説明

給水装置

【課題】実使用に適した小型化を図ることができることに加えて殺菌効果を高めることができる給水装置を提供する。
【解決手段】給水装置は、供給タンク11から供給される飲料21を貯留タンク12に貯留するとともに、貯留された飲料21は貯留タンク12に接続される吐出部13から吐出するように構成されている。貯留タンク12には、冷却器14及び加熱器15が設けられている。給水装置は、冷却器14を制御する冷却モードと加熱器15を制御する加熱モードと同じく加熱器15を制御する殺菌モードとが切替可能に構成されている。加熱モードは、貯留タンク12内の飲料21が第1加熱温度となるように、加熱器15を制御する。殺菌モードは、貯留タンク12内の飲料21が第1加熱温度よりも高温の第2加熱温度となるように、加熱器15を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌機能を有する給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給水装置は、本体の上部に供給タンクが取り外し可能に装着されるとともに供給タンク内の飲料が自重により、貯留タンクに流入するように構成されている。さらに、給水装置には、貯留タンク内の飲料を吐出するためのコックが設けられており、そのコックの開閉操作によって飲料が吐出されるようになっている。給水装置の貯留タンクには、飲料を冷却するための冷却器、又は、飲料を加熱するための加熱器が設けられている。このような給水装置では、冷却した飲料と加熱した飲料の双方を同時期に使用できるように、冷却用タンクと加熱用タンクとは別体として装備されている(例えば特許文献1参照)。そして、冷却した飲料及び加熱した飲料は、それぞれ冷却飲料用のコックと加熱飲料用のコックから吐出されるように構成されている。ここで、冷却用タンクにおいては、加熱用タンクに比して雑菌が増殖し易いという問題がある。そこで、例えば特許文献1においては、冷却用タンク内における雑菌の増殖を抑制するために、その貯留タンクに加熱器を設けた構成が提案されている。この構成によれば、冷却器の作動を停止した後に加熱器を作動させることで、冷却用タンク内を加熱殺菌することが可能である。一方、例えば特許文献2においては、冷却用タンク内の飲料を循環させるとともに循環過程において紫外線にて殺菌処理を行う構成について開示されている。
【特許文献1】特開2005−308332号公報
【特許文献2】特開2005−350067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したように、給水装置においては冷却用タンクと加熱用タンクとは別体として装備されている。ここで、例えば春から夏において、加熱した飲料の使用頻度が極端に低下する場合には、加熱器を停止することで、給水装置の電力消費を低減することができる。このように、給水装置の実使用においては、冷却用タンク及び加熱用タンクの一方のタンクのみを使用している場合がある。そして、上記従来の給水装置においては、冷却用タンクについては殺菌の対策がなされているものの、加熱用タンクには殺菌の対策がなされていない。そうした加熱用タンク内においては、加熱器を停止した状態では、雑菌が増殖し易い環境となってしまう。そして、一旦停止していた加熱用タンクを作動させたとしても、飲料に適した温度(例えば85℃〜90℃程度)に達するのみであるため、効率的に加熱殺菌されないおそれがある。この点、加熱用タンクの加熱を停止した際に、内部の飲料を抜き出すことで雑菌の増殖は抑制できるものの、同タンク内の飲料を完全に抜き出すという操作には手間が生じることになる。また、冷却用タンクに加えて加熱用タンクについても、例えば特許文献2のように貯留タンク内の飲料を循環させて殺菌する構成とした場合には、循環系が複雑化するため、装置の大型化を招くおそれがある。このように従来の給水装置では、実使用に適した小型化、及び、実使用に適した殺菌対策について改善の余地がある。
【0004】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、実使用に適した小型化を図ることができることに加えて殺菌効果を高めることができる給水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明の給水装置は、供給タンクから供給される飲料を貯留するとともに冷却器及び加熱器を有する貯留タンクと同貯留タンクの飲料を吐出する吐出部とを備え、前記冷却器を制御する冷却モードと、前記貯留タンク内の飲料が第1加熱温度となるように、前記加熱器を制御する加熱モードと、前記貯留タンク内の飲料が前記第1加熱温度よりも高温の第2加熱温度となるように、前記加熱器を制御する殺菌モードとが切替可能に構成されていることを要旨とする。
【0006】
