説明

給湯装置

【課題】湯張り制御手段による湯張り動作中に停電もしくは電源回路の異常で給湯装置に通電されなくなった場合に水量制御手段が駆動できなくなり湯張り動作が完了できず浴槽へ水を供給し続けることになり水の無駄防止と浴槽から水が溢れることによる拡大被害が生じる恐れがある。
【解決手段】停電時に、水量制御手段7を閉止して給水を停止させる停電時閉止手段21と、停電時に停電時閉止手段21へ電源を供給するバックアップ電源22とを設けて,給湯装置が自動的に水量制御手段21の閉止動作を行い、水量制御手段21が閉止状態に維持され、これにより、水の供給を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給湯装置、特に、出湯蛇口を開成して設定量を浴槽等に給湯した時に自動的に給湯回路を閉止して給湯を停止できるようにした湯張り機能付き給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
任意に設定した湯量を自動的に給湯するようにした給湯装置として、例えば図2に示すような装置がある。給湯回路26は熱交換器27を経て浴槽(図示せず)の近傍に配設された出湯蛇口28まで延びている。又、給湯回路26に於ける熱交換器27の上流側には流量検知手段29と水量制御機能と給湯回路の止水機能とを併せ持った水量制御手段30が挿入されており、流量検知手段29は給湯回路26を流れた水の総量を計測する機能を有している。これら流量検知手段29や水量制御手段30は制御回路31に接続され、操作装置32の設定状態に応じて所定の動作を行う。また、操作装置32には湯張りスイッチ33と湯量設定スイッチ34と湯温設定スイッチ35が配設されている。
【0003】
上記給湯装置を用いて浴槽に湯張りするときは、湯量設定スイッチ34で湯量を湯温設定スイッチ35で湯温を設定して湯張りスイッチ33を操作した後出湯蛇口28を開放すると、制御回路31の出力でガスバーナ36が点火し、水量制御手段30で水量を調節しながら供給される水が熱交換器27部分で加熱された後に出湯蛇口28から浴槽に供給される。
【0004】
他方、給湯回路26を流れる水量は流量検知手段29で計測されており、計測値が湯量設定スイッチ33に設定した湯量に等しくなると、ガスバーナ36が消火し、水量制御手段30が閉止状態に維持され水の供給を停止して湯張り動作が完了する。
【0005】
このものでは、上記湯張りスイッチ33は湯張り完了後に水量制御手段30を強制開成させるリセットスイッチとしての機能も有しており、湯張り完了後に湯張りスイッチ33を操作させると、閉止状態にある水量制御手段29が開成状態に復帰し、以後、出湯蛇口28から連続的に湯の取り出しができるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特公平1−14498号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記の従来の構成では、湯張り制御手段による湯張り動作中に停電もしくは電源回路の異常で給湯装置に通電されなくなった場合に水量制御手段が駆動できなくなり湯張り動作が完了できず、浴槽へ水を供給し続けることになり水の無駄防止と浴槽から水が溢れることによる拡大被害が生じるという課題があった。
【0007】
本発明は上記課題を解決するもので、湯張り動作中に停電もしくは電源回路の異常で給湯装置に通電されなくなった場合に給湯装置が自動的に水量制御手段を閉止動作を行い水量制御手段が閉止状態に維持され、これにより、水の供給を停止するようにして、水の無駄防止と浴槽から水が溢れることによる拡大被害防止するとともに使い勝手の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために、出湯蛇口の上流側に配設された給湯回路を流れる水の流量の検出と流量の累積値を算出する流量検知手段と、給湯回路を流れる水を加熱す
るバーナと、加熱された湯温を検出する温度検知手段と、給湯回路を開閉するとともに給湯回路を流れる水量を調整する水量制御手段と、流量検知手段で検出された水の流量の累積値を算出する給水量累積手段と、水量制御手段の開成動作と閉止動作を含む浴槽への湯張りを指示する湯張りスイッチと湯温設定スイッチと湯量設定スイッチを有する操作手段と、使用者が湯張りスイッチを操作して、出湯蛇口を開成して給湯回路に通水した後に湯温設定スイッチで設定された設定湯温で給水量累積手段により計測された累積水量が所定の目標水量に達するまで給湯動作を継続し、目標水量に達したときに水量制御手段により給湯回路への給水を停止させる湯張り動作を行う湯張り制御手段とを備えた給湯装置において、停電時に、水量制御手段を閉止して給水を停止させる停電時閉止手段と、停電時に停電時閉止手段へ電源を供給するバックアップ電源とを設けたものである。
【0009】
上記発明によれば、湯張り動作中に停電もしくは電源回路の異常で給湯装置に通電されなくなった場合に給湯装置が自動的に水量制御手段を閉止動作を行い水量制御手段が閉止状態に維持され、これにより、水の供給を停止するようにして、水の無駄防止と浴槽から水が溢れることによる拡大被害防止するとともに使い勝手の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明の給湯装置によれば、湯張り動作中に停電もしくは電源回路の異常で給湯装置に通電されなくなった場合でも浴槽への水の供給を停止することができるので水の無駄防止と浴槽から水が溢れることによる拡大被害防止するとともに使い勝手の向上を図ることができる。
