説明

給電板及びゲーム装置

【課題】 走行体に給電を行うための集電ピンや給電板の磨耗を小さくし、集電ピンの磨耗状態の検査に係る作業負担を軽減し、集電ピン等の交換の頻度を低減させ、又は、給電板の磨耗に起因する不具合の発生を防止する。
【解決手段】 走行面7sと、走行面7sと対面する給電板6と、走行面7s上を走行する走行体40であって、給電板6に集電ピン61を当接させて給電板6からの給電を受ける集電装置60を搭載した走行体40とを備えるゲーム装置1において、集電ピン61の前端に導電性の回転体64を回転可能に保持し、集電ピン61を回転体64によって給電板6に当接させるよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1又は複数の走行体が所定の走行面を走行するゲーム装置及びその走行体に搭載される集電装置に関し、特に、1又は複数の走行体が、走行面に対面する給電板から給電を受ける集電装置を備えるゲーム装置及び集電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数の模型体が配置される上方走行面と、複数の走行体が走行する下方走行面を備えるゲーム装置を開示している。このゲーム装置では、下方走行面を走行する走行体が磁力などを用いて上方走行面の模型体を牽引して走行させるよう構成されているため、上方走行面に設けられた所定のトラック内において、各模型体をある程度自由に走行コースを変えつつ走行させることが可能であり、走行距離が最短となる内側の有利なコース取りを狙って模型体が競り合って密集するなど、より高い迫力で、或いは、より高いリアリティをもって模型体を走行させることが可能である。
【0003】
ところで、上記ゲーム装置では、下方走行面の天井面(上方走行面の下面)に電源に接続された給電板が敷設されるとともに、各走行体はバネなどの付勢手段による付勢力を受ける複数の集電ピンを有する集電装置を搭載しており、各走行体は、その集電ピンの前端(上端)を給電板に当接させることによって走行等に必要な電力の供給を受ける構成となっている。
【0004】
また、走行体が集電ピンを給電板に当接させて走行する際の摩擦による給電板の磨耗やこれによるゴミの発生等を防ぐため、集電ピンの前端にアールを付けることで摩擦の低減が図られている。
【0005】
しかし、走行体が走行するうちに、やがては集電ピンの前端が削れてアールは失われていく。そしてアールが失われると、給電板との摩擦は増大し、給電板や集電ピンの前端の磨耗速度は急激に増大することになる。
【0006】
このため、給電板にすり切れが生じて、その位置では走行体に給電が出来なくなり、又は、給電板の削りかすが下方走行面上に溜まって走行体の走行や位置検出に支障を来たし、又は、集電ピンが短くなって給電板への当接力が弱くなり、給電板からの受電が不安定になる、等々の現象を生じ、場合によっては、予定した速度で走行体を走行させることが出来なくなったり、ゲームの進行中に走行体が停止してしまうなどの不具合を生じることになる。
【0007】
上記のような不具合を防ぐには、ゲーム装置を設置する遊戯店舗の従業員などのメンテナンス要員が集電ピンの磨耗状態を日々チェックし、ある程度磨耗が進んでいると判断した時点で新しい集電ピン又は集電装置を発注してその交換をすることが必要である。
【0008】
しかし、目視によって集電ピンの磨耗状態を適切に判断することは困難であり、ゲーム装置によっては、5〜10台など、多数の走行体が使用される場合があり、遊戯店舗は、磨耗状態のチェックのために相当程度の作業負担を強いられることになる。
【0009】
また、磨耗状態の判断が適切に出来なかったなどのために集電ピンの交換時期が遅れると、場合によっては、給電板の損傷が大きくなって給電板の取り替えなどの大幅な修理が必要となり、或いは、走行体が停止するなどの不具合を生じて、部品交換までの期間ゲーム装置を稼働できなくなり、遊戯店舗の収益に影響を与えるなどの問題を生じる。
【特許文献1】特開平10−216355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、下記のいずれか一以上の目的を達成するものである。
【0011】
即ち、本発明の目的は、集電ピンを給電板に当接させて走行体が走行する際における集電ピンの前端又は給電板の磨耗を小さくすることが可能なゲーム装置及び集電装置を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、集電ピンの磨耗状態を検査することの必要性を低減し、又は、集電ピン乃至集電装置の交換の頻度を低減させることが可能なゲーム装置及び集電装置を提供することにある。
【0013】
本発明の更に他の目的は、給電板の磨耗に起因する集電装置への給電不良や走行体の走行停止等の不具合の発生頻度を低減させることが可能なゲーム装置及び集電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記問題を解決したものであり、
走行面と、
前記走行面と対面する給電板と、
前記走行面上を走行する走行体であって、前記給電板に集電ピンを当接させて前記給電板からの給電を受ける集電装置を搭載した走行体とを備えるゲーム装置であって、
前記集電ピンは、その前端に導電性の回転体を回転可能に保持し、前記回転体によって前記給電板に当接することを特徴とするゲーム装置(請求項1)、又は、
走行面上を走行する走行体に搭載され、前記走行面と対面する給電板に集電ピンを当接させて前記給電板からの給電を受ける集電装置であって、
前記集電ピンは、その前端に導電性の回転体を回転可能に保持し、前記回転体によって前記給電板に当接することを特徴とする集電装置(請求項5)である。
【0015】
本発明では、集電ピンが回転可能な回転体によって給電板に当接するよう構成されているため、回転体が回転するにつれて給電板との当接により磨耗を受ける回転体上の位置が変化していくことになる。従って、前端の同一部位が常に磨耗を受ける構成であった従来の給電ピンを用いる給電装置と比較して、集電ピンの磨耗の進行を抑制することが可能となる。
【0016】
或いは、本発明では、走行体が走行する際に給電板に当接する導電性ボールが回転すれば、給電板と集電ピンの間での摩擦力が小さくなる。従って、給電板と集電ピンの間での摩擦力の低減によって、集電ピン及び/又は給電板の磨耗の進行を抑制することが可能となる。
【0017】
