給湯装置およびその制御方法
【課題】簡単な構成で、貯湯タンクへの給水、貯湯タンクからの排水を可能とする給湯装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】給湯装置100において、貯湯タンク10の下部に接続されて、貯湯タンク10内に給湯水を供給する給水管11と、一端が貯湯タンク10の下部に接続され、他端が大気開放されて、貯湯タンク10内の湯水を排水する排水管16と、排水管16の途中部位から分岐して、貯湯タンク10の上部に接続される吸排気管17と、排水管16から吸排気管17が分岐する分岐部位に設けられて、排水管16の貯湯タンク10側、排水管16の大気開放側、および吸排気管17側をそれぞれ開閉可能とする三方弁18と、三方弁18の三方の開閉を制御する制御装置30とを設ける。
【解決手段】給湯装置100において、貯湯タンク10の下部に接続されて、貯湯タンク10内に給湯水を供給する給水管11と、一端が貯湯タンク10の下部に接続され、他端が大気開放されて、貯湯タンク10内の湯水を排水する排水管16と、排水管16の途中部位から分岐して、貯湯タンク10の上部に接続される吸排気管17と、排水管16から吸排気管17が分岐する分岐部位に設けられて、排水管16の貯湯タンク10側、排水管16の大気開放側、および吸排気管17側をそれぞれ開閉可能とする三方弁18と、三方弁18の三方の開閉を制御する制御装置30とを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯水を沸き上げて貯湯し、この貯湯した湯水を給湯に用いる貯湯式の給湯装置およびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の給湯装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この給湯装置では、貯湯槽への下部に設けられた給水口に、電動三方弁を介して給水配管と排水配管とが接続されている。貯湯槽から給湯栓に接続される給湯配管の途中から、空気抜き管が分岐されており、この空気抜き管は開放形の水受皿に導かれている。空気抜き管の途中には電動開閉弁が設けられ、また、水受皿の内部には水位検知センサが設けられている。
【0003】
この給湯装置では、給水時において、管理人が集合制御盤のスイッチをONすると、システム制御器によって、電動三方弁が制御され、給水配管が給水口に接続される。同時に電動開閉弁が開かれる。すると、貯湯槽の給水口から水が入って徐々に水面が上昇し、満水になった状態で空気抜き管から水が流出する。水受皿にある程度の水が溜まると、水位検出センサがこれを検知し、接点が閉じる。この信号により満水の確認ができ、システム制御器は電動開閉弁を閉じるようになっている。
【0004】
一方、排水時においては、管理人が集合制御盤のスイッチをOFFにすると、システム制御器によって、電動三方弁が制御され、給水口が排水配管に接続される。同時に電動開閉弁が開かれる。これにより、空気抜き管から空気が吸入されて、スムーズな排水が行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2690560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1では、給水および排水を行うために、電動三方弁、電動開閉弁、水位センサ、水受皿等を必要としており、構成が複雑で、高価な装置となっている。
【0007】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、簡単な構成で、貯湯タンクへの給水、貯湯タンクからの排水を可能とする給湯装置およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、給湯装置(100)において、
加熱手段(20)によって沸き上げられた湯を貯めると共に、貯めた湯を出湯部へ出湯する貯湯タンク(10)と、
貯湯タンク(10)の下部に接続されて、貯湯タンク(10)内に給湯水を供給する給水管(11)と、
一端が貯湯タンク(10)の下部に接続され、他端が大気開放されて、貯湯タンク(10)内の湯水を排水する排水管(16)と、
排水管(16)の途中部位から分岐して、貯湯タンク(10)の上部に接続される吸排気管(17)と、
排水管(16)から吸排気管(17)が分岐する分岐部位に設けられて、排水管(16)の貯湯タンク(10)側、排水管(16)の大気開放側、および吸排気管(17)側をそれぞれ開閉可能とする三方弁(18)と、
三方弁(18)の三方の開閉を制御する制御装置(30)とを備えることを特徴としている。
【0009】
本給湯装置(100)においては、給水管(11)から貯湯タンク(10)内に補充される給湯水を加熱手段(20)によって湯として沸き上げ、ユーザが湯を使用する際に、貯湯タンク(10)内に沸き上げた湯を出湯部へ出湯する。この時、制御装置(30)によって三方弁(18)は、少なくとも排水管(16)の貯湯タンク(10)側と、吸排気管(17)側とが閉じられた状態とされる。
【0010】
本発明では、制御装置(30)によって三方弁(18)が開閉制御されることで、以下のように、貯湯タンク(10)内の湯水を自動で排水する自動排水運転と、貯湯タンク(10)内に給湯水を自動で供給する自動給水運転とを可能としている。
【0011】
即ち、自動排水運転を実行するにあたって、給水管(11)から貯湯タンク(10)への給湯水の供給が停止された後に、制御装置(30)は三方弁(18)によって排水管(16)における貯湯タンク(10)側と、排水管(16)の大気開放側とを開き、この両者間を接続する第1接続状態とすると、最初は貯湯タンク(10)の内圧が外圧(大気圧)より高いことから、貯湯タンク(10)内の湯水が排水管(16)から排水されていくことになる。湯水が排水されるに従って貯湯タンク(10)内の空間は拡大していき、内圧が低下していくことから、湯水が排水されにくくなっていく。ここで、三方弁(18)によって排水管(16)の大気開放側と、給排気管(17)側とを開き、この両者間を接続する第2接続状態とすると、排水管(16)の大気開放側から吸排気管(17)を通り、貯湯タンク(10)内の上部に空気を供給することができるので、貯湯タンク(10)内の圧力を大気圧と同じになるようにして、再び、貯湯タンク(10)内の湯水を排水することが可能となる。そして、三方弁(18)によって上記の第1接続状態と第2接続状態とを繰り返すことで、貯湯タンク(10)内の湯水を排水することができる。
【0012】
次に、自動排水運転を実行するにあたって、給水管(11)から貯湯タンク(10)への給湯水の供給が行われるようにした後に、制御装置(30)は三方弁(18)によって排水管(16)と吸排気管(17)との接続状態を上記の第2接続状態とすると、貯湯タンク(10)内の上部空間は、吸排気管(17)と排水管(16)の大気開放側とによって外部と連通するので、貯湯タンク(10)内の空気を外部に抜きながら、スムーズに貯湯タンク内(10)に給湯水を供給することができる。
【0013】
このように、請求項1に記載の発明では、「背景技術」の項で説明した引用文献1に記載の電動三方弁、電動開閉弁を備えるものに対して、三方弁(18)のみを用いた簡単な構成として、この三方弁(18)を制御することで自動排水運転、および自動給水運転を可能としている。
【0014】
請求項2に記載の発明では、排水管(16)の長手方向に交差する断面の面積は、排水に必要とされる時間が所定排水時間となるように、以下の数式1に基づいて決定されたことを特徴としている。
【0015】
(数式1)
排水管の断面積={1/2g×貯湯タンクの容量×貯湯タンクの水平断面積/(所定排水時間)2}1/2
ただし、gは重力加速度である。
【0016】
この発明によれば、数式1に基づいて貯湯タンク(10)の容量、および水平断面積に応じて所定排水時間を加味した排水管(16)の断面積の設定が可能となり、適切な排水時間で排水を完了させることが可能となる。
【0017】
請求項3に記載の発明では、吸排気管(17)には、内部に給湯水が流通すると、その流通状態を検出すると共に、検出信号を制御装置(30)に出力する検出手段(17a)が設けられたことを特徴としている。
【0018】
この発明によれば、自動給水運転において、給水管(11)から貯湯タンク(10)内に給湯水が給水されて、貯湯タンク(10)内が満水となると、給湯水は吸排気管(17)を通り排水管(16)の大気開放側からオーバーフローすることになる。この時、検出手段(17a)によって吸排気管(17)における給湯水の流れを検出することで、貯湯タンク(10)内が満水状態になったと判定できるので、その時点で自動給水運転を停止させることで、給湯水のオーバーフロー量を最小限に抑えた確実な給水が可能となる。
【0019】
請求項4に記載の発明では、給水管(11)には、制御装置(30)によって開閉制御される開閉弁(11e)が設けられたことを特徴としている。
【0020】
この発明によれば、自動排水運転における三方弁(18)の制御を行う前に、制御装置(30)によって開閉弁(11e)を閉じることで給水管(11)からの給湯水の停止を可能とし、また、自動給水運転における三方弁(18)の制御を行う前に、制御装置(30)によって開閉弁(11e)を開くことで給水管(11)からの給湯水の供給を可能とすることができるので、完全自動による排水運転、および供給運転が可能となる。
【0021】
請求項5に記載の発明では、制御装置(30)は、貯湯タンク(10)内への湯の沸き上げ、および貯湯タンク(10)からの出湯を制御する給湯用制御装置(30)に組み込まれたことを特徴としている。
【0022】
この発明によれば、ユーザは、通常の湯の沸き上げ、および出湯の制御を行うための操作に加えて、自動排水運転、および自動給水運転の操作も同一の給湯用制御装置(30)にて行うことが可能となるので、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明では、給湯装置(30)における自動排出運転と、自動給水運転のための制御方法に関するものであり、その技術的意義は上記請求項1に記載の給湯装置と本質的に同じである。
【0024】
請求項7に記載の発明では、自動排水運転において、予め定めた第1所定時間の経過をもって、排水が完了したものと判定することを特徴としている。
【0025】
この発明によれば、貯湯タンク(10)内の湯水を全て排水するために必要とする時間を予め第1所定時間として定めておくことで、明確な排水完了の判定が可能となるので、確実な自動排水運転の実行が可能となる。
【0026】
請求項8に記載の発明では、自動給水運転において、予め定めた第2所定時間の経過をもって、給水が完了したものと判定することを特徴としている。
【0027】
この発明によれば、貯湯タンク(10)内を給湯水で満水とするために必要とする時間を予め第2所定時間として定めておくことで、明確な給水完了の判定が可能となるので、確実な自動給水運転の実行が可能となる。
【0028】
請求項9に記載の発明では、吸排気管(17)には、内部に給湯水が流通すると、その流通状態を検出する検出手段(17a)が設けられ、
自動給水運転において、検出手段(17a)による給湯水の流通検出をもって、給水が完了したものと判定することを特徴としている。
【0029】
この発明によれば、上記請求項3に記載の発明と同様に、自動給水運転において、検出手段(17a)によって吸排気管(17)における給湯水の流れを検出することで、貯湯タンク(10)内が満水状態になったと判定できるので、その時点で自動給水運転を停止させることで、給湯水のオーバーフロー量を最小限に抑えた確実な給水が可能となる。
【0030】
請求項10に記載の発明では、給水管(11)には、この給水管(11)を開閉する開閉弁(11e)が設けられており、
自動排水運転の実行の前に、開閉弁(11e)を閉じ、自動給水運転の実行の前に開閉弁(11e)を開くことを特徴としている。
【0031】
この発明によれば、上記請求項4に記載の発明と同様に、自動排水運転における三方弁(18)の制御を行う前に、制御装置(30)によって開閉弁(11e)を閉じることで給水管(11)からの給湯水の停止を可能とし、また、自動給水運転における三方弁(18)の制御を行う前に、制御装置(30)によって開閉弁(11e)を開くことで給水管(11)からの給湯水の供給を可能とすることができるので、完全自動による排水運転、および供給運転が可能となる。
【0032】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1実施形態における給湯装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】第1実施形態における自動排水運転実行時の処理を示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態における自動排水運転実行時の湯水および空気の流れ方向を示す模式図である。
