給紙装置及び画像形成装置
【課題】エアを吹きつけて用紙を浮揚させ、最上の用紙を吸着して搬送するエア給紙装置において、用紙が積載される積載台上に用紙が少なくなったときに起きるノーフィードを防止する。
【解決手段】送風口からのエアが最高位置まで上昇した積載台の上方と下方とに吹き出されるように送風口が形成され、積載台には、積載台の下方から上方に流通する気流を形成する貫通口が形成される。また、積載台に用紙を持ち上げるリブを設ける。
【解決手段】送風口からのエアが最高位置まで上昇した積載台の上方と下方とに吹き出されるように送風口が形成され、積載台には、積載台の下方から上方に流通する気流を形成する貫通口が形成される。また、積載台に用紙を持ち上げるリブを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載した多数枚の用紙から用紙を1枚ずつ送り出す給紙装置及び給紙装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、印刷機等には、従来給紙ローラにより給紙台に多数枚積載された用紙を1枚ずつ送り出す給紙装置が用いられているが、給紙ローラを用いた給紙装置では、給紙ローラのすべりのためにノーフィードが生じたり、紙質や環境の如何によっては、複数枚が纏まって送り出される重送が生じたり等の問題がある。また、給紙ローラの摩耗が進行することにより、これらの給紙不良が顕著になるという問題がある。複写機やプリンタの用途が拡大し、使用される用紙の種類が多くなるとともに、高速化が進んだ結果、前述した問題を解決することが大きな課題となってきている。
【0003】
このような課題を解決する手段として、エアを吹きつけ用紙を浮揚させ、浮揚した用紙を吸着搬送機構で吸着して1枚に分離し、搬送するエア給紙装置と称される給紙装置が注目されている。エア給紙装置では、積載用紙束の側面にエアを吹きつけて、用紙を浮揚させ、浮揚した用紙の最上位の用紙を吸着搬送機構により吸着し搬送する。側面への吹きつけによりエアが用紙間の間隙に進入し、十分なエア層を形成する。これにより、用紙1枚1枚の分離が良好になり、高速で確実な用紙送り出しが可能となる。
【0004】
しかしエア給紙装置では、トレイに積載した用紙を順次給紙していく過程において、その残量が極端に少なくなる最終紙付近にて、用紙が十分に浮上せず、吸着搬送機構に吸着できないという新たな課題が発生した。この問題について、図13を用いて説明する。
【0005】
図13において、積載台70上に積載され積載用紙束の側面から気流V1が吹きつけられて用紙が浮揚する。積載用紙束の最上位の用紙P1がレベルLに達すると吸着搬送機構60が用紙P1を吸着し搬送する。吸着搬送機構60が用紙P1を吸着するには、吸着搬送機構60の吸着面である下面から所定の間隔を持ったレベルであるレベルLまで用紙P1が浮揚される必要がある。
【0006】
一方積載台70は最上位の用紙P1が常に一定の高さにあるように制御されるので、積載台70上の用紙が残り少なくなったときには、積載台70は、気流V1を形成する送風口44に上下方向にまたがるようになる。その結果、気流V1のうち、積載用紙の隙間に吹き込まれる風量、特に最上位の用紙P1の下面に吹き込まれる風量が減少して、用紙を浮揚させる力が弱くなる。その結果、最上位の用紙P1が所定のレベルLまで浮揚しなくなって、吸着搬送機構60の吸着不良が起こり、ノーフィードが発生する。この問題を解決するために、過去に様々な対策が考案されている。
【0007】
特許文献1では、積載された用紙の前端部に対して吹きつけ手段によってエアを吹きつけ、吸引手段で最上位の用紙を吸引して搬送するエア給紙装置において、用紙台に用紙搬送方向に伸びたリブを設け、用紙と用紙台との隙間に気流を送り込み、用紙を浮揚させるエア給紙装置が開示されている。
【0008】
特許文献2の請求項5および図6には、用紙の前端部にエアを吹きつける吹きつけファンと、用紙の下面に下方からエアを吹きつける最終用紙吹きつけファンを有するエア給紙装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−226436号公報
【特許文献2】特開2000−198557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1では、ある程度の坪量の用紙までは効果を発揮するが、極端に重い用紙、例えば坪量300g/m2のA3サイズのような用紙の場合には効果を発揮しない。すなわち、用紙の前端部からエアを吹きつけても、エアの大部分はリブと用紙の隙間よりも用紙上部の空間に流れてしまう。仮に風量を上げて、リブと用紙の隙間に一定量のエアが吹き込まれたとしても、最上位の用紙の下に一方の端面から吹き込まれたエアはそのまま反対側の端面に吹き流れ、用紙は僅かに持ち上がったとしてもそれを吸着手段にまで上昇させるほどの効果的な浮力が得られず、したがって重い用紙を浮上させる事が出来ない。
【0011】
参考文献2でも、ある程度の坪量の用紙までは効果を発揮するが、極端に重い用紙、例えば坪量300g/m2のA3サイズのような用紙の場合には、最終用紙吹き付けファンは相当量の風圧を発生する為に大型のものが必要となり、これを用紙の積載部の下方に配置しなければならない為、装置全体が大型化してしまう問題がある。また、最終紙の浮上の為だけに大型のファンを必要とし、コストが増大する問題がある。
【0012】
本発明は、従来のエア給紙装置における前述した問題を解決し、積載台上の用紙が少ない場合でも、確実に用紙を吸着搬送手段に吸着させ、安定した給紙を行い、かつ小型で低コストな給紙装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的は下記の発明により達成される。
【0014】
1.用紙が積載される積載台と、
前記積載台上の積載用紙束の側面に気流を吹きつける送風部と、
前記送風部からの気流により浮揚した用紙の最上位の用紙を吸着し搬送する吸着搬送機構と、
前記積載台を上方に移動させる駆動部とを有する用紙給紙装置において、
前記送風部は、積載用紙束の対向する両側面に向けて気流を吹きつける複数の送風口を有し、
前記複数の送風口は、それぞれ前記積載台が前記駆動部により最高位置に上昇したときに、前記積載台よりも上方に流れる第1気流と前記積載台よりも下方に流れる第2気流とを作るように形成され、
前記積載台は、前記第2気流を前記積載台の下方から前記積載台の上方に流通させる貫通口を有することを特徴とする給紙装置。
【0015】
2.前記積載台の上面であって、前記複数の送風口からそれぞれの第1気流が流れる位置に、リブが形成されていることを特徴とする前記1に記載の給紙装置。
【0016】
3.前記リブは、複数の前記送風口の一方から他方に向って延びていることを特徴とする前記2に記載の給紙装置。
【0017】
4.用紙が積載される積載台と、
前記積載台上の積載用紙束の側面に気流を吹きつける送風部と、
前記送風部からの気流により浮揚した用紙の最上位の用紙を吸着し搬送する吸着搬送機構と、
前記積載台を上方に移動させる駆動部とを有する用紙給紙装置において、
前記送風部は、積載用紙束の対向する両側面に気流を吹きつける複数の送風口を有し、
前記積載台の上面であって、前記複数の送風口からそれぞれの気流が流れる位置に、リブが形成されていることを特徴とする給紙装置。
【0018】
5.前記リブは、複数の前記送風口の一方から他方に向って延びていることを特徴とする前記4に記載の給紙装置。
【0019】
6.前記リブの高さは、2mm以上10mm以下であることを特徴とする前記2〜5のいずれか1項に記載の給紙装置。
【0020】
7.前記送風部は用紙の側端を規制する側端規制部材を有し、前記側端規制部材は、前記送風口を形成することを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の給紙装置。
