説明

給紙ローラ

【課題】ゴムベルトが過大な伸長率を生じない給紙ローラが望まれていた。
【解決手段】給紙ローラ1は、コア2と、このコア2に装着されるゴムベルト3とを含む。コア2は、中心軸線2cに対して円弧状をした円弧状周面11を有する周面部材6と、周面部材6の円弧状周面11とは反対側に空間15を隔てて設けられ、中心軸線2cに対して対称な位置で中心軸線2cと平行に延びる一対の支持用リブ7とを有する。環状のゴムベルト3内に周面部材6が挿入され、且つ周面部材6と支持用リブ7との間の空間15にゴムベルト3の一部23が嵌められることによって、ゴムベルト3の内周面21の一部は、円弧状周面11に密接して保持され、ゴムベルト3の外周面22の所定部位23が支持用リブ7に支持される。給紙ローラ1が回転軸30に装着されると、回転軸30(内コア31)によりゴムベルト3に適度の緊張力が付与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、給紙ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
給紙ローラは、例えば、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置における用紙の搬送のために用いられる。給紙ローラには、用紙に給紙ローラが常時接触する断面円形の常時接触タイプと、用紙に給紙ローラが搬送時以外は接しない断面非円形の非常時接触タイプとの2種類がある。
非常時接触タイプの給紙ローラは、給紙待ちの用紙には給紙ローラのゴムの成分(オイル等)が移行しないようにできる長所を有している。非常時接触タイプの給紙ローラは、例えば、特許文献1に記載されており、環状のゴムベルトが断面半月型のコアの周面に沿って設けられることにより構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−222323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前述の非常時接触タイプの給紙ローラは、コアの外周に沿わせた環状のゴムベルトの伸長率が、コアの外周に対して環状のゴムベルトの内径寸法を変えることでしか変化させることができず、伸長率を調整することは実質的にできない。従って、設計、製造時のゴムベルトの性能管理が難しい。
ところで、伸長率が小さいと、ゴムにたわみが生じ易い。逆に、ゴムの伸長率が過大であると、ゴムに永久伸びが生じたり、オゾンによるクラックが生じ易くなる。また、クラック対策として老化防止剤などを添加すると、紙汚れの原因になる。
【0005】
そこで、本願発明者は、このような課題を解決するべく、下記の構造の給紙ローラを考えた。すなわち、図6(a),(b)を参照して、円弧状のコア91の外周に環状のゴムベルト92を嵌めた半月型給紙ローラとする。この給紙ローラを回転軸93に固定するときに、円弧状のコア91に掛け渡されたゴムベルト92の一部分が、回転軸93により内方に押圧され、ゴムベルト92が緊張状態とされる。
【0006】
この構成では、給紙ローラを回転軸93に装着したときに、ゴムベルト92が緊張されるが、緊張されるゴムベルト92の部分伸長率が大きく、永久伸びやオゾンクラックが発生し易くなる虞がある。
この発明は、このような従来技術に鑑みてなされたもので、その目的は、ゴムベルトのたわみを防止しつつ伸長率が過大になることを抑制できる給紙ローラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、コアと、このコアに装着されるゴムベルトとを含む非円形の給紙ローラであって、前記コアは、中心軸線に対して円弧状をした円弧状周面を有する周面部材と、前記周面部材の円弧状周面とは反対側に空間を隔てて設けられ、前記中心軸線に対して対称な位置で前記中心軸線と平行に延びる一対の支持用リブとを有し、前記ゴムベルトは、前記中心軸線方向に所定の幅を有し、内周面および外周面を備える環状ベルトであり、前記ゴムベルト内に前記周面部材が挿入され、且つ前記周面部材と前記支持用リブとの間の前記空間に前記ゴムベルトの一部が嵌められることによって、前記ゴムベルトの前記内周面の一部は、前記円弧状周面に密接して保持され、前記ゴムベルトの前記外周面の所定部位が前記支持用リブに支持された態様で、前記ゴムベルトは前記コアに装着されていることを特徴とする給紙ローラである。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記一対の支持用リブの間から前記中心軸線位置へ回転軸を嵌合させることによって前記回転軸に取り付けられるようにされており、前記回転軸に取り付けられた状態において、前記ゴムベルトの前記空間に嵌められた部位の伸長率が25%以下であることを特徴とする請求項1記載の給紙ローラである。
