説明

給水機

【課題】貯留タンクの水を最後まで使い切れるとの利用者への利便を確保しつつ、貯留タンクに取り込まれる空気を確実に殺菌して、安全かつ衛生的な水を給水できる給水機を提供する。
【解決手段】本発明の給水機1は、水を収容する水容器2と、水容器2から水を吸引する吸引手段3と、吸引手段3で吸引される水を冷却する冷却手段5を有して得られる冷水を一時的に貯留する冷水タンク4と、吸引手段3で吸引される水を加熱する加熱手段7を有して得られる温水を一時的に貯留する温水タンク6と、冷水タンク4および温水タンク6の少なくとも一方に、冷水および温水の少なくとも一方を押し出す空気を供給する空気管8と、を備え、空気管8は、加熱手段7と熱的に接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭やオフィスなどで、飲用される冷水や温水を提供する給水機であって、空気から冷水や温水に混入する可能性のある雑菌を確実に殺菌処理し、安全かつ衛生的な飲用水を利用者に提供できる給水機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、一般家庭やオフィスなどで、ミネラルウォーターが詰められた水容器を、給水機に取り付けて給水し、利用者が冷水や温水を飲用に用いている。健康志向の高まりと共に、水道水ではなく、ミネラルウォーターを飲用することが好まれるようになってきたからである。
【0003】
従来の給水機に取り付けられる水容器は、所定形状を有する硬質容器として形成されており、この水容器が給水機の最上部に配設されて、内部に収容した水が自然流下により給水系統に導水されるようになっていた。このような硬質容器から自然流下によって給水される給水機は、硬質容器内部に水を自然流下させるための加圧を必要とする。このため給水時には、硬質容器内部に空気が入り込み、この入り込んだ空気の圧力によって、硬質容器は水を自然流下させる。
【0004】
硬質容器に入り込む空気は、給水機周辺の外気であるので、空気の混入と共に雑菌が硬質容器に入り込む。更に硬質容器に入り込んだ空気は、水容器が空になるまでそのまま滞留するので雑菌は更に繁殖し、飲用される空気を更に汚損することになる。折角の健康志向に基づいて、給水機を用いてミネラルウォーターを飲用しても、ミネラルウォーターそのものが雑菌で汚損されていると無意味に帰する。
【0005】
このため、水容器から実際に給水される配管系等を温水によって殺菌する技術(例えば、特許文献1参照)が提案されている。また、水容器や貯留タンク内に導入される空気そのものを熱殺菌する技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平6−48488号公報
【特許文献2】特開平11−314699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される技術は、温水の循環経路に対応する領域しか殺菌できないため、外気と触れ合う部分の殺菌が困難である問題を有する。
【0007】
特に、特許文献1に開示される給水機では、水容器から給水系統に水を導水するのに外気を取り込んで加圧する必要があるので、特許文献1に開示される給水器は、取り込まれた外気と共に混入する雑菌を十分に殺菌することが困難である。
【0008】
仮に、外気の取り込みを排除するためには、貯留タンク(冷水と温水を生成するには、貯留タンクに水容器からの水を一時的に貯留して、冷却あるいは加熱の必要があるので)に、ポンプで水容器からの水を吸い上げると共に貯留タンクから給水部までもポンプ圧力で水を移動させる必要がある。このように、水容器から給水部までの水の移動が、ポンプ圧力で行われると、水容器が空になった後では、貯留タンクに水が残っていても、給水部からの給水ができなくなる(水容器が空であるので、ポンプ圧力が貯留タンクに伝わらなくなるからである)。貯留タンクに水が残っているのに、給水されないとなると、利用者は大きな不便や不都合を感じる。貯留タンクに残っている水が最後まで給水されるようにするには、貯留タンクに、加圧のための空気を取り込む必要があり、この空気と共に結局は雑菌が混入することになってしまう問題がある。当然ながら、水容器が硬質容器であると、水容器からの水を吸い上げる際に水容器に空気を取り込みつつ行う必要があるので、この空気によって雑菌の混入を防ぐのが困難となる。
【0009】
そもそも特許文献1の技術は、空気と共に混入する雑菌を処理したり、雑菌の混入経路を処理したりするのではなく、雑菌が混入した後の水を殺菌することを目的としている。給水機の中での水の経路は複雑かつ広範囲であるので、殺菌のための温水経路も複雑かつ広範囲にわたってしまい、特許文献1の給水機は高コストになる問題もある。当然ながら、混入後での処理は、混入時の処理に比べてその確実度が低い問題も有する。
【0010】
特許文献2に開示される給水機は、水容器や貯留タンクに取り込まれる空気を、熱殺菌している。しかしながら、水容器が貯留タンクの上部に位置するので、水容器を取り替える際に、結局は貯留タンクの内部が外気と接触してしまう。こうなると、貯留タンクに取り込まれる空気が殺菌されていても、水容器の取替えの度に貯留タンク内には雑菌を含んだ空気が取り込まれるので、殺菌が不十分となる問題がある。特許文献2の給水機は、自然流下によって水を供給するので、自然流下に必要な空気を、水容器や貯留タンクに取り込む必要があり、これらの空気の殺菌が不十分であると、結局は雑菌に汚損された水を飲用することになってしまう。
【0011】
このように、自然流下によって水容器から水を得る給水機では、水容器に空気を混入させる必要があって、水が雑菌と接触する問題がある。また、貯留タンクが外気にさらされる給水機では、水が雑菌と接触する問題がある。
