説明

給湯装置

【課題】貯湯タンクの湯を安全、かつ手間を要さずに排水することができる給湯装置を提供する。
【解決手段】給湯装置は、温水を貯える貯湯タンク11と、貯湯タンク11内の空気を逃がすためのエア抜き弁23と、貯湯タンクに接続された排水管39を開閉する自動排水弁15と、貯湯水が循環可能なように貯湯タンク11に接続される循環回路12と、貯湯水を循環回路12で強制的に循環させる循環ポンプ13と、貯湯水を自動で排水する自動排水モードを実施するときに自動排水弁15及び循環ポンプ13の作動を制御する制御装置50と、を備える。制御装置50は、自動排水モードの実施時に、循環ポンプ13の作動を制御して貯湯水を循環回路12で循環させてから、その後循環ポンプ13の運転を停止するとともに自動排水弁15を開く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯用の出湯や風呂の湯張りに使用される湯をタンク内に貯湯する給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から知られている給湯装置としては、例えば特許文献1に記載のものがある。この給湯装置は、リゾートマンションの管理人が使用予定の部屋番号の集合制御盤をONにすると給水用の電動弁が開き、タンク内に給水が行われる。貯湯タンク内が満水になると、ヒータへの通電が行われて沸き上げが開始され、沸き上げが完了してから使用者は入室する。使用者が部屋を使用後、当該マンションから帰る際に管理人に連絡すると、管理人がその部屋番号の集合制御盤のスイッチをOFFする。この信号により、一定時間放置してから排水用の電動弁が開き、エア抜き用の吸気弁より外部の空気を吸気することにより、貯湯タンク内部の湯が配水管から排水される。そして、完全に排水された状態で使用者の次回の使用を待つことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2690560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の給湯装置においては、集合制御盤のスイッチがOFFにされると、一定時間放置して湯温を低下させてから、排水用の電動弁及びエア抜き用の電動弁を開き、排水を行う。しかしながら、排水管からの貯湯タンクの湯の放出時に近くにいる人が当該湯に触れてしまった場合に必ずしも安全が確保されているとは限らない。例えば、上記のように一定時間放置してから排水を行った場合でも、人が普通に触れることができるほど湯温が十分に低下しているとは限らず、この場合に、配水管から排水溝に放出された熱い湯が跳ね上がって付近の人の脚等に当たることがある。
【0005】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、貯湯タンクの湯を安全、かつ手間を要さずに排水することができる給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の給湯装置の発明は、水を加熱して温水に沸き上げる加熱手段(10)と、温水を貯える貯湯タンク(11)と、貯湯タンク内の空気を逃がす弁であって貯湯タンク内の貯湯水を排水するときに開放されるエア抜き弁(23)と、貯湯タンクに接続された排水管(39)を開閉する排水弁(15,21)と、貯湯タンク内の貯湯水が循環可能なように貯湯タンクに接続される循環回路(12)と、貯湯タンク内の貯湯水を循環回路で強制的に循環させる駆動手段(13)と、貯湯タンク内の貯湯水を自動で排水する自動排水モードを実施するときに排水弁及び駆動手段の作動を制御する制御装置(50)と、を備え、制御装置は、自動排水モードの実施時に、駆動手段の作動を制御して貯湯水を循環回路で循環させてから、その後駆動手段の運転を停止するとともに排水弁を開くことを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、自動排水モードの実施時に、排水弁を開く前に駆動手段の運転により貯湯水が循環回路を循環するため、貯湯水はタンク内で十分にかき回されるようになる。この攪拌作用により、貯湯水からの放熱が促進されて、確実かつ早急な温度低下がもたらされる。したがって、その後排水されたときに当該温度低下によって人に対する安全性が確保できるとともに手間を要さない自動排水を提供することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明によると、制御装置は、自動排水モード実施時の駆動手段の運転を、貯湯水の温度が所定の条件を満たす温度に低下するまで継続することを特徴とする。この発明によれば、貯湯水の循環による必要な温度低下効果を予め定めた条件によって高精度に確保できるため、安全でかつ効率的な自動排水モードを実現できる。
【0009】
請求項3に記載の発明によると、制御装置は、自動排水モードの実施時に駆動手段の運転を当該運転開始から所定時間が経過すると停止することを特徴とする。この発明によれば、当該駆動手段の運転による貯湯水の循環時間を所定時間で終了するため、貯湯水の必要な温度低下に要する時間に対して無駄の少ない循環時間を設定できることにより、適切な自動排水時間が得られ、効率的な自動排水モードを実施できる。
【0010】
請求項4に記載の発明によると、給湯装置は、貯湯タンクに接続された給水管を開閉する自動止水弁(60)と、貯湯タンクと浴槽(43)とを接続して貯湯タンク内の貯湯水を浴槽に導く風呂用配管(18)を開閉する湯張り電磁弁(25)と、をさらに備え、
エア抜き弁、排水弁、自動止水弁及び湯張り電磁弁の作動は制御装置によって制御されるものであり、制御装置は、自動排水モードの実施時に、貯湯水の温度に応じて(ステップ301の判定処理)、貯湯水を循環回路で循環させる代わりに、エア抜き弁を閉じ、自動止水弁及び湯張り電磁弁を開くように制御して貯湯タンク内に給水するとともに貯湯タンク内の貯湯水を浴槽に送り出すことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、貯湯水の温度に応じて、貯湯タンク内の貯湯水の攪拌を水道水等の給水を使用して行うことができるため、貯湯水の攪拌処理方法に自由度が得られ、貯湯タンクの容量、貯湯水の温度、配管構成等の給湯装置の状況に応じた適切な攪拌処理方法を提供することができる。
【0012】
請求項5に記載の給湯装置の発明は、水を加熱して温水に沸き上げる加熱手段(10)と、温水を貯える貯湯タンク(11)と、貯湯タンク内の空気を逃がす弁であって貯湯タンク内の貯湯水を排水するときに開放されるエア抜き弁(23)と、貯湯タンクに接続された排水管(39)を開閉する排水弁(15,21)と、貯湯タンクに接続された給水管(16)を開閉する自動止水弁(60)と、貯湯タンクと浴槽(43)とを接続して貯湯タンク内の貯湯水を浴槽に導く風呂用配管(18)を開閉する湯張り電磁弁(25)と、貯湯タンク内の貯湯水を自動で排水する自動排水モードを実施するときに、エア抜き弁、排水弁、自動止水弁及び湯張り電磁弁の作動を制御する制御装置(50)と、を備え、
