成されている。
【0027】レバー7aがピン114aを中心に回転したときの突部71aの軌跡は、前記長孔65aの長手方向と異なる方向であるため、レバー7aが回転することにより、環状部材6aが回転する。
【0028】また、レバー7aの回転中心から他端側(突部71aと反対側)は、第3の係合部を介して後述するソレノイド5aのプランジャ51aに係合している。この場合、前記第3の係合部は、プランジャ51aのヘッド52aとレバー7aの先端部72aとで構成されている。
【0029】絞り兼用シャッタ装置1aにおけるソレノイド5aは、図示しない巻回されたコイル(銅線)と、このコイル内を移動する鉄芯で構成されたプランジャ51aとを有しており、通電によりプランジャ51aがソレノイド5aの内部に吸引されて収縮するよう構成されている。この場合、前記プランジャ51aの先端にはヘッド52aが設けられている。
【0030】ソレノイド5aには、プランジャ51aを伸長する方向、すなわち環状部材6aを図1中時計回りの方向に付勢する付勢手段12aが設置されている。この付勢手段12aの一端は、ソレノイド5aの端面に当接され、他端は、ヘッド52aの裏面に当接されている。なお、この付勢手段12aは、環状部材6aに加わる回転力が、後述する付勢手段8aによるそれより大きくなるような付勢力を有している。
【0031】絞り兼用シャッタ装置1aにおける付勢手段8aは、環状部材6aを図1中反時計回りの方向に付勢するためのものである。この付勢手段8aの一端は、環状部材6aの突起64aに固定され、他端は、ピン115aにより装置本体に固定されている。なお、図示の付勢手段8aおよび12aは、それぞれコイル状のバネであるが、これに限らず、例えば、板バネ等のバネや、他の弾性体を用いてもよい。
【0032】次に、前述した絞り兼用シャッタ装置1aの動作について説明する。図1に示すように、ソレノイド5aに通電されていない場合、環状部材6aは、付勢手段8aおよび12aにより、それぞれ反時計回りおよび時計回りの方向に付勢されているが、その付勢力の差により、羽根2a〜4aがそれぞれ閉じた状態、すなわち、羽根2a〜4aにより開口部10aが閉じられた状態を維持する。
【0033】この状態において、ソレノイド5aに通電されると、プランジャ51aはソレノイド5aの内部に吸引されて収縮し、これと同時に、環状部材6aは、付勢手段8aにより引っ張られ、図1中反時計回りの方向に回転する。
【0034】環状部材6aが回転する際には、突起61aが長孔23aの内周面に沿って反時計回りの方向に移動し、これにより羽根2aは、ピン111aを中心にして反時計回りの方向に回転する。また、環状部材6aが回転する際には、羽根2aと同様に、羽根3aおよび4aも、それぞれピン112aおよび113aを中心にして反時計回りの方向に回転する。このようにして、羽根2a〜4aはそれぞれ開く。
【0035】また、環状部材6aが反時計回りの方向に回転する際には、レバー7aの突部71aは、長孔65aの内周面に沿って移動し、これによりレバー7aはピン114aを中心にして反時計回りの方向に回転する。
【0036】この場合、レバー7aの先端部72aは、ソレノイド5aのプランジャ51aのヘッド52aに係止されているので、レバー7aは、プランジャ51aの移動量に応じて、所定量回転する。また、環状部材6aの長孔65aの内周面は、レバー7aの突部71aに係止されているので、環状部材6aは、レバー7aの回転量に応じて、所定量回転し、これにより羽根2a〜4aがそれぞれ所定量開く(回転する)。
【0037】なお、羽根2a〜4aを全開した際には、開口部10aによって開口が形成され、全開までの途中の段階(一度全開して閉じる場合および全開せずに閉じる場合を含む)では、羽根2a〜4aによって開口が形成される。
【0038】また、ソレノイド5aへの通電を切ると、付勢手段12aにより押圧されているプランジャ51aは伸長し、レバー7aの先端部72aが押圧され、レバー7aは、時計回りの方向に回転する。このレバー7aの回転により、レバー7aの突部71aは、環状部材6aの長孔65aの内周面に沿って移動し、これにより環状部材6aは、付勢手段8aから加わっている反時計回りの方向の力に抗して、時計回りの方向に回転する。
