統合された検出装置
統合された収集及び検出システムは、毒素や病原体等の特定の粒子について、周囲の空気を監視する。空気収集デバイスは、浮遊粒子を捕捉し、流体溶液に捕捉された粒子を含む流体試料を出力する。収集及び検出システムは、統合されたカートリッジ内で1つ以上の種類の粒子の検出が完全に自動化されるように、流体試料の処理を制御するよう構成された制御モジュールを備える。処理され、検出される粒子の種類は、以下に限定されるわけではないが、細胞、バクテリア、ウイルス、核酸、毒素及び他の病原体を含む。1つ以上の特定の種類の粒子が検出された場合、システムアラームがトリガされる。システムアラームは、局所的なオーディオ/ビジュアルアラームをトリガし、及び/又は通信ネットワークを介してローカル又は中央監視位置の何れかに送信される。ネットワークに2つ以上の収集及び検出システムを接続し、中央監視位置で監視することもできる。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、同じ出願人によって2006年8月24日に出願された係属中の米国特許出願第11/509,872号、発明の名称「An Integrated Airborne Substance Collection and Detection System」及び2006年8月24日に出願された米国特許出願第11/510,073号、発明の名称「An Integrated Airborne Substance Collection and Detection System」に関連し、これらの文献は、全体が引用によって本願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、微粒子を収集し、分析するための方法及び装置に関する。詳しくは、本発明は、例えば、バクテリア及びウイルス、並びに毒素等のタンパク質を始めとする有機体を含む浮遊粒子の収集及び検出に関する。
【背景技術】
【0003】
周囲の空気を監視し、潜在的に有害な病原体の存在を検出するために生物脅威検出器(bio-threat detector)が使用されている。ここでは、包括的に言えば、収集及び検出装置に空気が取り込まれ、空気内の微粒子が評価される。収集及び検出装置へのエアフローは、通常、装置内のファンによって生成される。この装置は、空気及び所定のエアフロー中の個々の分子を継続的に監視する。幾つかの検出器は、レーザ又はLEDを用いて、空気経路をスキャンし、通過する粒子を検査する。異なる種類の粒子は、それぞれ異なる光の波長を反射するので、塵埃粒子等の無害な粒子は、例えば、炭疽菌の胞子等の有害な粒子から区別できる。通過する粒子が反射する光は、既知の波長のデータベースに照合され、ここでの一致が、生物学的物質の存在を示す。一致する波長が検出されると、検出装置内のトリガメカニズムが作動する。トリガメカニズムが作動すると、潜在的病原体が存在していることを示すトリガ信号が生成される。しかしながら、特定の粒子は、このような収集及び検出装置によって特定できない。
【0004】
一旦、トリガメカニズムが、病原体の存在の可能性を通知すると、確認プロセスが開始される。確認プロセスでは、検出装置をトリガした粒子が特定される。従来、トリガ信号が生成された場合、潜在的病原体が収集され、研究室に持ち込まれ、分析が行われる。潜在的病原体を特定するためには、複数の技術が用いられ、各技術は、異なる種類の病原体を特定するように設計されており、通常、研究室のオペレータの監督下で実行される。これは、手間がかかる作業であり、様々な試験装置を必要とし、リアルタイムの脅威査定(threat assessment)においては、非実用的である。また、このようなプロセスは、人間のオペレータによるインタラクションを必要とし、高コストで、多くの場合、非効率である。24時間に亘る潜在的病原体の継続的な監視及び処理には、必要な時間帯の全てをカバーするために、人間のオペレータが複数名必要になる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
収集及び検出システムは、完全に統合され、自律的であり、病原体等の特定の粒子について周囲の空気を監視するように構成されている。収集及び検出システムの1つの側面は、空気収集デバイスと、分配モジュールと、毒素検出モジュールと、核酸検出モジュールと、収集及び検出装置内で空気収集デバイス、毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールを接続するマイクロ流体回路と、制御モジュールとを備える。空気収集デバイスは、浮遊粒子を含む周囲の空気を取り込み、浮遊粒子を含む流体試料を出力する。分配モジュールは、流体試料を計量して他の様々なモジュールに分配する。毒素検出モジュールは、流体試料の第1の部分内の1つ以上の特定の毒素の存在を検出する。核酸検出モジュールは、流体試料の第2の部分内の1つ以上の特定の核酸の存在を検出し、毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールは、流体試料の第1の部分及び流体試料の第2の部分を並列に処理する。制御モジュールは、検出装置が自律的に機能するように各モジュールに制御信号を供給する。
【0006】
毒素検出モジュールは、流体試料から1つ以上の特定の毒素を捕捉する1つ以上の捕捉デバイスを備えていてもよい。毒素検出モジュールは、1つ以上の捕捉デバイス内の捕捉された1つ以上の特定の毒素の存在を光学的に検出する光学検出モジュールを更に備えていてもよい。分配モジュールは、流体試料の第3の部分を計量して分配してもよく、収集及び検出装置は、流体試料の第3の部分を収容する保管モジュールを更に備えていてもよい。空気収集デバイスは、周囲の空気を継続的に取り込み、毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールによって処理される新たな流体試料を定期的に出力してもよい。核酸検出モジュールは、流体試料の第2の部分内の1つ以上の種類の細胞を溶解させ、ライセート流体試料を生成する溶解モジュールを備えていてもよい。核酸検出モジュールは、ライセート流体試料から1つ以上の核酸を捕捉する1つ以上の精製デバイスを更に備えていてもよい。核酸検出モジュールは、精製デバイスに接続され、1つ以上の核酸が供給され、1つ以上の核酸に熱サイクルを適用し、増幅された数の1つ以上の核酸を含む増幅された流体試料を形成する熱サイクルモジュールを更に備えていてもよい。収集及び検出装置は、熱サイクルモジュールに接続され、増幅された流体試料内の1つ以上の特定の核酸の存在を光学的に検出する光学検出モジュールを更に備えていてもよい。また、収集及び検出装置をネットワーク監視点にネットワーク接続し、トリガされたアラーム信号、収集された生データ又は事後分析結果を送信してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】複数の収集及び検出システムを含む例示的なネットワーク構成を示す図である。
【図2】統合された収集及び検出システムの第1の実施の形態の例示的な機能的ブロック図である。
【図3】制御モジュールの例示的なブロック図である。
【図4】保管モジュールの例示的な概略図である。
【図5】毒素捕捉及び検出モジュールの例示的な概略図である。
【図6】溶解及び捕捉モジュールの例示的な概略図である。
【図7】計量及び熱サイクルモジュールの例示的な概略図である。
【図8】光学検出モジュールの例示的な概略図である。
【図9】粒子収集及び検出システムの第1の実施の形態において実行される例示的な自動処理のフローチャートである。
【図10】統合された収集及び検出システムの第2の実施の形態の例示的な機能的ブロック図である。
【図11】粒子収集及び検出システムの第2の実施の形態において実行される例示的な自動処理のフローチャートである。
【図12】統合された収集及び検出システムの第3の実施の形態の例示的な機能的ブロック図である。
【図13】粒子収集及び検出システムの第3の実施の形態において実行される例示的な自動処理のフローチャートである。
【図14】粒子収集及び検出システムの第3の実施の形態において実行される例示的な自動処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、統合された粒子収集及び検出システムの実施の形態を説明する。同じ要素が複数の図面に示されている場合にのみ、適切であれば、これらの同じ要素に同じ参照符号を付している。
【0009】
本発明の実施の形態は、病原体等の特定の粒子について周囲の空気を監視するように構成された、完全に統合された自律的な収集及び検出システムを提供する。幾つかの実施の形態では、収集及び検出システムは、統合されたカートリッジとして構成される。幾つかの実施の形態では、収集及び検出システムは、完全自律システムとして構成される。空気収集デバイスは、浮遊粒子を捕捉し、流体溶液に捕捉された粒子を含む流体試料を出力する。収集及び検出システムは、統合されたカートリッジ内で1つ以上の種類の粒子の検出が完全に自動化されるように、流体試料の処理を制御するよう構成された制御モジュールを備える。処理され、検出される粒子の種類は、以下に限定されるわけではないが、細胞、バクテリア、ウイルス、核酸、毒素及び他の病原体を含む。1つ以上の特定の種類の粒子が検出された場合、システムアラームがトリガされる。幾つかの実施の形態では、システムアラームは、通信ネットワークを介してローカル又は中央監視位置の何れかに送信されるアラーム信号である。2つ以上の収集及び検出システムをネットワークに接続し、中央監視位置によって監視してもよい。他の実施の形態では、システムアラームは、収集及び検出システム自体が生成するオーディオ信号及び/又はビジュアル信号である。
【0010】
図1は、複数の収集及び検出システム10を含む例示的なネットワーク構成を示している。各収集及び検出システム10は、独立して動作してもよく、図1に示すように、遠隔監視位置にネットワーク接続してもよい。監視位置は、ローカル監視点40のように、ローカルに設けてもよく、又は中央監視点50等のように、中央に設けてもよい。図1に示すように、各収集及び検出システムは、独立して動作でき、中央監視点に接続されているローカル監視点に接続してもよく、又は中央監視点に接続してもよい。収集及び検出システム10は、周知の何らかのネットワーク60を介して、ローカル監視点40又は中央監視点50に接続されている。また、ネットワーク接続によって、収集及び検出システム10に遠隔制御信号を供給することができる。
【0011】
統合された収集及び検出システムの第1の実施の形態は、特定の粒子を識別する検出及び処理システムを提供する。図2は、統合された収集及び検出システムの第1の実施の形態の例示的な機能的ブロック図を示している。統合された収集及び検出システム10は、制御モジュール12、空気収集モジュール14、分配モジュール16、保管モジュール18、溶解及び捕捉モジュール20、毒素捕捉及び検出モジュール22、溶液モジュール24、溶液モジュール26、不要物モジュール28、計量及び熱サイクルモジュール30、溶液モジュール32及び光学検出モジュール34を備える。流体は、マイクロ流体回路とも呼ばれるマイクロ流体経路及びバルブを用いて、モジュール間及び各モジュール内に流される。
【0012】
空気収集モジュール14は、周囲の空気を取り込み、空気内の浮遊粒子を収集する。空気は、所定の期間収集され、この後、収集された粒子は、液体試料に溶離され、液体試料は、空気収集モジュール14から出力される。空気収集モジュール14から出力される流体試料は、流体及び粒子溶液を含む。
【0013】
分配モジュール16は、空気収集モジュール14から出力される流体試料を計量し、分配する。流体試料は、計量され、所定の比率で分配される。流体試料の第1の部分は、保管モジュール18に供給され、第2の部分は、溶解及び捕捉モジュール20に供給され、第3の部分は、毒素捕捉及び検出モジュール22に供給される。一実施の形態においては、マイクロ流体回路の一部として、シリンジポンプを用いて、流体試料を計量する。シリンジポンプは、アプリケーションの変更に応じて適応化することができ、例えば、あるアプリケーションと次のアプリケーションでは、分配比を変更することができる。他の実施の形態においては、マイクロ流体回路の一部として排水孔を有するリザーバを設ける。各排水孔の位置は、望まれる分配比に対応している。ラン間で流体試料の収集及び分配を制御するために、各排水孔の排水ラインには、バルブを連結する。このような構成は、排水孔の位置が固定された仕様であるため、分配比が固定である場合に好適である。更に他の実施の形態では、例えば、排水孔を有するリザーバ等の分配比が固定される構成の側面と、シリンジポンプ等の分配比が調整可能な構成の側面とを組み合わせる。なお、固定された分配比及び可変の分配比の両方について、流体試料を計量し、分配するために、他のマイクロ流体回路構成を用いることもできる。
【0014】
保管モジュール18は、1つ以上の流体試料を保存するように構成されている。流体試料は、後の分析及び/又は必要に応じて確認のために保存される。溶解及び捕捉モジュール20は、分配モジュール16から供給された流体試料に対して、溶解、精製及び濃縮処理を行う。溶解は、受け取った流体試料内の溶解可能な細胞に対して実行される。溶解は、超音波処理を用いて実行される。これに代えて、周知の如何なる溶解法を用いてもよい。一旦、細胞が溶解されると、これにより得られる核酸が精製され、濃縮され、計量及び熱サイクルモジュール30に供給される。溶液モジュール24は、溶解及び捕捉モジュール20が実行する溶解、精製及び濃縮ステップの間に使用される溶液を提供する。溶液モジュール24は、例えば、洗浄液及び溶出バッファ(elution buffers)を含む。
【0015】
計量及び熱サイクルモジュール30は、溶解及び捕捉モジュール20から濃縮された流体試料を受け取る。受け取った流体試料は、計量され、所定数の収集容器に分配される。計量及び熱サイクルモジュール30は、溶液モジュール32に接続され、混合溶液を受け取り、これを計量し、各収集容器に分配し、これにより、濃縮された流体試料及び混合溶液の組合せは、各収集容器内に一時的に保存される。各収集容器は、対応する熱サイクルチャンバに接続され、組み合わされた溶液は、順次加熱及び冷却される。このようにして、各収集容器内の流体試料及び混合溶液の組合せは、熱サイクルチャンバ内で熱サイクルプロセスを受け、流体試料内に存在する何らかの核酸が増幅される。熱サイクルは、何回実行してもよい。この増幅プロセスは、繰り返すことができ、例えば、プリ増幅ステップ及び増幅ステップを実行できる。
【0016】
各熱サイクルチャンバによって増幅された流体試料は、計量及び熱サイクルモジュール30から順次出力される。計量及び熱サイクルモジュール30から出力される各増幅された流体試料は、光学検出モジュール34によって検査される。包括的に言えば、生物学的検出を実行するために、周知の如何なるルミネッセンス検出技術を適用してもよい。光学検出モジュール34によって得られた生データは、制御モジュール12に供給され、制御モジュール12は、これを用いて、1つ以上の種類の核酸の存在を判定する。核酸が検出された場合、制御モジュール12は、アラーム信号を生成する。これに代えて、光学検出モジュール34によって収集された生データは、分析のために、遠隔位置、例えば、中央監視点50(図1)に送信してもよい。
【0017】
毒素捕捉及び検出モジュール22は、分配モジュール16から供給された流体試料内に存在する毒素を捕捉する。この毒素捕捉及び検出モジュール22も、周知の任意のルミネッセンス検出技術を用いて、何らかの捕捉された毒素の存在を検出する。毒素捕捉及び検出モジュール22によって得られた生データは、制御モジュール12に供給され、制御モジュール12は、これを用いて、1つ以上の特定の種類の毒素の存在及び正体(identity)を判定する。特定の毒素が検出された場合、制御モジュール12は、アラーム信号を生成する。これに代えて、毒素捕捉及び検出モジュール22によって収集された生データは、分析のために、遠隔位置、例えば、中央監視点50(図1)に送信してもよい。一実施の形態においては、毒素捕捉及び検出モジュール22は、捕捉された何らかの毒素の1つ以上の特性を測定するように構成された光学検出デバイスを備える。溶液モジュール26は、毒素捕捉及び検出モジュール22が実行する毒素捕捉ステップの間に使用される溶液を提供する。例えば、溶液モジュール26は、洗浄液及び抗体溶液を含む。
【0018】
収集及び検出システム10は、再使用されるように構成され、すなわち、空気収集モジュール14が出力する流体試料が連続的に処理される。したがって、分配モジュール16、溶解及び捕捉モジュール20、毒素捕捉及び検出モジュール22、計量及び熱サイクルモジュール30、並びに計量及び熱サイクルモジュール30及び光学検出モジュール34を接続するマイクロ流体回路を含む相互接続された全てのマイクロ流体回路は、サイクル間に汚染除去される。汚染除去の間、すすぎ及び洗浄ステップを実行するためには、様々な溶液が使用され、これらの溶液は、溶液モジュール24及び溶液モジュール26に含まれている。
【0019】
制御モジュール12は、各モジュールに接続され、収集及び検出システム10の動作を制御する。このような制御によって、人間の介入を必要とすることがない収集及び検出処理の完全な自動化が実現される。また、制御モジュール12は、毒素捕捉及び検出モジュール22及び光学検出モジュール34から供給された生データを分析し、何らかの適切なアラーム信号を生成する。制御モジュール12は、アラーム信号に応じて、ローカルなオーディオ及び/又は視覚的アラームを開始し、ネットワーク接続されたローカル監視位置又は中央監視位置に通知信号を送信する。
【0020】
分析済みの流体試料、溶出バッファ、混合溶液、すすぎ液、洗浄液、パージされた保管試料、並びに流体試料の処理及びその後の収集及び検出システム10の汚染除去に関連する他の溶液は、不要物モジュール28に流される。これに代えて、分析が済み、毒素捕捉及び検出モジュール22及び光学検出モジュール34から出力された流体試料は、保管モジュール18又は補足的な保管モジュール(図示せず)に収容してもよい。上述した粒子収集及び検出システム10の実施の形態は、3つの溶液モジュールを含む。これに代えて、溶液モジュール24、26、32の1つ以上を統合してもよく、4つ以上の溶液モジュールを用いてもよい。
【0021】
図2に示すシステムの構成は、説明を目的として例示的に示しているに過ぎない。統合された収集及び検出システムのマイクロ流体回路及びモジュール性は、モジュール及び関連するサブモジュールコンポーネントを相互接続し、望まれる任意の組合せに構成するための柔軟性及び拡張性を提供する。例えば、流体試料を更なる部分に計量して分割し、各部分を更に小さい部分に分割することができる。これらの部分は、溶解及び捕捉モジュール20及び計量及び熱サイクルモジュール30を介する流路、毒素捕捉及び検出モジュール22を介する流路、及び上述したモジュール及び/又はサブモジュールの1つ以上に基づいて構成された他のあらゆる流路を含む多数の流体処理経路のうちの何れにも分配できる。更なる具体例として、毒素捕捉及び検出モジュール22に流体試料を入力する前に細胞を溶解させるために、毒素捕捉及び検出モジュール22の前に溶解及び捕捉モジュール20内の溶解コンポーネントと同様の溶解モジュールを追加することができる。また、同様の平行する流路を構成し、流体試料の一部は、溶解しないで毒素捕捉及び検出モジュール22に供給し、流体試料の他の部分は、溶解コンポーネントによって先に溶解させ、溶解された流体試料を他の毒素捕捉及び検出モジュールに入力するようにしてもよい。更に、各モジュールについて説明した特定の構成は、例示的なものに過ぎない。マイクロ流体回路及び各モジュールの構成コンポーネントは、説明した機能を実現するために、任意の数の構成に適応化することができる。
【0022】
図3は、制御モジュール12の例示的なブロック図を示している。制御モジュール12は、プロセッサ122、主メモリ124、大容量記憶装置126及びI/Oインタフェース130を備え、これらは、全てシステムバス128を介して接続されている。大容量記憶装置126は、磁気、光又は光磁気記録技術、又は他の何らかの大容量記録技術のうちの1つ以上を用いる固定媒体及びリムーバブル媒体の何れをも含むことができる。主メモリ124は、ランダムアクセスメモリ(random access memory:RAM)である。プロセッサ122は、収集及び検出システム10の動作を制御するように構成されている。I/Oインタフェース130は、ユーザインタフェース及びネットワークインタフェースを含む。幾つかの実施の形態では、ユーザインタフェースは、ユーザ指示及び入力されたユーザコマンドに関連するフィードバックを表示するディスプレイを含む。ネットワークインタフェースは、従来のネットワークを介して、例えば、ローカル監視位置又は中央監視位置にデータ及び制御信号を送受信するための物理インタフェース回路を含む。
【0023】