【図4】貯湯タンク上部から空気を吸入させた場合の排水流量の変化を示すグラフである。
【図5】貯湯タンク上部から空気を吸入させない場合の排水流量の変化を示すグラフである。
【図6】第1実施形態における排水流量の変化を示すグラフである。
【図7】第1実施形態における自動給水運転実行時の処理を示すフローチャートである。
【図8】第1実施形態における自動給水運転実行時の給湯水および空気の流れ方向を示す模式図である。
【図9】第2実施形態における給湯装置の全体構成を示す模式図である。
【図10】第2実施形態における自動給水運転実行時の処理を示すフローチャートである。
【図11】第3実施形態における給湯装置の全体構成を示す模式図である。
【図12】第3実施形態における自動排水運転実行時の処理を示すフローチャートである。
【図13】第3実施形態における自動給水運転実行時の処理を示すフローチャートである。
【図14】その他の実施形態における自動排水運転実行時の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0035】
(第1実施形態)
第1実施形態おける給湯装置について図1〜図8を用いて説明する。尚、図1はヒートポンプユニット20を用いた給湯装置100Aの全体構成を示す模式図、図2は自動排水運転実行時の処理を示すフローチャート、図3は自動排水運転実行時の湯水および空気の流れ方向を示す模式図、図4は貯湯タンク上部から空気を吸入させた場合の排水流量の変化を示すグラフ、図5は貯湯タンク上部から空気を吸入させない場合の排水流量の変化を示すグラフ、図6は本実施形態における排水流量の変化を示すグラフ、図7は自動給水運転実行時の処理を示すフローチャート、図8は自動給水運転実行時の給湯水および空気の流れ方向を示す模式図である。
【0036】
給湯装置100Aは、一般家庭用として使用される貯湯式のものであり、ヒートポンプユニット20によって生成される高温の湯を貯湯タンク10内に貯えると共に(沸き上げ運転)、貯えられた湯を給湯用の湯として、台所、洗面所、風呂等へ供給するようになっている(給湯運転、湯張り運転)。
【0037】
図1に示すように、給湯装置100Aは、貯湯タンク10、各種配管11、11c、11d、12、12a、14、15、16、17、ヒートポンプユニット20、制御装置30、31等を備えている。
【0038】
貯湯タンク10は、給湯用の湯を貯える容器であって、耐食性に優れた金属から成り(例えば、ステンレス製)、外周部に図示しない断熱材が配置されており、高温の湯を長時間に渡って保温することができるようになっている。本実施形態では、貯湯タンク10の全容量は、185Lのものが採用されている。
【0039】
また、貯湯タンク10は縦長形状であり、その底面に給排水口10aが設けられ、この給排水口10aには貯湯タンク10内に給湯水(水道水)を供給する給水管11が接続されている。尚、給水管11には、ユーザの手動操作によって給水管11が開閉される元栓11a、および導入される給湯水の水圧が所定圧となるように調節すると共に、断水等における湯の逆流を防止する減圧弁11bが設けられている。一方、貯湯タンク10の最上部には導出口10bが設けられ、この導出口10bには貯湯タンク10内に貯えられた高温の湯を導出するための高温取出し管12が接続されている。
【0040】
貯湯タンク10の下部には、貯湯タンク10内の最下部の給湯水を後述するヒートポンプユニット20側に吐出するための吐出口10cが設けられ、また、貯湯タンク10の上部には、ヒートポンプユニット20側から吐出された湯が内部に流入するための吸入口10dが設けられている。吐出口10cと吸入口10dとは循環回路21で接続されているおり、この循環回路21の一部はヒートポンプユニット20(水冷媒熱交換器)内に配置されている。
【0041】
貯湯タンク10の外壁面には、貯湯量および貯湯温度を検出するための温度検出手段としての複数(例えば5つ)のサーミスタ(図示せず)が縦方向(天地方向)にほぼ等間隔に配置され、サーミスタは貯湯タンク10内に満たされた湯あるいは給湯水の各水位レベルでの温度信号を後述する制御装置30に出力するようになっている。尚、サーミスタは、貯湯タンク10の全容積を例えば上記したように185Lとすると、貯湯タンク10の上端部側から20L、50L、90L、130L、165Lの位置に配置されている。
【0042】
従って、制御装置30は、サーミスタからの温度信号に基づいて、貯湯タンク10内上方の沸き上げられた湯と、貯湯タンク10内下方の沸き上げられる前の給湯水との境界位置を検出することができる。例えば、あるサーミスタの検出温度が貯湯熱量として使用できる所定温度(例えば50℃)を超えていた場合は、制御装置30は貯湯タンク10内最上部からそのサーミスタの位置までは給湯に使用できる湯が貯まっていると判断する。
【0043】
尚、これらのサーミスタのうち、貯湯タンク10の上部外壁面に設けられたサーミスタは、高温取出し管12に吸入される高温の湯の温度である貯湯タンク10内最上部の湯温を検出する出湯サーミスタの機能も有している。また、貯湯タンク10の下部外壁面に設けられたサーミスタは、後述する沸き上げ運転時の沸き上げ状態を確認するサーミスタの機能も有している。
【0044】
ヒートポンプユニット20は、貯湯タンク10下部側の低温湯を加熱して貯湯タンク10の上部から高温の湯を貯めていく加熱手段であり、冷媒として臨界温度の低い二酸化炭素(CO2)を使用するヒートポンプサイクルと、循環回路21中に設置された給水ポンプ(図示せず)とを備えている。尚、超臨界ヒートポンプによれば、一般的なヒートポンプサイクルよりも高温(例えば、85℃〜90℃程度)の湯を貯湯タンク10内に貯えることができる。
【0045】
ヒートポンプサイクルは、図示しない電動式の圧縮機、水冷媒熱交換器、電気式膨張弁、空気熱交換器、およびアキュムレータが順次冷媒配管によって接続されて構成されており、その作動は図示しないヒートポンプ用制御装置によって制御されるようになっている。
【0046】
上記の水冷媒熱交換器は、冷媒が流通する冷媒通路と、循環回路21を循環する給湯水が流通する水通路とを備えており、圧縮機の吐出口より吐出されて冷媒通路を流通する高温高圧の冷媒によって、水通路(循環回路21)を流通する給湯水を加熱して湯の沸き上げを行うようになっている。
【0047】
給水ポンプは、循環回路21の吐出口10cとヒートポンプユニット20(水冷媒熱交換器)との間に配設されている。給水ポンプは、内蔵される図示しない電動モータによって回転駆動されて、高温湯の沸き上げ運転時に、低温湯を吐出口10cから吐出させて、水冷媒熱交換器内で加熱された湯を貯湯タンク10の吸入口10dに還流させるように作動する。この給水ポンプは、水冷媒熱交換器の出口側水温が、種々の運転条件下において決定される所定の目標沸き上げ温度となるように、図示しないヒートポンプ用制御装置によって回転数が制御される。
【0048】
給水管11には、給排水口10aの手前部から分岐する分岐給水管11c、11dが設けられており、各分岐給水管11c、11dの下流端は、それぞれ後述する混合弁13a、13bに繋がれている。
【0049】
高温取出し管12と分岐給水管11cとの下流側合流部位に、混合弁13aが設けられている。この混合弁13aは、温度調節弁であって、高温側、低温側それぞれの開口面積比(弁開度)を調節して、高温取出し管12から取出された高温の湯と、分岐給水管11cから供給される給湯水との混合比を調節することで、混合弁13aよりも下流側に接続された給湯用配管14に流通させる湯の温度をユーザが設定する設定温度に調節する。混合弁13aの弁開度は、後述する制御装置30によって制御されるようになっている。給湯用配管14は、下流端の端末としての給湯水栓(給湯部としてのカラン、シャワー等)へ設定温度に温度調節された湯を導く配管である。
【0050】
高温取出し管12には、導出口10bと混合弁13aとの間から分岐する高温分岐管12aが設けられており、この高温分岐管12aと分岐給水管11dとの下流側合流部位に、混合弁13bが設けられている。この混合弁13bは、上記混合弁13aと同様に、温度調節弁であって、高温側、低温側それぞれの開口面積比(弁開度)を調節して、高温分岐管12aから取出された高温の湯と、分岐給水管11bから供給される給湯水との混合比を調節することで、混合弁13bよりも下流側に接続された風呂用配管15に流通させる湯の温度をユーザが設定する設定温度に調節する。混合弁13bの弁開度は、後述する制御装置30によって制御されるようになっている。風呂用配管15は、図示しない浴槽(給湯部)に接続されており、浴槽内に湯張り、差し湯、たし湯等を行う時に、設定温度に温度調節された湯(以下、浴水)を導く配管として設けられている。風呂用配管15の途中部位には、風呂用配管15を開閉する湯張り電磁弁(図示せず)が設けられており、湯張り電磁弁の弁開度は、後述する制御装置30によって制御されるようになっている。
【0051】
貯湯タンク10の下部には排水管16が設けられている。排水管16の一端は貯湯タンク10の底面の給排水口10aに接続されており、他端は大気に開放されて排水用の側溝等に導かれている。ここでは、排水管16の一端は、給水管11の貯湯タンク10の下部近傍で合流して給排水口10aに接続されるようになっている。
【0052】
ここで、排水管16の長手方向に交差する断面の面積(以下、排水管断面積)は、排水時の排水性(排水時間)に大きく影響するため、本実施形態では以下の数式1に基づいて、排水管断面積を算出するようにしている。
【0053】
(数式1)
排水管断面積={1/2g×貯湯タンク容量×貯湯タンク水平断面積/(所定排水時間)2}1/2
ただし、gは重力加速度である。
【0054】
上記数式1の設定根拠は以下の数式2〜数式4に基づいている。即ち、排水時間は、以下の数式2によって算出される。
【0055】
(数式2)
排水時間=貯湯タンク容量/(排水速度×排水管断面積)
また、数式2中の排水速度は、以下の数式3によって算出される。
【0056】
(数式3)
排水速度=(2g×貯湯タンク内水位)1/2
また、数式3中の貯湯タンク内水位は、以下の数式4によって算出される。
【0057】
(数式4)
貯湯タンク内水位=貯湯タンク容量/貯湯タンク水平断面積)
よって、数式2に数式3、数式4を代入し、排水管断面積で整理することで数式1が得られるのである。この数式1は、排水管断面積は、貯湯タンク10の仕様(容積、水平断面積)に比例し、排水時間に反比例することを示している。特に、排水に必要とされる時間を所定時間内に収めたい場合に、その時間を所定排水時間として定めて、貯湯タンク10の仕様と併せて、排水管16の排水管断面積を定めることで、効果的な排水を可能とすることができるのである。
【0058】
上記排水管16の途中部位と貯湯タンク10の上部との間には吸排気管17が設けられている。即ち、吸排気管17は、排水管16の途中部位、ここでは排水管16の給水管11との合流部よりも他端側(大気開放側)となる部位から分岐して、貯湯タンク10上部の吸入口10dに接続される配管として設けられている。
【0059】
そして、排水管16から吸排気管17が分岐する分岐部には、三方弁18が設けられている。三方弁18は、三方に開口部を有し、各開口部にはそれぞれ開閉弁が設けられ、各開閉弁が後述する制御装置30によって制御されて、排水管16と吸排気管17との接続状態を切替える流路切替え弁として機能するものである。三方弁18が排水管16に対する吸排気管17の分岐部に配設されることから、三方弁18の1つの開口部には、排水管16において三方弁18よりも貯湯タンク10側となるタンク側排水管16aが接続され、また、三方弁18の2つめの開口部には、排水管16において三方弁18よりも大気開放側となる大気側排水管16bが接続され、更に、三方弁18の3つめの開口部には、吸排気管17が接続される形となっている。
【0060】
貯湯タンク10の上部には、吸排気管17から分岐して大気開放される逃がし管19が設けられており、この逃がし管19には、逃がし弁19aが設けられている。逃がし弁19aは、貯湯タンク10内の圧力が所定圧力を超えると開弁して、内部圧力をタンク外部に開放するようになっている。
【0061】
制御装置30は、給湯装置100Aにおける基本的な沸き上げ運転、給湯運転、湯張り運転の制御を行う給湯装置用の制御装置であり、制御盤(リモコン)31を備えている。制御装置30は、上記給湯装置100Aの基本運転制御に加えて、自動排水運転、自動給水運転の制御も行うようになっている。制御装置30は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(図示せず)には、予め設定された制御プログラムが設けられており、各サーミスタからの温度信号、およびユーザが入力する操作盤31からの操作信号等に基づいて、混合弁13a、13b、湯張り電磁弁、三方弁18を制御するように構成されている。また、制御装置30は、自動排水運転時、および自動給水運転時に使用する計時用のタイマーを有している。
【0062】