この発明では、例えば春から夏においては冷却モードにすることで冷却した飲料を必要時に流出させることができる。また例えば、秋から冬においては加熱モードにすることで加熱した飲料を必要時に流出させることができる。このように冷却飲料又は加熱飲料の使用要望に応じて、冷却モードと加熱モードとを切り替える構成によれば、単一の貯留タンクを設けた構成にすることができる。そして、殺菌モードは、第1加熱温度よりも高温の第2加熱温度となるまで貯留タンク内の飲料が加熱されるため、加熱モードで給水装置を使用しているときであっても殺菌モードに切り替えることで貯留タンク内の加熱殺菌効果を高めることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の給水装置において、前記冷却モード又は前記加熱モードにおいて前記殺菌モードへ切替制御されることを要旨とする。
この構成によれば、時間の経過とともに増殖する雑菌について、効果的な時期で殺菌することができるようになる。また例えば、飲料の使用頻度の低い時間帯となるように、上記切替制御を実行させることで、殺菌モードが冷却モード又は加熱モードにおける飲料の使用の妨げとなり難くなる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の給水装置において、前記冷却モード又は前記加熱モードにおいて稼働時間と前記吐出部から吐出される飲料の流量とを計測するとともに計測した稼働時間に対して流量の積算値が規定値以下であったときに、前記殺菌モードへ切替制御されることを要旨とする。
【0009】
貯留タンク内において飲料が滞留していると雑菌の増殖を促進するおそれがある。その一方で、貯留タンク内の飲料が頻繁に入れ替わるときには、雑菌は増殖し難い傾向にある。ここで、上記殺菌モードへ切替制御されることは、貯留タンク内を効果的に殺菌することができるものの、飲料の使用量が多いときに殺菌モードに切替制御が実行された場合、飲料の使用の妨げとなるおそれがある。また、飲料の使用量が多いときでは、貯留タンク内において雑菌が増殖し難いため、このときに殺菌モードとしても、無用な電力消費を招くことにもなる。この点、上記構成においては、稼働時間と飲料の流量を計測するとともに計測した稼働時間に対して流量の積算値が規定値以下であったときに殺菌モードに切替制御される。これにより、貯留タンク内において飲料が滞留し易い環境、すなわち雑菌の増殖し易い環境のときに、殺菌モードに切り替わることになる。従って、殺菌に伴って飲料の使用が制限されることを極力抑制することができるとともに、殺菌に要する電力消費を極力低減することができるようになる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の給水装置において、前記殺菌モードにおいて殺菌条件が成立したときに、前記冷却モード又は前記加熱モードへ復帰させる復帰制御が実行されることを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、安定した殺菌効果を発揮させることができるため、殺菌処理の信頼性が高まる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の給水装置において、前記殺菌条件は、前記貯留タンク内の飲料を所定時間沸騰させたことにより成立することを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、第2の加熱温度による殺菌効果を最大限に発揮させることができるようになる。
請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の給水装置において、前記復帰制御は、前記冷却モードへ復帰するに際して前記殺菌モードの停止時からタイマにより遅延させて前記冷却モードを開始させることを要旨とする。
【0013】
この構成によれば、殺菌モードにより加熱されていた飲料は、殺菌モードの停止時から自然放熱されるようになる。すなわち、冷却モードを開始するまでの遅延時間に応じて飲料の温度は低下することになる。このため、冷却モード開始時における飲料の温度は、第2加熱温度よりも低くなるため、飲料を所定の温度まで冷却する冷却モードの電力消費を低減することができるようになる。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の給水装置において、前記飲料がミネラルウォーター類であることを要旨とする。