図4は、保管モジュール18に接続された分配モジュール16の例示的な概略図を示している。この例示的な構成では、分配モジュール16は、バルブ169〜180を含むマイクロ流体回路を介して相互に接続された計量モジュール162、洗浄注射器164、シリンジポンプ166及び蠕動ポンプ168を備える。保管モジュール18は、バルブ186〜195を含むマイクロ流体回路を介して分配モジュール16に接続された5つの保管チャンバ181〜185を備える。
【0024】
空気収集モジュール14が提供する流体試料は、計量モジュール162に収容される。通常、空気収集モジュール14によって提供される流体試料の量は、一定ではない。一実施の形態においては、収集及び検出システム10は、特定の量、例えば、10mlの流体試料を処理するように構成されている。したがって、第1のステップとして、計量モジュール162から余分な流体試料を取り除く。図4の構成においては、余分な流体試料は、バルブ173及びバルブ179を開くことによって、計量モジュール162から取り除かれ、不要物モジュールに流される。残りは、特定の量の流体試料として計量モジュール162に収容される。
【0025】
各保管チャンバ181〜185は、所定量の流体試料を収容するように構成されている。一実施の形態においては、各保管モジュール181〜185は、1mlの流体試料を収容するように構成されている。この所定量の流体試料は、計量モジュール162において計量され、バルブ169、174、及び保管チャンバ181のバルブ186、191等、保管チャンバに対応するバルブを開き、蠕動ポンプ168を第1の方向に作動させ、バルブ169の通気口から計量モジュール162に空気を送ることによって、保管チャンバ181〜185の1つに供給される。これにより、計量モジュール162が加圧され、内部の流体試料が、開放弁174、191を介して、保管モジュール181に送られる。
【0026】
1つの保管チャンバは、現在のサイクルのための流体試料を収容し、他の4つの保管チャンバは、前の4つのサイクルからの流体試料を収容する。次のサイクルでは、保管モジュール内の最も古い流体試料が取り除かれ、次の流体試料に置換される。例えば、第1のサイクルでは、分配モジュール16からの第1の流体試料が保管チャンバ181に収容される。第2のサイクルでは、第2の流体試料が保管チャンバ182に供給され、収容される。第3のサイクルでは、第3の流体試料が保管チャンバ183に供給され、収容される。第4のサイクルでは、第4の流体試料が保管チャンバ184に供給され、収容される。第5のサイクルでは、第5の流体試料が保管チャンバ185に供給され、収容される。第6のサイクルでは、保管チャンバ181に収容されている第1の流体試料が、まず、不要物モジュールにパージされる。保管チャンバ181から流体試料をパージするためには、バルブ172、186、191、179を開き、蠕動ポンプ168を第2の方向に作動させ、バルブ172の通気口から保管チャンバ181に空気を送る。これにより保管チャンバ181が加圧され、内部の流体試料が、開かれたバルブ191、179を介して、不要物モジュールに出力される。そして、バルブ172、186、191、179を閉じ、洗浄注射器164を介して提供される溶液を用いて、保管チャンバ181を洗浄する。そして、分配モジュール16から空の保管チャンバ181に、第6の流体試料が供給される。以降の流体試料は、同様にして保存され、これにより、常に最新の5つの流体試料が保管モジュール18に収容される。
【0027】
計量モジュール162の流体試料の第1の部分が収容された後、残りの流体試料は、計量され、毒素捕捉及び検出モジュール22及び溶解及び捕捉モジュール20に分配される。流体試料の第2の部分を計量し、毒素捕捉及び検出モジュール22に分配するためには、バルブ172、176、177を開き、シリンジポンプ166を第1の方向に作動させ、開かれたバルブ176、177を介してシリンジポンプ166に第2の部分を取り込む。そして、バルブ172、176を閉じ、バルブ177を開いたままにし、バルブ178を開く。そして、シリンジポンプ166を第2の方向に作動させ、流体試料の第2の部分をシリンジポンプ166から、開放弁177、178を介して、毒素捕捉及び検出モジュール22に送る。
【0028】
流体試料の第3の部分を計量し、溶解及び捕捉モジュール20に分配するためには、バルブ172、176、177を開き、シリンジポンプ166を第1の方向に作動させ、開かれた176、177を介してシリンジポンプ166に第3の部分を取り込む。そして、バルブ172、176を閉じ、バルブ177を開いたままにし、バルブ180を開く。そして、シリンジポンプ166を第2の方向に作動させ、流体試料の第3の部分をシリンジポンプ166から開放弁177、180を介して溶解及び捕捉モジュール20に送る。シリンジポンプ166は、用途の要求に応じて、任意の量の流体試料を引き込むようにプログラミングすることができる。これにより、毒素捕捉及び検出モジュール22及び溶解及び捕捉モジュール20に供給される流体試料の量を柔軟に決定することができる。一実施の形態においては、流体試料の第2の部分は、3mlであり、流体試料の第3の部分は、6mlである。
【0029】
図4に示す保管モジュールは、5つの保管チャンバを備えているが、保管モジュールが備える保管チャンバは、5つより多くても少なくてもよい。更に、上述した収容法は、例示的なものに過ぎず、周知の如何なる手法を用いて、後続する流体試料のパージ及び保存を行ってもよい。更に、図4に関連して上述した計量及び分配の構成及び手法は、1つの実施の形態に過ぎない。なお、任意の数の流体試料の部分を、任意の量で計量し、分配するために、他の構成及び手法を用いてもよいことは明らかである。
【0030】
図5は、毒素捕捉及び検出モジュール22の例示的な概略図を示している。毒素捕捉及び検出モジュール22は、シリンジポンプ222及び分配バルブ223を含むポンプアセンブリ220、並びに捕捉モジュール224及び光学検出器234を備える。捕捉モジュール224は、捕捉デバイス228及びリザーバ226を備える。分配モジュール16によって提供される流体試料は、分配バルブ223を介して、捕捉モジュール224に供給され、ここで、流体試料は、捕捉デバイス228を流れる。また、分配バルブ223は、溶液モジュール26内の1つ以上の試薬容器に接続されている。
【0031】
一実施の形態においては、捕捉デバイス228は、複数の柱を含む捕捉チップであり、流体は、柱と接触しながら、柱の周りを流れる。柱は、流体が流れると、流体試料内の特定の毒素が柱の表面に付着するように準備されている。流体試料は、捕捉チップ228を流れ、捕捉モジュール224から不要物モジュールに出力され、流体試料内に存在する特定の毒素は、捕捉チップ228に残る。一実施の形態においては、各柱は、特定の抗体が予めコーティングされている。各抗体は、特定の種類の毒素を付着させる。これにより、流体試料が柱を流れると、流体試料内に存在する特定の毒素が、柱上の抗体に付着する。捕捉チップ228の具体例は、米国特許番号5,707,799及び米国特許番号5,952,173に開示されており、これらは、引用によって本願に援用される。
【0032】
変形例では、柱は、2種類以上の抗体によって予めコーティングされ、これにより、各捕捉チップは、2つ以上の異なる種類の毒素を捕捉する。2つ以上の捕捉チップを直列又は並列に接続し、収集される毒素の種類を多様化及び拡張することもできる。例えば、シーケンス内の第1の捕捉チップを第1の抗体で予めコーティングし、シーケンス内の第2の捕捉チップを第2の抗体で予めコーティングする等して、多くの捕捉チップを直列に配設してもよい。更に、直列に接続された捕捉チップのうちの1つ、幾つか又は全ての捕捉チップを、2つ以上の抗体で予めコーティングしてもよい。例えば、複数の抗体で捕捉チップを予めコーティングできる。各抗体は、特定の種類の毒素に付着する。そして、捕捉された異なる毒素は、特性、例えば、異なる光波長の違いに基づいて区別できる。直列構成では、流体試料は、第1の捕捉チップから第2の捕捉チップ等に連続的に流れる。これまで、捕捉デバイス228を捕捉チップとして説明したが、捕捉デバイス228は、1つ以上の毒素を捕捉することができる周知の如何なるデバイスであってもよい。
【0033】
毒素捕捉及び検出モジュール22は、捕捉デバイス228に接続された光学検出器234を備える。捕捉デバイス228は、光学検出器234が捕捉された毒素に光学的にアクセスできるように構成されている。一実施の形態においては、捕捉デバイス228は、光学的に透明な蓋を備える。これに代えて、捕捉された毒素を捕捉デバイス228から溶離し、独立した収集手段、例えば、容器又はリザーバに収集してもよい。そして、収集手段内の溶離された毒素に対して、光学検出を実行してもよい。
【0034】
この実施の形態では、光学検出器234は、例えば、LED又はレーザ等の光源236、例えば、1個以上のレンズ、フィルタ及びビームスプリッタ等の光路238、光ファイバ240及び光センサ242を備える。光学検出器234は、捕捉デバイス228に光を照射し、反射する光の特性を収集及び測定するように構成されている。反射光の特性は、捕捉デバイス228において捕捉された毒素を特定するために使用される。図5に示す光学検出器234の構成は、例示的なものである。幾つかの実施の形態では、光学検出器234は、光源と、捕捉デバイス228の特定位置に光を向け、捕捉デバイス228から光学検出器に反射光を向ける光路と、光学検出器とを含むように構成される。他の実施の形態では、光源を設けない。このような場合、光は、例えば、化学発光によって、捕捉された毒素から放射される。放射された光は、光センサによって検出される。一実施の形態においては、光学検出器は、1つ以上の異なる波長を測定できる周知の光学検出デバイスである。測定された特性は、分析のために光学検出器234から制御モジュール12に供給される。
【0035】
幾つかの実施の形態では、捕捉デバイス228において捕捉された毒素は、蛍光マーカを含むサンドイッチ分析を行い、次に、蛍光マーカを検出することによって特定される。蛍光マーカは、光学検出器234を用いて、光学的に検出できる。それぞれの種類の毒素は、特定の種類の蛍光マーカに関連付けられている。なお、毒素をマークして特定するために周知の他の手法を用いてもよい。
【0036】
光学検出器234によって捕捉された毒素を検査した後、捕捉デバイス228は、溶液モジュール26から捕捉デバイス228に供給される洗浄液を用いて洗浄される。洗浄液は、分配バルブ223を介して、溶液モジュール26から供給される。
【0037】
捕捉デバイス228が直列接続された複数の捕捉デバイスからなる場合、直列接続された各デバイスは、上述したような対応する光学検出器にそれぞれ接続される。
【0038】
図6は、溶解及び捕捉モジュール20の例示的な概略図を示している。溶解及び捕捉モジュール20は、流体試料に存在する細胞を溶解させ、溶解された細胞の核酸を捕捉するように構成されている。溶解及び捕捉モジュール20は、溶解チャンバ260と、混合チャンバ262と、蠕動ポンプ264と、シリンジポンプ268及び分配バルブ270を含むポンプアセンブリ266と、シリンジポンプ274及び分配バルブ276を含むポンプアセンブリ272と、精製デバイス278と、熱電冷却器等の冷却要素280と、バルブ196〜213とを備える。蠕動ポンプ264、ポンプアセンブリ266、ポンプアセンブリ272及びバルブ196〜213を含むマイクロ流体回路は、溶解及び捕捉モジュール20を介して流体試料を流し、及び処理及び汚染除去で用いられる様々な溶液を流すように構成されている。混合チャンバ262は、溶液を混合し、保持するように構成されている。例えば、幾つかの用途では、溶解前に流体試料に1つ以上の更なる溶液を加え、及び/又は溶解後に1つ以上の更なる溶液を加える。
【0039】
蠕動ポンプ264は、溶解チャンバ260を加圧して、溶解チャンバ260から混合チャンバ262に流体を流し、或いは、混合チャンバ262を加圧して、混合チャンバ262から溶解チャンバ260に流体を流すように構成されている。何れの動作においても、このような流体フローを実現するために、適切なバルブが開かれる。
【0040】
分配モジュール16が提供する流体試料は、溶解チャンバ260に流される。一実施の形態においては、溶解は、超音波処理を用いて行われる。幾つかの実施の形態では、選択的溶解が実行され、異なる超音波エネルギにおいて、特定の種類の細胞を溶解する。この実施の形態では、溶解及び捕捉モジュール20は、対応する超音波エネルギにおいて特定の種類の細胞を選択的に溶解させるように構成されている。そして、溶解された細胞は、流体試料から分離される。更なる超音波処理ステップを残りの流体試料に実行して、1つ以上の更なる細胞タイプを選択的に溶解させることができる。このような選択的溶解プロセスを実行する例示的な装置及び方法は、同じ出願人によって2004年9月17日に出願された、係属中の米国特許出願第10/943,601号、発明の名称「Microfluidic Differential Extraction Cartridge」に開示されており、この文献の全体は、引用によって本願に援用される。これに代えて、加熱及び/又は化学処理等の他の周知の溶解法を用いてもよい。
【0041】
ポンプアセンブリ266は、溶解された流体試料を冷却要素280及び精製デバイス278に流し、バルブ204を介して不要物モジュールに出力するように構成されている。ライセート(lysate:溶解液)が精製デバイス278を流れると、ライセート内の核酸は、精製され、濃縮される。
【0042】
一実施の形態においては、精製デバイス278は、複数の柱を含む捕捉チップであり、流体は、柱と接触しながら、柱の周りを流れる。核酸は、シリコンに引き付けられることが知られている。一実施の形態においては、精製チップ内の柱は、シリコンから形成され、流体が柱を流れると、流体内の核酸が柱に付着する。これに代えて、柱は、シリコン以外の材料から形成し、シリコンによってコーティングしてもよい。更にこれに代えて、柱は、核酸が付着する材料から形成してもよく、このような材料によってコーティングしてもよい。流体試料は、精製チップ278を流れ、溶解及び捕捉モジュール20から出力され、流体試料に存在する核酸は、精製チップ278に残る。精製チップ278の具体例についても、米国特許番号5,707,799及び米国特許番号5,952,173に開示されている。2つ以上の精製チップ278を直列又は並列に接続してもよい。直列構成では、例えば、流体試料は、第1の精製チップから第2の精製チップ等に連続的に流れる。これまで、精製デバイス278を精製チップとして説明したが、精製デバイス278は、核酸を捕捉することができる周知の如何なるデバイスであってもよい。
【0043】
また、ポンプアセンブリ266は、精製デバイス278を介して洗浄液を流し、残りの流体試料溶液を取り除くようにも構成されている。洗浄液は、分配バルブ270を介して溶液モジュール24から供給され、バルブ204を介して、不要物モジュールに出力される。そして、残りの洗浄液を除去するために、精製デバイス278を介して、空気が送られる。捕捉された核酸は、溶出バッファを用いて、精製デバイス278から取り除かれる。ポンプアセンブリ272は、溶出バッファを溶液モジュール24から精製デバイス278に流し、核酸を溶離するように構成されている。精製され、濃縮された核酸溶液は、精製デバイス278から出力され、そして、溶解及び捕捉モジュール20からバルブ213を介して、出力される。一実施の形態においては、精製デバイス278に加熱要素(図示せず)を接続する。この場合、精製デバイス278から核酸を溶離する前に、加熱要素が精製デバイス278を加熱し、溶離プロセスを容易にする。
【0044】
また、溶解及び捕捉モジュール20は、精製デバイスの障害物を除去するため、又は除去及び汚染除去プロセスの一部として、洗浄液を精製デバイス278に逆流させるように構成されている。マイクロ流体回路は、精製デバイス278内の逆方向に洗浄液を流し、バルブ210を介して不要物を出力するように構成されている。
【0045】
図7は、計量及び熱サイクルモジュール30の例示的な概略図を示している。計量及び熱サイクルモジュール30は、溶解及び捕捉モジュール20が提供する核酸溶液内に存在する何らかの核酸をプリ増幅及び増幅するように構成されている。また、計量及び熱サイクルモジュール30は、増幅された核酸溶液内に存在する1つ以上の特定の種類の核酸にタグ付けをするように構成されている。1つ以上の特定の核酸は、各特定の核酸について異なる蛍光マーカを含む標識抗体溶液(conjugated antibody solution)を用いてタグ付けされる。計量及び熱サイクルモジュール30は、複数の溶液リザーバ321〜325、保持リザーバ319、計量リザーバ320、複数のバルブ280〜317、蠕動ポンプ318、複数の熱サイクルチャンバ331〜335及び複数の混合リザーバ326〜330を備える。
【0046】
複数の溶液リザーバ321〜325は、溶液モジュール32に接続され、溶液モジュール32から供給される特定の量の主混合溶液(master mix solution)を保存するように構成されている。保持リザーバ319は、溶解及び捕捉モジュール20から出力される核酸溶液を収容するように構成されている。計量リザーバ320は、保持リザーバ319からの特定の量の核酸溶液を計量し、保存するように構成されている。一実施の形態においては、各溶液リザーバ321〜325は、15μlを収容するように構成され、計量リザーバは、10μlを収容するように構成されている。核酸溶液の第1の計量された部分は、計量リザーバ320から混合リザーバ326に流され、保持リザーバ325からの特定の量の混合溶液が混合リザーバ326に供給される。次に、核酸溶液の第2の部分が計量され、計量リザーバ320に収容される。第2の計量された部分は、計量リザーバ320から混合リザーバ327に流され、保持リザーバ324からの特定の量の混合溶液が混合リザーバ327に供給される。核酸溶液の計量された部分及び特定の量の混合溶液は、同様に、残りの混合リザーバ328〜330に供給される。
【0047】
混合リザーバ326の混合溶液は、熱サイクルチャンバ331に流され、混合リザーバ327の混合溶液は、熱サイクルチャンバ332に流され、混合リザーバ328の混合溶液は、熱サイクルチャンバ333に流され、混合リザーバ329の混合溶液は、熱サイクルチャンバ334に流され、混合リザーバ330の混合溶液は、熱サイクルチャンバ335に流される。熱サイクルプロセスを実行するために、各熱サイクルチャンバには、加熱要素(図示せず)が接続される。一実施の形態においては、熱サイクルチャンバ331〜335は、細長いチューブとして構成され、各端部は、バルブによって蓋をされ、チューブは、加熱メッシュに接続されて、加熱及びチューブアセンブリを構成する。このような加熱及びチューブアセンブリの具体例は、引用によって本願に援用される、同じ出願人によって2005年8月10日に出願された、係属中の米国特許出願第11/201,615号、発明の名称「Disposable Integrated Heater and Tube Assembly for Thermally-driven Chemical Reactions」に開示されている。
【0048】
計量及び熱サイクルモジュール30内のマイクロ流体回路は、複数の異なる熱サイクルプロセスを実行できるように構成されている。上述のようにして、第1の混合溶液に関して第1の熱サイクルプロセスが実行された後に、この結果得られる溶液は、熱サイクルチャンバ331〜335から、対応する混合リザーバ326〜330に逆流する。これに代えて、熱サイクルチャンバ331〜335から、それぞれの対応する混合リザーバ326〜330に溶液を流す更なるマイクロ流体回路を設けてもよい。溶液リザーバ321〜325から混合リザーバ326〜330に更なる混合溶液を供給してもよい。このステップにおいて供給される混合溶液は、第1の熱サイクルプロセスの間に供給される混合溶液と同じであっても、異なっていてもよい。そして、混合溶液は、第2の熱サイクルプロセスのために、熱サイクルチャンバ331〜335に戻される。更なる熱サイクルプロセスは、同様に実行できる。一応用例においては、第1の熱サイクルプロセスの間にプリ増幅プロセスを実行し、第2の熱サイクルプロセスの間に増幅プロセスを実行する。このようなプリ増幅及び増幅プロセスの1つの具体例については、引用によって本願に援用される、同じ出願人による係属中の米国特許出願第11/509,868号に開示されている。増幅プロセスの結果、増幅された核酸溶液が得られる。増幅された核酸溶液は、計量及び熱サイクルモジュール30から出力される。
【0049】
