説明

給電コネクタ、および、給電対象へ電力を供給することが可能な電源

【課題】接続されたときに電源への充電又は電源からの給電のいずれを行うかを適切に判定する給電コネクタ及び電源を提供する。
【解決手段】給電コネクタは、電源と、電源から電力を供給される対象である給電対象と、を連結する。給電コネクタは、給電コネクタと電源との電気的な接続状態に応じて値が変化し且つ電源から給電対象への電力の供給を許可する指示に応じて値が変化する信号を給電コネクタと電源との間において伝達する信号経路を閉じた系として形成する構成、を備える。電源は、電力が供給される対象である給電対象に給電コネクタを介して連結されることによって給電対象へ電力を供給することができる。電源は、電源と給電コネクタとの電気的な接続状態に応じて値が変化し且つ電源から給電対象への電力の供給を許可する指示に応じて値が変化する信号を電源と給電コネクタとの間において伝達する信号経路を閉じた系として形成する構成、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源と、電源から電力を供給される対象である給電対象と、を連結する給電コネクタ、および、給電対象と給電コネクタを介して連結されることによって給電対象へ電力を供給することが可能な電源、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気エネルギを蓄積または放出することが可能な電源が提案されている。この種の電源は、周知のように、種々の用途に用いられる。例えば、電源としての蓄電装置(例えば、二次電池およびキャパシタなど)は、電気エネルギを利用して駆動される動力源(例えば、モータなど)を備えると共にその動力源から生じる駆動力を用いて走行することが可能な車両に適用されている。この種の車両として、例えば、電気自動車(EV)およびハイブリッド自動車(HV)などが挙げられる。
【0003】
上述した車両(EV,HV)に適用された蓄電装置への電気エネルギの蓄積(以下、「充電」とも称呼される。)については、種々の方法・構成が提案されている。例えば、この充電のための構成として、一般家庭に供給されている商用電源を外部電源として用いる構成、および、車両の運転状態に応じてモータを発電機として作動させるとともに(いわゆる、回生ブレーキの作動時に)同モータを内部電源として用いる構成、などが提案されている。
【0004】
さらに、近年、車両に適用された蓄電装置から所定の給電対象への電気エネルギの放出(以下、「給電」とも称呼される。)についても、環境保護の観点および災害時などにおいて電力の不足を緩和する観点などから、いくつかの方法・構成が提案されている。例えば、従来の充放電装置の一つ(以下、「従来装置」とも称呼される。)は、車両と住宅との間における充電・給電システム(いわゆる、HEMS)に適用されている。この従来装置においては、車両に接続されるケーブルが充電用ケーブルである場合と給電用ケーブルである場合とで異なる制御信号が所定の信号線(後述される規格に定められているCPLT信号を伝送する信号線)を介して車両に送信されることにより、「車両への充電」または「車両から給電対象への給電」のいずれかを車両に実行せしめるようになっている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0005】
ここで、車両内の蓄電装置を住宅から充電することが可能な車両については、アメリカ合衆国における規格として、SAE(Society of Automotive Engineers)によって「エスエーイー・エレクトリック・ビークル・コンダクティブ・チャージ・カプラ(SAE Electric Vehicle Conductive Charge Coupler)」が制定されている(非特許文献1を参照。)。また、日本における規格として、「電気自動車用コンダクティブ充電システム一般要求事項」が制定されている(非特許文献2を参照。)。
【0006】
上述した非特許文献1及び非特許文献2においては、一例として、コントロールパイロットに関する規格が定められている。具体的に述べると、コントロールパイロットは、構内配線から車両へ電力を供給するEVSE(Electric Vehicle Supply Equipment)の制御回路と車両の接地部とを車両側の制御回路を介して接続する制御線、として定義されている。そして、この制御線(コントロールパイロット)を介して伝達される信号(いわゆる、CPLT信号)に基づき、充電用ケーブルが車両に接続されているか否か、電源から車両への充電が許可されているか否か、および、EVSEの定格電流、などが判断されることになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−035277号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「エスエーイー・エレクトリック・ビークル・コンダクティブ・チャージ・カプラ(SAE Electric Vehicle Conductive Charge Coupler)」、(アメリカ合衆国)、エスエーイー規格(SAE Standards)、エスエーイー・インターナショナル(SAE International)、2001年11月
【非特許文献2】「電気自動車用コンダクティブ充電システム一般要求事項」、日本電動車両協会規格(日本電動車両規格)、2001年3月29日
【発明の概要】
【0009】
従来装置は、上記規格に準じるように構成された上で、充電または給電のいずれを行うべきか(充電用ケーブルまたは給電用ケーブルの区別)についての情報を、上記信号線を介して伝達される信号(CPLT信号)として車両に伝達するようになっている。ところが、上述したように、上記信号線を介して伝達される信号(CPLT信号)は、充電または給電のいずれを行うべきかについての情報だけではなく、他の情報(例えば、充電用ケーブルが車両に接続されているか否か、電源から車両への充電が許可されているか否か、および、EVSEの定格電流など)を伝達するためにも用いられる。
【0010】