【0021】
8.前記1〜7のいずれか1項に記載の給紙装置と、前記給紙装置から送り出された用紙に画像を形成する画像形成部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0022】
本発明において、積載台に貫通口を設けることにより、積載用紙束の両側面から吹きつけられる気流を利用して、用紙の下方から上方向に吹きつけ、用紙下面と積載台との間に挟まれる空間に風圧を生じさせて、用紙に対する揚力を発生させている。また本発明においては、積載台に、対向する送風口の交叉方向にリブを設けて、気流が吹きつけられる位置において、用紙下面と積載台との間に挟まれる空間に風圧を生じさせて、用紙に対する揚力を発生させている。
【0023】
これらにより、積載用紙束の底部に僅かに残された厚紙大サイズの用紙をも効果的に持ち上げる事が可能となるため、積載台上の用紙が少なくなったときに起こる吸着不良が防止され、いかなる種類の用紙に対してもノーフィードを起こすことなく安定した給紙を行い、小型、且つ低コストの給紙装置及び画像形成装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る給紙装置である給紙ユニットの斜視図である。
【図3】給紙ユニットの正面断面図である。
【図4】給紙ユニットの平面図である。
【図5】給紙ユニットの側断面図である。
【図6】第1送風ユニット40と第2送風ユニット50による用紙吸着搬送過程を示す断面図である。
【図7】用紙を収容しない給紙ユニットLTUの平面図である。
【図8】図2の点Zにおける矢印Xに沿った垂直断面図である。
【図9】図2の点Zにおける矢印Yに沿った垂直断面図である。
【図10】制御系のブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る給紙装置における積載台70を示す図である。
【図12】積載台70A、70Bに設けられたリブ74A、74Bを示す図である。
【図13】送風口44近傍の断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明を本発明の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は以下に説明する実施の形態に限られるものではない。
【0026】
<画像形成装置>
図1は、画像形成装置本体A、画像読取装置SC、自動原稿送り装置DF、大容量給紙装置LTから構成された画像形成装置の全体構成図である。
【0027】
図示の画像形成装置本体Aは、感光体(像担持体)1、帯電手段2、像露光装置3、現像装置4、転写手段5、クリーニング手段6と、定着装置7と、用紙搬送系と、から構成される画像形成部を備える。
【0028】
用紙搬送系は、第1給紙手段11と、第2給紙手段12と、排紙手段14と、搬送路切換手段15と、循環再給紙手段16と、反転排紙手段17とから構成されている。画像形成部には、2個の給紙カセット10から第1給紙手段11により用紙Pが送り出される。
【0029】
自動原稿送り装置DFの原稿台上に載置された原稿dは給紙手段により搬送され、画像読取装置SCの光学系により原稿dの片面又は両面の画像が読みとられ、イメージセンサCCDにより読み込まれる。イメージセンサCCDにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部20において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、像露光装置3に画像信号を送る。
【0030】
画像形成部においては、帯電、露光、現像、転写、分離、クリーニング等の処理が行われる。
【0031】
画像形成部において、感光体1に対し、帯電手段2により電荷(本実施の形態では負帯電)が付加され、像露光装置3からのレーザ光照射により静電潜像が形成され、現像装置4により静電潜像が顕像化されてトナー像(本実施の形態では負電荷)となる。一方、給紙カセット10に収容された用紙Pが第1給紙手段11から搬送される。用紙Pは、レジストローラから成る第2給紙手段12でトナー像との同期がとられて搬送される。その後、用紙Pには、転写手段5でトナー像が転写され、用紙Pに転写されたトナー像は定着装置7により定着される。
【0032】
定着処理後の用紙Pは、排紙手段14により装置外に排出される。一方、クリーニング手段6により感光体1上の転写残のトナーが除去される。なお、両面コピーの場合は、第1面に画像形成された用紙Pは、循環再給紙手段16に送り込まれて反転され、再び画像形成手段において第2面に画像形成後、排紙手段14により装置外に排出される。反転排紙の場合は、通常の排紙通路から分岐した用紙Pは、反転排紙手段17においてスイッチバックして表裏反転された後、排紙手段14により装置外に排出される。
【0033】
画像形成装置本体Aには大容量給紙装置LTが連結されている。大容量給紙装置LTは3段の給紙ユニットLTU1、LTU2、LTU3を有する。給紙ユニットLTU1、LTU2、LTU3のそれぞれは第1送風ユニット40、第2送風ユニット50、吸着搬送機構60等を有し、大量の用紙Pを収容して、画像形成装置本体Aに用紙Pを1枚ずつ給送する。
【0034】
<給紙ユニット(実施の形態1)>
図2は本発明の実施の形態1に係る給紙装置である大容量給紙装置を構成する給紙ユニットを示す斜視図、図3は給紙ユニットの正面断面図、図4はその平面図、図5はその側断面図である。図2〜5では図1における給紙ユニットLTU1、LT2.LTU3をLTUで示す。
【0035】
これらの図において、積層された用紙Pは、積載台31の上に積載され、昇降機構(図示せず)により昇降可能に収容されている。送風部としての第1送風ユニット40は、矢印Xで示す用紙Pの搬送方向と直交する方向である幅方向(矢印Y)に移動自在になっており、積載された用紙Pの用紙幅に対応して、用紙Pの両側を軽く押圧して用紙Pの両側位置を規制する側端規制部材41(後に説明)を有する。先端規制部材32は、用紙Pの搬送方向(矢印X)先端の位置を規制している。後端規制部材33は、用紙Pの搬送方向(矢印X)に沿って前後に移動自在で、用紙Pの搬送方向後端の位置を規制している。
【0036】
また、図3に示すように、後端規制部材33には、最上部付近の用紙Pの高さを検知する上限センサPS3が配置されている。
【0037】
積載台31上に積載用紙束の高さを、エアの吹きつけ、用紙Pの吸着に最適なように維持するために、後述の制御部(後述)が上限センサPS3の検知結果に基づいて、駆動部としてのモータ(後述)を作動させ、積載台31を上昇させる公知の制御を行う。
【0038】
用紙Pの搬送方向先端近傍には、吸着搬送機構60が配置されている。吸着搬送機構60は、駆動源(図示せず)に接続する大ローラ61と2個の小ローラ62を巻回して回動する吸着ベルト63を有する。吸着ベルト63は多数の小径の貫通孔が穿設されている。吸着ベルト63の内方には吸引手段64が配置されており、吸着ベルト63は用紙Pを吸引しながら搬送する。
【0039】
吸着ベルト63が用紙Pを吸引しながら回動すると、積載台31上の積載用紙束の最上位の用紙Pが図示の矢印Xの方向に進み、画像形成装置本体Aへ送り込まれる。
【0040】
吸着ベルト63の吸着面の近傍に配置され用紙吸着検知センサPS1は、用紙Pの最上面が吸着されたことを検知する。用紙吸着センサPS1は複数本の吸着ベルト63のベルト間から下方に垂れ下がったアクチュエータを有し、用紙Pが吸着したときに、アクチュエータが持ち上げられて用紙Pの吸着を検知する。
【0041】
積載台31の用紙搬送方向下流側の吸着ベルト63の近傍に配置されたフィードセンサPS2は、給送される用紙Pの通過を検知する。
【0042】