尚、操作盤31には、操作スイッチとして、給湯設定温度スイッチ、湯張りスイッチ、湯張り設定温度スイッチ、排水スイッチ、給水スイッチ等が設けられている。また、制御装置30は貯湯タンク10に設置され、操作盤31は浴室内や台所等の湯を使用する場所の近傍に設置されている。
【0063】
次に、上記構成による給湯装置100の作動について説明する。
【0064】
1.沸き上げ運転
制御装置30は、図示しないヒートポンプ用制御装置に対して、深夜時間帯(例えば23時から翌日の7時)に安価な深夜電力を用いてヒートポンプユニット20(ヒートポンプサイクルおよび給水ポンプ)の作動指示をし、翌日用の湯の沸き上げを行う。つまり、制御装置30は、貯湯タンク10内の下部側の給湯水を循環回路21に循環させ、ヒートポンプユニット20で加熱して、生成された高温の湯を吸入口10dから貯湯タンク10の上部側に貯めていく。
【0065】
具体的には、制御装置30は、深夜時間帯の開始時刻に以下の沸き上げ条件を設定し、この沸き上げ条件に基づいて沸き上げ運転を実行する。沸き上げ条件は、ここでは、目標蓄熱量、沸き上げ温度、沸き上げ熱量(目標蓄熱量−タンク貯湯熱量)、沸き上げ時間、沸き上げ開始時刻、および沸き上げ終了時刻である。
【0066】
目標蓄熱量は、記憶された所定期間(例えば過去7日間)の湯の使用量を1日あたりの湯の使用量に平均化した平均使用量に、標準偏差σを加えたものとして算出される。尚、目標蓄熱量は、貯湯タンク10の全容積と、給湯水から高温湯に沸き上げる際の昇温幅(温度差)との積として見ることができる。
【0067】
沸き上げ温度は、上記目標蓄熱量を貯湯タンク10の全容積で除した値に、給湯水の温度を加えることで算出される(例えば85℃)。タンク貯湯熱量は、23時時点における貯湯タンク10内に残っている湯の熱量であり、各サーミスタによって得られる湯の温度と、給湯水の温度と、各サーミスタ間の容積とから算出される。沸き上げ開始時刻は、沸き上げ終了時刻から、沸き上げに必要とされる沸き上げ時間分を逆算することで決定される。沸き上げ終了時刻は、ここでは深夜時間帯の終わりの時刻(7時)としている。また、沸き上げ時間は、上記目標蓄熱量からタンク貯湯熱量を差し引いた熱量を、沸き上げ熱量とした時に、沸き上げ熱量/ヒートポンプ加熱能力として算出される。そして、沸き上げ開始時刻は、算出された沸き上げ時間分を深夜時間帯の終わりの時刻から差し引くことで決定される。
【0068】
制御装置30は、沸き上げ開始時刻になると、ヒートポンプユニット20を作動させて湯の沸き上げを開始する。そして沸き上げが終了した時、あるいは沸き上げ終了時刻になると、ヒートポンプユニット20を停止させ、湯の沸き上げを終了させる。尚、沸き上げ終了の判定は、貯湯タンク10の最下部のサーミスタによって得られる温度が、(沸き上げ温度−所定温度)以上となった場合としている。
【0069】
2.給湯運転、湯張り運転
昼間の台所や洗面所での湯の使用時には、制御装置30は、ユーザによって操作盤31の給湯設定温度スイッチから入力設定される設定温度と一致するように、混合弁13aの弁開度を調節して、貯湯タンク10の導出口10bから取出される高温取出し管12の高温の湯と分岐給水管11cから供給される給湯水とを混合して、温度調節した湯として給湯用配管14から給湯水栓へ供給する。
【0070】
また、風呂への湯張り時には、制御装置30は、湯張り電磁弁を開き、ユーザによって操作盤31の湯張り設定温度スイッチから入力設定される設定温度と一致するように、混合弁13bの弁開度を調節して、貯湯タンク10の導出口10bから取出される高温分岐管12aの高温の湯と分岐給水管11dから供給される給湯水とを混合して、温度調節した湯として風呂用配管15から浴槽へ供給する。
【0071】
3.自動排水運転
ユーザが長期間にわたって給湯装置100Aを使用しない場合には、例えば冬季であるとタンク内の凍結を防止するため、あるいはタンク内の腐敗を防止するために、貯湯タンク10内の湯水を排出する必要が生ずる。このような場合には、ユーザは、手動操作によってまず元栓11aを閉状態にし、操作盤31の排水スイッチにて排水処理の入力を行う。
【0072】
制御装置30は、排水スイッチからの信号を受けると、図2に示すフローチャートに基づく自動排水運転を実行する。制御装置30は、自動排水運転中は図2のフローチャートを繰り返し回して、各ステップでの状態を常時監視すると共に、必要とされる処理を行っていく。
【0073】
まず、制御装置30は、図2中のステップS100で、排水スイッチからのON信号を受け、自動排水運転をスタートさせると共に、この時点からタイマーによる計時をスタートさせる。
【0074】
そして、ステップS110で、三方弁18を排水側に切替える。即ち、三方弁18の各開口部における開閉弁のうち、排水管16のタンク側と配水管16の大気開放側との開閉弁を開き、吸排気管17側の開閉弁を閉じる。この開閉弁の切替えにより、タンク側排水管16aと大気側排水管16bとが連通し(本願発明の第1接続状態に対応)、本来の排水管16が機能し、図3中の実線矢印で示すように、貯湯タンク10内の湯水が排水管16(タンク側排水管16a、大気側排水管16b)を通り、側溝等に排水されていく。尚、制御装置30は、ステップS110を実行すると、その時点からタイマーによる計時をスタートさせる。
【0075】
ここで、貯湯タンク10内の湯水を排水するにあたって、貯湯タンク10の上部に吸気弁等を設けて、吸気弁を開状態として空気を吸入しながら排水すると、図4に示すように、ほぼ一定の排水流量を確保して排水を行うことができる。
【0076】
しかしながら、吸気弁等を備えず、貯湯タンク10上部からの空気の吸入がない場合であると、図5に示すように、最初は貯湯タンク10の内圧が外圧(大気圧)より高いことから、貯湯タンク10内の湯水が排水管16から排水されていく。しかし、湯水が排水されるに従って貯湯タンク10内の空間は拡大していき、内圧が低下していく(内圧が大気圧より低下していく)ことから、湯水が排水されにくくなっていく(図5中の右下がりの「排」の部分)。そして、貯湯タンク10の下側となる排水管16から空気を強引に吸入するといった挙動が発生すると、貯湯タンク10内圧が大気圧に近づき、排水が復帰する(図5中の右上がりの「吸」の部分)。このように、貯湯タンク10の上部からの空気の吸入がない場合では、排水と強引な吸気とを繰り返して排水が進んでいく。尚、このような排水形態では、タンク容量(湯水量)、排水管仕様等によっては、貯湯タンク10内の湯水を完全に排水できない場合もあり得る。
【0077】
そこで、吸気弁等を備えない本実施形態では、三方弁18による第1接続状態での排水に伴い、貯湯タンク10の内圧が低下して排水が困難となるまでの時間(内圧低下時間)を予め定めておき、ステップS120で、ステップS110の実行時点からのタイマーによる計時結果が内圧低下時間だけ経過したか否かを判定し、肯定判定するとステップS130に進むようにしている。内圧低下時間は実験的に事前に把握可能であり、本実施形態では例えば5分と定めている。
【0078】
ステップS130では、三方弁18を吸気側に切替える。即ち、三方弁18の各開口部における開閉弁のうち、配水管16の大気開放側の開閉弁と吸排気管17側の開閉弁とを開き、配水管16のタンク側の開閉弁を閉じる。この開閉弁の切替えにより、大気側排気管16bと吸排気管17とが連通し(本発明の第2接続状態に対応)、図3中の破線矢印で示すように、空気(大気)が大気側排水管16bおよび吸排気管17を通り、貯湯タンク10内に供給されることになる。尚、制御装置30は、ステップS130を実行すると、その時点からタイマーによる計時をスタートさせる。
【0079】
そして、ステップS140で、ステップS130の実行時点からのタイマーによる計時結果が、貯湯タンク10内部と外部との圧力が平衡する時間だけ経過したか否かを判定し、肯定判定するとステップS150に進むようにしている。上記の圧力平衡時間は、貯湯タンク10内に空気が供給されて貯湯タンク内圧力が外部の大気圧と同等になるまでに要する時間(図5で説明した「吸」の部分に対応する時間)であり、実験的に事前に把握可能であり、本実施形態では例えば30秒と定めている。
【0080】
ステップS150では、ステップS100の実行時点からのタイマーによる計時結果が、予め定めた排水完了予想時間だけ経過したか否かを判定する。排水完了予想時間は本発明の第1所定時間に対応するものであり、満水状態にある貯湯タンク10に対して、図6に示すように、排水管16からの排水(図6中の右下がりの部分)と、吸排気管17を用いた貯湯タンク10内への空気の供給(図6中の右上がりの部分)とを繰り返した場合に、貯湯タンク10内が完全にカラとなるまでに必要とされた時間に基づいて設定されている。例えば、排水完了予想時間=(実測必要時間+余裕時間)と言ったように設定されている。
【0081】
ステップS150で、否と判定すると上記ステップS110〜ステップS150を繰り返す。そして、ステップS150で、肯定判定すると排水が完了したものと見なして、ステップS160で、自動排水運転を終了する。この自動排水運転終了時には、貯湯タンク10内への異物の侵入を防止するために、三方弁18の各開口部のうち、少なくとも排水管16のタンク側の開閉弁と、吸排気管17側の開閉弁とを閉じるようにするのが良い。
【0082】
4.自動給水運転
上記自動排水運転を行った後に、ユーザが再び給湯装置100Aを使用する場合には、まず、貯湯タンク10内を給湯水で満水にする必要がある。このような場合には、ユーザは、手動操作によってまず元栓11aを開状態にし、操作盤31の給水スイッチにて給水処理の入力を行う。上記のように、ユーザが元栓11aを開状態とすることで、給湯水が給水管11を通して給排水口10aから貯湯タンク10内に流入していく。
【0083】
制御装置30は、給水スイッチからの信号を受けると、図7に示すフローチャートに基づく自動給水運転を実行する。制御装置30は、自動給水運転中は図7のフローチャート(ステップS220)を繰り返し回して、各ステップでの状態を常時監視すると共に、必要とされる処理を行っていく。
【0084】
まず、制御装置30は、図7中のステップS200で、給水スイッチからのON信号を受け、自動給水運転をスタートさせると共に、この時点からタイマーによる計時をスタートさせる。
【0085】
そして、ステップS210で、三方弁18を排気側に切替える。即ち、三方弁18の各開口部における開閉弁のうち、配水管16の大気開放側の開閉弁と吸排気管17側の開閉弁とを開き、配水管16のタンク側の開閉弁を閉じる。この開閉弁の切替えにより、大気側排気管16bと吸排気管17とが連通する(本発明の第2接続状態に対応)。すると、貯湯タンク10内への給湯水の流入に伴って、貯湯タンク10内の空気は、図8中の破線矢印で示すように、吸入口10dから吸排気管17および大気側排水管16bを通り、外部(大気)に排出されることになる。
【0086】
そして、ステップS220では、ステップS200の実行時点からのタイマーによる計時結果が、予め定めた満水予想時間だけ経過したか否かを判定し、肯定判定すると給水が完了したものと見なして、ステップS230に進むようにしている。満水予想時間は本発明の第2所定時間に対応するものであり、カラの状態にある貯湯タンク10に対して、給水管11から給水した場合に、貯湯タンク10内が満水となるまでに必要とされた時間に基づいて設定されている。例えば、満水予想時間=(実測必要時間+余裕時間)と言ったように設定されている。
【0087】
ステップS230では、三方弁18を閉止側に切替える。即ち、三方弁18の各開口部における開閉弁のうち、配水管16の大気開放側の開閉弁と吸排気管17側の開閉弁とを閉じる。そして、ステップS240で、自動給水運転を終了する。
【0088】
以上のように、本第1実施形態の給湯装置100Aでは、沸き上げ運転、給湯運転、湯張り運転の実行を可能とすると共に、必要に応じて自動排水運転および自動給水運転の実行を可能としている。
【0089】
自動排水運転を実行するにあたって、ユーザによって元栓11aが閉じられて給水管11から貯湯タンク10への給湯水の供給が停止された後に、制御装置30は三方弁18によって排水管16におけるタンク側(タンク側配水管16a)と、排水管16の大気開放側(大気側配水管16b)とを開き、この両者間を接続する第1接続状態とすることで、貯湯タンク10内の湯水を排水管16から排水することができる。湯水が排水されるに従って貯湯タンク10内の内圧が低下していくことから、湯水が排水されにくくなっていく。ここで、三方弁18によって排水管16の大気開放側(大気側配水管16b)と、給排気管17側とを開き、この両者間を接続する第2接続状態とすると、大気側配水管16bから吸排気管17を通り、貯湯タンク10内の上部に空気を供給することができるので、貯湯タンク10内の圧力を大気圧と同じになるようにして、再び、貯湯タンク10内の湯水を排水することが可能となる。そして、三方弁18によって上記の第1接続状態と第2接続状態とを繰り返すことで、貯湯タンク10内の湯水を排水することができる。尚、本第1実施形態では、上記のように第2接続状態の形成により積極的に貯湯タンク10内に空気を供給するようにしているので、図5で説明した強引に空気を吸入する場合に比べて、排水完了までの時間は短縮される。