従来装置において、充電または給電のいずれを行うべきかについての情報を伝達する信号と、他の情報を伝達する信号と、は、それら信号が別個の信号であると車両において認識されるように設計されている。そのため、従来装置が正常に作動する限り、それら信号は混同されない。ところが、種々の要因(例えば、信号線の経年劣化、および、充電用ケーブルまたは給電用ケーブルと車両側の接続部との接触不良、などの外的要因)に起因して従来装置が正常に作動しないこととなった場合、それら信号が混同される可能性は完全には否定されない。このような混同が生じた場合、充電または給電のいずれを行うべきかについての判定が車両において適切に行われれない可能性がある。
【0011】
充電または給電のいずれを行うべきかについて誤った判定がなされることは、上記種々の要因に相当する事態が生じた場合であっても、出来る限り防がれることが望ましい。また、車両に備えられた蓄電装置に限らず、電源への充電または電源からの給電のいずれを行うべきかについての判定は、適切に行われることが望ましい。
【0012】
本発明の目的は、上記課題に鑑み、電源に接続されたときに電源への充電または電源からの給電のいずれを行うべきかについての判定が適切に行われる「給電コネクタ」および同給電コネクタを介して給電対象に適切に電力を供給することができる「電源」を提供することにある。
【0013】
まず、上記課題を解決するための本発明による「給電コネクタ」が、以下に説明される。
本発明の給電コネクタは、電源と、前記電源から電力を供給される対象である給電対象と、を連結するコネクタである。
【0014】
本発明の給電コネクタは、
「当該給電コネクタと前記電源との電気的な接続状態」に応じて値が変化し且つ「前記電源から前記給電対象への電力の供給を許可する指示」に応じて値が変化する信号を当該給電コネクタと前記電源との間において伝達する信号経路を、閉じた系として、形成する構成を備えている。
【0015】
以下、便宜上、上述した「給電コネクタと前記電源との電気的な接続状態に応じて値が変化し且つ電源から給電対象への電力の供給を許可する指示に応じて値が変化する信号」は、「給電コネクタ接続信号」とも称呼される。
【0016】
上記構成によれば、本発明の給電コネクタが電源に電気的に接続されたとき、給電コネクタは、給電コネクタと電源との間にて閉じた系としての信号経路(例えば、閉回路)を形成する。そのため、その閉じた系の外部の状態に起因する他の信号(例えば、上記CPLT信号)が、給電コネクタ接続信号とともに信号経路を伝達されることがない。よって、給電コネクタ接続信号と、そのような他の信号と、が混同されることが防がれ得る。
【0017】
さらに、上記構成によれば、本発明の給電コネクタが電源に電気的に接続されたとき、「給電コネクタと前記電源との電気的な接続状態」に応じて値が変化する信号(換言すると、同接続状態を表す信号)だけではなく、「電源から給電対象への電力の供給を許可する指示」に応じて値が変化する信号(換言すると、同指示を表す信号)が、信号経路を介して伝達される。そのため、電源に接続されたコネクタが給電コネクタであるか否か(つまり、電源からの給電を行うべきか否か)が判定されるとき、それら2つの信号に基づいて同判定が行われ得る。よって、従来装置のように給電コネクタと電源との電気的な接続状態を表す信号「のみ」に応じて同判定が行われる場合に比べ、より確実に同判定が行われ得る。
【0018】
したがって、本発明の給電コネクタによれば、給電コネクタが電源に接続されたとき、電源に接続されたコネクタが給電コネクタであるか否か(換言すると、電源への充電または電源からの給電のいずれを行うべきか)についての判定が適切に行われることになる。
【0019】
ところで、上記「給電対象」とは、電源から電力を供給される対象(電気的負荷)であればよく、特に制限されない。例えば、給電対象として、ラジオおよび電灯などの一般的な家庭用電化製品、家庭用エネルギ管理システム(Home Energy Manegement System。いわゆる、HEMS)上の特定の要素(充放電スタンド、住宅内給電コンセント等)、および、電力会社などが提供する電力網、などが採用され得る。
【0020】
また、上記「給電」とは、電源から給電対象に電力が供給されることを表し、電源自体の状態(例えば、電源が予め蓄えられている電気エネルギを放電するか、または、電源が発電を行いながら電気エネルギを供給するか、など)は特に制限されない。例えば、蓄電装置を備えた車両が電源として採用される場合、給電には、車両のエンジンが稼働していない状態での給電(放電)と、車両のエンジンが稼働している状態での給電(発電)と、が含まれる。
【0021】
上記「閉じた系」とは、給電コネクタ接続信号が伝達される信号経路上を、その系の外部の状態に起因する信号(例えば、上述したCPLT信号)が伝達されることがないことを表し、その具体的な構成は特に制限されない。例えば、閉じた系として、給電コネクタと電源との間に形成される閉回路が挙げられる。
【0022】
上記「接続状態」とは、給電コネクタと電源との電気的な接続に関連する状態を表し、少なくとも、給電コネクタと電源とが電気的に接続されていない状態、および、それらが電気的に接続されている状態、の2つの状態を含む。
【0023】
上記「電源から給電対象への電力の供給を許可する指示」は、電源から給電対象への電力の供給を許可するために行われる指示であればよく、特に制限されない。例えば、この指示は、給電コネクタの操作者の物理的な操作によって給電コネクタに与えられる指示であってもよく、他の部材(例えば、電源)によって給電コネクタに与えられる電気的な指示であってもよい。また、例えば、この指示は、給電コネクタに与えられる指示であってもよく、電源に与えられる指示であってもよい。
【0024】
上記「信号経路」は、上記信号を伝達することができる経路であればよく、特に制限されない。例えば、信号経路として、電気回路などの有線による信号経路、および、無線による信号経路、などが挙げられる。
【0025】
以下、本発明の給電コネクタのいくつかの具体的な態様が説明される。
【0026】
本発明の給電コネクタは、上述したように、「給電コネクタ接続信号を伝達する信号経路」を給電コネクタと電源との間において形成するように構成される。具体的に述べると、一の態様として、本発明の給電コネクタは、
