説明

給送装置及び画像形成装置

【課題】安定した状態で記録媒体が引っ掛かることなく、媒体収容体の2方向の出し入れが可能である給紙装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】給送装置本体10には、媒体収容体47を外周側から保持するための保持体46が配置される給送装置である。平面的に見て給送手段4による給送方向上流側及び/又は給送方向下流側への給送装置本体10に対する媒体収容体47の出し入れとなる第1方向操作と、第1方向操作の出し入れ方向と直交する方向の媒体収容体47の出し入れとなる第2方向操作とが可能である。第1方向操作の取り出し動作の際には、保持体46が給送装置本体側に留置されて媒体収容体47が取り出され、第2方向操作の際には、保持体46が媒体収容体47とともに給送装置本体10に対して出し入れされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の記録媒体を給紙することができる給送装置、及び給送装置を備えたレーザープリンタ、ディジタル複写機、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置における給送装置としては、記録媒体束が積層収納可能な給紙トレイ(給紙カセット)を有し、この給紙トレイが画像形成装置本体に着脱自在にセットされる。この給紙トレイは、通常、画像形成装置本体の一面に設けられた開口部を介した出し入れが可能とされている。すなわち、1方向のみの着脱を可能としていた。
【0003】
しかしながら、画像形成装置の設置部位においては、この開口部側に何らかの障害物がある場合がある。このため、近年では、特許文献1及び特許文献2に記載のように、一つの給紙トレイを2方向から着脱可能としている。すなわち、一つの方向からの出し入れが出来ない場合であっても、他の方向からの出し入れが可能であり、紙の給紙が可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、2方向から着脱可能とする場合、給紙トレイを給紙方向に沿って着脱する場合と、この給紙方向と直交する方向に着脱する場合とにおいて、給紙トレイと装置本体側(収容部側)との間に、給紙トレイの出し入れを案内するガイド機構を必要とする。このため、装置本体側には、給紙方向の出し入れを案内するガイドレールと、給紙方向と直交する方向の出し入れを案内するガイドレールとを必要とする。
【0005】
また、給紙トレイを給紙方向に沿って着脱する場合における挿入時の給紙トレイの位置決め機構、及び給紙トレイを給紙方向と直交するに沿って着脱する場合における挿入時の給紙トレイの位置決め機構を必要とする。このため、装置本体側に両方向に位置決め機構を構成するストッパ等を必要とする。
【0006】
2方向からの着脱を可能とするためには、装置本体側に、2方向用にガイドレールやストッパ等を必要として、装置本体側の構成が複雑化して、小型コンパクト化を達成できないおそれがある。しかも、一方の方向の出し入れ時において、他方の方向用のガイドレールや位置決めストッパが妨げとなる場合もあり、このような場合には、各方向の出し入れ動作が安定しない。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑み、安定した状態で記録媒体が引っ掛かることなく、媒体収容体の2方向の出し入れが可能である給紙装置及び画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の給紙装置は、記録媒体束が積載収納される媒体収容体と、この媒体収容体の記録媒体束から媒体を給送するための給送手段と、媒体収容体と給送手段とを収納する給送装置本体とを備え、給送装置本体には、媒体収容体を外周側から保持するための保持体が配置される給送装置であって、平面的に見て給送手段による給送方向上流側及び/又は給送方向下流側への給送装置本体に対する媒体収容体の出し入れとなる第1方向操作と、前記第1方向操作の出し入れ方向と直交する方向の媒体収容体の出し入れとなる第2方向操作とが可能であり、第1方向操作の取り出し動作の際には、前記保持体が給送装置本体側に留置されて媒体収容体が取り出され、第2方向操作の際には、前記保持体が媒体収容体とともに給送装置本体に対して出し入れされるものである。
【0009】
本発明の給紙装置によれば、第1方向操作によって、給送方向上流側及び/又は給送方向下流側への媒体収容体の引き出しと押し込み(挿入)とが可能であり、第2方向操作によって、第1方向操作の出し入れ方向と直交する方向の媒体収容体の引き出しと押し込み(挿入)とが可能となる。すなわち、媒体収容体の2方向の着脱が可能となる。
【0010】
第1方向操作時においては、保持体を給送装置本体側に留置したまま媒体収容体が出し入れされることになり、第2方向操作時においては、保持体が媒体収容体に一体化された状態で媒体収容体が出し入れされることになる。
【0011】
したがって、第1方向操作時においては、媒体収容体が保持体に対して出し入れされることになり、この出し入れを案内するガイドレール等を保持体側に設けることになる。また、第2方向操作時においては、媒体収容体の外周側に配設される保持体が給送装置本体に対して出し入れされることになり、この出し入れを案内するガイドレール等を給送装置本体側に設けることになる。このため、給送装置本体側に、第1方向操作時に出し入れを案内するガイドレール等を設ける必要がなく、また、保持体側に、第2方向操作時に出し入れを案内するガイドレール等を設ける必要がなくなる。さらに、保持体は、給送装置本体との間に位置決めを行うとともに、媒体収容体は、保持体との間に位置決めを行うようにすればよい。
【0012】
このため、媒体収容体を外周側から保持するための保持体を備えることによって、給送装置本体側の構成、媒体収容体側の構成、及び保持体側の各構成の簡略化を図ることができる。
【0013】
第1方向操作における媒体収容体の挿入方向に沿った移動によって、保持体に設けられた保持体側係合部に係合するとともに、第1方向操作における媒体収容体の取り出し方向に沿った移動によって、保持体側係合部の係合が解除される収容体側係合部を、前記媒体収容体が有するものが好ましい。