本発明の回転体は、給電板からの給電を受けるためにある程度以上の導電性を有することが必要であるとともに、給電板に当接する際の負荷乃至衝撃に耐えうる機械的強度を有することが必要である。本発明の回転体に好ましく使用される材料としては、導電性及び機械的強度に優れるタングステンやリン青銅を例示することができ、回転体のサイズが小さい場合には導電性の重要度が小さくなるので、機械的強度のみを重視してSUSなどの鋼材を使用することも可能である。
【0018】
本発明の回転体の形状は、給電板に当接した状態で回転することが可能な任意の形状とすることができるが、簡単な構成で全方向への回転を可能にできる点で球又は球に近い形状(長球など)とすることが好ましい。また、例えば、走行体の走行方向が一定であるような場合には、中心軸の周りに回転可能とされた円柱体を本発明の回転体として使用しても、球状の回転体を使用した場合と同様の効果を達成できる。或いは、上記のような円柱体の中心軸を給電板に垂直な軸の周りに回転可能に軸支すれば、走行体の走行方向が一定ではない場合でも、球状の回転体を使用した場合と同様の効果が達成できる。
【0019】
本発明では、前記集電ピンが、前記回転体を前後方向への移動可能に保持する保持室と、前記保持室の前端に形成された前記回転体を部分的に突出させる形状及びサイズを有する開口と、前記回転体を前方に向けて付勢する付勢手段とを備えること(請求項3)が好ましい。
【0020】
かかる発明では、回転体が給電板に当接する際の衝撃を付勢手段によって緩和することが可能であり、給電板や回転体の磨耗の進行速度を一層低下させ、或いは、衝撃により給電板や回転体が損傷する可能性を低減させることが可能になる。
【0021】
本発明は、前記集電ピンが、前記回転体を回転可能に保持するピストン部材と、前記ピストン部材を前後方向への移動可能に保持する保持部材と、前記ピストン部材を前方に向けて付勢する第2付勢部材とを更に備えること(請求項4)が好ましい。
【0022】
かかる発明では、回転体が給電板に当接する際の衝撃の緩和によって、給電板や回転体の磨耗や損傷を抑制することが可能であることに加えて、走行面の段差による走行体の振動や傾斜によって集電ピンの高さ位置が大きく変動した場合でも、その変動をピストン部材の前後方向への移動によって吸収し、集電ピンと給電板の当接の安定性を高めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る競馬ゲーム装置の外観構成及び装置本体部の構成を示す説明図
【図2】(a)は、装置本体部に収容される下面板を平面視で示す説明図。(b)は、下面板の表面における2次元コードの配列の様子を示す説明図。
【図3】模型体及び走行体の構成を示す説明図。
【図4】本発明の一実施形態に係る集電装置の構成を示す説明図。
【図5】本発明の一実施形態に係る集電装置に使用される集電ピンの構成を示す説明図。
【図6】(a)〜(d)は、本発明の実施形態における給電板の構成を示す説明図、(e)は従来の給電板における給電板パネルの接続の態様を示す説明図。
【図7】本発明の変形形態に係る給電板パネルを示す説明図。
【図8】本発明の一実施形態に係る給電板パネルに設けられる凸部及び凹部の形状を示す説明図。
【図9】本発明の一実施形態に係る競馬ゲーム装置のハードウェア構成を示す説明図。
【図10】本発明の他の実施形態に係る集電装置に使用される集電ピンの構成を示す説明図。
【図11】本発明の更に他の実施形態に係る集電装置に使用される集電ピンの構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0025】
なお、本発明は、走行面と対面する給電板から集電ピンを介して給電を受ける1又は複数の走行体が走行面上を走行する任意のゲーム装置に適用されるものであるが、以下の実施形態では、本発明を、第2走行面を走行する複数の走行体による牽引駆動によって第1走行面を複数の模型体が走行することでレース(競馬ゲーム)が展開されるゲーム装置に適用した場合について説明する。
【0026】
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る競馬ゲーム装置1の外観構成を示す斜視説明図である。
【0027】
図示されるように、この競馬ゲーム装置1は、後述の主制御基板21(図9参照)などが収容される筐体中央の略円柱状の装置本体部2と、装置本体部2の周囲に配置され、通信ケーブルなどを介して上記主制御基板21と電気的に接続される複数のサテライト(ゲーム端末)80とを主体に構成されている。
【0028】
なお、図1(a)では、簡略のために手前の3台のサテライト80のみが示されているが、本実施形態の競馬ゲーム装置1においては、12台のサテライト80が装置本体部2の周囲に配置されているものとする。
【0029】
図1(b)は、装置本体部2の構成を示す斜視説明図である。
【0030】
図示されるように、装置本体部2は、円筒状の外側筐体3と、当該外側筐体3の内側に収容され、上下に離間して概略平行に配置された上面板4と下面板7とからなる2階建て構造とを備えている。
【0031】
上面板4は、概略円形の形状を有する板状の部材であり、その上側表面である第1走行面4sはサテライト80に位置する遊戯客などから視認することが可能である。第1走行面4sには、レースにおいて複数の模型体30が着順を競って走行する走路であるトラック5が形成されている他、当該トラック5上の模型体30を撮影する複数のフィールドカメラ22a及びゴールカメラ22b、各カメラ22a、22bにより撮影された画像やレースの案内などの情報を表示するモニタ装置23などが配置されている。また、本実施形態では、競馬場の外観をリアルに再現するために、トラック5及びその周辺には、緑色の粉末や繊維等を加工した人工芝材などが敷き詰められている。
【0032】
なお、図には示されていないが、本実施形態では、各レースにおいてトラック5上を走行する模型体30の台数変更を可能にするために、装置本体部2は、上面板4の外周部等の適宜の箇所に模型体30を収容する収容部を備えることが可能である。
【0033】
更に、装置本体部2は、現実の競馬と同様のスタートシーンを再現するために、各レースの開始時にスタート地点に配置され、レース中には上面板4の外周部等の適宜の箇所に退避収容される出走ゲートを更に備えることが可能である。この場合の出走ゲートは、特許文献1に開示される出走ゲートと同様の構成とすることができる。
【0034】
図2(a)は、上面板4から所定距離下方に離間した位置に配置される下面板7を平面視で示す説明図であり、図2(b)は、下面板7の表面における2次元コードCの配列の様子を示す説明図である。
【0035】
図示されるように、下面板7は、上面板4と同様円形形状を有する板状の部材であり、その上側表面である第2走行面7sのトラック5に対応する領域は、レースにおいて複数の走行体40が走行する走路8とされている。