【0011】
また、停電後に電源が復帰して再通電した場合にも水量制御手段で給湯回路の閉止を確実に行い湯張り動作中に停電もしくは電源回路の異常で給湯装置に通電されなくなった場合でも浴槽への水の供給を停止することができるので水の無駄防止と浴槽から水が溢れることによる拡大被害防止するとともに使い勝手の向上を図ることができる。
【0012】
さらに、バックアップ電源の電池交換が不要となると共に、不意に停電が起こったとしてもバックアップ電源切れを起こさず、水量制御手段を確実に閉止駆動して水の供給を停止できるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
請求項1記載の発明は、出湯蛇口の上流側に配設された給湯回路を流れる水の流量の検出と流量の累積値を算出する流量検知手段と、給湯回路を流れる水を加熱するバーナと、加熱された湯温を検出する温度検知手段と、給湯回路を開閉するとともに給湯回路を流れる水量を調整する水量制御手段と、流量検知手段で検出された水の流量の累積値を算出する給水量累積手段と、水量制御手段の開成動作と閉止動作を含む浴槽への湯張りを指示する湯張りスイッチと湯温設定スイッチと湯量設定スイッチを有する操作手段と、使用者が湯張りスイッチを操作して、出湯蛇口を開成して給湯回路に通水した後に湯温設定スイッチで設定された設定湯温で給水量累積手段により計測された累積水量が所定の目標水量に達するまで給湯動作を継続し、目標水量に達したときに水量制御手段により給湯回路への給水を停止させる湯張り動作を行う湯張り制御手段とを備えた給湯装置において、停電時に、水量制御手段を閉止して給水を停止させる停電時閉止手段と、停電時に停電時閉止手段へ電源を供給するバックアップ電源とを設けたものであり、湯張り動作中に停電もしくは電源回路の異常で給湯装置に通電されなくなった場合に給湯装置が自動的に水量制御手段を閉止動作を行い水量制御手段が閉止状態に維持され、これにより、水の供給を停止するようにして、水の無駄防止と浴槽から水が溢れることによる拡大被害防止するとともに、使い勝手の向上を図ることができる。
【0014】
請求項2記載の発明は、停電時閉止手段は再通電時に水量制御手段を自動的に開成動作
しないことを特徴とするものであり、再通電時に浴槽への水の供給を停止しているので水の無駄防止と浴槽から水が溢れることによる拡大被害防止するとともに、使い勝手の向上を図ることができる。
【0015】
請求項3記載の発明は、バックアップ電源は、商用電源から充電して停電時に備える商用電力充電手段を設けたことを特徴とするものであり、バックアップ電源の電池交換が不要となると共に、不意に停電が起こったとしてもバックアップ電源切れを起こさず、水量制御手段を確実に閉止駆動して水の供給を停止できるという優れた効果を奏する。
【0016】
以下、本発明の一実施例について、図面を参照して説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1における全体構成図を示す。
【0018】
1は出湯蛇口、2は前記出湯蛇口1の上流側に配設された給湯管3、熱交換器4、給水管5からなる給湯回路、6は給湯回路2に連接し給湯回路2を流れた水量を計測する流量検知手段、7は給湯回路を開閉するとともに給湯回路を流れる水量を調整する水量制御手段、8は熱交換器を加熱するバーナ、9は運転スイッチ10と所定の湯量を設定する湯量設定スイッチ11と所定の湯温を設定する湯温設定スイッチ12と湯張りスイッチ13とを備えたリモコン装置、14はリモコン装置9の設定温度と設置温度に応じてバーナ9に供給する燃料を制御する燃料制御装置、15は燃料弁、16は燃焼用空気を供給する送風機、17は入水温度を検出する入水温度検出装置、18は出湯温度を検出する出湯温度検出装置、19は給湯装置全体の制御を行うコントローラで、図示しない理論演算回路を構成するCPU、RAM、ROMと各種センサや制御装置からの入力信号受付ける入力部と入力部からの入力を計算する演算部と各種のアクチュエーターに駆動信号を出力する出力部で構成されている。
【0019】
20はコントローラ19に内蔵された湯張り制御装置で、バーナ9を強制消火する強制消火信号及び水量制御手段7を閉止動作する給湯停止信号等を出力し、所定の湯張り運転を制御するものである。21は停電時に、水量制御手段を閉止して給水を停止させる停電時閉止手段、22はバックアップ電源で停電時に停電時閉止手段21に電源を供給する。23はバーナ8を点火する点火装置、24はバーナの点火を検地する火炎検知手段である。
【0020】
上記構成において、湯張り動作について説明する。
【0021】
使用者が浴槽に湯張りを行うためには、あらかじめリモコン装置9にある湯量設定スイッチ11と湯温設定スイッチ12で浴槽に入れるお湯の湯量と温度を設定しておく。この湯量と温度はリモコン装置9に記憶されるので、同一条件で使用する場合は、一度設定すれば次回からは設定の必要がない。
【0022】
次に、浴室の出湯蛇口1を開くと、給湯回路2に水が流れて流量検知手段6が「ON」してコントローラ19が、給湯装置の各アクチュエーターの初期チェックを行い、送風機16を点火回転数で回転する。