【0014】
このように設定することによって、第2方向操作時においては、収容体側係合部と保持体側係合部とが係合しており、第2方向操作時においては保持体と媒体収容体とが一体化された状態で安定して出し入れできる。また、第1方向操作における引き出し動作においては、保持体への媒体収容体の係合が解除される。
【0015】
第2方向操作による媒体収容体の出し入れ動作途中乃至取り出し状態において、媒体収容体の保持体からの抜けを規制する規制手段を設けるのが好ましい。このように、規制手段を設けることによって、第2方向操作によって、保持体から媒体収容体が抜けるのが規制される。
【0016】
規制手段は、収容体側抜け規制部と保持体側抜け規制部とを備え、保持体と媒体収容体との給送装置本体への収容状態において、収容体側抜け規制部と保持体側抜け規制部との抜け規制状態が解除されて、第1方向操作による媒体収容体の取り出しを許容し、第2方向操作による媒体収容体の出し入れ動作途中乃至取り出し状態において、収容体側係合部と保持体係合部が抜け規制状態となって、媒体収容体の保持体からの抜けを規制するのが好ましい。
【0017】
このように、規制手段が収容体側抜け規制部と保持体側抜け規制部とを備えたものでは、保持体と媒体収容体との給送装置本体への収容状態においては第1方向操作による媒体収容体の取り出しを許容する。このため、第1方向操作による記録媒体の補給作業が安定する。また、第2方向操作による出し入れ動作途中乃至取り出し状態では、収容体側係合部と保持体係合部が抜け規制状態となって、媒体収容体の保持体からの抜けを規制することができ、第2方向操作において、作業者は、媒体収容体が保持体からの抜けるのを気にすることなく作業を行うことができる。
【0018】
規制手段の保持体側抜け規制部が、保持体の第1方向操作の出し入れ方向中央部よりも給送方向上流側に設けられるとともに、収容体側抜け規制部は、抜け規制状態と抜け規制解除状態とに変位するように、その基部側の枢支軸を中心に揺動し、かつ、枢支軸が前記保持体側抜け規制部よりも給送方向上流側に設けられて、第1方向操作の媒体収容体の挿入動作によって収容体側抜け規制部が保持体側抜け規制部に押されてこの保持体側抜け規制部を乗り越えるようにするのが好ましい。
【0019】
このように配置することによって、保持体に対して第1方向操作の媒体収容体の挿入動作を行えば、この挿入によって、保持体側抜け規制部に対応する位置となった場合に、収容体側抜け規制部が保持体側抜け規制部に押されてこの保持体側抜け規制部を乗り越えることになる。このため、第1方向操作における挿入動作を滑らかに行うことができる。しかも、枢支軸が前記保持体側抜け規制部よりも給送方向上流側に設けられるので、規制時(ロック時)には媒体収容体の保持体からの抜けを安定して防止できる。
【0020】
規制手段は、収容体側抜け規制部を抜け規制状態となる方向に弾性的に付勢する弾性部材を備えたものであってもよい。
【0021】
保持体と媒体収容体とが給送装置本体に収容された状態において、前記弾性部材の弾性力に抗して収容体側抜け規制部を押圧して抜け規制状態を解除させる解除部材を備え、この解除状態での媒体収容体の第1方向操作の引き抜きを可能とするのが好ましい。
【0022】
保持体と媒体収容体とが給送装置本体に収容された状態において、前記解除部材は、前記保持体側抜け規制部よりも給送方向上流側に設けられるのが好ましい。
【0023】
前記解除部材は給送装置本体側に設けられ、前記保持体に設けられた侵入許容部を介して、収容体側抜け規制部を押圧するように設定できる。
【0024】
収容体側抜け規制部は、第1方向操作時に、保持体に対して非接触状態が維持されるのが好ましい。
【0025】
収容体側抜け規制部は、媒体収容体の内部側から覆われているのが好ましい。このように設定することによって、媒体収容体内に記録媒体をセット等する際に作業者が収容体側抜け規制部に触れることがなくなる。
【0026】
第1方向操作による媒体収容体の出し入れを案内するガイド手段を備えたものが好ましい。ガイド手段によって、第1方向操作による媒体収容体の出し入れが安定する。
【0027】
本発明の画像形成装置は、記録媒体を収容する給送装置と、給送装置から給送される記録媒体に対して画像を形成する作像装置と、画像が形成された記録媒体を機外に搬出する排出装置とを、少なくとも備えた画像形成装置であって、この給送装置に前記給送装置を用いたものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明の給送装置では、媒体収容体の2方向の着脱が可能となる。これによって、記録媒体補給時・ジャム除去時の操作性の向上を図ることができ、また装置設置場所の多様化を図れる給送装置を提供できる。しかも、媒体収容体を外周側から保持するための保持体を備えることによって、給送装置本体側の構成、媒体収容体側の構成、及び保持体側の構成の簡略化を図ることができ、生産性の向上を図ることができ、しかも、媒体収容体の2方向の出し入れ動作を安定させることができる。特に、通常多く使用する第1方向操作時における出し入れでは、保持体が給送装置本体側に留置されるものであり、軽量の媒体収容体の出し入れとなって操作性の向上を図ることができる。
【0029】
第2方向操作における媒体収容体の挿入方向に沿った移動によって、収容体側係合部と保持体側係合部とが係合するものでは、第1方向操作及び第2方向操作を簡単な構成で安定して行うことができ、作業性の向上を図ることができる。
【0030】
規制手段を設けることによって、第2方向操作によって、保持体から媒体収容体が抜けるのが規制され、第2方向操作によって、保持体と媒体収容体とが分離せず、操作性のよい給送装置となる。
【0031】
規制手段が収容体側抜け規制部と保持体側抜け規制部とを備えたものでは、第1方向操作による記録媒体の補給作業が安定し、また、第2方向操作において、作業者は、媒体収容体が保持体からの抜けるのを気にすることなく作業を行うことができる。このため、第1方向操作及び第2方向操作をそれぞれ安定した状態で行うことができる。
