説明

給湯システム

【課題】配管断熱に使用する断熱材の量を削減することで、製品全体としてのサイズを小さくする。
【解決手段】給水管20、出湯管21、戻り管22、流入管23は、ケース18の内部でタンク11に接続される接続部20a,21a,22a,23aと、ケース18の内部で接続部20a,21a,22a,23aから折れ曲がってケース18の端部まで延びる延部20b,21b,22b,23bとを有する。断熱材19は、タンク11と断熱材19との間に、全ての配管の接続部20a,21a,22a,23aと、出湯管21、戻り管22、流入管23の延部21b,22b,23bとが配置される空間を形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、真空断熱材を適用した給湯タンクがある(例えば、特許文献1参照)。給湯タンクの外周に真空断熱材を適用すると、その熱漏洩量が低減し、結果として電力量が低減する。
【0003】
また、ヒートポンプ熱源機を適用した給湯暖房システムがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−226965号公報
【特許文献2】特開2007−51830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
給湯システムにおいて、タンクだけでなく配管も断熱することが望ましい。しかしながら、タンクと配管とを個々に断熱すると、必然的に断熱材の厚みが増し、製品全体としてのサイズが大きくなる等の課題がある。
【0006】
本発明は、例えば、配管断熱に使用する断熱材の量を削減することで、製品全体としてのサイズを小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様に係る給湯システムは、
ヒートポンプサイクルを利用して温められる水を貯めるタンクと、
前記タンクを収納するケースと、
前記ケースの内部で前記タンクに接続される接続部と、前記ケースの内部で前記接続部から折れ曲がって前記ケースの端部まで延びる延部とをそれぞれ有する複数の配管と、
前記ケースの内部で前記タンクを囲む断熱材であり、前記タンクと前記断熱材との間に、前記複数の配管のうち少なくとも1つの配管の接続部と延部の少なくとも一部とが配置される空間を形成する断熱材とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一の態様では、タンクと断熱材との間に、少なくとも1つの配管の接続部と延部の少なくとも一部とが配置される空間が形成されている。したがって、配管断熱に使用する断熱材の量が削減され、製品全体としてのサイズが小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係る給湯暖房システムの構成図。
【図2】実施の形態1に係る給湯暖房システムのタンク及び配管の断熱を示す横断面図。
【図3】実施の形態1に係る給湯暖房システムのタンク及び配管の断熱を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る給湯暖房システム10の構成図である。
【0012】
図1において、給湯暖房システム10は、タンク11、ヒートポンプ熱源機13、水循環ポンプ15、電磁三方弁16、温水暖房器具17(例えば、床暖房)を備える。また、給湯暖房システム10は、複数の配管の例として、給水管20、出湯管21、戻り管22、流入管23を備える。
【0013】
給湯暖房システム10では、流体回路の例として、水回路10a、給湯回路10b、暖房回路10cが構成されている。水回路10a、給湯回路10b、暖房回路10cでは、流体の一例として水が循環する。
【0014】
ヒートポンプ熱源機13は、膨張装置、蒸発器、圧縮機、水冷媒熱交換器14(例えば、凝縮器)が接続されて冷媒(例えば、CO)が循環するヒートポンプ回路を備える。圧縮機は、冷媒を圧縮して加熱する。水冷媒熱交換器14は、圧縮機によって加熱された冷媒を利用して、水回路10aを流れる水を加熱する。膨張装置は、膨張冷却により冷媒を冷却する。蒸発器は、膨張装置によって冷媒が冷却された後、外気から冷媒に熱を回収する。このように、ヒートポンプ熱源機13は、ヒートポンプサイクル運転を行うことにより、水回路10aを循環する水を温める。
【0015】
電磁三方弁16は、水回路10a、給湯回路10b、暖房回路10cの水の往路を接続する。電磁三方弁16は、ヒートポンプ熱源機13のヒートポンプサイクルにより温められる水を、給湯回路10bと暖房回路10cとに流入させる。給湯回路10bと暖房回路10cとへの水の流量は、外部から制御される。
【0016】
タンク11は、貯湯槽11aと熱交換器12(具体的には、水熱交換器)とを有する。貯湯槽11aは、水を貯める。熱交換器12は、給湯回路10bを循環する水(即ち、ヒートポンプ熱源機13のヒートポンプサイクルにより温められた水)を利用して、貯湯槽11aに貯められた水を温める。
【0017】
給水管20は、水をタンク11の貯湯槽11aに供給する。流入管23は、給湯回路10bを循環する水をタンク11の熱交換器12に流入させる。戻り管22は、熱交換器12により利用された水を給湯回路10bに戻す。出湯管21は、熱交換器12により温められた水を貯湯槽11aから流出させる。
【0018】
本実施の形態において、給湯暖房システム10は、給湯システムの一例であり、温水暖房器具17を備えていなくてもよい。この場合、電磁三方弁16は不要である。
【0019】
本実施の形態において、タンク11は、ヒートポンプサイクルを間接的に利用して温められる水を貯めるが、ヒートポンプサイクルを直接的に利用して温められる水を貯めてもよい。つまり、タンク11は、熱交換器12を有していなくてもよい。この場合、給湯回路10bを循環する水は、流入管23を介してタンク11の貯湯槽11aに流入し、貯湯槽11a内に貯められる。この水が使用された後、あるいは、別途給水管20から供給された水が、戻り管22を介して給湯回路10bに戻される。
【0020】
以下、給湯暖房システム10の動作について説明する。
【0021】
給湯暖房システム10の運転時は、ヒートポンプ熱源機13内に配設されている水冷媒熱交換器14により水回路10a内の水が加熱される。水循環ポンプ15により水回路10a内を温水が循環する。水循環ポンプ15から吐出された温水は、電磁三方弁16により給湯回路10b、暖房回路10cへと切り換えられる。給湯回路10b内の温水は、流入管23を介して、タンク11の貯湯槽11a内に配設された熱交換器12に送られる。熱交換器12に送られた温水は、貯湯槽11a内の水と熱交換され、戻り管22を介して、再び水循環ポンプ15により水回路10aに戻される。熱交換により加熱された貯湯槽11a内の温水は、出湯管21を介して、シャワー等に使用される。暖房回路10c内の温水は、温水暖房器具17に送られ、室内空間を暖房することで放熱され、再び水循環ポンプ15により水回路10aに戻される。
【0022】
図2は、給湯暖房システム10のタンク11及び配管の断熱を示す横断面図である。図3は、給湯暖房システム10のタンク11及び配管の断熱を示す縦断面図である。
【0023】
給湯暖房システム10は、さらに、タンク11を覆うケース18(即ち、給湯タンク外箱)、断熱材19(具体的には、真空断熱材)を備える。
【0024】
ケース18は、例えば直方形状であり、タンク11、配管群(即ち、給水管20、出湯管21、戻り管22、流入管23)を内部に収納する。配管群は、ケース18のコーナー部で、ケース18と円柱形状のタンク11との間に上下方向に配置される。出湯管21、戻り管22、流入管23を流れる温水の温度差はおよそ10〜15℃であり、タンク11の貯湯温度とも温度差は少ない。そのため、出湯管21、戻り管22、流入管23は、同じ断熱材19で覆われた空間の内側に配置される。給水管20には据付現地での市場利用の水が流れ、この水の温度は冬場では数℃と低くなる。そのため、給水管20は、断熱材19で覆われた空間の外側に配置される。
【0025】
断熱材19は、タンク11、出湯管21、戻り管22、流入管23を取り囲むように配設されている。出湯管21、戻り管22、流入管23は、互いに近接しており、またタンク11との距離が短くなるように配設されている。一方、給水管20は、断熱材19の外側に配設されている。給水管20と他の配管群(即ち、出湯管21、戻り管22、流入管23)とは、ケース18の異なるコーナー部に配置される。断熱材19の一部は、給水管20を避けるように形状及び配置が工夫されている。具体的には、出湯管21、戻り管22、流入管23が配置されたコーナー部では、ケース18の内壁に沿って断熱材19が設けられており、それ以外のコーナー部(特に、給水管20が配置されたコーナー部)では、タンク11の外壁に沿って断熱材19が設けられている。このような構成を採用したことにより、本実施の形態によれば、ケース18内に収納された出湯管21、戻り管22、流入管23の配管群は配管単独での断熱処理が不要となっている。
【0026】
断熱材19は、真空断熱材であることが望ましい。図2及び図3では、タンク11の側面全体を覆うように平らな板状の真空断熱材(即ち、真空断熱パネル)を、タンク11の形状に沿って組み合わせ、連続的に設置している。図には示していないが、タンク11の天面側にも断熱のために真空断熱パネルを用いることが望ましい。被断熱物の形状に合わせた形状に加工できる真空断熱材を用いれば、さらに断熱保温性能が向上する。
【0027】
以下、さらに詳細について説明する。
【0028】
図3に示すように、それぞれの配管(即ち、給水管20、出湯管21、戻り管22、流入管23)は、ケース18の内部でタンク11に接続される接続部20a,21a,22a,23aと、ケース18の内部で接続部20a,21a,22a,23aから折れ曲がってケース18の端部(例えば、上端)まで延びる延部20b,21b,22b,23bとを有する。断熱材19は、タンク11と断熱材19との間に、全ての配管の接続部20a,21a,22a,23aと、出湯管21、戻り管22、流入管23の延部21b,22b,23bとが配置される空間を形成している。給水管20の延部20bは、この空間の外に配置されている。
【0029】
このように、本実施の形態では、タンク11と、一定以上の温度の流体が流れる配管群(即ち、出湯管21、戻り管22、流入管23)とを共通の断熱材19によって断熱している。そのため、全体としての断熱材19の使用量を大幅に削減することができる。さらに、ケース18のサイズがコンパクトになり、軽量化も図れる。
【0030】
また、図3に示すように、断熱材19によって断熱される配管群の延部(即ち、出湯管21、戻り管22、流入管23の延部21b,22b,23b)は、他の配管の延部(即ち、給水管20の延部20b)とタンク11を挟んで略反対側に配置されている。つまり、出湯管21、戻り管22、流入管23の延部21b,22b,23bは、給水管20の延部20bより互いに近くに配置されている。
【0031】
このように、本実施の形態では、内部水温の近い出湯管21、戻り管22、流入管23を互いに近接させることで周囲への熱漏洩量を低減させることができる。また、これらの配管群とタンク11との距離を短くすることで、配管群とタンク11との間で起きる自然対流を弱めることができる。結果として、さらに周囲への熱漏洩量が低減し、電力量が低減する。
【0032】
一方で、給水管20は、その他の配管群(即ち、出湯管21、戻り管22、流入管23)と内部水温が異なるため、断熱材19の外側に配設されている。これにより、無駄な熱漏洩を抑制することができる。また、断熱材19の該当する部分は、図2に示すように形状及び配置を工夫しているため、さらに断熱材19の使用量を削減することができる。
【0033】
本実施の形態において、断熱材19は、出湯管21、戻り管22、流入管23の延部21b,22b,23bの略全体を囲んでいるが、出湯管21、戻り管22、流入管23の延部21b,22b,23bのそれぞれの一部(例えば、タンク11の上端と同じ又はそれより低い位置にある部分)のみを囲んでもよい。この場合も、上記のような効果が一定程度は得られる。
【0034】
本実施の形態において、断熱材19は、給水管20を除く全ての配管を囲んでいるが、出湯管21、戻り管22、流入管23のいずれか1つ又は2つのみを囲んでもよい。この場合も、上記のような効果が一定程度は得られる。
【0035】
本実施の形態において、出湯管21、戻り管22、流入管23の延部21b,22b,23bがタンク11の外壁に沿って真っ直ぐ延びているが、いずれかの配管の延部が異なる方向(例えば、斜め方向)に延びていてもよいし、途中で曲がっていてもよいし、湾曲していてもよい。いずれの場合も、断熱材19の形状や配置を、出湯管21、戻り管22、流入管23の延部21b,22b,23bの形状に合わせることで対応できる。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態では、ヒートポンプ熱源機13を使用した給湯暖房システム10が、真空断熱材を備える。給湯タンクの周囲は真空断熱材で覆われる。この真空断熱材で覆われた部分の中には配管群も合わせて配置される。このように、本実施の形態では、省スペース化のために共通の真空断熱材を使用して給湯タンクと配管とを断熱するので、真空断熱材の使用量を削減することができる。
【0037】