増幅された核酸溶液が計量及び熱サイクルモジュール30から出力される前に、1つ以上の更なる処理ステップを増幅された核酸溶液に施してもよい。このような更なる処理ステップは、光学検出モジュール34による検査のために、増幅された核酸溶液を準備する。増幅された核酸溶液は、熱サイクルチャンバ331〜335から対応する混合リザーバ326〜330に逆流される。そして、更なる溶液を各混合リザーバに加える。更なる溶液は、増幅された核酸溶液内に1つ以上の特定の種類の核酸が存在する場合、これに付着するように構成されている。これにより得られる生成物は、各特定の核酸のための異なる蛍光マーカを含む。そして、この生成物は、計量及び熱サイクルモジュール30から出力される。なお、特定の種類の核酸の存在を検出するために他の化学処理を用いてもよい。
【0050】
図7に示す計量及び熱サイクルモジュール30は、5つの熱サイクルチャンバ、5つの混合リザーバ、及び5つの溶液リザーバによって構成されているが、計量及び熱サイクルモジュール30は、5つより多い又は少ない熱サイクルチャンバ、混合リザーバ及び溶液リザーバによって構成してもよい。更にこれに代えて、代替となる混合法として、混合リザーバを設けず、溶液リザーバから熱サイクルチャンバへの流体の輸送の間に流体ライン自体の内部で混合を行うようにしてもよい。
【0051】
図8は、光学検出モジュール34の例示的な概略図を示している。光学検出モジュール34は、シリンジポンプ341及び分配バルブ342を含むポンプアセンブリ340と、検査チャンネル343を含む流体ライン344と、光学検出器346とを備える。流体ライン344は、計量及び熱サイクルモジュール30から出力された増幅された核酸溶液を受け取る。検査チャンネル343は、流体ライン344の光学的に透明な部分であり、これにより、増幅された核酸溶液が光学的透明な部分を通過する際、光学検出器346が光学的分析を行うことができる。一実施の形態においては、検査チャンネル343は、計量及び熱サイクルモジュール30を不要物モジュール28(図2)に接続するマイクロ流体回路内に統合されている。この構成では、溶液が不要物モジュールに流される際に、増幅された核酸溶液に対する光学的測定を行う。これに代えて、流体ライン344に収集容器を接続し、増幅された核酸溶液を収集容器に収集して光学的測定を行ってもよい。
【0052】
光学検出器346は、例えば、白色光LED又はレーザ等の光源348、例えば、1個以上のレンズ、フィルタ及びビームスプリッタ等の光路350、光ファイバ352及び光センサ354を備える。光学検出器346は、毒素捕捉及び検出モジュール22内の光学検出器234(図5)と機能的に同じである。光学検出器346は、検査チャンネル343に光を照射し、反射する光の特性を収集及び測定するように構成されている。反射光の特性は、特定の種類の核酸が増幅された核酸溶液内に存在しているかを判定するために使用される。図8に示す光学検出器346の構成は、例示的なものである。幾つかの実施の形態では、光学検出器346は、光源と、検査チャンネル343に光を向け、検査チャンネル343から光学検出器に反射光を向ける光路と、光学検出器とを含むように構成される。他の実施の形態では、光源を設けない。このような場合、光は、例えば、化学発光によって、捕捉された毒素から放射される。放射された光は、光センサによって検出される。一実施の形態においては、光学検出器は、1つ以上の異なる波長を測定できる周知の光学検出デバイスである。測定された特性は、分析のために光学検出器346から制御モジュール12に供給される。
【0053】
粒子収集及び検出システム10は、特定の浮遊粒子の存在を検出するように構成された完全に統合され、自動化されたシステムである。粒子収集及び検出システム10が実行する例示的な自動処理を図9に示す。ステップ400では、空気収集モジュール14に周囲の空気を取り込む。空気は、プロセスの全体に亘って、空気収集モジュール14に継続的に取り込まれる。ステップ405では、定義されたスケジュールに基づいて、空気収集モジュール14から流体試料を定期的に出力する。出力される流体試料は、周囲の空気から収集された浮遊粒子を含む。ステップ410では、流体試料を計量し、分配する。ステップ415では、流体試料の第1の部分を収容する。ステップ420では、流体試料の第2の部分からの毒素を捕捉し、精製し、濃縮する。ステップ425では、ステップ420で捕捉された毒素の存在を判定する。一実施の形態においては、光学検出を用いて毒素の存在を検出する。
【0054】
ステップ430では、流体試料の第3の部分内の細胞を溶解させる。これによって、ライセート溶液が生成される。ステップ435では、ライセート溶液を計量し、分配する。ステップ440では、第1のライセートの各計量された部分に対してプリ増幅プロセスを実行する。ステップ445では、第1のライセートの各計量された部分に対して増幅プロセスを実行し、増幅された核酸溶液を生成する。プリ増幅プロセス及び増幅プロセスは、熱サイクルを含む。ステップ450では、増幅された核酸溶液内の1つ以上の特定の種類の核酸の存在を判定し、1つ以上の特定の種類の核酸を識別する。ステップ430〜450は、ステップ420〜425と平行して実行し、これにより、流体試料を同時に処理する。
【0055】
ステップ425において、1つ以上の毒素が存在すると判定された場合、又はステップ450において、1つ以上の特定の核酸が存在すると判定された場合、ステップ455において、アラーム信号を生成する。ステップ460では、システムをリセットし、空気収集モジュール14によって出力される次の流体試料を処理する。システムは、流体試料が流れるマイクロ流体回路、全ての流体試料収集容器、毒素を捕捉するために用いられた捕捉デバイス、核酸を精製するために用いられた精製デバイス、パージされた保管チャンバ、及び熱サイクルチャンバの汚染を除去することによってリセットされる。汚染除去は、周知の如何なるすすぎ及び洗浄処理を用いて実行してもよい。システムがリセットされ、次の定期的な間隔の後、次の流体試料が空気収集モジュール14から出力され、上述のように処理される。このプロセスは、連続する流体試料について、継続的に繰り返される。粒子収集及び検出システムは、独立して動作し、又は遠隔監視及び/又は制御位置にネットワーク接続され、ここに測定された特性及び/又は事後分析結果が送信され、及び/又はここから制御信号が受信される。
【0056】
例示的なアプリケーションでは、収集及び検出システム10は、毎日、24時間、絶え間なく動作する。空気収集モジュールは、3時間毎に10mlの流体試料を分配モジュール16に出力する。10mlの流体試料のうちの1mlは、計量されて、保管モジュール18に分配され、3mlは、毒素捕捉及び検出モジュール22に分配され、6mlは、溶解及び捕捉モジュール20に分配される。溶解及び捕捉モジュール20は、入力される各6mlの試料毎に50μlの試料を出力する。計量及び熱サイクルモジュール30には、溶解及び捕捉モジュール20から50μlサンプルが入力され、及び溶液モジュール32から15μlのアリコートが供給される。計量及び熱サイクルモジュール30は、溶解及び捕捉モジュール20から供給された50μlの入力試料のそれぞれについて、5つの25μlの試料を出力する。5つの25μlの試料は、光学検出モジュール34によって分析される。上述したタイミング、試料サイズ、分配比は、例示的なものである。タイミング、試料サイズ及び分配比は、アプリケーション毎に固有であり、収集及び検出システム10は、これに応じて構成される。計量及び熱サイクルモジュール30が処理する25μlの流体試料の1つ以上を陰性及び陽性の対照試料に置換することによって、あらゆる入力流体試料に実行された分析の精度を検証できる。
【0057】
収集及び検出システムの第2の実施の形態は、検出−警告システムを提供し、この場合、特定の種類の粒子の存在が検出されるが、粒子の種類は識別してもしなくてもよい。図10は、統合された収集及び検出システムの第2の実施の形態の例示的な機能的ブロック図である。統合された収集及び検出システム500は、空気収集モジュール510、確認デバイス520及び制御モジュール530を備える。流体は、マイクロ流体回路を用いて、流体インタフェース514と確認デバイス520との間及び確認デバイス520内を流れる。
【0058】
空気収集モジュール510は、周囲の空気を取り込み、周囲の空気内の1つ以上の異なる種類の浮遊粒子の存在を検出し、流体等の内部に浮遊粒子を収集するように構成されている。空気収集モジュール510は、トリガメカニズム512及び流体インタフェース514を備える。流体インタフェース514は、収集及び検出システム500に引き込まれた浮遊粒子が存在する周囲空気を受け取り、流体試料とも呼ばれる流体溶液に浮遊粒子を収集するように構成されている。流体インタフェース514は、収集及び検出システム500へのエアフローを生成するファンを備える。幾つかの実施の形態では、浮遊粒子は、ファンによって収集された粒子を溶離し、これにより得られる溶離された粒子を含む流体溶液を収集することによって収集される。浮遊粒子を流体溶液に収集する手法の一具体例については、引用によって本願に援用される、同じ出願人による係属中の米国特許出願第11/509,878号、発明の名称「Automated Particle Collection Off of Fan Blades into a Liquid Buffer」に開示されている。流体溶液は、流体インタフェース514内の収集容器に収容してもよく、流体インタフェース514及び/又は空気収集モジュール510の外部の収集容器に収容してもよい。
【0059】
トリガメカニズム512は、流体インタフェース514に向けられるエアフロー及びこのエアフロー中の浮遊粒子を継続的に監視するように配設される。トリガメカニズム512は、例えば、エアフローに向けられる光ビームを生成するレーザ又は白色光LED等の光源を含む。光ビームは、エアフロー中の浮遊粒子に衝突する。また、トリガメカニズム512は、浮遊粒子に衝突した後の光に関連する1つ以上の光特性を測定する光センサ等の光コレクタを備える。幾つかの実施の形態では、浮遊粒子から反射する光の波長を測定する。トリガメカニズム512は、浮遊粒子に関して非破壊的である。
【0060】
トリガメカニズム512が測定した光特性に関する情報は、制御モジュール530に供給される。制御モジュール530は、光特性を既知の光特性と比較し、1つ以上の異なる種類の生物学的粒子がエアフロー中に存在しているかを判定する。1つ以上の異なる種類の生物学的粒子が存在していると判定した場合、制御モジュール530は、トリガ信号を生成する。これに代えて、1つ以上の異なる種類の特定の生物学的粒子が存在しているかを判定し、必要に応じて、トリガ信号を生成する論理回路をトリガメカニズム512が備えていてもよい。更にこれに代えて、1つ以上の異なる種類の特定の生物学的粒子が存在しているかを判定する論理回路をトリガメカニズム512が備え、必要に応じて、制御モジュール530がトリガ信号を生成するようにしてもよい。
【0061】
トリガ信号に応じて、流体試料又はその一部は、確認デバイス520に供給され、確認デバイス520は、1つ以上の異なる種類の特定の生物学的粒子の存在を確認する。確認デバイス520は、溶液モジュール522及び毒素捕捉及び検出モジュール524を備える。
【0062】
第2の実施の形態の毒素捕捉及び検出モジュール524は、毒素捕捉及び検出モジュール524内の1つ以上の捕捉デバイス及び光学検出モジュールが、特定の毒素に加えて特定の病原体を捕捉及び検出するように構成されている点を除いて、第1の実施の形態の毒素捕捉及び検出モジュール22と物理的に及び機能的に略同等である。幾つかの病原体は、免疫測定を用いて検出することができる。幾つかの実施の形態では、毒素捕捉及び検出モジュール524内の1つ以上の捕捉デバイスを、毒素捕捉及び検出モジュール22に関連して説明したように、特定の毒素に付着することが知られている1つ以上の特異抗体に加えて、特定の病原体に付着することが知られている1つ以上の特異抗体によって予めコーティングする。これらの実施の形態では、毒素捕捉及び検出モジュール524内の光学検出モジュールは、特異抗体の存在を判定するために使用される、捕捉された毒素又は病原体の1つ以上の光特性を測定するように構成されている。
【0063】
毒素捕捉及び検出モジュール524によって得られた生データ、例えば、測定された光特性は、制御モジュール530に供給され、制御モジュール530は、このデータを用いて、1つ以上の特定の種類の毒素及び/又は病原体の存在を判定し、及びこれを識別する。特定の毒素又は病原体が検出された場合、制御モジュール530は、アラーム信号を生成する。これに代えて、毒素捕捉及び検出モジュール524によって収集された生データは、分析のために、中央監視点50(図1)等の遠隔位置に送信してもよい。
【0064】
溶液モジュール522は、毒素捕捉及び検出モジュール524において実行される捕捉ステップの間に用いられる溶液を提供するという点で、溶液モジュール26(図2)と同様である。溶液モジュール522は、例えば、洗浄液及び抗体溶液を含む。
【0065】
収集及び検出システム500は、周囲の空気が継続的に検査され、空気収集モジュール510が出力する連続した流体試料が処理されるように、再使用可能に構成される。したがって、毒素捕捉及び検出モジュール524及び相互接続される全てのマイクロ流体回路は、サイクル間に汚染除去される。汚染除去の間、すすぎ及び洗浄ステップを実行するために、様々な溶液が使用され、これらの溶液は、溶液モジュール522内に含まれている。
【0066】
制御モジュール530は、各モジュールに接続され、収集及び検出システム500の動作を制御する。このような制御によって、人間の介入を必要とすることがない収集及び検出処理の完全な自動化が実現される。また、制御モジュール530は、毒素捕捉及び検出モジュール524から供給された生データを分析し、何らかの適切なアラーム信号又はトリガ信号を生成する。制御モジュール530は、アラーム信号に応じて、ローカルなオーディオ及び/又は視覚的アラームを開始し、ネットワーク接続されたローカル監視位置又は中央監視位置に通知信号を送信する。
【0067】
分析済みの流体試料、溶出バッファ、混合溶液、すすぎ液、洗浄液、パージされた保管試料、並びに流体試料の処理及び収集及び検出システム500の後の汚染除去に関連する他の溶液は、不要物モジュール(図示せず)に流される。これに代えて、分析が済み、毒素捕捉及び検出モジュール524から出力された流体試料は、ローカル又はリモートの保存容器に収容してもよい。
【0068】
粒子収集及び検出システム500が実行する例示的な自動処理を図11に示す。ステップ540では、空気収集モジュール510に周囲の空気を取り込む。空気は、プロセスの全体に亘って、空気収集モジュール510に継続的に取り込まれる。ステップ545では、周囲の空気内の浮遊粒子を検査し、浮遊粒子に関連する1つ以上の光特性を測定する。幾つかの実施の形態では、レーザビームを用いて、浮遊粒子を検査するために、浮遊粒子に衝突したレーザビームの反射光の光の波長を測定する。ステップ550では、測定された光特性を、1つ以上の異なる種類の生物学的粒子に関連する既知の光特性と比較する。ステップ550において、一致が判定されない場合、処理は、ステップ540、545を繰り返す。一方、ステップ550において一致が判定された場合、ステップ555において、トリガ信号を生成する。トリガ信号の生成は、少なくとも1つの種類の生物学的粒子が周囲の空気から検出されたことを示す。
【0069】
ステップ560では、周囲の空気からの粒子を含む流体試料を生成する。トリガ信号に応じて、流体試料又はその一部を確認デバイス520に供給する。測定された光特性と既知の光特性との間に一致が認められたか否かにかかわらず、流体試料が常に生成されるように、ステップ545の後にステップ560を実行してもよい。また、ステップ560は、ステップ550及び必要に応じて、ステップ555と同時に実行することもできる。ステップ565では、確認デバイス520が、1つ以上の特定の種類の生物学的粒子が存在していることを確認する。生物学的粒子は、特定の種類の毒素又は特定の種類の病原体である。幾つかの実施の形態では、確認デバイス520は、免疫測定を用いて、1つ以上の異なる種類の毒素及び/又は病原体の存在を確認する。幾つかの実施の形態では、確認デバイス520は、1つ以上の異なる種類の毒素及び/又は病原体を識別する。幾つかの実施の形態では、確認デバイス520は、1つ以上の異なる種類の毒素及び/又は病原体の存在を確認した場合、アラーム信号を生成する。
【0070】
収集及び検出システムの第3の実施の形態は、図1の収集及び検出システム10の機能と、図10の収集及び検出システム500とを結合する。この第3の実施の形態では、収集及び検出システム500は、第1のレベルの検出を実行するように適応化され、ここでは、1つ以上の毒素及び/又は病原体の存在を検出し、及びこのような検出に応じて、収集及び検出システム10は、1つ以上の毒素及び/又は病原体を識別する第2のレベルの検出を実行する。
【0071】
図12は、統合された収集及び検出システムの第3の実施の形態の例示的な機能的ブロック図である。統合された収集及び検出システム600は、収集及び検出システム500の空気収集モジュール510及び確認デバイス520と、収集及び検出システム10の分配モジュール16、保管モジュール18、溶解及び捕捉モジュール20、毒素捕捉及び検出モジュール22、溶液モジュール24、溶液モジュール26、不要物モジュール28、計量及び熱サイクルモジュール30、溶液モジュール32及び光学検出モジュール34とを備える。また、収集及び検出システム600は、分配モジュール610及び制御モジュール620を備える。各モジュールは、収集及び検出システム600内で流体試料及び溶液を流すことができるように流体工学的に適切に接続されている。
【0072】
収集及び検出システム600の制御は、収集及び検出システム10の制御モジュール12の機能及び収集及び検出システム500の制御モジュール530の機能を含む制御モジュール620によって維持される。これに代えて、例えば、第1のレベルの検出を制御する制御モジュール530を追加し、及び第2のレベルの検出を制御する制御モジュール12を追加することによって、制御を局所的に分散させてもよい。このような局所制御モジュールは、互いに通信し、それぞれの機能を調整する。更にこれに代えて、例えば、制御モジュール530及び制御モジュール12を追加し、局所制御モジュールに接続された包括的なモジュールによって、収集及び検出システム600に亘るハイレベルの制御を維持することによって、制御を局所的に分散させてもよい。制御モジュール620は、収集及び検出システム600の各モジュールに接続される。
【0073】
分配モジュール610は、流体インタフェース514から出力された流体試料が供給されるように構成されている。分配モジュール610は、マイクロ流体回路及び保存容器を備える。流体インタフェース514から供給された流体試料は、所定の比率に基づいて計量及び分配される。流体試料の第1の部分は、トリガ信号に応じて、計量され、確認デバイス520に分配される。流体試料の残りの部分は、分配モジュール610内に収容されたまま残る。確認デバイス520が1つ以上の特定の種類の生物学的粒子の存在を確認すると、アラーム信号が生成される。アラーム信号に応じて、流体試料の残りの部分は、分配モジュール610から分配モジュール16に分配される。そして、流体試料は、毒素捕捉及び検出モジュール22、溶解及び捕捉モジュール20、計量及び熱サイクルモジュール30及び光学検出モジュール34によって処理され、流体試料内の粒子が識別される。幾つかの実施の形態では、分配モジュール610及び分配モジュール16の機能を結合して、単一の分配モジュールを構成してもよい。
【0074】
トリガメカニズム512がトリガ信号を生成しない場合、流体試料は、処理のために分配モジュール16に流体試料を提供する、次の定期的な間隔まで、分配モジュール610に収容される。トリガメカニズム512がトリガ信号を生成したが、確認デバイス520がアラーム信号を生成しない場合、残りの流体試料は、次の定期的な間隔まで分配モジュール610内に収容される。これに代えて、トリガメカニズム512がトリガ信号を生成した場合、確認デバイス520がアラーム信号を生成したか否かにかかわらず、残りの流体試料を分配モジュール16に分配し、処理するようにしてもよい。流体インタフェース514は、トリガ信号又はアラーム信号が生成されているか否かにかかわらず、流体試料を継続的に出力し、分配モジュール610に供給する。
【0075】
収集及び検出システム600の実際の動作では、トリガメカニズム512及び確認デバイス520は、周囲の空気内に特定の種類の生物学的粒子が存在しているかを判定する第1のレベルの検出を実行する。第1のレベルの検出によって1つ以上の特定の種類の生物学的粒子の存在が確認された場合、毒素捕捉及び検出モジュール22、溶解及び捕捉モジュール20、計量及び熱サイクルモジュール30及び光学検出モジュール34によって第2のレベルの検出が実行される。第2のレベルの検出は、1つ以上の特定の種類の毒素及び/又は1つ以上の特定の種類の病原体を識別する。
【0076】