【0039】環状部材6aが回転する際には、突起61aが長孔23aの内周面に沿って時計回りの方向に移動し、これにより羽根2aは、時計回りの方向に回転する。また、環状部材6aが回転する際には、羽根2aと同様に、羽根3aおよび4aは、それぞれ時計回りの方向に回転する。このようにして、羽根2a〜4aはそれぞれ閉じる。すなわち、羽根2a〜4aにより開口部10aが閉じられる。
【0040】なお、前述した絞り兼用シャッタ装置1aにおいては、ソレノイド5aへの通電時間等を制御することにより、所望の露光量(例えば、シャッタ速度、絞り値等)を得る。
【0041】このように本実施例の絞り兼用シャッタ装置1aでは、3枚の羽根2a〜4aにより絞りの開口を形成するので、従来の絞り兼用シャッタ装置に比較して、より円形に近い形状の開口を形成でき、より均一な露光を行えるといった利点を有する。また、駆動源としてソレノイド5aを用いるので、駆動源としてステッピングモータを用いたものに比較して、コストダウンを図れ、また、応答性も良い。
【0042】次に、本発明の絞り兼用シャッタ装置の他の構成例について説明する。図3および図4は、それぞれ、本発明の絞り兼用シャッタ装置の他の構成例を示す正面図である。なお、図4は、図3に示す絞り兼用シャッタ装置1bの説明上、5枚の羽根2b、3b、4b、13bおよび14bのうちの羽根2bのみを記載した図である。
【0043】図3に示すように、絞り兼用シャッタ装置1bは、5枚の羽根2b、3b、4b、13bおよび14bと、付勢手段12bを備えたソレノイド5bと、環状部材6bと、レバー7bと、付勢手段8bと、枠部材9bと、図示しない装置本体とを有している。この場合、図3中手前から奥に向かって、レバー7b、環状部材6b、羽根2b、3b、4b、13b、14b、枠部材9bの順序で配置されている。以下、前述した絞り兼用シャッタ装置1aと、絞り兼用シャッタ装置1bとの主な相違点について説明する。
【0044】絞り兼用シャッタ装置1bにおける5枚の羽根2b〜14bは、実質的に同一のものであるので、代表的に羽根2bについて説明する。図4に示すように、羽根2bは、全体としてフックのような形状をなす板状の部材であり、内側に円弧状に湾曲する湾曲部21bおよび外側に円弧状に湾曲する湾曲部22bを有している。
【0045】この場合、本実施例の絞り兼用シャッタ装置1bでは、5枚の羽根2b〜14bにより開口部(アパーチャ)10bの開閉を行うので、羽根2bは、前述した絞り兼用シャッタ装置1aにおける羽根2aに比較して小さく成形されている。
【0046】羽根2bの一端部には、長孔23bが形成され、この長孔23bには、環状部材6bの突起61bが挿入されている。このような羽根2bは、装置本体に対し、ピン111bを中心に回転可能に設置されている。
【0047】図3に示すように、他の羽根3b、4b、13bおよび14bについても前記羽根2bと同様、それぞれ、長孔33b、43b、133bおよび143bに環状部材6aの突起62b、63b、66bおよび67bが挿入された状態で、装置本体に対し、ピン112b、113b、116bおよび117bを中心に回転可能に設置されている。この場合、5枚の羽根2b〜14aは、開口部10bを中心とした等角度間隔で配置されている。
【0048】なお、前記長孔23b、33b、43b、133bおよび143bと、突起61b、62b、63b、66bおよび67bとにより、各羽根2b〜14bと環状部材6bとを係合する第1の係合部が構成されている。また、レバー7bの回転中心の一端側と、環状部材6bとを係合する第2の係合部は、レバー7bの突部71bと、環状部材6bの突出部68bに形成された長孔65bとにより構成されている。
【0049】また、レバー7bの回転中心の他端側(突部71bと反対側)と、ソレノイド5bのプランジャ51bとを係合する第3の係合部は、レバー7bの先端部72bと、ソレノイド5bのプランジャ51bのヘッド52bとで構成されている。
【0050】次に、前述した絞り兼用シャッタ装置1bの動作について、代表的に、羽根2b〜14bを閉じている状態から全開するまでの動作を説明する。この場合、絞り兼用シャッタ装置1bの作用は、前述した絞り兼用シャッタ装置1aと同様であるので、作用の説明は一部省略する。
【0051】図5、図6、図7、図8および図9は、それぞれ、羽根2b〜14bを閉じている状態から全開するまでのうちの5段階の状態の絞り兼用シャッタ装置1bを示す正面図である。