【0090】
次に、自動排水運転を実行するにあたって、ユーザによって元栓11aが開かれて給水管11から貯湯タンク10への給湯水の供給が行われるようにした後に、制御装置30は三方弁18によって排水管16と吸排気管17との接続状態を上記の第2接続状態とすると、貯湯タンク10内の上部空間は、吸排気管17と大気側排水管16bとによって外部と連通するので、貯湯タンク10内の空気を外部に抜きながら、スムーズに貯湯タンク内10に給湯水を供給することができる。
【0091】
このように、本第1実施形態では、「背景技術」の項で説明した引用文献1に記載の電動三方弁、電動開閉弁を備えるものに対して、三方弁18のみを用いた簡単な構成として、この三方弁18を制御することで自動排水運転、および自動給水運転を可能としている。
【0092】
また、排水管16の断面積の設定にあたって、数式1に基づいて貯湯タンク10の容量、および水平断面積に応じて所定排水時間を加味した排水管16の断面積の設定が可能となり、適切な排水時間で排水を完了させることが可能となる。
【0093】
また、給湯装置用制御装置としての制御装置30によって、給湯装置100Aの基本的な沸き上げ運転、給湯運転、湯張り運転の制御に加えて、自動排水運転、自動給水運転の制御も行えるようにしているので、ユーザは、通常の湯の沸き上げ、および出湯の制御を行うための操作に加えて、自動排水運転、および自動給水運転の操作も同一の制御装置(給湯用制御装置)30にて行うことが可能となり、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0094】
また、自動排水運転において、予め定めた排水完了予想時間(第1所定時間)の経過をもって、排水が完了したものと判定するようにしているので、明確な排水完了の判定が可能となり、確実な自動排水運転の実行が可能となる。
【0095】
また、自動給水運転において、予め定めた満水予想時間(第2所定時間)の経過をもって、給水が完了したものと判定するようにしているので、明確な給水完了の判定が可能となり、確実な自動給水運転の実行が可能となる。
【0096】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図9、図10に示す。第2実施形態の給湯装置100Bは、上記第1実施形態に対して、吸排気管17に検出手段としてのフローセンサ17aを設けたものである。フローセンサ17aは、吸排気管17内で給湯水の流れが発生すると、その流れが発生していることを検出して、図10に示すように検出信号を制御装置30に出力する。
【0097】
第2実施形態では、図10に示すフローチャートに基づいて、フローセンサ17aを用いた自動給水運転が実行される。図10のフローチャートは、上記第1実施形態における図7のフローチャートに対して、ステップS220をステップS221に変更したものである。
【0098】
即ち、自動給水運転にて、制御装置30は、第1実施形態と同様にステップS200、ステップS210を実行すると、給湯水が給水管11から貯湯タンク10内に供給されていく。そして、貯湯タンク10内が給湯水で満水になると、給湯水は吸排気管17を流れて大気側排気管16bからオーバーフローする。この時、フローセンサ17aは吸排気管17での給湯水の流れを検出するので、制御装置30は、ステップS221で、この流れの検出をもって、貯湯タンク10内が給湯水で満水となったと判定し、ステップS230の処理の後に、ステップS240で自動給水運転を終了する。
【0099】
このように、第2実施形態では、自動給水運転において、フローセンサ17aによって吸排気管17における給湯水の流れを検出することで、貯湯タンク10内が満水状態になったと判定できるので、その時点で自動給水運転を停止させることで、給湯水のオーバーフロー量を最小限に抑えた確実な給水が可能となる。
【0100】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態を図11〜図13に示す。第3実施形態の給湯装置100Cは、上記第1実施形態に対して、給水管11に開閉手段としての開閉弁11eを設けたものである。開閉弁11eは、図11に示すように制御装置30によって開閉制御されて、給水管11を開閉する弁であり、給水管11において減圧弁11bの貯湯タンク10側に設けられている。
【0101】
第3実施形態では、図12に示すフローチャートに基づいて自動排水運転が実行され、また、図13に示すフローチャートに基づいて自動給水運転が実行される。図12のフローチャートは、上記第1実施形態における図2のフローチャートに対して、ステップS100の前にステップS50を追加したものであり、図13のフローチャートは、上記第1実施形態における図7のフローチャートに対して、ステップS200の前にステップS60を追加したものである。
【0102】
自動排水運転において、ユーザは、元栓11aを手動操作することなく常に開状態としたままで、操作盤31の排水スイッチにて排水処理の入力を行う。制御装置30は、排水スイッチからの信号を受けると、まず、ステップS50で開閉弁11eを閉じ、その後に、ステップS100〜ステップS160を実行する。
【0103】
また、自動排水運転において、ユーザは、元栓11aを手動操作することなく常に開状態としたままで、操作盤31の給水スイッチにて給水処理の入力を行う。制御装置30は、給水スイッチからの信号を受けると、まず、ステップS60で開閉弁11eを開き、その後に、ステップS200〜ステップS240を実行する。
【0104】
このように、第3実施形態では、給水管11に制御装置30によって開閉制御される開閉弁11eを設けるようにし、自動排水運転の最初に制御装置30によって開閉弁11eを閉じることで給水管11からの給湯水の停止を可能とし、また、自動給水運転の最初に制御装置30によって開閉弁11eを開くことで給水管11からの給湯水の供給を可能とすることができるので、完全自動による排水運転、および供給運転が可能となる。
【0105】
尚、開閉弁11eの設置位置は、給水管11における減圧弁11bの貯湯タンク10側に限らず、元栓11aと減圧弁11bとの間としても良い。
【0106】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0107】
その他の実施形態を図14に示す。この実施形態では、上記第1実施形態に対して、自動排水運転時の安全性を高めるようにしたものであり、図14に示すフローチャートに基づいて自動排水運転が実行される。図14のフローチャートは、上記第1実施形態における図2のフローチャートに対して、ステップS100とステップS110との間にステップS105を追加したものである。
【0108】
即ち、自動排水運転において、制御装置30は、ステップS100で自動排水運転をスタートすると、ステップS105で、貯湯タンク10内の湯水の温度がある程度冷めるまで所定時間放置した後に、ステップS110による排水を開始するようにしている。
【0109】
これは、自動排水運転の実行時においては、万が一にも、排出される高温の湯によってユーザが火傷を負わないようにするために、火傷の心配がない程度の湯水温度となるまで、所定時間放置した後に排水を開始するというものである。所定時間については、例えば、想定され得る最高温度時の湯水が火傷に影響を及ぼさない温度に冷えるまでに必要とされる時間を予め確認することで設定が可能である。
【0110】
また、上記実施形態では、自動排水運転および自動給水運転を行う制御装置を給湯装置用の制御装置30として一体的に設けたが、単一の制御装置として設けるようにしても良い。あるいは、集合住宅等に設置されている複数台の給湯装置の作動を集中管理可能とする集中制御盤によって、自動排水運転および自動給水運転を実行するための指令を各給湯装置に送信するものであってもよい。
【0111】
また、ヒートポンプユニット20のヒートポンプサイクルを流れる作動冷媒は、二酸化炭素に限定されるものではなく、フロン等の他の冷媒であってもよい。更に、湯を沸き上げる加熱手段としてはヒートポンプ20に限らず、例えば電気ヒータ等の他の手段としても良い。
【符号の説明】
【0112】
100A、B、C 給湯装置
10 貯湯タンク
11 給水管
11e 開閉弁
16 排水管
17 吸排気管
17a フローセンサ(検出手段)
18 三方弁
20 ヒートポンプユニット(加熱手段)
30 制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯水を沸き上げて貯湯し、この貯湯した湯水を給湯に用いる貯湯式の給湯装置およびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の給湯装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この給湯装置では、貯湯槽への下部に設けられた給水口に、電動三方弁を介して給水配管と排水配管とが接続されている。貯湯槽から給湯栓に接続される給湯配管の途中から、空気抜き管が分岐されており、この空気抜き管は開放形の水受皿に導かれている。空気抜き管の途中には電動開閉弁が設けられ、また、水受皿の内部には水位検知センサが設けられている。
【0003】
この給湯装置では、給水時において、管理人が集合制御盤のスイッチをONすると、システム制御器によって、電動三方弁が制御され、給水配管が給水口に接続される。同時に電動開閉弁が開かれる。すると、貯湯槽の給水口から水が入って徐々に水面が上昇し、満水になった状態で空気抜き管から水が流出する。水受皿にある程度の水が溜まると、水位検出センサがこれを検知し、接点が閉じる。この信号により満水の確認ができ、システム制御器は電動開閉弁を閉じるようになっている。
【0004】
一方、排水時においては、管理人が集合制御盤のスイッチをOFFにすると、システム制御器によって、電動三方弁が制御され、給水口が排水配管に接続される。同時に電動開閉弁が開かれる。これにより、空気抜き管から空気が吸入されて、スムーズな排水が行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2690560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1では、給水および排水を行うために、電動三方弁、電動開閉弁、水位センサ、水受皿等を必要としており、構成が複雑で、高価な装置となっている。
【0007】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、簡単な構成で、貯湯タンクへの給水、貯湯タンクからの排水を可能とする給湯装置およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、給湯装置(100)において、
加熱手段(20)によって沸き上げられた湯を貯めると共に、貯めた湯を出湯部へ出湯する貯湯タンク(10)と、
貯湯タンク(10)の下部に接続されて、貯湯タンク(10)内に給湯水を供給する給水管(11)と、
一端が貯湯タンク(10)の下部に接続され、他端が大気開放されて、貯湯タンク(10)内の湯水を排水する排水管(16)と、
排水管(16)の途中部位から分岐して、貯湯タンク(10)の上部に接続される吸排気管(17)と、
排水管(16)から吸排気管(17)が分岐する分岐部位に設けられて、排水管(16)の貯湯タンク(10)側、排水管(16)の大気開放側、および吸排気管(17)側をそれぞれ開閉可能とする三方弁(18)と、
三方弁(18)の三方の開閉を制御する制御装置(30)とを備えることを特徴としている。
【0009】
本給湯装置(100)においては、給水管(11)から貯湯タンク(10)内に補充される給湯水を加熱手段(20)によって湯として沸き上げ、ユーザが湯を使用する際に、貯湯タンク(10)内に沸き上げた湯を出湯部へ出湯する。この時、制御装置(30)によって三方弁(18)は、少なくとも排水管(16)の貯湯タンク(10)側と、吸排気管(17)側とが閉じられた状態とされる。
【0010】
本発明では、制御装置(30)によって三方弁(18)が開閉制御されることで、以下のように、貯湯タンク(10)内の湯水を自動で排水する自動排水運転と、貯湯タンク(10)内に給湯水を自動で供給する自動給水運転とを可能としている。
【0011】
即ち、自動排水運転を実行するにあたって、給水管(11)から貯湯タンク(10)への給湯水の供給が停止された後に、制御装置(30)は三方弁(18)によって排水管(16)における貯湯タンク(10)側と、排水管(16)の大気開放側とを開き、この両者間を接続する第1接続状態とすると、最初は貯湯タンク(10)の内圧が外圧(大気圧)より高いことから、貯湯タンク(10)内の湯水が排水管(16)から排水されていくことになる。湯水が排水されるに従って貯湯タンク(10)内の空間は拡大していき、内圧が低下していくことから、湯水が排水されにくくなっていく。ここで、三方弁(18)によって排水管(16)の大気開放側と、給排気管(17)側とを開き、この両者間を接続する第2接続状態とすると、排水管(16)の大気開放側から吸排気管(17)を通り、貯湯タンク(10)内の上部に空気を供給することができるので、貯湯タンク(10)内の圧力を大気圧と同じになるようにして、再び、貯湯タンク(10)内の湯水を排水することが可能となる。そして、三方弁(18)によって上記の第1接続状態と第2接続状態とを繰り返すことで、貯湯タンク(10)内の湯水を排水することができる。