【0036】
第2走行面7sの全体又は少なくとも走路8の表面は、第2走行面7sに固定された直交座標であるグローバル座標上における位置座標を記録した多数の2次元コードCが配置された情報配置面とされている。なお、本実施形態では、2次元コードCとしてQRコード(登録商標)(JIS−X−0510)が使用されている。
【0037】
ここで、QRコードCは、図2(b)に示すように、グローバル座標のXg軸及びYg軸方向にそれぞれ一定間隔をもって行列状に配列されるとともに、各QRコードCは、QRコードC上の直交座標であるQR座標上のXqr軸及びYqr軸方向が、グローバル座標上のXg軸及びYg軸方向と一致する角度で配置されている。
【0038】
QRコードCは、走行体40に搭載されるカメラ装置46の撮影角及びカメラ装置46から第2走行面7sまでの距離を考慮して、走路8上のどの位置に走行体40が位置する場合でも、カメラ装置46の画角(撮影視野)V内に常に1以上のQRコードCの全体が含まれるサイズ及び間隔で配置されており、後述の走行体制御基板71は、カメラ装置46による撮影画像中のQRコードCに記録された位置情報と、カメラ装置46により撮影された画像に固定された座標系であるカメラ座標(Xc、Yc)上でのそのQRコードCの位置及び角度とに基づいて、グローバル座標上における走行体40の基準点(例えば、中央輪44a、44bの車軸中央位置)Rの位置座標及び角度(進行方向)Fを導出する。なお、撮影画像中における一のQRコードCからの位置情報の取得に失敗した場合における他のQRコードCからの位置情報の取得を可能にするべく、QRコードCは、カメラ装置46の画角V内に常に2以上のQRコードCの全体が含まれるサイズ及び間隔で配置されていることが好ましい。
【0039】
QRコードCは、例えばポリカーボネイトなどの透明薄板9(図3参照)の一面に上記QRコードCを印刷し、その印刷面を下にした透明薄板9を下面板7上に敷設することにより配置することが好ましく、これにより、走行体40の走行によるQRコードCの毀損等を防ぐことができる。
【0040】
本実施形態では、QRコードCが配置される情報配置面は、外側筐体3及び上面板4に覆われて、サテライト80に着座した遊戯者からは見えない構造とされており、QRコードCを可視のインクを用いて形成したとしても、装置のデザイン、外観には何らの影響も与えない。従って、可視のインク等により可視のQRコードCを形成することで、印刷等に係る費用を低減し、QRコードCの検査や修復等のメンテナンスを容易化し、及び/又は、赤外線用のカメラ装置を用いる場合と比較してより安価なカメラ装置46を使用することが可能になる。
【0041】
更に、外側筐体3及び上面板4を遮光性の部材により構成することで、競馬ゲーム装置1が設置される遊戯場における照明などが、カメラ装置46による撮影に影響を与えないようにすることも可能であり、これにより、QRコードCに記録された位置情報の読取安定性を高めることが可能である。
【0042】
図3は、第1走行面4s及び第2走行面7sに配置された模型体30及び走行体40を側面視で示す説明図である。
【0043】
図示されるように、模型体30は、台車31と、台車31上に支持柱36を介して取り付けられた模型部分37とから構成されている。
【0044】
台車31は、前後輪32、33と、台車31の両側部に軸支された中央輪34a、34bとにより第1走行面4s上を走行可能とされており、台車31の下面には、第1走行面4sから若干の間隔をもって2つの回転磁石35a、35bが取り付けられている。
【0045】
回転磁石35a、35bは、後述の走行体40の回転磁石55a、55bと磁気的に結合し、第2走行面7s上を走行する走行体40に追従して(走行体40と所定の位置関係を保った状態で)模型体30が第1走行面4s上を走行することを可能にする。
【0046】
また、回転磁石35a、35bは、鉛直方向の軸を中心に回転可能とされ、後述の走行体40の支持台50上に設置された模型制御モータ56a、56bによる回転磁石55a、55bの回転に同期して回転する。回転磁石35a、35bの回転は、支持柱36及び不図示のギア機構を介して模型部分37に伝達される。
【0047】
模型部分37は、馬(競走馬)及び騎手を象った模型であり、馬の脚や騎手の手足はそれぞれの関節軸の周りに揺動可能とされており、回転磁石35aの回転が支持柱36を介して伝達されると騎手の手足が揺動動作し、回転磁石35bの回転が支持柱36を介して伝達されると馬の前後脚が揺動動作するようになっている。
【0048】
走行体40は、台車41及び支持台50から構成されている。
【0049】
台車41には、前後輪42、43と、左右の中央輪44a、44bと、当該中央輪44a、44bをそれぞれ駆動する走行モータ45a、45bとが搭載されており、駆動制御基板76に制御された走行モータ45a、45bが左右の中央輪をそれぞれ独立に駆動することにより、進行方向を変更自在に走行体40を第2走行面7s上で自力走行(自走)させる。
【0050】
台車41には、更に、下面開口Oを有する空洞部Sの上部において第2走行面7sを垂直に撮影する態様で取り付けられたCCDカメラなどのカメラ装置46と、カメラ装置46の両側部に取り付けられ、カメラ装置46の画角Vを照明する白色LED47と、無線LANによる装置本体部2との通信を行うためのアンテナ48などの機構部品を備えている。
【0051】
支持台50は、スプリング51による上方への付勢力を受けた状態で台車41の上方に取り付けられている。
【0052】
支持台50の上面には、前後輪52、53と、左右の中央輪54a、54bとが取り付けられ、これら車輪52〜54は、スプリング51の付勢力により上面板4の下面に当接する。従って、走行体40は、下部の車輪42〜44と、上部の車輪52〜54に挟まれて、上面板4と下面板7の間の走行空間を直立姿勢を維持しながら安定に走行することができる。
【0053】
支持台50の上部には、回転磁石55a、55b及び模型制御モータ56a、56bが更に取り付けられている
【0054】
回転磁石55a、55bは、それぞれ模型体30の回転磁石35a、35bに対応する配置をもって上面板4から若干の間隔をもって取り付けられ、模型制御モータ56a、56bの駆動により、鉛直方向の軸を中心に回転動作を行うようになっている。回転磁石55a、55bは、回転磁石35a、35bと磁気的に結合し、走行体40の走行により上面板4上の模型体30を牽引するとともに、回転磁石35a、35bを回転させることによって模型体30の模型部分37における馬の脚や騎手の手足を揺動動作させる。