粒子収集及び検出システムの第3の実施の形態によって実行される例示的な自動処理を図13に示す。ステップ625では、空気収集モジュール510に周囲の空気を取り込む。空気は、プロセスの全体に亘って、空気収集モジュール510に継続的に取り込まれる。ステップ630では、周囲の空気内の浮遊粒子を検査し、浮遊粒子に関連する1つ以上の光特性を測定する。幾つかの実施の形態では、レーザビームを用いて、浮遊粒子を検査するために、浮遊粒子に衝突したレーザビームの反射光の光の波長を測定する。ステップ635では、周囲の空気からの粒子を含む流体試料を生成する。ステップ640では、測定された光特性を、1つ以上の異なる種類の生物学的粒子に関連する既知の光特性と比較する。ステップ640において、一致が判定されない場合、処理は、ステップ625に戻る。一方、ステップ640において一致が判定された場合、ステップ645において、トリガ信号を生成する。トリガ信号の生成は、少なくとも1つの種類の生物学的粒子が周囲の空気から検出されたことを示す。
【0077】
トリガ信号に応じて、ステップ650において、流体試料の第1の部分を計量し、確認デバイス520に分配する。ステップ655では、確認デバイス520が、1つ以上の特定の種類の生物学的粒子が存在していることを確認する。生物学的粒子は、特定の種類の毒素又は特定の種類の病原体である。幾つかの実施の形態では、確認デバイス520は、免疫測定を用いて、1つ以上の異なる種類の毒素及び/又は病原体の存在を確認する。幾つかの実施の形態では、確認デバイス520は、1つ以上の異なる種類の毒素及び/又は病原体を識別する。ステップ655において、流体試料の第1の部分に1つ以上の特定の種類の生物学的粒子が存在していないと判定された場合、処理は、ステップ625に戻る。一方、ステップ655において、流体試料の第1の部分に1つ以上の特定の種類の生物学的粒子が存在していると判定された場合、ステップ660において、第1のアラーム信号を生成する。第1のアラーム信号の生成は、少なくとも1つの種類の生物学的粒子が流体試料の第1の部分から検出されたことを示す。
【0078】
ステップ665では、流体試料の残りの部分を計量し、保管モジュール18、毒素捕捉及び検出モジュール22及び溶解及び捕捉モジュール20に分配する。ステップ670では、流体試料の第2の部分を収容する。ステップ675では、流体試料の第3の部分からの毒素を捕捉、精製及び濃縮する。ステップ680では、ステップ675で捕捉された毒素の存在を判定し、毒素を識別する。一実施の形態においては、光学検出を用いて毒素の存在を検出し、毒素を識別する。
【0079】
ステップ685では、流体試料の第4の部分内の細胞を溶解させる。これによって、ライセート溶液が生成される。ステップ690では、ライセート溶液を計量し、分配する。ステップ695では、第1のライセートの各計量された部分に対してプリ増幅プロセスを実行する。ステップ700では、第1のライセートの各計量された部分に対して増幅プロセスを実行し、増幅された核酸溶液を生成する。プリ増幅プロセス及び増幅プロセスは、熱サイクルを含む。ステップ705では、増幅された核酸溶液内における1つ以上の特定の種類の核酸の存在を判定し、1つ以上の特定の種類の核酸を識別する。ステップ685〜705は、ステップ675〜680と平行して実行し、これにより、流体試料を同時に処理する。
【0080】
ステップ680において、1つ以上の毒素が存在すると判定された場合、又はステップ705において、1つ以上の特定の核酸が存在すると判定された場合、ステップ710において、アラーム信号を生成する。ステップ715では、システムをリセットし、空気収集モジュール510によって出力される次の流体試料を処理する。システムは、流体試料が流れるマイクロ流体回路、全ての流体試料収集容器、毒素を捕捉するために用いられた捕捉デバイス、核酸を精製するために用いられた精製デバイス、パージされた保管チャンバ、及び熱サイクルチャンバの汚染を除去することによってリセットされる。汚染除去は、周知の如何なるすすぎ及び洗浄処理を用いて実行してもよい。
【0081】
以上、生物脅威の用途に関連して統合された粒子収集及び検出システムの実施の形態を説明した。なお、統合された粒子収集及び検出システムは、有害ではない空気粒子の収集にも使用することができ、包括的に言えば、統合された粒子収集及び検出システムは、如何なる浮遊粒子の収集及び分析にも使用することができる。
【0082】
図1に関連して説明したネットワーク構成は、収集及び検出システムの第1の実施の形態、すなわち収集及び検出システム10を含む。ここで、幾つか又は収集及び検出システムの実施の形態、例えば、収集及び検出システム10、収集及び検出システム500、収集及び検出システム600の幾つか及び全ては、任意の組合せで、同様の手法でネットワーク化してもよい。
【0083】
上述した収集及び検出システムの実施の形態は、例示的に示しているに過ぎない。統合された収集及び検出システムのマイクロ流体回路及びモジュール性は、モジュール及び関連するサブモジュールコンポーネントを相互接続し、望まれる任意の組合せに構成するための柔軟性及び拡張性を提供する。更に、各モジュールについて説明した特定の構成は、例示的なものに過ぎない。マイクロ流体回路及び各モジュールの構成コンポーネントは、説明した機能を実現するために、任意の数の構成に適応化することができる。
【0084】
本発明の構成及び動作原理を明瞭に説明するために、様々な詳細を含む特定の実施の形態を用いて本発明を説明した。ここに示した特別な構成、並びに様々なモジュールに関連して記述した処理の手法及びこれらの間の相互接続は、例示的なものに過ぎない。このような特定の実施の形態の説明及びその詳細は、特許請求の範囲を制限するものではない。本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、例示的に選択された実施の形態を変更できることは、当業者にとって明らかである。
【関連出願】
【0001】
本出願は、同じ出願人によって2006年8月24日に出願された係属中の米国特許出願第11/509,872号、発明の名称「An Integrated Airborne Substance Collection and Detection System」及び2006年8月24日に出願された米国特許出願第11/510,073号、発明の名称「An Integrated Airborne Substance Collection and Detection System」に関連し、これらの文献は、全体が引用によって本願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、微粒子を収集し、分析するための方法及び装置に関する。詳しくは、本発明は、例えば、バクテリア及びウイルス、並びに毒素等のタンパク質を始めとする有機体を含む浮遊粒子の収集及び検出に関する。
【背景技術】
【0003】
周囲の空気を監視し、潜在的に有害な病原体の存在を検出するために生物脅威検出器(bio-threat detector)が使用されている。ここでは、包括的に言えば、収集及び検出装置に空気が取り込まれ、空気内の微粒子が評価される。収集及び検出装置へのエアフローは、通常、装置内のファンによって生成される。この装置は、空気及び所定のエアフロー中の個々の分子を継続的に監視する。幾つかの検出器は、レーザ又はLEDを用いて、空気経路をスキャンし、通過する粒子を検査する。異なる種類の粒子は、それぞれ異なる光の波長を反射するので、塵埃粒子等の無害な粒子は、例えば、炭疽菌の胞子等の有害な粒子から区別できる。通過する粒子が反射する光は、既知の波長のデータベースに照合され、ここでの一致が、生物学的物質の存在を示す。一致する波長が検出されると、検出装置内のトリガメカニズムが作動する。トリガメカニズムが作動すると、潜在的病原体が存在していることを示すトリガ信号が生成される。しかしながら、特定の粒子は、このような収集及び検出装置によって特定できない。
【0004】
一旦、トリガメカニズムが、病原体の存在の可能性を通知すると、確認プロセスが開始される。確認プロセスでは、検出装置をトリガした粒子が特定される。従来、トリガ信号が生成された場合、潜在的病原体が収集され、研究室に持ち込まれ、分析が行われる。潜在的病原体を特定するためには、複数の技術が用いられ、各技術は、異なる種類の病原体を特定するように設計されており、通常、研究室のオペレータの監督下で実行される。これは、手間がかかる作業であり、様々な試験装置を必要とし、リアルタイムの脅威査定(threat assessment)においては、非実用的である。また、このようなプロセスは、人間のオペレータによるインタラクションを必要とし、高コストで、多くの場合、非効率である。24時間に亘る潜在的病原体の継続的な監視及び処理には、必要な時間帯の全てをカバーするために、人間のオペレータが複数名必要になる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
収集及び検出システムは、完全に統合され、自律的であり、病原体等の特定の粒子について周囲の空気を監視するように構成されている。収集及び検出システムの1つの側面は、空気収集デバイスと、分配モジュールと、毒素検出モジュールと、核酸検出モジュールと、収集及び検出装置内で空気収集デバイス、毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールを接続するマイクロ流体回路と、制御モジュールとを備える。空気収集デバイスは、浮遊粒子を含む周囲の空気を取り込み、浮遊粒子を含む流体試料を出力する。分配モジュールは、流体試料を計量して他の様々なモジュールに分配する。毒素検出モジュールは、流体試料の第1の部分内の1つ以上の特定の毒素の存在を検出する。核酸検出モジュールは、流体試料の第2の部分内の1つ以上の特定の核酸の存在を検出し、毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールは、流体試料の第1の部分及び流体試料の第2の部分を並列に処理する。制御モジュールは、検出装置が自律的に機能するように各モジュールに制御信号を供給する。
【0006】
毒素検出モジュールは、流体試料から1つ以上の特定の毒素を捕捉する1つ以上の捕捉デバイスを備えていてもよい。毒素検出モジュールは、1つ以上の捕捉デバイス内の捕捉された1つ以上の特定の毒素の存在を光学的に検出する光学検出モジュールを更に備えていてもよい。分配モジュールは、流体試料の第3の部分を計量して分配してもよく、収集及び検出装置は、流体試料の第3の部分を収容する保管モジュールを更に備えていてもよい。空気収集デバイスは、周囲の空気を継続的に取り込み、毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールによって処理される新たな流体試料を定期的に出力してもよい。核酸検出モジュールは、流体試料の第2の部分内の1つ以上の種類の細胞を溶解させ、ライセート流体試料を生成する溶解モジュールを備えていてもよい。核酸検出モジュールは、ライセート流体試料から1つ以上の核酸を捕捉する1つ以上の精製デバイスを更に備えていてもよい。核酸検出モジュールは、精製デバイスに接続され、1つ以上の核酸が供給され、1つ以上の核酸に熱サイクルを適用し、増幅された数の1つ以上の核酸を含む増幅された流体試料を形成する熱サイクルモジュールを更に備えていてもよい。収集及び検出装置は、熱サイクルモジュールに接続され、増幅された流体試料内の1つ以上の特定の核酸の存在を光学的に検出する光学検出モジュールを更に備えていてもよい。また、収集及び検出装置をネットワーク監視点にネットワーク接続し、トリガされたアラーム信号、収集された生データ又は事後分析結果を送信してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】複数の収集及び検出システムを含む例示的なネットワーク構成を示す図である。
【図2】統合された収集及び検出システムの第1の実施の形態の例示的な機能的ブロック図である。
【図3】制御モジュールの例示的なブロック図である。
【図4】保管モジュールの例示的な概略図である。
【図5】毒素捕捉及び検出モジュールの例示的な概略図である。
【図6】溶解及び捕捉モジュールの例示的な概略図である。
【図7】計量及び熱サイクルモジュールの例示的な概略図である。
【図8】光学検出モジュールの例示的な概略図である。
【図9】粒子収集及び検出システムの第1の実施の形態において実行される例示的な自動処理のフローチャートである。
【図10】統合された収集及び検出システムの第2の実施の形態の例示的な機能的ブロック図である。
【図11】粒子収集及び検出システムの第2の実施の形態において実行される例示的な自動処理のフローチャートである。
【図12】統合された収集及び検出システムの第3の実施の形態の例示的な機能的ブロック図である。
【図13】粒子収集及び検出システムの第3の実施の形態において実行される例示的な自動処理のフローチャートである。
【図14】粒子収集及び検出システムの第3の実施の形態において実行される例示的な自動処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、統合された粒子収集及び検出システムの実施の形態を説明する。同じ要素が複数の図面に示されている場合にのみ、適切であれば、これらの同じ要素に同じ参照符号を付している。
【0009】
本発明の実施の形態は、病原体等の特定の粒子について周囲の空気を監視するように構成された、完全に統合された自律的な収集及び検出システムを提供する。幾つかの実施の形態では、収集及び検出システムは、統合されたカートリッジとして構成される。幾つかの実施の形態では、収集及び検出システムは、完全自律システムとして構成される。空気収集デバイスは、浮遊粒子を捕捉し、流体溶液に捕捉された粒子を含む流体試料を出力する。収集及び検出システムは、統合されたカートリッジ内で1つ以上の種類の粒子の検出が完全に自動化されるように、流体試料の処理を制御するよう構成された制御モジュールを備える。処理され、検出される粒子の種類は、以下に限定されるわけではないが、細胞、バクテリア、ウイルス、核酸、毒素及び他の病原体を含む。1つ以上の特定の種類の粒子が検出された場合、システムアラームがトリガされる。幾つかの実施の形態では、システムアラームは、通信ネットワークを介してローカル又は中央監視位置の何れかに送信されるアラーム信号である。2つ以上の収集及び検出システムをネットワークに接続し、中央監視位置によって監視してもよい。他の実施の形態では、システムアラームは、収集及び検出システム自体が生成するオーディオ信号及び/又はビジュアル信号である。
【0010】
図1は、複数の収集及び検出システム10を含む例示的なネットワーク構成を示している。各収集及び検出システム10は、独立して動作してもよく、図1に示すように、遠隔監視位置にネットワーク接続してもよい。監視位置は、ローカル監視点40のように、ローカルに設けてもよく、又は中央監視点50等のように、中央に設けてもよい。図1に示すように、各収集及び検出システムは、独立して動作でき、中央監視点に接続されているローカル監視点に接続してもよく、又は中央監視点に接続してもよい。収集及び検出システム10は、周知の何らかのネットワーク60を介して、ローカル監視点40又は中央監視点50に接続されている。また、ネットワーク接続によって、収集及び検出システム10に遠隔制御信号を供給することができる。
【0011】
統合された収集及び検出システムの第1の実施の形態は、特定の粒子を識別する検出及び処理システムを提供する。図2は、統合された収集及び検出システムの第1の実施の形態の例示的な機能的ブロック図を示している。統合された収集及び検出システム10は、制御モジュール12、空気収集モジュール14、分配モジュール16、保管モジュール18、溶解及び捕捉モジュール20、毒素捕捉及び検出モジュール22、溶液モジュール24、溶液モジュール26、不要物モジュール28、計量及び熱サイクルモジュール30、溶液モジュール32及び光学検出モジュール34を備える。流体は、マイクロ流体回路とも呼ばれるマイクロ流体経路及びバルブを用いて、モジュール間及び各モジュール内に流される。
【0012】
空気収集モジュール14は、周囲の空気を取り込み、空気内の浮遊粒子を収集する。空気は、所定の期間収集され、この後、収集された粒子は、液体試料に溶離され、液体試料は、空気収集モジュール14から出力される。空気収集モジュール14から出力される流体試料は、流体及び粒子溶液を含む。
【0013】
分配モジュール16は、空気収集モジュール14から出力される流体試料を計量し、分配する。流体試料は、計量され、所定の比率で分配される。流体試料の第1の部分は、保管モジュール18に供給され、第2の部分は、溶解及び捕捉モジュール20に供給され、第3の部分は、毒素捕捉及び検出モジュール22に供給される。一実施の形態においては、マイクロ流体回路の一部として、シリンジポンプを用いて、流体試料を計量する。シリンジポンプは、アプリケーションの変更に応じて適応化することができ、例えば、あるアプリケーションと次のアプリケーションでは、分配比を変更することができる。他の実施の形態においては、マイクロ流体回路の一部として排水孔を有するリザーバを設ける。各排水孔の位置は、望まれる分配比に対応している。ラン間で流体試料の収集及び分配を制御するために、各排水孔の排水ラインには、バルブを連結する。このような構成は、排水孔の位置が固定された仕様であるため、分配比が固定である場合に好適である。更に他の実施の形態では、例えば、排水孔を有するリザーバ等の分配比が固定される構成の側面と、シリンジポンプ等の分配比が調整可能な構成の側面とを組み合わせる。なお、固定された分配比及び可変の分配比の両方について、流体試料を計量し、分配するために、他のマイクロ流体回路構成を用いることもできる。
【0014】
保管モジュール18は、1つ以上の流体試料を保存するように構成されている。流体試料は、後の分析及び/又は必要に応じて確認のために保存される。溶解及び捕捉モジュール20は、分配モジュール16から供給された流体試料に対して、溶解、精製及び濃縮処理を行う。溶解は、受け取った流体試料内の溶解可能な細胞に対して実行される。溶解は、超音波処理を用いて実行される。これに代えて、周知の如何なる溶解法を用いてもよい。一旦、細胞が溶解されると、これにより得られる核酸が精製され、濃縮され、計量及び熱サイクルモジュール30に供給される。溶液モジュール24は、溶解及び捕捉モジュール20が実行する溶解、精製及び濃縮ステップの間に使用される溶液を提供する。溶液モジュール24は、例えば、洗浄液及び溶出バッファ(elution buffers)を含む。
【0015】
計量及び熱サイクルモジュール30は、溶解及び捕捉モジュール20から濃縮された流体試料を受け取る。受け取った流体試料は、計量され、所定数の収集容器に分配される。計量及び熱サイクルモジュール30は、溶液モジュール32に接続され、混合溶液を受け取り、これを計量し、各収集容器に分配し、これにより、濃縮された流体試料及び混合溶液の組合せは、各収集容器内に一時的に保存される。各収集容器は、対応する熱サイクルチャンバに接続され、組み合わされた溶液は、順次加熱及び冷却される。このようにして、各収集容器内の流体試料及び混合溶液の組合せは、熱サイクルチャンバ内で熱サイクルプロセスを受け、流体試料内に存在する何らかの核酸が増幅される。熱サイクルは、何回実行してもよい。この増幅プロセスは、繰り返すことができ、例えば、プリ増幅ステップ及び増幅ステップを実行できる。
【0016】
各熱サイクルチャンバによって増幅された流体試料は、計量及び熱サイクルモジュール30から順次出力される。計量及び熱サイクルモジュール30から出力される各増幅された流体試料は、光学検出モジュール34によって検査される。包括的に言えば、生物学的検出を実行するために、周知の如何なるルミネッセンス検出技術を適用してもよい。光学検出モジュール34によって得られた生データは、制御モジュール12に供給され、制御モジュール12は、これを用いて、1つ以上の種類の核酸の存在を判定する。核酸が検出された場合、制御モジュール12は、アラーム信号を生成する。これに代えて、光学検出モジュール34によって収集された生データは、分析のために、遠隔位置、例えば、中央監視点50(図1)に送信してもよい。
【0017】
毒素捕捉及び検出モジュール22は、分配モジュール16から供給された流体試料内に存在する毒素を捕捉する。この毒素捕捉及び検出モジュール22も、周知の任意のルミネッセンス検出技術を用いて、何らかの捕捉された毒素の存在を検出する。毒素捕捉及び検出モジュール22によって得られた生データは、制御モジュール12に供給され、制御モジュール12は、これを用いて、1つ以上の特定の種類の毒素の存在及び正体(identity)を判定する。特定の毒素が検出された場合、制御モジュール12は、アラーム信号を生成する。これに代えて、毒素捕捉及び検出モジュール22によって収集された生データは、分析のために、遠隔位置、例えば、中央監視点50(図1)に送信してもよい。一実施の形態においては、毒素捕捉及び検出モジュール22は、捕捉された何らかの毒素の1つ以上の特性を測定するように構成された光学検出デバイスを備える。溶液モジュール26は、毒素捕捉及び検出モジュール22が実行する毒素捕捉ステップの間に使用される溶液を提供する。例えば、溶液モジュール26は、洗浄液及び抗体溶液を含む。