【0012】
次に、自動排水運転を実行するにあたって、給水管(11)から貯湯タンク(10)への給湯水の供給が行われるようにした後に、制御装置(30)は三方弁(18)によって排水管(16)と吸排気管(17)との接続状態を上記の第2接続状態とすると、貯湯タンク(10)内の上部空間は、吸排気管(17)と排水管(16)の大気開放側とによって外部と連通するので、貯湯タンク(10)内の空気を外部に抜きながら、スムーズに貯湯タンク内(10)に給湯水を供給することができる。
【0013】
このように、請求項1に記載の発明では、「背景技術」の項で説明した引用文献1に記載の電動三方弁、電動開閉弁を備えるものに対して、三方弁(18)のみを用いた簡単な構成として、この三方弁(18)を制御することで自動排水運転、および自動給水運転を可能としている。
【0014】
請求項2に記載の発明では、排水管(16)の長手方向に交差する断面の面積は、排水に必要とされる時間が所定排水時間となるように、以下の数式1に基づいて決定されたことを特徴としている。
【0015】
(数式1)
排水管の断面積={1/2g×貯湯タンクの容量×貯湯タンクの水平断面積/(所定排水時間)2}1/2
ただし、gは重力加速度である。
【0016】
この発明によれば、数式1に基づいて貯湯タンク(10)の容量、および水平断面積に応じて所定排水時間を加味した排水管(16)の断面積の設定が可能となり、適切な排水時間で排水を完了させることが可能となる。
【0017】
請求項3に記載の発明では、吸排気管(17)には、内部に給湯水が流通すると、その流通状態を検出すると共に、検出信号を制御装置(30)に出力する検出手段(17a)が設けられたことを特徴としている。
【0018】
この発明によれば、自動給水運転において、給水管(11)から貯湯タンク(10)内に給湯水が給水されて、貯湯タンク(10)内が満水となると、給湯水は吸排気管(17)を通り排水管(16)の大気開放側からオーバーフローすることになる。この時、検出手段(17a)によって吸排気管(17)における給湯水の流れを検出することで、貯湯タンク(10)内が満水状態になったと判定できるので、その時点で自動給水運転を停止させることで、給湯水のオーバーフロー量を最小限に抑えた確実な給水が可能となる。
【0019】
請求項4に記載の発明では、給水管(11)には、制御装置(30)によって開閉制御される開閉弁(11e)が設けられたことを特徴としている。
【0020】
この発明によれば、自動排水運転における三方弁(18)の制御を行う前に、制御装置(30)によって開閉弁(11e)を閉じることで給水管(11)からの給湯水の停止を可能とし、また、自動給水運転における三方弁(18)の制御を行う前に、制御装置(30)によって開閉弁(11e)を開くことで給水管(11)からの給湯水の供給を可能とすることができるので、完全自動による排水運転、および供給運転が可能となる。
【0021】
請求項5に記載の発明では、制御装置(30)は、貯湯タンク(10)内への湯の沸き上げ、および貯湯タンク(10)からの出湯を制御する給湯用制御装置(30)に組み込まれたことを特徴としている。
【0022】
この発明によれば、ユーザは、通常の湯の沸き上げ、および出湯の制御を行うための操作に加えて、自動排水運転、および自動給水運転の操作も同一の給湯用制御装置(30)にて行うことが可能となるので、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明では、給湯装置(30)における自動排出運転と、自動給水運転のための制御方法に関するものであり、その技術的意義は上記請求項1に記載の給湯装置と本質的に同じである。
【0024】
請求項7に記載の発明では、自動排水運転において、予め定めた第1所定時間の経過をもって、排水が完了したものと判定することを特徴としている。
【0025】
この発明によれば、貯湯タンク(10)内の湯水を全て排水するために必要とする時間を予め第1所定時間として定めておくことで、明確な排水完了の判定が可能となるので、確実な自動排水運転の実行が可能となる。
【0026】
請求項8に記載の発明では、自動給水運転において、予め定めた第2所定時間の経過をもって、給水が完了したものと判定することを特徴としている。
【0027】
この発明によれば、貯湯タンク(10)内を給湯水で満水とするために必要とする時間を予め第2所定時間として定めておくことで、明確な給水完了の判定が可能となるので、確実な自動給水運転の実行が可能となる。
【0028】
請求項9に記載の発明では、吸排気管(17)には、内部に給湯水が流通すると、その流通状態を検出する検出手段(17a)が設けられ、
自動給水運転において、検出手段(17a)による給湯水の流通検出をもって、給水が完了したものと判定することを特徴としている。
【0029】
この発明によれば、上記請求項3に記載の発明と同様に、自動給水運転において、検出手段(17a)によって吸排気管(17)における給湯水の流れを検出することで、貯湯タンク(10)内が満水状態になったと判定できるので、その時点で自動給水運転を停止させることで、給湯水のオーバーフロー量を最小限に抑えた確実な給水が可能となる。
【0030】
請求項10に記載の発明では、給水管(11)には、この給水管(11)を開閉する開閉弁(11e)が設けられており、
自動排水運転の実行の前に、開閉弁(11e)を閉じ、自動給水運転の実行の前に開閉弁(11e)を開くことを特徴としている。
【0031】
この発明によれば、上記請求項4に記載の発明と同様に、自動排水運転における三方弁(18)の制御を行う前に、制御装置(30)によって開閉弁(11e)を閉じることで給水管(11)からの給湯水の停止を可能とし、また、自動給水運転における三方弁(18)の制御を行う前に、制御装置(30)によって開閉弁(11e)を開くことで給水管(11)からの給湯水の供給を可能とすることができるので、完全自動による排水運転、および供給運転が可能となる。
【0032】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1実施形態における給湯装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】第1実施形態における自動排水運転実行時の処理を示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態における自動排水運転実行時の湯水および空気の流れ方向を示す模式図である。
【図4】貯湯タンク上部から空気を吸入させた場合の排水流量の変化を示すグラフである。
【図5】貯湯タンク上部から空気を吸入させない場合の排水流量の変化を示すグラフである。
【図6】第1実施形態における排水流量の変化を示すグラフである。
【図7】第1実施形態における自動給水運転実行時の処理を示すフローチャートである。
【図8】第1実施形態における自動給水運転実行時の給湯水および空気の流れ方向を示す模式図である。
【図9】第2実施形態における給湯装置の全体構成を示す模式図である。
【図10】第2実施形態における自動給水運転実行時の処理を示すフローチャートである。
【図11】第3実施形態における給湯装置の全体構成を示す模式図である。
【図12】第3実施形態における自動排水運転実行時の処理を示すフローチャートである。
【図13】第3実施形態における自動給水運転実行時の処理を示すフローチャートである。
【図14】その他の実施形態における自動排水運転実行時の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0035】
(第1実施形態)
第1実施形態おける給湯装置について図1〜図8を用いて説明する。尚、図1はヒートポンプユニット20を用いた給湯装置100Aの全体構成を示す模式図、図2は自動排水運転実行時の処理を示すフローチャート、図3は自動排水運転実行時の湯水および空気の流れ方向を示す模式図、図4は貯湯タンク上部から空気を吸入させた場合の排水流量の変化を示すグラフ、図5は貯湯タンク上部から空気を吸入させない場合の排水流量の変化を示すグラフ、図6は本実施形態における排水流量の変化を示すグラフ、図7は自動給水運転実行時の処理を示すフローチャート、図8は自動給水運転実行時の給湯水および空気の流れ方向を示す模式図である。
【0036】
給湯装置100Aは、一般家庭用として使用される貯湯式のものであり、ヒートポンプユニット20によって生成される高温の湯を貯湯タンク10内に貯えると共に(沸き上げ運転)、貯えられた湯を給湯用の湯として、台所、洗面所、風呂等へ供給するようになっている(給湯運転、湯張り運転)。
【0037】
図1に示すように、給湯装置100Aは、貯湯タンク10、各種配管11、11c、11d、12、12a、14、15、16、17、ヒートポンプユニット20、制御装置30、31等を備えている。
【0038】
貯湯タンク10は、給湯用の湯を貯える容器であって、耐食性に優れた金属から成り(例えば、ステンレス製)、外周部に図示しない断熱材が配置されており、高温の湯を長時間に渡って保温することができるようになっている。本実施形態では、貯湯タンク10の全容量は、185Lのものが採用されている。
【0039】
また、貯湯タンク10は縦長形状であり、その底面に給排水口10aが設けられ、この給排水口10aには貯湯タンク10内に給湯水(水道水)を供給する給水管11が接続されている。尚、給水管11には、ユーザの手動操作によって給水管11が開閉される元栓11a、および導入される給湯水の水圧が所定圧となるように調節すると共に、断水等における湯の逆流を防止する減圧弁11bが設けられている。一方、貯湯タンク10の最上部には導出口10bが設けられ、この導出口10bには貯湯タンク10内に貯えられた高温の湯を導出するための高温取出し管12が接続されている。
【0040】
貯湯タンク10の下部には、貯湯タンク10内の最下部の給湯水を後述するヒートポンプユニット20側に吐出するための吐出口10cが設けられ、また、貯湯タンク10の上部には、ヒートポンプユニット20側から吐出された湯が内部に流入するための吸入口10dが設けられている。吐出口10cと吸入口10dとは循環回路21で接続されているおり、この循環回路21の一部はヒートポンプユニット20(水冷媒熱交換器)内に配置されている。
【0041】
貯湯タンク10の外壁面には、貯湯量および貯湯温度を検出するための温度検出手段としての複数(例えば5つ)のサーミスタ(図示せず)が縦方向(天地方向)にほぼ等間隔に配置され、サーミスタは貯湯タンク10内に満たされた湯あるいは給湯水の各水位レベルでの温度信号を後述する制御装置30に出力するようになっている。尚、サーミスタは、貯湯タンク10の全容積を例えば上記したように185Lとすると、貯湯タンク10の上端部側から20L、50L、90L、130L、165Lの位置に配置されている。
【0042】
従って、制御装置30は、サーミスタからの温度信号に基づいて、貯湯タンク10内上方の沸き上げられた湯と、貯湯タンク10内下方の沸き上げられる前の給湯水との境界位置を検出することができる。例えば、あるサーミスタの検出温度が貯湯熱量として使用できる所定温度(例えば50℃)を超えていた場合は、制御装置30は貯湯タンク10内最上部からそのサーミスタの位置までは給湯に使用できる湯が貯まっていると判断する。
【0043】
尚、これらのサーミスタのうち、貯湯タンク10の上部外壁面に設けられたサーミスタは、高温取出し管12に吸入される高温の湯の温度である貯湯タンク10内最上部の湯温を検出する出湯サーミスタの機能も有している。また、貯湯タンク10の下部外壁面に設けられたサーミスタは、後述する沸き上げ運転時の沸き上げ状態を確認するサーミスタの機能も有している。
【0044】
ヒートポンプユニット20は、貯湯タンク10下部側の低温湯を加熱して貯湯タンク10の上部から高温の湯を貯めていく加熱手段であり、冷媒として臨界温度の低い二酸化炭素(CO2)を使用するヒートポンプサイクルと、循環回路21中に設置された給水ポンプ(図示せず)とを備えている。尚、超臨界ヒートポンプによれば、一般的なヒートポンプサイクルよりも高温(例えば、85℃〜90℃程度)の湯を貯湯タンク10内に貯えることができる。
【0045】
ヒートポンプサイクルは、図示しない電動式の圧縮機、水冷媒熱交換器、電気式膨張弁、空気熱交換器、およびアキュムレータが順次冷媒配管によって接続されて構成されており、その作動は図示しないヒートポンプ用制御装置によって制御されるようになっている。
【0046】