積載台31の用紙搬送方向下流側の吸着ベルト63の近傍には、第2送風ユニット50が給紙装置本体30に固定されている。第2送風ユニット50はファン等により構成されている。なお、第2送風ユニット50は、給紙装置本体30に取り付けられ、ダクトを介して積載用紙束の先端部に送風するように構成してもよい。
【0043】
第2送風ユニット50のファン51は送風口53を上向きにして取り付けられている。上向きに吹きつけられたエアは、ガイド板52により向きを変えられ、斜め上方に送風口53から吹き出され、吸着搬送機構60の吸着ベルト63の下流部近傍に吹きつけられる。
【0044】
図2、図5に示すように、用紙Pの搬送方向に直交する側方から積載台31上に積層された用紙Pの上部にエアを吹きつける送風部としての第1送風ユニット40が積載台31の両側面に配置されている。第1送風ユニット40は図5に示すように、多数枚の用紙Pからなる積載用紙束の側面に気流V1を吹きつける。第1送風ユニット40は、用紙Pの幅方向(矢印Y)の両側方の送風口44から用紙Pの上部にエアを吹きつけるファン42を有する。送風口44は図2、4に示すように、吸着搬送機構60に対応してその下方に配置されており、用紙Pからなる積載用紙束の側面にエアを吹きつける。
【0045】
第1送風ユニット40には側端規制部材41が設けられている。ファン42は吹き出し口を上向きにして取り付けられており、その一部が側端規制部材41により形成される。上向きに吹きつけられたエアは、ファン42の吹き出し口形成部材42Aにより90°向きを変えられ、略水平方向に送風口44から吹き出る気流V1を形成ように、送風口44は側端規制部材41の上端近くに送風口している。送風口44の幅は、第1送風ユニット40の吹出口の幅とほぼ同じになっている。最上位の用紙Pが送風口44の上下端、即ち、吹き出し口形成部材42Aと側端規制部材41の上端とのほぼ中央に来るような位置関係が望ましい。第1送風ユニット40は一体な側端規制部材41を有するので、用紙Pのサイズが変更された場合でも、側端規制部材41を移動することによって、第1送風ユニット40も一緒に移動できることになる。なお、第1送風ユニット40は、本実施の形態では、用紙Pの両側に設けられているが、片側だけにしてもよい。
【0046】
第1送風ユニット40が作動すると、送風口44からエアが排出され、積載用紙束の上部にある数枚の用紙Pにエアが吹きつけられる。エアは用紙Pの一方の端部から用紙間を通り抜けて他方の端部に向けて流通する。これによって用紙Pの上部数枚は1枚ずつに分離されて浮揚する。吸着搬送機構60は、こうして分離された用紙Pから最上位の用紙P1だけを吸着して確実に下流側に送り込む。
【0047】
図2、図3に示すように、第1送風ユニット40の吸気口は、遮蔽手段によって遮蔽され、開閉自在である。即ち、遮蔽手段の遮蔽部材(シャッタ)45は軸46により軸支され、ソレノイド(図示せず)によって開閉される。制御部は、遮蔽部材45の開閉を制御して第1送風ユニット40によるエア吹付の実施、非実施を切り換え制御する。
【0048】
図6は、第1送風ユニット40と第2送風ユニット50による用紙吸着搬送過程を示す断面図である。
【0049】
図6(a)は用紙吸着過程を示す。第1送風ユニット40により吹き上げられる気流V1(図4,5の白抜き矢印)によって、積載台31上の積載用紙束のうちの上層の少数枚の用紙Pが用紙Pの自重に抗して持ち上げられ、吸着ベルト63の負圧による吸気V3(図示の白抜き矢印)により吸着される。気流V1は後に説明するように、用紙Pの側端に吹きつけられ、積載用紙束を構成する用紙Pと用紙Pとの間を流通し、各用紙Pを分離して浮揚させる。第2送風ユニット50により吹き上げられる気流V2(図示の白抜き矢印)は、吸着ベルト63の前方底部近傍を吹きつけている。
【0050】
図6(b)は、最上位に用紙P1を分離する用紙分離過程を示す。遮蔽部材45が第1送風ユニット40の吸気口を遮蔽して送風を停止すると、第2送風ユニット50のみによる送風が、最上位の用紙P1と、その下方の用紙Pの紙間を流通する。最上位の用紙P1は吸着搬送機構60の吸気V3によって吸着されるとともに、第2送風ユニット50からの気流V2が用紙Pの先端に吹きつけられるので、気流V2による風圧で、最上位の用紙P1と、その下にある用紙Pとが分離される。気流V2により分離された最上位の用紙P1の下方の用紙Pは、自重によって矢印方向に下降し、積載用紙束の一部となる。
【0051】
このように第1送風ユニット40と第2送風ユニット50との作動で用紙Pを浮揚の後、吸着搬送機構60に吸着させ、次に、第1送風ユニット40を停止し、第2送風ユニット50の作動を継続して最上位の用紙P1を分離して搬送するという浮揚、吸着及び搬送を繰り返すことにより、積載用紙束の上部の数枚の用紙Pの浮き上がりが、送風口44の位置における用紙Pのほぼ全面に拡がり、各用紙間の隙間がほぼ同じ間隔になる。そして、この隙間をエアが流通する。これによって、用紙P1の分離が良くなり、用紙P1を送り出し易くなる。このような用紙吸着搬送過程により、用紙P1の浮揚が大きくなりすぎて用紙を傷めたり、複数枚の用紙が密着したまま纏まって浮揚して、分離できなかったりする問題が解消される。
【0052】
図7〜9を用いて気流V1による用紙Pの浮揚についてさらに説明する。
【0053】
図7は用紙を収容しない給紙ユニットLTUの平面図である。図8は図2の点Zにおける矢印Xに沿った垂直面図を、図9は図2の点Zにおける矢印Yに沿った垂直断面をそれぞれ示し、図8(a)、図9(a)は積載台70上に多数枚の用紙Pが積載している状態における用紙Pの浮揚を、図8(b)、図9(b)は少数枚の用紙Pが積載台70上に積載している状態での用紙Pの浮揚をそれぞれ示す模式図である。
【0054】
積載台70は用紙Pの側縁に吹きつけられる気流V1の送風口44の位置で用紙Pを支持する。用紙Pの先頭部は積載台70により支持され、先頭部に続く用紙Pの部分が積載台31により支持される。積載台70のそれぞれは2個の側端規制部材41と一体に形成されており、ガイド棒72によりガイドされて左右に移動可能である。積載台70は貫通口71を有する。
【0055】
後端規制部材33はガイド棒73によりガイドされて図7の上下方向、即ち、用紙の搬送方向に移動可能である。側端規制部材41と後端規制部材33とは給紙ユニットLTUに装填される用紙Pのサイズに応じて手動又は自動で移動する。
【0056】
第1送風ユニット40は用紙Pの側部を規制する側端規制部材41とファン42とを有する。送風口44はファン42の吹き出し口形成部材42Aと側端規制部材41とにより形成される。
【0057】
多数枚の用紙Pが積載台70上にある図8(a)、図9(a)のときは、積載台70が送風口44の下方に位置しており、ファン42からの気流V1が送風口44から積載用紙束の側面に吹きつけられる。
【0058】
気流V1は積載用紙束を構成する1枚1枚の用紙Pの間に進入する。その結果、用紙Pと用紙Pとの間にエア層が形成されて、複数枚の用紙Pがエア層を隔てて重なった状態となり、用紙Pの1枚ずつが分離された状態で浮揚する。
【0059】
最上位の用紙P1はレベルLに達し、吸気V3(図6参照)が用紙PIに対して作用し、用紙P1は吸着搬送機構60に吸着される。
【0060】
積載台70上の用紙Pが、例えば、数枚のように少なくなったときには、図8(b)、図9(b)に示すように、積載台70は送風口44の高さにまで上昇する。図8(b)、図9(b)に示す状態では、送風口44に対して積載台70が上下方向にまたがった位置に配置される結果、ファン42からの気流は、第1気流V1aと第2気流V1bとに分割される。
【0061】
第1気流V1aは積載台70の上方に流れ、用紙Pの側縁に吹きつけられて用紙P間に流通し用紙Pを浮揚させる。第2気流V1bは積載台70の下方に流れるが、そのうちの一部が貫通口71を通過して積載台70の上方に流れて、最下位の最終用紙P3の下から吹きつけられ、最下位にある最終用紙P3を押し上げ浮揚させる。
