説明

給紙装置、及びそれを備えた画像形成装置

【課題】ファンの吸引力を格別に大きくしなくても、各種の用紙を用紙搬送ベルトに確実に吸引する。
【解決手段】記録用紙のサイズ、坪量、及び透気度に応じて用紙積載台74の高さを変更して、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙と各用紙搬送ベルト81の下面との離間距離を調節し、これにより記録用紙の種類にかかわらず、記録用紙を各用紙搬送ベルト81の下面に速やかに吸着して引出している。また、各用紙搬送ベルト81による記録用紙の引出しに遅れが生じたときにも、用紙積載台74の高さを変更して、記録用紙を各用紙搬送ベルト81の下面に速やかに吸着して引出し、記録用紙の引出し遅れを抑制している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙積載台に積載された用紙束から用紙を引出して送り出す給紙装置及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の給紙装置としては、用紙束を積載した用紙積載台と、用紙積載台の上方に配置された用紙搬送ベルトと、空気を用紙搬送ベルトの通気孔を通じて吸引するファンとを備え、用紙搬送ベルトの通気孔を通じての空気の吸引により、用紙束の最上層の用紙を用紙搬送ベルトに吸着して搬送するというものがある。
【0003】
また、特許文献1では、用紙積載台に用紙束を積載し、用紙束の側面の上層に空気を吹き付けて、用紙間の密着力を低下させた状態で、ピックアップローラを最上層の用紙に押し当てて、ピックアップローラにより最上層の用紙を引出している。また、用紙の種類に応じて、用紙束の側面の上層に吹き付けられる空気の量、圧、速度等を調節している。
【0004】
更に、特許文献2では、用紙束を搬送ベルトに載せ、用紙束の側面の下層に空気を吹き付けて、用紙間の密着力を低下させた状態で、用紙束の最下層の用紙を搬送ベルトに吸着しつつ、搬送ベルトにより最下層の用紙を引出して搬送している。また、用紙のサイズや重量等に応じて、用紙束の側面の下層に吹き付けられる空気の量を調節している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−19187号公報
【特許文献2】特開平3−172244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、先に述べたように用紙搬送ベルトを用紙積載台の上方に配置し、用紙束の最上層の用紙を用紙搬送ベルトに吸着して搬送するという構成では、用紙が厚くなったり、用紙のサイズが大きくなったりすると、用紙を用紙搬送ベルトに吸着することが困難になって、用紙の搬送エラーが生じた。
【0007】
このため、従来は、用紙の種類に応じて、用紙を用紙搬送ベルトに吸着するファンの吸引力を調節していた。しかしながら、この場合は、ファンの吸引力の調節範囲を確保するべく、ファンの最大吸引力を充分に大きくする必要があり、大きな消費電力のファンが必要となって、これが省電力化の妨げになった。また、ファンの吸引力の制御が困難であり、各種の用紙を用紙搬送ベルトに適確に吸着することができなかった。
【0008】
また、特許文献1、2では、用紙の種類に応じて用紙束の側面に吹き付けられる空気の量を調節して、用紙間の密着力を低下させたり、用紙のバタつき等を抑えたりしているが、用紙をその上方の用紙搬送ベルトに吸着するという構成ではなく、そのような用紙の種類に伴う搬送エラーの問題を解決してはいない。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、ファンの吸引力を格別に大きくしなくても、各種の用紙を用紙搬送ベルトに確実に吸引することが可能な給紙装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の給紙装置は、用紙が積載される用紙積載台と、前記用紙積載台の上方に配置された用紙搬送部と、空気を前記用紙搬送部の通気孔を通じて吸引する空気吸引部とを備え、前記用紙搬送部の通気孔を通じての空気の吸引により前記用紙積載台上の用紙を前記用紙搬送部に吸着して搬送する給紙装置であって、前記用紙積載台もしくは前記用紙搬送部を昇降させて、前記用紙積載台上の用紙に対する前記用紙搬送部の離間距離を変更する昇降部と、前記昇降部を制御し、前記用紙積載台上の用紙の種類に応じて前記用紙積載台上の用紙に対する前記用紙搬送部の離間距離を調節する制御部とを備えている。
【0011】
このような本発明では、空気を用紙搬送部の通気孔を通じて吸引し、用紙積載台上の用紙を用紙搬送部に吸着して搬送しており、用紙の種類に応じて用紙積載台もしくは用紙搬送部を昇降させて、用紙積載台上の用紙に対する用紙搬送部の離間距離を調節している。このため、例えば吸着困難な種類の用紙については、用紙積載台上の用紙に対する用紙搬送部の離間距離を短くして、用紙を用紙搬送部に確実に吸着して搬送することができる。
【0012】
例えば、前記用紙搬送部は、用紙搬送ベルトである。
【0013】
また、本発明の給紙装置においては、前記用紙積載台上の用紙の種類を入力する入力部、もしくは前記用紙積載台上の用紙の種類を検出する検出部を備えている。
【0014】
更に、本発明の給紙装置においては、前記用紙の種類は、サイズ、坪量、及び透気度の少なくとも1つで表される。
【0015】
例えば、用紙のサイズにより用紙の重さが異なり、用紙を用紙搬送部に適確に吸着するための吸着力が変化する。また、用紙の坪量により用紙の重さや剛性が異なり、用紙を用紙搬送部に適確に吸着するための吸着力が変化する。更に、用紙の透気度により空気の抜け易さが異なり、用紙搬送部に用紙を適確に吸着するための吸着力が変化する。このため、用紙のサイズ、坪量、及び透気度の少なくとも1つに応じて用紙積載台もしくは用紙搬送部を昇降させて、用紙積載台上の用紙に対する用紙搬送部の離間距離を調節している。
【0016】
また、本発明の給紙装置においては、前記用紙の種類は、サイズ、坪量、もしくは透気度で表され、前記制御部は、前記用紙のサイズ、坪量、もしくは透気度が大きくなるほど、前記用紙積載台上の用紙に対する前記用紙搬送部の離間距離を短くしている。
【0017】
ここでは、用紙のサイズ、坪量、及び透気度のいずれについても、その値が大きくなるほど、用紙を用紙搬送部に吸着し難くなるので、用紙積載台上の用紙に対する用紙搬送部の離間距離を短くして、用紙搬送部に用紙をより確実に吸着している。
【0018】
また、本発明の給紙装置においては、前記用紙積載台の用紙に対して空気を吹き付ける空気吹付部を備えている。
【0019】
この空気は、用紙積載台に積載された複数の用紙間に侵入して、各用紙間の密着力を低減させる。これにより、用紙を1枚ずつ用紙搬送部に吸着して搬送することが容易になる。
【0020】
更に、本発明の給紙装置においては、前記空気吹付部及び前記空気吸引部は、同一ファンの排気と吸気により動作する。
【0021】
これにより、単一のファンの排気と吸気を無駄なく利用することができ、ファンの個数を最小限にすることができる。
【0022】
また、本発明の給紙装置においては、前記用紙搬送部による用紙搬送方向下流側に設けられ、用紙先端を検出するセンサを備え、前記用紙搬送部は、間欠的に回転し、前記制御部は、前記用紙搬送部の回転開始時点から前記センサによる用紙先端の検出時点までの時間が長くなるほど、前記用紙積載台上の用紙に対する前記用紙搬送部の離間距離を短くしている。
【0023】
用紙を用紙搬送部に吸着し難くなるほど、用紙搬送部に用紙を吸着するタイミングが遅れ、用紙搬送部による用紙の搬送も遅れる。このため、用紙搬送部の回転開始時点からセンサによる用紙先端の検出時点までの時間が長くなるほど、用紙積載台上の用紙に対する用紙搬送部の離間距離を短くして、用紙を用紙搬送部により速く吸着している。
【0024】
一方、本発明の画像形成装置は、上記本発明の給紙装置を備えている。