近年、ミネラルウォーター類の給水装置は、一般企業、飲食店、一般家庭等において広く設置されるようになっている。こうした給水装置の使用においては、省スペースで設置できるとともに殺菌が確実に行われることが要求されている。この点、上記構成によれば、そうした要求に十分に応えることができるようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、実使用に適した小型化を図ることができることに加えて殺菌効果を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を給水装置に具体化した一実施形態について図1〜図3に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、給水装置は、供給タンク11から供給される飲料21を貯留タンク12に貯留するとともに、貯留された飲料21は貯留タンク12に接続される吐出部13から吐出するように構成されている。供給タンク11は、図示しない本体ケースの上部に載置されることにより、供給タンク11内の飲料21が貯留タンク12に供給されるように連結される。そして、同供給タンク11内の飲料21が空になった際には、その供給タンク11を新たな供給タンク11に載せ替えることで、給水装置に飲料21を補給することができる構成とされている。なお、供給タンク11内の飲料21は、その自重により貯留タンク12を通じて吐出部13から吐出されるように構成されている。本実施形態における供給タンク11内の飲料21は、ミネラルウォーター類である。ミネラルウォーター類としては、例えばミネラルウォーター、ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ボトルドウォーター等が挙げられる。
【0017】
貯留タンク12の外周面には、冷却器14が設けられており、この冷却器14により貯留タンク12内の飲料21を冷却することができる。本実施形態では冷却器14としてペルチェ冷却器を用いることで、給水装置の小型化が図られている。また、貯留タンク12には、加熱器15が設けられており、この加熱器15により貯留タンク12内の飲料21を加熱することができる。本実施形態では、加熱器15としてシーズヒーターを用いている。シーズヒーターの加熱部は、金属パイプの中心部位に発熱コイルが配置されるとともに、金属パイプと発熱コイルの隙間に熱伝導性の絶縁体を埋設したものである。シーズヒーターは、その加熱部が貯留タンク12内の飲料21に浸漬されるように設置されている。貯留タンク12の外壁は断熱層16で包囲されることにより、飲料21の保温性が高められている。貯留タンク12の上部には蓋体20が設けられている。蓋体20においてシーズヒーターの挿入部分には、シーズヒーターの加熱部を支持するとともにその加熱部と蓋体20の孔との隙間を封止する封止部材20aが設けられている。なお、封止部材20aは、シーズヒーターの熱に耐え得る耐熱性の材料(例えば耐熱性樹脂、耐熱性ゴム等)により形成されている。こうした封止部材20aは、シーズヒーターの熱が蓋体20に直接伝わることを防止する。また、蓋体20には通気部20bが設けられ、貯留タンク12内の内圧が調整されるようになっている。
【0018】
冷却器14及び加熱器15は、給水装置に装備される電子制御部17により制御される。貯留タンク12内には温度センサ18が設けられており、検出された飲料21の温度は電子制御部17に出力される。また、貯留タンク12と吐出部13とを連通する通路には流量計19が設けられており、計測された流量は電子制御部17に出力される。
【0019】
電子制御部17には、冷却器14を制御する冷却モードと加熱器15を制御する加熱モードと同じく加熱器15を制御する殺菌モードが設定されている。冷却モードは、貯留タンク12内の飲料21が所定の冷却温度となるように冷却器14を制御する。加熱モードは、貯留タンク12内の飲料21が第1加熱温度となるように加熱器15を制御する。殺菌モードは、貯留タンク12内の飲料21が第1加熱温度よりも高温の第2加熱温度となるように加熱器15を制御する。電子制御部17は、それら冷却モード、加熱モード及び殺菌モードの各モードに切り替えるように構成されている。
【0020】
冷却モードにおいては、貯留タンク12内の飲料21が例えば6℃〜12℃の温度範囲となるように冷却されることで、冷却された飲料21が吐出部13より得られる。加熱モードにおいては、貯留タンク12内の飲料21が例えば85℃〜92℃の温度範囲となるように加熱されることで、加熱された飲料21が吐出部13より得られる。殺菌モードにおいては、貯留タンク12内の飲料21が沸騰するように加熱されることで、貯留タンク12内の飲料21、及び貯留タンク12の内壁が加熱殺菌される。
【0021】
電子制御部17には、特殊処理用のタイマが内蔵されており、冷却モード又は加熱モードにおいて特殊処理が所定時間毎に実行される。特殊処理は、冷却モード又は加熱モードから殺菌モードへの切替制御と、殺菌モードから冷却モード又は加熱モードへ復帰させる復帰制御を含む。本実施形態の切替制御は、流量計19にて計測された流量についてその積算値が稼働時間に対して規定値以下であることを条件としている。稼働時間と流量積算値は、特殊処理が実行される1周期当たりにおける稼働時間と、飲料21の流量を積算した値とすることができる。こうした切替制御は、冷却モード又は加熱モードを停止するとともに殺菌モードを開始する。
【0022】