【0062】
更に、貫通口71は対向する両側面に配置されているため、それぞれから吹き込まれた気流同士が用紙の中央付近で衝突して、用紙の下方に正圧を生じさせ、最終用紙P3の中央付近を効果的に浮上させることが出来る。用紙が大きく浮上する箇所、すなわち、対向する2つの吹き出し口44同士を結ぶ直線領域の上方領域に吸着ベルト63が配置されていれば、用紙をより確実に吸着、搬送することが可能となる。
【0063】
図示のように、第2気流V1bにより最終用紙P3が大きく浮揚し、用紙P1、P2は第1気流V1aにより浮揚する。
【0064】
貫通口71がない場合、積載台70に少数枚の用紙Pが積載している図8(b)、図9(b)に相当する状態では、積載台70と送風口44の上縁とにより制限された狭い面積の送風口44から気流が吹き出るために、用紙Pに吹きつけられる気流の風量は少なく用紙P1は吸着搬送機構60による吸着に必要なレベルL1に達しない場合が生ずる。このために、給紙不良が発生する場合がある。
【0065】
積載台70に貫通口71を設けて、積載台70上の用紙Pが少なくなったときに、第2気流V1bで最下位の最終用紙P3を浮揚させることにより、最上位の用紙P1がレベルL1まで浮揚し、吸着搬送機構60による吸着が確実に行われ、吸給紙不良がなくなった。
【0066】
図10は制御系のブロック図である。
【0067】
画像形成により用紙が消費されて積載用紙束の量が減少すると、制御部CSは上限センサPS3の検知信号に基づいて、積載用紙束の上面が常に所定のレベルになるように、駆動部としてのモータMTを作動させて、積載台31、70を上昇させる。積載台70の最高位置は図8(b)、図9(b)に示す位置である。図8(b)、図9(b)では、送風口44の中間に積載台70が位置しており、第1送風ユニット40からの気流は積載台70の上方に流通する第1気流V1aと、積載台70の下方に流通する第2気流V1bとに分割される。第2気流V1bは貫通口71を通過して、積載台70の上方に流通し、最下位の最終用紙P3を押し上げる。
【0068】
<実施の形態2>
図11は本発明の実施の形態2に係る給紙装置における積載台を示す図である。本実施の形態は、積載台以外は前述した実施の形態1に同じである。
【0069】
図7における積載台70に相当する積載台は2枚の積載台70A、70Bからなり、それぞれ第1送風ユニット40と一体に形成されている。また、積載台70A、70Bはそれぞれ貫通口71を有する。
【0070】
積載台70Aには、凸部70Cと凹部70Dとが形成され、積載台70Bには凹部70Eと凸部70Fが形成される。積載台70A、70Bは用紙サイズに応じて幅方向(矢印Y)に移動するが、小サイズにおいて、積載台70Aと積載台70Bとが接近したときは、凸部70Cが凹部70Eに入り、凸部70Fが凹部70Dに入る。凸部70Cには、リブ74Aが形成され、凸部70Fにはリブ74Bが形成される。リブ74A、74Bは、送風口44に対向する位置に設けられ、送風口44から吹き出す気流V1がリブ74A、74Bの上方を流通する。リブ74A、74Bは、積載台70Aと一体な第1送風ユニット41の送風口44(図6参照)から、積載台70Bと一体な第1送風ユニット41の送風口44に向かって延びている。
【0071】
リブ74A、74Bの搬送方向(矢印X)に沿った断面図である図12に示すように、リブ74A、74Bで最下位の用紙Pnが持ち上げられる。この隙間に、対向する2つの吹き出し口44から吹き出される第1気流V1aのうちの一部が入り込み、両方の気流同士の衝突によって最下位の用紙Pnの下面で正圧を生じ、用紙Pnを押し上げて浮揚させる。この押し上げ力にアシストされ、浮揚された最上位の用紙P1は吸着レベルであるLに浮揚される。このように、図8、9に示す第2気流V1bとリブ74A、74Bの持ち上げによって吹き込まれる第1気流V1aとにより、下方の用紙が持ち上げられ、最上位の用紙P1が吸着に必要なレベルLに達し、良好な給紙が行われる。
【0072】
リブ74A、74Bは図示のように、積載台70A、70Bを曲げ加工することにより形成される。しかしながら、リブ74A、74B20を積載台70A、70Bと別部材で構成することもできる。例えば、リブ74A、74Bを弾性部材で構成することもできる。
【0073】
リブ74A、74Bの高さHが2.0mm以上である場合に、特に、良好な給紙が行われた。なお、リブ74A、74Bが高すぎると、用紙に屈曲部が形成される場合があり、10mm以下とすることが好ましい。
【0074】
表1はリブ74A、74Bの高さHを種々変化させて行った給紙試験の結果を示す。
【0075】
【表1】
【0076】
表1に示すように、高Hが1.2mmではノーフィードの給紙不良が発生し、高さ5.0mmでは下位用紙に屈曲ができた。
【0077】
なお、表1の給紙試験では、板金からなる積載台70A、70Bを曲げ加工してリブ74A、74Bを形成した。
【0078】
リブ74A、74Bをゴム部材で形成した場合には、リブ74A、74Bの高さHが10mmまで用紙の屈曲を発生しないで良好な給紙が行われた。
【0079】
本発明においては、積載台70A、70Bに貫通口71を設けず、リブ74A、74Bのみにより、用紙を持ち上げ、最上位に用紙P1を吸着に必要なレベルLまで浮揚させる給紙によっても用紙を1枚ずつ分離して送り出すことが可能である。
【符号の説明】
【0080】
31、70、70A、70B 積載台
40 第1送風ユニット
50 第2送風ユニット
60、吸着搬送機構
44、71 送風口
74A、74B リブ
MT モータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載した多数枚の用紙から用紙を1枚ずつ送り出す給紙装置及び給紙装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、印刷機等には、従来給紙ローラにより給紙台に多数枚積載された用紙を1枚ずつ送り出す給紙装置が用いられているが、給紙ローラを用いた給紙装置では、給紙ローラのすべりのためにノーフィードが生じたり、紙質や環境の如何によっては、複数枚が纏まって送り出される重送が生じたり等の問題がある。また、給紙ローラの摩耗が進行することにより、これらの給紙不良が顕著になるという問題がある。複写機やプリンタの用途が拡大し、使用される用紙の種類が多くなるとともに、高速化が進んだ結果、前述した問題を解決することが大きな課題となってきている。
【0003】
このような課題を解決する手段として、エアを吹きつけ用紙を浮揚させ、浮揚した用紙を吸着搬送機構で吸着して1枚に分離し、搬送するエア給紙装置と称される給紙装置が注目されている。エア給紙装置では、積載用紙束の側面にエアを吹きつけて、用紙を浮揚させ、浮揚した用紙の最上位の用紙を吸着搬送機構により吸着し搬送する。側面への吹きつけによりエアが用紙間の間隙に進入し、十分なエア層を形成する。これにより、用紙1枚1枚の分離が良好になり、高速で確実な用紙送り出しが可能となる。
【0004】
しかしエア給紙装置では、トレイに積載した用紙を順次給紙していく過程において、その残量が極端に少なくなる最終紙付近にて、用紙が十分に浮上せず、吸着搬送機構に吸着できないという新たな課題が発生した。この問題について、図13を用いて説明する。
【0005】
図13において、積載台70上に積載され積載用紙束の側面から気流V1が吹きつけられて用紙が浮揚する。積載用紙束の最上位の用紙P1がレベルLに達すると吸着搬送機構60が用紙P1を吸着し搬送する。吸着搬送機構60が用紙P1を吸着するには、吸着搬送機構60の吸着面である下面から所定の間隔を持ったレベルであるレベルLまで用紙P1が浮揚される必要がある。
【0006】