【0018】
収集及び検出システム10は、再使用されるように構成され、すなわち、空気収集モジュール14が出力する流体試料が連続的に処理される。したがって、分配モジュール16、溶解及び捕捉モジュール20、毒素捕捉及び検出モジュール22、計量及び熱サイクルモジュール30、並びに計量及び熱サイクルモジュール30及び光学検出モジュール34を接続するマイクロ流体回路を含む相互接続された全てのマイクロ流体回路は、サイクル間に汚染除去される。汚染除去の間、すすぎ及び洗浄ステップを実行するためには、様々な溶液が使用され、これらの溶液は、溶液モジュール24及び溶液モジュール26に含まれている。
【0019】
制御モジュール12は、各モジュールに接続され、収集及び検出システム10の動作を制御する。このような制御によって、人間の介入を必要とすることがない収集及び検出処理の完全な自動化が実現される。また、制御モジュール12は、毒素捕捉及び検出モジュール22及び光学検出モジュール34から供給された生データを分析し、何らかの適切なアラーム信号を生成する。制御モジュール12は、アラーム信号に応じて、ローカルなオーディオ及び/又は視覚的アラームを開始し、ネットワーク接続されたローカル監視位置又は中央監視位置に通知信号を送信する。
【0020】
分析済みの流体試料、溶出バッファ、混合溶液、すすぎ液、洗浄液、パージされた保管試料、並びに流体試料の処理及びその後の収集及び検出システム10の汚染除去に関連する他の溶液は、不要物モジュール28に流される。これに代えて、分析が済み、毒素捕捉及び検出モジュール22及び光学検出モジュール34から出力された流体試料は、保管モジュール18又は補足的な保管モジュール(図示せず)に収容してもよい。上述した粒子収集及び検出システム10の実施の形態は、3つの溶液モジュールを含む。これに代えて、溶液モジュール24、26、32の1つ以上を統合してもよく、4つ以上の溶液モジュールを用いてもよい。
【0021】
図2に示すシステムの構成は、説明を目的として例示的に示しているに過ぎない。統合された収集及び検出システムのマイクロ流体回路及びモジュール性は、モジュール及び関連するサブモジュールコンポーネントを相互接続し、望まれる任意の組合せに構成するための柔軟性及び拡張性を提供する。例えば、流体試料を更なる部分に計量して分割し、各部分を更に小さい部分に分割することができる。これらの部分は、溶解及び捕捉モジュール20及び計量及び熱サイクルモジュール30を介する流路、毒素捕捉及び検出モジュール22を介する流路、及び上述したモジュール及び/又はサブモジュールの1つ以上に基づいて構成された他のあらゆる流路を含む多数の流体処理経路のうちの何れにも分配できる。更なる具体例として、毒素捕捉及び検出モジュール22に流体試料を入力する前に細胞を溶解させるために、毒素捕捉及び検出モジュール22の前に溶解及び捕捉モジュール20内の溶解コンポーネントと同様の溶解モジュールを追加することができる。また、同様の平行する流路を構成し、流体試料の一部は、溶解しないで毒素捕捉及び検出モジュール22に供給し、流体試料の他の部分は、溶解コンポーネントによって先に溶解させ、溶解された流体試料を他の毒素捕捉及び検出モジュールに入力するようにしてもよい。更に、各モジュールについて説明した特定の構成は、例示的なものに過ぎない。マイクロ流体回路及び各モジュールの構成コンポーネントは、説明した機能を実現するために、任意の数の構成に適応化することができる。
【0022】
図3は、制御モジュール12の例示的なブロック図を示している。制御モジュール12は、プロセッサ122、主メモリ124、大容量記憶装置126及びI/Oインタフェース130を備え、これらは、全てシステムバス128を介して接続されている。大容量記憶装置126は、磁気、光又は光磁気記録技術、又は他の何らかの大容量記録技術のうちの1つ以上を用いる固定媒体及びリムーバブル媒体の何れをも含むことができる。主メモリ124は、ランダムアクセスメモリ(random access memory:RAM)である。プロセッサ122は、収集及び検出システム10の動作を制御するように構成されている。I/Oインタフェース130は、ユーザインタフェース及びネットワークインタフェースを含む。幾つかの実施の形態では、ユーザインタフェースは、ユーザ指示及び入力されたユーザコマンドに関連するフィードバックを表示するディスプレイを含む。ネットワークインタフェースは、従来のネットワークを介して、例えば、ローカル監視位置又は中央監視位置にデータ及び制御信号を送受信するための物理インタフェース回路を含む。
【0023】
図4は、保管モジュール18に接続された分配モジュール16の例示的な概略図を示している。この例示的な構成では、分配モジュール16は、バルブ169〜180を含むマイクロ流体回路を介して相互に接続された計量モジュール162、洗浄注射器164、シリンジポンプ166及び蠕動ポンプ168を備える。保管モジュール18は、バルブ186〜195を含むマイクロ流体回路を介して分配モジュール16に接続された5つの保管チャンバ181〜185を備える。
【0024】
空気収集モジュール14が提供する流体試料は、計量モジュール162に収容される。通常、空気収集モジュール14によって提供される流体試料の量は、一定ではない。一実施の形態においては、収集及び検出システム10は、特定の量、例えば、10mlの流体試料を処理するように構成されている。したがって、第1のステップとして、計量モジュール162から余分な流体試料を取り除く。図4の構成においては、余分な流体試料は、バルブ173及びバルブ179を開くことによって、計量モジュール162から取り除かれ、不要物モジュールに流される。残りは、特定の量の流体試料として計量モジュール162に収容される。
【0025】
各保管チャンバ181〜185は、所定量の流体試料を収容するように構成されている。一実施の形態においては、各保管モジュール181〜185は、1mlの流体試料を収容するように構成されている。この所定量の流体試料は、計量モジュール162において計量され、バルブ169、174、及び保管チャンバ181のバルブ186、191等、保管チャンバに対応するバルブを開き、蠕動ポンプ168を第1の方向に作動させ、バルブ169の通気口から計量モジュール162に空気を送ることによって、保管チャンバ181〜185の1つに供給される。これにより、計量モジュール162が加圧され、内部の流体試料が、開放弁174、191を介して、保管モジュール181に送られる。
【0026】
1つの保管チャンバは、現在のサイクルのための流体試料を収容し、他の4つの保管チャンバは、前の4つのサイクルからの流体試料を収容する。次のサイクルでは、保管モジュール内の最も古い流体試料が取り除かれ、次の流体試料に置換される。例えば、第1のサイクルでは、分配モジュール16からの第1の流体試料が保管チャンバ181に収容される。第2のサイクルでは、第2の流体試料が保管チャンバ182に供給され、収容される。第3のサイクルでは、第3の流体試料が保管チャンバ183に供給され、収容される。第4のサイクルでは、第4の流体試料が保管チャンバ184に供給され、収容される。第5のサイクルでは、第5の流体試料が保管チャンバ185に供給され、収容される。第6のサイクルでは、保管チャンバ181に収容されている第1の流体試料が、まず、不要物モジュールにパージされる。保管チャンバ181から流体試料をパージするためには、バルブ172、186、191、179を開き、蠕動ポンプ168を第2の方向に作動させ、バルブ172の通気口から保管チャンバ181に空気を送る。これにより保管チャンバ181が加圧され、内部の流体試料が、開かれたバルブ191、179を介して、不要物モジュールに出力される。そして、バルブ172、186、191、179を閉じ、洗浄注射器164を介して提供される溶液を用いて、保管チャンバ181を洗浄する。そして、分配モジュール16から空の保管チャンバ181に、第6の流体試料が供給される。以降の流体試料は、同様にして保存され、これにより、常に最新の5つの流体試料が保管モジュール18に収容される。
【0027】
計量モジュール162の流体試料の第1の部分が収容された後、残りの流体試料は、計量され、毒素捕捉及び検出モジュール22及び溶解及び捕捉モジュール20に分配される。流体試料の第2の部分を計量し、毒素捕捉及び検出モジュール22に分配するためには、バルブ172、176、177を開き、シリンジポンプ166を第1の方向に作動させ、開かれたバルブ176、177を介してシリンジポンプ166に第2の部分を取り込む。そして、バルブ172、176を閉じ、バルブ177を開いたままにし、バルブ178を開く。そして、シリンジポンプ166を第2の方向に作動させ、流体試料の第2の部分をシリンジポンプ166から、開放弁177、178を介して、毒素捕捉及び検出モジュール22に送る。
【0028】
流体試料の第3の部分を計量し、溶解及び捕捉モジュール20に分配するためには、バルブ172、176、177を開き、シリンジポンプ166を第1の方向に作動させ、開かれた176、177を介してシリンジポンプ166に第3の部分を取り込む。そして、バルブ172、176を閉じ、バルブ177を開いたままにし、バルブ180を開く。そして、シリンジポンプ166を第2の方向に作動させ、流体試料の第3の部分をシリンジポンプ166から開放弁177、180を介して溶解及び捕捉モジュール20に送る。シリンジポンプ166は、用途の要求に応じて、任意の量の流体試料を引き込むようにプログラミングすることができる。これにより、毒素捕捉及び検出モジュール22及び溶解及び捕捉モジュール20に供給される流体試料の量を柔軟に決定することができる。一実施の形態においては、流体試料の第2の部分は、3mlであり、流体試料の第3の部分は、6mlである。
【0029】
図4に示す保管モジュールは、5つの保管チャンバを備えているが、保管モジュールが備える保管チャンバは、5つより多くても少なくてもよい。更に、上述した収容法は、例示的なものに過ぎず、周知の如何なる手法を用いて、後続する流体試料のパージ及び保存を行ってもよい。更に、図4に関連して上述した計量及び分配の構成及び手法は、1つの実施の形態に過ぎない。なお、任意の数の流体試料の部分を、任意の量で計量し、分配するために、他の構成及び手法を用いてもよいことは明らかである。
【0030】
図5は、毒素捕捉及び検出モジュール22の例示的な概略図を示している。毒素捕捉及び検出モジュール22は、シリンジポンプ222及び分配バルブ223を含むポンプアセンブリ220、並びに捕捉モジュール224及び光学検出器234を備える。捕捉モジュール224は、捕捉デバイス228及びリザーバ226を備える。分配モジュール16によって提供される流体試料は、分配バルブ223を介して、捕捉モジュール224に供給され、ここで、流体試料は、捕捉デバイス228を流れる。また、分配バルブ223は、溶液モジュール26内の1つ以上の試薬容器に接続されている。
【0031】
一実施の形態においては、捕捉デバイス228は、複数の柱を含む捕捉チップであり、流体は、柱と接触しながら、柱の周りを流れる。柱は、流体が流れると、流体試料内の特定の毒素が柱の表面に付着するように準備されている。流体試料は、捕捉チップ228を流れ、捕捉モジュール224から不要物モジュールに出力され、流体試料内に存在する特定の毒素は、捕捉チップ228に残る。一実施の形態においては、各柱は、特定の抗体が予めコーティングされている。各抗体は、特定の種類の毒素を付着させる。これにより、流体試料が柱を流れると、流体試料内に存在する特定の毒素が、柱上の抗体に付着する。捕捉チップ228の具体例は、米国特許番号5,707,799及び米国特許番号5,952,173に開示されており、これらは、引用によって本願に援用される。
【0032】
変形例では、柱は、2種類以上の抗体によって予めコーティングされ、これにより、各捕捉チップは、2つ以上の異なる種類の毒素を捕捉する。2つ以上の捕捉チップを直列又は並列に接続し、収集される毒素の種類を多様化及び拡張することもできる。例えば、シーケンス内の第1の捕捉チップを第1の抗体で予めコーティングし、シーケンス内の第2の捕捉チップを第2の抗体で予めコーティングする等して、多くの捕捉チップを直列に配設してもよい。更に、直列に接続された捕捉チップのうちの1つ、幾つか又は全ての捕捉チップを、2つ以上の抗体で予めコーティングしてもよい。例えば、複数の抗体で捕捉チップを予めコーティングできる。各抗体は、特定の種類の毒素に付着する。そして、捕捉された異なる毒素は、特性、例えば、異なる光波長の違いに基づいて区別できる。直列構成では、流体試料は、第1の捕捉チップから第2の捕捉チップ等に連続的に流れる。これまで、捕捉デバイス228を捕捉チップとして説明したが、捕捉デバイス228は、1つ以上の毒素を捕捉することができる周知の如何なるデバイスであってもよい。
【0033】
毒素捕捉及び検出モジュール22は、捕捉デバイス228に接続された光学検出器234を備える。捕捉デバイス228は、光学検出器234が捕捉された毒素に光学的にアクセスできるように構成されている。一実施の形態においては、捕捉デバイス228は、光学的に透明な蓋を備える。これに代えて、捕捉された毒素を捕捉デバイス228から溶離し、独立した収集手段、例えば、容器又はリザーバに収集してもよい。そして、収集手段内の溶離された毒素に対して、光学検出を実行してもよい。
【0034】
この実施の形態では、光学検出器234は、例えば、LED又はレーザ等の光源236、例えば、1個以上のレンズ、フィルタ及びビームスプリッタ等の光路238、光ファイバ240及び光センサ242を備える。光学検出器234は、捕捉デバイス228に光を照射し、反射する光の特性を収集及び測定するように構成されている。反射光の特性は、捕捉デバイス228において捕捉された毒素を特定するために使用される。図5に示す光学検出器234の構成は、例示的なものである。幾つかの実施の形態では、光学検出器234は、光源と、捕捉デバイス228の特定位置に光を向け、捕捉デバイス228から光学検出器に反射光を向ける光路と、光学検出器とを含むように構成される。他の実施の形態では、光源を設けない。このような場合、光は、例えば、化学発光によって、捕捉された毒素から放射される。放射された光は、光センサによって検出される。一実施の形態においては、光学検出器は、1つ以上の異なる波長を測定できる周知の光学検出デバイスである。測定された特性は、分析のために光学検出器234から制御モジュール12に供給される。
【0035】
幾つかの実施の形態では、捕捉デバイス228において捕捉された毒素は、蛍光マーカを含むサンドイッチ分析を行い、次に、蛍光マーカを検出することによって特定される。蛍光マーカは、光学検出器234を用いて、光学的に検出できる。それぞれの種類の毒素は、特定の種類の蛍光マーカに関連付けられている。なお、毒素をマークして特定するために周知の他の手法を用いてもよい。
【0036】
光学検出器234によって捕捉された毒素を検査した後、捕捉デバイス228は、溶液モジュール26から捕捉デバイス228に供給される洗浄液を用いて洗浄される。洗浄液は、分配バルブ223を介して、溶液モジュール26から供給される。
【0037】
捕捉デバイス228が直列接続された複数の捕捉デバイスからなる場合、直列接続された各デバイスは、上述したような対応する光学検出器にそれぞれ接続される。
【0038】
図6は、溶解及び捕捉モジュール20の例示的な概略図を示している。溶解及び捕捉モジュール20は、流体試料に存在する細胞を溶解させ、溶解された細胞の核酸を捕捉するように構成されている。溶解及び捕捉モジュール20は、溶解チャンバ260と、混合チャンバ262と、蠕動ポンプ264と、シリンジポンプ268及び分配バルブ270を含むポンプアセンブリ266と、シリンジポンプ274及び分配バルブ276を含むポンプアセンブリ272と、精製デバイス278と、熱電冷却器等の冷却要素280と、バルブ196〜213とを備える。蠕動ポンプ264、ポンプアセンブリ266、ポンプアセンブリ272及びバルブ196〜213を含むマイクロ流体回路は、溶解及び捕捉モジュール20を介して流体試料を流し、及び処理及び汚染除去で用いられる様々な溶液を流すように構成されている。混合チャンバ262は、溶液を混合し、保持するように構成されている。例えば、幾つかの用途では、溶解前に流体試料に1つ以上の更なる溶液を加え、及び/又は溶解後に1つ以上の更なる溶液を加える。
【0039】
蠕動ポンプ264は、溶解チャンバ260を加圧して、溶解チャンバ260から混合チャンバ262に流体を流し、或いは、混合チャンバ262を加圧して、混合チャンバ262から溶解チャンバ260に流体を流すように構成されている。何れの動作においても、このような流体フローを実現するために、適切なバルブが開かれる。
【0040】
分配モジュール16が提供する流体試料は、溶解チャンバ260に流される。一実施の形態においては、溶解は、超音波処理を用いて行われる。幾つかの実施の形態では、選択的溶解が実行され、異なる超音波エネルギにおいて、特定の種類の細胞を溶解する。この実施の形態では、溶解及び捕捉モジュール20は、対応する超音波エネルギにおいて特定の種類の細胞を選択的に溶解させるように構成されている。そして、溶解された細胞は、流体試料から分離される。更なる超音波処理ステップを残りの流体試料に実行して、1つ以上の更なる細胞タイプを選択的に溶解させることができる。このような選択的溶解プロセスを実行する例示的な装置及び方法は、同じ出願人によって2004年9月17日に出願された、係属中の米国特許出願第10/943,601号、発明の名称「Microfluidic Differential Extraction Cartridge」に開示されており、この文献の全体は、引用によって本願に援用される。これに代えて、加熱及び/又は化学処理等の他の周知の溶解法を用いてもよい。
【0041】
ポンプアセンブリ266は、溶解された流体試料を冷却要素280及び精製デバイス278に流し、バルブ204を介して不要物モジュールに出力するように構成されている。ライセート(lysate:溶解液)が精製デバイス278を流れると、ライセート内の核酸は、精製され、濃縮される。
【0042】
一実施の形態においては、精製デバイス278は、複数の柱を含む捕捉チップであり、流体は、柱と接触しながら、柱の周りを流れる。核酸は、シリコンに引き付けられることが知られている。一実施の形態においては、精製チップ内の柱は、シリコンから形成され、流体が柱を流れると、流体内の核酸が柱に付着する。これに代えて、柱は、シリコン以外の材料から形成し、シリコンによってコーティングしてもよい。更にこれに代えて、柱は、核酸が付着する材料から形成してもよく、このような材料によってコーティングしてもよい。流体試料は、精製チップ278を流れ、溶解及び捕捉モジュール20から出力され、流体試料に存在する核酸は、精製チップ278に残る。精製チップ278の具体例についても、米国特許番号5,707,799及び米国特許番号5,952,173に開示されている。2つ以上の精製チップ278を直列又は並列に接続してもよい。直列構成では、例えば、流体試料は、第1の精製チップから第2の精製チップ等に連続的に流れる。これまで、精製デバイス278を精製チップとして説明したが、精製デバイス278は、核酸を捕捉することができる周知の如何なるデバイスであってもよい。
【0043】
また、ポンプアセンブリ266は、精製デバイス278を介して洗浄液を流し、残りの流体試料溶液を取り除くようにも構成されている。洗浄液は、分配バルブ270を介して溶液モジュール24から供給され、バルブ204を介して、不要物モジュールに出力される。そして、残りの洗浄液を除去するために、精製デバイス278を介して、空気が送られる。捕捉された核酸は、溶出バッファを用いて、精製デバイス278から取り除かれる。ポンプアセンブリ272は、溶出バッファを溶液モジュール24から精製デバイス278に流し、核酸を溶離するように構成されている。精製され、濃縮された核酸溶液は、精製デバイス278から出力され、そして、溶解及び捕捉モジュール20からバルブ213を介して、出力される。一実施の形態においては、精製デバイス278に加熱要素(図示せず)を接続する。この場合、精製デバイス278から核酸を溶離する前に、加熱要素が精製デバイス278を加熱し、溶離プロセスを容易にする。
【0044】
また、溶解及び捕捉モジュール20は、精製デバイスの障害物を除去するため、又は除去及び汚染除去プロセスの一部として、洗浄液を精製デバイス278に逆流させるように構成されている。マイクロ流体回路は、精製デバイス278内の逆方向に洗浄液を流し、バルブ210を介して不要物を出力するように構成されている。
【0045】
