説明

給湯器

【課題】二次電池を備え、停電時には二次電池に蓄えられた電力を用いて作動する給湯器を提供する。
【解決手段】バーナー11と、供給された水をバーナー11の熱によって所定温度に加熱する熱交換器12と、商用電源13からの電力供給によって作動する複数の電動機器とが一つの筐体14内に納められ、通常時、商用電源13を電力供給元とする給湯器10において、筐体14内に、商用電源13からの電力供給によって充電される二次電池29と、二次電池29から電力を供給されて作動するインバータ31とを設け、停電時には、二次電池29から出力される直流電力をインバータ31により交流電力に変換し複数の電動機器の一部又は全部に供給して作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナーによって水を加熱して湯を供給する給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
バーナーの熱を利用して水を加熱し、給湯栓(蛇口やシャワー)に湯を供給する給湯器は、バーナーに空気を供給するファンや、操作用のリモコン等、電力が供給されて作動する電動機器を多く備えている(例えば、特許文献1参照)。
給湯器は、商用電源からの電力によって、これらの電動機器を作動させ、給湯栓に対して所定温度の湯を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−163711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、商用電源からの電力供給は、災害、事故等によって停止することがあり、従来の給湯器では、商用電源からの電力供給が停止した際に、給湯栓に湯を供給することができないという問題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、二次電池を備え、停電時には二次電池に蓄えられた電力を用いて作動する給湯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う本発明に係る給湯器は、バーナーと、供給された水を前記バーナーの熱によって所定温度に加熱する熱交換器と、商用電源からの電力供給によって作動する複数の電動機器とが一つの筐体内に納められ、通常時、前記商用電源を電力供給元とする給湯器において、前記筐体内に、前記商用電源からの電力供給によって充電される二次電池と、該二次電池から電力を供給されて作動するインバータとを設け、停電時には、前記二次電池から出力される直流電力を該インバータにより交流電力に変換し前記複数の電動機器の一部又は全部に供給して作動させる。
【0006】
本発明に係る給湯器において、前記二次電池は前記バーナーの使用時に該バーナーに空気を送るファンの上流側に配置されて、該ファンによって空冷されるのが好ましい。
【0007】
本発明に係る給湯器において、前記バーナーが不使用時であっても、前記二次電池が所定温度以上になったのを検知して前記ファンを作動するのが好ましい。
【0008】
本発明に係る給湯器において、前記インバータの出力を外部の機器に供給するサービス用コンセントを設けたのが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る給湯器は、商用電源からの電力供給によって充電される二次電池と、二次電池から電力を供給されて作動するインバータとを設け、停電時には、二次電池から出力される直流電力をインバータにより交流電力に変換し複数の電動機器の一部又は全部に供給して作動させる。従って、商用電源からの電力供給が止まった停電時にも湯を供給することが可能である。
また、二次電池及びインバータは、熱交換器及び電動機器が納められた筐体内に設けられているので、二次電池及びインバータと電動機器を制御するための回路とを接続する電気接続線及び信号接続線に防水設計を施す必要がなく、設計の簡略化を図ることができる。
【0010】
本発明に係る給湯器において、二次電池がバーナーの使用時にバーナーに空気を送るファンの上流側に配置されて、ファンによって空冷される場合、二次電池が高温状態となるのを防ぐファンとバーナー用のファンを兼用することができ、給湯器を構成する部品点数の低減化及び省エネ化を図ることが可能である。
【0011】
本発明に係る給湯器において、バーナーが不使用時であっても、二次電池が所定温度以上になったのを検知してファンを作動する場合、二次電池が高温状態となるのを確実に抑制し、二次電池の寿命を延ばすことが可能である。
