説明

給湯システム

【課題】 貯湯手段の貯湯量を的確に検出することが可能な信頼性にすぐれた給湯システムを提供する。
【解決手段】 給水流路を通る水の流量を検知する第1流量検知手段、沸上げ運転時に貯湯手段から導出される水の流量を検知する第2流量検知手段を備え、沸上げ運転時の第2流量検知手段の検知流量を温水増加量として積算し、給湯時の第1流量検知手段の検知流量を温水減少量として積算することにより、貯湯タンクの貯湯量を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、水熱交換器を有するヒートポンプ式冷凍サイクルを熱源として備え、貯湯タンク内の水を上記水熱交換器に循環させることにより、貯湯手段に温水を貯える給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプ式の冷凍サイクルを熱源として利用し、貯湯手段である貯湯タンクに給湯用の温水(湯)を貯える給湯システムがある(例えば、特許文献1)。この給湯システムでは、貯湯タンクに貯えられている温水の量つまり貯湯量を把握するために、貯湯タンクへの温水増加量を温度検知により推定し、貯湯タンクからの温水減少量として給湯口からの温水流出量を検知し、これら温水増加量および温水減少量を合算している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−122018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
給湯口から流出する温水は、貯湯タンクからの温水と給水源から供給される水とを混合したものである。このため、給湯口からの温水流出量を検知するだけでは、貯湯タンクの貯湯量を的確に検出できない。
【0005】
この発明の実施態様の目的は、貯湯手段の貯湯量を的確に検出することが可能な信頼性にすぐれた給湯システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の実施形態の給湯システムは、圧縮機の吐出冷媒を水熱交換器、減圧手段、および空気熱交換器に通して圧縮機に戻すヒートポンプ式の冷凍サイクルと、貯湯手段と、給水源から上記貯湯手段へ水を供給する給水流路と、上記貯湯手段から温水を出湯する出湯流路と、上記貯湯手段から水を導出しその水を上記水熱交換器で加熱して上記貯湯手段上部に導く沸上げ運転用の循環路を形成する貯湯回路と、上記給水流路を通る水の流量を検知する第1流量検知手段と、上記沸上げ運転時に上記貯湯手段から導出される水の流量を検知する第2流量検知手段と、上記沸上げ運転時の上記第2流量検知手段の検知流量を温水増加量として積算し、上記出湯流路からの給湯時の上記第1流量検知手段の検知流量を温水減少量として積算することにより、上記貯湯タンクの貯湯量を検出する貯湯量検出手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態の構成および沸上げ運転時の温水および水の流れを示す図。
【図2】第1の実施形態における除霜運転時の温水の流れを示す図。
【図3】第1の実施形態における給湯・給水時の温水および水の流れを示す図。
【図4】各実施形態におけるリモートコントローラを示す図。
【図5】各実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図6】第2および第3の実施形態の構成および沸上げ運転時の温水および水の流れを示す図。
【図7】第4の実施形態の構成および沸上げ運転時の温水および水の流れを示す図。
【図8】第4の実施形態における除霜運転時の温水の流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1]以下、第1の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、ヒートポンプ式冷凍サイクルを熱源として有するヒートポンプユニット1にタンクユニット21が配管接続され、給湯システムが構成される。
【0009】
まず、ヒートポンプユニット1について説明する。