制御装置は、自動排水モードの実施時に、エア抜き弁を閉じ、自動止水弁及び湯張り電磁弁を開くように制御して貯湯タンク内に給水するとともに貯湯タンク内の貯湯水を浴槽に送り出し、その後自動止水弁及び湯張り電磁弁を閉じエア抜き弁を開くように制御し、さらに排水弁を開くことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、自動排水モードの実施時に、排水弁を開く前に、水道水等をタンク内に流入させて貯湯水を冷却しつつ、さらにタンク内の高温の貯湯水が浴槽に流れるため、タンク内の貯湯水は、給水によって温度低下し、給水された分に相当する高温水は浴槽に排出するようになる。このような給水及び浴槽への高温水部分の排出作用により、タンク内には、貯湯水の放熱及び高温水の減少が促進されて、確実かつ早急な温度低下及び安全な排水が得られる。したがって、その後排水されたときに当該温度低下によって人に対する安全性が確保できるとともに手間を要さない自動排水を提供することができる。
【0014】
請求項6に記載の発明によると、貯湯タンク内の貯湯水が循環するように貯湯タンクに接続される循環回路(12)と、貯湯タンク内の貯湯水を循環回路で強制的に循環させる駆動手段(13)と、をさらに備え、制御装置は、請求項5に記載の自動排水モードの実施時における貯湯タンク内への給水及び貯湯水の浴槽への送り出しとともに、駆動手段を運転することにより貯湯水を循環回路で循環し、その後駆動手段の運転を停止することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、自動排水モードの実施時の排水弁開放前に、さらに駆動手段の運転により貯湯水が循環回路を循環するため、貯湯水はタンク内で十分にかき回されるようになる。この攪拌作用により、さらなる貯湯水からの放熱が促進されて一層の温度低下がもたらされる。
【0016】
請求項7に記載の発明によると、制御装置は、自動排水モードの実施時に排水弁を開いて排水を行うときに、貯湯タンクから給湯端末及び浴槽(43)に至る各配管(14,18)の途中に設けられる各種の弁装置(22,24,25,41)を開くように制御することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、貯湯タンクから給湯端末及び浴槽に至る各配管の滞留水は排水管から排出される貯湯水により吸引されるので、開放された各種の弁装置を通過して排水管から外部に流出するようになる。これにより、当該各配管の残留水の発生を抑制でき、腐食等による汚水の発生、配管等の腐食を低減することができる。
【0018】
請求項8に記載の発明によると、給湯装置は、貯湯タンクから浴槽に至る風呂用配管(18)の途中に設けられ当該配管内の水を駆動させるための風呂用駆動手段(27)をさらに備え、制御装置は、自動排水モードの実施時に排水を行うときに、上記各種の弁装置を開くように制御するとともに、風呂用駆動手段を駆動するように制御することを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、貯湯タンクから浴槽に至る風呂用配管の滞留水が排水管から排出される貯湯水によって吸引されないような位置にある場合でも、当該滞留水は風呂用駆動手段による吸引作用により、開放された各種の弁装置を通過して浴槽に流出するようになる。これにより、風呂用配管の残留水の発生を抑制でき、腐食等による汚水の発生、配管等の腐食を低減することができる。
【0020】
請求項9に記載の発明によると、制御装置は、自動排水モードの実施時に排水弁を開いてから所定の排水時間が経過すると、排水弁を閉じるように制御することを特徴とする。この発明によれば、使用されている給湯装置に応じて適切な排水時間を設定することが可能であり、このような排水時間の設定により、無駄に排水時間を要することのない効率的な自動排水モードを提供できる。
【0021】
請求項10に記載の発明によると、制御装置は、自動排水モードの実施時、まず貯湯水が所定の高温条件を満たすほど高温であると判断した場合には、自動排水に移行する処理を行わず、この状態の旨を報知又は表示することを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、排水処理を敢えて行わないことにより、安全面や運転効率面を重視した自動排水モードを提供できる。特に貯湯水の攪拌等により温度低下を図るには時間を要する場合や、当該温度低下を図っても安全が確保できる温度にはならない場合には、ユーザーの使い勝手に配慮した有用な自動排水モードが得られる。
【0023】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態に係る給湯装置の構成を示した模式図である。
【図2】第1実施形態の給湯装置の制御に係る構成を示したブロック図である。
【図3】自動排水モードが実行されたときの処理の流れを説明するためのメインフローチャートである。
【図4】図3に示すメインフローチャートにおける排水準備制御の処理を示すサブルーチンである。
【図5】図3に示すメインフローチャートにおける排水制御の処理を示すサブルーチンである。
【図6】図3に示すメインフローチャートにおける排水準備制御及び排水制御の処理を説明するためのタイムチャートである。
【図7】第2実施形態に係る給湯装置の構成を示した模式図である。
【図8】第2実施形態の給湯装置に係る排水準備制御の処理を示すサブルーチンである。
【図9】図8に示す排水準備制御のフローにおける風呂側排水制御の処理を示すサブルーチンである。
【図10】第3実施形態に係る排水準備制御の処理を示すサブルーチンである。
【図11】第4実施形態に係る排水準備制御の処理を示すサブルーチンである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0026】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態である第1実施形態について図1〜図6を用いて説明する。図1は本実施形態の給湯装置の構成を示した模式図である。図2は給湯装置における制御の構成を示すブロック図である。図1に示すように、給湯装置は、水を加熱して温水に沸き上げる加熱手段としてのヒートポンプユニット10と、ヒートポンプユニット10によって加熱された水を貯える貯湯タンク11、配管、駆動手段、各種弁等の機能部品を含むタンクユニットと、を備えている。給湯装置の制御部は、風呂リモコン30または台所リモコン40から送信される命令信号を受信して給湯装置全体のシステムを制御する制御装置50によって構成されている。タンクユニットとヒートポンプユニット10は、設置現場において一体化または離間して設置可能なように構成されている。
【0027】
ヒートポンプユニット10は、少なくとも圧縮機1、加熱用熱交換器である水・冷媒熱交換器2、減圧装置3、蒸発器4、及び気液分離器7の冷凍サイクル機能部品が配管で環状に接続されることにより形成されている。さらに、蒸発器4の近傍には、蒸発器に対して強制風を提供する送風機5が設けられ、蒸発器4による強制風の温度(外気温度)を検出する温度センサ6が設けられている。ヒートポンプユニット10は、本実施形態では冷媒として臨界温度の低い二酸化炭素を使用することにより、高圧側の冷媒圧力が冷媒の臨界圧以上になる超臨界ヒートポンプサイクルを構成する。
【0028】
ヒートポンプサイクルを超臨界ヒートポンプサイクルで構成した場合、一般的なヒートポンプサイクルよりも高温、例えば、85℃〜90℃程度の湯を貯湯タンク11内に蓄えることができる。ヒートポンプユニット10は制御装置50からの制御信号により作動するとともに、その作動状態を制御装置50に出力するように構成されている。ヒートポンプユニット10は、料金設定の安価な深夜時間帯の深夜電力を利用して貯湯タンク11内の湯を沸き上げる沸き上げ運転、及び深夜時間帯以外の時間帯に後述する制御仕様に基づいた沸き上げ運転を行う。
【0029】