【0012】
またポンプ圧力で水容器から水を得る給水機では、貯留タンクへ空気を取り込む必要があって、この空気による殺菌の混入が問題となる。これを防ぐために貯留タンクへ空気を取り込まないとすると、貯留タンクに水が残ってしまい、利用者にとって不都合が生じる。
【0013】
以上のように考えると、給水機から給水される水への雑菌の混入を防止するには、
(1)水容器内部に外気を混入させないこと
(2)水容器の取替え時などに、貯留タンクの内部が外気に触れないようにすること
(3)貯留タンクの水を最後まで使い切るために必要となる貯留タンクへの空気が殺菌されていること
(4)余分な装置やコストを要しないこと
が必要である。
【0014】
本発明は、上記問題点を解決するために、貯留タンクの水を最後まで使い切れるとの利用者への利便を確保しつつ、貯留タンクに取り込まれる空気を確実に殺菌して、安全かつ衛生的な水を給水できる給水機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題に鑑み、本発明の給水機は、水を収容する水容器と、水容器から水を吸引する吸引手段と、吸引手段で吸引される水を冷却する冷却手段を有して、得られる冷水を一時的に貯留する冷水タンクと、吸引手段で吸引される水を加熱する加熱手段を有して、得られる温水を一時的に貯留する温水タンクと、冷水タンクおよび温水タンクの少なくとも一方に、冷水および温水の少なくとも一方を押し出す空気を供給する空気管と、を備え、空気管は、加熱手段と熱的に接触する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の給水機では、水容器から最終的に給水される過程において、水に触れる空気は、冷水タンクもしくは温水タンクに供給される空気だけであってこの空気は熱殺菌される。このため、水に雑菌が触れる可能性はほとんどなくなる。更に、雑菌が触れた後の水を殺菌するよりも効率的な殺菌であると共に水容器の取替え時などにおいても冷水タンクや温水タンクの内部が外気に接触する可能性もほとんど無い。
【0017】
結果として安全かつ衛生的な水が給水される。
【0018】
また、温水を供給するための加熱手段が、空気の殺菌に流用されるので、給水機全体の大型化やコスト増加を防止でき、利用者にとって利便の高い給水機が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の第1の発明に係る給水機は、水を収容する水容器と、水容器から水を吸引する吸引手段と、吸引手段で吸引される水を冷却する冷却手段を有して、得られる冷水を一時的に貯留する冷水タンクと、吸引手段で吸引される水を加熱する加熱手段を有して、得られる温水を一時的に貯留する温水タンクと、冷水タンクおよび温水タンクの少なくとも一方に、冷水および温水の少なくとも一方を押し出す空気を供給する空気管と、を備え、空気管は、加熱手段と熱的に接触する。
【0020】
この構成により、空気管を通る空気は殺菌され、水容器から冷水タンクもしくは水容器から温水タンクを経て供給される冷水や温水の衛生面や安全面が保たれる。
【0021】
本発明の第2の発明に係る給水機では、第1の発明に加えて、冷水タンクおよび温水タンクのそれぞれは、空気管の内部通路を除いて、外気より密封されている。
【0022】
この構成により、冷水タンクおよび温水タンクに貯留されている水は、空気管から供給される空気以外に接触せず、空気管から供給される空気は殺菌されているので、冷水タンクおよび温水タンクに貯留される水は衛生的に保たれる。
【0023】
本発明の第3の発明に係る給水機では、第1から第2のいずれかの発明に加えて、水容器は、変形自在な柔軟性を有すると共に外気より密封されており、水容器の水は、吸引手段からの吸引圧力のみによって、吸引される。
【0024】
本発明の第4の発明に係る給水機では、吸引手段は、水容器から冷水タンクに至る経路および水容器から温水タンクに至る経路のそれぞれにおいて、水容器からの水が通る管路を有し、管路を介して、水容器から冷水タンクおよび温水タンクに至る水は、前管路記空気管から供給される空気以外の空気には接触しない。
【0025】
これらの構成により、水容器は、水を押し出すにつれて外部から空気を取り入れることがなく、水容器に収容されている水が外気と接触することがない。このため、水容器から冷水タンクもしくは水容器から温水タンクに供給される水は、空気管からの空気以外に外気と接触しない。さらに空気管からの空気は、殺菌されているので水容器から給水に至るまでの間で水が外気に含まれる雑菌による影響を受けることがほとんど無くなる。
【0026】
本発明の第5の発明に係る給水機では、第4の発明に加えて、水容器と管路との接続部位において弁を有している。
【0027】
この構成により、管路から水容器に水が逆流することがなくなり、吸引手段の吸引負担が減少する。
【0028】
本発明の第6の発明に係る給水機では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、加熱手段は、空気管を通る空気を殺菌する。
【0029】
この構成により、空気管を通る空気が熱殺菌される。結果として、給水機における水の移動経路で、水が外気に唯一触れる空気管からの空気が殺菌されているので、給水機が供給する水の衛生や安全性が維持できる。
【0030】
本発明の第7の発明に係る給水機では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、加熱手段は、温水タンクの周囲に設けられた加熱バンドであって、空気管は、加熱バンドの内部を蛇行する。