【0055】
支持台50には、更に、上述の走行モータ45a、45bや模型制御モータ56a、56b、或いは、後述の走行体制御基板71、撮影制御基板72、LED制御基板73、画像処理基板74、画像メモリ75、駆動制御基板76、模型制御基板77、無線LAN装置78などへの給電を行うための電源基板79が取り付けられており、当該電源基板79には、給電板6から電力を受電して電源基板79に給電する集電装置60が接続されている。
【0056】
図4(a)、(b)は、それぞれ、本実施形態の集電装置60を斜視及び側面視で示す説明図である。
【0057】
図示されるように、集電装置60は、ネジ穴Saへのネジ止めなどの適宜の方法によって支持台50に固定される支持体Sと、支持体Sに挿通固定された8本の集電ピン61から構成されている。
【0058】
ここで、集電ピン61は、それぞれが正八面体の頂点位置に取り付けられており、給電板6下面における後述の正負電極PD、NDの双方に常に2本以上の集電ピン61を接触させることが可能となっている。
【0059】
図5(a)は、上記集電装置60において好ましく使用される集電ピン61の構成を一部切り欠いて示す説明図であり、図5(b)は、集電ピン61の上端(前端)部を拡大して示す説明図である。
【0060】
図5(a)に示されるように、各集電ピン61は、所定の内径r1の内部空間を有する円筒体62と、円筒体62内に固定され、前端側に球面状の凹陥部が形成された台座63と、円筒体62の前端に回転可能に収容される球形の形状を有する導電ボール64と、前端において円筒体62を嵌合保持し、下端(後端)において電源基板79に設けられたソケット式端子に嵌合して接続するプラグ側端子としての機能を有する保持部材69により構成されている。
【0061】
図5(b)に示されるように、円筒体62の前端には、かしめ加工などにより内側に湾曲した張出部62aが形成されており、円筒体62の前端における開口径r2は、円筒体62の内径r1よりも小さい寸法となっている。
【0062】
上記円筒体62、導電ボール64及び保持部材69には導電性の材料が使用されており、好ましくは、台座63にも導電性の材料が使用される。より具体的には、導電ボール64には、機械的強度に優れるとともに高い導電率を有するタングステンやリン青銅などの材料を、台座63には、高い導電率及び硬度を有するカーボンなどの材料を特に好ましく使用することができる。
【0063】
ここで、導電ボール64の直径Rを、円筒体62の内径r1及び開口径r2に対してr2<R<r1の関係とし、また、導電ボール64を張出部62aに内接させたときに導電ボール64と台座63に若干のクリアランスが出来る程度の位置に台座63を固定すれば、導電ボール64は、張出部62aからその一部を突出させた状態で、張出部62a、円筒体62の内周面及び台座63によって囲われた保持室内で回転可能に包持されることになる。
【0064】
従って、上記集電装置60では、走行体40が第2走行面7s上に配置されると、スプリング51の付勢力を受けて、円筒体62先端の導電ボール64が張出部62aから突出した部位において給電板6に当接し、給電板6からの電力は、導電ボール64、円筒体62及び保持部材69を経て電源基板79に導かれる。
【0065】
図6(a)は、走行面7sと概略平行に、乃至は、走行面7sと対面するように敷設された給電板6の全体を平面視で示す説明図であり、図6(b)、(c)は、給電板6を構成する給電板パネル6aを上方及び下方から示す斜視説明図であり、図6(d)は、隣接する給電板パネル6a間での接続の態様を示す説明図である。
【0066】
図6(a)に示されるように、本実施形態の給電板6は、トラック5の形状に合わせて形成されたA〜Fの6ブロックで構成され、それぞれのブロックA〜Fには、6〜10枚程度の給電板パネル6a(A1〜A8...F1〜F6)が敷き詰められている。
【0067】
図6(b)、(c)に示されるように、各給電板パネル6aは、例えば、板厚1.6mmのガラスエポキシ等よりなる板状の部材である。
【0068】
各給電板パネル6aの上面(図6(b))には、給電板パネル6aの左側辺から右側辺に延在するストライプ状の正電極パターンPUと負電極パターンNUがそれぞれ所定の間隔を置いて平行に複数配列されており、給電板パネル6aの左右の端面には上面の各電極パターンPU、NUから延長して電極パターンが設けられている。
【0069】
給電板パネル6aの右側辺には、電極パターンPU、NUのそれぞれ一つに位置を合わせて凸部Xが形成され、給電板パネル6aの左側辺には、電極パターンPU、NUのそれぞれ一つに位置を合わせて凹部Yが形成されている。
【0070】
給電板パネル6aの左右側辺に形成される凸部X及び凹部Yの上面及び端面には、電極パターンPU、NUから延長する導電パターンが設けられている。
【0071】
各給電板パネル6aの下面(図6(c))には、給電板パネル6aの前側辺から後側辺に(上面の電極パターンPU、NUと直交する方向に)延在するストライプ状の正電極パターンPDと負電極パターンNDがそれぞれ所定の間隔を置いて平行に複数配列されており、給電板パネル6aの前後の端面には下面の各電極パターンPD、NDから延長して導電パターンが設けられている。
【0072】
給電板パネル6aの前側辺には、電極パターンPD、NDのそれぞれ1つと位置を合わせて凸部Xが形成され、給電板パネル6aの後側辺には、電極パターンPD、NDのそれぞれ1つと位置を合わせて凹部Yが形成されている。
【0073】
給電板パネル6aの前後側辺に形成される凸部X及び凹部Yの下面及び端面には、電極パターンPD、NDから延長する導電パターンが設けられている。
【0074】
上記各凸部X及び各凹部Yは、隣接して配置される給電板パネル6aに設けられた凹部Y及び凸部Xと嵌合する位置、サイズ及び形状を有している。
【0075】
更に、上下面の正電極パターンPU、PDが交差する位置の全部又は一部、及び、上下面の負電極パターンNU、NDが交差する位置の全部又は一部にはスルーホールHが設けられ、上下それぞれの正電極パターンPU、PD間、負電極パターンNU、ND間での導通が取られている。
【0076】
従って、給電板パネル6aの上下面の全ての正電極パターンPU、PDはスルーホールHを介して相互に電気的に接続され、同様に、上下面の全ての負電極パターンNU、NDはスルーホールHを介して相互に電気的に接続されている。
【0077】