制御装置50は、風呂リモコン30、台所リモコン40、水温サーミスタ31,32、給水温サーミスタ33、給湯温サーミスタ34、タンク水温サーミスタ35a〜35e、風呂循環温度サーミスタ36、追焚温度サーミスタ37、水位センサ28、流水スイッチ42、及び流量カウンタ26,46等からの各種信号を受信する。そして後述する手順にしたがって循環ポンプ13、自動排水弁15、給湯用混合弁22、エア抜き弁23、風呂用混合弁24、湯張り電磁弁25、風呂用三方弁41、及び風呂用循環ポンプ27等の制御と、ヒートポンプユニット10の制御と、を実施できるようになっている。制御装置50は、風呂リモコン30または台所リモコン40で命令された給湯運転情報を受信し、温度センサ6、水・冷媒熱交換器2入口の水温サーミスタ31、水・冷媒熱交換器2出口の水温サーミスタ32等からの温度情報に基づいてヒートポンプユニット10が沸き上げる湯の温度(以下、湯の温度を湯温と称する)が目標とする値となるようにヒートポンプユニット10に含まれる可変式の減圧装置3の開度や圧縮機1の吐出容量等を制御する。
【0030】
風呂リモコン30及び台所リモコン40は、ユーザーが給湯装置を使用するときに操作する操作パネルであり、各操作スイッチと、給湯装置の動作状態や設定状態を表示する表示部30a,40aとを備えている。風呂リモコン30は入浴者が浴室内で使用するために浴室の壁面に設置されており、台所リモコン40は浴室から離れたキッチン等の湯を使用する場所の壁面に設置される遠隔操作パネルである。
【0031】
貯湯タンク11は耐食性に優れた金属製、例えばステンレス製の容器であり、外周部に図示しない断熱材が取り付けられており、給湯用の湯を長時間に渡って保温することができるようになっている。貯湯タンク11は本実施形態では容量185Lのタンクを採用している。貯湯タンク11は縦長形状であり、その底面には導入口が設けられ、この導入口には貯湯タンク11内に水道水を導入する給水経路である導入管17が接続されている。導入管17は水道水を導入するための給水管16から分岐した配管である。導入口の上流側には、給水温サーミスタ33及び流量カウンタ(図示せず)が設けられ、この温度信号及び流量信号は制御装置50に出力される。また、導入口の上流側には、導入管17を流れてくる水道水の水圧を所定圧に減圧する減圧弁(図示せず)が設けられている。さらに導入管17に接続された排水管39には、排水管39を開閉可能とする自動排水弁15と手動排水弁21が設けられている。
【0032】
貯湯タンク11の外壁面には、複数のタンク水温サーミスタが設けられ、タンク上部から下部に向けて順に、タンク水温サーミスタ35a,35b,35c,35d,35eが並んで配置されている。タンク水温サーミスタ35a〜35eは、タンク内最上部から貯まる水量が上部から順に20L,50L,90L,130L,165Lとなるように配置されており、貯湯タンク11内上部に満たされた水の各水位レベルでの温度情報(Th20〜Th165)を制御装置50に出力するように構成されている。このタンク水温サーミスタ35a〜35eから送信される温度情報に基づいて、貯湯タンク11内上方の沸き上げられた温水とタンク内下方の沸き上げられる前の水との温度境界位置を検出することができる。例えば、あるタンク水温サーミスタの検出温度が貯湯熱量として使用できる所定温度(例えば50℃)を超えていた場合は、タンク内最上部からそのタンク水温サーミスタの位置までは給湯に使用できる湯が貯まっていることになる。
【0033】
貯湯タンク11の上部には、貯湯タンク11内の空気を外部に逃がすためにエア抜き弁23が設けられている。制御装置50は、エア抜き弁23を開くことにより貯湯タンク11内の過圧分を逃がして、貯湯水を開放した自動排水弁15,21から流出するようにする。
【0034】
貯湯タンク11の下面には、タンク内の水を吸い出すための流出口が設けられ、貯湯タンク11の上面にはヒートポンプユニット10によって沸き上げた高温の湯をタンク内に流入させる流入口が設けられている。流出口と流入口は貯湯タンク11の下部と上部を連絡する配管によって形成される循環回路12により連通するようになっている。ヒートポンプユニット10内に配置された加熱手段は、水・冷媒熱交換器2である。水・冷媒熱交換器2の水通路2bは循環回路12の一部を構成している。
【0035】
循環回路12は、ヒートポンプユニット10の水通路2bよりも上流側に設けられ、チ貯湯タンク11内の貯湯水を循環回路12で強制的に循環させる駆動手段としての循環ポンプ13を備えている。循環ポンプ13は、ヒートポンプユニット10が沸き上げる湯温が目標とする値となるように制御装置50によって回転数が制御される。循環回路12の水・冷媒熱交換器2よりも上流側には、水・冷媒熱交換器2に流入する水の温度を検出する水温サーミスタ31が設けられ、循環回路12の水・冷媒熱交換器2よりも下流側には、水・冷媒熱交換器2を通過した水の温度を検出する水温サーミスタ32が設けられている。
【0036】
さらに、循環回路12には、ヒートポンプユニット10の水通路2bを流出した水を貯湯タンク11上部の流入口に戻すか、貯湯タンク11の下部に戻すかを切り換える切換弁38が設けられている。制御装置50が貯湯タンク11の上部側を開くように切換弁38の開き通路を制御すると貯湯タンク11下部の流出口から流出した貯湯水は貯湯タンク11上部の流入口からタンク内に戻され、貯湯タンク11の下部側を開くように切換弁38の開き通路を制御すると貯湯タンク11下部の流出口から流出した貯湯水はヒートポンプユニット10の水通路2bを経て貯湯タンク11の下部にからタンク内に戻される。
【0037】
水・冷媒熱交換器2は、流出口から吸入した水通路2bを流れる貯湯タンク11内の水を、冷媒通路2aを流れる高温冷媒との熱交換によって加熱した後、タンク上部側に開放した切換弁38を経て流入口から貯湯タンク11内に戻すことにより、貯湯タンク11内に上部から下部に向けた高温湯の層を形成することができる。
【0038】
貯湯タンク11の上部には上部導出口が設けられている。この上部導出口は貯湯タンク11内の湯を導出するための給湯経路である給湯配管14に接続されている。給湯配管14は、手洗い栓、シャワー、浴槽等の給湯端末と上部導出口とを接続する配管である。給湯配管14には風呂用配管18が接続されている。給湯配管14には、風呂用配管18との接続部よりもさらに下流に給湯用混合弁22が設けられている。給湯用混合弁22は給湯端末に送る温水の温度を例えば設定温度等の適温状態にするために、給湯配管14を流れる温水の量と給水管16から分岐した配管を介して供給される水の量との比率を制御して温水と水を混合させるものである。給湯用混合弁22の出口側の配管には給湯水の温度を検出する給湯温サーミスタ34及び流量を検出する流量カウンタ46が設けられている。給湯用混合弁22は、給湯温サーミスタ34及び流量カウンタ46により検出された情報を用いて制御装置50によってその開度がフィードバック制御される。
【0039】
風呂用配管18は、その上流端が給湯配管14に接続され、その下流端が浴槽流出配管45と浴槽流入配管44とからなる循環回路との接続部29に繋がれ、浴槽43内に湯張り、差し湯、たし湯などを行うときに、所定温度に温度調節された給湯水を導く配管である。風呂用配管18の流路の中途には、温度調節手段である風呂用混合弁24、湯張り電磁弁25、流量カウンタ26、及び逆止弁(図示せず)が設けられ、接続部29に湯張りする湯の温度を検出できる風呂循環温度サーミスタ36が設けられている。
【0040】