一方積載台70は最上位の用紙P1が常に一定の高さにあるように制御されるので、積載台70上の用紙が残り少なくなったときには、積載台70は、気流V1を形成する送風口44に上下方向にまたがるようになる。その結果、気流V1のうち、積載用紙の隙間に吹き込まれる風量、特に最上位の用紙P1の下面に吹き込まれる風量が減少して、用紙を浮揚させる力が弱くなる。その結果、最上位の用紙P1が所定のレベルLまで浮揚しなくなって、吸着搬送機構60の吸着不良が起こり、ノーフィードが発生する。この問題を解決するために、過去に様々な対策が考案されている。
【0007】
特許文献1では、積載された用紙の前端部に対して吹きつけ手段によってエアを吹きつけ、吸引手段で最上位の用紙を吸引して搬送するエア給紙装置において、用紙台に用紙搬送方向に伸びたリブを設け、用紙と用紙台との隙間に気流を送り込み、用紙を浮揚させるエア給紙装置が開示されている。
【0008】
特許文献2の請求項5および図6には、用紙の前端部にエアを吹きつける吹きつけファンと、用紙の下面に下方からエアを吹きつける最終用紙吹きつけファンを有するエア給紙装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−226436号公報
【特許文献2】特開2000−198557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1では、ある程度の坪量の用紙までは効果を発揮するが、極端に重い用紙、例えば坪量300g/m2のA3サイズのような用紙の場合には効果を発揮しない。すなわち、用紙の前端部からエアを吹きつけても、エアの大部分はリブと用紙の隙間よりも用紙上部の空間に流れてしまう。仮に風量を上げて、リブと用紙の隙間に一定量のエアが吹き込まれたとしても、最上位の用紙の下に一方の端面から吹き込まれたエアはそのまま反対側の端面に吹き流れ、用紙は僅かに持ち上がったとしてもそれを吸着手段にまで上昇させるほどの効果的な浮力が得られず、したがって重い用紙を浮上させる事が出来ない。
【0011】
参考文献2でも、ある程度の坪量の用紙までは効果を発揮するが、極端に重い用紙、例えば坪量300g/m2のA3サイズのような用紙の場合には、最終用紙吹き付けファンは相当量の風圧を発生する為に大型のものが必要となり、これを用紙の積載部の下方に配置しなければならない為、装置全体が大型化してしまう問題がある。また、最終紙の浮上の為だけに大型のファンを必要とし、コストが増大する問題がある。
【0012】
本発明は、従来のエア給紙装置における前述した問題を解決し、積載台上の用紙が少ない場合でも、確実に用紙を吸着搬送手段に吸着させ、安定した給紙を行い、かつ小型で低コストな給紙装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的は下記の発明により達成される。
【0014】
1.用紙が積載される積載台と、
前記積載台上の積載用紙束の側面に気流を吹きつける送風部と、
前記送風部からの気流により浮揚した用紙の最上位の用紙を吸着し搬送する吸着搬送機構と、
前記積載台を上方に移動させる駆動部とを有する用紙給紙装置において、
前記送風部は、積載用紙束の対向する両側面に向けて気流を吹きつける複数の送風口を有し、
前記複数の送風口は、それぞれ前記積載台が前記駆動部により最高位置に上昇したときに、前記積載台よりも上方に流れる第1気流と前記積載台よりも下方に流れる第2気流とを作るように形成され、
前記積載台は、前記第2気流を前記積載台の下方から前記積載台の上方に流通させる貫通口を有することを特徴とする給紙装置。
【0015】
2.前記積載台の上面であって、前記複数の送風口からそれぞれの第1気流が流れる位置に、リブが形成されていることを特徴とする前記1に記載の給紙装置。
【0016】
3.前記リブは、複数の前記送風口の一方から他方に向って延びていることを特徴とする前記2に記載の給紙装置。
【0017】
4.用紙が積載される積載台と、
前記積載台上の積載用紙束の側面に気流を吹きつける送風部と、
前記送風部からの気流により浮揚した用紙の最上位の用紙を吸着し搬送する吸着搬送機構と、
前記積載台を上方に移動させる駆動部とを有する用紙給紙装置において、
前記送風部は、積載用紙束の対向する両側面に気流を吹きつける複数の送風口を有し、
前記積載台の上面であって、前記複数の送風口からそれぞれの気流が流れる位置に、リブが形成されていることを特徴とする給紙装置。
【0018】
5.前記リブは、複数の前記送風口の一方から他方に向って延びていることを特徴とする前記4に記載の給紙装置。
【0019】
6.前記リブの高さは、2mm以上10mm以下であることを特徴とする前記2〜5のいずれか1項に記載の給紙装置。
【0020】
7.前記送風部は用紙の側端を規制する側端規制部材を有し、前記側端規制部材は、前記送風口を形成することを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の給紙装置。
【0021】
8.前記1〜7のいずれか1項に記載の給紙装置と、前記給紙装置から送り出された用紙に画像を形成する画像形成部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0022】
本発明において、積載台に貫通口を設けることにより、積載用紙束の両側面から吹きつけられる気流を利用して、用紙の下方から上方向に吹きつけ、用紙下面と積載台との間に挟まれる空間に風圧を生じさせて、用紙に対する揚力を発生させている。また本発明においては、積載台に、対向する送風口の交叉方向にリブを設けて、気流が吹きつけられる位置において、用紙下面と積載台との間に挟まれる空間に風圧を生じさせて、用紙に対する揚力を発生させている。
【0023】
これらにより、積載用紙束の底部に僅かに残された厚紙大サイズの用紙をも効果的に持ち上げる事が可能となるため、積載台上の用紙が少なくなったときに起こる吸着不良が防止され、いかなる種類の用紙に対してもノーフィードを起こすことなく安定した給紙を行い、小型、且つ低コストの給紙装置及び画像形成装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る給紙装置である給紙ユニットの斜視図である。
【図3】給紙ユニットの正面断面図である。
【図4】給紙ユニットの平面図である。
【図5】給紙ユニットの側断面図である。
【図6】第1送風ユニット40と第2送風ユニット50による用紙吸着搬送過程を示す断面図である。
【図7】用紙を収容しない給紙ユニットLTUの平面図である。
【図8】図2の点Zにおける矢印Xに沿った垂直断面図である。
【図9】図2の点Zにおける矢印Yに沿った垂直断面図である。
【図10】制御系のブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る給紙装置における積載台70を示す図である。
【図12】積載台70A、70Bに設けられたリブ74A、74Bを示す図である。
【図13】送風口44近傍の断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明を本発明の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は以下に説明する実施の形態に限られるものではない。
【0026】
<画像形成装置>
図1は、画像形成装置本体A、画像読取装置SC、自動原稿送り装置DF、大容量給紙装置LTから構成された画像形成装置の全体構成図である。
【0027】
図示の画像形成装置本体Aは、感光体(像担持体)1、帯電手段2、像露光装置3、現像装置4、転写手段5、クリーニング手段6と、定着装置7と、用紙搬送系と、から構成される画像形成部を備える。
【0028】
用紙搬送系は、第1給紙手段11と、第2給紙手段12と、排紙手段14と、搬送路切換手段15と、循環再給紙手段16と、反転排紙手段17とから構成されている。画像形成部には、2個の給紙カセット10から第1給紙手段11により用紙Pが送り出される。
【0029】