【0052】まず、図5に示すように、ソレノイド5bに通電されていない場合には、羽根2b〜14bは、それぞれ閉じている。この状態において、ソレノイド5bに通電されると、プランジャ51bはソレノイド5bの内部に吸引されて収縮し、これと同時に、環状部材6bは、付勢手段8b(図5〜図9中省略)により引っ張られ、図5中反時計回りの方向に回転する。
【0053】ここで、図6〜図9に示すように、環状部材6bが反時計回りの方向に回転していくと、突起61bが長孔23bの内周面に沿って反時計回りの方向に移動し、これにより羽根2bは、ピン111bを中心にして反時計回りの方向に回転する。また、環状部材6bが回転する際には、羽根2bと同様に、羽根3b、4b、13bおよび14bも、それぞれピン112b、113b、116bおよび117bを中心にして反時計回りの方向に回転する。
【0054】また、図6〜図9に示すように、環状部材6bが反時計回りの方向に回転していくと、レバー7bの突部71bは、長孔65bの内周面に沿って移動し、これによりレバー7bは、ピン114bを中心にして反時計回りの方向に回転する。
【0055】このようにして、図9に示すように、羽根2b〜14bはそれぞれ全開する。なお、この全開の状態では、開口部10bによって開口が形成されている。以下、ソレノイド5aへの通電を切った後の絞り兼用シャッタ装置1bの動作は、前述した絞り兼用シャッタ装置1aと同様であり、説明を省略する。
【0056】このように本実施例の絞り兼用シャッタ装置1bでは、5枚の羽根2b〜14bにより絞りの開口を形成するので、従来の絞り兼用シャッタ装置はもちろんのこと、前記絞り兼用シャッタ装置1aに比較して、より円形に近い形状の開口を形成でき、より均一な露光を行えるといった利点を有する。
【0057】なお、前記各実施例の絞り兼用シャッタ装置1aおよび1bでは、それぞれ、羽根を3枚および5枚用いているが、本発明の絞り兼用シャッタ装置の羽根の枚数は、3枚以上であれば特に限定されない。
【0058】このように本発明では、羽根を3枚以上設けることにより、実質的に円形または円形に近い開口形状が得られる。なお、羽根の枚数が多くなればなるほど、より円形に近い開口形状が得られるが、その分構造が複雑化するため、通常、羽根の枚数は、3〜7枚程度とするのが好ましい。
【0059】また、前記各実施例では、それぞれ、各羽根の形状、特に開口形成に関与する部分の形状は実質的に同一であるが、本発明では羽根の形状は異なっていてもよい。
【0060】また、本発明では、羽根と環状部材とを係合する第1の係合部、レバーと環状部材とを係合する第2の係合部およびレバーとプランジャとを係合する第3の係合部は、それぞれ、図示の構成に限定されず、例えば、任意の嵌合形状、枢軸形状、または、クランク機構等を介在した連結形状などで構成してもよい。
【0061】また、本発明では、第1の係合部を、長孔と、長孔に挿入されている突起とで構成する場合、環状部材側に長孔を設け、羽根側に突起を設けてもよい。また、本発明では、第2の係合部を、長孔と、長孔に挿入されている突部とで構成する場合、レバー側に長孔を設け、環状部材側に突部を設けてもよい。
【0062】また、前記各実施例では、ソレノイドのプランジャの直線運動を環状部材の回転運動に変換する動力伝達部材は、回転可能に設置されたレバーで構成されているが、本発明では動力伝達部材は、このようなレバーに限定されず、例えば、ラックとピニオンギヤよりなる構成のものでもよい。
【0063】また、前記各実施例では、環状部材を付勢する付勢手段は、環状部材を直接付勢するよう構成されているが、本発明では付勢手段が環状部材を例えば任意の部材を介して間接的に付勢するように構成してもよい。また、前記各実施例では、駆動源としてソレノイドを用いているが、本発明における駆動源は、ソレノイドに限定されず、移動体を直線運動させる駆動源であれば、いかなるものであってもよい。
【0064】また、前記各実施例では、ソレノイドには、プランジャを伸長する方向に付勢する付勢手段が設置されているが、本発明では、例えば、双方向型のソレノイドを用いることができ、この場合には、前記ソレノイドに設置されている付勢手段を省略してもよい。