請求項3記載の発明は、前記ゴムベルトの前記空間に嵌められた部位の伸長率が10%以下であることを特徴とする請求項2記載の給紙ローラである。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の給紙ローラが備えられていることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、ゴムベルトをコアに装着するときに、ゴムベルトの内周面を円弧状周面に密接させた状態で、ゴムベルトの一部を一対の支持用リブにより屈曲状にコアに係止できる。その結果、ゴムベルトのたわみを防止できる。また、一対の支持用リブにより、伸長率を決めるための設計自由度が高まる。その結果、例えば、伸長率が過大になることを抑制することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、回転軸が、一対の支持用リブ間に掛け渡されたゴムベルトの部分を押圧することにより、ゴムベルトを緊張させることができ、ゴムベルトの内周面を円弧状周面に確実に密着させることができる。また、一対の支持用リブは、ゴムベルトをコアの内方で支持するので、回転軸により押圧されて伸長されるゴムベルトの部位を小さくできる。その結果、ゴムベルトの伸長される部位の伸長率を25%以下にできる。従って、ゴムベルトに永久伸びが生じることを防止でき、また、ゴムベルトにオゾンによるクラックが生じることを抑制できる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、ゴムベルトに永久伸びが生じることを確実に防止でき、また、ゴムベルトにオゾンによるクラックが生じることも抑制できる。
請求項4記載の発明によれば、画像形成装置において、給紙ローラのゴムベルトが良好に機能し、給紙ミスのない画像形成装置になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、この発明の一実施形態に係る給紙ローラ1のコア2を示す図であり、(a)はコア2の側面図、(b)はコア2の正面図、(c)はコア2の側面断面図(図1(b)のC−C線に沿う断面図)、(d)はコア2の正面断面図(図1(a)のD−D線に沿う断面図)である。
【図2】図2は、コア2へのゴムベルト3の装着を示す斜視図であり、(a)は装着前のゴムベルト3の斜視図、(b)は装着途中の状態のゴムベルト3とコア2の斜視図である。
【図3】図3は、コア2とゴムベルト3とが組み合わされて完成した給紙ローラ1の正面断面図である。
【図4】図4は、給紙ローラ1を回転軸30に装着する様子を示す斜視図である。
【図5】図5は、回転軸30に装着された給紙ローラ1の正面断面図である。
【図6】図6は、この発明の実施例の給紙ローラ51と、比較例の給紙ローラ52との試験結果の説明図であり、(a)は回転軸93の装着前における比較例の給紙ローラ52を示し、(b)は、回転軸93の装着後における比較例の給紙ローラ52を示し、(c)は回転軸30の装着前における実施例の給紙ローラ51を示し、(d)は、回転軸30の装着後における実施例の給紙ローラ51を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る給紙ローラ1のコア2を示す図であり、(a)はコア2の側面図、(b)はコア2の正面図、(c)はコア2の側面断面図(図1(b)のC−C線に沿う断面図)、(d)はコア2の正面断面図(図1(a)のD−D線に沿う断面図)である。図2は、コア2へのゴムベルト3の装着を示す斜視図であり、(a)は装着前のゴムベルト3の斜視図、(b)は装着途中の状態のゴムベルト3とコア2の斜視図である。
【0015】