自動原稿送り装置DFの原稿台上に載置された原稿dは給紙手段により搬送され、画像読取装置SCの光学系により原稿dの片面又は両面の画像が読みとられ、イメージセンサCCDにより読み込まれる。イメージセンサCCDにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部20において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、像露光装置3に画像信号を送る。
【0030】
画像形成部においては、帯電、露光、現像、転写、分離、クリーニング等の処理が行われる。
【0031】
画像形成部において、感光体1に対し、帯電手段2により電荷(本実施の形態では負帯電)が付加され、像露光装置3からのレーザ光照射により静電潜像が形成され、現像装置4により静電潜像が顕像化されてトナー像(本実施の形態では負電荷)となる。一方、給紙カセット10に収容された用紙Pが第1給紙手段11から搬送される。用紙Pは、レジストローラから成る第2給紙手段12でトナー像との同期がとられて搬送される。その後、用紙Pには、転写手段5でトナー像が転写され、用紙Pに転写されたトナー像は定着装置7により定着される。
【0032】
定着処理後の用紙Pは、排紙手段14により装置外に排出される。一方、クリーニング手段6により感光体1上の転写残のトナーが除去される。なお、両面コピーの場合は、第1面に画像形成された用紙Pは、循環再給紙手段16に送り込まれて反転され、再び画像形成手段において第2面に画像形成後、排紙手段14により装置外に排出される。反転排紙の場合は、通常の排紙通路から分岐した用紙Pは、反転排紙手段17においてスイッチバックして表裏反転された後、排紙手段14により装置外に排出される。
【0033】
画像形成装置本体Aには大容量給紙装置LTが連結されている。大容量給紙装置LTは3段の給紙ユニットLTU1、LTU2、LTU3を有する。給紙ユニットLTU1、LTU2、LTU3のそれぞれは第1送風ユニット40、第2送風ユニット50、吸着搬送機構60等を有し、大量の用紙Pを収容して、画像形成装置本体Aに用紙Pを1枚ずつ給送する。
【0034】
<給紙ユニット(実施の形態1)>
図2は本発明の実施の形態1に係る給紙装置である大容量給紙装置を構成する給紙ユニットを示す斜視図、図3は給紙ユニットの正面断面図、図4はその平面図、図5はその側断面図である。図2〜5では図1における給紙ユニットLTU1、LT2.LTU3をLTUで示す。
【0035】
これらの図において、積層された用紙Pは、積載台31の上に積載され、昇降機構(図示せず)により昇降可能に収容されている。送風部としての第1送風ユニット40は、矢印Xで示す用紙Pの搬送方向と直交する方向である幅方向(矢印Y)に移動自在になっており、積載された用紙Pの用紙幅に対応して、用紙Pの両側を軽く押圧して用紙Pの両側位置を規制する側端規制部材41(後に説明)を有する。先端規制部材32は、用紙Pの搬送方向(矢印X)先端の位置を規制している。後端規制部材33は、用紙Pの搬送方向(矢印X)に沿って前後に移動自在で、用紙Pの搬送方向後端の位置を規制している。
【0036】
また、図3に示すように、後端規制部材33には、最上部付近の用紙Pの高さを検知する上限センサPS3が配置されている。
【0037】
積載台31上に積載用紙束の高さを、エアの吹きつけ、用紙Pの吸着に最適なように維持するために、後述の制御部(後述)が上限センサPS3の検知結果に基づいて、駆動部としてのモータ(後述)を作動させ、積載台31を上昇させる公知の制御を行う。
【0038】
用紙Pの搬送方向先端近傍には、吸着搬送機構60が配置されている。吸着搬送機構60は、駆動源(図示せず)に接続する大ローラ61と2個の小ローラ62を巻回して回動する吸着ベルト63を有する。吸着ベルト63は多数の小径の貫通孔が穿設されている。吸着ベルト63の内方には吸引手段64が配置されており、吸着ベルト63は用紙Pを吸引しながら搬送する。
【0039】
吸着ベルト63が用紙Pを吸引しながら回動すると、積載台31上の積載用紙束の最上位の用紙Pが図示の矢印Xの方向に進み、画像形成装置本体Aへ送り込まれる。
【0040】
吸着ベルト63の吸着面の近傍に配置され用紙吸着検知センサPS1は、用紙Pの最上面が吸着されたことを検知する。用紙吸着センサPS1は複数本の吸着ベルト63のベルト間から下方に垂れ下がったアクチュエータを有し、用紙Pが吸着したときに、アクチュエータが持ち上げられて用紙Pの吸着を検知する。
【0041】
積載台31の用紙搬送方向下流側の吸着ベルト63の近傍に配置されたフィードセンサPS2は、給送される用紙Pの通過を検知する。
【0042】
積載台31の用紙搬送方向下流側の吸着ベルト63の近傍には、第2送風ユニット50が給紙装置本体30に固定されている。第2送風ユニット50はファン等により構成されている。なお、第2送風ユニット50は、給紙装置本体30に取り付けられ、ダクトを介して積載用紙束の先端部に送風するように構成してもよい。
【0043】
第2送風ユニット50のファン51は送風口53を上向きにして取り付けられている。上向きに吹きつけられたエアは、ガイド板52により向きを変えられ、斜め上方に送風口53から吹き出され、吸着搬送機構60の吸着ベルト63の下流部近傍に吹きつけられる。
【0044】
図2、図5に示すように、用紙Pの搬送方向に直交する側方から積載台31上に積層された用紙Pの上部にエアを吹きつける送風部としての第1送風ユニット40が積載台31の両側面に配置されている。第1送風ユニット40は図5に示すように、多数枚の用紙Pからなる積載用紙束の側面に気流V1を吹きつける。第1送風ユニット40は、用紙Pの幅方向(矢印Y)の両側方の送風口44から用紙Pの上部にエアを吹きつけるファン42を有する。送風口44は図2、4に示すように、吸着搬送機構60に対応してその下方に配置されており、用紙Pからなる積載用紙束の側面にエアを吹きつける。
【0045】
第1送風ユニット40には側端規制部材41が設けられている。ファン42は吹き出し口を上向きにして取り付けられており、その一部が側端規制部材41により形成される。上向きに吹きつけられたエアは、ファン42の吹き出し口形成部材42Aにより90°向きを変えられ、略水平方向に送風口44から吹き出る気流V1を形成ように、送風口44は側端規制部材41の上端近くに送風口している。送風口44の幅は、第1送風ユニット40の吹出口の幅とほぼ同じになっている。最上位の用紙Pが送風口44の上下端、即ち、吹き出し口形成部材42Aと側端規制部材41の上端とのほぼ中央に来るような位置関係が望ましい。第1送風ユニット40は一体な側端規制部材41を有するので、用紙Pのサイズが変更された場合でも、側端規制部材41を移動することによって、第1送風ユニット40も一緒に移動できることになる。なお、第1送風ユニット40は、本実施の形態では、用紙Pの両側に設けられているが、片側だけにしてもよい。
【0046】
第1送風ユニット40が作動すると、送風口44からエアが排出され、積載用紙束の上部にある数枚の用紙Pにエアが吹きつけられる。エアは用紙Pの一方の端部から用紙間を通り抜けて他方の端部に向けて流通する。これによって用紙Pの上部数枚は1枚ずつに分離されて浮揚する。吸着搬送機構60は、こうして分離された用紙Pから最上位の用紙P1だけを吸着して確実に下流側に送り込む。
【0047】
図2、図3に示すように、第1送風ユニット40の吸気口は、遮蔽手段によって遮蔽され、開閉自在である。即ち、遮蔽手段の遮蔽部材(シャッタ)45は軸46により軸支され、ソレノイド(図示せず)によって開閉される。制御部は、遮蔽部材45の開閉を制御して第1送風ユニット40によるエア吹付の実施、非実施を切り換え制御する。
【0048】
図6は、第1送風ユニット40と第2送風ユニット50による用紙吸着搬送過程を示す断面図である。
【0049】