【0012】
本発明に係る給湯器において、インバータの出力を外部の機器に供給するサービス用コンセントを設けた場合、二次電池に蓄えられていた電力を、停電時に外部機器を作動させるために有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る給湯器の説明図である。
【図2】マイクロコンピュータの信号接続を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る給湯器10は、バーナー11と、供給された水をバーナー11の熱によって所定温度に加熱する熱交換器12と、商用電源13からの電力供給によって作動する複数の電動機器とが一つの筐体14内に納められ、通常時、商用電源13を電力供給元とする。以下、詳細に説明する。
【0015】
給湯器10には、図1に示すように、給水管15から給水される熱交換器12と、熱交換器12を通過する水に熱を与えるバーナー11が設けられている。
バーナー11には、バーナー11に液体燃料(本実施の形態では灯油)を送るポンプ16が接続されており、バーナー11の火力は、ポンプ16の運転レベルによって調整される。
また、バーナー11の近傍には、バーナー11に空気を供給するファン17が設けられ、バーナー11の使用時は、ファン17が作動してバーナー11に空気を送る。本実施の形態では、バーナー11、ポンプ16及びファン17が一体となったバーナー装置17aが用いられている。なお、バーナー11には点火装置の一例である図示しないイグナイターが設けられている。
【0016】
熱交換器12の湯の出側は、蛇口19及びシャワー20に設定温度の湯を供給する給湯流路21に連結され、給湯流路21には、浴槽18aに湯を供給する湯張り流路18が連結されている。
給湯流路21には、熱交換器12から送られてきた湯に水を混合する混合弁23と熱交換器12から流れ出た湯の流量を調整する比例弁24が設けられている。
熱交換器12からの湯が設定温度を超えている場合、混合弁23で熱交換器12からの湯に水が混合され、蛇口19やシャワー20に供給される湯の温度を下げる。比例弁24は、給湯流路21を流れる湯の流量を調整することによって、蛇口19やシャワー20に供給される湯の温度が揺らぐのを抑制する。
【0017】
給水管15には、熱交換器12あるいは混合弁23に供給される水の温度を計測する温度センサ25が設けられ、熱交換器12の下流側には、熱交換器12から流れ出る湯の温度を計測する温度センサ26が設けられている。混合弁23における湯と水の混合比は、温度センサ25、26の各計測温度を基にして決定される。
また、給湯流路21には、混合弁23から出た湯の温度を計測する温度センサ27が設けられ、蛇口19やシャワー20に供給される湯の温度が設定温度であるか否かを検出する。
【0018】
湯張り流路18には、開閉弁22が設けられ、浴槽18aへの湯張りを行う際にはこの開閉弁22が開かれ、湯張り流路18に湯を流して浴槽18aに湯を供給する。そして、浴槽18aへの湯張りが終了すると、開閉弁22は閉じられる。なお、開閉弁22の下流側には、図示しない逆流防止手段が設けられているので、断水時に浴槽18aの水が給水管15に逆流するのを防止することができる。
【0019】
給湯器10には、バーナー11、ポンプ16、ファン17、開閉弁22、混合弁23、比例弁24及び温度センサ25〜27をはじめとする多くの電動機器(電力を供給されて作動する機器)が設けられ、これらの電動機器には制御部28が接続されている。
制御部28は、商用電源13と電動機器を電気的に接続する電力供給回路28a及び各種プログラムが搭載されたマイクロコンピュータ28b(演算装置の一例)を備え、通常時、即ち商用電源13が電力を供給可能な状態の時、電動機器には、電力供給回路28aを介して商用電源13から電力が供給される。
【0020】
マイクロコンピュータ28bは、図2に示すように、バーナー11、ポンプ16、ファン17、開閉弁22、混合弁23、比例弁24及び温度センサ25〜27に信号接続され、指令信号を送信することによって、これらの電動機器を作動させる。
マイクロコンピュータ28bも電動機器の1つであり、マイクロコンピュータ28bにも、他の電動機器と同様に商用電源13からの電力が電力供給回路28aを介して供給される。
【0021】
給湯器10には、図1に示すように、二次電池29が設けられ、停電時、即ち商用電源13からの電力供給が停止した時には、電動機器に対して二次電池29から電力が供給される。