【0031】
この構成により、空気管と加熱手段との接触面積が増大し、加熱手段は、空気管を通る空気をより確実に殺菌できる。
【0032】
本発明の第8の発明に係る給水機では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、空気管は、その経路途中に除菌フィルタを更に有する。
【0033】
この構成により、殺菌の効率が更に高まる。
【0034】
本発明の第9の発明に係る給水機では、第8の発明に加えて、除菌フィルタは、空気管において、冷水タンクおよび温水タンクを基準に加熱手段の前段に設けられる。
【0035】
この構成により、まず除菌フィルタで空気管を通る空気中の雑菌が減少し、次いで減少した雑菌が加熱手段で熱殺菌されるので、空気管を通って冷水タンクや温水タンクに供給される空気は、確実に殺菌される。
【0036】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0037】
(実施の形態)
まず、給水機の全体概要について説明する。
【0038】
(全体概要)
図1は、本発明の実施の形態における給水機のブロック図である。
【0039】
給水機1は、水を収容する水容器2、水容器2から水を吸引する吸引手段3、吸引手段3で吸引される水を冷却する冷却手段5を有して、得られる冷水を一時的に貯留する冷水タンク4と、吸引手段3で吸引される水を加熱する加熱手段7を有して、得られる温水を一時的に貯留する温水タンク6、冷水タンク4および温水タンク6の少なくとも一方に、冷水および温水の少なくとも一方を押し出す空気を供給する空気管8を備え、空気管8は、加熱手段7と熱的に接触する。
【0040】
水容器2は、樹脂、ビニール、金属などで形成されて水を収容でき、管路12の一端と接続できる。水容器2が管路12の一端と接続されると、吸引手段3は、水容器2が収容している水を、管路12を経由して冷水タンク4に吸引するなお、図1では、冷水タンク4が管路12と直接接続されて、冷水タンク4からの水が温水タンク6に供給される構造を有しているので、吸引手段3は、水容器2の水を冷水タンク4に吸引する。管路12が温水タンク6に接続されているのであれば、吸引手段3は、水容器2の水を温水タンク6に吸引する。
【0041】
冷水タンク4は、貯留する水を冷却する冷却手段5を有している。冷却手段5は、例えば蒸発管とコンプレッサとを有して、冷水タンク4が貯留する水を冷却する。冷水タンク4と温水タンク6とは接続管13で接続されており、接続管13は、冷水タンク4の中で所定の高さにおいて開口部14を有している。冷水タンク4に貯留される水が、この所定の高さ以上であればこの開口部14から水が接続管13に入り込み温水タンク6に水が移動する。
【0042】
温水タンク6は、冷水タンク4から供給される水を加熱手段7によって加熱して温水にする。温水タンク6は、温水を貯留する。加熱手段7は、例えば温水タンク6の周囲に巻きつけられた加熱バンドである。加熱バンドが温水タンク6を加熱して、内部に貯留している水を温水にする。
【0043】
冷水タンク4は、使用者に対して冷水を供給する冷水供給手段9を備えている。冷水供給手段9は、例えば蛇口やコックなどでありこれらを開閉することで使用者は冷水を得る。このとき、冷水タンク4に貯留されている水が冷水供給手段9から供給されるためには、貯留されている冷水を押し出す圧力が必要である。例えば、冷水供給手段9を開けるのに合わせて吸引手段3が吸引を開始する構造であれば、水容器2に水が残っている状態の時に冷水供給手段9は冷水を供給できる。しかしこの場合には、冷水供給手段9と吸引手段3との動作を合わせる必要があること、水容器2に水が残っていること、とが必要となるので、使い勝手が良くない。
【0044】
このため、空気管8が冷水タンク4にその一端を接続している。空気管8は、外部から空気を取り込んで、冷水タンク4の内部に空気を送り込む。この送り込まれた空気の圧力によって、冷水タンク4が貯留する冷水が押し出されて冷水供給手段9から冷水が供給される。また、冷水タンク4において開口部14以上の高さにある水は、温水タンク6との高低差によって温水タンク6に供給される。温水タンク6には、冷水タンク4に供給される空気圧が間接的に加わるので、この空気圧によって温水供給手段10は、温水タンク6の温水を供給する。
【0045】
このように、水容器2から吸引された水は、冷水タンク4および温水タンク6において、それぞれ冷水および温水として貯留され、空気管8が供給する空気圧によって、それぞれ冷水供給手段9と温水供給手段10とから冷水および温水が供給される。
【0046】
ここで、水容器2は、外気に対して密封されており、水容器2に接続する管路12、冷水タンク4、温水タンク6のそれぞれは、空気管8の内部通路と接する部分を除いて、外気に対して密封されている。このため、水容器2から冷水タンク4および温水タンク6を介して冷水供給手段9および温水供給手段10から供給される水は、空気管8から供給される空気以外の空気には接触しない。なお、接触しないとは厳密なレベルではなく、水の飲用において影響がほとんど考えられない程度のレベルを言う。
【0047】
空気管8は、外部からの空気を冷水タンク4に供給するので、給水機1が供給する水は、この空気管8からの空気にのみ接触する。空気管8は、外部の空気を取り込んで冷水タンク4に供給するので、給水機1の内部において水が唯一外気に触れる状況である。ここで、空気管8は、温水タンク4にその一端を接続する前に温水タンク6の水を加熱する加熱手段7と熱的に接触する。加熱手段7が加熱バンドであれば、空気管8は加熱バンドの内部を通る。