なお、図6(b)、(c)では、左右の側辺と前後の側辺の双方に凸部X又は凹部Yが形成された給電板パネル6aを示したが、給電板6を構成する全ての給電板パネル6aが図6(b)、(c)の構成を有していることは必要ではなく、給電板6上の部位によっては、例えば、左右の側辺にのみ凸部X及び凹部Yが形成され、前後の側辺には凸部X及び凹部Yを有さない給電板パネル6aを使用することも可能である。
【0078】
また、図6(b)、(c)では、上下面の電極パターンPU、NU、PD、NDのそれぞれ1つに凸部X及び凹部Yが設けられている場合を示したが、これよりも多くの電極パターンPU、NU、PD、NDに凸部X及び/又は凹部Yを設けることも可能である。
【0079】
図6(d)に示されるように、隣接する給電板パネル6aは、一方の凸部Xを他方の凹部Yに嵌合させることにより相互に機械的に連結される。また、このとき、隣接する給電板パネル6aの上面又は下面の正電極パターンPU同士、負電極パターンNU同士の位置が一致するようになっており、それぞれの端面に延長された導電パターン同士、及び/又は、凸部Xの端面と凹部Yの端面の導電パターン同士が当接して両給電板パネル6aが電気的に接続される。
【0080】
従って、給電板6の少なくとも1つの給電板パネル6aにおける正負電極パターンにそれぞれ正負の電源を接続することにより、給電板6を構成する全ての給電板パネル6aにおいて下面の正負電極パターンPD、NDからの正負の電源電圧の供給が可能である。
【0081】
このように、本実施形態の給電板6は、小サイズの給電板パネル6aに分割可能であるためにゲーム装置1の据え付けの際の運搬などに便利であることに加え、給電板パネル6aの凸部X及び凹部Yを嵌合させるだけで、機械的な組立と電気的な接続を行うことが可能である。
【0082】
また、従来の給電板では、図6(e)に示すように、ジャンパー線Jを用いて給電板パネル6b間の導通が取られていたため、走行体40の前後輪52、53や中央輪54a、54b、或いは、集電ピン61がジャンパー線Jに引っかかるなど、ジャンパー線Jが走行体40の走行の障害となる場合があったが、本実施形態の給電板6では、そのような下面側への突起物を設けることなく給電板パネル6a間の導通を取ることができるため、走行体40の走行を一層円滑なものにすることが可能である。
【0083】
図7は、給電板6が備えることができる本発明の変形形態に係る給電板パネル6a′を示す説明図である。
【0084】
この給電板パネル6a′は、左右方向に隣接する給電板パネル6a′の相対する側辺には相互に相補的な形状の段差D1が形成されており、前後方向に隣接する給電板パネル6a′の相対する側辺には相互に相補的な形状の段差D2が形成されている点を除いて上記給電板パネル6aと同一の構成を有している。
【0085】
給電板パネル6a′は、左右方向に隣接する給電板パネル6a′を段差D1で位置合わせして当接させることにより、両給電板パネル6a′の上面の正電極パターンPU同士の位置及び負電極パターンNU同士の位置が一致し、前後方向に隣接する給電板パネル6a′を段差D2で位置合わせして当接させることにより、両給電板パネル6a′の下面の正電極パターンPD(図7では不図示)同士の位置及び負電極パターンND(図7では不図示)同士の位置が一致するようになっており、それぞれの端面に延長された導電パターン同士、及び/又は、凸部Xの端面と凹部Yの端面の導電パターン同士が当接することにより各給電板パネル6a′が電気的に接続される。
【0086】
この給電板パネル6a′を用いた給電板6では、上記のように、段差D1、D2によって隣接する給電板パネル6a′上の電極パターンを位置合わせすることができるため、給電板パネル6a′の敷設作業が容易化される。また、図7の給電板パネル6a′(2)に対して矢印A1方向の力が作用した場合や、給電板パネル6a′(3)に対して矢印A2方向の力が作用した場合であっても、隣接する給電板パネル6a′同士が段差D1、D2により噛み合わさっているために、給電板パネル6a′の位置ずれを防止することが可能である。
【0087】
なお、図7では、各給電板パネル6a′の全ての側辺に1段の段差D1又はD2が形成されている場合を示したが、例えば、給電板パネル6a′の左右の側辺にのみ段差D1を設けるなど、全部又は一部の給電板パネル6a′については、一部の側辺にのみ段差を形成することも可能であり、また、給電板パネル6a′の全部又は一部の側辺に2段以上の段差を形成することで、給電板パネル6a′相互の位置ずれをより生じ難くすることも可能である。
【0088】
図8(a)、(b)は、給電板パネル6a又は6a′における凸部X及び凹部Yの特に好ましい形状を示す説明図である。
【0089】
図8(a)に示されるように、凸部Xは、その先端側に所定の幅寸法W1を有する幅広部分Xaを有するとともに、その基端側には概略半円状の切欠がなされ、幅広部分Xaよりも小さな幅寸法W2の幅狭部分Xbが形成されている。
【0090】
図8(b)に示されるように、凹部Yは、その先端側に幅広部分Xaを嵌合収容することが可能な幅寸法W3の幅広開口Yaを有するとともに、その基端側には張出が形成されて、幅広部分Xaよりも小さい幅寸法W4の幅狭開口Ybが形成されている。
【0091】
図8(c)は、2枚の給電板パネル6a(6a′)を連結した場合の凸部X及び凹部Yの連結の様子を示す説明図である。
【0092】
図示のように、凸部X及び凹部Yを有する給電板パネル6a、6a′では、幅狭開口Ybの張出が幅狭部分Xbの切欠に入り込む態様で凸部Xと凹部Yが嵌合する。そして、凸部Xにおける幅広部分Xaの幅寸法W1が凹部Yにおける幅狭開口Ybの幅寸法W4よりも大きくなっているために、矢印A3方向の力が作用したとしても、給電板パネル6a(6a′)が相互に離間して導通状態が悪化する等の不都合を防止することが可能である。
【0093】
なお、上記給電板パネル6a、6a′の凸部X及び凹部Yを含む外径形状はルータ加工などにより得ることが可能であり、給電板パネル6a、6a′の電極パターンは、レジスト剤を用いたパターンメッキなどの手法により形成することが可能である。
【0094】
図1(a)に戻って、各サテライト80は、それぞれ同一の構成を有しており、図示されるように、アミューズメントセンターなどの遊戯場の床面に設置され、図示省略の椅子などに腰掛けた遊戯者の足や荷物を乗せる台部材から上方に向って立設される脚部82と、その脚部の上端側で支持されるテーブル部84とを主体に構成されている。
【0095】