二次電池29は、交流電力を直流電力に変換するコンバータ30を介して商用電源13に電気的に接続され、通常時、商用電源13からの電力供給によって充電される。二次電池29としては、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池等を採用することができる。
【0022】
二次電池29の電力出力側には、インバータ31が設けられている。インバータ31は、停電時に二次電池29から電力を供給されて作動し、二次電池29から出力される直流電力を交流電力に変換する。インバータ31から出力される交流電力は電力供給回路28aを介して電動機器に供給される。
なお、インバータ31に対しては、商用電源13から直接的に電力を供給されることはない。以下、単に電動機器というときはインバータ31を含まないものとする。
【0023】
インバータ31と制御部28の間には、電力供給回路28aへの電力の送り元を切り替えるリレースイッチ32が設けられている。リレースイッチ32は、図2に示すように、マイクロコンピュータ28bに信号接続されており、マイクロコンピュータ28bからの指令信号によって作動し、電力供給回路28aへの電力の送り元を切り替える。
具体的には、リレースイッチ32は、通常時、商用電源13を電力供給回路28aに電気的に接続し、商用電源13からの電力が電力供給回路28aを介して電動機器に供給されるようにする。停電時には、二次電池29と電力供給回路28aがリレースイッチ32によって電気的に接続され、二次電池29からの電力がインバータ31を介して電動機器に供給される状態となる。
【0024】
また、二次電池29は、図1に示すように、インバータ31を介してサービス用コンセント33に電気的に接続されている。給湯器10は、停電時に、インバータ31から出力される交流電力をサービス用コンセント33を介して外部の機器に供給することができる。
二次電池29、コンバータ30、インバータ31及びリレースイッチ32は、熱交換器12、電動機器及び電力供給回路28aと共に筐体14内に配置されている。
サービス用コンセントは、インバータを介することなく、直接的に二次電池へ接続することもできる。この場合、サービス用コンセントには、二次電池から直流電力が供給されるので、例えば、携帯電話の充電が可能である。
【0025】
二次電池29は、筐体14内に形成され、ファン17の作動によって外部から空気が取り込まれる給気路34に設けられ、給気路34のファン17の上流側に配置されている。そのため、二次電池29は、ファン17が作動中に給気路34を流れる空気によって空冷される。
マイクロコンピュータ28bには、電力供給回路28aに電気的に接続された温度センサ35が信号接続されている。温度センサ35は、電動機器の1つであって、商用電源13あるいは二次電池29から電力を供給されて作動し、二次電池29の表面温度を計測する。
【0026】
マイクロコンピュータ28bは、通常時、温度センサ35から得た二次電池29の表面温度が所定温度(例えば40℃以上で予め定められた温度)以上になったのを検知すると、バーナー11が不使用時であっても、ファン17を作動して二次電池29を空冷する。従って、二次電池29は、高温状態が継続するのを抑制される。二次電池は一般的に高温状態が継続すると短命になるので、このファン17による空冷は、二次電池29の寿命を長くするのに有効である。
本実施の形態では、停電時に、二次電池29から温度センサ35に対して電力が供給されず(即ち、二次電池29の表面温度は計測されない)、ファン17の作動はバーナー11を使用しているときのみに限定され、二次電池29に充電された電力の消費を抑制する設計となっている。これに対し、停電時にも二次電池29から温度センサ35に電力を供給し、二次電池29の表面温度が所定温度以上になったのが検知されると、バーナー11の燃焼を行っていない時であっても、ファン17を作動させ二次電池29を空冷するようにすることもできる。
【0027】
マイクロコンピュータ28bには、リビングやキッチンに配置される給湯リモコン36及び浴室内に配置される浴室リモコン37が信号接続されている。給湯器10の使用者は、給湯リモコン36及び浴室リモコン37を操作して、浴槽18aの湯張り温度や、蛇口19及びシャワー20に供給する湯の温度を設定することができる。給湯リモコン36及び浴室リモコン37は、入力された温度等を表示する画面及び操作用の複数の入力ボタンを有し、図2に示すようにマイクロコンピュータ28bに信号接続されている。