【0025】
このような本発明の画像形成装置においても、上記本発明の給紙装置と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0026】
このような本発明では、空気を用紙搬送部の通気孔を通じて吸引し、用紙積載台上の用紙を用紙搬送部に吸着して搬送しており、用紙の種類に応じて用紙積載台もしくは用紙搬送部を昇降させて、用紙積載台上の用紙に対する用紙搬送部の離間距離を調節している。このため、例えば吸着困難な種類の用紙については、用紙積載台上の用紙に対する用紙搬送部の離間距離を短くして、用紙を用紙搬送部に確実に吸着して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の給紙装置の一実施形態を適用した画像形成装置を示す断面図である。
【図2】本実施形態の給紙装置を示す平面図である。
【図3】本実施形態の給紙装置を示す正面図である。
【図4】用紙引出し部を取外した状態の給紙装置を斜め後方から見て示す斜視図である。
【図5】給紙装置における用紙積載台、ワイヤー、従動プーリ、及び巻取りプーリを簡略化して示す側面図である。
【図6】(a)、(b)は、用紙積載台上に積載された用紙束の高さを検出する高さ位置センサを簡略化して示す側面図及び平面図であり、(c)は高さ位置センサの一動作状態を示す側面図である。
【図7】用紙引出し部を斜め上前方から見て示す斜視図である。
【図8】用紙引出し部を斜め上後方から見て示す斜視図である。
【図9】用紙引出し部を斜め下後方から見て示す斜視図である。
【図10】用紙引出し部における用紙搬送ベルト等を拡大して示す平面図である。
【図11】給紙装置を簡略化して示す側面図である。
【図12】画像形成装置及び給紙装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図13】(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれのデータテーブルの構成を概念的に示す図である。
【図14】高さ位置センサの変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の給紙装置の一実施形態を適用した画像形成装置を示す断面図である。この画像形成装置1は、画像データによって示されるモノクロ画像を記録用紙に印刷するものであり、その構成を大別すると、原稿読取り装置2、印刷部11、用紙送り装置12、用紙供給部13、及び大容量給紙カセット(LCC)14からなる。
【0030】
この画像形成装置1においては、原稿読取り装置2より原稿画像を読取って画像データを生成するか、あるいは外部の端末装置等から画像データを受信入力して、画像データを取得し、画像データに種々の画像処理を施してから、印刷部11で画像データによって示される画像を記録用紙に印刷する。
【0031】
印刷部11の略中央には、感光体ドラム21が配置され、その周囲に帯電装置22、レーザ露光装置23、現像装置24、転写ローラ25、及びクリーニング装置26が配置されている。
【0032】
感光体ドラム21は、その表面に光感光層を有しており、矢印方向に回転されつつ、その表面をクリーニング装置26によりクリーニングされてから、その表面を帯電装置22により均一に帯電される。レーザ露光装置23は、レーザダイオード及び反射ミラーを備えたレーザスキャニング部(LSU)であり、画像データを入力し、画像データに応じてレーザビームの強度を変調しつつ、レーザビームにより感光体ドラム21表面を走査して、感光体ドラム21表面に静電潜像を書込む。現像装置24は、感光体ドラム21表面の静電潜像をトナーにより現像して、感光体ドラム21表面にトナー像を形成する。
【0033】
転写ローラ25は、感光体ドラム21に圧接されて、感光体ドラム21との間にニップ域を形成し、感光体ドラム21と共に回転する。感光体ドラム21及び転写ローラ25は、搬送経路33を通じて搬送されて来た記録用紙をそのニップ域に挟み込んで搬送しつつ、感光体ドラム21表面のトナー像を記録用紙上に転写する。
【0034】
印刷部11の上側には、定着装置27が配置されている。定着装置27は、相互に圧接された加熱ローラ28と加圧ローラ29を有し、加熱ローラ28と加圧ローラ29との間のニップ域に記録用紙を挟みこんで、記録用紙を加熱及び加圧し、記録用紙上に転写されたトナー像を定着させる。この記録用紙は、定着装置27から排紙ローラ対36へと搬送されて、排紙ローラ対36により排紙トレイ37へと排出される。
【0035】
一方、用紙送り装置12は、記録用紙を搬送するための複数の搬送ローラ対31、レジストローラ対32、搬送経路33、迂回経路34、分岐爪35、排紙ローラ対36、及び排紙トレイ37等を備えている。
【0036】
また、用紙供給部13は、複数の給紙カセット38を備えている。各給紙カセット38は、記録用紙を収容しておくためのトレイであり、画像形成装置1の下方で複数段に設けられている。また、各給紙カセット38は、記録用紙を一枚ずつ引出して搬送経路33に送り出すためのそれぞれのピックアップローラ39等を備えており、引出した記録用紙を用紙送り装置12の搬送経路33へと送り出す。
【0037】
大容量給紙カセット(LCC)14は、記録用紙を多量に収納可能であり、各給紙カセット38と同様に、記録用紙を一枚ずつ引出して搬送経路33に送り出す。
【0038】
搬送経路33では、いずれかの給紙カセットから引出された記録用紙を用紙搬送方向Cに搬送してレジストローラ対32へと受け渡し、記録用紙の先端を一時的に停止されたレジストローラ対32に突き当てて、記録用紙を撓ませ、記録用紙の弾性力により該記録用紙の先端をレジストローラ対32と平行に揃え、この後にレジストローラ対32の回転を開始して、レジストローラ対32により記録用紙を感光体ドラム21と転写ローラ25間のニップ域へと搬送する。この記録用紙は、感光体ドラム21と転写ローラ25間のニップ域を通過して、トナー像を転写され、加熱ローラ28と加圧ローラ29間のニップ域を通過して、トナー像を定着され、排紙ローラ対36により順方向Aに搬送されて排紙トレイ37へと排出される。
【0039】
また、記録用紙の裏面にも画像を印刷する場合は、記録用紙を順方向Aに搬送して排紙トレイ37へと排出する途中で排紙ローラ対36を停止させ、つまり記録用紙を挟み込んだ状態で排紙ローラ対36を停止させ、分岐爪35を斜め下方の向きに切替えてから、排紙ローラ対36を逆回転させて、記録用紙を逆方向Bに搬送して迂回経路34へと導き、記録用紙を迂回経路34を通じて搬送経路33へと再び導いて、この記録用紙をレジストローラ対32へと戻す。
【0040】
このような記録用紙の搬送方向の切替えをスイッチバック搬送と称し、このスイッチバック搬送により記録用紙の表裏が反転され、同時に記録用紙の先端及び後端が入れ替わる。従って、記録用紙が反転されて戻されると、記録用紙の後端がレジストローラ対32に当接して、記録用紙の後端がレジストローラ対32と平行に揃えられ、レジストローラ対32により記録用紙がその後端から感光体ドラム21と転写ローラ25間のニップ域へと搬送されて、記録用紙の裏面に印刷がなされ、加熱ローラ28と加圧ローラ29によりトナー像が記録用紙の裏面に定着され、記録用紙が排紙ローラ対36を介して排紙トレイ37へと排出される。
【0041】
次に、画像形成装置1の本体上部に搭載された原稿読取り装置2を説明する。この原稿読取り装置2は、下側の第1読取り部41と、上側の原稿搬送部42とを備えている。原稿搬送部42は、その奥一辺をヒンジ(図示せず)により第1読取り部41の奥一辺に枢支され、その手前部分を上下させることにより開閉される。原稿搬送部42が開かれたときには、第1読取り部41のプラテンガラス44が開放され、このプラテンガラス44上に原稿用紙が載置される。
【0042】