そして、脚部82には、メダル払出口83が設けられており、テーブル部84には、レースの進行に関する各種情報等を表示するとともに遊戯者によるタッチ操作を検出するタッチパネル式モニタ85、実況放送やファンファーレ、BGMなどの各種演出用の音響を出力するスピーカ86、メダルを投入するためのメダル投入口87及び獲得したメダルの払い出しを行うペイアウトボタン88などが設けられている。また、各サテライト80の内部には、上記メダル払出口83にメダルを払い出すためのメダル払出装置83aや、メダル投入口87から投入されたメダルを検出してその枚数をカウントするメダルセンサ87a等の機構部品が収容されている。
【0096】
各サテライト80では、レースにおいてトラック5を走行する模型体30の着順などについての投票がタッチパネル式モニタ85への操作によって受け付けられ、その投票が当選となって配当を受け取る権利が発生した場合には、獲得したメダル枚数をクレジットメダル枚数値として記憶管理するようにされており、そのクレジットメダルを用いてベットすることが可能である。また、メダルを受け取りたい場合には、ペイアウトボタン88を押下することでクレジットメダル枚数値に対応した枚数のメダルをメダル払出口83から払い出させることが可能である。
【0097】
また、図1(a)に示すように、装置本体部2の側部には4本の支柱部材10が立設され、その上端にはリング状の天井部材11が取り付けられている。支柱部材10及び天井部材11には、上方からトラック5の俯瞰映像を撮影する天井カメラ24、実況放送やファンファーレやBGMなどの各種演出用の音響を出力するスピーカ25、各種演出用の発光を行う照明装置26などが設けられている。
【0098】
なお、本実施形態では、上面板4に形成されたトラック5が、サテライト80に着席した遊戯者から見下ろすことができるように、テーブル部84よりも下方位置に配置されており、各サテライト80に着席した遊戯者は、現実の競馬場のゴンドラ席からトラックを見下ろす感覚と同様の感覚をもってレースを観戦することが可能である。
【0099】
図9は、競馬ゲーム装置1のハードウェアの概略構成を示す説明図である。
【0100】
図示されるように、本実施形態の競馬ゲーム装置1では、装置本体部2が主制御基板21を備え、各走行体40が走行体制御基板71を備え、各サテライト80がサテライト制御基板81を備えており、配線ケーブルや無線LAN回線などによって主制御基板21、各走行体制御基板71及び各サテライト制御基板81の間でのデータの送受信が可能とされている。なお、主制御基板21、走行体制御基板71及びサテライト制御基板81は、それぞれ、CPUや、ROM、RAM、ハードディスクなどの記録装置を備える情報処理装置である。
【0101】
主制御基板21には、フィールドカメラ22a、ゴールカメラ22b、モニタ装置23、天井カメラ24、スピーカ25、照明装置26、通信装置27、無線LAN装置28などが接続されており、主制御基板21は、レースの進行に合わせてこれらの装置を駆動制御するとともに、その記録装置に記録される馬データに基づいて、各走行体40についての走行データの生成やオッズの決定を行い、各走行体制御基板71から送信される走行体40の位置データに基づいて着順を決定するなどの処理を行うことにより、競馬ゲームの進行を制御する。
【0102】
ここで、上記馬データは、複数の競走馬の名称(馬名)やレースの強さに関するパラメータである走行能力値などのデータから構成される。馬名は、実在の競走馬と同一の名称を使用しても良いが、本実施形態では、現実の競馬に余り詳しくない遊戯者にも遊戯を楽しんで貰えるように、各競走馬にはオリジナル(架空)の馬名が使用されている。走行能力値は、レースによらず各競走馬について固定の値を用いても良く、或いは、走行コースの長短、各レースについて設定される天候、馬場条件との適性などに応じて走行能力値を増減させることで、レース毎のレース展開の多様性を高めることが可能である。また、競馬ゲーム装置1で頻繁に遊戯を行う遊戯者がより適切な予想を出来るようにするために、過去の戦績に応じて走行能力値を増減させるなども可能である。
【0103】
馬データには、トラック5上に配置される模型体30の台数(例えば、6〜10)と同数の競走馬についてのデータを記録しても良いが、それよりも多数(例えば、100頭)の競走馬についてのデータを記録しておけば、レース毎に異なる競走馬を出走させる(模型体30に割り当てる)ことにより、レースの多様性を高めることができる。
【0104】
また、主制御基板21は、トラック5上に配置される各模型体30に馬データとして記録されるいずれかの競走馬を割り当てるとともに、割り当てた競走馬についての走行能力値やレース展開を多様化するための乱数などを用いた適宜のアルゴリズムに従って走行データを生成する。この走行データは、レース開始からゴールまでの経過時間に対する各走行体40の走路8上における位置座標を指定するものとすることができる。
【0105】
模型体30の着順は、各走行体40から送信される各走行体40の時々刻々の第2走行面7s上における位置座標に基づいて、各模型体30がゴールした時刻の先後を特定することにより決定される。ここで、上記走行データに基づいて着順を決定するのではなく、現実の走行体40の走行位置データに基づいて着順を決定するものとしたのは、何らかの原因により走行データと異なる着順で各模型体30がゴールした場合におけるトラブル等の発生を回避するためである。
【0106】
サテライト制御基板81には、メダル払出装置83a、タッチパネル式モニタ85、スピーカ86、メダルセンサ87a、ペイアウトボタン88、通信装置89などが接続されており、サテライト制御基板81は、タッチパネル式モニタ85における画像表示並びに遊戯者によるタッチ入力の検出、スピーカ86における音声出力、メダル投入口87に投入されたメダルのメダルセンサ87aにおける計数処理、配当の払い出しやペイアウトボタン88の操作に基づくメダル払出のためのメダル払出装置83aの制御などの処理を実行する。
【0107】
より具体的には、サテライト制御基板81は、主制御基板21から送信されるデータに基づいて、各レースについて主制御基板21が各模型体30に割り当てた競走馬の馬名やオッズなどをタッチパネル式モニタ85に表示させ、タッチパネル式モニタ85に対する遊戯者の操作を検出して投票の受付を実行し、各レースの終了後に主制御基板21から送信される着順データが投票において指定された着順と一致しているか否かにより当選の有無を判定し、当選している場合には、当選となった投票において対価とされたメダル枚数やオッズなどに基づいて算出される枚数のメダルを配当としてメダル払出口83から払い出し、或いは、クレジットメダル計数値を増分するなどの処理を実行する。
【0108】
各走行体制御基板71には、撮影制御基板72、LED制御基板73、画像処理基板(FPGA)74、画像メモリ75、駆動制御基板76、模型制御基板77、無線LAN装置78、電源基板79などが接続されている。