復帰制御は、殺菌モードにおいて殺菌条件が成立したことを条件として開始される。電子制御部17には、殺菌条件用のタイマが内蔵されており、殺菌条件は、例えば殺菌モードが開始されてからの経過時間、殺菌モードにより貯留タンク12内の飲料21が所定温度まで到達してからの経過時間等により設定される。本実施形態の殺菌条件は、貯留タンク12内の飲料21を所定時間沸騰させたことをもって成立する。電子制御部17には、復帰制御用のタイマが内蔵されており、復帰制御は冷却モードへ復帰するに際して殺菌モードの停止時から遅延して前記冷却モードを開始させる。一方、復帰制御は、加熱モードへ復帰させるに際しては、殺菌モードから加熱モードへ切り替える。
【0023】
次に、特殊処理に係る制御の流れについて詳細に説明する。
図2に示されるように特殊処理が開始されると、まず、ステップS100において、設定された稼働時間に対して、流量積算値が規定値D以下であるか否かを判定する。ステップS100において、流量積算値が規定値D以下である旨の判定がなされた場合(ステップS100:YES)には、ステップS110へと進む。一方、ステップ100において、流量積算値が規定値D以下ではない旨の判定がなされた場合(ステップS100:NO)には、特殊処理を終了する。
【0024】
流量積算値は、所定稼働時間における飲料21の使用量を示す値である。ここで、流量積算値が大きいほど、飲料21の使用量が多いことから、貯留タンク12内の飲料21が頻繁に入れ替わることになる。つまり、飲料21の使用量が多いほど、貯留タンク12内は雑菌が増殖し難い環境になっている。一方、流量積算値が小さいほど飲料21の使用量が少ないことから、貯留タンク12内において滞留している飲料21が増えることになる。つまり、飲料21の使用量が少ないほど、貯留タンク12内は雑菌の増殖し易い環境となる。したがって、流量積算値の規定値Dを設定することで、ステップS100においては、貯留タンク12内が雑菌の繁殖し易い環境となったときに、ステップS110へと進めることができる。例えば、特殊処理が実行される1周期を7日間に設定するとともに上記流量積算値の規定値Dを供給タンク11の容量となるように設定する。これにより、飲料使用量が7日間において供給タンク11の容量以下であったことを条件に、ステップS110へと進むようになる。
【0025】
ステップS110においては、現在の設定が冷却モードか否かを判定する。ステップS110において、冷却モードである旨の判定がなされた場合(ステップS110:YES)には、ステップS120へと進む。ステップS120において、冷却モードが停止されると、ステップS140へと進む。一方、ステップS110において、冷却モードではない旨判定がなされた場合(ステップS110:NO)には、ステップS130へと進む。ステップS130において、加熱モードが停止されるとステップS140へと進む。
【0026】
ステップS140において、殺菌モードが開始されるとステップS150へと進む。ステップS150においては、殺菌条件が成立したか否かを判定する。ステップS150において、殺菌条件が成立した旨の判定がなされた場合(ステップS150:YES)には、ステップS160へと進む。一方、ステップS150において、殺菌条件が成立していない旨の判定がなされた場合(ステップS150:NO)には、このステップS150が繰り返される。こうしたステップS150により、安定した殺菌効果を発揮させることができるため、殺菌処理の信頼性が高まる。
【0027】
ステップS160においては、殺菌モードから冷却モード又は加熱モードに復帰させる復帰制御が実行されることで、一連の特殊処理が終了される。
図3に示されるように復帰制御が開始されると、まず、ステップS200において、殺菌モードが停止されることで、ステップS210へと進む。ステップS210においては、冷却モードに復帰するか否かを判定する。ステップS210において、冷却モードに復帰する旨の判定がなされた場合(ステップS210:YES)には、ステップS220へと進む。一方、ステップS210において、冷却モードに復帰しない旨の判定がなされた場合(ステップS210:NO)には、ステップS230へと進む。
【0028】
ステップS220においては、殺菌モードの停止時からの経過時間が規定値T以上経過したか否かを判定する。ステップS220において、殺菌モードの停止時からの経過時間が規定値T以上経過した旨の判定がなされた場合(ステップS220:YES)には、ステップS240へと進む。一方、ステップS220において、殺菌モードの停止時からの経過時間が規定値T以上経過していない旨の判定がなされた場合(ステップS220:NO)には、このステップS220が繰り返される。こうしたステップS220により、貯留タンク12内の飲料21は自然放熱される。すなわち、ステップS220の規定値Tに応じて飲料21の温度は低下することになる。
【0029】