風呂用混合弁24は、給水管16を流通する水と給湯配管14から分流してきた湯との混合量を制御することにより風呂に出湯する給湯用水の湯温を調節する温度調節弁である。風呂用混合弁24は、それぞれの流路の開口面積比、つまり、当該湯側の開度と当該水側の開度の比率を調節することによって、出湯する湯温を設定温度に調節する。風呂用混合弁24は、制御装置50に電気的に接続されており、給水温サーミスタ33、風呂循環温度サーミスタ36より検出される温度情報に基づいてその開度がフィードバック制御される。
【0041】
湯張り電磁弁25は、風呂用配管18の流路を開閉する弁であり、浴槽43内に浴水を湯張り、差し湯、たし湯などを行うとき、及び自動排水モードの実施時に貯湯タンク11内の貯湯水を浴槽43に流出させるときに制御装置50によって制御される。また、流量カウンタ26が風呂用配管18内の水の流れを検出したときは、湯張り電磁弁25が開弁されて浴槽43内に出湯している状態である。
【0042】
浴槽流入配管44とともに循環回路を構成する浴槽流出配管45には、上流側、つまり浴槽43に近い側から順に、追焚温度サーミスタ37、風呂用三方弁41が設けられている。浴槽流出配管45と浴槽流入配管44との連結部は、追焚用循環回路19との連結部でもあり、風呂用三方弁41によって流路の切替えがなされる。浴槽流入配管44には、風呂用三方弁41から浴槽43に向かって順に、流水スイッチ42、風呂循環温度サーミスタ36、風呂用循環ポンプ27、水位センサ28が設けられている。
【0043】
水位センサ28は、浴槽43内に湯張りされた浴水の湯量、言い換えれば浴槽43内の水位レベルを求めるための水圧を検出するセンサである。風呂用三方弁41は浴槽流入配管44と浴槽流出配管45とを接続するように流路をつなげるか、浴槽流入配管44と追焚用循環回路19とを接続するように流路をつなげるかを切替えることができる流路切替弁である。追焚温度サーミスタ37は、追い焚き運転時等に浴槽流出配管45を流通する浴水の湯温を検出する水温センサである。
【0044】
流水スイッチ42は風呂用循環ポンプ27が駆動することにより循環回路内を循環する浴水を検知する流水センサであり、制御装置50がスイッチのON時間によって浴槽43内の浴水の有無を判断するために用いられる。風呂用循環ポンプ27は浴槽43内の浴水を循環回路内で強制的に循環させる電動ポンプである。風呂循環温度サーミスタ36は、湯張り運転時に浴槽流入配管44を流通する浴水の湯温を検出する水温センサであり、浴槽内に戻される浴水の温度を検出する。湯張り後に浴槽43内の浴水の温度を検出するときは、湯張り電磁弁25を閉じるとともに、風呂用循環ポンプ27を作動させる。そして、浴槽43内の浴水は浴槽流出配管45、浴槽流入配管44、浴槽43内の順に循環されながら風呂循環温度サーミスタ36によって浴水の湯温が検出されることになる。
【0045】
浴槽43に湯張りを行うときは、制御装置50は、湯張り電磁弁25を開き、風呂用混合弁24によって所定温度に調節された湯を接続部29から浴槽流入配管44に流入させ、設定湯量になるまで浴槽43内に取り込む。追い焚き運転を行うときは、制御装置50は、湯張り電磁弁25を閉じ、浴槽流入配管44と追焚用循環回路19とを接続するように風呂用三方弁41を制御するとともに、風呂用循環ポンプ27を作動させる。そして、浴槽43内の浴水は、風呂用循環ポンプ27の吸引力によって浴槽流出配管45を通って追焚用循環回路19に流入し、貯湯タンク11内に向けて流れ、貯湯タンク11内上部に設けられた熱交換部20でタンク内の高温水と熱交換される。熱交換部20で熱交換して加熱された浴水は、追焚用循環回路19を浴槽43に向かって流れ、風呂用三方弁41によって接続された浴槽流入配管44に流入し、浴槽43内に戻る。追焚運転中は、浴水がこのように追焚用循環回路19を循環しながら熱交換部20で加熱され、追焚温度サーミスタ37により検出された温度が設定温度になるまで温められる。
【0046】
次に、上記構成の給湯装置で実施される自動排水モードについて図3〜図6を参照しながら説明する。自動排水モードは、給湯装置を長時間にわたって使用しない場合、例えば、ユーザーの長期旅行、住居者の転居等、そのまま貯湯水を放置しておくと腐食等の可能性があるときに一旦排水して貯湯タンクを空の状態にするためのモードである。本願の当該自動排水モードは、従来のように手動で行われる排水に係る操作、例えば、エア抜き弁の手動開放、排水弁のカバーの着脱、手動排水弁の開放及び閉止等の手作業を必要とせず、また高温の貯湯水が排出されてしまうことによる危険を回避して安全性を確保するものである。
【0047】
自動排水モードは、制御装置50によって貯湯タンク11内の貯湯水を外部に排出する指令が出されたときに実行されるモードである。例えばユーザーが自動排水モードを実行するために風呂リモコン30、台所リモコン40またはタンクユニットに設けられた所定のスイッチを操作することにより、制御装置50に信号が送られて制御装置50によって当該モードの制御がなされる状態になる。
【0048】
図3は、自動排水モードが実行されたときの処理の流れを説明するためのメインフローチャートである。上記のように制御装置50に自動排水モードの実施指令が送られると、図3のメインフローチャートがスタートする。制御装置50は、まずステップ100で、自動排水指令があったことをユーザーに知らせるために排水用LEDを点灯する。次に、給湯装置としての各種機能を強制的に停止する処理を実行する(ステップ200)。そして、ステップ300の排水準備制御を実行して自動排水のために必要な準備が完了すると、ステップ400で自動排水弁15を開状態に制御するとともに、排水時間のカウントを開始する。次に、ステップ500で自動排水開始後の各種機能部品の作動を制御する排水制御を実行し、排水の完了条件が満たされるとステップ600で、上記の排水用LEDを消灯するとともに、自動排水弁15を閉止状態に制御し、自動排水モードを終了する。なお、ステップ400で自動排水弁15を開状態にして排水するときには、貯湯タンク11への給水を制限する止水弁は閉状態になっているものである。当該止水弁が手動で開閉される形態の場合は排水前に人によって閉状態に操作され、自動で開閉する形態の場合は排水前に制御装置50によって開状態に制御されることになる。
【0049】
以下に、ステップ300の排水準備制御のサブルーチン及びステップ500の排水制御のサブルーチンを図4、図5にしたがって順に説明する。図4は、排水準備制御の処理(ステップ300)を示すサブルーチンである。図5は、排水制御の処理(ステップ500)を示すサブルーチンである。
【0050】
図4に示すように、排水準備制御がスタートすると、ステップ301で、タンク水温サーミスタ35aの検出温度Th20が80℃以上でかつタンク水温サーミスタ35eの検出温度Th165が40℃以上であるか否かを判定する。このステップ301での判定条件は請求項10の「所定の高温条件」に相当する。ステップ301でYESと判定された場合は、貯湯タンク11の上部が80℃以上の高温水で満たされ、かつ下部も40℃以上の比較的高い温度の温水が溜まっていることになる。このときには貯湯タンク11内の貯湯水が高温であるため、自動排水に移行する処理を実施せず、この状態をユーザーに知らせるため、風呂リモコン30の表示部30a及び台所リモコン40の表示部40aの排水用LEDを点滅させて高温状態であることを表示する(ステップ310)。この点滅状態は、ステップ301でNOと判定されるまで継続する。なお、ステップ310の排水用LEDの点滅表示は、音声等による報知で行ってもよい。
【0051】