【0048】
温水タンク6が供給する温水が90℃前後になるように、加熱手段7は温水タンク6を加熱する。このため、加熱手段7は、120℃〜130℃くらいの温度を有している。空気管8は、加熱手段7からのこの程度の温度の熱を受ける。あるいは、加熱手段7が非動作中でも、温水タンク6が90℃前後になっているので、この温水タンク6からの熱を、空気管8は受ける。この結果、空気管8を通る空気にはかなりの温度の熱が与えられ、空気に含まれる雑菌は殺菌される。更には、空気管8の途中には、除菌フィルタ11が設けられており、空気管8の空気は、更に殺菌されうる。
【0049】
このように、給水機1が供給する水は、冷水供給手段9および温水供給手段10から供給されるまでの間では、空気管8から供給される空気以外の外気には触れない。空気管8を通る空気が加熱手段7によって殺菌されることで、水容器2から冷水供給手段9(および温水供給手段10)までの間で触れる空気によって、水が雑菌による汚染を受けることがなくなる。また、加熱手段7は、給水機1が温水を供給するのにそもそも必要であった部材であって、空気管8の空気の殺菌のために新たに設ける必要はない。すなわち、給水機1は、余分なコストを必要とするものでもない。
【0050】
以上のように、給水機1が供給する水は、給水機1の内部において雑菌を含む外気に接触することが無くなって、給水機1は、安全かつ衛生的な冷水および温水を使用者に提供できる。
【0051】
(給水機と各部の詳細について)
次に、給水機と各部の詳細について説明する。
【0052】
図2は、本発明の実施の形態2における給水機の模式図である。図2は、図1を用いて説明した給水機1の必要な要素を備えた上で家庭やオフィスに設置されうる給水機を示す。
【0053】
給水機20は、給水機20の底部に設けられた収容ケース21に水容器22を収容する。水容器22は、接続部位38において管路32と接続され、ポンプ23が水容器22から管路32を経由して水を吸引する。吸引された水は、冷水タンク24に貯留される。冷水タンク24は、蒸発管25とこれに接続されるコンプレッサ34と凝縮器33とによって、貯留する水を冷却する。この結果、冷水タンク24は、冷却されて得られる冷水を貯留する。
【0054】
また、冷水タンク24から温水タンク26の間には、接続管40が設けられ、接続管40の高さよりも冷水タンク24内部の冷水の水位が高ければ、接続管40を介して冷水タンク24から温水タンク26へ水が導水される。また、冷水タンク24には、給水コック29が接続されて、給水コック29の開閉によって、冷水が供給される。
【0055】
温水タンク26は、その周囲に加熱バンド27を有し、加熱バンド27からの熱によって貯留している水を温める。温水タンク26は、加熱して得られた温水を貯留する。温水タンク26には、給湯コック30が接続されており、給湯コック30の開閉によって温水タンク26から温水が供給される。
【0056】
冷水タンク24には、空気管28の一端が挿入されており、空気管28を経由して外部から空気が冷水タンク24に供給される。この空気の圧力によって、冷水タンク24から接続管40を経由して水が温水タンク26に供給されると共に冷水タンク24から給水コック29を経由して使用者に冷水が供給される。すなわち、空気管28からの空気圧が無くポンプ23の働きだけであれば水容器22の水がなくなった後では冷水タンク24から給水することができなくなる。このため、冷水タンク24に貯留されている冷水に加圧する空気を、空気管28が冷水タンク24に与える必要がある。
【0057】
空気管24は、外部から空気を取り込んで冷水タンク24に至る途中で除菌フィルタ36を経由して、除菌フィルタ36の後で加熱バンド27を経由する。加熱バンド27は、温水タンク26が貯留する水を温水にするために、100℃〜130℃くらいの熱を発する。また空気管28は、加熱バンド27に加えて温水タンク26とも熱的に接触できる。温水タンク26も内部の温水によって90℃前後の熱を持っており、空気管28はこの熱を受ける。これらの熱によって、空気管28の内部を通る空気は殺菌される。
【0058】
更に、空気管28が加熱バンド27に接する前に除菌フィルタ36を経由して、空気管28には外部から空気が取り込まれるので、空気管28に入り込む雑菌は軽減されている。空気管28が加熱バンド27と接する際には、雑菌は軽減されているので、殺菌は効率的確実に行われる。
【0059】
ここで、水容器22は密封されており接続部位38においては接続部位38の先端を消毒した上で管路32が水容器22に差し込まれれば水容器22の水に雑菌が混入する怖れは少ない。管路32はポンプ23を介して冷水タンク24につながっており、冷水タンク24は外周が密封されている。冷水タンク24の内部が外部と触れるのは空気管28の内部通路だけである。冷水タンク24と温水タンク26とは、接続管40で接続されているだけである。温水タンク26の外周は冷水タンク24と同様に密封されており、温水タンク26は外気に接触しない。このように、給水機20を循環する水は、空気管28から送り込まれる空気以外には接触しうることがない。この唯一接触しうる空気管28からの空気は、加熱バンド27で殺菌(必要に応じて除菌フィルタ36による除菌)されるので、給水機20が供給する冷水および温水は常に衛生的かつ安全に保たれる。
【0060】
(水容器)
水容器22の詳細について説明する。
【0061】
水容器22は、樹脂、ビニール、金属などの素材で形成されており、所定形状と所定の容量を有する。容量は適宜定められれば良いが、家庭やオフィスでの使用あるいは配達は回収の容易性などから10リットル〜50リットル程度の大きさが適当である。また所定形状も適宜定められれば良いが、方形や筒型などが使用や保管の容易性から適当である。