第1読取り部41は、プラテンガラス44、第1走査ユニット45、第2走査ユニット46、結像レンズ47、及びCCD(Charge Coupled Device)48等を備えている。第1走査ユニット45は、光源51及び第1反射ミラー52を備えており、副走査方向へと原稿用紙のサイズに応じた距離だけ一定速度Vで移動しながら、プラテンガラス44上の原稿用紙表面を光源51によって照明し、その反射光を第1反射ミラー52により反射して第2走査ユニット46へと導き、これにより原稿用紙表面の画像を副走査方向に走査する。第2走査ユニット46は、第2及び第3反射ミラー53、54を備えており、第1走査ユニット45に追従して速度V/2で移動しつつ、原稿用紙からの反射光を第2及び第3反射ミラー53、54により反射して結像レンズ47へと導く。結像レンズ47は、原稿用紙からの反射光をCCD48に集光して、原稿用紙表面の画像をCCD48上に結像させる。CCD48は、原稿用紙表面の画像を繰り返し主走査方向に走査し、その度に、1主走査ラインのアナログ画像信号を出力する。
【0043】
また、第1読取り部41は、静止原稿だけではなく、原稿搬送部42により搬送されている原稿用紙表面の画像を読取ることができる。この場合は、図1に示すように第1走査ユニット45を原稿読取りガラス55下方の読取り位置に移動し、第1走査ユニット45の位置に応じて第2走査ユニット46を位置決めし、この状態で、原稿搬送部42による原稿用紙の搬送を開始する。
【0044】
原稿搬送部42では、ピックアップローラ56を原稿トレイ57上の原稿用紙に押し当て回転させて、原稿用紙を引出し、原稿用紙を原稿搬送経路58を通じて搬送し、原稿用紙を第1読取り部41の原稿読取りガラス55上に通過させ、更に原稿用紙を第2読取り部43の下に通させて排紙ローラ対61から排紙トレイ62へと搬送する。
【0045】
この原稿用紙の搬送に際し、第1走査ユニット45の光源51により原稿用紙表面を原稿読取りガラス55を介して照明し、原稿用紙からの反射光を第1及び第2走査ユニット45、46の各反射ミラーにより結像レンズ47へと導き、原稿用紙からの反射光を結像レンズ47によりCCD48に集光させ、原稿用紙表面の画像をCCD48上に結像させ、CCD48により原稿用紙表面の画像を読取る。
【0046】
また、原稿搬送部42により搬送されている原稿用紙表面の画像を読取ると同時に、原稿搬送部42に内蔵の第2読取り部43により原稿用紙裏面の画像を読取ることができる。この第2読取り部(以下CISと称する)43は、密着印刷画像センサ(Contact Image Sensor(CIS))であって、プラテンガラス44の上方に配置されている。第1読取り部41の原稿読取りガラス55上を通過した原稿用紙は、CIS43の下を通過して排紙トレイ62へと排出される。CIS43は、原稿用紙の通過に際し、原稿用紙裏面を照明し、原稿用紙からの反射光を受光して、原稿用紙裏面の画像を読取る。
【0047】
このようにCCD48及びCIS43により読取られた原稿用紙の画像は、CCD48及びCIS43からアナログ画像信号として出力され、このアナログ画像信号がデジタル画像信号にA/D変換される。そして、このデジタル画像信号(画像データ)は、種々の画像処理を施されてから画像形成装置1のレーザ露光装置23へと送受され、画像形成装置1において画像が記録用紙に記録され、この記録用紙が複写原稿として出力される。
【0048】
次に、大容量給紙カセット14に内蔵されている本実施形態の給紙装置の構成を詳しく説明する。この給紙装置は、多量の記録用紙を積載収容し、記録用紙を一枚ずつ引出して搬送経路33(図1に示す)に送り出すものである。
【0049】
図2、図3は、本実施形態の給紙装置を示す平面図及び正面図である。図2、図3に示すように給紙装置71は、外側枠体72、底板73、外側枠体72の内側に配置された用紙積載台74、及び外側枠体72の一端上側に配置された用紙引出し部75等を備えている。
【0050】
用紙積載台74は、多量の記録用紙(用紙束)が積載されるものであって、外側枠体72の内側に昇降可能に設けられている。用紙積載台74には、記録用紙の引出し方向(給紙及び搬送方向)Eに長い開口部74aが形成されている。用紙後端ガイド76は、底板73上で記録用紙の引出し方向Eに沿って往復移動可能に支持され、用紙積載台74の開口部74aを通じて上方に突出している。尚、記録用紙の引出し方向Eを前方、引出し方向Eとは逆方向を後方とする。
【0051】
この用紙積載台74の両側には、それぞれの凹所74bが形成されており、各凹所74bにそれぞれのアシストダクト77、78が配置されている。各アシストダクト77、78は、外側枠体72の両側で引出し方向Eと直交する方向に往復移動可能に支持されており、互に接近するように移動されるか又は互に離間するように連動して移動される。
【0052】
用紙引出し部75は、4つの用紙搬送ベルト81、各用紙搬送ベルト81を架け渡す1組のローラ82、83、吸排気ファン84、吸気ダクト85、及び排気ダクト86等を備えている。各用紙搬送ベルト81には、多数の通気孔81aが形成されており、空気が各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aから吸気ダクト85を通じて吸排気ファン84へと吸引される。また、吸排気ファン84から排気された空気は、排気ダクト86を通じて導かれ、排気ダクト86から外側枠体72の内側へと引出し方向Eとは逆方向(後方)に吹き出される。
【0053】
図4は、用紙引出し部75を取外した状態で、外側枠体72、底板73、及び用紙積載台74等を斜め後方から見て示す斜視図である。図4に示すように各アシストダクト77、78の外側には、それぞれのアシストファン79、80が設けられている。各アシストダクト77、78は、中空体であって、その内部に通気経路を有しており、各アシストファン79、80により吸引された空気がそれぞれのアシストダクト77、78の通気経路に送り込まれ、この空気が各アシストダクト77、78の排気口77a、78aから外側枠体72の内側に吹き出される。
【0054】
また、図2及び図4に示すように用紙後端ガイド76は、記録用紙の引出し方向Eに沿って往復移動可能であり、引出し方向Eに沿った任意の位置で位置決めされる。更に、図2及び図4に示すように各アシストダクト77、78は、引出し方向Eと直交する方向に往復移動可能であり、引出し方向Eと直交する方向に沿った任意の位置で位置決めされる。
【0055】
ここで、用紙束を用紙積載台74に搭載するときには、用紙後端ガイド76を後方に移動させて、用紙後端ガイド76と外側枠体72の当接板72bとの間を広く開け、また各アシストダクト77、78を相互に離間する方向に移動させて、各アシストダクト77、78の間を広く開けておく。この状態で、用紙束を用紙積載台74に載せ、この後に用紙後端ガイド76を引出し方向Eに移動させ、用紙後端ガイド76の柱部76aにより用紙束の後端を引出し方向Eに押して、用紙束を用紙積載台74上で滑らして移動させ、用紙束の先端を外側枠体72の当接板72bに当接させて、用紙束の先端及び後端を用紙後端ガイド76の柱部76aと外側枠体72の当接板72bとの間に挟み込んで位置決めする。また、各アシストダクト77、78を相互に接近する方向に移動させて、用紙束の両端を各アシストダクト77、78の間に挟み込んで位置決めする。
【0056】
また、図4に示すように用紙積載台74の両側には、突出片74cが2つずつ形成されており、各突出片74cが外側枠体72の両側の開口部72aから突出している。外側枠体72の片側では、2本のワイヤー87が用紙積載台74の片側の各突出片74cに接続され、各ワイヤー87が複数の従動プーリ88に掛けられて引き回され巻取りプーリ89に接続されている。また、外側枠体72の他の片側でも、他の2本のワイヤー87が用紙積載台74の他の片側の各突出片74cに接続され、他の各ワイヤー87が他の複数の従動プーリ88に掛けられて引き回され他の巻取りプーリ89に接続されている。各巻取りプーリ89は、回転自在に支持された共通の軸91の両端に固定されており、パルスモータ92により軸91が回転駆動されて、各巻取りプーリ89が回転し、各ワイヤー87が各巻取りプーリ89に巻取られたり各巻取りプーリ89から繰り出されたりする。