一方、ステップ301でNOと判定されると、自動排水に移行する処理を実施することをユーザーに知らせるため、上記の排水用LEDを点灯させて自動排水実施可能状態であることを表示する(ステップ330)。この場合も音声等による報知によってユーザーに知らしめてもよい。次に、ステップ340で、タンク水温サーミスタ35a〜35eの検出温度Th20〜Th165のいずれか一つでも60℃以上であるか否かを判定する。検出温度Th20〜Th165のうちの一つでも60℃以上である場合は、貯湯水の温度を下げる必要があるため、ステップ350で切換弁38の開き通路をタンク上部側に制御するとともに、循環ポンプ13を運転する処理を実施する。この処理により、貯湯タンク11内の貯湯水は、タンク下部から循環回路12に流出し、水・冷媒熱交換器2の水通路2bを経てタンク上部に戻されて循環回路12を循環するため、貯湯水はタンク内で大きく攪拌されることで放熱して温度が低下していくようになる。当該貯湯水の循環及び攪拌は、ステップ360の判定により循環ポンプ13の運転開始から少なくとも15分継続される。
【0052】
当該循環及び攪拌が15分以上経過すると、再びステップ340に移行し、検出温度Th20〜Th165のいずれか一つでも60℃以上であるか否かが判定され、すべての当該検出温度が60℃未満と判定されると、循環ポンプ13の運転を停止し、ステップ370に移行する。このステップ340での判定条件は請求項2の「貯湯水の温度が所定の条件を満たす温度に低下するまで継続すること」に相当するものである。ステップ370では、自動排水弁15を開状態にする前の準備として、エア抜き弁23を開放状態に、風呂用三方弁41の開き通路を追焚き側(追焚用循環回路19側を開く状態)に、風呂用混合弁24の風呂側の通路を30%開放状態に、切換弁38の開き通路をタンク上部側に、給湯用混合弁22の給湯端末側の通路を30%開放状態に、湯張り電磁弁25を開放状態に、それぞれ制御し、排水準備制御ルーチンを終了する。
【0053】
次に図5に示すように、制御装置50は、排水制御がスタートすると、ステップ400で自動排水弁15が開状態に制御されてから41分が経過したか否かを判定する(ステップ501)。ステップ501で41分が経過したと判定すると、ステップ510で風呂用循環ポンプ27を運転する。この風呂用循環ポンプ27の運転により、先のステップ370でそれぞれ開放された風呂用三方弁41、風呂用混合弁24及び湯張り電磁弁25を通って風呂用配管18内や各種弁等の機能部品における残留水は浴槽43に排水されるようになる。
【0054】
さらにステップ400の自動排水弁15の開状態から44分が経過したか否かを判定する(ステップ520)。ステップ520で44分が経過したと判定すると、ステップ530で循環ポンプ13を運転する。この循環ポンプ13の運転は、ステップ540の判定処理によって1分間継続される。当該風呂用循環ポンプ27の運転により、先のステップ370で開き通路をタンク上部側に設定された切換弁38を通って循環回路12内の残留水は貯湯タンク11に流入し、さらにタンク下部から開放された自動排水弁15を経て外部に排水されるようになる。さらにステップ550で、自動排水弁15の開状態から45分が経過したか否かを判定し、45分の経過が確認されれば、排水制御ルーチンを終了する。この後、ステップ600で自動排水弁15を閉状態に制御するため、自動排水弁15は開状態に設定されてから45分経過すると閉じられ、自動排水モードが終了することになる。
【0055】
以上の自動排水モードの流れ視覚的に示したものが、図6のタイムチャートである。図6に示すように、横軸の時間0分で、循環ポンプ13の運転が開始され、当該運転は約30分で終了する。この貯湯タンク11内の攪拌時間の間に、タンク水温サーミスタ35a〜35eの各検出温度は均一化するように低下していく。そして、約30分で自動排水弁15が開状態になり、排水が開始される。このとき、エア抜き弁23は開放されており、給湯用混合弁22、湯張り電磁弁25、風呂用混合弁24及び風呂用三方弁41は開状態であり、風呂用循環ポンプ27は停止したままである。この排水時間は75分までの約45分間実施される。エア抜き弁23、給湯用混合弁22、湯張り電磁弁25、風呂用混合弁24及び風呂用三方弁41の開状態は、75分までの約45分間継続され、風呂用循環ポンプ27は排水開始から41分(横軸の時間71分)で運転開始し、75分の排水完了とともに運転終了する。さらに循環ポンプ13は排水開始から44分(横軸の時間74分)で運転再開し、約1分間後の75分の排水完了とともに運転終了する。
【0056】
なお、ステップ360の「15分」、ステップ501の「41分」、ステップ520の「44分」、ステップ504の「1分」、ステップ550の「45分」は、あくまで一例であり、それぞれ、同様の作用効果が期待できる任意の予め設定された時間であれば他の時間であってもよい。
【0057】
以下に、本実施形態の給湯装置がもたらす作用効果について説明する。給湯装置は、温水を貯える貯湯タンク11と、貯湯タンク11内の空気を逃がすためのエア抜き弁23と、貯湯タンクに接続された排水管を開閉する自動排水弁15と、貯湯水が循環可能なように貯湯タンク11に接続される循環回路12と、貯湯水を循環回路12で強制的に循環させる循環ポンプ13と、貯湯水を自動で排水する自動排水モードを実施するときに自動排水弁15及び循環ポンプ13の作動を制御する制御装置50と、を備える。制御装置50は、自動排水モードの実施時に、循環ポンプ13の作動を制御して貯湯水を循環回路12で循環させてから(ステップ350,360,340)、その後循環ポンプ13の運転を停止するとともに自動排水弁15を開くように制御する(ステップ400)。
【0058】
これによれば、自動排水モードの実施時に、自動排水弁15を開く前に循環ポンプ13の運転により貯湯水が循環回路12を循環するため、貯湯水は貯湯タンク11内で十分にかき回されるようになる。この攪拌作用により、貯湯水からの放熱が促進されて、確実かつ早急な温度低下がもたらされる。したがって、その後排水されたときに当該温度低下によって人に対する安全性が確保できるとともに手間を要さない自動排水モードを提供できる。
【0059】
また、本実施形態の給湯装置によれば、従来のユーザー等が手作業で実施していた排水作業に対して、排水弁操作、排水弁カバーの着脱が不要であるため、排水弁の開け忘れ及び閉め忘れ、その他の誤操作を防止することができる。また、貯湯水の温度調節、排水動作が、自動排水モードを設定することで人の手を煩わせることなく進行するので、利便性が格段に向上する。
【0060】
また、制御装置50は、自動排水モード実施時の循環ポンプ13の運転を、貯湯水の温度が所定の条件を満たす温度に低下するまで継続する(ステップ340)。これによれば、貯湯水の循環・攪拌による必要な温度低下効果をステップ340のように予め定めた条件によって確保することができる。したがって、従来の排水運転とは異なり、飛散等による危険性を低減できる安全な自動排水モードを提供でき、さらにタンク内に蓄えられた熱量に応じた効率的な自動排水モードが得られる。
【0061】
また、制御装置50は、自動排水モードの実施時に自動排水弁15を開いて排水を行うときに、貯湯タンク11から給湯端末及び浴槽43に至る給湯配管14、風呂用配管18の途中に設けられる各種の弁装置22,24,25,41を開くように制御する(ステップ370)。これによれば、貯湯タンク11から給湯端末及び浴槽43に至る各配管の滞留水は、排水管39から排出される貯湯水により吸引されるので、開放された上記弁装置を通過して排水管39から外部に流出するようになる。これにより、給湯配管14、風呂用配管18の残留水の発生を抑制できるため、腐食等による汚水の発生及び配管等の腐食を低減できる。