前記電源と前記給電コネクタとが電気的に接続されているときの前記信号経路のインピーダンスの大きさが第1の値であり、かつ、前記電源から前記給電対象への電力の供給を許可する指示に応じ、前記信号経路のインピーダンスの大きさが、前記第1の値と同一または異なる第2の値と、前記第2の値とは異なる第3の値と、の間にて変化する、ように構成され得る。
【0027】
上記構成によれば、給電コネクタ接続信号として信号経路のインピーダンスに関連する値(以下、便宜上、「インピーダンス関連値」とも称呼される。)が採用された場合、そのインピーダンス関連値を伝達する信号経路が給電コネクタと電源との間において形成されることになる。
【0028】
上記「信号経路のインピーダンス」とは、上記信号が通過する経路全体における電圧と電流との比(別の言い方をすると、経路全体における合成インピーダンス)を表す。
【0029】
上記「第1の値」、「第2の値」および「第3の値」は、電源と給電コネクタとの電気的な接続状態および電源から給電対象への電力の供給を許可する指示が認識され得る値であればよく、特に制限されない。ここで、第1の値と第2の値とは、同一の値であってもよく、異なる値であってもよい。
【0030】
より具体的に述べると、一の態様として、本発明の給電コネクタは、
前記信号経路のインピーダンスの大きさが、前記電源から前記給電対象への電力の供給を許可する指示に応じ、「予め定められた変化パターン」に従って前記第2の値と前記第3の値との間にて変化する、ように構成され得る。
【0031】
上記構成によれば、給電コネクタ接続信号として信号経路のインピーダンスに関連する値が採用された場合、信号経路のインピーダンスが上記変化パターンに従って変化したときのインピーダンス関連値の変化により、電源から給電対象への電力の供給を許可する指示が認識され得ることになる。
【0032】
上記「変化パターン」は、電源から給電対象への電力の供給を許可する指示が認識され得るパターンであればよく、特に制限されない。例えば、変化パターンとして、信号経路のインピーダンスの大きさが所定の期間内に第2の値と第3の値との間を所定の回数(例えば、2回)だけ往復するパターン、および、信号経路のインピーダンスの大きさが第2の値から第3の値に変化し且つ所定の時間長さだけ第3の値に維持された後に第2の値に戻るパターン、などが採用され得る。
【0033】
次いで、「電源から給電対象への電力の供給を許可する指示」について具体的に述べると、一の態様として、本発明の給電コネクタは、
前記電源から前記給電対象への電力の供給を許可する指示が、前記給電コネクタに設けられた指示部を介して行われる、ように構成され得る。
【0034】
より具体的に述べると、一の態様として、本発明の給電コネクタは、
前記指示部が、前記信号経路のインピーダンスの大きさを前記第2の値または前記第3の値に切り替えることが可能な部材であって、当該指示部を予め定められたパターンに従って操作することによって前記信号経路のインピーダンスの大きさが前記変化パターンに従って変化する部材である、ように構成され得る。
【0035】
上記構成によれば、上記指示部を操作することにより、電源から給電対象への電力の供給を許可する指示が給電コネクタと電源との間において伝達されることになる。
【0036】
以上、本発明の給電コネクタのいくつかの態様が説明された。
ところで、本発明の給電コネクタにおける「給電コネクタ接続信号」は、信号経路を通じて伝達され得る信号であればよく、特に制限されない。例えば、給電コネクタ接続信号として、前記信号経路上の特定の位置における「電圧の大きさ」が採用され得る。
【0037】
さらに、本発明の給電コネクタが接続される「電源」は、給電対象に電力を供給し得る電源であればよく、特に制限されない。例えば、前記電源として、充電および放電が可能な蓄電装置を備えた「車両」が採用され得る。
【0038】
上記「車両」として、例えば、蓄電装置(例えば、二次電池やキャパシタなど)を搭載したハイブリッド自動車(HV)、プラグイン・ハイブリッド自動車(PHV)および、電気自動車(EV)などの電動車両が挙げられる。本発明の給電コネクタは、これら車両に設けられた接続部(例えば、インレット)などを介して蓄電装置に接続され得る。
【0039】
上記「蓄電装置」は、充電および放電が可能な装置であればよく、特に制限されない。例えば、蓄電装置として、二次電池およびキャパシタなどが採用され得る。
【0040】
さらに、蓄電装置を備えた車両が電源として採用される場合、前記信号経路として、SAEによるJ1772規格に準じたPISW信号を伝達する信号経路が採用され得る。
【0041】
上述したプラグイン・ハイブリッド自動車(PHV)などの電動車両が搭載する蓄電装置への充電を行うための充電システムは、上述したアメリカ合衆国におけるSAEが定める規格に準拠することが主流となっている。SAEが定める種々の規格のうち、車両が搭載する蓄電装置への充電を行う充電システムにおける種々の制御信号、ケーブルおよびコネクタなどに関する規格として、J1772規格が定められている。このJ1772規格においては、充電用コネクタと接続部(インレット)との嵌合状態を判定するための情報を伝達する信号として、PISW信号(ケーブル接続信号)が定められている。
【0042】
そこで、この規格に準じたPISW信号を伝達する信号経路を本発明における給電コネクタ接続信号を伝達する信号経路として利用することにより、同規格に準じた車両等に本発明の給電コネクタが容易に適用され得る。
【0043】
以上が、本発明による給電コネクタの説明である。
【0044】
次いで、上記課題を解決するための本発明による「電源」が、以下に説明される。ただし、以下の説明においては、上述した本発明による給電コネクタについて述べられた説明と同様の内容についての説明は、適宜省略される。
【0045】
本発明の電源は、電力が供給される対象である給電対象に給電コネクタを介して連結されることによって前記給電対象へ電力を供給することが可能な電源である。
【0046】
本発明の電源は、
当該電源と前記給電コネクタとの電気的な接続状態に応じて値が変化し且つ前記電源から前記給電対象への電力の供給を許可する指示に応じて値が変化する信号を当該電源と当該給電コネクタとの間において伝達する信号経路を閉じた系として形成する構成、を備えている。