【0057】
図5は、用紙積載台74、各ワイヤー87、各従動プーリ88、及び各巻取りプーリ89を簡略化して示す側面図である。図5から明らかなようにパルスモータ92により軸91が回転駆動されて、各巻取りプーリ89が時計回り方向に回転されると、各ワイヤー87が各巻取りプーリ89に巻取られて、用紙積載台74が上昇し、また各巻取りプーリ89が反時計回り方向に回転されると、各ワイヤー87が各巻取りプーリ89から繰り出されて、用紙積載台74が下降する。また、パルスモータ92により回転駆動される巻取りプーリ89の回転角度と用紙積載台74の高さが対応関係にある。従って、パルスモータ92の回転方向及び回転角度を制御することにより、用紙積載台74の高さを調節設定することができる。
【0058】
また、図4に示すように用紙後端ガイド76の頭部76bには、用紙積載台74上の用紙束の最上層の高さを検出する高さ位置センサ93が設けられている。図6(a)、(b)は、用紙後端ガイド76の頭部76bに設けられた高さ位置センサ93を簡略化して示す側面図及び平面図である。図6(a)、(b)に示すように高さ位置センサ93は、水平な軸94により回転自在に支持されたくの字型レバー95と、くの字型レバー95の一端部95aの回転移動領域を挟んで対向配置された発光素子96及び受光素子97とを備えている。くの字型レバー95の先端部95cは、外側枠体72の当接板72bの方に向いており、その屈曲部95bが用紙後端ガイド76の頭部76bから下方に突出している。このため、用紙積載台74上の用紙束を用紙後端ガイド76の柱部76aと外側枠体72の当接板72bとの間に挟み込んだ状態では、くの字型レバー95が用紙束の後端部の上方に位置する。
【0059】
ここで、図5に示すようにパルスモータ92により各巻取りプーリ89が反時計回り方向に回転されて、用紙積載台74が下降し、用紙積載台74上の用紙束が高さ位置センサ93のくの字型レバー95から離間した状態では、図6(c)に示すようにくの字型レバー95がその自重により軸94を中心に反時計周り方向に回転して、くの字型レバー95がストッパー98に当接し、くの字型レバー95の一端部95aが発光素子96と受光素子97間の光路から外れて、発光素子96の光が受光素子97で受光される。また、パルスモータ92により各巻取りプーリ89が時計回り方向に回転されて、用紙積載台74が上昇し、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出基準の高さに達すると、図6(a)に示すように最上層の用紙がくの字型レバー95の屈曲部95bに接触して屈曲部95bを押し上げ、くの字型レバー95が軸94を中心に時計周り方向に回転して、くの字型レバー95の一端部95aが発光素子96と受光素子97間の光路を遮断し、発光素子96の光が受光素子97で受光されなくなる。更に、用紙積載台74がより上昇して、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出基準の高さを超えると、くの字型レバー95が時計周り方向により回転して、くの字型レバー95の一端部95aが発光素子96と受光素子97間の光路から外れ、発光素子96の光が受光素子97で受光される。
【0060】
従って、受光素子97の受光出力の変化に基づき用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出基準の高さにあるか否かを検出することができる。
【0061】
次に、用紙引出し部75の構成を詳しく説明する。図7は、用紙引出し部75を斜め上前方から見て示す斜視図である。また、図8は用紙引出し部75を斜め上後方から見て示す斜視図であり、図9は用紙引出し部75を斜め下後方から見て示す斜視図である。
【0062】
図7、図8、図9に示すように用紙引出し部75は、4つの用紙搬送ベルト81、各用紙搬送ベルト81を架け渡す1組のローラ82、83、吸排気ファン84、吸気ダクト85、及び排気ダクト86等を備えている。
【0063】
吸気ダクト85は、中空体であって、その内部に引出し方向Eと直交する方向に長い通気経路を有しており、その一側端部85aが吸排気ファン84に接続され、矢印Fに示すように吸気ダクト85の通気経路から一側端部85aを通じて吸排気ファン84の吸気口(図示せず)へと空気が吸引される。
【0064】
また、吸気ダクト85の上面85bが平面にされ、吸気ダクト85の下面85gが平面にされている。更に、吸気ダクト85の前端部85c及び後端部85dには、それぞれの凹所85hが形成されており、これらの凹所85hにそれぞれのローラ82、83が配置されて回転可能に軸支されている。
【0065】
また、吸気ダクト85の下面85gには、引出し方向Eに長い複数のリブ85jが並べて形成されている。そして、図10の平面図に拡大して示すように吸気ダクト85の下面85gにおける各リブ85jの間に、吸気ダクト85の通気経路に通じる複数の吸気孔85eが形成されている。
【0066】
搬送モータ107が前方のローラ82を矢印方向Dに回転駆動し、後方のローラ83が従動回転し、各用紙搬送ベルト81が矢印方向Dに周回移動する。このとき、各用紙搬送ベルト81は、吸気ダクト85の下面85gに形成された各リブ85jに摺接する。
【0067】
ここで、図10の平面図に拡大して示すように用紙搬送ベルト81の各通気孔81aが引出し方向Eに沿って複数列に並べて形成され、これらの列が各リブ85jと同一の間隔で形成され、これらの列が各リブ85jの間に位置するように用紙搬送ベルト81が架け渡されている。従って、各リブ85jの間には、該各リブ85j、用紙搬送ベルト81、及び吸気ダクト85の下面85gにより囲まれた空間が形成されており、この空間に対しては、用紙搬送ベルト81の各通気孔81a及び吸気ダクト85の下面85gの各吸気孔85eが空気の出入り口となる。このため、吸排気ファン84により吸気ダクト85内の空気が吸引されると、空気が用紙搬送ベルト81の各通気孔81a及びその空間を通じて吸気ダクト85の下面85gの各吸気孔85eへと流入し、空気が吸気ダクト85を通じて吸排気ファン84へと流れる。これにより、記録用紙を各用紙搬送ベルト81の下面に吸着して搬送することが可能となる。
【0068】
一方、排気ダクト86も、中空体であって、引出し方向Eとは直交する方向に長い通気経路を有しており、その一側端部86aが吸排気ファン84に接続され、矢印Kで示すように吸排気ファン84の排気口(図示せず)から排気ダクト86の一側端部86aを通じて排気ダクト86の通気経路へと空気が送り込まれる。
【0069】
また、排気ダクト86の内壁面86dには、排気ダクト86の通気経路に通じる各排気口86bが形成されている。この排気ダクト86の内壁面86dが外側枠体72の当接板72bの外側面に重ねて設けられ、排気ダクト86の各排気口86bが外側枠体72の当接板72bの切欠部72cを介して外側枠体72の内側に臨んでいる。吸排気ファン84から排気ダクト86へと空気が送り込まれると、この空気が各排気口86bから外側枠体72の内側後方へと吹き出される。
【0070】
更に、吸気ダクト85の一側端部85a及び排気ダクト86の一側端部86aが吸排気ファン84に共に接続され、また吸気ダクト85の他の側端部85f及び排気ダクト86の他の側端部86cが互いに接続され、これにより吸排気ファン84、吸気ダクト85、及び排気ダクト86が一体化されている。
【0071】