【0032】
規制手段の保持体側抜け規制部が、保持体の第1方向操作の出し入れ方向中央部よりも給送方向上流側に設けたものであっては、第1方向操作における挿入動作を滑らかに行うことができ、しかも、規制時(ロック時)には媒体収容体の保持体からの抜けを安定して防止できる。このため、第1方向操作における出し入れを安定して滑らかに行うことができ、操作性に優れたものとなる。
【0033】
弾性部材を設けることによって、不意の意図しない抜けを防止でき、取り扱い性に一層優れる。解除部材を備えることによって、第1方向操作の安定した引き抜きが可能となる。解除部材は、前記保持体側抜け規制部よりも給送方向上流側に設けることによって、第1方向操作において媒体収容体を挿入する際に、解除部材がこの挿入の妨げにならない。侵入許容部を設けることによって、収容体側抜け規制部を安定して押圧することができ、解除部材による解除が安定する。収容体側抜け規制部は、第1方向操作時に、保持体に対して非接触状態が維持されるものでは、収容体側抜け規制部の摩耗を少なくでき、安定した規制機能を発揮する。
【0034】
収容体側抜け規制部が媒体収容体の内部側から覆われるものでは、媒体収容体内に記録媒体をセット等する際に作業者が収容体側抜け規制部に触れることがなくなる。これによって、保持体と媒体収容体とが不意に分離することがなくなり、取り扱い性に優れる。
【0035】
ガイド手段を設けたものでは、第1方向操作による媒体収容体の出し入れが安定し、操作性に優れる。
【0036】
本発明の画像形成装置では、操作性がよく、低コストで2方向のアクセスが可能(2方向の着脱が可能)な給紙装置を備えた画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の給送装置を用いた画像形成装置の全体構成図である。
【図2】前記給送装置の斜視図である。
【図3】給送方向に沿って媒体収容体を引き出した状態の給送装置の斜視図である。
【図4】媒体収容体と第1外装体との斜視図である。
【図5】媒体収容体と第1外装体との斜視図である。
【図6】媒体収容体と保持体との斜視図である。
【図7】媒体収容体を後方から見た斜視図である。
【図8】給送方向と直交する方向に沿って媒体収容体を引き出した状態の給送装置の斜視図である。
【図9】媒体収容体と保持体とを上方から見た斜視図である。
【図10】規制手段の簡略斜視図である。
【図11】規制手段の簡略断面図である。
【図12】規制解除状態の規制手段の簡略斜視図である。
【図13】規制解除状態の規制手段の簡略断面平面図である。
【図14】保持体にて媒体収容体が保持されている状態の斜視図である。
【図15】保持体にて媒体収容体を収納する途中を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図に示す実施例による本発明を実施するための形態を説明する。
【実施例】
【0039】
図1は、電子写真プロセスを利用した画像形成装置を示し、この場合、一般的な静電作像手法を用いたカラー画像形成装置について示したものであるが、もちろん、本発明としてこれに限定するものではない。この画像形成装置は、画像形成装置本体1の下部に配設される給送装置100と、この給送装置100の上部に配設される画像形成部3とを備える。
【0040】
給送装置100は、後述詳細に説明するが、記録媒体束41が積載収納される媒体収容体47と、この媒体収容体47の記録媒体束41に上方から接触しつつ駆動して記録媒体束41から媒体を給送するための給送手段4と、媒体収容体47と給送手段とを収納する給送装置本体10とを備える。なお、記録媒体束41は、複数枚のシート状の記録媒体を積層したものである。
【0041】
給送手段(給送部4)は、回転軸75と給紙ローラ42と有し、この給紙ローラ42に相対向する分離体としての分離パッド43と、この給紙ローラ42とで、給紙ローラ42がその軸心廻りに回転することによって、媒体収容体47に収容された記録媒体束41から1枚の記録媒体が送出(給送)される。媒体収容体47から給送された記録媒体が縦搬送ローラ44、45によりレジストローラ81へと搬送される。そして、記録媒体の先端がレジストローラ81とレジストテンションローラ80のニップに突き当たり、先端の整合が行われる。レジストローラ81は、トナー像と記録媒体の転写位置を合わせるように回転する。
【0042】
画像形成部(作像装置)3は、水平方向に配設された転写ベルト装置5と、この転写ベルト装置5との上方に水平方向に並んで配設された4つの画像形成ユニット(現像機)30M、30C、30Y、30Kを有する。ここで、一つの現像機30Kについて説明すると、像担持体としての感光体(感光体ドラム)31Kを備え、この感光体31Kの外周側に、感光体31Kの表面を帯電する帯電ローラ32Kと、感光体31K上の静電潜像にトナーを現像する現像ローラ33Kと、記録媒体にトナーを転写させる転写ローラ50Kと、転写後の残トナーを掻きとるクリーニング部(図示省略)等が配置されている。他の現像機においても同様である。
【0043】
画像形成ユニット30M、30C、30Y、30Kの上方には、露光手段としての光学ユニット2が配設されている。光学ユニット2は、レーザ光を感光体ドラム31へ照射する。
【0044】
転写ベルト装置5は、無端状の転写ベルト21と、駆動ローラ52、従動ローラ51とを備え、転写ベルト21が駆動ローラ52及び従動ローラ51に巻回張架される構造となっている。また、転写ベルト21の上部走行辺の内側には、各画像形成ユニット30M、30C、30Y、30Kの感光体ドラム31にそれぞれ対向する位置に、転写バイアスが印加される転写ローラ50が転写ベルト21に接触するように配置されている。
【0045】