【0047】
さらに、本発明の電源は、一の態様として、
前記電源と前記給電コネクタとが電気的に接続されていることを表す値である信号が前記信号経路を通じて伝送され且つ前記電源から前記給電対象への電力の供給を許可する指示に応じた値である信号が前記信号経路を通じて伝送されたとき、前記電源に前記給電コネクタが電気的に接続されていると判定すること、および、前記電源から前記給電対象へ電力を供給すること、の一方または双方を行う、ように構成され得る。
【0048】
上記構成によれば、電源に給電コネクタが接続されたとき、「給電コネクタと前記電源との電気的な接続状態」に応じて値が変化する信号(換言すると、同接続状態を表す信号)、および、「電源から給電対象への電力の供給を許可する指示」に応じて値が変化する信号(換言すると、同指示を表す信号)、の2つの信号に基づき、「電源に給電コネクタが電気的に接続されているとの判定」および「電源から給電対象への電力の供給」の一方または双方が行われることになる。
【0049】
したがって、本発明の電源によれば、電源に給電コネクタが接続されたとき、電源に接続されたコネクタが給電コネクタであるか否か(換言すると、電源への充電または電源からの給電のいずれを行うべきか)についての判定が適切に行われることになる。
【0050】
さらに、本発明の電源は、一の態様として、
前記電源と前記給電コネクタとが電気的に接続されているときの前記信号経路のインピーダンスの大きさが第1の値であり、かつ、前記電源から前記給電対象への電力の供給を許可する指示に応じ、前記信号経路のインピーダンスの大きさが、前記第1の値と同一または異なる第2の値と、前記第2の値とは異なる第3の値と、の間にて変化する、ように構成され得る。
【0051】
より具体的に述べると、本発明の電源は、一の態様として、
前記信号経路のインピーダンスの大きさが、前記電源から前記給電対象への電力の供給を許可する指示に応じ、予め定められた変化パターンに従って前記第2の値と前記第3の値との間にて変化する、ように構成され得る。
【0052】
さらに、本発明の電源における給電コネクタ接続信号(給電コネクタと前記電源との電気的な接続状態に応じて値が変化し且つ電源から給電対象への電力の供給を許可する指示に応じて値が変化する信号)として、前記信号経路上の特定の位置における電圧の大きさが採用され得る。
【0053】
ここで、給電コネクタ接続信号として信号経路上の特定の位置における電圧の大きさが採用される場合、本発明の電源は、一の態様として、
前記電源と前記給電コネクタとが電気的に接続されていることを表す値である信号として、前記信号経路のインピーダンスの大きさが前記第1の値であるときの前記特定の位置における電圧の大きさが採用され、
前記電源から前記給電対象への電力の供給を許可する指示に応じた値である信号として、前記信号経路のインピーダンスの大きさが前記変化パターンに従って変化したときの前記特定の位置における電圧の大きさが採用される、ように構成され得る。
【0054】
上記構成によれば、上記特定の位置における電圧の大きさを確認することにより、電源と給電コネクタとの電気的な接続状態および電源から給電対象へ電力の供給を許可する指示が認識され得ることになる。
【0055】
以上、本発明の電源のいくつかの態様が説明された。
本発明による電源は、上述したように、給電対象に電力を供給し得る電源であればよく、特に制限されない。例えば、前記電源として、充電および放電が可能な蓄電装置を備えた「車両」が採用され得る。
【0056】
さらに、蓄電装置を備えた車両が電源として採用される場合、前記信号経路として、SAEによるJ1772規格に準じたPISW信号を伝達する信号経路が採用され得る。
【0057】
以上が、本発明における電源についての説明である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係る給電コネクタと、本発明の実施形態に係る電源と、の構成の概念を示す概略図である。
【図2】ECUが取得する電圧の大きさVpiswと、給電コネクタと電源との接続状態および電源から給電対象への給電を許可する指示と、の関係を示す電圧分布マップである。
【図3】信号経路上の所定の位置における電圧の大きさと、時間経過と、の関係を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、本発明による給電コネクタの一の実施形態、および、本発明による電源の一の実施形態が、図面を参照しながら説明される。
【0060】
<給電コネクタおよび電源の概要>
図1は、本発明の実施形態に係る給電コネクタと、本発明の実施形態に係る電源と、の構成の概念を示す概略図である。図1においては、給電コネクタ10と、電源としての車両20と、が電気的に接続されるとともに、車両20と、給電対象としての家庭用エネルギ管理システム(HEMS)30における充電・給電用スタンド31(以下、単に「スタンド31」とも称呼される。)と、が給電コネクタ10を介して連結される態様が示されている。
【0061】
給電コネクタ10は、電力を伝達する経路(電力伝達経路)に対応するACIH端子(HOT側端子)11、ACIC端子(COLD側端子)12、SAEによるJ1772規格に準じたPISW信号を伝達する信号経路に対応するPISW端子13、接地線に対応するGND端子14、および、上記規格に準じたCPLT信号を伝達する信号経路に対応するCPLT端子15、を有している。
【0062】
ACIH端子11を一端とする電力伝達経路11aおよびACIC端子12を一端とする電力伝達経路12aは、給電コネクタ10内を通過してスタンド31に接続されている。PISW端子13を一端とする信号経路13aは、複数の抵抗器R1,R2,R3およびスイッチS1,S2(詳細は後述される。)を経由して、他端であるGND端子14に接続されている。すなわち、PISW端子13とGND端子14とを繋ぐ信号経路13aは、スタンド31に接続されていない。一方、CPLT端子15を一端とする信号経路15aは、PISW端子13とGND端子14とを繋ぐ信号経路と接続されることなく、スタンド31に接続されている。
【0063】