このような給紙装置71において、図11の側面図に示すように用紙束を用紙積載台74に載せて、用紙束の先端及び後端を用紙後端ガイド76の柱部76aと外側枠体72の当接板72bとの間に挟み込んで位置決めし、また用紙束の両端を各アシストダクト77、78の間に挟み込んで位置決めする。そして、パルスモータ92により各巻取りプーリ89を時計回り方向に回転させて、用紙積載台74を上昇させる。このとき、高さ位置センサ93により用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出されると、つまり最上層の用紙が検出基準の高さに到達すると、パルスモータ92を停止して、最上層の用紙の高さを検出基準の高さに設定するか、あるはパルスモータ92の回転方向及び回転角度を更に制御して、最上層の用紙の高さを調節設定する。また、各アシストファン79、80から各アシストダクト77、78へと空気を送り込み、空気を各アシストダクト77、78の排気口77a、78aから用紙積載台74に積載された用紙束の先端寄り両側面の上層に吹き付けて、空気を各用紙間に侵入させ、各用紙をばらつかせる。更に、吸排気ファン84から排気ダクト86へと空気を送り込み、空気を排気ダクト86の各通気孔81aから用紙束の先端面の上層に吹き付けて、空気を各用紙間に侵入させ、各用紙をばらつかせる。これにより、用紙束の上層の各用紙の密着力が低下し、用紙束からの用紙の引出しが容易になり、用紙を1枚ずつ引出すことが容易になる。
【0072】
この状態で、空気を吸気ダクト85から吸排気ファン84へと吸引して、空気を用紙搬送ベルト81の各通気孔81a及び吸気ダクト85の下面85gの各吸気孔85eを通じて吸い込みつつ、各ローラ82、83を間欠的に回転させて、各用紙搬送ベルト81を間欠的に周回移動させると、各用紙搬送ベルト81の下面に1枚の記録用紙が吸着されて、各用紙搬送ベルト81により記録用紙が引出し方向Eに引出されて画像形成装置1の搬送ローラ対31へと搬送され、記録用紙が搬送経路33を通じて搬送され、引き続いて各用紙搬送ベルト81の下面に次の1枚の記録用紙が吸着されて、各用紙搬送ベルト81により記録用紙が引出し方向Eに引出されて搬送ローラ対31へと搬送され、以降同様に各用紙搬送ベルト81の下面に記録用紙が吸着されて、各用紙搬送ベルト81により記録用紙が引出し方向Eに引出されて搬送されて行く。
【0073】
ところで、給紙装置71においては、各種の記録用紙が用紙積載台74に載せられてセットされるので、記録用紙の種類にかかわらず、記録用紙を各用紙搬送ベルト81の下面に吸着して引出すことができねばならない。
【0074】
しかしながら、記録用紙の種類によっては、各用紙搬送ベルト81の下面への記録用紙の吸着に支障が生じ易く、記録用紙の搬送エラーが発生する。例えば、記録用紙の種類としては、サイズ、坪量、及び透気度などがあって、サイズ、坪量、及び透気度のいずれによっても記録用紙の吸着に支障が生じることがある。
【0075】
例えば、記録用紙のサイズとは、一般的にはB5、A4、B4等の定型サイズであり、この記録用紙のサイズが変わると、記録用紙の重さが変わる。また、記録用紙の坪量とは、記録用紙の単位面積当たりの重量であり、この記録用紙の坪量が変わると、記録用紙の重さや剛性が変わる。そして、記録用紙が重くなり過ぎると、空気を用紙搬送ベルト81の各通気孔81aから吸引しても、記録用紙が浮き上がり難く、各用紙搬送ベルト81の下面への記録用紙の吸着が困難になる。また、記録用紙の剛性が高くなり過ぎると、記録用紙が各用紙搬送ベルト81の下面に密着し難くなり、各用紙搬送ベルト81の下面への記録用紙の吸着が困難になる。
【0076】
また、透気度とは、記録用紙の一方の面から他方の面へと空気が抜ける速さであり、空気の抜け易さである。この透気度が大きくなり過ぎると、空気が用紙搬送ベルト81の各通気孔81aから吸引されたときに、空気が記録用紙の下面から上面へと抜けて、記録用紙が浮き上がり難く、各用紙搬送ベルト81の下面への記録用紙の吸着が困難になる。
【0077】
このように記録用紙の種類によっては、各用紙搬送ベルト81の下面への記録用紙の吸着に支障が生じ、記録用紙の搬送エラーが発生する。
【0078】
そこで、本実施形態では、記録用紙のサイズ、坪量、及び透気度に応じて用紙積載台74の高さを変更して、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙と各用紙搬送ベルト81の下面との離間距離を調節し、これにより記録用紙の種類にかかわらず、記録用紙を各用紙搬送ベルト81の下面に1枚ずつ速やかに吸着して引出すことができるようにしている。
【0079】
また、各用紙搬送ベルト81による記録用紙の引出しに遅れが生じたときにも、用紙積載台74の高さを変更して、記録用紙を各用紙搬送ベルト81の下面に速やかに吸着して引出し、記録用紙の引出し遅れを抑制している。
【0080】
次に、記録用紙の種類にかかわらず、あるいは記録用紙の引出しが遅れたときに、記録用紙を各用紙搬送ベルト81の下面に速やかに吸着して引出すための構成を説明する。
【0081】
図12は、画像形成装置1及び給紙装置71の制御系の構成を示すブロック図である。図12において、制御部101は、画像形成装置1及び給紙装置71等を統合的に制御するものであって、CPU、RAM、ROM、各種のインターフェース等からなる。入力操作部102は、例えば複数の操作キー、液晶表示装置、及び液晶表示装置の画面に重ねられたタッチパネル等を備え、画像形成装置1の操作ガイダンス等を液晶表示装置の画面に表示したり、各操作キー等の操作により入力指示されたデータ等を制御部101に出力したりする。メモリ103は、例えばハードディスク装置(HDD)であり、種々のデータやプログラムを記憶する。画像処理部104は、画像データに対して各種の画像処理を施す。
【0082】
高さ位置センサ93は、先に述べたように給紙装置71の用紙後端ガイド76の頭部76bに設けられ、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出基準の高さにあるか否かを検出する。サイズ検出部105は、例えば給紙装置71における用紙後端ガイド76の引出し方向Eの位置と各アシストダクト77、78の引出し方向Eと直交する方向の位置を検出し、これらの位置に対応する記録用紙のサイズを示す検出出力を出力する。用紙先端センサ106は、図11に示すように給紙装置71における各用紙搬送ベルト81の前方端部から引出し方向Eに離間した所定位置に位置決めされた光学センサであり、この光学センサにより各用紙搬送ベルト81により引出された記録用紙の先端を検出する。
【0083】
このような構成において、例えば制御部101は、原稿読取り装置2で原稿の画像を読取らせ、原稿の画像を示す画像データをメモリ103に記憶させて、画像処理部104でメモリ103内の画像データを処理させ、印刷部11でメモリ103内の画像データによって示される原稿の画像を記録用紙に記録させる。
【0084】
また、入力操作部102の操作により用紙供給部13が選択指示されると、これに応答して制御部101は、用紙供給部13を制御して、用紙供給部13から印刷部11へと記録用紙を給紙させ、この記録用紙に原稿の画像を記録させる。
【0085】
あるいは、入力操作部102の操作により大容量給紙カセット14が選択指示されると、制御部101は、大容量給紙カセット14の給紙装置71を制御して、給紙装置71から印刷部11へと記録用紙を給紙させ、この記録用紙に原稿の画像を記録させる。
【0086】
次に、給紙装置71の制御について詳しく説明する。まず、メモリ103には、図13(a)、(b)、(c)、(d)に示すような給紙装置71の制御に用いられる4つのデータテーブルD1、D2、D3、及びD4が予め記憶されている。図13(a)のデータテーブルD1には、記録用紙の各定型サイズB5、A4、…と各用紙高さの補正量m11、m12、……とが対応付けて記憶さている。また、図13(b)のデータテーブルD2には、複数の坪量範囲G1、G2、……と各用紙高さの補正量m21、m22、……とが対応付けて記憶さている。更に、図13(c)のデータテーブルD3には、複数の透気度範囲J1、J2、……と各用紙高さの補正量m31、m32、……とが対応付けて記憶さている。また、図13(d)のデータテーブルD4には、複数の時間範囲T1、T2、……と各用紙高さの補正量m41、m42、……とが対応付けて記憶さている。