【0062】
また、図3に示されるように、水容器20は変形可能な柔軟性を有していても良い。図3は、本発明の実施の形態における水容器の変形を示す斜視図である。水容器20が変形可能な柔軟性を有することで、水容器20に収容される水が吸引されて減少するのに合わせて、水容器20は収縮できる。水容器20が、収容する水の減少に合わせて収縮できることで、ポンプ23からの吸引に合わせて水容器20に空気が入り込むことがなくなり、水容器20の水が外気に接触しなくて済む。この結果、水容器20の水は、ポンプ23の吸引圧力のみによって吸い上げられることになる。
【0063】
水容器20がこのような柔軟性を有している場合には、水容器20の素材としては、柔軟フイルム(ポリプロピレンフイルムやポリエチレンラミネートフイルム等)が用いられ、又、人体に害を及ぼす(例えば環境ホルモンの溶出等)ことがないような素材が用いられる。
【0064】
なお、水容器20は、水が収容された状態で家庭やオフィスに配達され、水が無くなったら回収されても良い。このように使用者が水容器に水道水や天然水を自分で詰めることをしないことで、給水機20が供給する水の衛生面や安全性が維持できる。
【0065】
また、水容器20が管路32に接続される際には、管路32の先端に抗菌帯が取り付けられており、管路32の先端を水容器20の口に差し込む際にこの抗菌帯が移動する。このような構造を有することで、管路32と水容器22とが接続される際に、水容器22の収容している水へ雑菌が混入する可能性が低くなる。
【0066】
(管路)
水容器22は、管路32と接続されて、水容器22は、管路32を経由して冷水タンク24に水を供給する。
【0067】
管路32は、金属、樹脂、ビニールなどで形成されればよいが、強度や耐久性などの面から金属が適当である。管路32の一端は、水容器22に差し込まれ、他端は、冷水タンク24に挿入される。また管路32の途中においてポンプ23が接続され、ポンプ23の吸引によって水容器22の水が冷水タンク24に吸い上げられる。
【0068】
また、管路32と水容器22との接続部位38において、管路32から水容器22への水の逆流を防止する弁50が備えられても良い。弁50は、水容器22から管路32に向けて開放されて、逆方向には閉じる構造を有しており、弁50は、管路32の水が水容器22に逆流することを防止できる。逆流が防止できることで、ポンプ23にかかる負担が軽減され、給水機20のコスト低減や騒音低減が実現できる。弁50は、図4に示されるように、接続部位38において設けられる。弁50は、図4の拡大部分に示されるとおり、逆流を防止する。このため、弁50は、水容器22から見て上向きに形成される。図4は、本発明の実施の形態における水容器と管路との接続状態を示す説明図である。
【0069】
管路32は、一端が水容器22に差し込まれ、他端が冷水タンク24に挿入されているので、水容器22および冷水タンク24が外気に対して密封されていれば、管路32も外気に対して密封されることになる。このため、水容器22から管路32を通る水は、外気に接触することがない。
【0070】
このように、管路32は、外気に接触させること無く水容器22の水を冷水タンク24に供給する。
【0071】
(ポンプ)
次に、ポンプ23について説明する。
【0072】
ポンプ23は、吸引手段3の一例である。ポンプ23は、圧縮ポンプでもロータリーポンプでもよい。いずれにしても吸引圧力によって、水容器22からの水を吸引できればよい。
【0073】
ポンプ23は、冷水タンク24の水位の変位によって、作動したり停止したりすればよい。例えば、冷水タンク24の内部には水位検知器35が備えられ、水位検知器35からの検知信号がポンプ23に出力される。水位検知器35が、冷水タンク24内部の水位が所定未満になったらポンプ23は、作動して水容器22から水を吸引する。ポンプ23の作動によって水容器22から冷水タンク24に水が供給されて、冷水タンク24の水位が上昇する。
【0074】
水位検知器35(例えばフロート)は、冷水タンク24の水位が所定以上になれば、ポンプ23は吸引を停止する。ポンプ23が吸引を停止しなければ、冷水タンク24から冷水が溢れるからである。水位検知器35は、ポンプ23に電気的に接続されることで、水位に関する情報を電気信号として通知する。勿論、水位検知器35とポンプ23とが無線によって電気信号をやり取りしても良い。
【0075】
(冷水タンク)
次に冷水タンク24について説明する。
【0076】
冷水タンク24は、ポンプ23が吸引した水容器22からの水を一時的に貯留する。冷水タンク24は、貯留している水を冷却する冷却手段を有しており、貯留している水を冷却する。
【0077】
冷却手段は、蒸発管25、蒸発管25につながる凝縮器33とコンプレッサ34を備えている。コンプレッサ34と凝縮器33とによって熱交換された冷却空気が蒸発管25に供給されて、冷却空気が蒸発する際の潜熱によって冷水タンク24が冷却される。冷水タンク24が冷却されることで、内部に貯留されている水が冷却されて冷水が得られる。このため、冷水タンク24は、金属製であることが熱伝導率のよさから好ましい。なお、金属以外でも樹脂、ビニール、陶器などでもよい。
【0078】
冷水タンク24内部には殺菌用紫外線ランプ37が設けられても良い。殺菌用紫外線ランプ37は、常時点灯でもよいし所定期間のみ点灯しても良い。また、上述の通りポンプ23の作動と停止の基準となる水位検知器35を備えていても良い。
【0079】