このように、転写ベルト装置5を通過することによって、記録媒体に画像が転写される。そして、画像が転写された記録媒体は、定着装置6に搬送され、この定着装置6で画像が定着される。定着装置6は、記録媒体に画像を定着する定着部材としての定着ローラ60と、当該定着ローラ60に対向して定着ニップを形成する対向部材としての加圧ローラ61とを備える。また、定着ローラ60内に配設された加熱手段としてのヒータ(図示省略)が配置されている。加圧ローラ61は定着ローラ60に対して所定の圧力で圧接しており、互いに圧接する圧接部において定着ニップを形成している。
【0046】
定着装置6にて画像が定着された記録媒体は、排出装置7を介して画像形成装置本体1の上部の排出部1aに反転排紙される。排出装置7は、搬送ローラ72,73、及び排紙ローラ70、71を備える。なお、この画像形成装置本体1には手差しトレイ9が設けられている。
【0047】
次に本発明の給送装置100について説明する。給送装置100は、図2と図3等に示すように、前記したように媒体収容体47と、給送手段4と、媒体収容体47と給送手段4とを収納する給送装置本体10とを備え、給送装置本体10に媒体収容体47が収納された状態等においては、この媒体収容体47は保持体46に保持される。
【0048】
この場合、平面的に見て給送手段4による給送方向上流側及び/又は給送方向下流側への給送装置本体10に対する媒体収容体の出し入れとなる第1方向操作と、前記第1方向操作の出し入れ方向と直交する方向の媒体収容体の出し入れとなる第2方向操作とが可能である。ここで、第1方向操作における出し入れ方向は、図2に示す矢印A1、A2方向である。すなわち、矢印A1が第1方向操作における引き出し方向であり、矢印A2は第1方向操作における挿入方向(収納方向)である。また、第2方向操作における出し入れ方向は、図8に示す矢印B1、B2方向である。すなわち、矢印B1が第2方向操作における引き出し方向であり、矢印B2は第2方向操作における挿入方向(収納方向)である。
【0049】
媒体収容体47は、図4と図5等に示すように、底壁65と、この底壁の外周縁から立設される周壁66とを有する。周壁66は、前壁66aと後壁66bと、一対の側壁66c,66dとからなる。また、底壁65には、媒体収容体47に収容された記録媒体束41の給送方向下流側を上昇させる底板49が付設されている。
【0050】
前壁66aには第1外装体(外装板)48Aが付設される。第1外装体48Aはその前面中央下部に把持部67が設けられている。また、第1外装体48Aは、媒体収容体47側に設けられた収容体側係合部(この場合、ピン部材47a)と、第1外装体48A側に設けられた外装側係合部(この場合、ピン部材47aが係脱自在に係合する係合孔48a)とを介して取り付けられる。
【0051】
すなわち、媒体収容体47の一方の側壁66cの前壁66a側と、媒体収容体47の前壁66aの他方の側壁66d側の突設される突出片68とに、それぞれ、上下一対ずつピン部材47aが設けられている。この場合、各ピン部材47aは図5の矢印B2方向側に突出されている。また、第1外装体48Aの裏面の幅方向両端部側に一対の孔形成片69、69を設け、各孔形成片69、69にそれぞれ、上下一対ずつ係合孔48aが設けられている。この場合、一方の側壁66c側に設けられたピン部材47a、47aと、他方の側壁66d側のピン部材47a、47aとは、給送方向に沿って位置ずれしている。
【0052】
このため、図5に示す状態から、媒体収容体47に対して、第1外装体48Aを媒体収容体47の前壁66aに沿って矢印B1方向にスライドさせていけば、各係合孔48aにピン部材47aが嵌合(係合)する。すなわち、第1外装体48Aに対して、媒体収容体47の前壁66aを第1外装体48Aの裏面に沿って矢印B2方向にスライドさせていれば、各係合孔48aにピン部材47aが嵌合(係合)する。これによって、第1外装体48Aを矢印A1に引張っても、A2方向に押しても、第1外装体48Aとともに、媒体収容体47は移動する。すなわち、第1外装体48Aを介して第1方向操作における媒体収容体47の出し入れ(第1外装体48Aの把持部67を用いた出し入れ)では、第1外装体48Aと媒体収容体47とが一体状に第1方向操作の出し入れが可能となる。
【0053】
これに対して、この第1外装体48Aが装着された状態(図2と図3と図6と図7等に示す状態)において、第1外装体48Aに対して、媒体収容体47を図5に示す矢印B1方向に引張れば、図4と図5等に示すように、第1外装体48Aと媒体収容体47とが分離した状態となる。
【0054】
このため、媒体収容体47の前壁66aの前面の下部には、図5等に示すように、ガイドレール15が設けられるともに、第1外装体48Aの裏面の下部には、このガイドレール15を受けるガイドレール16が設けられている。すなわち、図2等に示すように、給送装置本体に収納された状態において、媒体収容体47側のガイドレール15が第1外装体48A側のガイドレール16に受けられた状態であって、この状態から、媒体収容体47を第2方向操作における矢印B1方向に引き出せば、ガイドレール15がガイドレール16上を摺動して引き出される。また、引き出された状態から、第1外装体48A側のガイドレール16上に媒体収容体47側のガイドレール15を載置した状態として、媒体収容体47を押し込んで行けば、ガイドレール15がガイドレール16上を摺動して押し込まれる。
【0055】
媒体収容体47を保持する保持体46は、図6に示すように、底壁26と、この底壁26の外周縁から立設される周壁27とからなる。周壁27は、後壁27bと、一対の側壁27c、27dとからなる。このため、この周壁27には、媒体収容体47の出入り口28が形成される。
【0056】
保持体46の各側壁27c、27dの下部にガイドレール35が設けられるとともに、媒体収容体47の各側壁66c、66dの外面の下部にガイドレール36が設けられている。この場合、側壁27c、27dの内面間寸法を側壁66c、66dの外面間寸法よりも僅かに大きく設定する。
【0057】
このため、図6に示す状態から、媒体収容体47のガイドレール36を、保持体46のガイドレール35上に載置し、保持体46に対して媒体収容体47を押し込んでいけば、ガイドレール36がガイドレール35上を摺動(スライド)して、媒体収容体47が保持体46に対して押し込まれて、収納状態となる。また、逆にこの収納状態から媒体収容体47を引き出せば、ガイドレール36がガイドレール35上を摺動(スライド)して、保持体46から媒体収容体47を引き出すことができる。