車両20は、給電コネクタのACIH端子11、ACIC端子12、PISW端子13、GND端子14およびCPLT端子15にそれぞれ対応するACIH端子21、ACIC端子22、PISW端子23、GND端子24およびCPLT端子25、を有している。
【0064】
ACIH端子21を一端とする動力伝達経路21aおよびACIC端子22を一端とする動力伝達経路22aは、車両20内の蓄電装置26に接続されている。なお、これら動力伝達経路は、他の部材(例えば、インバータなど)を介して蓄電装置26に接続されてもよい。PISW端子23を一端とする信号経路23aは、抵抗器R4を経由してGND端子24に接続されている。また、PISW端子23を一端とする信号経路23aの特定の位置Pに、基準電圧27が抵抗器R5を経由して接続されている。さらに、同特定の位置Pに、車両20のECUが接続されている。ECUは、この特定の位置Pにおける電圧を「給電コネクタ接続信号」として取得するようになっている。一方、CPLT端子25を一端とする信号経路25aは、ダイオード28を介してECUに接続されている。また、CPLT端子25を一端とする信号経路25aは、抵抗器R6,R7およびスイッチS3を介して接地されている。
【0065】
上述した構成を有する給電コネクタ10と車両20とが電気的に接続されたとき、図1に示すように、給電コネクタ10のPISW端子13とGND端子14とを繋ぐ信号経路13aと、車両20のPISW端子23とGND端子24とを繋ぐ信号経路23aと、によって閉回路(閉じた系)が形成される。以下、便宜上、この閉回路は、「PISW信号経路」とも称呼される。
【0066】
次いで、給電コネクタ10のPISW信号経路上に配置された抵抗器およびスイッチが、より詳細に説明される。給電コネクタ10は、PISW信号経路上に配置された抵抗器R1、PISW信号経路が2つの信号経路に分割されて得られるそれぞれの信号経路上に配置された抵抗器R2および抵抗器R3(よって、抵抗器R2と抵抗器R3とは並列に配置されている。)、抵抗器R3が配置される信号経路上に直列に配置されたスイッチS1、および、抵抗器R3に対して並列に配置されたスイッチS2、を有している。
【0067】
スイッチS1は、給電コネクタ10と車両20との電気的な接続状態に応じて開閉するスイッチである。具体的に述べると、スイッチS1は、給電コネクタ10と車両20とを電気的に接続するために給電コネクタ10が車両20の接続部(インレット。図示省略。)に挿入される動作、および、給電コネクタ10を車両20に固定するために給電コネクタ10に設けられた凸部(図示省略。)が車両20に設けられた凹部に嵌合される動作、に連動して開閉するようになっている。
【0068】
より具体的に述べると、スイッチS1は、給電コネクタ10が車両20の接続部に挿入されていないとき(以下、「第1の状態」とも称呼される。)に「閉じる」ように設定されている。次いで、スイッチS1は、給電コネクタ10が車両20の接続部に挿入されて給電コネクタ10と車両20とが電気的に接続されたとき(以下、「第2の状態」とも称呼される。)に「開く」ように設計されている。そして、スイッチS1は、給電コネクタ10の凸部が車両20の凹部に嵌合されて給電コネクタ10が車両20に固定されたとき(以下、「第3の状態」とも称呼される。)に再び「閉じる」ように設計されている。
【0069】
以下、給電コネクタ10と車両20とが第1の状態から第2の状態を経て第3の状態に至るまでの間における、PISW信号経路のインピーダンスの大きさ(PISW信号経路における接地位置Gから位置Pまでの合成インピーダンスの大きさ)、および、位置Pにおける電圧の大きさVpisw、が、図1および図2を参照しながら説明される。
【0070】
まず、給電コネクタ10と車両20とが第1の状態である場合、車両20のPISW端子23とGND端子24との間が開放されているので、PISW信号経路のインピーダンスの大きさは、抵抗器R4のインピーダンスの大きさに相当する。抵抗器R4は、この場合における位置Pの電圧の大きさV1が図2に示す電圧分布マップの領域VR1に属する値であるように、設定されている。
【0071】
次いで、給電コネクタ10と車両20とが第2の状態である場合、スイッチS1が開いているので、PISW信号経路のインピーダンスの大きさは、抵抗器R1、抵抗器R2および抵抗器R4の合成インピーダンスの大きさに相当する。抵抗器R1、抵抗器R2および抵抗器R4のインピーダンスの大きさは、この場合における位置Pの電圧の大きさV2が図2に示す電圧分布マップの領域VR2に属する値であるように、設定されている。
【0072】
そして、給電コネクタ10と車両20とが第3の状態である場合、スイッチS1が閉じているので、PISW信号経路のインピーダンスの大きさは、抵抗器R1、抵抗器R2、抵抗器R3および抵抗器R4の合成インピーダンスの大きさに相当する。抵抗器R1、抵抗器R2、抵抗器R3および抵抗器R4のインピーダンスの大きさは、この場合における位置Pの電圧の大きさV3が図2に示す電圧分布マップの領域VR3に属する値であるように、設定されている。
【0073】
次いで、スイッチS2は、車両20からスタンド31への電力の供給を許可する指示に応じて開閉するスイッチである。具体的に述べると、スイッチS2は、上述した第3の状態(給電コネクタ10が車両20に固定された状態)において「開く」ように設計されている。そして、スイッチS2は、上記指示を行うためにスイッチS2が操作されるとき(以下、「第4の状態」とも称呼される。)に「閉じる」ように設計されている。
【0074】
給電コネクタ10と車両20とが第4の状態である場合、抵抗器R2の両端が短絡された状態であるので、PISW信号経路のインピーダンスの大きさは、抵抗器R1および抵抗器R4の合成インピーダンスの大きさに相当する。抵抗器R1および抵抗器R4のインピーダンスの大きさは、この場合における位置Pの電圧の大きさV4が図2に示す電圧分布マップの領域VR4に属する値であるように、設定されている。
【0075】
このように、抵抗器R1、抵抗器R2、抵抗器R3および抵抗器R4のインピーダンスの大きさは、第1の状態、第2の状態、第3の状態および第4の状態のそれぞれにおいてPISW信号経路のインピーダンスの大きさが異なるように(換言すると、位置Pの電圧の大きさVpiswが異なるように)設定されている。