圧縮機2の冷媒吐出口に四方弁3を介して水熱交換器4の冷媒流路4aの入口側が配管接続され、その冷媒流路4aの出口側に減圧手段である膨張弁5、空気熱交換器6、および四方弁3を介して圧縮機2の吸込口が配管接続される。空気熱交換器6の近傍には室外ファン7が配設される。そして、水側接続口11に三方弁12の一方の流路を介して循環ポンプ13の吸込口が配管接続され、その循環ポンプ13の吐出口に水熱交換器4の水流路4bおよび三方弁14の一方の流路を介して湯側接続口15が配管接続される。また、循環ポンプ13の吸込口に三方弁12の他方の流路を介して湯側接続口15が配管接続されるとともに、水熱交換器4の水流路4bの出口側に三方弁14の他方の流路を介して水側接続口11が配管接続される。
【0010】
貯湯手段である貯湯タンク22に温水を貯める沸上げ運転時は、図示矢印のように、圧縮機2の吐出冷媒が四方弁3、水熱交換器4の冷媒流路4a、膨張弁5、空気熱交換器6、四方弁3を通って圧縮機2に戻る冷媒流路が形成され、水熱交換器4が凝縮器、空気熱交換器6が蒸発器として機能する。このとき、三方弁12,14のそれぞれ一方の流路が開き、水側接続口11に入る温水または水が三方弁12および循環ポンプ13を通って水熱交換器4の水流路4bに流れ、そこで加熱された温水が三方弁14を通って湯側接続口15から流出する。
【0011】
空気熱交換器6に付着した霜を除去する除霜運転時は、図2に矢印で示すように、圧縮機2の吐出冷媒が四方弁3、空気熱交換器6、膨張弁5、水熱交換器4の冷媒流路4a、および四方弁3を通って圧縮機2に戻る冷媒流路が形成され、空気熱交換器6が凝縮器、水熱交換器4が蒸発器として機能する。このとき、三方弁12,14のそれぞれ他方の流路が開き、湯側接続口15に入る温水が三方弁12および循環ポンプ13を通って水熱交換器4の水流路4bに流れ、そこで熱を奪われた水が三方弁14を通って水側接続口11から流出する。
【0012】
次に、タンクユニット21について説明する。
タンクユニット21は、貯湯手段である貯湯タンク22を備え、水道等の給水源に接続される給水接続口23に給水流路である給水管24を介して貯湯タンク22の底部が接続される。給水管24には、2つの減圧弁25,25および第1流量検知手段である流量センサ26が配設される。流量センサ26は、給水管24を通る水の流量f1を検知する。
【0013】
貯湯タンク22には、温水の温度をその貯湯タンク22の深さ方向に沿う複数個所で検知する複数の温度センサ(第1温度検知手段)T3,T2,T1が取付けられている。これら温度センサの検知温度から、貯湯タンク1の深さ方向における温水の温度分布を捕らえることができる。
【0014】
上記給水管24における流量センサ26の配設位置より下流側と往き接続口28との間に水管27が接続され、その水管27に逆止弁31、流量センサ(第2流量検知手段)32、および温度センサ(第2温度検知手段)33が配設される。逆止弁31は、貯湯タンク22の底部から導出されて往き接続口28へ向かう水の流れを許容し、それとは逆方向の水の流れを阻止する。流量センサ32は、逆止弁31を経て往き接続口28へ向かう水の流量f2を検知する。温度センサ33は、逆止弁31を経て往き接続口28へ向かう水の温度Txを検知する。
【0015】
この水管27の逆止弁31、流量センサ32、温度センサ33をバイパスする状態にバイパス管27aが接続され、そのバイパス管27aに逆止弁34および流量センサ(第3流量検知手段)35が配設される。逆止弁34は、往き接続口28から貯湯タンク22の底部へ向かう水の流れを許容し、それとは逆方向の水の流れを阻止する。流量センサ35は、逆止弁34を経て貯湯タンク22の底部へ向かう水の流量f3を検知する。
【0016】
そして、上記往き接続口28に水管29を介してヒートポンプユニット1の水側接続口11が接続され、ヒートポンプユニット1の湯側接続口15に温水管41を介してタンクユニット21の戻り接続口42が接続される。この戻り接続口42から貯湯タンク22の上部にかけて温水管43が接続される。
【0017】
こうして、上記給水管24の一部、水管27、バイパス管27a、水管29、温水管41,43により、貯湯タンク22の底部とその貯湯タンク22の上部とをヒートポンプユニット1の水熱交換器4を介して連通する貯湯回路が形成される。この貯湯回路では、水管27の逆止弁31、流量センサ32、温度センサ33を通る沸上げ運転用の循環路と、バイパス管27aの逆止弁34および流量センサ35を通る除霜運転用の循環路とが選択的に形成される。
【0018】
また、貯湯タンク22の上部から出湯接続口46にかけて出湯流路である出湯管44が接続され、その出湯管44に混合弁45が配設される。混合弁45は、出湯管44を流れる温水に対し、上記給水管24から分岐したバイパス管24aから導かれる水を混合することにより、給湯設定温度の温水を生成する。生成された温水は、出湯接続口46を介して使用場所である台所、洗面所、風呂場等に導かれる。