【0058】
また、保持体46の側壁27dの外面側には第2外装体48Bが一体的に付設されている。この第2外装体48Bの表面の中央下部には把持部55が設けられている。
【0059】
ところで、保持体46には保持体側係合部(この場合、係合ピン46b)が設けられるとともに、媒体収容体47には収容体側係合部(この場合、係合ピン46bに係脱自在に係合する係合孔47b)が設けられている。
【0060】
係合ピン46bは、保持体46の後壁27bの一方の側壁27c側と、他方の側壁27dの開口端側とに設けられる。この場合、他方の側壁27dの開口端側には、ピン形成片38が設けられ、このピン形成片38に係合ピン46bが設けられている。
【0061】
また、係合孔47bは、媒体収容体47の後壁66bの一方の側壁66c側と、媒体収容体47の他方の側壁66dの前壁66a側に設けられている。この場合、媒体収容体47の他方の側壁66dの前壁66a側に、外側方に突出する孔形成片40が設けられ、この孔形成片40に係合孔47bが設けられている。
【0062】
このため、媒体収容体47を出入り口28を介して保持体46に挿入して収納状態とすれば、保持体46の係合ピン46bが媒体収容体47の係合孔47bに係合(嵌合)する。
【0063】
この係合状態では、第1外装体48Aの把持部67を把持して媒体収容体47を保持体46から矢印A1方向に沿って引き出せば、媒体収容体47を引き出すことができ、引き出した状態から、第1外装体48Aの把持部67を把持して媒体収容体47を矢印A2方向に沿って挿入していれば、媒体収容体47を保持体46に収納することができる。
【0064】
ところが、保持体46に媒体収容体47が収納された状態では、前記したように、保持体46の係合ピン46bが媒体収容体47の係合孔47bに係合(嵌合)しているので、第2方向操作における矢印B1、B2方向の出し入れでは、保持体46と媒体収容体47とが安定した一体状の出し入れが可能となる。
【0065】
給送手段4を構成する給紙ローラ42は、その回転軸75が、保持体46の出入り口28の上方位置に回転自在に枢支される。すなわち、図6に示すように、側壁27c、27dの出入り口側端部に起立片76,76を立設し、この起立片76,76に設けた枢支孔76a,76aに回転軸75が回転自在に挿通されている。このため、回転軸75は、矢印B1、B2方向に沿って配設されることになる。
【0066】
図8(b)等に示すように、回転軸75の反第2外装体側の端部にはギア部材78が設けられ、このギア部材78が、給送装置本体10側に設けられた回転駆動力伝達手段(例えば、カップリング)79に接続される。この場合、第2方向操作における媒体収容体47の出し入れによって、ギア部材78は回転駆動力伝達手段79に脱着される。
【0067】
ところで、給送装置本体は、図8に示すように、背面枠12と、側面枠13と、前方支柱11とを有する枠体95を備える。背面枠12の内面の下部にガイドレール12aが設けられ、また、保持体46の後壁27bの外面の下部にガイドレール90(図8(b)参照)が設けられている。
【0068】
保持体46に支持されている媒体収容体47を給送装置本体10に収納する場合、図8に示すように、本体側に第1外装体48Aが留置された状態であり、側面枠13に対向する面が開口状となっている。このため、この状態において、媒体収容体47のガイドレール15を、第1外装体48Aのガイドレール16上に載置するともに、背面枠12のガイドレール12aに、保持体46の後壁27bのガイドレール90を載置する。
【0069】
この状態で、第2外装体48Bの把持部55を把持した状態で、矢印B2の方向に挿入していけば、ガイドレール15がガイドレール16上を摺動(スライド)するとともに、ガイドレール90がガイドレール12a上を摺動(スライド)する。これによって、保持体46に支持されている媒体収容体47を給送装置本体に収納することができる。
【0070】
逆に、収納状態において、第2外装体48Bの把持部55を把持した状態で、矢印B1の方向に引き出せば、ガイドレール15がガイドレール16上を摺動(スライド)するとともに、ガイドレール90がガイドレール12a上を摺動(スライド)する。これによって、保持体46に支持されている媒体収容体47を装置本体から引き出すことができる。
【0071】
ところで、本給送装置には、第2方向操作による媒体収容体47の出し入れ動作途中乃至取り出し状態において、図9の円で囲む範囲内に示すように、媒体収容体47の保持体46からの抜けを規制する規制手段96を設けている。
【0072】
規制手段96は、図9から図13等に示すように、収容体側抜け規制部と、保持体側抜け規制部とを備える。保持体側抜け規制部は、保持体46の一方の側壁27cの内面に、内方へ膨出したロック用突起46cからなる。このロック用突起46cは、側壁27cの内面から側壁27cと直交する方向に突出する端面85aと、第1方向操作における保持体46の出入り口側から奥側に向かって記録媒体収容体側へ傾斜するテーパ面85bとを備える。
【0073】
また、収容体側抜け規制部は、図11等に示すように、ロック用突起46cよりも奥側(後壁66b)側の支持ピン92を中心として矢印C1、C2方向に揺動するロック爪91からなる。この場合、媒体収容体47の側壁66cは、外壁86と内壁87とを有し、外壁86には切欠部88が設けられ、この切欠部88を介してロック爪91が外壁86から先端係合部89が、保持体46の側壁27c側へ突出する。
【0074】
ロック爪91の先端係合部89には、平面視において矩形をなし、その内面89aと、これに対面する媒体収容体47の側壁66cの内壁87との間に、ロック爪91を矢印C1方向に弾性的に押圧する弾性部材93が介装されている。また、内面89aには先端側へ突出するストッパ91aが設けられている。このストッパ91aが外壁86に当接することによって、ロック爪91の矢印C1方向の更なる揺動を規制している。