【0062】
また、給湯装置は、貯湯タンク11から浴槽43に至る風呂用配管18の途中に設けられ風呂用配管18内の水を駆動させるための風呂用循環ポンプ27を備える。制御装置50は、自動排水モードの実施時に排水を行うときに、各種の弁装置24,25,41を開くように制御するとともに(ステップ370)、風呂用循環ポンプ27を駆動するように制御する(ステップ510)。
【0063】
これによれば、貯湯タンク11から浴槽43に至る風呂用配管18の滞留水が、例えば配管の高低差等のため、排水管39から排出される貯湯水によって吸引されないような位置にある場合でも、当該滞留水は風呂用循環ポンプ27によって吸引されるため、開放された各種の弁装置24,25,41を通過して浴槽43に流出する。これにより、排水管39からの排水による吸引作用が得られないときでも、風呂用配管18の残留水の発生を抑制でき、腐食等による汚水の発生、配管等の腐食を低減することができる。
【0064】
また、制御装置50は、自動排水モードの実施時に排水弁を開いてから所定の排水時間が経過すると、自動排水弁15を閉じるように制御する(ステップ550)。これによれば、給湯装置の大きさ、能力に応じて、適切な排水時間を設定することが可能であり、このような排水時間の設定により、無駄に排水時間を要することのない効率的な自動排水モードが得られる。
【0065】
また、制御装置50は、自動排水モードの実施時に、貯湯水が所定の高温条件(ステップ301)を満たすほど高温であると判断した場合には、自動排水に移行する処理を行わず、この状態の旨を報知又は表示する(ステップ310)。これによれば、上記の攪拌制御等により貯湯水の温度低下を図るには時間がかかり過ぎる場合や、当該温度低下を図っても安全が確保できる排水可能な温度にはならない場合には、排水処理を行わずとうがい状況をユーザーに知らせることにより、安全面や運転効率面を重視した自動排水モードを提供できる。また、このような排水禁止の判断がなされた場合でも、ユーザーは当該状況を熟知した上で、ユーザー等の希望により手動排水弁21を開操作することで排水を実施することもできる。
【0066】
(第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態の給湯装置に対して給水管16を開閉する止水弁を自動止水弁60とした給湯装置したものであり、この構成に伴い、ステップ300の排水準備制御は図8及び図9に示すフローに変更するものである。図7は第2実施形態の給湯装置の構成を示した模式図である。図8は第2実施形態に係る排水準備制御の処理を示すサブルーチンである。図9は排水準備制御のフローにおける風呂側排水制御の処理を示すサブルーチンである。図8において図1と同様の符号を付した各部は、第1実施形態の説明と同様の構成部品であり、同様の作用効果を奏するものである。図8に示すように、自動止水弁60は制御装置50によってその作動が制御されるものであり、さらに第2実施形態の給湯装置における制御に係る構成は、図2と同様である。
【0067】
図8に示すように、本実施形態に係る排水準備制御は、第1実施形態の排水準備制御に対して、ステップ310の排水用LEDの点滅表示の後、ステップ320の風呂側供給制御を実行し、その後ステップ370に移行するものである。この風呂側供給制御がスタートすると、図9に示すように、制御装置50は、ステップ321でエア抜き弁23を閉状態に、自動止水弁60を開状態にそれぞれ制御する。次に、ステップ322で湯張り電磁弁25を開状態に制御する。ステップ321,322の処理により、水道水は開放された自動止水弁60を通過して導入管17内を流れて貯湯タンク11下部からタンク内に流入する。貯湯タンク11の貯湯水は流入した水道水によって冷却されて温度低下し、高温の部分がタンク上部から給湯配管14に押し出され、さらに開放された湯張り電磁弁25を通過して風呂用配管18を流下し、浴槽43に流出する。なお、このとき給湯端末は閉じられているため、給湯配管14を流れる貯湯水は給湯端末へは流れない。
【0068】
さらに、制御装置50は、上記自動排水モードの実施時における貯湯タンク11内への給水及び貯湯水の浴槽43への排出とともに、循環ポンプ13を運転することが好ましい。その後の自動排水弁15の開放前には、循環ポンプ13の運転を停止する。この循環ポンプ13の運転により、貯湯水を循環回路12で循環するため、上記給水等による温度低下に加え、タンク内がかき回されてさらなる冷却効果を獲得することができる。
【0069】
このようにタンク内に水道水が供給されてタンク内が冷却されるとともに、給水によってタンク内の高温の貯湯水が風呂側に排水されることにより、タンク内は温度低下するようになる。この貯湯水の温度低下の制御は、タンク内温度が排水可能と判断される所定の温度条件になるまで継続するものである。そこで、次にステップ323でタンク水温サーミスタ35a〜35eの検出温度Th20〜Th165のいずれか一つでも60℃以上であるか否かを判定する。ステップ323でTh20〜Th165のすべてが60℃未満であると判定すると、ステップ324で、エア抜き弁23を開状態に、自動止水弁60を閉状態に、湯張り電磁弁25を閉状態にそれぞれ制御して、水道水のタンク内への流入及び浴槽43への排水(風呂側供給制御ルーチン)が終了する。なお、本実施形態の場合には、ステップ310での排水用LEDの点滅表示は、風呂側への排水及び貯湯水の温度低下の制御が実施されていることを知らせるものであり、その後のステップ400においては、排水用LEDを点灯させて自動排水実施可能状態であることを表示する。
【0070】
以上のように、ステップ301で貯湯水の温度が非常に高温である場合には、循環ポンプ13の駆動による循環回路12での貯湯水の循環ではなく、水道水のタンク内への供給を活用したタンク内の冷却を実施し、確実かつ早期に排水処理に移行する制御を実施する。
【0071】
このように本実施形態の給湯装置では、制御装置50によってエア抜き弁23及び自動止水弁60の作動が制御される。そして、制御装置50は、自動排水モードの実施時に、エア抜き弁23を閉じ、自動止水弁60及び湯張り電磁弁25を開くように制御して(ステップ321,322)貯湯タンク11内に給水するとともに貯湯タンク11内の貯湯水を浴槽43に送り出し、その後自動止水弁60及び湯張り電磁弁25を閉じ、エア抜き弁23及び自動排水弁15を開くように制御する(ステップ324)。このような処理を経て、ステップ500の排水制御が実施されるものである。
【0072】
これによれば、自動排水モードの実施時に、自動排水弁15を開く前に、水道水等の給水を貯湯タンク11内に流入させて貯湯水を冷却しつつタンク内の高温水を浴槽43に排出する。このため、貯湯水は、給水による温度低下と貯湯タンク11内の高温水の減少によるタンクの熱量低下の両方を享受するようになる。このような給水及び熱量低下作用により、貯湯水からの放熱が促進されて確実かつ早期の温度低下が図れる。したがって、その後、排水されたときに当該温度低下によって人に対する安全性が十分に確保でき、かつ排水工程でユーザー等の手間を要さない自動排水モードが得られる。
【0073】
また、制御装置50は、自動排水モードの実施時に、ステップ301の判定処理のように貯湯水の温度に応じて、貯湯水を循環回路12で循環させる代わりに、エア抜き弁23を閉じ、自動止水弁60及び湯張り電磁弁25を開くように制御する(ステップ320)。これにより、貯湯タンク11内に給水するとともに貯湯タンク11内の貯湯水を浴槽に送り出す。
【0074】