【0019】
貯湯タンク22の温水を使用場所に供給しながら貯湯タンク22に水を補給する給湯・給水時の温水および水の流れを図3に矢印で示す。
【0020】
一方、ヒートポンプユニット1およびタンクユニット21に制御部50が接続され、その制御部50にリモートコントロール式の操作器(リモコンと略称する)60が接続される。
【0021】
リモコン60は、図4に示すように、液晶表示部61、満タン運転ボタン62、温度調節ボタン63,64、運転モード選択ボタンなどを含む操作部を開閉自在に覆うカバー65などを有する。液晶表示部61は、貯湯量をパーセント表示する貯湯量示領域61a、給湯設定温度を数値表示する温度表示領域61bなどを有する。
【0022】
制御部50は、主要な機能として次の(1)〜(3)の手段を有する。
(1)沸上げ運転時、流量センサ32の検知流量f2を温水増加量として積算し、その積算値が予め定められた設定値に達して温水満杯が検出されたときの積算値を貯湯量100%として初期設定し、以後、出湯管44からの給湯時の流量センサ26の検知流量(=貯湯タンク22への給水流量)f1を温水減少量として積算し、除霜運転時の流量センサ35の検知流量f3を温水減少量として積算することにより、貯湯タンク22の貯湯量(100%に対する割合)を検出する貯湯量検出手段。
【0023】
(2)上記貯湯量検出手段で検出した貯湯量を図4に示すようにリモコン60における液晶表示部61の貯湯量示領域61aでパーセント表示する表示制御手段。
【0024】
(3)リモコン60で異常判定モードが設定された場合に、ヒートポンプユニット1およびタンクユニット21の相互間における貯湯回路で沸上げ運転用の循環路を形成し、この沸上げ運転用の循環路において流量センサ32が流れを検知すれば貯湯回路における水管29および温水管41の接続が正常であると判定し、同沸上げ運転用の循環路において流量センサ32が流れを検知せず流量センサ35が流れを検知した場合は貯湯回路で除霜運転用の循環路を形成し、この除霜運転用の循環路において流量センサ32が流れを検知すれば貯湯回路における水管29および温水管41が逆接続異常であると判定し、上記沸上げ運転用の循環路において流量センサ32,35が共に流れを検知しない場合および上記除霜運転用の循環路において流量センサ32が流れを検知しない場合は貯湯回路が詰り異常であると判定する異常判定手段。
【0025】
つぎに、図5のフローチャートを参照しながら動作を説明する。
リモコン60で沸上げ運転モードが設定されると(ステップ101のYES)、図1に示す沸上げ流路が形成され、貯湯タンク22の底部の水が水熱交換器4で加熱され、その水熱交換器4を経た温水が貯湯タンク22の上部に導かれる。
【0026】
この沸上げ運転時、水管27における流量センサ32の検知流量f2が温水増加量として積算され(ステップ102)、その積算値が予め定められた設定値に達して温水満杯が検出されたときの積算値が貯湯量100%として初期設定される。以後、図2に示す除霜流路が形成されて空気熱交換器6に対する除霜運転が実行されると(ステップ103のYES)、バイパス管27aにおける流量センサ35の検知流量f3が温水減少量として積算される(ステップ104)。また、図3に示す給湯・給水流路が形成されて使用場所への給湯運転が実行されると(ステップ105のYES)、給水管24における流量センサ26の検知流量f1が温水減少量として積算される(ステップ106)。流量センサ26で検知される給水流量f1は、使用場所への給湯量(貯湯タンク22からの出湯量)と同じである。
【0027】
これら積算値が逐次に合算されて、貯湯タンク22の貯湯量(100%に対する割合)が検出される(ステップ107)。そして、検出された貯湯量がリモコン60における液晶表示部61の貯湯量示領域61aでパーセント表示される(ステップ108)。このリモコン60の表示を見ることにより、給湯可能な温水がどれだけ残っているかを一目瞭然に把握することができる。このように、第1の実施形態の給湯システムは、貯湯手段である貯湯タンク22の貯湯量を的確に検出することができ、温度検知手段の数を減少させることができる。
【0028】