【0075】
ストッパ91aが外壁86に当接している状態では、ロック爪91の先端係合部89の先端面89bがロック用突起46cの端面85に、近接して相対面している。すなわち、ロック爪91の先端面89bとロック用突起46cの端面85とは僅か隙間を持って近接対峙している。この状態では、ロック爪91の(先端係合部89を除く外面)外面91bが、奥側から出入り口側に向かって、保持体46の側壁27c側へ傾斜するテーパ面となる。また、ロック爪91と保持体46の側壁27cとの間に、図15に示すようなクリアランスCが設けられている。すなわち、ロック爪91と保持体46の側壁77cとは非接触状態を成す。
【0076】
このため、この図10や図11等に示す状態において、保持体46に対して、媒体収容体47を矢印A1方向に引き抜こうとした場合、ロック爪91の先端面89bがロック用突起46cの端面85aに当接して引き抜くことができない。
【0077】
そこで、図8と図12と図13等に示すように、ロック爪91の先端面89bとロック用突起46cの端面85aとは僅かな隙間を持って近接対峙している状態を解除する解除部材13aを、給送装置本体の枠体95の側面枠13の内面に設けている。
【0078】
解除部材13aは、側面枠13の背面枠12側に、側面枠13の長手方向方向に延びる平板体からなる。また、図14に示すように、保持体46の側壁27cの後方乃至後壁27bの側壁27c側に設けた侵入許容部(この場合、スリット46d)が設けられている。
【0079】
このため、図14に示すように、保持体46に媒体収容体47が支持されている状態において、これらが給送装置本体10に収容されば、解除部材13aが、スリット46dを介してロック爪91を矢印C2方向に押圧する。この押圧状態では、ロック爪91の先端面89bとロック用突起46cの端面85とが近接対峙している状態が解除される。
【0080】
ところで、図15に示すように、第1方向操作を行って、給送装置本体10に収納されている保持体46に媒体収容体47を押し込んでいけば、ロック爪91のテーパ面とされた外面91bがロック用突起46cの傾斜面85bに当接し、この当接した状態からさらに押し込んでいけば、外面91bが傾斜面85bに案内され、ロック爪91が矢印C2方向に揺動してロック用突起46cを乗り越えることができる。このロック用突起46cを乗り越えれば、ロック爪91が矢印C1方向に揺動しようとするが、本体10側の解除部材13aがスリット46dを介して保持体46内に侵入しており、ロック爪91が矢印C1方向に揺動できない。このため、ロック爪91の先端面89bとロック用突起46cの端面85とが近接対峙している状態が解除される。
【0081】
この場合、ロック爪91と保持体46の側壁27cとの間にクリアランスCが設けられるため、収容体側抜け規制部であるロック爪91は、第1方向操作時に、保持体46に対して非接触状態が維持される。このため、第1方向操作における媒体収容体47の出し入れにおいて、ロック爪91が保持体46の側壁77cに対して摺接することがなく、ロック爪91の摩耗が回避される。
【0082】
これに対して、図2に示す状態から、矢印B1に示すように、第2方向操作における引き出しを行えば、前記したように、媒体収容体47が保持体46とともに、引き出される。この際、この引き出しによって、給送装置本体側に設けられている解除部材13aが、その位置で停止した状態となるので、解除部材13aによる矢印C2方向のロック爪91の押さえが順次解除されていき、ロック爪91は、弾性部材93の弾性力(復元力)によって、ストッパ91aが外壁86に当接するまで矢印C1方向に揺動する。
【0083】
また、媒体収容体47を保持体46とともに、第2方向操作の矢印B2方向に挿入していけば、ロック爪91が解除部材13aに接触した後、さらに挿入すれば、図13等に示すように、ロック爪91の先端面89bとロック用突起46cの端面85とが近接対峙している状態が解除される。
【0084】
このため、第2方向操作における媒体収容体47の出し入れ動作途中乃至取り出した状態では、媒体収容体47の保持体46からの抜けを規制することができる。
【0085】
本発明の給送装置では、媒体収容体47の2方向の着脱が可能となる。これによって、記録媒体補給時・ジャム除去時の操作性の向上を図ることができ、また装置設置場所の多様化を図れる給送装置を提供できる。しかも、従来のように、底板を抑えるための機構を設けることなく、安定してこの方向に沿って媒体収容体を出し入れできる。このため、装置構成の簡素化を図ることができて、低コスト化を達成できる。
【0086】
媒体収容体47を外周側から保持するための保持体46を備えることによって、給送装置本体10側の構成、媒体収容体側の構成、及び保持体側の構成の簡略化を図ることができ、生産性の向上を図ることができ、しかも、媒体収容体の2方向の出し入れ動作を安定させることができる。特に、通常多く使用する第1方向操作時における出し入れでは、保持体46が給送装置本体側に留置されるものであり、軽量の媒体収容体47の出し入れとなって操作性の向上を図ることができる。
【0087】
給送手段4が保持体46に一体的に保持されているので、第1方向操作及び第2方向操作の動作が安定して、しかも、少ない部品点数にて、これらの動作を行う構成を達成できる。
【0088】
給送手段4の回転軸75を第2方向に沿った出し入れによって、回転駆動力伝達手段79に脱着が可能であるので、第2方向操作によって、媒体収容体47とともに給送手段4が取り出されても、再度、媒体収容体47を挿入(セット)する場合に、回転駆動力伝達手段79との連結を安定して行うことができ、操作性に優れる。
【0089】
給送手段4の回転軸75が保持体46の出し入れ口28の上方部位に枢支されているので、回転軸75を安定して回転自在に枢支することができ、記録媒体の給送を安定して行うことができる。
【0090】
媒体収容体47に分離体が付設されているので、従来において必要としていた分離機構(給送手段4である給紙ローラ42と分離体である分離パッド43とを分離するための機構)を必要とせず、部品点数の削減を図るとともに構成の簡素化を図ることができ、低コスト化を達成できる。