これによれば、貯湯水の温度に応じて、貯湯タンク11内の貯湯水の攪拌を水道水等の給水を使用して行うことができるため、貯湯水の攪拌処理方法に自由度が得られる。したがって、貯湯タンク11の容量、貯湯水の温度、配管構成等の給湯装置の状況に応じた適切な攪拌処理方法を選択することが可能になる。また、冬期では給水温度は一般に低温であるため、給水による温度低下効果は格別である。したがって、安全性の確保と早期の排水動作への移行が期待できる自動排水モードを提供できる。
【0075】
さらに、制御装置50は、上記の自動排水モードの実施時における貯湯タンク11内への給水及び貯湯水の浴槽43への送り出しとともに、循環ポンプ13を運転することにより貯湯水を循環回路12で循環し、その後、排水前に循環ポンプ13の運転を停止する。
【0076】
これによれば、自動排水モードの実施時の排水弁15の開放前に、さらに循環ポンプ13の運転により貯湯水が循環回路12を循環するため、貯湯水はタンク内で十分にかき回されるようになる。この攪拌作用が加わることにより、さらなる貯湯水からの放熱が促進されて一層の温度低下が得られる。
【0077】
(第3実施形態)
第3実施形態では、第1実施形態の排水準備制御の第一の他の例について図10を参照して説明する。第3実施形態は、排水準備制御のみが第1実施形態と異なるものである。図10は本実施形態の排水準備制御を示すサブルーチンである。図10において図4と同様の符号を付したステップは、第1実施形態の説明と同様であり、同様の作用効果を奏するものである。
【0078】
図10に示すように、本実施形態に係る排水準備制御は、第1実施形態の排水準備制御に対して、ステップ340の判定処理でYESと判定されると、ステップ345の判定処理を実行する点が異なっている。
【0079】
ステップ340で検出温度Th20〜Th165のうちの一つでも60℃以上であると判定した場合は、循環ポンプ13の運転開始から15分経過のカウント数が2回以上であるか否かを判定する(ステップ345)が、まだ循環ポンプ13は運転開始されていないため、カウント数は0回であるからステップ350に移行し、切換弁38の開き通路をタンク上部側に制御するとともに、循環ポンプ13を運転する処理を実施する。この処理により、貯湯タンク11内の貯湯水は、タンク下部から循環回路12に流出し、水・冷媒熱交換器2の水通路2bを経てタンク上部に戻されて循環回路12を循環するため、貯湯水はタンク内で大きく攪拌されることで放熱して温度が低下していくようになる。次にステップ360で循環ポンプ13の運転開始から15分経過したか否かを判定する。15分経過していれば、次にステップ345に進み、15分経過の回数が2回以上であるか否かを判定する。1回であれば、ステップ350に進み、貯湯水の循環を継続するが、2回カウントされていれば、貯湯水の循環を終了し、ステップ370を実行して排水準備制御ルーチンを終了する。このように当該貯湯水の循環及び攪拌は少なくとも30分継続して行われる。
【0080】
この循環時間(30分)は、貯湯タンク11の容量や、各配管長さ等によって経験的に設定される時間である。なお、ステップ345での判定条件は請求項3の「駆動手段の運転を開始から所定時間が経過すると停止すること」に相当するものである。
【0081】
このように本実施形態の制御装置50は、自動排水モードの実施時に循環ポンプ13の運転を当該運転開始から所定時間(30分)が経過すると停止する(ステップ345)。これによれば、循環ポンプ13の運転による貯湯水の循環時間を所定時間で終了するため、貯湯水の必要な温度低下に要する時間に対して無駄の少ない循環時間を設定できることにより、適切な自動排水時間が得られ、効率的な自動排水モードを実施できる。また、ユーザーは、自動排水モードにおける循環時間が一定であるため、いつ排水処理に移行するのかがよく分かり、排水運転が正常に行われていることに対する安心感を得やすい。
【0082】
(第4実施形態)
第4実施形態では、第1実施形態の排水準備制御の第二の他の例について図11を参照して説明する。第4実施形態は、排水準備制御のみが第1実施形態と異なるものである。図11は本実施形態の排水準備制御を示すサブルーチンである。
【0083】
図11に示すように、排水準備制御が開始すると、まず、貯湯タンク11内に蓄えられた熱量がタンク容量185(L)と60(℃)の積算値以上であるか否かを判定する(ステップ301A)。貯湯タンク11内の熱量は、タンク水温サーミスタ35a〜35eの各検出温度とタンク内に貯まっている湯量とを用いて算出する。
【0084】
ステップ301Aで、YESと判定すると、タンク内の熱量が非常に大きく、排水を行うには貯湯水温度が高すぎる「高温異常I」の状態であるとして排水禁止処理をし、図3のステップ600に飛び、排水を行うことなく、自動排水モードを終了する。なお、この場合、排水用LEDを点滅等して「高温異常I」の状態であることをユーザーに知らせるようにする。このステップ301Aでの判定条件は請求項10の「所定の高温条件」に相当する。
【0085】
ステップ301Aで、NOと判定すると、タンク内の熱量は、以降の貯湯水の攪拌による温度低下制御を実施すれば、排水可能なレベルである「高温異常II」の状態であると判断し、ステップ335で切換弁38の開き通路をタンク上部側にする処理とともに循環ポンプ13を運転する処理を実施する。この処理により、貯湯タンク11内の貯湯水は、タンク下部から循環回路12に流出し、水・冷媒熱交換器2の水通路2bを経てタンク上部に戻されて循環回路12を循環するため、貯湯水はタンク内で大きく攪拌されることで放熱して温度が低下していくようになる。
【0086】
次に、ステップ340に移行し、検出温度Th20〜Th165のいずれか一つでも60℃以上であるか否かが判定され、すべての当該検出温度が60℃未満と判定されると、貯湯水は排水可能な温度レベルになったと判断して循環ポンプ13の運転を停止し、ステップ400に移行する。
【0087】
このように本実施形態の給湯装置では、制御装置50は、自動排水モード実施時の循環ポンプ13の運転を、貯湯水の温度が所定の条件を満たす温度に低下するまで継続する(ステップ340)。これによれば、貯湯水の循環・攪拌による必要な温度低下効果をステップ340のように予め定めた条件によって確保することができる。したがって、従来の排水運転とは異なり、飛散等による危険性を低減できる安全な自動排水モードを提供でき、さらにタンク内に蓄えられた熱量に応じた効率的な自動排水モードが得られる。
【0088】
また、制御装置50は、自動排水モードの実施時に、貯湯水が所定の高温条件(ステップ301A)を満たすほど高温であると判断した場合には、自動排水に移行する処理を行わず、この状態の旨を報知又は表示する。これによれば、上記の攪拌制御等により貯湯水の温度低下を図るには時間がかかり過ぎる場合や、当該温度低下を図っても安全が確保できる排水可能な温度にはならない場合には、排水処理を行わないことにより、安全面や運転効率面を重視した自動排水モードを提供できる。また、このような排水禁止の判断がなされた場合でも、ユーザーは当該状況を熟知した上で、ユーザー等の希望により手動排水弁21を開操作することで排水を実施することもできる。
【0089】
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0090】
上記実施形態では、自動排水モードの実施時に各種部品を制御する制御装置50を単一の制御装置として説明しているが、この形態に限定するものではない。例えば、制御装置50をタンクユニットの各機能部品を制御するタンクユニット制御装置と、ヒートポンプユニット10の作動を制御するヒートポンプ制御装置とによって構成するようにしてもよい。