先ず、図2を参照して、給紙ローラ1は、コア2と、このコア2に装着されるゴムベルト3とを有している。コア2は、断面略半円形で、中心軸線2cに沿って延び、所定長さを有している。コア2は、中心軸線2cと直交方向に広がるベースフランジ5を有し、このベースフランジ5に一端が支持された周面部材6および一対の支持用リブ7が中心軸線2c方向に延びている。
【0016】
図1を参照して、コア2の周面部材6は、中心軸線2cに対して円弧状をした円弧状周面11と、この円弧状周面11の周方向の両端縁から径方向の内方へ所定長で延びる一対の端面12と、各端面12の内方端縁から円弧状周面11へ向けて延びる一対の対向面13と、一対の対向面13の内側端縁を互いに接続し円弧状周面11の背面側に形成された断面円弧状の凹湾曲面14と、を有している。コア2の内部には、凹湾曲面14と、一対の対向面13の奥側部分とにより、空間15が区画されている。
【0017】
一対の支持用リブ7は、周面部材6の円弧状周面11とは反対側に空間15を隔てて設けられており、中心軸線2cに対して対称な位置で中心軸線2cと平行に延びている。一対の支持用リブ7の全体が、コア2の内側に配置されており、コア2の半円形の弦および軸方向の双方と直交する方向Yについて、中心軸線2cよりも円弧状周面11寄りに配置されている。
【0018】
また、互いに対応する一方の支持用リブ7の外側側面と一方の対向面13とは、互いに近接して対向しており、その間には、所定間隔の隙間が設けられている。この隙間に後述するようにゴムベルト3を通して、このゴムベルト3を支持用リブ7と対向面13とで挟持できるようになっている。また、一対の支持用リブ7の内側側面同士は、互いに平行に配置されており、後述する回転軸を固定するための二面幅を形成している。また、一対の支持用リブ7において、コア2の内側に向いた端面7cは、滑らかな凸湾曲面により形成されている。
【0019】
ベースフランジ5は、半円形の板状をなし、周面部材6の円弧状周面11よりも大径に形成されている。ベースフランジ5に、周面部材6の軸方向の一方の端部および一対の支持用リブ7の軸方向の一方の端部がそれぞれ連結されている。また、ベースフランジ5は、後述する回転軸を通すための半円状の切欠きを有している。
図2を参照して、ゴムベルト3は、中心軸線方向に所定の幅を有し、内周面21および外周面22を備える環状ベルトである。具体的には、ゴムベルト3は、EPDM系ゴムにより形成されており、以下の1〜5の各工程を経て製造される。
1.ゴム練り
2.インジェクション成型(200mm長さ程度のゴムパイプを成型)
3.二次加硫
4.カット(所定の製品幅にカット)
5.組み立て(コア2への圧入)
組み立て工程では、ゴムベルト3をコア2へ装着するに際して、装着前に円形をなしていたゴムベルト3の外周面22の一部を押圧して屈曲させる。
【0020】
そして、ゴムベルト3内に周面部材6が挿入され、且つ周面部材6と支持用リブ7との間の空間15にゴムベルト3の一部23が嵌められる。これによって、ゴムベルト3の内周面21の一部は、円弧状周面11に密接して保持され、ゴムベルト3の外周面22の所定部位23が支持用リブ7に支持された態様で、ゴムベルト3はコア2に装着される。
図3は、コア2とゴムベルト3とが組み合わされて完成した給紙ローラ1の正面断面図である。
【0021】
前述したようにゴムベルト3をコア2に装着するときに、ゴムベルト3の内周面21を円弧状周面11に密接させた状態で、ゴムベルト3の一部を一対の支持用リブ7により屈曲状にコア2に係止できる。その結果、ゴムベルト3のたわみを防止できる。また、一対の支持用リブ7により、伸長率を決めるための設計自由度が高まる。その結果、例えば、伸長率が過大になることを抑制することができる。また、前述の設計自由度が高まるので、設計、製造時のゴムベルト3の性能管理が容易になる。
【0022】
また、本実施形態の給紙ローラ1は、搬送時以外は用紙と接触しない非円形をなす非常時接触タイプの給紙ローラである。従って、給紙待ちの用紙には給紙ローラ1のゴムベルト3の成分(オイル等)が移行しないようにでき、また、給紙ローラ1に採用可能なゴムの配合の範囲を広げることができる。
また、一対の支持用リブ7を設けるという簡単な構造で、ゴムベルト3のたわみを防止しつつ、過大な伸長率を防止できる。
【0023】