【0091】
第1外装体48Aを備えているので、取り出し方向前方部を保護することができるとともに、媒体収容体47の剛性の向上を図ることができ、さらには、給送装置本体側の媒体収容体収容部位の剛性の向上を図ることができる。このため、媒体収容体47を給送装置本体10に収容した状態であっても、給送装置本体100から取り出した状態であっても、給送装置本体10の剛性を大とすることができ、小型の給送装置を提供することができる。
【0092】
第1外装体48Aに把持部67を設けているので、第1方向操作時の操作が安定して、記録媒体の補給作業等の迅速化を達成できる。
【0093】
第2方向操作における媒体収容体47の挿入方向に沿った移動によって、収容体側係合部と外装体側係合部とが係合するので、第1方向操作及び第2方向操作を簡単な構成で安定して行うことができ、しかも、構成のシンプル化、高精度締結部分の削減が可能となって、低コスト化を図ることができる。
【0094】
第2外装体48Bを備えているので、保持体46の剛性の向上を図ることができ、媒体収容体47を安定した状態で保持できて、第2方向操作における媒体収容体47の出し入れが安定する。
【0095】
第2外装体48Bに把持部55を設けているので、第2方向操作時の操作が安定して、記録媒体の補給作業等の迅速化を達成できる。
【0096】
第2方向操作における媒体収容体47の挿入方向に沿った移動によって、収容体側係合部と保持体側係合部とが係合するので、第1方向操作及び第2方向操作を簡単な構成で安定して行うことができ、作業性の向上を図ることができる。
【0097】
規制手段96を設けることによって、第2方向操作によって、保持体46から媒体収容体47が抜けるのが規制され、第2方向操作によって、保持体46と媒体収容体47とが分離せず、操作性のよい給送装置となる。
【0098】
規制手段96が収容体側抜け規制部と保持体側抜け規制部とを備えているので、第1方向操作による記録媒体の補給作業が安定し、また、第2方向操作において、作業者は、媒体収容体47が保持体46からの抜けるのを気にすることなく作業を行うことができる。このため、第1方向操作及び第2方向操作をそれぞれ安定した状態で行うことができる。
【0099】
規制手段96の保持体側抜け規制部を、保持体46の第1方向操作の出し入れ方向中央部よりも給送方向上流側に設けたているので、保持体46に対して第1方向操作の媒体収容体47の挿入動作を行えば、この挿入によって、収容体側抜け規制部が保持体側抜け規制部に対応する位置となった場合に、収容体側抜け規制部は保持体側抜け規制部に押されてこの保持体側抜け規制部を乗り越えることになる。このため、第1方向操作における挿入動作を滑らかに行うことができる。しかも、枢支軸92が保持体側抜け規制部よりも給送方向上流側に設けられるので、規制時(ロック時)には媒体収容体47の保持体46からの抜けを安定して防止できる。このため、第1方向操作における出し入れを安定して滑らかに行うことができ、操作性に優れたものとなる。
【0100】
弾性部材93を設けることによって、不意の意図しない抜けを防止でき、取り扱い性に一層優れる。解除部材13aを備えることによって、第1方向操作の安定した引き抜きが可能となる。解除部材13aは、前記保持体側抜け規制部よりも給送方向上流側に設けることによって、第1方向操作において媒体収容体を挿入する際に、解除部材13aがこの挿入の妨げにならない。侵入許容部(スリット46dを設けることによって、収容体側抜け規制部を安定して押圧することができ、解除部材13aによる解除が安定する。収容体側抜け規制部は、第1方向操作時に、保持体及び保持体側抜け規制部と非接触状態が維持されるものでは、収容体側抜け規制部の摩耗を少なくでき、安定した規制機能を発揮する。
【0101】
収容体側抜け規制部が媒体収容体47の内部側から覆われるので、媒体収容体内に記録媒体をセット等する際に作業者が収容体側抜け規制部に触れることがなくなる。これによって、保持体46と媒体収容体47とが不意に分離することがなくなり、取り扱い性に優れる。
【0102】
また、ロック爪91と保持体46の側壁77cとの間にクリアランスCが設けられるため、ロック爪91が摩耗しにくく、安定したロック機構を長期にわたって発揮できる。実施例のように、侵入許容部をスリット46dとすることによってユーザがこのスリット46dを介してロック爪91に接触することができず、意図しない状態で不意のロック状態が解除されないようにできる。
【0103】
ガイド手段(ガイドレールからなる)を設けるので、第1方向操作による媒体収容体47の出し入れが安定し、操作性に優れる。
【0104】
このように、前記のように構成された給送装置を備えた画像形成装置では、操作性がよく、低コストで2方向のアクセスが可能(2方向の着脱が可能)な画像形成装置を提供できる。
【0105】
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。本発明に係る画像形成装置は、電子写真複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ装置等がある。侵入許容部をスリット46dにて構成することなく、保持体46の周壁66の一部を省略したようなものであってもよい。このため、解除部材13aとしても、板部材等にて構成するものと限らず、軸部材等のようなものであってもよい。また、弾性部材96としてコイルスプリングに限るものではなく、他のスプリングであっても、ゴムやスポンジ等であってもよい。
【0106】
なお、前記実施形態では、収容体47の周壁66の一方の側壁66c側にロック爪91を設け、保持体46の周壁27の一方の側壁27cにロック用突起46cを設けたものである。このため、規制手段96は、収容体47が保持体46に保持された状態において、図9に示すように、一方に側壁66c、27c側に設けられることになる。しかしながら、可能ならば、他方の壁66d、27d側にこのような規制手段を設けてもよい。
【0107】