図7は、計量及び熱サイクルモジュール30の例示的な概略図を示している。計量及び熱サイクルモジュール30は、溶解及び捕捉モジュール20が提供する核酸溶液内に存在する何らかの核酸をプリ増幅及び増幅するように構成されている。また、計量及び熱サイクルモジュール30は、増幅された核酸溶液内に存在する1つ以上の特定の種類の核酸にタグ付けをするように構成されている。1つ以上の特定の核酸は、各特定の核酸について異なる蛍光マーカを含む標識抗体溶液(conjugated antibody solution)を用いてタグ付けされる。計量及び熱サイクルモジュール30は、複数の溶液リザーバ321〜325、保持リザーバ319、計量リザーバ320、複数のバルブ280〜317、蠕動ポンプ318、複数の熱サイクルチャンバ331〜335及び複数の混合リザーバ326〜330を備える。
【0046】
複数の溶液リザーバ321〜325は、溶液モジュール32に接続され、溶液モジュール32から供給される特定の量の主混合溶液(master mix solution)を保存するように構成されている。保持リザーバ319は、溶解及び捕捉モジュール20から出力される核酸溶液を収容するように構成されている。計量リザーバ320は、保持リザーバ319からの特定の量の核酸溶液を計量し、保存するように構成されている。一実施の形態においては、各溶液リザーバ321〜325は、15μlを収容するように構成され、計量リザーバは、10μlを収容するように構成されている。核酸溶液の第1の計量された部分は、計量リザーバ320から混合リザーバ326に流され、保持リザーバ325からの特定の量の混合溶液が混合リザーバ326に供給される。次に、核酸溶液の第2の部分が計量され、計量リザーバ320に収容される。第2の計量された部分は、計量リザーバ320から混合リザーバ327に流され、保持リザーバ324からの特定の量の混合溶液が混合リザーバ327に供給される。核酸溶液の計量された部分及び特定の量の混合溶液は、同様に、残りの混合リザーバ328〜330に供給される。
【0047】
混合リザーバ326の混合溶液は、熱サイクルチャンバ331に流され、混合リザーバ327の混合溶液は、熱サイクルチャンバ332に流され、混合リザーバ328の混合溶液は、熱サイクルチャンバ333に流され、混合リザーバ329の混合溶液は、熱サイクルチャンバ334に流され、混合リザーバ330の混合溶液は、熱サイクルチャンバ335に流される。熱サイクルプロセスを実行するために、各熱サイクルチャンバには、加熱要素(図示せず)が接続される。一実施の形態においては、熱サイクルチャンバ331〜335は、細長いチューブとして構成され、各端部は、バルブによって蓋をされ、チューブは、加熱メッシュに接続されて、加熱及びチューブアセンブリを構成する。このような加熱及びチューブアセンブリの具体例は、引用によって本願に援用される、同じ出願人によって2005年8月10日に出願された、係属中の米国特許出願第11/201,615号、発明の名称「Disposable Integrated Heater and Tube Assembly for Thermally-driven Chemical Reactions」に開示されている。
【0048】
計量及び熱サイクルモジュール30内のマイクロ流体回路は、複数の異なる熱サイクルプロセスを実行できるように構成されている。上述のようにして、第1の混合溶液に関して第1の熱サイクルプロセスが実行された後に、この結果得られる溶液は、熱サイクルチャンバ331〜335から、対応する混合リザーバ326〜330に逆流する。これに代えて、熱サイクルチャンバ331〜335から、それぞれの対応する混合リザーバ326〜330に溶液を流す更なるマイクロ流体回路を設けてもよい。溶液リザーバ321〜325から混合リザーバ326〜330に更なる混合溶液を供給してもよい。このステップにおいて供給される混合溶液は、第1の熱サイクルプロセスの間に供給される混合溶液と同じであっても、異なっていてもよい。そして、混合溶液は、第2の熱サイクルプロセスのために、熱サイクルチャンバ331〜335に戻される。更なる熱サイクルプロセスは、同様に実行できる。一応用例においては、第1の熱サイクルプロセスの間にプリ増幅プロセスを実行し、第2の熱サイクルプロセスの間に増幅プロセスを実行する。このようなプリ増幅及び増幅プロセスの1つの具体例については、引用によって本願に援用される、同じ出願人による係属中の米国特許出願第11/509,868号に開示されている。増幅プロセスの結果、増幅された核酸溶液が得られる。増幅された核酸溶液は、計量及び熱サイクルモジュール30から出力される。
【0049】
増幅された核酸溶液が計量及び熱サイクルモジュール30から出力される前に、1つ以上の更なる処理ステップを増幅された核酸溶液に施してもよい。このような更なる処理ステップは、光学検出モジュール34による検査のために、増幅された核酸溶液を準備する。増幅された核酸溶液は、熱サイクルチャンバ331〜335から対応する混合リザーバ326〜330に逆流される。そして、更なる溶液を各混合リザーバに加える。更なる溶液は、増幅された核酸溶液内に1つ以上の特定の種類の核酸が存在する場合、これに付着するように構成されている。これにより得られる生成物は、各特定の核酸のための異なる蛍光マーカを含む。そして、この生成物は、計量及び熱サイクルモジュール30から出力される。なお、特定の種類の核酸の存在を検出するために他の化学処理を用いてもよい。
【0050】
図7に示す計量及び熱サイクルモジュール30は、5つの熱サイクルチャンバ、5つの混合リザーバ、及び5つの溶液リザーバによって構成されているが、計量及び熱サイクルモジュール30は、5つより多い又は少ない熱サイクルチャンバ、混合リザーバ及び溶液リザーバによって構成してもよい。更にこれに代えて、代替となる混合法として、混合リザーバを設けず、溶液リザーバから熱サイクルチャンバへの流体の輸送の間に流体ライン自体の内部で混合を行うようにしてもよい。
【0051】
図8は、光学検出モジュール34の例示的な概略図を示している。光学検出モジュール34は、シリンジポンプ341及び分配バルブ342を含むポンプアセンブリ340と、検査チャンネル343を含む流体ライン344と、光学検出器346とを備える。流体ライン344は、計量及び熱サイクルモジュール30から出力された増幅された核酸溶液を受け取る。検査チャンネル343は、流体ライン344の光学的に透明な部分であり、これにより、増幅された核酸溶液が光学的透明な部分を通過する際、光学検出器346が光学的分析を行うことができる。一実施の形態においては、検査チャンネル343は、計量及び熱サイクルモジュール30を不要物モジュール28(図2)に接続するマイクロ流体回路内に統合されている。この構成では、溶液が不要物モジュールに流される際に、増幅された核酸溶液に対する光学的測定を行う。これに代えて、流体ライン344に収集容器を接続し、増幅された核酸溶液を収集容器に収集して光学的測定を行ってもよい。
【0052】
光学検出器346は、例えば、白色光LED又はレーザ等の光源348、例えば、1個以上のレンズ、フィルタ及びビームスプリッタ等の光路350、光ファイバ352及び光センサ354を備える。光学検出器346は、毒素捕捉及び検出モジュール22内の光学検出器234(図5)と機能的に同じである。光学検出器346は、検査チャンネル343に光を照射し、反射する光の特性を収集及び測定するように構成されている。反射光の特性は、特定の種類の核酸が増幅された核酸溶液内に存在しているかを判定するために使用される。図8に示す光学検出器346の構成は、例示的なものである。幾つかの実施の形態では、光学検出器346は、光源と、検査チャンネル343に光を向け、検査チャンネル343から光学検出器に反射光を向ける光路と、光学検出器とを含むように構成される。他の実施の形態では、光源を設けない。このような場合、光は、例えば、化学発光によって、捕捉された毒素から放射される。放射された光は、光センサによって検出される。一実施の形態においては、光学検出器は、1つ以上の異なる波長を測定できる周知の光学検出デバイスである。測定された特性は、分析のために光学検出器346から制御モジュール12に供給される。
【0053】
粒子収集及び検出システム10は、特定の浮遊粒子の存在を検出するように構成された完全に統合され、自動化されたシステムである。粒子収集及び検出システム10が実行する例示的な自動処理を図9に示す。ステップ400では、空気収集モジュール14に周囲の空気を取り込む。空気は、プロセスの全体に亘って、空気収集モジュール14に継続的に取り込まれる。ステップ405では、定義されたスケジュールに基づいて、空気収集モジュール14から流体試料を定期的に出力する。出力される流体試料は、周囲の空気から収集された浮遊粒子を含む。ステップ410では、流体試料を計量し、分配する。ステップ415では、流体試料の第1の部分を収容する。ステップ420では、流体試料の第2の部分からの毒素を捕捉し、精製し、濃縮する。ステップ425では、ステップ420で捕捉された毒素の存在を判定する。一実施の形態においては、光学検出を用いて毒素の存在を検出する。
【0054】
ステップ430では、流体試料の第3の部分内の細胞を溶解させる。これによって、ライセート溶液が生成される。ステップ435では、ライセート溶液を計量し、分配する。ステップ440では、第1のライセートの各計量された部分に対してプリ増幅プロセスを実行する。ステップ445では、第1のライセートの各計量された部分に対して増幅プロセスを実行し、増幅された核酸溶液を生成する。プリ増幅プロセス及び増幅プロセスは、熱サイクルを含む。ステップ450では、増幅された核酸溶液内の1つ以上の特定の種類の核酸の存在を判定し、1つ以上の特定の種類の核酸を識別する。ステップ430〜450は、ステップ420〜425と平行して実行し、これにより、流体試料を同時に処理する。
【0055】
ステップ425において、1つ以上の毒素が存在すると判定された場合、又はステップ450において、1つ以上の特定の核酸が存在すると判定された場合、ステップ455において、アラーム信号を生成する。ステップ460では、システムをリセットし、空気収集モジュール14によって出力される次の流体試料を処理する。システムは、流体試料が流れるマイクロ流体回路、全ての流体試料収集容器、毒素を捕捉するために用いられた捕捉デバイス、核酸を精製するために用いられた精製デバイス、パージされた保管チャンバ、及び熱サイクルチャンバの汚染を除去することによってリセットされる。汚染除去は、周知の如何なるすすぎ及び洗浄処理を用いて実行してもよい。システムがリセットされ、次の定期的な間隔の後、次の流体試料が空気収集モジュール14から出力され、上述のように処理される。このプロセスは、連続する流体試料について、継続的に繰り返される。粒子収集及び検出システムは、独立して動作し、又は遠隔監視及び/又は制御位置にネットワーク接続され、ここに測定された特性及び/又は事後分析結果が送信され、及び/又はここから制御信号が受信される。
【0056】
例示的なアプリケーションでは、収集及び検出システム10は、毎日、24時間、絶え間なく動作する。空気収集モジュールは、3時間毎に10mlの流体試料を分配モジュール16に出力する。10mlの流体試料のうちの1mlは、計量されて、保管モジュール18に分配され、3mlは、毒素捕捉及び検出モジュール22に分配され、6mlは、溶解及び捕捉モジュール20に分配される。溶解及び捕捉モジュール20は、入力される各6mlの試料毎に50μlの試料を出力する。計量及び熱サイクルモジュール30には、溶解及び捕捉モジュール20から50μlサンプルが入力され、及び溶液モジュール32から15μlのアリコートが供給される。計量及び熱サイクルモジュール30は、溶解及び捕捉モジュール20から供給された50μlの入力試料のそれぞれについて、5つの25μlの試料を出力する。5つの25μlの試料は、光学検出モジュール34によって分析される。上述したタイミング、試料サイズ、分配比は、例示的なものである。タイミング、試料サイズ及び分配比は、アプリケーション毎に固有であり、収集及び検出システム10は、これに応じて構成される。計量及び熱サイクルモジュール30が処理する25μlの流体試料の1つ以上を陰性及び陽性の対照試料に置換することによって、あらゆる入力流体試料に実行された分析の精度を検証できる。
【0057】
収集及び検出システムの第2の実施の形態は、検出−警告システムを提供し、この場合、特定の種類の粒子の存在が検出されるが、粒子の種類は識別してもしなくてもよい。図10は、統合された収集及び検出システムの第2の実施の形態の例示的な機能的ブロック図である。統合された収集及び検出システム500は、空気収集モジュール510、確認デバイス520及び制御モジュール530を備える。流体は、マイクロ流体回路を用いて、流体インタフェース514と確認デバイス520との間及び確認デバイス520内を流れる。
【0058】
空気収集モジュール510は、周囲の空気を取り込み、周囲の空気内の1つ以上の異なる種類の浮遊粒子の存在を検出し、流体等の内部に浮遊粒子を収集するように構成されている。空気収集モジュール510は、トリガメカニズム512及び流体インタフェース514を備える。流体インタフェース514は、収集及び検出システム500に引き込まれた浮遊粒子が存在する周囲空気を受け取り、流体試料とも呼ばれる流体溶液に浮遊粒子を収集するように構成されている。流体インタフェース514は、収集及び検出システム500へのエアフローを生成するファンを備える。幾つかの実施の形態では、浮遊粒子は、ファンによって収集された粒子を溶離し、これにより得られる溶離された粒子を含む流体溶液を収集することによって収集される。浮遊粒子を流体溶液に収集する手法の一具体例については、引用によって本願に援用される、同じ出願人による係属中の米国特許出願第11/509,878号、発明の名称「Automated Particle Collection Off of Fan Blades into a Liquid Buffer」に開示されている。流体溶液は、流体インタフェース514内の収集容器に収容してもよく、流体インタフェース514及び/又は空気収集モジュール510の外部の収集容器に収容してもよい。
【0059】
トリガメカニズム512は、流体インタフェース514に向けられるエアフロー及びこのエアフロー中の浮遊粒子を継続的に監視するように配設される。トリガメカニズム512は、例えば、エアフローに向けられる光ビームを生成するレーザ又は白色光LED等の光源を含む。光ビームは、エアフロー中の浮遊粒子に衝突する。また、トリガメカニズム512は、浮遊粒子に衝突した後の光に関連する1つ以上の光特性を測定する光センサ等の光コレクタを備える。幾つかの実施の形態では、浮遊粒子から反射する光の波長を測定する。トリガメカニズム512は、浮遊粒子に関して非破壊的である。
【0060】
トリガメカニズム512が測定した光特性に関する情報は、制御モジュール530に供給される。制御モジュール530は、光特性を既知の光特性と比較し、1つ以上の異なる種類の生物学的粒子がエアフロー中に存在しているかを判定する。1つ以上の異なる種類の生物学的粒子が存在していると判定した場合、制御モジュール530は、トリガ信号を生成する。これに代えて、1つ以上の異なる種類の特定の生物学的粒子が存在しているかを判定し、必要に応じて、トリガ信号を生成する論理回路をトリガメカニズム512が備えていてもよい。更にこれに代えて、1つ以上の異なる種類の特定の生物学的粒子が存在しているかを判定する論理回路をトリガメカニズム512が備え、必要に応じて、制御モジュール530がトリガ信号を生成するようにしてもよい。
【0061】
トリガ信号に応じて、流体試料又はその一部は、確認デバイス520に供給され、確認デバイス520は、1つ以上の異なる種類の特定の生物学的粒子の存在を確認する。確認デバイス520は、溶液モジュール522及び毒素捕捉及び検出モジュール524を備える。
【0062】
第2の実施の形態の毒素捕捉及び検出モジュール524は、毒素捕捉及び検出モジュール524内の1つ以上の捕捉デバイス及び光学検出モジュールが、特定の毒素に加えて特定の病原体を捕捉及び検出するように構成されている点を除いて、第1の実施の形態の毒素捕捉及び検出モジュール22と物理的に及び機能的に略同等である。幾つかの病原体は、免疫測定を用いて検出することができる。幾つかの実施の形態では、毒素捕捉及び検出モジュール524内の1つ以上の捕捉デバイスを、毒素捕捉及び検出モジュール22に関連して説明したように、特定の毒素に付着することが知られている1つ以上の特異抗体に加えて、特定の病原体に付着することが知られている1つ以上の特異抗体によって予めコーティングする。これらの実施の形態では、毒素捕捉及び検出モジュール524内の光学検出モジュールは、特異抗体の存在を判定するために使用される、捕捉された毒素又は病原体の1つ以上の光特性を測定するように構成されている。
【0063】
毒素捕捉及び検出モジュール524によって得られた生データ、例えば、測定された光特性は、制御モジュール530に供給され、制御モジュール530は、このデータを用いて、1つ以上の特定の種類の毒素及び/又は病原体の存在を判定し、及びこれを識別する。特定の毒素又は病原体が検出された場合、制御モジュール530は、アラーム信号を生成する。これに代えて、毒素捕捉及び検出モジュール524によって収集された生データは、分析のために、中央監視点50(図1)等の遠隔位置に送信してもよい。
【0064】
溶液モジュール522は、毒素捕捉及び検出モジュール524において実行される捕捉ステップの間に用いられる溶液を提供するという点で、溶液モジュール26(図2)と同様である。溶液モジュール522は、例えば、洗浄液及び抗体溶液を含む。
【0065】
収集及び検出システム500は、周囲の空気が継続的に検査され、空気収集モジュール510が出力する連続した流体試料が処理されるように、再使用可能に構成される。したがって、毒素捕捉及び検出モジュール524及び相互接続される全てのマイクロ流体回路は、サイクル間に汚染除去される。汚染除去の間、すすぎ及び洗浄ステップを実行するために、様々な溶液が使用され、これらの溶液は、溶液モジュール522内に含まれている。
【0066】
制御モジュール530は、各モジュールに接続され、収集及び検出システム500の動作を制御する。このような制御によって、人間の介入を必要とすることがない収集及び検出処理の完全な自動化が実現される。また、制御モジュール530は、毒素捕捉及び検出モジュール524から供給された生データを分析し、何らかの適切なアラーム信号又はトリガ信号を生成する。制御モジュール530は、アラーム信号に応じて、ローカルなオーディオ及び/又は視覚的アラームを開始し、ネットワーク接続されたローカル監視位置又は中央監視位置に通知信号を送信する。
【0067】
分析済みの流体試料、溶出バッファ、混合溶液、すすぎ液、洗浄液、パージされた保管試料、並びに流体試料の処理及び収集及び検出システム500の後の汚染除去に関連する他の溶液は、不要物モジュール(図示せず)に流される。これに代えて、分析が済み、毒素捕捉及び検出モジュール524から出力された流体試料は、ローカル又はリモートの保存容器に収容してもよい。
【0068】
粒子収集及び検出システム500が実行する例示的な自動処理を図11に示す。ステップ540では、空気収集モジュール510に周囲の空気を取り込む。空気は、プロセスの全体に亘って、空気収集モジュール510に継続的に取り込まれる。ステップ545では、周囲の空気内の浮遊粒子を検査し、浮遊粒子に関連する1つ以上の光特性を測定する。幾つかの実施の形態では、レーザビームを用いて、浮遊粒子を検査するために、浮遊粒子に衝突したレーザビームの反射光の光の波長を測定する。ステップ550では、測定された光特性を、1つ以上の異なる種類の生物学的粒子に関連する既知の光特性と比較する。ステップ550において、一致が判定されない場合、処理は、ステップ540、545を繰り返す。一方、ステップ550において一致が判定された場合、ステップ555において、トリガ信号を生成する。トリガ信号の生成は、少なくとも1つの種類の生物学的粒子が周囲の空気から検出されたことを示す。
【0069】
ステップ560では、周囲の空気からの粒子を含む流体試料を生成する。トリガ信号に応じて、流体試料又はその一部を確認デバイス520に供給する。測定された光特性と既知の光特性との間に一致が認められたか否かにかかわらず、流体試料が常に生成されるように、ステップ545の後にステップ560を実行してもよい。また、ステップ560は、ステップ550及び必要に応じて、ステップ555と同時に実行することもできる。ステップ565では、確認デバイス520が、1つ以上の特定の種類の生物学的粒子が存在していることを確認する。生物学的粒子は、特定の種類の毒素又は特定の種類の病原体である。幾つかの実施の形態では、確認デバイス520は、免疫測定を用いて、1つ以上の異なる種類の毒素及び/又は病原体の存在を確認する。幾つかの実施の形態では、確認デバイス520は、1つ以上の異なる種類の毒素及び/又は病原体を識別する。幾つかの実施の形態では、確認デバイス520は、1つ以上の異なる種類の毒素及び/又は病原体の存在を確認した場合、アラーム信号を生成する。
【0070】