【0023】
送風機16が回転を開始すると点火装置23が「ON」して連続火花放電が始まり、同時にバ−ナ8に供給される燃料回路を開閉する燃料弁15が開き、点火に必要なガス量を供給するように燃料制御装置14を「開」にしてバーナ8にガスを供給して点火する。
【0024】
以降、出湯温度検出装置18で検出する湯温が、湯温設定スイッチ12で設定された温度になるように燃料制御装置14が燃料を調整する。
【0025】
また、火炎検知手段24でバーナが正常に点火して良好に燃焼していると判定した場合は、バーナ8で燃焼する燃料が良好な燃焼をするように送風機16が適宜風量を調整する。
【0026】
その後、湯量設定スイッチ11で設定した湯量と流量検知手段6で計測した水量が等しくなれば、湯張り制御装置20から強制消火信号が出力され、燃料制御装置14と燃料弁15が閉じて燃料の供給を停止するのでバーナ8は消火する。
【0027】
また同時に、湯張り制御装置20から報知信号が出力され、リモコン装置9が報知音を鳴らして湯張りの完了を知らせる。
【0028】
上記の湯張り動作中に停電もしくは電源回路の異常で給湯装置に通電されなくなった場合には、コントローラ19は停止して燃料制御装置14と燃料弁15が閉じて燃料の供給を停止するのでバーナ8は消火する。一方、停電時に水量制御手段7を閉止制御する停電時閉止手段21への電源は、停電となると同時に商用電源からバックアップ電源22へ直ちに切替えられて停電時閉止手段21が自動的に水量制御手段7を閉止動作を行い水量制御手段7が閉止状態に維持され、これにより、水の供給を停止する。
【0029】
以上のように、湯張り動作中に停電もしくは電源回路の異常で給湯装置に通電されなくなった場合でも浴槽への水の供給を停止することができるので水の無駄防止と浴槽から水が溢れることによる拡大被害防止するとともに使い勝手の向上を図ることができる。
【0030】
(実施例2)
実施例2は、上記実施例1に加えて、停電時閉止手段21に再通電時に水量制御手段7を自動的に開成動作しない制御を加えたもので、再通電時に浴槽への水の供給を停止しているので水の無駄防止と浴槽から水が溢れることによる拡大被害防止するとともに使い勝手の向上を図ることができる。
【0031】
(実施例3)
実施例3は、上記実施例1および実施例2に加えて、バックアップ電源22は、商用電源から充電して停電時に備える商用電力充電手段25を設けたことを特徴とするものであり、バックアップ電源の電池交換が不要となると共に、不意に停電が起こったとしてもバックアップ電源切れを起こさず、水量制御手段を確実に閉止駆動して水の供給を停止できるという優れた効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、ガスまたは石油を燃料とした給湯装置において利用できる可能性は高い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例1における給湯装置の全体構成図
【図2】本発明の実施例3における給湯装置の全体構成図
【図3】従来の給湯装置の構成図
【符号の説明】
【0034】
1 出湯蛇口
2 給湯回路
6 流量検知手段
7 水量制御手段
9 リモコン装置
11 湯量設定スイッチ
12 湯温設定スイッチ
13 湯張りスイッチ
14 燃料制御装置
15 燃料弁
19 コントローラ
20 湯張り制御装置
21 停電時閉止手段
22 バックアップ電源
25 商用電力充電手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出湯蛇口の上流側に配設された給湯回路を流れる水の流量の検出と流量の累積値を算出する流量検知手段と、前記給湯回路を流れる水を加熱するバーナと、加熱された湯温を検出する温度検知手段と、前記給湯回路を開閉するとともに前記給湯回路を流れる水量を調整する水量制御手段と、前記水量制御手段の開成動作と閉止動作を含む浴槽への湯張りを指示する湯張りスイッチと湯温設定スイッチと湯量設定スイッチを有する操作手段と、使用者が前記湯張りスイッチを操作して、前記出湯蛇口を開成して給湯回路に通水した後に前記湯温設定スイッチで設定された設定湯温で前記給水量累積手段により計測された累積水量が所定の目標水量に達するまで給湯動作を継続し、前記目標水量に達したときに前記水量制御手段により給湯回路への給水を停止させる湯張り動作を行う湯張り制御手段とを備え、停電時に、前記水量制御手段を閉止して給水を停止させる停電時閉止手段と、停電時に前記停電時閉止手段へ電源を供給するバックアップ電源とを備えたことを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
停電時閉止手段は再通電時に水量制御手段を自動的に開成動作しないことを特徴とする請求項1記載の給湯装置。
【請求項3】
バックアップ電源は、商用電源から充電して停電時に備える商用電力充電手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−101051(P2007−101051A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290947(P2005−290947)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】