【0065】本発明の絞り兼用シャッタ装置は、絞りと、シャッタとを兼用する場合であれば、例えば、コンパクトカメラ、1眼レフカメラ、ポラロイドカメラ等の各種のカメラに適用することができる。以上、本発明の絞り兼用シャッタ装置を、図示の構成例に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の絞り兼用シャッタ装置によれば、ステップモータを用いるものではないので、シャッタ開閉の応答性が優れ、また、3枚以上の羽根により開口を形成するので、従来の絞り兼用シャッタ装置に比較して、より円形に近い形状の開口を形成でき、特に、開放から絞り込みまでのどの段階においても円形または円形に近い開口を形成することができる。この結果、絞り値等の露光条件にかかわらず、より均一な露光を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の絞り兼用シャッタ装置の構成例を示す正面図である。
【図2】本発明の絞り兼用シャッタ装置の構成例を示す正面図である。
【図3】本発明の絞り兼用シャッタ装置の構成例を示す正面図である。
【図4】本発明の絞り兼用シャッタ装置の構成例を示す正面図である。
【図5】羽根を閉じている状態を示す本発明の絞り兼用シャッタ装置を示す正面図である。
【図6】羽根を閉じている状態から全開するまでのうちの途中の段階を示す本発明の絞り兼用シャッタ装置を示す正面図である。
【図7】羽根を閉じている状態から全開するまでのうちの途中の段階を示す本発明の絞り兼用シャッタ装置を示す正面図である。
【図8】羽根を閉じている状態から全開するまでのうちの途中の段階を示す本発明の絞り兼用シャッタ装置を示す正面図である。
【図9】羽根を全開した状態を示す本発明の絞り兼用シャッタ装置を示す正面図である。
【符号の説明】
1a 絞り兼用シャッタ装置
2a 羽根
21a、22a 湾曲部
23a 長孔
3a 羽根
33a 長孔
4a 羽根
43a 長孔
5a ソレノイド
51a プランジャ
52a ヘッド
6a 環状部材
61a〜64a 突起
65a 長孔
66a 突出部
7a レバー
71a 突部
72a 先端部
8a 付勢手段
9a 枠部材
10a 開口部(アパーチャ)
111a〜115a ピン
12a 付勢手段
1b 絞り兼用シャッタ装置
2b 羽根
21b、22b 湾曲部
23b 長孔
3b 羽根
33b 長孔
4b 羽根
43b 長孔
5b ソレノイド
51b プランジャ
52b ヘッド
6b 環状部材
61b〜63b 突起
65b 長孔
66b、67b 突起
68b 突出部
7b レバー
71b 突部
72b 先端部
8b 付勢手段
9b 枠部材
10b 開口部(アパーチャ)
111b〜114b ピン
116b、117b ピン
12b 付勢手段
13b 羽根
133b 長孔
14b 羽根
143b 長孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】 移動体を直線運動させる駆動源と、3枚以上の羽根と、前記各羽根と第1の係合部を介して係合する環状部材と、前記環状部材を所定方向に付勢する付勢手段と、前記移動体の直線運動を前記環状部材の回転運動に変換する動力伝達部材とを有し、前記環状部材の回転により、前記各羽根を駆動して開口部を開閉するよう構成したことを特徴とする絞り兼用シャッタ装置。
【請求項2】 前記各羽根の形状は、実質的に同一である請求項1に記載の絞り兼用シャッタ装置。
【請求項3】 前記各羽根は、前記開口部を中心とした等角度間隔で配置されている請求項1または2に記載の絞り兼用シャッタ装置。
【請求項4】 前記第1の係合部は、長孔と、該長孔に挿入されている突起とで構成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の絞り兼用シャッタ装置。
【請求項5】 前記動力伝達部材は、回転可能に設置されたレバーであって、その回転中心から一端側が第2の係合部を介して前記環状部材と係合し、他端側が前記移動体に係合している請求項1ないし4のいずれかに記載の絞り兼用シャッタ装置。
【請求項6】 前記第2の係合部は、長孔と、該長孔に挿入されている突部とで構成されている請求項5に記載の絞り兼用シャッタ装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【図9】
image rotate