なお、給湯リモコン36及び浴室リモコン37も、図1に示すように、電力供給回路28aに電気的に接続された電動機器であり、通常時は、商用電源13から電力を供給され、停電時には、二次電池29から電力を供給されて作動する。
【0028】
通常時、シャワー20及び蛇口19への給湯及び浴槽18aへの湯張りは、所定の操作によって開始され、全ての電動機器(インバータ31を除く)は、適宜、マイクロコンピュータ28bから指令信号を送信されて作動する。
停電時、マイクロコンピュータ28bは、浴槽18aへの湯張りを禁止し、シャワー20及び蛇口19への給湯のみが行える状態にする。このため、たとえ給湯リモコン36や浴室リモコン37で湯張りを開始するための操作がなされたとしても、開閉弁22は開かれず、湯張りは行われない。これは、停電時に二次電池29の電力の使用を制限し、シャワー20及び蛇口19への給湯を優先させるためである。
【0029】
マイクロコンピュータ28bは、タイマー機能を備え、停電時、シャワー20又は蛇口19への給湯を開始してから所定時間(例えば3〜10分の間で設定可能)が経過すると、バーナー11、ポンプ16及びファン17の作動を止め、シャワー20又は蛇口19への給湯を停止する。
本実施の形態では、給湯リモコン36及び浴室リモコン37は、シャワー20又は蛇口19への給湯が停止する前にアラーム音を発し、使用者に対して給湯を停止する旨を事前に知らせる。そして、給湯リモコン36又は浴室リモコン37からの入力操作がなされると、バーナー11、ポンプ16及びファン17への通電を開始して、停止していた給湯を再び始める。
【0030】
また、停電時には、給湯リモコン36及び浴室リモコン37は省エネモードとなり、入力ボタンによる操作が所定時間なされないと画面が消えた状態になり、入力ボタンの操作がなされると画面を点灯する。停電時、給湯リモコン36及び浴室リモコン37は、入力ボタンの操作がなされると、通常時に比べて輝度が低い状態で画面を点灯する。
混合弁23及び比例弁24は、通常時、蛇口19及びシャワー20に給湯される湯の温度の揺らぎを抑制するため作動するが、停電時は、停止状態となり電力消費が抑えられた状態となる。
【0031】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、バーナーは、ガス燃料式のものであってもよい。
【符号の説明】
【0032】
10:給湯器、11:バーナー、12:熱交換器、13:商用電源、14:筐体、15:給水管、16:ポンプ、17:ファン、17a:バーナー装置、18:湯張り流路、18a:浴槽、19:蛇口、20:シャワー、21:給湯流路、22:開閉弁、23:混合弁、24:比例弁、25〜27:温度センサ、28:制御部、28a:電力供給回路、28b:マイクロコンピュータ、29:二次電池、30:コンバータ、31:インバータ、32:リレースイッチ、33:サービス用コンセント、34:給気路、35:温度センサ、36:給湯リモコン、37:浴室リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナーと、供給された水を前記バーナーの熱によって所定温度に加熱する熱交換器と、商用電源からの電力供給によって作動する複数の電動機器とが一つの筐体内に納められ、通常時、前記商用電源を電力供給元とする給湯器において、
前記筐体内に、前記商用電源からの電力供給によって充電される二次電池と、該二次電池から電力を供給されて作動するインバータとを設け、停電時には、前記二次電池から出力される直流電力を該インバータにより交流電力に変換し前記複数の電動機器の一部又は全部に供給して作動させることを特徴とする給湯器。
【請求項2】
請求項1記載の給湯器において、前記二次電池は前記バーナーの使用時に該バーナーに空気を送るファンの上流側に配置されて、該ファンによって空冷されることを特徴とする給湯器。
【請求項3】
請求項2記載の給湯器において、前記バーナーが不使用時であっても、前記二次電池が所定温度以上になったのを検知して前記ファンを作動することを特徴とする給湯器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の給湯器において、前記インバータの出力を外部の機器に供給するサービス用コンセントを設けたことを特徴とする給湯器。

【図1】
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【図2】
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