図6(a)は用紙吸着過程を示す。第1送風ユニット40により吹き上げられる気流V1(図4,5の白抜き矢印)によって、積載台31上の積載用紙束のうちの上層の少数枚の用紙Pが用紙Pの自重に抗して持ち上げられ、吸着ベルト63の負圧による吸気V3(図示の白抜き矢印)により吸着される。気流V1は後に説明するように、用紙Pの側端に吹きつけられ、積載用紙束を構成する用紙Pと用紙Pとの間を流通し、各用紙Pを分離して浮揚させる。第2送風ユニット50により吹き上げられる気流V2(図示の白抜き矢印)は、吸着ベルト63の前方底部近傍を吹きつけている。
【0050】
図6(b)は、最上位に用紙P1を分離する用紙分離過程を示す。遮蔽部材45が第1送風ユニット40の吸気口を遮蔽して送風を停止すると、第2送風ユニット50のみによる送風が、最上位の用紙P1と、その下方の用紙Pの紙間を流通する。最上位の用紙P1は吸着搬送機構60の吸気V3によって吸着されるとともに、第2送風ユニット50からの気流V2が用紙Pの先端に吹きつけられるので、気流V2による風圧で、最上位の用紙P1と、その下にある用紙Pとが分離される。気流V2により分離された最上位の用紙P1の下方の用紙Pは、自重によって矢印方向に下降し、積載用紙束の一部となる。
【0051】
このように第1送風ユニット40と第2送風ユニット50との作動で用紙Pを浮揚の後、吸着搬送機構60に吸着させ、次に、第1送風ユニット40を停止し、第2送風ユニット50の作動を継続して最上位の用紙P1を分離して搬送するという浮揚、吸着及び搬送を繰り返すことにより、積載用紙束の上部の数枚の用紙Pの浮き上がりが、送風口44の位置における用紙Pのほぼ全面に拡がり、各用紙間の隙間がほぼ同じ間隔になる。そして、この隙間をエアが流通する。これによって、用紙P1の分離が良くなり、用紙P1を送り出し易くなる。このような用紙吸着搬送過程により、用紙P1の浮揚が大きくなりすぎて用紙を傷めたり、複数枚の用紙が密着したまま纏まって浮揚して、分離できなかったりする問題が解消される。
【0052】
図7〜9を用いて気流V1による用紙Pの浮揚についてさらに説明する。
【0053】
図7は用紙を収容しない給紙ユニットLTUの平面図である。図8は図2の点Zにおける矢印Xに沿った垂直面図を、図9は図2の点Zにおける矢印Yに沿った垂直断面をそれぞれ示し、図8(a)、図9(a)は積載台70上に多数枚の用紙Pが積載している状態における用紙Pの浮揚を、図8(b)、図9(b)は少数枚の用紙Pが積載台70上に積載している状態での用紙Pの浮揚をそれぞれ示す模式図である。
【0054】
積載台70は用紙Pの側縁に吹きつけられる気流V1の送風口44の位置で用紙Pを支持する。用紙Pの先頭部は積載台70により支持され、先頭部に続く用紙Pの部分が積載台31により支持される。積載台70のそれぞれは2個の側端規制部材41と一体に形成されており、ガイド棒72によりガイドされて左右に移動可能である。積載台70は貫通口71を有する。
【0055】
後端規制部材33はガイド棒73によりガイドされて図7の上下方向、即ち、用紙の搬送方向に移動可能である。側端規制部材41と後端規制部材33とは給紙ユニットLTUに装填される用紙Pのサイズに応じて手動又は自動で移動する。
【0056】
第1送風ユニット40は用紙Pの側部を規制する側端規制部材41とファン42とを有する。送風口44はファン42の吹き出し口形成部材42Aと側端規制部材41とにより形成される。
【0057】
多数枚の用紙Pが積載台70上にある図8(a)、図9(a)のときは、積載台70が送風口44の下方に位置しており、ファン42からの気流V1が送風口44から積載用紙束の側面に吹きつけられる。
【0058】
気流V1は積載用紙束を構成する1枚1枚の用紙Pの間に進入する。その結果、用紙Pと用紙Pとの間にエア層が形成されて、複数枚の用紙Pがエア層を隔てて重なった状態となり、用紙Pの1枚ずつが分離された状態で浮揚する。
【0059】
最上位の用紙P1はレベルLに達し、吸気V3(図6参照)が用紙PIに対して作用し、用紙P1は吸着搬送機構60に吸着される。
【0060】
積載台70上の用紙Pが、例えば、数枚のように少なくなったときには、図8(b)、図9(b)に示すように、積載台70は送風口44の高さにまで上昇する。図8(b)、図9(b)に示す状態では、送風口44に対して積載台70が上下方向にまたがった位置に配置される結果、ファン42からの気流は、第1気流V1aと第2気流V1bとに分割される。
【0061】
第1気流V1aは積載台70の上方に流れ、用紙Pの側縁に吹きつけられて用紙P間に流通し用紙Pを浮揚させる。第2気流V1bは積載台70の下方に流れるが、そのうちの一部が貫通口71を通過して積載台70の上方に流れて、最下位の最終用紙P3の下から吹きつけられ、最下位にある最終用紙P3を押し上げ浮揚させる。
【0062】
更に、貫通口71は対向する両側面に配置されているため、それぞれから吹き込まれた気流同士が用紙の中央付近で衝突して、用紙の下方に正圧を生じさせ、最終用紙P3の中央付近を効果的に浮上させることが出来る。用紙が大きく浮上する箇所、すなわち、対向する2つの吹き出し口44同士を結ぶ直線領域の上方領域に吸着ベルト63が配置されていれば、用紙をより確実に吸着、搬送することが可能となる。
【0063】
図示のように、第2気流V1bにより最終用紙P3が大きく浮揚し、用紙P1、P2は第1気流V1aにより浮揚する。
【0064】
貫通口71がない場合、積載台70に少数枚の用紙Pが積載している図8(b)、図9(b)に相当する状態では、積載台70と送風口44の上縁とにより制限された狭い面積の送風口44から気流が吹き出るために、用紙Pに吹きつけられる気流の風量は少なく用紙P1は吸着搬送機構60による吸着に必要なレベルL1に達しない場合が生ずる。このために、給紙不良が発生する場合がある。
【0065】
積載台70に貫通口71を設けて、積載台70上の用紙Pが少なくなったときに、第2気流V1bで最下位の最終用紙P3を浮揚させることにより、最上位の用紙P1がレベルL1まで浮揚し、吸着搬送機構60による吸着が確実に行われ、吸給紙不良がなくなった。
【0066】
図10は制御系のブロック図である。
【0067】
画像形成により用紙が消費されて積載用紙束の量が減少すると、制御部CSは上限センサPS3の検知信号に基づいて、積載用紙束の上面が常に所定のレベルになるように、駆動部としてのモータMTを作動させて、積載台31、70を上昇させる。積載台70の最高位置は図8(b)、図9(b)に示す位置である。図8(b)、図9(b)では、送風口44の中間に積載台70が位置しており、第1送風ユニット40からの気流は積載台70の上方に流通する第1気流V1aと、積載台70の下方に流通する第2気流V1bとに分割される。第2気流V1bは貫通口71を通過して、積載台70の上方に流通し、最下位の最終用紙P3を押し上げる。
【0068】
<実施の形態2>
図11は本発明の実施の形態2に係る給紙装置における積載台を示す図である。本実施の形態は、積載台以外は前述した実施の形態1に同じである。
【0069】
図7における積載台70に相当する積載台は2枚の積載台70A、70Bからなり、それぞれ第1送風ユニット40と一体に形成されている。また、積載台70A、70Bはそれぞれ貫通口71を有する。
【0070】
積載台70Aには、凸部70Cと凹部70Dとが形成され、積載台70Bには凹部70Eと凸部70Fが形成される。積載台70A、70Bは用紙サイズに応じて幅方向(矢印Y)に移動するが、小サイズにおいて、積載台70Aと積載台70Bとが接近したときは、凸部70Cが凹部70Eに入り、凸部70Fが凹部70Dに入る。凸部70Cには、リブ74Aが形成され、凸部70Fにはリブ74Bが形成される。リブ74A、74Bは、送風口44に対向する位置に設けられ、送風口44から吹き出す気流V1がリブ74A、74Bの上方を流通する。リブ74A、74Bは、積載台70Aと一体な第1送風ユニット41の送風口44(図6参照)から、積載台70Bと一体な第1送風ユニット41の送風口44に向かって延びている。