前記実施形態では、第1方向操作における取出しは、給送方向下流側への取出しであったが、給送方向上流側へ取り出すようにしてもよい。なお、本発明の記録媒体には、一般にコピー等に用いられる普通紙、OHPシート、カード、ハガキといった90K紙、坪量約100g/m2相当以上の厚紙、封筒等の用紙よりも熱容量が大きないわゆる特殊シート等を含むものである。
【符号の説明】
【0108】
4 給送手段
10 給送装置本体
13b 解除部材
41 記録媒体束
46 保持体
46c ロック用突起
46d スリット
47 媒体収容体
91 ロック爪
92 支持ピン
93 弾性部材
96 規制手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0109】
【特許文献1】特開2005−255363号公報
【特許文献2】特開平9−221236号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体束が積載収納される媒体収容体と、この媒体収容体の記録媒体束から媒体を給送するための給送手段と、媒体収容体と給送手段とを収納する給送装置本体とを備え、給送装置本体には、媒体収容体を外周側から保持するための保持体が配置される給送装置であって、
平面的に見て給送手段による給送方向上流側及び/又は給送方向下流側への給送装置本体に対する媒体収容体の出し入れとなる第1方向操作と、前記第1方向操作の出し入れ方向と直交する方向の媒体収容体の出し入れとなる第2方向操作とが可能であり、第1方向操作の取り出し動作の際には、前記保持体が給送装置本体側に留置されて媒体収容体が取り出され、第2方向操作の際には、前記保持体が媒体収容体とともに給送装置本体に対して出し入れされることを特徴とする給送装置。
【請求項2】
第1方向操作における媒体収容体の挿入方向に沿った移動によって、保持体に設けられた保持体側係合部に係合するとともに、第1方向操作における媒体収容体の取り出し方向に沿った移動によって、保持体側係合部の係合が解除される収容体側係合部を、前記媒体収容体が有することを特徴とする請求項1に記載の給送装置。
【請求項3】
第2方向操作による媒体収容体の出し入れ動作途中乃至取り出し状態において、媒体収容体の保持体からの抜けを規制する規制手段を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の給送装置。
【請求項4】
規制手段は、収容体側抜け規制部と保持体側抜け規制部とを備え、保持体と媒体収容体との給送装置本体への収容状態において、収容体側抜け規制部と保持体側抜け規制部との抜け規制状態が解除されて、第1方向操作による媒体収容体の取り出しを許容し、第2方向操作による媒体収容体の出し入れ動作途中乃至取り出し状態において、収容体側係合部と保持体係合部が抜け規制状態となって、媒体収容体の保持体からの抜けを規制することを特徴とする請求項3に記載の給送装置。
【請求項5】
規制手段の保持体側抜け規制部が、保持体の第1方向操作の出し入れ方向中央部よりも給送方向上流側に設けられるとともに、収容体側抜け規制部は、抜け規制状態と抜け規制解除状態とに変位するように、その基部側の枢支軸を中心に揺動し、かつ、枢支軸が前記保持体側抜け規制部よりも給送方向上流側に設けられて、第1方向操作の媒体収容体の挿入動作によって収容体側抜け規制部が保持体側抜け規制部に押されてこの保持体側抜け規制部を乗り越えることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の給送装置。
【請求項6】
規制手段は、収容体側抜け規制部を抜け規制状態となる方向に弾性的に付勢する弾性部材を備えたことを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の給送装置。
【請求項7】
保持体と媒体収容体とが給送装置本体に収容された状態において、前記弾性部材の弾性力に抗して収容体側抜け規制部を押圧して抜け規制状態を解除させる解除部材を備え、この解除状態での媒体収容体の第1方向操作の引き抜きを可能としたことを特徴とする請求項6に記載の給送装置。
【請求項8】
前記保持体が給送装置本体に収容された状態において、前記解除部材は前記保持体側抜け規制部よりも給送方向上流側に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の給送装置。
【請求項9】
前記解除部材は給送装置本体側に設けられ、前記保持体に設けられた侵入許容部を介して、収容体側抜け規制部を押圧することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の給送装置。
【請求項10】
収容体側抜け規制部は、第1方向操作時に、保持体に対して非接触状態が維持されることを特徴とする請求項4〜請求項9のいずれか1項に記載の給送装置。
【請求項11】
収容体側抜け規制部は、媒体収容体の内部側から覆われていることを特徴とする請求項4〜請求項9のいずれか1項に記載の給送装置。
【請求項12】
第1方向操作による媒体収容体の出し入れを案内するガイド手段を備えた特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の給送装置。
【請求項13】
記録媒体を収容する給送装置と、給送装置から給送される記録媒体に対して画像を形成する作像装置と、画像が形成された記録媒体を機外に搬出する排出装置とを、少なくとも備えた画像形成装置であって、
前記給送装置に前記請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の給送装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−62141(P2012−62141A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205944(P2010−205944)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】