ステップS230においては、加熱モードが開始されることで、復帰制御が終了される。ステップS240においては、冷却モードが開始されることで、復帰制御が終了される。このステップS240において冷却モード開始するに際して、上記ステップS220により飲料21の温度は第2加熱温度よりも低くなっている。すなわち、上記ステップS220を設けることで、殺菌モードから冷却モードへ単に切替制御するよりも、飲料21を所定の温度まで冷却する際の電力消費を低減することができるようになる。
【0030】
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1)給水装置は、冷却器14を制御する冷却モードと、加熱器15を制御する加熱モードと、同じく加熱器15を制御する殺菌モードとが切替可能に構成されている。殺菌モードは、貯留タンク12内の飲料21が第1加熱温度よりも高温の第2加熱温度となるように、加熱器15を制御する。この構成によれば、冷却モードと加熱モードとを切り替えることで、冷却飲料又の加熱飲料の使用要望に応じることができるとともに単一の貯留タンク12を装備すればよいため、実使用に適した小型化を図ることができる。そして、殺菌モードに切り替えることで、貯留タンク12内の飲料21が沸騰されるため、加熱モードで給水装置を使用しているときであっても、貯留タンク12内の加熱殺菌効果を高めることができる。
【0031】
また、給水装置は単一の貯留タンク12を装備しているため、従来のように二つの貯留タンク12を装備する場合よりも、雑菌の増殖源が削減される。この点においても、本実施形態の給水装置は、雑菌の増殖抑制において有利である。
【0032】
(2)給水装置は、冷却モード又は加熱モードにおいて殺菌モードへ切替制御されるため、時間の経過とともに増殖する雑菌について、効果的な時期で殺菌することができるようになる。また例えば、飲料21の使用頻度の低い時間帯となるように、切替制御を実行させることで、殺菌モードが冷却モード又は加熱モードにおける飲料21の使用の妨げとなり難くなる。
【0033】
(3)本実施形態の給水装置は、冷却モード又は加熱モードにおいて稼働時間と吐出部13から吐出される飲料21の流量とを計測するとともに稼働時間に対して計測した流量の積算値が規定値以下であったときに、殺菌モードへ切替制御される。これにより、貯留タンク12内において雑菌の増殖し易い環境のときに、殺菌モードに切り替わることになる。すなわち、殺菌の必要性に応じて殺菌モードへ切替制御させることができるため、無用な電力消費を低減することができるようになる。また、殺菌モードにより貯留タンク12内を殺菌処理している間は、通常の冷却モード又は加熱モードは使用できないため、飲料21の使用量が多いときに殺菌モードに切替制御されると、飲料21の使用の妨げとなるおそれがある。この点、上記流量積算値を基準とすることで、飲料21の使用頻度が低いときに、殺菌モードに切替制御できるようになる。従って、殺菌に伴って飲料21の使用が制限されることを極力抑制することができるとともに、殺菌に要する電力消費を極力低減することができるようになる。
【0034】
(4)本実施形態の給水装置は、殺菌モードにおいて殺菌条件が成立したときに、冷却モード又は加熱モードへ復帰させる復帰制御が実行される。例えば、加熱殺菌効果の確認実験に基づいて殺菌条件を設定することで、安定した殺菌効果を発揮させることができるため、殺菌処理の信頼性を高めることができる。
【0035】
(5)殺菌条件は、貯留タンク12内の飲料21を所定時間(例えば30分間)沸騰させたことにより成立するように設定されることで、第2の加熱温度による殺菌効果を最大限に発揮させることができるようになる。
【0036】
(6)復帰制御は、冷却モードへ復帰するに際して殺菌モードの停止時から遅延して冷却モードを開始させるため、殺菌モードにより加熱されていた飲料21は、殺菌モードの停止時から自然放熱されるようになる。このため、冷却モード開始時における飲料21の温度は、第2加熱温度よりも低くなるため、飲料21を所定の温度まで冷却する冷却モードの電力消費を低減することができるようになる。
【0037】
(7)近年、ミネラルウォーター類の給水装置は、一般企業、飲食店、一般家庭等において広く設置されるようになっている。こうした給水装置の使用においては、省スペースで設置できるとともに殺菌が確実に行われることが要求されている。この点、本実施形態の給水装置によれば、そうした要求に十分に応えることができるようになる。
【0038】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成してもよい。
・前記復帰制御は、冷却モードに復帰するに際して殺菌モードの停止時から遅延して冷却モードを開始させるように構成されているが、加熱モードと同様に、殺菌モードから遅延させずに冷却モードに切替制御するように構成してもよい。
【0039】
・前記殺菌条件は、貯留タンク12内の飲料21を所定時間沸騰させたことにより成立するように設定されている。その殺菌条件を、第2加熱温度を飲料21の沸点よりも低い温度に設定して、その温度で所定時間加熱させたことにより成立するように設定してもよい。