収集及び検出システムの第3の実施の形態は、図1の収集及び検出システム10の機能と、図10の収集及び検出システム500とを結合する。この第3の実施の形態では、収集及び検出システム500は、第1のレベルの検出を実行するように適応化され、ここでは、1つ以上の毒素及び/又は病原体の存在を検出し、及びこのような検出に応じて、収集及び検出システム10は、1つ以上の毒素及び/又は病原体を識別する第2のレベルの検出を実行する。
【0071】
図12は、統合された収集及び検出システムの第3の実施の形態の例示的な機能的ブロック図である。統合された収集及び検出システム600は、収集及び検出システム500の空気収集モジュール510及び確認デバイス520と、収集及び検出システム10の分配モジュール16、保管モジュール18、溶解及び捕捉モジュール20、毒素捕捉及び検出モジュール22、溶液モジュール24、溶液モジュール26、不要物モジュール28、計量及び熱サイクルモジュール30、溶液モジュール32及び光学検出モジュール34とを備える。また、収集及び検出システム600は、分配モジュール610及び制御モジュール620を備える。各モジュールは、収集及び検出システム600内で流体試料及び溶液を流すことができるように流体工学的に適切に接続されている。
【0072】
収集及び検出システム600の制御は、収集及び検出システム10の制御モジュール12の機能及び収集及び検出システム500の制御モジュール530の機能を含む制御モジュール620によって維持される。これに代えて、例えば、第1のレベルの検出を制御する制御モジュール530を追加し、及び第2のレベルの検出を制御する制御モジュール12を追加することによって、制御を局所的に分散させてもよい。このような局所制御モジュールは、互いに通信し、それぞれの機能を調整する。更にこれに代えて、例えば、制御モジュール530及び制御モジュール12を追加し、局所制御モジュールに接続された包括的なモジュールによって、収集及び検出システム600に亘るハイレベルの制御を維持することによって、制御を局所的に分散させてもよい。制御モジュール620は、収集及び検出システム600の各モジュールに接続される。
【0073】
分配モジュール610は、流体インタフェース514から出力された流体試料が供給されるように構成されている。分配モジュール610は、マイクロ流体回路及び保存容器を備える。流体インタフェース514から供給された流体試料は、所定の比率に基づいて計量及び分配される。流体試料の第1の部分は、トリガ信号に応じて、計量され、確認デバイス520に分配される。流体試料の残りの部分は、分配モジュール610内に収容されたまま残る。確認デバイス520が1つ以上の特定の種類の生物学的粒子の存在を確認すると、アラーム信号が生成される。アラーム信号に応じて、流体試料の残りの部分は、分配モジュール610から分配モジュール16に分配される。そして、流体試料は、毒素捕捉及び検出モジュール22、溶解及び捕捉モジュール20、計量及び熱サイクルモジュール30及び光学検出モジュール34によって処理され、流体試料内の粒子が識別される。幾つかの実施の形態では、分配モジュール610及び分配モジュール16の機能を結合して、単一の分配モジュールを構成してもよい。
【0074】
トリガメカニズム512がトリガ信号を生成しない場合、流体試料は、処理のために分配モジュール16に流体試料を提供する、次の定期的な間隔まで、分配モジュール610に収容される。トリガメカニズム512がトリガ信号を生成したが、確認デバイス520がアラーム信号を生成しない場合、残りの流体試料は、次の定期的な間隔まで分配モジュール610内に収容される。これに代えて、トリガメカニズム512がトリガ信号を生成した場合、確認デバイス520がアラーム信号を生成したか否かにかかわらず、残りの流体試料を分配モジュール16に分配し、処理するようにしてもよい。流体インタフェース514は、トリガ信号又はアラーム信号が生成されているか否かにかかわらず、流体試料を継続的に出力し、分配モジュール610に供給する。
【0075】
収集及び検出システム600の実際の動作では、トリガメカニズム512及び確認デバイス520は、周囲の空気内に特定の種類の生物学的粒子が存在しているかを判定する第1のレベルの検出を実行する。第1のレベルの検出によって1つ以上の特定の種類の生物学的粒子の存在が確認された場合、毒素捕捉及び検出モジュール22、溶解及び捕捉モジュール20、計量及び熱サイクルモジュール30及び光学検出モジュール34によって第2のレベルの検出が実行される。第2のレベルの検出は、1つ以上の特定の種類の毒素及び/又は1つ以上の特定の種類の病原体を識別する。
【0076】
粒子収集及び検出システムの第3の実施の形態によって実行される例示的な自動処理を図13に示す。ステップ625では、空気収集モジュール510に周囲の空気を取り込む。空気は、プロセスの全体に亘って、空気収集モジュール510に継続的に取り込まれる。ステップ630では、周囲の空気内の浮遊粒子を検査し、浮遊粒子に関連する1つ以上の光特性を測定する。幾つかの実施の形態では、レーザビームを用いて、浮遊粒子を検査するために、浮遊粒子に衝突したレーザビームの反射光の光の波長を測定する。ステップ635では、周囲の空気からの粒子を含む流体試料を生成する。ステップ640では、測定された光特性を、1つ以上の異なる種類の生物学的粒子に関連する既知の光特性と比較する。ステップ640において、一致が判定されない場合、処理は、ステップ625に戻る。一方、ステップ640において一致が判定された場合、ステップ645において、トリガ信号を生成する。トリガ信号の生成は、少なくとも1つの種類の生物学的粒子が周囲の空気から検出されたことを示す。
【0077】
トリガ信号に応じて、ステップ650において、流体試料の第1の部分を計量し、確認デバイス520に分配する。ステップ655では、確認デバイス520が、1つ以上の特定の種類の生物学的粒子が存在していることを確認する。生物学的粒子は、特定の種類の毒素又は特定の種類の病原体である。幾つかの実施の形態では、確認デバイス520は、免疫測定を用いて、1つ以上の異なる種類の毒素及び/又は病原体の存在を確認する。幾つかの実施の形態では、確認デバイス520は、1つ以上の異なる種類の毒素及び/又は病原体を識別する。ステップ655において、流体試料の第1の部分に1つ以上の特定の種類の生物学的粒子が存在していないと判定された場合、処理は、ステップ625に戻る。一方、ステップ655において、流体試料の第1の部分に1つ以上の特定の種類の生物学的粒子が存在していると判定された場合、ステップ660において、第1のアラーム信号を生成する。第1のアラーム信号の生成は、少なくとも1つの種類の生物学的粒子が流体試料の第1の部分から検出されたことを示す。
【0078】
ステップ665では、流体試料の残りの部分を計量し、保管モジュール18、毒素捕捉及び検出モジュール22及び溶解及び捕捉モジュール20に分配する。ステップ670では、流体試料の第2の部分を収容する。ステップ675では、流体試料の第3の部分からの毒素を捕捉、精製及び濃縮する。ステップ680では、ステップ675で捕捉された毒素の存在を判定し、毒素を識別する。一実施の形態においては、光学検出を用いて毒素の存在を検出し、毒素を識別する。
【0079】
ステップ685では、流体試料の第4の部分内の細胞を溶解させる。これによって、ライセート溶液が生成される。ステップ690では、ライセート溶液を計量し、分配する。ステップ695では、第1のライセートの各計量された部分に対してプリ増幅プロセスを実行する。ステップ700では、第1のライセートの各計量された部分に対して増幅プロセスを実行し、増幅された核酸溶液を生成する。プリ増幅プロセス及び増幅プロセスは、熱サイクルを含む。ステップ705では、増幅された核酸溶液内における1つ以上の特定の種類の核酸の存在を判定し、1つ以上の特定の種類の核酸を識別する。ステップ685〜705は、ステップ675〜680と平行して実行し、これにより、流体試料を同時に処理する。
【0080】
ステップ680において、1つ以上の毒素が存在すると判定された場合、又はステップ705において、1つ以上の特定の核酸が存在すると判定された場合、ステップ710において、アラーム信号を生成する。ステップ715では、システムをリセットし、空気収集モジュール510によって出力される次の流体試料を処理する。システムは、流体試料が流れるマイクロ流体回路、全ての流体試料収集容器、毒素を捕捉するために用いられた捕捉デバイス、核酸を精製するために用いられた精製デバイス、パージされた保管チャンバ、及び熱サイクルチャンバの汚染を除去することによってリセットされる。汚染除去は、周知の如何なるすすぎ及び洗浄処理を用いて実行してもよい。
【0081】
以上、生物脅威の用途に関連して統合された粒子収集及び検出システムの実施の形態を説明した。なお、統合された粒子収集及び検出システムは、有害ではない空気粒子の収集にも使用することができ、包括的に言えば、統合された粒子収集及び検出システムは、如何なる浮遊粒子の収集及び分析にも使用することができる。
【0082】
図1に関連して説明したネットワーク構成は、収集及び検出システムの第1の実施の形態、すなわち収集及び検出システム10を含む。ここで、幾つか又は収集及び検出システムの実施の形態、例えば、収集及び検出システム10、収集及び検出システム500、収集及び検出システム600の幾つか及び全ては、任意の組合せで、同様の手法でネットワーク化してもよい。
【0083】
上述した収集及び検出システムの実施の形態は、例示的に示しているに過ぎない。統合された収集及び検出システムのマイクロ流体回路及びモジュール性は、モジュール及び関連するサブモジュールコンポーネントを相互接続し、望まれる任意の組合せに構成するための柔軟性及び拡張性を提供する。更に、各モジュールについて説明した特定の構成は、例示的なものに過ぎない。マイクロ流体回路及び各モジュールの構成コンポーネントは、説明した機能を実現するために、任意の数の構成に適応化することができる。
【0084】
本発明の構成及び動作原理を明瞭に説明するために、様々な詳細を含む特定の実施の形態を用いて本発明を説明した。ここに示した特別な構成、並びに様々なモジュールに関連して記述した処理の手法及びこれらの間の相互接続は、例示的なものに過ぎない。このような特定の実施の形態の説明及びその詳細は、特許請求の範囲を制限するものではない。本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、例示的に選択された実施の形態を変更できることは、当業者にとって明らかである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の異なる種類の粒子の存在を検出する統合された検出装置において、
a.浮遊粒子を含む周囲の空気を取り込み、該浮遊粒子を含む流体試料を出力する空気収集デバイスと、
b.上記流体試料内の1つ以上の特定の毒素の存在を検出する毒素検出モジュールと、
c.上記流体試料内の1つ以上の特定の核酸の存在を検出する核酸検出モジュールと、
d.当該統合された検出装置内で上記空気収集デバイス、毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールに接続するマイクロ流体回路とを備える統合された検出装置。
【請求項2】
上記毒素検出モジュールは、上記流体試料から1つ以上の特定の毒素を捕捉する1つ以上の捕捉デバイスを備えることを特徴とする請求項1記載の統合された検出装置。
【請求項3】
上記毒素検出モジュールは、上記1つ以上の捕捉デバイス内の捕捉された1つ以上の特定の毒素の存在を光学的に検出する光学検出モジュールを更に備えることを特徴とする請求項2記載の統合された検出装置。
【請求項4】
上記流体試料を収容する保管モジュールを更に備える請求項1記載の統合された検出装置。
【請求項5】
上記流体試料の第1の部分を計量して上記毒素検出モジュールに分配し、上記流体試料の第2の部分を計量して上記核酸検出モジュールに分配し、上記流体試料の第3の部分を計量して上記保管モジュールに分配する分配モジュールを更に備える請求項4記載の統合された検出装置。
【請求項6】
上記空気収集デバイスは、周囲の空気を継続的に取り込み、上記毒素検出モジュール及び上記核酸検出モジュールによって処理される新たな流体試料を定期的に出力することを特徴とする請求項1記載の統合された検出装置。
【請求項7】
上記核酸検出モジュールは、上記流体試料内の1つ以上の種類の細胞を溶解させ、ライセート流体試料を生成する溶解モジュールを備えることを特徴とする請求項1記載の統合された検出装置。
【請求項8】
上記核酸検出モジュールは、上記ライセート流体試料から1つ以上の核酸を捕捉する1つ以上の精製デバイスを更に備えることを特徴とする請求項7記載の統合された検出装置。
【請求項9】
上記核酸検出モジュールは、
上記精製デバイスに接続され、上記1つ以上の核酸が供給され、該1つ以上の核酸に熱サイクルを適用し、増幅された数の上記1つ以上の核酸を含む増幅された流体試料を形成する熱サイクルモジュールを更に備えることを特徴とする請求項8記載の統合された検出装置。
【請求項10】
上記熱サイクルモジュールに接続され、上記増幅された流体試料内の1つ以上の特定の核酸の存在を光学的に検出する光学検出モジュールを更に備える請求項9記載の統合された検出装置。
【請求項11】
上記空気収集デバイス、毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールの動作を制御する制御モジュールを更に備える請求項1記載の統合された検出装置。
【請求項12】
1つ以上の異なる種類の粒子の存在を検出する自律的に機能する検出装置において、
a.浮遊粒子を含む周囲の空気を自動的に取り込み、該浮遊粒子を含む流体試料を自動的に出力する空気収集デバイスと、
b.上記流体試料内の1つ以上の特定の毒素の存在を自動的に検出する毒素検出モジュールと、
c.上記流体試料内の1つ以上の特定の核酸の存在を自動的に検出する核酸検出モジュールと、
d.当該検出装置が自律的に機能するよう、上記空気収集デバイス、毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールに制御信号を供給する制御モジュールとを備える自律的に機能する検出装置。
【請求項13】
上記毒素検出モジュールは、上記流体試料から1つ以上の特定の毒素を自動的に捕捉する1つ以上の捕捉デバイスを備えることを特徴とする請求項12記載の自律的に機能する検出装置。
【請求項14】
上記毒素検出モジュールは、上記1つ以上の捕捉デバイス内の捕捉された1つ以上の特定の毒素の存在を自動的に光学的に検出する光学検出モジュールを更に備えることを特徴とする請求項13記載の自律的に機能する検出装置。
【請求項15】
上記流体試料を自動的に収容する保管モジュールを更に備える請求項12記載の自律的に機能する検出装置。
【請求項16】
上記流体試料の第1の部分を自動的に計量して上記毒素検出モジュールに自動的に分配し、上記流体試料の第2の部分を自動的に計量して上記核酸検出モジュールに自動的に分配し、上記流体試料の第3の部分を自動的に計量して上記保管モジュールに自動的に分配する分配モジュールを更に備える請求項15記載の自律的に機能する検出装置。
【請求項17】
上記空気収集デバイスは、周囲の空気を継続的に取り込み、上記毒素検出モジュール及び上記核酸検出モジュールによって処理される新たな流体試料を定期的に出力することを特徴とする請求項12記載の自律的に機能する検出装置。
【請求項18】
上記核酸検出モジュールは、上記流体試料内の1つ以上の種類の細胞を自動的に溶解し、ライセート流体試料を生成する溶解モジュールを備えることを特徴とする請求項12記載の自律的に機能する検出装置。
【請求項19】
上記核酸検出モジュールは、上記ライセート流体試料から1つ以上の核酸を自動的に捕捉する精製デバイスを更に備えることを特徴とする請求項18記載の自律的に機能する検出装置。
【請求項20】
上記核酸検出モジュールは、
上記精製デバイスに接続され、上記1つ以上の核酸が供給され、該1つ以上の核酸に熱サイクルを自動的に適用し、増幅された数の上記1つ以上の核酸を含む増幅された流体試料を形成する熱サイクルモジュールを更に備えることを特徴とする請求項19記載の自律的に機能する検出装置。
【請求項21】
上記熱サイクルモジュールに接続され、上記増幅された流体試料内の1つ以上の特定の核酸の存在を自動的に光学的に検出する光学検出モジュールを更に備える請求項20記載の自律的に機能する検出装置。
【請求項22】
1つ以上の異なる種類の粒子の存在を検出する検出装置において、
a.浮遊粒子を含む周囲の空気を取り込み、該浮遊粒子を含む流体試料を出力する空気収集デバイスと、
b.上記流体試料の第1の部分を計量して分配し、及び該流体試料の第2の部分を計量して分配する分配モジュールと、
c.上記流体試料の第1の部分内の1つ以上の特定の毒素の存在を検出する毒素検出モジュールと、
d.上記流体試料の第2の部分内の1つ以上の特定の核酸の存在を検出する核酸検出モジュールとを備え、
上記毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールは、上記流体試料の第1の部分及び流体試料の第2の部分を並列に処理する検出装置。
【請求項23】
上記毒素検出モジュールは、上記流体試料の第1の部分から1つ以上の特定の毒素を捕捉する1つ以上の捕捉デバイスを備えることを特徴とする請求項22記載の検出装置。
【請求項24】
上記毒素検出モジュールは、上記1つ以上の捕捉デバイス内の捕捉された1つ以上の特定の毒素の存在を光学的に検出する光学検出モジュールを更に備えることを特徴とする請求項23記載の検出装置。
【請求項25】
上記分配モジュールは、上記流体試料の第3の部分を計量して分配し、
当該検出装置は、上記流体試料の第3の部分を収容する保管モジュールを更に備えることを特徴とする請求項22記載の検出装置。
【請求項26】
上記空気収集デバイスは、周囲の空気を継続的に取り込み、上記分配モジュールによって計量及び分配され、上記毒素検出モジュール及び上記核酸検出モジュールによって処理される新たな流体試料を定期的に出力することを特徴とする請求項22記載の検出装置。
【請求項27】
上記核酸検出モジュールは、上記流体試料の第2の部分内の1つ以上の種類の細胞を溶解し、ライセート流体試料を生成する溶解モジュールを備えることを特徴とする請求項22記載の検出装置。
【請求項28】
上記核酸検出モジュールは、上記ライセート流体試料から1つ以上の核酸を捕捉する1つ以上の精製デバイスを更に備えることを特徴とする請求項27記載の検出装置。
【請求項29】
上記核酸検出モジュールは、
上記精製デバイスに接続され、上記1つ以上の核酸が供給され、該1つ以上の核酸に熱サイクルを適用し、増幅された数の上記1つ以上の核酸を含む増幅された流体試料を形成する熱サイクルモジュールを更に備えることを特徴とする請求項28記載の検出装置。
【請求項30】
上記熱サイクルモジュールに接続され、上記増幅された流体試料内の1つ以上の特定の核酸の存在を光学的に検出する光学検出モジュールを更に備える請求項29記載の検出装置。
【請求項31】
上記空気収集デバイス、毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールの動作を制御する制御モジュールを更に備える請求項1記載の検出装置。
【請求項32】
1つ以上の異なる種類の粒子の存在を検出する統合された自律的に機能する検出装置において、
a.浮遊粒子を含む周囲の空気を自動的に取り込み、該浮遊粒子を含む流体試料を自動的に出力する空気収集デバイスと、
b.上記流体試料の第1の部分を計量して分配し、及び該流体試料の第2の部分を計量して分配する分配モジュールと、
c.上記流体試料の第1の部分内の1つ以上の特定の毒素の存在を自動的に検出する毒素検出モジュールと、
d.上記流体試料の第2の部分内の1つ以上の特定の核酸の存在を自動的に検出する核酸検出モジュールと、
e.当該検出装置内で上記空気収集デバイス、毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールを接続するマイクロ流体回路と、
f.当該検出装置が自律的に機能するよう、上記空気収集デバイス、毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールに制御信号を供給する制御モジュールとを備え、
上記毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールは、上記流体試料の第1の部分及び流体試料の第2の部分を並列に処理することを特徴とする統合された自律的に機能する検出装置。
【請求項33】
上記毒素検出モジュールは、上記流体試料の第1の部分から1つ以上の特定の毒素を捕捉する1つ以上の捕捉デバイスを備えることを特徴とする請求項32記載の統合された自律的に機能する検出装置。
【請求項34】
上記毒素検出モジュールは、上記1つ以上の捕捉デバイス内の捕捉された1つ以上の特定の毒素の存在を光学的に検出する光学検出モジュールを更に備えることを特徴とする請求項33記載の統合された自律的に機能する検出装置。
