説明

給紙ローラ、及びこれを用いた給紙方法

【課題】給紙装置で非常に滑りやすい材質のちらし等を扱っても、簡単な操作で重送やしわや破れといった不具合の起こらない給紙ローラを提供する。
【解決手段】積層された紙葉類を一枚ずつ給紙するために用いられる給紙ローラ1であって、ローラ駆動軸10に接続されるホイール2と、該ホイール2外周面に配設されるゴムローラ3A,3Bと、からなり、該ホイール2には該ゴムローラ3A,3Bが、該ローラ駆動軸10の軸方向に沿って複数連接されて取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類を給紙する装置、特に新聞広告丁合装置に用いられる給紙装置に使用される給紙ローラ、及びこれを用いた給紙方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類を供給する装置には、紙葉類が多重に供給されることを防止するために種々の重送防止装置が用いられている。特に新聞広告丁合装置にあっては、種類の異なる紙を扱うために、それぞれの紙にあった重送防止装置が必要とされる(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−74615号公報
【特許文献2】特開2006−264975号公報
【特許文献3】特開平7−267401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の給紙装置においては、給紙するちらし類が非常に滑りやすい材質のものである場合、ゴムローラと捌き板(パッド)との圧接力が低すぎると十分な重送防止性能を得られないという不具合があった。逆に圧接力が高すぎると給紙ローラ及び捌き板(パッド)の過剰な摩擦によってちらしにしわがよったり、破れたりしてしまうといった不具合があった。これらの不具合を解消するためには、ゴムローラと捌き板(パッド)間の圧接力やローラの回転速度等を調節する必要があるが、これは非常に困難な作業であり、更にちらし類の種類が変わればまた異なる設定をしなければならないという不具合があった。
【0005】
そこで、本発明は、給紙装置で非常に滑りやすい材質のちらし等を扱っても、簡単な操作で重送やしわや破れといった不具合の起こらない給紙ローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、積層された紙葉類を一枚ずつ給紙するために用いられる給紙ローラであって、ローラ駆動軸に接続されるホイールと、該ホイール外周面に配設されるゴムローラと、からなり、該ゴムローラは、該ローラ駆動軸の軸方向に沿って複数連接されていることを特徴とする給紙ローラである。
【0007】
このように本発明は、複数のゴムローラが取り付けられることとなり、結果的にゴムローラの幅を従来に比して広げることが可能となる。これによって給紙ローラの押圧力を低減しても、全体的に紙葉類に与えられる給紙時の圧力は給紙に十分なものとなる。また給紙ローラの押圧力を低減できることによって、すべり力に弱い、あるいは破れやすい紙葉類に対しても、十分な給紙性能、及び重送防止性能が得られる。
【0008】
ここで、十分な給紙性能、及び重送防止性能を得るために、所望の幅まで広げられた単一のゴムローラを備える給紙ローラが提案され得る。しかし、このような単一で幅広のゴムローラを備える構成は、該ゴムローラを取り替える作業が非常に面倒なものとなる。これに対して本発明の給紙ローラは、ゴムローラが複数で構成されていることにより、脱着作業が容易に行なえる。
【0009】
前記ホイール外周面の中間部には該ホイールの周方向に沿って境界リブが形成され、該境界リブの両側のホイール外周面部分に各々ゴムローラが配設され、該境界リブが該複数のゴムローラ間に介在して該ゴムローラの側縁に当接していることが望ましい。
【0010】
かかる構成とすることにより、前記境界リブによって前記複数のゴムローラが軸方向へ移動することを規制され、前記ホイールからずれたり、外れたりするという不具合を防止できる。