冷水タンク24の外周には、一対の磁石31が対向状態で取り付けられ、この磁石31は、磁場を水の中を通すことで水分子(クラスタ)を活性化させて、水の腐食を防止し、雑菌の繁殖を抑えることもできる。
【0080】
また、冷水タンク24は、冷水を温水タンク26に供給するための接続管40も備えており、これは冷水タンク24の底面から温水タンク26の上面にかけて形成される。冷水タンク24に貯留されている冷水は、接続管40の開口部から水位差から生じる圧力によって、冷水タンク24の下に設けられる温水タンク26に移動する。
【0081】
ここで、蒸発管25は、冷水タンク24の下部に設けられる。下部に設けられることで、冷水タンク24に貯留される水は、底面に近いほど温度が低く、上部(接続管40の開口部付近)に近いほど温度が高くなる。加えて、給水コック29は、冷水タンク24の底面から延伸している。
【0082】
このような構成を有することで、冷水タンク24の中でより冷たい水が給水コック29から供給され、比較的ぬる目の水は冷水タンク24から温水タンク26に移動する。塗る目の水が温水タンク26に移動することで、温水タンク26での加熱の負担が減少する。
【0083】
冷水タンク24は、外周や底面に加えて上面も密封されており、空気管28の内部通路以外においては、冷水タンク24の内部は外気に触れることはない。すなわち、冷水タンク24に貯留される水は、空気管28から供給される空気以外の外気とは接触しない。水容器22から管路32を経由する水は、ポンプ23からの圧力のみによって吸引されるので、外気に触れることはない。加えて、水は、冷水タンク24の内部でも、空気管28から供給される空気以外の外気には触れない。この冷水タンク24から供給される冷水は、衛生的で安全面も保たれている。
【0084】
冷水タンク24には、給水コック29につながる給水路が接続されている。給水路は、冷水タンク24の底面に接続されているのが好適であるが、底面でなくとも、底面に近い側面に接続されていてもよい。給水路からは給水コック29に冷水を送り出す。給水コックが開かれると、冷水タンク24からの圧力によって、冷水が供給される。給水コック29は、蛇口のようにひねって開閉するタイプでも良いし、上下に蓋を移動して開閉するタイプでも良い。
【0085】
(温水タンク)
次に温水タンクについて説明する。
【0086】
温水タンク26は、冷水タンク24の下部に設けられ、接続管40を経由して、冷水タンク24から水が供給される。温水タンク26も冷水タンク24と同様に外部に対して密封されており、内部の温水は外気に接触しない。
【0087】
温水タンク26の外周には加熱手段の一例としての加熱バンド27が備えられている。加熱バンド27は、電気を熱に変える電熱線などを備えて熱を発生させて、温水タンク26を加熱する。このため加熱バンド27は、温水タンク26の外周に取り付けられるのが好適である。また、加熱バンド27は、温水タンク26の底面に近い下部において取り付けられるのが好適である。温度の高い水は上昇するので、加熱バンド27が下部に取り付けられることで、未だ十分に熱くなっていない水を加熱できて効率が良いからである。加えて、加熱バンド27が下部に位置することで、温水タンク26内部での対流を促進でき、効率的に温水を得ることができるからである。また、温水タンク26は、樹脂、ビニール、陶器、金属など様々な素材で形成されればよいが、加熱バンド27による効率的な加熱のために、熱伝導率の高い金属で形成されるのが好ましい。
【0088】
また、温水タンク26には、給湯コック30が給水路を介して接続される。ここで、給水路は、温水タンク26の上面(あるいは上面に近い側面)に接続し、温水タンク26の内部でより温度の高い温水が、給湯コック30から供給されるようにしておくことが好ましい。
【0089】
温水タンク26および加熱バンド27の少なくとも一方に、温度センサーが設けられ、温度センサーからの通知を受けて加熱バンド27の作動と停止が制御されることも好適である。例えば、温水タンク26が第1温度である場合(例としては90℃)には、温度センサーからの通知を受けて加熱バンド27は動作を停止する。十分な温度になっているからである。逆に、温水タンク26が第2温度である場合(例としては80℃)には、温度センサーからの通知を受けて加熱バンド27は作動する。温水タンク26内部の温水の温度が不十分であるので、加熱する必要があるからである。
【0090】
温水タンク26を加熱する加熱バンド27は、温水タンク26以上の温度となる。例えば、温水タンク26が90℃程度の場合には、加熱バンド27は130℃くらいになりうる。すなわち、温水タンク26と加熱バンド27とに囲まれる領域は、80℃〜130℃くらいの温度を有することになる(勿論、加熱バンド27の温度制御設定によってこれは変化する)。実施の形態における給水機20は、この高い温度を利用して、空気管28から供給される空気を殺菌する。
【0091】
なお図2では、温水タンク26が冷水タンク24の下に接続されているが、温水タンク26と冷水タンク24とが並列に並んだ状態で設置されても良い。
【0092】
(空気管)
次に、空気管28と空気管28を通る空気の殺菌について説明する。
【0093】
空気管28は、加熱バンド27と熱的に接触する。例えば、図5に示されるように、空気管28は、加熱バンド27の内部を経由する。加熱バンド27は、その内部にステンレスワイヤー、石、銅線、銀線などの温度を維持しつつ殺菌効果のあると考えられる素材で充填されている。この充填されている加熱バンド27の内部を、空気管28が通ることで、空気管28にはかなりの温度が付与されて、空気管28を通る空気は殺菌される。また、石をはじめとするこれらの素材は保温性に優れ、加熱バンド27による加熱に必要な電力量を低減させる。勿論、これらの素材の充填によって、加熱バンド27と熱的に接触する空気管28に与える熱量も大きくなりやすい。すなわち、消費電力削減に加えて、殺菌能力の向上も図られる。