上記の水冷媒熱交換器は、冷媒が流通する冷媒通路と、循環回路21を循環する給湯水が流通する水通路とを備えており、圧縮機の吐出口より吐出されて冷媒通路を流通する高温高圧の冷媒によって、水通路(循環回路21)を流通する給湯水を加熱して湯の沸き上げを行うようになっている。
【0047】
給水ポンプは、循環回路21の吐出口10cとヒートポンプユニット20(水冷媒熱交換器)との間に配設されている。給水ポンプは、内蔵される図示しない電動モータによって回転駆動されて、高温湯の沸き上げ運転時に、低温湯を吐出口10cから吐出させて、水冷媒熱交換器内で加熱された湯を貯湯タンク10の吸入口10dに還流させるように作動する。この給水ポンプは、水冷媒熱交換器の出口側水温が、種々の運転条件下において決定される所定の目標沸き上げ温度となるように、図示しないヒートポンプ用制御装置によって回転数が制御される。
【0048】
給水管11には、給排水口10aの手前部から分岐する分岐給水管11c、11dが設けられており、各分岐給水管11c、11dの下流端は、それぞれ後述する混合弁13a、13bに繋がれている。
【0049】
高温取出し管12と分岐給水管11cとの下流側合流部位に、混合弁13aが設けられている。この混合弁13aは、温度調節弁であって、高温側、低温側それぞれの開口面積比(弁開度)を調節して、高温取出し管12から取出された高温の湯と、分岐給水管11cから供給される給湯水との混合比を調節することで、混合弁13aよりも下流側に接続された給湯用配管14に流通させる湯の温度をユーザが設定する設定温度に調節する。混合弁13aの弁開度は、後述する制御装置30によって制御されるようになっている。給湯用配管14は、下流端の端末としての給湯水栓(給湯部としてのカラン、シャワー等)へ設定温度に温度調節された湯を導く配管である。
【0050】
高温取出し管12には、導出口10bと混合弁13aとの間から分岐する高温分岐管12aが設けられており、この高温分岐管12aと分岐給水管11dとの下流側合流部位に、混合弁13bが設けられている。この混合弁13bは、上記混合弁13aと同様に、温度調節弁であって、高温側、低温側それぞれの開口面積比(弁開度)を調節して、高温分岐管12aから取出された高温の湯と、分岐給水管11bから供給される給湯水との混合比を調節することで、混合弁13bよりも下流側に接続された風呂用配管15に流通させる湯の温度をユーザが設定する設定温度に調節する。混合弁13bの弁開度は、後述する制御装置30によって制御されるようになっている。風呂用配管15は、図示しない浴槽(給湯部)に接続されており、浴槽内に湯張り、差し湯、たし湯等を行う時に、設定温度に温度調節された湯(以下、浴水)を導く配管として設けられている。風呂用配管15の途中部位には、風呂用配管15を開閉する湯張り電磁弁(図示せず)が設けられており、湯張り電磁弁の弁開度は、後述する制御装置30によって制御されるようになっている。
【0051】
貯湯タンク10の下部には排水管16が設けられている。排水管16の一端は貯湯タンク10の底面の給排水口10aに接続されており、他端は大気に開放されて排水用の側溝等に導かれている。ここでは、排水管16の一端は、給水管11の貯湯タンク10の下部近傍で合流して給排水口10aに接続されるようになっている。
【0052】
ここで、排水管16の長手方向に交差する断面の面積(以下、排水管断面積)は、排水時の排水性(排水時間)に大きく影響するため、本実施形態では以下の数式1に基づいて、排水管断面積を算出するようにしている。
【0053】
(数式1)
排水管断面積={1/2g×貯湯タンク容量×貯湯タンク水平断面積/(所定排水時間)2}1/2
ただし、gは重力加速度である。
【0054】
上記数式1の設定根拠は以下の数式2〜数式4に基づいている。即ち、排水時間は、以下の数式2によって算出される。
【0055】
(数式2)
排水時間=貯湯タンク容量/(排水速度×排水管断面積)
また、数式2中の排水速度は、以下の数式3によって算出される。
【0056】
(数式3)
排水速度=(2g×貯湯タンク内水位)1/2
また、数式3中の貯湯タンク内水位は、以下の数式4によって算出される。
【0057】
(数式4)
貯湯タンク内水位=貯湯タンク容量/貯湯タンク水平断面積)
よって、数式2に数式3、数式4を代入し、排水管断面積で整理することで数式1が得られるのである。この数式1は、排水管断面積は、貯湯タンク10の仕様(容積、水平断面積)に比例し、排水時間に反比例することを示している。特に、排水に必要とされる時間を所定時間内に収めたい場合に、その時間を所定排水時間として定めて、貯湯タンク10の仕様と併せて、排水管16の排水管断面積を定めることで、効果的な排水を可能とすることができるのである。
【0058】
上記排水管16の途中部位と貯湯タンク10の上部との間には吸排気管17が設けられている。即ち、吸排気管17は、排水管16の途中部位、ここでは排水管16の給水管11との合流部よりも他端側(大気開放側)となる部位から分岐して、貯湯タンク10上部の吸入口10dに接続される配管として設けられている。
【0059】
そして、排水管16から吸排気管17が分岐する分岐部には、三方弁18が設けられている。三方弁18は、三方に開口部を有し、各開口部にはそれぞれ開閉弁が設けられ、各開閉弁が後述する制御装置30によって制御されて、排水管16と吸排気管17との接続状態を切替える流路切替え弁として機能するものである。三方弁18が排水管16に対する吸排気管17の分岐部に配設されることから、三方弁18の1つの開口部には、排水管16において三方弁18よりも貯湯タンク10側となるタンク側排水管16aが接続され、また、三方弁18の2つめの開口部には、排水管16において三方弁18よりも大気開放側となる大気側排水管16bが接続され、更に、三方弁18の3つめの開口部には、吸排気管17が接続される形となっている。
【0060】
貯湯タンク10の上部には、吸排気管17から分岐して大気開放される逃がし管19が設けられており、この逃がし管19には、逃がし弁19aが設けられている。逃がし弁19aは、貯湯タンク10内の圧力が所定圧力を超えると開弁して、内部圧力をタンク外部に開放するようになっている。
【0061】
制御装置30は、給湯装置100Aにおける基本的な沸き上げ運転、給湯運転、湯張り運転の制御を行う給湯装置用の制御装置であり、制御盤(リモコン)31を備えている。制御装置30は、上記給湯装置100Aの基本運転制御に加えて、自動排水運転、自動給水運転の制御も行うようになっている。制御装置30は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(図示せず)には、予め設定された制御プログラムが設けられており、各サーミスタからの温度信号、およびユーザが入力する操作盤31からの操作信号等に基づいて、混合弁13a、13b、湯張り電磁弁、三方弁18を制御するように構成されている。また、制御装置30は、自動排水運転時、および自動給水運転時に使用する計時用のタイマーを有している。
【0062】
尚、操作盤31には、操作スイッチとして、給湯設定温度スイッチ、湯張りスイッチ、湯張り設定温度スイッチ、排水スイッチ、給水スイッチ等が設けられている。また、制御装置30は貯湯タンク10に設置され、操作盤31は浴室内や台所等の湯を使用する場所の近傍に設置されている。
【0063】
次に、上記構成による給湯装置100の作動について説明する。
【0064】
1.沸き上げ運転
制御装置30は、図示しないヒートポンプ用制御装置に対して、深夜時間帯(例えば23時から翌日の7時)に安価な深夜電力を用いてヒートポンプユニット20(ヒートポンプサイクルおよび給水ポンプ)の作動指示をし、翌日用の湯の沸き上げを行う。つまり、制御装置30は、貯湯タンク10内の下部側の給湯水を循環回路21に循環させ、ヒートポンプユニット20で加熱して、生成された高温の湯を吸入口10dから貯湯タンク10の上部側に貯めていく。
【0065】
具体的には、制御装置30は、深夜時間帯の開始時刻に以下の沸き上げ条件を設定し、この沸き上げ条件に基づいて沸き上げ運転を実行する。沸き上げ条件は、ここでは、目標蓄熱量、沸き上げ温度、沸き上げ熱量(目標蓄熱量−タンク貯湯熱量)、沸き上げ時間、沸き上げ開始時刻、および沸き上げ終了時刻である。
【0066】
目標蓄熱量は、記憶された所定期間(例えば過去7日間)の湯の使用量を1日あたりの湯の使用量に平均化した平均使用量に、標準偏差σを加えたものとして算出される。尚、目標蓄熱量は、貯湯タンク10の全容積と、給湯水から高温湯に沸き上げる際の昇温幅(温度差)との積として見ることができる。
【0067】
沸き上げ温度は、上記目標蓄熱量を貯湯タンク10の全容積で除した値に、給湯水の温度を加えることで算出される(例えば85℃)。タンク貯湯熱量は、23時時点における貯湯タンク10内に残っている湯の熱量であり、各サーミスタによって得られる湯の温度と、給湯水の温度と、各サーミスタ間の容積とから算出される。沸き上げ開始時刻は、沸き上げ終了時刻から、沸き上げに必要とされる沸き上げ時間分を逆算することで決定される。沸き上げ終了時刻は、ここでは深夜時間帯の終わりの時刻(7時)としている。また、沸き上げ時間は、上記目標蓄熱量からタンク貯湯熱量を差し引いた熱量を、沸き上げ熱量とした時に、沸き上げ熱量/ヒートポンプ加熱能力として算出される。そして、沸き上げ開始時刻は、算出された沸き上げ時間分を深夜時間帯の終わりの時刻から差し引くことで決定される。
【0068】
制御装置30は、沸き上げ開始時刻になると、ヒートポンプユニット20を作動させて湯の沸き上げを開始する。そして沸き上げが終了した時、あるいは沸き上げ終了時刻になると、ヒートポンプユニット20を停止させ、湯の沸き上げを終了させる。尚、沸き上げ終了の判定は、貯湯タンク10の最下部のサーミスタによって得られる温度が、(沸き上げ温度−所定温度)以上となった場合としている。
【0069】
2.給湯運転、湯張り運転
昼間の台所や洗面所での湯の使用時には、制御装置30は、ユーザによって操作盤31の給湯設定温度スイッチから入力設定される設定温度と一致するように、混合弁13aの弁開度を調節して、貯湯タンク10の導出口10bから取出される高温取出し管12の高温の湯と分岐給水管11cから供給される給湯水とを混合して、温度調節した湯として給湯用配管14から給湯水栓へ供給する。
【0070】
また、風呂への湯張り時には、制御装置30は、湯張り電磁弁を開き、ユーザによって操作盤31の湯張り設定温度スイッチから入力設定される設定温度と一致するように、混合弁13bの弁開度を調節して、貯湯タンク10の導出口10bから取出される高温分岐管12aの高温の湯と分岐給水管11dから供給される給湯水とを混合して、温度調節した湯として風呂用配管15から浴槽へ供給する。
【0071】
3.自動排水運転
ユーザが長期間にわたって給湯装置100Aを使用しない場合には、例えば冬季であるとタンク内の凍結を防止するため、あるいはタンク内の腐敗を防止するために、貯湯タンク10内の湯水を排出する必要が生ずる。このような場合には、ユーザは、手動操作によってまず元栓11aを閉状態にし、操作盤31の排水スイッチにて排水処理の入力を行う。
【0072】
制御装置30は、排水スイッチからの信号を受けると、図2に示すフローチャートに基づく自動排水運転を実行する。制御装置30は、自動排水運転中は図2のフローチャートを繰り返し回して、各ステップでの状態を常時監視すると共に、必要とされる処理を行っていく。
【0073】
まず、制御装置30は、図2中のステップS100で、排水スイッチからのON信号を受け、自動排水運転をスタートさせると共に、この時点からタイマーによる計時をスタートさせる。
【0074】
そして、ステップS110で、三方弁18を排水側に切替える。即ち、三方弁18の各開口部における開閉弁のうち、排水管16のタンク側と配水管16の大気開放側との開閉弁を開き、吸排気管17側の開閉弁を閉じる。この開閉弁の切替えにより、タンク側排水管16aと大気側排水管16bとが連通し(本願発明の第1接続状態に対応)、本来の排水管16が機能し、図3中の実線矢印で示すように、貯湯タンク10内の湯水が排水管16(タンク側排水管16a、大気側排水管16b)を通り、側溝等に排水されていく。尚、制御装置30は、ステップS110を実行すると、その時点からタイマーによる計時をスタートさせる。
【0075】
ここで、貯湯タンク10内の湯水を排水するにあたって、貯湯タンク10の上部に吸気弁等を設けて、吸気弁を開状態として空気を吸入しながら排水すると、図4に示すように、ほぼ一定の排水流量を確保して排水を行うことができる。
【0076】