【0109】
撮影制御基板72は、カメラ装置46による撮影動作の制御を行うものであり、本実施形態では、撮影制御基板72の制御により、カメラ装置46は、1秒間に2〜200回程度の頻度で情報配置面である第2走行面7s上のQRコードCを高速撮影する。
【0110】
LED制御基板73は、白色LED47を点灯制御し、カメラ装置46の撮影に必要な照明光を情報配置面に照射する処理を実行する。
【0111】
画像処理基板74は、カメラ装置46により撮影された各画像を走査することで、各画像に含まれる各QRコードCの3頂点に配置されたマーカーを抽出する処理を実行し、また、走行体制御基板71により抽出された撮影画像中のQRコードCをデコードする処理を実行する。
【0112】
画像メモリ75は、カメラ装置46により撮影された画像を一時的に記録するものである。
【0113】
駆動制御基板76及び模型制御基板77は、走行体制御基板71からの制御信号に従って、それぞれ走行モータ45a、45b及び模型制御モータ56a、56bの駆動制御を行うものである。
【0114】
走行体制御基板71は、画像処理基板74が抽出したマーカーからQRコードCを抽出する処理を行うとともに、そのQRコードCから取得されるグローバル座標上での位置座標と、そのQRコードのカメラ座標上での位置及び角度とに基づいて、グローバル座標上での走行体40の基準点Rの位置座標及び角度Fを特定し、当該位置座標及び角度Fを用いて主制御基板21から受信した走行データに従った正確な走行コースで走行体40を走行させるべく、駆動制御基板76に所定の制御信号を送信する。
【0115】
無線LAN装置78は、各レース実行前の所定のタイミングで主制御基板21において生成された走行データを受信し、レース中において走行体制御基板71が導出する走行体40の基準点Rのグローバル座標上での位置座標、又は、当該位置座標及び角度Fを主制御基板21に送信するなどの処理を実行する。
【0116】
電源基板79は、集電装置60を介して給電板6から受電した電力を走行モータ45a、45bや模型制御モータ56a、56b、或いは、走行体制御基板71、撮影制御基板72、LED制御基板73、画像処理基板74、画像メモリ75、駆動制御基板76、模型制御基板77、無線LAN装置78などに供給する。
【0117】
上記競馬ゲーム装置1では、導電ボール64が給電板6に当接することで給電板6から電源基板79への電力の供給が行われるが、導電ボール64が給電板6に当接した状態で回転することが可能であるため、導電ボール64と給電板6の摩擦力を小さくすることができ、導電ボール64や給電板6の磨耗を抑制し、集電ピンの磨耗状態の検査の必要性やその交換頻度を低減し、或いは、給電板の磨耗に起因する集電装置への給電不良や走行体の走行停止等の不具合の発生頻度を低減させるなどの効果が達成される。
【0118】
図10(a)は、本発明の他の実施形態に係る集電装置60において使用される集電ピン61aの前端部を拡大して示す説明図である。
【0119】
この集電ピン61aは、台座63が円筒体62内において固定されておらず、集電ピン61aの前後方向に摺動可能とされている点、及び、円筒体62内に固定されたストッパー65及び後端をストッパー65に当接させ、台座63を前方に向けて付勢するスプリング等の付勢部材66を追加的に備える点においてのみ上記集電ピン61と相違している。
【0120】
この集電ピン61aが使用される集電装置60では、導電ボール64に前方からの負荷が作用しない場合には、付勢部材66の付勢力を受けて導電ボール64は張出部62aから所定長D1だけ円筒体62の外部に突出した状態となるが、集電ピン61aが給電板6に当接して導電ボール64に前方からの負荷Fが作用した際には、図10(b)に示すように、付勢部材66を収縮させて導電ボール64が後方に移動することが可能である。
【0121】
従って、集電ピン61aを有する集電装置60では、集電ピン61を有する集電装置60について上記したと同様の効果に加え、導電ボール64に急激な負荷Fが作用した場合における衝撃を緩和し、導電ボール64や給電板6に損傷を生じる可能性を低減することが可能になるという追加的な効果を達成することができる。
【0122】
なお、上記集電ピン61aでは、付勢部材66の圧縮可能長を前方からの負荷が無い状態における導電ボール64の円筒体62からの突出長D1よりも小さくすることが好ましく、この場合には、導電ボール64の円筒体62からの突出長D1が常に有限に保たれるため、張出部62aが給電板6に接触した場合に生じうる張出部62aの磨耗による導電ボール64の脱落等の故障を防止し、或いは、円筒体62にある程度機械的強度が劣る材料が使用可能になるなど、材料選択の幅を広げることが可能である。
【0123】
図11(a)は、本発明の更に他の実施形態に係る集電装置60において使用される集電ピン61bの構成を示す説明図である。
【0124】
この集電ピン61bは、保持部材69が所定の内径の内部空間を有しており、円筒体(ピストン部材)62が保持部材69の内部空間において前後方向に移動可能とされている点、及び、保持部材69内に固定されたストッパー67及び後端をストッパー67に当接させ、円筒体62を前方に向けて付勢するスプリング等の第2付勢部材68を追加的に備える点においてのみ上記集電ピン61と相違している。
【0125】
この集電ピン61bが使用される集電装置60では、集電ピン61aを有する集電装置60について上記したと同様、導電ボール64に前方からの負荷Fが作用した際には、図11(b)に示すように、第2付勢部材68を収縮させて円筒体62が後方に移動することが可能であるが故に、導電ボール64に急激な負荷Fが作用した場合における衝撃を緩和し、導電ボール64や給電板6に損傷を生じる可能性を低減することが可能である。
【0126】
また、集電ピン61aの場合は、導電ボール64が移動可能なストロークを、前方からの負荷Fが無い状態における導電ボール64の円筒体62からの突出長D1より大きくはできないのに比較して、上記集電ピン61bの構成によれば、図11(b)に示すように、円筒体62、第2付勢部材68、保持部材69などの寸法を調整することで、円筒体62が移動可能なストロークD2を容易に大きくすることが可能である。
【0127】
従って、集電ピン61bを有する集電装置60では、第2走行面7s上の段差などによって走行体40が振動又は傾斜した場合であっても、その振動又は傾斜による集電ピン61b前端における高さ位置の変化を大きいストロークD2によって吸収できるなど、集電ピン61bと給電板6の当接状態をより安定に維持することが可能である。