【0087】
用紙高さの補正量とは、パルスモータ92の回転方向と回転角度を示すものであって、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙の高さの補正量であり、図11に示すような用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙と各用紙搬送ベルト81の下面との離間距離h0を調節設定するために用いられる。また、各時間範囲T1、T2、……は、間欠的に周回移動される各用紙搬送ベルト81の周回移動開始時点(記録用紙の引出し開始時点)から用紙先端センサ106による記録用紙の先端検出時点までの時間間隔Δtと比較されるものである。
【0088】
ここで、図13(a)のデータテーブルD1においては、記録用紙の標準の定型サイズB5に対応する用紙高さの補正量が「0」となり、標準よりも大きなサイズに対応する用紙高さの補正量が「0」ではない正の値に設定されている。また、図13(b)のデータテーブルD2においては、記録用紙の標準の坪量範囲G1に対応する用紙高さの補正量が「0」となり、標準よりも大きな坪量範囲に対応する用紙高さの補正量が「0」ではない正の値に設定されている。更に、図13(c)のデータテーブルD3においては、記録用紙の標準の透気度範囲J1に対応する用紙高さの補正量が「0」となり、標準よりも大きな透気度に対応する用紙高さの補正量が「0」ではない正の値に設定されている。また、図13(d)のデータテーブルD4においては、標準の時間範囲T1に対応する用紙高さの補正量が「0」となり、標準よりも長い時間範囲に対応する用紙高さの補正量が「0」ではない正の値に設定されている。
【0089】
例えば、記録用紙のサイズが標準の定型サイズBであり、記録用紙の坪量が標準の坪量範囲G1に入り、記録用紙の透気度が標準の透気度範囲J1に入る場合は、つまり記録用紙が標準のものである場合は、定型サイズB5に対応する用紙高さの補正量が「0」、標準の坪量範囲G1に対応する用紙高さの補正量が「0」、標準の透気度範囲J1に対応する用紙高さの補正量が「0」であるから、各用紙高さの補正量の和(「0」)が制御補正量として設定され、この制御補正量(「0」)に応じて用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出基準の高さに位置決めされ、図11に示すように用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙と各用紙搬送ベルト81の下面との離間距離h0が距離h1に設定される。この距離h1は、用紙積載台74上の標準の記録用紙を各用紙搬送ベルト81の下面に吸着するのに適した距離である。
【0090】
また、記録用紙のサイズ、坪量、及び透気度の少なくとも1つが標準ではない場合は、サイズに対応する用紙高さの補正量が「0」ではない正の値、坪量範囲に対応する用紙高さの補正量が「0」ではない正の値、透気度範囲に対応する用紙高さの補正量が「0」ではない正の値となり、各用紙高さの補正量の和(「0」ではない正の値)が制御補正量として設定され、この制御補正量(「0」ではない正の値)に応じて用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙の高さが検出基準の高さよりも高く調節され、図11に示すように用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙と各用紙搬送ベルト81の下面との離間距離h0が距離h2に設定される。この距離h2は、用紙積載台74上の標準ではない各種の記録用紙を各用紙搬送ベルト81の下面に吸着するのに適した距離である。
【0091】
さて、制御部101は、大容量給紙カセット14の給紙装置71からの給紙に先立ち、給紙装置71のサイズ検出部105により検出された用紙積載台74上の記録用紙のサイズを取得し、メモリ103内のデータテーブルD1を参照して、検出されたサイズに対応する用紙高さの補正量を求める。あるいは、制御部101は、入力操作部102の操作により用紙積載台74上の記録用紙のサイズが入力指示されると、メモリ103内のデータテーブルD1を参照して、入力指示されたサイズに対応する用紙高さの補正量を求める。
【0092】
また、制御部101は、入力操作部102の操作により用紙積載台74上の記録用紙の坪量が入力指示されると、メモリ103内のデータテーブルD2を参照して、入力指示された坪量を含む坪量範囲を選択し、この選択した坪量範囲に対応する用紙高さの補正量を求める。
【0093】
更に、制御部101は、入力操作部102の操作により用紙積載台74上の記録用紙の透気度が入力指示されると、メモリ103内のデータテーブルD3を参照して、入力指示された透気度を含む透気度範囲を選択し、この選択した透気度範囲に対応する用紙高さの補正量を求める。
【0094】
そして、制御部101は、記録用紙のサイズ、坪量、及び透気度に対応するそれぞれの用紙高さの補正量の和を求めて、この和を制御補正量として設定する。
【0095】
尚、記録用紙のサイズ、坪量、及び透気度に対応する各用紙高さの補正量にそれぞれの重み付け係数(0<係数<1)を予め設定しておき、サイズ、坪量、及び透気度に対応するそれぞれの用紙高さの用紙高さの補正量にそれぞれの重み付け係数を掛けて、これらの積の和を制御補正量として設定してもよい。
【0096】
ここで、例えば記録用紙が標準のサイズ、標準の坪量、標準の透気度であって、制御補正量が「0」であった場合、制御部101は、パルスモータ92を駆動制御し、各巻取りプーリ89を回転させて、用紙積載台74を上昇させる。そして、制御部101は、図11に示すように高さ位置センサ93により用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出基準の高さに到達したことが検出されると、パルスモータ92を停止させて、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙を検出基準の高さに位置決めする。このとき、図11に示すように用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙と各用紙搬送ベルト81の下面との離間距離h0が距離h1となる。
【0097】
また、制御部101は、各アシストファン79、80を駆動して、空気を各アシストダクト77、78の排気口77a、78aから用紙積載台74上の用紙束の先端寄り両側面の上層に吹き出させる。更に、制御部101は、吸排気ファン84を駆動して、空気を排気ダクト86を通じて排気ダクト86の各通気孔81aから用紙積載台74上の用紙束の先端面の上層に吹き出させると共に、空気を各用紙搬送ベルト81の各通気孔81a及び吸気ダクト85の下面85gの各吸気孔85eを通じて吸気ダクト85へと吸引する。これにより、用紙束の上層の各用紙の密着力が低下し、用紙を1枚ずつ引出すことが容易になり、記録用紙が各用紙搬送ベルト81の下面に吸着される。
【0098】
そして、制御部101は、搬送モータ107を駆動制御し、各ローラ82、83を間欠的に回転させて、各用紙搬送ベルト81を間欠的に周回移動させる。これにより、各用紙搬送ベルト81の下面に記録用紙を吸着して、各用紙搬送ベルト81により記録用紙を引出して画像形成装置1の搬送経路33へと搬送するという記録用紙の引出しと搬送が繰り返される。
【0099】