【0076】
ところで、図1においては、給電コネクタ10が車両20に固定された状態(第3の状態)における給電コネクタ10および車両20の概要が示されている。そのため、図1において、スイッチS1は閉じており、スイッチS2は開いている。
【0077】
なお、図2に示す電圧分布マップにおける領域VR1、領域VR2、領域VR3および領域VR4以外の領域は、本発明の給電コネクタおよび電源においては用いられない領域である。これら領域は、本発明の給電コネクタおよび電源において行われる判定とは異なる判定(例えば、充電用のコネクタが電源に接続されたか否かの判定など)を行うとき等に用いられる。
【0078】
<実際の作動>
上述したように構成された給電コネクタ10および車両20において行われる「給電コネクタ10が車両20に電気的に接続されているか否か」の判定、および、「車両20からスタンド31への電力の供給を許可する指示がなされたか否か」の判定、が図3を参照しながら説明される。
【0079】
図3は、PISW信号経路上の位置Pにおける電圧の大きさVpiswと、時間経過と、の関係の一例を表すタイムチャートである。図3において、「I」は第1の状態を、「II」は第2の状態を、「III」は第3の状態を、「IV」は第4の状態を、それぞれ表す。
【0080】
まず、時刻t0において、給電コネクタ10は車両20に接続されていない(第1の状態)。よって、位置Pの電圧の大きさVpiswは値V1である。次いで、時刻t1において給電コネクタ10が車両20の接続部に挿入されると(第2の状態)、位置Pの電圧の大きさVpiswは値V2に減少する。さらに、時刻t2において給電コネクタ10が車両20い固定されると(第3の状態)、位置Pの電圧の大きさVpiswは値V3に減少する。
【0081】
車両20のECUは、位置Pの電圧の大きさVpiswが値V3であるとき(別の言い方をすると、電圧分布マップの領域VR3に属する値であるとき)、「給電コネクタ10が車両20に電気的に接続されている」と判定するように構成されている。よって、本例において、ECUは、時刻t2において「給電コネクタ10が車両20に電気的に接続されている」と判定する。
【0082】
次いで、時刻t3から時刻t6までの期間において、スイッチS2が車両20からスタンド31への電力の供給を許可する指示を行うために操作される。具体的に述べると、この期間において、スイッチS2を開閉することが2回繰り返される。より具体的に述べると、時刻t3においてスイッチS2が閉じられることにより(第4の状態)、位置Pの電圧の大きさVpiswが値V4に減少する。次いで、時刻t4においてスイッチS2が開かれることにより(第3の状態)、位置Pの電圧の大きさVpiswが値V3に増大する。さらに、時刻t5において再びスイッチS2が閉じられることにより(第4の状態)、位置Pの電圧の大きさVpiswが再び値V4に低下する。そして、時刻t6において再びスイッチS2が開かれることにより(第3の状態)、位置Pの電圧の大きさVpiswが再び値V3に増大する。
【0083】
車両20のECUは、位置Pの電圧の大きさVpiswが所定の期間内(時刻t3から時刻t6までの期間と同一、または、同期間よりも長い期間)にスイッチS2が2回開閉されたとき、「車両20からスタンド31への電力の供給を許可する指示がなされた」と判定するように構成されている。つまり、車両20のECUは、給電コネクタ10が車両20の接続部に挿入された後(または、挿入された上で固定された後)の位置Pの電圧の大きさVpiswの変化(または、合成インピーダンスの大きさの変化)に基づき、車両20からスタンド31への電力の供給を許可する指示がなされたと判定する。よって、本例において、ECUは、時刻t6において「車両20からスタンド31への電力の供給を許可する指示がなされた」と判定する。そして、時刻t6において又は時刻t6から所定の時間長さが経過した後、車両20からスタンド31への給電を開始する。
【0084】
その後、スイッチS2が特に操作されなければ、ECUは、車両20からスタンド31への給電を継続する。そして、図3に示すように、時刻t7から時刻t8においてスイッチS2が1回開閉されると(第4の状態を経て第3の状態に戻ると)、車両20からスタンド31への給電を中断する。
【0085】
その後、時刻t9において車両20への給電コネクタ10の固定が解除され(第2の状態)、時刻t10において車両20の接続部から給電コネクタ10が取り外される(第1の状態)。
【0086】
このように、本態様の給電コネクタ10および車両20においては、PISW信号経路上の位置Pにおける電圧の大きさVpisw(換言すると、同信号経路のインピーダンスの大きさ)およびその電圧の大きさVpiswの変化、に基づき、「給電コネクタ10が車両20に電気的に接続されているか否か」の判定、および、「車両20からスタンド31への電力の供給を許可する指示がなされたか否か」の判定、が行われる。
以上が、本発明の給電コネクタおよび電源の実施形態についての説明である。
【0087】
<実施形態の総括>
図1〜図3を参照しながら説明したように、本発明の実施形態に係る給電コネクタは、電源(蓄電装置26を備えた車両20)と、前記電源20から電力を供給される対象である給電対象(HEMS30の充放電スタンド31)と、を連結する給電コネクタ10である。
【0088】
給電コネクタ10は、
当該給電コネクタ10と前記電源20との電気的な接続状態に応じて値が変化し且つ前記電源20から前記給電対象31への電力の供給を許可する指示に応じて値が変化する信号(給電コネクタ接続信号)を当該給電コネクタ10と前記電源20との間において伝達する信号経路(PISW信号経路)を閉じた系(給電コネクタ10の信号経路13aと、車両20の信号経路23aと、によって形成される閉回路)として形成する構成、を備えている。
【0089】
この給電コネクタ10は、
前記電源20と前記給電コネクタ10とが電気的に接続されているときの前記信号経路(PISW信号経路)のインピーダンスの大きさが第1の値(抵抗器R4のインピーダンスの大きさに相当。)であり、かつ、前記電源20から前記給電対象31への電力の供給を許可する指示に応じ、前記信号経路(PISW信号経路)のインピーダンスの大きさが、前記第1の値と同一または異なる第2の値(抵抗器R1、抵抗器R2、抵抗器R3および抵抗器R4の合成インピーダンスの大きさに相当。)と、前記第2の値とは異なる第3の値(抵抗器R1および抵抗器R4の合成インピーダンスの大きさに相当。)と、の間にて変化する、ように構成されている。