【0011】
また、上記の給紙ローラを前記ローラ駆動軸に装着するための機構であって、該ローラ駆動軸は溝を備え、前記ホイールの側端面にはストッパ部材が配設されており、該ストッパ部材は互いに軸支されている第1挟着体と第2挟着体と、該第1挟着体と第2挟着体とを閉鎖方向へ付勢する付勢手段と、を備え、該第2挟着体には嵌着部が設けられており、該ローラ駆動軸に設けられた溝内に該嵌着部が、該付勢手段による付勢力に従って嵌着することによって該ローラ駆動軸に対する該給紙ローラの軸方向への移動を規制することを特徴とする給紙ローラ装着機構としてもよい。
【0012】
かかる構成とすると、単に前記第1挟着体と第2挟着体との閉鎖方向への付勢力を利用するだけで、前記給紙ローラが前記ローラ駆動体の軸方向へ移動することを規制されることとなり、非常に簡便な構成で確実に該給紙ローラを該ローラ駆動体に装着することができる。このため、該給紙ローラ装着機構は、ストッパ部材における第1挟着体と第2挟着体との閉鎖方向への付勢力を利用するだけ、という簡便な機構によって、給紙ローラをローラ駆動軸の適正な位置に容易に装着することができる利点がある。
【0013】
更に、本発明は、上記の給紙ローラを用いた給紙方法であって、互いに材質が異なる複数の紙葉類のうちいずれか一つの紙葉類を給紙する際には、複数のゴムローラのうち全てのゴムローラが取り付けられた給紙ローラを用いて給紙し、他のいずれか一つの紙葉類を給紙する際には、複数のゴムローラのうち少なくともいずれか一つが取り外された給紙ローラを用いて給紙することを特徴とする給紙方法である。
【0014】
かかる構成とすることにより、簡便な作業で、互いに材質が異なる複数の紙葉類を迅速かつ容易に重送、しわ、破れ等を招くことなく給紙することができる。また、例えば、いずれか一つのゴムローラの幅を従来からよく使用されている汎用品のゴムローラの幅と同一にすることにより、他のゴムローラを取り外して従来と同様の条件の下で給紙することができるため、従来のローラの使用に慣れた作業者に対して新たなノウハウを強要しない利点がある。したがって、かかる給紙方法は、作業者が従来と同じ感覚で給紙を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の給紙ローラは、従来の給紙ローラよりも幅を広くすることができるだけでなく、ゴムローラを複数に分割することによってゴムローラの取替え作業が容易となり、また紙葉類の紙質等に応じてゴムローラの数を増減することで、給紙される紙葉類の重送、しわ、破れ等を容易に防止できる。また、ホイールに境界リブを設けることにより、ホイール幅よりもゴムローラ全体の幅が小さい場合でもゴムローラのずれや外れが防止できる。
更に、本発明の給紙方法は、簡便な作業で、互いに材質が異なる複数の紙葉類を迅速かつ容易に重送、しわ、破れ等を招くことなく給紙することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】給紙ローラの分解図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図2】ストッパ部材の平面図である。
【図3】給紙ローラをローラ駆動軸に取り付けた状態を示す平面図である。
【図4】給紙ローラをローラ駆動軸に取り付けた状態を示す断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の給紙ローラを具体化した実施例を詳細に説明する。なお、本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜設計変更が可能である。
【0018】
図1には、給紙ローラ1を分解した図が示される。該給紙ローラ1は、単数のホイール2と、複数のゴムローラ3A,3Bとからなる。本実施例においては、該ゴムローラ3Aの軸方向に沿った幅L1は、従来からよく使用されている汎用品のゴムローラの幅と同一にされ、一方、該ゴムローラ3Bの軸方向に沿った幅L2は、該ゴムローラ3Aの幅L1の0.5倍とされている(L1=2×L2)。