ところで、当該給湯システムの据付け完了時、作業員がリモコン60で異常判定モードを設定すると(ステップ110のYES)、循環ポンプ13がt1分だけ運転されて図1の沸上げ運転用の循環路が形成される(ステップ111)。このとき、水管27における流量センサ32で流れ(流量f2)が検知されるかどうか判定される(ステップ112)。流れが検知されれば(ステップ112のYES)、水管29および温水管41の接続が正常であると判定される(ステップ113)。以後、各種運転が許容される。
【0029】
ただし、流量センサ32で流れ(流量f2)が検知されない場合は(ステップ112のNO)、バイパス管27aにおける流量センサ35で流れ(流量f3)が検知されるかどうか判定される(ステップ114)。流れが検知されれば(ステップ114のYES)、図2の除霜運転用の循環路に切換えられて循環ポンプ13がt1分だけ運転される(ステップ115)。このとき、水管27における流量センサ32で流れ(流量f2)が検知されるかどうか判定される(ステップ116)。流れが検知されれば(ステップ116のYES)、水管29および温水管41が逆接続異常であると判定される(ステップ117)。この判定に伴い、以後の運転が禁止されるとともに、逆接続異常の旨がリモコン60の液晶表示部61で表示される。
【0030】
また、上記沸上げ運転用の循環路において、流量センサ32,35が共に流れを検知しない場合は(ステップ112のNO、ステップ114のNO)、水管29および温水管41を含む貯湯回路が詰り異常であると判定される(ステップ118)。この判定に伴い、以後の運転が禁止されるとともに、逆接続異常の旨がリモコン60の液晶表示部61で表示される。
【0031】
上記除霜運転用の循環路において、流量センサ32が流れを検知しない場合も(ステップ116のNO)、水管29および温水管41を含む貯湯回路が詰り異常であると判定される(ステップ118)。この判定に伴い、以後の運転が禁止されるとともに、逆接続異常の旨がリモコン60の液晶表示部61で表示される。
【0032】
このような異常判定機能を有することにより、異常が生じたまま運転が行われる不具合を未然に防ぐことができ、信頼性を向上することができる。
【0033】
[2]第2の実施形態について説明する。
図6に示すように、タンクユニット21に加えて補助タンクユニット71,81が配設される。これらタンクユニット21および補助タンクユニット71,81の貯湯タンク22,72,81の上部および底部が水管47により順次に直列接続される貯湯手段を構成する。そして、これら直列接続された貯湯タンク22,72,81のうち、一端側に位置する貯湯タンク82(給水側貯湯タンク)の底部へ給水管24が接続され、他端側に位置する貯湯タンク22(出湯貯湯タンク)の上部に出湯管44および温水管43が接続される。
【0034】
すなわち、給水側貯湯タンクである貯湯タンク82の底部と出湯貯湯タンクである貯湯タンク22の上部とをヒートポンプユニット1の水熱交換器4を介して連通する貯湯回路が形成される。この貯湯回路では、給水側貯湯タンクである貯湯タンク82の底部から水を導出し、その水を水管27の逆止弁31、流量センサ32、温度センサ33、水熱交換器4に通して出湯貯湯タンクである貯湯タンク22の上部に導く沸上げ運転用の循環路と、出湯貯湯タンクである貯湯タンク22の上部から温水を導出し、その温水を水熱交換器4、バイパス管27aの逆止弁34および流量センサ35に通して給水側貯湯タンクである貯湯タンク82の底部に戻す除霜運転用の循環路とが選択的に形成される。
【0035】
流量センサ32は、沸上げ運転時に給水側貯湯タンクである貯湯タンク82の底部から導出される水の流量を検知する。流量センサ35は、除霜運転時に給水側貯湯タンクである貯湯タンク82の底部に戻る水の流量を検知する。
【0036】
温度センサT3,T2,T1は、貯湯タンク22にのみ取付けられている。貯湯タンク22,72,83は連通しているので、貯湯タンク72,82がどのような容量であっても、これら温度センサT3,T2,T1のみで、貯湯タンク22,72,82の温水満杯を検出できる。
温水満杯の検出が異なるだけで、他の構成および動作は第1の実施形態と同じである。よって、その説明は省略する。
【0037】
[3]第3の実施形態について説明する。
この第3の実施形態は、第2の実施形態の図6と同じく貯湯手段として複数の貯湯タンク22,72,82を有する構成を対象としている。制御部50は、主要な機能として、第1の実施形態の(1)の機能に代わる次の(11)の手段を有する。
【0038】