しかしながら、吸気弁等を備えず、貯湯タンク10上部からの空気の吸入がない場合であると、図5に示すように、最初は貯湯タンク10の内圧が外圧(大気圧)より高いことから、貯湯タンク10内の湯水が排水管16から排水されていく。しかし、湯水が排水されるに従って貯湯タンク10内の空間は拡大していき、内圧が低下していく(内圧が大気圧より低下していく)ことから、湯水が排水されにくくなっていく(図5中の右下がりの「排」の部分)。そして、貯湯タンク10の下側となる排水管16から空気を強引に吸入するといった挙動が発生すると、貯湯タンク10内圧が大気圧に近づき、排水が復帰する(図5中の右上がりの「吸」の部分)。このように、貯湯タンク10の上部からの空気の吸入がない場合では、排水と強引な吸気とを繰り返して排水が進んでいく。尚、このような排水形態では、タンク容量(湯水量)、排水管仕様等によっては、貯湯タンク10内の湯水を完全に排水できない場合もあり得る。
【0077】
そこで、吸気弁等を備えない本実施形態では、三方弁18による第1接続状態での排水に伴い、貯湯タンク10の内圧が低下して排水が困難となるまでの時間(内圧低下時間)を予め定めておき、ステップS120で、ステップS110の実行時点からのタイマーによる計時結果が内圧低下時間だけ経過したか否かを判定し、肯定判定するとステップS130に進むようにしている。内圧低下時間は実験的に事前に把握可能であり、本実施形態では例えば5分と定めている。
【0078】
ステップS130では、三方弁18を吸気側に切替える。即ち、三方弁18の各開口部における開閉弁のうち、配水管16の大気開放側の開閉弁と吸排気管17側の開閉弁とを開き、配水管16のタンク側の開閉弁を閉じる。この開閉弁の切替えにより、大気側排気管16bと吸排気管17とが連通し(本発明の第2接続状態に対応)、図3中の破線矢印で示すように、空気(大気)が大気側排水管16bおよび吸排気管17を通り、貯湯タンク10内に供給されることになる。尚、制御装置30は、ステップS130を実行すると、その時点からタイマーによる計時をスタートさせる。
【0079】
そして、ステップS140で、ステップS130の実行時点からのタイマーによる計時結果が、貯湯タンク10内部と外部との圧力が平衡する時間だけ経過したか否かを判定し、肯定判定するとステップS150に進むようにしている。上記の圧力平衡時間は、貯湯タンク10内に空気が供給されて貯湯タンク内圧力が外部の大気圧と同等になるまでに要する時間(図5で説明した「吸」の部分に対応する時間)であり、実験的に事前に把握可能であり、本実施形態では例えば30秒と定めている。
【0080】
ステップS150では、ステップS100の実行時点からのタイマーによる計時結果が、予め定めた排水完了予想時間だけ経過したか否かを判定する。排水完了予想時間は本発明の第1所定時間に対応するものであり、満水状態にある貯湯タンク10に対して、図6に示すように、排水管16からの排水(図6中の右下がりの部分)と、吸排気管17を用いた貯湯タンク10内への空気の供給(図6中の右上がりの部分)とを繰り返した場合に、貯湯タンク10内が完全にカラとなるまでに必要とされた時間に基づいて設定されている。例えば、排水完了予想時間=(実測必要時間+余裕時間)と言ったように設定されている。
【0081】
ステップS150で、否と判定すると上記ステップS110〜ステップS150を繰り返す。そして、ステップS150で、肯定判定すると排水が完了したものと見なして、ステップS160で、自動排水運転を終了する。この自動排水運転終了時には、貯湯タンク10内への異物の侵入を防止するために、三方弁18の各開口部のうち、少なくとも排水管16のタンク側の開閉弁と、吸排気管17側の開閉弁とを閉じるようにするのが良い。
【0082】
4.自動給水運転
上記自動排水運転を行った後に、ユーザが再び給湯装置100Aを使用する場合には、まず、貯湯タンク10内を給湯水で満水にする必要がある。このような場合には、ユーザは、手動操作によってまず元栓11aを開状態にし、操作盤31の給水スイッチにて給水処理の入力を行う。上記のように、ユーザが元栓11aを開状態とすることで、給湯水が給水管11を通して給排水口10aから貯湯タンク10内に流入していく。
【0083】
制御装置30は、給水スイッチからの信号を受けると、図7に示すフローチャートに基づく自動給水運転を実行する。制御装置30は、自動給水運転中は図7のフローチャート(ステップS220)を繰り返し回して、各ステップでの状態を常時監視すると共に、必要とされる処理を行っていく。
【0084】
まず、制御装置30は、図7中のステップS200で、給水スイッチからのON信号を受け、自動給水運転をスタートさせると共に、この時点からタイマーによる計時をスタートさせる。
【0085】
そして、ステップS210で、三方弁18を排気側に切替える。即ち、三方弁18の各開口部における開閉弁のうち、配水管16の大気開放側の開閉弁と吸排気管17側の開閉弁とを開き、配水管16のタンク側の開閉弁を閉じる。この開閉弁の切替えにより、大気側排気管16bと吸排気管17とが連通する(本発明の第2接続状態に対応)。すると、貯湯タンク10内への給湯水の流入に伴って、貯湯タンク10内の空気は、図8中の破線矢印で示すように、吸入口10dから吸排気管17および大気側排水管16bを通り、外部(大気)に排出されることになる。
【0086】
そして、ステップS220では、ステップS200の実行時点からのタイマーによる計時結果が、予め定めた満水予想時間だけ経過したか否かを判定し、肯定判定すると給水が完了したものと見なして、ステップS230に進むようにしている。満水予想時間は本発明の第2所定時間に対応するものであり、カラの状態にある貯湯タンク10に対して、給水管11から給水した場合に、貯湯タンク10内が満水となるまでに必要とされた時間に基づいて設定されている。例えば、満水予想時間=(実測必要時間+余裕時間)と言ったように設定されている。
【0087】
ステップS230では、三方弁18を閉止側に切替える。即ち、三方弁18の各開口部における開閉弁のうち、配水管16の大気開放側の開閉弁と吸排気管17側の開閉弁とを閉じる。そして、ステップS240で、自動給水運転を終了する。
【0088】
以上のように、本第1実施形態の給湯装置100Aでは、沸き上げ運転、給湯運転、湯張り運転の実行を可能とすると共に、必要に応じて自動排水運転および自動給水運転の実行を可能としている。
【0089】
自動排水運転を実行するにあたって、ユーザによって元栓11aが閉じられて給水管11から貯湯タンク10への給湯水の供給が停止された後に、制御装置30は三方弁18によって排水管16におけるタンク側(タンク側配水管16a)と、排水管16の大気開放側(大気側配水管16b)とを開き、この両者間を接続する第1接続状態とすることで、貯湯タンク10内の湯水を排水管16から排水することができる。湯水が排水されるに従って貯湯タンク10内の内圧が低下していくことから、湯水が排水されにくくなっていく。ここで、三方弁18によって排水管16の大気開放側(大気側配水管16b)と、給排気管17側とを開き、この両者間を接続する第2接続状態とすると、大気側配水管16bから吸排気管17を通り、貯湯タンク10内の上部に空気を供給することができるので、貯湯タンク10内の圧力を大気圧と同じになるようにして、再び、貯湯タンク10内の湯水を排水することが可能となる。そして、三方弁18によって上記の第1接続状態と第2接続状態とを繰り返すことで、貯湯タンク10内の湯水を排水することができる。尚、本第1実施形態では、上記のように第2接続状態の形成により積極的に貯湯タンク10内に空気を供給するようにしているので、図5で説明した強引に空気を吸入する場合に比べて、排水完了までの時間は短縮される。
【0090】
次に、自動排水運転を実行するにあたって、ユーザによって元栓11aが開かれて給水管11から貯湯タンク10への給湯水の供給が行われるようにした後に、制御装置30は三方弁18によって排水管16と吸排気管17との接続状態を上記の第2接続状態とすると、貯湯タンク10内の上部空間は、吸排気管17と大気側排水管16bとによって外部と連通するので、貯湯タンク10内の空気を外部に抜きながら、スムーズに貯湯タンク内10に給湯水を供給することができる。
【0091】
このように、本第1実施形態では、「背景技術」の項で説明した引用文献1に記載の電動三方弁、電動開閉弁を備えるものに対して、三方弁18のみを用いた簡単な構成として、この三方弁18を制御することで自動排水運転、および自動給水運転を可能としている。
【0092】
また、排水管16の断面積の設定にあたって、数式1に基づいて貯湯タンク10の容量、および水平断面積に応じて所定排水時間を加味した排水管16の断面積の設定が可能となり、適切な排水時間で排水を完了させることが可能となる。
【0093】
また、給湯装置用制御装置としての制御装置30によって、給湯装置100Aの基本的な沸き上げ運転、給湯運転、湯張り運転の制御に加えて、自動排水運転、自動給水運転の制御も行えるようにしているので、ユーザは、通常の湯の沸き上げ、および出湯の制御を行うための操作に加えて、自動排水運転、および自動給水運転の操作も同一の制御装置(給湯用制御装置)30にて行うことが可能となり、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0094】
また、自動排水運転において、予め定めた排水完了予想時間(第1所定時間)の経過をもって、排水が完了したものと判定するようにしているので、明確な排水完了の判定が可能となり、確実な自動排水運転の実行が可能となる。
【0095】
また、自動給水運転において、予め定めた満水予想時間(第2所定時間)の経過をもって、給水が完了したものと判定するようにしているので、明確な給水完了の判定が可能となり、確実な自動給水運転の実行が可能となる。
【0096】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図9、図10に示す。第2実施形態の給湯装置100Bは、上記第1実施形態に対して、吸排気管17に検出手段としてのフローセンサ17aを設けたものである。フローセンサ17aは、吸排気管17内で給湯水の流れが発生すると、その流れが発生していることを検出して、図10に示すように検出信号を制御装置30に出力する。
【0097】
第2実施形態では、図10に示すフローチャートに基づいて、フローセンサ17aを用いた自動給水運転が実行される。図10のフローチャートは、上記第1実施形態における図7のフローチャートに対して、ステップS220をステップS221に変更したものである。
【0098】
即ち、自動給水運転にて、制御装置30は、第1実施形態と同様にステップS200、ステップS210を実行すると、給湯水が給水管11から貯湯タンク10内に供給されていく。そして、貯湯タンク10内が給湯水で満水になると、給湯水は吸排気管17を流れて大気側排気管16bからオーバーフローする。この時、フローセンサ17aは吸排気管17での給湯水の流れを検出するので、制御装置30は、ステップS221で、この流れの検出をもって、貯湯タンク10内が給湯水で満水となったと判定し、ステップS230の処理の後に、ステップS240で自動給水運転を終了する。
【0099】
このように、第2実施形態では、自動給水運転において、フローセンサ17aによって吸排気管17における給湯水の流れを検出することで、貯湯タンク10内が満水状態になったと判定できるので、その時点で自動給水運転を停止させることで、給湯水のオーバーフロー量を最小限に抑えた確実な給水が可能となる。
【0100】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態を図11〜図13に示す。第3実施形態の給湯装置100Cは、上記第1実施形態に対して、給水管11に開閉手段としての開閉弁11eを設けたものである。開閉弁11eは、図11に示すように制御装置30によって開閉制御されて、給水管11を開閉する弁であり、給水管11において減圧弁11bの貯湯タンク10側に設けられている。
【0101】
第3実施形態では、図12に示すフローチャートに基づいて自動排水運転が実行され、また、図13に示すフローチャートに基づいて自動給水運転が実行される。図12のフローチャートは、上記第1実施形態における図2のフローチャートに対して、ステップS100の前にステップS50を追加したものであり、図13のフローチャートは、上記第1実施形態における図7のフローチャートに対して、ステップS200の前にステップS60を追加したものである。
【0102】
自動排水運転において、ユーザは、元栓11aを手動操作することなく常に開状態としたままで、操作盤31の排水スイッチにて排水処理の入力を行う。制御装置30は、排水スイッチからの信号を受けると、まず、ステップS50で開閉弁11eを閉じ、その後に、ステップS100〜ステップS160を実行する。
【0103】
また、自動排水運転において、ユーザは、元栓11aを手動操作することなく常に開状態としたままで、操作盤31の給水スイッチにて給水処理の入力を行う。制御装置30は、給水スイッチからの信号を受けると、まず、ステップS60で開閉弁11eを開き、その後に、ステップS200〜ステップS240を実行する。
【0104】
このように、第3実施形態では、給水管11に制御装置30によって開閉制御される開閉弁11eを設けるようにし、自動排水運転の最初に制御装置30によって開閉弁11eを閉じることで給水管11からの給湯水の停止を可能とし、また、自動給水運転の最初に制御装置30によって開閉弁11eを開くことで給水管11からの給湯水の供給を可能とすることができるので、完全自動による排水運転、および供給運転が可能となる。