【0090】
この給電コネクタ10は、
前記信号経路(PISW信号経路)のインピーダンスの大きさが、前記電源20から前記給電対象31への電力の供給を許可する指示(スイッチS2を開閉する操作)に応じ、予め定められた変化パターンに従って前記第2の値と前記第3の値との間にて変化する(位置Pの電圧の大きさVpiswを図3の時刻t3〜時刻t6に示すように変化させる)ように構成されている。
【0091】
この給電コネクタ10においては、
前記電源20から前記給電対象31への電力の供給を許可する指示は、前記給電コネクタ10に設けられた指示部(スイッチS2)を介して行われる。
【0092】
この給電コネクタ10において、
前記指示部S2は、前記信号経路(PISW信号経路)のインピーダンスの大きさを前記第2の値または前記第3の値に切り替えることが可能な部材であって(図2を参照。)、当該指示部S2を予め定められたパターンに従って操作することによって(図3の時刻t3〜時刻t6の期間内に2回開閉させることによって)前記信号経路(PISW信号経路)のインピーダンスの大きさが前記変化パターンに従って変化する部材である。
【0093】
この給電コネクタ10において、
前記信号(給電コネクタ接続信号)として、前記信号経路(PISW信号経路)上の特定の位置Pにおける電圧の大きさVpiswが採用されている。
【0094】
この給電コネクタ10において、
前記電源20は、充電および放電が可能な蓄電装置26を備えた車両20である。
【0095】
この給電コネクタ10において、
前記信号経路(PISW信号経路。図1の信号経路13aおよび23a)は、SAEによるJ1772規格に準じたPISW信号を伝達する信号経路である。
【0096】
さらに、図1〜図3を参照しながら説明したように、本発明の実施形態に係る電源は、電力が供給される対象である給電対象31に給電コネクタ10を介して連結されることによって前記給電対象31へ電力を供給することが可能な電源(車両20)である。
【0097】
この電源20は、
当該電源20と前記給電コネクタ10との電気的な接続状態に応じて値が変化し且つ前記電源20から前記給電対象31への電力の供給を許可する指示に応じて値が変化する信号を当該電源20と当該給電コネクタ10との間において伝達する信号経路(PISW信号経路)を閉じた系として形成する構成、を備えている。
【0098】
この電源20は、
前記電源20と前記給電コネクタ10とが電気的に接続されていることを表す値である信号が前記信号経路(PISW信号経路)を通じて伝送され(位置Pの電圧の大きさVpiswが値V3であり)且つ前記電源20から前記給電対象31への電力の供給を許可する指示に応じた値である信号が前記信号経路(PISW信号経路)を通じて伝送されたとき(位置Pの電圧の大きさVpiswが図3の時刻t3〜時刻t6に示すように変化したとき)、前記電源20に前記給電コネクタ10が電気的に接続されていると判定すること、および、前記電源20から前記給電対象31へ電力を供給すること、の一方または双方を行う。
【0099】
この電源20は、
前記電源20と前記給電コネクタ10とが電気的に接続されているときの前記信号経路(PISW信号経路)のインピーダンスの大きさが第1の値(上記参照。)であり、かつ、前記電源20から前記給電対象31への電力の供給を許可する指示に応じ、前記信号経路(PISW信号経路)のインピーダンスの大きさが、前記第1の値と同一または異なる第2の値(上記参照。)と、前記第2の値とは異なる第3の値(上記参照。)と、の間にて変化する、ように構成されている。
【0100】
この電源20は、
前記信号経路(PISW信号経路)のインピーダンスの大きさが、前記電源20から前記給電対象31への電力の供給を許可する指示に応じ、予め定められた変化パターン(上記参照。)に従って前記第2の値と前記第3の値との間にて変化する、ように構成されている。
【0101】
この電源20において、
前記信号(給電コネクタ接続信号)として、前記信号経路(PISW信号経路)上の特定の位置Pにおける電圧の大きさが採用されている。
【0102】
この電源20において、
前記電源20と前記給電コネクタ10とが電気的に接続されていることを表す値である信号として、前記信号経路(PISW信号経路)のインピーダンスの大きさが前記第1の値であるときの前記特定の位置Pにおける電圧の大きさVpiswが採用され、
前記電源20から前記給電対象31への電力の供給を許可する指示に応じた値である信号として、前記信号経路(PISW信号経路)のインピーダンスの大きさが前記変化パターンに従って変化したときの前記特定の位置Pにおける電圧の大きさVpiswが採用されている。
【0103】
この電源20において、
前記電源20は、充電および放電が可能な蓄電装置26を備えた車両である。
【0104】
この電源20において、
前記信号経路(PISW信号経路)は、SAE J1772規格に準じたPISW信号を伝達する信号経路(PISW信号経路)である。
【0105】
本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【0106】
例えば、上記実施形態においては、蓄電装置26を備えた車両20が電源として採用されている。しかし、本発明における電源は、給電コネクタを介して給電対象に電力を供給することが可能な電源であればよく、車両20に限られない。
【0107】
さらに、上記実施形態においては、信号経路のインピーダンスの変化パターン(位置Pの電圧の大きさVpiswの変化のパターン)として、信号経路のインピーダンスの大きさが所定の期間内に第2の値と第3の値との間を2回往復するパターンが採用されている。しかし、信号経路のインピーダンスの変化パターンは、電源から給電対象への給電を許可する指示が認識され得るパターンであればよく、このパターンに限られない。
【符号の説明】
【0108】