【0128】
なお、図11では、集電ピン61b前端近傍の構成が、集電ピン61と同様である場合について示したが、集電ピン61bにおいても集電ピン61aの場合と同様に、台座63を前後方向に摺動可能に円筒体62に収容するとともに、円筒体62内に固定されたストッパー65及び後端をストッパー65に当接させた付勢部材66によって台座63を前方に付勢する構成とすることも可能である。
【0129】
以上、例示的な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態により限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内において種々の変更、改変を行うことが可能である。
【0130】
例えば、上記した実施形態では、回転体として球形の形状の導電ボール64が使用された場合を例として説明したが、回転体の形状は、円筒形状など他の形状とすることも可能である。
【0131】
また、上記実施形態では、2本以上の集電ピン61が給電板6の正負両電極PD、NDと常に接触を保つことができるようにするために、各集電ピン61が正八角形の頂点位置にそれぞれ配置された場合を例として説明したが、集電ピンの本数や配置を上記とは異なる形態とすることも可能である。
【0132】
また、上記実施形態では、走行体40が走行する走行空間の天井面に給電板6が敷設された場合を例として説明したが、給電板6は第2走行面7s上に敷設するなど、走行体40が走行する走行面(第2走行面7s)に平行な他の面、或いは、走行面に対面する他の面に敷設することも可能である。
【0133】
また、上記実施形態では、本発明を競馬ゲームに適用した場合を例として説明したが、本発明は、サッカーゲームやバスケットゲームなど、2つのチームに分かれてプレーヤーが自分の走行体を操縦して相手ゴールにボールを運ぶゲームに適用することも可能である。
【0134】
その他、上記した実施形態における装置構成や各部材の材料、サイズ、形状等は単なる例として記載したものであり、本発明はこれらにより限定されない。
【符号の説明】
【0135】
1・・・競馬ゲーム装置、2・・・装置本体部、3・・・外側筐体、4・・・上面板、4s・・・第1走行面、5・・・トラック、6・・・給電板、6a、6b・・・給電板パネル、7・・・下面板、7s・・・第2走行面、8・・・走路、9・・・透明薄板、10・・・支柱部材、11・・・天井部材、21・・・主制御基板、22a・・・フィールドカメラ、22b・・・ゴールカメラ、23・・・モニタ装置、24・・・天井カメラ、25・・・スピーカ、26・・・照明装置、27・・・通信装置、28・・・無線LAN装置、30・・・模型体、31・・・台車、32・・・前輪、33・・・後輪、34a、34b・・・中央輪、35a、35b・・・回転磁石、36・・・支持柱、37・・・模型部分、40・・・走行体、41・・・台車、42・・・前輪、43・・・後輪、44a、44b・・・中央輪、45a、45b・・・走行モータ、46・・・カメラ装置、47・・・白色LED、48・・・アンテナ、50・・・支持台、51・・・スプリング、52・・・前輪、53・・・後輪、54a、54b・・・中央輪、55a、55b・・・回転磁石、56a、56b・・・模型制御モータ、60・・・集電装置、61、61a、61b・・・集電ピン、62・・・円筒体(ピストン部材)、62a・・・張出部、63・・・台座、64・・・導電ボール、65・・・ストッパー、66・・・付勢部材、67・・・ストッパー、68・・・第2付勢部材、69・・・保持部材、S・・・支持体、Sa・・・ネジ穴、71・・・走行体制御基板、72・・・撮影制御基板、73・・・LED制御基板、74・・・画像処理基板、75・・・画像メモリ、76・・・駆動制御基板、77・・・模型制御基板、78・・・無線LAN装置、79・・・電源基板、80・・・サテライト、81・・・サテライト制御基板、82・・・脚部、83・・・メダル払出口、83a・・・メダル払出装置、84・・・テーブル部、85・・・タッチパネル式モニタ、86・・・スピーカ、87・・・メダル投入口、87a・・・メダルセンサ、88・・・ペイアウトボタン、89・・・通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行面と、
前記走行面と対面する給電板と、
前記走行面上を走行する走行体であって、前記給電板に集電ピンを当接させて前記給電板からの給電を受ける集電装置を搭載した走行体とを備えるゲーム装置であって、
前記集電ピンは、その前端に導電性の回転体を回転可能に保持し、前記回転体によって前記給電板に当接することを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記回転体が球状であることを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記集電ピンが、
前記回転体を前後方向への移動可能に保持する保持室と、
前記保持室の前端に形成された前記回転体を部分的に突出させる形状及びサイズを有する開口と、
前記回転体を前方に向けて付勢する付勢手段とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記集電ピンが、
前記回転体を回転可能に保持するピストン部材と、
前記ピストン部材を前後方向への移動可能に保持する保持部材と、
前記ピストン部材を前方に向けて付勢する第2付勢部材とを更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項5】
走行面上を走行する走行体に搭載され、前記走行面と対面する給電板に集電ピンを当接させて前記給電板からの給電を受ける集電装置であって、
前記集電ピンは、その前端に導電性の回転体を回転可能に保持し、前記回転体によって前記給電板に当接することを特徴とする集電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−5864(P2012−5864A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192872(P2011−192872)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【分割の表示】特願2008−250887(P2008−250887)の分割
【原出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【出願人】(598150488)株式会社エレメント電子 (13)