こうして用紙積載台74上の用紙束から記録用紙が順次引出されて搬送されて行くと、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙の高さが低下し、高さ位置センサ93により用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出基準の高さよりも低下したことが検出される(h0>h1)。これに応答して制御部101は、パルスモータ92を駆動制御して、用紙積載台74を再度上昇させ、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙を検出基準の高さに位置決めし、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙と各用紙搬送ベルト81の下面との離間距離h0を距離h1に再設定する。
【0100】
以降同様に、用紙積載台74上の用紙束から記録用紙が順次引出されて搬送され、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出基準の高さよりも低下すると(h0>h1)、用紙積載台74が上昇されて、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出基準の高さに位置決めされ、離間距離h0が距離h1に設定される。
【0101】
従って、記録用紙が標準のサイズ、標準の坪量、標準の透気度である場合は、離間距離h0が距離h1に設定され、離間距離h0が距離h1よりも長くなったときに離間距離h0を距離h1に再設定するという処理が繰り返され、離間距離h0が距離h1に概ね設定される。この距離h1は、先に述べたように標準の記録用紙を各用紙搬送ベルト81の下面に吸着するのに適した距離であるから、各用紙搬送ベルト81により用紙積載台74上の標準の記録用紙を1枚ずつ速やかに吸着して引出すことができ、記録用紙の搬送エラーの発生を抑えることができる。
【0102】
次に、記録用紙のサイズ、坪量、及び透気度の少なくとも1つが標準ではなかった場合も、制御部101は、パルスモータ92を駆動制御して、用紙積載台74を上昇させ、高さ位置センサ93により用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出基準の高さに到達したことが検出されると(h0=h1)、引き続いて制御補正量に応じた回転方向と回転角度だけパルスモータ92を回転駆動して、用紙積載台74を更に上昇させ、図11に示すように用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙と各用紙搬送ベルト81の下面との離間距離h0を距離h2に設定する。
【0103】
また、制御部101は、各アシストファン79、80及び吸排気ファン84を駆動して、用紙束の上層に空気を吹き付けて、用紙束の上層の各用紙の密着力を低下させ、また空気を用紙搬送ベルト81の各通気孔81aを通じて吸引させる。
【0104】
そして、制御部101は、搬送モータ107を駆動制御し、各用紙搬送ベルト81を間欠的に周回移動させ、各用紙搬送ベルト81により記録用紙を1枚ずつ引出し方向Eに引出させて搬送させる。
【0105】
更に、用紙積載台74上の用紙束からの記録用紙の引出しに伴い、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙の高さが低下し、高さ位置センサ93により用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出基準の高さよりも低下したことが検出されると(h0>h1)、これに応答して制御部101は、パルスモータ92を駆動制御して、用紙積載台74を上昇させ、高さ位置センサ93により用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出基準の高さに到達したことが検出されると(h0=h1)、引き続いて制御補正量に応じた回転方向と回転角度だけパルスモータ92を回転駆動して、用紙積載台74を再度上昇させ、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙と各用紙搬送ベルト81の下面との離間距離h0を距離h2に再設定する。
【0106】
以降同様に、用紙積載台74上の用紙束から記録用紙が順次引出されて搬送され、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出基準の高さまで低下すると(h0>h1)、用紙積載台74を上昇させて、離間距離h0を距離h2に設定する。
【0107】
従って、記録用紙のサイズ、坪量、及び透気度の少なくとも1つが標準ではなかった場合は、離間距離h0が距離h2に設定され、離間距離h0が距離h1よりも長くなったときに離間距離h0を距離h2に再設定するという処理が繰り返され、離間距離h0が距離h1〜h2の範囲で設定される。この距離h2は、先に述べたように標準ではない各種の記録用紙を各用紙搬送ベルト81の下面に吸着するのに適した距離であるから、標準ではない各種の記録用紙であっても、各用紙搬送ベルト81による用紙積載台74上の記録用紙を1枚ずつ吸着して引出すことができ、記録用紙の搬送エラーの発生を抑えることができる。
【0108】
尚、高さ位置センサ93として、ロータリエンコーダを適用しても構わない。例えば、図14に示すようにロータリエンコーダ111をくの字型レバー95の軸95dに固定し、ロータリエンコーダ111によりくの字型レバー95の回転方向と回転角度を検出する。そして、用紙積載台74が上昇し、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙がくの字型レバー95を押し上げて、ロータリエンコーダ111によりくの字型レバー95が時計回り方向に規定の回転角度だけ回転したことが検出されたときに、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出基準の高さに到達したとみなす(h0=h1)。また、用紙高さの補正量に応じた回転方向と回転角度だけパルスモータ92が回転駆動されて、用紙積載台74が更に上昇され、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙と各用紙搬送ベルト81の下面との離間距離h0が距離h2に設定されたときに、ロータリエンコーダ111によりくの字型レバー95の回転角度を検出して、この回転角度を目標回転角度に設定する。更に、用紙積載台74上の用紙束から記録用紙が順次引出されて、用紙束の最上層の用紙の高さが低下し、ロータリエンコーダ111により検出された回転角度が変化したときには、検出された回転角度が規定の回転角度又は目標回転角度に戻るように用紙積載台74を上昇させる。これにより、離間距離h0を距離h1又はh2に略維持して常に最適化することができる。
【0109】
あるいは、入力操作部102の操作により用紙積載台74上の記録用紙の積載枚数を入力指示し、また高さ位置センサ93により用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出されたときのパルスモータ92の回転角度に基づき用紙積載台74の用紙束の高さを求めれば、用紙束の高さを記録用紙の積載枚数で割って、記録用紙の厚みを求めることができるので、用紙積載台74上の用紙束から引出された記録用紙の枚数と記録用紙の厚みとの積に相当する高さだけ、用紙積載台74を上昇させることによっても、離間距離h0を距離h1又はh2に略維持して常に最適化することができる。
【0110】
一方、制御部101は、用紙積載台74上の用紙束からの記録用紙の引出しに際し、用紙先端センサ106により記録用紙の先端が検出される度に、各用紙搬送ベルト81の間欠的な周回移動開始時点(記録用紙の引出し開始時点)から用紙先端センサ106による記録用紙の先端検出時点までの時間間隔Δtを求め、メモリ103内のデータテーブルD4を参照して、時間間隔Δtを含む時間範囲を選択し、この選択した時間範囲に対応する用紙高さの補正量を求める。
【0111】