【0105】
尚、開閉弁11eの設置位置は、給水管11における減圧弁11bの貯湯タンク10側に限らず、元栓11aと減圧弁11bとの間としても良い。
【0106】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0107】
その他の実施形態を図14に示す。この実施形態では、上記第1実施形態に対して、自動排水運転時の安全性を高めるようにしたものであり、図14に示すフローチャートに基づいて自動排水運転が実行される。図14のフローチャートは、上記第1実施形態における図2のフローチャートに対して、ステップS100とステップS110との間にステップS105を追加したものである。
【0108】
即ち、自動排水運転において、制御装置30は、ステップS100で自動排水運転をスタートすると、ステップS105で、貯湯タンク10内の湯水の温度がある程度冷めるまで所定時間放置した後に、ステップS110による排水を開始するようにしている。
【0109】
これは、自動排水運転の実行時においては、万が一にも、排出される高温の湯によってユーザが火傷を負わないようにするために、火傷の心配がない程度の湯水温度となるまで、所定時間放置した後に排水を開始するというものである。所定時間については、例えば、想定され得る最高温度時の湯水が火傷に影響を及ぼさない温度に冷えるまでに必要とされる時間を予め確認することで設定が可能である。
【0110】
また、上記実施形態では、自動排水運転および自動給水運転を行う制御装置を給湯装置用の制御装置30として一体的に設けたが、単一の制御装置として設けるようにしても良い。あるいは、集合住宅等に設置されている複数台の給湯装置の作動を集中管理可能とする集中制御盤によって、自動排水運転および自動給水運転を実行するための指令を各給湯装置に送信するものであってもよい。
【0111】
また、ヒートポンプユニット20のヒートポンプサイクルを流れる作動冷媒は、二酸化炭素に限定されるものではなく、フロン等の他の冷媒であってもよい。更に、湯を沸き上げる加熱手段としてはヒートポンプ20に限らず、例えば電気ヒータ等の他の手段としても良い。
【符号の説明】
【0112】
100A、B、C 給湯装置
10 貯湯タンク
11 給水管
11e 開閉弁
16 排水管
17 吸排気管
17a フローセンサ(検出手段)
18 三方弁
20 ヒートポンプユニット(加熱手段)
30 制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段(20)によって沸き上げられた湯を貯めると共に、貯めた湯を出湯部へ出湯する貯湯タンク(10)と、
前記貯湯タンク(10)の下部に接続されて、前記貯湯タンク(10)内に給湯水を供給する給水管(11)と、
一端が前記貯湯タンク(10)の下部に接続され、他端が大気開放されて、前記貯湯タンク(10)内の湯水を排水する排水管(16)と、
前記排水管(16)の途中部位から分岐して、前記貯湯タンク(10)の上部に接続される吸排気管(17)と、
前記排水管(16)から前記吸排気管(17)が分岐する分岐部位に設けられて、前記排水管(16)の前記貯湯タンク(10)側、前記排水管(16)の前記大気開放側、および前記吸排気管(17)側をそれぞれ開閉可能とする三方弁(18)と、
前記三方弁(18)の三方の開閉を制御する制御装置(30)とを備えることを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記排水管(16)の長手方向に交差する断面の面積は、排水に必要とされる時間が所定排水時間となるように、以下の数式1に基づいて決定されたことを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
(数式1)
前記排水管の断面積={1/2g×前記貯湯タンクの容量×前記貯湯タンクの水平断面積/(前記所定排水時間)2}1/2
ただし、gは重力加速度である。
【請求項3】
前記吸排気管(17)には、内部に前記給湯水が流通すると、その流通状態を検出すると共に、検出信号を前記制御装置(30)に出力する検出手段(17a)が設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給湯装置。
【請求項4】
前記給水管(11)には、前記制御装置(30)によって開閉制御される開閉弁(11e)が設けられたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の給湯装置。
【請求項5】
前記制御装置(30)は、前記貯湯タンク(10)内への湯の沸き上げ、および前記貯湯タンク(10)からの出湯を制御する給湯用制御装置(30)に組み込まれたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の給湯装置。
【請求項6】
加熱手段(20)によって沸き上げられた湯を貯めると共に、貯めた湯を出湯部へ出湯する貯湯タンク(10)と、
前記貯湯タンク(10)の下部に接続されて、前記貯湯タンク(10)内に給湯水を供給する給水管(11)と、
一端が前記貯湯タンク(10)の下部に接続され、他端が大気開放されて、前記貯湯タンク(10)内の湯水を排水する排水管(16)と、
前記排水管(16)の途中部位から分岐して、前記貯湯タンク(10)の上部に接続される吸排気管(17)と、
前記排水管(16)から前記吸排気管(17)が分岐する分岐部位に設けられた三方弁(18)とを備える給湯装置の制御方法であって、
前記給水管(11)からの前記給湯水の供給が停止された後、前記貯湯タンク(10)内の前記湯水を排水する自動排水運転において、前記三方弁(18)によって、前記排水管(16)の前記貯湯タンク(10)側と前記排水管(10)の前記大気開放側とが接続される第1接続状態と、前記排水管(16)の前記大気側と前記吸排気管(17)とが接続される第2接続状態とを繰り返し形成し、
前記給水管(16)からの前記給湯水の供給が行われるようにした後、前記貯湯タンク(10)内に前記給湯水を供給する自動給水運転において、前記三方弁(18)によって、前記第2接続状態を形成することを特徴とする給湯装置の制御方法。
【請求項7】
前記自動排水運転において、予め定めた第1所定時間の経過をもって、前記排水が完了したものと判定することを特徴とする請求項6に記載の給湯装置の制御方法。
【請求項8】
前記自動給水運転において、予め定めた第2所定時間の経過をもって、前記給水が完了したものと判定することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の給湯装置の制御方法。
【請求項9】
前記吸排気管(17)には、内部に前記給湯水が流通すると、その流通状態を検出する検出手段(17a)が設けられ、
前記自動給水運転において、前記検出手段(17a)による前記給湯水の流通検出をもって、前記給水が完了したものと判定することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の給湯装置の制御方法。
【請求項10】
前記給水管(11)には、この給水管(11)を開閉する開閉弁(11e)が設けられており、
前記自動排水運転の実行の前に、前記開閉弁(11e)を閉じ、前記自動給水運転の実行の前に前記開閉弁(11e)を開くことを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれか1つに記載の給湯装置の制御方法。
【請求項1】
加熱手段(20)によって沸き上げられた湯を貯めると共に、貯めた湯を出湯部へ出湯する貯湯タンク(10)と、
前記貯湯タンク(10)の下部に接続されて、前記貯湯タンク(10)内に給湯水を供給する給水管(11)と、
一端が前記貯湯タンク(10)の下部に接続され、他端が大気開放されて、前記貯湯タンク(10)内の湯水を排水する排水管(16)と、
前記排水管(16)の途中部位から分岐して、前記貯湯タンク(10)の上部に接続される吸排気管(17)と、
前記排水管(16)から前記吸排気管(17)が分岐する分岐部位に設けられて、前記排水管(16)の前記貯湯タンク(10)側、前記排水管(16)の前記大気開放側、および前記吸排気管(17)側をそれぞれ開閉可能とする三方弁(18)と、
前記三方弁(18)の三方の開閉を制御する制御装置(30)とを備えることを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記排水管(16)の長手方向に交差する断面の面積は、排水に必要とされる時間が所定排水時間となるように、以下の数式1に基づいて決定されたことを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
(数式1)
前記排水管の断面積={1/2g×前記貯湯タンクの容量×前記貯湯タンクの水平断面積/(前記所定排水時間)2}1/2
ただし、gは重力加速度である。
【請求項3】
前記吸排気管(17)には、内部に前記給湯水が流通すると、その流通状態を検出すると共に、検出信号を前記制御装置(30)に出力する検出手段(17a)が設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給湯装置。
【請求項4】
前記給水管(11)には、前記制御装置(30)によって開閉制御される開閉弁(11e)が設けられたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の給湯装置。
【請求項5】
前記制御装置(30)は、前記貯湯タンク(10)内への湯の沸き上げ、および前記貯湯タンク(10)からの出湯を制御する給湯用制御装置(30)に組み込まれたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の給湯装置。
【請求項6】
加熱手段(20)によって沸き上げられた湯を貯めると共に、貯めた湯を出湯部へ出湯する貯湯タンク(10)と、
前記貯湯タンク(10)の下部に接続されて、前記貯湯タンク(10)内に給湯水を供給する給水管(11)と、
一端が前記貯湯タンク(10)の下部に接続され、他端が大気開放されて、前記貯湯タンク(10)内の湯水を排水する排水管(16)と、
前記排水管(16)の途中部位から分岐して、前記貯湯タンク(10)の上部に接続される吸排気管(17)と、
前記排水管(16)から前記吸排気管(17)が分岐する分岐部位に設けられた三方弁(18)とを備える給湯装置の制御方法であって、
前記給水管(11)からの前記給湯水の供給が停止された後、前記貯湯タンク(10)内の前記湯水を排水する自動排水運転において、前記三方弁(18)によって、前記排水管(16)の前記貯湯タンク(10)側と前記排水管(10)の前記大気開放側とが接続される第1接続状態と、前記排水管(16)の前記大気側と前記吸排気管(17)とが接続される第2接続状態とを繰り返し形成し、
前記給水管(16)からの前記給湯水の供給が行われるようにした後、前記貯湯タンク(10)内に前記給湯水を供給する自動給水運転において、前記三方弁(18)によって、前記第2接続状態を形成することを特徴とする給湯装置の制御方法。
【請求項7】
前記自動排水運転において、予め定めた第1所定時間の経過をもって、前記排水が完了したものと判定することを特徴とする請求項6に記載の給湯装置の制御方法。
【請求項8】
前記自動給水運転において、予め定めた第2所定時間の経過をもって、前記給水が完了したものと判定することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の給湯装置の制御方法。
【請求項9】
前記吸排気管(17)には、内部に前記給湯水が流通すると、その流通状態を検出する検出手段(17a)が設けられ、
前記自動給水運転において、前記検出手段(17a)による前記給湯水の流通検出をもって、前記給水が完了したものと判定することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の給湯装置の制御方法。
【請求項10】
前記給水管(11)には、この給水管(11)を開閉する開閉弁(11e)が設けられており、
前記自動排水運転の実行の前に、前記開閉弁(11e)を閉じ、前記自動給水運転の実行の前に前記開閉弁(11e)を開くことを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれか1つに記載の給湯装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−102682(P2011−102682A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258167(P2009−258167)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
[ Back to top ]