図4は、給紙ローラ1を回転軸30に装着する様子を示す斜視図である。図5は、回転軸30に装着された給紙ローラ1の正面断面図である。
給紙ローラ1は、例えば、画像形成装置の回転軸30に取り付けられる。給紙ローラ1の中心軸線2cが、回転軸30の中心軸線30cに沿うように配置される。すなわち、回転軸30が、コア2の円弧状周面11とは反対側から、一対の支持用リブ7の間を通りコア2内の中心軸線2c位置へ嵌合される。
【0024】
この実施形態では、回転軸30の外周に内コア31が固定され、内コア31によってゴムベルト3の部位23が押圧されて伸長されるようになっている。
なお、コアの形状を変形し、後述する図6(d)に示すように、回転軸30が直接ゴムベルト3を押圧するようにすることもできる。
図5に示すように、(回転軸30と一体になった)内コア31がゴムベルト3の部分23を押圧することにより、ゴムベルト3を緊張させることができ、ゴムベルト3の内周面21を円弧状周面11に確実に密着させることができる。また、一対の支持用リブ7は、ゴムベルト3をコア2の内方で支持するので、回転軸30により押圧されて伸長されるゴムベルト3の部位23を小さくできる。その結果、ゴムベルト3の伸長される部位23の伸長率を小さく(25%以下に)できる。よって、ゴムベルト3に永久伸びが生じることを防止でき、また、ゴムベルト3にオゾンによるクラックが生じることを抑制できる。
【0025】
ここで、伸長率は、伸長率(%)=(ゴムの長さ/コア2の長さ×100)の式により求められる。式中の「ゴムの長さ」は、ゴムベルト3がコア2に沿って伸長される場合に、伸長される方向に沿って測ったときのゴムベルト3の被測定部位の伸長量(伸長後の長さと伸長前の長さとの差)である。
式中の「コア2の長さ」は、ゴムベルト3の被測定部位に対応するコア2の部位における、伸長される方向に沿って測った長さであり、ゴムベルト3の伸長後の長さに相当する。
【0026】
この実施形態の給紙ローラ1は、例えば、プリンタ、ファクシミリ、コピー機等の画像形成装置に適用できる。
【実施例】
【0027】
図6は、この発明の実施例の給紙ローラ51と、比較例の給紙ローラ52との試験結果の説明図であり、(a)は回転軸93の装着前における比較例の給紙ローラ52を示し、(b)は、回転軸93の装着後における比較例の給紙ローラ52を示し、(c)は回転軸30の装着前における実施例の給紙ローラ51を示し、(d)は、回転軸30の装着後における実施例の給紙ローラ51を示す。
【0028】
図6(c)と(d)に示す実施例の給紙ローラ51と、図3に示す給紙ローラ1とは、以下の点で異なるが、他の点では同じであり、同じ構成については同じ符号を付す。
図6(c)と(d)に示す給紙ローラ51では、周面部材6は、厚肉の円弧状部材により構成されている。また、円弧状周面11は、中心軸線2cに対する中心角で180度を超えて周方向に延びている。一対の支持用リブ7の端面7cが、コア2の半円形の弦および軸方向の双方と直交する方向Yについて、中心軸線2cの位置に配置されている。
【0029】
図6(a)と(b)に示す比較例の給紙ローラ52は、一対の支持用リブ7がなく、この点でのみ、図6(c)と(d)に示す実施例の給紙ローラ51とは異なる。
ゴムベルト3,92の変形量は、コア2,91の端面からの押し込み量D1,D2であり、D1<D2である。
[伸長率の測定と結果]
実施例と比較例のそれぞれの給紙ローラ51,52のゴムベルト3,92の伸長率を、以下の各部位について、回転軸30,93への装着前後で測定した。
【0030】
部位P1は、円弧状周面11の周方向中央部に沿う部分である。部位P2は、円弧状周面11の円弧端近傍に沿う部分である。部位P1,P2は、用紙を搬送するときに用紙に接する搬送部に相当する。
部位P3は、回転軸30,93により伸長される部分であり、比較例の給紙ローラ52では、円弧状周面11の円弧端に隣接する端面間に掛け渡された部分であり、実施例の給紙ローラ51では、一対の支持用リブ7間に掛け渡された部分である。部位P4は、円弧状周面11の円弧端近傍と支持用リブ7との間に掛けられた部分である。部位P3,P4は、用紙に接しない部分であり、ゴムベルト3,92をコア2,91に固定するための固定部に相当する。なお、図6の各図には、各部位P1〜P4の境界線を図示した。