(11)沸上げ運転時、流量センサ32の検知流量f2を温水増加量として積算し、水管24における温度センサ33の検知温度が設定値Tzに達したときの積算値を貯湯量100%として初期設定し、以後、出湯管44からの給湯時の流量センサ26の検知流量(=貯湯タンク22への給水流量)f1を温水減少量として積算し且つ除霜運転時の流量センサ35の検知流量f3を温水減少量として積算して貯湯タンク22,72,82の貯湯量(100%に対する割合)を検出するとともに、温度センサT3,T2,T1のいずれかが温水温度を検知している間はその温度検知している温度センサの深さ方向の位置に基づいて貯湯量(100%に対する割合)を検出しそれを最終的な検出結果として更新する貯湯量検出手段。
【0039】
すなわち、貯湯タンク22,72,82の温水が満杯になると、その温水が水管27に流入して温度センサ33の検知温度が設定値Tzまで上昇するので、それを満杯として捕らえている。また、温度センサT3,T2,T1の取付け位置は予め分かっているので、その取付け位置から、実際の貯湯量が貯湯量100%に対してどのくらいの割合にあるかを検出することができる。流量検知に基づく貯湯量の検出に際しては、貯湯タンク22,72,82の相互間の水管47の長さや容量などに基づく誤差が生じる可能性があるが、温度センサT3,T2,T1のいずれかが温水温度を検知している間は、その温度検知している温度センサの深さ方向の位置に基づいて貯湯量を検出しそれを最終的な検出結果として更新することにより、貯湯タンク22,72,82の相互間の水管47の長さや容量などに影響を受けることなく、適正な貯湯量を検出できる。
【0040】
他の構成および動作は第1の実施形態と同じである。よって、その説明は省略する。
【0041】
[4]第4の実施形態について説明する。
この第4の実施形態は、ヒートポンプユニット1の冷凍サイクルが冷媒としてCOを採用している点が第1の実施形態と異なる。
【0042】
すなわち、図7に示すように、圧縮機2の冷媒吐出口に水熱交換器4の冷媒流路4aの入口側が配管接続され、その冷媒流路4aの出口側に膨張弁5および空気熱交換器6を介して圧縮機2の吸込口が配管接続される。
【0043】
沸上げ運転時は、図示矢印のように、圧縮機2の吐出冷媒が水熱交換器4の冷媒流路4a、膨張弁5、空気熱交換器6を通って圧縮機2に戻る流路が形成されるとともに、循環ポンプ13および室外ファン7が動作する。除霜運転時は、図8に示すように、循環ポンプ13および室外ファン7が停止されるだけで、沸上げ運転時と同じ流路が形成される。
【0044】
この場合、タンクユニット21における逆止弁34および流量センサ35が除去される。そして、流量センサ32の検知流量f2を温水増加量として積算し、出湯管44からの給湯時の流量センサ26の検知流量(=貯湯タンク22への給水流量)f1を温水減少量として積算することにより、貯湯手段である貯湯タンク22の貯湯量を検出する。
他の構成および動作は第1の実施形態と同じである。よって、その説明は省略する。
【0045】
以上のように、各実施形態の給湯システムは、貯湯手段の貯湯量を的確に検出することができ、温度検知手段の数を減少させることができる。
【0046】
[5]なお、上記各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な各実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態や変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1…ヒートポンプユニット、2…圧縮機、3…四方弁、4…水熱交換器、5…膨張弁、6…空気熱交換器、7…室外ファン、13…循環ポンプ、21…タンクユニット、22…貯湯タンク(貯湯手段)、T3,T2,T1…温度センサ(第1温度検知手段)、24…給水管(給水流路)、26…流量センサ(第1流量検知手段)、27…水管、27a…バイパス管、31…逆止弁、32…流量センサ(第2流量検知手段)、33…温度センサ(第2温度検知手段)、34…逆止弁、35…流量センサ(第3流量検知手段)、44…出湯管(出湯流路)、45…混合弁、50…制御部、60…リモコン、61…液晶表示部、61a…貯湯量表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機の吐出冷媒を水熱交換器、減圧手段、および空気熱交換器に通して圧縮機に戻すヒートポンプ式の冷凍サイクルと、
貯湯手段と、
給水源から上記貯湯手段へ水を供給する給水流路と、
上記貯湯手段から温水を出湯する出湯流路と、
上記貯湯手段から水を導出しその水を上記水熱交換器で加熱して上記貯湯手段に導く沸上げ運転用の循環路を形成する貯湯回路と、
上記給水流路を通る水の流量を検知する第1流量検知手段と、
上記沸上げ運転時に上記貯湯手段から導出される水の流量を検知する第2流量検知手段と、
上記沸上げ運転時の上記第2流量検知手段の検知流量を温水増加量として積算し、上記出湯流路からの給湯時の上記第1流量検知手段の検知流量を温水減少量として積算することにより、上記貯湯手段の貯湯量を検出する貯湯量検出手段と、
を備えることを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
上記貯湯回路は、上記貯湯手段から水を導出しその水を上記水熱交換器で加熱して上記貯湯手段に導く沸上げ運転用の循環路と、上記貯湯手段から温水を導出しその温水を上記水熱交換器に通して上記貯湯手段に戻す除霜運転用の循環路とを選択的に形成し、
上記除霜運転時に上記貯湯手段に戻る温水の流量を検知する第3流量検知手段をさらに備え、
上記貯湯量検出手段は、上記沸上げ運転時の上記第2流量検知手段の検知流量を温水増加量として積算し、上記給湯時の上記第1流量検知手段の検知流量を温水減少量として積算し、上記除霜運転時の上記第3流量検知手段の検知流量を温水減少量として積算することにより、上記貯湯手段の貯湯量を検出する、
ことを特徴とする請求項1記載の給湯システム。
【請求項3】
上記貯湯手段は、上部および底部が水管により順次に直列接続された複数の貯湯タンクであり、

上記貯湯回路は、直列接続された上記複数の貯湯タンクのうち、一端側に位置し底部に上記給水流路が接続された給水側貯湯タンクの底部と他端側に位置し上部に出湯流路が接続された出湯側貯湯タンクの上部とを上記水熱交換器を介して連通し、上記給水側貯湯タンクの底部から水を導出しその水を上記水熱交換器で加熱して出湯側貯湯タンクの上部に導く沸上げ運転用の循環路を形成し、
上記第2流量検知手段は、上記沸上げ運転時に給水側貯湯タンクの底部から導出される水の流量を検知する、
ことを特徴とする請求項1記載の給湯システム。
【請求項4】
上記複数の貯湯タンクのうち、出湯側貯湯タンク内の温水の温度をその貯湯タンクの深さ方向に沿う複数個所で検知する複数の第1温度検知手段と、
上記沸上げ運転用の循環路に設けられた第2温度検知手段と、
をさらに備え、
上記貯湯量検出手段は、上記沸上げ運転時の上記第2温度検知手段の検知温度が設定値に達した場合にそのときの上記第2流量検知手段の検知流量の積算値を貯湯量100%として初期設定し、以後、上記沸上げ運転時の上記第2流量検知手段の検知流量を温水増加量として積算し且つ上記給湯時の上記第1流量検知手段の検知流量を温水減少量として積算して上記複数の貯湯タンクの貯湯量を検出するとともに、上記各第1温度検知手段のいずれかが温水温度を検知している間はその温度検知している第1温度検知手段の深さ方向の位置に基づいて上記貯湯タンクの貯湯量を検出しそれを最終的な検出結果として更新する、
ことを特徴とする請求項3記載の給湯システム。
【請求項5】
上記貯湯回路で上記沸上げ運転用の循環路を形成し、この沸上げ運転用の循環路において上記第2流量検知手段が流れを検知すれば上記貯湯回路の接続が正常であると判定し、上記沸上げ運転用の循環路において上記第2流量検知手段が流れを検知せず上記第3流量検知手段が流れを検知した場合は上記貯湯回路で上記除霜運転用の循環路を形成し、この除霜運転用の循環路において上記第2流量検知手段が流れを検知すれば上記貯湯回路が逆接続異常であると判定し、上記沸上げ運転用の循環路において上記第2流量検知手段および上記第3流量検知手段が共に流れを検知しない場合および上記除霜運転用の循環路において上記第2流量検知手段が流れを検知しない場合は上記貯湯回路が詰り異常であると判定する異常判定手段、
をさらに備えることを特徴とする請求項2記載の給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−93060(P2012−93060A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242705(P2010−242705)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(505461072)東芝キヤリア株式会社 (477)
【Fターム(参考)】