10…給電コネクタ、20…車両、26…蓄電装置、30…HEMS、31…充電・給電用スタンド、11,21…ACIH端子、12,22…ACIC端子、13,23…PISW端子、14,24…CPLT端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、前記電源から電力を供給される対象である給電対象と、を連結する給電コネクタであって、
当該給電コネクタと前記電源との電気的な接続状態に応じて値が変化し且つ前記電源から前記給電対象への電力の供給を許可する指示に応じて値が変化する信号を当該給電コネクタと前記電源との間において伝達する信号経路を閉じた系として形成する構成、を備えた給電コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の給電コネクタにおいて、
前記電源と前記給電コネクタとが電気的に接続されているときの前記信号経路のインピーダンスの大きさが第1の値であり、かつ、前記電源から前記給電対象への電力の供給を許可する指示に応じ、前記信号経路のインピーダンスの大きさが、前記第1の値と同一または異なる第2の値と、前記第2の値とは異なる第3の値と、の間にて変化する、ように構成された給電コネクタ。
【請求項3】
請求項1および請求項2に記載の給電コネクタにおいて、
前記信号経路のインピーダンスの大きさが、前記電源から前記給電対象への電力の供給を許可する指示に応じ、予め定められた変化パターンに従って前記第2の値と前記第3の値との間にて変化する、ように構成された給電コネクタ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の給電コネクタにおいて、
前記電源から前記給電対象への電力の供給を許可する指示が、前記給電コネクタに設けられた指示部を介して行われる、給電コネクタ。
【請求項5】
請求項4に記載の給電コネクタにおいて、
前記指示部が、前記信号経路のインピーダンスの大きさを前記第2の値または前記第3の値に切り替えることが可能な部材であって、当該指示部を予め定められたパターンに従って操作することによって前記信号経路のインピーダンスの大きさが前記変化パターンに従って変化する部材である、給電コネクタ。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の給電コネクタにおいて、
前記信号として、前記信号経路上の特定の位置における電圧の大きさが採用される、給電コネクタ。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の給電コネクタにおいて、
前記電源が、充電および放電が可能な蓄電装置を備えた車両である、給電コネクタ。
【請求項8】
請求項7に記載の給電コネクタにおいて、
前記信号経路が、SAEによるJ1772規格に準じたPISW信号を伝達する信号経路である、給電コネクタ。
【請求項9】
電力が供給される対象である給電対象に給電コネクタを介して連結されることによって前記給電対象へ電力を供給することが可能な電源であって、
当該電源と前記給電コネクタとの電気的な接続状態に応じて値が変化し且つ前記電源から前記給電対象への電力の供給を許可する指示に応じて値が変化する信号を当該電源と当該給電コネクタとの間において伝達する信号経路を閉じた系として形成する構成、を備えた、電源。
【請求項10】
請求項9に記載の電源において、
前記電源と前記給電コネクタとが電気的に接続されていることを表す値である信号が前記信号経路を通じて伝送され且つ前記電源から前記給電対象への電力の供給を許可する指示に応じた値である信号が前記信号経路を通じて伝送されたとき、前記電源に前記給電コネクタが電気的に接続されていると判定すること、および、前記電源から前記給電対象へ電力を供給すること、の一方または双方を行う、電源
【請求項11】
請求項9および請求項10に記載の電源において、
前記電源と前記給電コネクタとが電気的に接続されているときの前記信号経路のインピーダンスの大きさが第1の値であり、かつ、前記電源から前記給電対象への電力の供給を許可する指示に応じ、前記信号経路のインピーダンスの大きさが、前記第1の値と同一または異なる第2の値と、前記第2の値とは異なる第3の値と、の間にて変化する、ように構成された、電源。
【請求項12】
請求項9〜請求項11のいずれか一項に記載の電源において、
前記信号経路のインピーダンスの大きさが、前記電源から前記給電対象への電力の供給を許可する指示に応じ、予め定められた変化パターンに従って前記第2の値と前記第3の値との間にて変化する、ように構成された、電源。
【請求項13】
請求項9〜請求項12のいずれか一項に記載の電源において、
前記信号として、前記信号経路上の特定の位置における電圧の大きさが採用される、電源。
【請求項14】
請求項13に記載の電源において、
前記電源と前記給電コネクタとが電気的に接続されていることを表す値である信号として、前記信号経路のインピーダンスの大きさが前記第1の値であるときの前記特定の位置における電圧の大きさが採用され、
前記電源から前記給電対象への電力の供給を許可する指示に応じた値である信号として、前記信号経路のインピーダンスの大きさが前記変化パターンに従って変化したときの前記特定の位置における電圧の大きさが採用される、電源。
【請求項15】
請求項9〜請求項14のいずれか一項に記載の電源において、
前記電源が、充電および放電が可能な蓄電装置を備えた車両である、電源。
【請求項16】
請求項15に記載の電源において、
前記信号経路が、SAE J1772規格に準じたPISW信号を伝達する信号経路である、電源。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−97992(P2013−97992A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239367(P2011−239367)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【特許番号】特許第5179639号(P5179639)
【特許公報発行日】平成25年4月10日(2013.4.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】