【0094】
図5は、本発明の実施の形態における空気管が通る加熱バンドの斜視図である。図5から明らかな通り、空気管28は、加熱バンド27の内部に一端入り込んで、その上で外部に飛び出す。空気管28の全体において、加熱バンド27の内部を通る部分は、加熱バンド27からの熱を受けるので、内部はかなりの高温になる。一般的な雑菌は80℃以上程度で死滅し始めると考えられるので、外気中に存在し、飲用水への影響が懸念される雑菌の大半は、この加熱バンド27からの加熱によって死滅すると考えられる。
【0095】
また、加熱バンド27が動作を停止している場合であっても、温水タンク26からの熱が空気管28には伝導するので、この温水タンク26からの熱によって空気管28内部の空気は殺菌される。このため、空気管28は、常に温水タンク26もしくは加熱バンド27からの熱にさらされており、この熱によって、空気管28を通る空気が殺菌される。
【0096】
図6は、本発明の実施の形態における温水タンクと空気管との関係を示す説明図である。図6から明らかな通り、加熱バンド27は温水タンク26の外周に取り付けられる。空気管28は、加熱バンド27を通るので、温水タンク26からの熱も受けることになる。
【0097】
このようにして、空気管28には、加熱バンド27や温水タンク26からの熱が加えられて、内部を通る空気が殺菌される。
【0098】
また、空気管28は、図7に示されるように加熱バンド27の内部で蛇行していてもよい。図7は、本発明の実施の形態における加熱バンドを通る空気管の斜視図である。
【0099】
空気管28が加熱バンド27の中を蛇行することで、空気管28と加熱バンド27との接触面積が増大して殺菌効率が向上するメリットがある。勿論、給水機20全体の小型化にも寄与する。蛇行の形状は、図7に示される以外に、様々であってよい。
【0100】
このように、空気管28は、加熱バンド27の内部を通ったり、外部において熱的に接触したりして熱を受け、受けた熱によって空気管28を通る空気が殺菌される。
【0101】
空気管28が冷水タンク24に空気を送り込むことで、冷水タンク24には圧力が加わり給水コック29が開くと冷水タンク24が貯留している冷水が給水される。更には、空気管28が冷水タンクに空気を送り込むことで、冷水タンク24には圧力が加わって、冷水タンク24から温水タンク26に冷水が供給される。
【0102】
なお、空気管28を通る空気を殺菌する加熱バンド27は、そもそもは温水タンク26に貯留される水を加熱するためのものであって、殺菌のために新たに設けられる要素ではない。このため実施の形態における給水機20は、余分なコストや製造工程を最小限に抑えつつ、大きさの増加も抑えることができる。
【0103】
(除菌フィルタ)
空気管28は、除菌フィルタ36を備えていることも好適である。
【0104】
除菌フィルタ36は、不織布や目の細かい布を重合して形成されたり、細孔を有した金属板によって形成されたりする。特に、抗菌剤や殺菌剤が塗布されており化学的に空気中の雑菌が除菌されることも好適である。
【0105】
除菌フィルタ36は、空気管28において冷水タンク24および温水タンク26を基準に加熱バンド27の前段にあることが好ましい。加熱バンド27は、熱によって空気管28を通る空気中の雑菌を殺菌する。このとき、加熱バンド27の前段に除菌フィルタ36が備わっていると、空気管28に入る空気は、まず除菌フィルタ36で雑菌の量が減少し、その減少した雑菌が加熱バンド27の熱によって殺菌される。加熱バンド27においては、除菌フィルタ36によって減少した雑菌を熱殺菌すればよいので、除菌フィルタ36が無い場合に比較して熱殺菌するべき雑菌量が少ない。このため、加熱バンド27での熱殺菌の負担が小さくなり、加熱バンド27は確実に殺菌を行える。特に、加熱バンド27の前段に除菌フィルタ36があることで、雑菌の減少、減少した雑菌の熱殺菌、との順序で空気管28を通る空気の殺菌が行われるので、殺菌の確実性が向上する。
【0106】
もちろん、加熱バンド27の後段に除菌フィルタ36が設けられる構造でもよい。この場合には、加熱バンド27がほぼ全ての雑菌を熱殺菌し、仮に熱殺菌にもれた雑菌は除菌フィルタ36で除菌される。
【0107】
いずれにしても、除菌フィルタ36が加熱バンド27と組み合わされることで空気管28を通る空気の殺菌がより確実になる。
【0108】
除菌フィルタ36は、使用者により取替え可能であることも好適である。
【0109】
(その他の形態)
水容器22は、ミネラルウォーターや天然水以外であっても、ラドン成分のような温泉成分を含む水を収容していても良い。この場合には、給水コック29および給湯コック30から温泉水が供給される。
【0110】
また、冷水タンク24内部にミネラル成分を溶出するミネラル剤を投入しておけば、ミネラル化された冷水や温水が供給される。また、給水機20を台所の流し台の周りに設置して飲料水として利用するほか、食物や食器の水洗い用として利用できるようにしてもよい。
【0111】
給水機20は、家庭やオフィスなどのほか、デパートや総合ショッピングセンターなどの商業施設に設置されてもよい。
【0112】
天然水やミネラルウォーターが詰められた水容器22と給水機20とは、別に供給されても良い。例えば、給水機20は、家庭やオフィスにレンタルされ、提供者は天然水やミネラルウォーターが詰められた水容器22を販売する。給水機20の使用者は、水容器22を購入して給水機20に設置して給水機20より水を得る。水容器22が空になると、提供者は空になった水容器22を回収すると共に、天然水やミネラルウォーターの詰められた新しい水容器22を提供する。