【0091】
また、上記実施形態の給湯装置では単一の貯湯タンクを用いているが、これに限定することなく、複数個の多缶式のタンクであってもよい。
【0092】
また、上記実施形態で説明する自動排水モードは、風呂リモコン30、台所リモコン40、またはタンクユニットに設けられた所定のスイッチの操作により、制御装置50が当該モードの実施指令を出せる状態になるものであるが、このような形態に限定されるものではない。例えば、集合住宅等に設置されている複数台の給湯装置の作動を集中管理可能とする集中制御盤によって、当該モードを実行するための指令を各給湯装置に送信するものであってもよい。
【0093】
また、ヒートポンプユニット10のヒートポンプサイクルを流れる作動冷媒は、二酸化炭素に限定されるものではなく、フロン等の他の冷媒であってもよい。
【符号の説明】
【0094】
10…ヒートポンプユニット(加熱手段)
11…貯湯タンク
12…循環回路
13…循環ポンプ(駆動手段)
14…給湯配管(配管)
15…自動排水弁(排水弁)
16…給水管
18…風呂用配管(配管)
21…手動排水弁(排水弁)
22…給湯用混合弁(弁装置)
23…エア抜き弁
24…風呂用混合弁(弁装置)
25…湯張り電磁弁(弁装置)
27…風呂用循環ポンプ(風呂用駆動手段)
39…排水管
41…風呂用三方弁(弁装置)
43…浴槽
50…制御装置
60…自動止水弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を加熱して温水に沸き上げる加熱手段(10)と、
前記温水を貯える貯湯タンク(11)と、
前記貯湯タンク内の空気を逃がす弁であって前記貯湯タンク内の貯湯水を排水するときに開放されるエア抜き弁(23)と、
前記貯湯タンクに接続された排水管(39)を開閉する排水弁(15,21)と、
前記貯湯タンク内の貯湯水が循環するように前記貯湯タンクに接続される循環回路(12)と、
前記貯湯タンク内の貯湯水を前記循環回路で強制的に循環させる駆動手段(13)と、
前記貯湯タンク内の貯湯水を自動で排水する自動排水モードを実施するときに前記排水弁及び前記駆動手段の作動を制御する制御装置(50)と、を備え、
前記制御装置は、前記自動排水モードの実施時に、前記駆動手段を運転することにより前記貯湯水を前記循環回路で循環させ、その後前記駆動手段の運転を停止するとともに前記排水弁を開くことを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記自動排水モード実施時の前記駆動手段の運転を、前記貯湯水の温度が所定の条件を満たす温度に低下するまで継続することを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記自動排水モードの実施時における前記駆動手段の運転を当該運転開始から所定時間が経過すると停止することを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項4】
前記貯湯タンクに接続された給水管(16)を開閉する自動止水弁(60)と、
前記貯湯タンクと浴槽(43)とを接続して前記貯湯タンク内の貯湯水を前記浴槽に導く風呂用配管(18)を開閉する湯張り電磁弁(25)と、をさらに備え、
前記エア抜き弁、前記排水弁、前記自動止水弁及び前記湯張り電磁弁の作動は前記制御装置によって制御され、
前記制御装置は、前記自動排水モードの実施時に、前記貯湯水の温度に応じて、前記貯湯水を前記循環回路で前記循環させる代わりに、前記エア抜き弁を閉じ、前記自動止水弁及び前記湯張り電磁弁を開くように制御して前記貯湯タンク内に給水するとともに前記貯湯タンク内の貯湯水を前記浴槽に送り出すことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の給湯装置。
【請求項5】
水を加熱して温水に沸き上げる加熱手段(10)と、
前記温水を貯える貯湯タンク(11)と、
前記貯湯タンク内の空気を逃がす弁であって前記貯湯タンク内の貯湯水を排水するときに開放されるエア抜き弁(23)と、
前記貯湯タンクに接続された排水管(39)を開閉する排水弁(15,21)と、
前記貯湯タンクに接続された給水管(16)を開閉する自動止水弁(60)と、
前記貯湯タンクと浴槽(43)とを接続して前記貯湯タンク内の貯湯水を前記浴槽に導く風呂用配管(18)を開閉する湯張り電磁弁(25)と、
前記貯湯タンク内の貯湯水を自動で排水する自動排水モードを実施するときに、前記エア抜き弁、前記排水弁、前記自動止水弁及び前記湯張り電磁弁の作動を制御する制御装置(50)と、を備え、
前記制御装置は、前記自動排水モードの実施時に、前記エア抜き弁を閉じ、前記自動止水弁及び前記湯張り電磁弁を開くように制御して前記貯湯タンク内に給水するとともに前記貯湯タンク内の貯湯水を前記浴槽に送り出し、その後前記自動止水弁及び前記湯張り電磁弁を閉じ前記エア抜き弁を開くように制御し、さらに前記排水弁を開くことを特徴とする給湯装置。
【請求項6】
前記貯湯タンク内の貯湯水が循環するように前記貯湯タンクに接続される循環回路(12)と、前記貯湯タンク内の貯湯水を前記循環回路で強制的に循環させる駆動手段(13)と、をさらに備え、
前記制御装置は、前記自動排水モードの実施時における前記貯湯タンク内への給水及び前記貯湯水の前記浴槽への送り出しとともに、前記駆動手段を運転することにより前記貯湯水を前記循環回路で循環し、その後前記駆動手段の運転を停止することを特徴とする請求項5に記載の給湯装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記自動排水モードの実施時に前記排水弁を開いて排水を行うときに、前記貯湯タンクから給湯端末及び浴槽(43)に至る各配管(14,18)の途中に設けられる各種の弁装置(22,24,25,41)を開くように制御することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の給湯装置。
【請求項8】
前記貯湯タンクから前記浴槽に至る風呂用配管(18)の途中に設けられ、当該風呂用配管内の水を駆動させるための風呂用駆動手段(27)をさらに備え、
前記制御装置は、前記自動排水モードの実施時に前記排水を行うときに、前記各種の弁装置を開くように制御するとともに、前記風呂用駆動手段を駆動するように制御することを特徴とする請求項7に記載の給湯装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記自動排水モードの実施時に前記排水弁を開いてから所定の排水時間が経過すると、前記排水弁を閉じるように制御することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の給湯装置。
【請求項10】
前記制御装置は、前記自動排水モードの実施時、まず前記貯湯水が所定の高温条件を満たすほど高温であると判断した場合には、自動排水に移行する処理を行わず、この状態の旨を報知又は表示することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−58658(P2011−58658A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206329(P2009−206329)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】