【0040】
・前記流量計19により計測された流量は、電子制御部17にて積算されるように構成されている。その流量計を積算流量計に変更することにより、流量の積算値を計測するとともに、電子制御部17にて所定時間当たりの流量積算値を算出するように構成してもよい。
【0041】
・前記流量積算値は、特殊処理が実行される1周期当たりの積算値としているが、流量積算値の積算時間を特殊処理の周期と関連させずに設定してもよい。
・前記殺菌モードへの切替制御は、吐出部13から吐出される飲料21の流量を計測するとともに計測した流量の積算値が規定値以下であったときを条件として実行される。この条件を省略することで、所定時間毎に殺菌モードへの切替制御が実行されるように設定してもよい。
【0042】
・前記冷却モード、加熱モード及び殺菌モードの各モードをスイッチの手動操作により切替可能に構成してもよい。
・前記加熱器15は、シーズヒーターに限定されず、例えばカーボンヒータ、IH(誘導加熱)ヒータ等に変更してもよい。
【0043】
・前記冷却器14は、ペルチェ冷却器に限定されず、例えばコンプレッサ及び冷媒を用いた冷却器14に変更してもよい。
・例えば、前記吐出部13の操作を不能とするロック機構を設けたり、貯留タンク12から吐出部13へ繋ぐ流路を閉鎖する電磁弁を設けたりすることで、前記殺菌モードにおいては、貯留タンク12内の飲料21が吐出部13から吐出されないように構成することが好ましい。
【0044】
・供給タンク11内の飲料21は、ミネラルウォーター類以外の飲料に変更してもよい。飲料としては、例えば茶飲料、スポーツドリンク、コーヒー飲料、ココア飲料等が挙げられる。茶飲料としては、麦茶飲料、緑茶飲料、ウーロン茶飲料、紅茶飲料等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施形態の給水装置の概略構成を示す概略断面図。
【図2】特殊処理に係る一連の処理の流れを示すフローチャート。
【図3】復帰制御に係る一連の処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0046】
11…供給タンク、12…貯留タンク、13…吐出部、14…冷却器、15…加熱器、21…飲料。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給タンクから供給される飲料を貯留するとともに冷却器及び加熱器を有する貯留タンクと同貯留タンクの飲料を吐出する吐出部とを備え、
前記冷却器を制御する冷却モードと、前記貯留タンク内の飲料が第1加熱温度となるように、前記加熱器を制御する加熱モードと、前記貯留タンク内の飲料が前記第1加熱温度よりも高温の第2加熱温度となるように、前記加熱器を制御する殺菌モードとが切替可能に構成されていることを特徴とする給水装置。
【請求項2】
前記冷却モード又は前記加熱モードにおいて前記殺菌モードへ切替制御されることを特徴とする請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記冷却モード又は前記加熱モードにおいて稼働時間と前記吐出部から吐出される飲料の流量とを計測するとともに計測した稼働時間に対して流量の積算値が規定値以下であったときに、前記殺菌モードへ切替制御されることを特徴とする請求項2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記殺菌モードにおいて殺菌条件が成立したときに、前記冷却モード又は前記加熱モードへ復帰させる復帰制御が実行されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の給水装置。
【請求項5】
前記殺菌条件は、前記貯留タンク内の飲料を所定時間沸騰させたことにより成立することを特徴とする請求項4に記載の給水装置。
【請求項6】
前記復帰制御は、前記冷却モードへ復帰するに際して前記殺菌モードの停止時からタイマにより遅延させて前記冷却モードを開始させることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の給水装置。
【請求項7】
前記飲料がミネラルウォーター類であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の給水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−220826(P2009−220826A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64315(P2008−64315)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(591141991)株式会社Deto (13)
【Fターム(参考)】