【0019】
前記ホイール2には、ローラ駆動軸10を挿通するための軸孔2aが設けられている。更に該ホイール2の外周面20であって、その左右両端には外側リブ2b,2bが該ホイール2の周方向に沿って設けられている。また該ホイール2の外周面20であって、その中間部には境界リブ2cが前記外側リブ2bと同じ方向に沿って設けられている。また、該ホイール2のホイール幅は該ゴムローラ3A,3Bの幅L1,L2に外側リブ2b,2bと境界リブ2cの幅の合計を足した幅に設定されている。また、該ホイール2の側端面2dには、ストッパ部材4を取り付けるためのネジ孔2eが設けられている。
【0020】
前記ホイール2に前記ゴムローラ3A,3Bを取り付ける際には、該ホイール2のリブ2b,2b,2c間の距離L1,L2と同一の幅L1,L2を有する該ゴムローラ3A,3Bをそれぞれ嵌着する。こうして、一つのホイール2に複数(2つ)のゴムローラ3A,3Bが連続状に接続された給紙ローラ1が構成される。
【0021】
前記のように給紙ローラ1のゴムローラ部分は、該ゴムローラ3A,3Bにそれぞれ分割されているので、全幅がL1とL2の和に等しい単一のゴムローラをホイールに嵌着するよりも容易に嵌着作業を行なうことが可能である。
【0022】
また、図2にはストッパ部材4の平面図が示される。該ストッパ部材4は、本体である第1挟着体4a、レバー体からなる第2挟着体4b、圧縮バネからなる付勢手段4c、とを備える。該第1挟着体4aと第2挟着体4bとは軸支部4dによって互いに軸支されており、更に該付勢手段4cによって閉鎖方向(図2における矢印方向)へ付勢されている。また、該第2挟着体4bには凹状の嵌着部4eが設けられている。更に、該ストッパ部材4は、ネジ孔4fを通して前記ホイール2のネジ孔2eにネジ止めされる。
【0023】
このようにして構成された前記給紙ローラ1は、図3,4に示す給紙ローラ装着機構40によって、前記ローラ駆動軸10に接続される。即ち、先ず前記ローラ駆動軸10を前記ホイール2の軸孔2aの前記ストッパ部材4の配設されていない側から挿通する。そして該ストッパ部材4の第2挟着体4bが該ローラ駆動軸10に周方向に沿って設けられた溝10aに達した時点で、付勢手段4cによって及ぼされる該第1挟着体4aと第2挟着体4bとの閉鎖方向への付勢力によって、該第2挟着体4bに設けられた嵌着部4eが該溝10a内に嵌着する。こうすることで適正な位置に該ホイール2が該ローラ駆動軸10に接続される。この際、図4に示すように、該ホイール2は、ローラ駆動軸10の周囲に形成される領域X内に配置されるワンウェイクラッチ(図示省略)、及び軸受部材(図示省略)を介してローラ駆動軸10に一方向のみ回動自在となるように接続される。なお、ワンウェイクラッチ及び軸受部材は、公知技術が好適に採用可能である。
【0024】
また、ホイール2にゴムローラ3A,3Bが取り付けられた状態で、前記外側リブ2b,2bは、各ゴムローラ3A,3Bの側縁に当接すると共に、前記境界リブ2cは、互いに隣接するゴムローラ3A,3B間に介在し、かつ該ゴムローラ3A,3Bの側縁にそれぞれ当接する。このため、該ゴムローラ3A,3Bは該ホイール2の外側リブ2bと境界リブ2cとによって軸方向へのずれを防止されている。
【0025】
このようにして設置された給紙ローラ1は、軸方向の幅が従来に比して1.5倍あり、これによって給紙時に、従来よりも低い圧力で給紙ローラ1を稼動させることができ、破れやすい材質のちらし等を給紙しても、重送やしわや破れといった不具合が起こることがない。
【0026】
また、互いに材質が異なる複数の紙葉類を給紙する際には、以下のような手順で給紙が行われる。すなわち、前記複数の紙葉類のうち第一の紙葉類を給紙する際には、この紙葉類に適していることがあらかじめわかっている全てのゴムローラ3A,3Bが取り付けられた給紙ローラ1を用いて給紙する。また、第一の紙葉類とは異なる第二の紙葉類を給紙する際であって、この紙葉類に適している条件が従来品と同様の条件の場合には、前記ホイール2から前記ゴムローラ3Bを取り外してゴムローラ3Aのみで稼動させればよい。このように、従来と同様に給紙することができると、従来のローラの使用に慣れた作業者に対して新たなノウハウを強要しない利点があり、作業者が従来と同じ感覚で給紙を行うことができる。