【0071】
リブ74A、74Bの搬送方向(矢印X)に沿った断面図である図12に示すように、リブ74A、74Bで最下位の用紙Pnが持ち上げられる。この隙間に、対向する2つの吹き出し口44から吹き出される第1気流V1aのうちの一部が入り込み、両方の気流同士の衝突によって最下位の用紙Pnの下面で正圧を生じ、用紙Pnを押し上げて浮揚させる。この押し上げ力にアシストされ、浮揚された最上位の用紙P1は吸着レベルであるLに浮揚される。このように、図8、9に示す第2気流V1bとリブ74A、74Bの持ち上げによって吹き込まれる第1気流V1aとにより、下方の用紙が持ち上げられ、最上位の用紙P1が吸着に必要なレベルLに達し、良好な給紙が行われる。
【0072】
リブ74A、74Bは図示のように、積載台70A、70Bを曲げ加工することにより形成される。しかしながら、リブ74A、74B20を積載台70A、70Bと別部材で構成することもできる。例えば、リブ74A、74Bを弾性部材で構成することもできる。
【0073】
リブ74A、74Bの高さHが2.0mm以上である場合に、特に、良好な給紙が行われた。なお、リブ74A、74Bが高すぎると、用紙に屈曲部が形成される場合があり、10mm以下とすることが好ましい。
【0074】
表1はリブ74A、74Bの高さHを種々変化させて行った給紙試験の結果を示す。
【0075】
【表1】
【0076】
表1に示すように、高Hが1.2mmではノーフィードの給紙不良が発生し、高さ5.0mmでは下位用紙に屈曲ができた。
【0077】
なお、表1の給紙試験では、板金からなる積載台70A、70Bを曲げ加工してリブ74A、74Bを形成した。
【0078】
リブ74A、74Bをゴム部材で形成した場合には、リブ74A、74Bの高さHが10mmまで用紙の屈曲を発生しないで良好な給紙が行われた。
【0079】
本発明においては、積載台70A、70Bに貫通口71を設けず、リブ74A、74Bのみにより、用紙を持ち上げ、最上位に用紙P1を吸着に必要なレベルLまで浮揚させる給紙によっても用紙を1枚ずつ分離して送り出すことが可能である。
【符号の説明】
【0080】
31、70、70A、70B 積載台
40 第1送風ユニット
50 第2送風ユニット
60、吸着搬送機構
44、71 送風口
74A、74B リブ
MT モータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙が積載される積載台と、
前記積載台上の積載用紙束の側面に気流を吹きつける送風部と、
前記送風部からの気流により浮揚した用紙の最上位の用紙を吸着し搬送する吸着搬送機構と、
前記積載台を上方に移動させる駆動部とを有する用紙給紙装置において、
前記送風部は、積載用紙束の対向する両側面に向けて気流を吹きつける複数の送風口を有し、
前記複数の送風口は、それぞれ前記積載台が前記駆動部により最高位置に上昇したときに、前記積載台よりも上方に流れる第1気流と前記積載台よりも下方に流れる第2気流とを作るように形成され、
前記積載台は、前記第2気流を前記積載台の下方から前記積載台の上方に流通させる貫通口を有することを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記積載台の上面であって、前記複数の送風口からそれぞれの第1気流が流れる位置に、リブが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記リブは、複数の前記送風口の一方から他方に向って延びていることを特徴とする請求項2に記載の給紙装置。
【請求項4】
用紙が積載される積載台と、
前記積載台上の積載用紙束の側面に気流を吹きつける送風部と、
前記送風部からの気流により浮揚した用紙の最上位の用紙を吸着し搬送する吸着搬送機構と、
前記積載台を上方に移動させる駆動部とを有する用紙給紙装置において、
前記送風部は、積載用紙束の対向する両側面に気流を吹きつける複数の送風口を有し、
前記積載台の上面であって、前記複数の送風口からそれぞれの気流が流れる位置に、リブが形成されていることを特徴とする給紙装置。
【請求項5】
前記リブは、複数の前記送風口の一方から他方に向って延びていることを特徴とする請求項4に記載の給紙装置。
【請求項6】
前記リブの高さは、2mm以上10mm以下であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項7】
前記送風部は用紙の側端を規制する側端規制部材を有し、前記側端規制部材は、前記送風口を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の給紙装置と、前記給紙装置から送り出された用紙に画像を形成する画像形成部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
用紙が積載される積載台と、
前記積載台上の積載用紙束の側面に気流を吹きつける送風部と、
前記送風部からの気流により浮揚した用紙の最上位の用紙を吸着し搬送する吸着搬送機構と、
前記積載台を上方に移動させる駆動部とを有する用紙給紙装置において、
前記送風部は、積載用紙束の対向する両側面に向けて気流を吹きつける複数の送風口を有し、
前記複数の送風口は、それぞれ前記積載台が前記駆動部により最高位置に上昇したときに、前記積載台よりも上方に流れる第1気流と前記積載台よりも下方に流れる第2気流とを作るように形成され、
前記積載台は、前記第2気流を前記積載台の下方から前記積載台の上方に流通させる貫通口を有することを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記積載台の上面であって、前記複数の送風口からそれぞれの第1気流が流れる位置に、リブが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記リブは、複数の前記送風口の一方から他方に向って延びていることを特徴とする請求項2に記載の給紙装置。
【請求項4】
用紙が積載される積載台と、
前記積載台上の積載用紙束の側面に気流を吹きつける送風部と、
前記送風部からの気流により浮揚した用紙の最上位の用紙を吸着し搬送する吸着搬送機構と、
前記積載台を上方に移動させる駆動部とを有する用紙給紙装置において、
前記送風部は、積載用紙束の対向する両側面に気流を吹きつける複数の送風口を有し、
前記積載台の上面であって、前記複数の送風口からそれぞれの気流が流れる位置に、リブが形成されていることを特徴とする給紙装置。
【請求項5】
前記リブは、複数の前記送風口の一方から他方に向って延びていることを特徴とする請求項4に記載の給紙装置。
【請求項6】
前記リブの高さは、2mm以上10mm以下であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項7】
前記送風部は用紙の側端を規制する側端規制部材を有し、前記側端規制部材は、前記送風口を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の給紙装置と、前記給紙装置から送り出された用紙に画像を形成する画像形成部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−225307(P2011−225307A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94817(P2010−94817)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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