【0113】
このように、給水機20をレンタルとし、水を詰めた水容器22を販売する形態によって、使用者のコストを低減しつつ使用者の手間も低減できる。加えて、水容器22を使用後に回収して新しい水容器22を提供することで、水容器22の劣化に伴う水への非衛生的な影響を回避できる。特に、実施の形態における給水機20は、空気管28を通る空気を熱殺菌することで供給される水の衛生面や安全性を維持しており、水容器22を回収方式とすることで、衛生面や安全面での向上が図られる。
【0114】
また、給水機20は、全ての要素が備わった状態以外でも、必要な要素がばらばらになった組み立てキットの状態で提供されてもよいし、一部分のみが提供されても良い。また、給水機との名称で説明しているが、ウォーターサーバや給水設備など、冷水や温水を飲用や洗い用に供給する機器を幅広く含む。
【0115】
なお、実施の形態で説明された給水機は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の実施の形態における給水機のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態2における給水機の模式図である。
【図3】本発明の実施の形態における水容器の変形を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態における水容器と管路との接続状態を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態における空気管が通る加熱バンドの斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態における温水タンクと空気管との関係を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態における加熱バンドを通る空気管の斜視図である。
【符号の説明】
【0117】
1 給水機
2 水容器
3 吸引手段
4 冷水タンク
5 冷却手段
6 温水タンク
7 加熱手段
8 空気管
9 冷水供給手段
10 温水供給手段
11 除菌フィルタ
12 管路
13 接続管
20 給水機
22 水容器
23 ポンプ
24 冷水タンク
26 温水タンク
27 加熱バンド
28 空気管
29 給水コック
30 給湯コック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を収容する水容器と、
前記水容器から水を吸引する吸引手段と、
前記吸引手段で吸引される水を冷却する冷却手段を有して、得られる冷水を一時的に貯留する冷水タンクと、
前記吸引手段で吸引される水を加熱する加熱手段を有して、得られる温水を一時的に貯留する温水タンクと、
前記冷水タンクおよび前記温水タンクの少なくとも一方に、前記冷水および前記温水の少なくとも一方を押し出す空気を供給する空気管と、を備え、
前記空気管は、前記加熱手段と熱的に接触する給水機。
【請求項2】
前記冷水タンクおよび前記温水タンクのそれぞれは、前記空気管の内部通路を除いて、外気より密封されている請求項1記載の給水機。
【請求項3】
前記水容器は、変形自在な柔軟性を有すると共に外気より密封されており、前記水容器の水は、前記吸引手段からの吸引圧力のみによって、吸引される請求項1から2のいずれか記載の給水機。
【請求項4】
前記吸引手段は、前記水容器から前記冷水タンクに至る経路および前記水容器から前記温水タンクに至る経路のそれぞれにおいて、前記水容器からの水が通る管路を有し、前記管路を介して、前記水容器から前記冷水タンクおよび前記温水タンクに至る水は、前前記管路記空気管から供給される空気以外の空気には接触しない請求項3記載の給水機。
【請求項5】
前記水容器と前記管路との接続部位において弁を有している請求項4記載の給水機。
【請求項6】
前記加熱手段は、前記空気管を通る空気を殺菌する請求項1から5のいずれか記載の給水機。
【請求項7】
前記加熱手段は、前記温水タンクの周囲に設けられた加熱バンドであって、前記空気管は、前記加熱バンドの内部を蛇行する請求項1から6のいずれか記載の給水機。
【請求項8】
前記空気管は、その経路途中に除菌フィルタを更に有する請求項1から7のいずれか記載の給水機。
【請求項9】
前記除菌フィルタは、前記空気管において、前記冷水タンクおよび前記温水タンクを基準に加熱手段の前段に設けられる請求項8記載の給水機。
【請求項10】
前記冷水タンクから冷水を供給する冷水供給手段と、前記温水タンクから温水を供給する温水供給手段と、を更に備える請求項1から9のいずれか記載の給水機。
【請求項11】
前記冷水タンクと前記温水タンクとは接続管によって接続されており、前記冷水タンクは、前記温水タンクに、前記接続管を介して貯留している水を供給し、前記空気管は、前記冷水タンクのみに接続される請求項1から10のいずれか記載の給水機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−143600(P2010−143600A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321294(P2008−321294)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(591018040)株式会社九州開発企画 (11)
【Fターム(参考)】