【請求項35】
上記分配モジュールは、上記流体試料の第3の部分を計量して分配し、
当該検出装置は、該流体試料の第3の部分を収容する保管モジュールを更に備えることを特徴とする請求項32記載の統合された自律的に機能する検出装置。
【請求項36】
上記空気収集デバイスは、周囲の空気を継続的に取り込み、上記毒素検出モジュール及び上記核酸検出モジュールによって処理される新たな流体試料を定期的に出力することを特徴とする請求項32記載の統合された自律的に機能する検出装置。
【請求項37】
上記核酸検出モジュールは、上記流体試料の第2の部分内の1つ以上の種類の細胞を溶解し、ライセート流体試料を生成する溶解モジュールを備えることを特徴とする請求項32記載の統合された自律的に機能する検出装置。
【請求項38】
上記核酸検出モジュールは、上記ライセート流体試料から1つ以上の核酸を捕捉する1つ以上の精製デバイスを更に備えることを特徴とする請求項37記載の統合された自律的に機能する検出装置。
【請求項39】
上記核酸検出モジュールは、上記精製デバイスに接続され、上記1つ以上の核酸が供給され、該1つ以上の核酸に熱サイクルを適用し、増幅された数の上記1つ以上の核酸を含む増幅された流体試料を形成する熱サイクルモジュールを更に備えることを特徴とする請求項38記載の統合された自律的に機能する検出装置。
【請求項40】
上記熱サイクルモジュールに接続され、上記増幅された流体試料内の1つ以上の特定の核酸の存在を光学的に検出する光学検出モジュールを更に備える請求項39記載の統合された自律的に機能する検出装置。
【請求項41】
1つ以上の異なる種類の粒子の存在を検出するデバイスのネットワークにおいて、
a.ネットワーク監視点と、
b.上記ネットワーク監視点に接続され、1つ以上の種類の粒子の存在を検出し、該1つ以上の種類の粒子の検出に応じて該ネットワーク監視点にアラーム信号を供給する1つ以上の検出装置とを備え、
上記検出装置は、
1.浮遊粒子を含む周囲の空気を取り込み、該浮遊粒子を含む流体試料を出力する空気収集デバイスと、
2.上記流体試料内の1つ以上の特定の毒素の存在を検出する毒素検出モジュールと、
3.上記流体試料内の1つ以上の特定の核酸の存在を検出する核酸検出モジュールと、
4.上記空気収集デバイス、毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールに制御信号を供給し、上記ネットワーク監視点にアラーム信号を供給する制御モジュールとを備えるデバイスのネットワーク。
【請求項42】
上記毒素検出モジュールは、上記流体試料から1つ以上の特定の毒素を捕捉する1つ以上の捕捉デバイスを備えることを特徴とする請求項41記載のデバイスのネットワーク。
【請求項43】
上記毒素検出モジュールは、上記1つ以上の捕捉デバイス内の捕捉された1つ以上の特定の毒素の存在を光学的に検出する光学検出モジュールを更に備えることを特徴とする請求項42記載のデバイスのネットワーク。
【請求項44】
上記流体試料を収容する保管モジュールを更に備える請求項41記載のデバイスのネットワーク。
【請求項45】
上記流体試料の第1の部分を計量して上記毒素検出モジュールに分配し、上記流体試料の第2の部分を計量して上記核酸検出モジュールに分配し、上記流体試料の第3の部分を計量して上記保管モジュールに分配する分配モジュールを更に備える請求項44記載のデバイスのネットワーク。
【請求項46】
上記空気収集デバイスは、周囲の空気を継続的に取り込み、上記毒素検出モジュール及び上記核酸検出モジュールによって処理される新たな流体試料を定期的に出力することを特徴とする請求項41記載のデバイスのネットワーク。
【請求項47】
上記核酸検出モジュールは、上記流体試料内の1つ以上の種類の細胞を溶解し、ライセート流体試料を生成する溶解モジュールを備えることを特徴とする請求項41記載のデバイスのネットワーク。
【請求項48】
上記核酸検出モジュールは、上記ライセート流体試料から1つ以上の核酸を捕捉する1つ以上の精製デバイスを更に備えることを特徴とする請求項47記載のデバイスのネットワーク。
【請求項49】
上記核酸検出モジュールは、
上記精製デバイスに接続され、上記1つ以上の核酸が供給され、該1つ以上の核酸に熱サイクルを適用し、増幅された数の上記1つ以上の核酸を含む増幅された流体試料を形成する熱サイクルモジュールを更に備えることを特徴とする請求項48記載のデバイスのネットワーク。
【請求項50】
上記熱サイクルモジュールに接続され、上記増幅された流体試料内の1つ以上の特定の核酸の存在を光学的に検出する光学検出モジュールを更に備える請求項49記載のデバイスのネットワーク。
【請求項1】
1つ以上の異なる種類の粒子の存在を検出する統合された検出装置において、
a.浮遊粒子を含む周囲の空気を取り込み、該浮遊粒子を含む流体試料を出力する空気収集デバイスと、
b.上記流体試料内の1つ以上の特定の毒素の存在を検出する毒素検出モジュールと、
c.上記流体試料内の1つ以上の特定の核酸の存在を検出する核酸検出モジュールと、
d.当該統合された検出装置内で上記空気収集デバイス、毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールに接続するマイクロ流体回路とを備える統合された検出装置。
【請求項2】
上記毒素検出モジュールは、上記流体試料から1つ以上の特定の毒素を捕捉する1つ以上の捕捉デバイスを備えることを特徴とする請求項1記載の統合された検出装置。
【請求項3】
上記毒素検出モジュールは、上記1つ以上の捕捉デバイス内の捕捉された1つ以上の特定の毒素の存在を光学的に検出する光学検出モジュールを更に備えることを特徴とする請求項2記載の統合された検出装置。
【請求項4】
上記流体試料を収容する保管モジュールを更に備える請求項1記載の統合された検出装置。
【請求項5】
上記流体試料の第1の部分を計量して上記毒素検出モジュールに分配し、上記流体試料の第2の部分を計量して上記核酸検出モジュールに分配し、上記流体試料の第3の部分を計量して上記保管モジュールに分配する分配モジュールを更に備える請求項4記載の統合された検出装置。
【請求項6】
上記空気収集デバイスは、周囲の空気を継続的に取り込み、上記毒素検出モジュール及び上記核酸検出モジュールによって処理される新たな流体試料を定期的に出力することを特徴とする請求項1記載の統合された検出装置。
【請求項7】
上記核酸検出モジュールは、上記流体試料内の1つ以上の種類の細胞を溶解させ、ライセート流体試料を生成する溶解モジュールを備えることを特徴とする請求項1記載の統合された検出装置。
【請求項8】
上記核酸検出モジュールは、上記ライセート流体試料から1つ以上の核酸を捕捉する1つ以上の精製デバイスを更に備えることを特徴とする請求項7記載の統合された検出装置。
【請求項9】
上記核酸検出モジュールは、
上記精製デバイスに接続され、上記1つ以上の核酸が供給され、該1つ以上の核酸に熱サイクルを適用し、増幅された数の上記1つ以上の核酸を含む増幅された流体試料を形成する熱サイクルモジュールを更に備えることを特徴とする請求項8記載の統合された検出装置。
【請求項10】
上記熱サイクルモジュールに接続され、上記増幅された流体試料内の1つ以上の特定の核酸の存在を光学的に検出する光学検出モジュールを更に備える請求項9記載の統合された検出装置。
【請求項11】
上記空気収集デバイス、毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールの動作を制御する制御モジュールを更に備える請求項1記載の統合された検出装置。
【請求項12】
1つ以上の異なる種類の粒子の存在を検出する自律的に機能する検出装置において、
a.浮遊粒子を含む周囲の空気を自動的に取り込み、該浮遊粒子を含む流体試料を自動的に出力する空気収集デバイスと、
b.上記流体試料内の1つ以上の特定の毒素の存在を自動的に検出する毒素検出モジュールと、
c.上記流体試料内の1つ以上の特定の核酸の存在を自動的に検出する核酸検出モジュールと、
d.当該検出装置が自律的に機能するよう、上記空気収集デバイス、毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールに制御信号を供給する制御モジュールとを備える自律的に機能する検出装置。
【請求項13】
上記毒素検出モジュールは、上記流体試料から1つ以上の特定の毒素を自動的に捕捉する1つ以上の捕捉デバイスを備えることを特徴とする請求項12記載の自律的に機能する検出装置。
【請求項14】
上記毒素検出モジュールは、上記1つ以上の捕捉デバイス内の捕捉された1つ以上の特定の毒素の存在を自動的に光学的に検出する光学検出モジュールを更に備えることを特徴とする請求項13記載の自律的に機能する検出装置。
【請求項15】
上記流体試料を自動的に収容する保管モジュールを更に備える請求項12記載の自律的に機能する検出装置。
【請求項16】
上記流体試料の第1の部分を自動的に計量して上記毒素検出モジュールに自動的に分配し、上記流体試料の第2の部分を自動的に計量して上記核酸検出モジュールに自動的に分配し、上記流体試料の第3の部分を自動的に計量して上記保管モジュールに自動的に分配する分配モジュールを更に備える請求項15記載の自律的に機能する検出装置。
【請求項17】
上記空気収集デバイスは、周囲の空気を継続的に取り込み、上記毒素検出モジュール及び上記核酸検出モジュールによって処理される新たな流体試料を定期的に出力することを特徴とする請求項12記載の自律的に機能する検出装置。
【請求項18】
上記核酸検出モジュールは、上記流体試料内の1つ以上の種類の細胞を自動的に溶解し、ライセート流体試料を生成する溶解モジュールを備えることを特徴とする請求項12記載の自律的に機能する検出装置。
【請求項19】
上記核酸検出モジュールは、上記ライセート流体試料から1つ以上の核酸を自動的に捕捉する精製デバイスを更に備えることを特徴とする請求項18記載の自律的に機能する検出装置。
【請求項20】
上記核酸検出モジュールは、
上記精製デバイスに接続され、上記1つ以上の核酸が供給され、該1つ以上の核酸に熱サイクルを自動的に適用し、増幅された数の上記1つ以上の核酸を含む増幅された流体試料を形成する熱サイクルモジュールを更に備えることを特徴とする請求項19記載の自律的に機能する検出装置。
【請求項21】
上記熱サイクルモジュールに接続され、上記増幅された流体試料内の1つ以上の特定の核酸の存在を自動的に光学的に検出する光学検出モジュールを更に備える請求項20記載の自律的に機能する検出装置。
【請求項22】
1つ以上の異なる種類の粒子の存在を検出する検出装置において、
a.浮遊粒子を含む周囲の空気を取り込み、該浮遊粒子を含む流体試料を出力する空気収集デバイスと、
b.上記流体試料の第1の部分を計量して分配し、及び該流体試料の第2の部分を計量して分配する分配モジュールと、
c.上記流体試料の第1の部分内の1つ以上の特定の毒素の存在を検出する毒素検出モジュールと、
d.上記流体試料の第2の部分内の1つ以上の特定の核酸の存在を検出する核酸検出モジュールとを備え、
上記毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールは、上記流体試料の第1の部分及び流体試料の第2の部分を並列に処理する検出装置。
【請求項23】
上記毒素検出モジュールは、上記流体試料の第1の部分から1つ以上の特定の毒素を捕捉する1つ以上の捕捉デバイスを備えることを特徴とする請求項22記載の検出装置。
【請求項24】
上記毒素検出モジュールは、上記1つ以上の捕捉デバイス内の捕捉された1つ以上の特定の毒素の存在を光学的に検出する光学検出モジュールを更に備えることを特徴とする請求項23記載の検出装置。
【請求項25】
上記分配モジュールは、上記流体試料の第3の部分を計量して分配し、
当該検出装置は、上記流体試料の第3の部分を収容する保管モジュールを更に備えることを特徴とする請求項22記載の検出装置。
【請求項26】
上記空気収集デバイスは、周囲の空気を継続的に取り込み、上記分配モジュールによって計量及び分配され、上記毒素検出モジュール及び上記核酸検出モジュールによって処理される新たな流体試料を定期的に出力することを特徴とする請求項22記載の検出装置。
【請求項27】
上記核酸検出モジュールは、上記流体試料の第2の部分内の1つ以上の種類の細胞を溶解し、ライセート流体試料を生成する溶解モジュールを備えることを特徴とする請求項22記載の検出装置。
【請求項28】
上記核酸検出モジュールは、上記ライセート流体試料から1つ以上の核酸を捕捉する1つ以上の精製デバイスを更に備えることを特徴とする請求項27記載の検出装置。
【請求項29】
上記核酸検出モジュールは、
上記精製デバイスに接続され、上記1つ以上の核酸が供給され、該1つ以上の核酸に熱サイクルを適用し、増幅された数の上記1つ以上の核酸を含む増幅された流体試料を形成する熱サイクルモジュールを更に備えることを特徴とする請求項28記載の検出装置。
【請求項30】
上記熱サイクルモジュールに接続され、上記増幅された流体試料内の1つ以上の特定の核酸の存在を光学的に検出する光学検出モジュールを更に備える請求項29記載の検出装置。
【請求項31】
上記空気収集デバイス、毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールの動作を制御する制御モジュールを更に備える請求項1記載の検出装置。
【請求項32】
1つ以上の異なる種類の粒子の存在を検出する統合された自律的に機能する検出装置において、
a.浮遊粒子を含む周囲の空気を自動的に取り込み、該浮遊粒子を含む流体試料を自動的に出力する空気収集デバイスと、
b.上記流体試料の第1の部分を計量して分配し、及び該流体試料の第2の部分を計量して分配する分配モジュールと、
c.上記流体試料の第1の部分内の1つ以上の特定の毒素の存在を自動的に検出する毒素検出モジュールと、
d.上記流体試料の第2の部分内の1つ以上の特定の核酸の存在を自動的に検出する核酸検出モジュールと、
e.当該検出装置内で上記空気収集デバイス、毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールを接続するマイクロ流体回路と、
f.当該検出装置が自律的に機能するよう、上記空気収集デバイス、毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールに制御信号を供給する制御モジュールとを備え、
上記毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールは、上記流体試料の第1の部分及び流体試料の第2の部分を並列に処理することを特徴とする統合された自律的に機能する検出装置。
【請求項33】
上記毒素検出モジュールは、上記流体試料の第1の部分から1つ以上の特定の毒素を捕捉する1つ以上の捕捉デバイスを備えることを特徴とする請求項32記載の統合された自律的に機能する検出装置。
【請求項34】
上記毒素検出モジュールは、上記1つ以上の捕捉デバイス内の捕捉された1つ以上の特定の毒素の存在を光学的に検出する光学検出モジュールを更に備えることを特徴とする請求項33記載の統合された自律的に機能する検出装置。
【請求項35】
上記分配モジュールは、上記流体試料の第3の部分を計量して分配し、
当該検出装置は、該流体試料の第3の部分を収容する保管モジュールを更に備えることを特徴とする請求項32記載の統合された自律的に機能する検出装置。
【請求項36】
上記空気収集デバイスは、周囲の空気を継続的に取り込み、上記毒素検出モジュール及び上記核酸検出モジュールによって処理される新たな流体試料を定期的に出力することを特徴とする請求項32記載の統合された自律的に機能する検出装置。
【請求項37】
上記核酸検出モジュールは、上記流体試料の第2の部分内の1つ以上の種類の細胞を溶解し、ライセート流体試料を生成する溶解モジュールを備えることを特徴とする請求項32記載の統合された自律的に機能する検出装置。
【請求項38】
上記核酸検出モジュールは、上記ライセート流体試料から1つ以上の核酸を捕捉する1つ以上の精製デバイスを更に備えることを特徴とする請求項37記載の統合された自律的に機能する検出装置。
【請求項39】
上記核酸検出モジュールは、上記精製デバイスに接続され、上記1つ以上の核酸が供給され、該1つ以上の核酸に熱サイクルを適用し、増幅された数の上記1つ以上の核酸を含む増幅された流体試料を形成する熱サイクルモジュールを更に備えることを特徴とする請求項38記載の統合された自律的に機能する検出装置。
【請求項40】
上記熱サイクルモジュールに接続され、上記増幅された流体試料内の1つ以上の特定の核酸の存在を光学的に検出する光学検出モジュールを更に備える請求項39記載の統合された自律的に機能する検出装置。
【請求項41】
1つ以上の異なる種類の粒子の存在を検出するデバイスのネットワークにおいて、
a.ネットワーク監視点と、
b.上記ネットワーク監視点に接続され、1つ以上の種類の粒子の存在を検出し、該1つ以上の種類の粒子の検出に応じて該ネットワーク監視点にアラーム信号を供給する1つ以上の検出装置とを備え、
上記検出装置は、
1.浮遊粒子を含む周囲の空気を取り込み、該浮遊粒子を含む流体試料を出力する空気収集デバイスと、
2.上記流体試料内の1つ以上の特定の毒素の存在を検出する毒素検出モジュールと、
3.上記流体試料内の1つ以上の特定の核酸の存在を検出する核酸検出モジュールと、
4.上記空気収集デバイス、毒素検出モジュール及び核酸検出モジュールに制御信号を供給し、上記ネットワーク監視点にアラーム信号を供給する制御モジュールとを備えるデバイスのネットワーク。
【請求項42】
上記毒素検出モジュールは、上記流体試料から1つ以上の特定の毒素を捕捉する1つ以上の捕捉デバイスを備えることを特徴とする請求項41記載のデバイスのネットワーク。
【請求項43】
上記毒素検出モジュールは、上記1つ以上の捕捉デバイス内の捕捉された1つ以上の特定の毒素の存在を光学的に検出する光学検出モジュールを更に備えることを特徴とする請求項42記載のデバイスのネットワーク。
【請求項44】
上記流体試料を収容する保管モジュールを更に備える請求項41記載のデバイスのネットワーク。
【請求項45】
上記流体試料の第1の部分を計量して上記毒素検出モジュールに分配し、上記流体試料の第2の部分を計量して上記核酸検出モジュールに分配し、上記流体試料の第3の部分を計量して上記保管モジュールに分配する分配モジュールを更に備える請求項44記載のデバイスのネットワーク。
【請求項46】
上記空気収集デバイスは、周囲の空気を継続的に取り込み、上記毒素検出モジュール及び上記核酸検出モジュールによって処理される新たな流体試料を定期的に出力することを特徴とする請求項41記載のデバイスのネットワーク。
【請求項47】
上記核酸検出モジュールは、上記流体試料内の1つ以上の種類の細胞を溶解し、ライセート流体試料を生成する溶解モジュールを備えることを特徴とする請求項41記載のデバイスのネットワーク。
【請求項48】
上記核酸検出モジュールは、上記ライセート流体試料から1つ以上の核酸を捕捉する1つ以上の精製デバイスを更に備えることを特徴とする請求項47記載のデバイスのネットワーク。
【請求項49】
上記核酸検出モジュールは、
上記精製デバイスに接続され、上記1つ以上の核酸が供給され、該1つ以上の核酸に熱サイクルを適用し、増幅された数の上記1つ以上の核酸を含む増幅された流体試料を形成する熱サイクルモジュールを更に備えることを特徴とする請求項48記載のデバイスのネットワーク。
【請求項50】
上記熱サイクルモジュールに接続され、上記増幅された流体試料内の1つ以上の特定の核酸の存在を光学的に検出する光学検出モジュールを更に備える請求項49記載のデバイスのネットワーク。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2010−501176(P2010−501176A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525539(P2009−525539)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/013979
【国際公開番号】WO2008/097250
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(507077503)マイクロフルイディク システムズ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/013979
【国際公開番号】WO2008/097250
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(507077503)マイクロフルイディク システムズ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
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