また、本実施の形態では、上記配管群は、給湯タンクに貯められた温水の温度に近い温度の水が流れる配管群(即ち、給水管20以外の配管群)であり、それぞれの配管同士が近接して並行に配置される。このように、本実施の形態では、内部水温の近い配管同士を近接して配設し、給水管20を真空断熱材の外側に配設しているので、無駄な熱漏洩を抑制し、さらに真空断熱材の使用量を削減することができる。
【符号の説明】
【0038】
10 給湯暖房システム、10a 水回路、10b 給湯回路、10c 暖房回路、11 タンク、11a 貯湯槽、12 熱交換器、13 ヒートポンプ熱源機、14 水冷媒熱交換器、15 水循環ポンプ、16 電磁三方弁、17 温水暖房器具、18 ケース、19 断熱材、20 給水管、20a,21a,22a,23a 接続部、20b,21b,22b,23b 延部、21 出湯管、22 戻り管、23 流入管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートポンプサイクルを利用して温められる水を貯めるタンクと、
前記タンクを収納するケースと、
前記ケースの内部で前記タンクに接続される接続部と、前記ケースの内部で前記接続部から折れ曲がって前記ケースの端部まで延びる延部とをそれぞれ有する複数の配管と、
前記ケースの内部で前記タンクを囲む断熱材であり、前記タンクと前記断熱材との間に、前記複数の配管のうち少なくとも1つの配管の接続部と延部の少なくとも一部とが配置される空間を形成する断熱材と
を備えることを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
前記複数の配管の各々は、前記タンクに流体を流入させる配管と前記タンクから流体を流出させる配管とのいずれかであり、
前記断熱材は、前記タンクと前記断熱材との間に、前記少なくとも1つの配管として、前記複数の配管のうち一定以上の温度の流体が流れる配管群の接続部と延部の少なくとも一部とが配置される空間を形成することを特徴とする請求項1の給湯システム。
【請求項3】
前記タンクは、水を貯める貯湯槽と、前記ヒートポンプサイクルにより温められる流体が循環する流体回路に接続され、前記流体回路を循環する流体を利用して、前記貯湯槽に貯められる水を温める熱交換器とを有し、
前記複数の配管は、水を前記貯湯槽に供給する給水管と、前記流体回路を循環する流体を前記熱交換器に流入させる流入管と、前記熱交換器により利用された流体を前記流体回路に戻す戻り管と、前記熱交換器により温められた水を前記貯湯槽から流出させる出湯管とを含み、
前記断熱材は、前記タンクと前記断熱材との間に、前記少なくとも1つの配管として、前記流入管と前記戻り管と前記出湯管との少なくともいずれかの接続部と延部の少なくとも一部とが配置される空間を形成することを特徴とする請求項1の給湯システム。
【請求項4】
前記断熱材は、前記タンクと前記断熱材との間に、前記少なくとも1つの配管として、前記複数の配管のうち前記給水管を除く全ての配管の接続部と延部の少なくとも一部とが配置される空間を形成することを特徴とする請求項3の給湯システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの配管の延部は、他の配管の延部より互いに近くに配置されることを特徴とする請求項1から4のいずれかの給湯システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの配管の延部は、他の配管の延部と前記タンクを挟んで略反対側に配置されることを特徴とする請求項1から5のいずれかの給湯システム。
【請求項7】
前記複数の配管の延部は、前記タンクの外壁に沿って延び、
前記断熱材は、前記タンクと前記断熱材との間に、前記少なくとも1つの配管の接続部と延部の略全体とが配置される空間を形成することを特徴とする請求項1から6のいずれかの給湯システム。
【請求項8】
前記断熱材は、複数の真空断熱パネルを組み合わせて構成されることを特徴とする請求項1から7のいずれかの給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−184865(P2012−184865A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47057(P2011−47057)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】