そして、制御部101は、時間範囲に対応する用紙高さの補正量を求めると、この用紙高さの補正量を各データテーブルD1、D2、D3から求めた用紙高さの補正量に加算して、この和を制御補正量として設定するか、あるいは各データテーブルD1、D2、D3、D4から求めた各用紙高さの補正量にそれぞれの重み付け係数(<1)を掛けて、これらの積の和を制御補正量として設定する。そして、制御部101は、高さ位置センサ93により用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙が検出基準の高さに到達したことが検出されるまで用紙積載台74を上昇させ(離間距離h0=距離h1)、引き続いて制御補正量に応じた回転方向と回転角度だけパルスモータ92を回転駆動して、用紙積載台74を更に上昇させ、図11に示すように用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙と各用紙搬送ベルト81の下面との離間距離h0を距離h3に設定する。
【0112】
ここで、例えばデータテーブルD4において、時間間隔Δtを含む時間範囲に対応する用紙高さの補正量が「0」となっている場合は、離間距離h0を距離h1又はh2に維持するだけであって、離間距離h0を距離h3に再設定することはない。すなわち、用紙先端センサ106による記録用紙の先端検出時点の遅れがない場合は、離間距離h0(=h1又はh2)を距離h3に再設定する必要がない。
【0113】
また、データテーブルD4において、時間間隔Δtを含む時間範囲に対応する用紙高さの補正量が「0」ではない正の値に設定されている場合は、離間距離h0を距離h3に設定する。すなわち、用紙先端センサ106による記録用紙の先端検出時点の遅れが生じた場合には、離間距離h0(=h1又はh2)を距離h3に再設定する。
【0114】
このため、記録用紙の種類に応じて用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙と各用紙搬送ベルト81の下面との離間距離h0を距離h1又はh2に設定したにもかかわらず、各用紙搬送ベルト81による記録用紙の引出しが遅れたときには、各用紙搬送ベルト81による記録用紙の吸着が早められて、記録用紙の引出しが早められ、記録用紙の引出しの遅れが抑制される。
【0115】
また、記録用紙の種類に応じて離間距離h0を距離h1又はh2に調節設定しなかった場合でも、各用紙搬送ベルト81による記録用紙の引出しが遅れたときには、各用紙搬送ベルト81による記録用紙の吸着が早められて、記録用紙の引出しが早められ、記録用紙の引出しの遅れが抑制される。
【0116】
このように本実施形態の給紙装置では、記録用紙のサイズ、坪量、透気度に応じて用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙と各用紙搬送ベルト81の下面との離間距離h0を適宜に調節しているので、記録用紙の種類にかかわらず、各用紙搬送ベルト81により用紙積載台74上の記録用紙を1枚ずつ吸着して引出すことができ、記録用紙の搬送エラーの発生を抑えることができる。また、吸排気ファン84を大型化する必用がなく、その消費電力が増大することもない。
【0117】
また、各用紙搬送ベルト81の周回移動開始時点から用紙先端センサ106による記録用紙の先端検出時点までの時間間隔Δtが長くなったときにも、つまり各用紙搬送ベルト81による記録用紙の引出しが遅れたときにも、用紙積載台74上の用紙束の最上層の用紙と各用紙搬送ベルト81の下面との離間距離h0を適宜に短くしているので、各用紙搬送ベルト81による記録用紙の吸着が早められて、記録用紙の引出しが早められ、記録用紙の引出しの遅れが抑制される。
【0118】
尚、上記実施形態では、用紙積載台74を昇降させているが、この代わりに、各用紙搬送ベルト81を昇降させたり、用紙積載台74及び各用紙搬送ベルト81を昇降させたりしてもよい。
【0119】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。
【符号の説明】
【0120】
1 画像形成装置
2 原稿読取り装置
11 印刷部
12 用紙送り装置
13 用紙供給部
14 大容量給紙カセット(LCC)
71 給紙装置
72 外側枠体
73 底板
74 用紙積載台
75 用紙引出し部
76 用紙後端ガイド
77、78 アシストダクト
79、80 アシストファン
81 用紙搬送ベルト(用紙搬送部)
82、83 ローラ
84 吸排気ファン(空気吸引部)
85 吸気ダクト(空気吸引部)
86 排気ダクト(空気吹付部)
92 パルスモータ(昇降部)
93 高さ位置センサ
101 制御部
102 入力操作部(入力部)
103 メモリ
104 画像処理部
105 サイズ検出部(検出部)
106 用紙先端センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙が積載される用紙積載台と、前記用紙積載台の上方に配置された用紙搬送部と、空気を前記用紙搬送部の通気孔を通じて吸引する空気吸引部とを備え、前記用紙搬送部の通気孔を通じての空気の吸引により前記用紙積載台上の用紙を前記用紙搬送部に吸着して搬送する給紙装置であって、
前記用紙積載台もしくは前記用紙搬送部を昇降させて、前記用紙積載台上の用紙に対する前記用紙搬送部の離間距離を変更する昇降部と、
前記昇降部を制御し、前記用紙積載台上の用紙の種類に応じて前記用紙積載台上の用紙に対する前記用紙搬送部の離間距離を調節する制御部とを備えたことを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給紙装置であって、
前記用紙搬送部は、用紙搬送ベルトであることを特徴とする給紙装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の給紙装置であって、
前記用紙積載台上の用紙の種類を入力する入力部、もしくは前記用紙積載台上の用紙の種類を検出する検出部を備えることを特徴とする給紙装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の給紙装置であって、
前記用紙の種類は、サイズ、坪量、及び透気度の少なくとも1つで表されることを特徴とする給紙装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の給紙装置であって、
前記用紙の種類は、サイズ、坪量、もしくは透気度で表され、
前記制御部は、前記用紙のサイズ、坪量、もしくは透気度が大きくなるほど、前記用紙積載台上の用紙に対する前記用紙搬送部の離間距離を短くすることを特徴とする給紙装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の給紙装置であって、
前記用紙積載台の用紙に対して空気を吹き付ける空気吹付部を備えたことを特徴とする給紙装置。
【請求項7】
請求項6に記載の給紙装置であって、
前記空気吹付部及び前記空気吸引部は、同一ファンの排気と吸気により動作することを特徴とする給紙装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の給紙装置であって、
前記用紙搬送部による用紙搬送方向下流側に設けられ、用紙先端を検出するセンサを備え、
前記用紙搬送部は、間欠的に回転し、
前記制御部は、前記用紙搬送部の回転開始時点から前記センサによる用紙先端の検出時点までの時間が長くなるほど、前記用紙積載台上の用紙に対する前記用紙搬送部の離間距離を短くすることを特徴とする給紙装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の給紙装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−232816(P2012−232816A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101365(P2011−101365)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】