この際、該ホイール2には境界リブ2cが設けられているので、該ゴムローラ3Aが該ホイール2の適正位置からずれたり、該ホイール2から外れたりすることが防止される。これは種類の異なる紙葉類を多数取り扱うことになる新聞広告丁合装置の給紙装置においては特に有用な構成である。
【0027】
更に、前記嵌着部4eを前記付勢手段4cの付勢力に抗して前記ローラ駆動軸10の溝10a内から離間させた後、該ローラ駆動軸10から前記給紙ローラ1を引き抜くだけで該給紙ローラ1を、迅速に、取り外すことができる。また逆に、該ローラ駆動軸10の溝10aに該ストッパ部材4の第2挟着体4bが達するまで該給紙ローラ1を差し込んだ時点で、該付勢手段4cの付勢力によって該第2挟着体4bに設けられた嵌着部4eが該溝10a内に嵌着し、これによって該給紙ローラ1の取り付け位置が決定される。したがって作業者は該給紙ローラ1を該ローラ駆動軸10から容易かつ迅速に取り外すことができ、作業性が向上する。更に、かかる構成は、該給紙ローラ1の適正な取り付け位置を容易に確認することができる。
【0028】
なお、給紙ローラを拡幅するために、ゴムローラが取り付けられたホイールを複数連接させた構成としても、上記した効果と同じ効果が得られる。しかし、従来に比して幅が1.5倍のゴムローラを単体として用いた場合、上記したように従来の条件で給紙を行なうことが不可能となり、またゴムローラが摩耗したり汚れたりして交換しようとする際には拡幅されたゴムローラの幅が交換作業の妨げとなる。
【0029】
前記ホイール2及びゴムローラ3A,3Bに用いられる材料は、それぞれ公知のものが好適に用いられ、特に限定されない。
ホイール2ひとつに取り付けられるゴムローラは3個以上でもよく、またそのうちの一つの幅を従来のものと同一にする必要はなく、それぞれの幅は適宜設定可能である。また、複数のホイールを用いる場合、その個数は適宜設定可能である。
また、前記ストッパ部材4において、前記第2挟着体4bにのみ嵌着部を設ける必要はなく、前記第1挟着体4aと該第2挟着体4bとの両方に嵌着部を設け、これによって該ローラ駆動軸10の溝10aを挟むようにしても構わない。
【符号の説明】
【0030】
1 給紙ローラ
2 ホイール
2c 境界リブ
3A,3B ゴムローラ
10 ローラ駆動軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された紙葉類を一枚ずつ給紙するために用いられる給紙ローラであって、
ローラ駆動軸に接続されるホイールと、
該ホイール外周面に配設されるゴムローラと、からなり、
該ゴムローラは、該ローラ駆動軸の軸方向に沿って複数連接されている
ことを特徴とする給紙ローラ。
【請求項2】
前記ホイール外周面の中間部には該ホイールの周方向に沿って境界リブが形成され、該境界リブの両側のホイール外周面部分に各々ゴムローラが配設され、該境界リブが該複数のゴムローラ間に介在して該ゴムローラの側縁に当接している
請求項1に記載の給紙ローラ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の給紙ローラを用いた給紙方法であって、
互いに材質が異なる複数の紙葉類のうちいずれか一つの紙葉類を給紙する際には、複数のゴムローラのうち全てのゴムローラが取り付けられた給紙ローラを用いて給紙し、他のいずれか一つの紙葉類を給紙する際には、複数のゴムローラのうち少なくともいずれか一つが取り外された給紙ローラを用いて給紙する
ことを特徴とする給紙方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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