・図6(a)に示す回転軸に装着前の比較例の給紙ローラ52の測定値
部位P1の伸長率0〜5%
部位P2の伸長率3〜5%
部位P3の伸長率5〜7%
・図6(b)に示す回転軸に装着後の比較例の給紙ローラ52の測定値
部位P1の伸長率3〜6%
部位P2の伸長率3〜10%
部位P3の伸長率18〜40%
・図6(c)に示す回転軸に装着前の実施例の給紙ローラ51の測定値
部位P1の伸長率0〜5%
部位P2の伸長率2〜4%
部位P3の伸長率3〜5%
部位P4の伸長率−5〜2%
・図6(d)に示す回転軸に装着後の実施例の給紙ローラ51の測定値
部位P1の伸長率0〜5%
部位P2の伸長率2〜6%
部位P3の伸長率8〜10%
部位P4の伸長率0〜3%
[伸長率の測定の評価]
比較例では、給紙ローラ52を回転軸93に装着することで、部位P3の伸長率の最大値が40%に達している。従って、ゴムベルト92に永久伸びが発生する虞があり、また、ゴムベルト92にオゾンによるクラックが発生する虞がある。
【0031】
これに対して、実施例の給紙ローラ51では、回転軸30への装着前後の両状態について、ゴムベルト3の各部位P1〜P4の伸長率が10%以下になっている。従って、ゴムベルト3に永久伸びの発生の虞はなく、また、ゴムベルト3にオゾンによるクラックが発生する虞もない。
また、実施例では、給紙ローラ51を回転軸30に装着する前の状態で、部位P4の伸長率の最小値が−5であり、部位P4に、緊張状態にない部分が含まれることを示している。しかし、この部位P4は、用紙と接しない固定部であり、問題はない。また、この状態においても、搬送部に相当する部位P1,P2の伸長率の最小値は、ゼロ以上の値であり、ゴムベルト3が緊張状態で円弧状周面11に密着していることがわかる。さらに、回転軸30に装着した状態では、部位P4の伸長率は、ゼロ以上になり、緊張状態になったことがわかる。
[オゾン試験]
実施例と比較例の給紙ローラ51,52をそれぞれ5個製造し、これらにオゾン試験(試験条件:25℃、オゾン濃度50ppm、96時間)を実施した。
[オゾン試験の結果]
比較例の給紙ローラ52の一部(3個)のゴムベルト92に、NGレベルのクラックが発生した。これに対して、実施例の給紙ローラ51のゴムベルト3には、NGレベルのクラックの発生は認められなかった。なお、比較例の給紙ローラ52におけるクラックの発生位置は、部位P3である。
【符号の説明】
【0032】
1 給紙ローラ
2 コア
2c 中心軸線
3 ゴムベルト
6 周面部材
7 支持用リブ
11 円弧状周面
15 空間
21 内周面
22 外周面
23 所定部位
30 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、このコアに装着されるゴムベルトとを含む非円形の給紙ローラであって、
前記コアは、中心軸線に対して円弧状をした円弧状周面を有する周面部材と、前記周面部材の円弧状周面とは反対側に空間を隔てて設けられ、前記中心軸線に対して対称な位置で前記中心軸線と平行に延びる一対の支持用リブとを有し、
前記ゴムベルトは、前記中心軸線方向に所定の幅を有し、内周面および外周面を備える環状ベルトであり、
前記ゴムベルト内に前記周面部材が挿入され、且つ前記周面部材と前記支持用リブとの間の前記空間に前記ゴムベルトの一部が嵌められることによって、前記ゴムベルトの前記内周面の一部は、前記円弧状周面に密接して保持され、前記ゴムベルトの前記外周面の所定部位が前記支持用リブに支持された態様で、前記ゴムベルトは前記コアに装着されていることを特徴とする給紙ローラ。
【請求項2】
前記一対の支持用リブの間から前記中心軸線位置へ回転軸を嵌合させることによって前記回転軸に取り付けられるようにされており、前記回転軸に取り付けられた状態において、前記ゴムベルトの前記空間に嵌められた部位の伸長率が25%以下であることを特徴とする請求項1記載の給紙ローラ。
【請求項3】
前記ゴムベルトの前記空間に嵌められた部位の伸長率が10%以下であることを特徴とする請求項2記載の給紙ローラ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の給紙ローラが備えられていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate